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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B |
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管理番号 | 1292357 |
審判番号 | 不服2012-22031 |
総通号数 | 179 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-11-07 |
確定日 | 2014-10-01 |
事件の表示 | 特願2005-237347「遺構空間情報を用いて三次元X線画像再生における金属遺構を低減する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 3月 2日出願公開、特開2006- 55645〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成17年8月18日(パリ条約による優先権主張2004年8月20日,米国(US))を出願日とする出願であって,平成23年1月14日付けで拒絶理由が通知され,同年6月7日に手続補正がなされ,同年8月22日付けで最後の拒絶理由が通知され,平成24年2月6日に意見書が提出され,同年8月10日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年11月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付けにて手続補正がなされたものである。 さらに,当審において,平成25年5月14日付けで審尋がなされ,回答書が同年7月2日に請求人より提出されたものである。 その後,当審において,同年11月8日付けで拒絶の理由が通知され,これに対して,平成26年1月15日に手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1?3に係る発明(以下,請求項の番号に対応して「本願発明1?本願発明3」という。)は,平成26年1月15日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「 【請求項1】 三次元X線再生における金属アーチファクトを低減する方法(400,500)であって, 受診者に対する検出器の位置を割り出すための信号を出力する送信器を備えた撮像装置が少なくとも一つの未較正画像を収集する(410,514)ステップと, 前記少なくとも一つの未較正画像を較正し(412,516),少なくとも一つの較正済み画像を形成するステップと, 前記少なくとも一つの較正済み画像を用い,前記送信器の座標系を前記少なくとも一つの較正済み画像の座標系に変換する受診者-送信器変換を計算する(414,518)ステップと, 前記少なくとも受診者-送信器変換を用い,強度が逆転し,フィルタ処理した前記少なくとも一つの較正済み画像を逆投影することにより,再生空間を形成する(416,520)ステップと, 前記少なくとも一つの較正済み画像と前記受診者-送信器変換と前記再生空間を合成し(418,524),少なくとも一つの表示画像を形成するステップと, 前記少なくとも一つの表示画像を表示する(420,526)ステップとを含む,方法。 【請求項2】 前記少なくとも一つの未較正画像は少なくとも一つの未較正透視画像を含み,前記少なくとも一つの較正済み画像は少なくとも一つの較正済み透視画像を含む,請求項1記載の方法(400,500)。 【請求項3】 前記少なくとも一つの未較正画像の較正(412,516)ステップは,少なくとも一つのアーチファクトの位置特定を含む,請求項1記載の方法(400,500)。」(下線は補正箇所を示す。)) 第3 当審拒絶理由の概要 (1)記載要件 ア 本件出願は,発明の詳細な説明および特許請求の範囲の記載が以下イ,ウの点で不備のため,特許法第36条第4項第1号および第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 イ 特許請求の範囲の請求項1に係る発明は, 「三次元X線再生における金属アーチファクトを低減する方法(400,500)であって,・・・ 前記少なくとも一つの未較正画像を較正し(412,516),少なくとも一つの較正済み画像を形成するステップと, 前記少なくとも一つの較正済み画像を用い,前記送信器の座標系を前記少なくとも一つの較正済み画像の座標系に変換する受診者-送信器変換を計算する(414,518)ステップと, 前記少なくとも受診者-送信器変換を用い,強度が逆転し,フィルタ処理した前記少なくとも一つの未較正画像を逆投影することにより,再生空間を形成する(416,520)ステップと, 前記少なくとも一つの較正済み画像と前記受診者-送信器変換と前記再生空間を合成し(418,524),少なくとも一つの表示画像を形成するステップと,・・・」と特定されている。 一方,発明の詳細な説明の対応する図4,5に関する実施例にはそれに対応する記載がない。 仮に,発明の詳細な説明の対応する実施例が図3に関するものであるとすると上記請求項1に係る発明の「少なくとも一つの較正済み画像と前記受診者-送信器変換と前記再生空間を合成し(418,524),少なくとも一つの表示画像を形成するステップ」との特定事項の具体的な技術内容が記載されていないので,当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。 ウ 発明の詳細な説明には「較正」,「受診者-送信器変換」,「再生空間」,「合成」等の用語を,その定義も,それに関する具体例も示さずに 「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 この種の線条アーチファクトを低減し或いは代替し或いは除去する多くの技術や方法が,公知である。線条アーチファクトを低減する一つの技術に,走査データの再生期間中の傾斜フィルタの適用が含まれる。この種の傾斜フィルタは線条アーチファクトを緩和はできるが削除はできず,何故ならフィルタは一般に走査データ集合全体にあまねく適用されるからである。最小の金属関連線条アーチファクトをもって外科処置部位を視認可能とすることは,非常に望ましいことである。 【課題を解決するための手段】 ・・・ 【0006】 少なくとも一実施形態では,画像再生の実施方法には受診者-送信器変換の計算を含めることができ,ここで受診者-送信器変換は少なくとも一つの未較正画像を少なくとも用いて計算することができる。さらに,受診者-送信器変換を用いて再生空間を形成することができ,ここで再生空間は少なくとも一つの未較正画像を少なくとも用いることで形成することができる。本方法が少なくとも一つの較正済み画像と受診者-送信器変換と再生空間のうちの少なくとも二つの合成を含むことは,熟慮してある。 【0007】 さらに別の実施形態は,三次元X線再生における金属アーチファクトの低減方法に関する。この実施形態は,少なくとも一つの未較正画像(例えば,X線や透視画像)の収集と,少なくとも一つの未較正画像の較正と,少なくとも一つの較正済み画像(例えば,較正済みのX線や透視画像)の形成とを含む。受診者-送信器変換は,少なくとも一つの較正済み画像を少なくとも用い計算する。再生空間は,少なくとも受診者-送信器変換を用いて形成する。少なくとも一つの較正済み透視画像と受診者-送信器変換と再生空間のうちの少なくとも二つを合成し,少なくとも一つの表示画像を形成する。この画像は,そこで例えば表示装置を用いて表示することができる。」 と,目的を抽象的に記載しているが,その目的を達成するための具体的な手法を,最初から最後までを一つの実施例としても具体的に示してはいないので,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。 第4 当審の判断 (1) 本願の出願当初明細書の発明の詳細な説明には「【技術分野】 【0001】 本出願は,概ね画像再生に関する。より詳しくは,本出願は遺構(アーチファクト)空間情報を用いた画像再生における金属遺構低減に関する。 【背景技術】 【0002】 受診者の解剖学的構造のCT(コンピュータ断層造影)や三次元透視画像の形成は,業界において公知である。外科医にとって金属移植組織の内部定着具合を術後画像にて判断することが望ましいことは,理解されたい。しかしながら,例えば椎根螺子や骨折板/ピン等の金属移植組織はこの種の透視画像の形成に線条遺構を生成することがあることが知られている。この種の線条遺構は,金属移植組織と受診者の解剖学的構造の境界における信号減衰の鮮明な違いに起因して生まれる。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 この種の遺構線条を低減し或いは代替し或いは除去する多くの技術や方法が,公知である。遺構線条を低減する一つの技術に,走査データの再生期間中の傾斜フィルタの適用が含まれる。この種の傾斜フィルタは線条遺構を緩和はできるが削除はできず,何故ならフィルタは一般に走査データ集合全体にあまねく適用されるからである。最小の金属関連線条遺構をもって外科処置部位を視認可能とすることは,非常に望ましいことである。 【課題を解決するための手段】 【0004】 本発明の一実施形態は,画像再生装置やシステムや機械に関するものである。より詳しくは,一実施形態は金属関連線条遺構を低減し或いは最小化する三次元X線画像再生方法及び装置に関する。 【0005】 本発明の一実施形態は,画像再生(例えば,X線や透視画像再生)方法に関する。少なくとも一実施形態では,本方法は少なくとも一つの未較正画像(例えば,未較正のX線や透視画像)の収集を含む。本方法はさらに,少なくとも一つの未較正画像の較正と,少なくとも一つの較正済み画像の形成を含む。少なくとも一つの実施形態では,本発明は少なくとも一つの遺構の位置特定を含む。少なくとも一実施形態では,少なくとも一つの画像の表示もまた熟慮してある。 【0006】 少なくとも一実施形態では,画像再生の実施方法には受診者-送信器変換の計算を含めることができ,ここで受診者-送信器変換は少なくとも一つの未較正画像を少なくとも用いて計算することができる。さらに,受診者-送信器変換を用いて再生空間を形成することができ,ここで再生空間は少なくとも一つの未較正画像を少なくとも用いることで形成することができる。本方法が少なくとも一つの較正済み画像と受診者-送信器変換と再生空間のうちの少なくとも二つの合成を含むことは,熟慮してある。 【0007】 さらに別の実施形態は,三次元X線再生における金属遺構低減方法に関する。この実施形態は,少なくとも一つの未較正画像(例えば,X線や透視画像)の収集と,少なくとも一つの未較正画像の較正と,少なくとも一つの較正済み画像(例えば,較正済みのX線や透視画像)の形成とを含む。受診者-送信器変換は,少なくとも一つの較正済み画像を少なくとも用い計算する。再生空間は,少なくとも受診者-送信器変換を用いて形成する。少なくとも一つの較正済み透視画像と受診者-送信器変換と再生空間のうちの少なくとも二つを合成し,少なくとも一つの表示画像を形成する。この画像は,そこで例えば表示装置を用いて表示することができる。 【0008】 少なくとも1以上の実施形態では,少なくとも一つの未較正画像は少なくとも一つの未較正透視画像を含み,少なくとも一つの較正済み画像は少なくとも一つの較正済み透視画像を含む。少なくとも一実施形態では,少なくとも一つの未較正画像の較正は,少なくとも一つのC形アームの掃引と,少なくとも一つの遺構の位置特定及び/又は少なくとも一 つの較正マーカの除去とを含む。・・・ 【0009】 三次元X線再生における金属遺構を低減するさらに他の実施形態には,少なくとも一つの透視画像を回転させて再生空間を形成し,C形アームを元に戻すことが含まれる。少なくとも一つの回転透視画像の強度を反転し,先験的に空間的に既知の金属遺構についてフィルタ処理する。フィルタ処理した透視画像のうちの少なくとも一つを逆投影し,再生空間を形成する。 【0010】 本発明の他の一つの実施形態は,画像再生(例えば,X線画像再生)における金属遺構の低減装置に係り,少なくとも一つの未較正画像を収集するよう設けたモジュールと,少なくとも一つの未較正画像を較正して少なくとも一つの較正済み画像を形成するよう設けたモジュールとを備える。・・・ 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 本発明の幾つかの実施形態の以下の詳細な説明だけでなく,前述の要約も添付図面と併せ読むときに良好に理解されよう。本発明を例示するため,幾つかの実施形態が図面に図示してある。しかしながら,本発明は添付図面に示した装置や機器に限定されるものでないことは理解されたい。 【0012】 例示目的にのみ,以下の詳細な説明はX線や透視造影装置やシステムや装置や機械からなる幾つかの実施形態を参照するものである。しかしながら,本発明が他の装置や造影システムと共に使用できることは理解されたい。 【0013】 三次元透視画像は,以下に説明するものに類似する円錐形ビーム再生技法を用い,図1と図2と図3に示した造影装置或いはシステムによる二次元透視投影画像から生成することができる。C形アームが取り込むか或いは取得する各二次元投影に関する固有の位置及び/又は方位情報は,三次元画像の作成に用いる複数の二次元投影画像間の空間的関係を保証するのに役立つ。追尾情報は少なくとも一つの実施形態では二次元画像に動的に関連付けるため,実施形態では各二次元画像において1以上の金属遺構を直接位置特定することができる。一実施形態では,ポインタを用いて受診者の表層或いは内部の1以上の移植組織の位置を特定することができる。ポインタを用いて様々な点を収集し,1以上の移植組織の空間輪郭を描くことができる。 【0014】 別の実施形態では,・・・。さらに別の実施形態は,・・・。 【0015】 本発明の1以上の実施形態は,画像品質を劣化させる金属関連線条遺構を取り除く。1以上の実施形態が,特に脊椎及び整形外科応用において三次元透視再生を遂行するX線システム上の差動的特徴をもたらす。 【0016】 金属関連遺構を低減する以前の試みは,受診者内に存在し或いは使用された金属の過去の知見を用いることなく行われてきた。・・・受診者内部の金属被写体の特定の位置と方位情報が利用可能で三次元データ集合を作成するよう収集した生成二次元画像へ直接関連付けられる場合は,この具体的な知見を用いて局所化画像処理を提供し,画像処理,例えば円錐形ビーム再生処理期間中に線条遺構を最小化或いは除去することができる。 【0017】 図1は,本発明の実施形態に従い用いる概ね100で指し示す撮画像装置や機械やシステムや機器を示す。システム100は・・・。 【0018】 少なくとも一実施形態では,システム100はC形アーム110と1以上のX線源120と1以上のX線検出器130と1以上の電磁(EM)センサ140とEM送信器150と画像プロセッサ160と追尾モジュール170と位置決め装置180と出力装置190を含む。図示の実施形態では,追尾モジュール170は少なくともEMセンサ140とEM送信器150と画像プロセッサ160と交信状態にて図示してある。図1にはさらに,少なくともX線検出器130と追尾モジュール170と出力装置190と通信する画像プロセッサ160が図示してある。 【0019】 少なくとも一実施形態では,X線源120とX線検出器130はC形アーム110の両側に取り付けてある。・・・ 【0020】 少なくとも一つの実施形態では,・・・。少なくとも一実施形態では,・・・。かくして,C形アーム110をX線源120とX線検出器130と共に移動させ,その上又は内部に被写体112を配置した位置決め装置180周りに位置決めすることができる。・・・。 【0021】 少なくとも一つの実施形態では,X線源120とC形アーム110上の検出器130が例えば十字腕或いは軌道動作にて移動できることは,熟慮してある。・・・ 【0022】 少なくとも一実施形態では,X線検出器130の位置を1以上の投影画像について記録することができる。・・・ 【0023】 少なくとも一実施形態では,送信器150はセンサ140が検出する磁界等の信号を同報通信する。・・・ 【0024】 検出器130と被写体112の間の距離及び/又は線源120と被写体112の間の距離を変えることで,X線等の非平行ビームを放射する点線源或いは近似点線源用の検出器に投影される被写体112の拡倍率が変化することは熟慮してある。・・・。 【0026】 追尾モジュール170は,システム100内の被写体112とX線検出器130及び/又はX線源120を監視する。・・・。 【0027】 少なくとも一実施形態では,画像プロセッサ160はC形アーム110が移動する際に検出器130からの一連の露光画像を収集する。検出器130は,X線源120をトリガする度に露光画像を受信する。・・・ 【0028】 1以上の実施形態では,三次元画像再生は例えば扇状ビームを用いて走査被写体112の連続断層や平面を合成することで形成できる。・・・。 【0029】 1以上の画像を再生した後,画像プロセッサ160はその一(又は複数)の画像を出力装置190へ送信することができる。・・・。 【0030】 動作時に,例えば受診者の中間脊髄領域をシステム100内で走査することができる。・・・。 【0031】 C形アーム110が動き脊椎は動かないので,脊椎はX線源120により近くに或いはより遠くに位置する。・・・。 【0032】 図2は,本発明の実施形態になる三次元空間作成用の画像再生装置やシステムや機械や機器210の高水準ブロック線図を示す。・・・。 【0033】 一実施形態では,画像再生装置210は図1に示す画像処理システム100の一部である。本実施形態では,出力装置190はディスプレイ218を備え,その一方でプロセッサ160は誘導案内ホストコンピュータ212と三次元再生コンピュータ216とネットワーク214とを備える。別の実施形態では,画像再生装置210と画像処理システム100は通信する別々の装置である。 【0034】 図3は,本発明の少なくとも一実施形態になる三次元空間作成用の画像再生装置やシステムや機械や機器のより詳細なブロック線図を示す。この例示実施形態では,概ね300で指し示すシステム或いは装置が1以上のローカルエリアネットワーク314を介して少なくとも一つの三次元再生コンピュータ316と通信する少なくとも一つの誘導案内ホストコンピュータ312を備える。図示の実施形態では,誘導案内システムホストコンピュータ312は例えば受診者の少なくとも一回のC形アーム掃引320を実行する。1以上の未較正画像322A(例えば,未較正X線や透視画像)が1以上のC形アーム掃引320から生成される。誘導案内システムホストコンピュータ312は,1以上の未較正画像322Aをローカルエリアネットワーク314上で三次元再生コンピュータへ送信する。 【0035】 少なくとも一実施形態では,三次元再生コンピュータ316は1以上の未較正画像312Bを受信する。本実施形態では,三次元再生コンピュータ316は画像を較正し,1以上の放射線不透過性すなわち較正マーカ(例えば玉軸受(「BB;ball bearing)を取り除き,1以上の較正画像326A(例えば,較正済みのX線や透視画像)を形成する。三次元再生コンピュータ316はさらに,1以上の較正済み画像を取り込み,受診者-送信器変換を計算し,受診者-送信器変換330Aを形成する。 【0036】 少なくとも一実施形態では,三次元再生コンピュータ316が1以上の受診者-送信器変換を受信し,画像を反転或いは回転させ,C形アーム設定332を元に戻す。方法300にはさらに,回転画像を反転させて強度334を逆転することが含まれる。透視画像は1以上のフィルタを用いてフィルタ処理し,金属遺構336として公知の先験的空間を形成する。フィルタ処理した透視画像はそこで逆投影されて空間を再生し,再生空間340Aを形成する。 【0037】 少なくとも一実施形態では,三次元再生コンピュータ316は1以上のローカルネットワーク314を介して1以上の合作画像326Aと受診者-送信器変換330Aと再生空間340Aを誘導案内システムホストコンピュータ312へ送信する。誘導案内システムホストコンピュータ312は,較正済み画像326Bと受診者-送信器変換330Bと再生空間340Bとを受信し,ディスプレイ用に1以上の画像を形成する。画像は,表示装置218や出力装置190に表示される。 【0038】 図4は,本発明の少なくとも一実施形態になる三次元空間を生成する概ね400で指し示す一つの方法を表わす高水準フロー線図を示す。少なくとも一実施形態では,本方法400は1以上の画像(例えば,未較正のX線や透視画像)を収集するブロック410を含む。 【0039】 本方法400はさらに,1以上の画像(例えば,較正済みのX線や透視画像)を較正するブロック414と,受診者-送信器変換を計算するブロック416と,再生空間を形成するブロック418とを備える。少なくとも一実施形態では,ブロック418は較正済み画像と受診者-送信器変換と再生空間の合成を含む。方法400はさらに,1以上の画像を表示するブロック420を含む。 【0040】 図5は,本発明の少なくとも一実施形態に従い三次元空間を生成する概ね500で指し示す方法を表わす詳細なフロー線図を示す。少なくとも一実施形態では,方法500は1 以上のC形アーム掃引を実行して1以上の未較正透視画像を収集するブロック510を含む。512ブロックは,一実施形態ではローカルネットワーク514上に送信する1以上の合作画像(例えば,未較正X線や透視画像)の収集を含む。一実施形態では,方法500は1以上の画像(例えば,較正済みのX線や透視画像)を較正するブロック516と,未較正透視画像に関する受診者-送信器変換を計算するブロック518と,1以上の未較正透視画像に関する再生空間を形成するブロック520とを含む。 【0041】 較正済み画像と受診者-送信器変換と再生空間は,そこでブロック522においてローカルエリアネットワーク514上に送信される。ブロック524には,較正画像と受診者-送信器変換と再生空間とを合成して1以上の画像を形成することが含まれる。ブロック526には,1以上の画像の表示が含まれる。 【0042】 本発明は特定の実施形態を参照して説明してきたが,本発明範囲から逸脱することなく様々な変形例や等価物が置換できることは当業者には理解されよう。加えて,本発明の教示に対しその範囲から逸脱することなく特定の状況或いは材料を適応させる多くの改変をなすことができる。それ故,本発明は開示した特定の実施形態に限定せず,本発明は添付特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を含むことを意図するものである。また,図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は,単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり,本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして,本願の特許請求の範囲に記載した事項は,明細書に組み込まれ,明細書の記載事項の一部となる。」と記載されている。(下線は当審で付与した。) 本願明細書には図3に対応する実施例と図4,5に対応する実施例が記載されており,本願発明は図4,5に対応するものであるといえる。 図3に記載されたブロック線図は,再生空間を形成する段階で較正画像を用いるのに対して,図4,5に記載されたブロック線図は,再生空間を形成する段階で未較正画像を用いるのであるから,図3と図4,5とは,出来上がる画像が明らかに異なるが,上記明細書にはその区別についても記載されていない。 両実施例は,「較正済み透視画像から再生空間を形成するのか,未較正画像から再生空間を形成するのか」の点でプロセスも異なることは明らかである。 【0003】?【0007】のように,本願明細書には,本願発明の目的が抽象的に記載され,さらにその目的を達成するための具体的な方法も,方法を構成するステップ要素を多数羅列する程度に記載されている。 そこで発明の詳細な説明中で再生空間を形成する段階が記載された段落を見てみると,【0006】,【0007】,【0009】と【0036】,【0037】,【0039】,【0040】,【0041】のみである。 【0036】,【0037】は,図3の説明であり,【0039】は,図4の説明であり,【0040】,【0041】は,図5の説明であるから,残りの【0006】,【0007】,【0009】について検討する。 【0006】には,「受診者-送信器変換を用いて再生空間を形成することができ,ここで再生空間は少なくとも一つの未較正画像を少なくとも用いることで形成することができる。」と再生空間を形成する段階について,未較正画像を少なくとも用いて形成すると記載され, 【0007】には,「受診者-送信器変換は,較正済み画像を少なくとも用い計算する。 再生空間は,少なくとも受診者-送信器変換を用いて形成する。」と再生空間を形成する段階について,較正済み画像を少なくとも用いて形成すると記載され, 【0009】には,「透視画像を回転させて再生空間を形成し,C形アームを元に戻すことが含まれる。」と記載されており,使用する画像が較正済み画像か未較正画像かについては記載されていない。 そうすると,明細書全体から見ても,プロセスの異なる,較正済み透視画像から再生空間を形成することと,未較正画像から再生空間を形成することを同列に扱っている。 さらに,「較正済み画像と受診者-送信器変換と再生空間を合成し表示画像を形成するステップ」については,明細書には合成の手法についての例示も,合成画像の例示もなく,合成の具体的な技術内容は記載されていない。 そして,請求人は,平成26年1月15日提出の意見書において,「受診者-送信器変換と再生空間との合成の意義は当業者に明らかであると思料いたします。すなわち,『合成』は広辞苑に『2つ以上のものを合して1つのものにすること』を意味すると説明されておりますように,受診者-送信器変換と再生空間とが合されて1つのものになります。」と主張するのみで,合成の手法についての例示も,合成画像の例示もなく,具体的な技術内容は示していない。 (2) してみると,発明の詳細な説明の記載は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。 第5 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第36条第4項第1号の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-04-30 |
結審通知日 | 2014-05-07 |
審決日 | 2014-05-20 |
出願番号 | 特願2005-237347(P2005-237347) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WZ
(A61B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井上 香緒梨 |
特許庁審判長 |
神 悦彦 |
特許庁審判官 |
森林 克郎 信田 昌男 |
発明の名称 | 遺構空間情報を用いて三次元X線画像再生における金属遺構を低減する方法及び装置 |
代理人 | 小倉 博 |
代理人 | 田中 拓人 |
代理人 | 黒川 俊久 |
代理人 | 荒川 聡志 |