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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C23C
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 C23C
管理番号 1291883
審判番号 不服2013-22785  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-21 
確定日 2014-10-01 
事件の表示 特願2008-254788「硬質皮膜被覆部材およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月15日出願公開、特開2010- 84197、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成20年 9月30日の出願であって、平成25年 3月28日付けの拒絶理由が通知され、これに対し同年 6月13日付けの意見補正がされたが、同年 7月31日付けの拒絶査定がされ、この査定を不服として、同年11月21日付けの手続補正とともに本件審判が請求されたものである。

2.補正の適否

(1)補正の内容
平成25年11月21日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲において、次の補正をするものである。

-補正前-
【請求項1】
基材上にクロム皮膜と窒素含有クロム皮膜が交互に配置されるように各々の厚さが略同一の複数のクロム皮膜と各々の厚さが略同一で200nm以下であり且つ複数のクロム皮膜の各々の厚さの1.2?5倍である複数の窒素含有クロム皮膜が形成されていることを特徴とする、硬質皮膜被覆部材。
【請求項2】?【請求項3】略
【請求項4】
基材上にクロム皮膜と窒素含有クロム皮膜が交互に配置されるように複数のクロム皮膜と複数の窒素含有クロム皮膜を形成する硬質皮膜被覆部材の製造方法において、複数のクロム皮膜の各々の厚さを略同一にし、複数の窒素含有クロム皮膜の各々の厚さを略同一で200nm以下にし且つ前記複数のクロム皮膜の各々の厚さの1.2?5倍にすることを特徴とする、硬質皮膜被覆部材の製造方法。
【請求項5】?【請求項9】略

-補正後-(下線部は補正箇所)
【請求項1】
基材上にクロム皮膜と窒素含有クロム皮膜が交互に配置されるように各々の厚さが略同一の複数のクロム皮膜と各々の厚さが略同一で20?200nmであり且つ複数のクロム皮膜の各々の厚さの1.2?5倍である複数の窒素含有クロム皮膜が形成されていることを特徴とする、硬質皮膜被覆部材。
【請求項2】?【請求項3】略
【請求項4】
基材上にクロム皮膜と窒素含有クロム皮膜が交互に配置されるように複数のクロム皮膜と複数の窒素含有クロム皮膜を形成する硬質皮膜被覆部材の製造方法において、複数のクロム皮膜の各々の厚さを略同一にし、複数の窒素含有クロム皮膜の各々の厚さを略同一で20?200nmにし且つ前記複数のクロム皮膜の各々の厚さの1.2?5倍にすることを特徴とする、硬質皮膜被覆部材の製造方法。
【請求項5】?【請求項9】略

(2)補正要件の検討
本件補正は、上記のとおり独立請求項に記載された発明特定事項の数値範囲を限定するものであって、補正の前後で発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、同条第3項及び第4項に違反するものではない。
してみると、補正後の請求項1?9に係る発明(以下、「本願補正発明1?9」という。)は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。

(2-1)引用例の記載
原査定の理由で引用された特開昭61-177365号公報(以下、「引用例」という。)には、次の記載がある(「・・・」は省略の意)。

摘示1(特許請求の範囲第6項)
「基体ならびにTi・・・Cr・・・Nbの群からの金属のチツ素または炭素化合物の硬物質からなる被覆を有する機械部材および工具において、それぞれ全層厚の一部のみを占めるTiN,TiC・・・CrN,Cr_(2)C_(3)・・・の群からの硬物質からなる個々の層の間にTi・・・Cr・・・Feの群からの金属中間層が配置されていることを特徴とする機械部材および工具。」

摘示2(4頁左下欄18行?右下欄17行)
「有利な層配置は・・・CrN-Cr-CrN-Cr----・・・である。互いに規則的に繰返す層の数にこの場合上限がない。・・・この場合個々の硬物質層の厚さは50?1000nm・・・に選択される。・・・個々の硬物質層の層厚と個々の金属層の層厚の比は10:1?10:5がとくに適当である。10:2の層厚比は非常によく再現しうる比であった。」

摘示3(FIG.1)


(2-2)引用発明の認定
引用例には、基体と金属のチッ素化合物の硬物質層の間に金属中間層が配置されている被覆を有する機械部材(摘示1)について、層配置をCrN-Cr-CrN-Crとし、CrN層の厚さを50?1000nm且つCr層厚の5倍(=10:2)とすること(摘示2)や、硬物質層同士、金属中間層同士の層厚が略同一であること(摘示3)が記載されている。
してみると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「基体上に、Cr層とCrN層が交互に配置されるように、個々の厚さが略同一の複数のCr層と個々の厚さが略同一で50?1000nmであり且つ複数のCr層の個々の厚さの5倍である複数のCrN層からなる被覆を有する機械部材。」

(2-3)発明の対比
本願補正発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「基体」「Cr層」「CrN層」「機械部材」が、それぞれ補正発明1の「基材」「クロム皮膜」「皮膜」「硬質皮膜被覆部材」に相当するから、本願補正発明1は、
「基材上にクロム皮膜と皮膜が交互に配置されるように各々の厚さが略同一の複数のクロム皮膜と各々の厚さが略同一であり且つ複数のクロム皮膜の各々の厚さの5倍である複数の皮膜が形成されている硬質皮膜被覆部材。」
の点で引用発明と一致し、次の点で両者は相違する。

相違点:複数の皮膜が、本願補正発明1では「厚さが20?200nmの窒素含有クロム皮膜」であるのに対し、引用発明では「厚さが50?1000nmのCrN層」である点。

(2-4)相違点の検討
本願明細書には、本願補正発明1の「窒素含有クロム皮膜」について、クロム皮膜中に窒素および窒化クロムの少なくとも一方が分散したものであること(段落0010)、すなわち固溶強化又は分散強化された金属組織を有することが記載されている。これに対し、引用例には、引用発明の「CrN層」について、金属の窒素又は炭素化合物の一例であること(摘示1)、すなわち非金属組織を有することが記載されている。
してみると、引用発明において、「CrN層」を異なる組織を有する「窒素含有クロム皮膜」に変更すること、すなわち、上記相違点を解消することは、当業者が容易になし得たことではない。

(2-5)まとめ
したがって、本願補正発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そして、本願補正発明1に従属する本願補正発明2,3及び本願補正発明1?3の硬質皮膜被覆部材の製造方法に相当する本願補正発明4?9も同様である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

3.拒絶理由の有無

本件補正は適法なものであるから、本願の請求項1?9に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるとおりのもの、すなわち、本願補正発明1?9であると認められる。
そして、本願については、上述したように、原査定の理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-09-18 
出願番号 特願2008-254788(P2008-254788)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (C23C)
P 1 8・ 575- WY (C23C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 光貴  
特許庁審判長 河原 英雄
特許庁審判官 大橋 賢一
真々田 忠博
発明の名称 硬質皮膜被覆部材およびその製造方法  
代理人 大川 浩一  
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