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審決分類 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する H04L
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04B
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する H04W
管理番号 1286729
審判番号 訂正2013-390235  
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-12-27 
確定日 2014-02-28 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3961774号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3961774号の明細書を本件訂正審判請求書に添付した訂正明細書のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯

本件特許第3961774号(以下「本件特許」という。)は,2001年(平成13年)2月23日(優先権主張 2000年(平成12年)2月24日 フィンランド,同年3月24日 フィンランド)を出願日として出願がなされ,平成19年5月25日に設定登録(平成19年8月22日特許掲載公報発行)されたものである。

なお,本件特許は,出願が出願人を「ノキア モービル フォーンズ リミティド」としてなされ,平成18年11月21日付けで「ノキア コーポレイション」との合併により承継人を「ノキア コーポレイション」(フィンランド共和国)とする出願人名義変更届(一般承継)の提出がなされ,平成24年6月18日付けで権利者を「2011 インテレクチュアル プロパティ アセット トラスト」(アメリカ合衆国)とする移転登録申請(特定承継)がなされ,平成25年5月1日付けで権利者を「シズベル インターナショナル エス.アー.」(ルクセンブルグ大公国)とする移転登録申請(特定承継)がなされたものである。


第2 請求の趣旨

本件特許に対する訂正審判の請求の趣旨は次のとおりである。

特許第3961774号の明細書を本件訂正審判請求書に添付した訂正明細書のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。との審決を求める。


第3 本件訂正の内容

1.本件訂正の概要
請求人は,本件訂正として,請求項17-19からなる一群の請求項に係る訂正と,請求項20,21からなる一群の請求項に係る訂正とともに,明細書【0015】(発明の詳細な説明)の記載の訂正を求めている。

2.請求項17-19からなる一群の請求項に係る訂正の内容
請求項17-19からなる一群の請求項に係る訂正(以下「本件第1訂正」という。)の内容は,
「訂正事項1
特許請求の範囲の請求項17に「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマー」とあるのを、「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマー」に訂正する。」,
「訂正事項2
特許請求の範囲の請求項17に「起動する手段(510、511、515,605)を備える」とあるのを、「起動する手段(510、511、515)を備える」に訂正する。」,
「訂正事項3
明細書の段落[0015]に
「 本発明は、アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムの端末装置に対しても適用され、その端末装置は、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」
とあるのを、
「 本発明は、アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムの端末装置に対しても適用され、その端末装置は、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」
に訂正する。」
というものである(下線は請求人が付与。)。

そして,上記訂正事項1及び2により,
「【請求項17】 アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段(512)を有するセルラー無線システムの端末装置であって、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、を起動する手段(510、511、515,605)を備えることを特徴とする端末装置。」とあるのが,
「【請求項17】アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段(512)を有するセルラー無線システムの端末装置であって、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段(510、511、515)を備えることを特徴とする端末装置。」となる。

3.請求項20,21からなる一群の請求項に係る訂正の内容
請求項20,21からなる一群の請求項に係る訂正(以下「本件第2訂正」という。)の内容は,
「 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項20に「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマー」とあるのを、「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマー」に訂正する。」,
「 訂正事項2
明細書の段落[0015]に
「 さらに本発明はアクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードに対しても適用され、そのネットワーク・ノードは、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」とあるのを、
「 さらに本発明はアクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードに対しても適用され、そのネットワーク・ノードは、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」に訂正する。」
というものである(下線は請求人が付与)。

上記訂正事項1により,
「【請求項20】 アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段(605)を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードであって、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、を起動する手段(605)を備えることを特徴とするネットワーク・ノード。」とあるのが,
「【請求項20】 アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段(605)を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードであって、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段(605)を備えることを特徴とするネットワーク・ノード。」となる(下線は請求人が付与)。

4.本件第1訂正における訂正事項3及び本件第2訂正における訂正事項2による発明の詳細な説明の記載内容
本件第1訂正における訂正事項3及び本件第2訂正における訂正事項2により,
「【0015】 本発明は、アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムの端末装置に対しても適用され、その端末装置は、
単数文は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。
さらに本発明はアクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードに対しても適用され、そのネットワーク・ノードは、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」(当審注 特許掲載公報における下線は省略)とあるのが,
「【0015】 本発明は、アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムの端末装置に対しても適用され、その端末装置は、
単数文は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。
さらに本発明はアクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードに対しても適用され、そのネットワーク・ノードは、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」となる(下線は請求人が付与)。


第4 当審の判断

本件第1訂正における訂正事項1-3,及び本件第2訂正における訂正事項1,2が,訂正の要件(特許法第126条に規定する要件)を満たすかについて検討する。
1.本件第1訂正における訂正事項1について
(1) 本件第1訂正における訂正事項1(以下「本件第1訂正事項1」という。)は,要するに,本件特許の請求項17に係る特許発明(以下「特許発明17」という。)における「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間」を有する「リアルタイム(RT)タイマー」(以下,当該「リアルタイム(RT)タイマー」を「リアルタイムタイマーA」という。)を,「非リアルタイム(NRT)タイマー」と訂正しようとするものである。
そして,該本件第1訂正事項1が,特許発明17を特定する事項であった「リアルタイムタイマーA」を「非リアルタイム(NRT)タイマー」とすることは,特許発明を特定する事項を変更するものであって,特許発明17を変更しようとするものであることは明らかである。
つまり,上記本件第1訂正事項1は,特許請求の範囲を変更しようとするものであるといわざるを得ない。
(2) ここで,上記本件第1訂正事項1による特許請求の範囲を変更することが「実質上特許請求の範囲を変更する」ことに該当するか(特許法第126条第6項の規定に該当するか)について確認する。

本件特許の願書に添付された明細書及び図面には,「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する」ものに関連する事項として次の記載(下線は当審が付与)がある。

ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、一般にセルラー無線システム内の移動端末装置と基地局の間の切断された無線接続を再確立する技術に関する。特に、本発明は再確立手順を最適化して無線ベアラを介して提供されるサービスのリアルタイム性または非リアルタイム性を考慮する技術に関する。
【0002】 【従来の技術】 無線通信システムとは、そのユーザーとネットワークとの間の無線通信を可能にする任意の通信システムを指す。移動通信システムでは、ユーザーはネットワークのカバーエリア内で移動が可能である。移動通信ネットワークは、無線アクセス・ネットワーク及びコア・ネットワークである2つの主要部分に分けることができる。無線アクセス・ネットワークの例として、GSM(汎欧州デジタル移動電話方式)及びGSMの拡張された形であるEDGE(次世代GSM用拡張型データ・レート)、GPRS(一般パケット無線サービス)、GSM/GPRSベースの第3世代無線ネットワークであるGERAN(GPRS EDGE無線アクセス・ネットワーク)、IS-95(中間規格)、DS-41、CDMA2000(符号分割多元接続)、WCDMA UTRAN(広帯域CDMA UMTS地上無線アクセス・ネットワーク、全世界的移動通信システム)がある。コア・ネットワークの例として、GSM、GPRS、IS-41(ANSI-41とも呼ばれる)及びこれらのコア・ネットワークの第3世代の進化した形がある。
【0003】 現在の標準化トレンドとして、1つの無線アクセス・ネットワークを様々なコア・ネットワークタイプと接続する可能性を見出そうとするトレンドが存在し、また、この逆のトレンドすなわち1つのコア・ネットワークタイプを様々な無線アクセス・ネットワークと接続する可能性を見出そうとするトレンドも存在する。この種の活動の好適な1例として3GPP仕様作業があり、この作業でWCDMA UTRANの接続性が、GSMベース(GPRSを含む)とIS-41ベースのコア・ネットワークの双方に対して指定される。本発明は、異なる移動通信システムにおいて利用可能であり、特定の無線アクセス・ネットワークやコア・ネットワークに限定されるものではない。以下、UMTSに関して、具体的には第3世代パートナーシップ・プロジェクト3GPPで指定されるUMTSシステムに関して例を挙げながら本発明を説明するが、本発明はUMTSに限定されるものではない。
【0004】 多くの第2世代およびほとんどの第3世代セルラー方式の無線システムの仕様では、移動端末装置と基地局間のリアルタイム(RT)及び非リアルタイム(NRT)サービスの確立がサポートされている。RTサービスは、音声及びリアルタイム・ビデオのような時間が決定的な重要性を持つアプリケーション用として利用され、一方、NRTアプリケーションは通常e-メールやファイルのダウンロードのようなデータの転送を行う。不適当な遅延が生じているかどうか、あるいは、サービスを提供している無線ベアラに切断が生じているかどうかにユーザー(人間のユーザーであれ、プロセスであれ)がすぐに気がつくことがRTサービスの特徴である。」

イ 「【0007】 タイマーT314の値は0?4095秒の間であればいずれの値でもよい。RNC(無線ネットワーク・コントローラ)は、タイマー値を設定し、周知のRRC接続設定、無線ベアラ設定、無線ベアラ開放、無線ベアラ再構成、トランスポート・チャネル再構成、物理チャネル再構成およびRRC接続再確立メッセージのような何らかの専用制御メッセージでこのタイマー値を移動端末装置へ送る。言い換えれば、このタイマー値は当該移動端末装置専用の値とすることができ、さらに、このタイマー値は移動端末装置の現在のサービス構成などに依ってRRC接続中変更することさえできる。
【0008】 【発明が解決しようとする課題】 従来技術の構成に関する問題点として、リアルタイム対非リアルタイム・サービスなどの様々なタイプのサービスに関するその非柔軟性がある。RT接続は、その性質のために長い遅延や切断に耐えられないので、タイマーT314(あるいは同様の目的のために用いられる他のタイマー)の時間切れを設定するための比較的小さな値が数秒単位で選択されることが望ましい。RTベアラの再確立の可能性を「消す(turn off)」ことさえ可能であり、これは、UEの無線接続が切断された場合、RTベアラが(UEとUTRANではローカルに)即座に開放されることを意味する。一方、NRT接続の方はRT接続に比べるとずっと耐久性があり、数分単位あるいは数10分単位の一時的遅延に耐えることができる。移動端末装置がリアルタイム接続と非リアルタイム接続の双方に関連するアクティブな無線ベアラを無線リンク障害時に使用している場合、これらのベアラのうちの少なくとも一方が再確立タイマー用として不適切に選択された時間切れ値を持つことになるという問題がある。」

ウ 「【0022】 【発明の実施の形態】 本発明の適用性を例示するために、図1を参照しながらセルラー無線ネットワークアーキテクチャのある周知の特徴について検討することにする。移動電話システムの主要部分はCN(コア・ネットワーク)101と、UTRAN(UMTS地上無線アクセス・ネットワーク)102とUE(ユーザー装置)103である。CN101は外部ネットワーク104と接続することができる。この外部ネットワーク104の例の中には、CS(回線交換)ネットワーク105(公衆陸上移動通信ネットワークPLMN、公衆電話交換網PSTN、サービス総合ディジタル網ISDNなど)あるいはPS(パケット交換)ネットワーク106(インターネットなど)が含まれる。CN101とUTRAN102との間のインターフェースはIuインターフェースと呼ばれ、UTRAN102とUE103との間のインターフェースはUuインターフェースと呼ばれる。図1に示すように、RNCは典型的には2つのCNノード(移動通信サービス交換センターMSC/ビジタ・ロケーション・レジスタVLRとサービングGPRSサポート・ノードSGSN)と接続される。いくつかのネットワーク・トポロジーでは、1つのRNCが1つのCNノードまたは3つ以上のCNノードだけと接続される可能性がある場合もある。」

エ 「【0030】 図2はこの例ではUTRANとUEとを有するセルラー無線システムでの通信の態様を概略的に示す。図2では時間は上から下へ流れる。時間201の間ずっと、UEはRRC接続に属する1セットの無線ベアラを介してUTRANと交信し続ける。例示のために、1つのアクティブな無線ベアラと、リアルタイム・サービスを提供するための少なくとも非リアル・タイム・サービスを提供するための1つのアクティブな無線ベアラとが存在することが本発明では仮定されている。UTRANは時間201中少なくとも1回、図2に示すメッセージ202と203のような専用の制御チャネル・メッセージをUEへ送っている。
【0031】 ある一定時点204において、UEとUTRANとの間の無線接続を切断する無線リンク障害が存在する。UEは、無線接続が切断されたことを検出したとき、少なくとも1つのタイマーを起動させる。また、UTRANが無線接続が切断されたことを検出したときも、少なくとも1つのタイマーを起動させる。切断された無線接続に関する情報を伝える1つの具体的な方法が図2に示されている。CPHY-Out-of-Sync INDとして知られているプリミティブを伝えるIubメッセージ205が、RNCのノードBのレイヤー1(個別には示されていない)からレイヤー3(個別には示されていない)へ到来する。同様のプリミティブをUEで使用して、レイヤー1から、実際のタイマーが制御されるレイヤー3へ切断された無線接続を示すこともできる。
【0032】 図2に示す実施例では、RT関連の無線ベアラに関して無線接続の再確立に関係する少なくとも1つのタイマーと、NRT関連の無線ベアラに関して無線接続の再確立に関係する少なくとももう1つのタイマーの少なくとも2つのタイマーがUEとUTRANの双方によって起動される。UEは「イン・サービス・エリア」上に存在しないと想定されている。なぜなら、そのような想定によって、切断された接続の再確立を目的とするメッセージの伝送が開始されるからである。UE内のRTタイマーは、無線リンクの障害を意味する時点204のあまり後ではないある一定の後半の時点206で時間が切れ、従来技術についての説明で述べたように、RT再確立タイマーの典型的な時間切れ時間は秒単位である。これに対応して、RNC内のRTタイマーはある時点207で時間が切れるが、その時点は時点206よりわずかに後である。RNC内のタイマーの時間切れをわずかに遅延させる理由は、UEが、UE内のタイマーの時間が切れる前の非常に短い時間だけ「イン・サービス・エリア」内に存在するような場合も許容しなければならないためである。UEが反応するには時間がかかり、さらに、RRC接続の再確立が再送手順を受けることさえできるUTRANでの受信成功前に、UE発呼の無線伝送に依存するので、RNCにおけるタイマーがUEタイマーと同時に時間が切れるなら運用上賢明ではない。RNC内で使用される遅延値を計算する簡単な方法は許容される再確立試行回数に、UEが再確立を試みるために応答メッセージを待っている最大時間を乗算することである。これらのカウンタとタイマーはプロトコル規格で規定されており、前述の従来技術の文献によればこの遅延はN301*T301となる。シミュレーション及び/又は実験を利用して、UEに関してRNC内で用いられる遅延の適切な値を見つけることもできる。
【0033】 本発明の態様によれば、ある一定のさらに後の時点208でUEのNRTタイマーの時間が切れる。この時間切れは無線リンクの障害後数分の場合もある。ある一定の遅延後再び、RNCのNRTタイマーは時点209で時間が切れる。各場合に、RNC内のタイマーの時間切れによって「RAB開放リクエスト」タイプ(あるいは同種のリクエスト)のIuメッセージがCNへ向かって送られる。このようなメッセージによって、タイマーの時間が切れる無線ベアラに対応する、Iuインターフェースにおけるその部分の開放手順が開始される。メッセージ210と211が例示を目的として図2に示される。
【0034】 条件つきの複数の形式の「タイマー」で、我々が意味するものは、すべてのRT関連の無線ベアラ用の単一の普通のタイマーと、すべてのNRT関連の無線ベアラ用の単一の普通のタイマーとが存在し得ること、あるいは、これらのカテゴリの1つまたは両方のいくつかのタイマーが存在し得るということである。極端な場合としてすべての無線ベアラがそれ自身のタイマーを持っている場合もある。このような構成によって、すべてのアクティブな無線ベアラの特定の必要性に従って再確立手順の非常に柔軟な決定が可能になるが、同時にRNCとUEとの間のシグナリングを行う必要性が著しく大きくなる。」

オ 「【0039】 図3は、2つの再確立タイマーを使用する代替アプローチを示すものであるが、これらのタイマーのうちの一方がRT関連の無線ベアラ用として依然として存在し、他方がNRT関連の無線ベアラ用として存在する。無線リンク障害が生じた時点204でRT関連の無線ベアラ用タイマーだけが起動される。UE内のRTタイマーの時間切れ206の時点で、NRTタイマーが起動される。UEのNRTタイマーは時点206から時点208へ作動する。これに対応して、RTタイマーの時間切れ207の時点でRNCのNRTタイマーが起動され、このタイマーは時点207から時点209へ作動する。存在するタイマーの数にかかわらず少なくとも部分的にタイマーを連鎖する原理を当然適用することができる。複数のタイマーが存在する状況での部分的連鎖は、少なくとも2つの他のタイマーを起動させる時点として1つのタイマーの時間切れの時点が用いられることを意味する。例えば、NRT関連の無線ベアラに関係するRRC接続の再確立を左右するすべての無線ベアラ専用タイマーは、RT関連の無線ベアラ用として単一のタイマーの時間切れの時点で起動することができる。」

なお,上記ア-オに摘記した明細書の記載は,この訂正審判請求の日まで,補正,訂正及び誤訳訂正はなされていない。

上記ア-オにおける記載事項から「タイマー」に関して次のことがいえる。

・ 「RT関連の無線ベアラに関して無線接続の再確立に関係する少なくとも1つのタイマー」と、「NRT関連の無線ベアラに関して無線接続の再確立に関係する少なくとももう1つのタイマー」の少なくとも2つのタイマーが存在し,該「少なくとも2つのタイマー」はUEとUTRANの双方によって起動されること。
・ 特に,【0033】-【0034】,【0039】,図2及び図3の記載から,上記「NRT関連の無線ベアラに関して無線接続の再確立に関係する少なくとももう1つのタイマー」を,「NRTタイマー」つまり「非リアルタイム(NRT)タイマー」と称しているのが明かであって,UE(ユーザ装置)が備えうること。
・ 「NRT関連の無線ベアラ」を介して,「e-メールやファイルのダウンロードのようなデータの転送」のような「非リアルタイム(NRT)サービス」がなされるのは当然であること。

これらのことは,特許発明17における「端末装置」が備える「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のため」の所定の第2の時間切れ時間を有する「リアルタイムタイマーA」が,発明の詳細な説明及び図面の記載においては,「非リアルタイム(NRT)タイマー」と称されていることを示している。
他方,本件特許の願書に添付された明細書における発明の詳細な説明及び図面の記載において,「RTタイマー(リアルタイムタイマー)」が,「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する」ことの記載も示唆も発見しない。
つまり,明細書及び図面の記載全体をみると,特許発明17における「リアルタイムタイマーA」は,詳細な説明及び図面に記載された「非リアルタイム(NRT)タイマー」と同一の「タイマー」であるが,詳細な説明及び図面に記載された「リアルタイム(RT)タイマー」と異なる「タイマー」であるといわざるを得ない。

以上から,本件第1訂正事項1は,特許発明17対して誤記の訂正を目的としたものに該当するといえる。
そして,本件第1訂正事項1のように,特許発明17を特定する事項であった「リアルタイムタイマーA」を「非リアルタイム(NRT)タイマー」と変更しても,特許発明17の技術的範囲に変更を生じないことは明白であり,また,特許発明17の技術的範囲に拡張を生じないことも明らかである。
したがって,本件第1訂正事項1は,特許発明17を実質上変更するものであるということも,実質上拡張するものであるということもできない。
よって,本件第1訂正事項1は,特許発明17に対して誤記の訂正を目的とし,実質上特許請求の範囲を変更するものでも拡張するものでもない。

そして,該本件第1訂正事項1は,実質上特許請求の範囲を拡張するものではないこと,願書に添付された明細書,図面に記載した事項の範囲内においてされたものであることは,明らかである。
また,訂正後における請求項17に記載された事項により特定される発明が特許を受けることができないとする理由を発見しない。
つまり,該本件第1訂正事項1は,訂正後の請求項17に記載された事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

(3) 小活
以上のとおりであるから,本件第1訂正事項1は,特許法第126条第1項ただし書第2号(誤記の訂正)に該当し,同条第5項,第6項及び第7項に規定する要件を満たしている。

2.本件第1訂正における訂正事項2について
(1) 本件第1訂正における訂正事項2(以下「本件第1訂正事項2」という。)は,本件特許の請求項17に「起動する手段(510、511、515,605)を備える」とあるのを,「起動する手段(510、511、515)を備える」に訂正しようとするものであるところ,該訂正は,願書に添付された図面において使用された符号であって,本件特許発明17を特定する事項である「起動手段」を理解するため用いられた符号「605」を削除しようとするものである。
ここで,該本件第1訂正事項2が,誤記の訂正であることは明らかである。
そして,該本件第1訂正事項2が,願書に添付された明細書及び図面の範囲内でないとすること,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものであるとすること,訂正後の請求項17に記載された事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるないとすることができないことは,明白である。

イ 小活
以上のとおりであるから,本件第1訂正事項2は,特許法第126条第1項ただし書第2号(誤記の訂正)に該当し,同条第5項,第6項,及び第7項に規定する要件を満たすものである。

3.本件第2訂正における訂正事項1について
(1) 本件第2訂正における訂正事項1(以下「本件第2訂正事項1」という。)は,要するに,本件特許の請求項20に係る特許発明(以下「特許発明20」という。)における「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間」を有する「リアルタイム(RT)タイマー」(以下,当該「リアルタイム(RT)タイマー」を「リアルタイムタイマーB」という。)を、「非リアルタイム(NRT)タイマー」に訂正しようとするものである。
そして,該本件第2訂正事項1が,特許発明20を特定する事項であった「リアルタイムタイマーB」を「非リアルタイム(NRT)タイマー」とすることは,特許発明を特定する事項を変更するものであって,特許発明20を変更しようとするものであることは明らかである。
つまり,上記本件第2訂正事項1は,特許請求の範囲を変更しようとするものであるといわざるを得ない。
(2) ここで,上記本件第2訂正事項1による特許請求の範囲を変更することが「実質上特許請求の範囲を変更する」ことに該当するか(特許法第126条第6項の規定に該当するか)について検討する。

まず,特許発明20を特定する事項である「ネットワーク・ノード」とは,明細書の記載によれば,「CNノード」,「サービングGPRSサポート・ノードSGSN」,「ノードB」が相当すると解される。
しかし,上記「CNノード」,「サービングGPRSサポート・ノードSGSN」,「ノードB」が,「リアルタイム(RT)タイマー」あるいは「非リアルタイム(NRT)タイマー」を,特許発明20のように備えることを,明細書又は図面の記載において発見しない。
ここで,明細書【0031】-【0034】(上記摘記エ参照。)の記載を参酌してみると,「RTタイマー」及び「NRTタイマー」を備えるのは「ユーザ装置(UE)」と「RNC(無線ネットワーク・コントローラ)」であることは明白である。
そうしてみると,明細書の記載においては,「RNC(113)」と「ノードB(114)」とを有する「RNS(無線ネットワーク・サブシステム)(112)」が,上記「ネットワーク・ノード」に相当すると解するのが自然である。

これらのことは,特許発明20における「ネットワーク・ノード」,すなわち「RNS」が備える「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のため」の所定の第2の時間切れ時間を有する「リアルタイムタイマーB」が,上記「1.(2)」において述べたと同様に,発明の詳細な説明においては,「非リアルタイム(NRT)タイマー」と称されていることを示しているといえる。
他方,本件特許の願書に添付された明細書における発明の詳細な説明及び図面の記載において,「RTタイマー(リアルタイムタイマー)」が,「単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する」ことの記載も示唆も発見しない。
つまり,明細書及び図面の記載全体をみると,特許発明20における「リアルタイムタイマーB」は,詳細な説明及び図面に記載された「非リアルタイム(NRT)タイマー」と同一の「タイマー」であるが,詳細な説明及び図面に記載された「リアルタイム(RT)タイマー」と異なる「タイマー」であるといわざるを得ない。

以上から,本件第2訂正事項1は,特許発明20に対し誤記の訂正を目的としたものに該当するといえる。
そして,本件第2訂正事項1のように,特許発明20を特定する事項であった「リアルタイムタイマーB」を「非リアルタイム(NRT)タイマー」と変更しても,特許発明20の技術的範囲に変更を生じないことは明白であり,また,特許発明20の技術的範囲に拡張を生じないことも明らかである。
したがって,本件第2訂正事項1は,特許発明20を実質上変更するものであるということも,実質上拡張するものであるということもできない。
よって,本件第2訂正事項1は,特許発明20に対し誤記の訂正を目的とし,実質上特許請求の範囲を変更するものでも拡張するものでもない。

そして,該本件第2訂正事項1は,実質上特許請求の範囲を拡張するものではないこと,願書に添付された明細書,図面に記載した事項の範囲内においてされたものであることは,明らかである。
また,訂正後における請求項20に記載された事項により特定される発明が特許を受けることができないとする理由を発見しない。
つまり,該本件第2訂正事項1は,訂正後の請求項20に記載された事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

(3) 小活
以上のとおりであるから,本件第2訂正事項1は,特許法第126条第1項ただし書第2号(誤記の訂正)に該当し,同条第5項,第6項及び第7項に規定する要件を満たしている。

4.本件第1訂正における訂正事項3及び本件第2訂正における訂正事項2について
(1) 本件第1訂正における訂正事項3(以下「本件第1訂正事項3」という。)は,要するに,本件第1訂正事項1による特許発明17に対する訂正にともなって,明細書【0015】における「本発明は、アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムの端末装置に対しても適用され、その端末装置は、
単数文は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」とある記載を,「本発明は、アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムの端末装置に対しても適用され、その端末装置は、
単数文は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」との記載に訂正しようとするものである(下線は当審が付与)。

そして,この訂正が,誤記の訂正を目的としたものであることは,上記1.に述べたと同様である。

以上のとおりであるから,本件第1訂正事項3は,特許法第126条第1項ただし書第2号(誤記の訂正)に該当する。

(2) 本件第2訂正における訂正事項2(以下「本件第2訂正事項2」という。)は,要するに,本件第2訂正事項1による特許発明20に対する訂正にともなって,明細書【0015】における「さらに本発明はアクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードに対しても適用され、そのネットワーク・ノードは、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」とある記載を,「さらに本発明はアクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードに対しても適用され、そのネットワーク・ノードは、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」との記載に訂正しようとするものである(下線は当審が付与)。

そして,この訂正が,誤記の訂正を目的としたものであることは,上記3.に述べたと同様である。

以上のとおりであるから,本件第2訂正事項2は,特許法第126条第1項ただし書第2号(誤記の訂正)に該当する。

(3) 小活
以上から,本件第1訂正事項3及び本件第2訂正事項2は,要するに,明細書【0015】における記載の誤記を訂正し,「【0015】 本発明は、アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムの端末装置に対しても適用され、その端末装置は、
単数文は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。
さらに本発明はアクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードに対しても適用され、そのネットワーク・ノードは、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。」との記載にするものである。
そして,上記のように【0015】を訂正することは,願書に添付された明細書及び図面の記載を総合してみても,上記誤記の訂正を目的としたものであることは明らかである。
そして,該本件第1訂正事項3及び本件第2訂正事項2は,訂正前及び訂正後の請求項17,20に記載された事項により特定される発明,本件特許の請求項1-16,18-19,21に記載された事項により特定される発明を実質上拡張又は変更するものではないこと,つまり,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないこと,願書に添付された明細書,図面に記載した事項の範囲内においてされたものであることは,明白である。
また,該本件第1訂正事項3及び本件第2訂正事項2により,訂正前及び訂正後の請求項17,20に記載された事項により特定される発明も,請求項1-16,18-19,21に記載された事項により特定される発明も,特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。


第5 むすび

以上のとおりであるから,本件第1訂正事項1-3及び本件第2訂正事項1,2は,特許法第126条第1項ただし書第2号(誤記の訂正)に該当し,同条第5項,第6項,及び第7項に規定する要件を満たすものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
無線接続の障害が検出された状況に応答する方法および時間切れ時間を設定する方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】セルラー無線ネットワークの移動局(103、UE)とネットワーク・ノード(113、RNC)のそれぞれにおいて、少なくとも1つの無線ベアラを含む切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための時間切れ時間を設定する方法であって、
単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために用いられる無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立が可能な期間のための所定の第1の時間切れ時間(206、207)を有するリアルタイム(RT)タイマーを起動するステップと、
単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために用いられる無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立が可能な期間のための所定の第2の時間切れ時間(208、209)を有する非リアルタイム(NRT)タイマーを起動するステップと、を有することを特徴とする時間切れ時間を設定する方法。
【請求項2】前記セルラー無線ネットワークの移動局(103、UE)において、前記RTタイマーを起動するステップ及び前記NRTタイマーを起動するステップに関して、前記セルラー無線ネットワークのネットワーク・ノード(113、RNC)から制御メッセージ(202、203)で前記所定の第1の時間切れ時間の値と前記所定の第2の時間切れ時間の値とを、それぞれ前記RTタイマーと前記NRTタイマーで使用するために受信することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】前記セルラー無線ネットワークの移動局(103、UE)において、前記セルラー無線ネットワークのネットワーク・ノード(113、RNC)から、前記RTタイマーを起動するステップに関して、第1の制御メッセージ(202)で前記所定の第1の時間切れ時間の値を前記RTタイマーで使用するために受信し、さらに、前記NRTタイマーを起動するステップに関して、前記第1の制御メッセージ(202)とは異なる第2の制御メッセージ(243)で前記所定の第2の時間切れ時間の値を前記NRTタイマーで使用するために受信することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】前記セルラー無線ネットワークの移動局(103、UE)において、前記セルラー無線ネットワークのネットワーク・ノード(113、RNC)から、前記RTタイマーを起動するステップに関して、制御メッセージ(202、203)で前記所定の第1の時間切れ時間の値を前記RTタイマーで使用するために受信し、さらに、前記NRTタイマーを起動するステップに関して、前記移動局の記憶装置(511)から前記所定の第2の時間切れ時間の値を前記NRTタイマーで使用するために読み出すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】前記セルラー無線ネットワークの移動局(103、UE)とネットワーク・ノード(113、RNC)のそれぞれにおいて、前記RTタイマーを起動するステップに関して、切断された無線接続(204)を検出した時点から、前記単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立がそれ以上できなくなる時点(206、207)までの持続時間として、前記所定の第1の時間切れ時間を使用し、さらに、前記NRTタイマーを起動するステップに関して、切断された無線接続(204)を検出した時点から、前記単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立がそれ以上できなくなる時点(208、209)までの持続時間として、前記所定の第2の時間切れ時間を使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】前記セルラー無線ネットワークの移動局(103、UE)とネットワーク・ノード(113、RNC)のそれぞれにおいて、切断された無線接続(204)を検出した時点から、前記単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立がそれ以上できなくなる時点(206、207)までの持続時間として、前記所定の第1の時間切れ時間を使用し、さらに、前記NRTタイマーを起動するステップに関して、前記単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立が、それ以上できなくなる時点(206、207)から、前記単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立がそれ以上できなくなる時点(208、209)までの持続時間として、前記所定の第2の時間切れ時間を使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】前記セルラー無線ネットワークの移動局(103、UE)とネットワーク・ノード(113、RNC)のそれぞれにおいて、数個の時間切れ時間(206、207)を決定するステップであって、各時間切れ時間が、数個の種類の中の単数又は複数のサービスを提供するために使用される無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立が可能な期間に関係し、前記数が2より大きいように成されるステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】セルラー無線ネットワークの移動局が、移動局自身とセルラー無線ネットワークのネットワーク・ノードとの間の無線接続(301)の障害(302)を検出する状況に応答する方法において、
前記移動局で、
a)第1のタイマーを起動させるステップ及び第2のタイマーを起動させるステップと、
b)移動局がイン・サービス・エリア内に存在するかどうかをチェックするステップ(304)と、
c)イン・サービス・エリア内に存在する移動局に対する応答として無線接続の再確立を開始するステップ(305)とを、有する方法であって、
d’)移動局がイン・サービス・エリア内に存在しない状態で第1の時間切れ値に達する前記第1のタイマーに対する応答として(206、308)、単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して無線接続の再確立を不能にするステップ(309)と、
d’’)移動局がイン・サービス・エリアの内に存在しない状態で第2の時間切れ値に達する前記第2のタイマーに対する応答として(208、310)、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して無線接続の再確立を不能にするステップ(311)とを有することを特徴とする無線接続の障害を検出する状況に応答する方法。
【請求項9】前記移動局において、ステップc)で開始される無線接続の再確立の完了に対する応答として、前記第1および第2のタイマーのなかの時間が切れていないタイマーを停止するステップを有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】前記移動局において、ステップc)で開始された無線接続の再確立の障害表示に対する応答として、前記第1および第2のタイマーのいずれかがその時間切れ値に達したかどうかをチェックするステップと、前記チェック後、
d’’’)前記第1のタイマーが第1の時間切れ値に達したことを示す結果に対する応答として(205、308)、前記単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して無線接続の再確立を不能にするステップ(309)と、
d’’’’)前記第2のタイマーが第2の時間切れ値に達したことを示す結果に対する応答として(206、310)、前記単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して無線接続の再確立を不能にするステップ(311)を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】移動局がイン・サービス・エリア内に存在しない状態で時間が切れた前記第1及び第2のタイマーの双方に対する応答として、失敗した無線接続に対して割り振られたすべての無線資源をローカルに開放するステップを有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】前記移動局において、前記第2のタイマーを起動させるステップ(303)及び前記第1のタイマーを起動させるステップ(205、303)に関して、前記第2のタイマーを起動させる時点が、前記第1のタイマーを起動させる時点と一致することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】前記移動局において、前記第2のタイマーを起動させるステップ(303)及び前記第1のタイマーを起動させるステップ(205、303)に関して、前記第2のタイマーを起動させる時点が、前記第1のタイマーが前記第1の時間切れ値に達する時点と一致することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】セルラー無線ネットワークのネットワーク・ノードによって、ネットワーク・ノード自身とセルラー無線ネットワークの移動局との間の無線接続(301)の障害が検出された(302)状況に応答する方法において、
前記ネットワーク・ノードで、
a)第1のタイマーを起動させるステップ及び第2のタイマーを起動させるステップと、
b)接続再確立リクエストが前記移動局から受信されたかどうかをチェックするステップ(304)と、
c)前記移動局から受信された前記接続再確立リクエストに対する応答として、無線接続の再確立を開始するステップ(305)とを有する方法であって、
d’)前記接続再確立リクエストが前記移動局から受信されなかった状態で、第1の時間切れ値に達した前記第1のタイマーに対する応答として(207、308)、単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して前記無線接続の再確立を不能にするステップ(309)と、
d’’)前記接続再確立リクエストが前記移動局から受信されなかった状態で、第2の時間切れ値に達した前記第2のタイマーに対する応答として(209、310)、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して前記無線接続の再確立を不能にするステップ(311)とを有することを特徴とする無線接続の障害が検出された状況に応答する方法。
【請求項15】前記ネットワーク・ノードにおいて、ステップc)で開始される前記無線接続の再確立の完了に対する応答として、前記第1および第2のタイマーのうちで時間が切れていないタイマーを停止するステップを有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】前記ネットワーク・ノードにおいて、前記接続再確立リクエストが前記移動局から受信されなかった状態で時間が切れた前記第1及び第2のタイマーの双方に対する応答として、失敗した無線接続によって一部が構成された通信接続用として割り当てられたすべての通信資源をローカルに開放するステップを有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段(512)を有するセルラー無線システムの端末装置であって、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段(510、511、515)を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項18】前記セルラー無線システムのネットワーク・ノードから制御メッセージで前記所定の第1の時間切れ時間の値と前記所定の第2の時間切れ時間の値とを、それぞれ前記RTタイマーと前記NRTタイマーで使用するために受信する手段(515)を備えることを特徴とする請求項17に記載の端末装置。
【請求項19】前記セルラー無線システムのネットワーク・ノードから前記制御メッセージで前記所定の第1の時間切れ時間の値を前記RTタイマーで使用するために受信する手段(515)と、あらかじめ記憶された所定の第2の時間切れ時間の値を前記NRTタイマーで使用するために記憶装置(511)から読み出す手段と、を備えることを特徴とする請求項17に記載の端末装置。
【請求項20】アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段(605)を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードであって、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段(605)を備えることを特徴とするネットワーク・ノード。
【請求項21】前記単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための前記所定の第1の時間切れ時間の値と、前記単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための第2の時間切れ時間の値と、を端末装置へ伝える手段を備えることを特徴とする請求項20に記載のネットワーク・ノード。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にセルラー無線システム内の移動端末装置と基地局の間の切断された無線接続を再確立する技術に関する。特に、本発明は再確立手順を最適化して無線ベアラを介して提供されるサービスのリアルタイム性または非リアルタイム性を考慮する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信システムとは、そのユーザーとネットワークとの間の無線通信を可能にする任意の通信システムを指す。移動通信システムでは、ユーザーはネットワークのカバーエリア内で移動が可能である。移動通信ネットワークは、無線アクセス・ネットワーク及びコア・ネットワークである2つの主要部分に分けることができる。無線アクセス・ネットワークの例として、GSM(汎欧州デジタル移動電話方式)及びGSMの拡張された形であるEDGE(次世代GSM用拡張型データ・レート)、GPRS(一般パケット無線サービス)、GSM/GPRSベースの第3世代無線ネットワークであるGERAN(GPRS EDGE無線アクセス・ネットワーク)、IS-95(中間規格)、DS-41、CDMA2000(符号分割多元接続)、WCDMA UTRAN(広帯域CDMA UMTS地上無線アクセス・ネットワーク、全世界的移動通信システム)がある。コア・ネットワークの例として、GSM、GPRS、IS-41(ANSI-41とも呼ばれる)及びこれらのコア・ネットワークの第3世代の進化した形がある。
【0003】
現在の標準化トレンドとして、1つの無線アクセス・ネットワークを様々なコア・ネットワークタイプと接続する可能性を見出そうとするトレンドが存在し、また、この逆のトレンドすなわち1つのコア・ネットワークタイプを様々な無線アクセス・ネットワークと接続する可能性を見出そうとするトレンドも存在する。この種の活動の好適な1例として3GPP仕様作業があり、この作業でWCDMA UTRANの接続性が、GSMベース(GPRSを含む)とIS-41ベースのコア・ネットワークの双方に対して指定される。本発明は、異なる移動通信システムにおいて利用可能であり、特定の無線アクセス・ネットワークやコア・ネットワークに限定されるものではない。以下、UMTSに関して、具体的には第3世代パートナーシップ・プロジェクト3GPPで指定されるUMTSシステムに関して例を挙げながら本発明を説明するが、本発明はUMTSに限定されるものではない。
【0004】
多くの第2世代およびほとんどの第3世代セルラー方式の無線システムの仕様では、移動端末装置と基地局間のリアルタイム(RT)及び非リアルタイム(NRT)サービスの確立がサポートされている。RTサービスは、音声及びリアルタイム・ビデオのような時間が決定的な重要性を持つアプリケーション用として利用され、一方、NRTアプリケーションは通常e-メールやファイルのダウンロードのようなデータの転送を行う。不適当な遅延が生じているかどうか、あるいは、サービスを提供している無線ベアラに切断が生じているかどうかにユーザー(人間のユーザーであれ、プロセスであれ)がすぐに気がつくことがRTサービスの特徴である。
【0005】
セルラー無線システムでは、ユーザー端末装置とサービスを提供している基地局との間の無線接続が、干渉や好ましくない信号伝搬条件のために一時的に切断されることがしばしば生じる。ほとんどのセルラー無線システムでは、切断された接続を速やかに再確立する構成が予め設けられており、事故がユーザーに気づかれずに過ごされたり、少なくとも不都合ができるだけ小さくなるように成されてきた。一例として、ESTI(欧州電気通信標準化機構)によって発行されている3GPP(第3世代パートナーシップ・プロジェクト)仕様番号TS25.331、TS25.302、TS25.321およびTS25.322の中でRRC(無線資源制御)接続を行うために規定されている再確立手順について考察を行う。これらの仕様は本明細書に参照文献として取り入れられている。
【0006】
前記従来技術の文献によれば、無線リンク障害などのために無線接続が切断されて移動端末装置(UE;ユーザー装置)がいわゆるCELL#DCH状態になった場合、この移動端末装置はいわゆるCELL#FACH状態に移って、RRC接続の再確立をリクエストすることにより新しいセル選択が開始される。頭字語DCHとFACHとは、専用チャネル(Dedicated CHannel)と順方向アクセス・チャネル(Forward Access CHannel)とに由来し、前記状態は、移動端末装置がこれらのチャネルを主として使用することを特徴とする。無線接続の切断を検出した後、移動端末装置は、前記従来技術の文献では、タイマーT314すなわち「再確立」タイマーと呼ばれるタイマーを起動させる。移動端末装置は、接続再確立が可能な「イン・サービス・エリア(in service area)」内に存在する場合、タイマーT314を停止し、上り回線CCCH、すなわち共通制御チャネル(Common Control CHannel)で、RRC CONNECTION RE_ESTABLISHMENT REQUESTとして知られているメッセージの伝送を行う。しかし、移動端末装置が「イン・サービス・エリア」内に存在する前にタイマーT314が時間切れになった場合、移動端末装置は基地局とのアクティブな通信が不可能なRRC-アイドル・モードに入らなければならない。
【0007】
タイマーT314の値は0?4095秒の間であればいずれの値でもよい。RNC(無線ネットワーク・コントローラ)は、タイマー値を設定し、周知のRRC接続設定、無線ベアラ設定、無線ベアラ開放、無線ベアラ再構成、トランスポート・チャネル再構成、物理チャネル再構成およびRRC接続再確立メッセージのような何らかの専用制御メッセージでこのタイマー値を移動端末装置へ送る。言い換えれば、このタイマー値は当該移動端末装置専用の値とすることができ、さらに、このタイマー値は移動端末装置の現在のサービス構成などに依ってRRC接続中変更することさえできる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の構成に関する問題点として、リアルタイム対非リアルタイム・サービスなどの様々なタイプのサービスに関するその非柔軟性がある。RT接続は、その性質のために長い遅延や切断に耐えられないので、タイマーT314(あるいは同様の目的のために用いられる他のタイマー)の時間切れを設定するための比較的小さな値が数秒単位で選択されることが望ましい。RTベアラの再確立の可能性を「消す(turn off)」ことさえ可能であり、これは、UEの無線接続が切断された場合、RTベアラが(UEとUTRANではローカルに)即座に開放されることを意味する。一方、NRT接続の方はRT接続に比べるとずっと耐久性があり、数分単位あるいは数10分単位の一時的遅延に耐えることができる。移動端末装置がリアルタイム接続と非リアルタイム接続の双方に関連するアクティブな無線ベアラを無線リンク障害時に使用している場合、これらのベアラのうちの少なくとも一方が再確立タイマー用として不適切に選択された時間切れ値を持つことになるという問題がある。
【0009】
リアルタイム/非リアルタイムという接続タイプの類別に加えて、無線ベアラを介して伝えられるサービスを、接続再確立のタイミングに関して異なる要件も有する他の種類のグループに類別化することができる。
【0010】
接続再確立を可能にして、様々なタイプのサービス要求を考慮に入れるようにする方法および装置を提供することが本発明の目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、様々な種類の無線ベアラの再確立時間を制御するための別個のタイマーあるいはいくつかの上位レイヤーのモニター構成を規定することにより達成される。
【0012】
本発明は、その第1の態様では、セルラー無線ネットワークの移動局とネットワーク・ノードのそれぞれにおいて、少なくとも1つの無線ベアラを含む切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための時間切れ時間を設定する方法に関するものであって、
単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために用いられる無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立が可能な期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーを起動するステップと、
単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために用いられる無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立が可能な期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーを起動するステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明は、その第2の態様では、セルラー無線ネットワークの移動局が、移動局自身とセルラー無線ネットワークのネットワーク・ノードとの間の無線接続の障害を検出する状況に応答する方法に関するもので、
前記移動局で、
a)第1のタイマーを起動させるステップ及び第2のタイマーを起動させるステップと、
b)移動局がイン・サービス・エリア内に存在するかどうかをチェックするステップ(304)と、
c)イン・サービス・エリア内に存在する移動局に対する応答として無線接続の再確立を開始するステップとを、有する方法であって、
d’)移動局がイン・サービス・エリア内に存在しない状態で第1の時間切れ値に達する前記第1のタイマーに対する応答として、単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して無線接続の再確立を不能にするステップと、
d’’)移動局がイン・サービス・エリアの内に存在しない状態で第2の時間切れ値に達する前記第2のタイマーに対する応答として、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して無線接続の再確立を不能にするステップとを有することを特徴とする。
【0014】
本発明は、その第3の態様では、セルラー無線ネットワークのネットワーク・ノードによって、ネットワーク・ノード自身とセルラー無線ネットワークの移動局との間の無線接続の障害が検出された状況に応答する方法に関するもので、
前記ネットワーク・ノードで、
a)第1のタイマーを起動させるステップ及び第2のタイマーを起動させるステップと、
b)接続再確立リクエストが前記移動局から受信されたかどうかをチェックするステップと、
c)前記移動局から受信された前記接続再確立リクエストに対する応答として、無線接続の再確立を開始するステップとを有する方法であって、
d’)前記接続再確立リクエストが前記移動局から受信されなかった状態で、第1の時間切れ値に達した前記第1のタイマーに対する応答として、単数又は複数のリアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して前記無線接続の再確立を不能にするステップと、
d’’)前記接続再確立リクエストが前記移動局から受信されなかった状態で、第2の時間切れ値に達した前記第2のタイマーに対する応答として、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用される無線ベアラに関して前記無線接続の再確立を不能にするステップとを有することを特徴とする。
【0015】
本発明は、アクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムの端末装置に対しても適用され、その端末装置は、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。
さらに本発明はアクティブな無線ベアラを含む無線接続の障害を検出する手段を有するセルラー無線システムのネットワーク・ノードに対しても適用され、そのネットワーク・ノードは、
単数又は複数のリアルタイム・サービスの提供のために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第1の時間切れ時間を有するリアルタイム(RT)タイマーと、単数又は複数の非リアルタイム・サービスを提供するために使用する無線ベアラに関して、切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための所定の第2の時間切れ時間を有する非リアルタイム(NRT)タイマーと、を起動する手段を備えることを特徴とする。
【0016】
従来技術の構成の非柔軟性は、再確立の試みが許容される期間が単一の再確立タイマーによって決定されるという事実に起因する。本発明によれば、無線ベアラの様々なカテゴリ用の別個のタイマーまたはいくつかの上位レイヤーのモニター構成が規定される。このようなカテゴリの例として、RT無線ベアラとNRT無線ベアラ、CS(回線交換)領域無線ベアラおよびPS(パケット交換)領域無線ベアラと、確認応答モード/非確認応答モードを利用する無線ベアラ、あるいは、オーディオ、ビデオあるいはe-メールなどのような透過的モードのレイヤー2再送プロトコル、あるいは、ある特定のサービス・タイプに役立つ無線ベアラがある。またその他の無線ベアラ専用の、または、無線アクセス・ベアラ専用の、または、サービス専用のパラメータを用いて再確立カテゴリの規定を行うことができる。すべての無線アクセス・ベアラに対して、あるいは、すべての無線ベアラについて別個に再確立タイマーを規定することができる。
【0017】
従来技術によれば、1つの無線アクセス・ベアラは、1つの、あるいは多くの無線ベアラを用いて(無線アクセス・ベアラ)サービスを実現することができる。2つ以上の無線ベアラを必要とする典型的サービスとして、AMR(適応型マルチレート)コーデックを利用する音声がある。本発明を実現する1つの方法は再確立タイマー(例えばT314、T315、…、T3xxのように番号をつけた)のプール(pool)を規定することである。この再確立タイマーの最大数は無線ベアラの最大数に等しい。各無線アクセス・ベアラ設定で、これらのタイマーの中の1つは、設定されている無線アクセス・ベアラに割り当てられ、少なくとも値が既に以前に設定されていなければ、オプションとしてこのタイマー用の(新しい)タイムアウト値が設定される。そしてこの無線アクセス・ベアラに属するすべての無線ベアラ(1?N)はこのタイマーと関連づけられる。したがって、各無線アクセス・ベアラ(およびそれが使用している無線ベアラ)は、所望であればそれ自身のタイマーを持つことも可能である。一方、1つのタイマーに多くの無線アクセス・ベアラ(およびそれらが使用している無線ベアラ)を割り当てることもできる。この構成によって最大の必要な柔軟性が通信事業者に与えられ、無線アクセス・ネットワークで再確立手順が実現される。(この構成の唯一の「制約」として、1つの無線アクセス・ベアラ内の単一の無線ベアラが異なる再確立タイマー値を持つことができないということがある。しかし、1つの無線アクセスベアラ・サービスの異なる部分に対して異なる再確立タイマー値を持つことが必要となることは予測されない。
【0018】
アクティブな無線ベアラを介して受信された情報の中で生じる誤り率のモニターを行うことが音声コーデックあるいはビデオ・コーデックなどによって可能であることを上位レイヤーのモニター構成という用語によって意味する。誤り率の急上昇の最も可能性が高い原因として、無線ベアラの一時的切断が考えられる。完全に損なわれたフレームの数またはその他の個別の情報単位を計算するカウンタはタイマーの任務を引き継ぐことができるので、カウンタが所定の閾値に達したとき、「タイマー」の時間は切れたものと見なされる。
【0019】
シグナリング(signaling)無線ベアラ(これはいかなるRABとも関連づけられず、UEとCNエンティティの間のシグナリング接続と関連づけられる)は、ユーザー・プレーン(user-plane)における無線アクセス・ベアラ用として用いられる最大の再確立タイマーに好適に従う。UEが「イン・サービス」エリア内に存在しない時、ユーザー・プレーン内の最後の再確立タイマーの時間が切れるとき、シグナリング接続も(ローカルに)開放することができ、この接続はRRCアイドル・モードへ移される。RRC接続が単なる制御プレーン・エンティティ(シグナリング無線ベアラ)だけを含む場合、ロケーション更新処理中の場合などであるが、2つの可能性すなわち再確立タイマーを使用しないか、再確立タイマーをシグナリング無線ベアラに別個に割り当てる必要があるかのいずれかの可能性が存在する。前者の選択肢では、システムは上位レイヤーのタイマーに依存し、さらに、そのタイマーの時間が切れたとき、シグナリング無線ベアラを用いる上位レイヤーがローカルRRC接続を開放するという事実に依存する。後者の選択肢の中には、BCHによるシステム情報メッセージ放送の中に再確立タイマー値を含めることができる。あるいは、UTRANからUEへ送られる何らかの専用シグナリングメッセージの中にこの再確立タイマー値を含めることによりこの値を個別に各UEに割り当てることができる。
【0020】
第1のタイプの(NRT関連などの)無線ベアラを含むRRC接続の許された再確立期間の時間調整を行う新しく導入された構成は一定時間の期間に基づいて、このタイプの無線ベアラを持つRRC接続が切断された後の一定時間の期間後に再確立タイマーの時間が常に切れるようにすることができる。別の選択肢として、RT接続再確立タイマーを決定し動的にこのタイマーの変更さえ行う既存のメカニズムを利用する選択がある。RNCまたは対応する制御エンティティから移動端末装置へ到来するメッセージに情報要素を追加することができる。これらのメッセージによってその公知の形でRT接続再確立タイマーの現在値が与えられる。
【0021】
本発明の特徴として考えられる新規の特徴は特に添付の請求項に記載されている。しかし、本発明の追加の目的および利点と共に、その構成とそのオペレーションの方法の双方に関して、添付図面と関連して読むとき、具体的な実施例についての以下の記載から本発明自体をもっとも良く理解することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の適用性を例示するために、図1を参照しながらセルラー無線ネットワークアーキテクチャのある周知の特徴について検討することにする。移動電話システムの主要部分はCN(コア・ネットワーク)101と、UTRAN(UMTS地上無線アクセス・ネットワーク)102とUE(ユーザー装置)103である。CN101は外部ネットワーク104と接続することができる。この外部ネットワーク104の例の中には、CS(回線交換)ネットワーク105(公衆陸上移動通信ネットワークPLMN、公衆電話交換網PSTN、サービス総合ディジタル網ISDNなど)あるいはPS(パケット交換)ネットワーク106(インターネットなど)が含まれる。CN101とUTRAN102との間のインターフェースはIuインターフェースと呼ばれ、UTRAN102とUE103との間のインターフェースはUuインターフェースと呼ばれる。図1に示すように、RNCは典型的には2つのCNノード(移動通信サービス交換センターMSC/ビジタ・ロケーション・レジスタVLRとサービングGPRSサポート・ノードSGSN)と接続される。いくつかのネットワーク・トポロジーでは、1つのRNCが1つのCNノードまたは3つ以上のCNノードだけと接続される可能性がある場合もある。
【0023】
CN101はHLR(ホーム・ロケーション・レジスタ)107、MSC/VLR108、GMSC(ゲートウェイMSC)109、SGSN110およびGGSN(ゲートウェイGPRSサポート・ノード)111から構成される。
【0024】
UTRAN102は複数のRNS(無線ネットワーク・サブシステム)112から構成される。2つのRNS間のインターフェースはIurインターフェースと呼ばれる。各RNS112はRNC113と1以上のノードB114を有する。RNC113とノードB114の間のインターフェースはIubインターフェースと呼ばれる。
【0025】
RNC113はUTRAN102の無線資源の制御に責任を負うネットワーク構成要素である。RNC113はCN101と(通常1つのMSC108と1つのSGSN110と)インターフェースし、UE103とUTRAN102と間のメッセージと手順を規定するRRCプロトコルを終端する。RNC113はGSM規格の基地局コントローラに論理的に対応する。
【0026】
ノードB114の主な機能は、公知のようなチャネル符号化とインタリーブ、レート適合化、拡散および対応する機能から成るエア・インターフェースL1(レイヤー1)処理を行うことである。ノードB114は内部ループ電力制御のような基本的なRRM(無線資源管理)オペレーションをも行う。論理的にはこの機能はGSM規格のBTS(基地送受信局)に対応する。
【0027】
ユーザー装置UE103には、ME(移動通信装置)115とUSIM(UMTS加入者識別モジュール)116の2つの部分が含まれる。MEは、UE103とUTRAN102との間のUuインターフェスを介して無線通信を行うために用いられる無線端末装置である。USIM116はスマート・カードであり、このカードは加入者識別子を保持し、認証アルゴリズムを実行し、端末装置で必要となる認証キーと暗号化キーと加入者登録情報を保存する。
【0028】
他の状況では、無線通信用として用いられる無線端末装置は、移動局、移動端末装置、移動通信装置、ユーザー端末装置あるいはその他の装置として知られている。以下の説明では、一貫性を保つためにUEという用語を用いる。特定のセルラー無線ネットワークに関連する用語の使用は例示的なものであり、本発明の適用性を限定するものではないことに留意されたい。
【0029】
CNとUEとの間の通信接続は、シグナリング接続とCNとUEとの間の単数または複数のRAB(無線アクセス・ベアラ)を必要とする。シグナリング接続は、制御プレーン・シグナリング・メッセージを運ぶために利用される。単数または複数のRABは実際のユーザー・プレーン・サービスを運ぶために利用される。アクティブなサービス状態にない(アイドル・モードでの)UEのロケーション更新手順のようなシグナリング手順としてのみ通信接続が利用される場合、この通信接続にはシグナリング接続だけ(RABではない)を含むことができる。CNとUTRANとの間のIuインターフェースを介して進むRAB部分はIuベアラと呼ばれ、UTRANとUEとの間のUuインターフェスを介して進む部分はRB(無線ベアラ)と呼ばれる。1つのRABは1つのまたは多くの無線ベアラ(およびIuベアラ)を使用することができる。Uuインターフェスを介して伝送されるシグナリング接続の部分は、無線ベアラの特別のタイプであり、単に「無線ベアラ」とも呼ばれる場合もあるSRB(シグナリング無線ベアラ)から成る。したがって、単に「無線ベアラ」と言った場合、この用語がユーザー・プレーンと制御プレーンの双方を指す場合があることは明らかである。すべてのSRBとRBとを含むUuインターフェスを介する接続はRRC接続と呼ばれる。1つのUEは、当然いくつかのアクティブなRAB(各ユーザー・サービスについて1つのRAB)を持つことができるが、例えばRRCが2つまたはそれ以上のCNエンティティと接続されていて、UEがそれらのCNエンティティの各々と接続している場合、いくつかのシグナリング接続を持つこともできる。しかし、すべてのシグナリング接続とRABを含むたった1つのRRC接続が存在する。
【0030】
図2はこの例ではUTRANとUEとを有するセルラー無線システムでの通信の態様を概略的に示す。図2では時間は上から下へ流れる。時間201の間ずっと、UEはRRC接続に属する1セットの無線ベアラを介してUTRANと交信し続ける。例示のために、1つのアクティブな無線ベアラと、リアルタイム・サービスを提供するための少なくとも非リアル・タイム・サービスを提供するための1つのアクティブな無線ベアラとが存在することが本発明では仮定されている。UTRANは時間201中少なくとも1回、図2に示すメッセージ202と203のような専用の制御チャネル・メッセージをUEへ送っている。
【0031】
ある一定時点204において、UEとUTRANとの間の無線接続を切断する無線リンク障害が存在する。UEは、無線接続が切断されたことを検出したとき、少なくとも1つのタイマーを起動させる。また、UTRANが無線接続が切断されたことを検出したときも、少なくとも1つのタイマーを起動させる。切断された無線接続に関する情報を伝える1つの具体的な方法が図2に示されている。CPHY-Out-of-Sync INDとして知られているプリミティブを伝えるIubメッセージ205が、RNCのノードBのレイヤー1(個別には示されていない)からレイヤー3(個別には示されていない)へ到来する。同様のプリミティブをUEで使用して、レイヤー1から、実際のタイマーが制御されるレイヤー3へ切断された無線接続を示すこともできる。
【0032】
図2に示す実施例では、RT関連の無線ベアラに関して無線接続の再確立に関係する少なくとも1つのタイマーと、NRT関連の無線ベアラに関して無線接続の再確立に関係する少なくとももう1つのタイマーの少なくとも2つのタイマーがUEとUTRANの双方によって起動される。UEは「イン・サービス・エリア」上に存在しないと想定されている。なぜなら、そのような想定によって、切断された接続の再確立を目的とするメッセージの伝送が開始されるからである。UE内のRTタイマーは、無線リンクの障害を意味する時点204のあまり後ではないある一定の後半の時点206で時間が切れ、従来技術についての説明で述べたように、RT再確立タイマーの典型的な時間切れ時間は秒単位である。これに対応して、RNC内のRTタイマーはある時点207で時間が切れるが、その時点は時点206よりわずかに後である。RNC内のタイマーの時間切れをわずかに遅延させる理由は、UEが、UE内のタイマーの時間が切れる前の非常に短い時間だけ「イン・サービス・エリア」内に存在するような場合も許容しなければならないためである。UEが反応するには時間がかかり、さらに、RRC接続の再確立が再送手順を受けることさえできるUTRANでの受信成功前に、UE発呼の無線伝送に依存するので、RNCにおけるタイマーがUEタイマーと同時に時間が切れるなら運用上賢明ではない。RNC内で使用される遅延値を計算する簡単な方法は許容される再確立試行回数に、UEが再確立を試みるために応答メッセージを待っている最大時間を乗算することである。これらのカウンタとタイマーはプロトコル規格で規定されており、前述の従来技術の文献によればこの遅延はN301*T301となる。シミュレーション及び/又は実験を利用して、UEに関してRNC内で用いられる遅延の適切な値を見つけることもできる。
【0033】
本発明の態様によれば、ある一定のさらに後の時点208でUEのNRTタイマーの時間が切れる。この時間切れは無線リンクの障害後数分の場合もある。ある一定の遅延後再び、RNCのNRTタイマーは時点209で時間が切れる。各場合に、RNC内のタイマーの時間切れによって「RAB開放リクエスト」タイプ(あるいは同種のリクエスト)のIuメッセージがCNへ向かって送られる。このようなメッセージによって、タイマーの時間が切れる無線ベアラに対応する、Iuインターフェースにおけるその部分の開放手順が開始される。メッセージ210と211が例示を目的として図2に示される。
【0034】
条件つきの複数の形式の「タイマー」で、我々が意味するものは、すべてのRT関連の無線ベアラ用の単一の普通のタイマーと、すべてのNRT関連の無線ベアラ用の単一の普通のタイマーとが存在し得ること、あるいは、これらのカテゴリの1つまたは両方のいくつかのタイマーが存在し得るということである。極端な場合としてすべての無線ベアラがそれ自身のタイマーを持っている場合もある。このような構成によって、すべてのアクティブな無線ベアラの特定の必要性に従って再確立手順の非常に柔軟な決定が可能になるが、同時にRNCとUEとの間のシグナリングを行う必要性が著しく大きくなる。
【0035】
公知の構成によれば、専用の制御チャネル・メッセージ202または203のうちの少なくとも一方が、1つのタイマー、典型的にはRTタイマー用として使用されるべき時間切れ時間をUEに伝える情報要素を有する。本発明は、このような規定を拡張して、例えば、専用の制御チャネル・メッセージ202と203の双方が十分な情報要素を有して、すべてのタイマーの適用可能な時間切れ時間を宣言するようにしたり、あるいは、専用の制御チャネル・メッセージ202と203の各々が1つのタイマーの時間切れ時間を告げるようにしたりすることができる。
【0036】
周知の再確立タイマーの時間切れ値の選択可能性は、従来技術のタイマーがNRT関連のアクティブな無線ベアラだけが存在するような場合などに対して適応可能でなければならなかったという事実の結果である。このような場合、時間切れ値は、アクティブなRT関連の無線ベアラが存在した場合よりずっと大きくすることができる。本発明によって、RT関連の無線ベアラ用として周知の選択可能なタイマーの使用が可能になる一方で、NRT関連の無線ベアラに関して無線接続の再確立を左右するタイマー用として完全に固定した時間切れ値を用いることもできるということに留意されたい。後者の場合は、既存の構成と比較してシグナリングの必要性を全く増やすことはない。
【0037】
すべての無線ベアラがRT通信に使用されるのかまたはNRT通信に使用されるのかどうかの明示的指示と関連付けられるとは限らない。しかし、すべての無線ベアラは、unack(非確認応答)またはack(確認応答)モードRLCの形で透過的RLC(無線リンク制御)または非透過的RLCのいずれかを用いるものとして特徴づけることができる。本発明の目的のために、透過的または非確認応答のRLCを用いる無線ベアラは、RTサービスを提供するために利用されるものと見なし、確認応答のRLCを用いる無線ベアラはNRTサービスを提供するために利用されると見なすと規定することができる。
【0038】
発明の要約で以上指摘したように、本発明は、RTタイプの無線ベアラとNRTタイプの無線ベアラに関するタイプ依存型再確立タイミングに対してだけでなく、接続の回線またはパケット交換の性質に従う再確立タイミングの適合にも、あるいは、無線ベアラの異なるQoS(サービス品質)特性に対して、または、ある一定の無線ベアラあるいは無線ベアラ・グループに特有の何らかの他の特徴に対しても適用可能である。このような「他の」特徴の1例として、1つの、または多くの無線ベアラを使用できる無線アクセス・ベアラがある。このように、別個の再確立時間を各無線アクセス・ベアラまたは無線アクセス・ベアラ・グループに割り当てることができる。例えば無線アクセス・ベアラが提供しているサービス・タイプまたはQoSプロファイルによって無線アクセス・ベアラの類別を行うことができる。本特許出願では、各サービス・タイプ(あるいはQoSプロファイル)用として、あるいは、サービス・タイプの「カテゴリ」と呼ばれる1グループのサービス・タイプ用として別個の再確立タイマーを割り当てることが可能である。
【0039】
図3は、2つの再確立タイマーを使用する代替アプローチを示すものであるが、これらのタイマーのうちの一方がRT関連の無線ベアラ用として依然として存在し、他方がNRT関連の無線ベアラ用として存在する。無線リンク障害が生じた時点204でRT関連の無線ベアラ用タイマーだけが起動される。UE内のRTタイマーの時間切れ206の時点で、NRTタイマーが起動される。UEのNRTタイマーは時点206から時点208へ作動する。これに対応して、RTタイマーの時間切れ207の時点でRNCのNRTタイマーが起動され、このタイマーは時点207から時点209へ作動する。存在するタイマーの数にかかわらず少なくとも部分的にタイマーを連鎖する原理を当然適用することができる。複数のタイマーが存在する状況での部分的連鎖は、少なくとも2つの他のタイマーを起動させる時点として1つのタイマーの時間切れの時点が用いられることを意味する。例えば、NRT関連の無線ベアラに関係するRRC接続の再確立を左右するすべての無線ベアラ専用タイマーは、RT関連の無線ベアラ用として単一のタイマーの時間切れの時点で起動することができる。
【0040】
図4は、UEまたはRNCのオペレーションを設定するための本発明の実施例に従う方法を示す。ステップ302で検出された通信障害によって、アクティブな無線ベアラが存在する状態301が中断された場合、ステップ303で再確立タイマーが起動される。ステップ304は、UEが「イン・サービス・エリア」内に存在するかどうかのチェックであり、これはUEでは簡単なチェックであるが、RNCでは、ステップ304は、RRC接続再確立メッセージがUEから受信されたかどうかの検出を行うことを意味する。ステップ304での肯定の検出によって、RRC接続の再確立が開始されるステップ305へ導かれる。再確立が完了した後、タイマーはステップ306で停止される。
【0041】
ステップ304での否定の検出によって、タイマーがまだ作動中かどうかをチェックするためにタイマーのポーリングを行うステップ307へ導かれる。ステップ308でタイマーの時間が切れたことが認知された場合、UEは、タイマーの時間が切れた無線ベアラの資源をローカルに開放し、この部分的開放の指示をUE内の上位プロトコルレイヤーへ送ることになるであろう。この段階で、タイマーの時間が切れた無線ベアラはRRC接続から削除される。再確立タイマーがまだ作動中の無線ベアラに関して、UEは依然としてRRC接続の再確立が可能な状態になっている。図3に示すようなタイマーの連鎖原理が用いられる場合、ステップ309には、拡張タイマーの開始ポイントとして時間切れのタイマーを使用する「拡張」タイマーの起動ステップも含まれる。
【0042】
RNCから見ると、ステップ309は、タイマーの時間が切れた無線ベアラの資源をローカルに開放することと、対応するRAB開放リクエストの生成とを意味する。
【0043】
ステップ310で、すべてのタイマーの時間が切れたかどうかのチェックが行われる。1つでもタイマーがまだ作動中であれば、UEまたはRNCはステップ304へ戻る。しかし、この段階で「イン・サービス・エリア」が検出された場合には、ステップ305での再確立の次の開始は、再確立タイマーが作動している残りの無線ベアラとのRRC接続の再確立だけに関係する。すべてのタイマーの時間が切れた後、ステップ311でUEは完全なRRCアイドル・モードに入る。RNCに関しては、すべてのタイマーの時間が切れた後、RNCは、完全なRRCアイドル・モードに入る前にCNへIu開放リクエスト・メッセージを送りCNからの応答を待つ。これらの手順はRNCのオペレーションにおけるステップ311の一部を構成する。
【0044】
上記の説明では、少なくとも1つの無線ベアラに関係するRRC接続の再確立がステップ305に従って開始される場合については考察しなかったが、再確立タイマーによって、この無線ベアラは再確立手順が完了する前に時間切れになる。上記の説明では、ステップ306で再確立手順が完了した後でのみ再確立タイマーが停止されると仮定されている。1つの解決方法として、再確立手順用の自身のタイマーを備えるようにする方法がある。以下の説明では、このタイマーをタイマーT301あるいは手順用タイマーと呼ぶことにする。タイマーT301は、ステップ305での再確立開始時点で起動される。タイマーT301の時間切れ値は、再確立を試みる最長許容時間を示す。タイマーT301が作動中の場合、たとえ1つ以上の前述の再確立タイマーの時間が切れるようなことがあったとしても、再確立手順は継続される(例えば移動局は、ネットワークへ送信した再確立リクエストに対する応答を待ち続ける)。再確立手順が最終的にうまく完了した後、再確立タイマーの時間が切れたか否かにかかわらず再確立が行われる。タイマーT301の時間が切れた場合、それは再確立の現在の試みが成功しなかったことを意味し、その場合ステップ305からステップ307への推移が生じる。この最終的に生じる推移が図4に破線として示されている。この推移によって、失敗した再確立の試行中タイマーのいずれかの時間が切れたかどうかをチェックするために再確立タイマーのポーリングが行われる。
【0045】
図5は、状態図として、本発明の実施例に従うUEまたはRNCの動作を示す図である。状態401は、3GPPフレーム構成でCELL_DCH状態に対応するアクティブな通信状態である。無線接続の障害は、その元の無線ベアラのすべてのRRC接続の最初の再確立が可能な状態402へ導かれる。UEが「イン・サービス・エリア」内に存在する場合、再確立が開始されたとき状態403への推移が生じる。ここで再びRNCに関してUEが「イン・サービス・エリア」内に存在することが検出された場合それは再確立リクエストが受信されたことを意味する。しかし、状態402から、状態404と405への推移もまた可能である。状態404への推移は、中断が長すぎたためにRT関連の無線ベアラの復元が不可能であることが上位レイヤーの「タイムアウト」によって示された場合に生じる。上位レイヤーの指示は単なる時間以外の他の測定値に基づく場合もあるので「タイムアウト」という用語は引用符で示される。例えば、カウンタによって、通信の障害が検出されてからパスしたフレームの数やその他の個別の情報単位がカウントされる場合もある。状態404から2つの可能な推移、すなわち「イン・サービス・エリア」が検出される前にNRT接続の再確立用タイマーが時間切れになった場合に完全なRRCアイドル状態406へ移るか、あるいは時間切れにならなかった場合に前述のRRC接続再確立状態403へ移るかのいずれかへの推移の可能性が存在する。状態404から状態403への推移が生じた場合、再確立されたRRC接続には再確立タイマーの時間がまだ切れていない(NRT関連の)無線ベアラだけが含まれる可能性があることに留意しなければならない。
【0046】
何らかの理由のために、NRT関連の無線ベアラに関するRRC接続の再確立用タイマーの時間が、前記上位レイヤーの「タイムアウト」前に切れた場合に、状態402から状態405への推移が生じる。その後、「イン・サービス・エリア」が検出される前に上位レイヤーの「タイムアウト」が生じた場合完全なRRCアイドル状態406へ移るか、あるいは、上位レイヤーの「タイムアウト」が生じなかった場合前述のRRC接続再確立状態403へ移るかのいずれかの推移が生じる。再度、状態403への推移が生じた場合に、再確立RRC接続には、上位レイヤーの「タイムアウト」の時間がまだ切れていない(RT関連の)無線ベアラが含まれる可能があることに留意しなければならない。
【0047】
図6は本発明の実施例に従うUEのある部分を概略的に示す図である。アンテナ501はデュプレックス・ブロック502を介して受信ブロック503および送信ブロック504と接続される。受信ブロック503からのペイロード・データのシンク(sink)と送信ブロック504へのペイロード・データのソース(source)はベースバンド・ブロック505であり、このブロックは人間のユーザーあるいは電子的ユーザーと交信を行うためのユーザー・インターフェース・ブロック506と順次接続される。制御ブロック507は受信ブロック503から制御情報を受け取り、送信ブロック504を介して制御情報を送信する。さらに、制御ブロック507はブロック503、504および505の作動を制御する。
【0048】
本発明によれば、制御ブロック507は、必要なタイマーと上位レイヤー・タイムアウト検出装置とが設けられるタイマーおよびタイムアウト・ブロック510を具備する。タイマーおよびタイムアウト・ブロック510とは時間切れ値用記憶装置511から現在適用可能な時間切れ値を取得し、障害検出ブロック512から到来する信号に対する応答として、タイマー及びタイムアウト検出器を起動させ、タイマーとタイムアウト検出器の時間が切れたか否かに関する情報をモード制御ブロック513に提供する。タイマーとタイムアウト・ブロック510とは、作動中のどのタイマーとタイムアウト検出器も停止させることにより、サービス検出ブロック514からの信号に対して応答するように設けられる。時間切れ値用記憶装置511は、シグナリングメッセージで現在適用可能な時間切れ値をネットワークから受信するためのシグナリング検出器515と典型的には接続される。残りのNRT関連の無線ベアラとのRRC接続の再確立を行うための固定した比較的長い時間切れ時間を決定するという潜在的目的のために、時間切れ値用記憶装置511はその中に記憶された1つの固定した時間切れ時間値またはいくつかの固定した時間切れ時間値を持つこともできる。
【0049】
図7は、セルラー無線ネットワークの、もっと正確に言えば、WCDMAを利用するUMTS無線ネットワークの典型的RNCの機能構成を規定する図である。本発明は、当然のことであるが、それに限定されるものと考えてはならない。本発明は、他のタイプのセルラー無線ネットワークでも利用可能である。
【0050】
図6のRNCはSFU(スイッチ回路網ユニット)601を具備し、このユニットといくつかの制御プロセッサ・ユニットとの接続を行うことができる。並列冗長性ユニットの形でハードウェア・レベルの冗長性を与えることにより一般に信頼性が高められる。いくつかのプロセッサ・ユニットとSFU601と間でMXU(多重化ユニット)602を利用して、プロセッサ・ユニットからSFU入力ポートの高いビットレートの中へ低いビットレートのマッピングを行うことができる。NIU(ネットワーク・インターフェース・ユニット)603によって、異なるインターフェースとの物理レイヤー接続(例えば、ノードBへ向かうIubインターフェース、他のRNCへ向かうIurインターフェース、コア・ネットワーク・ノードへ向かうIuインターフェース)が処理される。OMU(運用保守ユニット)604にはRNC構成及び障害情報が含まれ、外部の運用保守センターからのアクセスが可能となる。SU(シグナリング・ユニット)605によってRNCで必要なすべての制御プレーン・プロトコル及びユーザー・プレーン・プロトコルが実現される。したがって、図5と関連して上述した方法に類似した方法でタイマーと制御機能とをシグナリング・ユニット内に設けることによりシグナリング・ユニット内のRNCで本発明を実現することが可能となる。
【0051】
切断された無線接続の再確立を可能にする期間のための時間切れ時間の値を端末装置へ伝える手段を具備するある種の周知のセルラー無線ネットワークが存在する。本特許出願の開示を考慮することにより、端末装置に対して別の時間切れ時間の値を伝えるという特徴をこのようなセルラー無線ネットワークの中へ追加することは当業者の能力の範囲内である。この場合、端末装置は、リアルタイム・サービスを提供するために用いられる無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立が可能となる期間を計算するために、伝えられた時間切れ時間値のうちの一つの値を用いることができ、さらに、非リアルタイム・サービスを提供するために用いられる無線ベアラに関して切断された無線接続の再確立が可能となる期間を計算するために、伝えられた時間切れ時間値のうちもう一つ他の値を用いることができる。
【0052】
いくつかの既存のセルラー無線ネットワークの仕様の中で定着した用語である本特許出願で使用された用語あるいはコンセプトの使用が、本発明の適用可能性に対して限定を加えるものと解されるべきではない。従属クレームで開示される特徴は、明白に別様に述べられていない限り相互に組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
公知のネットワーク・アーキテクチャを示す図である。
【図2】
本発明の実施例が適用される通信状態を示す図である。
【図3】
別の本発明の実施例が適用される通信状態を示す図である。
【図4】
本発明の実施例による方法を示す図である。
【図5】
別の本発明の実施例による方法を示す図である。
【図6】
本発明の実施例による移動端末装置を示す図である。
【図7】
本発明の実施例による無線ネットワーク・コントローラを示す図である。
【符号の説明】
507…制御ブロック
510…タイマーおよびタイムアウト・ブロック
511…時間切れ値用記憶装置
512…障害検出ブロック
513…モード制御ブロック
514…サービス検出ブロック
515…シグナリング検出器
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-02-20 
出願番号 特願2001-48917(P2001-48917)
審決分類 P 1 41・ 855- Y (H04W)
P 1 41・ 852- Y (H04B)
P 1 41・ 855- Y (H04L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 桑江 晃  
特許庁審判長 近藤 聡
特許庁審判官 佐藤 聡史
水野 恵雄
登録日 2007-05-25 
登録番号 特許第3961774号(P3961774)
発明の名称 無線接続の障害が検出された状況に応答する方法および時間切れ時間を設定する方法  
代理人 高石 秀樹  
代理人 大浦 博司  
代理人 近藤 直樹  
代理人 辻居 幸一  
代理人 辻居 幸一  
代理人 近藤 直樹  
代理人 飯田 圭  
代理人 大浦 博司  
代理人 高石 秀樹  
代理人 飯田 圭  

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