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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06K
管理番号 1285353
審判番号 不服2010-5326  
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-10 
確定日 2014-03-25 
事件の表示 特願2009- 70369「認証用バーコード付与方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 6月18日出願公開、特開2009-134768〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本願は、平成12年 5月2日に出願した特願2000-133741号の一部を平成13年 4月13日に特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願とした特願2001-115141号(以下、「原出願」)という)の一部を平成21年3月23日に特許法第44条第1項の規定に基づく新たな特許出願として出願されたものであるが、同年4月13日付けで、本願は原出願の一部を新たな特許出願としたものと認めない旨を含む拒絶理由通知がなされ、同年6月19日付けで手続補正がなされたが、同年12月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年3月10日に審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。そして、同年6月3日付けで審査官から前置報告がなされ、平成23年6月2日付けで当審より審尋がなされ、同年8月8日付けで回答書が提出され、同年10月5日付けで前記平成22年3月10日付け手続補正を補正却下するとともに、同日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月5日付けで手続補正がなされ、同年12月20日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、平成24年2月20日付けで手続補正がなされたものである。
そして、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年2月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者および認証要求者に固有の個人認証用バーコードであって、前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された個人認証用バーコードがバーコードデータベースに記憶されていたとき前記被認証者が認証される、携帯電話に表示される個人認証用バーコードを被認証者に付与する個人認証用バーコード付与方法であって、
認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップと、
前記受信するステップの後、前記認証装置が、受信したバーコード要求信号に含まれる前記発信者番号に基づいて、前記被認証者の前記発信者番号を含む顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、
前記判定するステップの後、前記認証装置が、前記被認証者の前記発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていなかったときには、前記被認証者の前記発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていないことを示すメッセージを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信して処理を終了し、前記被認証者の発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていたときには、前記被認証者の発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていたことのみを条件として、前記個人認証用バーコードを用いて認証を受けることができる前記認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送り、前記被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ、前記被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成するステップと、
前記生成するステップの後、前記認証装置が、該個人認証用バーコードを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該個人認証用バーコードを前記バーコードデータベースに記憶するステップと、を備えている、
ことを特徴とする個人認証用バーコード付与方法。」

2.引用文献
2-1.引用文献1
当審より通知された拒絶理由に引用された刊行物である特開平10-69553号公報(平成10年3月10日出願公開)(以下「引用文献1」という)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

<1-1>「【請求項1】 ユーザーの発券要求情報を入力するユーザー装置と、前記ユーザー装置と通信手段を介して接続され、前記ユーザー装置からの前記発券要求情報に応じた券情報を検索し、この検索された券情報及び前記券情報に対応するユーザーコード情報を共に出力するデータ処理手段と、前記ユーザー装置からの前記発券要求情報を受信し、前記データ処理手段からの前記券情報及び前記ユーザーコード情報を前記ユーザー装置に送信するデータ送受信手段とを有する券発行装置と、前記券情報及び前記ユーザーコード情報を入力する情報入力手段と、前記情報入力手段からの前記券情報を認識して処理するデータ処理手段とを有する券使用装置と、を備えて成り、
前記ユーザー装置は、前記券発行装置からの前記券情報及び前記ユーザーコード情報の少なくとも一方を記録する記録媒体を含み、
前記券使用装置は、前記情報入力手段で、前記記録媒体に記録されたユーザーコード情報を読み込み、前記データ処理手段で、前記情報入力手段からのユーザーコード情報と前記券発行装置の前記データ処理手段からのユーザーコード情報との照合結果に基づいて、前記記録媒体に記録された券情報が有効であるか否かを決定することを特徴とする発券システム。」

<1-2>「【請求項3】 請求項1、2のいずれかにおいて、
前記券発行装置の前記データ処理手段は、前記発券要求情報が有効であるか否かを判別し、前記発券要求情報が有効であると判別するならば、前記券情報を検索することを特徴とする発券システム。」

<1-3>「【請求項9】 請求項5?7のいずれかにおいて、
前記券使用装置は、前記情報入力手段から入力される前記ユーザーコード情報を前記券発行装置に送信し、
前記券発行装置のデータ処理手段は、前記ユーザーコード情報と前記券使用装置から送信された前記ユーザーコード情報とを照合した照合結果を前記券使用装置に送信し、
前記券使用装置の前記データ処理手段は、前記送信された照合結果に基づいて、前記券情報が有効であるか否かを判別することを特徴とする発券システム。」

<1-4>「【請求項23】 通信手段を介してデータを送受信するデータ送受信手段と、
券情報及び第1のユーザーコード情報を入力する情報入力手段と、
前記情報入力手段により入力した前記第1のユーザーコード情報を前記データ送受信手段により外部へ送信した後に、外部へ送信した前記第1のユーザーコード情報と外部に予め記憶されている第2のユーザーコード情報との照合結果を、前記データ送受信手段を介して外部から受信することによって、前記券情報の有効性を判別する券情報判別手段と、 を備えることを特徴とする券使用装置。」

<1-5>「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ユーザーが券を発注して購入する発券システム、券発行装置及び券使用装置に関する。」

<1-6>「【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、券の購入者は、電話で発券の予約をしても、実際に有効な券を入手するためには、その予約をした場所まで行かなければならないので、手間や時間を費やす。
【0006】また、旅行代理店やコンビニエンスストアのような発券場所では、発券するための人員が必要である。
【0007】即ち、ユーザーが券を購入するための発券システムは、非常に煩雑なものとなっている。
【0008】本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、券の購入者が発券場所まで行かなくても簡易に券を購入することができ、発券場所では、人員を合理化することができる発券システム、券発行装置及び券使用装置を提供することにある。
・・・(中略)・・・
【0018】これにより、ユーザー装置から送信される発券要求情報が適正であるときのみ券情報を検索するので、券発行装置では券発行処理を確実に行うことができる。」

<1-7>「【0033】また、請求項10の発明は、請求項8、9のいずれかにおいて、前記ユーザーコード情報は、バーコード、数字列及び文字列のうちの少なくともいずれか一つで表されることを特徴とする。
【0034】このように、ユーザーコード情報を、バーコード、数字列又は文字列とすることにより、ユーザーコード情報を容易に作成することができる。また、このようなユーザーコード情報を記録媒体に記録した場合には、この記録媒体からユーザーコード情報を簡易に読み取ることができる。
【0035】また、請求項11の発明は、請求項8?10のいずれかにおいて、前記ユーザーコード情報には、前記ユーザーを識別するユーザー識別情報を含み、前記ユーザーコード情報の照合時には、前記ユーザー識別情報も照合することを特徴とする。
【0036】これにより、記録媒体を持参したユーザーが、その記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別することができるので、記録媒体の偽造や不正使用を防止することができる。
【0037】また、請求項12の発明は、請求項11において、前記ユーザー識別情報は、ユーザーの名前情報及び暗号情報のうちの少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする。
・・・(中略)・・・
【0044】尚、ユーザー情報記憶手段に記憶するユーザー情報は、ユーザー装置から券発行装置に予め送信して記憶しておき、ユーザーはいわゆる会員として登録されるようにしてもよい。
【0045】また、券発行装置がユーザーに対して券の代金を課金するときの具体的な方法としては、券発行装置が、ユーザー情報又は課金用識別情報に基づいて、銀行に対して券の代金の支払いを要求したり、ユーザーに対して直接に券の代金の支払いを要求したりすることが考えられる。
・・・(中略)・・・
【0054】これにより、券発行装置は、発券要求情報が有効であると判別されたときのみ、券情報の検索動作及びユーザーコード情報の作成動作を行うので、より正確な発券の要求に対して、券情報及びユーザーコード情報を出力することができる。
・・・(中略)・・・
【0067】これにより、券情報及びユーザーコード情報を、一般的なスキャナ装置やドライブ装置により読み取ることができる。また、券情報及びユーザーコード情報が紙又は携帯型記録媒体に記録されるので、券情報等を容易に持ち運ぶことができる。
【0068】また、請求項25の発明は、請求項21?24のいずれかにおいて、前記第1のユーザーコード情報は、バーコード、数字列及び文字列のうちの少なくともいずれか一つで表されることを特徴とする。
【0069】このように、ユーザーコード情報を、バーコード、数字列又は文字列とすることにより、ユーザーコード情報を容易に作成することができる。また、このようなユーザーコード情報を記録媒体に記録した場合には、この記録媒体からユーザーコード情報を簡易に読み取ることができる。」

<1-8>「【0078】前記発券システムで用いる通信回線は、有線であって、電話線を使用することが一般的であるが、ISDN回線やCATV(Cable Television)のケーブル、または光ファイバケーブルを用いることも可能である。また、通信回線は、無線であってもよく、PHS(簡易型携帯電話)や携帯電話、または人工衛星の双方向を利用した通信システムを利用することが考えられる。」

<1-9>「【0080】このように発行される券としては、電車等の乗車券や航空券、ホテルや旅館等の宿泊券、音楽会等の入場券、馬券、宝くじなど、様々な券であることが可能である。
【0081】ユーザー装置2では、送信された券情報が表示される。ユーザーは、この券情報を、例えばユーザー装置2に備えるプリンタ装置で紙に印刷して、券110を生成する。ユーザーが、この印刷した券110を実際に使用するには、この券110を券使用場所104まで持参する。この券使用場所104は、具体的には、駅や施設等の券使用窓口や入場口等となる。」

<1-10>「【0082】券使用場所104では、券使用装置に接続される複数の情報読み取り装置106を備えている。例えば、券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方がバーコード情報として印刷されているならば、情報読み取り装置106としてはバーコードリーダー装置を用いることが可能である。券使用場所104では、情報読み取り装置106により、紙に印刷された券情報及びユーザーコード情報の少なくとも一方を読み取って、その券110が有効であるか否かを判別する。これにより、ユーザーが持参した券110が有効であると判別されるならば、ユーザーは、その券110を真の券として使用することができる。」

<1-11>「【0085】また、発券センタ102の券発行装置からユーザー装置2に送信される券情報は、紙に印刷する他に、フロッピーディスク、メモリカード、ICカード等の携帯可能な携帯型記録媒体に記録することも可能である。尚、詳細には後述するユーザーコード情報を券情報と共に印刷又は記録したり、ユーザーコード情報のみを印刷又は記録したりしてもよい。」

<1-12>「【0094】ここで、データ処理部11の概略的な構成を図3に示す。
【0095】
このデータ処理部11は、モデム12により受信した情報を判別する情報判別部200と、モデム12により受信した情報が、情報判別部200により発券要求情報であると判別されたときに、前記発券要求情報に応じた券情報を検索する券情報検索部204と、券情報検索部204により検索された前記券情報に対応するユーザーコード情報を作成するユーザーコード情報作成部206とを備え、モデム12により前記券情報検索部204から出力される券情報及び前記ユーザーコード情報作成部206から出力されるユーザーコード情報をユーザー装置2に送信する。
【0096】
券情報検索部204には、発行するための複数種類の券情報を記憶する券情報記憶部205が接続され、また、ユーザーコード情報作成部206には、複数のユーザーのユーザー情報を記憶するユーザー情報記憶部207が接続される。ユーザー情報は、ユーザーの名前、住所、券の代金の支払いに利用する銀行の口座番号やクレジットカード番号等を含む情報である。
【0097】
また、データ処理部11は、情報判別部200により、モデム12で受信した情報が発券要求情報であると判別されたときに、前記発券要求情報が有効であるか否かを判別する発券要求情報判別部201をさらに有し、発券要求情報判別部201により発券要求情報は有効であると判別されたときに、券情報検索部204により発券要求情報に応じた券情報の検索を開始する。
【0098】
さらに、発券要求情報判別部201により発券要求情報は有効であると判別されたときには、モデム12により受信して情報判別部200により判別された第1の課金用識別情報と、予め記憶する第2の課金用識別情報とを比較する課金用識別情報比較部202と、課金用識別情報比較部202からの比較結果が有効であるならば、前記ユーザー情報及び課金するユーザーを特定する課金用識別情報のうちの少なくともいずれか一方に応じた金額を課金する課金部208とを有している。
【0099】
情報判別部200には、モデム12、13により受信された情報が入力され、この入力情報が何の情報であるのかを判別する。入力情報が発券要求情報であると判別されたときには、この発券要求情報は、発券要求情報判別部201、券情報検索部204及び課金部208に送られる。また、入力情報がユーザー識別情報であると判別されたときには、このユーザー識別情報はユーザーコード情報作成部206に送られる。また、入力情報が課金用識別情報であると判別されたときには、この課金用識別情報は、課金用識別情報比較部202及び課金部208に送られる。
【0100】
発券要求情報判別部201は、送られた発券要求情報が有効であるか否か、具体的には、発券要求情報により要求される券情報の検索を行うことが可能であるか否かを判別する。そして、発券要求情報判別部201は、判別結果を、課金用識別情報比較部202、券情報検索部204及びユーザーコード情報作成部206に送る。
【0101】
課金用識別情報比較部202には、複数のユーザーの課金用識別情報を記憶する課金用識別情報記憶部203が接続される。この課金用識別情報記憶部203には、複数のユーザーの課金用識別情報が記憶されている。例えば、課金用識別情報比較部202に入力される課金用識別情報を第1の課金用識別情報とし、課金用識別情報記憶部203に記憶している課金用識別情報を第2の課金用識別情報とした場合に、課金用識別情報比較部202は、発券要求情報が有効であることを示す判別結果が入力されたときに、第1の課金用識別情報と第2の課金用識別情報とを比較し、この比較結果を券情報検索部204及び課金部208に送る。
【0102】
券情報検索部204は、発券要求情報判別部201から送られた判別結果が発券可能であることを示すときには、発券要求情報の内容に基づいて、券情報記憶部205に記憶される券情報から適合する券情報を検索し、出力する 尚、券情報検索部204は、課金用識別情報比較部202からの比較結果を用いて券情報の検索を開始するようにしてもよい。この場合には、券情報検索部204は、課金用識別情報比較部202から送られた比較結果が課金可能であることを示すときに、発券要求情報の内容に基づいて、券情報記憶部205に記憶される券情報から適合する券情報を検索する。
【0103】
また、ユーザーコード情報作成部206には、情報判別部200において判別されたユーザー識別情報が送られている。ユーザーコード情報作成部206は、発券要求情報判別部201から送られた判別結果が発券可能であることを示すときには、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報から、送信されるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成する。
【0104】
課金部208は、課金用識別情報比較部202から送られた比較結果が課金可能であることを示すときに、発券要求情報に基づく券の代金を、課金用識別情報を用いて課金する。具体的には、後述するように、課金用識別情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号等に基づく銀行等に対して券の代金の支払いを要求する。また、課金処理を行うときには、課金用識別情報の代わりに、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報を用いて、課金を行ってもよい。具体的には、ユーザー情報記憶部207に記憶される複数のユーザー情報から、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号に基づいて、課金を行う。」

<1-13>「【0103】また、ユーザーコード情報作成部206には、情報判別部200において判別されたユーザー識別情報が送られている。ユーザーコード情報作成部206は、発券要求情報判別部201から送られた判別結果が発券可能であることを示すときには、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報から、送信されるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成する。」

<1-14>「【0104】課金部208は、課金用識別情報比較部202から送られた比較結果が課金可能であることを示すときに、発券要求情報に基づく券の代金を、課金用識別情報を用いて課金する。具体的には、後述するように、課金用識別情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号等に基づく銀行等に対して券の代金の支払いを要求する。また、課金処理を行うときには、課金用識別情報の代わりに、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報を用いて、課金を行ってもよい。具体的には、ユーザー情報記憶部207に記憶される複数のユーザー情報から、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号に基づいて、課金を行う。」

<1-15>「【0112】尚、前記携帯型記録媒体としては、フロッピーディスク、100MB以上の大容量磁気ディスク等のような磁気記録媒体、メモリカード、ICカード、切手サイズメモリカード、PCカード等のカード型記録媒体、光磁気、相変化等を利用した光記録媒体、手のひらサイズ等の超小型PC等の小型電子機器等を用いることが可能である。従って、券使用装置3は、携帯型記憶媒体の情報を読み込む情報入力手段として、例えばフロッピィディスクドライブ装置等のドライブ装置を備えるものであってもよい。これにより、ユーザーが携帯型記録媒体を持参した場合には、ドライブ装置に前記携帯型記憶媒体を挿入し、携帯型記録媒体に記憶される券情報及びユーザーコード情報を読み込んで、この券情報及びユーザーコード情報をデータ処理部31に送る。
【0113】すなわち、情報入力手段としては、ユーザーコード情報が、紙に記録された情報であるときは、スキャナ装置等のOCR装置、バーコードリーダー装置等の光学的読み取り装置を用いることが可能であり、ユーザーコード情報がユーザーの記憶による情報の場合及び前述の紙に記録された情報(数字、文字または記号で表記してある場合)である場合は、キーボード、マウス、操作パネル等の入力機器を用いることが可能であり、また、ユーザーコード情報が携帯型記録媒体に記録された情報である場合は、その媒体に記憶された情報を取り出すための媒体ドライブ装置等の情報読み取り装置、またはそれが小型電子機器であれば接続ケーブル、光もしくは無線通信機器等を用いることが可能である。」

<1-16>「【0114】ここで、券使用装置3の概略的な構成を図4に示す。
【0115】データ処理部31は、スキャナ装置34により入力した第1のユーザーコード情報と、予め記憶するユーザーコード情報とを照合する第2のユーザーコード情報照合部301と、前記ユーザーコード情報照合部301からの照合結果に基づいて前記券情報の有効性を判別する券情報判別部302とを有する。
【0116】即ち、スキャナ装置34又はドライブ装置から読み込まれたユーザーコード情報は、第1のユーザーコード情報として、ユーザーコード情報照合部301に送られる。
【0117】一方、券発行装置1から高速回線網4を介して送信されたユーザーコード情報は、モデム32で受信されて、第2のユーザーコード情報としてユーザーコード情報照合部301に送られ、記憶される。
【0118】ユーザーコード情報照合部301は、スキャナ装置34等から読み込まれた第1のユーザーコード情報と、前記券発行装置1から送信されて予め記憶される第2のユーザーコード情報とを照合する。この照合結果は、券情報判別部302に送られる。
【0119】券情報判別部302には、スキャナ装置34等から読み込まれた券情報が送られている。券情報判別部302は、照合結果に基づき、送られた券情報が有効であるか否かを判別する。これにより、2つのユーザーコード情報が一致する照合結果であるならば、券情報は有効であると判別し、また、一致しない照合結果であるならば、券情報は無効であると判別する。」

<1-17>「【0121】尚、上述したように、ユーザーコード情報の照合動作は券使用装置3のデータ処理部31で行っているが、券情報判別部302は、情報入力手段により入力した前記第1のユーザーコード情報を前記データ送受信手段により外部へ送信した後に、外部へ送信した前記第1のユーザーコード情報と外部に予め記憶されている第2のユーザーコード情報との照合結果を、前記データ送受信手段を介して外部から受信することによって、前記券情報の有効性を判別するものとし、ユーザコード情報の照合動作を、券発行装置1のデータ処理部11で行うことも可能である。
【0122】具体的には、券使用装置3は、スキャナ装置34等から読み込まれたユーザーコード情報をデータ処理部31の処理によりモデム32から券発行装置1に送信する。
【0123】券発行装置1に送信されたユーザーコード情報は、券発行装置1のモデム13から、図3に示すデータ処理部11の情報判別部200で判別され、ユーザーコード情報照合部210に送られる。一方、ユーザーコード情報照合部210には、ユーザーコード情報作成部206から送られるユーザーコード情報が送られている。ユーザーコード情報作成部206からのユーザーコード情報を第2のユーザーコード情報とし、また、券使用装置3から券発行装置1に送信されたユーザーコード情報を第1のユーザーコード情報とすると、ユーザーコード情報照合部210は、第1のユーザーコード情報と第2のユーザーコード情報とを照合する。この照合結果は、モデム13から高速回線網4を介して券使用装置3に送信される。
【0124】券使用装置3は、送信された照合結果をモデム32で受信し、券情報判別部302に送る。」

<1-18>「【0125】券情報判別部302は、送られた照合結果に基づいて、券情報が有効であるか否かを判別する。この時、券情報が有効であるか否かの判別は、前述のように券使用装置3の券情報判別部302で行う方法以外にも、券発行装置1のユーザーコード情報照合部210でその判別を行い、その結果としての有効である、または有効でない、という情報が、券使用装置3の券情報判別部302に送られる構成でもよい。」

<1-19>「【0127】次に、図5に、ユーザー装置2としてPCを用いた場合の発券処理手順のフローチャートを示す。
【0128】尚、図5のフローチャートでは、具体的には、ホテルの宿泊券を予約する場合の発券処理手順について示している。
【0129】先ず、ステップS2で、ユーザー装置2から券発行装置1に対して、発券要求情報を送信する。この発券要求情報は、例えば、ホテルの宿泊券の券情報を検索することを要求する検索要求情報、及びそのホテルを限定する複数の条件を示す条件提示情報等を含む。
【0130】ここで、券発行装置1は、例えば旅行代理店等に設置されたコンピュータ装置である。また、この券発行装置1の他の具体例としては、旅行代理店が設置しているWWWサーバーまたはホテルが設置しているWWWサーバーでもよい。この場合、ユーザーはインターネット上で、発券サービスを受けることになり、非常に便利である。
【0131】一方、ユーザー装置2の表示部23には、例えば、図6(A)に示すように、先ず、ホテルの予約のタイトルが表示される。
【0132】次に、図6(B)に示すように、ホテルを検索する際のホテルを限定する各条件の項目が表示される。ユーザーは、ユーザーインターフェイス部24を操作して、表示されている各条件について所望の情報を入力する。この入力された各条件の情報が、前記条件提示情報として券発行装置1に送信される。」

<1-20>「【0133】券発行装置1では、ステップS4で、ユーザー装置2から送信された発券要求情報が、券情報を検索するために十分な情報であるか否かを判別する。これにより、検索に十分な情報であると判別されるならば、発券要求情報のうちの条件提示情報に基づいて適応するホテルの券情報の検索を行う。そして、この券情報の検索結果をユーザー装置2に送信する。 【0134】前記券発行装置1からユーザー装置2に送信される検索結果は、表示部23に表示される。この検索結果は、ホテルの名前情報等を含む。例えば、図6(C)に示すように、表示部23には、ユーザーが入力した各条件に適応するホテルが3件検索されたことが表示される。
【0135】検索結果が表示された後、ユーザーは、ユーザーインターフェイス部24を操作することにより、例えば、図6(D)、図6(E)、及び図6(F)にそれぞれ示すように、各ホテルの詳細な案内を示すホテル案内画面を順次表示させることができる。 【0136】この後、ステップS6で、例えば、図6(G)に示すように、前記適応するホテルから所望のホテルを選択するためのホテル選択画面が、表示部23に表示される。このホテル選択画面は、ホテル案内画面を見終わったユーザーが、ユーザーインターフェイス部24を操作して任意に切り換えてもよいし、また、所定時間後に、ホテル案内画面から自動的に切換表示されるものであってもよい。
【0137】このホテル選択画面において、ユーザーはユーザーインターフェイス部24を操作して、一つのホテルを選択する。この選択により、選択されたホテルの情報は、ホテル予約情報として、モデム22から通信回線6を介して券発行装置1のモデム12に送信される。」

<1-21>「【0138】また、ユーザーは、予約したホテルの宿泊料金を支払うための課金用識別情報を、ユーザーインターフェース部24を操作して入力する。この課金用識別情報は、ユーザインターフェイス部24からデータ処理部21に入力され、送信用データに変換処理された後、モデム22に出力される。そして、モデム22から通信回線6を介して券発行装置1に送信される。
【0139】この課金用識別情報としては、例えば、ユーザーが利用している銀行の口座番号やクレジットカード番号を用いることができる。尚、クレジットカード番号を用いることにより、ユーザーは簡易に券の代金を支払うことができる。
【0140】また、ユーザー装置2から券発行装置1に課金用識別情報を送信するときには、この課金用識別情報が他人に盗まれることを防止し、送信時の安全性を高めるために、通常は、課金用識別情報を所定の暗号化方法により暗号化した後に、券発行装置1に送信する。
【0141】券発行装置1のデータ処理部11は、ステップS8で、受信した課金用識別情報を確認し、この課金用識別情報に基づく課金処理を行い、宿泊券の代金の支払いを確認する。」

<1-22>「【0142】具体的には、複数のクレジットカード番号をデータベースとして記憶しておき、受信したクレジットカード番号を、データベース内の複数のクレジットカード番号と比較する。これにより、データベース内に、受信したクレジットカード番号と一致するクレジットカード番号が存在するならば、券発行装置1は、前記受信したクレジットカード番号に基づく銀行に対して、予約されたホテルの宿泊料金の支払い要求情報を送信する。
【0143】銀行は、支払い要求情報を受信する。そして、銀行は、受信した支払い要求情報に基づき、前記クレジットカード番号に応じたユーザーの口座からホテルの宿泊料金分の金額を引き落として、この宿泊料金を券使用装置3に送金する。また、銀行は、ホテルの宿泊券の発行処理を行った券発行装置1に対して、前記ユーザーの口座から前記発行処理の手数料を引き落とし、この手数料を券発行装置1に送金する。
【0144】ここで、券使用装置3は、例えば、ホテルに設置されたコンピュータ装置等であり、この券使用装置3は券発行装置1と通信回線を介して接続されている。」

<1-23>「【0145】さらに、券発行装置1は、ユーザー装置2に対して、ユーザーを識別するためのユーザー識別情報の送信を要求するユーザー情報提示要求情報を送信する。このユーザー識別情報は、例えばユーザーの氏名等の名前情報及び暗号情報のうちの少なくともいずれか一方を含む。尚、暗号情報は、いわゆるパスワード情報である。
【0146】ユーザー装置2は、ステップS10で、受信したユーザー情報提示要求情報に基づいて、ユーザー識別情報を券発行装置1に送信する。」

<1-24>「【0147】券発行装置1は、ステップS12で、受信したユーザー識別情報を暗号化する。【0148】このステップS10及びステップS12に示すユーザーの氏名及びパスワード情報等の情報は、詳細には後述するように、ユーザー装置2で印刷された券の安全性を高めるための情報である。従って、ステップS10及びステップS12の処理は、必要に応じて行うようにすればよい。」

<1-25>「【0149】尚、ホテル予約情報及び課金用識別情報が確認されたときには、この確認結果がユーザー装置2に送信される。これにより、ユーザー装置2の表示部23には、例えば図6(H)に示すように、この後に券情報が送信されること、及びクレジットカード番号が確認され、クレジットカード番号に基づく銀行の口座からホテルの宿泊料金が引き落とされることが表示される。
【0150】そして、ステップS14で、券発行装置1のデータ処理手段11は、券の内容やホテルの各条件等を示す券情報、及び券の発行番号を含むユーザーコード情報をコード化する。ユーザーコード情報には、ユーザー情報が含まれる。券発行装置1は、このコード化された券情報及びユーザーコード情報をユーザー装置2に送信する。」

<1-26>「【0151】ユーザー装置2は、ステップS16で、送信された券情報及びユーザーコード情報をデコードして、プリンタ装置25により紙に印刷する。また、券情報及びユーザーコード情報は、データ記録部26により携帯型記録媒体に記録するようにしてもよい。」

<1-27>「【0152】この後、ステップS20で、ユーザーは、印刷された宿泊券を使用する。即ち、ユーザーは、宿泊券に適応するホテルの窓口で前記宿泊券を提示する。このホテルの窓口には、上述したように、コンピュータ装置等から成る券発行装置1が設けられている。」

<1-28>「【0153】一方、券発行装置1は、ステップS18で、ユーザー装置2に送信した券情報及びユーザーコード情報を券使用装置3にも送信する。」

<1-29>「【0154】券使用装置3は、ステップS22で、ユーザーが印刷した宿泊券のユーザーコード情報を読み取り、このユーザーコード情報と、券発行装置1から送信されているユーザーコード情報とを照合する。この照合により、2つのユーザーコード情報が一致するならば、ユーザーが印刷した宿泊券は真の宿泊券であると判別される。これにより、ユーザーは宿泊券を使用して、ホテルに宿泊することができる。」

<1-30>「【0157】図7に、上述した発券処理手順により印刷された券の一例として、ホテルの宿泊券を示す。
【0158】宿泊券5には、宿泊券であることを示す券の種類情報51、ホテル名・ホテルの所在地等の情報52、ホテルの利用者、即ちユーザーの名前情報53、宿泊日等のホテルの利用条件情報54、ホテルの外観、宣伝、及び地図等のホテル案内情報57、この宿泊券の利用に際の注意事項情報58、この宿泊券5が有効な宿泊券であることを示すための発券番号であるコード情報55が表示される。
【0159】このコード情報55は、既に発行済みの券に表示されるコード情報を用いて生成されるものであって、どのように発生しているのかを検出することができないコード情報であり、また、第三者がでたらめにコード情報を発生しても、有効なコード情報との見分けが付くようなコード情報である。このコード情報を発生する方法の一つとしては、例えば、発行する予定の券の数よりもはるかに大きい数、例えば30桁以上の数のうちから、でたらめな数を選択する方法がある。これにより、どのような数字列を選択したのかは、券発行装置のみしか知らず、また、第三者が前記選択された数字列を直感で当てることができる確率も小さくなるので、第三者が券を偽造することが困難になる。さらに、このように発生された数字列は、コード情報55に示すようにバーコードとして表示することにより、この後のコード情報の読み取り動作等の処理を行い易くなる。」

<1-31>「【0168】先ず、ステップS32で、ファクシミリ装置から券発行装置1に対して、発券要求情報として、ホテルの宿泊券の検索要求情報及び条件提示情報等を送信する。このとき、例えば図9に示すような、所定のフォーマットの用紙を用い、この用紙に必要事項を記入して券発行装置1に送信することにより、券発行装置1に対して前記発券要求情報をさらに容易に送信することができる。
【0169】券発行装置1では、ステップS34で、送信された検索要求情報や条件提示情報を読み取り、前記発券要求情報が有効であると判別されるならば、前記条件提示情報に基づいて、適応するホテルの検索を行う。そして、この検索により得られた、前記条件に適応するホテル情報等の券情報及びユーザーコード情報をファクシミリ装置に送信する。
【0170】また、このホテルの宿泊料金を支払うためには、ファクシミリ装置から券発行装置1に対してクレジットカード番号を送信する。券発行装置1では、前記クレジットカード番号を確認し、このクレジットカード番号に基づく銀行に対して、予約されたホテルの宿泊料金の支払い要求情報を送信する。
【0171】前記銀行は、支払い要求情報に基づき、ユーザーのクレジットカード番号に応じた口座から券使用装置3に対して券の代金、即ちホテルの宿泊料金を送金し、また、券発行装置1に対して手数料を送金する。
【0172】尚、ユーザーは、例えば会員として登録し、券発行装置1に対してクレジットカード番号を知らせておくことにより、発券要求情報を送信する度に、券発行装置1に対してクレジットカード番号を送信することなく、券の予約をすることができる。
【0173】このとき、券発行装置1のデータ処理手段11には、ユーザー情報を記憶するユーザー情報記憶手段を含み、このユーザー情報記憶手段には、ユーザー装置2から、ユーザーの名前、住所、券の代金の支払いに利用する銀行の口座番号やクレジットカード番号等を含むユーザー情報が予め送信されて記憶されている。そして、ステップS34で、前記発券要求情報が有効であるならば、前記条件提示情報に基づいて、適応するホテルの検索を行い、検索された前記券情報及び前記ユーザーコード情報を出力する。」

<1-32>「【図9】」に記載されている発券要求情報には、ユーザーの会員番号、名前、住所、ホテルの条件提示情報が含まれる。

(1)引用文献1には、<1-6>記載の通り「券の購入者が発券場所まで行かなくても簡易に券を購入することができ、発券場所では、人員を合理化することができる」ことを目的とした発明である「発券システム、券発行装置及び券使用装置」を説明する文献であるところ、該「発券システム」は上記<1-5>記載の如く「ユーザーが券を発注して購入する発券システム」である。
そして、引用文献1には上記<1-19>?<1-29>等に記載されるように、該「発券システム」における「発券処理手順」、換言すれば「発券処理方法」が記載されていると言える。
従って、引用文献1には
「券の購入者が発券場所まで行かなくても簡易に券を購入することができ、発券場所では、人員を合理化することができる」ことを目的とした
「ユーザーが券を発注して購入する発券システムにおける発券処理方法」の発明が記載されているとも言える。

(2)該「発券システム」は上記<1-1>記載の如く、
「ユーザーの発券要求情報を入力するユーザー装置と、
前記ユーザー装置と通信手段を介して接続され、前記ユーザー装置からの前記発券要求情報に応じた券情報を検索し、この検索された券情報及び前記券情報に対応するユーザーコード情報を共に出力するデータ処理手段と、前記ユーザー装置からの前記発券要求情報を受信し、前記データ処理手段からの前記券情報及び前記ユーザーコード情報を前記ユーザー装置に送信するデータ送受信手段とを有する券発行装置と、
前記券情報及び前記ユーザーコード情報を入力する情報入力手段と、前記情報入力手段からの前記券情報を認識して処理するデータ処理手段とを有する券使用装置と、を備えて成」るものである。

(3)前記ユーザー装置は、<1-1>記載の如く「前記ユーザー装置は、前記券発行装置からの前記券情報及び前記ユーザーコード情報の少なくとも一方を記録する記録媒体を含」んでいるところ、上記<1-11>には「ユーザーコード情報を券情報と共に印刷又は記録したり」してもよい旨記載されている。
従って、引用文献1には、
「前記ユーザー装置は、前記券発行装置からの前記券情報及び前記ユーザーコード情報を共に記録する記録媒体を含」むことも記載されている。

(4)<1-17>に
「【0121】尚、上述したように、ユーザーコード情報の照合動作は券使用装置3のデータ処理部31で行っているが、券情報判別部302は、情報入力手段により入力した前記第1のユーザーコード情報を前記データ送受信手段により外部へ送信した後に、外部へ送信した前記第1のユーザーコード情報と外部に予め記憶されている第2のユーザーコード情報との照合結果を、前記データ送受信手段を介して外部から受信することによって、前記券情報の有効性を判別するものとし、ユーザコード情報の照合動作を、券発行装置1のデータ処理部11で行うことも可能である。
【0122】具体的には、券使用装置3は、スキャナ装置34等から読み込まれたユーザーコード情報をデータ処理部31の処理によりモデム32から券発行装置1に送信する。
【0123】券発行装置1に送信されたユーザーコード情報は、券発行装置1のモデム13から、図3に示すデータ処理部11の情報判別部200で判別され、ユーザーコード情報照合部210に送られる。一方、ユーザーコード情報照合部210には、ユーザーコード情報作成部206から送られるユーザーコード情報が送られている。ユーザーコード情報作成部206からのユーザーコード情報を第2のユーザーコード情報とし、また、券使用装置3から券発行装置1に送信されたユーザーコード情報を第1のユーザーコード情報とすると、ユーザーコード情報照合部210は、第1のユーザーコード情報と第2のユーザーコード情報とを照合する。この照合結果は、モデム13から高速回線網4を介して券使用装置3に送信される。
【0124】券使用装置3は、送信された照合結果をモデム32で受信し、券情報判別部302に送る。」ことが記載されているように、前記券発行装置は、前記ユーザーコード情報を記憶しておき、すなわち前記ユーザーコード情報を記憶する記憶手段(以下「ユーザーコード情報記憶手段」という)を備え、該ユーザーコード情報記憶手段に前記ユーザーコード情報を記憶しておき、前記券発行装置のユーザーコード情報照合部は、前記券使用装置から、前記情報入力手段により入力されたユーザーコード情報を受信し、前記受信したユーザーコード情報と前記ユーザーコード情報記憶手段に記憶されているユーザーコード情報とを照合し、この照合結果を前記券使用装置に送信し、前記券使用装置は、前記送信された照合結果に基づいて、前記券情報が有効であるか否かを判別すると解される。
そして、<1-7>の段落【0035】における記載「ユーザーコード情報には、前記ユーザーを識別するユーザー識別情報を含み、前記ユーザーコード情報の照合時には、前記ユーザー識別情報も照合することを特徴とする。」及び段落【0036】における記載「これにより、記録媒体を持参したユーザーが、その記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別することができるので、記録媒体の偽造や不正使用を防止することができる。」によれば、引用文献1において、「ユーザーコード情報」は、ユーザーを識別するユーザー識別情報を含み、ユーザーコード情報の照合時には、前記ユーザー識別情報も照合することにより、前記ユーザーコード情報が記録されたユーザー装置の記録媒体を持参したユーザーがその記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別する態様及び前記ユーザーが当該券の利用をすることができる態様が開示されていると認められる。そして、これにより、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であり、かつ当該券の利用に当たって、その真の利用者であることが認証され、結果として、ユーザーの個人認証が行われていると言える。
すなわち、ユーザーコード情報の照合動作を券発行装置のデータ処理部で行う場合には、前記券発行装置は、券情報、及びユーザー識別情報を含むユーザーコード情報をコード化し、前記コード化された券情報及びユーザーコード情報をユーザー装置に送信するとともに、前記ユーザーコード情報記憶手段に記憶すると解される。
そして、前記ユーザーコード情報が記録されたユーザー装置の記録媒体を持参したユーザーがその記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別し、また前記ユーザーが当該券の利用をすることができる者であるか否かを判別し、これにより、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であり、かつ当該券の利用に当たって、その真の利用者であると認証されるものである。

従って、引用文献1には、
「前記券使用装置は、前記情報入力手段で、前記ユーザー装置の記録媒体に記録されたユーザーコード情報を読み込み、前記ユーザーコード情報を券発行装置に送信し、
これに対して、前記券発行装置は、前記券使用装置から受信した前記ユーザーコード情報と前記券発行装置のユーザーコード情報記憶手段に予め記憶されているユーザーコード情報とを照合し、この照合結果を前記券使用装置に送信し、
前記券使用装置は、前記券発行装置から受信した前記照合結果に基づいて、前記ユーザーコード情報が記録されたユーザー装置の記録媒体を持参したユーザーがその記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別し、また前記ユーザーが当該券の利用をすることができる者であるか否かを判別し、これにより、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であり、かつ当該券の利用に当たって、その真の利用者であると認証される」ことが記載されている。
なお、前記券発行装置は、券情報及びユーザー識別情報を含むユーザーコード情報をコード化し、前記コード化された券情報及びユーザーコード情報をユーザー装置に送信するとともに、前記ユーザーコード情報記憶手段に記憶するものであることも記載されている。

(5)上記<1-10>に「券使用場所104では、券使用装置に接続される複数の情報読み取り装置106を備えている。」とあるところ、該「券使用場所」は上記<1-9>、<1-19>?<1-29>などに示される如く「ホテルや旅館」「駅や施設等」の「窓口や入場口等」のことである。
従って、
「前記情報入力手段はホテル、旅館、駅、施設等の窓口や入場口等の券使用場所に備えられるもの」である。

(6)上記「発券処理方法」は、上記<1-19>のように、
「先ず、ステップS2で、ユーザー装置2から券発行装置1に対して、発券要求情報を送信する」ものであるところ、これとともに該「券発行装置」が該「送信」された発券要求情報を「受信」することは明らかである。
従って、引用文献1には、上記「発券処理手順」が、
「先ず前記ユーザー装置から前記券発行装置に対して、発券要求情報を送信するとともに前記券発行装置が発券要求情報を受信するステップ」
を有していることも開示されていると言える。

(7)<1-7>における記載
「【0044】尚、ユーザー情報記憶手段に記憶するユーザー情報は、ユーザー装置から券発行装置に予め送信して記憶しておき、ユーザーはいわゆる会員として登録されるようにしてもよい。」、 <1-12>における記載
「【0096】 …また、ユーザーコード情報作成部206には、複数のユーザーのユーザー情報を記憶するユーザー情報記憶部207が接続される。ユーザー情報は、ユーザーの名前、住所、券の代金の支払いに利用する銀行の口座番号やクレジットカード番号等を含む情報である。」、及び<1-31>における記載
「【0172】尚、ユーザーは、例えば会員として登録し、券発行装置1に対してクレジットカード番号を知らせておくことにより、発券要求情報を送信する度に、券発行装置1に対してクレジットカード番号を送信することなく、券の予約をすることができる。
【0173】このとき、券発行装置1のデータ処理手段11には、ユーザー情報を記憶するユーザー情報記憶手段を含み、このユーザー情報記憶手段には、ユーザー装置2から、ユーザーの名前、住所、券の代金の支払いに利用する銀行の口座番号やクレジットカード番号等を含むユーザー情報が予め送信されて記憶されている。そして、ステップS34で、前記発券要求情報が有効であるならば、前記条件提示情報に基づいて、適応するホテルの検索を行い、検索された前記券情報及び前記ユーザーコード情報を出力する。」からすると、引用文献1には「前記ユーザー情報記憶部に、予め会員として登録されたユーザーの名前、住所、会員番号、クレジットカード番号等を含むユーザー情報が記憶されている」態様が記載されており、この場合、ユーザー識別情報がユーザー情報記憶部に記憶されていたときは、前記ユーザー識別情報に対応するユーザーのクレジットカード番号を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていると解される。
すなわち、前記ユーザー情報記憶部に、予め会員として登録されたユーザーの名前、住所、会員番号、クレジットカード番号等を含むユーザー情報が記憶されている態様においては、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報が前記会員であるユーザーのユーザー情報が登録されているユーザー情報記憶部に記憶されていたときは、当該ユーザーは、前記ユーザー識別情報に対応して記憶されているユーザー情報に含まれるクレジットカード番号に基づいて課金可能なユーザーであることが開示されていると言える。
そして、<1-31>における記載
「【0172】尚、ユーザーは、例えば会員として登録し、券発行装置1に対してクレジットカード番号を知らせておくことにより、発券要求情報を送信する度に、券発行装置1に対してクレジットカード番号を送信することなく、券の予約をすることができる。
【0173】このとき、券発行装置1のデータ処理手段11には、ユーザー情報を記憶するユーザー情報記憶手段を含み、このユーザー情報記憶手段には、ユーザー装置2から、ユーザーの名前、住所、券の代金の支払いに利用する銀行の口座番号やクレジットカード番号等を含むユーザー情報が予め送信されて記憶されている。そして、ステップS34で、前記発券要求情報が有効であるならば、前記条件提示情報に基づいて、適応するホテルの検索を行い、検索された前記券情報及び前記ユーザーコード情報を出力する。」からすると、「発券要求情報」に含まれるユーザー識別情報が前記会員であるユーザーのユーザー情報が登録されているユーザー情報記憶部に記憶されていたときには、「発券要求情報」に含まれる条件提示情報に基づいて、適応するホテルの検索を行い、検索された前記券情報及び前記ユーザーコード情報を出力すると解される。
そして、<1-20>のような手順で、券情報の検索を行い、当該検索結果をユーザー装置に送信し、ユーザーにいずれかの「ホテル」を選択させ、前記選択結果を券発行装置に送信するステップが開示されているところ、該「ホテル」は「券使用装置」が設置されている「券使用場所」(上記<1-10>等で用いられる用語)の一例である。
なお、<1-6>における記載
「【0018】これにより、ユーザー装置から送信される発券要求情報が適正であるときのみ券情報を検索するので、券発行装置では券発行処理を確実に行うことができる。」及び<1-7>における記載
「【0054】これにより、券発行装置は、発券要求情報が有効であると判別されたときのみ、券情報の検索動作及びユーザーコード情報の作成動作を行うので、より正確な発券の要求に対して、券情報及びユーザーコード情報を出力することができる。」からすると、「発券要求情報」が適正でないときは、券情報の検索を行わないと認められる。
従って、引用文献1には、上記「発券処理方法」が、「該受信するステップに次いで、前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、会員であるユーザーのユーザー情報が登録されている登録ユーザー情報記憶部を検索し、当該ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていたときには、前記発券要求情報のうちの条件提示情報に基づいて適応する券使用場所の券情報の検索を行い、この券情報の検索結果を前記ユーザー装置に送信し、前記適応する券使用場所から所望の券使用場所を選択するための選択画面を表示部に表示させ、この選択画面において、ユーザーがユーザーインターフェイス部を操作して、一つの券使用場所を選択するステップ」を有することが開示されていると言える。

(8)なお、引用文献1には、該選択するステップに次いで、上記<1-21>のごとく「課金用識別情報に基づく課金処理を行い、宿泊券の代金の支払いを確認する」ことが記載されているところ、上記<1-14>には、「課金用識別情報の代わりに、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報を用いて、課金を行」う例として、「課金用識別情報の代わりに、ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報を用いて、課金を行ってもよい。具体的には、ユーザー情報記憶部207に記憶される複数のユーザー情報から、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報に含まれる銀行口座番号やクレジットカード番号に基づいて、課金を行う。」ことも記載されている。そして、この「ユーザー情報記憶部」は上記<1-12>記載のように、前記「券発行装置」の「データ処理部」すなわち前記「データ処理手段」に備えられたものである。
従って、引用文献1からは、上記「発券処理方法」が、
「該選択するステップに次いで、前記券発行装置のユーザー情報記憶部に記憶される複数のユーザー情報から読み出された、前記発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に対応するユーザー情報に基づいて課金処理を行うステップ」
を有していることも読み取ることができる。

なお、「課金処理」に関連して、上記平成21年(行ケ)第10082号の判決において、 『上記記載及び引用例の他の請求項の記載にみられるように,引用発明の請求項の1ないし12には課金処理に関する構成は示されておらず,請求項13で初めて課金処理の構成が示されているが,その請求項13においても,課金処理の手段が付加されるのは,請求項3ないし12に限定されている。そうすると,引用例の請求項1,2の発明には課金処理の構成は示されていないというべきであり,課金処理に関する構成を相違点としなかった本件審決の判断に誤りはない。
この点,原告は,引用発明において,発券前に課金することが前提となると主張する。しかし,原告の主張は失当である。すなわち,取引通念上,有料発券が通常であり,発券前に課金されるのが一般的であるとしても,そのことから当然に引用例の請求項1,2の発明が課金処理を含んだ構成と理解することはできない。引用例の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明をみても,引用例の請求項1,2の発明が課金処理を含むとの記載はなく,原告の主張は採用の限りでない。』
と判示されているように、引用発明において、課金処理に関する構成は必ずしも必須の前提ではないと認められる。

(9)引用文献1には、上記<1-25>の如く、「ステップS14」で「コード化」と「送信」がなされる旨開示されているところ、この「ステップS14は「コード化」するステップと、これに続く「送信」するステップに分けてとらえることができ、前者の「コード化」するステップに関しては「券発行装置1のデータ処理手段11」は、券の内容やホテルの各条件等を示す券情報、及び券の発行番号を含むユーザーコード情報をコード化する。なお、(4)で指摘したように、「ユーザーコード情報」には、ユーザーを識別するユーザー識別情報も含まれる。
また、該「券の発行番号」は、上記<1-30>では「発券番号であるコード情報55」と表現されている。
従って、引用文献1には、上記「発券処理方法」が、
「該課金処理を行うステップに次いで、券発行装置のデータ処理手段が、券の内容や券使用場所の各条件等を示す券情報、及び発券番号とユーザーを識別するユーザー識別情報とを含むユーザーコード情報をコード化するステップ」
を有することも開示されていると言える。
なお、<1-7>における記載
「【0033】また、請求項10の発明は、請求項8、9のいずれかにおいて、前記ユーザーコード情報は、バーコード、数字列及び文字列のうちの少なくともいずれか一つで表されることを特徴とする。
【0034】このように、ユーザーコード情報を、バーコード、数字列又は文字列とすることにより、ユーザーコード情報を容易に作成することができる。また、このようなユーザーコード情報を記録媒体に記録した場合には、この記録媒体からユーザーコード情報を簡易に読み取ることができる。」から、前記ユーザーコード情報は、バーコードとして表されることが記載されている。
また、<1-30>における記載
「【0158】…この宿泊券5が有効な宿泊券であることを示すための発券番号であるコード情報55が表示される。」から、前記発券番号は、宿泊券に固有の番号であると解される。なお、宿泊券に固有の番号であることから、前記発券番号が「券使用装置」が設置されている「券使用場所」に固有の番号であることは、当業者にとって自明である。
また、ユーザーを識別するユーザー識別情報がユーザーに固有の情報であることも当業者にとって自明である。
してみると、前記発券番号であるコード情報とユーザーを識別するユーザー識別情報とを含むユーザーコード情報が、ユーザー及び「券使用装置」が設置されている「券使用場所」に固有の情報であって、バーコードとして表される情報である。

(10)そして、上記<1-13>の「ユーザー情報記憶部207に記憶されるユーザー情報から、送信されるユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成する。」との記載から、「該コード化はユーザー情報記憶部に記憶されるユーザー情報から、送信されたユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成することによってなされるもの」であるとも言える。

(11)さらに、上記<1-25>における「送信」するステップに関する「券発行装置1は、このコード化された券情報及びユーザーコード情報をユーザー装置2に送信する。」との記載から、引用文献1には、上記「発券処理方法」が、「前記券発行装置が、前記コード化するステップの後、このコード化された券情報及びユーザーコード情報を前記ユーザー装置に送信するステップ」
を有することも開示されていると言える。

(12)引用文献1には、上記<1-26>の如く、「ユーザー装置2は、ステップS16で、送信された券情報及びユーザーコード情報をデコードして、プリンタ装置25により紙に印刷」または「データ記録部26により携帯型記録媒体に記録する」ことが開示されている。
従って、引用文献1には、
「前記券発行装置が送信した券情報及びユーザーコード情報が、前記ユーザー装置で記録媒体に記録され」ることも開示されていると言える。

(13)上記<1-7>には、
「【0067】これにより、券情報及びユーザーコード情報を、一般的なスキャナ装置やドライブ装置により読み取ることができる。また、券情報及びユーザーコード情報が紙又は携帯型記録媒体に記録されるので、券情報等を容易に持ち運ぶことができる。
【0068】また、請求項25の発明は、請求項21?24のいずれかにおいて、前記第1のユーザーコード情報は、バーコード、数字列及び文字列のうちの少なくともいずれか一つで表されることを特徴とする。
【0069】このように、ユーザーコード情報を、バーコード、数字列又は文字列とすることにより、ユーザーコード情報を容易に作成することができる。また、このようなユーザーコード情報を記録媒体に記録した場合には、この記録媒体からユーザーコード情報を簡易に読み取ることができる。」ことが記載されているところ、従って、引用文献1には、「前記券使用装置による前記ユーザーコード情報の読み込み動作のために、前記ユーザーコード情報がバーコードとして表示され」ることも記載されている。

(14)よって、引用文献1には、「券の購入者が発券場所まで行かなくても簡易に券を購入することができ、発券場所では、人員を合理化することができる」ことを目的とした、発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると言える。

ユーザーが券を発注して購入する発券システムにおける発券処理方法であって(上記(1)より)
該発券システムは
ユーザーの発券要求情報を入力するユーザー装置と、
前記ユーザー装置と通信手段を介して接続され、前記ユーザー装置からの前記発券要求情報に応じた券情報を検索し、この検索された券情報及び前記券情報に対応するユーザーコード情報を共に出力するデータ処理手段と、前記ユーザー装置からの前記発券要求情報を受信し、前記データ処理手段からの前記券情報及び前記ユーザーコード情報を前記ユーザー装置に送信するデータ送受信手段とを有する券発行装置と、
前記券情報及び前記ユーザーコード情報を入力する情報入力手段と、前記情報入力手段からの前記券情報を認識して処理するデータ処理手段とを有する券使用装置と、を備えて成り、(上記(2)より)
前記ユーザー装置は、前記券発行装置からの前記券情報及び前記ユーザーコード情報を共に記録する記録媒体を含み、(上記(3)より)
前記券使用装置は、前記情報入力手段で、前記ユーザー装置の記録媒体に記録されたユーザーコード情報を読み込み、前記ユーザーコード情報を券発行装置に送信し、これに対して、前記券発行装置は、前記券使用装置から受信した前記ユーザーコード情報と前記券発行装置のユーザーコード情報記憶手段に予め記憶されているユーザーコード情報とを照合し、この照合結果を前記券使用装置に送信し、前記券使用装置は、前記券発行装置から受信した前記照合結果に基づいて、前記ユーザーコード情報が記録されたユーザー装置の記録媒体を持参したユーザーがその記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別し、また前記ユーザーが当該券の利用をすることができる者であるか否かを判別し、これにより、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であり、かつ当該券の利用に当たって、その真の利用者であると認証されるものであり、(上記(4)より)
前記情報入力手段はホテル、旅館、駅、施設等の窓口や入場口等の券使用場所に備えられるものであり、(上記(5)より)
先ず前記ユーザー装置から前記券発行装置に対して、発券要求情報を送信するとともに前記券発行装置が発券要求情報を受信するステップと、(上記(6)より)
該受信するステップに次いで、前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、会員であるユーザーのユーザー情報が登録されている登録ユーザー情報記憶部を検索し、当該ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていたときには、前記発券要求情報のうちの条件提示情報に基づいて適応する券使用場所の券情報の検索を行い、この券情報の検索結果を前記ユーザー装置に送信し、前記適応する券使用場所から所望の券使用場所を選択するための選択画面を表示部に表示させ、この選択画面において、ユーザーがユーザーインターフェイス部を操作して、一つの券使用場所を選択するステップと、(上記(7)より)
該選択するステップに次いで、前記券発行装置のユーザー情報記憶部に記憶される複数のユーザー情報から読み出された、前記発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に対応するユーザー情報に基づいて課金処理を行うステップと、(上記(8)より)
該課金処理を行うステップに次いで、券発行装置のデータ処理手段が、券の内容や券使用場所の各条件等を示す券情報、及び発券番号とユーザーを識別するユーザー識別情報とを含むユーザーコード情報をコード化するステップであって、前記ユーザーコード情報は、ユーザー及び券使用装置が設置されている券使用場所に固有の情報であって、バーコードとして表されるコード情報であるステップと、(上記(9)より)
該コード化はユーザー情報記憶部に記憶されるユーザー情報から、送信されたユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成することによってなされるものであるステップと、(上記(10)より)
前記券発行装置が、前記コード化するステップの後、このコード化された券情報及びユーザーコード情報を前記ユーザー装置に送信するとともに、前記ユーザーコード情報記憶手段に記憶するステップと、(上記(4)及び(11)より)
を有し、
前記券発行装置が送信した券情報及びユーザーコード情報が、前記ユーザー装置で記録媒体に記録され、(上記(12)より)
前記券使用装置による前記ユーザーコード情報の読み込み動作のために、前記ユーザーコード情報がバーコードとして表示される、(上記(13)より)
発券処理方法。

2.2.引用文献2
本願の出願前に頒布された刊行物「日経ビジネス、2000年4月24日号、日経BP社、p.28-p.29」(以下「引用文献2」という)には、以下の事項が記載されている。

<2-1>
「携帯電話の購入者に個人を識別するためのバーコードを与え、来店時に携帯電話の画面にバーコードを呼び出してもらう。それを店員がバーコードリーダーで読めば、現金やカードを使わずに決済ができる仕組みだ。」(第29頁中欄第19行目?第24行目。)

2.3.参考文献1
本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-221482号公報(平成8年8月30日出願公開)(以下「参考文献1」という)には、以下の事項が記載されている。

「【請求項5】 顧客から取引の請求があった場合に、暗証番号を決めて当該顧客に通知するとともに、この暗証番号と当該顧客の所有する携帯用無線端末の呼出し番号を記録するステップと、
顧客が持参してくる携帯用無線端末の呼出し番号を入力し、記録しておいた呼出し番号と一致するか否かを確認するステップと、
前記呼出し番号の一致が確認された場合、顧客が持参してきた携帯用無線端末の認証を行うため、当該呼出し番号に基づきキーワードを対応する携帯用無線端末に送信し、顧客が持参してきた携帯用無線端末が当該キーワードを受信するか否かを確認するステップと、
上記キーワードの一致が確認された場合、顧客の認証を行うため、その顧客から暗証番号を受け入れ、記録しておいた暗証番号と一致するか否かを確認するステップと、
上記暗証番号の一致が確認された場合、対応する取引物を出すステップとを有することを特徴とする取引物引渡し方法。」、
「【請求項10】 前記携帯用無線端末は携帯電話であることを特徴とする請求項5記載の取引物引渡しシステム。」、
「【0011】図1に示すように、本実施例では、例えば携帯電話1a,1b,1cが利用されるものとする。これら携帯電話1a,1b,1cは、それぞれの顧客が所有するものである。各携帯電話1a,1b,1cは、自己の電話番号(呼出し番号)やその他の情報を内蔵メモリ(図示せず)に記憶しており、それに備えられるボタン等を押すことにより、これらの情報を無線で外部に送信したり、ディスプレイ(図示せず)上に表示させたり、スピーカ(図示せず)から音声として発音させたりする機能を有している。また、外部からキーワード(後述)を無線で受信した場合も、そのキーワードをディスプレイやスピーカから出力することができるようになっている。」、
「【0026】次に、上記実施例の動作を図3のフローチャートを参照して説明する。例えば携帯電話1aを所有する顧客が取引を行うため、その携帯電話1aより、通信網2を介して業者の所有する情報処理装置3に接続する(ステップS31)。
【0027】顧客と業者との取引が行われて取引情報が作成され、情報処理装置3内のメモリ31に登録される(ステップS32)。また、情報処理装置3は、顧客の所有する携帯電話1aの電話番号を検出し、この電話番号を上記取引情報とともにメモリ31に登録する(ステップS33)。
【0028】次に、情報処理装置3は暗証番号を決める。そして、情報処理装置3は、その暗証番号を顧客に通知するとともに、上記電話番号とともにメモリ31に登録する(ステップS34)。
【0029】次に、顧客は、自己の携帯電話1aを、例えば取引物引渡し装置4aの設置されている所まで持参する(ステップS35)。顧客は、取引物引渡し装置4aの指示に従い、携帯電話1aを取り付け、その携帯電話1aに備えられるボタン等を押してその電話番号をディスプレイ上に表示させるか、又は、スピーカから音声として発音させる。これにより、この電話番号はカメラ23又はマイク24を介して入力される(ステップS36)。」

2.4.参考文献2
本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-184935号公報(平成11年7月9日出願公開)(以下「参考文献2」という)には、以下の事項が記載されている。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】 携帯型端末装置からコンピュータネットワークにアクセスし、所定のサーバに対して予約を行い、携帯型端末装置に予約内容が保持されることを特徴とする予約システム。
【請求項2】 前記携帯型端末装置は、携帯電話、PHS、携帯型コンピュータを含むことを特徴とする請求項1記載の予約システム。
【請求項3】 前記携帯型端末装置には、前記携帯型端末装置の利用者が前記携帯型端末装置以外を用いて予約した予約内容も保持されることを特徴とする請求項1記載の予約システム。
【請求項4】 前記携帯型端末装置で予約内容を確認する場合、前記携帯型端末装置に保持された予約内容を呼び出すことを特徴とする請求項1記載の予約システム。
【請求項5】 前記携帯型端末装置で予約内容を確認する場合、前記携帯型端末装置から前記所定のサーバにアクセスし、予約内容を確認することを特徴とする請求項1記載の予約システム。
【請求項6】 前記サーバは、予約が行われると、課金情報を作成することを特徴とする請求項1記載の予約システム。
【請求項7】 携帯型端末装置から信号を送ると、予約内容を保持したサーバに対してアクセスされ、予約がある場合には、前記携帯型端末装置の利用者の入場を許可することを特徴とする入場システム。
【請求項8】 予約内容を保持したサーバと、入場口付近に備えられたゲートを制御するコンピュータと携帯型端末装置からなり、前記携帯型端末装置が前記コンピュータに信号を発すると、前記コンピュータはこの携帯型端末装置の利用者の有無を前記サーバに対して問い合わせ、予約がある場合は、前記ゲートを開くことを特徴とする入場システム。」、
「【0015】次に、予約入場システム1の予約処理について説明する。図2は、予約処理の概要を示すフローチャートである。図2に示すように、ユーザ11は、携帯電話33から、インターネット3を介してサーバ13にアクセスする(ステップ201)。
【0016】そして、ユーザ11は、搭乗予約であることを示すコード、搭乗日時、フライトナンバ、座席のクラス等を指定する(ステップ202)。
【0017】次に、予約紹介会社5は、インターネット3を介して航空会社7に設置されたサーバ17にアクセスする(ステップ203)。航空会社7のコンピュータ19は、指定された飛行機の座席が確保できるかを搭乗予約データファイル21で確認する(ステップ204)。
【0018】指定された飛行機の座席が確保できない場合は、サーバ13は予約の失敗を携帯電話33に伝え(ステップ210)、予約内容を変更することを促す。携帯電話33のユーザ11が予約をやり直す場合(ステップ211)、ステップ202に戻り、指定した予約の内容を変更する。予約をあきらめる場合は、予約処理は終了する。この時、予約内容に近く、空いている飛行機の空き状況を、携帯電話33に表示してもよい。
【0019】予約できる場合(ステップ204)、ユーザ11は、切符の予約を申し込む(ステップ205)。この時ユーザ11は、ID番号を入力する。ID番号は、携帯電話33の電話番号とすることもできる。コンピュータ19は、搭乗予約データファイル21の該当飛行機の座席を予約塞がりの状態にし、ユーザのID番号等を記録する(ステップ206)。
【0020】この時コンピュータ19はユーザ11に対する課金情報を作成する。課金情報は、後日、ユーザ11に送られるか、または予めユーザ11が、航空会社に対して、口座を開いて、ある程度の金額を収めておき、そこから料金を、取るようにしてもよい。また、課金に関しては、クレッジトカードや電子マネーを用いて決済してもよい。
【0021】次に携帯電話33に予約内容が送られ保持される(ステップ207)。即ち、携帯電話33には、フライトナンバ、搭乗日時、出発時刻等が保持される。またユーザ11がコンピュータ31から予約を行う場合も、前述したのと同様の処理が行われ、携帯電話33に予約内容が保持される。即ち、ユーザ11がどのような方法で予約を行っても、携帯電話33には予約内容が保持される。」、
「【0026】次に、入場処理について説明する。図4は、入場処理を示すフローチャートであり、図5は、飛行機の搭乗口の入場装置を示す図である。図5に示すように、入場装置は無線機能付きコンピュータ25と、ゲート27からなり、搭乗者41(ユーザ11と同一人)が、携帯電話33から、無線機能付きコンピュータ25に信号を発し、予約があれば、ゲート27が開いて、搭乗者41は入場できる。
【0027】まず、搭乗者41は、飛行場9の搭乗口で携帯電話33の発信ボタンを押し、ID番号等を、無線機能付きコンピュータ25に送る(ステップ401)。無線機能付きコンピュータ25は、専用線35を介して、コンピュータ19に信号を送り、コンピュータ19は、搭乗予約データファイル21で携帯電話33から送信されたID番号を検索する(ステップ402)。
【0028】無線機能付きコンピュータ25は、搭乗予約が有れば(ステップ403)、ゲート27を開くが(ステップ404)、搭乗予約が無ければ、ゲート27を開かない。このように、搭乗者41は、切符を用いずに飛行機に搭乗できる。尚、前述した実施の形態では、携帯電話33を用いたが、携帯電話33に替えてインターネットアクセス機能付きPHSや、PHS付き携帯型小型コンピュータ(PDA)を用いてもよい。」

2.5.参考文献3
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-92236号公報(平成12年3月31日出願公開)(以下「参考文献3」という)には、以下の事項が記載されている。

「【0016】具体的には、「インターネット接続サービス」においては、通信端末100が電話番号No1に接続要求を行う際に発信する呼設定信号に含まれる加入者番号のみに基づいて認証を行い、IPアドレスを付与する。従って、ユーザは、単に電話番号No1にダイヤルすれば、インターネット400に接続できる。また、「モバイル情報サービス」においては、通信端末100が電話番号No2に接続要求を行う際に発信する呼設定信号に含まれる加入者番号の他に、ユーザIDおよびパスワードに基づいて認証を行う。なお、より詳しくは後述する。」、
「【0022】ここで、図3は顧客データベースの内容の例を示す図である。顧客データベースは、図3に示すように、加入者番号に対応して、認証情報、個人情報、提供情報、および機能情報などを記憶している。ユーザ認証情報は、ユーザIDおよびパスワードなどからなり、ユーザIDおよびパスワードは、契約時にユーザが予め登録した情報であるが、パスワードは任意に更新することが可能である。
【0023】本実施形態では、センタ300に接続した通信端末100を特定する情報として加入者番号を用い、認証情報を接続した人物を特定するユーザ認証情報(認証用顧客特定情報)としてユーザIDおよびパスワードを用いる。従って、上記「インターネット接続サービス」では、接続した通信端末100を特定する加入者番号が顧客データベースに登録されていれば情報を提供するのに対して、「モバイル情報サービス」では、接続した通信端末100を特定する加入者番号およびユーザを特定するユーザ認証情報が顧客データベースに登録されていなければ情報を提供しない。すなわち、「モバイル情報サービス」においては、通信端末100を特定するための加入者番号とユーザ認証情報として送信された情報が、予め記憶したこれらの情報の組み合わせと一致して初めて接続が許可されるので、第三者がユーザ認証情報であるユーザIDおよびパスワードを不正に入手して、顧客データベースに登録されている通信端末100とは異なる通信端末100’から接続要求を発信しても接続を許可されることはない。あるいは、顧客データベースに登録された通信端末100を不正なユーザが使用した場合であっても、当該不正なユーザは、ユーザ認証情報であるユーザIDおよびパスワードを知らなければ接続を許可されないこととなる。」、
「【0030】このように、「インターネット接続サービス」においては、接続要求時に送信される発信者番号にのみ基づいて認証を行うので、ユーザがユーザIDやパスワードを送信する手続きは不要となり、認証のための手続きを簡素化でき、ユーザは迅速にインターネットにアクセスすることができ、センタ300はインターネット400上の情報をユーザに迅速に情報を提供することが可能となる。」

2.6.参考文献4
本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-175477号公報(平成11年7月2日出願公開)(以下「参考文献4」という)には、以下の事項が記載されている。

「【0035】サーバ2のCPU21は、通信部25を介してデータPHS1-1からユーザ名として送信されてきた電話番号と、パスワードとして送信されてきた端末番号とを受信し(ステップS15)、RAM22に格納する。CPU21は、RAM22に格納したユーザ名(電話番号)とパスワード(端末番号)と、データベース24が記憶するユーザ名とパスワードとを照合し、完全に一致するものが存在するか否かを判別し、存在する場合には、データPSH1-1を登録ユーザとして認証し、接続又はサービスの提供を許可する(ステップS16)。また、存在しない場合には、接続相手を認証せず、接続又はサービスの提供を拒否する(ステップS16)。」、
「【0052】この場合、サーバ2は、着信時に通知された電話番号をRAM22に格納し、必要があれば、ステップS14で、端末番号等の送信を要求するようにしてもよい。また、その電話番号のみを用いて認証を行う場合には、ステップS14の要求処理、ステップS15の受信処理を行わないまま、認証処理を実行してもよい。」

3.対比
ここで、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)と引用発明とを比較する。
(1)引用発明は「ユーザーが券を発注して購入する発券システムにおける発券処理方法」であり、「券発行装置のデータ処理手段が、券の内容や券使用場所の各条件等を示す券情報、及び発券番号とユーザーを識別するユーザー識別情報とを含むユーザーコード情報をコード化するステップであって、前記ユーザーコード情報は、ユーザー及び券使用装置が設置されている券使用場所に固有の情報であって、バーコードとして表されるコード情報であるステップ」を有し、該「ユーザーコード情報」は「バーコードとして表示され」る「コード情報」を含むのであるから、引用発明も本願発明と同様に「バーコード付与方法」と言えるものである。

(2)引用発明における「ホテル、旅館、駅、施設等」は、本願発明における「認証要求者」に対応付けられるものであるところ、前者の「窓口や入場口等の券使用場所」には「券使用装置」が備える「情報入力手段」が備えられ、「前記券使用装置は、前記情報入力手段で、前記ユーザー装置の記録媒体に記録されたユーザーコード情報を読み込み、前記ユーザーコード情報を券発行装置に送信し、これに対して、前記券発行装置は、前記券使用装置から受信した前記ユーザーコード情報と前記券発行装置のユーザーコード情報記憶手段に予め記憶されているユーザーコード情報とを照合し、この照合結果を前記券使用装置に送信し、前記券使用装置は、前記券発行装置から受信した前記照合結果に基づいて、前記ユーザーコード情報が記録されたユーザー装置の記録媒体を持参したユーザーがその記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別し、また前記ユーザーが当該券の利用をすることができる者であるか否かを判別し、これにより、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であり、かつ当該券の利用に当たって、その真の利用者であると認証されるもの」であるから、引用発明における「ホテル、旅館、駅、施設等」は「認証」を要求する者であるとも言え、「認証要求者」に相当する。

(3)他方、引用発明における「ユーザー」は、本願発明における「被認証者」に対応付けられるものであるところ、「前記券使用装置は、前記券発行装置から受信した前記照合結果に基づいて、前記ユーザーコード情報が記録されたユーザー装置の記録媒体を持参したユーザーがその記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別し、また前記ユーザーが当該券の利用をすることができる者であるか否かを判別し、これにより、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であり、かつ当該券の利用に当たって、その真の利用者であると認証されるもの」であるから、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であるとともに、当該券の利用に当たって、その真の利用者であるか否かが判別される「被認証者」であるとも言え、結果として、ユーザーの個人認証が行われていると言える。
したがって、引用発明における「ユーザー」は、本願発明における「被認証者」及び「顧客」に相当する。

(4)引用発明における「ユーザーコード情報」は、「発券番号とユーザーを識別するユーザー識別情報とを含む」ものであって、「ユーザー及び券使用装置が設置されている券使用場所に固有の情報であって、バーコードとして表されるコード情報である」から、「被認証者および認証要求者に固有の」ものである。
さらに、「前記券使用装置は、前記券発行装置から受信した前記照合結果に基づいて、前記ユーザーコード情報が記録されたユーザー装置の記録媒体を持参したユーザーがその記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別し、また前記ユーザーが当該券の利用をすることができる者であるか否かを判別し、これにより、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であり、かつ当該券の利用に当たって、その真の利用者であると認証されるもの」であるから、引用発明における「ユーザーコード情報」は、「個人認証用」のバーコードとして表されるコード情報でもあると言える。

(5)引用発明における「券発行装置」は、本願発明における「認証装置」に対応付けられるものであるところ、該「券発行装置」は「ユーザー装置と通信手段を介して接続され、前記ユーザー装置からの前記発券要求情報に応じた券情報を検索し、この検索された券情報及び前記券情報に対応するユーザーコード情報を共に出力するデータ処理手段と、前記ユーザー装置からの前記発券要求情報を受信し、前記データ処理手段からの前記券情報及び前記ユーザーコード情報を前記ユーザー装置に送信するデータ送受信手段とを有する」ものであって、「券発行装置は、前記券使用装置から受信した前記ユーザーコード情報と前記券発行装置のユーザーコード情報記憶手段に予め記憶されているユーザーコード情報とを照合し、この照合結果を前記券使用装置に送信し、前記券使用装置は、前記券発行装置から受信した前記照合結果に基づいて、前記ユーザーコード情報が記録されたユーザー装置の記録媒体を持参したユーザーがその記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別し、また前記ユーザーが当該券の利用をすることができる者であるか否かを判別し、これにより、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であり、かつ当該券の利用に当たって、その真の利用者であると認証される」ものであるから、引用発明における「券発行装置」は、本願発明における「認証装置」に相当する。

(6)また、引用発明における「ユーザー装置」は、本願発明における「携帯電話」に対応付けられるものであるところ、前者は「前記券発行装置に対して、発券要求情報を送信する」ものであり、後者も「バーコード要求信号を」送信するものであることは明らかであるから、両者とも「要求発信装置」である点で共通する。

(7)また、引用発明における「発券要求情報に含まれるユーザー識別情報」は、本願発明における「発信者番号」に対応付けられるものであるところ、両者とも、認証要求者の顧客であるところの被認証者の情報に他ならないものであるから、両者とも「個人特定情報」である点で共通する。
また、引用発明における、ユーザー識別情報を含む「ユーザー情報」は、本願発明における、発信者番号を含む「顧客データ」に対応付けられるものであるところ、両者とも、個人特定情報を含む顧客情報である点で共通する。

(8)上記(1)?(7)を踏まえて、さらに引用発明と本願発明とを対比する。
引用発明における「ユーザー」は、「ホテル、旅館、駅、施設等の窓口や入場口等の券使用場所」で「その券を真の券として使用する」のであるから、引用発明における「ユーザー」は「認証要求者の顧客である」と言える。そして、引用発明における「ユーザーコード情報」は、「被認証者および認証要求者に固有の」ものであって「個人認証用」のバーコードとして表されるコード情報でもある。また、「ユーザーコード情報」は「ユーザー装置に送信」され「記録媒体に記録」されるものであるから、「ユーザーコード情報」は「ユーザー」に授け与えられるもの、すなわち「付与される」ものと言える。
従って、引用発明における「ユーザーコード情報」は、本願発明における「被認証者および認証要求者に固有の個人認証用バーコード」と同様に、「認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される」ものであると言える。

(9)また、引用発明における「ユーザーコード情報」は、本願発明における「被認証者および認証要求者に固有の個人認証用バーコード」に対応付けられるものであるところ、前者は「前記券使用装置による前記ユーザーコード情報の読み込み動作のために」「バーコードとして表示され」るものである。一方、後者は「前記被認証者が携帯電話に表示することによって前記認証要求者に提示され」るものであるところ、引用発明における「コード情報」と、本願発明における「被認証者および認証要求者に固有の個人認証用バーコード」とは、「前記被認証者が」提示「することによって前記認証要求者に提示され」るものである点で一致する。

(10)引用発明においては「券発行装置が、このコード化された券情報及びユーザーコード情報を前記ユーザー装置に送信するとともに、前記ユーザーコード情報記憶手段に記憶する」ものであって、「券発行装置は、前記券使用装置から受信した前記ユーザーコード情報と前記券発行装置のユーザーコード情報記憶手段に予め記憶されているユーザーコード情報とを照合し、この照合結果を前記券使用装置に送信」するのであるから、しかも「ユーザーコード情報」には「バーコードとして表示され」る「コード情報」が含まれているのであるから、引用発明の「ユーザーコード情報記憶手段」は本願発明の「バーコードデータベース」に相当する。
そして、該「照合」の際には「バーコードとして表示され」る「コード情報」が前記「ユーザーコード情報記憶手段」に記憶されていること、すなわち、前記提示されたバーコードとして表示され」る「コード情報」が、ユーザーコード情報記憶手段に記憶されていたことを確認していることも明らかである。

そして、引用発明において、「照合結果に基づいて、前記ユーザーコード情報が記録されたユーザー装置の記録媒体を持参したユーザーがその記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別し、また前記ユーザーが当該券の利用をすることができる者であるか否かを判別し、これにより、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であり、かつ当該券の利用に当たって、その真の利用者であると認証される」こととなるのであるから、結果として、ユーザーの個人認証が行われていると言える。
従って、引用発明は、バーコードとして表示されるコード情報が、ユーザーコード情報記憶手段に記憶されていたとき前記ユーザーが認証されるものであると言える。
一方、本願発明は「前記提示された個人認証用バーコードが、バーコードデータベースに記憶されていたとき前記被認証者が認証される」のであるから、引用発明と本願発明とは、ともに、前記提示された個人認証用バーコードが、バーコードデータベースに記憶されていたとき前記被認証者が認証されるものである点で一致する。

(備考1)なお、請求人は、平成24年2月20日付け意見書において、
「しかしながら、引用発明におけるコード情報は、例えば、段落0158に「この宿泊券5が有効な宿泊券であることを示すための発券番号であるコード情報55」と記載されているように、「発券番号」である。したがって、「発券番号」であるコード情報に基づいて判別可能であることは、券が真正であるか否かであり、券の所持者の認証ではない。
よって、「バーコードとして表示されるコード情報が、ユーザーコード情報記憶手段に記憶されていたとき前記ユーザーが認証されるものであると言える」との前提に基づく上記認定には誤りがある。」(2頁下から20行目?14行目)と主張するが、上記指摘のとおり、引用発明において、「照合結果に基づいて、前記ユーザーコード情報が記録されたユーザー装置の記録媒体を持参したユーザーがその記録媒体に記録された券情報の真の利用者であるか否かを判別し、また前記ユーザーが当該券の利用をすることができる者であるか否かを判別し、これにより、前記ユーザーは、当該券を利用できる「顧客」であり、かつ当該券の利用に当たって、その真の利用者であると認証される」こととなるのであるから、結果として、ユーザーの個人認証が行われていると認められる。よって、請求人の前記主張は採用できない。

(11)引用発明における「ユーザーコード情報」が「ユーザー装置に送信」され「記録媒体に記録」され、「バーコードとして表示され」る。これに対し、本願発明における「認証用バーコード」は「携帯電話に表示される」ものであるところ、前者の「記録媒体に記録」され「バーコードとして表示され」ることも、後者の「携帯電話に表示される」ことも、「提示される」ことと言えるものであるから、引用発明における「ユーザーコード情報」も本願発明における「認証用バーコード」と同様に、「提示される」ものである点で一致する。

(12)ここで、上記(1)及び(9)?(11)をまとめると、引用発明と本願発明とは、
「認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者および認証要求者に固有の個人認証用バーコードであって、前記被認証者が」提示「することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された個人認証用バーコードが、バーコードデータベースに記憶されていたとき前記被認証者が認証される、」提示される「個人認証用バーコードを被認証者に付与する個人認証用バーコード付与方法」である点で一致すると言える。

(13)引用発明における「券発行装置」は、本願発明における「認証装置」に対応付けられるものであるところ、引用発明は「先ず前記ユーザー装置から前記券発行装置に対して、発券要求情報を送信するとともに前記券発行装置が発券要求情報を受信するステップ」を有し、該「発券要求情報」には「ユーザー識別情報」が含まれる。
従って、上記(6)及び(7)の指摘を参照すると、引用発明の「先ず前記ユーザー装置から前記券発行装置に対して、発券要求情報を送信するとともに前記券発行装置が発券要求情報を受信するステップ」と本願発明の「認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含むバーコード要求信号を、被認証者の携帯電話から通信回線を通して受信するステップ」とは「認証装置が、前記被認証者の」個人特定情報「を含むバーコード要求信号を、被認証者の」要求発信装置「から通信回線を通して受信するステップ」を備える点で一致する。

(14)引用発明は「該受信するステップに次いで、前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、会員であるユーザーのユーザー情報が登録されているユーザー情報記憶部を検索し、当該ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていたときには、前記発券要求情報のうちの条件提示情報に基づいて適応する券使用場所の券情報の検索を行い、…」を有している。
そして、該「ユーザー情報記憶部」は、「会員であるユーザーのユーザー情報」が「登録される」ものであり、引用発明における「ユーザー」は上記(3)記載の如く「顧客」に他ならないものであるから、「顧客データベース」とも言えるものである。
また、「前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、会員であるユーザーのユーザー情報が登録されているユーザー情報記憶部を検索し、当該ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていたときには、…」とするためには、前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報を含むユーザー情報がユーザー情報記憶部に記録されているか否かの確認をすることは明らかである。
従って、引用発明における「該受信するステップに次いで、前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、会員であるユーザーのユーザー情報が登録されているユーザー情報記憶部を検索」することは、前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、前記ユーザーの前記ユーザー識別情報を含むユーザー情報がユーザー情報記憶部に記録されているか否かを判定するものであると言える。
一方、上記(7)のとおり本願発明における「発信者番号」は「個人特定情報」と言えるものであり、本願発明における「発信者番号を含む顧客データ」は「個人特定情報を含む顧客情報」と言えるものであるから、本願発明における「前記認証装置が、受信したバーコード要求信号に含まれる前記発信者番号に基づいて、前記被認証者の前記発信者番号を含む顧客データが顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップ」も「前記認証装置が、受信したバーコード要求信号に含まれる前記」個人特定情報「に基づいて、前記被認証者の前記」個人特定情報を含む顧客情報「が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップ」と言えるものである。
従って、引用発明の「該受信するステップに次いで、前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、会員であるユーザーのユーザー情報が登録されているユーザー情報記憶部を検索」することと本願発明の「前記受信するステップの後、前記認証装置が、受信したバーコード要求信号に含まれる前記発信者番号に基づいて、前記被認証者の前記発信者番号が顧客データベースに記録されているか否かを判定する」こととは、ともに「前記受信するステップの後、前記認証装置が、受信したバーコード要求信号に含まれる前記」個人特定情報「に基づいて、前記被認証者の前記」個人特定情報を含む顧客情報「が顧客データベースに記録されているか否かを判定する」点で共通する。
よって、引用発明と本願発明とはともに、「前記受信するステップの後、前記認証装置が、受信したバーコード要求信号に含まれる前記」個人特定情報「に基づいて、前記被認証者の前記」個人特定情報を含む顧客情報「が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップ」を備える点で一致する。

(15)また、引用発明は「券発行装置のデータ処理手段が、券の内容や券使用場所の各条件等を示す券情報、及び発券番号とユーザーを識別するユーザー識別情報とを含むユーザーコード情報をコード化するステップ」を有しているところ、該「コード化するステップ」に到達するためには上記「前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、会員であるユーザーのユーザー情報が登録されているユーザー情報記憶部を検索し、当該ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていたときには、…」を通過することが必須の条件であることは明らかであり、しかも、「該コード化はユーザー情報記憶部に記憶されるユーザー情報から、送信されたユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成することによってなされるものである」から、「ユーザーコード情報を作成」するためには「ユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出」せること、すなわち、「ユーザー識別情報を含むユーザー情報」が「ユーザー情報記憶部」に記憶されていることが必須の条件であることも明らかである。
してみると、引用発明における「ユーザーコード情報をコード化するステップ」は、前記券発行装置、前記ユーザーのユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記録されていることを条件として前記発券番号とユーザーを識別するユーザー識別情報とを含むユーザーコード情報をコード化すると言えるものである。
一方、本願発明における「前記認証装置が、前記被認証者の発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていることのみを条件として、前記個人認証用バーコードを用いて認証を受けることができる前記認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送り、前記被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ、前記被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成するステップ」も「前記認証装置が、前記被認証者の」個人特定情報を含む顧客情報「が前記顧客データベースに記録されていること」「を条件として」前記被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成すると言えるものである。
なお、引用発明の「前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、会員であるユーザーのユーザー情報が登録されているユーザー情報記憶部を検索し、当該ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていたときには、…」が、前記券発行装置が、受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、会員であるユーザーのユーザー情報が登録されているユーザー情報記憶部を検索」するステップの後に、「当該ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていたときには、…」であることは当業者にとって自明である。
従って、引用発明と本願発明とはともに、「前記判定するステップの後、前記認証装置が、」「前記被認証者の」個人特定情報を含む顧客情報「が前記顧客データベースに記録されていたときには、前記被認証者の」個人特定情報を含む顧客情報「が前記顧客データベースに記録されていること」を条件として、前記被認証者および認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成する点で一致する。

(16)引用発明においては「券発行装置」が「発券要求情報のうちの条件提示情報に基づいて適応する券使用場所の券情報の検索を行い、この券情報の検索結果を前記ユーザー装置に送信し、前記適応する券使用場所から所望の券使用場所を選択するための選択画面を表示部に表示させ、この選択画面において、ユーザーがユーザーインターフェイス部を操作して、一つの券使用場所を選択するステップ」を備えており、これは本願発明において、「認証装置」が「前記個人認証用バーコードを用いて認証を受けることができる前記認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送り、前記被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ」ることに対応付けられるものであるところ、上記(5)で述べたように、前者における「ユーザー装置」も後者における「携帯電話」も「要求発信装置」と言えるものであるから、引用発明の「発券要求情報のうちの条件提示情報に基づいて適応する券使用場所の券情報の検索を行い、この券情報の検索結果を前記ユーザー装置に送信し、前記適応する券使用場所から所望の券使用場所を選択するための選択画面を表示部に表示させ、この選択画面において、ユーザーがユーザーインターフェイス部を操作して、一つの券使用場所を選択するステップ」と本願発明の「前記個人認証用バーコードを用いて認証を受けることができる前記認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送り、前記被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ」ることとは、ともに、「前記個人認証用バーコードを用いて認証を受けることができる前記認証要求者の選択肢を前記被認証者の」要求発信装置「に送り、前記被認証者にいずれかの認証要求者を選択させる」ことである点で一致する。

(17)引用発明の「券発行装置のデータ処理手段が、券の内容や券使用場所の各条件等を示す券情報、及び発券番号とユーザーを識別するユーザー識別情報とを含むユーザーコード情報をコード化するステップであって、前記ユーザーコード情報は、ユーザー及び券使用装置が設置されている券使用場所に固有の情報であって、バーコードとして表されるコード情報であるステップと、
該コード化はユーザー情報記憶部に記憶されるユーザー情報から、送信されたユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成することによってなされるものであるステップ」は、券発行装置が前記ユーザー、及び券使用装置が設置されている券使用場所に固有の情報であって、バーコードとして表されるユーザーコード情報を作成すなわち、生成するものであるから、本願発明の「認証装置」が「前記被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成するステップ」に相当する。

(18)引用発明の「前記券発行装置が、前記コード化するステップの後、このコード化された券情報及びユーザーコード情報を前記ユーザー装置に送信するとともに、前記ユーザーコード情報記憶手段に記憶するステップ」において、通信回線を通して送信することは、当業者にとって自明である。
よって、引用発明の「前記コード化するステップの後、このコード化された券情報及びユーザーコード情報を前記ユーザー装置に送信するとともに、前記ユーザーコード情報記憶手段に記憶するステップ」と本願発明の「前記生成するステップの後、前記認証装置が、該個人認証用バーコードを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信すると共に、該個人認証用バーコードを前記バーコードデータベースに記憶するステップ」とは、ともに、「前記生成するステップの後、前記認証装置が、該個人認証用バーコードを前記被認証者の」要求発信装置「に通信回線を通して送信すると共に、該個人認証用バーコードを前記バーコードデータベースに記憶するステップ」である点で共通する。

(19)以上から、本願発明は、引用発明と下記の点で一致し、相違する。

<一致点>
「認証要求者の顧客である被認証者に付与されると共に記憶される前記被認証者および認証要求者に固有の個人認証用バーコードであって、前記被認証者が」提示「することによって前記認証要求者に提示され、前記提示された個人認証用バーコードが、バーコードデータベースに記憶されていたとき前記被認証者が認証される、」提示される「個人認証用バーコードを被認証者に付与する個人認証用バーコード付与方法であって、
認証装置が、前記被認証者の」個人特定情報「を含むバーコード要求信号を、被認証者の」要求発信装置「から通信回線を通して受信するステップと、
前記受信するステップの後、前記認証装置が、受信したバーコード要求信号に含まれる前記」個人特定情報「に基づいて、前記被認証者の前記」個人特定情報を含む顧客情報「が顧客データベースに記録されているか否かを判定するステップと、
前記判定するステップの後、前記認証装置が、」「前記被認証者の」個人特定情報を含む顧客情報「が前記顧客データベースに記録されていたときには、前記被認証者の」個人特定情報を含む顧客情報「が前記顧客データベースに記録されていること」を「条件として、前記個人認証用バーコードを用いて認証を受けることができる前記認証要求者の選択肢を前記被認証者の」要求発信装置「に送り、前記被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ、前記被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成するステップと、前記生成するステップの後、前記認証装置が、該個人認証用バーコードを前記被認証者の」要求発信装置「に通信回線を通して送信すると共に、該個人認証用バーコードを前記バーコードデータベースに記憶するステップと、を備えている、
ことを特徴とする個人認証用バーコード付与方法。」

<相違点1>
「要求発信装置」について、本願発明は、「携帯電話」であるのに対し、引用発明は「ユーザー装置」である点。(なお、引用文献1においては、上記<1-8>に「通信回線」として「携帯電話」を利用した通信システムが例示されてはいるが、「ユーザー装置」として「携帯電話」を用いる旨の直接的な記載は無い。)

<相違点2>
「個人認証用バーコードの提示」が本願発明においては、「携帯電話に表示」することでなされるのに対して、引用発明においては、「券使用装置による前記ユーザーコード情報の読み込み動作のために、前記ユーザーコード情報がバーコードとして表示され」る点。
(なお、引用文献1においては上記<1-15>において、「記録媒体」として「手のひらサイズ等の超小型PC」等も例示されてはいるが、バーコードを「携帯電話に表示」することは記載されていない。)

<相違点3>
「個人特定情報」について、本願発明は、「発信者番号」であるのに対して、引用発明は「ユーザー識別情報」である点。( なお、引用文献1においては「ユーザー識別情報」として「発信者番号」を用いる旨の記載はない。)

<相違点4>
本願発明においては、発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていること「のみ」を条件として前記被認証者に固有の個人認証用バーコードとして表示バーコードを生成するのに対して、引用発明においては、「ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていることを条件としてユーザーコード情報を作成する点。

<相違点5>
本願発明においては、「前記認証装置」は、「前記被認証者の前記発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていなかったときには、前記被認証者の前記発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていないことを示すメッセージを前記被認証者の携帯電話に通信回線を通して送信して処理を終了」するのに対して、引用発明においては、前記ユーザーの前記ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記録されていなかったときには、前記ユーザーの前記ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記録されていないことを示すメッセージを前記ユーザーのユーザー装置に通信回線を通して送信して処理を終了することが示されていない点。
(なお、引用文献1においては上記<1-6>における記載
「【0018】これにより、ユーザー装置から送信される発券要求情報が適正であるときのみ券情報を検索するので、券発行装置では券発行処理を確実に行うことができる。」、及び<1-7>における記載、
「【0054】これにより、券発行装置は、発券要求情報が有効であると判別されたときのみ、券情報の検索動作及びユーザーコード情報の作成動作を行うので、より正確な発券の要求に対して、券情報及びユーザーコード情報を出力することができる。」から、前記券発行装置は、発券要求情報が適正または有効でないときには、券情報の検索動作及びユーザーコード情報の作成動作を行わないことが記載されている。)

4.判断
相違点1及び相違点2について検討する。
従来のパソコンに代えて携帯電話を使って取引等の手続きを行うようにすることは、当業者にとっては周知の、一般的な技術的趨勢であり(例えば、引用文献2、参考文献1、2、3、4等を参照)、携帯電話を使った取引において、バーコードリーダーにバーコードを提示する為の手段として携帯電話を用いることも、本件出願時には当業者が知るところとなっていた(引用文献2等参照)と認められる。
してみると、引用発明の「ユーザー装置」を「携帯電話」とし、その際に「バーコードを提示するための手段」として、「携帯電話に表示」することを採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
よって、相違点1及び相違点2は格別のものではない。

(備考2)なお、上記相違点1、相違点2に関連して、
本件出願の原出願に関する判決であるところの、平成18年(行ケ)第10203号の判決においては
『加えて,審決の認定のとおり,甲第1号証には・・・<中略>・・・から,結局,甲第1号証には,券発行装置から,携帯電話の回線によって,ユーザーコード情報を含む券情報をユーザーに送信し,ユーザーの携帯型記録媒体に電子的に記録する態様が開示されているものということができ,そうすると,券情報を記録する携帯型記録媒体として,携帯電話を用いることが開示又は示唆されていることは明らかである。したがって原告の上記主張は失当である。』
『しかしながら,甲第2号証には,「携帯電話の購入者に個人を識別するためのバーコードを与え,来店時に携帯電話の画面にバーコードを呼び出してもらう。それを店員がバーコードリーダーで読めば,現金やカードを使わずに決済ができる仕組みだ。」(29頁中欄19?24行)との記載があって,個人の識別(認証)のために,携帯電話の画面にバーコードを呼び出し,画面に表示されたバーコードを,バーコードリーダーによって読み取ることが記載されているところ,上記のとおり,甲第1号証には,引用発明1において,ユーザーの個人認証を行うためのユーザーコード情報を含む券情報を記録する携帯型記録媒体として,携帯電話を用いることが開示又は示唆されているのであるから,原告主張の各点が甲第2号証自体に記載されていなくとも(もっとも,甲第2号証においては,来店時に携帯電話の画面にバーコードを呼び出すのであるから,その前提として,携帯電話の記録領域(メモリ)にバーコード情報が記録されていることは明らかである。),引用発明1に甲第2号証記載の技術事項を適用することの妨げになるものではない。したがって,原告の上記主張も失当である。』
と判示され、また、同じく、本件出願の原出願に関する判決であるところの、平成21年(行ケ)第10082号の判決においては、
『引用例の【0019】では,「また,請求項4の発明は,請求項3において,前記記録媒体は,紙及び携帯型記録媒体のうちの少なくともいずれか一方であることを特徴とする。」とされ,【0021】では,「尚,前記携帯型記録媒体としては,フロッピーディスク,100MB以上の大容量磁気ディスク等のような磁気記録媒体,メモリーカード,ICカード,切手サイズメモリーカード,PCカード等のカード型記録媒体,光磁気,相変化等を記録した光記録媒体,手のひらサイズ等の超小型PC等の小型電子機器等を用いることが可能である。」とされている。さらに,【0078】では,「前記発券システムで用いる通信回線は,・・・無線であってもよく,PHS(簡易型携帯電話)や携帯電話,または人工衛星の双方向を利用した通信システムを利用することが考えられる。」とされている。前記【0019】【0021】でいう「記録媒体」とは,引用例の請求項1,4の記載からみると,通常ユーザー装置に含まれるものであって,必ずしもユーザー装置そのものではないから,これをユーザー装置に相当する本件発明1の携帯電話と直ちに同視することはできないが,これを認証のための技術的手段を搭載する媒体としてみるときには,引用例における携帯型記録媒体は,本件発明1の携帯電話と同様の技術的意義を有するものということができる。また,【0078】は,使用する通信回線に関する記述であるが,携帯電話通信回線を使用する場合のユーザー装置は必然的に携帯電話になると考えられるから,ここでは,ユーザー装置として携帯電話を使用することが開示されている。』
と判示され、また、本件出願の分割出願に関する判決であるところの、平成18年(行ケ)第10478号の判決においては
『審決の認定した相違点2は,「要求発信装置及びバーコードを表示する媒体が,本件発明1では携帯電話であるのに対し,引用発明1ではユーザ装置であり,また,ユーザー装置で印刷した紙である点」であり,バーコードを表示する媒体を相違点2とした審決の論理からすれば,甲第4号証に,バーコードが携帯電話に表示されることが記載されていれば,上記相違点に係る構成の容易想到性の理由付けに十分であるところ,上記のとおり,甲第4号証には,その旨の記載があるから,審決の判断に誤りはない。』
と判示されている。

相違点3及び相違点4について検討する。
携帯電話に限らず、電話を通信手段として用いる場合には、その電話番号(すなわち、発信者番号)を用いて個人の特定や認証をすることも適宜採用されている周知慣用技術であり(例えば、参考文献1、参考文献2、参考文献3、参考文献4等参照)、その際に認証処理の簡略化等のために電話番号を含む顧客情報が顧客データベースに記憶されていたことのみを条件として認証処理を実行することは、従来から周知慣用の技術思想である(例えば、参考文献3、参考文献4等参照。)
そして、引用発明は、「受信した発券要求情報に含まれるユーザー識別情報に基づいて、会員であるユーザーのユーザー情報が登録されている登録ユーザー情報記憶部を検索し、当該ユーザー識別情報を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記憶されていたときには」、「適応する券使用場所から所望の券使用場所を選択するための選択画面を表示部に表示させ」、「課金処理を行」い、「ユーザーコード情報をコード化する」ものである。そして、前記「2-1.引用文献1」の「(7)」で「ユーザー情報記憶部に、予め会員として登録されたユーザーの名前、住所、会員番号、クレジットカード番号等を含むユーザー情報が記憶されている態様においては、発券要求情報に含まれるユーザー識別情報が前記会員であるユーザーのユーザー情報が登録されているユーザー情報記憶部に記憶されていたときは、当該ユーザーは、前記ユーザー識別情報に対応して記憶されているユーザー情報に含まれるクレジットカード番号に基づいて課金可能なユーザーであることが開示されていると言える。」と指摘したように、ユーザー識別情報を含むユーザー情報がユーザー情報記憶部に記憶されていること「のみ」で、当該ユーザーは、当該ユーザー情報に含まれるクレジットカード番号に基づいて課金可能なユーザーであると解される。
してみると、引用発明の「ユーザー装置」を「携帯電話」とした場合には、「ユーザー識別情報」として「発信者番号」を採用するとともに、引用発明もユーザー識別情報を含むユーザー情報がユーザー情報記憶部に記憶されていること「のみ」で、当該ユーザーは、当該ユーザー情報に含まれるクレジットカード番号に基づいて課金可能なユーザーであることを開示していることからすると、引用発明における発券時のユーザーの認証処理に、前記周知慣用技術を採用すること、すなわち、発信者番号を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記録されていること「のみ」を条件として、「適応する券使用場所から所望の券使用場所を選択するための選択画面を表示部に表示させ」、「課金処理を行」い、「ユーザーコード情報をコード化する」ことは、当業者であれば当然の如く想到し得る事項であって、適宜に採用し得た構成に過ぎない。
よって、相違点3及び相違点4は格別のものではない。

(備考3)なお、請求人は、平成24年2月20日付け意見書において、
「しかしながら、引用発明は、ホテル宿泊券等の発券装置に関する発明であるから、課金の可否を判定することが発券の必須条件であり、課金の可否を行うことなく、即ち、発信者番号を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記録されていること「のみ」で、発券を行う構成を採ることは、社会通念上あり得ない。
また、引用文献1の請求項1(上記拒絶理由通知書における「記載事項<1-1>」)は、宿泊券等の券の使用時において、券が真正なものであるか否かを判定するための構成を規定しているものであるから、この判定に必要な構成要件を列挙しているに過ぎず、発券するために必要な構成を規定したものではない。したがって、この請求項1の記載に基づいて、引用発明において、課金処理が必須のものではないとすることは妥当ではない。
さらに、発券装置であれば、希望する券(例えば、宿泊希望日の或るホテルの宿泊券)が取得可能であるか否かを判定した後、発券を行うものであるから、引用発明においては、券情報の検索も必須となり、発信者番号を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記録されていること「のみ」を条件として、発券を行う構成を採ることはない。」(2頁下から3行目?3頁10行目)と主張する。
しかしながら、上記で指摘したとおり、引用文献1において、ユーザー識別情報を含むユーザー情報がユーザー情報記憶部に記憶されていること「のみ」で、当該ユーザーは、当該ユーザー情報に含まれるクレジットカード番号に基づいて課金可能なユーザーであることが開示されている。

なお、「課金処理」そのものについて、引用発明は「課金処理」を行っているのに対し、本願発明では「課金処理」を行う旨の直接的な明示がないことから、請求人は、本願発明の「被認証者の発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていたことのみを条件として、前記個人認証用バーコードを用いて認証を受けることができる前記認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送り、前記被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ、前記被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成する」構成は、「課金処理」を行わないこと、すなわち、「認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送」る処理、「被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ」る処理、及び「被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成する」以外の処理を行わないことを主張しているとも推測される。
しかしながら、本願発明の前記「被認証者の発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていたことのみを条件として、前記個人認証用バーコードを用いて認証を受けることができる前記認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送り、前記被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ、前記被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成する」構成は、単に「被認証者の発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていたことのみを条件として、」行う処理(すなわち、「認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送」る処理、「被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ」る処理、及び「被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成する」処理)を列挙しているに過ぎず、前記「認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送」る処理、「被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ」る処理、及び「被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成する」処理以外の処理を強制的に排除しているものではない。
したがって、本願発明の「被認証者の発信者番号を含む顧客データが前記顧客データベースに記録されていたことのみを条件として、前記個人認証用バーコードを用いて認証を受けることができる前記認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送り、前記被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ、前記被認証者および前記選択された認証要求者に固有の個人認証用バーコードを生成する」構成が、前記列挙された処理以外の処理を行わないことを意味するとの主張は、採用できない。
なお、この点に関連して、上記平成21年(行ケ)第10082号の判決において、 『上記記載及び引用例の他の請求項の記載にみられるように,引用発明の請求項の1ないし12には課金処理に関する構成は示されておらず,請求項13で初めて課金処理の構成が示されているが,その請求項13においても,課金処理の手段が付加されるのは,請求項3ないし12に限定されている。そうすると,引用例の請求項1,2の発明には課金処理の構成は示されていないというべきであり,課金処理に関する構成を相違点としなかった本件審決の判断に誤りはない。
この点,原告は,引用発明において,発券前に課金することが前提となると主張する。しかし,原告の主張は失当である。すなわち,取引通念上,有料発券が通常であり,発券前に課金されるのが一般的であるとしても,そのことから当然に引用例の請求項1,2の発明が課金処理を含んだ構成と理解することはできない。引用例の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明をみても,引用例の請求項1,2の発明が課金処理を含むとの記載はなく,原告の主張は採用の限りでない。』と判示されているように、引用文献1において「ユーザーコード情報をコード化する」前に、課金処理を必須としない技術思想は、開示されているから、請求人の「引用発明において、課金処理が必須のものではないとすることは妥当ではない。」との主張は採用できない。

さらに、請求人は、「引用発明においては、券情報の検索も必須となり、発信者番号を含むユーザー情報が前記ユーザー情報記憶部に記録されていること「のみ」を条件として、発券を行う構成を採ることはない。」とも主張しているが、本願発明においても、「前記個人認証用バーコードを用いて認証を受けることができる前記認証要求者の選択肢を前記被認証者の携帯電話に送り、前記被認証者にいずれかの認証要求者を選択させ」る処理が必須とされていることから、請求人の前記主張は採用できない。

相違点5について検討する。
引用文献1においては上記<1-6>における記載
「【0018】これにより、ユーザー装置から送信される発券要求情報が適正であるときのみ券情報を検索するので、券発行装置では券発行処理を確実に行うことができる。」、及び<1-7>における記載、
「【0054】これにより、券発行装置は、発券要求情報が有効であると判別されたときのみ、券情報の検索動作及びユーザーコード情報の作成動作を行うので、より正確な発券の要求に対して、券情報及びユーザーコード情報を出力することができる。」から、前記券発行装置は、発券要求情報が適正または有効でないときには、券情報の検索動作及びユーザーコード情報の作成動作を行わないことが明記されている。
そして、引用発明においては、「該コード化はユーザー情報記憶部に記憶されるユーザー情報から、送信されたユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出し、このユーザー情報を用いてユーザーコード情報を作成することによってなされるものである」から、「ユーザーコード情報を作成」するためには「ユーザー識別情報に対応するユーザー情報を読み出」せること、すなわち、「ユーザー識別情報を含むユーザー情報」が「ユーザー情報記憶部」に記憶されていることが必須の条件であることも明らかである。
したがって、上記の如く引用発明の「ユーザー識別情報」を「発信者番号」とした場合には、引用発明において、券発行装置が、発信者番号を含むユーザー情報がユーザー情報記憶部に記憶されていなかったときには、券情報の検索動作及びユーザーコード情報の作成動作を行わないで、処理を終了すること、その際に、ユーザーに、券情報の検索動作及びユーザーコード情報の作成動作を行わない理由がわかるようにメッセージ(すなわち、発信者番号を含むユーザー情報がユーザー情報記憶部に記憶されていない旨のメッセージ)を送信することは、当業者であれば、当然の如く想到する事項である。
よって、相違点5は格別のものではない。

また、上記で検討したごとく相違点1?相違点5は格別のものではなく、そして、請求項1に係る発明の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。
以上のように、本願発明は、当業者であれば、引用文献1、2記載の発明、及び参考文献1?4記載の周知技術から容易に想到し得たものである。

5.結論
以上のように、本願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、上記結論のとおり、審決する。
 
審理終結日 2012-02-28 
結審通知日 2012-03-01 
審決日 2012-03-14 
出願番号 特願2009-70369(P2009-70369)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中里 裕正  
特許庁審判長 赤川 誠一
特許庁審判官 田中 秀人
清木 泰
発明の名称 認証用バーコード付与方法  
代理人 箱田 篤  
代理人 大塚 文昭  
代理人 西島 孝喜  
代理人 小川 信夫  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 中村 稔  

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