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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04W
管理番号 1292936
審判番号 訂正2014-390104  
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2014-08-13 
確定日 2014-09-29 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4798463号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4798463号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第4798463号発明(平成20年3月6日特許出願、平成23年8月12日設定登録)の願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)、特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、すなわち下記のとおり訂正することを求めるものである。なお、本件の特許出願である特願2008-056868号は、外国語書面出願である。

1.訂正事項1
特許明細書の段落番号【0037】に、

「中継局は、T-CIDを有するMAP-IEを基本CIDと交換し、トンネルパケットからトンネル・ヘッダを取り除く(808)。」

とあるのを、

「中継局は、MAP-IEの基本CIDをT-CIDと交換し、トンネルパケットからトンネル・ヘッダを取り除く(808)。」

と訂正する。なお、下線部は、訂正箇所を示す。

2.訂正事項2
特許明細書の段落番号【0040】に、

「中継局RS1 928は、その後、トンネルパケットを中継局RS2 930に送信し、」

とあるのを、

「中継局RS1 928は、その後、トンネルパケットを中継局RS2 930に転送し、」

と訂正する。なお、下線部は、訂正箇所を示す。


第2.当審の判断

1.訂正事項1について
外国語明細書の段落番号[0037]に、ステップ808について、「Conversely, when translating from tunnel packet mode frame 802 to tunnel burst mode frame 804 , the relay station replaces the basic CID in the MAP-IE with the T-CID and removes the tunnel header from the tunnel packet (808). 」と記載されている。「replace 甲 with 乙」で、「甲を乙で置き換える。」という意味であるから、上記記載中の「the relay station replaces the basic CID in the MAP-IE with the T-CID 」という文の訳は、「中継局は、MAP-IEの中の基本CIDをT-CIDで置き換える。」である。したがって、訂正事項1が誤訳を訂正することを目的としていることは明らかである。

また、特許明細書の段落番号【0037】に、「逆に、トンネルパケットモード・フレーム802からトンネルバーストモード・フレーム804へと変換する場合、中継局は、T-CIDを有するMAP-IEを基本CIDと交換し、トンネルパケットからトンネル・ヘッダを取り除く(808)。」と記載されているから、ステップ808は、トンネルパケットモード・フレーム802からトンネルバーストモード・フレーム804へと変換する場合である。図5Cのトンネルパケットモード・フレームと図5Bのトンネルバーストモード・フレームを比較すれば、トンネルパケットモード・フレームにおいて、MAP-IE中の基本CIDをT-CIDに変えて、トンネルヘッダを除去すれば、トンネルバーストモード・フレームに変換できることは、明らかである。したがって、訂正事項1は誤記を訂正することを目的としたものであるとも言える。

よって、訂正事項1は、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

2.訂正事項2について
外国語明細書の段落番号[0040]に、ステップ938について、「Relay station RS1 928 then forwards the tunnel packet to relay station RS2 930 , which also retains a copy of the tunnel packet to send to mobile subscribers in its coverage area (938) by examining the retaining bit. 」と記載されている。この中の「Relay station RS1 928 then forwards the tunnel packet to relay station RS2 930」という文は、「それから、中継局RS1 928は、トンネルパケットを中継局RS2 930へforwardする。」という意味である。

外国語明細書の段落番号[0040]には、ステップ938に関する上記記載の前に、「Base station 926 first transmits the tunnel packet to relay station RS1 928 . Relay station RS1 928 parses the tunnel packet to retrieve the tunnel header. Upon determining that retain bit 920 is set, relay station RS1 928 retains a copy of the tunnel packet to send to mobile subscribers in its coverage area (936 ). 」(当審訳:基地局926は、最初にトンネルパケットを中継局RS1 928に送信する。中継局RS1 928は、トンネル・ヘッダを読み出すべく、トンネルパケットを解析する。保持ビット920が設定されたことを決定すると共に、中継局RS1 928は、そのカバレージエリアの加入者装置に送るトンネルパケットのコピーを保持する(936)。)と記載されている。したがって、中継局RS1 928は、基地局926から受信したトンネルパケットを解析しているものの、該受信したトンネルパケットを加工や編集することなく、そのまま次の中継局RS2 930へforwardしている。よって、「forward」については「送信する」よりも「転送する」の方がより適切な訳である。

したがって、訂正事項2は、誤訳の訂正を目的とするものである。

そして、上記各訂正は、願書に添付した外国語明細書、外国語特許請求の範囲又は外国語図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。
また、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとはいえない。


第3 むすび
したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ワイヤレスマルチホップ中継ネットワークにおけるMACプロセスおよび柔軟な接続
【関連出願】
【0001】
本発明は、2007年3月9日に出願された米国特許仮出願番号60/905、915の優先権を主張し、その内容を参照によりここに組み込む。
【技術分野】
【0002】
本願明細書中に開示されるシステムおよび方法は、移動体通信の分野に関し、より詳しくは、ワイヤレスマルチホップ中継ネットワークにおける中継局で受信されるフレームを分析するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
図1は、従来のワイヤレス通信ネットワーク100を示す。図1を参照すると、ネットワーク100において、基地局102は、基地局カバレージエリア104内のデバイスにより大きいネットワーク(図示せず)との接続性を提供する。一人以上の加入者装置106は、一つ以上のワイヤレス接続を介し、基地局102から直接ワイヤレス接続性を得ることができる。しかしながら、ネットワーク100が多数の加入者装置106をもつと、基地局102は多数のワイヤレス接続を処理することができなくなる可能性があり、それがネットワーク100の通信遅延およびボトルネックにつながる。したがって、スループットを向上させるためにネットワーク100は、一つ以上の中継局110を使用できる。中継局110は、中継局110とそれぞれ関連付けられた移動局カバレージエリア112における移動局106とのワイヤレス接続を確立し、直接あるいは一つ以上の付加的な中継局110を経て 基地局102にワイヤレス接続を中継する。スループットを向上させることに加えて、中継局110は、基地局102が基地局カバレージエリア104を越えて加入者装置カバレージエリア112にまでそのカバレージエリアを強化することを可能にする。
【0004】
基地局102、中継局110および加入者装置112間における通信は、メディアアクセス制御(MAC)データ通信用プロトコルとして知られるデータリンク層通信プロトコルの使用によって達成され得る。媒体アクセス制御プロトコルは、加入者装置106などのハードウェアデバイス上の特定のポートおよびアダプタ向けの能力を有するコネクションオリエンティド・プロトコルである。データと特定のポートが識別された場合にだけ、ハードウェア・アダプタは受信データを処理し、そうでない場合は、通信の間、アダプタは、休止状態にある。
【0005】
図2は、媒体アクセス制御プロトコルと共に用いられるレガシーフレーム構造200の一例を示す。図2に関して、フィールドP 202は、基準信号であり、例えば、フレーム同期の機能を実現するWiMAXシステムにおけるプリアンブルなどである。フィールドMPDU 204は、媒体アクセス制御プロトコル・データユニットである。フィールドMPDU 204は、一般的なMACヘッダ206、ペイロード・データ208および任意の巡回冗長検査(CRC)フィールド210を含む。MACヘッダ206は、そのMPDU 204と加入者装置のハードウェア・ポートへの特定の論理接続とを関連付けるコネクション識別子CID 212も含む。CID 212は、MAP-IE 216にも配置される。ペイロード・データ208は、ユーザに移動通信サービスを提供すべく、最終的に加入者装置によって処理されることになるデータを含む。最後に、CRC 210は、ペイロード・データ208の完全性を確実にするための任意のフィールドである。
【0006】
さらに、図2を参照すると、フィールドMAP214は、特定のMPDU 204を配置するための、レガシーフレーム構造200内の位置のディレクトリを提供する。MAP214は、それぞれのMAP Information Elements(MAP-IE)216が特定のMPDU 204に対応するように、一つ以上のMAP-IE 216を含む。それぞれのMAP-IE 216は、どの中継局が対応するMPDU 204を受信するかについて識別するために用いられる接続パラメータを含む。MAP-IE216は、また、MPDU 204がレガシーフレーム構造200の中のどこに位置するか、MPDU 204の長さ、MPDU 204の対象とする受信者の識別、および、一つ以上の伝送パラメータを識別するためのパラメータを含む。MAP214はレガシーフレーム構造200のヘッダ領域に対応、一方、MPDU 204はレガシーフレーム構造200のボディ領域に対応する。
【0007】
図3は、図2のレガシーフレーム構造200に類似した構造を有するレガシーフレーム構造302を処理する従来のシステム300を示す。レガシーフレーム構造302は、MAP-IE 304および加入者装置w(308)、x(310)、y(312)およびz(314)のうちの1つに対応するMPDU 306を含む。レガシーフレーム構造302は、基地局316から始まり、まず中継局318に転送され、次に、中継局320に転送され、そして、中継局322へと転送される。中継局322では、個々のMAP-IE304および個々のMPDU 306がそれらの共通の加入者装置の宛先(w308、x310、y312またはz 314)に従って分類されることによりメッセージ対324、326、328および330が形成されるように、レガシーフレーム構造302が分割される。そして、中継局322は、それらのCIDに基づき、メッセージ対324、326、328および330をそれらの適当な加入者装置w308、x310、y312およびz314に、それぞれ配布する。
【0008】
しかしながら、レガシーフレーム構造302は、それぞれのMPDU 306のためのMAP-IE 304を冗長に含む。上記したように、MAP-IE 304は、どの中継局が対応するMPDU 304を受信するかについて識別するために用いられる接続パラメータを含む。現在の例において、それぞれのMAP-IE 304は、中継局318、320および322を介し対応するMPDU 306を導く接続パラメータを含む。しかしながら、全てのMPDU 306は、中継局318、320および322中を同時に移動するので、それぞれのMPDU 306に関して個別のMAP-IE 304を持つ必要はない。その代わりに、中継局318、320および322中を同時に移動する多数のMPDU 306のための接続情報の単一のフィールドをもつだけでよい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従い、ワイヤレスマルチホップ中継ネットワークにおける中継局で受信されるフレームを処理する方法が提供される。フレームは、フレームのヘッダにおける第1の制御データと、フレームのボディにおける第2の制御データとを含む。方法は、第1の制御データがトンネル識別子を含むかどうか決定するためにフレームのヘッダを調べることと、第2の制御データを検索すべく、第1の制御データが、トンネル識別子を含まないかどうかフレームのボディを解析することと、第2の制御データがトンネル識別子を含むかどうか決定することと、第1および第2の制御データの内容を調べることによってフレームを分類することと、フレームを転送することと、を含む。さらに、本発明に従い、複数の命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。命令は、プロセッサで実行されると、該プロセッサに、ワイヤレスマルチホップ中継ネットワークにおける中継局において受信されるフレームを処理する方法を実行させ、フレームは、フレームのヘッダにおける第1の制御データと、前記フレームのボディにおける第2の制御データとを含む。方法は、第1の制御データが一のトンネル識別子を含むかどうか決定すべく前記フレームのヘッダを調べることと、第1の制御データがトンネル識別子を含まない場合、第2の制御データを検索すべく、フレームのボディを解析することと、第2の制御データがトンネル識別子を含むかどうか決定することと、第1および第2の制御データの内容を調べることによりフレームを分類することと、フレームを転送することと、を含む。本発明の付加的な特徴および効果は、以下の記載において説明され、そこから明らかになるか、あるいは、本発明の実施により明らかになるであろう。本発明の特徴および効果は、添付の請求項で特に指摘される構成要素およびその組み合わせにより実現されるであろう。
【0010】
前述の概要および以下の詳細な説明は、典型的なものにすぎず、請求されるとおりの本発明を制限するものではないと理解されたい。
【0011】
本願明細書中に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は記載と共に本発明の実施形態を示し、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の移動通信システムの図である。
【0013】
【図2】レガシーフレーム構造の図である。
【0014】
【図3】従来の移動通信システムにおけるレガシーフレーム構造の処理を示す図である。
【0015】
【図4】トンネリングを利用する移動通信システムの図である。
【0016】
【図5A】トンネルパケットモード・フレームの図である。
【0017】
【図5B】トンネルバーストモード・フレーム構造の図である。
【0018】
【図5C】本発明の一実施形態に従い構成されるトンネルパケットモード・フレームの図である。
【0019】
【図6】中継局のフレーム分類のフローチャートである。
【0020】
【図7】フレーム型を異なるフォーマットに変えるのを容易にする目的で分散型制御を使用している中継ネットワークを示す図である。
【0021】
【図8】中継局が異なるフレーム型の間をどのように変換するかについて示す状態図である。
【0022】
【図9A】多数の中継局が複式接続を用いてトンネルパケットを保持し転送するトンネリング系の図である。
【0023】
【図9B】本発明の一実施形態に従い設定されるトンネルパケットモード・フレームの図である。
【0024】
【図9C】多数の中継局が単一の接続を用いてトンネルパケットを保持し転送する改良されたトンネリング系の図である。
【0025】
【図10】基地局、中継局または加入者装置に対応する典型的なホストのブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の典型的な実施例への詳細な参照がなされ、その例は、添付の図面に示されている。図面全体を通じて、同じまたは同様の部分には、可能な限り同じ参照番号が付される。
【0027】
図4は、レガシーフレーム構造の上述した欠点を克服するために用いられるトンネリング系400を示す。図4を参照すると、トンネル識別子(T-CID)402は、複数のMPDU404と関連する。MPDUは、基地局406で始まり、中継局408、410および412を進んでいく中継局412では、それらのCID422、424、426または428に従い、MPDU404は、それらの目的加入者装置w(414)、x(416)、y(418)またはz(420)に送られる。
【0028】
トンネリング系400によって用いられることができるトンネリングモードは複数ある。1つの例は、トンネルパケットモードであり、もう一方は、トンネルバーストモードである。
【0029】
図5Aは、トンネルパケットモード・フレーム500の一例を示す。トンネルパケットフレーム500は、フィールドP502、MAP504およびMPDU506を含む。この例では、MAP504は、どの局がすべてのMPDU506を受信するかを識別するために用いられる接続パラメータを含む単一のMAP-IE508を含む。MAP-IE508内には、トンネルパケットモード・フレーム500内の全てのMPDU506と特定のトンネル接続とを関連付ける任意のT-CID510がある。加えて、トンネル・ヘッダ512は、同様にトンネルパケットモード・フレーム500における全てのMPDU506と特定のトンネル接続とを関連付ける必須のT-CID514を含む。トンネル・ヘッダ512は、トンネルパケット516内にMPDU506をカプセル化する。MAP504はトンネルパケットフレーム500のヘッダ領域に対応し、一方、トンネルパケット516はトンネルパケットフレーム500のボディ領域に対応する。
【0030】
トンネルパケットモードにおいて、トンネルパケットモード・フレーム500が一つ以上の中継局を介し基地局から加入者装置へと送信されると、1つ以上の中継局は、まず、MAP-IE508を調べて、接続パラメータを収集し、利用可能ならば、任意のT-CID510を収集してよい。T-CID510が利用できない場合、一つ以上の中継局は、次に、トンネル・ヘッダ512内のT-CID514を検査すべく、トンネルパケット516を解析する。中継局は、一旦T-CID 514(または510)の存在を決定すると、MPDU506とT-CID 514(または510)において特定されるトンネル接続とを関連付け、トンネル接続に従いトンネルパケットフレーム500を転送する。トンネル接続は、それぞれのMPDU506が適当な加入者装置に到達するために通過しなければならない中継局を特定する。
【0031】
図5Bは、トンネルバーストモード・フレーム518の一例を示す。トンネルバーストモード・フレーム518は、トンネル・ヘッダ512を含まず、従って、T-CID 514を含まないことを除けば、トンネルパケットモード・フレーム500と類似している。ここでは、T-CID510は、任意のフィールドではなく、必須のフィールドである。MAP504はトンネルバーストモード・フレーム518のヘッダ領域に対応し、一方、トンネルパケット516はトンネルバーストモード・フレーム518のボディ領域に対応する。
【0032】
トンネルバーストモードにおいて、トンネルバーストモード・フレーム518が一つ以上の中継局を介し基地局から加入者装置へと送信されると、1つ以上の中継局は、MAP-IE508を調べて、接続パラメータおよびT-CID510を収集する。中継局は、一旦T-CID510の存在を決定すると、トンネルパケット516とトンネル接続とを関連付け、トンネルバーストモード・フレーム518をしかるべく転送する。T-CID510は、MAP-IE508からすでに読み出されているので、中継局はトンネルパケット516を解析することなく転送する。このようにして、速いトンネリングが実現する。
【0033】
従って、媒体アクセス制御プロトコルによって使用するフレームは、レガシーフレーム、トンネルパケットモード・フレーム、および、トンネルバーストモード・フレームの3タイプあってよい。中継局は、フレームのこれらの3つのタイプのいずれでも処理するように設定されることができる。しかしながら、中継局は、フレームのこれらの3つのタイプの全てを含むパケットストリームを処理する能力がない。これは、2つの違いを伴うトンネルパケットモード・フレーム500とトンネルバーストモード・フレーム518とを区別することの困難さに一部起因する。第一に、T-CID510は、トンネルバーストモード・フレーム518では必須であるのに対して、トンネルパケットモード・フレーム500では任意である。すると、T-CID510は、トンネルパケットモード・フレーム500に存在するかもしれないし、トンネルバーストモード・フレーム518には絶対に存在するはずなので、これに踏まえた2つのフレーム型間のはっきりした区別がない。第2に、トンネルパケットモード・フレーム500はT-CID 514を有するトンネル・ヘッダ512を含むのに、トンネルバーストモード・フレーム518はそうでない。したがって、この違いを決定すべく、中継局は、トンネル・ヘッダ512の存在について調べるために、トンネルパケット516を解析しなければならない。トンネルバーストモードの利点は、トンネルパケット516を解析なしですばやく転送できるという点にある。このように、中継局は、トンネルパケットモード・フレーム500とトンネルバーストモード・フレーム518とを区別することができないので、異なるフォーマットの利点を維持しなければ、中継局は両方の型のフレームを扱うことができない。
【0034】
図5Cは、本発明の一実施形態に従い構成されるトンネルパケットモード・フレーム520を示す。トンネルパケットモード・フレーム500(図5Aを参照)とは対照的に、トンネルパケットモード・フレーム520は、任意のT-CID510を省略して、その代わりに基本CID522を含む。したがって、トンネルバーストモード・フレーム518は、MAP-IE508内にT-CID510を含み、一方トンネルパケットモード・フレーム520は含まないので、フレーム520の構造は、フレーム518の構造とは明らかに異なることがわかる。その結果、中継局は、トンネルパケット516を解析せずともトンネルパケットモード・フレーム520とトンネルバーストモード・フレーム518とを区別することができる。
【0035】
図6は、中継局でのフレームの分類を示すフローチャート600である。中継局は、最初に処理のためのフレームを受信する(ステップ602)。次に、中継局は、T-CIDがあるかないかを決定すべく、フレーム・ヘッダのMAP-IEを検査する(ステップ604)。中継局は、MAP-IE内にT-CIDが存在すると決定する場合、トンネルバーストモードに従い、処理のためのフレームを分類して、この分類に基づきフレームを処理する(ステップ606。あるいは、中継局は、MAP-IE内にT-CIDが存在しないと決定する場合、フレームボディを解析する(ステップ608)。中継局は、フレームボディを解析した後、トンネル・ヘッダがフレームボディ内部にあるかどうか決定する(ステップ610)。中継局は、フレームボディ内部にトンネル・ヘッダがないと決定する場合、フレームをレガシーフレームとして分類し、この分類に基づきフレームを処理する(ステップ612)。あるいは、中継局は、フレームボディ内に埋め込まれたトンネル・ヘッダがあると決定する場合、トンネルパケットモードに従い処理のためのフレームを分類し、この分類に基づきフレームを処理する(ステップ614)。このような方法で、中継局のフレームの分類が達成される。
【0036】
図7は分散型制御を使用している中継ネットワーク700を示す図であり、ここでは、フレームタイプを異なるフォーマットに変換する必要がある。図7を参照すると、基地局(BS)702は、データを移動中継局(RSm)704に送信したい場合、トンネリングのための第1のトンネル領域706におけるトンネルパケットモードを最初に使用できる。トンネル領域706の境界において、中継局RS4 708は、中継局RS5 710からデータを受信すると、第1のトンネル領域706を越えて第2のトンネル領域712へと入るべく、そのデータをトンネルパケットモードからレガシーフレームフォーマットへと変換する。第2のトンネル領域712における中継局RSx 714は、データの受信後、中継局RS1 716、RS2 718、または、RS3 720を介し、データをレガシーフレームフォーマットからRSm704へのトンネリングのためのトンネルパケットモードへと変換する。このようにして、分散型制御によるトンネリングが実現し、ここでは、異なるトンネル領域間でデータ送信するためにレガシーモードが用いられなければならない。これは、第1のトンネル領域706と第2のトンネル領域712とでは異なるトンネル接続が用いられるので実現する。第2のトンネル領域712において新規なトンネル接続を確立するには、最初にトンネルパケットモードからレガシーフレームフォーマットへと変換し、その後トンネルパケットモードへと再変換することが必要な場合もある。第2の変換は、結果として第2のトンネル領域712のための新規なトンネル接続をもたらす。
【0037】
図8は、一旦フレームが分類されてから、中継局が異なるフレーム型間をどのように変換するかについて示す状態図800である。トンネルバーストモード・フレーム804からトンネルパケットモード・フレーム802への変換において、中継局は、MAP-IEからのT-CIDを基本CIDと交換し、トンネルパケットにトンネル・ヘッダを加える(806)。逆に、トンネルパケットモード・フレーム802からトンネルバーストモード・フレーム804へと変換する場合、中継局は、MAP-IEの基本CIDをT-CIDと交換し、トンネルパケットからトンネル・ヘッダを取り除く(808)。あるいは、トンネルバーストモード・フレーム804からレガシーフレーム810への変換では、中継局は、MAP-IEからのT-CIDを基本CIDと交換する(812)。逆に、レガシーフレーム810からトンネルバーストモード・フレーム804への変換では、中継局は、MAP-IEの基本CIDをT-CID(814)と交換する。最後に、レガシーフレーム810からトンネルパケットモード・フレーム802への変換では、中継局は、トンネル・ヘッダをフレームのボディに加える(816)。逆に、トンネルパケットモード・フレーム802からレガシーフレーム810への変換では、中継局は、トンネルパケットから、トンネル・ヘッダを取り除く(818)。このような方法で、フレーム変換が実現する。
【0038】
図9Aは、多数の中継局RS1 902、RS2 904およびRS3 906がそれらのそれぞれのカバレージエリアの加入者装置に送信する同じトンネルパケットを受信するトンネリング系900を示す。例えば放送の間など、特定のトンネルパケットが複数の加入者装置に送信されるときに、このシナリオは起こり得る。図9Aを参照すると、基地局908は、トンネルパケットを中継局RS1 902に伝送するための第1のトンネル接続910を確立する。基地局908は、トンネルパケットを中継局RS2 904に伝送するための第2のトンネル接続912を確立する。
最後に、基地局908は、トンネルパケットを中継局RS3 906に送信するための第3のトンネル接続914を確立する。
従って、3つの別々の接続は、同じトンネルパケットを3つの異なる中継局902、904および906に送信するために確立される。
【0039】
図9Bは、トンネルパケットモード・フレーム518(図5Bを参照)とは異なる、第2の実施形態に従うトンネルパケットモード・フレーム916を示す。トンネル・ヘッダ918は、保持ビット920を含む。保持ビット920は、中継局がフレーム916のトンネルパケット922を保持して転送しなければならないのか、あるいは、トンネルパケット922を転送するだけでよいのかをトンネル接続に沿い基地局に通知する。保持ビット920は、ビット、フラグ、整数、文字または他のいかなるデータタイプであってもよい。
【0040】
図9Cは、トンネルパケットモード・フレーム916を使用している改良されたトンネリング系924を示す。基地局926は、複数の中継局RS1 928、RS2 930およびRS3 932により要求されるトンネルパケットを受信する。したがって、基地局926は、トンネルパケット922のトンネルヘッダ918に保持ビット920を設定する。その後、基地局926は、最終中継局RS3 932を有する単独の接続934を確立する。基地局926は、最初にトンネルパケットを中継局RS1 928に送信する。中継局RS1 928は、トンネル・ヘッダを読み出すべく、トンネルパケットを解析する。保持ビット920が設定されたことを決定すると共に、中継局RS1 928は、そのカバレージエリアの加入者装置に送るトンネルパケットのコピーを保持する(936)。中継局RS1 928は、その後、トンネルパケットを中継局RS2 930に転送し、中継局RS2 930は、保持ビットを調べることにより、そのカバレージエリアの加入者装置に送信するトンネルパケットのコピーを保持する(938)。最後に、中継局RS2930は、トンネルパケットを中継局RS3 932である接続の終点に送信する。このようにして、同じトンネルパケットを複数の中継局に送信するときには単一の接続だけが必要であり、ここでは、それぞれの中継局がトンネルパケットをそのカバレージエリアの加入者装置に転送する。
【0041】
図10を参照すると、本願明細書において記載されているそれぞれの基地局、中継局または加入者装置は、以下の構成要素の一つ以上を含むホスト1000として実行され得る:コンピュータプログラムにさまざまなプロセスまたは方法を実行させるよう設定された少なくとも1つの中央処理装置(CPU)1002;情報およびコンピュータプログラム命令にアクセスし、格納するよう設定されたランダムアクセスメモリ(RAM)1004およびリードオンリーメモリ(ROM)1006;データおよび情報を格納するメモリ1008;表、リスト、あるいは、他のデータ構造を格納する1つ以上のデータベース1010;1つ以上の入出力デバイス1012;1つ以上のインタフェース1014;1つ以上のアンテナ1016など。これらの構成要素のそれぞれは、従来技術においてよく知られている。
【0042】
本発明の他の実施形態は、本願明細書において開示される本発明の仕様および実行の考慮から、当業者に明らかである。明細書および複数の実施例は、例示に過ぎず、本発明の真の範囲および趣旨は、添付の請求項により示される。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスマルチホップ中継ネットワークにおける中継局で受信されるフレームを処理する方法であって、前記フレームは、前記フレームのヘッダにおける第1の制御データを少なくとも含み、前記方法は、
前記第1の制御データがトンネル識別子を含むかどうか決定すべく前記フレームの前記ヘッダを調べることと、
前記第1の制御データが前記トンネル識別子を含まない場合、第2の制御データが存在するか否かを検索すべく、前記フレームのボディを解析することと、
前記第2の制御データが検索された場合、前記第2の制御データが前記トンネル識別子を含むかどうか決定することと、
前記第1の制御データおよび前記第2の制御データの内容を調べることにより前記フレームを分類することと、
分類された前記フレームを転送することと、を含む方法。
【請求項2】
前記第1の制御データが前記トンネル識別子を含む場合、前記フレームをトンネルバーストモード・フレームとして分類することと、
前記第1の制御データが前記トンネル識別子を含まず、前記第2の制御データが前記トンネル識別子を含む場合、前記フレームをトンネルパケットモード・フレームとして分類することと、
前記第1の制御データおよび前記第2の制御データがどちらも前記トンネル識別子を含まない場合、前記フレームをレガシーフレームとして分類することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の制御データにおける前記トンネル識別子を基本コネクション識別子と置き換えることにより、前記フレームをトンネルバーストモード・フレームからレガシーフレームに変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の制御データにおける前記トンネル識別子を基本コネクション識別子と置き換え、前記第2の制御データを前記フレームに挿入することにより、前記フレームをトンネルバーストモード・フレームからトンネルパケットモード・フレームに変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フレームから前記第2の制御データを取り除くことにより、前記フレームをトンネルパケットモード・フレームからレガシーフレームに変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の制御データにおける基本コネクション識別子を前記トンネル識別子と置き換え、前記フレームから前記第2の制御データを取り除くことにより、前記フレームをトンネルパケットモード・フレームからトンネルバーストモード・フレームに変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の制御データを前記フレームに挿入することにより、前記フレームをレガシ-フレームからトンネルパケットモード・フレームへと変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の制御データにおける基本コネクション識別子を前記トンネル識別子と交換することにより、前記フレームをレガシーフレームからトンネルバーストモード・フレームへと変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記フレームはトンネルパケットモード・フレームとして分類されると決定することと、
保持ビットが設定されたことを決定すると同時に、前記フレームの前記ボディのコピーを保持することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記中継ネットワークは、第1のトンネル経路選択領域および第2のトンネル経路選択領域を含む分散型制御下にあり、前記方法は、前記第1のトンネル経路選択領域の境界で前記フレームを第1の接続型から第2の接続型へと自動的に変換することと、前記変換されたフレームを前記第1のトンネル経路選択領域から前記第2のトンネル経路選択領域へと転送することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の接続型および第2の接続型は、それぞれがトンネルパケットモード・フレームおよびレガシーフレーム、それぞれがレガシーフレームおよびトンネルパケットモード・フレーム、それぞれがレガシーフレームおよびトンネルバーストモード・フレーム、それぞれがトンネルバーストモード・フレームおよびレガシーフレーム、のうちの1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フレームはトンネルバーストモード・フレームとして分類されると決定することと、前記フレームの前記ボディを解析せずに、前記トンネルバーストモード・フレームのトンネルパケットを自動的に転送することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記複数の命令は、プロセッサで実行されると、該プロセッサに、ワイヤレスマルチホップ中継ネットワークにおける中継局において受信されるフレームを処理する方法を実行させ、前記フレームは、前記フレームのヘッダにおける第1の制御データを少なくとも含み、前記方法は、
前記第1の制御データがトンネル識別子を含むかどうか決定すべく前記フレームの前記ヘッダを調べることと、
前記第1の制御データが前記トンネル識別子を含まない場合、第2の制御データが存在するか否かを検索すべく、前記フレームのボディを解析することと、
前記第2の制御データが検索された場合、前記第2の制御データが前記トンネル識別子を含むかどうか決定することと、
前記第1および第2の制御データの内容を調べることにより前記フレームを分類することと、
分類された前記フレームを転送することと、を含む媒体。
【請求項14】
前記第1の制御データが前記トンネル識別子を含む場合、前記フレームをトンネルバーストモード・フレームとして分類することと、前記第1の制御データが前記トンネル識別子を含まず、前記第2の制御データが前記トンネル識別子を含む場合、前記フレームをトンネルパケットモード・フレームとして分類することと、前記第1の制御データおよび前記第2の制御データがどちらも前記トンネル識別子を含まない場合、前記フレームをレガシーフレームとして分類することと、をさらに含む、請求項13に記載の媒体。
【請求項15】
前記第1の制御データにおける前記トンネル識別子を基本コネクション識別子と置き換えることにより、前記フレームをトンネルバーストモード・フレームからレガシーフレームに変換することをさらに含む、請求項13に記載の媒体。
【請求項16】
前記第1の制御データにおける前記トンネル識別子を基本コネクション識別子と置き換え、前記第2の制御データを前記フレームに挿入することにより、前記フレームをトンネルバーストモード・フレームからトンネルパケットモード・フレームに変換することをさらに含む、請求項13に記載の媒体。
【請求項17】
前記フレームから前記第2の制御データを取り除くことにより、前記フレームをトンネルパケットモード・フレームからレガシーフレームに変換することをさらに含む、請求項13に記載の媒体。
【請求項18】
前記第1の制御データにおける基本コネクション識別子を前記トンネル識別子と置き換え、前記フレームから前記第2の制御データを取り除くことにより、前記フレームをトンネルパケットモード・フレームからトンネルバーストモード・フレームに変換することをさらに含む請求項13に記載の媒体。
【請求項19】
前記第2の制御データを前記フレームに挿入することにより、前記フレームをレガシーフレームからトンネルパケットモード・フレームに変換することをさらに含む、請求項13に記載の媒体。
【請求項20】
前記トンネル識別子を前記第1の制御データに加えることにより、前記フレームをレガシーフレームからトンネルバーストモード・フレームに変換することを更に含む、請求項13に記載の媒体。
【請求項21】
前記フレームはトンネルパケットモード・フレームとして分類されると決定することと、前記第2の制御データにおける保持ビットを調べることと、前記保持ビットが設定されたことを決定すると同時に、前記フレームの前記ボディのコピーを保持することと、をさらに含む、請求項13に記載の媒体。
【請求項22】
前記中継ネットワークは、第1のトンネル経路選択領域および第2のトンネル経路選択領域を含む分散型制御下にあり、前記方法は、前記第1のトンネル経路選択領域の境界で前記フレームを第1の接続型から第2の接続型へと自動的に変換することと、前記変換されたフレームを前記第1のトンネル経路選択領域から前記第2のトンネル経路選択領域へと転送することと、をさらに含む、請求項13に記載の媒体。
【請求項23】
前記第1の接続型および第2の接続型は、それぞれがトンネルパケットモード・フレームおよびレガシーフレーム、それぞれがレガシーフレームおよびトンネルパケットモード・フレーム、それぞれがレガシーフレームおよびトンネルバーストモード・フレーム、それぞれがトンネルバーストモード・フレームおよびレガシーフレーム、のうちの1つである、請求項22に記載の媒体。
【請求項24】
前記フレームはトンネルバーストモード・フレームとして分類されると決定することと、前記フレームの前記ボディを解析せずに、前記トンネルバーストモード・フレームの一のトンネルパケットを自動的に転送することと、をさらに含む、請求項13に記載の媒体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-09-17 
出願番号 特願2008-56868(P2008-56868)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 信也  
特許庁審判長 近藤 聡
特許庁審判官 江口 能弘
寺谷 大亮
登録日 2011-08-12 
登録番号 特許第4798463号(P4798463)
発明の名称 ワイヤレスマルチホップ中継ネットワークにおけるMACプロセスおよび柔軟な接続  
代理人 龍華国際特許業務法人  
代理人 龍華国際特許業務法人  

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