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審決分類 |
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 C12N 審判 全部無効 2項進歩性 C12N 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C12N 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備 C12N |
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管理番号 | 1284812 |
審判番号 | 無効2011-800121 |
総通号数 | 172 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-04-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2011-07-08 |
確定日 | 2014-02-10 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4095895号「RNA干渉を媒介する短鎖RNA分子」の特許無効審判事件についてされた平成24年 9月20日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において請求項1、2、8ないし10に係る発明に対する部分の審決取消しの判決(平成25年(行ケ)第10020号、平成25年 5月29日)があったので、審決が取り消された部分の請求項1、2、8ないし10に係る発明についてさらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4095895号の請求項1、2、8ないし10に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第4095895号(以下、「本件特許」という。)は、平成13年11月29日(パリ条約による優先権主張 2000年12月1日 欧州特許庁、2001年3月30日 米国)に国際出願され、平成20年3月14日に特許権の設定の登録がされたものである。 これに対して、請求人は、平成23年7月8日に、請求項1?39に係る各発明についての特許を無効とする審決を求めて特許無効審判を請求し、被請求人は同年12月22日に答弁書を提出するとともに特許請求の範囲について訂正請求を行い、平成24年3月26日付けで訂正請求についての手続補正を行った。 同特許無効審判につき、平成24年9月20日付けで「訂正を認める。特許第4095895号の請求項1、2、8ないし10に係る発明についての特許を無効とする。特許第4095895号の請求項3ないし7、11ないし39に係る発明についての審判請求は、成り立たない。」との審決(一次審決)がされたところ、被請求人である特許権者が、一次審決のうち「特許第4095895号の請求項1、2、8ないし10に係る発明についての特許を無効とする。」との部分の取消を求めて審決取消訴訟を提起する(平成25年(行ケ)10020号)一方、「訂正を認める。特許第4095895号の請求項3ないし7、11ないし39に係る発明についての審判請求は、成り立たない。」との部分は確定した。 そして、平成25年5月29日、知的財産高等裁判所において、被請求人である特許権者が求めた審決の一部取消を認める判決がされ、同判決は確定した。 第2 本件発明 一次審決のうち確定していない部分に係る本件特許の発明は、以下のとおりである。 【請求項1】 単離された二本鎖RNA分子であって、各RNA鎖が19?23塩基長を有し、少なくとも1つの鎖が1?3塩基からなる3’突出部を有するものであり、該RNA分子は標的特異的なRNA干渉が可能なものであり、3’突出部を除く該RNA分子の1つの鎖が、予め決定したmRNA標的分子に対して100%の同一性を有する配列からなり、かつ、該mRNA標的分子が細胞または生物中に存在するものである、上記RNA分子。 【請求項2】 各鎖が、20?22塩基長を有する、請求項1に記載のRNA分子。 【請求項8】 下記のステップを含む、請求項1?7のいずれか1項に記載の二本鎖RNA分子の作製方法: (a)各々が19?23塩基長を有する2本のRNA鎖を合成するステップであって、このRNA鎖は二本鎖RNA分子を形成することができるものである、上記ステップ、 (b)二本鎖RNA分子が形成される条件下で合成RNA鎖を結合させるステップであって、得られる二本鎖RNA分子は標的特異的なRNA干渉が可能なものである、上記ステップ。 【請求項9】 RNA鎖が化学的に合成される、請求項8に記載の方法。 【請求項10】 RNA鎖が酵素により合成される、請求項8に記載の方法。 以下、請求項1、2、8ないし10に係る各発明を、それぞれの請求項の番号に対応させて、「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明8」ないし「本件発明10」という。 第3 当事者の主張の概要 本件発明1、2、8ないし10について請求人が主張する無効理由の概要、及び請求人が提出した甲第1ないし第10号証は、以下のとおりである。 (1)本件発明1及び2は、甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当するものであって特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。(以下、「無効理由1」という。) (2)本件発明1、2、8ないし10は、甲第3号証、甲第1号証ないし第3号証、または甲第3号証ないし第4号証に記載された発明に基づいて、出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。(以下、「無効理由2」という。) (3)本件発明1、2、8ないし10について、発明の詳細な説明の記載が、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、また、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号及び第4項に規定する要件を満たしておらず、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。(以下、「無効理由3」という。) 甲第1号証: GENES & DEVELOPMENT 1999年 第13巻 第3191から3197頁 甲第2号証: Cell 2000年3月 第101巻 第25から33頁 甲第3号証: Cell 2000年4月 第101巻 第235から238頁 甲第4号証: Molecular Cell 2000年11月 第6巻 第1077から1087頁 甲第5号証: Nucleic Acids Research 1995年 第23巻 第1157から1164頁 甲第6号証: Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1998年 第95巻 第14687から14692頁 甲第7号証: Journal of Virology 1987年 第61巻 第921から924頁 甲第8号証: Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1999年 第96巻 第5049から5054頁 甲第9号証: Development 1999年 第126巻 第4165から4173頁 甲第10号証: 筑波大学 医学医療系研究員 大和建嗣氏による意見書 2.被請求人の主張 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めており、被請求人が提出した乙第1ないし第6号証は、以下のとおりである。 乙第1号証: メイヤーズ博士の鑑定書(写し) 乙第2号証: 今堀和友他監修,生化学辞典,第1版,第8刷,株式会社東京化学同人発行,1988年4月1日発行,第1295頁「薬理学」の項 乙第3号証: トゥシュル博士の鑑定書(写し) 乙第4号証: NATURE 2001年5月 第411巻 第428から429頁 乙第5号証: NATURE 2001年5月 第411巻 第494から498頁 乙第6号証: NATURE 1998年 第391巻 第806から811頁 第4 当審の判断 (1)無効理由1及び無効理由2について 一次審決が、本件発明1、2、8ないし10についての特許を無効とした理由は、以下のとおりである。 本件発明1及び2は、甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当する(無効理由1)。 本件発明8ないし10は、甲第1ないし4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(無効理由2)。 これに対して、知的財産高等裁判所は、平成25年5月29日言渡の判決で、一次審決のうち、「特許第4095895号の請求項1、2、8ないし10に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消したから、同判決は、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、本特許無効審判事件について、当合議体を拘束する。 よって、本件発明1、2は、甲第3号証に記載された発明であり特許法第29条第1項第3号に該当するということはできず、本件発明8ないし10は、甲第1ないし4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり特許法第29条第2項の規定に違反するということもできない。 したがって、無効理由1及び本件発明8ないし10についての無効理由2は、理由がない。 また、一次審決で判断したとおり、本件発明1についての無効理由2には理由がなく、本件発明1を引用して記載された本件発明2についての無効理由2にも理由がない。 (2)無効理由3について 本件発明1、2、8ないし10についての無効理由3は、一次審決で判断したとおり、理由がない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件請求項1、2、8ないし10に係る発明についての特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-12-04 |
結審通知日 | 2013-12-06 |
審決日 | 2013-12-24 |
出願番号 | 特願2002-546670(P2002-546670) |
審決分類 |
P
1
113・
113-
Y
(C12N)
P 1 113・ 536- Y (C12N) P 1 113・ 537- Y (C12N) P 1 113・ 121- Y (C12N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松田 芳子、小暮 道明 |
特許庁審判長 |
今村 玲英子 |
特許庁審判官 |
高堀 栄二 鈴木 恵理子 |
登録日 | 2008-03-14 |
登録番号 | 特許第4095895号(P4095895) |
発明の名称 | RNA干渉を媒介する短鎖RNA分子 |
代理人 | 武井 紀英 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 一色国際特許業務法人 |
代理人 | 武井 紀英 |
代理人 | 堀江 健太郎 |
代理人 | 堀江 健太郎 |