• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B42D
審判 一部無効 特174条1項  B42D
審判 一部無効 2項進歩性  B42D
管理番号 1292087
審判番号 無効2013-800055  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-04-02 
確定日 2014-10-08 
事件の表示 上記当事者間の特許第4803481号発明「送付用情報記録冊子」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 事案の概要
本件は、請求人が、被請求人が特許権者である特許第4803481号(以下「本件特許」という。登録時の請求項の数は6である。)の請求項1、2に係る発明についての特許を無効とすることを求める事案である。


第2 手続の経緯の概要

本件特許第4803481号に係る手続の経緯は以下のとおりである。

平成17年 5月11日 特願2005-138975号出願
平成23年 8月19日 設定登録
平成25年 4月 2日 無効審判請求
平成25年 6月21日 審判事件答弁書
平成25年 9月26日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成25年10月10日 口頭審理
平成25年10月16日 上申書(請求人)
平成25年10月24日 上申書(被請求人)


第3 本件発明

本件特許第4803481号の請求項1及び2に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
予め各種情報が掲載された同サイズの複数の連続用紙に、それぞれ綴じ辺(3)とその対向辺(5)の領域からなる所定の接着剤パターンで接着剤を塗布し、それぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させ、合流した連続用紙の折り部同士を綴じ辺(3)として接着し、連続用紙の連続方向を所定のサイズでカットすることで、中綴じの冊子状に一体化される送付用情報記録冊子であって、
各葉における少なくとも前記対向辺(5)の封止領域は、綴じ辺(3)の接着力よりも弱めに設定された接着力で接着することによって相互間の剥離が可能に接着・封止されると共に、
前記接着剤パターンの位置及び前記折り位置が整合するように連続用紙ごとにずらして位置合わせされることで、
前記封止領域には積層された各葉の指がかりを補助する階段状端差部(7)が、綴じ辺(3)と対向辺(5)との間の幅が表面側から裏面側に向けて段階的に長くなるように形成されることを特徴とする送付用情報記録冊子。
【請求項2】
請求項1記載の送付用情報記録冊子の製造方法であって、情報が予め記録された2以上の連続用紙(X),(Y)の必要箇所に感圧接着剤(6)を、綴じ辺(3)と対向辺(5)とで接着力及び接着位置を調整して塗布する工程と、一部の連続用紙(X),(Y)を綴じ辺(3)で折り曲げる工程と、折り曲げた連続用紙(X)と折り曲げ前の連続用紙(Y)とを合流させる工程と、合流した連続用紙(X),(Y)のうち折り曲げ前の連続用紙(Y)を綴じ辺(3)で折り曲げ、加圧して接着する工程と、連続用紙を所定の連続方向のサイズでカットする工程とを有する送付用情報記録冊子の製造方法。」(以下、請求項1及び請求項2に係る各発明を、それぞれ「本件発明1」及び「本件発明2」といい、これらを総称して「本件発明」という。)。


第4 審判請求人の主張の概要及び証拠方法

1 本件発明
本件発明の各請求項は、特許請求の範囲に記載されたとおりであり、各請求項を分説すると、以下のとおりである。
(1) 請求項1(本件発明1)
A 予め各種情報が掲載された同サイズの複数の連続用紙に、それぞれ綴じ辺(3)とその対向辺(5)の領域からなる所定の接着剤パターンで接着剤を塗布し、それぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させ、合流した連続用紙の折り部同士を綴じ辺(3)として接着し、連続用紙の連続方向を所定のサイズでカットすることで、中綴じの冊子状に一体化される送付用情報記録冊子であって、
B 各葉における少なくとも前記対向辺(5)の封止領域は、綴じ辺(3)の接着力よりも弱めに設定された接着力で接着することによって相互間の剥離が可能に接着・封止されると共に、
C 前記接着剤パターンの位置及び前記折り位置が整合するように連続用紙ごとにずらして位置合わせされることで、
D 前記封止領域には積層された各葉の指がかりを補助する階段状端差部(7)が、綴じ辺(3)と対向辺(5)との間の幅が表面側から裏面側に向けて段階的に長くなるように形成されることを特徴とする送付用情報記録冊子。

(2) 請求項2(本件発明2)
E 請求項1記載の送付用情報記録冊子の製造方法であって、
F 情報が予め記録された2以上の連続用紙(X)、(Y)の必要箇所に感圧接着剤(6)を、綴じ辺(3)と対向辺(5)とで接着力及び接着位置を調整して塗布する工程と、
G 一部の連続用紙(X)、(Y)を綴じ辺(3)で折り曲げる工程と、
H 折り曲げた連続用紙(X)と折り曲げ前の連続用紙(Y)とを合流させる工程と、
I 合流した連続用紙(X)、(Y)のうち折り曲げ前の連続用紙(Y)を綴じ辺(3)で折り曲げ、加圧して接着する工程と、
J 連続用紙を所定の連続方向のサイズでカットする工程とを有する送付用情報記録冊子の製造方法(審判請求書6?7頁)。

2 無効理由1(特許法第123条第1項第1号(特許法第17条の2第3項に規定する要件違反))
平成23年4月14日付け提出の手続補正書(甲第8号証。以下、この手続補正書による補正を「本件補正」という。)により追加された本件発明1の構成A及び構成Cは、本件特許の願書に添付した明細書及び図面(以下、「出願当初明細書及び図面(甲第7号証)」という」に記載されたものではなく、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。したがって、本件特許は、特許法第123条第1項第1号に該当する(審判請求書8?10頁)。

3 無効理由2(特許法第123条第1項第4号(特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない))
本件発明1は、構成C、Dの内容が不明確であるから、特許を受けようとする発明が明確ではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件違反をしており、本件特許は、同法第123条第1項第4号に該当する。
本件発明2は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない本件発明1の従属形式の請求項であるため、本件発明1と同様、特許を受けようとする発明が明確ではなく、同法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。さらに、本件発明2は、本件発明1の送付用情報記録冊子の構成に、工程E?Jの各工程を付加して限定したものであるが、工程Hが、本件発明1の送付用情報記録冊子の構成と矛盾する内容になっており、特許を受けようとする発明が明確ではないため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。したがって、本件特許は、同法第123条第1項第4号に該当するから、無効とすべきである(審判請求書10?12頁)。

4 無効理由3(特許法第123条第1項第2号(特許法第29条第2項に該当))
(1) 本件発明1について
甲第1号証に記載の情報記録冊子に、甲第2号証に記載されている周知技術の構成(相違点1、2)を適用すると共に、設計的事項の製造工程(相違点3)を採用して、本件発明1を構成することは、当業者が容易に想到し得るものであるため、本件発明1は、特許法第29条第2項に該当し特許を受けることができないものである。

(2) 本件発明2について
甲第1号証に記載の情報記録冊子の製造方法において、甲第2?4号証に記載の周知技術(綴じ辺の対向辺に接着材を塗布すること(相違点6))を付加すると共に、製造工程の一部を変更して設計的事項である工程H、I(相違点4、5)を採用し、本件発明2を構成することは、当業者が容易になし得たことは明らかであるため、本件発明2は、特許法第29条第2項に該当する(審判請求書12?29頁)(なお、「付加すると共、」は明らかな誤記と認められるので、審決で「付加すると共に、」と訂正した。)。

5 証拠方法
請求人が本件審判請求にあたり提示した証拠方法は、以下のとおりである。

平成25年4月2日付けの審判請求書に添付されたもの
甲第1号証 特開2003-305970号公報
甲第2号証 特開平9-39450号公報
甲第3号証 特開平10-264558号公報
甲第4号証 特開平11-245562号公報
甲第5号証 特開2001-310862号公報
甲第6号証 郵便法施行規則(平成15年1月14日総務省令第5号)
甲第7号証 特開2006-315252号公報(本件特許の公開公
報)
甲第8号証 手続補正書(本件発明の出願人から平成23年4月14日
付けで特許庁に提出された手続補正書)
甲第9号証 意見書(本件発明の出願人から平成23年4月15日付け
で特許庁に提出された意見書)

なお、被請求人は甲第1号証乃至甲第9号証の成立を認めている。


第5 被請求人の主張の概要

1 答弁の趣旨
本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める(答弁書1頁)。

2 無効理由1について
(1)構成Aについて
当該補正箇所は、「・・・、それぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させ」た状態の構成が追加されたものに過ぎない。【図5】には、別紙のとおり、感圧接着剤塗布装置8によって、同サイズの複数の連続用紙に、それぞれ綴じ辺とその対向辺の領域からなる所定の接着剤パターンで感圧接着剤6が塗布される工程の一例と共に、連続用紙の一部であるXを所定の折り位置(綴じ辺)で二つ折りする工程(別紙に示した【図5】の(C))、その二つ折りされた連続用紙Xと折り曲げ前の連続用紙Yとを合流させる工程(同(c))、及び、この合流した状態にて折り位置を整合させて連続用紙Yを綴じ辺で二つ折りすることにより連続用紙X,Yがそれぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させた状態(同(d))が表れている。そして、これらの記載は、まさしく「予め各種情報が掲載された同サイズの複数の連続用紙に、・・・接着剤を塗布し、それぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させ」た状態を開示するものである。
よって、構成Aについての当該補正は、当業者によって、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項であると共に、新たな技術事項を導入するものではないので新規な事項を含む補正ではない。

(2)構成Cについて
本件発明1は、綴じ辺3と対向辺5との間の幅が表面側から裏面側に向けて段階的に長くなるように形成された階段状端差部7を有する中綴じの冊子状の送付用情報記録冊子であるところ、この冊子は同サイズの複数の連続用紙を用いているから、この複数の連続用紙がずれていることは自明である。さらに敷衍するに、同サイズの複数の連続用紙を用い、これらの連続用紙をそれぞれ所定の折り位置で二つ折りすることによって、例えば、出願当初明細書(甲第7号証)の【図1】及び別紙に示した【図5】の(d)に表れる階段状端差部を有する送付用情報記録冊子を製造しようとすれば、連続用紙Xの短手方向の中央よりも端差分だけずらした位置で連続用紙Xを二つ折りにした状態のものと、連続用紙Yを、その短手方向の中央よりも連続用紙Xの端差分プラス連続用紙Yの端差分だけずらした位置で、連続用紙Xを内側に配置させた状態で二つ折りしたものを合流させた状態にする以外に方法はない。このため、出願当初の明細書等に接した当業者であれば、出願時の技術常識に照らして、どのようにずらせば段差状端差部7が形成されるのかは明らかであって、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解する事項である。よって、構成Cの補正は、当初明細書段落【0055】及び【図5】から自明な事項に補正したものであり、新たな技術的事項を導入するものではない(答弁書4?9頁)。

3 無効理由2について
(1)本件発明1について
同サイズの複数の連続用紙を用い、これらの連続用紙をそれぞれ所定の折り位置で二つ折りすることによって、例えば、【図1】及び【図5】の別紙(d)に表れる階段状端差部を有する送付用情報記録冊子を製造しようとすれば、【図5】に示されているとおり、連続用紙Xの短手方向の中央よりも端差分だけずらした位置で連続用紙Xを二つ折りにした状態のものと、連続用紙Yを、その短手方向の中央よりも連続用紙Xの端差分プラス連続用紙Yの端差分だけずらした位置で、連続用紙Xを内側に配置させた状態で二つ折りしたものを合流させた状態にすることは明らかである。したがって、請求人が主張するように「どのような具体的構成で階段状端差部(7)が形成されるのかが理解できない」ということは全くなく、また、どのような構成で階段状端追部が形成されるのかは明確であるので、本件発明1は特許法第36条第6項第2号の要件を充足する。

(2)本件発明2について
本件発明1の送付用情報記録冊子は、それぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させた状態を意味しているに過ぎず、連続用紙の一部Xを所定の折り位置(綴じ辺)で二つ折りする工程と、その二つ折りされた連続用紙Xと折り曲げ前の連続用紙Yとを合流させる工程と、この合流した状態にて折り位置等を整合させて連続用紙Yを綴じ辺で二つ折りすることにより、連続用紙X,Yがそれぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させた状態の構成を有するものである。したがって、本件発明2において「折り曲げた連続用紙(X)と折り曲げ前の連続用紙(Y)とを合流させる工程(工程H)」を有することは、本件発明1との関係において何ら矛盾しない。
仮に、それぞれの連続用紙X,Yを所定の折り位置で2つ折りした後に、それぞれ連続用紙X,Yを合流させる工程を有する場合、それぞれの連続用紙X,Yを二つ折りした際に、各葉の対向辺の封止領域が接着・封止されるため、その状態から中綴じ冊子状に一体化することは不可能である。このことからも、披読求人の解釈に正当性があることは明らかである(答弁書9?13頁)。

4 無効理由3について
(1)甲第1号証の発明の主引例としての適格性
甲1発明と本件発明は、いずれも階段状端差部を有する中綴じ状の冊子であることを除いては、全ての構成要件、技術分野、課題、効果等が相違し、甲1発明の内容には動機づけとなりうるものが存在しない。よって、甲1発明は、本件発明1の進歩性欠如を肯定する主引例としての適格性に欠ける。
(2)本件発明1について
甲1号証から甲6号証のいずれにも、本件発明1に記載された、同サイズの連続用紙を連続供給しながら用紙を連続方向にカットすることなく、対向辺の封止領域に階段状段差部が形成される中綴じの冊子を連続的に製本・製造するという技術的意義は記載も示唆もされていない。
甲1発明に甲第2?6号証に記載の発明を適用したとしても、本件発明1の構成要件を全て満たすわけではなく、そもそも本件発明1に至る課題が開示、示唆されていないばかりか、本件特許1の作用効果も存在しないことは明らかであり、甲1発明に甲第2?6号証の記載の発明を適用する動機づけがない。
よって、本件発明1は、甲第1?6号証に記載された技術に基づいて、当業者が特許出願前に容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に違背しない。

(3)本件発明2について
甲1号証から甲6号証のいずれにも、本件発明2に記載された、同サイズの連続用紙を連続供給しながら用紙を連続方向にカットすることなく、対向辺の封止領域に階段状段差部が形成される中綴じの冊子を連続的に製本・製造するという技術的意義は記載も示唆もされていない。
したがって、甲第1号証に、甲第2?5号証に記載の技術を適用したとしても、本件発明2の構成要素を満たすわけではなく、当業者の通常の創作能力を発揮したとしても設計上当然行うことであるとはいえない(答弁書13?33頁)。


第6 当審の判断
1 無効理由1(特許法第17条の2第3項に規定する要件)について
(1)構成Aについて
本件当初明細書及び図面(以下「本件当初明細書等」という。)の段落【0055】には「図5に示すように、この送付用情報記録冊子の製造方法は、情報が予め記録された2種の連続巻き取り用紙X,Y(A3版相当)の必要箇所に感圧接着剤塗布装置8により感圧接着剤6を塗布する工程と、前記連続用紙X,Yを略中央の綴じ辺3で折り曲げる工程と(折り曲げるとA4版相当となる)、前記2種の連続用紙X,Yを合流させる工程と、合流した連続用紙X,Yを加圧して感圧接着剤6で接着する工程と(中綴じ)、所定のサイズで用紙X,Yをカットする工程とを有する。前記一連の工程では、情報の印刷位置や感圧接着剤パターンの位置、折り位置、カッティング位置が整合するように位置合わせしており、情報が予め記録された連続用紙X,Yを供給しながら冊子へと連続的に製本・製造することができる。」との記載がある。
また、本件当初明細書等の【図5】から、感圧接着剤塗布装置8によって、同サイズの複数の連続用紙に、それぞれ綴じ辺とその対向辺の領域からなる所定の接着剤パターンで感圧接着剤6が塗布される工程、連続用紙Xを所定の折り位置(綴じ辺)で二つ折りする工程、その二つ折りされた連続用紙Xと折り曲げ前の連続用紙Yとを合流させる工程、及び、この合流した状態にて折り位置を整合させて連続用紙Yを綴じ辺で二つ折りすることにより連続用紙X、Yがそれぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させた状態が看取できる。
してみると、本件発明1の「予め各種情報が掲載された同サイズの複数の連続用紙に、それぞれ綴じ辺(3)とその対向辺(5)の領域からなる所定の接着剤パターンで接着剤を塗布し、それぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させ」は、本件当初明細書等に記載されたものである。

(2)構成Cについて
上記のとおり本件発明1の構成Aは、本件当初明細書等に記載されたものである。そして、本件当初明細書の段落【0038】には、綴じ辺3の対向辺5の封止領域には階段状端差部7が形成されていることが記載されている。
これらの事項から、構成Cの「前記接着剤パターンの位置及び前記折り位置が整合するように連続用紙ごとにずらして位置合わせされることで、」とは本件当初明細書等に記載されているのに等しい自明の事項である。

(3)まとめ
したがって、本件発明1は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たさないで特許されたものでなく、同法第123条第1項第1号の規定により無効とすべきものとはいえない。

2 無効理由2(特許法第36条第6項第2号に規定する要件)について
(1)本件発明1について
本件発明1の構成C及びDには、接着剤パターンの位置及び折り位置が整合するように連続用紙ごとにずらして位置合わせされることで、封止領域には積層された各葉の指がかりを補助する階段状端差部7が、綴じ辺3と対向辺5との間の幅が表面側から裏面側に向けて段階的に長くなるように形成される事項が示されていることは明らかであって、その記載に技術的に不明瞭な事項や矛盾はない。
したがって、本件発明1は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないで特許されたものでなく、同法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきものとはいえず、請求人の主張は採用できない。

(2)本件発明2について
本件発明1の「同サイズの複数の連続用紙に、それぞれ綴じ辺(3)とその対向辺(5)の領域からなる所定の接着剤パターンで接着剤を塗布し、それぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させ、合流した連続用紙の折り部同士を綴じ辺(3)として接着し、連続用紙の連続方向を所定のサイズでカットすることで、中綴じの冊子状に一体化される送付用情報記録冊子」とは、物として「送付用情報記録冊子」の構造を複数の連続用紙がそれぞれ所定の折り位置で二つ折りして合流させた状態にあることを特定したものである。
そして、本件発明2は、製造方法の発明であって、上記の点に関して、製造方法で特定したものであるから、構成Aと何ら矛盾するものではない。
また、本件発明2の構成Gの「一部の連続用紙(X),(Y)」とは、連続用紙(X),(Y)のいずれか一方の連続用紙を意味するものであって、構成Hの「折り曲げた連続用紙(X)と折り曲げ前の連続用紙(Y)とを合流させる工程と、」とは、構成Gにおいて特定された「綴じ辺(3)で折り曲げ」られた連続用紙(X)、(Y)のいずれか一方の連続用紙を、上記において折り曲げられなかった他方の連続用紙と合流されることを意味するものであることは明らかである。
してみると、工程Gと工程Hとの関係は明確に理解でき、その製造工程に矛盾はなく、明確である。
したがって、本件発明2は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないで特許されたものでなく、同法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきものとはいえず、請求人の主張は採用できない。

3 無効理由3(特許法第29条第2号に規定する要件)について
(1)各甲号証の記載事項
ア 甲第1号証について
請求人が提出した、本件特許出願日前に頒布された甲第1号証(特開2003-305970号公報)には、以下の記載がある。
(ア) 「【請求項1】天地あるいは左右のいずれかの紙端にインデックスを有するとともにインデックス部を露出するように折った用紙を複数枚重ねて折り返し部で糊やワイヤー芯等の任意の固定手段により用紙束とし、各用紙は各インデックス部露出する位置で折り込まれたものであることを特徴とするインデックス段差製本。」(【特許請求の範囲】)
(イ) 「【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図を用いて説明する。図1に記載されているのは、インデックス段差製本(表紙)でインデックスb(4)が目視できるよう印刷用紙Cが設定し、その上方にインデックス部をずらした位置から、印刷用紙C同様の構成なる印刷用紙B印刷用紙Aがインデックス部をずらした位置で山折位置(8)に糊止めされてる本発明の構成を示している。図2は、図1に示されたインデックス段差製本(表紙)からの裏面、インデックス段差製本(内容)裏面で、インデックスC(5)、インデックスd(6)、インデックスe(7)が目視され、谷折込位置(10)から印刷内容(9)が内側になるよう二つ折される。図3に示されているのは本発明におけるインデックス段差製本の断面構成図で、図4は本発明の実施の形態を示した図で、さらにインデックス段差製本が二つ折されている状態からの断面を示したのが図5である。図6はインデックス段差製本が二つ折され表紙よりインデックスが目視できる状態で、本発明の実施の構成においてはインデックス段差製本が二つ折で示されているが目的に応じてさらに折り込むことも可能である。以上が本発明のインデックス段差製本の構成で、続いてインデックス段差製本の製造加工の構成を図を用いて説明する。図7に記載されているのは、インデックス段差製本の製造加工工程の略図でロール用紙A(15)、ロール用紙B(16)、ロール用紙C(17)それぞれ、用紙両面に印刷加工(18)が施され、ロール用紙A(15)、ロール用紙C(17)に於ては両端に対象になる位置で片側パンチ加工が施される。ロール用紙B(16)はタイミングマーク印刷(19)が施され、各ロールが巻き取られ第一加工工程として印刷加工を経て、印刷加工済ロールA、印刷加工済ロールB印刷加工済ロールCから各用紙が丁合されるべく、前記で記載したロール用紙A(15)、ロール用紙C(17)に於おけるパンチ加工にて用紙を送り、ロール用紙B(16)に於てはタイミングマーク印刷(19)からタイミングマーク読み取り(25)にて用紙を送りロール用紙B(16)の両面に糊加工(26)を施し、第二加工工程とし丁合加工を経て、天地必要サイズに合わせ断裁加工(27)を経て、さらに折込加工(28)を経て、第三加工工程として製本加工を経て製品(29)インデックス段差製本として製造される。図8及び図9に示されているのは、図7における加工工程の実施の図で本発明の図面に於てはロール用紙B(16)のタイミングマーク読み取り(25)にて用紙を送るように構成されているが、パンチ加工を施し丁合前に切り離す工程を設けることも可能であり、また、図面に於ては3枚の用紙構成であるが必要枚数に応じての加工が可能となる。…本発明は、前記の問題を解消し、複数枚の用紙にインデックス及び所定内容の印刷をおこない、インデックスを設けるべく各用紙をずらしながら丁合製本加工することで、印刷内容データの容量がふえ、また、インデックス段差製本の任意の頁にミシン(34)を設けることで、カレンダー、チケット等においてその効果を発揮し、折部等に壁止め用としてパンチ穴(33)を設けることでその活用は発揮される。以上が本発明における実施と形態である。」(【0005】)
(ウ) 「【発明の効果】本発明は、宣伝、広告等に使用されてた小冊子及びパンフレット等にインデックスが設けられたものは、ほとんどが製本方法としてワイヤー(ホッチキス)を使用していた、その理由として糊止め加工においてはワイヤー加工に比較し製造コストとおける問題とゴミ処理における環境問題が発生し、また製本加工における薄紙等の糊止めによる用紙のしわが発生する問題と、厚紙による折り加工による問題が生じたが本発明は、前記の問題を解消ために用紙の天地又は左右のいずれかの紙端からインデックス等の印刷を設け、そのインデックス部をずらした位置の上方に前記同様に加工された同寸法の各印刷物を同方向にずらし、中間の印刷物の折り込み部上に適当な間隔をおいて配置された穴を有する穴付折りこみ用紙を、穴の位置が一致するように必要枚数順次重ね合わせ、穴が積層化して形成された貫通孔の内壁に隣接する用紙を固定するように糊層部を設け、該糊層部を介して表裏どちらか一面側あるいは表裏両面に表紙を取りつけ、前記折りこみ部に従って折りこむことより構成される。以上のことより、薄紙等の糊止めによる用紙のしわが発生する問題もパンチ穴の加工により解決し、また、厚紙による折り加工もパンチ穴の加工により容易に折り込むことが可能となり、パンチ穴による製本加工の簡易と薄紙、厚紙等における製本のクオリーティーが望め、微量であるがパンチ穴による製本の軽量等においても郵送料金におけるコストの削減等において多大な効果を発揮するものである。」(【0006】)
(エ) 【図5】から、糊付けされた折り返し部の反対側には、各印刷用紙A、B及びCのインデックス部が階段状に設けられ、折り返し部と各印刷用紙のインデックス部との幅は表面側から裏面側に向けて段階的に長くなるよう形成されていることが看取できる。

上記記載(ア)乃至(エ)及び図面を含む甲第1号証全体の記載から、甲第1号証には、以下の発明が記載されていると認められる。

「天地あるいは左右のいずれかの紙端にインデックスを有するとともにインデックス部を露出するように折った同寸法の用紙を複数枚重ねて折り返し部で糊やワイヤー芯等の任意の固定手段により用紙束とし、各用紙は各インデックス部露出する位置で折り込まれたものであって、各ロールが巻き取られ第一加工工程として印刷加工を経て、印刷加工済ロールA、印刷加工済ロールB印刷加工済ロールCから各用紙が丁合されるべく、ロール用紙B(16)の両面に糊加工(26)を施し、第二加工工程とし丁合加工を経て、天地必要サイズに合わせ断裁加工(27)を経て、さらに折込加工(28)を経て、第三加工工程として製本加工を経てなり、折り返し部の反対側には、各印刷用紙のインデックス部が階段状に設けられ、折り返し部と各印刷用紙のインデックス部との幅は表面側から裏面側に向けて段階的に長くなるよう形成されているインデックス段差製本。」(以下「甲第1号証発明」という。)。

イ 甲第2号証について
同じく甲第2号証(特開平9-39450号公報)には、以下の記載がある。
(ア) 「【請求項2】 二つ折りされ、折り線を介して連続する表表紙片および裏表紙片を備えた表紙用紙の略中央部に、この表紙用紙よりも寸法の小さい複数枚の紙片を中綴じしてなる小冊子本体が取付けられると共に、二つ折りされて相対向する表表紙片と裏表紙片のそれぞれ周縁部が剥離可能に貼着されていることを特徴とする郵送用小冊子。」(【特許請求の範囲】)
(イ) 「【発明の属する技術分野】本発明は、例えばダイレクトメールとして、パンフレットやカタログなどの小冊子を封筒を使用することなく、そのまま郵送することができる郵送用小冊子に関するものである。」(【0001】)
(ウ) 「図4は、この表紙用紙20の裏面側(折り畳み内側)を示すものであって、裏表紙片22の内側紙面22bには、郵便番号記入欄などが印刷されており、前記返信用はがきの宛名書き面となっている。そして、表表紙片21の内側紙面21bの上下および図中左側周縁部には、前記組成の剥離可能な接着剤が塗布され、接着剤層A(乾燥により水分は蒸発)が形成されている。」(【0021】)
(エ) 「次に、図5に示すように、中綴じされた背の部分10aに通常の接着剤を塗布した小冊子本体10を二つ折りした表紙用紙20の表表紙片21と裏表紙片22の間に挟むことによって、当該小冊子本体10が表紙用紙20に糊付けされる。図6は、この状態を示すものであって、小冊子本体10は表紙用紙20の折り線23のほぼ中央部に取付けられている。」(【0022】)
(オ) 「そして、ほぼ中央部に小冊子本体10を糊付けした表紙用紙20を折り畳んだ状態で圧着機にかけ、加熱および加圧することによって、表表紙片21と裏表紙片22の相対向する周縁部が上記組成の接着剤層Aによって剥離可能に接着され、図7に示すような郵送用小冊子1が完成する。」(【0023】)
(カ) 「このような構造の郵送用小冊子1は、印刷から中綴じ,糊付け,圧着にいたる工程のほとんどすべてを自動ラインで処理することができ、例えば宛名ラベルを貼るだけで、封筒を使用することなくそのまま投函することができ、ダイレクトメールなどの発送作業を簡便化することができる。また、受取り側では、接着剤層Aによる接着部をコーナー切欠部20aから容易に剥がすことができ、紙屑を発生させたり、破れてしまったりすることなくきれいに開封することができる。」(【0024】)

上記記載(ア)乃至(カ)及び図面を含む甲第2号証全体の記載から、甲第2号証には、以下の発明が記載されていると認められる。

「二つ折りされ、折り線を介して連続する表表紙片および裏表紙片を備えた表紙用紙の略中央部に、この表紙用紙よりも寸法の小さい複数枚の紙片を中綴じしてなる小冊子本体が取付けられると共に、二つ折りされて相対向する表表紙片と裏表紙片のそれぞれ周縁部が剥離可能に貼着されている郵送用小冊子。」(以下「甲第2号証発明」という。)。

ウ 甲第号3証について
同じく甲第3号証(特開平10-264558号公報)には、以下の記載がある。
(ア) 「【請求項1】 振込票シートと、宛名シートと、補助シートとからなり、これら各シートを重ね合わせて重ね合わせ葉書とするための重ね合わせ葉書用シートであって、前記各シートの重ね合わせ面には適宜な情報を記載するための情報記載部を設けてなり、前記振込票シートの重ね合わせ面には振込に必要な振込情報記載部を設け、前記宛名シートの重ね合わせ面とは反対面側には重ね合わせ葉書の郵送先を示す宛名記載部を設け、前記補助シートの重ね合わせ面には前記振込票シートの振込情報記載部に記載する情報に関連する振込情報や振込控情報あるいは各種案内情報等の情報を記載する情報記載部を設け、前記補助シートと前記宛名シートの一方は、前記振込票シートの振込情報記載部を設けた重ね合わせ面に対して重ね合わせるシートであり、前記補助シートと前記宛名シートの他方は、前記振込票シートの振込情報記載部を設けた重ね合わせ面とは反対面側または前記振込票シートの振込情報記載部を設けた重ね合わせ面に対して重ね合わせるシートの重ね合わせ面とは反対面側に重ね合わせるシートであり、各重ね合わせ面は剥離可能な弱接着面としてなり、前記補助シートまたは前記振込票シートの一方を葉書本体シートとし、前記宛名シートは葉書本体シートよりも小さいサイズからなるとともに、前記葉書本体シートに重ね合わせて剥離困難に接着する葉書本体補助シートを連接して前記葉書本体シートとほぼ同一サイズとし、前記葉書本体補助シートの重ね合わせ面は剥離困難な強接着面としてなり、前記弱接着面と前記強接着面にはそれぞれ、通常の状態では接着することなく、所定の条件を付与することにより接着する接着剤を設け、前記葉書本体補助シートの重ね合わせ面とは反対面側には葉書表示を設けたことを特徴とする重ね合わせ葉書用シート。」(【特許請求の範囲】)
(イ) 「図4で理解できるように、宛名シート4と振込票シート5の重ね合わせ面である裏面側の、仮想線Pと切り用ミシン目44とに挟まれた部分を除いた部分と、振込票シート5と補助シート6の重ね合わせ面である表面側には、剥離可能な感圧性接着剤40を塗布して、弱接着面としている。また、宛名シート4と振込票シート5の重ね合わせ面である裏面側の、仮想線Pと切り用ミシン目44とに挟まれた部分には、剥離困難な通常の感圧性接着剤45を塗布して、強接着面としている。」(【0018】)

上記記載(ア)、(イ)及び図面を含む甲第3号証全体の記載から、甲第3号証には、以下の発明が記載されていると認められる。

「振込票シートと、宛名シートと、補助シートとからなり、これら各シートを重ね合わせて重ね合わせ葉書とするための重ね合わせ葉書用シートであって、前記各シートの重ね合わせ面には適宜な情報を記載するための情報記載部を設けてなり、前記振込票シートの重ね合わせ面には振込に必要な振込情報記載部を設け、前記宛名シートの重ね合わせ面とは反対面側には重ね合わせ葉書の郵送先を示す宛名記載部を設け、前記補助シートの重ね合わせ面には前記振込票シートの振込情報記載部に記載する情報に関連する振込情報や振込控情報あるいは各種案内情報等の情報を記載する情報記載部を設け、前記補助シートと前記宛名シートの一方は、前記振込票シートの振込情報記載部を設けた重ね合わせ面に対して重ね合わせるシートであり、前記補助シートと前記宛名シートの他方は、前記振込票シートの振込情報記載部を設けた重ね合わせ面とは反対面側または前記振込票シートの振込情報記載部を設けた重ね合わせ面に対して重ね合わせるシートの重ね合わせ面とは反対面側に重ね合わせるシートであり、各重ね合わせ面は剥離可能な弱接着面としてなり、前記補助シートまたは前記振込票シートの一方を葉書本体シートとし、前記宛名シートは葉書本体シートよりも小さいサイズからなるとともに、前記葉書本体シートに重ね合わせて剥離困難に接着する葉書本体補助シートを連接して前記葉書本体シートとほぼ同一サイズとし、前記葉書本体補助シートの重ね合わせ面は剥離困難な強接着面としてなり、前記弱接着面と前記強接着面にはそれぞれ、通常の状態では接着することなく、所定の条件を付与することにより接着する接着剤を設け、前記葉書本体補助シートの重ね合わせ面とは反対面側には葉書表示を設けた重ね合わせ葉書用シート。」(以下「甲第3号証発明」という。)。

エ 甲第4号証について
同じく甲第4号証(特開平11-245562号公報)には、以下の記載がある。
(ア) 「【請求項1】 ほぼ同じサイズからなる振込票シートと補助シートと宛名シートとからなり、これら各シートを補助シートを中位として重ね合わせて振込書付き重ね合わせ葉書とするための振込書付き重ね合わせ葉書用シートであって、前記振込票シートの、補助シートとの重ね合わせ面には振込に必要な振込依頼情報を記載する振込依頼情報記載部を設け、前記補助シートの、振込票シートとの重ね合わせ面には振込票シートの振込依頼情報に関連する振込控情報を記入する振込控情報記入欄を設け、前記宛名シートと補助シートの重ね合わせ面には前記振込依頼情報に関連する隠蔽すべき情報を記載する隠蔽情報記載部を設け、前記宛名シートの前記重ね合わせ面とは反対面側には、振込書付き重ね合わせ葉書の郵送先を示す宛名情報を記載する宛名情報記載部を設けるとともに葉書表示を設ける一方、各重ね合わせ面は剥離可能に面接着するようなすとともに、前記宛名シートと補助シートの重ね合わせ面における宛名シート縁に沿った部分は剥離困難に面接着するようなしたことを特徴とする振込書付き重ね合わせ葉書用シート。」(【特許請求の範囲】)
(イ) 「図4に示すように、宛名シート4と振込票シート2の重ね合わせ面である裏面側と、振込票シート2と補助シート3の重ね合わせ面である表面側は、剥離可能な感圧性接着剤32を塗布して、重ね合わせたとき弱接着面となるように構成している。また、宛名シート4と振込票シート2の重ね合わせ面である宛名シート4裏面側の、スリット10bに沿った部分から内側にかけて所定幅にわたって、通常の感圧性接着剤33を塗布して、重ね合わせたとき剥離困難に面接着するように構成する。さらに、宛名シート4と振込票シート2の重ね合わせ面である表面側の、幅方向両側縁(図1において上下縁)に沿った内側部分と、切断想定線Pに沿った内側部分には、それぞれ帯状に地紋印刷34を施して、重ね合わしたときに容易に剥離可能な面接着するよう構成する。この容易に剥離する接着面は、前記剥離可能な接着面よりさらに弱い接着りきで接着していて、これらを設けることによって、剥離開始動作およびその後の剥離動作を容易にすることが可能である。」(【0017】)

上記記載(ア)、(イ)及び図面を含む甲第4号証全体の記載から、甲第4号証には、以下の発明が記載されていると認められる。

「ほぼ同じサイズからなる振込票シートと補助シートと宛名シートとからなり、これら各シートを補助シートを中位として重ね合わせて振込書付き重ね合わせ葉書とするための振込書付き重ね合わせ葉書用シートであって、前記振込票シートの、補助シートとの重ね合わせ面には振込に必要な振込依頼情報を記載する振込依頼情報記載部を設け、前記補助シートの、振込票シートとの重ね合わせ面には振込票シートの振込依頼情報に関連する振込控情報を記入する振込控情報記入欄を設け、前記宛名シートと補助シートの重ね合わせ面には前記振込依頼情報に関連する隠蔽すべき情報を記載する隠蔽情報記載部を設け、前記宛名シートの前記重ね合わせ面とは反対面側には、振込書付き重ね合わせ葉書の郵送先を示す宛名情報を記載する宛名情報記載部を設けるとともに葉書表示を設ける一方、各重ね合わせ面は剥離可能に面接着するようなすとともに、前記宛名シートと補助シートの重ね合わせ面における宛名シート縁に沿った部分は剥離困難に面接着するようなした振込書付き重ね合わせ葉書用シート。」(以下「甲第4号証発明」という。)。

オ 甲第5号証について
同じく甲第5号証(特開2001-310862号公報)には、以下の記載がある。
(ア) 「【請求項3】 2台の輪転印刷機を使用して連続用紙にそれぞれ同一絵柄ピッチの印刷を行う工程と、一方の輪転印刷機で印刷された連続用紙の幅方向の中央部に流れ方向に接着剤を塗布する工程と、他方の輪転印刷機で印刷された連続用紙を反転させて一方の輪転印刷機で印刷された連続用紙の接着剤を塗布した面に2枚の連続用紙の絵柄が合うように重ね合わせて接着する工程と、接着された2枚の連続用紙を接着部にて流れに平行方向に2つ折りする工程と、2つ折りされた連続用紙を所定位置にてカットする工程からなることを特徴とする請求項1または2に記載の冊子状印刷物の製造方法。」(【特許請求の範囲】)
(イ) 「2台の輪転印刷機を使用して連続用紙にそれぞれ同一絵柄ピッチの印刷を行う工程と、一方の輪転印刷機で印刷された連続用紙の幅方向の中央部に流れに平行方向に接着剤を塗布する工程と、他方の輪転印刷機で印刷された連続用紙を反転させて一方の輪転印刷機で印刷された連続用紙の接着剤を塗布した面に2枚の連続用紙の絵柄が合うように重ね合わせて接着する工程と、接着された2枚の連続用紙を接着部にて流れに平行方向に2つ折りする工程と、2つ折りされた連続用紙を所定位置にてカットする工程からなる上記の冊子状印刷物の製造方法とすることにより、汎用の輪転印刷機を使用して、2つ折りした状態でB4より大きい折目部にて接着された冊子状印刷物を作製することができる。」(【0006】)

上記記載(ア)、(イ)及び図面を含む甲第5号証全体の記載から、甲第5号証には、以下の発明が記載されていると認められる。

「2台の輪転印刷機を使用して連続用紙にそれぞれ同一絵柄ピッチの印刷を行う工程と、一方の輪転印刷機で印刷された連続用紙の幅方向の中央部に流れ方向に接着剤を塗布する工程と、他方の輪転印刷機で印刷された連続用紙を反転させて一方の輪転印刷機で印刷された連続用紙の接着剤を塗布した面に2枚の連続用紙の絵柄が合うように重ね合わせて接着する工程と、接着された2枚の連続用紙を接着部にて流れに平行方向に2つ折りする工程と、2つ折りされた連続用紙を所定位置にてカットする工程からなることを特徴とする請求項1または2に記載の冊子状印刷物の製造方法。」(以下「甲第5号証発明」という。)。

カ 甲第6号証について
本件特許出願前に施行された定形郵便物の大きさ及び形状の基準に関する郵便法施行規則(平成15年1月14日総務省令第5号)であり、本件発明の送付用情報記録冊子に含まれる郵便によるカタログ、パンフレットなどの定形郵便物にあっては「封筒若しくは袋を用いて又はこれに代わるもので包装し、その納入口又はこれに相当する部分の全部を送途中容易に開かないように封じたものであること」が義務付けられているものと認められる(第22条2号イ)。

(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲第1号証発明とを対比すると、
(ア) 甲第1号証発明の「印刷加工済ロールA」、「印刷加工済ロールB」及び「印刷加工済ロールC」はいずれも、印刷加工済みであり、ロール紙、すなわち連続用紙であり、かつ、同寸法であるから、本件発明1の「予め各種情報が掲載された同サイズの複数の連続用紙」に相当する。
(イ) 甲第1号証発明のインデックス段差製本は、折った同寸法の用紙を複数枚重ねて折り返し部で糊やワイヤー芯等の任意の固定手段により用紙束としたものであるとともに、第二加工工程とし丁合加工を経て、天地必要サイズに合わせ断裁加工(27)を経たものであるから、両者は、「それぞれ綴じ辺の領域からなる所定の接着剤パターンで接着剤を塗布し、それぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させ、合流した連続用紙の折り部同士を綴じ辺として接着し、連続用紙の連続方向を所定のサイズでカットすることで、中綴じの冊子状に一体化される」点で一致する。
(ウ) 甲第1号証発明の「インデックス部」は、段差製本におけるインデックスであるから、指がかりの機能を有することは明らかであって、さらに、甲第1号証発明のインデックス段差製本は、折り返し部の反対側には、各印刷用紙のインデックス部が階段状に設けられ、折り返し部と各印刷用紙のインデックス部との幅は表面側から裏面側に向けて段階的に長くなるよう形成されているものであるから、両者は、「接着剤パターンの位置及び折り位置が整合するように連続用紙ごとにずらして位置合わせされることで、積層された各葉の指がかりを補助する階段状端差部が、綴じ辺と対向辺との間の幅が表面側から裏面側に向けて段階的に長くなるように形成される」点で一致する。
(エ) 甲第1号証発明の「インデックス段差製本」と、本件発明1の「送付用情報記録冊子」とは、「情報記録冊子」である点で一致する。
(オ) よって、本件発明1と甲第1号証発明は、
「予め各種情報が掲載された同サイズの複数の連続用紙に、それぞれ綴じ辺の所定の接着剤パターンで接着剤を塗布し、それぞれ所定の折り位置で2つ折りして合流させ、合流した連続用紙の折り部同士を綴じ辺として接着し、連続用紙の連続方向を所定のサイズでカットすることで、中綴じの冊子状に一体化される情報記録冊子であって、
前記接着剤パターンの位置及び前記折り位置が整合するように連続用紙ごとにずらして位置合わせされることで、
積層された各葉の指がかりを補助する階段状端差部が、綴じ辺と対向辺との間の幅が表面側から裏面側に向けて段階的に長くなるように形成された情報記録冊子。」
の点で一致し、以下の点で相違している(以下「相違点」という。)。
本件発明1は、送付用の情報記録冊子であって、各葉の少なくとも綴じ辺の対向辺の封止領域は、所定の接着パターンで接着剤を塗布し、綴じ辺の接着力よりも弱めに設定された接着力で接着することによって相互間の剥離が可能に接着・封止され、積層された各葉の指がかりを補助する階段状端差部形成されているのに対し、甲第1号証発明は、送付用との特定はなく、また、糊加工が施された折り返し部の反対側が、弱めに設定された接着力で接着することによって相互間の剥離が可能に接着・封止されておらず、各印刷用紙のインデックス部でしかない点。

イ 相違点についての判断
(ア) 本件当初明細書等の【0009】及び【0010】によれば、本件発明1は、「送付用情報記録冊子」であって、「ダイレクトメールなどを送付する際も…ゴミが出」ず、「各葉における少なくとも前記綴じ辺の対向辺は相互間の剥離が可能に接着・封止されると共に前記封止領域には積層された各葉の指がかりを補助する(多段式の)階段状端差部が形成されたので、開封する際には階段状端差部に指をかけて用紙を剥離させてめくっていく」ことができるとの作用効果を奏するものである。
(イ) 一方、甲第1号証発明は、「インデックス段差製本」であって、それ自体、送付用に用いることを意図したものではない。
また、甲第1号証の【0006】には、「微量であるがパンチ穴による製本の軽量等においても郵送料金におけるコストの削減等において多大な効果を発揮するものである。」との記載はされているものの、甲第1号証発明の「インデックス段差製本」それ自体をそのまま郵送することまで示唆してはいない。
したがって、甲第1号証には、甲第1号証発明の「インデックス段差製本」を送付用となし、折り返し部の反対側を、弱めに設定された接着力で接着することによって相互間の剥離が可能に接着・封止すべき動機は何ら示されていない。
これに対して、請求人は、「甲第2号証に記載の発明は、パンフレットやカタログなどの小冊子に関するものであり、甲第1号証と同じ技術分野の発明である。…本件特許の出願前において、情報記録冊子(カタログ等の小冊子)を、封筒などを用いることなく郵送できるようにすることは公知であった。…甲第2号証のように、郵便用小冊子の綴じ辺の対向辺を接着して束ねておくことは、当業者が当然考慮すべき事項である。そして、そのようにすることは、下記に示す通り、「郵便法施行規則・第22条第2号」に規定された規則(甲第6号証)から義務付けられたことであり、当業者であれば当然に採用する構成である。また、甲第2号証のように、封筒を使用せずに送付する郵便物において、固定を目的とする領域には、剥離困難な通常の接着剤を塗布して強接着し、再剥離による開封を目的とする領域には、固定領域よりも粘着力の弱い接着材(剥離可能な接着材)を塗布して弱接着することは、例えば、甲第3、4号証に記載されているように、本件特許の出願前に既に周知技術であった。したがって、カタログ等の情報記録冊子を封筒を使用せずに郵送しようと考えた場合に、甲第1号証に記載された情報記録冊子に、甲第1号証と同じ技術分野の甲第2号証に記載の周知技術の構成を適用することは、当業者であれば容易に想到することである。」と主張する(請求書23?24頁、上申書2頁)。
たしかに、甲第2号証発明乃至甲第4号証発明には、折り返し部の反対側が封止された送付用の冊子が記載されている。
しかしながら、甲第1号証発明は、送付用に用いることを意図したものではない「インデックス段差製本」であって、それ自体に、折り返し部の反対側を、弱めに設定された接着力で接着することによって相互間の剥離が可能に接着・封止する動機を有するものでないのは、上述したとおりである。
したがって、甲第1号証発明において、上記相違点1乃至相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を採用することが、当業者が容易になし得たとすることはできない。

(3)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を有する製造方法であるから、本件発明1と同様の理由により、当業者が容易になし得たとすることはできない。
したがって、本件発明1及び本件発明2は、甲第1号証乃至甲第5号証に記載された発明及び甲第6号証の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項に規定する要件を満たさないで特許されたものではなく、同法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものとはいえない。


第7 むすび
請求人の主張する無効理由についての当審の判断は、以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許を無効とすることができない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、審決のとおり決定する。
 
審理終結日 2013-11-05 
結審通知日 2013-11-08 
審決日 2013-12-04 
出願番号 特願2005-138975(P2005-138975)
審決分類 P 1 123・ 121- Y (B42D)
P 1 123・ 55- Y (B42D)
P 1 123・ 537- Y (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 博之小島 寛史  
特許庁審判長 吉野 公夫
特許庁審判官 藤本 義仁
黒瀬 雅一
登録日 2011-08-19 
登録番号 特許第4803481号(P4803481)
発明の名称 送付用情報記録冊子  
代理人 金澤 美奈子  
代理人 辻本 希世士  
代理人 高橋 隆二  
代理人 生田 哲郎  
代理人 丸山 英之  
代理人 辻本 一義  
代理人 松田 裕史  
代理人 上野 晋  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ