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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する D06F
管理番号 1287751
審判番号 訂正2014-390040  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2014-02-21 
確定日 2014-04-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3607020号「洗濯機」に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3607020号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件訂正審判の請求の要旨は特許第3607020号発明(平成8年11月15日特許出願、平成16年10月15日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)?(4)のとおり訂正することを求めるものである。
(1)訂正事項1
請求項1における「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合した」なる記載を「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合した」と訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0005】における「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合した」なる記載を「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合した」と訂正する。
(3)訂正事項3
明細書の段落【0006】における「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合しているから」なる記載を「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合しているから」と訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0026】における「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合しているから」なる記載を「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合しているから」と訂正する。

2.当審の判断
(1)訂正事項1について
訂正前の請求項1を分説すると
A「上部に脱水口を有する脱水槽と、この脱水槽を収容する外槽とを具えると共に、その外槽の上部の内周部に実質的に接してこれを覆う内覆い部を有する環状の外槽カバーを具え、この外槽カバーを外槽の上部の外周部に形成したボス部にねじ止めして取付けるものにおいて、そのボス部を外槽の上部の外周部から溝部で隔てて形成し、その溝部が外槽の上部の全周にあって、外槽カバーが内覆い部の外方に差込み部を有し、この差込み部を前記溝部に差込むと共に、」
B「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合したことを特徴とする洗濯機。」である。

ア.上記Aの記載によると、「そのボス部を外槽の上部の外周部から溝部で隔てて形成し、その溝部が外槽の上部の全周にあ」るから、溝部は外槽の上部の外周部の外側の全周に設けられるものである。
また、外槽カバーは「外槽の上部の内周部に実質的に接してこれを覆う内覆い部を有」し、「内覆い部の外方に差込み部を有」するものであり、「この差込み部を前記溝部に差込む」ものである。
したがって、外槽カバーの内覆い部は外槽の上部の内周部側に位置し、外槽カバーの差込み部は外槽の上部の外周部側に位置することになるので、外槽カバーの内覆い部と差込み部との間には外槽の上部が存在すると理解できる。

一方、上記Bの記載の「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合した」では、「溝部」と「外槽カバーの上部」とがともに外槽カバーの一部であるから、「この差込み部を前記溝部に差込むと共に」嵌合することはできず、技術的に矛盾することが当業者にとって明らかであるとともに上記Aの記載とも整合していない。

イ.上記事項について、本件特許明細書及び図面を参照して検討を進める。
(ア)本件特許明細書には、その段落【0005】、【0006】及び【0026】に「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合」との記載はあるものの、それ以外に「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合」することについての具体的な説明はない。
(イ)一方、本件特許明細書の他の個所には、【発明の実施の形態】の説明として、図1ないし図3とともに、「このボス部32と外槽12の上部の外周部との間には溝部31の一部を余しており、これによって、ボス部32を外槽12の上部の外周部から溝部31で隔てて形成した形態としている。」(段落【0011】)、
「これに対して、外槽カバー36は、上覆い部37と取付部38とをほゞ水平状に有し、その境界部から内覆い部39を下方へほゞ垂直状に有する断面ほゞT字形の環状を成しており、・・・(中略)・・・又、内覆い部39の外方に位置してはこれより短寸の環状リブから成る差込み部41を取付部38から下方へ突出させて形成している。」(段落【0013】)、
「内覆い部39を脱水槽14の内周部に沿って進め、差込み部41は溝部31に差込んで、取付部38を外槽12の上端面及びボス部32の上端面に載置する。そして、その後、図3に示すように、ねじ33を取付孔40に通し下穴34に螺挿して締付けることにより、外槽カバー36を外槽12の上部に取付け固定する。」(段落【0015】)と記載されており、
図3には、外槽カバー36の内覆い部39が外槽12の上部の内周部にシール材42を介して接して覆い、外槽カバー36の差込み部41が外槽12の上部の外周部とボス部32との間の溝部31に差し込まれて、
外槽12の上部は、外槽カバー36の内覆い部39と差込み部41に挟まれる様子が図示される。
(ウ)上記(イ)で摘示した記載及び図示内容によれば、
外槽について、「そのボス部を外槽の上部の外周部から溝部で隔てて形成し、その溝部が外槽の上部の全周にあ」ること、
外槽カバーについて、「外槽の上部の内周部に実質的に接してこれを覆う内覆い部」及び「内覆い部の外方に差込み部」を有すること、及び、
取付け固定時、「外槽12の上部は、外槽カバー36の内覆い部39と差込み部41に挟まれる」ように差し込まれることが理解でき、
このように差し込まれて挟まれた状態は、外槽カバー36の差込み部41と内覆い部39との間の溝部を外槽12の上部に嵌合している状態であるといえる。
そうすると、特許明細書及び図面には、上記(ア)で摘記した個所を除き、一貫して「差込み部と内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合」することが記載されているといえる。

ウ.そして、上記ア.及びイ.を総合すると、訂正前の請求項1に記載された「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合した」との記載が誤記であることは当業者にとって明らかであり、正しくは、「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合した」ことを表現しようとしたものであると、当業者であれば直ちに認識するものである。
そうすると、訂正事項1は誤記の訂正を目的とするものといえる。

エ.また、上記イ.(イ)で摘記した記載及び図3は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていた事項であるから、上記イ.(ウ)で述べたと同様に、訂正後の記載も願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていたといえ、訂正事項1は願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていた事項の範囲内でするものである。

オ.さらに、訂正前の請求項1に係る発明は、上記ウ.で述べたように当業者であれば直ちに訂正後の請求項1の記載の誤記であると認識するものであるから、訂正事項1は実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

カ.そして、訂正後の請求項1に記載される事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。

キ.請求項2?4は、「【請求項2】 外槽カバーの内覆い部の外周面にシール材を装着したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】 外槽カバーの内覆い部を下端が脱水槽の脱水口より低く位置する長さとしたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項4】 溝部の底部に水抜き用の孔を形成したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。」と、請求項1を引用するものであるから、訂正事項1により実質的に訂正されるものである。
しかしながら、これら請求項2?4に係る訂正についても、実質的に請求項1と同じであるから、上記ア.?カ.で述べたと同様である。

(2)訂正事項2?4について
訂正事項2?4は「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合した」又は「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽カバーの上部に嵌合しているから」なる記載を、それぞれ「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合した」又は「その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合しているから」と訂正するものであるから、実質的に訂正事項1と同じ訂正である。
そうすると訂正事項2?4についても、(1)で述べたと同様である。

3.むすび
したがって、本件訂正審判の請求は特許法第126条第1項第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第2項?第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
洗濯機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】上部に脱水口を有する脱水槽と、この脱水槽を収容する外槽とを具えると共に、その外槽の上部の内周部に実質的に接してこれを覆う内覆い部を有する環状の外槽カバーを具え、この外槽カバーを外槽の上部の外周部に形成したボス部にねじ止めして取付けるものにおいて、そのボス部を外槽の上部の外周部から溝部で隔てて形成し、その溝部が外槽の上部の全周にあって、外槽カバーが内覆い部の外方に差込み部を有し、この差込み部を前記溝部に挿込むと共に、その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合したことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】外槽カバーの内覆い部の外周面にシール材を装着したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】外槽カバーの内覆い部を下端が脱水槽の脱水口より低く位置する長さとしたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項4】溝部の底部に水抜き用の孔を形成したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は外槽カバーの取付部分を改良した洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、いわゆる脱水兼用洗濯機においては、図4に示すように、上部に脱水口1を有する脱水槽2と、この脱水槽2を収容する外槽3とを具え、そして、その外槽3の上部の内周部に接してこれを覆う内覆い部4を有すると共に脱水槽2の上方部を覆う上覆い部5を有する環状の外槽カバー6を具えたものが供されている。
しかして、このものの場合、外槽カバー6は、図5に示すように、外槽3の外周部の数箇所に形成されたボス部7にそれぞれねじ8止めして取付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のものの場合、脱水時に脱水槽2の回転による遠心力で脱水口1から振切り排出される水は、外槽カバー6によってそれ以上外方へ飛散するのが防止されるようになっている。しかしながら、外槽3の内周部のうち、ボス部7の裏側に位置する部分においては、ここにボス部7の厚みによる外槽3成形材(プラスチック)の冷却固化遅れが原因で凹み(いわゆる肉引け)9が図6に示すように生じ易く、万一凹み9が生じた場合には、この凹み9と外槽カバー6の内覆い部4との間を通して水が漏れ出ることになり、最終的にその水が洗濯機を据付けたところの床面に達してそれをぬらすという危惧を有していた。
【0004】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、脱水時に脱水槽の脱水口から振切り排出される水に対しての遮断性能に優れ、床面のぬれ等を生じることのない洗濯機を提供するにある。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機においては、上部に脱水口を有する脱水槽と、この脱水槽を収容する外槽とを具えると共に、その外槽の上部の内周部に実質的に接してこれを覆う内覆い部を有する環状の外槽カバーを具え、この外槽カバーを外槽の上部の外周部に形成したボス部にねじ止めして取付けるものにあって、そのボス部を外槽の上部の外周部から溝部で隔てて形成し、その溝部が外槽の上部の全周にあって、外槽カバーが内覆い部の外方に差込み部を有し、この差込み部を前記溝部に挿込むと共に、その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合したことを特徴とする。
【0006】
このものによれば、ボス部が外槽の上部の外周部から溝部で隔離されることにより、ボス部の厚みによる外槽成形材の固化遅れが原因の凹みは外槽の内周部にはできず、せいぜい溝部の外側面や内側面等にできるものであり、かくして、その凹みを通して水が漏れ出るということも避けられるようになる。
又、溝部が外槽の上部の全周にあって、外槽カバーが内覆い部の外方に差込み部を有し、この差込み部を前記溝部に挿込むと共に、その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合しているから、脱水槽の脱水口から振切り排出された水に対しての遮断性能を一段と良くでき、水の漏出をより確実に防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施例につき、図1ないし図3を参照して説明する。
まず図2にはいわゆる脱水兼用洗濯機の全体構成を示しており、外箱11の内部に外槽12を弾性吊持機構13により揺動可能に支持して配設し、外槽12の内部に脱水槽14を回転可能に配設している。
【0008】
上記脱水槽14は下部から上部へ漸次径大となるテーパ状を成すようにプラスチックにより成形したもので、その上部にのみ脱水口15を横一列状配置の多数の孔で形成している。又、この脱水槽14の上部には内周部に例えば液体封入形のバランサ16を取付けており、これより下方の内周側部に通水孔17をほゞ全域に多数有する(一部のみ図示)円筒状の内バスケット18を取付け、底部に底カバー19を取付けると共に、撹拌体20を回転可能に配設している。
【0009】
外槽12の外下方部には駆動機構21を配設している。この駆動機構21は、洗濯時に脱水槽14を制止して撹拌体20を正逆両方向に回転させ、脱水時に脱水槽14を撹拌体20と共に一方向に回転させるもので、モータ22を駆動源として具えており、そのほか、ベルト伝動機構23、クラッチ機構24、及びブレーキ機構25等を具えている。
【0010】
又、外槽12の外下方部には排水弁26を配設している。この排水弁26は、洗濯時に脱水槽14内に溜めた水を排水時に内槽14の中心部から外槽12内底部の排水路27を通じて排水ホース28により機外に排出するものである。これに対して、脱水時及びオーバーフローすすぎ時には、脱水槽14の脱水口15から外槽12内に排出される水を、外槽12の底部に形成した排水口29から図示しない接続ホース(図示せず)を通じて同じく排水ホース28により機外に排出するようになっている。
【0011】
そして一方、外槽12の上部には、外周部に、図1に示す断面L字形の環状リブ30によって溝部31を形成している。この溝部31は外槽12の上部の外周部の全周に位置するもので、その外方側のリブ30内面の複数か所(例えば4か所)には、それぞれ半円柱状のボス部32を一体に形成している。しかして、このボス部32と外槽12の上部の外周部との間には溝部31の一部を余しており、これによって、ボス部32を外槽12の上部の外周部から溝部31で隔てて形成した形態としている。
【0012】
ボス部32にはねじ(この場合、タッピンねじ)33をねじ込むための下穴34を形成しており、又、溝部31の底部には、複数か所(例えばボス部32と合った4か所)に水抜き用の孔35を形成している。更に、溝部31の外側壁であるリブ30の外側部の高さは外槽12の周側部の高さより寸法Hだけ大きくしている。
【0013】
これに対して、外槽カバー36は、上覆い部37と取付部38とをほゞ水平状に有し、その境界部から内覆い部39を下方へほゞ垂直状に有する断面ほゞT字形の環状を成しており、その取付部38にねじ33より若干径大な取付孔40を上記下穴34と同数、同位置に形成している。又、内覆い部39の外方に位置してはこれより短寸の環状リブから成る差込み部41を取付部38から下方へ突出させて形成している。この差込み部41は溝部31に差込むためのもので、溝部31の中でも外槽12の上部の外周部とボス部32との間の部分に径方向の位置を合わせている。
【0014】
内覆い部39は長さLを取付状態で下端が脱水槽14の脱水口15より低く位置する寸法としており(図3参照)、この内覆い部39の外周面には例えばビニルテープから成るシール材42を装着している。
加えて、前記溝部31の底部に形成した水抜き用の孔35に対応し、その直下位置の外箱11底部には図2に示すように水受部43を形成している。
【0015】
この構成で、取付孔40が下穴34に合う位置から、内覆い部39を脱水槽14の内周部に沿って進め、差込み部41は溝部31に差込んで、取付部38を外槽12の上端面及びボス部32の上端面に載置する。そして、その後、図3に示すように、ねじ33を取付孔40に通し下穴34に螺挿して締付けることにより、外槽カバー36を外槽12の上部に取付け固定する。
【0016】
しかして、このように外槽12の上部に外槽カバー36を取付けた状態では、外槽12の上部の内周部を内覆い部39がシール材42によりそれに接して覆い、脱水槽14の上方部を上覆い部37が覆う。これにより、脱水時に脱水槽14の回転による遠心力で脱水口15から水が振切り排出されたとき、その水を外槽カバー36が上覆い部37と内覆い部39とで遮断し、それ以上外方へ飛散するのを防止する。
【0017】
この場合、特に外槽カバー36の取付けに供した外槽12のボス部32部分においては、ボス部32が外槽12の上部の外周部から溝部31で隔離されて形成されていることにより、ボス部32の厚みによる外槽12成形材(プラスチック)の固化遅れが原因の凹み(いわゆる肉引け)は外槽12の内周部にはできず、せいぜい溝部31の外側面(リブ30の外側面)や、溝部31の内側面にできる(ボス部32をリブ30の外側に設けた場合)ものであり、かくして、その凹みと外槽カバー36の内覆い部39との間を通して水が漏れ出る従来のような不具合の発生が避けられ、床面のぬれ等を生じないようにすることができる。
【0018】
又、特に上記構成のものでは、溝部31を外槽12の上部の外周部の全周に形成し、外槽カバー36には差込み部41を内覆い部39の外方の全周に形成していて、この差込み部41を溝部31に差込んでいるから、脱水槽14の脱水口15から振切り排出された水に対しての遮断性能を一段と良くでき、水の漏出をより確実に防止することができる。
【0019】
ことに、外槽12の上部の外周部と外槽カバー36の内覆い部39との接合部からの水漏れは、ボス部32部分の凹み(肉引け)以外に、外槽12の上部の外周部と外槽カバー36の内覆い部39との成形誤差による形状の不一致からも生じる可能性があるものであり、よって、このように溝部31に外槽カバー36の差込み部41を差込んで脱水槽14の脱水口15から振切り排出された水に対しての遮断性能を一段と良くすることは、水の漏出を防止する上で有効な手段といえる。
【0020】
更に、外槽カバー36の内覆い部39の外周面にはシール材42を装着しており、これが外槽12の内周面との間に介在されて、それらの間の密封をするから、これにても、脱水槽14の脱水口15から振切り排出された水に対しての遮断性能を一段と良くでき、水の漏出をより確実に防止することができる。
【0021】
加えて、外槽カバー36の内覆い部39は下端が脱水槽14の脱水口15より低く位置する長さとしており、これによっても脱水槽14の脱水口15から振切り排出された水に対しての遮断性能を一段と良くできるから、水の漏出をより確実に防止することができる。
【0022】
そして、溝部31が外槽12の上部の外周部の全周にあって、その底部に水抜き用の孔35を形成していることにより、万一、溝部31に水が溜まることがあっても、その水を孔35から抜いて排出でき、溝部31からの溢出することによる外槽12外への水の漏出を防止することができる。
【0023】
なお、この場合、更に孔35直下位置の外箱11底部には水受部43を形成しているから、孔35から抜いた水が床面に直接落ちることも防止できる。又、溝部31の外側壁であるリブ30の外側部の高さは外槽12の周側部の高さより大きくしているから、溝部31から外槽12外への水の漏出を一段と確実に防止することができる。
たゞし、これらの水受部43及びリブ30の外側部の高さは必ずしも必要な事柄ではなく、それらを必要とするもののみ施すようにすれば良い。
【0025】
なお、脱水槽14の脱水口15は脱水槽14の上部だけでなく、例えば周側部の全部など、上部以外の部分にも設けられていても良い。
このほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0026】
【発明の効果】
本発明は以上説明したとおりのもので、下記の効果を奏する。
請求項1の洗濯機によれば、外槽に対する外槽カバーの取付けに供するボス部の厚みによる外槽成形材の固化遅れが原因の凹みが外槽の内周部にできず、その凹みを通して水が漏れ出るということが避けられるようになるから、脱水時に脱水槽の脱水口から振切り排出される水に対しての遮断性能に優れ、床面のぬれ等を生じることのないようにできる。
又、溝部が外槽の上部の全周にあって、外槽カバーが内覆い部の外方に差込み部を有し、この差込み部を前記溝部に挿込むと共に、その差込み部と前記内覆い部との間の溝部を外槽の上部に嵌合しているから、脱水槽の脱水口から振切り排出された水に対しての遮断性能を一段と良くでき、水の漏出をより確実に防止することができる。
【0027】
請求項2の洗濯機によれば、外槽カバーの内覆い部の外周面に装着したシール材が外槽の内周面との間に介在されて、それらの間の密封をするから、これにても、脱水槽の脱水口から振切り排出された水に対しての遮断性能を一段と良くでき、水の漏出をより確実に防止することができる。
【0028】
請求項3の洗濯機によれば、外槽カバーの内覆い部が下端が脱水槽の脱水口より低く位置する長さを有することで、脱水槽の脱水口から振切り排出された水に対しての遮断性能をやはり一段と良くでき、水の漏出をより確実に防止することができる。
請求項4の洗濯機によれば、万一、溝部に水が溜まることがあっても、その水を抜いて排出でき、溝部からの溢出することによる外槽外への水の漏出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1実施例を示す主要部分の分解斜視図
【図2】
全体の破断側面図
【図3】
主要部分の縦断側面図
【図4】
従来例を示す図2相当図
【図5】
主要部分の破断斜視図
【図6】
図6部分相当拡大図
【符号の説明】
12は外槽、14は脱水槽、15は脱水口、30はリブ、31は溝部、32はボス部、33はねじ、35は孔、36は外槽カバー、39は内覆い部、41は差込み部、42はシール材、Lは内覆い部の長さ、51は溝部、52はボス部を示す。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-04-03 
出願番号 特願平8-304510
審決分類 P 1 41・ 852- Y (D06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 栗田 雅弘  
特許庁審判長 竹之内 秀明
特許庁審判官 平上 悦司
山崎 勝司
登録日 2004-10-15 
登録番号 特許第3607020号(P3607020)
発明の名称 洗濯機  
代理人 特許業務法人サトー国際特許事務所  
代理人 特許業務法人 サトー国際特許事務所  

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