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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1290860
審判番号 不服2012-14115  
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-23 
確定日 2014-08-13 
事件の表示 特願2009-548295「ページング・グループを取り扱うための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 8月 7日国際公開、WO2008/094630、平成22年 5月20日国内公表、特表2010-517478〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成20年1月31日(パリ条約に基づく優先権主張 2007年1月31日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年11月16日付けで拒絶理由通知がなされ、平成24年2月22日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、平成24年3月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成24年7月23日付けで審判請求がなされたものである。

そして、平成25年7月31日付けで当審から拒絶理由が通知され、平成26年2月6日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされた。


第2.当審の拒絶理由
平成25年7月31日付けで当審から通知した拒絶理由の概要は以下のとおりである。

「A)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



発明の詳細な説明の段落番号【0015】に「PG-ID=(IMSI div DRXサイクル長)+(IMSI mod DRXサイクル長)」と記載されている。この割り算において、割られる数はIMSIである。この割り算における割られる数が、IMSIに限定されるわけでなく、任意の数でよいことを示す記載は、発明の詳細な説明には見当たらない。
請求項1-7の「第5の値を前記第3の値で割ることから第4の値を得る」という記載における「第5の値」は任意の数である。出願時の技術常識に照らしても、発明の詳細な説明の割られる数IMSIを、請求項1-7の任意の数である「第5の値」にまで拡張ないし一般化できるとは認められない。
よって、請求項1-7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

B)この出願は、発明の詳細な説明の記載について下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。



請求項1-7に「第5の値を前記第3の値で割ることから第4の値を得る」と記載されている。「第5の値」は任意の数である。
任意の数である第5の値を前記第3の値で割って第4の値を得て、その第4の値と第1の値に基づいて、ページングフレームを得ることの技術上の意義が発明の詳細な説明には記載されていない。

・・・(中略)・・・

したがって、発明の詳細な説明には、請求項1-7に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が記載されていないから、本願は、特許法施行規則第24条の2の規定に違反し、したがって特許法第36条第4項第1号の規定に違反している。

C)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



請求項1-2に「前記LTEのUEが、前記得られたページングフレームにおいてページングについてモニタし、および前記得られたページングフレーム以外のフレームにおいてDRXにある」と記載されている。請求項3-4に「前記得られたページングフレーム以外のフレームにおいてDRXにあるように構成されることを特徴とするLTEのUE。」と記載されている。
これらの記載から、前記得られたページングフレーム以外のフレームにおいては、LTEのUEがDRXにあるということになる。DRXは「discontinuous reception」の略であり、「不連続受信」という意味である。不連続受信であるから、受信している時と、受信していない時がある。「UEがDRXにある」とは、「UEが受信している。」という意味なのか、「UEが受信していない。」という意味なのか不明確である。
よって、請求項1-4に係る発明は明確でない。」


第3.拒絶理由A)について

1.審判請求人の主張
審判請求人は、当審の拒絶理由A)について、意見書において次のように主張している。

「4-1 理由A及びB
上記補正により、本願請求項記載の「第5の値」は任意の値ではなくなったので、特許法第36条第6項第1号及び特許法第36条第4項第1号の要件を具備するものとなりました。よって、理由A及びBは解消したものと思料いたします。」

2.当審の判断
本願明細書の段落番号【0015】の第1式を「式(1)」と呼び、段落番号【0015】の第2式を「式(2)」と呼ぶことにする。式(2)は次のとおりである。

PG-ID=(IMSI div DRXサイクル長) + (IMSI m
od DRXサイクル長 ) ・・・ 式(2)

式(2)の右辺第1項において、DRXサイクル長で割られる数を、一般化して「Nd」で表すことにする。また、 式(2)の右辺第2項において、DRXサイクル長によるmod計算を受ける数を、一般化して、「Nm」で表すことにする。そうすると、式(2)は、次式(以下、「式(3)」と呼ぶ。)のように一般化される。

PG-ID=(Nd div DRXサイクル長) + (Nm mod
DRXサイクル長 ) ・・・ 式(3)

本願明細書の段落番号【0014】に「LTEネットワークにおいては、PG-ID(Paging Group Identity:ページング・グループ識別子)を有するページング・グループは多くの方法にて定義することができる。例えば、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、またはTMSI(Temporary Mobile Subscriber Identity)などの、WTRUエンティティにより数値的にWTRUをグループ化することが可能である。しかしながらTMSIの一時的な性格が故に、待機状態におけるページングの取り扱いに対してはIMSIがLTEにおいて使用されるべきより安定した識別子である場合がある。」と記載されている。
また、本願明細書の段落番号【0016】に「LTEシステムによって、特定のWTRUに対するすべてのページング時点が決定され、かつ最短のDRXサイクル長に関する自身のIMSI(またはTMSI)の同様の数値的特性を有するWTRUのグループが定義された場合に、結果としてページング・グループ、PG-IDは、基本的ページング時点オフセット・フレーム番号になる。」と記載されている。

段落番号【0014】-【0016】を始めとする発明の詳細な説明には、Ndを、Nmと同じ番号体系の端末識別子とすることが開示されている。
そして、段落番号【0014】-【0016】を始めとする発明の詳細な説明には、Ndを、Nmとは異なる番号体系の端末識別子とすることは開示されていない。
したがって、発明の詳細な説明には、NmがIMSIならば、NdもIMSIとすることが開示されており、NmがIMSIである時に、NdをIMSI以外の端末識別子、すなわち周知のTMSIやIMEI(International Mobile Station Equipment Identity)とすることは開示されていない。

他方、請求項1-7の「前記UEを識別するための番号から得られ」る「第5の値」が、周知のTMSIやIMEIを含むことは明らかである。したがって、請求項1-7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

平成26年2月6日付けの意見書では、「4-1 理由A及びB 上記補正により、本願請求項記載の「第5の値」は任意の値ではなくなったので、特許法第36条第6項第1号及び特許法第36条第4項第1号の要件を具備するものとなりました。よって、理由A及びBは解消したものと思料いたします。」と説明している。
確かに、平成26年2月6日付けの補正により、「第5の値」は、任意の値ではなくなり、「UEを識別するための番号から得られ」るものとなった。しかし、そのことは、請求項1-7に係る発明が、発明の詳細な説明に記載したものとなったことを、直ちに意味するものでない。第2の値が、IMSIから得られるものであるという拘束条件下において、第5の値が、「UEを識別するための番号から得られ」るもの、すなわち周知のTMSIやIMEIであってもよいというためには、発明の詳細な説明の記載に基づく論理的説明を必要とする。しかし、意見書において、そのような説明は全くなされていない。したがって、意見書の所論は採用できない。

3.小括
以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。


第4.拒絶理由B)について

1.審判請求人の主張
審判請求人の、拒絶理由B)についての意見書における主張は、上記拒絶理由A)についての主張と同じである。

2.当審の判断
上記「第3.拒絶理由A)について」で説明したように、段落番号【0014】-【0016】を始めとする発明の詳細な説明には、Ndを、Nmと同じ番号体系の端末識別子とすることが開示されている。
そして、段落番号【0014】-【0016】を始めとする発明の詳細な説明には、Ndを、Nmとは異なる番号体系の端末識別子とすることは開示されていない。
したがって、発明の詳細な説明には、NmがIMSIならば、NdもIMSIとすることが開示されており、NmがIMSIである時に、NdをIMSI以外の端末識別子、すなわち周知のTMSIやIMEI(International Mobile Station Equipment Identity)とすることは開示されていない。

他方、請求項1-7の「前記UEを識別するための番号から得られ」る「第5の値」が、周知のTMSIやIMEIを含むことは明らかである。よって、発明の詳細な説明は、請求項1-7に係る発明のように、NmがIMSIである時に、NdをIMSI以外の端末識別子、すなわち周知のTMSIやIMEIとした場合の、技術上の意義が理解できるように記載されていない。

平成26年2月6日付けの意見書では、「4-1 理由A及びB 上記補正により、本願請求項記載の「第5の値」は任意の値ではなくなったので、特許法第36条第6項第1号及び特許法第36条第4項第1号の要件を具備するものとなりました。よって、理由A及びBは解消したものと思料いたします。」と説明している。
確かに、平成26年2月6日付けの補正により、「第5の値」は、任意の値ではなくなり、「UEを識別するための番号から得られ」るものとなった。しかし、そのことは、請求項1-7に係る発明の技術上の意義が、発明の詳細な説明に記載から理解できるようになったことを、直ちに意味するものでない。第2の値が、IMSIから得られるものである場合に、第5の値を、「UEを識別するための番号から得られ」るもの、すなわち周知のTMSIやIMEIとした時の技術上の意義は、発明の詳細な説明の記載に基づいて論理的に説明されることを必要とする。しかし、意見書において、そのような説明は全くなされていない。したがって、意見書の所論は採用できない。

3.小括
以上のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。


第5.拒絶理由C)について

1.審判請求人の主張
審判請求人は、当審の拒絶理由C)について、意見書において次のように主張している。

「4-2 理由C
上記補正により、UEが不連続受信の状態にあることが明確になったので、特許法第36条第6項第2号の要件を具備するものとなりました。よって、理由Cは解消したものと思料いたします。」

2.当審の判断
「DRX」は、「Discontinuous Reception」の略であり、「不連続受信」という意味である。したがって、「DRX状態」は、「不連続受信状態」という意味になる。
不連続受信は、「受信をする期間と、受信をしない期間とを有する。」という意味である。したがって、請求項1-4の「DRX状態」は、「受信をする状態」を意味するのか、それとも「受信をしない状態」を意味するのか、不明確である。

平成26年2月6日付けの意見書では、「4-2 理由C 上記補正により、UEが不連続受信の状態にあることが明確になったので、特許法第36条第6項第2号の要件を具備するものとなりました。よって、理由Cは解消したものと思料いたします。」と説明している。しかし、「不連続受信の状態」とは、「受信をする状態」を意味するのか、それとも「受信をしない状態」を意味するのか、依然として不明確である。したがって、意見書の所論は採用できない。

3.小括
以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。


第6.まとめ
以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。
また、本願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-03-11 
結審通知日 2014-03-18 
審決日 2014-03-31 
出願番号 特願2009-548295(P2009-548295)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (H04W)
P 1 8・ 537- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深津 始  
特許庁審判長 江口 能弘
特許庁審判官 吉田 隆之
近藤 聡
発明の名称 ページング・グループを取り扱うための方法および装置  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
復代理人 濱中 淳宏  
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