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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04W 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H04W |
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管理番号 | 1289384 |
審判番号 | 不服2013-3881 |
総通号数 | 176 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-02-28 |
確定日 | 2014-07-02 |
事件の表示 | 特願2009-535460「直交無線通信システムにおけるセルサーチの参照信号設計」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 5月15日国際公開、WO2008/057899、平成22年 3月18日国内公表、特表2010-508789〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2007年10月31日(優先権主張2006年11月1日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年12月2日付けの拒絶理由の通知に対し、平成24年4月5日付けで手続補正がなされ、同年10月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年2月28日に審判請求がなされ、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成25年2月28日付け手続補正 平成25年2月28日付け手続補正における補正は、特許請求の範囲の請求項1において、 (1)「システム帯域幅のサブセットに及ぶ、参照信号の中央部分を生成することと」を、 「システム帯域幅のサブセットに及ぶ、参照信号の中央部分を生成することと、なお、生成された前記中央部分は1以上のシーケンスを備える」とする補正と、 (2)「前記中央部分が前記システム帯域幅内で繰り返されないように、前記中央部分を拡張する」を、 「前記中央部分の前記1以上のシーケンスが前記システム帯域幅内で繰り返されないように前記中央部分を拡張する」とする補正とを含んでいる。 そして、上記(1)及び(2)に係る補正は、いずれも、平成23年12月2日付けの拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項(及び、平成24年10月23日付け拒絶査定で付記された理由に示す事項)について、該理由で示された特許法第29条第1項第3号又は第2項、並びに、第36条第6項第1号又は第2号で規定する要件の違反を回避するものであるから、上記(1)及び(2)に係る補正は特許法第17条の2第5項第4号に規定する不明りょうな記載の釈明を目的とした補正であるといえる。 また、同補正による請求項11、19、20、21、22、31、39、40、41の補正についても同様であり、特許法第17条の2第5項第4号に規定する不明りょうな記載の釈明を目的とした補正であるといえる。 さらに、同補正における請求項13?17、23?30、32?38の補正は、削除された請求項を引用する他の請求項の引用番号の変更に該当するから、特許法第17条の2第5項第1号に規定する請求項の削除を目的とした補正であるといえる。 よって、平成25年2月28日付け手続補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たしている。 3.本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成25年2月28日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?41に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 無線通信のための方法であって、 システム帯域幅のサブセットに及ぶ、参照信号の中央部分を生成することと、なお、生成された前記中央部分は1以上のシーケンスを備える、 前記参照信号が前記システム帯域幅に及び、かつ、前記中央部分の前記1以上のシーケンスが前記システム帯域幅内で繰り返されないように前記中央部分を拡張することによって前記参照信号を生成することと、 を備えた方法。」 4.引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である、3GPP TSG-RAN WG1 ADHOC MEETING ON LTE [ONLINE], 2006年6月27日, N.R1-061760, URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/LTE_AH_JUNE-06/Docs/R1-061760.zip(以下、「引用文献」という)には、図面とともに、次の事項が記載されている(なお、下線は当審が付した。)。 ア.「2. Proposed method to generate reference signal sequence According to [1], the downlink reference signal has at least the following functions: 1. Downlink channel quality measurement. 2. Downlink channel estimation for coherent demodulation/detection at the UE. 3. Cell search and initial acquisition. In order to achieve these functions with high efficiency, the following features are desired for downlink reference signal sequence: 1. Reference signal sequence for larger transmission bandwidth can be deduced from that for smaller transmission bandwidth with a simple method. In this way, a similar reference sequence generator can be used in the transmitter and receiver independent of transmission bandwidth. As a result of it, the complexity of system implementation can be reduced. Assuming that 5MHz is a basic channel bandwidth and the reference sequence for it is denoted by (A, B), where A, B denotes the sequence for the left and right band of transmission bandwidth respectively, Figure 1 shows the reference signal sequences generation for larger transmission bandwidth based on basic transmission bandwidth. 2. It is preferred that downlink reference signal sequence posses good auto- and cross-correlation properties. 3. Some cell specific information i.e., cell ID or part of cell IDs, the number of transmitter antennas, should be included in the reference signal sequence. This way, the burden of SCH design can be reduced and the performance of cell search can be improved simultaneously because the reference signal is transmitted in every sub-frame while SCH can only be transmitted few times considering overhead and TDD system. 」(第1頁第8行目?第2頁第5行目) (当審訳: 2. 参照信号のシーケンスを生成するために提案された方法 [1]によれば、ダウンリンクの参照信号は少なくとも次の機能を有する: 1.ダウンリンクチャンネル品質測定 2.UEにおけるコヒーレントな復調/検波用のダウンリンクチャンネル推定 3.セルサーチ及び初期補足 高効率でこれらの機能を達成するために、次の特徴は、ダウンリンクの参照信号のシーケンスのために望まれる: 1.より大きな伝送帯域幅のための参照信号のシーケンスは、簡単な方法で、より小さい伝送帯域幅のためのものから推定することができる。このようにして、同様の参照シーケンスの生成器は、伝送帯域に依存しない送信機と受信機で使用することができる。その結果、システム実装の複雑さは低減することができる。 5MHzが基本チャンネル帯域幅であり、そのための参照シーケンスが(A,B)と示されると仮定すると、ここで、A、Bはそれぞれ伝送帯域の左と右の帯域のシーケンスを示す、図1は、参照信号が、より大きい伝送帯域幅のために、基本伝送帯域幅に基づいた生成物を並べることを示す。 2.ダウンリンク参照信号シーケンスは良い自己及び相互相関特性を持つことが望まれる。 3.いくつかのセル固有情報、すなわち、セルIDあるいはセルIDの一部、送信機のアンテナの数は、参照信号シーケンスに含められる。このように、SCH設計の負担は減少することができ、同時に、セルサーチの性能は改善される。なぜなら、オーバーヘッドやTDDシステムの割には、SCHを数回伝送するだけの間に、参照信号は各サブフレームで伝送されるからである。) イ.図1の(a)には、20MHzのより大きな伝送帯域の中央部分に、5MHzの基本チャンネル帯域幅の参照シーケンス(A,B)が配置され、中央部分より左の帯域は、より大きな伝送帯域幅に及んで、伝送帯域の左の帯域のシーケンスAが繰り返されて配置され、中央部分より右の帯域は、より大きな伝送帯域幅に及んで、伝送帯域の右の帯域のシーケンスBが繰り返されて配置されることが記載されている。 以上によれば、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「5MHzが基本チャンネル帯域幅であり、そのための参照シーケンスが(A,B)と示されると仮定すると、参照信号が、より大きい伝送帯域幅のために、基本伝送帯域幅に基づいた生成物を並べ、ここで、A、Bはそれぞれ伝送帯域の左と右の帯域のシーケンスを示し、 20MHzのより大きな伝送帯域の中央部分に、5MHzの基本チャンネル帯域幅の参照シーケンス(A,B)が配置され、中央部分より左の帯域は、より大きな伝送帯域幅に及んで、伝送帯域の左の帯域のシーケンスAが繰り返されて配置され、中央部分より右の帯域は、より大きな伝送帯域幅に及んで、伝送帯域の右の帯域のシーケンスBが繰り返されて配置される 参照信号のシーケンスを生成するために提案された方法」 5.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、 引用発明は、「参照信号のシーケンスを生成するために提案された方法」であり、引用発明の「「参照信号のシーケンスを生成する」ことは、無線通信のために行われていることは明らかであるから、引用発明は、「無線通信のための方法」であるといえる。 引用文献が、LTEシステムに関する規格策定会議に提出された提案書であることに鑑みると、引用発明の「より大きな伝送帯域幅」は、LTEシステムで用いられる「システム帯域幅」であるといいえる。 引用発明の「基本チャンネル伝送帯域」 は、「より大きな伝送帯域幅」の一部分であるから、「システム帯域のサブセットに及」んでいるといえる。 引用発明の「基本チャンネル伝送帯域」は、「より大きな伝送帯域の中央部分」に配置されているから、「参照信号の中央部分」が生成されているといえる。 さらに、引用発明の「5MH」の「基本チャンネル帯域幅」には、「参照シーケンスが(A,B)と示されると仮定」されているから、2のシーケンス、すなわち、1以上のシーケンスを備えているといえる。 してみると、引用発明においても、「システム帯域幅のサブセットに及ぶ、参照信号の中央部分を生成すること」を備えているとともに、「生成された前記中央部分は1以上のシーケンスを備え」ているといえる。 引用発明は、「中央部分より左の帯域は、より大きな伝送帯域幅に及んで、伝送帯域の左の帯域のシーケンスAが繰り返されて配置され、中央部分より右の帯域は、より大きな伝送帯域幅に及んで、伝送帯域の右の帯域のシーケンスBが繰り返されて配置される」から、「前記参照信号が前記システム帯域に及」んでいるといえる。 このため、引用発明においても、「前記参照信号が前記システム帯域幅に及」ぶことを備えているといえる。 以上のことから、本願発明と引用発明とは、次の点で一致及び相違している。 <一致点> 「無線通信のための方法であって、 システム帯域幅のサブセットに及ぶ、参照信号の中央部分を生成することと、なお、生成された前記中央部分は1以上のシーケンスを備える、 前記参照信号が前記システム帯域幅に及ぶことと、 を備えた方法。」 <相違点> 本願発明では、「前記中央部分の前記1以上のシーケンスが前記システム帯域幅内で繰り返されないように前記中央部分を拡張することによって前記参照信号を生成する」のに対して、引用発明では、中央部分より左の帯域は、シーケンスAの繰り返し、中央部分より右の帯域は、シーケンスBの繰り返しにより、参照信号のシーケンスを生成している点。 6.当審の判断 本願発明における、繰り返すことよる参照信号の生成に関して、本願の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面には、 「前記参照信号を生成することは、前記全システム帯域幅を介して前記生成された中央部分を少なくとも部分的に繰り返すことによって前記参照信号を生成することを備える、請求項1に記載の方法。」(出願時の【請求項2】) との記載(以下、摘記事項(ウ)という。)があるが、該記載は、平成23年12月2日付け拒絶理由通知における「(2)請求項2には、「中央部分を少なくとも部分的に繰り返す」ことが記載されているが、「中央部分を...部分的に繰り返す」とは如何なる意味であるのか不明である。例えば、「中央部分を...部分的に繰り返す」ことが、「中央部分」の更に一部分を「繰り返す」ことを意図するのか、それとも、「中央部分」を「全システム帯域幅」の特定の「部分」において繰り返すのか、不明である。」との指摘を受けて、平成24年4月5日付け手続補正書により削除された。 審判請求人による、「中央部分を...部分的に繰り返す」ことが、「中央部分」の更に一部分を「繰り返す」ことを意図」していることを主張することなく、上記摘記事項(ウ)を削除したという経緯からみて、上記摘記事項(ウ)の記載をもって、本願の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に、「中央部分」の更に一部分を「繰り返す」発明が開示されたと解することはできない。 その上で、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面における摘記事項(ウ)のほかは、繰り返しによる参照信号の生成に関し、中央部分の全体を繰り返し単位とした繰り返しによる参照信号の生成の開示のみである。 このため、繰り返しによる参照信号の生成方法とは別個の方法である、拡張による参照信号の生成方法を残すために排除されるものは、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された、繰り返しによる参照信号の生成、即ち、中央部分の全体を繰り返し単位とした繰り返しによる参照信号の生成であると解するのが妥当である。 してみると、平成25年2月28日付け手続補正書の【請求項1】における「生成された前記中央部分は1以上のシーケンスを備える」との発明特定事項、及び、前記した解釈に鑑みると、繰り返し単位は、「中央部分」、即ち、「前記中央部分」が備えるシーケンスのセットである「1以上のシーケンス」と解され、本願発明において、「前記中央部分の前記1以上のシーケンスが前記システム帯域幅内で繰り返されない」との記載により、排除された繰り返しは、「前記中央部分」が備えるシーケンスのセットである「1以上のシーケンス」である。 これに対して、引用発明の繰り返しは、シーケンスAとシーケンスBとからなるシーケンスのセットである参照シーケンス(A,B)の繰り返し、即ち、1以上のシーケンスのセットによる繰り返しではなく、引用発明の「中央部分より左の帯域は、シーケンスAの繰り返し、中央部分より右の帯域は、シーケンスBの繰り返しにより、参照信号のシーケンスを生成」することは、中央部分の1以上のシーケンスがシステム帯域幅内で繰り返されないように中央部分を拡張することによって参照信号を生成することに他ならない。 してみると、引用発明は、「前記参照信号が前記システム帯域幅に及び、かつ、前記中央部分の前記1以上のシーケンスが前記システム帯域幅内で繰り返されないように前記中央部分を拡張することによって前記参照信号を生成する」ことを備えているといえる。 このため、本願発明と引用発明との上記相違は、単なる表現上の差異であって、実質上の差異ではない。 してみると、本願発明はすべての点で引用発明と一致しており、本願発明は引用発明と同一の発明である。 7.むすび 以上のとおり、本願発明は引用発明と同一の発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-01-29 |
結審通知日 | 2014-02-04 |
審決日 | 2014-02-18 |
出願番号 | 特願2009-535460(P2009-535460) |
審決分類 |
P
1
8・
55-
Z
(H04W)
P 1 8・ 113- Z (H04W) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 桑原 聡一 |
特許庁審判長 |
加藤 恵一 |
特許庁審判官 |
佐藤 聡史 江口 能弘 |
発明の名称 | 直交無線通信システムにおけるセルサーチの参照信号設計 |
代理人 | 井上 正 |
代理人 | 白根 俊郎 |
代理人 | 堀内 美保子 |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 河野 直樹 |
代理人 | 幸長 保次郎 |
代理人 | 佐藤 立志 |
代理人 | 竹内 将訓 |
代理人 | 砂川 克 |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 赤穂 隆雄 |