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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01N
管理番号 1294711
審判番号 不服2012-7157  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-04-19 
確定日 2014-12-03 
事件の表示 特願2006-549349「処理中の家禽類を中鎖ペルオキシカルボン酸組成物で洗浄する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年7月28日国際公開、WO2005/067741、平成19年8月23日国内公表、特表2007-523892〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2005年1月5日〔パリ条約による優先権主張外国庁受理 2004年1月9日及び2005年1月4日(米国)US〕を国際出願日とする出願であって、
平成22年11月24日付けの拒絶理由通知に対し、平成23年3月29日付けで意見書及び誤訳訂正書の提出がなされ、
平成23年12月16日付けの拒絶査定に対し、平成24年4月19日付けで審判請求がなされ、
平成25年8月6日付けの審尋に対し、平成26年2月13日付けで回答書の提出がなされたものである。

第2 本願発明について
1.本願発明
本願の請求項1?46に係る発明は、平成23年3月29日付けの誤訳訂正により補正された特許請求の範囲の請求項1?46に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
そして、本願の請求項8に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「処理中の家禽類における微生物個体群を減少させる方法であって、微生物個体群を減少させるのに十分な量および時間でペルオキシカルボン酸抗微生物組成物を処理中の家禽類に適用する工程を含み、前記組成物がペルオキシカルボン酸としてペルオキシオクタン酸のみを含む、方法。」

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、「この出願については、平成22年11月24日付け拒絶理由通知書に記載した理由2によって、拒絶をすべきものです。」というものである。
そして、平成22年11月24日付けの拒絶理由通知書には、当該「理由2」として「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」との理由が示されるとともに、
その「下記の請求項」及び「下記の刊行物」として「理由1,2:請求項1,8-30,45-48:引用文献1」との指摘がなされ、
その「引用文献等一覧」の欄には引用文献1として「特開2000-060418号公報」が提示されている。
また、平成23年12月16日付けの拒絶査定の備考欄には「誤訳訂正により…ペルオキシカルボン酸として、ペルオキシオクタン酸のみを含むことが特定され、数値範囲から約が除かれた。引用文献1の実施例には…ペルオキシオクタン酸のみを含む組成物を用いた例は記載されていないが、引用文献1に記載の発明は…1種のペルオキシカルボン酸のみを含む組成物を含むものである。そうすると、ペルオキシカルボン酸として1種のみを用いる場合に、実施例において用いられているペルオキシオクタン酸を選択し、用いることは当業者であれば容易に想到することである。そして、本願発明において、ペルオキシカルボン酸としてペルオキシオクタン酸のみを用いることにより、例えばペルオキシ酢酸との混合物に比べて当業者が予測し得ない効果が得られているともいえない。…したがって、本願請求項1,8-28,43-46に係る発明は依然として、引用文献1の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。」との指摘がなされている。

3.当審の判断
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、次の記載がある。
摘記1a:請求項1、9及び37
「【請求項1】 肉製品中の微生物群を減少させるための肉製品の処理方法であって、(a)該肉製品を
(i)少なくとも2ppmを構成する有効抗菌量の1種類又はそれ以上の炭素原子数12までのモノ-又はジ-ペルオキシカルボン酸と、
(ii)少なくとも20ppmを構成する有効抗菌量の1種類又はそれ以上の炭素原子数18までのカルボン酸と、を含む抗菌組成物で処理するステップと、
(b)その微生物群を減少させるステップと、を含む方法。…
【請求項9】 肉製品が鶏肉、七面鳥の肉、ダチョウ、ゲームヘン、ひな鳥又はキジを含む鳥肉である請求項1記載の方法。…
【請求項39】 ペルオキシカルボン酸がペルオキシ酢酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシデカン酸又はそれらの混合物を含んでなる請求項37記載の方法。」

摘記1b:段落0014及び0017
「本発明方法で使用される清浄化組成物は一般に1種類又はそれ以上のカルボン酸と1種類又はそれ以上のペルオキシカルボン酸をH_(2)O_(2)など過酸素化合物と共に含有する。しかし通例、本組成物は、平衡に依存して1種類又はそれ以上のカルボン酸、酸化剤及び1種類又はそれ以上のペルオキシカルボン酸を含有する。…
この平衡の重要性は、過酸化水素、カルボン酸及びペルオキシカルボン酸が同じ組成物中に同時に存在することに起因する。」

摘記1c:段落0025?0026
「ペルオキシカルボン酸はあまり安定ではないが、それらの安定性は一般に分子量が増加すると共に増大する。…
本発明で有用なペルオキシカルボン酸にはペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシプロピオン酸、ペルオキシブタン酸、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、ペルオキシウンデカン酸、ペルオキシドデカン酸、ペルオキシ乳酸、ペルオキシマレイン酸、ペルオキシアスコルビン酸、ペルオキシヒドロキシ酢酸、ペルオキシシュウ酸、ペルオキシマロン酸、ペルオキシコハク酸、ペルオキシグルタル酸、ペルオキシアジピン酸、ペルオキシピメリン酸及びペルオキシスベリン酸及びそれらの混合物がある。これらのペルオキシカルボン酸は水流中で良好な安定性を持つ良好な抗菌作用を与えることが見出された。…ペルオキシオクタン酸又はペルオキシデカン酸である態様はとりわけ好ましい。」

摘記1d:段落0027及び0069
「ペルオキシオクタン酸は次式の構造を持つ。【化5】

…肉製品上の微生物を殺すのに十分な時間の後、噴霧溶液を肉製品からすすぎ落とす。」

摘記1e:段落0081
「試験製剤1…ペルオキシ酢酸とペルオキシオクタン酸の混合物を使用する。適用後に本組成物はH_(2)O_(2)の作用により酸と過酸の混合物としてその場に保たれる。」

(2)引用文献1に記載された発明
摘記1aの「肉製品中の微生物群を減少させるための肉製品の処理方法であって、(a)該肉製品を(i)…有効抗菌量の1種類又はそれ以上の炭素原子数12までのモノ-又はジ-ペルオキシカルボン酸…を含む抗菌組成物で処理するステップ…を含む方法。…肉製品が鶏肉、七面鳥の肉、ダチョウ、ゲームヘン、ひな鳥又はキジを含む鳥肉である請求項1記載の方法。」との記載、
摘記1bの「本発明方法で使用される清浄化組成物は一般に1種類又はそれ以上のカルボン酸と1種類又はそれ以上のペルオキシカルボン酸をH_(2)O_(2)など過酸素化合物と共に含有する。…本組成物は、平衡に依存して1種類又はそれ以上のカルボン酸、酸化剤及び1種類又はそれ以上のペルオキシカルボン酸を含有する。…カルボン酸及びペルオキシカルボン酸が同じ組成物中に同時に存在する」との記載、及び
摘記1cの「本発明で有用なペルオキシカルボン酸には…ペルオキシ酢酸、…ペルオキシオクタン酸、…及びそれらの混合物がある。これらのペルオキシカルボン酸は水流中で良好な安定性を持つ良好な抗菌作用を与えることが見出された。…ペルオキシオクタン酸…である態様はとりわけ好ましい。」との記載からみて、引用文献1には、
『鶏肉を含む肉製品中の微生物群を減少させるための肉製品の処理方法であって、該肉製品を有効抗菌量の1種類又はそれ以上の炭素原子数12までのペルオキシカルボン酸(並びに1種類又はそれ以上のカルボン酸及び過酸化水素などの酸化剤)を含む抗菌組成物で処理するステップを含む方法。』についての発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

(3)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明で処理される「鶏肉を含む肉製品」は、本願請求項9の「処理される家禽類が、ニワトリ…を含む」との記載からみて、本願発明の「処理中の家禽類」に相当し、
引用発明の「鶏肉を含む肉製品中の微生物群を減少させるための肉製品の処理方法」は、本願発明の「処理中の家禽類における微生物個体群を減少させる方法」に相当する。
引用発明の「1種類又はそれ以上の炭素原子数12までのペルオキシカルボン酸(並びに1種類又はそれ以上のカルボン酸及び過酸化水素などの酸化剤)を含む抗菌組成物」は、本願明細書の段落0261の「AA?VVの各組成物では、中鎖ペルオキシカルボン酸は、ペルオキシオクタン酸であり、中鎖カルボン酸はオクタン酸であり、キャリアは水であり、酸化剤は過酸化水素(…)であり」との記載にあるように、本願明細書の段落0323の表22のKKの組成物などの本願発明の具体例においてもカルボン酸(オクタン酸)や酸化剤(過酸化水素)が含まれている(化学平衡により必然的に含まれている)ので、引用発明において「1種類又はそれ以上のカルボン酸及び過酸化水素などの酸化剤」がさらに含まれている点は本願発明との対比において実質的な差異を構成せず、本願発明の「ペルオキシカルボン酸抗微生物組成物」に相当する。
引用発明の「該肉製品を有効抗菌量の…抗菌組成物で処理するステップ」は、摘記1dに「微生物を殺すのに十分な時間」との記載があるところ、引用発明の「有効抗菌量」での処理が引用発明における「微生物群を減少させる」という目的を達成するのに『十分な量及び時間』で鶏肉を含む肉製品を抗菌組成物で処理するものであることが明らかであるから、本願発明の「微生物個体群を減少させるのに十分な量および時間で…抗微生物組成物を処理中の家禽類に適用する工程」に相当する。
してみると、本願発明と引用発明は『処理中の家禽類における微生物個体群を減少させる方法であって、微生物個体群を減少させるのに十分な量および時間でペルオキシカルボン酸抗微生物組成物を処理中の家禽類に適用する工程を含む、方法。』である点において一致し、
ペルオキシカルボン酸抗微生物組成物が、本願発明においては「ペルオキシカルボン酸としてペルオキシオクタン酸のみを含む」のに対して、引用発明においては「1種類又はそれ以上の炭素原子数12までのペルオキシカルボン酸を含む」という点においてのみ相違する。

(4)判断
上記相違点について検討するに、引用文献1の「試験製剤1」の具体例では「ペルオキシ酢酸とペルオキシオクタン酸の混合物」が使用され(摘記1e)、引用文献1では「ペルオキシオクタン酸…はとりわけ好ましい」とされている(摘記1c)ところ、当該具体例で使用されている「ペルオキシオクタン酸」が『炭素原子数8のペルオキシカルボン酸』であることから(摘記1d)、引用発明の「1種類又はそれ以上の炭素原子数12までのペルオキシカルボン酸を含む」という構成のうち「1種類の炭素原子数8のペルオキシカルボン酸を含む」という場合が、本願発明の「ペルオキシカルボン酸としてペルオキシオクタン酸のみを含む」という場合に相当する。
してみると、原査定の「ペルオキシカルボン酸として1種のみを用いる場合に、実施例において用いられているペルオキシオクタン酸を選択し、用いることは当業者であれば容易に想到することである。」との指摘のとおり、引用発明の「1種類又はそれ以上の炭素原子数12までのペルオキシカルボン酸を含む」という構成について、引用文献1の「試験製剤1」において実際に使用されている「ペルオキシカルボン酸」を選択し、これを1種類のみ用いる構成にしてみることは、当業者が容易に想到することと認められる。

次に、本願発明の効果について検討するに、本願明細書の段落0307及び0323の「表22」の比較実験は、その実施条件の詳細(混合物の組成比や実験手順など)が明らかにされておらず、本願発明の効果に関する平成25年8月6日付けの審尋における審尋事項(あ)?(え)に対しても回答がなされていないので、原査定の「本願発明において、ペルオキシカルボン酸としてペルオキシオクタン酸のみを用いることにより、例えばペルオキシ酢酸との混合物に比べて当業者が予測し得ない効果が得られているともいえない。」との指摘のとおり、本願発明に格別予想外の顕著な効果があるとは認められない。

したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の理由及びその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-07-03 
結審通知日 2014-07-08 
審決日 2014-07-22 
出願番号 特願2006-549349(P2006-549349)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 周一郎  
特許庁審判長 井上 雅博
特許庁審判官 木村 敏康
氏原 康宏
発明の名称 処理中の家禽類を中鎖ペルオキシカルボン酸組成物で洗浄する方法  
代理人 青木 篤  
代理人 石田 敬  
代理人 渡辺 陽一  
代理人 古賀 哲次  
代理人 武居 良太郎  
代理人 福本 積  
代理人 中島 勝  
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