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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1285713
審判番号 不服2012-5715  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-28 
確定日 2014-03-10 
事件の表示 特願2010-193292「整髪用化粧料」拒絶査定不服審判事件〔平成24年2月9日出願公開、特開2012-25727〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年8月31日(優先権主張 平成21年8月31日、平成22年6月25日)の出願であって、平成22年10月28日付けで拒絶理由が通知され、同年12月27日受付けで、拒絶理由通知書で示された引用文献に記載された発明との対比実験を行うとの理由による期間延長請求書の提出がなされた上で、平成23年1月31日受付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年3月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、同年5月14日受付けで審判請求書の請求の理由の手続補正書(方式)が提出され、その後、当審において、平成25年3月21日付けで前置報告書を用いた審尋が通知され、同年5月21日受付けで回答書が提出されたものである。

第2 平成24年3月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年3月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
補正前(平成23年1月31日受付けの手続補正によるもの)の
「【請求項1】(a)下記1.?3.、5.、7.?9.の選択群のいずれかに含まれ、常温(25℃)で固体である非イオン界面活性剤を1.5?12質量%、(b)常温で液体の、質量平均分子量200?900のエチレンオキシド(EO)重合体、下記式(X)に示すエチレンオキシド(EO)・プロピレンオキシド(PO)ランダム共重合体、および質量平均分子量200?4,000のプロピレンオキシド(PO)重合体の中から選ばれる1種または2種以上のポリアルキレングリコール重合体、および(c)皮膜形成性高分子を含有し、系の粘度が10,000mPa・s以下(25℃、B型粘度計)である整髪用化粧料。
≪1.?3.、5.、7.?9.の選択群≫
1.下記式(I)で示されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテル:
RO-(C_(2)H_(4)O)_(n)-H (I)
〔式(I)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2?100の数を示す。〕
2.下記式(II)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル:
RO-(C_(2)H_(4)O)_(m)(C_(3)H_(6)O)_(n)-H (II)
〔式(II)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;mはエチレンオキシド付加モル数で2?100の数を示し;nはプロピレンオキシド付加モル数で2?100の数を示す。〕
3.下記式(III)で示されるポリオキシエチレンモノエステル:
RCOO-(C_(2)H_(4)O)_(n)-H (III)
〔式(III)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2?100の数を示す。〕
5.下記式(V)で示されるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル:

〔式(V)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;a、b、cはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c=3?100の数を示す。〕
7.下記式(VII)で示されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:

〔式(VII)中、a、b、c、x、y、zはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c+x+y+z=2?150の数を示す。〕
8.下記式(VIII)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:

〔式(VIII)中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数4?24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で、2?100の数を示す。〕
9.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル。
≪式(X)≫

〔式(X)中、R_(1)、R_(2)はそれぞれ独立に、炭素原子数1?4のアルキル基または水素原子を示す。p/q=10?0.5であり、2≦p+q≦100である。〕」を、
補正後の
「【請求項1】(a)下記1.?3.、5.、7.?9.の選択群のいずれかに含まれ、常温(25℃)で固体である非イオン界面活性剤(ただし、全非イオン界面活性剤の加重平均したHLBが10以上である)を2?10質量%、
(b)常温で液体の、質量平均分子量200?900のエチレンオキシド(EO)重合体、下記式(X)に示すエチレンオキシド(EO)・プロピレンオキシド(PO)ランダム共重合体、および質量平均分子量200?4,000のプロピレンオキシド(PO)重合体の中から選ばれる1種または2種以上のポリアルキレングリコール重合体を0.1?15質量%、
(c)皮膜形成性高分子を0.1?6質量%
含有し、系の粘度が10,000mPa・s以下(25℃、B型粘度計)であり、(a)?(c)成分がいずれも水および/またはアルコール系溶媒に溶解することを特徴とする整髪用化粧料。
≪1.?3.、5.、7.?9.の選択群≫
1.下記式(I)で示されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテル:
RO-(C_(2)H_(4)O)_(n)-H (I)
〔式(I)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2?100の数を示す。〕
2.下記式(II)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル:
RO-(C_(2)H_(4)O)_(m)(C_(3)H_(6)O)_(n)-H (II)
〔式(II)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;mはエチレンオキシド付加モル数で2?100の数を示し;nはプロピレンオキシド付加モル数で2?100の数を示す。〕
3.下記式(III)で示されるポリオキシエチレンモノエステル:
RCOO-(C_(2)H_(4)O)_(n)-H (III)
〔式(III)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2?100の数を示す。〕
5.下記式(V)で示されるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル:

〔式(V)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;a、b、cはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c=3?100の数を示す。〕
7.下記式(VII)で示されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:

〔式(VII)中、a、b、c、x、y、zはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c+x+y+z=2?150の数を示す。〕
8.下記式(VIII)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:

〔式(VIII)中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数4?24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で、2?100の数を示す。〕
9.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル。
≪式(X)≫

〔式(X)中、R_(1)、R_(2)はそれぞれ独立に、炭素原子数1?4のアルキル基または水素原子を示す。p/q=10?0.5であり、2≦p+q≦100である。〕」(下線は、原文のとおり)
とする補正を含むものである。

2 本件補正についての検討
本件補正における上記請求項1の補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である(a)成分の非イオン界面活性剤について、HLB値の限定を付加するとともに含有量の範囲を減縮し、(b)成分のポリアルキレングリコール重合体及び(c)成分の皮膜形成性高分子について、含有量の限定を付加し、かつ、前記(a)?(c)成分がいずれも水及び/又はアルコール系溶媒に溶解するとの限定を付加したものである。
そして、その補正前の請求項1に記載された発明と、その補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3 引用例及びそれらの記載事項
(1)本願の優先権主張の日前である平成20年12月4日に頒布された刊行物である「特開2008-290973号公報」(原査定の引用文献4。以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。なお、以下の下線は当審で付したものである。

(1a)「【請求項1】
(A)皮膜形成高分子、(B)非イオン性界面活性剤を含有し、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量が、下記不等式
(A)成分の含有量 ≦ (B)成分の含有量
を満たし、実質的に糖アルコールおよび油剤を含有しない原液と、(C)噴射剤とからなることを特徴とする泡沫状整髪用化粧料。」

(1b)「【0002】
泡沫状スタイリング剤に求められる機能の1つに整髪性がある。整髪性を付与するためには、一般に皮膜形成高分子が用いられる。しかしながら、毛髪を整髪するのに有効な量の皮膜形成高分子を配合すると、毛髪を固定して整髪することができたとしても、ごわつきやきしみが生じるといった問題がある。
【0003】
このような問題点を解決するために、皮膜形成高分子により形成される被膜を柔軟にし、使用感を向上させる試みがなされている。例えば、アニオン性ポリマーとシリコーン類とを含有させた毛髪化粧料(例えば、特許文献1を参照)、皮膜形成剤とシリコーン類とエーテル系非イオン界面活性剤とを含有させたフォーム状整髪料組成物(例えば、特許文献2を参照)、皮膜形成性ポリマーと界面活性剤と油剤とを含有させたエアゾール組成物(例えば、特許文献3を参照)、皮膜形成樹脂と糖アルコールを含有する泡沫状頭髪化粧料(例えば、特許文献4を参照)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、このような試みに拠ってごわつきやきしみを改善できるものの、べたつきが生じ、皮膜形成高分子の整髪性を著しく低下させてしまうという欠点がある。また、皮膜形成高分子で整髪した場合、毛髪に被膜を形成し固定することから、整髪した毛髪の保持力に格段優れた効果を有するものの、その特性から、一旦崩れた毛髪を再び整髪しようとすると、形成された皮膜が剥離し、フレーキングが発生し、再整髪できないといった問題もある。
【0005】
・・・
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、ごわつき、きしみ、べたつきなく、優れた整髪性を付与するとともに、再整髪性にも優れた泡沫状整髪用化粧料を提供することを課題とする。」

(1c)「【0008】
本発明の泡沫状整髪用化粧料は、ごわつき、きしみ、べたつきを抑えて優れた整髪性を付与するといった効果を奏する。更には、皮膜形成高分子で整髪しているにもかかわらず、一旦崩れた毛髪を再び整髪できるという再整髪性にも優れた効果を奏する。」

(1d)「【0010】
(A)皮膜形成高分子の具体例としては、例えば、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル/ビニルピロリドン共重合体、・・・などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(A)成分としては、整髪性に優れる観点から、・・・、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体、・・・を用いるのが好ましい。
【0011】
(A)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、整髪性の観点から、原液中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上である。また、ごわつき、きしみおよびべたつきを抑制する観点から、組成物中、7重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは0.1?7重量%、より好ましくは0.5?5重量%である。
【0012】
尚、(A)成分は、市販品を用いることもできる。例えば、・・・;ポリビニルピロリドンとしては、PVP K-90(商品名,ISP社製)、LUVISCOL K-30、K-60、K-90(商品名,何れもBASF社製);ビニルピロリドン/N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩としては、HCポリマー 1N、HCポリマー 5(商品名,何れも大阪有機化学工業社製);ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体としては、ルビセットClear(商品名,BASF社製);・・・などを例示することができる。
【0013】
(B)非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、・・・;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;・・・;ポリオキシエチレンヒマシ油;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(B)成分としては、整髪性の向上および優れた再整髪性を付与する観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが好ましい。
【0014】
(B)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、整髪性の向上する観点および再整髪性を付与する観点から、原液中、3重量%以上が好ましく、より好ましくは5重量%以上である。また、べたつきによる風合いの悪化および整髪性の低下を抑制する観点から、50重量%以下が好ましく、より好ましくは40重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、組成物中、3?50重量%が好ましく、より好ましくは5?40重量%である。」

(1e)「【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。また、配合量は各皮膜形成高分子としての純分に換算した。
【0023】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成を常法により混合して原液を調製し、この原液をエアゾール容器に移し噴射剤(液化石油ガス)を原液/噴射剤=90/10の重量比で充填することにより実施例1?8および比較例1?9の各泡沫状整髪用化粧料を調製し、下記評価に供した。結果を表1および表2に併記する。
【0024】
(試験例1:整髪性および再整髪性の評価)
評価パネル20名により、各実施例および各比較例で得られた各泡沫状整髪用化粧料をウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の毛髪に均一に塗布し、整髪性および再整髪性を下記評価基準に従って官能評価した。
【0025】
尚、整髪性の評価は、毛髪を毛先の方からにぎる操作を5回行い、形成されたスタイルに、にぎった形がくっきりと保持されているものを整髪性が良いとして評価を行った。また、再整髪性の評価は、整髪性評価の30分放置後の毛髪を無造作に崩し、再度、同様の評価を行なった。
【0026】
<整髪性の評価基準>
◎:20名中16名以上が整髪性に優れると回答
○:20名中11?15名が整髪性に優れると回答
△:20名中6?10名が整髪性に優れると回答
×:20名中5名以下が整髪性に優れると回答
【0027】
<再整髪性の評価基準>
◎:20名中16名以上が再整髪性に優れると回答
○:20名中11?15名が再整髪性に優れると回答
△:20名中6?10名が再整髪性に優れると回答
×:20名中5名以下が再整髪性に優れると回答
【0028】
(試験例2:使用感の評価)
23℃、湿度60%の恒温恒湿下で一晩放置した毛束(長さ10cm、幅0.8cm、重量1g)に各実施例および各比較例で得られた各泡沫状整髪用化粧料を0.5g塗布し、指先で均一に延ばした。再び23℃、湿度60%の恒温恒湿下で1時間放置し、評価パネル20名により、ごわつき、きしみ、べたつきを下記評価基準に従って官能評価した。
【0029】
<ごわつきの評価基準>
◎:20名中16名以上がごわつかないと回答
○:20名中11?15名がごわつかないと回答
△:20名中6?10名がごわつかないと回答
×:20名中5名以下がごわつかないと回答
【0030】
<きしみの評価基準>
◎:20名中16名以上がきしまないと回答
○:20名中11?15名がきしまないと回答
△:20名中6?10名がきしまないと回答
×:20名中5名以下がきしまないと回答
【0031】
<べたつきの評価基準>
◎:20名中16名以上がべたつかないと回答
○:20名中11?15名がべたつかないと回答
△:20名中6?10名がべたつかないと回答
×:20名中5名以下がべたつかないと回答
【0032】
【表1】

・・・
【0034】
表1および表2に示された結果から、各実施例の泡沫状整髪用化粧料は、各比較例のものと対比して、整髪性に優れるにもかかわらず、ごわつき、きしみ、べたつきが生じていないことが分かる。中でも、各実施例の泡沫状整髪用化粧料は、再整髪性に優れた効果を有していることが分かる。」

(2)本願の優先権主張の日前である平成16年2月26日に頒布された刊行物である「特表2004-505902号公報」(原査定の引用文献6。以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
(2a)「【請求項1】
a)約200?約900の数平均分子量及び約4?約18の反復アルキレンオキシド基を有する水溶性ポリアルキレングリコールであって、前記反復アルキレンオキシド基それぞれが2?6個の炭素原子を有する水溶性ポリアルキレングリコールと、
b)ポリアルキレングリコールに可溶である被膜形成ポリマーであって、前記ポリアルキレングリコールと前記被膜形成ポリマーとの重量比が約5:1?約50:1の範囲である被膜形成ポリマーと、
c)液体キャリアとを含むヘアケア組成物。」

(2b)「【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、ヘアケア組成物に関する。特に、本発明は、ポリアルキレングリコールスタイリング剤を包含し、当該組成物の再適用及び/又は追加のヘアケア補助剤の適用なく、改善された毛髪の再スタイリング性能及び改善された毛髪の外観及び感触という有利な組み合わせを示すヘアケア組成物に関する。」

(2c)「【0005】
最近、ポリアルキレングリコールスタイリング剤を含有するヘアスタイリング組成物の利用が知られるようになった。これらのヘアスタイリング組成物は米国特許出願第09/305,502号に記載されており、当該組成物の再適用及び/又は追加スタイリング補助剤の適用の必要なく、乾燥した毛髪の再スタイリング性能を改善する点で有利である。
このような組成物にさらに改善された性能を付与するには、組成物中のポリアルキレングリコールスタイリング剤のレベルを上昇させることなくポリアルキレンスタイリング剤によって付与されるスタイリング強度を改善することが有利であると考えられる。
【0006】
(発明の概要)
したがって、本発明の目的は、改善されたヘアケア組成物を提供することである。本発明のさらに具体的な目的は、所望の濡れた毛髪及び/又は乾燥した毛髪の再スタイリング性能を提供するヘアケア組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、良好な毛髪の外観及び感触も提供するこのような組成物を提供することである。本発明のさらにもう1つの目的は、所望の濡れた毛髪及び/又は乾燥した毛髪の再スタイリング性能並びに良好な毛髪の外観及び感触を、当該組成物の再適用又はいかなる他のスタイリング補助剤の適用の必要もなく長時間提供する組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、組成物を毛髪上に適用し乾燥した後に過度のべたつき又はごわつきを感じないリーブオン型のヘアスタイリング組成物を提供することである。」

(2d)「【0013】
スタイリング剤
本発明のヘアケア組成物は、組成物が毛髪上に適用され乾燥した後に、毛髪に液体若しくは半固体として残るのに適切な水溶性の液体又は半固体のヘアスタイリング剤を包含する。低分子量のポリアルキレングリコール液体又は半固体スタイリング剤は、毛髪の再スタイリング性能を提供する再形成可能な結合部として特徴づけられる、毛髪上に残される流体被膜として毛髪上に与えることができる。特に、再形成可能な結合は、毛髪繊維が風のような力によって分離され、その後、櫛通し、ブラッシング、指を毛髪に通すなどのスタイリング手法を用いて再接着することを可能にする。本明細書に定義されるスタイリング剤によるこの分離/再接着特性は、数日にわたって毛髪に過度にべたべた又はごわごわした感触を残すことなく、本明細書に記載される組成物を再適用することなく及び/又は何らかのその他の追加のスタイリング補助剤を毛髪に適用することなく、濡れた毛髪及び/又は乾燥した毛髪の改善された再スタイリング性能をもたらす。
・・・
【0017】
一つの実施形態において、ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はアルコキシポリエチレン/ポリプロピレングリコールコポリマーを包含する。適切なポリアルキレングリコールポリマーの具体例には、ポリエチレン/ポリプロピレングリコールコポリマー(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びペントキシポリエチレン/ポリプロピレングリコール)、トリグリセリン、ヘキサグリセリン、PPG-4、PPG-6、PEG-5、PEG-6、PEG-8、PEG-12、PEG-14、PEG-18、及びこれらの混合物が含まれる。一部の実施形態で好ましいのは、数平均分子量が約200?約900、厳密には約300?約600、より厳密には約400?約600であって、さらに約4?約18、厳密には約6?約12、より厳密には約8?約12の反復アルキレンオキシド基を有し、その際反復アルキレンオキシド基のそれぞれが2?6個の炭素原子を有するポリアルキレングリコールである。好ましいポリアルキレングリコールの具体例には、Rがメチルでありnの平均値が約4であるPPG-4;RがHでありnの平均値が約8であるPEG-8(PEG-8はカーボワックス(Carbowax)400としてユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手可能);RがHでありnの平均値が約12であるPEG-12(PEG-12はカーボワックス(Carbowax)600としてユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手可能);及びRがHでありnの平均値が約18であるPEG-18(PEG-18はカーボワックス(Carbowax)900としてユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手可能)が含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
・・・
ヘアケア組成物は一般に、所望のスタイリング特性を提供する量のスタイリング剤を包含する。1つの実施形態においては、ヘアケア組成物はポリアルキレングリコールスタイリング剤を組成物の約5重量%?約20重量%、より具体的には約5重量%?約12重量%、さらにより具体的には約7重量%?約10重量%の量で包含する。」

(2e)「【0019】
被膜形成ポリマー
ポリアルキレングリコールスタイリング剤に加え、本発明のヘアケア組成物は、ポリアルキレングリコールスタイリング剤に可溶な被膜形成ポリマーを包含する。被膜形成ポリマーは、本発明のポリアルキレングリコールスタイリング剤によって付与されるスタイリング力を強化すると考えられている。
【0020】
一部の実施形態においては、分子量が約10,000より大きい、好ましくは約40,000より大きい被膜形成ポリマーが好ましい。被膜形成ポリマーの分子量が増えると、被膜形成ポリマーが本発明のヘアケア組成物で処理された毛髪を好ましくないものにする傾向を持つ可能性がある。それ故に、この傾向を避けるために必要であれば、被膜形成ポリマーの分子量を制限すべきである。本発明での使用に適切な被膜形成ポリマーは、ポリアルキレンスタイリング剤に可溶であり、ポリビニルピロリドンポリマー、並びにポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン/ポリビニルカプロラクタムコポリマー、ポリビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドコポリマー、及びポリビニルピロリドン/ポリビニルカプロラクタム/ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドターポリマーのようなポリビニルピロリドンコポリマー、・・・が包含される含まれるが、これらに限定されない。
・・・
【0022】
ヘアケア組成物は一般的に、本発明のポリアルキレンスタイリング剤によって付与されるスタイリング力を強化するのに適切な量の被膜形成ポリマーを包含する。1つの実施形態においては、ヘアケア組成物は組成物の約0.1重量%?約3重量%、より具体的には約0.25重量%?約1.5重量%、さらにより具体的には約0.25重量%?約0.75重量%の被膜形成ポリマーを包含する。
本発明のヘアケア組成物におけるポリアルキレングリコールスタイリング剤と被膜形成ポリマーとの重量比は約5:1?約50:1、より厳密には約10:1?約40:1、さらにより厳密には約20:1?約40:1の範囲である。ポリアルキレングリコールスタイリング剤と被膜形成ポリマーとの比が5:1未満であると、そのヘアケア組成物で処理した毛髪はべたつきを感じ、毛髪が不快な感触になる可能性がある。」

(2f)「【0023】
液体キャリア
本発明のヘアケア組成物は、ヒトの毛髪に局所適用することが目的である製剤での使用に適切な、既知の又はそうでなければ有効な液体キャリアも包含する。上記液体キャリアは、上述のスタイリング剤の可溶化又は分散を助ける。上記液体キャリアは、選択したスタイリング剤が選択した液体キャリアに十分に混和又は分散し得るという条件で、1つ又はそれ以上の液体キャリアを包含することができる。
【0024】
本発明のヘアケア組成物での使用に適切な液体キャリアには、揮発性液体キャリア物質が含まれる。この状況において、「揮発性液体キャリア」という用語は、約260℃未満、好ましくは約50℃?約260℃、より好ましくは約60℃?約200℃(約1気圧で)の沸点を有する物質を指す。揮発性液体キャリアの非限定的な例には、水、C_(1)?C_(6)アルカノール、ジエチレンのモノアルキルエーテル及びジアルキルエーテル(カルビトール(Carbitol)として市販)のような有機溶媒、及びこれらの組み合わせが含まれる。適切なC_(1)?C_(6)アルカノールの具体例には、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、アミルアルコール、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましいC_(1)?C_(6)アルカノールには、エタノール、イソプロパノール、及びこれらの混合物のようなC_(2)?C_(4)の一価アルコールが含まれる。1つの実施形態においては、液体キャリアは水を包含する。別の実施形態においては、液体キャリアは少なくとも50%の水を包含する。別の実施形態においては、液体キャリアは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%の水を包含する。さらに別の実施形態においては、液体キャリアは本質的に水から成る。」

(2g)「【0037】
噴射剤
本発明のヘアケア組成物は任意でさらに、組成物を所望の適用表面にエアゾール放出するのに適切な1つ又はそれ以上の噴射剤を包含してもよい。噴射剤が含まれる場合、エアゾールヘアケア組成物におけるその総濃度は、一般的には組成物の約5重量%?約40重量%、厳密には約5重量%?約25重量%、より厳密には約5重量%?約15重量%の範囲である。
適切な噴射剤の非限定的な例には、炭化水素、窒素、二酸化炭素、一酸化二窒素、空気、デュポン社(Dupont)よりダイメル(Dymel)152Aとして供給される1、2-ジフルオロエタン(ヒドロフルオロカーボン152A)、ジメチルエーテル、及びこれらの混合物が含まれる。好ましいのは炭化水素噴射剤であり、その具体例には、プロパン、ブタン、及びイソブタンが含まれる。最も好ましいのは、プロパン及びイソブタンの混合物を含有する炭化水素であり、その具体例には、アエロン(Aeron)A46及びアエロン(Aeron)A70(いずれもディバーシファイドCPC(Diversified CPC)より市販)が含まれる。」

(2h)「【0063】
実施例XVI?XVIII
次の実施例XVI?XVIIIは、本発明を代表するスプレーオン式ジェル組成物である。実施例XVI?XVIIIに定義された組成物はそれぞれ、列記された成分を、噴射剤を除いてすべて配合し、この混合物を列記されたすべての物質がバッチ内に分散されるまで混合することによって調製される。得られた組成物をエアゾール容器に満たし、噴射剤を加える。例示されたスプレーオン式ジェル組成物は、組成物の再適用又は他のいかなる追加スタイリング補助剤の適用も必要とせずに、改善された毛髪の再スタイリング性能を提供する。
【0064】
【表4】

【0065】
(1)ルビスコール(Luviskol)VA 73W(50%ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー)、BASFより
(2)ルビセット(Luviset)PUR(30%ポリウレタン)、BASFより
(3)ルビテック(Luvitec)VCAP(30%ポリビニルカプロラクタム)、BASFより
(4)カーボワックス(Carbowax)400、ユニオンカーバイド(Union Carbide)より
(5)カーボワックス(Carbowax)600、ユニオンカーバイド(Union Carbide)より
(6)シルケア(Silcare)41M10、アーキマイカ(Archimica)より
(7)SF1202、GEより
(8)50%ジメチコーンエマルション、東レシリコーン(Toray Silicones)より」

4 引用例に記載の発明
引用例1の上記(1a)【請求項1】には、「(A)皮膜形成高分子、(B)非イオン性界面活性剤を含有し、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量が、下記不等式
(A)成分の含有量 ≦ (B)成分の含有量
を満たし、実質的に糖アルコールおよび油剤を含有しない原液と、(C)噴射剤とからなることを特徴とする泡沫状整髪用化粧料。」が記載されている。
また、前記請求項1に記載の発明の具体例を示す実施例として、上記(1e)【表1】の実施例4には、上記(1e)【0022】の「尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。また、配合量は各皮膜形成高分子としての純分に換算した。」との記載を考慮すると、(A)成分としてポリビニルピロリドンを5.0重量%、(B)成分としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.)とポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.)を各5.0重量%で計10.0重量%、エタノールを5.0重量%、残部が精製水からなる原液が記載されており、上記(1e)【0023】には、「この原液をエアゾール容器に移し噴射剤(液化石油ガス)を原液/噴射剤=90/10の重量比で充填することにより実施例1?8および比較例1?9の各泡沫状整髪用化粧料を調製」したことが記載されている。

これらの記載からみて、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。

「(A)皮膜形成高分子としてポリビニルピロリドンを5.0重量%、(B)非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.)とポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.)を各5.0重量%で計10.0重量%、エタノールを5.0重量%、残部が精製水からなり、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量が、下記不等式
(A)成分の含有量 ≦ (B)成分の含有量
を満たし、実質的に糖アルコール及び油剤を含有しない原液と、(C)噴射剤とからなる泡沫状整髪用化粧料。」

5 対比
そこで、以下に本願補正発明と引用例1発明とを対比する。

(1)引用例1発明の「泡沫状整髪用化粧料」は、「原液」と、「(C)噴射剤」とからなる。
そして、上記(1e)【0023】には、「この原液をエアゾール容器に移し噴射剤(液化石油ガス)を原液/噴射剤=90/10の重量比で充填する」ことで、「泡沫状整髪用化粧料」を調製したことが記載されている。
一方、本願補正発明の「整髪用化粧料」について、本願明細書の段落【0069】?【0070】には、「・・・本発明の整髪料化粧料の好ましい使用態様としては、エアゾール系ヘアスプレー、・・・等が挙げられる。」、「・・・なおエアゾール系タイプのものでは通常、噴射剤とともに噴霧容器に充填される。噴射剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ジメチルエーテル等の液化ガス、窒素、圧縮空気等の圧縮ガスなど、エアゾールの分野に公知の噴射剤を任意に用いることができる。・・・」と記載されており、整髪用化粧料と噴射剤とからなるエアゾール系タイプの使用態様を含むものである。
そうすると、引用例1発明の泡沫状整髪用化粧料も、上記のとおり、原液と噴射剤とをエアゾール容器に充填して調製されるものであるから、「泡沫状整髪用化粧料」とは、原液の使用態様を表していると理解できる。
よって、引用例1発明の(C)噴射剤とともに充填される「原液」は、本願補正発明の「整髪用化粧料」に相当し、「泡沫状整髪用化粧料」である点は本願補正発明に包含され相違点とはならない。

(2)引用例1発明の「(A)皮膜形成高分子としてポリビニルピロリドン」について、引用例1には、上記(1d)【0012】に、「尚、(A)成分は、市販品を用いることもできる。例えば、・・・;ポリビニルピロリドンとしては、PVP K-90(商品名,ISP社製)、LUVISCOL K-30、K-60、K-90(商品名,何れもBASF社製);・・・などを例示することができる。」と記載されている。
そして、本願補正発明の「(c)皮膜形成性高分子」について、本願明細書の段落【0054】には、「[(c)成分]皮膜形成性高分子としては、特に限定されるものでなく、従来よりヘアスタイリング剤等の整髪化粧料に用いられている皮膜形成性高分子を任意に用いることができる。このような皮膜形成性高分子としては、アクリル系、ビニル系、ウレタン系、多糖類系の皮膜形成性高分子が挙げられる。」と記載され、その具体例として、段落【0058】に「ノニオン性の高分子であれば例えば、ポリビニルピロリドン〔ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(以上、BASF社製)、PVP K(ISP社製)〕」が記載されている。
なおここで、質量%と重量%は、実質的に同義であるから、以下、引用する場合を除き質量%に統一する。また、皮膜形成性高分子と皮膜形成高分子は同義であり、同様に以下前者に統一する。
よって、引用例1発明の「(A)皮膜形成高分子としてポリビニルピロリドンを5.0重量%」と、本願補正発明の「(c)皮膜形成性高分子を0.1?6質量%」とは、「(c)皮膜形成性高分子を5.0質量%」である点で一致する。

(3)引用例1発明の「(B)非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.)とポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.)」の2つの非イオン性界面活性剤は、いずれもポリオキシエチレン付加型の非イオン性界面活性剤であり、括弧内の数字は、エチレンオキサイドの付加モル数であることは技術常識である。
一方、本願補正発明の(a)成分である非イオン界面活性剤の選択群には、「1.下記式(I)で示されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテル(下記式略)」と、「7.下記式(VII)で示されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(下記式略)」が含まれている。
そして、本願明細書の段落【0020】には、上記1.の具体例として「POEセチルエーテル(市販品として「ノニオンP-210」など)」が示され、段落【0081】には、実施例で「POE(25)セチルエーテル」を使用したことが記載されており、式(I)におけるエチレンオキサイドの付加モル数は2?100の範囲である。
また、段落【0032】には、上記7.の具体例として「POE硬化ヒマシ油60(市販品として「ユニオックスHC-60」(日油(株)製)など)等」が示され、【表1】には、実施例で「POE(60)硬化ヒマシ油(HLB=14、硬度10.95)」を使用したことが記載されており、式(VII)におけるエチレンオキサイドの付加モル数の合計は2?150の範囲である。
そうすると、引用例1発明の2つの非イオン性界面活性剤は、本願明細書に例示された非イオン界面活性剤とエチレンオキサイドの付加モル数が異なるものの、それぞれ上記1.又は7.の非イオン界面活性剤に含まれることは明らかである。
なおここで、非イオン界面活性剤と非イオン性界面活性剤は同義であり、先と同様に以下前者に統一する。
また、本願補正発明において(a)成分を複数併用できることも、「(ただし、全非イオン界面活性剤の加重平均したHLBが10以上である)」との記載から明らかである。
よって、引用例1発明の「(B)非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.)とポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.)を各5.0重量%で計10.0重量%」と、本願補正発明の「(a)下記1.?3.、5.、7.?9.の選択群のいずれかに含まれ、常温(25℃)で固体である非イオン界面活性剤(ただし、全非イオン界面活性剤の加重平均したHLBが10以上である)を2?10質量%(下記の選択群の詳細略)」とは、「(a)下記1.又は7.に含まれる非イオン界面活性剤を10質量%(下記の選択群の詳細略)」である点で共通する。

(4)引用例1発明は、さらに、「エタノールを5.0重量%」、「残部が精製水」を含むが、本願補正発明は、請求項1の記載から明らかなとおり、(a)?(c)を含有する整髪用化粧料であればよく、かつ、本願明細書の【表1】には、エタノールを含み、イオン交換水で100質量%としたことが記載されているから、この点は相違点とはならない。
また、引用例1発明は、「実質的に糖アルコール及び油剤を含有しない」とされているが、本願補正発明もこれらを必須の成分とはしておらず、かつ、本願明細書の段落【0064】には、「本発明の整髪化粧料は上記(a)?(c)成分を必須成分として含有する。本発明では油分(ただし香料、フェノキシエタノールを除く)を実質的に含まないことが好ましい。」のように記載されており、この点も相違点とはならない。

(5)以上のことから、本願補正発明と引用例1発明とは、以下の(一致点)及び(相違点1)?(相違点4)を有する。

(一致点)
「(a)下記1.又は7.に含まれる非イオン界面活性剤を10質量%
(c)皮膜形成性高分子を5.0質量%
含有する整髪用化粧料。
≪1.、7.の選択群≫
1.下記式(I)で示されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテル:
RO-(C_(2)H_(4)O)_(n)-H (I)
〔式(I)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2?100の数を示す。〕
7.下記式(VII)で示されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:

〔式(VII)中、a、b、c、x、y、zはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c+x+y+z=2?150の数を示す。〕」

(相違点1)
「(a)下記1.又は7.に含まれる非イオン界面活性剤」が、本願補正発明では、「常温(25℃)で固体である非イオン界面活性剤(ただし、全非イオン界面活性剤の加重平均したHLBが10以上である)」と特定されているのに対し、引用例1発明では、非イオン界面活性剤についてこのような特定がされていない点

(相違点2)
本願補正発明では、さらに「(b)常温で液体の、質量平均分子量200?900のエチレンオキシド(EO)重合体、下記式(X)に示すエチレンオキシド(EO)・プロピレンオキシド(PO)ランダム共重合体、および質量平均分子量200?4,000のプロピレンオキシド(PO)重合体の中から選ばれる1種または2種以上のポリアルキレングリコール重合体(式略)」を含有する点

(相違点3)
本願補正発明では、「系の粘度が10,000mPa・s以下(25℃、B型粘度計)であり、(a)?(c)成分がいずれも水および/またはアルコール系溶媒に溶解する」と特定されているのに対し、引用例1発明では、このような特定がされていない点

(相違点4)
本願補正発明では、(a)?(c)成分の含有量が、それぞれ2?10質量%、0.1?15質量%、0.1?6質量%であるのに対し、引用例1発明では、(a)成分に相当する(B)成分を10.0質量%、(c)成分に相当する(A)成分を5.0質量%含有し、(b)成分を含有せず、かつ(A)成分の含有量と(B)成分の含有量が、(A)成分の含有量 ≦ (B)成分の含有量の不等式を満たすと特定している点

6 判断
そこで、以下に上記(相違点1)?(相違点4)について検討する。

(1)(相違点1)について
ア 引用例1発明の「(B)非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.)とポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.)」は、上記「5 対比」の(3)で検討したとおり、それぞれ、本願補正発明の「式(I)で示されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテル(式略)」と「式(VII)で示されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(式略)」に該当することは明らかであるが、これらが常温(25℃)で固体であるか、また、2つの非イオン界面活性剤の加重平均したHLB値がどのような値であるかは、引用例1には記載されていない。

イ そこで検討するに、本願明細書にもあるとおり、非イオン界面活性剤は市販品を用い得るものである(本願明細書の段落【0019】?【0036】参照)。
そして、下記(い)、(ろ)に示す日光ケミカルズ株式会社、青木油脂工業株式会社のホームページから入手可能な製品カタログには、引用例1発明のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.)とポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.)に対応する製品が掲載されており、製造元により多少の違いはあるものの、これらがともに常温でペーストや固体であり、HLB値が10を超えるものであることが記載されている。非イオン界面活性剤のような汎用される原料は、その種類が特定されていれば、これらカタログの発行日が本願の優先権主張の日前後にかかわらず、その特性がほぼ一定であることは、当業者に自明な事項であるといえるから、引用例1発明の非イオン界面活性剤が常温(25℃)で固体であり、加重平均したHLBが10以上であることも、当業者に自明な事項である。
このことは、審判請求人が平成23年1月31日受付けで提出した意見書に、「一般にPOE硬化ヒマシ油は、オキシエチレン付加モル数が30以下の場合、冬期でも液体を呈することが知られている。」と記載し、また、平成24年5月14日受付けで提出した審判請求書の請求の理由の手続補正書(方式)に、引用例1の記載内容に対して、「ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のEO付加モル数が20のもの(液体)、50のもの(固体)が同効物として示されているにすぎず」と記載していることからも裏付けられる。

(い)日光ケミカルズ社の製品カタログ、39?42頁、[online]、平成26年1月7日検索、インターネット<URL:https://www.chemical-navi.com/product_search/pdf/all.pdf>
(い1)製品名:NIKKOL HCO-50、化粧品成分表示名称:PEG-50水添ヒマシ油、医薬部外品成分表示名称:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、外観:白色?微黄色のペースト?固体、特徴・主用途:HLB13.5が記載されている。

(い2)製品名:NIKKOL BC-15、化粧品成分表示名称:セテス-15、医薬部外品成分表示名称:ポリオキシエチレンセチルエーテル、外観:白色?微黄色の固体、特徴・主用途:HLB15.5が記載されている。


(ろ)青木油脂工業株式会社の製品総合カタログ、3?4頁、21?22頁、[online]、平成26年1月7日検索、インターネット<URL:http://www.blaunon.co.jp/product/download/synthesis/catalog_09.pdf>
(ろ1)商品名/Product:BLAUNON CH-315L、組成/Composition:ポリオキシエチレンセチルエーテル Polyoxyethylene Cetyl Ether、Moles of EO:15、HLB:14.3、Appearance:Solidが記載されている。

(ろ2)商品名/Product:BLAUNON RCW-50、組成/Composition:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 Polyoxyethylene Castor Wax、Moles of EO:50、HLB:14.1、Appearance:Solidが記載されている。


ウ よって、相違点1は実質的な相違点ではない。

(2)(相違点2)について
ア 引用例1に記載の泡沫状整髪用化粧料は、整髪性を付与するために用いられている皮膜形成性高分子による、ごわつきやきしみの問題や、これを解決するためにシリコーン類等を併用した場合に生じるべたつきや、皮膜形成性高分子で整髪した場合の再整髪できないといった問題を解決することを目的とするものである。そして、皮膜形性成高分子と非イオン界面活性剤を特定量で含有することにより、ごわつき、きしみ、べたつきなく、優れた整髪性を付与するとともに、再整髪性にも優れた泡沫状整髪用化粧料を提供するものである(上記(1b)、(1c)、(1e)【0034】参照)。
そして、引用例1発明の組成とすることによって、整髪性、ごわつき、きしみ、べたつきの評価が◎であり、再整髪性の評価が○である泡沫状整髪用化粧料が得られることが示されている(上記(1e)【表1】参照)。

イ 引用例2には、「a)約200?約900の数平均分子量及び約4?約18の反復アルキレンオキシド基を有する水溶性ポリアルキレングリコールであって、前記反復アルキレンオキシド基それぞれが2?6個の炭素原子を有する水溶性ポリアルキレングリコールと、b)ポリアルキレングリコールに可溶である被膜形成ポリマーであって、前記ポリアルキレングリコールと前記被膜形成ポリマーとの重量比が約5:1?約50:1の範囲である被膜形成ポリマーと、c)液体キャリアとを含むヘアケア組成物。」が記載されている(上記(2a))。
引用例2のヘアケア組成物は、ポリアルキレングリコールスタイリング剤を含有するものであって、改善された毛髪のスタイリング強度、再スタイリング性能及び改善された毛髪の外観やべたつき、ごわつきのない感触という有利な組み合わせを示すヘアケア組成物に関し(上記(2b)、(2c)参照)、a)成分の水溶性ポリアルキレングリコールであるところの低分子量のポリアルキレングリコール液体又は半固体スタイリング剤が、毛髪の改善された再スタイリング性能をもたらし(上記(2d)【0013】参照)、b)ポリアルキレングリコールに可溶である被膜形成ポリマーが、前記ポリアルキレングリコールスタイリング剤によって付与されるスタイリング力を強化すると考えられ(上記(2e)【0019】参照)、c)液体キャリアであるところの水やエタノールが、前記スタイリング剤の可溶化又は分散を助けるものであることが示されている(上記(2f)参照)。
そして、上記(2g)には、引用例2のヘアケア組成物は噴射剤を用いるエアゾールとしてもよいことが記載され、上記(2h)の実施例XVI?XVIIIには、水、エタノール、被膜形成ポリマー、スタイリング剤を含有するスプレーオン式ジェル組成物が、改善された毛髪のスタイリング性能を提供することが示されている。

ウ ここで、引用例2に記載のa)成分は、約200?約900の数平均分子量の水溶性ポリアルキレングリコールであって、その具体例として、「RがHでありnの平均値が約8であるPEG-8(PEG-8はカーボワックス(Carbowax)400としてユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手可能)」、及び「RがHでありnの平均値が約12であるPEG-12(PEG-12はカーボワックス(Carbowax)600としてユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手可能)」があげられており(上記(2d)【0017】参照)、PEG-8及びPEG-12が、それぞれPEG400及びPEG600と同義であることは技術常識である。
そして、これらは、本願補正発明の[(b)成分]に関する本願明細書の段落【0044】に記載の「具体的にはPEG200、PEG300、PEG400、PEG600等が例示される。」と同じものであり、分子量が小さいものほど液状であることも自明な事項である。
よって、引用例2に記載のPEG-8、PEG-12は、本願補正発明の「(b)常温で液体の、質量平均分子量200?900のエチレンオキシド(EO)重合体」に相当する。

エ さらに、引用例2には、b)成分の被膜形成ポリマーの具体例として、ポリビニルピロリドンポリマーが例示されている(上記(2e)【0020】参照)。
そして、引用例1及び引用例2は、ともに整髪用化粧料の技術分野に属するものであるから、引用例2に例示されているポリビニルピロリドンは、引用例1発明の(A)皮膜形成高分子であるポリビニルピロリドンと同等のものといえる。

オ 以上のとおり、引用例2には、水溶性の低分子量ポリアルキレングリコールとポリビニルピロリドンと水とを組み合わせて使用することにより、再スタイリング性及びスタイリング力を改善し、かつ、べたつき、ごわつきを感じないヘアケア組成物が記載されているといえる。
そして、引用例1発明は、上記アのとおり、整髪性、ごわつき、きしみ、べたつきの評価が◎であり、再整髪性の評価が○であるところ、より再整髪性に優れたものが望ましことは、引用例1及び引用例2にも記載されているとおり(上記(1b)、(2b)参照)、当業者に周知の技術課題である。
そうしてみると、引用例1発明において、さらに再整髪性にも優れたものとすることを考えて、引用例1発明と同様な皮膜形成性高分子と組み合わせて、特に再スタイリング性の付与に優れた効果を有することが示されている、引用例2に記載の水溶性の低分子量ポリアルキレングリコールであるPEG-8又はPEG-12、すなわち本願補正発明の(b)成分をさらに含有させて、再整髪性にも優れたものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)(相違点3)について
引用例1発明の泡沫状整髪用化粧料は、噴射剤と併用し、エアゾール容器を用いて使用するものである(上記(1e)参照)。
また、引用例2に記載のヘアケア組成物も同様な使用形態を含む組成物である(上記(2h)参照)。
このような使用態様の整髪用化粧料は、低粘度であることが知られており、下記(は)?(ほ)に示すとおり、10,000mPa・s以下の粘度のものも普通に用いられている。
そして、ポリビニルピロリドンが水溶性であることは、証拠を示すまでもなく本願の優先権主張の日前から周知の事項であり、引用例2にあるとおり、PEG-8は、水溶性ポリアルキレングリコールである。また、HLB値が大きいほど親水性であることも技術常識である。
したがって、引用例1発明において、再整髪性の向上を求めて引用例2に記載の水溶性の低分子量ポリアルキレングリコールをさらに含有させて、泡沫状整髪用化粧料としての使用態様が可能な適宜の低粘度として、本願補正発明の粘度範囲程度に特定することは、当業者が容易になし得たことであるし、各成分のいずれもが水に溶解することは自明な事項である。

(は)特表平8-500614号公報
(は1)「本発明による高粘性の、噴霧可能なゲル状物質は、200ないし10000mPa・s(ミリパスカルセコンド)、特に500ないし6000mPa・s、の粘度を有することが好ましい。」(5頁13?15行)

(に)特開2003-34621号公報
(に1)「【0012】・・・このように泡沫の粘度を調整するには、上記エアゾール用原液の粘度が通常、0.1?500mPa・s(25℃)、特に1?200mPa・s(25℃)であると、好適である。・・・」

(ほ)特開2005-289935号公報
(ほ1)「【0005】・・・粘度(初期値)が500?2500mPa・s(30℃)のジェル状をなし、使用時、霧状に噴霧して用いられ得る、ジェル状組成物である。」

(4)(相違点4)について
ア 引用例1には、(A)成分の含有量について、整髪性の観点、及び、ごわつき、きしみおよびべたつきを抑制する観点から、好ましくは0.1?7質量%、より好ましくは0.5?5質量%であると記載され(上記(1d)【0011】参照)、(B)成分の含有量について、整髪性の向上する観点および再整髪性を付与する観点、及び、べたつきによる風合いの悪化および整髪性の低下を抑制する観点から、組成物中、3?50質量%が好ましく、より好ましくは5?40質量%であると記載されている(上記(1d)【0014】参照)。
また、引用例2には、所望のスタイリング特性を提供する量として、ヘアケア組成物はポリアルキレングリコールスタイリング剤を組成物の約5質量%?約20質量%、より具体的には約5質量%?約12質量%、さらにより具体的には約7質量%?約10質量%の量で包含すると記載され(上記(2d)【0018】参照)、ポリアルキレンスタイリング剤によって付与されるスタイリング力を強化するのに適切な量の被膜形成ポリマーとして、ヘアケア組成物は組成物の約0.1質量%?約3質量%、より具体的には約0.25質量%?約1.5質量%、さらにより具体的には約0.25質量%?約0.75質量%の被膜形成ポリマーを包含すると記載されている(2e)【0022】参照)。
これらの示唆に基づき、整髪性、再整髪性や、ごわつき、べたつきなどを考慮して、配合する成分の含有量を例示された範囲を参考に最適化することは、当業者が当然行うことであって、本願補正発明で特定された各成分の数値範囲とすることに、格別困難を要するともいえない。

イ また、引用例1発明は、「(A)成分の含有量と(B)成分の含有量」について、「(A)成分の含有量 ≦ (B)成分の含有量」の不等式を満たすとの条件が付されているが、引用例1発明の(A)成分及び(B)成分にそれぞれ対応する本願補正発明の(c)成分及び(a)成分の含有量は、0.1?6質量%及び2?10質量%であって、“(c)成分の含有量 ≦ (a)成分の含有量”の条件を満たす場合も含まれているから、この点は実質的な相違点ではない。

(5)本願補正発明の効果について
本願明細書には、本願補正発明の効果について、本願明細書の段落【0013】に、「本発明により、低粘度でありながら整髪力、再整髪力、セット保持力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる水性系の整髪用化粧料が提供される。」と記載されている。
そこで検討するに、上記(相違点1)?(相違点4)について検討したとおり、引用例1発明において、さらに水溶性の低分子量ポリアルキレングリコールを配合した泡沫状整髪用化粧料とすることは、当業者が容易になし得たことであり、得られる化粧料が水性系で低粘度であることも当業者が容易に予測し得ることである。
そして、引用例1発明でも、既に整髪性、ごわつき、きしみ、べたつきが優れたものであり、再整髪性に効果を示す水溶性の低分子量ポリアルキレングリコールを配合したことにより、再整髪性の効果が向上することも、当業者が予測し得たことである。
また、皮膜形成性高分子はセット保持力を付与するために配合するものであることは、当業者に周知の事項であり、この効果を損なわない程度で上記各効果を奏するものとすることは、当業者が当然検討することであって、同様な組成の整髪用化粧料について、求められる効果を確認したに過ぎない。

(6)審判請求人の主張について
ここで、審判請求人は、平成23年1月31日受付けの意見書、平成24年5月14日受付けの審判請求書の請求の理由の手続補正書(方式)、及び平成25年5月21日受付の回答書を提出し、実験成績書や補正案を提示して意見を述べているので、これらについて以下に検討する。

ア 引用例1に、常温(25℃)で固体である非イオン界面活性剤を選択する動機がないという主張について
引用例1発明の非イオン界面活性剤は、常温で固体の非イオン界面活性剤であるから、審判請求人の主張は採用し得ない。
なお、審判請求人は、常温で液体の非イオン界面活性剤との比較実験を示しているが、引用例1発明は常温で固体の非イオン界面活性剤を用いるものであるから、この結果を考慮しても、審判請求人の主張を採用することはできない。

イ 引用例1の特定と異なり、本願補正発明では、非イオン界面活性剤より皮膜形成性高分子を多量に配合しても本願補正発明の効果を奏するという主張について
既に検討したとおり、本願補正発明は、引用例1の特定と同じ、非イオン界面活性剤が皮膜形成性高分子より多い場合を含んでおり、これを除くものではないから審判請求人の主張は採用し得ない。
また、審判請求人が指摘する本願明細書記載の実施例の結果は、一組の非イオン界面活性剤、皮膜形成性高分子、及びポリアルキレングリコール重合体の組合せの場合の特有の結果に過ぎない。

ウ 引用例1及び引用例2を組み合わせても、本願補正発明とすることで、髪型を固めるのではなく、水系低粘度でありながら、指や手櫛などで使用者が自在に軽い仕上がりのヘアスタイルを作り、時間経過後に、指でつまんでねじってヘアスタイルのアレンジを自在に行うことができ、しかもこれら整髪力、セット保持力、再整髪力と、使用感効果をバランスよく達することができたという本願発明の技術的思想は導けないという主張について
引用例1に記載の泡沫状整髪用化粧料は、水系低粘度の整髪用化粧料といえる(上記(1e)【表1】参照)。
また、引用例2に記載のヘアケア組成物も、液体キャリアとして、好ましくは85%の水を包含することを開示し(上記(2f)【0024】参照)、実施例XVI?XVIIIのスプレーオン式ジェル組成物でも、噴射剤であるイソブタン、ジメチルエーテルを除く組成物中に水及びエタノールを約80%程度含有しているから、水系低粘度の整髪用化粧料といえる(上記(2g)【0037】、(2h)【表4】参照)。
そして、引用例1及び引用例2は、ともに髪型を固めるのではなく、整髪性、再整髪性を有するとともに、べたつきやごわつきがないなどの使用感の効果にも着目しているものであるから(上記(1e)【表1】、(2h)【0063】など参照)、同然にこれらのバランスを考慮して、所望の効果を奏する整髪用化粧料を得ようとするものである。
よって、審判請求人の主張は採用し得ない。

エ 回答書の補正案について
補正案は、本願補正発明の(a)成分の配合量の上限値を10質量%から12質量%に拡げ、(c)成分の配合量の下限値を0.1質量%から2質量%に減縮することを希望するものである。
しかしながら、既に検討したとおり、各成分の配合量は、当業者が適宜検討して決定し得るものであり、特に(c)成分の配合量の下限値を2質量%とすることが、引用例1及び2の開示に比べて格別困難を要するものとはいえない。

(7)まとめ
以上より、本願補正発明は、引用例1、2及び周知の事項に基づき当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

7 むすび
したがって、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成24年3月28日受付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成23年1月31日受付けの手続補正より補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる(以下、「本願発明」という。)。

「【請求項1】
(a)下記1.?3.、5.、7.?9.の選択群のいずれかに含まれ、常温(25℃)で固体である非イオン界面活性剤を1.5?12質量%、(b)常温で液体の、質量平均分子量200?900のエチレンオキシド(EO)重合体、下記式(X)に示すエチレンオキシド(EO)・プロピレンオキシド(PO)ランダム共重合体、および質量平均分子量200?4,000のプロピレンオキシド(PO)重合体の中から選ばれる1種または2種以上のポリアルキレングリコール重合体、および(c)皮膜形成性高分子を含有し、系の粘度が10,000mPa・s以下(25℃、B型粘度計)である整髪用化粧料。
≪1.?3.、5.、7.?9.の選択群≫
1.下記式(I)で示されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテル:
RO-(C_(2)H_(4)O)_(n)-H (I)
〔式(I)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2?100の数を示す。〕
2.下記式(II)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル:
RO-(C_(2)H_(4)O)_(m)(C_(3)H_(6)O)_(n)-H (II)
〔式(II)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;mはエチレンオキシド付加モル数で2?100の数を示し;nはプロピレンオキシド付加モル数で2?100の数を示す。〕
3.下記式(III)で示されるポリオキシエチレンモノエステル:
RCOO-(C_(2)H_(4)O)_(n)-H (III)
〔式(III)中、Rは炭素原子数4?24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2?100の数を示す。〕
5.下記式(V)で示されるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル:

7.下記式(VII)で示されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:

〔式(VII)中、a、b、c、x、y、zはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c+x+y+z=2?150の数を示す。〕
8.下記式(VIII)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:

〔式(VIII)中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数4?24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で、2?100の数を示す。〕
9.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル。
≪式(X)≫

〔式(X)中、R_(1)、R_(2)はそれぞれ独立に、炭素原子数1?4のアルキル基または水素原子を示す。p/q=10?0.5であり、2≦p+q≦100である。〕」

2 原査定の拒絶の理由の概要
本願発明についての原査定の拒絶の理由の概要は、引用文献4、及び引用文献6又は引用文献7の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

引用文献4:特開2008-290973号公報(先の引用例1と同じ)
引用文献6:特表2004-505902号公報(先の引用例2と同じ)
引用文献7:特表2004-505901号公報

3 引用例及びそれらの記載事項、及び引用例に記載の発明
拒絶査定の理由に引用された引用例の記載事項及び引用例に記載の発明は、前記「第2 3 引用例及びそれらの記載事項」及び「第2 4 引用例に記載の発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2 5 対比」で検討した本願補正発明から、(a)成分のHLB値に関する発明特定事項を削除するとともに、含有量の範囲を拡げ、(b)成分及び(c)成分の配合量に関する発明特定事項を削除し、かつ、(a)?(c)成分が、いずれも水及び/又はアルコール系溶媒に溶解するという発明特定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含むものに相当する本願補正発明が、前記「第2 6 判断」に記載したとおり、引用例1、2及び周知の事項に基づき当業者が容易になし得たものであるから、本願発明も同様に特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1、2及び周知の事項に基づき当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-01-16 
結審通知日 2014-01-17 
審決日 2014-01-28 
出願番号 特願2010-193292(P2010-193292)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 馳平 裕美  
特許庁審判長 田村 明照
特許庁審判官 関 美祝
安藤 倫世
発明の名称 整髪用化粧料  
代理人 長谷川 洋子  
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