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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1287841
審判番号 不服2013-9978  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-30 
確定日 2014-06-03 
事件の表示 特願2010-520882「移動局及び待ち受け方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 1月21日国際公開、WO2010/008022、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2009年(平成21年)7月15日(優先権主張 2008年(平成20年)7月15日 日本)を国際出願日とする出願であって,平成24年11月20日付けで拒絶理由が通知され,平成25年2月4日付けで意見書とともに手続補正書の提出がなされ,同年2月25日付けで拒絶査定され,同年5月30日に拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2 補正却下の決定

[結論]
平成25年5月30日付け手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
平成25年5月30日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は,本件補正の前の請求項1に記載された事項,
「【請求項1】
マクロセルと、自身に対してアクセス権が設定されているホームセルとを関連付けて管理するように構成されている管理部と、
前記マクロセルからの報知情報を受信した場合に、該マクロセルに関連付けられて管理されている前記ホームセルにおける無線品質と、待ち受けセルにおける無線品質との比較結果に応じて、該ホームセルにおける待ち受けを開始するか否かについて判定するように構成されている待ち受け処理部とを具備し、
前記待ち受け処理部は、前記管理部によって管理されているマクロセルに該当しないセルでは、ホームセルに対するセルサーチ処理を起動しないことを特徴とする移動局。」を,
「【請求項1】
自身に対してアクセス権が設定されているホームセルを管理する場合に、マクロセルと、前記ホームセルとを関連付けるように構成されている管理部と、
前記管理部において管理されたマクロセルに在圏し、かつ前記マクロセルからの報知情報を受信した場合に、該マクロセルに関連付けられて管理されている前記ホームセルにおける無線品質と、待ち受けセルにおける無線品質との比較結果に応じて、該ホームセルにおける待ち受けを試みるためのセルサーチ処理を起動するか否かについて判定するように構成されている待ち受け処理部とを具備し、
前記待ち受け処理部は、前記管理部によって管理されているマクロセルに該当しないセルでは、ホームセルに対するセルサーチ処理を起動しないことを特徴とする移動局。」と変更することを含むものである。(下線は請求人が付与。)

2.本件補正に関する検討
(1) 本件補正により,請求項1の記載に対してなされた変更をみると,
(i) 「管理部」における関連付ける構成に,「自身に対してアクセス権が設定されているホームセルを管理する場合」との事項を附加し,
(ii) 「待ち受け処理部」における判定する構成に,(a)「前記マクロセルからの報知情報を受信した場合」に,「かつ」,「前記管理部において管理されたマクロセルに在圏」する場合との事項を附加し,さらに,(b)判定が,「該ホームセルにおける待ち受けを開始するか否か」であった事項を「該ホームセルにおける待ち受けを試みるためのセルサーチ処理を起動するか否か」との事項に変更することを含むものである。

(2) 請求人の主張する補正の根拠
請求人は,審判請求書における「3」の「3.2 補正の根拠の明示」及び平成25年11月8日付け回答書における「2.前置審査の報告書に示された理由に対する審判請求人の主張」において,それぞれ次のように主張している。
ア 「3.2 補正の根拠の明示
(1) 本審判請求書と同時に提出した手続補正書における請求項1の補正のうち、上述しました特徴(a)に係る補正は、本願明細書の[0034]段落などに基づくものです。
(2) 特徴(b)に係る「前記管理部において管理されたマクロセルに在圏し、かつ前記マクロセルからの報知情報を受信した場合…」との補正は、同[0022]、[0033]段落及び図1などに基づくものです。
また、特徴(b)に係る「該ホームセルにおける待ち受けを試みるためのセルサーチ処理を起動するか否か…」との補正は、同[0041]段落の「マクロセル#Aに対応するホームセル#aに対するセルサーチ処理を行う、すなわち、マクロセル#Aに対応するホームセル#aにおける無線品質の測定を開始する」との記載、同[0047]段落の「移動局UEは、上述のホームセルにおけるパイロット信号の受信を試みる」との記載、及び[0049]段落の「マクロセルにおける無線品質(パイロット信号の受信電力)>ホームセルにおける無線品質(パイロット信号の受信電力)+オフセット値」との記載に基づくものです。
なお、請求項5についても、請求項1と概ね同様の補正をしています。
(3) 以上より、この補正の内容は、出願当初の明細書及び図面の記載に基づくものであり、新規事項は追加されていないと考えます。また、当該補正は、法17条の2において規定される限定的減縮に相当するものと考えます。」
イ 「2.前置審査の報告書に示された理由に対する審判請求人の主張
(1) 前置報告書において指摘されていますように、本願明細書の[0041]段落には、「セルサーチ処理を行う、すなわち、マクロセル#Aに対応するホームセル#aにおける無線品質の測定を開始する」と記載されています。しかしながら、本願明細書における「セルサーチ処理」は、セルにおける無線品質の測定を含む処理であり、つまり、複数のステップに分かれており、直前の状態によって次の具体的な動作が異なります(マルコフ過程)。
(2) 具体的には、[0041]段落では、「セルサーチ処理」の一つであるS103の処理(図10参照)と対応しており、「マクロセル#Aに対応するホームセル#aに対するセルサーチ処理」と表現しています。この場合、マクロセルとホームセル双方の無線品質の測定が繰り返され、このような動作はホームセルでの待ち受け開始条件が満たされるまで継続されます。そして、ホームセルでの待ち受け開始条件が満たされた場合は、「ホームセルでの待ち受けを開始」します。
「ホームセルでの待ち受けを開始」も「セルサーチ処理」の一つであり、S104の処理(図10参照)と対応しています。補正後の請求項1では、当該動作を「(マクロセルに関連付けられて管理されている前記ホームセルにおける無線品質と、待ち受けセルにおける無線品質との比較結果に応じて、該)ホームセルにおける待ち受けを試みるためのセルサーチ処理を起動(するか否かについて判定する)」と表現しています。
(3) つまり、セルサーチ処理は、「マクロセル#Aに対応するホームセル#aに対する」動作や、「ホームセルにおける待ち受けを試みるための」動作等を含むものであり、具体的には、図10に示されています複数のステップに対応するものです。また、前置報告書では、「無線品質の比較結果に応じて、再び無線品質の測定を開始してしまうことになる」ことが指摘されていますが、仮に「セルサーチ処理」が「無線品質の測定」のみを意味するものとした場合、移動局は、永遠にホームセルなど他のセルでの待ち受けを開始することができないことになることを考慮しても、セルサーチ処理が図10に示されています複数のステップに対応すると解釈することが妥当と考えます。
従いまして、「ホームセルにおける待ち受けを試みるためのセルサーチ処理を起動する」ことは、本願の出願当初明細書等に記載した事項であり、補正後の請求項は、補正要件(17条の2第3項)を満たし得ると考えます。」

(3) 当審の見解
ア 本願明細書[0022],[0033],[0034],[0041],[0047],及び[0049]の記載を確認する。なお,これら明細書の記載はこの審判請求の時まで補正,誤訳訂正はなされていない。(下線は当審が付与。)

「[0022] 図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、同一の位置登録エリアLA#αに属するマクロセル#A?#Gが設置されており、マクロセル#A内に、移動局UEに対してアクセス権が設定されているホームセル#aが設置されている移動通信システムが知られている。ここで、マクロセル#A?#G内では、周波数#f1が使用されており、ホームセル#a内では、周波数#f2が使用されているものとする。」

「[0033] 対応関係情報管理部12は、図9に示すように、マクロセル(親マクロセル)#Aと、ホームセル#aとを関連付けて管理するように構成されている。
[0034] アクセス情報管理部13は、移動局UEに対してアクセス権が設定されているホームセル(例えば、ホームセル#a)を管理するように構成されている。」

「[0041] また、待ち受け処理部14は、待ち受けセルの変更を繰り返し、マクロセル#Aにおける待ち受けを介した場合には、マクロセル#Aに対応するホームセル#aに対するセルサーチ処理を行う、すなわち、マクロセル#Aに対応するホームセル#aにおける無線品質の測定を開始する。」

「[0047] 一方、存在すると判定された場合、ステップS102において、移動局UEは、上述のホームセルにおけるパイロット信号の受信を試みる。」

「[0049] 一方、移動局UEが、当該パイロット信号の受信に失敗した場合、すなわち、移動局UEが、当該パイロット信号を発見した場合、ステップS103において、「マクロセルにおける無線品質(パイロット信号の受信電力)>ホームセルにおける無線品質(パイロット信号の受信電力)+オフセット値」が成立するか否かについて判定する。」

イ 上記アに摘記した明細書[0041]の記載によれば,「待ち受け処理部(14)」が,「マクロセル#Aからの報知情報を受信した場合に、該マクロセルに関連付けられて管理されているホームセル#aにおける無線品質と、待ち受けセルにおける無線品質との比較結果に応じて、該ホームセルにおける待ち受けを開始するか否かについて判定する」ように構成されていることは明らかである。
そして,この判定の際に,移動局UEが,アクセス情報管理部13に管理されたマクロセルに在圏することは,同じく摘記した明細書[0033]及び[0034]の記載からも明らかである。
これらのことは,明細書記載の「待ち受け処理部」が,「前記管理部において管理されたマクロセルに在圏し,かつ前記マクロセルからの報知情報を受信した場合に,該マクロセルに関連付けられて管理されている前記ホームセルにおける無線品質と,待ち受けセルにおける無線品質との比較結果」に応じて,「該ホームセルにおける待ち受けを開始するか否か」を判定するように構成されていることが開示されていることを示している。
しかし,本願の明細書及び図面の記載をみても,上記「比較結果」に応じて「ホームセルにおける待ち受けを試みるためのセルサーチ処理を起動するか否か」を判定することの記載を発見しない。
さらに,上記のごとく無線品質の比較を行うことを技術常識に照らすと,比較に用いられる「ホームセルにおける無線品質」は「ホームセルにおける待ち受けを試みるためのセルサーチ」が起動されたことにより得られるものであるといえる。
つまり,明細書の記載によれば,該「比較結果」を得るために「セルサーチ処理」は既に起動されていることになる。
そうすると,該「セルサーチ処理」と「ホームセルにおける待ち受けを試みるためのセルサーチ処理」とは,異なるセルサーチ処理であると解するのが自然である。
このことは,本件補正が,本件補正の前の請求項1に係る発明に対して,新たな技術的事項を導入しようとするものであることを示している。

以上により,本件補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものではない。

3.まとめ
上記のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明及び当審の判断

1.本願発明
上記第2に述べたとおり,本件補正は却下された。
よって,本願の請求項1-8に係る発明は,平成25年2月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2.当審の判断
原査定の理由を検討しても本願を拒絶することはできない。また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

第4 むすび

以上のとおりであるから,結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-05-16 
出願番号 特願2010-520882(P2010-520882)
審決分類 P 1 8・ 561- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 角田 慎治冨田 高史  
特許庁審判長 加藤 恵一
特許庁審判官 近藤 聡
吉田 隆之
発明の名称 移動局及び待ち受け方法  
代理人 三好 秀和  
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