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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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判定2014600009 | 審決 | 特許 |
判定2014600021 | 審決 | 特許 |
判定2014600006 | 審決 | 特許 |
判定2014600057 | 審決 | 特許 |
判定2014600047 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 判定 同一 属する(申立て成立) E02D |
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管理番号 | 1291569 |
判定請求番号 | 判定2014-600025 |
総通号数 | 178 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2014-10-31 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2014-06-18 |
確定日 | 2014-09-12 |
事件の表示 | 特許第3592190号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号図面に示す「グラウトホール」は、特許第3592190号発明の技術的範囲に属する。 |
理由 |
第1 請求の趣旨 本件判定請求の趣旨は、判定請求書に添付したイ号図面に示すグラウトホールは、特許第3592190号の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。 第2 本件特許発明 本件特許発明は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、当該明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、構成要件ごとに分説すると次のとおりである。 「【請求項1】 (A)外筒と該外筒に内設する内筒とよりなり、 (B)且つ該内筒が上記外筒の内壁に沿って縦方向に移動可能となるように設けられている底版下の地盤沈下の測定兼グラウト注入装置において、 (C)上記外筒と上記内筒との間隙に伸縮性筒状体を張設して該外筒と該内筒を連結してなることを特徴とする底版下の地盤沈下の測定兼グラウト注入装置。」 (以下、本件特許の請求項1に係る発明を「本件特許発明1」といい、分説されたものを「構成要件A?C」という。) 第3 イ号物件 イ号物件の構成は、請求人が提出した判定請求書、及び、判定請求書に添付して提出した甲第3号証の1(別添参照)を参照して、当審において、次のとおり特定する。 「(a)本体管1と該本体管に内設する内管2とよりなり、 (b)且つ該内管2がその下端に沈下板7を備え、上記本体管1の内壁に沿って縦方向に移動可能となるように設けられているグラウトホールにおいて、 (c)上記本体管1と上記内管2との間隙に、内管が縦方向に移動したときに伸長する蛇腹状の止水シート9を張設して該本体管と該内管を連結してなるグラウトホール。」 (以下、「構成a?c」という。) なお、甲第3号証の1のグラウトホール材料表において、止水シートの番号は9としているところ、甲第3号証の1の図では、番号9は、本体管1と内管2との間の空間を示している。当該図における番号9が示すのは、本来、本体管1と内管2とを連結する止水シートであるべきことは明らかである。 第4 当事者の主張 1.請求人の主張 請求人は、判定請求書において、概略次の理由によりイ号物件は、特許第3592190号の本件特許発明1の技術的範囲に属する旨主張している。 本件特許発明1の構成要件Aと、イ号物件の構成aとは差異はなく、以下同様に、構成要件Bと構成b、構成要件Cと構成cについても差異はない。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の請求項1に係る発明の構成と同一であるから、本件特許発明1の技術的範囲に属する。 2.被請求人の主張 本件判定請求は、被請求人が特定されておらず、被請求人の主張はない。請求人は被請求人を特定できない理由を、平成26年7月11日付けの上申書で述べており、入札書類の閲覧中にイ号物件の図面を発見したが、まだ落札されていないため、イ号物件を製造・販売している者を知ることができないからである、としている。 第5 対比・判断 1.本件特許発明1の構成要件Aの充足性について イ号物件の「本体管1」及び「内管2」は、本件特許発明1の「外筒」及び「内筒」にそれぞれ相当するから、イ号物件の構成aは、本件特許発明1の構成要件Aを充足している。 2.本件特許発明1の構成要件Bの充足性について (1)本件特許発明1の「底版下の地盤沈下の測定兼グラウト注入装置」の技術的意味 本件特許発明1の構成要件Bのうちの「底版下の地盤沈下の測定兼グラウト注入装置」について、本件特許明細書には、【図1】?【図3】とともに次の記載がある。 (1-1)発明の実施の形態について 「 【0020】 該沈下検知棒7は空洞感知用に設けられるもので、その先端は針状又はできるだけ尖った状態に形成されていて、地盤沈下により空洞が生じると、沈下検知棒7は内筒3と共に沈下して空洞の端に突き当たることによって空洞の深さを感知し測定することができる。多くの場合空洞の端は、土又は泥状であるので、上記検知棒7は、土又は泥の中に埋設してしまうので、測定は、外筒2の上端から内筒3の低下した距離を測定することで地盤沈下の程度を知ることができる。」 「 【0023】 上記外筒2の大きさは、外径100?200mm、筒部の長さとして300?1500mmであり、水平保持材6の長さは200?300mmである。内筒3の大きさは、外径50?150mm、筒部の長さとして280?1460mm、内筒3に接合する円板8の直径は200?400mmであり、沈下検知棒7の長さは110?300mmである。 内筒3の筒部が外筒2内に全部が納まった時の全体の長さとして、上記外筒3の上端から、沈下検知棒7の先端までの長さは、410?1800mmである。」 「 【0049】 以上のように本願発明は、外筒2と該外筒2に内設する内筒3とを耐圧耐水性の高い材質の伸縮性筒状体4を用いて連結することによって、該内筒3が該外筒2の中で上下に自由に移動することができるので、地盤沈下が起こると内筒3は沈下に伴って素早く低下して地盤の上面で停止することで地盤の沈下の程度を容易に迅速に測定することができる。その測定は、外筒2のキャップ17を外して外筒2の上端から内筒3の低下した高さを装置内に設けた目盛、又はメジャーによって行うことができる。」 (1-2)図面について 本件特許公報の【図1】?【図3】には、内筒が外筒の内壁に沿って縦方向に移動した場合に、外筒の上方部の内側に空間が形成されていることが図示されている。 (1-3)まとめ これらの記載に基づけば、本件特許発明の構成要件Bのうちの「底版下の地盤沈下の測定兼グラウト注入装置」の技術的意味は、内筒が外筒の上端から内壁に沿って縦方向に低下した高さ(距離)に着目して、底版下の地盤沈下の度合いを測定するとともに、底版下の地盤が沈下することによりできた空洞に対してグラウトを注入する装置であると認められる。 なお、前記「内筒が外筒の上端から内壁に沿って縦方向に低下する高さ(距離)に着目して測定」することの例としては、装置内に目盛りを設けて内筒の低下した高さを測定することや、内筒の低下した高さをメジャーによって測定することが挙げられている。(上記段落【0020】【0049】参照) (2)イ号物件における「測定」に関する構成について (2-1)検討1 イ号物件の構成bは、「且つ該内管2がその下端に沈下板7を備え、上記本体管1の内壁に沿って縦方向に移動可能となるように設けられているグラウトホールにおいて、」であり、「内管2が・・・本体管1の内壁に沿って縦方向に移動」したことを示した甲第3号証の1の断面図(右)には、キャップ4の上端から下降した内管の上端に配置されているグラウトキャップ5の上面までの距離を規定した「沈下量L」の記載がある。当該「沈下量L」は、技術常識をふまえれば、内筒の下降した量、すなわち、底版下の地盤地下の度合いと関連する量であることは明らかである。そして、当該「沈下量L」を測ることで、底版下の地盤地下の度合いを測ることができることは明らかである。 よって、イ号物件のグラウトホールは、内管が低下した高さ(距離)の測定、すなわち、地盤沈下の測定が可能な構成を有するものである。 なお、上記「沈下量L」は、上述したとおりキャップ4の上端から下降した内管の上端に配置されるグラウトキャップ5の上面までの距離であるとともに、初期状態(断面図(左))において、グラウトキャップ5の上面は、既にキャップ4の上端から下方に位置したところにある。 したがって、上記「沈下量L」は、実際の地盤が沈下した量よりも初期状態においてグラウトキャップ5の上面がキャップ4の上端から下方に位置した分だけ常に大きくなるが、甲第3号証の1中の番号9の指示個所の誤りの指摘(上記「第3」のなお書き参照)と同様、同号証文書には誤記等があり得ることを考慮すれば、当業者が上記「沈下量L」の規定する範囲の意味を正しく理解することに何ら、困難性はない。 以上のように、甲第3号証の1には不正確な個所があるが、上記の「イ号物件のグラウトホールは、内管が低下した高さ(距離)の測定、すなわち、地盤沈下の測定が可能な構成を有するものである。」との判断を妨げるものではない。 上記検討のほか、以下の検討により同様の判断をすることができる。 (2-2)検討2 イ号物件の構成bは、「且つ該内管2がその下端に沈下板7を備え、上記本体管1の内壁に沿って縦方向に移動可能となるように設けられているグラウトホールにおいて、」であり、内管2は沈下板7とともに下降できる構成である。そして、内管2が本体管1の内壁に沿って下降することにより空間が形成される。 そして、イ号物件において、上記空間を利用して測定道具を入れる等して、内管が低下した高さ(距離)を測定できることは明らかである。 よって、イ号物件のグラウトホールは、内管が低下した高さ(距離)の測定、すなわち、地盤沈下の測定が可能な構成を有するものである。 (3)イ号物件における「グラウト注入」に関する構成について イ号物件が沈下板7を備えたグラウトホールという装置であること、そして、甲第3号証の1グラウトホール材料表にグラウトキャップ(番号5)の項目があることなどから、この装置が、底版下の地盤が沈下したことによりできた空洞に対してグラウトを注入することが可能であることは明らかである。 以上(2)、(3)のとおりであるから、イ号物件の構成bは、本件特許発明1の構成要件Bに相当するものである。 (4)小括 したがって、イ号物件の構成bは、本件特許発明1の構成要件Bを充足している。 3.本件特許発明の構成要件Cの充足性について イ号物件の構成cは、「上記本体管1と上記内管2との間隙に、内管が縦方向に移動したときに伸長する蛇腹状の止水シート9を張設して該本体管と該内管を連結してなるグラウトホール。」であるところ、該止水シートは、本体管と内管との間隙において、「内管が縦方向に移動したときに伸びる」ように設けられたものであるから、当該止水シートが、本体管と内管との間隙において張設された伸縮性のものであることは明らかである。 また、止水シート9は、甲第3号証の1の断面図において、内管1の両側に位置するものであるとともに、止水シートは止水を目的とするシートであることをみれば、当該止水シート9が、止水できるように内管の周囲を筒状に囲むものであることも明らかである。 ちなみに、甲第3号証の1のグラウトホール材料表をみると、止水シートを固定する部材である止水シート固定板の項目がある。そして、この止水シート固定板の形状寸法は、「50A」とされており、当該「止水シート固定板」の部品の形状が、筒状である点が示されている。 そうすると、イ号物件の構成cの「止水シート」は、本件特許発明1の構成要件Cの「伸縮性筒状体」に相当する。 なお、本件特許発明1の構成要件Cの「底版下の地盤沈下の測定兼グラウト注入装置」と、イ号物件の構成cの「グラウトホール」との対応関係については、上記「2.本件特許発明の構成要件Bの充足性について 」で説示したとおりである。 したがって、イ号物件の構成cは、本件特許発明1の構成要件Cを充足している。 第6 むすび 以上のとおり、イ号物件は、本件特許発明1の構成要件A?Cをすべて充足するものであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属する。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2014-09-01 |
出願番号 | 特願2000-114007(P2000-114007) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
YA
(E02D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 草野 顕子 |
特許庁審判長 |
本郷 徹 |
特許庁審判官 |
西田 秀彦 中川 真一 |
登録日 | 2004-09-03 |
登録番号 | 特許第3592190号(P3592190) |
発明の名称 | 底版下の地盤沈下の測定兼グラウト注入装置 |
代理人 | 杉山 誠二 |