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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1290479
審判番号 不服2013-17895  
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-17 
確定日 2014-08-07 
事件の表示 特願2012- 67059「光変調器」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月26日出願公開、特開2012-141634〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1 手続の経緯
本願は、平成20年9月3日(国内優先権主張 平成19年9月12日及び同年9月26日)に出願された特願2008-226222号の一部を、平成24年(2012年)3月23日に新たな特許出願としたものであって、平成25年1月21日付けで拒絶理由が通知され、同年3月27日付けで手続補正がなされたが、同年6月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成25年9月17日付け手続補正による補正後の明細書及び特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項3に係る発明は、次のとおりのものである。
「電気光学効果を有するz-カット基板と、前記z-カット基板に形成された第1の光導波路と第2の光導波路からなる光導波路と、前記z-カット基板の上に形成されたバッファ層と、該バッファ層の上方に配置された中心導体および該中心導体を挟むよう配置される第1の接地導体と第2の接地導体からなる接地導体により構成された進行波電極とを具備し、前記z-カット基板における前記バッファ層が形成される側の表面が平坦である光変調器において、
前記第1の光導波路の上方に前記中心導体を、前記第2の光導波路の上方に前記第1の接地導体をそれぞれ有し、また、前記第1の接地導体に対し前記中心導体を間に挟んだ反対側に前記第2の接地導体を有し、
前記第2の光導波路直上を除く前記第1の接地導体側の領域は、前記光導波路の光軸方向に前記第2の光導波路に沿った所定長さに亘って延在する第1の領域を有し、
前記第2の接地導体側の領域は、前記光導波路の光軸方向に前記第1の光導波路に沿った所定長さに亘って延在するとともに、前記中心導体の中心線に対して前記第1の領域と対称となる第2の領域を有し、
前記第1の領域および前記第2の領域に前記接地導体が前記中心導体の厚みよりも薄い厚さで全面に形成されていることを特徴とする光変調器。」(以下「本願発明」という。)

3 刊行物の記載
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2001-255501号公報(以下「引用文献」という。)には、以下の記載がある(下線は、当審にて付した。)。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光導波路素子に関し、さらに詳しくは、高速・大容量光ファイバ通信システムにおける高速光変調器などに好適に用いることのできる光導波路素子に関する。」

イ 「【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の光導波路素子は、電気光学効果を有する材料からなる基板と、この基板の主面に形成されたマッハツエンダー型光導波路と、この光導波路中を導波する光波を制御するための変調用電極とを具える。そして、前記マッハツエンダー型光導波路は第1の分岐光導波路と第2の分岐光導波路とを具えるとともに、前記変調用電極は前記マッハツエンダー型光導波路を構成する第1の分岐光導波路を導波する光波を変調するための信号電極と、この信号電極に対して対向電極の役割を有する接地電極とからなる。
【0010】前記接地電極は第1の接地電極と第2の接地電極とからなる。前記第1の接地電極及び前記第2の接地電極は前記信号電極を挟んで互いに対向し、前記第1の分岐光導波路は前記信号電極の下側又は前記第1の接地電極と前記信号電極との間に位置する。前記第2の分岐光導波路は前記第2の接地電極の下側に位置し、前記第2の接地電極は前記マッハツエンダー型光導波路の長さ方向において分断されて、前記信号電極、前記第1の接地電極及び前記第2の接地電極から構成される前記変調用電極が、前記第1及び第2の分岐光導波路間の中心に対して実質的に左右対称となる。」

ウ 「【0022】図4は、本発明の第1の光導波路素子の一例を示す図である。なお、以下の図においては、発明の特徴を明確にすべく、各部分の大きさ及び形状などについては実際のものと異なるようにして描いている。図4に示す光導波路素子30は、電気光学効果を有する強誘電体単結晶のXカット板からなる基板21及びバッファ層22を具えるとともに、基板21の表面層部分にマッハツエンダー型の光導波路を構成する、第1の分岐光導波路23-1及び第2の分岐光導波路23-2を有している。そして、バッファ層22上に信号電極24、第1の接地電極25-1及び第2の接地電極25-2が設けられている。第2の接地電極25-2は、光導波路の長さ方向に分断されることにより溝部26を有し、分岐光導波路の中心線II-IIに対して、第1の接地電極25-1及び信号電極24と第2の接地電極25-2が対称となっている。
【0023】そして、信号電極24及び第1の分岐光導波路23-1の間隔d1と、信号電極24及び第2の分岐光導波路23-2の間隔d2との比d2/d1を、本発明にしたがって3.5?7.5に設定する。すると、信号電極24と第1及び第2の接地電極25-1及び25-2から構成される変調用電極は、第1及び第2の分岐光導波路23-1及び23-2の中心線II?IIに対して対称となる。したがって、上述したように動作点シフトは有効に防止される。また、2本の分岐光導波路と信号電極との間隔を上記比率を満足するように設定することにより、第1の分岐光導波路23-1及び第2の分岐光導波路23-2に対する応力バランスを取りながら、かつ前記光導波路23-1及び23-2に印加される信号電界のオーバーラップが非対称となる。したがって、温度ドリフトを抑圧しつつチャープを制御することができ、約0.6?0.8の大きさのチャープを付与することができる。したがって、チャープを有することにより伝送特性が良好になる特定の光ファイバに本発明の第1の光導波路素子を用いることにより、動作点シフトを防止することができるとともに、良好な伝送特性を得ることができる。」

エ 「【0032】なお、本発明において、『第2の分岐光導波路が第2の接地電極の下側に位置する』とは、第2の接地電極が分断される前の状態において、この接地電極の下側に第2の分岐光導波路が位置する場合を意味するものである。したがって、図5に示すように、第2の接地電極が分断されて、その部分に薄膜が形成され、この薄膜の下側に第2の分岐光導波路が形成されているような場合をも含むものである。」

オ 「【0036】図4?6に示す光導波路素子においては、分断された第2の接地電極の溝部分に導電性材料からなる薄膜を形成している。具体的には、図4に示す第1の光導波路素子30の溝部26には薄膜27が形成されており、図5に示す第2の光導波路素子40の溝部36には薄膜37が形成されており、図6に示す第3の光導波路素子50の溝部46-1及び46-2には薄膜47-1及び47-2が形成されている。これによって、分断したことによって生じる接地電極の導通性の劣化を補うことができ、高周波特性の劣化を抑圧することができる。しかしながら、溝部に導電性材料からなる薄膜を形成しない場合においても本発明の目的を十分に達成することができる。
【0037】また、薄膜27などは信号電極24などと比べると厚さが薄く、剛性的にも十分低いために、薄膜27を形成することによって本発明の目的が阻害されることはない。薄膜を構成する導電性材料としては、Al、Cu、Ni-Cr、Au、及びTiを例示することができる。」

カ 「【0038】また、基板は、電気光学効果を有する材料から構成されることが必要であり、ニオブ酸リチウム(LiNbO_(3))、タンタル酸リチウム(LiTaO_(3))、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)などの強誘電体材料を例示することができる。なお、図4?6に示す本発明の光導波路素子は、これら材料のXカット板を用いているが、Yカット板及びZカット板などをも用いることができる。

キ 「【0046】以上、本発明について具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない範囲においてあらゆる変形や変更が可能である。例えば、図4に示す本発明の第1の光導波路素子30において、第1の接地電極及び第2の接地電極を複数に分割して、図7に示すようの光導波路素子60を形成することもできる。なお、この場合においても上述したような理由から、分断された各溝部56-1?56-8には、導電性材料からなる薄膜57-1?57?8を形成することが好ましい。」

ク 図4及び7は、次のものである。


ケ 上記アないしキを踏まえて、上記クの図7をみると、基板51におけるバッファ層51が形成される側の表面が平坦であること、及び、第1の接地電極を複数に分割する各溝部56-1ないし56-4及び各薄膜57-1ないし57-4と、第2の接地電極を複数に分割する各溝部56-5ないし56-8及び各薄膜57-5ないし57-8とは、信号電極54を挟むように概略対称に配置されていることがみてとれる。

(2)引用発明
ア 上記(1)ア、ウ及びケによれば、引用文献には、次の発明が記載されているものと認められる。
「電気光学効果を有する強誘電体単結晶のXカット板からなる基板及びバッファ層を具えるとともに、
前記基板の表面層部分にマッハツエンダー型の光導波路を構成する、第1の分岐光導波路及び第2の分岐光導波路を有し、
前記バッファ層上に信号電極、第1の接地電極及び第2の接地電極が設けられ、
前記第2の接地電極は、前記光導波路の長さ方向に分断されることにより溝部を有し、前記各分岐光導波路の中心線に対して、前記第1の接地電極及び前記信号電極と前記第2の接地電極が対称となっており、
前記基板における前記バッファ層が形成される側の表面が平坦であり、
前記第1の接地電極を複数に分割する各溝部及び各薄膜と、前記第2の接地電極を複数に分割する各溝部及び各薄膜とは、前記信号電極を挟むように概略対称に配置されている、
高速光変調器に用いる光導波路素子。」

イ 上記3(1)イによれば、上記アの発明の信号電極及び前記信号電極を挟むよう配置される信号電極、第1の接地電極及び第2の接地電極は、マッハツエンダー型光導波路中を導波する光波を制御するための変調用電極であるから、上記アの発明は、信号電極及び前記信号電極を挟むよう配置される第1の接地電極及び第2の接地電極からなる変調用電極との構成を備える。

ウ 上記3(1)カによれば、上記アの発明の光導波路素子の基板は、「Xカット板を用いているが、Yカット板及びZカット板などをも用いることができる」から、上記アの発明の基板は、「Zカット板からなる基板」であってよい。

エ 上記3(1)イによれば、上記アの発明の光導波路素子(第1の光導波路素子)の、「第1の分岐光導波路」は、「前記信号電極の下側又は前記第1の接地電極と前記信号電極との間に位置する」から、上記アの発明の第1の分岐光導波路は、信号電極の下側に位置する。

オ 上記3(1)キによれば、上記アの発明の光導波路素子は、第1の接地電極及び第2の接地電極を複数に分割して、光導波路素子を形成することもでき、分断された各溝部には、導電性材料からなる薄膜を形成することが好ましいとされる。
そうすると、上記アの発明の第1の接地電極を複数に分割する各溝部に形成した導電性材料からなる薄膜、及び、第2の接地電極を複数に分割する各溝部に形成した導電性材料からなる薄膜は、それぞれ、第1の接地電極の薄膜であって、光導波路の光軸方向に第2の分岐光導波路に沿った所定長さに亘って延在する第1の薄膜、及び、第2の接地電極の薄膜であって、光導波路の光軸方向に第1の分岐光導波路に沿った所定長さに亘って延在する第2の薄膜との構成を備える。
また、上記3(1)オによれば、前記薄膜は信号電極と比べると厚さが薄いとの構成を備える。

カ 上記アないしオによれば、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)であると認められる。
「電気光学効果を有する強誘電体単結晶のZカット板からなる基板及びバッファ層を具えるとともに、
前記Zカット板からなる基板における前記バッファ層が形成される側の表面が平坦であり、
前記Zカット板からなる基板の表面層部分にマッハツエンダー型の光導波路を構成する、第1の分岐光導波路及び第2の分岐光導波路を有し、
前記バッファ層上に前記信号電極、前記第1の接地電極及び第2の接地電極が設けられ、
前記信号電極及び前記信号電極を挟むよう配置される前記第1の接地電極及び前記第2の接地電極からなる変調用電極を備え、
前記第1の分岐光導波路は前記信号電極の下側に位置し、
前記第2の接地電極は、前記光導波路の長さ方向に分断されることにより溝部を有し、前記各分岐光導波路の中心線に対して、前記第1の接地電極及び前記信号電極と前記第2の接地電極が対称となっており、
前記第1の接地電極の薄膜であって、前記光導波路の光軸方向に前記第2の分岐光導波路に沿った所定長さに亘って延在する第1の薄膜、及び、前記第2の接地電極の薄膜であって、前記光導波路の光軸方向に前記第1の分岐光導波路に沿った所定長さに亘って延在する第2の薄膜を有し、
前記第1の接地電極を複数に分割する各溝部及び各薄膜と、前記第2の接地電極を複数に分割する各溝部及び各薄膜とは、前記信号電極を挟むように概略対称に配置されている、
前記薄膜は、前記信号電極と比べると厚さが薄い、
高速光変調器に用いる光導波路素子。」

4 対比・判断
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「(電気光学効果を有する強誘電体単結晶のZカット板からなる)基板」、「バッファ層」、「(Zカット板からなる基板の表面層部分にマッハツエンダー型の光導波路を構成する)『第1の分岐光導波路』及び『第2の分岐光導波路』」、「光導波路」、「信号電極」、「第1の接地電極」、「第2の接地電極」、「変調用電極」、「第1の接地電極の薄膜」、「第1の薄膜」、「第2の接地電極の薄膜」、「第2の薄膜」、「薄膜」及び「(高速光変調器に用いる)光導波路素子」は、本願発明の「(電気光学効果を有するz-カット)基板」、「バッファ層」、「(z-カット基板に形成された)『第1の光導波路』と『第2の光導波路』」、「光導波路」、「中心導体」、「第1の接地導体」、「第2の接地導体」、「進行波電極」、「第1の接地導体側の領域」、「第1の領域」、「第2の接地導体側の領域」、「第2の領域」、「(第1の領域および前記第2の領域に前記中心導体の厚みよりも薄い厚さで形成されている)接地導体」及び「光変調器」にそれぞれ相当するから、
引用発明は、本願発明の「前記第1の接地導体側の領域は、前記光導波路の光軸方向に前記第2の光導波路に沿った所定長さに亘って延在する第1の領域を有し、前記第2の接地導体側の領域は、前記光導波路の光軸方向に前記第1の光導波路に沿った所定長さに亘って延在するとともに、前記中心導体の中心線に対して前記第1の領域と第2の領域を有し、前記第1の領域および前記第2の領域に前記接地導体が前記中心導体の厚みよりも薄い厚さで形成されている」との構成を備える。

したがって、両者は、
「電気光学効果を有するz-カット基板と、前記z-カット基板に形成された第1の光導波路と第2の光導波路からなる光導波路と、前記z-カット基板の上に形成されたバッファ層と、該バッファ層の上方に配置された中心導体および該中心導体を挟むよう配置される第1の接地導体と第2の接地導体からなる接地導体により構成された進行波電極とを具備し、前記z-カット基板における前記バッファ層が形成される側の表面が平坦である光変調器において、
前記第1の光導波路の上方に前記中心導体を、前記第2の光導波路の上方に前記第1の接地導体をそれぞれ有し、また、前記第1の接地導体に対し前記中心導体を間に挟んだ反対側に前記第2の接地導体を有し、
前記第1の接地導体側の領域は、前記光導波路の光軸方向に前記第2の光導波路に沿った所定長さに亘って延在する第1の領域を有し、前記第2の接地導体側の領域は、前記光導波路の光軸方向に前記第1の光導波路に沿った所定長さに亘って延在するとともに、前記中心導体の中心線に対して前記第1の領域と第2の領域を有し、前記第1の領域および前記第2の領域に前記接地導体が前記中心導体の厚みよりも薄い厚さで形成されている光変調器。」
である点で一致し、下記(ア)ないし(ウ)の点で相違する。

(ア)本願発明の第1の領域は、「第2の光導波路直上を除く」ものであるのに対して、引用発明の第1の接地電極を複数に分割する各溝部はこのように特定されるものではない点(以下「相違点1」という)。

(イ)本願発明の第2の領域は、中心導体の中心線に対して第1の領域と対称となるのに対して、引用発明の第2の接地電極を複数に分割する各溝部及び各薄膜は、第1の接地電極を複数に分割する各溝部及び各薄膜と、信号電極を挟むように概略対称に配置される点(以下「相違点2」という)。

(ウ)本願発明の第1の領域および第2の領域の「接地導体」は、「全面に」形成されているのに対して、引用発明の「薄膜」はこのように特定されるものではない点(以下「相違点3」という)。

(2)判断
ア 上記相違点1について検討する。
上記3(1)エによれば、引用発明は、第2の接地電極が分断されて、その部分に薄膜が形成され、この薄膜の下側に第2の分岐光導波路が形成されているような場合をも含むとされることに照らして、薄膜ではない厚い第2の接地電極の下に第2の分岐光導波路が形成されていてもよいといえる。
したがって、引用発明において、薄膜ではない厚い第2の接地電極の下に第2の分岐光導波路を形成して、本願発明に係る上記相違点1の構成となすことは、当業者が必要に応じて適宜なしうる設計的な事項である。

イ 上記相違点2について検討する。
引用発明は、第1の接地電極を複数に分割する各溝部及び各薄膜と、第2の接地電極を複数に分割する各溝部及び各薄膜とが、信号電極を挟むように概略対称に配置されるものである。
一方、本願発明は、発明の詳細な説明の段落【0062】によれば、「進行波電極が相互作用光導波路3aと3bの中間に設けた中心線Vに対して厳密に対称でないと本発明の効果を発揮できないかというとそれは正しくない。接地導体4b(34)の幅は中心導体4aの幅と数μm異なっていても良く、これを含めて相互作用光導波路3a、3bの中間に設けた中心線Vに対して相互作用光導波路3a、3bの上にある中心導体と接地導体が対称である(あるいは、実質的にほぼ対称)としている。また、同様に進行波電極の構造が中心線VIに対して厳密に対称でなくても本発明の効果を発揮できる。そしてこれらのことは本発明の全ての実施形態について言える。」とされる。
そうすると、引用発明は、第1の接地電極を複数に分割する各溝部及び各薄膜と、第2の接地電極を複数に分割する各溝部及び各薄膜とが、信号電極を挟むように厳密に対称に配置されるものではないが、本願発明が、上記のとおり厳密に対称でなくてよいものであるから、相違点2は実質的な相違ではない。

ウ 上記相違点3について検討する。
上記3(1)キの、分断された各溝部56-1?56-8には、導電性材料からなる薄膜57-1?57?8を形成するとの記載に照らして、薄膜を溝部の全面に形成するものとなし、上記相違点3に係る本願発明の構成となすことに格別の困難はない。

エ 小括
上記アないしウでの検討によれば、引用発明において、相違点1ないし3に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得る程度のことと認められる。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用文献に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-06-13 
結審通知日 2014-06-17 
審決日 2014-06-24 
出願番号 特願2012-67059(P2012-67059)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 貴一  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 鈴木 肇
松川 直樹
発明の名称 光変調器  
代理人 有我 軍一郎  

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