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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1292299
審判番号 不服2013-23818  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-04 
確定日 2014-09-22 
事件の表示 特願2012-127848「半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月 1日出願公開、特開2012-212897〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年9月28日(優先権主張平成12年12月28日)に出願した特願2001-301355号の一部を平成18年6月26日に新たな特許出願である特願2006-175400号とし、この一部を平成21年6月26日に新たな特許出願である特願2009-151837号とし、さらに、この一部を平成24年6月5日に新たな特許出願としたものであって、原審において、平成25年4月2日付けで拒絶理由が通知され、同年5月27日付けで手続補正されたが、同年9月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月4日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正されたものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年12月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成25年5月27日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された

「複数の電極が配置された表面を有する半導体チップと、
前記半導体チップが搭載されたチップボンディング領域とワイヤ接続領域とを有する表面と、前記表面とは反対側の裏面と、を備えた第1金属部材と、
前記第1金属部材の周囲に配置された複数の第2金属部材と、
前記複数の第2金属部材と前記複数の第2金属部材に対応した前記半導体チップの前記複数の電極の一部とをそれぞれ電気的に接続する複数の第1ワイヤと、
前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域と前記ワイヤ接続領域に対応した前記半導体チップの前記複数の電極の一部とを電気的に接続する第2ワイヤと、
上面および前記上面とは反対側の下面を有し、前記半導体チップ、前記第1金属部材の前記表面、前記複数の第2金属部材の一部、前記複数の第1ワイヤ、および前記第2ワイヤを封止する封止体と、を有し、
平面視において、前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域は、前記チップボンディング領域の外側に配置され、かつ、断面視において、前記半導体チップの厚さ方向における前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域が形成された部分の高さは、前記チップボンディング領域が形成された部分の高さよりも高く、
前記第1金属部材の前記裏面は前記封止体の前記下面から露出し、
前記第1金属部材の前記表面の平面積は、実装基板に実装した際、前記第1金属部材の前記裏面の前記実装基板と半田付けされる部分の平面積より大きい半導体装置。」

という発明(以下、「本願発明」という。)を、

「複数の電極が配置された表面と前記表面とは反対側の裏面とを有する半導体チップと、
前記半導体チップが搭載されたチップボンディング領域とワイヤ接続領域とを有する表面と、前記表面とは反対側の裏面と、を備えた第1金属部材と、
前記第1金属部材の周囲に配置された複数の第2金属部材と、
前記複数の第2金属部材と前記複数の第2金属部材に対応した前記半導体チップの前記複数の電極の一部とをそれぞれ電気的に接続する複数の第1ワイヤと、
前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域と前記ワイヤ接続領域に対応した前記半導体チップの前記複数の電極の一部とを電気的に接続する第2ワイヤと、
上面および前記上面とは反対側の下面を有し、前記半導体チップ、前記第1金属部材の前記表面、前記複数の第2金属部材の一部、前記複数の第1ワイヤ、および前記第2ワイヤを封止する封止体と、を有し、
前記第1金属部材の前記チップボンディング領域の平面積は、前記半導体チップの平面積より大きく、
平面視において、前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域は、前記チップボンディング領域の外側に配置され、かつ、断面視において、前記半導体チップの厚さ方向における前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域が形成された部分の高さは、前記チップボンディング領域が形成された部分の高さよりも高く、
断面視において、前記半導体チップの厚さ方向における前記半導体チップの前記裏面の高さは、前記ワイヤ接続領域の高さより低く、かつ前記半導体チップの前記表面の高さは、前記ワイヤ接続領域の高さより高く、
前記第1金属部材の前記裏面は前記封止体の前記下面から露出し、
前記第1金属部材の前記表面の平面積は、実装基板に実装した際、前記第1金属部材の前記裏面の前記実装基板と半田付けされる部分の平面積より大きい半導体装置。」

という発明(以下、「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2.新規事項の有無、補正の目的要件について
本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された、「半導体チップ」に関し、「前記表面とは反対側の裏面とを有する」と限定し、また、「第1金属部材のチップボンディング領域」に関し、「前記第1金属部材の前記チップボンディング領域の平面積は、前記半導体チップの平面積より大きく」と限定し、また、「半導体チップの裏面及び表面の高さ」に関し、「断面視において、前記半導体チップの厚さ方向における前記半導体チップの前記裏面の高さは、前記ワイヤ接続領域の高さより低く、かつ前記半導体チップの前記表面の高さは、前記ワイヤ接続領域の高さより高く」と限定して、特許請求の範囲を減縮するものであるから、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項に適合するとともに、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件について
本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で補正後の発明として認定したとおりである。

(2)引用発明及びその他の技術事項
A 原審の拒絶の理由に引用された特開平10-247701号公報(平成10年9月14日公開、以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体装置およびその製造に用いるリードフレームに関し、特に支持板の主面に固定された半導体チップの電極と、前記支持板を導電性のワイヤで接続する構造の半導体装置の製造技術に適用して有効な技術に関する。」(2頁2欄)

ロ.「【0024】(実施形態1)図1乃至図5は本発明の一実施形態(実施形態1)である半導体装置およびその製造方法を示す図であり、図1は一部を除去した半導体装置の斜視図、図2は半導体装置の断面図、図3は半導体装置の製造に使用するリードフレームの平面図、図4はリードフレームの支持板部分を示す斜視図、図5は半導体チップを固定し、ワイヤボンディングを行ったリードフレームを示す平面図である。
【0025】本実施形態1では、GaAs-MESFETに本発明を適用した例について説明する。本実施形態1の半導体装置1は、図1および図2に示すように、外観的には偏平な樹脂(レジン)からなる封止体(パッケージ)2と、このパッケージ2の周面、4辺から突出するリード3とからなっている。パッケージ2の左側に突出するリード3はドレイン(D)リード、パッケージ2の右側に突出するリード3はゲート(G)リード、パッケージ2の前面及び背面に突出するリード3はソース(S)リードである。
【0026】前記パッケージ2の内部には支持板4が位置している。この支持板4はタブとも称され、一対の対面する2辺の中央部分をそれぞれ支持リード(タブ吊りリード)に支持されている。本実施形態1では、支持リードは前記パッケージ2の外に突出してソースリードを構成している。
【0027】前記支持板4は、その主面(上面)に部分的に窪み10が設けられている。この窪み10の底面には、図2にも示すように半導体チップ6が接合材5を介して固定されている。前記接合材5は、たとえばAu-Sn半田となっている。前記窪み10の底面の広さは、図1の二点鎖線で示すように、半導体チップ6を固定する半導体チップ固定領域11よりも広くなっている。
【0028】また、前記窪み10は前記ドレインリード側に片寄って形成されている。前記窪み10の縁となるゲートリード寄りの支持板4の主面部分は幅が広くなり、ワイヤ接続部12を構成している。また、ワイヤ接続部12の一部は二点鎖線で示すようにワイヤ接続領域13を形成する。
【0029】したがって、前記ワイヤ接続領域13の面は、前記半導体チップ固定領域11の面よりも高くなり、半導体チップ6を支持板4に固定する接合材5がワイヤ接続領域13の面にはい上がることはない(図2参照)。
【0030】一方、前記ドレインリードおよびゲートリードの先端部分は、前記支持板4の辺に沿うように幅が広くなり、ワイヤ接続部7を形成している。
【0031】また、半導体チップ6の上面の図示しない電極と、前記パッケージ2内に延在するリード3の先端および前記ワイヤ接続部12は、導電性のワイヤ14によって電気的に接続されている。」(4頁5?6欄)

ハ.「【0032】つぎに、本実施形態1の半導体装置の製造方法について説明する。半導体装置1の製造においては、図3に示すようなリードフレーム15が用意される。
【0033】リードフレーム15は、0.4mm程度の厚さの鉄-ニッケル系合金板,銅板,銅合金板等をエッチングまたは精密プレスによってパターニングすることによって形成される。リードフレーム15は、平行に延在する一対の外枠16と、前記一対の外枠16に直交しかつ前記一対の外枠16を一定間隔位置で連結する内枠17とからなっている。
【0034】また、前記一対の外枠16と隣接する2本の内枠17とによって形成される枠の中央には、矩形の支持板(タブ)4が位置している。この支持板4は、前記外枠16の略中間部分から延在する支持リード(タブリード)20に支持されている。前記支持板4の主面には、図4に示すように、前述のように左側に片寄って窪み10が設けられている。この窪み10は、半導体チップ6を固定する半導体チップ固定領域11よりも大きくなっている。前記窪み10の右寄りの主面部分はワイヤを接続するためのワイヤ接続部12を形成している。このワイヤ接続部12には、二点鎖線で示すようにワイヤ接続領域13が位置するようになっている。前記支持リード20は、ソースリードとなる。
・・・(中略)・・・
【0042】つぎに、図5の二点鎖線で示すように、トランスファモールドによってパッケージ2が支持板4の主面側を被うように形成される。したがって、支持板4,リード3,支持リード20の下面はパッケージ2から露出するようになる。
【0043】ついで、不要リードフレーム部分は切断除去される。すなわち、リード3および支持リード20はパッケージ2から所望距離隔てた位置で切断除去され、図1および図2に示す半導体装置1が製造される。」(4頁6欄?5頁7欄)

上記引用例1の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記ロ.の【0025】における「本実施形態1の半導体装置1は、図1および図2に示すように、外観的には偏平な樹脂(レジン)からなる封止体(パッケージ)2と、このパッケージ2の周面、4辺から突出するリード3とからなっている。」との記載、同ロ.の【0026】における「前記パッケージ2の内部には支持板4が位置している。」との記載、同ロ.の【0027】における「前記支持板4は、その主面(上面)に部分的に窪み10が設けられている。この窪み10の底面には、図2にも示すように半導体チップ6が接合材5を介して固定されている。」との記載、図1及び図2によれば、半導体装置は、半導体チップ(6)と、支持板(4)と、リード(3)と、封止体(パッケージ)(2)とを有している。
また、上記ロ.の【0031】における「半導体チップ6の上面の図示しない電極」との記載、図1及び図2によれば、前述の半導体チップ(6)は、複数の電極が配置されており、そして、半導体チップ(6)は、表面と表面とは反対側の裏面とを有することは明らかである。
また、上記ロ.の【0027】における「前記窪み10の底面の広さは、図1の二点鎖線で示すように、半導体チップ6を固定する半導体チップ固定領域11」との記載、同ロ.の【0028】における「前記窪み10の縁となるゲートリード寄りの支持板4の主面部分は幅が広くなり、ワイヤ接続部12を構成している。また、ワイヤ接続部12の一部は二点鎖線で示すようにワイヤ接続領域13を形成する。」との記載、図1及び図2によれば、前述の支持板(4)は、窪み(10)の底面に半導体チップ(6)を固定する半導体チップ固定領域(11)が有り、窪み(10)の縁のワイヤ接続部(12)にワイヤ接続領域(13)を有している。すなわち、前述の支持板(4)は、半導体チップ(6)が固定された半導体チップ固定領域(11)とワイヤ接続領域(13)とを有する表面と、表面とは反対側の裏面とを備えている。
また、上記ロ.の【0025】における「パッケージ2の左側に突出するリード3はドレイン(D)リード、パッケージ2の右側に突出するリード3はゲート(G)リード」との記載、図1及び図2における、支持板(4)とドレイン(D)リード及びゲート(G)リードの配置に着目すれば、ドレイン(D)リード及びゲート(G)リードは、支持板(4)の左側及び右側に配置されている。
また、上記ロ.の【0031】における「半導体チップ6の上面の図示しない電極と、前記パッケージ2内に延在するリード3の先端および前記ワイヤ接続部12は、導電性のワイヤ14によって電気的に接続されている。」との記載、図1及び図2における、ワイヤ(14)の内、ドレイン(D)リード及びゲート(G)リードと半導体チップ(6)の電極とを電気的に接続したものに着目すれば、ドレイン(D)リード及びゲート(G)リードに対応した半導体チップ(6)の電極は、半導体チップ(6)の複数の電極の一部であることは明らかであり、これら電気的に接続する複数のワイヤ(14)を複数の第1ワイヤと称することは任意である。
また、ワイヤ(14)の内、前述の支持板(4)のワイヤ接続領域(13)と半導体チップ(6)の電極とを電気的に接続したものに着目すれば、ワイヤ接続領域(13)に対応した半導体チップ(6)の電極は、半導体チップ(6)の複数の電極の一部であることは明らかであり、これら電気的に接続するワイヤ(14)を第2ワイヤと称することは任意である。
また、図1及び図2における、封止体(パッケージ)に着目すれば、前述の封止体(パッケージ)(2)は、上面および上面とは反対側の下面を有し、半導体チップ(6)、支持板(4)の表面、ドレイン(D)リード及びゲート(G)リードの一部、複数の第1ワイヤ、および第2ワイヤを封止していることが見て取れる。
また、図1及び図2における、支持板(4)の半導体チップ固定領域(11)と、半導体チップ(6)との平面積に着目すれば、前述の支持板(4)の半導体チップ固定領域(11)の平面積は、前述の半導体チップ(6)の平面積より大きいことが見て取れる。
また、上記ロ.の【0029】における「前記ワイヤ接続領域13の面は、前記半導体チップ固定領域11の面よりも高くなり」との記載、図1及び図2における、支持板(4)のワイヤ接続領域(13)と、半導体チップ固定領域(11)との配置及び高さに着目すれば、平面視において、支持板(4)のワイヤ接続領域(13)は、半導体チップ固定領域(11)の外側に配置され、そして、断面視において、半導体チップ(6)の厚さ方向における支持板(4)のワイヤ接続領域(13)が形成された部分の高さは、半導体チップ固定領域(11)が形成された部分の高さよりも高いことが見て取れる。
また、図1及び図2によれば、半導体チップ(6)の裏面は、半導体チップ固定領域(11)の面上に有るから、断面視において、半導体チップ(6)の厚さ方向における半導体チップ(6)の裏面の高さは、ワイヤ接続領域(13)の高さより低く、そして、半導体チップ(6)の表面の高さは、ワイヤ接続領域(13)の高さとほぼ同一となっていることが見て取れる。
また、上記ハ.の【0042】における「支持板4,リード3,支持リード20の下面はパッケージ2から露出するようになる。」との記載、及び図2によれば、前述の支持板(4)の裏面は封止体(パッケージ)(2)の下面から露出している。
また、図1及び図2における、支持板(4)の平面積に着目すれば、前述の支持板(4)の表面の平面積は、支持板(4)の裏面の平面積とほぼ同一となっていることが見て取れる。

したがって、上記引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「複数の電極が配置された表面と表面とは反対側の裏面とを有する半導体チップ(6)と、
前記半導体チップ(6)が固定された半導体チップ固定領域(11)とワイヤ接続領域(13)とを有する表面と、前記表面とは反対側の裏面と、を備えた支持板(4)と、
前記支持板(4)の左側及び右側に配置されたドレイン(D)リード及びゲート(G)リードと、
前記ドレイン(D)リード及びゲート(G)リードと前記ドレイン(D)リード及びゲート(G)リードに対応した前記半導体チップ(6)の前記複数の電極の一部とをそれぞれ電気的に接続する複数の第1ワイヤと、
前記支持板(4)の前記ワイヤ接続領域(13)と前記ワイヤ接続領域(13)に対応した前記半導体チップ(6)の前記複数の電極の一部とを電気的に接続する第2ワイヤと、
上面および上面とは反対側の下面を有し、前記半導体チップ(6)、前記支持板(4)の表面、前記ドレイン(D)リード及びゲート(G)リードの一部、前記複数の第1ワイヤ、および前記第2ワイヤを封止する封止体(パッケージ)(2)と、を有し、
前記支持板(4)の前記半導体チップ固定領域(11)の平面積は、前記半導体チップ(6)の平面積より大きく、
平面視において、前記支持板(4)の前記ワイヤ接続領域(13)は、前記半導体チップ固定領域(11)の外側に配置され、かつ、断面視において、前記半導体チップ(6)の厚さ方向における前記支持板(4)の前記ワイヤ接続領域(13)が形成された部分の高さは、前記半導体チップ固定領域(11)が形成された部分の高さよりも高く、
断面視において、前記半導体チップ(6)の厚さ方向における前記半導体チップ(6)の前記裏面の高さは、前記ワイヤ接続領域(13)の高さより低く、かつ前記半導体チップ(6)の前記表面の高さは、前記ワイヤ接続領域(13)の高さとほぼ同一であり、
前記支持板(4)の前記裏面は前記封止体(パッケージ)(2)の前記下面から露出し、
前記支持板(4)の前記表面の平面積は、前記支持板(4)の前記裏面の平面積とほぼ同一である半導体装置。」

B 原審の拒絶の理由に引用された特開平11-260985号公報(平成11年9月24日公開、以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ニ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体チップ及び半導体チップに接続される信号接続用リードを封止樹脂により封止した樹脂封止型半導体装置その製造方法、及び樹脂封止型半導体装置の製造に適したリードフレームに係り、特に薄型化したものの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化に対応するために、電子機器に搭載される半導体部品を高密度に実装することが要求され、それにともなって、半導体部品の小型、薄型化が進んでいる。
【0003】以下、従来の樹脂封止型半導体装置について説明する。
【0004】図20は、従来の樹脂封止型半導体装置の断面図である。図20に示すように、従来の樹脂封止型半導体装置は、裏面側に外部電極を有するタイプの樹脂封止型半導体装置である。
【0005】従来の樹脂封止型半導体装置は、インナーリード101と、ダイパッド102と、そのダイパッド102を支持する吊りリード(図示せず)とからなるリードフレームとを備えている。そして、ダイパッド102上に半導体チップ104が接着剤により接合されており、半導体チップ104の電極パッド(図示せず)とインナーリード101とは、金属細線105により電気的に接続されている。そして、ダイパッド102,半導体チップ104,インナーリード101の一部,吊りリード及び金属細線105は封止樹脂106により封止されている。この構造では、インナーリード101の裏面側には封止樹脂106は存在せず、インナーリード101の裏面側は露出されており、この露出面を含むインナーリード101の下部が外部電極107となっている。なお、封止樹脂106との密着性を確保するために、インナーリード101やダイパッド102の側面を表裏の面に対して直交するのではなく、上方に向かって拡大するようにテーパ状にしている。
【0006】このような樹脂封止型半導体装置においては、封止樹脂106の裏面とダイパッド102の裏面とは共通の面上にある。すなわち、リードフレームの裏面側は実質的に封止されていないので、薄型の樹脂封止型半導体装置が実現する。」(4頁6欄?5頁7欄)

ホ.「【0117】図12は、本実施形態に係る樹脂封止型半導体装置を実装基板40上に搭載した状態を示す断面図である。同図に示すように、実装基板40上の電極41,放熱用パッド42と、樹脂封止型半導体装置の外部電極18,ダイパッド13とをそれぞれ位置合わせしてはんだ付けを行なう。その際、外部電極18-電極41間に介在するはんだ43aと、ダイパッド13-放熱用パッド42間に介在するはんだ43bとは厚みが異なるために、外部電極18-電極41間に作用する張力と、ダイパッド13-放熱用パッド42間に作用する張力とが互いに異なる。このように、樹脂封止型半導体装置の中心部と周辺部とではんだの張力が異なる結果、実装基板40に対する樹脂封止型半導体装置のセルフアライメント性が向上し、より迅速にかつ正確な位置に樹脂封止型半導体装置を実装できる。」(13頁24欄)

上記引用例2の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記ニ.の【従来の技術】の【0005】における「従来の樹脂封止型半導体装置は、インナーリード101と、ダイパッド102と、そのダイパッド102を支持する吊りリード(図示せず)とからなるリードフレームとを備えている。・・・封止樹脂106との密着性を確保するために、インナーリード101やダイパッド102の側面を表裏の面に対して直交するのではなく、上方に向かって拡大するようにテーパ状にしている。」との記載、及び図20によれば、半導体装置は、封止樹脂(106)との密着性を確保するために、ダイパッド(102)を上方に向かって拡大するようにテーパ状にしている。ここで、上記ホ.の【0117】における「実装基板40上の電極41,放熱用パッド42と、樹脂封止型半導体装置の外部電極18,ダイパッド13とをそれぞれ位置合わせしてはんだ付けを行なう。」との記載、及び図12によれば、半導体装置は、実装基板に実装した際、ダイパッド(102)の裏面で実装基板と半田付けされるものである。そして、ダイパッド(102)の平面積に着目すれば、ダイパッド(102)が上方に向かって拡大するようにテーパ状になっているから、半導体装置は、ダイパッド(102)の表面の平面積を、実装基板に実装した際、ダイパッド(102)の裏面の実装基板と半田付けされる部分の平面積より大きくしているということができる。

したがって、上記引用例2には、以下の発明(以下、「周知技術」という。)が記載されているものと認められる。

「半導体装置において、封止樹脂(106)との密着性を確保するために、ダイパッド(102)の表面の平面積を、実装基板に実装した際、ダイパッド(102)の裏面の実装基板と半田付けされる部分の平面積より大きくすること。」

C 当審で新たに引用する特開平6-252328号公報(平成6年9月9日公開、以下、「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ヘ.「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体素子搭載用のリードフレームに関するものである。」(3頁3欄)

ト.「【0038】実施例5.図7はこの発明の第6の発明および第7の発明の一実施例に係る半導体素子搭載用のリードフレームのダイパッド周りの平面図、図8はこのリードフレームのダイパッド周りの断面図である。図において、15はリード3内方のダイパッド13の外縁部13aに沿ったその外方に配置され、ICチップ1の電源用の電極取出口1aと金属細線6を介して電気的に接続される電源用バスバーである。この電源用バスバー15の両端は、隣接する一対の宙吊りピン10の互いに平行なリード部10bの近傍にそれぞれ設けられた一対の電源用のリード3に電気的に接続されている。
【0039】また、ダイパッド13の金属細線6がボンディングされる外縁部13aはICチップ1が接着される中央部13bに対して上方に突出しているとともに、電源用バスバー15およびダイパッド13の外縁部13aの上下方向位置はリード3からICチップ1側に向かって順次下げられている。なお、他の構成は上記実施例3のリードフレーム5等と同一であるとともに、この電源用バスバー15はリードフレーム5の一部を構成するものである。
【0040】この実施例5のリードフレーム5ではダイパッド13に接続される宙吊りピン10のリード部10bをグランド用リードとして利用しているため、上記実施例3のリードフレーム5と同一の効果を得ることができるとともに、隣接する一対の宙吊りピン10の近傍に設けられた一対の電源用のリード3を、ダイパッド13の外縁に沿って設けられた電源用バスバー15によって電気的に接続しているため、この電源用バスバー15を介してICチップ1の多数の電源用の電極取出口1aと前記一対の電源用のリード3との間で金属細線6を介した電気的接続が可能となり、その分リードフレーム5の電源用のリード3の本数を減らすことができる。したがって、この電源用のリード3の本数の減少に伴ない、リードフレーム5の小型化を図ることができる。
【0041】また、ダイパッド13の外縁部13aが電源用バスバー15より下方に位置されているため、電源用バスバー15に接続された金属細線6とダイパッド13の外縁部13aとの接触が有効に防止され、さらに、電源用バスバー15がリード3より下方に位置されるため、リード3に接続された金属細線6と電源用バスバー15との接触が有効に防止される。さらに、ダイパッド13の中央部13bは外縁部13aに比べて下降した位置にあるため、ICチップ1の上面の位置もその分下がり、ICチップ1とダイパッド13の外縁部13a間に接続される金属細線6のICチップ1の上端部に対する接触も有効に防止される。
【0042】また、ダイパッド13の中央部13bは外縁部13aに比べて下降した位置にあるため、ICチップ1をダイボンドする際に接着剤が外縁部13aに流れ出ず、ワイヤボンディング作業が容易となる。」(7頁11?12欄)

上記引用例3の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記ト.の【0039】における「ダイパッド13の金属細線6がボンディングされる外縁部13aはICチップ1が接着される中央部13bに対して上方に突出している」との記載、同ト.の【0041】における「ダイパッド13の中央部13bは外縁部13aに比べて下降した位置にあるため、ICチップ1の上面の位置もその分下がり、ICチップ1とダイパッド13の外縁部13a間に接続される金属細線6のICチップ1の上端部に対する接触も有効に防止される。」との記載によれば、半導体装置は、金属細線(6)の接触を防止するために、ダイパッド(13)の外縁部(13a)を上げるとともに、ICチップ(1)の上面の位置もその分下げている。そして、図8における、ICチップ(1)の表面(上面)の高さとダイパッド(13)の外縁部(13a)の高さに着目すれば、結局、ICチップ(1)の表面の高さを、ダイパッド(13)の外縁部(13a)の高さより高くしていることが見て取れる。すなわち、半導体装置は、金属細線(6)の接触を防止するために、ICチップ(1)の表面の高さを、ダイパッド(13)の外縁部(13a)の高さより高くしているということができる。

したがって、上記引用例3には、以下の発明(以下、「技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「半導体装置において、ICチップ(1)の表面の高さを、ダイパッド(13)の外縁部(13a)の高さより高くすること。」

(3)対比・判断
補正後の発明と引用発明とを対比する。
a.引用発明の「半導体チップ(6)が固定された」は、半導体チップ(6)を固定することによって、半導体チップ(6)が半導体チップ固定領域(11)に搭載されているから、「半導体チップが搭載された」ということができる。
b.引用発明の「半導体チップ固定領域(11)」は、半導体チップ(6)を固定(英語では、bonding(結合))する領域であるから、「チップボンディング領域」ということができる。
c.引用発明の「支持板(4)」は、上記引用例1の上記ハ.の【0033】における「リードフレーム15は、0.4mm程度の厚さの鉄-ニッケル系合金板,銅板,銅合金板等をエッチングまたは精密プレスによってパターニングすることによって形成される。」との記載、同ハ.の【0034】における「前記一対の外枠16と隣接する2本の内枠17とによって形成される枠の中央には、矩形の支持板(タブ)4が位置している。」との記載によれば、金属部材からなるから、後述する相違点を除いて、補正後の発明の「第1金属部材」に相当する。
d.引用発明の「支持板(4)の左側及び右側」は、支持板(4)(第1金属部材)のまわり(周囲)であるから、「第1金属部材の周囲」ということができる。
e.引用発明の「ドレイン(D)リード及びゲート(G)リード」は、複数の金属部材からなることは技術常識であるから、「複数の第2金属部材」ということができる。
f.引用発明の「前記半導体チップ(6)の前記表面の高さは、前記ワイヤ接続領域(13)の高さとほぼ同一であり」と、補正後の発明の「前記半導体チップの前記表面の高さは、前記ワイヤ接続領域の高さより高く」とは、いずれも、「前記半導体チップの前記表面の高さは、前記ワイヤ接続領域の高さと比較して特定の差異があり」という点で一致する。
g.引用発明の「前記支持板(4)の前記表面の平面積は、前記支持板(4)の前記裏面の平面積とほぼ同一である」と、補正後の発明の「前記第1金属部材の前記表面の平面積は、実装基板に実装した際、前記第1金属部材の前記裏面の前記実装基板と半田付けされる部分の平面積より大きい」とは、いずれも、「前記第1金属部材の前記表面の平面積は、前記第1金属部材の前記裏面の平面積と比較して特定の差異がある」という点で一致する。

したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「複数の電極が配置された表面と前記表面とは反対側の裏面とを有する半導体チップと、
前記半導体チップが搭載されたチップボンディング領域とワイヤ接続領域とを有する表面と、前記表面とは反対側の裏面と、を備えた第1金属部材と、
前記第1金属部材の周囲に配置された複数の第2金属部材と、
前記複数の第2金属部材と前記複数の第2金属部材に対応した前記半導体チップの前記複数の電極の一部とをそれぞれ電気的に接続する複数の第1ワイヤと、
前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域と前記ワイヤ接続領域に対応した前記半導体チップの前記複数の電極の一部とを電気的に接続する第2ワイヤと、
上面および前記上面とは反対側の下面を有し、前記半導体チップ、前記第1金属部材の前記表面、前記複数の第2金属部材の一部、前記複数の第1ワイヤ、および前記第2ワイヤを封止する封止体と、を有し、
前記第1金属部材の前記チップボンディング領域の平面積は、前記半導体チップの平面積より大きく、
平面視において、前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域は、前記チップボンディング領域の外側に配置され、かつ、断面視において、前記半導体チップの厚さ方向における前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域が形成された部分の高さは、前記チップボンディング領域が形成された部分の高さよりも高く、
断面視において、前記半導体チップの厚さ方向における前記半導体チップの前記裏面の高さは、前記ワイヤ接続領域の高さより低く、かつ前記半導体チップの前記表面の高さは、前記ワイヤ接続領域の高さと比較して特定の差異があり、
前記第1金属部材の前記裏面は前記封止体の前記下面から露出し、
前記第1金属部材の前記表面の平面積は、前記第1金属部材の前記裏面の平面積と比較して特定の差異がある半導体装置。」

(相違点1)
前記半導体チップの前記表面の高さは、「前記ワイヤ接続領域の高さと比較して特定の差異があり」に関し、
補正後の発明は、「前記ワイヤ接続領域の高さより高い」のに対し、引用発明は、「前記ワイヤ接続領域(13)の高さとほぼ同一である」点。

(相違点2)
前記第1金属部材の前記表面の平面積は、「前記第1金属部材の前記裏面の平面積と比較して特定の差異がある」に関し、
補正後の発明は、「実装基板に実装した際、前記第1金属部材の前記裏面の前記実装基板と半田付けされる部分の平面積より大きい」のに対し、引用発明は、「前記支持板(4)の前記裏面の平面積とほぼ同一である」点。

そこで、まず、上記相違点1について検討する。
上記技術事項は、「半導体装置において、ICチップ(1)の表面の高さを、ダイパッド(13)の外縁部(13a)の高さより高くすること。」である。そして、半導体装置において、ICチップ(1)の表面の高さを、ダイパッド(13)の外縁部(13a)(ワイヤ接続領域)の高さより高くすることは、ワイヤの接触を防止するには好ましいものである。
そうすると、上記技術事項に接した当業者であれば、引用発明に上記技術事項を採用して、補正後の発明のように、「前記半導体チップの前記表面の高さは、前記ワイヤ接続領域の高さより高く」することは容易になし得ることである。

次に、上記相違点2について検討する。
上記周知技術は、「半導体装置において、封止樹脂(106)との密着性を確保するために、ダイパッド(102)の表面の平面積を、実装基板に実装した際、ダイパッド(102)の裏面の実装基板と半田付けされる部分の平面積より大きくすること。」である。
そうすると、上記周知技術に接した当業者であれば、引用発明に上記周知技術を採用して、補正後の発明のように、「前記第1金属部材の前記表面の平面積は、実装基板に実装した際、前記第1金属部材の前記裏面の前記実装基板と半田付けされる部分の平面積より大きく」することに格別な困難性はない。

そして、補正後の発明の作用効果も、引用発明、上記技術事項及び上記周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。

以上のとおり、補正後の発明は引用発明、上記技術事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.結語
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成25年12月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2 補正却下の決定 1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明
引用発明は、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明及びその他の技術事項」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
h.引用発明の「半導体チップ(6)が固定された」は、半導体チップ(6)を固定することによって、半導体チップ(6)が半導体チップ固定領域(11)に搭載されているから、「半導体チップが搭載された」ということができる。
i.引用発明の「半導体チップ固定領域(11)」は、半導体チップ(6)を固定(英語では、bonding(結合))する領域であるから、「チップボンディング領域」ということができる。
j.引用発明の「支持板(4)」は、金属部材からなることは技術常識であるから、後述する相違点を除いて、本願発明の「第1金属部材」に相当する。
k.引用発明の「支持板(4)の左側及び右側」は、支持板(4)(第1金属部材)のまわり(周囲)であるから、「第1金属部材の周囲」ということができる。
l.引用発明の「ドレイン(D)リード及びゲート(G)リード」は、複数の金属部材からなることは技術常識であるから、「複数の第2金属部材」ということができる。
m.引用発明の「前記支持板(4)の前記表面の平面積は、前記支持板(4)の前記裏面の平面積とほぼ同一である」と、本願発明の「前記第1金属部材の前記表面の平面積は、実装基板に実装した際、前記第1金属部材の前記裏面の前記実装基板と半田付けされる部分の平面積より大きい」とは、いずれも、「前記第1金属部材の前記表面の平面積は、前記第1金属部材の前記裏面の平面積と比較して特定の差異がある」という点で一致する。

したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違している。

<一致点>
「複数の電極が配置された表面を有する半導体チップと、
前記半導体チップが搭載されたチップボンディング領域とワイヤ接続領域とを有する表面と、前記表面とは反対側の裏面と、を備えた第1金属部材と、
前記第1金属部材の周囲に配置された複数の第2金属部材と、
前記複数の第2金属部材と前記複数の第2金属部材に対応した前記半導体チップの前記複数の電極の一部とをそれぞれ電気的に接続する複数の第1ワイヤと、
前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域と前記ワイヤ接続領域に対応した前記半導体チップの前記複数の電極の一部とを電気的に接続する第2ワイヤと、
上面および前記上面とは反対側の下面を有し、前記半導体チップ、前記第1金属部材の前記表面、前記複数の第2金属部材の一部、前記複数の第1ワイヤ、および前記第2ワイヤを封止する封止体と、を有し、
平面視において、前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域は、前記チップボンディング領域の外側に配置され、かつ、断面視において、前記半導体チップの厚さ方向における前記第1金属部材の前記ワイヤ接続領域が形成された部分の高さは、前記チップボンディング領域が形成された部分の高さよりも高く、
前記第1金属部材の前記裏面は前記封止体の前記下面から露出し、
前記第1金属部材の前記表面の平面積は、前記第1金属部材の前記裏面の平面積と比較して特定の差異がある半導体装置。」

<相違点>
前記第1金属部材の前記表面の平面積は、「前記第1金属部材の前記裏面の平面積と比較して特定の差異がある」に関し、
本願発明は、「実装基板に実装した際、前記第1金属部材の前記裏面の前記実装基板と半田付けされる部分の平面積より大きい」のに対し、引用発明は、「前記支持板(4)の前記裏面の平面積とほぼ同一である」点。

そこで、上記相違点について検討する。
上記相違点の判断は、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(3)対比・判断」の項で(相違点2)として判断したとおりである。

4.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2014-07-22 
結審通知日 2014-07-24 
審決日 2014-08-05 
出願番号 特願2012-127848(P2012-127848)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂本 薫昭  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 井上 信一
萩原 義則
発明の名称 半導体装置  
代理人 玉村 静世  
代理人 玉村 静世  

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