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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1285955
審判番号 不服2013-3615  
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-25 
確定日 2014-03-19 
事件の表示 特願2011- 2459「イメージ捕捉レンズモジュールとイメージ捕捉システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月 4日出願公開、特開2011-221498〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年1月7日(パリ条約による優先権主張、2010年4月9日、米国)の出願であって、平成24年6月15日付けで拒絶理由が通知され、同年9月19日に手続補正がなされたが、同年10月15日付けで拒絶査定がなされた。
これに対して、平成25年2月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされた。

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年9月19日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1記載された、以下のとおりのものである。

「3群7素子からなるイメージ捕捉レンズモジュールであって、
被写体側からイメージ側に順に配列された第一素子と第二素子とを有し、前記第二素子が近軸線上で前記イメージ側に面する凸面を有する平凸レンズである第一複合レンズである第一のレンズ群と、
被写体側からイメージ側に順に配列された第三素子と、第四素子と、第五素子とを有し、前記第三素子が近軸線上で前記被写体側に面する凸面を有する平凸レンズであり、前記第五素子が近軸線上で前記イメージ側に面する凹面を有する平凹レンズである第二複合レンズである第二のレンズ群と、
被写体側からイメージ側に順に配列される第六素子と第七素子を有し、前記第六素子が近軸線上の前記被写体側に面する凸面を有する平凸レンズである第三複合レンズである第三のレンズ群と、
を含み、
前記第一のレンズ群、前記第二のレンズ群及び前記第三のレンズ群は、被写体側からイメージ側に順に配列され、
前記第一素子は、前記イメージ捕捉レンズモジュールのうち、前記被写体に対して最も近い光学素子であることを特徴とする3群7素子からなるイメージ捕捉レンズモジュール。」

第3 平成24年6月15日付けの拒絶理由通知の概要
平成24年6月15日付けの拒絶理由の(理由1)の概要は以下のとおりである。

(理由1)
この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
・・・
・請求項1?10
・備考
発明の詳細な説明の記載においては、「イメージ捕捉レンズモジュールとイメージ捕捉システムを提供し、上述の問題を解決する」(【0009】)ことが目的であること、請求項と同様の記載により解決手段が記載されるが、具体的にいかなる課題に対して、どのような技術的思想においていかにして解決したのかといった説明はなんらされておらず、発明の技術上の意義を理解することができない。よって、この出願の発明の詳細な説明は、請求項1乃至10に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものではない。

・請求項1?10
・備考
発明の詳細な説明の記載によると、本願発明は、イメージ捕捉レンズモジュールにおいて、複数の複合レンズを採用し、その形状、有効焦点距離或いは素子間の距離による条件式を規定して、従来技術の問題を解決したものと認められる。しかし、発明の詳細な説明には、レンズデータ等がなんら開示されていない。そうすると、どのような具体的手段により本願発明の目的を達成したのかが理解できず、請求項に特定された発明をどのような具体的手段により実施したのかも理解できない。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、請求項1乃至10に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものではない。そして、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1乃至10に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。

・請求項4?6、10
・備考
請求項及び発明の詳細な説明に記載される各条件式について、その技術上の意義がなんら説明されていない。よって、この出願の発明の詳細な説明は、請求項4乃至6、10に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものではない。
・・・

第4 当審の判断
1.特許法第36条第4項第1号の委任省令要件について
特許法施行規則第24条の2には、「特許法第36条第4項第1号の経済産業省令で定めるところによる記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならない。」と規定されている。
したがって、本願の発明の詳細な説明は、出願時の技術水準に照らして本願発明がどのような技術上の意義を有するか(どのような技術的貢献をもたらしたか)を理解できるように記載することが必要である。

上記要件について検討する。

本願の明細書には、以下の記載がある。
(a)「【0007】
幾つかの応用において、小主光線角(CRA)の画像検出器が設計されて、優れたイメージパフォーマンスを達成する。一方、公知のレンズ設計は、低いモジュール高さと小さいレンズスケール要求に適さない。よって、公知技術と比較すると、イメージ捕捉レンズモジュールの高さを減少させることが必要である。注意すべきことは、イメージ捕捉レンズの有効焦点距離(EFL)を減少させる場合、イメージの欠陥(blemish)が容易に消去されることである。」
(b)「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、イメージ捕捉レンズモジュールとイメージ捕捉システムを提供し、上述の問題を解決することを目的とする。」
(c)「【発明の効果】
【0012】
効果的な高さのイメージ捕捉レンズモジュールが得られ、画像検出器装置がコンパクトになる。」

これらの記載から、本願発明はそこに規定された構成によって、従来のものと比べて効果的な高さのイメージ捕捉レンズモジュールが得られ、画像検出器装置がコンパクトになるという目的・効果を達成するものであることになる。
しかしながら、本願の発明の詳細な説明の記載を検討しても、具体的に本願発明のどの構成によって、どのように上記の目的・効果が達成できるのかを理解することができない。
例えば、本願明細書において従来例として記載されている図1のものは2群6素子からなるレンズモジュールであるが、これに対して3群7素子からなる(すなわち素子数が多く構成もより複雑な)本願発明のレンズモジュールの方がその高さを減少させることができる合理的な理由は、本願の発明の詳細な説明に記載されておらず、しかも、実際にそれができたかどうかについても記載されていない。
また、本願発明は第一素子、第四素子及び第六素子の面形状についてはいかなる限定も付されていないが、これらの素子に関しては、その面形状がどのような構成のものでも上記の目的・効果が達成できるという合理的な理由についても、本願の発明の詳細な説明に記載されているとは認められない。
そして、本願の出願時点で、これらの事項が自明であったという根拠もない。
してみると、本願の発明の詳細な説明の記載からは、当業者といえども、本願発明に規定されている各構成がどのような技術上の意義を有するかを理解することは不可能であるといわざるを得ない。

したがって、本願の発明の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより、記載したものではない。

2.特許法第36条第4項第1号実施可能要件について
本願発明は、3群7素子からなるイメージ捕捉レンズモジュールの各素子の配列順序と、その一部の素子の一部の面形状を規定するものである。
一方、レンズ系の具体的な設計においては、各レンズ面の曲率半径、メニスカス又は非メニスカス、レンズ面間隔(レンズ厚含む)、各レンズの屈折率とアッベ数、接合レンズの有無とその配置、非球面レンズの有無とその配置、非球面係数、絞りの配置等の多数の特定すべき要素を有し、各要素を調整して、収差等のレンズ系の性能を確認しながら、1つのレンズ系の設計を完成するものであることが、当業者の技術常識である。
しかし、本願の明細書及び図面には、本願発明に規定された各素子について、これらの要素に関する具体的な記載はない。
さらに、本願の明細書及び図面には、本願発明の実施例であるところの具体的な設計例は開示されていない。
そして、上記1.のとおり、本願の発明の詳細な説明の記載からは、当業者といえども、本願発明に規定されている各構成がどのような技術上の意義を有するかを理解することはできないのであるから、結局、具体的な設計例の開示がない本願の明細書及び図面の記載からは、仮に本願発明に規定された上記構成を実施したとしても、実際にその発明が本願明細書に記載された目的・効果を達成している発明なのかどうかを確認することはできない。
したがって、本願の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められない。

3.結論
本願は、その発明の詳細な説明の記載が、経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

第5 むすび
以上のとおり、本願は発明の詳細な説明が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-17 
結審通知日 2013-10-22 
審決日 2013-11-05 
出願番号 特願2011-2459(P2011-2459)
審決分類 P 1 8・ 536- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀井 康司  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 北川 清伸
伊藤 昌哉
発明の名称 イメージ捕捉レンズモジュールとイメージ捕捉システム  
代理人 磯野 道造  
代理人 磯野 道造  
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