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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1291199 |
審判番号 | 不服2013-19978 |
総通号数 | 178 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-10-15 |
確定日 | 2014-08-21 |
事件の表示 | 特願2012-231241「ビデオゲーム処理装置、およびビデオゲーム処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月 8日出願公開、特開2014- 79528〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成24年10月18日の出願であって、平成25年4月30日に手続補正書が提出され、同年7月9日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年10月15日に拒絶査定に対する審判請求がされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。 2.平成25年10月15日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)後の本願の発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、 「表示装置の表示画面にプレイヤキャラクタを表示して、敵キャラクタとのバトルを含むビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置であって、 前記バトルにおいて用いられるバトルコマンドと当該バトルコマンドに対応する行動を実行する他のプレイヤキャラクタとが対応付けされた召喚許容情報を記憶する召喚許容情報記憶手段と、 前記他のプレイヤキャラクタを制御する他のビデオゲーム処理装置が送信した前記召喚許容情報を受信するビデオゲーム処理サーバから当該召喚許容情報を受信する召喚許容情報受信手段と、 前記バトルにおいて、前記召喚許容情報の利用要求を示す召喚要求を受け付ける召喚要求受付手段と、 召喚要求を受け付けたことに基づいて、前記バトルにおいて利用する召喚許容情報を決定する利用情報決定手段と、 該利用情報決定手段により決定された召喚許容情報が示す他のプレイヤキャラクタを前記バトルに召喚して当該召喚許容情報が示すバトルコマンドに対応する行動を実行させる召喚手段とを含む ことを特徴とするビデオゲーム処理装置。」 と補正された。(下線は審決で付した。) 本件補正は、召喚許容情報を利用する場面、及び利用情報決定手段により決定された召喚許容情報が示す他のプレイヤキャラクタを召喚する場面を明らかにしたものであって、特許法第17条の2第5項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 また、本件補正は、特許法第17条の2第3項、第4項の規定に適合する。 3.引用例 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された「“「サンダガに打たれたかのような衝撃」。新キャラ・リングアベルをはじめ『ブレイブリーデフォルト』の新情報を公開”,電撃オンライン,[online],2012年 8月 3日,株式会社アスキー・メディアワークス,[検索日 2013年 1月16日],インターネット<URL:http://news.dengeki.com/elem/000/000/512/512644/>」(以下「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 「 」 なお、以下、上記の一番最初に記載された左側の図を「図1a」といい、同右側の図を「図1b」といい、以下同様に「図2a」?「図5b」という。 上記の「◆バトルで友だちを召喚! 行動を登録&配信できる“フレンド召喚”」、「3DSならではの通信機能を利用して新システムとして“フレンド召喚”の存在が明らかとなった。これは、バトル中に自分以外のプレイヤーが育てたキャラクターを召喚するというもの。友だちが育てた強力なキャラクターに助けてもらえば、強敵相手でも簡単に倒せるかも?」、「▲ティズが何か光るものをかかげると、友だちが育てたキャラクターが登場! 友だちが登録していたコマンドを実行して、バトルを助けてくれる。」、「キャラクターのデータ(どんなコマンドを実行するのか登録できる)は、通信を利用して配信・受信を行う流れとなる。・・・強力なキャラクター&コマンドを配信して友だちを助けたり、逆に助けてもらったりして・・・」、「▲攻撃にも回避にも役立つ“フレンド召喚”。どんなコマンドを行うのかは、配信するプレイヤーがあらかじめ設定しておける。」、「【フレンド召喚”の登録&配信までの流れ】」、及び「登録したキャラクター&コマンドは3種類の通信(インターネット通信、ローカル通信、すれちがい通信)を利用して、他のプレイヤーに配信&受信ができる。」、並びに図1a、b、及び図2a、bの記載からみて、引用例には、以下の事項が示されているといえる。 ・「敵キャラクタとのバトル中にプレイヤがプレイヤの友だちであるフレンドを選択して召喚するキャラクタを決定すること。」 ・「プレイヤが召喚するキャラクタはフレンドが自身のゲーム機でプレイヤキャラクタとして育てたものであること。」 ・「プレイヤが召喚するキャラクタにはバトルで使用するコマンドがフレンドにより登録されていること。」 ・「召喚されたキャラクタは登録されたコマンドをバトルで実行すること。」 ・「召喚されたキャラクタ、及び登録されたコマンドは通信を利用してフレンドのゲーム機から配信されたものであること。」 また、上記の記載の全体、及び図1a?図5bの記載からみて、「上記のゲームがビデオゲームであって、プレイヤのプレイヤキャラクタと敵キャラクタとのバトルを行うものであり、ゲーム機は、表示装置の表示画面にプレイヤキャラクタ等を表示して、上記のバトルを含むビデオゲームの進行を制御するもの」であることは、明らかである。 してみると、上記の記載事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「プレイヤのプレイヤキャラクタと敵キャラクタとのバトルを行うビデオゲームであり、表示装置の表示画面にプレイヤキャラクタ等を表示して、上記のバトルを含むビデオゲームの進行を制御するゲーム機であって、 敵キャラクタとのバトル中にプレイヤがプレイヤの友だちであるフレンドを選択して召喚するキャラクタを決定し、 召喚されたキャラクタは登録されたコマンドをバトルで実行し、 プレイヤが召喚するキャラクタはフレンドが自身のゲーム機でプレイヤキャラクタとして育てたものであり、 プレイヤが召喚するキャラクタにはバトルで使用するコマンドがフレンドにより登録されており、 召喚されたキャラクタ、及び登録されたコマンドは通信を利用してフレンドのゲーム機から配信されたものであるゲーム機。」 4.対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、 後者における「ゲーム機」は、ビデオゲームの進行を制御するものであり、その構造、機能、作用等からみて、前者における「ビデオゲーム処理装置」に相当し、以下同様に、「コマンド」は「バトルコマンド」に、「召喚するキャラクタ」は「他のプレイヤキャラクタ」に、「フレンドのゲーム機」は「他のビデオゲーム処理装置」に、それぞれ相当する。 また、後者は、プレイヤにより召喚されるキャラクタがフレンドのゲーム機でプレイヤキャラクタとして育てられ、そのキャラクタにはバトルで使用するコマンドがフレンドにより登録されて、フレンドのゲーム機から配信され、プレイヤがフレンドを選択して召喚するキャラクタを決定するから、「バトルにおいて用いられるバトルコマンドと当該バトルコマンドに対応する行動を実行する他のプレイヤキャラクタとが対応付けされた召喚許容情報」を有しているといえる。 また、後者は、召喚されるキャラクタ、及び登録されたコマンドが通信を利用してフレンドのゲーム機から配信され、プレイヤがフレンドを選択して召喚するキャラクタを決定するから、「他のプレイヤキャラクタを制御する他のビデオゲーム処理装置が送信した召喚許容情報を受信する召喚許容情報受信手段」を備えているといえる。 また、後者は、敵キャラクタとのバトル中にプレイヤがプレイヤの友だちであるフレンドを選択して召喚するキャラクタを決定しているから、「バトルにおいて利用する召喚許容情報を決定する利用情報決定手段」を備えているといえる。 また、後者は、敵キャラクタとのバトル中にプレイヤがプレイヤの友だちであるフレンドを選択して召喚するキャラクタを決定し、召喚されたキャラクタは登録されたコマンドをバトルで実行するから、「利用情報決定手段により決定された召喚許容情報が示す他のプレイヤキャラクタをバトルに召喚して当該召喚許容情報が示すバトルコマンドに対応する行動を実行させる召喚手段」を備えているといえる。 したがって、両者は、 「表示装置の表示画面にプレイヤキャラクタを表示して、敵キャラクタとのバトルを含むビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置であって、 前記バトルにおいて用いられるバトルコマンドと当該バトルコマンドに対応する行動を実行する他のプレイヤキャラクタとが対応付けされた召喚許容情報を有し、 前記他のプレイヤキャラクタを制御する他のビデオゲーム処理装置が送信した前記召喚許容情報を受信する召喚許容情報受信手段と、 召喚要求を受け付けたことに基づいて、前記バトルにおいて利用する召喚許容情報を決定する利用情報決定手段と、 該利用情報決定手段により決定された召喚許容情報が示す他のプレイヤキャラクタを前記バトルに召喚して当該召喚許容情報が示すバトルコマンドに対応する行動を実行させる召喚手段とを含む ことを特徴とするビデオゲーム処理装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 本願発明は、「(召喚許容情報を記憶する)召喚許容情報記憶手段」を含むものであるのに対して、引用発明は、召喚許容情報を有するが、召喚許容情報記憶手段を含んでいるか否か、明らかでない点。 [相違点2] 召喚許容情報受信手段が、本願発明は、他のビデオゲーム処理装置が送信した「召喚許容情報を受信するビデオゲーム処理サーバから」当該召喚許容情報を受信するのに対して、引用発明は、他のビデオゲーム処理装置が送信した召喚許容情報を受信するものであるが、ビデオゲーム処理サーバから受信するものであるか否か、明らかでない点。 [相違点3] 本願発明は、「バトルにおいて、召喚許容情報の利用要求を示す召喚要求を受け付ける召喚要求受付手段」を含むものであるのに対して、引用発明は、その点につき、明らかでない点。 5.当審の判断 上記相違点について以下検討する。 (1)相違点1について 引用発明は、プレイヤにより召喚されるキャラクタがフレンドのゲーム機でプレイヤキャラクタとして育てられ、そのキャラクタにはバトルで使用するコマンドがフレンドにより登録されて、フレンドのゲーム機から配信され、プレイヤがフレンドを選択して召喚するキャラクタを決定するものであり(図2a、b参照。)、つまり複数のフレンドのゲーム機から配信され、その配信された複数のコマンド、及びキャラクタの情報(召喚許容情報)を選択するものであるから、召喚許容情報を記憶する召喚許容情報記憶手段を含んでいるとすることは、当業者にとって格別の困難性はない。 したがって、引用発明において、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 (2)相違点2について 一般にネットワーク通信を利用するゲーム処理装置において、他のプレイヤにデータを送信する際にゲーム処理サーバを介して管理を行うことは、本願の出願時点で周知の技術事項である(例えば、特開2012-93916号公報の段落【0097】、図3、特開2012-178747号公報の段落【0033】、図1、及び特開2012-143271号公報の段落【0152】、図9参照。)。 また、引用発明と上記周知の技術事項とは、ネットワーク通信を利用するゲーム処理装置という共通の技術分野に属するものである。また、引用発明において、フレンド召喚(召喚許容情報)を配信、または受信する場合、ゲーム処理サーバを介して行うか、直接行うかのいずれかであって、そのいずれを選択するかは当業者が当該引用発明を実施する際に適宜定めるべき設計的事項であるところ、本願明細書をみても、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項に格別の技術的意義があるものとは認められない。 したがって、引用発明に上記周知の技術事項を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。 そして、引用発明は、フレンド召喚(召喚許容情報)を配信、または受信する場合にネットワーク通信を利用するものであるから、引用発明に上記周知の技術事項を適用すると、当然他のビデオゲーム処理装置が送信した召喚許容情報を受信するビデオゲーム処理サーバから当該召喚許容情報を受信することになる。 よって、引用発明において、上記周知の技術事項を適用することにより、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 (3)相違点3について 引用発明は、上記4のとおり、「バトルにおいて利用する召喚許容情報を決定する利用情報決定手段」を備えているから、バトルにおいて利用する召喚許容情報を決定する前提として召喚許容情報の利用要求を示す召喚要求を受け付けることが必要になるものである。してみると、引用発明は、「召喚許容情報の利用要求を示す召喚要求を受け付ける召喚要求受付手段」を含んでいるとすることは、当業者にとって格別の困難性はない。 したがって、引用発明において、相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 そして、本願発明の全体構成によって奏される効果も、引用発明、及び上記周知の技術事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。 (4)むすび したがって,本願発明は、引用発明、及び上記周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-06-20 |
結審通知日 | 2014-06-24 |
審決日 | 2014-07-07 |
出願番号 | 特願2012-231241(P2012-231241) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 奈良田 新一 |
特許庁審判長 |
吉野 公夫 |
特許庁審判官 |
黒瀬 雅一 畑井 順一 |
発明の名称 | ビデオゲーム処理装置、およびビデオゲーム処理プログラム |
代理人 | 須藤 浩 |
代理人 | 海田 浩明 |