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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 取り消して特許、登録 C04B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C04B 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 C04B 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C04B |
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管理番号 | 1291152 |
審判番号 | 不服2013-24470 |
総通号数 | 178 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-12-12 |
確定日 | 2014-09-09 |
事件の表示 | 特願2010-540760「石膏スラリーの形成方法、および石膏パネル」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月 9日国際公開、WO2009/085635、平成23年 3月17日国内公表、特表2011-508720、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続きの経緯 本願は、2008年12月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2007年12月28日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年12月8日付けで手続補正書が提出され、平成25年3月19日付けで拒絶理由が通知され、同年6月25日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月9日付けで拒絶査定されたので、同年12月12日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けで手続補正書が提出されたものである。 第2 平成25年12月12日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成25年12月12日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正前及び補正後の本願発明 (1)本件補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするものであって、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1の補正(以下、「補正事項1」という。)に関し、本件補正前後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである(審決注:下線部は補正箇所を示す。)。 (補正前) 「焼成石膏と水を混合して石膏スラリーを作り、鉱物分濃度がカルシウムとして40乃至120mg/Lである硬水中で安定な泡を加えるステップを含む硬水での石膏スラリーの形成方法であって、 前記泡が、水、空気および界面活性剤でなり、前記界面活性剤が、分子中に平均0.2から3.0個のエトキシ基を含む親水性部と、炭素数8のアルキル鎖が20%から60%、炭素数10のアルキル鎖が20%から60%、炭素数12のアルキル鎖が14%から36%、および炭素数14のアルキル鎖が2%から20%で分布した疎水性部を有してなることを特徴とする石膏スラリーの形成方法。」 (補正後) 「焼成石膏と水を混合して石膏スラリーを作り、鉱物分濃度がカルシウムとして少なくとも300mg/Lである硬水中で安定な泡を加えるステップを含む硬水での石膏スラリーの形成方法であって、 前記泡が、水、空気および界面活性剤でなり、前記界面活性剤が、分子中に平均0.2から3.0個のエトキシ基を含む親水性部と、炭素数8のアルキル鎖が20%から60%、炭素数10のアルキル鎖が20%から60%、炭素数12のアルキル鎖が14%から36%、および炭素数14のアルキル鎖が2%から20%で分布した疎水性部を有してなることを特徴とする石膏スラリーの形成方法。」 (2)補正の適否 補正事項1に関する補正は、石膏スラリーの形成で使用する「硬水」について、本件補正前には「鉱物分濃度がカルシウムとして40乃至120mg/L」であったものを、本件補正により「鉱物分濃度がカルシウムとして少なくとも300mg/L」に変更するものである。 そこで、補正事項1が、補正の目的要件(特許法第17条の2第5項)を充足するものであるかを検討する。 これに関し、硬水としての技術的範囲を、「鉱物分濃度がカルシウムとして40乃至120mg/L」から「鉱物分濃度がカルシウムとして少なくとも300mg/L」に変更することは、そのカルシウム濃度範囲を変更するものであるので、特許請求の範囲の減縮(特許法第17条の2第5項第2号)にはあたらない。また、補正前の「鉱物分濃度がカルシウムとして40乃至120mg/Lの硬水」という特定事項は、それ自体明確であるので、明瞭でない記載の釈明(同項第4号)にもあたらない。さらに、請求項の削除(同項第1号)や誤記の訂正(同項第3号)にあたらないことは明らかである。 このため、補正事項1は、特許法第17条の2第5項で規定するいずれの事項を目的とするものではない。 ウ 小活 したがって、補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成25年12月12日付けの手続補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1?10に係る発明のうち、請求項1、7に係る発明は、同年6月25日付け手続補正書により補正された請求項1、7に、また、請求項2?6、8?10に係る発明は、平成23年12月8日付け手続補正書により補正された請求項2?6、8?10記載されたとおりの次のとおりのものである。 「 【請求項1】 焼成石膏と水を混合して石膏スラリーを作り、鉱物分濃度がカルシウムとして40乃至120mg/Lである硬水中で安定な泡を加えるステップを含む硬水での石膏スラリーの形成方法であって、 前記泡が、水、空気および界面活性剤でなり、前記界面活性剤が、分子中に平均0.2から3.0個のエトキシ基を含む親水性部と、炭素数8のアルキル鎖が20%から60%、炭素数10のアルキル鎖が20%から60%、炭素数12のアルキル鎖が14%から36%、および炭素数14のアルキル鎖が2%から20%で分布した疎水性部を有してなることを特徴とする石膏スラリーの形成方法。 【請求項2】 前記界面活性剤が、予め混合された石鹸であることを特徴とする請求項1に記載の石膏スラリーの形成方法。 【請求項3】 前記石膏スラリーを作るステップは、さらに、より大きな泡コアの形成を促す添加剤を加えることを特徴とする請求項1に記載の石膏スラリーの形成方法。 【請求項4】 前記添加剤が、澱粉、ポリカルボキシレートエーテル分散剤、ナフタレンスルホネート分散剤、あるいはこれらの混合物であることを特徴とする請求項3に記載の石膏スラリーの形成方法。 【請求項5】 焼成石膏に加えられて石膏スラリーを作る水が、鉱物分濃度がカルシウムとして最少で約40mg/Lである硬水であることを特徴とする請求項1に記載の石膏スラリーの形成方法。 【請求項6】 空気と前記界面活性剤と一緒にして泡を作る水が、鉱物分濃度がカルシウムとして最少で約40mg/Lである硬水であることを特徴とする請求項1に記載の石膏スラリーの形成方法。 【請求項7】 a)焼成石膏と、b)前記焼成石膏に加えられて石膏スラリーを形成する鉱物分濃度がカルシウムとして40乃至120mg/Lである硬水と、およびc)水、空気、および分子中に平均0.2から3.0個のエトキシ基を有する親水性部と、炭素数8のアルキル鎖が20%から60%、炭素数10のアルキル鎖が20%から60%、炭素数12のアルキル鎖が14%から36%、および炭素数14のアルキル鎖が2%から20%で分布した疎水性部を有してなる界面活性剤を混合して形成され、前記硬水中で安定であり、前記石膏スラリーに加えられる泡と、で構成されて、前記硬水の存在下で形成された石膏パネルであって、 前記泡の入った石膏スラリーが前面と後面それぞれの間で硬化されて、硬化された前面と後面が、仕上げ加工されることを特徴とする石膏パネル。 【請求項8】 前記焼成石膏に加えられて石膏スラリーを形成する水が、硬水であることを特徴とする請求項7に記載の石膏パネル。 【請求項9】 前記界面活性剤が、予め混合された石鹸であることを特徴とする請求項7に記載の石膏パネル。 【請求項10】 前記石膏スラリーは、さらに、より大きな泡コアの形成を促す添加剤を加えることを特徴とする請求項7に記載の石膏パネル。」 第4 当審の判断 本願については、原査定の拒絶理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2014-08-28 |
出願番号 | 特願2010-540760(P2010-540760) |
審決分類 |
P
1
8・
57-
WY
(C04B)
P 1 8・ 537- WY (C04B) P 1 8・ 561- WY (C04B) P 1 8・ 121- WY (C04B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小川 武 |
特許庁審判長 |
河原 英雄 |
特許庁審判官 |
川端 修 真々田 忠博 |
発明の名称 | 石膏スラリーの形成方法、および石膏パネル |
代理人 | 特許業務法人共生国際特許事務所 |