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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1288902 |
審判番号 | 不服2013-5822 |
総通号数 | 176 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-04-01 |
確定日 | 2014-05-07 |
事件の表示 | 特願2012-519648「発光装置、バックライトユニット、液晶表示装置及び照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月26日国際公開、WO2012/144126〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年3月12日(特許法第41条に基づく国内優先権主張 平成23年4月20日)を国際出願日とする出願であって、平成24年6月4日付けで拒絶理由が通知され、同年7月23日に手続補正がなされ、同年9月21日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年11月12日に手続補正がなされ、平成25年1月11日付けで前記平成24年11月12日付け手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月1日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成25年4月1日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、補正前(平成24年7月23日付け手続補正後のもの)の特許請求の範囲として 「【請求項1】長尺状の基板と、 前記基板上に当該基板の長手方向に沿って一直線状に配列された複数の半導体発光素子と、 光波長変換体を含み、前記複数の半導体発光素子を封止する封止部材と、を備え、 前記封止部材は、前記複数の半導体発光素子を一括封止するとともに、前記複数の半導体発光素子の配列方向に沿って直線状に前記基板の長手方向の両端縁まで形成され、 前記封止部材を平面視した場合、前記封止部材の端部の輪郭線は曲率を有する 発光装置。 【請求項2】前記封止部材を平面視した場合の当該封止部材の端部の輪郭線は円弧である 請求項1に記載の発光装置。 【請求項3】前記封止部材を平面視した場合の当該封止部材の端部の輪郭線は円弧の曲率半径R_(1)は、前記封止部材の線幅Wsに対して、R_(1)=Ws/2である 請求項2に記載の発光装置。 【請求項4】前記封止部材を側面視した場合、前記封止部材の端部の輪郭線は曲率を有する 請求項1?3のいずれか1項に記載の発光装置。 【請求項5】前記封止部材を側面視した場合の当該封止部材の端部の輪郭線は円弧である 請求項4に記載の発光装置。 【請求項6】前記封止部材を側面視した場合の当該封止部材の端部の輪郭線は円弧の曲率半径R_(2)は、前記封止部材の高さHsに対して、R_(2)=Hs/2である 請求項5に記載の発光装置。 【請求項7】前記封止部材の直線方向の長さをLsとし、前記封止部材の線幅をWsとしたときに、 10≦Ls/Ws、である 請求項1?6のいずれか1項に記載の発光装置。 【請求項8】前記半導体発光素子の前記直線方向の長さをLcとし、前記半導体発光素子の前記直線方向に直交する方向の長さをWcとすると、 Wc≦Lc、である 請求項7に記載の発光装置。 【請求項9】Wc≦Ws/4、である 請求項8に記載の発光装置。 【請求項10】前記封止部材の高さをHsとし、前記封止部材の断面における前記封止部材中心から45度方向の長さをHs_(45)とすると、 0.9≦Hs_(45)/Hs≦1.1、である 請求項8又は請求項9に記載の発光装置。 【請求項11】0.4≦Hs/Ws≦0.6、である 請求項10に記載の発光装置。 【請求項12】さらに、前記基板上に形成され、前記複数の半導体発光素子に電力を供給するための2つの電極を備え、 前記2つの電極のうちの一方の電極は、前記基板の長手方向の一方の端部に形成され、 前記2つの電極のうちの他方の電極は、前記基板の長手方向の他方の端部に形成されており、 前記一方の電極と前記他方の電極は、前記封止部材を基準として前記基板の一方の長辺側に片寄せて形成される 請求項1?11のいずれか1項に記載の発光装置。 【請求項13】前記封止部材は、前記封止部材の線幅の中心を通る直線と前記基板の短手方向の中心を通る直線とが異なるように形成されている 請求項12に記載の発光装置。 【請求項14】前記複数の半導体発光素子は、同一のピッチで配列されており、 前記複数の半導体発光素子のうち両端に位置する2つの半導体発光素子のそれぞれは、 当該両端に位置する半導体発光素子と前記基板の端縁との距離が前記ピッチの半分となるように配置される 請求項1に記載の発光装置。 【請求項15】さらに、前記複数の半導体発光素子のそれぞれにはワイヤがボンディングされており、 前記ワイヤそれぞれの少なくとも一部は、前記封止部材によって封止されており、 前記封止部材に封止される前記ワイヤの全てが、前記封止部材の直線方向と同じ方向で設けられている 請求項1?14のいずれか1項に記載の発光装置。 【請求項16】さらに、前記複数の半導体発光素子を静電保護するための保護素子を備え、 前記保護素子は、前記複数の半導体発光素子とともに一直線状に配列されている 請求項1?15のいずれか1項に記載の発光装置。 【請求項17】前記保護素子及び前記複数の半導体発光素子の全ての素子は、同一のピッチで配列されている 請求項16に記載の発光装置。 【請求項18】さらに、前記保護素子及び前記複数の半導体発光素子のそれぞれにはワイヤがボンディングされており、 前記ワイヤそれぞれの少なくとも一部は、前記封止部材によって封止されており、 前記封止部材に封止される前記ワイヤの全てが、前記封止部材の直線方向と同じ方向で設けられている 請求項16又は請求項17に記載の発光装置。 【請求項19】さらに、前記複数の半導体発光素子と電気的に接続された第1配線及び第2配線を備え、 前記第1配線及び前記第2配線のそれぞれは、前記基板上において前記基板の長手方向 に沿って略平行に形成された直線状の直線部を有し、 前記封止部材は、前記第1配線の直線部と前記第2配線の直線部との間に形成される 請求項1?18のいずれか1項に記載の発光装置。 【請求項20】前記第1配線の直線部及び前記第2配線の直線部は、ガラスコーティングされている 請求項19に記載の発光装置。 【請求項21】前記光波長変換体は、前記複数の半導体発光素子が発する光を励起する蛍光体である 請求項1?20のいずれか1項に記載の発光装置。 【請求項22】請求項1?21のいずれか1項に記載の発光装置を備える バックライトユニット。 【請求項23】前記発光装置を複数備え、 複数の前記発光装置は、当該発光装置の基板同士を接触させて配置される 請求項22に記載のバックライトユニット。 【請求項24】請求項22又は請求項23に記載のバックライトユニットと、 前記バックライトユニットから照射される光の光路上に配置された液晶パネルと、を備える 液晶表示装置。 【請求項25】請求項1?21のいずれか1項に記載の発光装置を備える 照明装置。 【請求項26】前記発光装置を複数備え、 複数の前記発光装置は、当該発光装置の基板同士を接触させて配置される 請求項25に記載の照明装置。」 とあったものを、補正後の特許請求の範囲として、 「【請求項1】一の方向に隣接して配置された複数の発光装置を有する光源であって、 前記複数の発光装置の各々は、 前記一の方向に長尺状をなす基板と、 前記基板上に当該基板の長手方向に沿って一直線状に配列された複数の半導体発光素子と、 光波長変換体を含み、前記複数の半導体発光素子を封止する封止部材と、を備え、 前記封止部材は、前記複数の半導体発光素子を一括封止するとともに、前記複数の半導体発光素子の配列方向に沿って直線状に前記基板の長手方向の両端縁まで形成され、 前記封止部材を平面視した場合、前記封止部材の端部の輪郭線は曲率を有する 光源。 【請求項2】前記複数の発光装置の各々において、前記封止部材を平面視した場合の当該封止部材の端部の輪郭線は円弧である 請求項1に記載の光源。 【請求項3】前記複数の発光装置の各々において、前記封止部材を側面視した場合、前記封止部材の端部の輪郭線は曲率を有する 請求項1又は2に記載の光源。 【請求項4】前記複数の発光装置の各々は、 さらに、前記基板上に形成され、前記複数の半導体発光素子に電力を供給するための2つの電極を備え、 前記複数の発光装置の各々において、 前記2つの電極のうちの一方の電極は、前記基板の長手方向の一方の端部に形成され、 前記2つの電極のうちの他方の電極は、前記基板の長手方向の他方の端部に形成されており、 前記一方の電極と前記他方の電極は、前記封止部材を基準として前記基板の一方の長辺側に片寄せて形成される 請求項1?3のいずれか1項に記載の光源。 【請求項5】前記複数の発光装置の各々において、前記封止部材は、前記封止部材の線幅の中心を通る直線と前記基板の短手方向の中心を通る直線とが異なるように形成されている 請求項4に記載の光源。 【請求項6】請求項1?5のいずれか1項に記載の光源を備える バックライトユニット。 【請求項7】前記複数の発光装置は、当該発光装置の基板同士を接触させて配置される 請求項6に記載のバックライトユニット。 【請求項8】請求項6又は請求項7に記載のバックライトユニットと、 前記バックライトユニットから照射される光の光路上に配置された液晶パネルと、を備える 液晶表示装置。 【請求項9】請求項1?5のいずれか1項に記載の光源を備える 照明装置。 【請求項10】前記複数の発光装置は、隣接する発光装置の基板同士を接触させて配置される 請求項9に記載の照明装置。」 と補正するものである。 そして、本件補正は、補正前の請求項1の「発光装置」を「一の方向に隣接して配置された複数の発光装置を有する光源」と補正して、補正後の請求項1とする補正事項(以下「本件補正事項」という。)を含むものである。 2 補正の目的 上記のとおり、本件補正事項は、請求項1に係る発明を、「発光装置」から、「一の方向に隣接して配置された複数の発光装置」を有する「光源」に補正するものであって、補正前の請求項1における、発明を特定するために必要な事項を限定するものではなく、上記本件補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項に定める、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 3 補正却下の決定のむすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 4 付言 なお、以下に検討するとおり、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、特許を受けることができないものであるから、本件補正を認める余地はない。 (1)刊行物の記載 ア 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2007-288200号公報(以下「引用文献1」という。)には、下記の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】基材本体および前記基材本体にそれぞれ形成された正極導電トレースおよび負極導電トレースを有する基材ユニットと、 前記基材本体に設けられた複数の発光ダイオードチップを有し、前記発光ダイオードチップ毎に正極端および負極端を有し、かつ、これらの前記発光ダイオードチップの前記正極端および前記負極端が、前記正極導電トレースおよび前記負極導電トレースに電気的に接続された発光ユニットと、 前記基材ユニットおよび前記発光ユニットを覆うコロイドユニットとを含み、 前記正極導電トレース、前記負極導電トレースの導電により光線を発生する時に、該光線はコロイドユニットにガイドされ前記コロイドユニット上に連続的な発光領域を形成することを特徴とする発光ダイオードチップの封止構造。・・・ 【請求項10】各前記発光ダイオードチップは青色発光ダイオードで、前記コロイドユニットは蛍光コロイドであることを特徴とする請求項1記載の発光ダイオードチップの封止構造。」 (イ)「【0006】本発明は、発光ダイオードチップの封止構造および発光ダイオードチップ構造のパッケージ方法を提供し、接着または印刷などの方法で発光ダイオードチップを基材本体上にチップマウントし、該基材本体は、プリント配線基材や、フレキシブル基材、アルミニウム基材またはセラミック基材であれば良い、かつ、ワイヤボンディングまたはフリップチップなどの方法で、該発光ダイオードチップと該基材本体とを電気的に接続させる。また、プレスモールドなどでエポキシ樹脂材質のコロイドにより該基材本体および該発光ダイオードチップを覆うことによって、該発光ダイオード構造が発光する時に、連続的な発光領域を形成し、明暗なゾーンが発生することはなく、製造プロセスの時間を効率的に減少できる。また、該発光ダイオード構造は、青色発光ダイオードと蛍光形態のコロイド(蛍光コロイド)との組み合わせであればよく、また、本発明に係る構造設計は、様々な光源により適合でき、例えば、バックライトや、飾りランプ棒、照明用ランプまたはスキャンナー光源などへの適応は、いずれも本発明の応用範囲および製品である。」 (ウ)「【0011】図2A、図2B、図2Cおよび図2Dは、本発明に係る発光ダイオードチップ20の封止構造の第1の実施例を示す図である。図2A、図2B、図2Cおよび図2Dに示すように、本発明は、基材ユニット1、発光ユニット2、及びコロイドユニット3を含む発光ダイオードチップ20の封止構造を提供する。該基材ユニット1は、基材本体10および該基材本体10にそれぞれ形成された正極導電トレース11および負極導電トレース12を有し、該正極導電トレース11および負極導電トレース12は、エッチングや印刷または該トレースを形成できるあらゆる方法で形成される。該発光ユニット2は、複数の発光ダイオードチップ20を有し、接着または熱圧印刷などの方法で該基材本体10に設けられ、発光ダイオードチップ20毎に正極端201および負極端202を有し、発光ダイオード毎の正極端201および負極端202が、並列の方式でかつワイヤボンディングにより該基材本体10上の正極導電トレース11および負極導電トレース12に電気的に接続されている。また、発光ダイオードチップ20毎の正極端201および負極端202が、並列の方式でかつフリップチップにより該基材本体10上の正極導電トレース11および負極導電トレース12に電気的に接続されることもできる。また、該基材ユニット1および該発光ユニット2を覆うためのコロイドユニット3を提供することによって、該発光ユニット2が、正極導電トレース11および負極導電トレース12の通電により光線を発生する時に、該光線がコロイドユニット3にガイドされ該コロイドユニット3上に連続的な発光領域が形成するとともに、該発光ユニット2が外から破壊され難くなるように保護できる。 【0012】また、図2Cおよび図2Dに示すように、本発明の発光ダイオードチップ20の封止構造は、複数本の発光ユニット2を配列して構成することができ、該基材ユニット1が複数本の発光ユニット2の発光ダイオードチップ20にカットされ、さらに、これらの発光ダイオードチップ20を、必要に応じて異なる形状(例えば、パネル状などの任意形状)にし、組み合わせる。」 (エ)図2Aないし2Dは、次のものである。 (オ)上記(ア)ないし(ウ)を踏まえて(エ)の図2Aないし2Bをみると、基材本体10は一の方向に長尺状をなし、発光ダイオードチップ20は基材本体10の長手方向に沿って一直線状に配列されることがみてとれる。 (カ)上記(イ)によれば、「本発明は、発光ダイオードチップの封止構造」であって「該発光ダイオード構造は、青色発光ダイオードと蛍光形態のコロイド(蛍光コロイド)との組み合わせであればよく、また、本発明に係る構造設計は、様々な光源により適合でき」るとされるから、発光ダイオードチップの封止構造を用いた光源であってもよい。 (キ)よって、これらの記載を総合すると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。 「一の方向に長尺状をなす基材本体および前記基材本体にそれぞれ形成された正極導電トレースおよび負極導電トレースを有する基材ユニットと、 前記基材本体に設けられ、前記基材本体の長手方向に沿って一直線状に配列される複数の発光ダイオードチップを有し、前記発光ダイオードチップ毎に正極端および負極端を有し、かつ、これらの前記発光ダイオードチップの前記正極端および前記負極端が、前記正極導電トレースおよび前記負極導電トレースに電気的に接続された発光ユニットと、 前記基材ユニットおよび前記発光ユニットを覆うコロイドユニットとを含み、 前記正極導電トレース、前記負極導電トレースの導電により光線を発生する時に、該光線はコロイドユニットにガイドされ前記コロイドユニット上に連続的な発光領域を形成し、 各前記発光ダイオードチップは青色発光ダイオードで、前記コロイドユニットは蛍光コロイドである発光ダイオードチップの封止構造を用いた光源。」 イ 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である実用新案登録第3167034号公報(以下「引用文献2」という。)には、下記の事項が記載されている。 (ア)「【0028】(第7実施形態)図15及び図16を参照する。図15及び図16に示すように、本考案の第7実施形態による発光ダイオードモジュール構造のリードフレーム1は、帯状の板体である。また、リードフレーム1の片面又は両面に、上述のドライバIC2及び抵抗5が配置される。また、リードフレーム1を供給された関連業者により、リードフレーム1の片面又は両面に複数の発光ダイオード3が配列されて接合される。また、パッケージ4のコロイドが発光ダイオード3上に充填されて透明構造体が形成される。透明のパッケージ4は、発光ダイオード3に所定の光学的作用を与える。本考案の発光ダイオードモジュール構造は、以上の構造によって構成してもよい。」 (イ)図15及び16は、次のものである。 (ウ)上記(ア)を踏まえて(イ)の図15及び16をみると、帯状の板体であるリードフレーム1の片面に複数の発光ダイオード3が配列されて接合され、パッケージ4のコロイドが発光ダイオード3上に充填されて透明構造体が複数の発光ダイオード3の配列方向に沿って直線状にリードフレーム1の長手方向に形成され、かつ、リードフレーム1の長手方向の片側については透明構造体が端部まで形成され、当該パッケージ4の透明構造体の端部は、平面視及び側面視した場合、輪郭線は曲率を有することがみてとれる(以下「引用文献2に記載の事項」という。)。 (2)対比・判断 ア 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア)引用発明の「基材本体」、「基材ユニット」、「発光ダイオードチップ」、「コロイドユニット」及び「光源」は、本件補正発明の「基板」、「発光装置」、「半導体発光素子」、「封止部材」及び「光源」にそれぞれ相当する。 (イ)引用発明の「コロイドユニット」は「蛍光コロイド」であるから、本願補正発明の「光波長変換体を含み、前記複数の半導体発光素子を封止する封止部材」に相当する。 (ウ)引用発明の「コロイドユニット」は、「基材ユニットおよび発光ユニットを覆」い、「光線」を「コロイドユニットにガイドされ前記コロイドユニット上に連続的な発光領域を形成」するものであるから、本願補正発明の「封止部材」が、「複数の半導体発光素子を一括封止する」との構成を備える。 (エ)以上によれば、両者は 「発光装置を有する光源であって、 前記発光装置は、 前記一の方向に長尺状をなす基板と、 前記基板上に当該基板の長手方向に沿って一直線状に配列された複数の半導体発光素子と、 光波長変換体を含み、前記複数の半導体発光素子を封止する封止部材と、を備え、 前記封止部材は、前記複数の半導体発光素子を一括封止する 光源。」 で一致し、以下の点で相違する。 a 本件補正発明の「光源」は、「一の方向に隣接して配置された複数の発光装置を有する」のに対して、引用発明の「光源」は、複数の「基材ユニット」を「一の方向に隣接して配置」したものであるか否か明らかではない点(以下「相違点1」という。)、及び、 b 本件補正発明の「封止部材」は、「複数の半導体発光素子の配列方向に沿って直線状に前記基板の長手方向の両端縁まで形成され、前記封止部材を平面視した場合、前記封止部材の端部の輪郭線は曲率を有する」のに対して、引用発明の「コロイドユニット」は、このようなものであるか否か明らかではない点(以下「相違点2」という。)。 イ 判断 上記相違点1及び2について検討する。 (ア)引用発明の「光源」は、上記(1)ア(イ)によれば、「本発明に係る構造設計は、様々な光源により適合でき、例えば、バックライトや、飾りランプ棒、照明用ランプまたはスキャンナー光源などへ」適応するものであるところ、上記(1)ア(エ)の図2A及びBをみると、引用発明の「光源」の基材ユニット1の形状は、必要に応じて一の方向に隣接して配置することを妨げる形状ではないから、基材ユニット1は適応させる用途に応じて適宜一の方向に隣接して配置できるものであると認められる。 (イ)また、引用発明のコロイドユニットの端部の形状は明らかではないが、「帯状の板体であるリードフレーム1の片面に複数の発光ダイオード3が配列されて接合され、パッケージ4のコロイドが発光ダイオード3上に充填されて透明構造体が複数の発光ダイオード3の配列方向に沿って直線状にリードフレーム1の長手方向に形成され、かつ、リードフレーム1の長手方向の片側については透明構造体が端部まで形成され、当該パッケージ4の透明構造体の端部は、平面視及び側面視した場合、輪郭線は曲率を有する」構成は引用文献2に記載されているから、引用発明のコロイドユニットの端部の形状を、引用文献2に記載の事項に基づいて、平面視した場合に曲率を有するものとなすことに格別の困難性はない。 (ウ)さらに、本件補正発明に関して、本願明細書段落【0105】に記載されている、「封止部材30A、30Bを平面視した場合に、各封止部材の端部の輪郭線は曲率を有するように構成することで、斜め方向の光出射を促すことができる。これにより、発光装置100A、100Bの連結部分を見たときに、光が途切れてしまうことを抑制することができ、発光装置100Aと発光装置100Bとの繋ぎ目を感じにくくさせることができる。」との効果も、曲率を有する端部の光学的な性質から予測し得る程度のものであり、さらに、一の方向に隣接して配置するに際して、各封止部材の端部を密着させれば、格別このような形状とする必要もないことを踏まえれば、格別顕著な効果とまではいえない。 (エ)したがって、本件補正発明は、引用発明の「光源」の基材ユニット1を適宜の用途に応じて一の方向に隣接して配置し、引用発明のコロイドユニットの端部の形状を適宜の、例えば引用文献2に記載の事項に基づいて平面視した場合に曲率を有するもの、となすことにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第3 進歩性について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、上記第2、1において本件補正前として示した特許請求の範囲の請求項1?26に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2、1において、補正前のものとして示したとおりのものである。 2 刊行物の記載及び引用発明 上記第2、4(1)のとおりである。 3.対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、上記第2、4(2)アの検討を踏まえれば、一致点と相違点は、以下のとおりである。 [一致点] 「長尺状の基板と、 前記基板上に当該基板の長手方向に沿って一直線状に配列された複数の半導体発光素子と、 光波長変換体を含み、前記複数の半導体発光素子を封止する封止部材と、を備え、 前記封止部材は、前記複数の半導体発光素子を一括封止する 発光装置。」 [相違点] 本件補正発明の「封止部材」は、「複数の半導体発光素子の配列方向に沿って直線状に前記基板の長手方向の両端縁まで形成され、前記封止部材を平面視した場合、前記封止部材の端部の輪郭線は曲率を有する」のに対して、引用発明の「コロイドユニット」は、このようなものであるか否か明らかではない点(以下「相違点3」という。)。 つまり、引用発明と本願発明との相違点である相違点3は、上記第2、4(2)アで検討した相違点2と同じ内容である。 そして、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに本件補正事項を付加した本件補正発明が、引用発明及び引用文献2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、上記第2、4(2)イでの検討と同様の理由により、本願発明は引用発明及び引用文献2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明し得るものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-08-29 |
結審通知日 | 2013-09-03 |
審決日 | 2013-09-17 |
出願番号 | 特願2012-519648(P2012-519648) |
審決分類 |
P
1
8・
574-
Z
(H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L) P 1 8・ 571- Z (H01L) P 1 8・ 573- Z (H01L) P 1 8・ 572- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 謙仁、角地 雅信 |
特許庁審判長 |
服部 秀男 |
特許庁審判官 |
松川 直樹 小松 徹三 |
発明の名称 | 発光装置、バックライトユニット、液晶表示装置及び照明装置 |
代理人 | 新居 広守 |