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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) F02C
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) F02C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) F02C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) F02C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) F02C
管理番号 1288305
審判番号 不服2011-24950  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-18 
確定日 2014-06-04 
事件の表示 特願2007-535846「スターリング・エンジンの原理を用いた動力の生成方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月27日国際公開、WO2006/044259、平成20年 5月15日国内公表、特表2008-516147〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 本願は、2005年10月7日(パリ条約優先権主張外国庁受理 2004年10月12日 アメリカ合衆国、2005年2月9日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、特許請求の範囲の記載は、平成23年3月1日付け手続補正書によって補正されたとおりである。
これに対して、平成25年5月29日付けで拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。
そして、上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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(参考)平成25年5月29日付けの拒絶理由の内容

審判請求の番号 不服2011- 24950
(特許出願の番号) (特願2007-535846)
起案日 平成25年 5月29日
審判長 特許庁審判官 中村 達之
請求人 シルバー,ガイ(外1名) 様
復代理人弁理士 木村 政彦(外3名) 様

この審判事件に関する出願は、合議の結果、以下の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見がありましたら、この通知書の発送の日から3ヶ月以内に意見書を提出してください。
理 由
[理由1]
本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
[理由2]
本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
[理由3]
本件出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
[理由4]
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
[理由5]
平成23年3月1日付けでした手続補正は、下記の点で国際出願日における国際特許出願の図面並びに明細書及び請求の範囲の翻訳文(以下、「翻訳文等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照。)。
(なお、平成23年11月18日付け手続補正は却下されている。)

第1 [理由1及び2]について
1.請求項1[理由1又は2]
(1)引用刊行物
・特開2002-256882号公報(以下、「引用文献1」という。)
・特開昭57-52608号公報(以下、「引用文献2」という。)
(2)引用文献1の記載及び図面の記載から、次のことが分かる。
a)段落【0013】ないし【0020】の特に段落【0018】及び【0019】における冷却部63及び加温部73を利用した対流温度差原動装置内の気体の冷却及び加温態様(作用については、段落【0023】ないし【0029】を参照のこと。)並びに図1ないし5の記載から、対流温度差原動装置は、第1の領域及び第2の領域を有し、両領域間を気体通路を介して連続的に循環する気体に浸され、両領域間に温度差があると対流温度差原動装置が動作するようにされたチャンバを含むハウジングを有するものであることが分かる。
b)段落【0023】ないし【0029】並びに図1、4及び5の記載における、タービン40の噴射口42からの気体の噴射及び該噴射された気体の従回転体30の複数の受け板55に衝突させることによる主回転体20の回動態様、従回転体30の受け板55によって流進方向を変えられた気体が主回転体20の受け体56に受けられることによる主回転体20の回動態様、及び、主回転体20の供給口21から一方流路Raに吹き出される気体において主回転体20の回転方向に向けて流進される供給口21の形状により主回転体20の内壁に設けられた山形状の受け部材57が気体を受けることによる回動態様からみて、気体が、第1の領域及び第2の領域で同一の相を維持し、両領域の気体の少なくとも一部が第1の組のブレードと同一方向に回転するものであることが分かる。
c)段落【0013】ないし【0020】並びに図1ないし3の記載から、(第1の領域、第2の領域及び両領域間の2つの気体通路はそれぞれ互いに重複する部分を有するものの、)第1の領域から第2の領域に至る気体通路の部分及び第2の領域から第1の領域に至る気体通路の部分が、チャンバ内の異なる位置にあること、両通路の各々が別個の空間部分を占め、第1の領域から第2の領域に至る気体通路の空間部分が、第2の領域から第1の領域に至る気体通路の空間部分を包囲するものであることが分かる。
(3)引用文献1に記載された発明
引用文献1の記載及び上記(2)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「対流温度差原動装置であって
第1の領域及び第2の領域を有し、両領域間を気体通路を介して連続的に循環する気体に浸され、前記両領域間に温度差があると対流温度差原動装置が動作するようにされたチャンバを含むハウジングと、
前記第1の領域及び前記第2の領域の間に位置し、かつ前記気体の運動により回転運動を行うように前記チャンバの前記気体通路内に設けられた第1の組のブレードとを備え、
前記気体が、前記第1の領域及び前記第2の領域で同一の相を維持し、
前記両領域の前記気体の少なくとも一部が前記第1の組のブレードと同一方向に回転し、
前記第1の領域から前記第2の領域に至る前記気体通路の部分及び前記第2の領域から前記第1の領域に至る前記気体通路の部分が、前記チャンバ内の異なる位置にあると共に両通路の各々が別個の空間部分を占め、前記第1の領域から前記第2の領域に至る前記気体通路の空間部分が、前記第2の領域から前記第1の領域に至る前記気体通路の空間部分を包囲する、対流温度差原動装置。」
(4)対比・判断
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と引用発明とを対比すると、引用発明における「対流温度差原動装置」は、その機能及び技術的意義からみて、本願発明における「熱機関」に相当し、以下同様に、「気体通路」は「流体通路」に、「気体」は「作動流体」にそれぞれ相当する。
してみると、本願発明と引用発明とは、
「 熱機関であって
第1の領域及び第2の領域を有し、前記両領域間を流体通路を介して連続的に循環する作動流体に浸され、前記両領域間に温度差があるようにされたチャンバを含むハウジングと、
前記第1の領域及び前記第2の領域の間に位置し、かつ前記作動流体の運動により回転運動を行うように前記チャンバの前記流体通路内に設けられた第1の組のブレードとを備え、
前記作動流体が、前記第1の領域及び前記第2の領域で同一の相を維持し、前記両領域の前記作動流体の少なくとも一部が前記第1の組のブレードと同一方向に回転し、
前記第1の領域から前記第2の領域に至る前記流体通路の部分及び前記第2の領域から前記第1の領域に至る前記流体通路の部分が、前記チャンバ内の異なる位置にある熱機関。」で一致し、相違点はない。
したがって、本願発明は、刊行物に記載された発明である。

また、第1の領域及び第2の領域並びに両領域間の2つの気体通路に関して、上下方向に配置された両流体通路(との重複箇所の少ない)上部及び下部をそれぞれ第1及び第2の領域とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項である。設計変更例として、引用文献2の特に第6ないし8図に示された「熱H」及び「冷却C」に係る態様を参照のこと。

2.請求項2[理由1又は2]
タービン40の噴射口42からの気体の噴射及び該噴射された気体の従回転体30の複数の受け板55に衝突させることによる主回転体20の回動態様、従回転体30の受け板55によって流進方向を変えられた気体が主回転体20の受け体56に受けられることによる主回転体20の回動態様、及び、主回転体20の供給口21から一方流路Raに吹き出される気体において主回転体20の回転方向に向けて流進される供給口21の形状により主回転体20の内壁に設けられた山形状の受け部材57が気体を受けることによる回動態様からみて、請求項2に係る発明の発明特定事項は、引用文献1に記載されている。
また、循環流により回転を得る際に、循環流のいずれかの箇所に複数の組のブレードを配することに、当業者の格別の創意は要しないといえる。

3.請求項3及び4[理由1又は2]
上記「1.」及び「2.」で説示した内容と同様に、請求項3及び4に係る発明は、新規性進歩性を有しない。

4.請求項5ないし24[理由1又は2]
該請求項に係る発明は、引用発明が備える作用効果等又は引用発明に基づき容易とされたものが備える作用効果等に関する技術的事項を特定するものであるから、新規性進歩性を有しない。
特に、循環流により回転を得る際に、循環流のいずれかの箇所に複数の組のブレードを配することに、当業者の格別の創意は要しないといえる。

第2 [理由3]について
(1)請求項1及び3に係る発明の「前記両領域の前記作動流体の少なくとも一部が前記第1の組のブレードと同一方向に回転し」なる発明特定事項について、請求人は、平成23年3月1日付け意見書において、『補正の根拠は、段落番号0006の末尾に例えば「作動流体は、流体ガイドの集合112を押す」などの記載があり自明です。』と説明しているが、本願のFIG.4に示された流体ガイドの集合112の配置態様は、多数の傾斜配置されたブレードを備える軸流タービンといえ、該タービンのブレードを押すことによりタービンを回転させてタービンより流出した作動流体は、タービンの回動方向とは反対方向へとその流出方向を偏向することが通常であるから、本願の明細書において前記「同一方向に回転」することの説明が不十分且つ不明確である。同様に、請求項2及び4に係る発明の「前記作動流体の運動により前記第1のブレードの回転運動と同じ方向に回転運動する」なる発明特定事項についても、説明が不十分且つ不明確である。

(2)上記(1)の「同一方向」及び「同じ方向」に関連して、請求項7及び17に係る発明の「前記作動流体は、1サイクルで前記第1の領域に戻される該作動流体の運動量が次のサイクルで用いられる連続的な前記流体通路を有する」なる発明特定事項について、請求人は、平成23年3月1日付け意見書において、『「作動流体が両領域間を流体通路を介して連続的に循環すること」を考えれば、第1の領域から第2の領域に至る流体通路の部分内、及び第2の領域から第1の領域に至る流体通路の部分内で作動流体の少なくとも一部は第1の組のブレードと同一方向に回転するということです。したがって、第1の領域から第2の領域へ、第2の領域から第1の領域へと連続的に循環して作動流体が第1の領域に戻ってきたとき、上述の回転運動が作動流体に残存していればその回転運動が再び第1の組のブレードを回転させるのに用いられることになります。このように、(A)の特徴により作動流体の角運動量が複数のサイクルにわたって有効に利用されることになります。』と説明しているが、上記(1)で説示したとおり、作動流体の流出方向が偏向することを踏まえると、次のサイクルで用いられることについての説明が不十分且つ不明確である。
特に、FIG.8に示された「一方向バルブ801」を用いる機関において、一方向バルブの詳細が不明であるし、該詳細な説明の無い一方向バルブを通過する作動流体が、次のサイクルで用いられることについての説明が不十分且つ不明確である。

(3)上記(1)及び(2)に関連する技術的事項といえる、請求項12及び22に係る発明の「サイクロン及び渦」について、明細書において、「【0008】熱領域110aおよび冷領域110bの間に相当な温度差が存在する場合、作動流体(図1の流れ曲線122によって示される)の循環は、確立される。この循環において、作動流体は、円形の運動において、熱領域110aでさらに、放射状に外側に流れ、空間121を通って、冷たい領域110bに(すなわち下方への螺旋形の運動)入り、円形の運動において、冷領域110bで放射状に内部に流れ、および開いた軸113で熱い領域110aに(すなわち、上方への螺旋形の運動で)戻る。熱い作動流体が冷領域110bの方へ循環運動で移動するので、それは、冷たい領域の中央において低圧または圧力の低下を生じる。冷作動流体は引かれ、循環運動において熱領域で上昇する可能性がある。各々の領域の流体流は、したがってハリケーンまたはサイクロン(すなわち、「サイクロンに似た」)の流体の運動に類似している。熱領域において、上昇気流は、作動流体が加熱されると、末端部に向かい外側に螺旋形になり冷領域から強く作動流体を引く。末端部において、強い下降気流は冷領域に作動流体を引き、ここで、それから低い圧点に向かい内側で螺旋形になり、またここで、それは熱領域の中へ戻るように引かれる。作動流体の流動は、渦巻き運動および渦を有する流動を有する。作業流動は連続的な力を出し、タービン構造上に推進力を伝える。作動流体の循環が対流的な垂直の循環であるので、渦巻き運動は、ほとんど水平である。冷領域110bから熱領域110aへの作動流体の流動は、回転する上昇気流である。同様に、熱領域110aから冷領域110bへの作動流体の流動は、回転する下降気流である。」と記載しているが、図面を参照しても、ほとんど水平の渦巻き運動を含め積極的に渦やサイクロンを発生させる手段等についての説明が不十分且つ不明確である。
さらに、上記(1)の「同一方向」及び「同じ方向」に係る技術的事項、並びに、上記(2)の(一方向バルブの説明を含めた)作動流体の運動量が次のサイクルで用いられる技術的事項との関係についても、説明が不十分且つ不明確である。

第3 [理由3及び4]について
請求項13及び23に係る発明の「ドラフト」について、明細書において説明が不十分且つ不明確であり、発明が不明瞭である。

第4 [理由5]について
上記「第2」で指摘したとおり、請求項1ないし4、7及び17に係る発明の発明特定事項の補正の根拠が不明であり、当該請求項に係る発明の発明特定事項を含む請求項1ないし24に係る発明の補正は、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
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審理終結日 2013-12-26 
結審通知日 2014-01-07 
審決日 2014-01-21 
出願番号 特願2007-535846(P2007-535846)
審決分類 P 1 8・ 113- WZF (F02C)
P 1 8・ 537- WZF (F02C)
P 1 8・ 536- WZF (F02C)
P 1 8・ 121- WZF (F02C)
P 1 8・ 561- WZF (F02C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石黒 雄一  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 藤原 直欣
金澤 俊郎
発明の名称 スターリング・エンジンの原理を用いた動力の生成方法およびシステム  
復代理人 高尾 智満  
代理人 大島 陽一  
復代理人 勝見 陽介  
復代理人 高尾 智満  
復代理人 立川 幸男  
復代理人 立川 幸男  
復代理人 勝見 陽介  
復代理人 木村 政彦  
代理人 大島 陽一  
復代理人 木村 政彦  

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