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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G07G 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G07G |
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管理番号 | 1290989 |
審判番号 | 不服2013-19395 |
総通号数 | 178 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-10-04 |
確定日 | 2014-08-11 |
事件の表示 | 特願2011-279799号「セルフPOSシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年3月22日出願公開、特開2012-59300号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は平成20年7月2日に出願された意願2008-17132号を、平成20年9月29日に出願変更した特願2008-250940号の一部を平成23年12月21日に新たな特許出願としたものであって、平成25年6月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年10月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、平成25年6月4日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載された請求項1及び2を削除し、請求項3を請求項1とする手続補正がなされたものである。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年10月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「顧客が商品登録して精算を行うセルフPOSシステムにおいて、 非接触で決済を行うときに使用するマルチリーダの下部に、商品登録を行うときに使用する固定スキャナを配置し、前記マルチリーダは顧客側方向に張り出して設けられて、顧客が商品のスキャンを行う際に前記固定スキャナのレーザ光をひさしのように遮るように設置されており、前記固定スキャナから、レーザ光を顧客側方向斜め下に照射するようにし、 レシートプリンタと前記固定スキャナと前記マルチリーダとを収容する本体を有し、前記レシートプリンタは、前記固定スキャナの下部に、レシート用紙交換時に、顧客が商品のスキャンを行う際に前記レーザ光が照射される前面側に引き出して用紙の交換が可能であるように収容されていること を特徴とするセルフPOSシステム。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用した刊行物である、特開2006-59302号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。 ア.「【0002】 POS端末等のような商品販売データ処理装置の分野では、チェックアウト、つまり、購入される商品についての精算処理及び購入される商品の顧客への引渡しの効率化が従来からの大きな課題となっている。例えば、平成7年3月3日発行の特許文献1には、商品に付された商品コードを顧客自らが読み取るようにすることが提案されている。ところが、チェックアウトに際しては、現金やクレジットカード等による店側への金銭の支払いが必要となる。特許文献1に記載された発明も同様であるが、伝統的な商品販売データ処理装置において、店側への金銭の支払いのための操作まで顧客に担わせるという発想は、一般的にはなされてない。 【0003】 これに対して、近年、貨幣と等価な経済的価値を持つ金銭情報を記憶するICカード、例えばデビットカードが実用化されるに至っている。このようなICカードを利用する場合、店側への金銭の支払いのための操作を顧客自らが行うことが可能であり、現実にも行われている。…(中略)… 【0005】 ICカードを利用することで、完全なセルフチェックアウトの実現が可能になる。ところが、顧客自身がセルフチェックアウトのための全ての操作を行うとなると、顧客に対して、操作上の習熟を要求することになるものと予測される。しかしながら、全ての顧客にそのような操作上の習熟を要求することは、事実上困難である。したがって、機械操作に不慣れな顧客に対しても、間違いのないセルフチェックアウトをしてもらうことができるようなシステム上の工夫が求められる。特に、非接触型のICカード等のような媒体を用いたセルフチェックアウトに際しては、当該媒体に対する金銭情報の読出しと変更とを確実に行い得るようにすることが、間違いのないセルフチェックアウトをする上で、不可欠である。 【0006】 本発明の目的は、非接触型のICカード等のような媒体を用いたセルフチェックアウトに際して、間違いのないセルフチェックアウトを支援することである。」 イ.「【0010】 [ハードウエア構成] 図1は、商品販売データ処理装置としてのチェックアウト端末101の全体の外観構成を示す斜視図である。図1からも明確なように、本実施の形態のチェックアウト端末101は、伝統的なPOS端末1(図3参照)と比較して、新規な外観態様を有している。概略的には、チェックアウト端末101は、本体部102の上部に表示器103が取り付けられて構成されている。本体部102は、ベースプレート104の後端部から前方に向けて湾曲形状で延出する湾曲プレート105との間に、ハウジング106が取り付けられた外観構成を有する。このような構成上、ハウジング106は、その側面形状が扇形をしている。 【0011】 ベースプレート104は、その手前側の一部がハウジング106に覆われずに外部に露出している。このベースプレート104の外部に露出する部分には、丸枠107が描かれている。この丸枠107は、図示しない商品に付されたデータ、本実施の形態では商品に付された図示しないRFIDタグが記憶するデータを読み取る際、商品を通過させる領域の基準を提供する。 【0012】 ハウジング106は、その傾斜した前面を構成するフロントパネル108を有する。このフロントパネル108は、ハウジング106の他の部分に対して着脱自在である。そして、フロントパネル108には、レシート発行口109が形成されている。 【0013】 湾曲プレート105は、その先端部となる最も手前側の位置に、テーブル110を有する。そして、このテーブル110の上面にはセット部110aが形成されている。セット部110aは、RFID機能を有する媒体、本実施の形態では非接触型のICカードであるカード501を載置してセットするために用いられる。図1から明らかなように、湾曲プレート105は、その先端側がハウジング106からオーバーハングしている。このような湾曲プレート105のオーバーハング部分は、ベースプレート104に描かれた丸枠107の上方空間に位置付けられる。そこで、これらのベースプレート104の丸枠107と湾曲プレート105のオーバーハング部分との間の空間が、商品の通過領域として提供される。 ウ.「【0017】 図3は、伝統的なPOS端末1と本実施の形態のチェックアウト端末101とを比較対比して示す模式図である。図3を参照することで、本実施の形態のチェックアウト端末101が有する各部、つまり、「操作画面」、「カード読取部」、「商品情報読取部」、「レシート発行部」の機能をPOS端末1との比較において容易に把握することができよう。 【0018】 チェックアウト端末101において、「操作画面」は、表示器103に設けられた液晶表示パネル111とタッチパネル112とによって構成される。この点については、伝統的なPOS端末1と相違はない。 【0019】 これに対して、チェックアウト端末101においては、セット部110aにセットされたカード501との間で無線通信を実行するリーダライタ201(図5参照)が設けられている。このようなリーダライタ201は、テーブル110においてセット部110aの上面に配置されている第1のアンテナ202を介してカード501との間の無線通信を実行する。したがって、テーブル110は、「カード読取部」を構成する。このような「カード読取部」として、POS端末1は、溝形状のカード読取部を設けている。そこで、「カード読取部」の外観構成として、チェックアウト端末101の「カード読取部」はPOS端末1の「カード読取部」と大きく相違する。 【0020】 本実施の形態では、前述したように、商品に付されたRFIDタグとの間の無線通信によって商品のデータを読み取る。これを実現する構成として、リーダ203が設けられている。このリーダ203は、テーブル110の下面に配置されている第2のアンテナ204を介してRFIDとの間の無線通信を実行する。したがって、テーブル110は、「商品情報読取部」を構成する。このような「商品情報読取部」として、POS端末1は、別ユニットを備える。そこで、「商品情報読取部」の外観構成として、チェックアウト端末101の「商品情報読取部」はPOS端末1の「商品情報読取部」と大きく相違する。 【0021】 「レシート発行部」として、チェックアウト端末101はスリット状のレシート発行口109を有している。POS端末1の「レシート発行部」もスリット状である。 【0022】 ここで、リーダライタ201は、カード501という形態で実現されている媒体に対して、ICチップの記憶領域にアクセスしてその記憶領域に記憶されている金銭情報の読み出しと変更とを実行するリーダライタの一態様として用いられている。つまり、本実施の形態では、媒体としてカード501が用いられているが故にリーダライタとしてリーダライタ201が用いられ、媒体をセットするためのセット部としてセット部110aが採用されているわけである。したがって、リーダライタ201及びセット部110aの形態は、媒体の形態に依存することになる。この場合、本発明を実施するうえで、媒体の外観態様について制約はない。例えば、カード型に限らず、各種の外観態様を有する媒体を用い得る。例えば、媒体は、携帯電話のような外観態様を有していても良い。そこで、媒体として携帯電話のような外観態様を有するものの使用が想定される場合には、セット部110aも携帯電話の載置に適した構造を備えることになる。 【0023】 また、リーダ203は、RFIDタグを備えている商品に対して、RFIDタグの記憶領域にアクセスしてその記憶領域に記憶されているデータ、例えば当該商品の商品コードや単価等の読み出しを実行するリーダの一態様として用いられている。つまり、本実施の形態では、商品としてRFIDタグが付された商品が用いられているが故にリーダとしてリーダ203が用いられ、商品のデータを読み取るための空間としてベースプレート104の丸枠107と湾曲プレート105のオーバーハング部分との間の空間が利用されているわけである。したがって、リーダ203及び商品のデータを読み取るための空間の形態は、商品に対するそのデータの持たせ方に依存することになる。例えば、商品のデータがバーコードや2次元コード等のようなデータコードで記述されているとした場合には、リーダとしてバーコードリーダや二次元コードリーダ等のような光学的にデータコードを読み取るリーダが用いられることになる。」 エ.「【0025】 図4は、プリンタの構造を示す模式図である。ハウジング106は、プリンタ113を内蔵する。プリンタ113は、回転自在に支持されたプラテン114とこのプラテン114に対して回動自在に支持されてプラテン114に当接するサーマルプリンタヘッド115とを備えている。プリンタ113は、用紙収納部116にロール状に巻回されて収納されたレシート用紙117を案内コロ118でプラテン114とサーマルプリンタヘッド115との間に案内し、レシート発行口109から外部に導き出す。このようなレシート用紙117の案内過程で、サーマルプリンタヘッド115が有する図示しない複数個の発熱素子の選択的な発熱によって、レシート用紙117に所定事項が印字される。したがって、レシート用紙117としては、感熱紙等を用いる必要がある。また、サーマルプリンタヘッド115によって印字済みのレシート用紙117を外部に導き出す過程で、レシート用紙117はカッタ119によって切断され、レシート120としてレシート発行口109から発行される。」 オ.図4には、プリンタ113がハウジング106の内部に設けられた態様が図示されている。 また、商品のIDタグを光学的にデータコードを読み取るリーダによって読み取る場合でも、商品のデータコードは、ベースプレート上において読み取られるものと認められる。 上記記載事項ア.ないしエ.及び図示内容オ.から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「顧客自身がセルフチェックアウトのための操作を行う商品販売データ処理装置としてのチェックアウト端末101であって、 本体部102は、ベースプレート104の後端部から前方に向けて湾曲形状で延出する湾曲プレート105との間に、ハウジング106が取り付けられた外観構成を有し、湾曲プレート105は、その先端側がハウジング106からオーバーハングし、湾曲プレート105のオーバーハング部分は、ベースプレート104に描かれた丸枠107の上方空間に位置付けられており、かつ、湾曲プレート105は、その先端部となる最も手前側の位置に、テーブル110を有し、このテーブル110の上面にはリーダライタ201が設けられたセット部110aが形成され、テーブル110の上方では、セット部110aにセットされた非接触型のカード501に対する金銭情報の読出しと変更とがリーダライタ201により行なわれてセルフチェックアウトを行うものであり、テーブル110の下方のベースプレート上にある商品のバーコードや2次元コード等のようなデータコードを光学的に読み取るリーダにより商品情報の読み取りが行われるものであり、 ハウジング106には、その前面に用紙収納部116にロール状に巻回されて収納されたレシート用紙117を案内コロ118でプラテン114とサーマルプリンタヘッド115との間に案内し、レシート発行口109から外部に導き出すプリンタ113が内蔵されており、ハウジング106の傾斜した前面を構成するフロントパネル108は、ハウジング106の他の部分に対して着脱自在であるチェックアウト端末101。」 同じく、原査定の拒絶の理由に引用した特開2003-91776号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 カ.「【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図10に示す従来の電子式金銭登録機90では、プリンタ装置96がキーボード94の横に配置されるので、電子式金銭登録機の幅が広がり、大きな設置スペースが必要である。電子式金銭登録機を設置するために与えられる場所は小さく、そのため設置面積が小さい電子式金銭登録機が望まれている。また、電子式金銭登録機90のプリンタカバー93には、印字されたレシート91が上方に排出されるための排出口93aが設けられているので、この排出口93aから水などの液体や、粉塵などが入って、プリンタ装置96に問題を引き起こす場合がある。また、印字されるロール紙がなくなった場合や、プリンタ装置96内で紙詰まりが発生した場合、プリンタカバー93を手動で開ける必要があり、操作が煩雑となっていた。…(中略)… 【0007】本発明の目的は、設置スペースが小さく、プリント手段で印刷が行なわれる記録シートに異常が発生した場合の対応を即座に行なうことができる電子式金銭登録機を提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、キーボードを有する本体と、前記キーボードの下で本体から引き出し可能に設けられるケースと、前記ケース内に設けられるプリント手段とを備え、前記プリント手段で印字されたレシートが正面から排出されることを特徴とする電子式金銭登録機である。 【0009】本発明に従えば、本体に、たとえばテンキーおよび選択キーなどのキーボードを備え、情報の入力を行なうことができる。前記キーボードの下には、本体から引き出し可能なケースが設けられ、このケース内にプリント手段を設けることによって、電子式金銭登録機の設置スペースを小さくすることができる。プリント手段を本体から引き出し可能なケース内に配置することで、プリント手段の上にキーボードが配置されても、ケースを引き出すことによって、プリント手段のメンテナンスを容易に行なうことができる。また、前記ケース内のプリント手段で印字されたレシートは、ケースの正面から外部に排出されるので、プリント手段が配置されるケース内への水などの液体や粉塵などの侵入を防止することができる。」 キ.図1には、ロール紙11を備えたプリンタユニット6を収容したプリンタケース3が電子式金銭登録機の操作者の手前側に引き出された態様及びレシート11aがケース3の前面から排出される態様が図示されている。 上記記載事項カ.及び図示内容キ.から、引用文献2には、電子式金銭登録機において、設置スペースを小さくするためにプリンタ装置をケース内部に設けてキーボードを有する本体のキーボードの下に上記ケースを配置すると共に、該ケースを本体から電子式金銭登録機の操作者の側に引き出し可能にしてレシート印字用ロール紙を交換する等のプリント手段のメンテナンスを容易にする発明が記載されている。 3.対比 本願発明と、引用発明とを対比すると、後者の「チェックアウト端末101」は、POS端末のように、商品販売データ処理を行うものであり、かつ、その操作を顧客に行わせるものであるから、セルフPOS端末といえる。そして、POS端末が、ホストコンピュータと結合してPOSシステムを構成することは通常のことであるから、前者の「顧客が商品登録して精算を行うセルフPOSシステム」に相当する。 また、後者の、「テーブル110」の上面に設けられた「リーダライタ201」は、RFID機能を有する媒体である、非接触型のICカード或いは携帯電話との間の無線通信を実行するものであるから、前者の「マルチリーダ」と「非接触で決済を行うときに使用するリーダ」である点で共通している。 そして、後者の「光学的にデータコードを読み取るリーダ」、「プリンタ113」は、その機能・構造からみて、それぞれ、「固定スキャナ」、「レシートプリンタ」に相当する。 そして、後者の「本体部102」は、「ハウジング106」と、その先端側がハウジング106からオーバーハングする湾曲プレート105の先端部となる最も手前側の位置に設けたテーブル110上面にリーダライタ201が設けられ、また、テーブル110の下方にある商品のデータコードを「光学的に読み取るリーダ」が設けられており、更に、ハウジング106には、「プリンタ113」が内蔵されているから、前者における、「レシートプリンタ」と「固定スキャナ」と「マルチリーダ」とを収容する「本体」に相当する。 そして、引用発明における「光学的にデータコードを読み取るリーダ」は、テーブル110の下方のベースプレート上にある商品のデータコードを読み取るものであるから、テーブル110の下部に配置されると認められ、商品登録を行うときに使用するものである。また、湾曲プレート105のオーバーハング部分の先端部にある「テーブル110」の「リーダライタ201」は、「光学的にデータコードを読み取るリーダ」のスキャナの光をひさしのように遮るように設置されているといえる。 また、後者の「レシート用紙117を案内コロ118でプラテン114とサーマルプリンタヘッド115との間に案内し、レシート発行口109から外部に導き出すプリンタ113」は、湾曲プレート105がオーバーハングするハウジング106に内蔵されていることは図4から明らかであり、プリンタのレシート用紙が交換可能であることは当然のことである。 そうすると、本願発明を特定している表現ぶりに倣って整理すると、両者は 「顧客が商品登録して精算を行うセルフPOSシステムにおいて 非接触で決済を行うときに使用するリーダの下部に、商品登録を行うときに使用する固定スキャナを配置し、前記リーダは顧客側方向に張り出して設けられて、顧客が商品のスキャンを行う際に前記固定スキャナの光をひさしのように遮るように設置されており、前記固定スキャナから光を照射するようにし、 レシートプリンタと前記固定スキャナと前記リーダとを収容する本体を有し、前記レシートプリンタは、用紙の交換が可能であるように収容されているセルフPOSシステム。」 である点で一致しており、次の点で相違する。 相違点1:本願発明においては、「非接触で決済を行うときに使用するリーダ」がマルチリーダであるのに対し、引用発明においては、上記リーダがマルチリーダであるのか不明である点。 相違点2:本願発明においては、「固定スキャナから、レーザ光を顧客側方向斜め下に照射するようにし」であるのに対し、引用発明においては、固定スキャナーがテーブル110の下部のどの位置に配置されているのか明らかでないので、顧客側方向斜め下に照射しているのか明らかでなく、また、レーザー光を用いているのかも明らかでない点。 相違点3:本願発明においては、レシート用紙交換時に、顧客が商品のスキャンを行う際に前記レーザ光が照射される前面側に引き出して用紙の交換を可能としているのに対し、引用発明においては、レシート用紙交換をどのように行うのか明らかでない点。 相違点4:本願発明においては、レシートプリンタは、前記固定スキャナの下部に収容されているのに対し、引用発明においては、レシートプリンタと固定スキャナの位置関係が明らかでない点。 4.当審の判断 まず、相違点1について検討する。 非接触でICカードに対して読み書きして決済を行うリーダとしては、異なる規格のICカードに対応するものが普通に用いられているところであるから、「リーダ」を複数の規格に対応する「マルチリーダ」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 次に、相違点2について検討する。 光学的にバーコード又は二次元コードを読み取るリーダの光源としては、レーザーが普通に用いられているところである。また、引用発明において、固定スキャナーを設置する位置は、テーブル110の下部であれば本体の適宜箇所に設置し得るものであり、引用文献1には、RFIDタグを読み取るリーダ203のアンテナ204を、テーブル110の下面に設けることが記載されているから、固定スキャナをテーブル110の下部のテーブル110に近接した位置で、かつ、操作者からみて奥の方に設置することは、当業者が容易に想到し得ることである。そして、その場合、固定スキャナと、ベースプレート上を通過する商品との位置関係によってレーザー光は、顧客側方向斜め下にレーザ光を照射することになるから、本願発明の相違点2に係る特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、顧客側方向斜め下に照射することによる格別の効果も認められない。 次に、相違点3について検討する。 引用発明においては、ハウジング106の傾斜した前面を構成するフロントパネル108が、ハウジング106の他の部分に対して着脱自在であることから、レシート用紙交換を、フロントパネル108を外すことにより、チェックアウト端末の操作者である顧客の側から行うことは、ごく普通に行う程度の事項にすぎないと認められる。 そして、引用文献2に記載された電子式金銭登録機も、チェックアウト端末或いはPOS端末と同様に、商品毎に販売情報を登録して精算を行い、その結果をプリンタ装置によって印字してレシートとして、レシート発行口から外部に導き出すものであるから、引用文献2に記載された発明即ち、電子式金銭登録機において、設置スペースを小さくすると共に、レシート印字用ロール紙を交換する等のプリント手段のメンテナンスを容易にするために、本体から引き出し可能なケースを設け、このケース内にプリント手段を設けて、操作者の側に上記ケースを引き出し可能とする発明を引用発明に採用して、本願発明の相違点3に係る特定事項とすることも、当業者が容易に想到し得ることである。 また、上記相違点3に係る本願発明の特定事項による効果は、当業者が予測し得る範囲のものである。 次に、相違点4について検討する。 相違点2について検討したとおり、固定スキャナをテーブル110の下部のテーブル110に近接した位置に設けることは当業者が容易に想到し得ることであり、そうすれば相違点4はおのずと相違点ではなくなるものである。 5.むすび したがって、本願発明は引用発明及び引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-06-12 |
結審通知日 | 2014-06-13 |
審決日 | 2014-06-25 |
出願番号 | 特願2011-279799(P2011-279799) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G07G)
P 1 8・ 575- Z (G07G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西 秀隆 |
特許庁審判長 |
本郷 徹 |
特許庁審判官 |
高木 彰 関谷 一夫 |
発明の名称 | セルフPOSシステム |
代理人 | 羽切 正治 |