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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A62B |
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管理番号 | 1293516 |
審判番号 | 不服2013-17219 |
総通号数 | 180 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-12-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-09-06 |
確定日 | 2014-10-29 |
事件の表示 | 特願2010-506397「把持可能なタブを備える、保守不要な平坦折り畳みレスピレータ」拒絶査定不服審判事件〔平成20年11月13日国際公開、WO2008/137272、平成22年 7月29日国内公表、特表2010-525878〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2008年4月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年5月3日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成21年10月29日に国内書面が提出され、平成23年3月24日に手続補正書が提出され、平成24年7月23日付けで拒絶理由が通知され、平成24年11月29日に意見書が提出されたが、平成25年4月26日付けで拒絶査定がされた。 これに対し、平成25年9月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正(以下「本件補正」という。)がされ、その後、当審において平成25年11月20日付けで書面による審尋がされたものである。 第2 本件補正の内容とその適否 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正により補正される前の(すなわち、平成23年3月24日付けで提出された手続補正書で補正された)下記(1)の特許請求の範囲の請求項1の記載を、下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載へ補正するものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「 【請求項1】 保守不要な、平坦折り畳みレスピレータであって、 (a)互いに向かって折り畳むことができ、開放使用中形体に広げることができる複数のパネル(16,18,20)を含むマスク本体(12)であって、マスク本体(12)を折り畳まれた形体から開放使用準備形体に開くために、ユーザが折り畳まれた状態からパネルを引くのを補助するように、前記パネル(16,18,20)の少なくとも1つの定形周辺部から延在する把持可能なタブ(22)を更に含む、マスク本体(12)と、 (b)マスク本体(12)に固定されたハーネス(14)と、を含む、保守不要なレスピレータ。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「 【請求項1】 保守不要な、平坦折り畳みレスピレータであって、 (a)互いに向かって折り畳むことができ、開放使用中形体に広げることができる複数のパネル(16,18,20)を含むマスク本体(12)と、 (b)マスク本体(12)に固定されたハーネス(14)と、 (c)マスク本体(12)を折り畳まれた形体から開放使用準備形体に開くために、ユーザが折り畳まれた状態からパネルを引くのを補助するように、前記パネル(16,18,20)の少なくとも1つの定形周辺部から延在する把持可能なタブ(22)と、を含む、保守不要なレスピレータ。」(なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。) 2 本件補正の適否 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正前の「マスク本体(12)を折り畳まれた形体から開放使用準備形体に開くために、ユーザが折り畳まれた状態からパネルを引くのを補助するように、前記パネル(16,18,20)の少なくとも1つの定形周辺部から延在する把持可能なタブ(22)」という記載を「マスク本体(12)を折り畳まれた形体から開放使用準備形体に開くために、ユーザが折り畳まれた状態からパネルを引くのを補助するように、前記パネル(16,18,20)の少なくとも1つの定形周辺部から延在する把持可能なタブ(22)」という記載にするものであって、すなわち、「パネル(16,18,20)の少なくとも1つの定形周辺部から延在する把持可能なタブ(22)」が「マスク本体(12)」に含まれないことを明りょうにするものであるので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであることは明らかである。 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものであると認めることができ、また、同法第17条の2第3項の規定に違反しないことは明らかであるから、適法である。 第3 本願発明と引用文献に記載された発明及び技術 1 本願発明 本願の請求項1ないし3に係る発明は、本件補正により補正がされた特許請求の範囲、並びに出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その請求項1ないし3に記載されたとおりの発明であると認められるところ、請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)に記載されたとおりである。 2 引用文献に記載された発明及び技術 (1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特表平11-501840号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。 ア.「発明の分野 本発明は、保管時に平坦に折り畳むことができ、かつ、使用時に着用者の口および鼻を覆うカップ型空気室を形成することができる呼吸用保護具またはフェースマスクに関する。」(第6ページ第3ないし6行) イ.「 発明の大要 本発明は、パーソナル呼吸用保護装置であって、 第1および第2のエッジを有する平坦中心部、 第1の平部材であって、折り畳み線、シーム、溶接部または接着部であって、 前記中心部の前記第1のエッジと実質的に同一の拡がりを有する第1の平部材の折り畳み線、接着部、溶接部またはシームを介して前記中心部の前記第1のエッジに接合される第1の平部材、 第2の平部材であって、折り畳み線、シーム、溶接部または接着部であって、 前記中心部の前記第2のエッジと実質的に同一の拡がりを有する第2の平部材の折り畳み線、接着部、溶接部またはシームを介して、前記中心部の前記第2のエッジに接合される第2の平部材を含み、 前記中心部ならびに前記第1および第2の部材の少なくとも1つの部材が、フィルター媒体から形成され、 前記装置を平坦に折り畳んで、前記第1および第2の部材を前記中心部の共通面と少なくとも部分的に対面接触させて保管することができ、かつ、使用時に、着用者の鼻および口を覆うカップ形状の空気室を前記中心部ならびに前記第1および第2の部材の未接合エッジであって、着用者の鼻、頬、および顎に接触して固定できるようにした前記未接合エッジと、平坦に折り畳まれる状態で前記装置の周長より小さい着用者の鼻、頬および顎に接触できるようにした前記未接合エッジの外側境界とによって形成することができる前記装置を提供する。 フラットホールド呼吸用装置の構成は、矩形乃至実質的に楕円であっても良い。呼吸用装置は、使用時に広げた場合に、実質的にカップ形状である。前記第1の部材、中心部および第2の部材の少なくとも1つの部材を含むフィルター媒体は、微細繊維から形成されるような布など、不織布であっても、複数の層であって、各層が同様のまたは異なる濾過特性を有する層を含んでいても良い。フィルター媒体は、当然、第1の部材、中心部、第2の部材や、別の部分のいずれか2つまたはすべてを含むこともできる。 本発明の呼吸用装置は、ヘッドバンド、または、呼吸用保護装置を着用者の顔上の適所に保持する接着剤などのその他の手段、ノーズクリップ、または、呼吸用装置を着用者の鼻と十分に接触させることができるその他の手段、呼気弁、例えば、フェースシール、保護めがね、ネックカバーなどの呼吸用保護具とフェースマスクに共通するその他の装備をさらに含むこともできる。呼吸用装置を、ノーズクリップを用いて構成した場合、ノーズクリップは、呼吸用装置の第1の部材の外側部上に存在してもよく、フォーム片などの緩衝部材が第1の部材の内側表面上のクリップの真下に配置されても良いし、ノーズクリップが第1の部材の内側表面上に存在しても良いし、緩衝部材がノーズクリップを被覆して配置されても良いし、呼吸用装置が複数の装置を含む場合には、ノーズクリップが層の間に配置されても良い。 本発明の呼吸用装置には、例えば、呼吸用保護具、外科用マスク、クリーンルームマスク、フェースシールド、ダストマスク、ブレスウォーミングマスクやその他の各種フェースカバーが挙げられる。」(第7ページ第22行ないし第9ページ第6行) ウ.「発明の詳細な説明 図1に示す本発明の1実施例すなわちパーソナル呼吸用保護装置10の正面図では、装置は、使用前のパッケージまたは着用者のポケットに保管するための折り畳み形態である場合には、ほぼ矩形の形状を有する。図2に示すパーソナル呼吸用保護装置10の側面は、中心部12,第1の部材14,および第2の部材16を有する装置を示す。中心部ならびに第1および第2の部材は、例えば、折り目15および17によって図2示すように接合されていても良いし、第1および第2の部材は、中心部に接着またはシームされていても良い。構成は、図示のように折り目15から折り目17まで延在するエッジシール11および11’によって適所に保持されるが、折り目15から折り目17まで部分的に延在しても良い。エッジシール11および11’は、図示のように実質的に直線状であっても良いし、曲線状であっても良い。図1および図3は、例えば、ヘッドバンドなどの着用者の顔上で適所に装置を維持するために取り付けるための取付手段18、18’も示す。例えば、フィルター媒体層、任意の被覆層や任意の補剛層などを有し、装置が多層構成である場合には、第1および第2の周長エッジも接着される。 パーソナル呼吸用保護装置10は、図3および図4に示すが、図1および図2と共通の部分が確認でき、着用者に成形カップ形状呼吸用装置の「顔から離れた」利益を提供する開放されたすぐに着用 できる構成になっている。本発明の呼吸用装置のカップ形状の「顔から離れた」設計は、着用者の顔に対して呼吸用装置をシールするための第1および第2の部材のエッジ24および26によって各々形成される周囲領域を提供する。図3は、任意のノーズクリップ28を有するパーソナル呼吸用保護装置10を示す図である。着用者により大きい程度の顎の運動をさせるには、一般に幅方向の折り目すなわちプリーツを呼吸用保護装置の第1の部材14または第2の部材16に、折り目または接着部15の真上または折り目または接着部17の真下に形成することができる。」(第12ページ第5行ないし第13ページ第3行) (1-1)ここで、上記(1)ア.ないしウ.及び図面から、次のことが分かる。 カ.上記ア.並びに図2及び図3の記載から、呼吸用保護具またはフェースマスクは、保管時に平坦に折り畳むことができ、かつ、使用時に着用者の口および鼻を覆うカップ型空気室を形成することができるものであることが分かる。 キ.上記イ.の記載から、パーソナル呼吸用装置自体が通気性であり、それを通過する空気を濾過するものであることが分かる。 ク.上記イ.及びウ.並びに図1ないし図4の記載から、パーソナル呼吸用保護装置10は、中心部12、第1の部材14、および第2の部材16を有し、前記装置を平坦に折り畳んで、前記第1および第2の部材を前記中心部の共通面と少なくとも部分的に対面接触させて保管することができ、かつ、使用時に、着用者の鼻および口を覆うカップ形状の空気室を前記中心部ならびに前記第1および第2の部材から形成するものであることが分かる。 ケ.上記ウ.及び図4の記載から、パーソナル呼吸用保護装置10は、ヘッドバンドなどの着用者の顔上で適所に装置を維持するために取り付けるための取付手段18、18’を有していることが分かる。 (1-2)上記(1)及び(1-1)より、引用文献1には、次の発明が記載されている。 「通過する空気を濾過するためにそれ自体に通気性があり、平坦に折り畳むことができるパーソナル呼吸用装置であって、 部分的に対面接触させて保管することができ、使用時に着用者の口および鼻を覆うカップ型空気室を形成することができる中心部、第1の部材、および第2の部材を含む本体と、 本体に固定されたヘッドバンドと、を含む、通過する空気を濾過するためにそれ自体に通気性があるパーソナル呼吸用装置。」(以下、「引用文献1記載の発明」という。) (2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許第2752916号明細書(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。なお、『』内は、当審日本語仮訳を示す。 サ.「This invention relates・・・(中略)・・・for being folded into an article of small size.」(明細書第1欄第15ないし20行) 『本発明は、呼吸器感染症拡大予防のために使用される防護フェイスマスクに関連する。特に、本発明は、素早く廃棄でき、低コストであり、コンパクトに折り畳むことが可能なタイプのマスクに関連するものである。』 シ.「The mask constituting・・・(中略)・・・and contours of the particular wearer. 」(明細書第2欄第35行ないし第3欄2行) 『本発明を構成するマスクは、一般的に10で指定され、Fig.5に示す通り、ブランクから作られる可撓体を含んでいる。マスク本体は適した材料であれば何からでも形成することができる。好ましくは、縦木目の植物繊維紙等、使い捨ての極めて安価な材料がよい。 Fig.5に示す通り、本発明の図示した実施態様では、ブランクの両端は波状であるが、別の方法として、マスク先端構造に関する要求に応じて、ストレートサイドエッジとすることもできると理解されている。波状の場合、折り畳むとマスク両端に横方向に湾曲した形状が与えられ、魅力を増す。しかし、マスクの折り目に直線末端縁を形成したい場合は、Fig.5のブランクは完全な長方形となる。 いずれの場合も、ブランクを折り畳むのは、実質的に長方形の長い形状において、重畳する、アコーディオン状の接触する折り目を複数形成するためである。その折り目は、外部パネルまたはラミネーション12および14、ならびに内部パネル16の輪郭を示す。 Fig.5に示す通り、ブランクのそれぞれの折り目線の間には均一の隙間がある。しかし、最外部の折り目線とパネル12、14の長手方向外縁部との距離は、隣接する一組の折り目線間の距離に比べてわずかに長い。この結果、外部パネルはパネル16に比べてわずかに幅広い。したがって、マスクを折り畳む場合、露出した縦リップ20および22は、パネル12および14上のマスクの反対側でそれぞれ輪郭が明確になる。複数の図が示す通り、リップ20は、折り畳んだ本体から上に向かって一方向に延び、リップ22は、下に向かって反対方向に延びる。これにより、折り畳んでいないマスクの外部パネルを装着者は容易につかむことができる。それぞれの縁を両手で持ち、本体から反対方向に向かって外側に引っ張ればよい。アコーディオン状の折り目はこのように引き離され、特定の装着者の顔のサイズや輪郭に合わせるためにマスクを選択した範囲まで広げることができる。』 (2-1)ここで、上記(1)コ.及びサ.並びに図面から、次のことが分かる。 タ.上記サ.の記載から、呼吸器感染症拡大予防のために使用されるマスクであって、コンパクトに折り畳むことが可能なタイプのマスクであることが分かる。 チ.上記シ.及びFig.3の記載から、マスクは、複数の内部パネル16と最外部の外部パネル12,14から構成され、外部パネル12,14は内部パネル16に比べてわずかに幅が広いので、マスクを折り畳んだ場合、縦リップ20および22は、露出することが分かる。 ツ.上記シ.及びFig.1ないしFig.5の記載から、縦リップ20は、折り畳んだ本体から上に向かって一方向に延び、縦リップ22は、下に向かって反対方向に延びているので、装着者は、折り畳んだマスクを広げるために外部パネルを容易につかむことができることが分かる。 (2-2)上記(2)及び(2-1)より、引用文献2には、次の技術が記載されている。 「内部パネル及び外部パネルからなる折り畳むことが可能なマスクにおいて、装着者が、折り畳んだマスクを広げる際につかむことができる露出した縦リップ20及び22を外部パネルに設けたマスクに関する技術。」(以下、「引用文献2に記載の技術」という。) 第4 対比 本願発明と引用文献1記載の発明を対比する。 引用文献1記載の発明における「平坦に折り畳むことができる」は、その構成、機能及び技術的意義からみて、本願発明における「平坦折り畳み」に相当し、以下同様に、「パーソナル呼吸用装置」は「レスピレータ」に、「部分的に対面接触させて保管することができ、使用時に着用者の口および鼻を覆うカップ型空気室を形成することができる中心部、第1の部材、および第2の部材を含む本体」は「互いに向かって折り畳むことができ、開放使用中形体に広げることができる複数のパネル(16,18,20)を含むマスク本体(12)」に、「本体に固定されたヘッドバンド」は「マスク本体(12)に固定されたハーネス(14)」に、それぞれ相当する。 また、本願明細書の段落【0029】の「「保守不要」は、マスク本体自体が通気性であり、それを通過する空気を濾過するよう設計されていることを意味し、フィルタカートリッジ、又はこの目的のためにマスク本体に取り付けられる若しくは成形される、挿入成形フィルタ要素は存在しない。」という記載から、引用文献1記載の発明における「通過する空気を濾過するためにそれ自体に通気性があり」は、本願発明における「保守不要な」に相当する。 したがって、両者は、 「保守不要な、平坦折り畳みレスピレータであって、 (a)互いに向かって折り畳むことができ、開放使用中形体に広げることができる複数のパネル(16,18,20)を含むマスク本体(12)と、 (b)マスク本体(12)に固定されたハーネス(14)と、 を含む、保守不要なレスピレータ。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> 本願発明が「(c)マスク本体(12)を折り畳まれた形体から開放使用準備形体に開くために、ユーザが折り畳まれた状態からパネルを引くのを補助するように、前記パネル(16,18,20)の少なくとも1つの定形周辺部から延在する把持可能なタブ(22)」を有しているのに対して、引用文献1記載の発明においては、そのような把持可能なタブを有していない点(以下、「相違点」という。)。 第5 相違点についての判断 上記各相違点について、以下に検討する。 マスク本体を折り畳まれた形体から開放使用準備形体に開くために、ユーザが折り畳まれた状態からパネルを引くのを補助するように、パネルの少なくとも1つの定形周辺部から延在する把持可能なタブを設けることは、本願の優先日前に周知技術(例えば、引用文献2記載の技術の「縦リップ20,22」、登録実用新案第3072027号公報の「摘み部6」を参照。以下、「周知技術」という。)である。 ここで、審判請求人は、平成25年9月6日付け審判請求書の第5ページ第16ないし17行において、「しかしながら、引用文献2の縦リップ20、22は、マスク本体の定形周辺部にすぎず、本発明の定形周辺部から延在する把持可能なタブではない。」と主張しているが、引用文献2のFig.3を参照すると、外部パネル12,14において、内部パネル16と重なり合っている境界をマスクの定形周辺部と解することができ、また、外部パネル12,14において、パネル16と重なり合っている境界から露出した縦リップ20、22が、延在する把持可能なタブと解することができるので、上記主張を首肯できない。またさらに、上記登録実用新案第3072027号公報の「摘み部6」は、マスク本体の定形周辺部から延在する把持可能なタブに相当するので、マスク本体を折り畳まれた形体から開放使用準備形体に開くために、ユーザが折り畳まれた状態からパネルを引くのを補助するように、パネルの少なくとも1つの定形周辺部から延在する把持可能なタブを設けることは、周知技術であるとした判断に誤りはない。 よって、『折畳むことができるマスクの技術分野において、折畳まれた状態からマスク本体になるべく触れずに容易に開放使用状態とする』という周知の技術課題(以下、「周知課題」という。)に鑑みれば、引用文献1記載の発明に周知課題が内在していることは明らかであるので、引用文献1記載の発明に周知技術を適用して相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明が、引用文献1記載の発明及び周知技術からは予想し得ない格別の効果を奏するものとも認められない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-05-29 |
結審通知日 | 2014-06-03 |
審決日 | 2014-06-16 |
出願番号 | 特願2010-506397(P2010-506397) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A62B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鹿角 剛二 |
特許庁審判長 |
中村 達之 |
特許庁審判官 |
林 茂樹 槙原 進 |
発明の名称 | 把持可能なタブを備える、保守不要な平坦折り畳みレスピレータ |
代理人 | 田中 光雄 |
代理人 | 大畠 康 |
代理人 | 山崎 宏 |