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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04J
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H04J
管理番号 1289358
審判番号 不服2013-2461  
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-08 
確定日 2014-07-04 
事件の表示 特願2008-555269「ネットワーク・リソースをより効率的に使用するために構成された、エアインタフェース・エンコーダ・パケットを用いるワイヤレス通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月30日国際公開、WO2007/097913、平成21年 7月23日国内公表、特表2009-527191〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,2007年2月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2006年2月17日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成24年10月3日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成25年2月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。


第2.補正却下の決定
[結論]
平成25年2月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下,「本件補正」という。)は,平成24年8月13日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
トランスミッタからレシーバへの少なくとも2つのアプリケーション・フローに属するデータを送信する方法であって,
前記トランスミッタにおいて,各エンコーダ・パケットが1つだけのアプリケーション・フローに専用のペイロードを運搬するように,複数の前記エンコーダ・パケットのペイロード・ビットにデータをマッピングするステップであって,QoS特性がそれぞれ,専用化されるアプリケーション・フローに従う各エンコーダ・パケットのために特定されるステップと,
前記2つ以上のエンコーダ・パケットを2つ以上のサブチャネル上で同時に送信するステップとを備え,
前記マッピングするステップが,少なくとも1つのアプリケーション・フローが属する前記データを2つ以上の同時に送信されるエンコーダ・パケット上で分割するステップを含む方法。」
という発明(以下,「本願発明」という。)を,
「【請求項1】
トランスミッタからレシーバへの少なくとも2つのアプリケーション・フローに属するデータを送信する方法であって,
前記トランスミッタにおいて,各エンコーダ・パケットが2つ以上のアプリケーション・フローの内の同じ1つに専用のペイロードを運搬するように,複数の前記エンコーダ・パケットのペイロード・ビットにデータをマッピングするステップであって,QoS特性がそれぞれ,専用化されるアプリケーション・フローに従う各エンコーダ・パケットのために特定されるステップと,
前記2つ以上のエンコーダ・パケットを2つ以上のサブチャネル上で同時に送信するステップとを備え,
前記マッピングするステップが,少なくとも1つのアプリケーション・フローが属する前記データを2つ以上の同時に送信されるエンコーダ・パケット上で分割するステップを含む方法。」
という発明(以下,「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2.補正の適否
(1)新規事項の有無,補正の目的要件
本件補正は,本願発明の「各エンコーダ・パケットが1つだけのアプリケーション・フローに専用のペイロードを運搬する」を,「各エンコーダ・パケットが2つ以上のアプリケーション・フローの内の同じ1つに専用のペイロードを運搬する」とするものである。
本願発明は,「トランスミッタからレシーバへの少なくとも2つのアプリケーション・フローに属するデータを送信する方法」であるから,2つ以上のアプリケーション・フローが存在するものと認められ,その1つだけのアプリケーション・フローに専用のペイロードとは,2つ以上のアプリケーション・フローの内の同じ1つに専用のペイロードと同義であることは明らかである。したがって,本件補正によって技術的内容は実質的に変更されていない。なお,審判請求書に「これに対し上記(ii)はそれぞれのEPが1つだけのAF(すなわち,同じ1つのアプリケーション・フロー)に専用化されたペイロードを運搬することを教示しています。したがって,出願人は,このことを強調するように独立請求項1および5を補正しました。」と記載されているように,請求人も,限定ではなく強調であること,すなわち,同義であることを自認していると解される。
このように,本件補正前と後とで技術的内容は実質的に変更されていないから,特許法第17条の2第3項の規定に違反するところはない。しかし,補正の目的は,技術的内容が実質的に変更されていないことから,特許請求の範囲の減縮とはいえず,明らかに請求項の削除,誤記の訂正には該当しない。また,記載要件が満たされていない旨の指摘はされていないから,明りょうでない記載の釈明にも該当しない。すなわち,本件補正は,特許法第17条の2第4項ただし書き各号に掲げられたいずれの事項を目的とするものでもない。
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)独立特許要件
上記(1)のとおりであるが,仮に,本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであったとして,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであったかどうかについて更に検討する。

ア.補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項の「補正後の発明」のとおりのものと認める。

イ.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-322306号公報(以下,「引用例」という。)には,「デジタル信号伝送装置および方法」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,固定長のパケット形式で時分割多重されたデジタル信号を,フレーム構造を有するOFDM信号により伝送するデジタル信号伝送装置および方法に関するものである。」(2頁1欄)

(イ)「【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する
<第1の実施の形態>図1は本発明の第1の実施の形態を示す。図1において,103はパケット多重化装置であり,入力された複数種類のデジタル信号をパケット形式で多重化してパケット多重信号を生成するものである。パケット多重信号は,国際規格(ISO/IEC 13818-1 )のMPEG‐2トランスポートストリーム(TS)であり,TSはトランスポートストリームパケット(TSP)により編成されていて,TSPのパケット長は188バイトである。この例を図2に示す。104はOFDM伝送装置であり,パケット多重化装置103からのパケット多重信号を伝送路符号化した後OFDM信号に変換するものである。102は統合制御装置であり,所定のOFDMの信号構成に合わせた特定のパターンの多重信号を生成するようにして多重化装置103を制御するとともに,OFDMブロックごとに誤り訂正や変調方式を設定し所定のOFDM信号を構成するようにOFDM伝送装置104を制御するものである。
【0009】次に,説明を簡単にするため,デジタル信号A,デジタル信号B,デジタル信号Cをサービスする例を説明する。図4のOFDM信号の例のように,OFDM信号を同じ帯域幅,例えば100kHzの狭帯域のOFDMブロックを1つ以上周波数軸上に並べて構成する。1つのOFDMブロックの一定時間(以下,OFDMフレームと呼ぶ)に含まれるTSPの数は,3パターンのキャリア変調方式,すなわち,QPSK(quadrature phase shift keying) ,16QAM(quadrature amplitude modulation) ,64QAMの各場合に,誤り訂正方式としての(204,188) リードソロモン符号と畳込み符号とを組み合わせた方式の畳込み符号の3種類の符号化レート,すなわち,1/2,3/4,7/8に対して,次の表1のようにした。
【0010】
(【表1】は省略。)
【0011】デジタル信号A,デジタル信号B,デジタル信号Cをパケット多重化するパケット多重化装置の構成を図3に示す。図3において,305,306,307はパケット化部であり,デジタル信号A,デジタル信号B,デジタル信号Cをパケットにそれぞれ組み立てるものである。308,309,310はバッファであり,パケット化部305,306,307からのパケットを蓄積するものである。311はスイッチであり,統合制御装置102の制御によりバッファ308,309,310を切り換えて,バッファ308,309,310からパケット単位で読み出すものである。
【0012】このように構成したので,入力されたデジタル信号A,デジタル信号B,デジタル信号Cはパケット化部305,306,307によりそれぞれパケットに組み立てられ,得られたパケットはそれぞれバッファ308,309,310に蓄積される。そして,予め定めた1つのTSPパターンが多重フレームごとに繰り返され,この予め定めたTSPパターンに基づき,統合制御装置102によりスイッチ311が切り換えられる。例えば,多重デジタル信号に多重されるデジタル信号の内容は,図4に示すOFDMブロックとの対応で説明すると,OFDMブロック402,403,404の各OFDMフレームに対して,TSPの数を4つとし,OFDMブロック405のOFDMフレームに対して,TSPの数を6つとし,OFDMブロック406のOFDMフレームに対して,TSPの数を8つとした。
【0013】すなわち,OFDMブロック402,403,404に対して,伝送パラメータをQPSK,1/2畳込みとし,OFDMブロック405に対して,伝送パラメータをQPSK,3/4畳込みとし,OFDMブロック406に対して,伝送パラメータを16QAM,1/2畳込みとして,統合制御装置102によりOFDM伝送装置104が制御され,OFDM信号が構成される。一方,パケット多重化装置103は,多重フレーム407に従って合計26個のTSPを1多重フレームとする周期構造を持つ多重信号を生成するように制御される。得られたOFDM信号のスペクトルの一例を図4に示す。図4に示すように,OFDM信号はOFDMブロックが周波数軸方向に5個連続して並べて構成される。
【0014】図4から分かるように,デジタル信号Aは周波数軸上のOFDMブロック402,403,404の位置に存在し,デジタル信号BはOFDMブロック405の位置に,デジタル信号CはOFDMブロック406の位置に存在することになる。そこで,OFDMブロック402ないし404の周波数分を抜き出して受信することにより,デジタル信号Aのみを抜き出すことができ,OFDMブロック405の周波数分を抜き出して受信することにより,デジタル信号Bのみを抜き出すことができ,OFDMブロック406の周波数分を抜き出して受信することにより,デジタル信号Cのみを抜き出すことができることになる。
【0015】各OFDMブロックは,表1に示すように,伝送パラメータを設定することができるので,各デジタル信号のそれぞれの伝送特性を変えることができることは当然である。」(2頁2欄?4頁5欄)

(ウ)「【0019】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によれば,上記のように構成したので,広帯域のOFDM信号の一部分を狭帯域の受信機により受信することができ,また,デジタル信号伝送システムの互換性を保ちつつ帯域拡張を行うことができ,さらに,デジタル信号ごとに伝送特性を最適化した階層伝送を行うことができる。」(4頁6欄)

引用例の上記(ア)?(ウ)の記載及び図面の記載,並びに当該技術分野における技術常識を考慮すると,
a.上記(ア),(ウ)及び図1の記載によれば,引用例には,デジタル信号伝送装置から受信機への複数のデジタル信号を送信する方法が記載されていると認められる。

b.上記(イ)の【0008】,【0011】,図1,図3の記載によれば,デジタル信号A?Cは,パケット多重化装置において,それぞれパケット化部で固定長のトランスポートパケット(TSP)にパケット化され,スイッチで多重化され,OFDM伝送装置において,伝送路符号化された後,OFDM信号に変換されるものである。
そして,上記(イ)の【0009】,【0012】,【0013】,図3の記載によれば,デジタル信号Aは,12個のTSPが4つずつ畳込み符号の符号化レート1/2で伝送路符号化され,QPSKによりキャリア変調された後,OFDMブロック402,403,404に割り当てられ,デジタル信号Bは,6つのTSPが畳込み符号の符号化レート3/4で伝送路符号化され,QPSKによりキャリア変調された後,OFDMブロック405に割り当てられ,デジタル信号Cは,8つのTSPが畳込み符号の符号化レート1/2で伝送路符号化され,16QAMによりキャリア変調された後,OFDMブロック406に割り当てられるものと認められる。
したがって,各OFDMブロックで伝送されるOFDM信号は,デジタル信号A?Cの何れか1つに専用のものであり,各デジタル信号に特定の伝送路符号化及び変調がなされたものであるから,引用例には,前記デジタル信号伝送装置において,各OFDMブロックで伝送されるOFDM信号が2つ以上のデジタル信号の内の同じ1つに専用のデータを運搬するように,各デジタル信号に特定の伝送路符号化及び変調を行って複数の前記OFDMブロックに割り当てることが記載されていると認められる。

c.図4の記載によれば,デジタル信号Aに係るOFDM信号とデジタル信号Bに係るOFDM信号とデジタル信号Cに係るOFDM信号とが,OFDMブロック402?406のサブキャリア上で同時に伝送されることは明らかである。したがって,引用例には,2つ以上のOFDMブロックに割り当てられた伝送路符号化及び変調後のデータをOFDM信号として2つ以上のOFDMブロックのサブキャリア上で同時に送信することが記載されていると認められる。

d.図4の記載によれば,デジタル信号Aに係る12個のTSPが4つずつ3つのOFDMブロック402?404にて同時に伝送されるから,上記割り当ては,1つのデジタル信号を3つの同時に送信されるOFDMブロック上に分割することを含んでいるといえる。

以上を総合すると,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「デジタル信号伝送装置から受信機への複数のデジタル信号を送信する方法であって,
前記デジタル信号伝送装置において,各OFDMブロックで伝送されるOFDM信号が2つ以上のデジタル信号の内の同じ1つに専用のデータを運搬するように,各デジタル信号に特定の伝送路符号化及び変調を行って複数の前記OFDMブロックに割り当て,
前記2つ以上のOFDMブロックに割り当てられた伝送路符号化及び変調後のデータをOFDM信号として2つ以上のOFDMブロックのサブキャリア上で同時に送信し,
前記割り当てが,1つのデジタル信号を3つの同時に送信されるOFDMブロック上に分割することを含む方法。」

ウ.対比・判断
補正後の発明と引用発明とを対比すると,
(ア)引用発明の「デジタル信号伝送装置」,「受信機」を,それぞれ「トランスミッタ」,「レシーバ」と称することは任意である。
また,本願明細書の【0009】の記載に照らせば,補正後の発明の「アプリケーション・フロー」は,インターネット・ベースのビデオ,VoIP,または任意の様々なデータおよびマルチメディア・サービスを定義し,使用可能にし,実施するソフトウェア命令である「ユーザ・アプリケーション」に係るフローであり,ユーザによってウェブサイトからダウンロードされるボイス・オーバIP(VoIP)およびビデオ・アプリケーション・フローであるところ,引用例の【0008】(上記イ(イ)参照。)の記載に照らせば,引用発明の「デジタル信号」は,MPEG-2トランスポートストリームに係るものであるから,補正後の発明の「アプリケーション・フローに属するデータ」に含まれることは明らかである。

(イ)本願明細書の【0003】,【0004】の記載に照らせば,補正後の発明の「エンコーダ・パケット」は,ペイロード・ビットの形態で提供される送信されるデータに,コード化方式を適用してさらなるビットを付加することにより冗長性を付加したビットのセットであり,「エンコーダ・パケット」のビットセットがBPSK,QPSK,QAMにより変調されると認められるから,引用発明においてはデジタル信号を伝送路符号化したものに相当する。ここで,引用発明には,伝送路符号化とキャリア変調との間でどのようにデータを受け渡すのか明らかにされていないが,伝送符号化後のデータが一纏まりのビットセットであることは自明であり,これを「エンコーダ・パケット」と称することは任意である。また,ペイロードとは一般にパケットのヘッダ情報を除いた正味のデータのことを意味するから,引用発明のデジタル信号A?Cが伝送路符号化されることを「エンコーダ・パケットのペイロード・ビットにデータをマッピングする」と称することも任意である。
ここで,OFDMでは,複数のサブキャリアからなるOFDMブロック(リソース・ブロック)を割当単位とし,送信すべきデータを直並列変換して前記複数のサブキャリアに対応する並列データとし,それぞれQPSK等の一次変換をした後に,IFFTによりOFDM信号とすることが一般的に行われているから,引用発明が「各OFDMブロックで伝送されるOFDM信号が2つ以上のデジタル信号の内の同じ1つに専用のデータを運搬するように,各デジタル信号に特定の伝送路符号化及び変調を行って複数の前記OFDMブロックに割り当て」るには,2つ以上のデジタル信号の内の同じ1つを伝送路符号化して前記「送信すべきデータ」としていることは明らかである。
したがって,引用発明の「前記デジタル信号伝送装置において,各OFDMブロックで伝送されるOFDM信号が2つ以上のデジタル信号の内の同じ1つに専用のデータを運搬するように,各デジタル信号に特定の伝送路符号化及び変調を行って複数の前記OFDMブロックに割り当て」は,以下の相違点は別として,「前記トランスミッタにおいて,各エンコーダ・パケットが2つ以上のアプリケーション・フローの内の同じ1つに専用のペイロードを運搬するように,複数の前記エンコーダ・パケットのペイロード・ビットにデータをマッピングするステップ」である点で,補正後の発明のマッピングするステップと一致している。

(ウ)OFDMでは,OFDMブロックを構成する複数のサブキャリアにてOFDM信号を伝送するから,当該複数のサブキャリアは,補正後の発明の「サブチャネル」に相当する。したがって,引用発明の「前記2つ以上のOFDMブロックに割り当てられた伝送路符号化及び変調後のデータをOFDM信号として2つ以上のOFDMブロックのサブキャリア上で同時に送信し」は,補正後の発明の「前記2つ以上のエンコーダ・パケットを2つ以上のサブチャネル上で同時に送信するステップ」に相当する。

(エ)上記(ア)?(ウ)のとおりであるから,引用発明の「1つのデジタル信号を3つの同時に送信されるOFDMブロック上に分割すること」は,明らかに補正後の発明の「少なくとも1つのアプリケーション・フローが属する前記データを2つ以上の同時に送信されるエンコーダ・パケット上で分割するステップ」に含まれる。

以上を総合すると,補正後の発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「トランスミッタからレシーバへの少なくとも2つのアプリケーション・フローに属するデータを送信する方法であって,
前記トランスミッタにおいて,各エンコーダ・パケットが2つ以上のアプリケーション・フローの内の同じ1つに専用のペイロードを運搬するように,複数の前記エンコーダ・パケットのペイロード・ビットにデータをマッピングするステップと,
前記2つ以上のエンコーダ・パケットを2つ以上のサブチャネル上で同時に送信するステップとを備え,
前記マッピングするステップが,少なくとも1つのアプリケーション・フローが属する前記データを2つ以上の同時に送信されるエンコーダ・パケット上で分割するステップを含む方法。」

(相違点)
補正後の発明が,マッピングするステップにおいて「QoS特性がそれぞれ,専用化されるアプリケーション・フローに従う各エンコーダ・パケットのために特定される」ものであるのに対して,引用発明は,各デジタル信号に特定の伝送路符号化及び変調を行うものであるものの,QoS特性について言及されておらず,当該構成を有していない点。

以下,上記相違点について検討する。
引用例の【0008】,【0015】,【0019】の記載(上記イ(ア),(イ),(ウ)参照。)の記載によれば,引用発明の複数のデジタル信号は,複数種類のデジタル信号であり,階層伝送に対応した各階層のデータであって,伝送路符号化及びキャリア変調を選択することにより各デジタルデータの伝送特性を変えることができるものと理解できる。そして,通信技術分野において伝送特性をQoSに対応させることは普通に行われている(例えば,特開2003-259447号公報の要約,【0006】?【0015】,特開2005-354270号公報の要約,【0011】,【0021】参照。)ことであり,また,階層伝送の各階層でQoSが異なることは普通であるから,引用発明における伝送路符号化及びキャリア変調の設定は各デジタル信号のQoSに対応するものと解するのが自然である。したがって,引用発明において「QoS特性がそれぞれ,専用化されるアプリケーション・フローに従う各エンコーダ・パケットのために特定される」ようにすることは,当業者が容易になし得ることである。

そして,補正後の発明の作用効果も,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。

なお,引用発明は,広帯域のOFDM信号から意味のある部分を狭帯域の受信機により抜き出すことができるデジタル信号伝送装置および方法を提供することを解決しようとする課題とするものであって,必要とされるよりもより高い処理能力で別のAFを運搬することによるにリソースの消費を解決しようとするものではないが,リソースの無駄な消費を抑えることは通信技術分野における一般的な課題にすぎず,引用発明においても当然に考慮される課題にすぎない。
更にいえば,同じQoSのトランスポートチャネル毎に伝送路符号化を行うことが周知(特開2001-16640号公報の図1,図2,特開2006-20367号公報の図1,図2参照。)であり,原査定の拒絶理由に引用された特開2004-536468号公報の図6には各トランスポートチャネル毎にCRC添付,チャネル符号化を行うことが記載されており,一般にトランスポートチャネルは上位層のアプリケーションに対応するものであることに鑑みれば,各エンコーダ・パケットが異なるQoSのペイロードを運搬しないことは何ら格別ではない。
また,請求人は,意見書及び審判請求書にて,引用文献が「(i)異なるアプリケーション・フロー(AF)が少なくとも1つの共通ユーザのためである,(ii)それぞれのEPが1つだけのAFに専用化されたペイロードを運搬する,(iii)少なくとも共通のユーザに対するAFが,異なるQoS特性を有しうる異なるエンコーダ・パケット内で分離される,および,(iv)トランスミッタは少なくとも1つのAF用のデータを送信するためのECと同時に多重化して使用しなければならない」という特徴を満たす必要がある旨主張しているが,補正後の発明はアプリケーション・フローとユーザとの関係や「EC」なるものは規定していないから,当該主張は特許請求の範囲の記載に基づくものではなく,採用できない。

したがって,補正後の発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


3.結語
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反し,更に,同特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3.本願発明について
1.本願発明
平成25年2月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願発明は,上記「第2.補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項の「本願発明」のとおりのものと認める。

2.引用発明
引用発明は,上記「第2.補正却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「イ.引用発明」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで,本願発明と引用発明とを対比するに,上記「第2.補正却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の項中の「(1)新規事項の有無,補正の目的要件」の項で述べたとおり,本願発明は補正後の発明と実質的に技術的内容が同じものである。
そうすると,本願発明と実質的に技術的内容が同じ補正後の発明が,上記「第2.補正却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「ウ.対比・判断」の項で検討したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから,本願発明も同様の理由により,容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-02-06 
結審通知日 2014-02-10 
審決日 2014-02-24 
出願番号 特願2008-555269(P2008-555269)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (H04J)
P 1 8・ 121- Z (H04J)
P 1 8・ 575- Z (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡 裕之  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 山本 章裕
藤井 浩
発明の名称 ネットワーク・リソースをより効率的に使用するために構成された、エアインタフェース・エンコーダ・パケットを用いるワイヤレス通信方法  
代理人 吉澤 弘司  
代理人 岡部 讓  
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