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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  H04N
審判 一部無効 4項(134条6項)独立特許用件  H04N
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  H04N
管理番号 1295137
審判番号 無効2012-800217  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-12-28 
確定日 2014-11-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3965462号発明「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正請求書に添付された明細書のとおり請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。  
理由 第一 経緯

1 本件特許
本件特許に係る経緯は、概要、以下のとおりである。
国際出願日 平成8年6月6日
(特願平09-501931号)
優先日 平成7年6月7日
(パリ条約による優先権主張)
設定登録日 平成19年6月8日
(請求項の数:18、権利者:スターサイト・テレキャスト・インコーポレーテッド)

別件無効審判:無効2008-800130号
審決確定日 平成22年3月11日
審決の要旨:訂正を認める。本件審判請求は、成り立たない。

2 本件請求
本件請求に係る経緯は、概要、以下のとおりである。
請求書 平成24年12月28日
答弁書 平成25年 4月26日
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成25年 7月 4日
口頭審理陳述要領書(被請求人)平成25年 7月18日
口頭審理 平成25年 7月25日
審決の予告 平成25年 9月24日
訂正請求書 平成26年 1月 6日
上申書 平成26年 1月 6日
手続補正指令書 平成26年 1月10日
手続補正(訂正請求書) 平成26年 2月 7日
弁駁書 平成26年 3月19日
補正許否の決定 平成26年 4月25日
答弁書 平成26年 6月19日

第二 訂正の可否についての判断

1 被請求人は、平成26年1月6日に訂正請求書を提出し、平成26年2月7日に当該訂正請求書の手続補正書を提出し、訂正を求めた。当該訂正の内容は、本件特許発明の明細書を訂正請求書に添付した明細書のとおりの請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正を求めるものである。

2 訂正事項
(1)請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正
特許請求の範囲の請求項1に「を備えていることを特徴とするテレビジョン・システム。」とあるのを、「を備え、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システム。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?10も同様に訂正する)。

(2)請求項12に係る訂正
特許請求の範囲の請求項12に「構成されている
ことを特徴とするテレビジョン・システム。」とあるのを、「構成されており、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システム。」に訂正する。

(3)請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正
特許請求の範囲の請求項13に「を含むことを特徴とする方法。」とあるのを、
「を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法。」に訂正する(請求項13の記載を引用する請求項14?17も同様に訂正する)。

(4)請求項18に係る訂正
特許請求の範囲の請求項18に「を含むことを特徴とする方法。」とあるのを、
「を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法。」に訂正する。

3 当審の判断
請求項1?10及び請求項13?17は、一群の請求項であり、請求項12及び請求項18は、独立請求項であるから、上記2の訂正事項は、特許法第134条の2第2項、第3項の規定に適合する。

(1)請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正の目的
当該訂正は、「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすること」を追加し、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。

イ 訂正の適合性
(ア)訂正の範囲
当該訂正は、本件特許明細書(全文訂正明細書、甲第10号証)の13頁18行?14頁1行(甲第7号証の特許公報11頁5?28行)に、
「データがテレビジョン、VCR、TVCR又はケーブル・ボックスにダウンロードされて消費者に消費者の注文によるソフトウエアの更新情報が提供されるときには、消費者は、新たなソフトウエアの更新情報を完全に組み入れるために、テレビジョン・システム10と相互作用をしなければならない場合がある。例えば、ソフトウエアの更新情報が消費者のVCRにダウンロードされた後で、別のメールボックス・アイコン120又はオンスクリーン・メッセージを用いて、注文されたソフトウエアの更新情報を実装するにはある種の情報が必要であると消費者に警告が与えられることがある。再び、消費者は、特別のリモコン・ボタン102、104及び106の任意のものを押すことによって、望むときには、相互作用プロセスを開始することができる。マイクロプロセッサ62は、OSDと共に、テレビジョン・スクリーン110上に、一般化されたボタン112、114及び116を用いて、必要な情報を提供することができる。これらのボタンは、必要な情報を、消費者に要請する。消費者は、対応するリモコン上のボタン102、104、及び106を押すことにより、テレビジョン・スクリーン110上の種々の質問に応答する。例えば、ピクチャ・イン・ピクチャ表示における第2のピクチャの配置及び/又は大きさは、ピクチャ・イン・ピクチャ強化タイプのソフトウエアの更新情報に対しては、消費者によって選択される必要がない。さらに、データがダウンロードされて、消費者に1又は複数の新たなソフトウエアの更新情報が提供される際には、(1)新たなソフトウエアの更新情報は、ほとんど瞬時に自動的に表示され、(2)データ又は新たなソフトウエアの更新情報は、消費者がそのソフトウエアの更新情報の表示を要求するまで、一次的に記憶され、そして、(3)複数の新たなソフトウエアの更新情報のためのデータは、ソフトウエアの更新情報群が後で一度に表示されるように記憶されるようにすることができる。必要に応じて、消費者は、リモコン100とテレビジョン・スクリーン110上のプロンプト130とを用いて、新たなソフトウエアの更新情報を表示する複数のモードの中から選択することが可能である。」
と記載されていることを根拠とするものである。
当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正である。

(イ)拡張・変更
当該訂正は、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)独立特許要件
上記アのとおり、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするところ、特許無効審判の請求がされていない請求項に係る上記目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
請求項1?10からなる一群の請求項のうち、特許無効審判の請求がされていない請求項は、請求項2?10である。
独立特許要件の検討に際し、請求項2?10が引用する請求項1について検討し、その後請求項2?10について検討する。

A 訂正された請求項1
a 記載不備
(a)請求人の主張
あ 相互作用
(あ)訂正された本件特許発明1(以下「訂正発明1」という。)には「相互作用」という用語が含まれるが、どういう意味か全く意味不明である。
「相互作用」を含む訂正された本件特許発明1は明確でない。(弁駁書2頁下から5行?3頁下から4行)

(い)「相互作用」という用語は、漠然とした抽象的な表現であるから、結果として、発明の詳細な説明に記載された内容以上のものを含み、発明の詳細な説明に対して広すぎる技術的範囲を規定するので、サポート要件及び実施可能要件をそれぞれ満たさない。
訂正された請求項1では、「相互作用」について何ら限定されていないことから、発明の詳細な説明で記載されたユーザ設定的な事項の意味合いを超える内容も含むことになる。(弁駁書3頁下から3行?7頁1行)。

(う)訂正発明1では、「相互作用」が、どのように行えるか不明である。
訂正された請求項1は、複数の受信装置として、セットトップ・ボックスだけ、ビデオ・レコーダだけを複数有する場合も含まれる。この場合、どのようにして情報をユーザに提供できるのか不明である。
また、訂正された請求項1は、「遠隔制御装置」を必須の構成要件にしていないことから、ユーザは、どのようにして応答を行えるのか不明である。(弁駁書7頁2行?8頁1行)

(え)訂正発明1は、複数の受信装置として、セットトップ・ボックスだけ、ビデオ・レコーダだけを複数有する場合をそれぞれ含むが、このような場合に、どのようにして相互作用を行うかについて、発明の詳細な説明に記載されておらず、また、実施できる程度に記載されていない。(弁駁書8頁2?12行)

い 実装の主体の不一致
訂正発明1では、ソフトウエアの更新情報を実装する主体が「プロセッサ」であるのか、「テレビジョン・システム」であるのか明確でない。(弁駁書8頁13行?9頁4行)

う 実装の程度
訂正事項においては、「実装する」という記載に「完全に」という限定が付されていないから、「ある程度組み入れられた状態のソフトウエアの更新情報を、完全に組み入れられる場合以外」も技術的範囲に含むことになる。(弁駁書9頁4?20行)

(b)当審の判断
あ 相互作用
(あ)「相互作用」は、相互に作用するという意味であることは明らかであり、訂正発明1は、「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とする」ものであって、「テレビジョン・システム」と「ユーザ」とが相互に作用することは明らかである。
「相互作用」は、通常の意味に理解でき、訂正発明1が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは認められない。
したがって、訂正発明1が明確でないとはいえない。

(い)本件特許明細書、甲第10号証13頁18行?14行1行(本件特許公報、甲第7号証11頁5?28行)には次の記載がある。
一 「データがテレビジョン、VCR、TVCR又はケーブル・ボックスにダウンロードされて消費者に消費者の注文によるソフトウエアの更新情報が提供されるときには、消費者は、新たなソフトウエアの更新情報を完全に組み入れるために、テレビジョン・システム10と相互作用をしなければならない場合がある。」
二 「例えば、ソフトウエアの更新情報が消費者のVCRにダウンロードされた後で、別のメールボックス・アイコン120又はオンスクリーン・メッセージを用いて、注文されたソフトウエアの更新情報を実装するにはある種の情報が必要であると消費者に警告が与えられることがある。」
三 「再び、消費者は、特別のリモコン・ボタン102、104及び106の任意のものを押すことによって、望むときには、相互作用プロセスを開始することができる。マイクロプロセッサ62は、OSDと共に、テレビジョン・スクリーン110上に、一般化されたボタン112、114及び116を用いて、必要な情報を提供することができる。」
四 「これらのボタンは、必要な情報を、消費者に要請する。消費者は、対応するリモコン上のボタン102、104、及び106を押すことにより、テレビジョン・スクリーン110上の種々の質問に応答する。」
五 「例えば、ピクチャ・イン・ピクチャ表示における第2のピクチャの配置及び/又は大きさは、ピクチャ・イン・ピクチャ強化タイプのソフトウエアの更新情報に対しては、消費者によって選択される必要がない。」
六 「さらに、データがダウンロードされて、消費者に1又は複数の新たなソフトウエアの更新情報が提供される際には、(1)新たなソフトウエアの更新情報は、ほとんど瞬時に自動的に表示され、(2)データ又は新たなソフトウエアの更新情報は、消費者がそのソフトウエアの更新情報の表示を要求するまで、一次的に記憶され、そして、(3)複数の新たなソフトウエアの更新情報のためのデータは、ソフトウエアの更新情報群が後で一度に表示されるように記憶されるようにすることができる。」
七 「必要に応じて、消費者は、リモコン100とテレビジョン・スクリーン110上のプロンプト130とを用いて、新たなソフトウエアの更新情報を表示する複数のモードの中から選択することが可能である。」

上記「一」には、消費者(ユーザ)が新たなソフトウエアの更新情報を完全に組み入れるために、テレビジョン・システムと相互作用することが記載されており、上記「三」、「四」には、テレビジョン・スクリーン110上に、ボタン102、104、106を用いて、必要な情報を提供し、消費者は、対応するリモコン上のボタン102、104、106を押す、という相互作用をすることが記載されている。
したがって、訂正発明1は、サポート要件及び実施可能要件を満たしていると認められる。

(う)訂正発明1は、「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とする」を含むものである。
請求人は、訂正発明1は、複数の受信装置として、セットトップ・ボックスだけ複数有する場合、ビデオ・レコーダだけを複数有する場合を含むが、この場合、どのようにして情報をユーザに提供できるのか不明であると主張する。
しかしながら、ユーザと相互作用するときには、ユーザ・インターフェースが必要なことは明らかであって、訂正発明1が第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは認められない。
したがって、訂正発明1が明確でないとはいえない。

(え)上記(う)のとおり、複数の受信装置として、セットトップ・ボックスだけ複数有する場合、ビデオ・レコーダだけを複数有する場合に、ユーザと相互作用するときには、ユーザ・インターフェースが必要なことは明らかであり、上記(い)のとおり、相互作用については、発明の詳細な説明に記載されており、訂正された請求項1の記載が、発明の詳細な説明の技術的事項を超えた広範囲な技術的範囲を含むものとは、認めれない。
また、発明の詳細な説明が、訂正発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとまではいえない。

い 実装の主体の不一致
訂正発明1の「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすること」は、「前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、」「前記テレビジョン・システムは、」「前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすること」を意味しているのであり、この記載事項では、実装する主体が何か明記されていない。
しかしながら、ソフトウエアの更新情報を実装する主体は「プロセッサ」であることは、訂正された請求項1の記載から明らかであり、上記記載事項があるからといって、訂正発明1が明確でないとはいえない。

う 実装の程度
訂正発明1における「ソフトウエアの更新情報」の「実装」は、「ソフトウエアの更新情報」を完全に組み入れることを意味していることは、本件特許明細書の13頁18?25行の記載(上記あ(い)「一」「二」)から明らかである。
したがって、サポート要件、実施可能要件を満たしていないとはいえない。

(c)まとめ
請求項1に係る訂正は、請求人が主張する、特許法第36条第6項第1号、第2号、同条4項第1項に規定する要件違反はない。
他に、請求項1に係る訂正が、特許法第36条第6項第1号、第2号、同条4項第1項に規定する要件を満たしていない理由を発見しない。

b 進歩性
(a)訂正発明1
あ 分説
訂正発明1を分説すると次のとおりである(以下、分説の記号を用いて、それぞれの構成要件を「構成要件1A」等という。)。

1A ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、

1B 複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置と、

1C 前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、

1D 前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、

1E 前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと

1F を備え、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システム。

い 用語の解釈
訂正発明1の用語を解釈する。

(あ)「ソフトウエアの更新情報」
(あ-1)本件特許明細書の記載
本件特許明細書(全文訂正明細書、甲第10号証。摘記箇所のあとに、参考のため、甲第7号証の特許公報の箇所を[ ]内に表記する。)には、以下の記載がある。

(A)「テレビジョンのソフトウエアは往々にして、技術の進歩により、時代遅れとなる場合があり、または、機能しないことさえある。したがって、新規な機能を追加すること、ソフトウエアを更新すること、ソフトウエア・プログラムを修正することが必要な場合がある。さらに、テレビジョン・システムにおける新規購入ユニット(例えば、新規なVCRに必要な遠隔制御赤外線コード)によっては、不適合性の問題が生じる。これらの状況においては、サービスマンが顧客の家に出向いて修理又は更新をするか、または、顧客がデバイスのサービスが可能な小売店に該デバイスを持っていくか、又は送るかする必要がある。これら両方の状況において、顧客はある程度の不都合を被ることになる。したがって、この種のサービスのより簡便な提供方法が待たれている。さらには、新規に構築された機能の提供を希望する場合、顧客は依然として、機能可能なユニットを新しいユニットに取り替えて、これらの新機能を得るようにしなければならない。
最後に、製造業者は、顧客と直接連絡(通信)することができるものの、この通信は極めて限定されたものであり、しかも高価格となってしまう。例えば、製造業者は、郵便で送ることができ、電話連絡することができ、広告を分配することができ、又は、商業的に放送広告することができる。製造業者は、ある特別の製品を購入した顧客に対してダイレクト・メールを送りかつ電話連絡が可能であるが、同様な方法では製造業者のテレビジョン・コマーシャルを送ることができない。したがって、ある顧客のテレビジョン上に広告を表示することができるシステムの提供が要望されている。さらに、上記したように、修理係を必要とせずに、製造業者がテレビジョン・システムのソフトウエアを更新し、取り替え、又はテレビジョン・システムのソフトウエアを追加することが、要望されている。」(5頁27行?6頁6行[5頁10-29行])

(B)「本発明は、好適な実施例においては、ダウンロード可能な機能を提供することを意図しており、より詳細には、このような機能をテレビジョン・システムの識別特定された受信装置に提供することを意図している。機能は製造業者に所望のものであり、(1)ソフトウエアの障害を訂正すること、(2)ソフトウエアを追加又は更新すること、(3)汎用性の要求を満足するためのものである。機能はまた、テレビジョン・システムの広告に応答して、これらの機能に関する勧誘、広告に応答する顧客が、注文できるものである。例えば、広告は、特定の顧客のテレビジョン(又は、他の電子的プロダクト)にネットワークを介して、プロダクトの電子的シリアル番号に基づいて、電子的に供給される。これらのソフトウエアの更新情報は、テレビジョン・システムに機能的に追加可能である。これらのソフトウエアの更新情報に関連するデータは、コンパイルされてメイン装置(中央装置)から多数の受信装置に配置される顧客の電子的プロダクト(例えば、テレビジョン)に対して送信される。該データは、識別特定された受信装置において格納され、ソフトウエアが用いられて該格納されたソフトウエアの更新情報をインストールする。このような記憶は、通常、不揮発性メモリ又はフラッシュRAMにおいて実行される。受信装置はそれぞれ、受信機、メモリ、プロセッサを備えている。受信機は、これらのソフトウエアの更新情報に関連するデータを受信する。該データは、受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいる。各受信装置にあるメモリは、データの識別子が該受信装置を識別する場合にのみ、受信データを記憶する。受信装置のプロセッサは、セーブしたデータを用いて、受信装置にソフトウエアの更新情報をロードし、セーブし、又は実行する。」(6頁8?30行[5頁31-49行])

(C)「ソフトウエアの更新情報のタイプ
本発明は、テレビジョン・システムにソフトウエアの更新情報をダウンロードするためのスキームを提供する。ダウンロード可能な多数のソフトウエアの更新情報は、一般に、1又は2のカテゴリに分けられる。第1のカテゴリは、ソフトウエア検出訂正、適合性要求フィックス、及び、テレビジョン製造業者又は第3者によって提供されるソフトウエアの更新または追加を含んでいる。例えば、テレビジョン製造業者は、あるモデルのテレビジョンが売られて頒布された後に、ソフトウエアの欠点に気づくことがある。障害があるテレビジョン・モデルを購入した消費者を惑わせることなく、このような欠点を訂正するために、ソフトウエアの問題点を修正する新しいソフトウエアを、製造業者がはたやすくダウンロードすることが可能である。この場合、サービスマンが出向く必要はない。・・・
ソフトウエアの更新情報の第2のカテゴリは、顧客が自身のテレビジョン・システムにダウンロード又はイネーブル状態にしたいソフトウエアの更新情報を選択することである。
例えば、顧客は、テレビジョン画面上のメニューまたはガイドがより多くのオプションを含むように、ユーザ・インターフェースを拡張(増強)したい場合がある。ソフトウエアの更新情報のこれらタイプの他の例としては、(1)ピクチャ・イン・ピクチャの拡張、(2)ピクチャ・イン・ピクチャ画面におけるチャネル識別、(3)グラフィック・ネットワークのロゴ及びアイコンを、画面上のチャネル識別子とともに表示すること、(4)拡張データ・サービス(EDS)の増強(すなわち、グレードアップ)、(5)株相場サービス、(6)バーチャル・チャネル・サービス、(7)ニュース・サービス、(8)気象情報サービス、(9)スポーツ・スコア・サービスを含んでいる。
上記したソフトウエアの更新情報の多くは、販売されたテレビジョンに既に付属しており、テレビジョン・システムにおいて使用可能(イネーブル)状態にすることだけが必要である。例えば、表示されたチャネル識別子とともにアイコンを有するように選択すると、ユーザが新しいチャネルを選択する度に、左上に該アイコンが表示される。チャネル識別子を備えたこれらのアイコンは、テレビジョンが販売されたときに該テレビジョンのROMに通常記憶されているものであるが、適宜のソフトウエアが存在する場合にのみ表示されるものである。本発明は、このようなソフトウエアを販売後にダウンロード可能にするものである。」(6頁43行?7頁40行[6頁11-46行])

(あ-2)ソフトウエアの更新情報
本件特許明細書には、「ソフトウエアの更新情報」の定義は明記されていない。
上記(あ-1)(A)、(B)の記載によれば、本件各特許発明は、テレビジョンのソフトウエアが、技術の進歩により、時代遅れとなる場合や機能しない場合に、修理係を必要とせずに、製造業者がテレビジョン・システムのソフトウエアを更新し、取り替え、又はテレビジョン・システムのソフトウエアを追加することが、要望されている背景のもと、ダウンロード可能な機能を提供することを目的とした発明である。
「機能」に関し、上記(あ-1)(B)には、「機能は製造業者に所望のものであり、(1)ソフトウエアの障害を訂正すること、(2)ソフトウエアを追加又は更新すること、(3)汎用性の要求を満足するためのものである。機能はまた、テレビジョン・システムの広告に応答して、これらの機能に関する勧誘、広告に応答する顧客が、注文できるものである。例えば、広告は、特定の顧客のテレビジョン(又は、他の電子的プロダクト)にネットワークを介して、プロダクトの電子的シリアル番号に基づいて、電子的に供給される。これらのソフトウエアの更新情報は、テレビジョン・システムに機能的に追加可能である。」と記載されている。
この記載で「ソフトウエアの更新情報は、テレビジョン・システムに機能的に追加可能である。」とされるから、「ソフトウエアの更新情報」は「機能的に追加可能」であり、その「ソフトウエアの更新情報」は「これらのソフトウエアの更新情報」とされる。文章の流れから「これらの」とされるのは、「機能は製造業者に所望のものであり、(1)ソフトウエアの障害を訂正すること、(2)ソフトウエアを追加又は更新すること、(3)汎用性の要求を満足するためのものである。機能はまた、テレビジョン・システムの広告に応答して、これらの機能に関する勧誘、広告に応答する顧客が、注文できるものである。例えば、広告は、特定の顧客のテレビジョン(又は、他の電子的プロダクト)にネットワークを介して、プロダクトの電子的シリアル番号に基づいて、電子的に供給される。」と説明される「機能」、すなわち、発明の目的が対象とする「提供される機能」を指していると理解される。そうであるから、「ソフトウエアの更新情報」は、「これらの」とされるような特定の提供される機能に関連して、「機能的に追加」することで、その「ソフトウエアの更新情報」が関連する特定の提供される機能を実現するものであると認められる。そして、上記(あ-1)(C)には、「本発明は、テレビジョン・システムにソフトウエアの更新情報をダウンロードするためのスキームを提供する。ダウンロード可能な多数のソフトウエアの更新情報は、・・・」と記載されているから、「ソフトウエアの更新情報」は、ダウンロードされるものであって、ダウンロード可能な情報であると認められる。したがって、「ソフトウエアの更新情報」は「提供される機能を実現する情報」であるといえる。

次に、「ソフトウエアの更新情報」の「ソフトウエア」に関し、上記(あ-1)(A)には、「テレビジョンのソフトウエアは往々にして、技術の進歩により、時代遅れとなる場合があり、または、機能しないことさえある。したがって、新規な機能を追加すること、ソフトウエアを更新すること、ソフトウエア・プログラムを修正することが必要な場合がある。」、「修理係を必要とせずに、製造業者がテレビジョン・システムのソフトウエアを更新し、取り替え、又はテレビジョン・システムのソフトウエアを追加することが、要望されている。」と記載され、上記(あ-1)(B)には、「本発明は、好適な実施例においては、ダウンロード可能な機能を提供することを意図しており、より詳細には、このような機能をテレビジョン・システムの識別特定された受信装置に提供することを意図している。」と記載され、上記(あ-1)(C)には、「本発明は、テレビジョン・システムにソフトウエアの更新情報をダウンロードするためのスキームを提供する。」と記載されているから、本件特許発明における「ソフトウエアの更新情報」の「ソフトウエア」は、提供される機能を実現するためのものであって、ハードウエアではない、いわゆる「ソフトウエア」であると理解できる。
さらに、「ソフトウエアの更新」は、提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新することと認められ、「ソフトウエアの更新情報」は提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新するための情報と認められる。ここで「更新」は、上記(あ-1)(B)には、「これらのソフトウエアの更新情報は、テレビジョン・システムに機能的に追加可能である。」と記載されているから、更新だけでなく、追加も含むものと認められる。

このようであるから、「ソフトウエアの更新情報」は、提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新するための情報であり、この情報で更新しようとするソフトウエアを更新(更新、追加)した結果として、機能が提供されることになる情報であると認められる。
この「ソフトウエアの更新情報」は、具体的には、ソフトウエア自体が含まれることは明らかである。さらに、上記(あ-1)(C)には、「上記したソフトウエアの更新情報の多くは、販売されたテレビジョンに既に付属しており、テレビジョン・システムにおいて使用可能(イネーブル)状態にすることだけが必要である。例えば、表示されたチャネル識別子とともにアイコンを有するように選択すると、ユーザが新しいチャネルを選択する度に、左上に該アイコンが表示される。チャネル識別子を備えたこれらのアイコンは、テレビジョンが販売されたときに該テレビジョンのROMに通常記憶されているものであるが、適宜のソフトウエアが存在する場合にのみ表示されるものである。」と記載されていて、「適宜のソフトウエアが存在する場合にのみ表示される」「テレビジョンが販売されたときに該テレビジョンのROMに通常記憶されている」「アイコン」が「ソフトウエアの更新情報の多くは、販売されたテレビジョンに既に付属しており」とされて、「ソフトウエアの更新情報」であると説明されるから、「ソフトウエアの更新情報」はソフトウエア自体だけでなく、ソフトウエアで用いるデータ等の情報も含むものと認められる。

(い)「実装」
(い-1)本件特許明細書の記載
本件特許明細書(全文訂正明細書、甲第10号証。摘記箇所のあとに、参考のため、甲第7号証の特許公報の箇所を[ ]内に表記する。)には、以下の記載がある。

(A)「ローダ・プログラムは、アドバンスト・プログラムを変更するのに用いられる。アドバンスト・プログラムは、テレビジョンが購入された当初には、テレビジョンに含まれる場合と含まれない場合とがある。アドバンスト・プログラムは、新たなソフトウエアの更新情報を実装させるデータが受信されたときに、後で追加することが可能であるし、そうでなくとも、アドバンスト・プログラムの一部を交換したり、イネーブルして、そのソフトウエアの更新情報を実装させるデータが受信されたときに、新たなソフトウエアの更新情報を与えることも可能である。したがって、あるソフトウエアの更新情報を実装させるために送られるデータには、アドバンスト・プログラム・データが含まれる。
テレビジョン50の内部のハードウエア及びソフトウエア(図2参照)は、VCR46又はセットトップ・ボックス48の中に配置することもできる。その場合には、制御部分(上述のTV制御部分に対応する)は、VCR制御部分、又は、セットトップ・ボックス制御部分である。したがって、テレビジョン50において実装した場合と同じ態様で、ソフトウエアの更新情報を、VCR46やセットトップ・ボックス48に実装することができる。」(10頁2?17行[8頁27-40行])

(B)「第3に、ソフトウエアの更新情報が消費者によって注文/購入された後で、そのソフトウエアの更新情報を実装するために送られる。上述のように、これらのソフトウエアの更新情報は、VCR、テレビジョン、TVCR、セットトップ・ボックス等に対して、用いられる。」(12頁17?20行[10頁16-19行])

(C)「データがテレビジョン、VCR、TVCR又はケーブル・ボックスにダウンロードされて消費者に消費者の注文によるソフトウエアの更新情報が提供されるときには、消費者は、新たなソフトウエアの更新情報を完全に組み入れるために、テレビジョン・システム10と相互作用をしなければならない場合がある。例えば、ソフトウエアの更新情報が消費者のVCRにダウンロードされた後で、別のメールボックス・アイコン120又はオンスクリーン・メッセージを用いて、注文されたソフトウエアの更新情報を実装するにはある種の情報が必要であると消費者に警告が与えられることがある。」(13頁15?25行[11頁5-11行])

(い-2)実装
「実装」に関する定義は、本件特許明細書にはないから、「実装」との用語は、「組み込んで使えるようにする」という通常の意味で使用されていると認められる。そして、「実装」が「組み込んで使えるようにする」という意味として、上記(い-1)(A)?(C)の記載が理解できない点はない。
上記(い-1)(C)によれば、「ソフトウエアの更新情報」は「組み入れる」ことが必要である。また、「組み入れる」ことにより、「組み入れ」られたものが使えるようになるものと理解できる。本件特許発明1においては、「ソフトウエアの更新情報」が使えるようになるものと理解でき、「ソフトウエアの更新情報」が使えるようになるというのは、「ソフトウエアの更新情報」が提供することとなる機能が実現され提供されるようになることといえる。

(い-3)「ソフトウエアの更新情報」を実装
本件特許発明1は、「ソフトウエアの更新情報」を「実装」するものであり、「ソフトウエアの更新情報」は、上記(あ)(あ-2)のとおり、「提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新するための情報であり、この情報で更新しようとするソフトウエアを更新(更新、追加)した結果として、機能が提供されることになる情報」であるから、「ソフトウエアの更新情報」を「実装」するとは、提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新するための情報が受信装置に組み込まれて、機能が実現されて提供されるようになることと認められる。

(い-4)「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」が受信され、記憶され、このデータを用いて「ソフトウエアの更新情報」を実装
本件特許発明1は、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」が受信され、記憶され、このデータを用いて「ソフトウエアの更新情報」を実装するものである。上記(い-3)のとおり、「ソフトウエアの更新情報」を「実装」するとは、提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新するための情報が受信装置に組み込まれて、機能が実現されて提供されるようになることであり、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」とは、受信され、記憶されるデータであって、このデータを用いて「ソフトウエアの更新情報」を実装するものであるから、提供される機能を実現するソフトウエアを更新するための情報が受信装置に組み込まれて、機能が実現されて提供されるようになるデータであり、実装されるソフトウエアの更新情報に関連するデータであり、受信され、記憶されることにおいて、データであるものであって、具体的には、ソフトウエア自体、ソフトウエアで用いるデータ等のデータも含まれる。

(う)「ユーザ指示に応答して」
(う-1)本件特許明細書の記載
本件特許明細書(全文訂正明細書、甲第10号証。摘記箇所のあとに、参考のため、甲第7号証の特許公報の箇所を[ ]内に表記する。)には、以下の記載がある。

(A)「好適な実施例では、データに関係するソフトウエアの更新情報は、3つの状況下で、上述の態様で送られる。第1に、製造業者がデバイスを更新することを望んでいるか、又はソフトウエアの問題点を自動的に修理することを望むときに、データが送られる。この状況では、消費者の相互作用は要求されない。・・・第2に、新たなソフトウエアの更新情報が、消費者の選択によって利用可能である場合に、データが送られる。このシナリオでは、データは、通常、広告の形式を有している。第3に、ソフトウエアの更新情報が消費者によって注文/購入された後で、そのソフトウエアの更新情報を実装するために送られる。上述のように、これらのソフトウエアの更新情報は、VCR、テレビジョン、TVCR、セットトップ・ボックス等に対して、用いられる。」(12頁6?20行[10頁7-19行])

(B)「消費者に対して新たなソフトウエアの更新情報を宣伝するためにデータが送られる場合には、メールボックス・アイコン120が、消費者に対して、新たなソフトウエアの更新情報を選択することができることを知らせるのに用いられるのが通常である。消費者は、望むときには、メールボックス・アイコン120の表示を消去することができる。消費者は、さらに、一般化されたボタン112、114及び116によって促されるときには、特別のリモコン・ボタン102、104及び106の任意のものを押すことにより、新たなソフトウエアの更新情報に関係するより多くの情報を受け取ることができる。
好適な実施例では、メールボックス・アイコン120が一杯である(例えば、点滅するアイコン120は、メールボックスが一杯であることを示す)ときには、消費者は、テレビジョン・スクリーン110上で、新たに入手可能になったソフトウエアの更新情報に関係する情報を受け取ることができる。この情報は、消費者が特別のリモコン・ボタン102、104及び106の1つを押した後で、デモンストレーションとして与えられる。この短いデモンストレーションが終わると、次に、消費者は、リモコン・ボタン102、104及び106の1つを押下することによって、そのソフトウエアの更新情報を注文するか、又は、より多くの情報を受け取るかのどちらかを促される。」(12頁35行?13頁8行[10頁32-46行])

(C)「データがテレビジョン、VCR、TVCR又はケーブル・ボックスにダウンロードされて消費者に消費者の注文によるソフトウエアの更新情報が提供されるときには、消費者は、新たなソフトウエアの更新情報を完全に組み入れるために、テレビジョン・システム10と相互作用をしなければならない場合がある。例えば、ソフトウエアの更新情報が消費者のVCRにダウンロードされた後で、別のメールボックス・アイコン120又はオンスクリーン・メッセージを用いて、注文されたソフトウエアの更新情報を実装するにはある種の情報が必要であると消費者に警告が与えられることがある。」(13頁18?25行[11頁5-11行])

(う-2)ユーザ指示に応答して
上記(う-1)(A)によれば、ソフトウエアの更新情報は3つの状況下で送られ、第1の状況においては、消費者の相互作用は要求されないのであるから、「ユーザ指示」はない。第2の状況は、「通常、広告の形式を有して」おり、上記(う-1)(B)の記載のように、「注文する」ものであり、この「注文」は、「ユーザ指示」といえる。第3の状況は、「ソフトウエアの更新情報が消費者によって注文/購入された後で、そのソフトウエアの更新情報を実装するために送られる」もので、「注文/購入」は、「ユーザ指示」といえる。

上記(う-1)(C)には、「データがテレビジョン、VCR、TVCR又はケーブル・ボックスにダウンロードされて消費者に消費者の注文によるソフトウエアの更新情報が提供されるときには、消費者は、新たなソフトウエアの更新情報を完全に組み入れるために、テレビジョン・システム10と相互作用をしなければならない場合がある。」と記載され、この記載から、「消費者は、新たなソフトウエアの更新情報を完全に組み入れるために、テレビジョン・システム10と相互作用をしない場合」、すなわち、消費者が何もしない場合があることを読み取れる。この場合は、消費者の注文により、「ソフトウエアの更新情報が提供され」、実装されると認められる。

したがって、「ユーザ指示に応答して」ソフトウエアの更新情報を実装することには、「ユーザの注文/購入により」ソフトウエアの更新情報を実装することが含まれるものと認められる。

(b)進歩性その1
あ 甲第1号証の記載
甲第1号証(特開昭59-15348号公報)には、次の記載がある。

〈技術分野〉
(あ)「本発明は、送信ネットワークを通じて複数の加入者にテレビジョン信号、情報信号あるいはデータ信号を提供するシステムに関し、特に特定の加入者、加入者群、又は全加入者であって、送信ネットワークに共通に接続されている者に上記のような信号を提供するシステムに関する。」(5頁右上欄2?7行)

(い)「ケーブルテレビジョンシステムのような情報信号分配システムでは、時には種々のネットワークが使用されたこともあったが、一般的には、一方向性の星状又は樹状のネットワークを通してテレビジョン信号が分配されている。双方向通信、あるいはテレビ教育(teletext)用信号のようなデータを特定加入者局へ分配するといったような付加的サービスは、ネットワークのオペレータにより行われている。前者の場合は、双方向性中継器が設けられていて、加入者から発生する信号(例えばサービスの要求、投票、銀行への出入れ、警報通報、商品の注文などの信号)が所定の周波数帯を用いてケーブル分配システムのヘッドエンドに送られ、また、後者の場合には、加入者局に予め番地が定められていて、その番地に従ってデータが送られてくる。
しかしながら、所定の機能、例えば、ビデオゲームプログラムをダウンロードする能力、情報やデータサービスの異なるレベルをダウンロードする能力、有料T.V.デスクランブラを動作させうる能力、他の方法では見ることのできないテレビジョンチャンネルを見ることができる能力など、を備えた加入者局はコスト高になることがわかってきた。もし加入者局が最低限度の機能しか備えていない場合、機能を拡張しようとすれば、付加機能のための差込みモジュールを購入するか、ケーブル分配会社からサービスマンを派遣してもらってその加入端末に付加機能を行う機器を取り付けてもらわなければならない。また、そのようなシステムは、加入者がプログラムを個人宛に指定されたデータをシステムオペレータの手を経ないで入手できるモジュールを製造し、販売する侵害者によって、無料で複製されることもある。」(5頁右上欄8行?左下欄20行)

〈目的〉
(う)「本発明は、比較的低コストな加入者局であって、システムオペレータの制御下でのみ付加的機能を得ることができ、しかも設置にサービスマンの手を煩わすことのない加入者局を提供するものである。」(5頁右下欄1?4行)

〈発明の概略〉
(え)「概略的に述べると、本発明の装置では、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要な“インテリジェンス”がケーブル分配ヘッドエンドからダウンロードされ、ケーブル分配ヘッドエンドはまた、この“インテリジェンス”を随時後述のものに修正することができる。このように、加入者局がデータを取得する能力はシステム管理会社に完全に制御されることになる。ローカル加入者がデータを入手できる能力は、ケーブル分配システムヘッドエンドの意志により変動する。その結果、表示することのできるプログラム、または有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみである。例えば、選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになるが、他のプログラムを得たり、他のチャンネルを制御することはできない。これらのプログラムは、ヘッドエンドから必要に応じて変更することができる。」(5頁右下欄5行?6頁左上欄8行)

(お)「各加入者局は、3種類のアドレスを有するパケットを選択することができる。 3種類のアドレスとは、全体アドレス(全加入者用のもの)、サービスアドレス(個々の加入者を呼び出すことのできる特別のサービスにより定義されたもの)、及び加入者同定アドレス(特定の加入者用のもの)である。加入者同定アドレスは加入者局においてファームウェア中に保持され、そのファームウェアは加入者局機器中の所定の集積回路に含まれ、機器の製造時又は適当な時期に組み立てられる。この予め定められた加入者同定コードは、ケーブル分配サービス会社によって保持され、サービスデータ“インテリジェンス”信号をダウンロードするときに、ローカル加入者がサービスを得ることを可能にする同定者として使用される。」(6頁右上欄14行?左下欄8行)

(か)「一方向性システムについて記述するが、双方向性システムに使用されることが好ましい。」(6頁右下欄2?3行)

(き)「一般的には、本発明は単一送信システムであって、ヘッドエンド、そのヘッドエンドに接続されヘッドエンドからの信号を運ぶ送信媒体、その送信媒体に接続された複数の加入者局、及び予め定められた加入者局アドレスを指定している信号を前記送信媒体から受信し蓄積する加入者局機器とを備えている。加入者局には更に、加入者局アドレスのうちの特定のアドレスを蓄積している加入者局だけに指定された信号を送信媒体から受信し蓄積するための加入者局アドレスを蓄積している機器も備える。」(6頁右下欄4?14行)

〈実施態様〉
(く)「第1図は、本発明によるケーブルシステムを表す。CATV同軸ケーブル分配システム100のよく知られた単方向性(又は双方向性)樹状形式は、その枝に複数個の加入者局101を接続している。1つの加入者局101Aについて詳細に示すと、それにはテレビジョンセット102とキーパッド103が接続されている。テレビジョンセット102は加入者用のディスプレイを備えている。キーパッド103は有料TVデスクランブラを命令したり、チャンネル変換器からチャンネルを選択したり、あるいはそのシステムが双方向性の場合にはそのケーブルシステムのヘッドエンドヘ命令や応答データを送信したりするのに使用される。
ケーブル分配システムのヘッドエンドはそのシステムに接続されていて、コントローラ104を備えている。コントローラ104には種々の信号が入力される。従来のケーブルテレビジョン分配システムでは、コントローラ104は、ケーブルヘのテレビジョンチャンネルからなる複数の信号を送出するマルチプレクサを備え、そのテレビジョンチャンネルの1又は2以上は加入者端末で解読される有料TVチャンネルとすることができる。」(7頁左下欄8行?右下欄10行)

(け)「データチャンネルは情報と制御データとから主として構成されるデータ信号を伝送する。しかし、そのデータ信号は、加入者局の動作開始信号、加入者に特定のサービスを提供する信号、テスト信号、またはコンピュータゲーム信号などの信号と多重化されている。データ信号に多重化されるこれらの信号は、後述の如く予め定められた方法によりフォーマット化され、上記のようなサービスを受ける資格のある加入者の番地により指定されている。」(8頁左上欄8?17行)

(こ)「送信される情報とデータは、コントローラ104中の高速アクセスメモリ(好ましくは、ハードディスク大容量データ記憶装置)に保持され、繰り返しケーブルヘ送出される。好ましいシステムでは、そのメモリには1ページの容量を平均500バイトとした場合の20,000ページ分が記憶され、毎秒約4メガビットの速度で毎秒1,000ページずつ繰り返しケーブルヘ送出される。
情報は複数のホストデータ供給装置105の1個から供給され、ホストデータ供給装置105にはコントローラ104の近くに設けられるか、送電ラインやマイクロ波リンクなどで受信できるように離して設けられた機器が備えられている。このようにして、所定の場所又は任意の場所に設置されたテープやディスクなどの記憶データを読み出すことにより、データをコントローラ104のメモリに蓄積させることができる。」(8頁右上欄1?17行)

(さ)「また、ケーブル分配ネットワークのオペレータが操作するサービスコンピュータ106はキーボード入力装置107を備え、コントローラ104のインターフェイスとなっている。この方法により、このケーブルシステムのローカルオペレータは新しいサービスデータをローカルコンピュータ106へ入力することができ、そのコンピューク106はそのデータをコントローラ104へ供給する信号に変換する。このようにして、キーボードのオペレータからの指定に従って加入者の受信資格の変更が行われる。コントローラ104は、サービス情報とホストデータ供給装置から供給されたデータを自動的にフォーマット化し、そのフォーマット化されたデータをどのクラスの加入者局が翻訳できるかを示すコード化された頭部を含む非同期パケットの形式として、繰り返し、あるいは1回だけ送信を行なう。」(8頁右上欄18行?左下欄14行)

(し)「このシステムによれば、全てのケーブルテレビジョン加入者は通常のケーブルテレビジョンを受信できるようになり、また有料TVに料金を支払ってきた加入者はそれぞれのローカルのデスクランブラを操作できるようになる。また、このシステムの利用により、ケーブルシステムのオペレータは予め定められた情報データ信号を全ての加入者に送信し、そして特定の情報をサービスアドレス(サービスのクラス)により特定化される予め定められた加入者に送信することができる。一方向性の分配システムでは、そのような予め指定されたデータは予定の時間間隔、例えば1日とか数日とか、を置いて繰り返し送出されるのに対し、双方向性のシステムでは、ローカルな加入者はキーパッドの適当なスイッチボタンを押すことにより、予め定められたデータ信号の送信を要求することができるようになる(ただし、この場合加入者はその要求された信号を受信する資格があるものとする)。」(8頁左下欄15行?右下欄13行)

(す)「データ信号は、第2図に示されるような標準的HDLCの拡張アドレスフォーマットにされてコントローラ104から送信される。さらに、ヘッドエンドに向って送信されるデータ信号に対しては衝突防止システムの役割を果たすために、その信号フォーマットには2ビットの情報(ここでは話中ビットと称す)が含まれている。この話中ビットは、コントローラ104が上方向に向う信号を受信したときにその上方向に向うチャンネルの状態を示すものである。
2ビットの話中ビットを利用することにより4種類の話中状態を示すことができる。空き、話中、衝突検知、及び優先である。この概念は本発明の本質を構成するものではないが、話中ビットはヘッドエンドにおいて、フラグバイトの後(各パケットの両端又はパケット間)で、かつ各64ビットの後に挿入されるものである。(ただし、必要があれば他のフォーマットを用いることができる。)
信号は非同期パケットフォーマットで送信され、第2図に示される信号形式の横軸は左から右へ向って時間を表わしている。前述の如く、信号ビットは1秒間に約4メガビットの速度で送信され、所望の送信周波数で高周波搬送波上でNRZI変調されていることが好ましい。」(8頁右下欄14行?9頁左上欄17行)

(せ)「拡張アドレスHDLCプロトコルでは、第1バイトはフラグバイトで、その後に4個のアドレスバイトが続く。本発明の好ましい態様では、最初の2個のアドレスバイトがデジタルチャンネル番号を表わし、後の2個のアドレスバイトがページ番号を表わす。アドレスバイトの後には制御バイトが続き、その制御バイトの後には全ての情報バイトが続く。このようにして、例えば6400ビットを形成する。このビット数は、キャラクタの長さを8ビットとしたとき、幅40キャラクタで20ラインからなる表示両面1ページを構成するのに必要とされる大きさである。
情報ビットの後にはフレームチェックシーケンスFCSが続く。FCSは、よく知られているように、ビットの配列からなり、フラグ間の他のビットを結合して残余が0となる多項式の解を与え、送信エラーの検出に用いられる。FCSビットの後にはフラグバイトが続く。
上記の信号パケットには更に、前述の話中ビット“0”が含まれる。この“0”がない場合には6個の“1”の配列が現れることになる。便宜的には“1”の配列は流産(abort)を表わす。流産とはパケットの内容が加入者局で無視されるべきことを意味する。
上述のパケットのうち話中ビットを除いた部分は、“データ通信・・・高レベルデータリンク制御操作・・・フレーム構造(DATA COMMUNICTION・・・HIGH LEVEL DATA LINK CONTROLLED PROCEDURES・・・FRAME STRUCTURE)”と題する国際標準番号ISO3309中に記述されているCCITT標準X.25勧告に従う。
パケットはコントローラ104において周知の方法でフォーマット化することができる。」(9頁左上欄18行?左下欄10行)

(そ)「第3図は下方向に送信されるデータの受信に関する加入者局の好ましい構成を示すブロック図である。ケーブルの末端からの信号は、ターミナル301を経てダウンコンバータ302へ供給される。ダウンコンバータ302はテレビジョンチャンネルコンバータであり、バス303によりイネーブル信号と切換え指令信号を受け取る。ダウンコンバーク302は3個の出力を備えていることが好ましい。1個をビデオ出力、他の2個を音声出力とすれば、立体音響のテレビジョン、音楽あるいはラジオ再生などに利用できるからである。これらの信号はアンスクランブラ304へ送られ、アンスクランブラ304はバス303に結合したイネーブル入力を備えている。アンスクランブラ304は既知の如何なる型式のものでもよい。例えば、通常の信号は通すがアンスクランブル動作のみを行ない、そのイネーブル端子にイネーブル信号を入力した場合にはスクランブルされた信号を通すようなものであってもよい。もし必要があれば、アンスクランブラ304にデスクランブル用のコードを与えることもできる。
アンスクランブラからの音声信号は電圧制御された減衰器305に供給され、減衰器305の出力はテレビジョン変調器307の入力端子の一方の供給されている。電圧制御された減衰器305は制御バス306に接続され、制御バス306は後述の出力ポートに接続されている。減衰器305の出力信号は変調器307の一方の入力と接続されている。
アンスクランブラ304からのベースバンドビデオ信号はビデオ表示発生器308に供給され、そのビデオ表示発生器308の出力は変調器307の他方の入力に接続されている。変調器307の出力は高周波(RF)コネクタ309に接続され、ビデオ表示発生器308の出力はベースバンド高周波コネクタ310に接続されている。
上記回路の動作について説明すると、通常のテレビジョン信号、スクランブル化されたテレビジョン信号、及び高周波変調データ信号がターミナル301で受信され、ダウンコンバータ302においてベースバンドに変換される。ダウンコンバータ302が応答する周波数は、加入者局の主アドレス及び制御バスに接続された後述の入出力(I/O)ポート回路から与えられる制御信号によりセットされる。
通常のテレビジョン信号はアンスクランブラ304を通過する。スクランブル化されている信号は、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、アンスクランブル化のみが施される。もし適当なクラスのサービスデータ信号が加入者局に蓄積されていなければ、I/Oポートはアンスクランブラ304を動作させることができず、同様にして、もし適当なクラスのサービスデータ信号が加入者局に蓄積されていなければ、ダウンコンバータ302は動作しない。サービス信号のクラスはヘッドエンドにより特定の加入者局へ送信されるものであるので、ヘッドエンドはダウンコンバータとアンスクランブラのサービスの利用を制御することができる。」(9頁左下欄11行?10頁右上欄11行)

(た)「ビデオ表示発生器308は、既知の方法によってランダムアクセスメモリRAM312を備えている。ビデオ表示発生器308は、アドレスバスA、データバスD、及び制御バスCを有するローカルバスシステムに接続されている。したがって、データ信号はA、D及びCバス(以下、ADCバスと称す)上を送信される。
ターミナル301で受信された信号は復調器313の入力端子にも供給される。復調器313はデータ取得回路314にクロック、データ及びプラグ指示信号を供給する。データ取得回路314はアドレスバスA及び制御バスCにも接続されている。三状態バッファ回路316はダイナミックランダムアクセスメモリRAM315(典型的な名目容量は16,000バイト)を備え、ADCバスとデータ取得回路314に接続されている。」(10頁右下欄2?17行)

(ち)「ADCバスにはまた、ブートストラップROM(リードオンリーメモリ)317と、典型的には1バイト8ビット構成で256バイトの選択テーブルCMOS RAM(ランダムアクセスメモリ)318とが接続されている。
選択テーブルCMOS RAM18には大容量(例えば1ファラド)のキャパシタ319が接続されており、このキャパシタ319はローカル電源(図示略)により帯電され、停電時に既知の方法によりCMOS RAM318を動作させてデータ蓄積を確保するための電源として使用される。
ADCバスにはまた、論理アドレスPROM(プログラム可能なリードオンリーメモリ)320が接続されており、このPROM320は後述のデータ取得回路やCPUの如き他の回路内に集積化することができる。」(10頁右下欄18行?11頁左上欄13行)

(つ)「ローカルの中央制御装置CPU324、例えばMC6809型、もADCバスに接続されている。
ダウンコンバータ302、アンスクランブラー304、減衰器305などを動作させる前述の入出力ポート回路325もADCバスに接続されている。I/Oポート回路325の出力端子はリレー回路326に接続されてパワーの出口327を操作し、また、I/Oポート回路325の入力端子には既知構造の赤外線インタフェイス328が接続されている。赤外線インタフェイス328は赤外線検出ダイオード329を備え、遠隔キーパッドからの赤外線パルスを受光する。」(11頁右上欄3?14行)

(て)「ADCバスに供給されるデータ信号はCPUにより制御され、入出カポート回路325を通じてダウンコンバータ302、アンスクランブラー304、減衰器305及びリレー326を制御する。更に、遠隔キーパッドからインタフェイス328により受信されたデータ信号は、I/Oポート回路325を通ってADCバスに送られ、CPUにより処理される。」(11頁左下欄2?9行)

(と)「しかしながら、以下の説明ではこの回路の動作を詳細に扱うので、ケーブルシステムからのアドレスを有するデータ信号を必要とする。そのアドレスはローカル加入者局を指定するものである。アドレスをいつでも意のままに変更することができ、そのインテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるこの装置の構造は、本発明の特に有用な概念であると思われる。」(11頁左下欄10?18行)

(な)「前述の如く、各データパケットにおいて最初のプラグに続く4バイトにはアドレスビットが含まれる。3種類のアドレスが含まれていることが好ましい。論理アドレス、全体アドレス、及びサービスアドレスの3種類である。アドレスの最初の2ビットは、後続のものが3種類のアドレスのうちのどの形式のものであるかを指定する。論理アドレスは特定の加入者を指定し、全体アドレスは全加入者を指定し、そしてサービスアドレスは特定のサービスに対応するアドレスを有する特定の加入者を指定するものである。
各特定加入者局を指定する論理アドレスは論理アドレスPROM320に蓄積される。この論理アドレスはケーブルシステムのオペレータによって制定され、加入者局機器の組立て前にその機器の適当な集積回路中に組み込まれ、あるいはプログラムされる。サービスアドレスは選択テーブルメモリ318中に蓄積され、ローカルCPU324の制御下に蓄積されるデータとしてダウンロードされ、そのデータは後で詳しく説明するように、利用可能なように作成されている。
全体アドレスは配線アドレスであり、そのように制定されている。全体アドレスは、特定の分配樹に接続されている全加入者を指定する。全体アドレスは、電子郵便用などの如き相互システムにより使用することができる。それによりヘッドエンドのコントローラは特定の分配樹のアドレスの情報を必要とし、全ての加入者端末を呼び出すことができる。」(11頁左下欄19行?12頁左上欄7行)

(に)「初期化後、追加制御信号がRAM315に蓄積され、それによって有料TVアンスクランブラサービス、情報、コンピュータゲーム、ソフトウェアサービスなどの追加変換サービスを購入している加入者にそれらのサービスが提供される。」(12頁右上欄6?11行)

(ぬ)「データのパケットは、この加入者局用のサービスアドレスを指定する論理アドレスと同種又は同クラスのサービスが提供される他の多くの加入者と共通なコードに対して送られる。サービスとしては、有料TVが提供されること、あるいは特定形式の情報やデータを要求でき表示できること、などを指定することができる。サービスアドレスデータは選択テーブルメモリ318に入力されて蓄積され、キャパシタ319に蓄えられたエネルギーにより停電時も保護される。」(12頁右上欄12行?左下欄1行)

(ね)「データ取得回路314と関係するメモリの好ましい形式を第3A図に示す。そのメモリは、DACバッファ、待機ページバッファ、ダウンロードされたソフトウェアを蓄積する領域、入出力ソフトウェア用の領域、選択テーブル領域、及び他の入出力ソフトウェアとリードオンメモリ(ROM)部分のための領域に分割されている。」(12頁左下欄4?10行)

(の)「もし機器が新しく組み立てられた場合、あるいは主電源が停電した場合でヘッドエンドでもわかっているような場合には、データの必要なページはヘッドエンドで人為的にデジタルチャンネルサイクルに挿入される。あるいは、加入者が選択テーブルを送信してくれるようにヘッドエンドに要求することもあろう。双方向性インタフェイスの場合には、選択テーブルの要求は戻りチャンネルを通して自動的に行われることになろう。」(13頁右上欄6?14行)

(は)「モデム918はデータ信号を、例えばテレビジョンの第14チャンネルまたは中心周波数がほぼ120メガヘルツである搬送波を用いて変調する。この信号はRFマルチプレクサ919の一方の入力に供給される。RFマルチプレクサ919はまた、放送テレビジョンシステムにおいては、ケーブルを通して送信されてきた残りの放送テレビジョン信号をも受信する。テレビジョンリンク920により送られるテレビジョン信号にはまた、スクランブル化されたテレビジョン信号を含めることができる。このスクランブル化されたテレビジョン信号は、有料TVサービスを購入している加入者に対してはアンスクランブラ304(第3図)によりアンスクランブラ化されるものである。」(19頁右上欄11行?左下欄4行)

(ひ)「このようにして、上述のシステムでは、システムオペレータはこのシステムに接続されている加入者局へ供給するサービスを完全に制御できるようになる。このシステムは既存のケーブルTV送信システムとともに使用することができ、また市場が証明しているように、増大しつつある複雑なサービスを提供する段階にも使用することができる。例えば、加入者局が設置されると、その加入者局のテレビジョン信号チャンネル変換器を経て有料TV信号や特殊放送テレビジョンチャンネルを呼び出すことのできる選択を与えることにより、最初に与えられる選択を有料TV信号のアンスクランブル化及び/又は特殊放送テレビジョンチャンネルの供給とすることができる。医者その他の専門家のグループのような特殊な加入者グループには、他の加入者には禁止されているテレビジョン教育チャンネルを供給することができる。コンピュータゲームプログラムや株式市場情報などは、加入者の選ばれたグループで適当な選択コードをもつグループに供給することができる。コンピュータプログラムはマイクロコンピュータにダウンロードすることができ、データはプリンタやファクシミリなどに送ることができる。情報サイクル放送モードにして送信することができるが、そのサービスを購入し選択テーブルメモリに適当なサービスコードアドレスを蓄積している加入者だけがその情報サイクルを呼び出すことができるようにすることができる。」(21頁右上欄17?右下欄4行)

い 甲第1号証に記載された発明
(あ)双方向性CATV同軸ケーブル分配システム
甲第1号証には、
「本発明は、送信ネットワークを通じて複数の加入者にテレビジョン信号、情報信号あるいはデータ信号を提供するシステムに関し、特に特定の加入者、加入者群、又は全加入者であって、送信ネットワークに共通に接続されている者に上記のような信号を提供するシステムに関する。」(5頁右上欄2?7行、上記あ(あ))、
「第1図は、本発明によるケーブルシステムを表す。CATV同軸ケーブル分配システム100のよく知られた単方向性(又は双方向性)樹状形式は、その枝に複数個の加入者局101を接続している。」(7頁左下欄8?12行、上記あ(く))、
と記載されているから、甲第1号証には「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」が記載されている。

(い)複数個の加入者局
甲第1号証には、
「第1図は、本発明によるケーブルシステムを表す。CATV同軸ケーブル分配システム100のよく知られた単方向性(又は双方向性)樹状形式は、その枝に複数個の加入者局101を接続している。1つの加入者局101Aについて詳細に示すと、それにはテレビジョンセット102とキーパッド103が接続されている。テレビジョンセット102は加入者用のディスプレイを備えている。」(7頁左下欄8行?16行、上記あ(く))、
と記載されているから、甲第1号証に記載された「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」では、テレビジョンセット102が接続された加入者局101が複数個接続されている。

(う)加入者局の構成(復調器、データ取得回路、メモリ、CPU)
甲第1号証には、
「第3図は下方向に送信されるデータの受信に関する加入者局の好ましい構成を示すブロック図である。ケーブルの末端からの信号は、ターミナル301を経てダウンコンバータ302へ供給される。」(9頁左下欄11?15行、上記あ(そ))、
「ターミナル301で受信された信号は復調器313の入力端子にも供給される。復調器313はデータ取得回路314にクロック、データ及びプラグ指示信号を供給する。」(10頁右下欄9?12行、上記あ(た))、
と記載されているから、甲第1号証に記載された「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」の加入者局は、データを受信する装置を備えていることは明らかである。

加入者局が受信するデータに関し、甲第1号証には、
「しかしながら、以下の説明ではこの回路の動作を詳細に扱うので、ケーブルシステムからのアドレスを有するデータ信号を必要とする。そのアドレスはローカル加入者局を指定するものである。アドレスをいつでも意のままに変更することができ、そのインテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるこの装置の構造は、本発明の特に有用な概念であると思われる。」(11頁左下欄10?18行、上記あ(と))、
と記載されているから、データ信号は、加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるものである。
そして、「加入者を指定するアドレス」について、「以下の説明ではこの回路の動作を詳細に扱うので、ケーブルシステムからのアドレスを有するデータ信号を必要とする。そのアドレスはローカル加入者局を指定するものである。アドレスをいつでも意のままに変更することができ」と記載されているから、「加入者を指定するアドレス」は、ケーブルシステム、すなわち、ヘッドエンドがつけたものと認められる。

データ取得回路314と関係するメモリに関し、甲第1号証には、
「データ取得回路314と関係するメモリの好ましい形式を第3A図に示す。そのメモリは、DACバッファ、待機ページバッファ、ダウンロードされたソフトウェアを蓄積する領域、入出力ソフトウェア用の領域、選択テーブル領域、及び他の入出力ソフトウェアとリードオンメモリ(ROM)部分のための領域に分割されている。」(12頁左下欄4?10行、上記あ(ね))
と記載されているから、データ取得回路314と関係するメモリは、ダウンロードされたソフトウェアを蓄積する領域を有している。

CPU324に関し、第3図より、前記加入者局はCPU324を備えており、さらに甲第1号証には、
「ADCバスに供給されるデータ信号はCPUにより制御され、入出カポート回路325を通じてダウンコンバータ302、アンスクランブラー304、減衰器305及びリレー326を制御する。更に、遠隔キーパッドからインタフェイス328により受信されたデータ信号は、I/Oポート回路325を通ってADCバスに送られ、CPUにより処理される。」(11頁左下欄2?9行、上記あ(て))、
と記載されているから、CPU324は、加入者局を制御するものである。

制御プログラム、サービスアドレスに関し、甲第1号証には、
「有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみである。」(5頁右下欄16行?6頁左上欄1行、上記あ(え))、
「論理アドレスは特定の加入者を指定し、全体アドレスは全加入者を指定し、そしてサービスアドレスは特定のサービスに対応するアドレスを有する特定の加入者を指定するものである。
各特定加入者局を指定する論理アドレスは論理アドレスPROM320に蓄積される。この論理アドレスはケーブルシステムのオペレータによって制定され、加入者局機器の組立て前にその機器の適当な集積回路中に組み込まれ、あるいはプログラムされる。サービスアドレスは選択テーブルメモリ318中に蓄積され、ローカルCPU324の制御下に蓄積されるデータとしてダウンロードされ、そのデータは後で詳しく説明するように、利用可能なように作成されている。」(11頁右下欄5?19行、上記あ(な))、
と記載されているから、加入者局へ放送される制御プログラムは、番地が指定された加入者局でのみ保持され、特定加入者局を指定する論理アドレスは論理アドレスPROM320に蓄積され、サービスアドレスはCPU324の制御により選択テーブルメモリ318に蓄積される。

(え)インテリジェンス
甲第1号証には、
「概略的に述べると、本発明の装置では、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要な“インテリジェンス”がケーブル分配ヘッドエンドからダウンロードされ、ケーブル分配ヘッドエンドはまた、この“インテリジェンス”を随時後述のものに修正することができる。このように、加入者局がデータを取得する能力はシステム管理会社に完全に制御されることになる。ローカル加入者がデータを入手できる能力は、ケーブル分配システムヘッドエンドの意志により変動する。その結果、表示することのできるプログラム、または有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみである。例えば、選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになるが、他のプログラムを得たり、他のチャンネルを制御することはできない。これらのプログラムは、ヘッドエンドから必要に応じて変更することができる。」(5頁右下欄5行?6頁左上欄8行、上記あ(え))、
「しかしながら、以下の説明ではこの回路の動作を詳細に扱うので、ケーブルシステムからのアドレスを有するデータ信号を必要とする。そのアドレスはローカル加入者局を指定するものである。アドレスをいつでも意のままに変更することができ、そのインテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるこの装置の構造は、本発明の特に有用な概念であると思われる。」(11頁左下欄10?18行、上記あ(と))、
と記載されているから、インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものである。

また、甲第1号証には、
「概略的に述べると、本発明の装置では、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要な“インテリジェンス”がケーブル分配ヘッドエンドからダウンロードされ、ケーブル分配ヘッドエンドはまた、この“インテリジェンス”を随時後述のものに修正することができる。・・・その結果、・・・有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみである。例えば、選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになるが、他のプログラムを得たり、他のチャンネルを制御することはできない。これらのプログラムは、ヘッドエンドから必要に応じて変更することができる。」(5頁右下欄5行?6頁左上欄8行、上記あ(え))、
「しかしながら、以下の説明ではこの回路の動作を詳細に扱うので、ケーブルシステムからのアドレスを有するデータ信号を必要とする。そのアドレスはローカル加入者局を指定するものである。アドレスをいつでも意のままに変更することができ、そのインテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるこの装置の構造は、本発明の特に有用な概念であると思われる。」(11頁左下欄10?18行、上記あ(と))、
と記載されており、「インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)」の記載から、インテリジェンスには動作プログラムがあり、「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、「有料T.V.デスクランブラ」の動作プログラムといえるから、インテリジェンスの一例には、「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」があると認められ、このプログラムは、ヘッドエンドにより番地が指定されるものと認められる。

(お)有料TVの購入
甲第1号証には、
「このシステムによれば、全てのケーブルテレビジョン加入者は通常のケーブルテレビジョンを受信できるようになり、また有料TVに料金を支払ってきた加入者はそれぞれのローカルのデスクランブラを操作できるようになる。」(8頁左下欄15?19行、上記あ(し))、
「初期化後、追加制御信号がRAM315に蓄積され、それによって有料TVアンスクランブラサービス、情報、コンピュータゲーム、ソフトウェアサービスなどの追加変換サービスを購入している加入者にそれらのサービスが提供される。」(12頁右上欄6?11行、上記あ(に))、
「このスクランブル化されたテレビジョン信号は、有料TVサービスを購入している加入者に対してはアンスクランブラ304(第3図)によりアンスクランブラ化されるものである。」(19頁左下欄1?4行、上記あ(は))、
と記載されているから、甲第1号証には「加入者による有料TVの購入」が記載されている。

(か)有料TVの購入による動作
甲第1号証には、
「スクランブル化されている信号は、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、アンスクランブル化のみが施される。もし適当なクラスのサービスデータ信号が加入者局に蓄積されていなければ、I/Oポートはアンスクランブラ304を動作させることができず、同様にして、もし適当なクラスのサービスデータ信号が加入者局に蓄積されていなければ、ダウンコンバータ302は動作しない。サービス信号のクラスはヘッドエンドにより特定の加入者局へ送信されるものであるので、ヘッドエンドはダウンコンバータとアンスクランブラのサービスの利用を制御することができる。」(10頁左上欄17行?右上欄11行、上記あ(そ))と記載され、
サービス信号のクラスはヘッドエンドにより特定の加入者局へ送信されるものであり、適当なクラスのサービスデータ信号が加入者局に蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施される。
そして、上記(お)のとおり、「有料TVに料金を支払ってきた加入者」、「有料TVサービスを購入している加入者」は、スクランブルを解除して、有料TVを見ることができるのであるから、加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積される。

また、上記(え)のとおり、インテリジェンスとして「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」があり、このプログラムがダウンロードされることにより、有料T.V.デスクランブラが制御できるものであるから、有料TVを購入した加入者は、上記のとおり、スクランブルを解除して、有料TVをみることができるのであり、その前提として、「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」がヘッドエンドにより番地が指定され、ダウンロードされるものと認められる。

以上まとめると、甲第1号証には、加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され、アンスクランブル化が施される前提として、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがヘッドエンドにより番地が指定され、ダウンロードされることが記載されている。

(き)甲第1号証に記載の発明
以上より、甲第1号証には、有料TVの購入に着目すれば、次の発明(以下「甲第1発明1」という。)が記載されていると認められる。

「双方向性CATV同軸ケーブル分配システムであって、
双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセット102が接続された加入者局101が複数個接続されており、
前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え、
CPU324は、加入者局を制御するものであり、
データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるものであり、
データ取得回路314と関係するメモリは、ダウンロードされたソフトウェアを蓄積する領域を有し、
加入者局へ放送される制御プログラムは、番地が指定された加入者局でのみ保持され、特定加入者局を指定する論理アドレスは論理アドレスPROM320に蓄積され、サービスアドレスは、CPU324の制御により選択テーブルメモリ318に蓄積され、
インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、
インテリジェンスの一例には、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがあり、
加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され、アンスクランブル化が施される前提として、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがヘッドエンドにより番地が指定され、ダウンロードされる
ことを特徴とする双方向性CATV同軸ケーブル分配システム。」

う 訂正発明1と甲第1発明1との対比
訂正発明1と甲第1発明1とを対比する。

(あ)1A「ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システム」

(あ-1)「ソフトウエアの更新情報」
甲第1発明1における「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、「ダウンロードされる」ものである。
また、「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、「ダウンロードされる」ことによって、プログラムが追加されるものであり、有料T.V.デスクランブラを制御することができるようになると理解できる。
そして、プログラムはソフトウエアといえ、上記(a)い(あ)(あ-2)のとおり、「ソフトウエアの更新情報」は、提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新するための情報であり、この情報で更新しようとするソフトウエアを更新(更新、追加)した結果として、機能が提供されることになる情報であり、甲第1発明1における「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、有料TVを見るという機能を実現するためのソフトウエアを更新(更新、追加)するための情報であり、この情報で更新しようとするソフトウエアを更新(更新、追加)した結果として、機能が提供されることになる情報であるから、甲第1発明1における「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、「ソフトウエアの更新情報」といえる。
また、甲第1発明1における「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へ」「送られ、加入者局に蓄積され、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され」るから、「ダウンロードされる」ものといえる。
そして、上記(a)い(あ)(あ-2)のとおり、「ソフトウエアの更新情報」は、提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新するための情報であり、この情報で更新しようとするソフトウエアを更新(更新、追加)した結果として、機能が提供されることになる情報であり、「ソフトウエアの更新情報」はソフトウエア自体だけでなく、ソフトウエアで用いるデータ等の情報も含むものであり、甲第1発明1における「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」は、有料TVを見るという機能を実現するためのソフトウエアを更新(更新、追加)するための情報であり、この情報で更新しようとするソフトウエアを更新(更新、追加)した結果として、機能が提供されることになる情報であるから、甲第1発明1における「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」は、「ソフトウエアの更新情報」といえる。

(あ-2)「テレビジョン・システム」
甲第1発明1は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」であり、「テレビション・システム」といえる。また、上記(あ-1)のとおり、甲第1発明1において、「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」及び「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」は、ダウンロードされるから、ダウンロード可能であり、甲第1発明1は、「ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システム」といえる。

(あ-3)まとめ
以上より、甲第1発明1は、「ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システム」といえる。

(い)1B「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置」

甲第1発明1は、「前記双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセツト102が接続された加入者局が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え」るものであり、加入者局はデータを受信する装置を備えているから、受信装置といえ、加入者局にはテレビジョンセットが接続されているから、受信装置はテレビジョン受信機からなるといえる。また、加入者局は複数あるから、甲第1発明1は、「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機とからなる、複数の受信装置」を備えているといえる。
したがって、甲第1発明1は、「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置」を備えているといえる。

(う)1C「前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機」

甲第1発明1は、「前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え、」「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘツドエンドからの制御によりダウンロードできるものであり、」「インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、インテリジェンスの一例には、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがあ」る。
さらに、甲第1発明1は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ」、「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有して」いる。
甲第1発明1の「データを受信する装置」は、「受信機」といえ、甲第1発明1は、「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘツドエンドからの制御によりダウンロードできるものであり、」「インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、インテリジェンスの一例には、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがあ」り、「加入者局を指定するアドレス」は「複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子」といえ、上記(あ)(あ-1)のとおり、「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、「ソフトウエアの更新情報」といえる。
また、甲第1発明1は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ」、「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有して」おり、「加入者局を指定するアドレス」は「複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子」といえ、上記(あ)(あ-1)のとおり、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」は、「ソフトウエアの更新情報」といえる。
この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得るから、甲第1発明1は、「前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機」を備えているといえる。

(え)1D「前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリ」

甲第1発明1においては、「データ取得回路314と関係するメモリは、ダウンロードされたソフトウエアを蓄積する領域を有し」ている。
甲第1発明1における「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」が、「ソフトウエアの更新情報」といえることは上記(あ)(あ-1)のとおりであり、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得、甲第1発明1において、「加入者局へ放送される制御プログラムは、番地が指定された加入者局でのみ保持され」るから、甲第1発明1の「メモリ」は、「前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリ」といえる。
また、甲第1発明1は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され」、「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有して」おり、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」が、「ソフトウエアの更新情報」といえることは、上記(あ)(あ-1)のとおりであり、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得、甲第1発明1において、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され」るから、甲第1発明1の「メモリ」は、「前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリ」といえる。

(お)1E「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」

(お-1)「プロセッサ」
上記(い)のとおり、甲第1発明1は、「前記双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセツト102が接続された加入者局が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え」るものであり、甲第1発明1は、「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置」を備えているといえる。
そして、甲第1発明1は、「CPU324」を備えているので、「プロセッサ」を備えているといえ、その「プロセッサ」は、「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサ」といえる。
また、甲第1発明1において、「CPU324は、加入者局を制御するものであ」り、「CPU324」は、「前記メモリ」、「前記受信機」を制御するから、「前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合して」いるといえる。

(お-2)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」

(A)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する 」

甲第1発明1は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され、アンスクランブル化が施される前提として、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがヘッドエンドにより番地が指定され、ダウンロードされる」ものであり、「アンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され」るから、有料TVが見られることになっている。すなわち、有料TVを見るためには、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」が必要であり、甲第1発明1は、有料TVが見られることになっているから、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、有料TVが見られる機能を実現するために加入者局に組み込まれて使えるようになっている。
「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」が「ソフトウエアの更新情報」といえることは、上記(あ)(あ-1)のとおりであり、「ソフトウエアの更新情報」を「実装」するとは、上記(a)い(い)(い-3)のとおり、提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新するための情報が受信装置に組み込まれて、機能が実現されて提供されるようになることである。
上記のとおり、甲第1発明1においては、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、有料TVが見られる機能を実現するために加入者局に組み込まれて使えるようになっており、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する 」といえる。

(B)「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」

「前記データ」は、構成要件1Cにおける受信機で受信され、構成要件1Dにおけるメモリに記憶される「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」である。
「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」が「ソフトウエアの更新情報」といえることは、上記(あ)(あ-1)のとおりであり、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得る。
そして、甲第1発明1が構成要件1C、構成要件1Dを備えていることは、上記(う)、(え)のとおりであり、甲第1発明1は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する 」といえることは、上記(A)のとおりであるから、甲第1発明1は、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」といえる。

(C)「ユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」

「ユーザの注文/購入」が「ユーザ指示」といえることは、上記(a)い(う)(う-2)のとおりである。
甲第1発明1は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され、アンスクランブル化が施される前提として、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがヘッドエンドにより番地が指定され、ダウンロードされる」ものであり、上記(A)、(B)を踏まえると、「加入者による有料TVの購入によって」、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」ものといえる。
そして、「加入者による有料TVの購入によって」は、「ユーザ指示によって」といえ、甲第1発明1は、「ユーザ指示によって」、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」ものといえ、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」ことは、「ユーザ指示」に応答しているといえる。
したがって、甲第1発明1は、「ユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」ものといえる。

(D)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」

上記(C)のとおり、甲第1発明1は、「ユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」ものといえ、ソフトウエアの更新情報の実装はその結果として実現される機能と一体不可分であり、「加入者による有料TVの購入」は、有料TVを見るという機能を注文することであるから、機能の注文は、その機能を実現するためのソフトウエアの更新情報を実装する「旨」の指示となっている。
したがって、甲第1発明1は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」ものといえる。

(E)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」

上記(お-1)のとおり、甲第1発明1における「CPU324」は、プロセッサであって、「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられた」ものであり、「前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合して」いるものであり、上記(お-2)(D)のとおり、甲第1発明1は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」ものといえ、この動作は、「CPU324」により行われているといえる。
したがって、甲第1発明1は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」を備えているといえる。

(お-3)まとめ
上記(お-1)、(お-2)のとおりであるから、甲第1発明1は、「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」を備えているといえる。

(か)1F「を備え、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システムテレビジョン・システム」

甲第1発明1は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」であり、「テレビション・システム」といえる。
しかしながら、甲第1発明1は、「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後、ユーザとの相互作用を必要とする」ものではなく、訂正発明1と相違する。

え 一致点、相違点
以上より、訂正発明1と甲第1発明1との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、
ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、
前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備えていることを特徴とするテレビジョン・システム。

(相違点)
訂正発明1が
「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とする」のに対し、甲第1発明1がそうではない点。

お 判断
(あ)周知技術及び甲第12号証に記載された発明
(あ-1)周知技術
汎用のコンピュータにおいて、ダウンロードされたソフトウエアをインストールするために、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させることは周知技術を認められる。
このことは、マイクロソフト社によるWindows3.1、NT3.5等のネットワーク対応のオペレーレティング・システムをベースに広く行われるようになったものであり、Windows3.1は平成4年(1992年)4月に発売され、Windows NT3.5は平成6年(1994年)11月に発売されたことから、本件特許の優先日(平成7年(1995年)6月7日)当時では既に広く知れわたった技術内容になっていたといえる(弁駁書10?12頁)。

(あ-2)甲第12号証
(A)甲第12号証の記載

「【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところでこの種のシステムでは、システム構築後の機能変更や機能追加などに伴い、蓄積交換装置のFEP(Front End Processor)のシステムプログラムを変更することがある。しかし、この種の従来のシステムは、保守上に関して一般に各システムが独立して構成されている。このため、FEPのシステムプログラムを変更する場合には、保守担当者が蓄積交換装置の設置現場に出向き、手作業でシステムプログラムの変更操作を行なわなければならなかった。したがって、システムの機能変更や機能追加などのバージョンアップに多くの手間と時間がかかり、また手作業により変更操作が行なわれるため操作ミスなどが発生し易かった。これらの問題点は、特に海外などの遠隔地に構築されたシステムをバージョンアップする場合に顕著に現れ、保守性の改善が望まれていた。」

「【0009】図1は、本発明のー実施例に係わるファクシミリ蓄積交換システムの概略構成図である。同図において、21,31,32はファクシミリ蓄積交換装置のFEP(Front End Processor)であり、これらのFEP21,31,32にはそれぞれ複数の加入網211?21m,311?31m,321?32mが接続されている。これらの加入網211?21m,311?31m,321?32mは、例えばアナログ回線交換網あるいはISDN回線交換網からなる。また、これらの加入網211?21m,311?31m,321?32mには、複数台のファクシミリ端末装置2 1 1 1?32mnが収容されている。ファクシミリ端末装置2 1 1 1?32mnは、G3またはG4規格によるファクシミリ通信が可能なものである。」

「【0012】図2は、上記各FEP21,31,32の構成を示す回路ブロック図である。制御装置本体80と、端末インタフェース装置(CCE)81とを備えている。端末インタフェース装置8 1は、加入網を介してファクシミリ端末装置との間の通信を制御するものである。
【0013】制御装置本体80は、中央制御ユニット(CPU)82を有している。このCPU82には、処理用メモリ(MEM)83と、例えば磁気ディスク装置からなる蓄積装置(DISK)84と、伝送インタフェース回路85と、入出力インタフェース回路86と、上記CCE81とがそれぞれバス接続されている。このうち上記処理用メモリ83には、CPU82の処理に必要な種々データが記憶される。また蓄積装置84には、ファクシミリ端末装置から送られたファクシミリデータや、ホストコンピュータ1から転送されたシステムプログラムなどがそれぞれ格納される。伝送インタフェース回路85には、高速パケット通信網の伝送路41,51,52が接続されている。伝送インタフェース回路855は、CPU82の制御に従って、この伝送路41,51,52に対しデータ伝送に係わるインタフェース動作を行なう。入出力インタフェース回路86には、キーボード91およびディスプレイ装置92がそれぞれ接続されている。入出力インタフェース回路86は、CPU82から出力された表示情報をディスプレイ装置92に表示させるとともに、上記キーボード91により入力された指示情報をCPU82に転送する。
【0014】制御装置本体80は、中央制御ユニット(CPU)82を有している。このCPU82には、処理用メモリ(MEM)83と、例えば磁気ディスク装置からなる蓄積装置(DISK)84と、伝送インタフェース回路85と、入出力インタフェース回路86と、上記CCE81とがそれぞれバス接続されている。このうち上記処理用メモリ83には、CPU82の処理に必要な種々データが記憶される。また蓄積装置84には、ファクシミリ端末装置から送られたファクシミリデータや、ホストコンピュータ1から転送されたシステムプログラムなどがそれぞれ格納される。伝送インタフェース回路85には、高速パケット通信網の伝送路41,51,52が接続されている。伝送インタフェース回路855は、CPU82の制御に従って、この伝送路41,51,52に対しデータ伝送に係わるインタフェース動作を行なう。入出力インタフェース回路86には、キーボード91およびディスプレイ装置92がそれぞれ接続されている。入出力インタフェース回路86は、CPU82から出力された表示情報をディスプレイ装置92に表示させるとともに、上記キーボード91により入力された指示情報をCPU82に転送する。
【0015】次に、以上のように構成されたシステムにおいて、バージョンアップ等に伴うシステムプログラムの変更動作を説明する。なお、ここではロスアンゼルスのホストコンピュータ2に接続されたFEP21のシステムプログラムを、東京の主ホストコンピュータ1から遠隔的に変更する場合を例にとって説明する。
【0016】システムプログラムの変更を行なうに際し、東京の保守担当者は別途作成した新バージョンのシステムプログラムを主ホストコンピュータ1にインストールする。そして、主ホストコンピュータ1にこの新システムプログラムの転送を指示する。そうすると、新バージョンのシステムプログラムは、主ホストコンピュータ1からロスアンゼルスのホストコンピュータ2にー且送られ、さらにこのホストコンピュータ2からFEP21へ転送される。
【0017】これに対しFEP21では、主ホストコンピュータ1から高速パケット通信網の伝送路6,41を介して新システムプログラムが転送されると、この新システムプログラムはCPU82の制御に従って、伝送インタフェース回路85で受信されたのち蓄積装置84に転送され格納される。
【0018】さて、この状態でFEP21で再起動が行なわれると、CPU82は図3に示すごとくステップ3aで予め格納してある変更制御プログラムを駆動する。そして、この変更制御プログラムに従って、先ずステップ3bにてディスプレイ装置92に問い合わせメッセージを表示させる。ここでは、例えばシステムプログラムのバージョンを現状のまま維持するか否かと、システムプログラムを過去のバージョンにバージョンダウンするか否かと、システムプログラムをバージョンアップするか否かとの3種類の問い合わせメッセージが行なわれる。そしてCPU82は、ステップ3fでタイムアウトの監視を行ないながら、ステップ3c,3d,3eにて上記問い合わせメッセージの表示に対する保守担当者の指示の入力監視を繰り返し行なう。
【0019】この状態で、保守担当者がキーボード91によりバージョンアップを許可する旨の指示を入力したとする。そうすると、CPU82はステップ3eからステップ3iに移行して、ここでシステムプログラムのバージョンアップ処理を実行する。すなわち、蓄積装置84に格納されている新バージョンのシステムプログラムを読み出し、現行のシステムプログラムをこの新バージョンのシステムプログラムに置き換える。」

(B)甲第12号証に記載された発明
段落【0009】には「FEP(Front End Processor)であり、これらのFEP21,31,32はそれぞれ複数の加入網211?21m,311?31m,321?32mが接続されている。これらの加入網211?21m,311?31m,321?32mは、例えばアナログ回線交換網あるいはISDN回線交換網からなる。」という記載があることから、甲第12号証には「アナログ回線交換網又はISDN回線交換網に接続された複数のFEP(Front End Processor)」が記載されている。

段落【0012】には「図2は、上記各FEP21,31,32の構成を示す回路ブロック図である。制御装置本体80と、端末インタフェース装置(CCE)81とを備えている。端末インタフェース装置81は、加入網を介してファクシミリ端末装置との間の通信を制御するものである。」という記載があり、段落【0013】には「制御装置本体80は、中央制御ユニット(CPU)82を有している。このCPU82には、処理用メモリ(MEM)83と、例えば磁気ディスク装置からなる蓄積装置(DISK)84と、伝送インタフェース回路85と、入出力インタフェース回路86と、上記CCE81とがそれぞれバス接続されている。」という記載があり、段落【0014】には「上記CPU82は、その制御機能として、通常の蓄積交換制御手段に加えて、システムプログラム受信記憶制御手段82aと、システムプログラム変更制御手段82bとを備えている。システムプログラム受信記憶制御手段82aは、ホストコンピュータ1から新たなシステムプログラムが転送された場合に、このシステムプログラムを伝送インタフェース回路85を介して受信し、かつこの受信したシステムプログラムを蓄積装置84に格納するための制御を実行する。」という記載がそれぞれあることから、甲第12号証には「FEPは、CPU82と、ホストコンピュータから転送されてくる新たなシステムプログラムを受信する伝送インタフェース回路85と、受信したシステムプログラムを格納する蓄積装置84を有する。」旨が記載されている。

段落【0017】には「これに対しFEP21では、主ホストコンピュータ1から高速パケット通信網の伝送路6,41を介して新システムプログラムが転送されると、この新システムプログラムはCPU82の制御に従って、伝送インタフェース回路85で受信されたのち蓄積装置84に転送され格納される。」という記載があり、段落【0018】には「この状態でFEP21で再起動が行なわれると、CPU82は図3に示すごとくステップ3aで予め格納してある変更制御プログラムを駆動する。そして、この変更制御プログラムに従って、先ずステップ3bにてディスプレイ装置92に問い合わせメッセージを表示させる。」という記載があることから、甲第12号証には「転送されてきた新システムプログラムが蓄積装置84に格納された状態でFEPが再起動されると、ディスプレイ装置92に問い合わせメッセージを表示する。」旨が記載されている。

段落【0019】には「この状態で、保守担当者がキーボード91によりバージョンアップを許可する旨の指示を入力したとする。そうすると、CPU82はステップ3eからステップ3iに移行して、ここでシステムプログラムのバージョンアップ処理を実行する。すなわち、蓄積装置84に格納されている新バージョンのシステムプログラムを読み出し、現行のシステムプログラムをこの新バージョンのシステムプログラムに置き換える。」という記載があることから、甲第12号証には「表示された問い合わせメッセージに対して、保守担当者がキーボード91によりバージョンアップを許可する旨の指示を入力すると、CPU82は現行のシステムプログラムを新バージョンのシステムプログラムに置き換える。」旨が記載されている。

以上のことから、甲第12号証には、次の発明(以下「甲第12発明」という。)が記載されている。

「アナログ回線交換網又はISDN回線交換網に接続された複数のFEP(Front End Processor)であって、
FEPは、ホストコンピュータから転送されてくる新たなシステムプログラムを受信する伝送インタフェース回路85、受信した新たなシステムプログラムを格納する蓄積装置84、CPU82を備え、
FEPは、新たなシステムプログラムが伝送インタフェース回路85で受信された後、蓄積装置84に格納されて再起動されると、ディスプレイ装置92に問い合わせメッセージを表示し、
表示された問い合わせメッセージに対して、バージョンアップを許可する旨の指示を保守担当者が入力すると、現行のシステムプログラムを新バージョンのシステムプログラムに置き換える
ことを特徴とするFEP。」

(い)判断
甲第1号証には、
「本発明は、比較的低コストな加入者局であって、システムオペレータの制御下でのみ付加的機能を得ることができ、しかも設置にサービスマンの手を煩わすことのない加入者局を提供するものである。
概略的に述べると、本発明の装置では、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要な“インテリジェンス”がケーブル分配ヘッドエンドからダウンロードされ、ケーブル分配ヘッドエンドはまた、この“インテリジェンス”を随時後述のものに修正することができる。このように、加入者局がデータを取得する能力はシステム管理会社に完全に制御されることになる。」(5頁右下欄1?15行)
と記載されており、 甲第1発明1は、ケーブル分配ヘッドエンドが加入者局を完全に制御するものである。
一方、上記(あ-1)のとおり、汎用のコンピュータにおいて、ダウンロードされたソフトウエアをインストールするために、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させることは周知技術を認められる。
しかしながら、甲第1発明1のテレビジョン・システムにおいて、ダウンロードされたソフトウエアをインストールするために、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させることは周知技術とは認められないし、甲第1発明1のテレビジョン・システムに、汎用のコンピュータにおける、ダウンロードされたソフトウエアをインストールする必要があるとは、甲第1号証の記載から認めることはできず、それゆえ、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させる技術を適用する動機付けがあるとは認められない。
したがって、訂正発明1は、甲第1発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

また、甲第12発明は、「表示された問い合わせメッセージに対して、バージョンアップを許可する旨の指示を保守担当者が入力すると、現行のシステムプログラムを新バージョンのシステムプログラムに置き換える」から相互作用するものであるが、バージョンアップを許可する旨の指示を入力しない場合は、バージョンアップせず、現状を維持するものと認められる。
そうすると、甲第1発明1に甲第12発明を適用すると、ケーブル分配ヘッドエンドが加入者局を制御するという甲第1発明1の目的を達成できなくなるから、甲第1発明1に甲第12発明を適用する動機付けはないと言うべきである。
したがって、訂正発明1は、甲第1発明1、甲第12発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

か まとめ
訂正発明1は、甲第1発明1及び、周知技術又は甲第12発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

(c) 進歩性その2
あ 甲第1号証の記載
甲第1号証の記載は、上記(b)あ、のとおりである。

い 甲第1号証に記載された発明
(あ)双方向性CATV同軸ケーブル分配システム
甲第1号証には、
「本発明は、送信ネットワークを通じて複数の加入者にテレビジョン信号、情報信号あるいはデータ信号を提供するシステムに関し、特に特定の加入者、加入者群、又は全加入者であって、送信ネットワークに共通に接続されている者に上記のような信号を提供するシステムに関する。」(5頁右上欄2?7行、上記(b)あ(あ))、
「第1図は、本発明によるケーブルシステムを表す。CATV同軸ケーブル分配システム100のよく知られた単方向性(又は双方向性)樹状形式は、その枝に複数個の加入者局101を接続している。」(7頁左下欄8?12行、上記(b)あ(く))、
と記載されているから、甲第1号証には「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」が記載されている。

(い)複数個の加入者局
甲第1号証には、
「第1図は、本発明によるケーブルシステムを表す。CATV同軸ケーブル分配システム100のよく知られた単方向性(又は双方向性)樹状形式は、その枝に複数個の加入者局101を接続している。1つの加入者局101Aについて詳細に示すと、それにはテレビジョンセット102とキーパッド103が接続されている。テレビジョンセット102は加入者用のディスプレイを備えている。」(7頁左下欄8行?16行、上記(b)あ(く))、
と記載されているから、甲第1号証に記載された「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」では、テレビジョンセット102が接続された加入者局101が複数個接続されている。

(う)加入者局の構成(復調器、データ取得回路、メモリ、CPU)
甲第1号証には、
「第3図は下方向に送信されるデータの受信に関する加入者局の好ましい構成を示すブロック図である。ケーブルの末端からの信号は、ターミナル301を経てダウンコンバータ302へ供給される。」(9頁左下欄11?15行、上記(b)あ(そ))、
「ターミナル301で受信された信号は復調器313の入力端子にも供給される。復調器313はデータ取得回路314にクロック、データ及びプラグ指示信号を供給する。」(10頁右下欄9?12行、上記(b)あ(た))、
と記載されているから、甲第1号証に記載された「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」の加入者局は、データを受信する装置を備えていることは明らかである。

加入者局が受信するデータに関し、甲第1号証には、
「しかしながら、以下の説明ではこの回路の動作を詳細に扱うので、ケーブルシステムからのアドレスを有するデータ信号を必要とする。そのアドレスはローカル加入者局を指定するものである。アドレスをいつでも意のままに変更することができ、そのインテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるこの装置の構造は、本発明の特に有用な概念であると思われる。」(11頁左下欄10?18行、上記(b)あ(と))、
と記載されているから、データ信号は、加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるものである。
そして、「加入者を指定するアドレス」について、「以下の説明ではこの回路の動作を詳細に扱うので、ケーブルシステムからのアドレスを有するデータ信号を必要とする。そのアドレスはローカル加入者局を指定するものである。アドレスをいつでも意のままに変更することができ」と記載されているから、「加入者を指定するアドレス」は、ケーブルシステム、すなわち、ヘッドエンドがつけたものと認められる。

データ取得回路314と関係するメモリに関し、甲第1号証には、
「データ取得回路314と関係するメモリの好ましい形式を第3A図に示す。そのメモリは、DACバッファ、待機ページバッファ、ダウンロードされたソフトウェアを蓄積する領域、入出力ソフトウェア用の領域、選択テーブル領域、及び他の入出力ソフトウェアとリードオンメモリ(ROM)部分のための領域に分割されている。」(12頁左下欄4?10行、上記(b)あ(ね))
と記載されているから、データ取得回路314と関係するメモリは、ダウンロードされたソフトウェアを蓄積する領域を有している。

CPU324に関し、第3図より、前記加入者局はCPU324を備えており、さらに甲第1号証には、
「ADCバスに供給されるデータ信号はCPUにより制御され、入出カポート回路325を通じてダウンコンバータ302、アンスクランブラー304、減衰器305及びリレー326を制御する。更に、遠隔キーパッドからインタフェイス328により受信されたデータ信号は、I/Oポート回路325を通ってADCバスに送られ、CPUにより処理される。」(11頁左下欄2?9行、上記(b)あ(て))、
と記載されているから、CPU324は、加入者局を制御するものである。

(え)インテリジェンス
甲第1号証には、
「概略的に述べると、本発明の装置では、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要な“インテリジェンス”がケーブル分配ヘッドエンドからダウンロードされ、ケーブル分配ヘッドエンドはまた、この“インテリジェンス”を随時後述のものに修正することができる。このように、加入者局がデータを取得する能力はシステム管理会社に完全に制御されることになる。ローカル加入者がデータを入手できる能力は、ケーブル分配システムヘッドエンドの意志により変動する。その結果、表示することのできるプログラム、または有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみである。例えば、選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになるが、他のプログラムを得たり、他のチャンネルを制御することはできない。これらのプログラムは、ヘッドエンドから必要に応じて変更することができる。」(5頁右下欄5行?6頁左上欄8行、上記(b)あ(え))、
「しかしながら、以下の説明ではこの回路の動作を詳細に扱うので、ケーブルシステムからのアドレスを有するデータ信号を必要とする。そのアドレスはローカル加入者局を指定するものである。アドレスをいつでも意のままに変更することができ、そのインテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるこの装置の構造は、本発明の特に有用な概念であると思われる。」(11頁左下欄10?18行、上記(b)あ(と))、
と記載されているから、インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものである。

また、甲第1号証には、
「概略的に述べると、本発明の装置では、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要な“インテリジェンス”がケーブル分配ヘッドエンドからダウンロードされ、ケーブル分配ヘッドエンドはまた、この“インテリジェンス”を随時後述のものに修正することができる。・・・その結果、・・・有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみである。例えば、選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになるが、他のプログラムを得たり、他のチャンネルを制御することはできない。これらのプログラムは、ヘッドエンドから必要に応じて変更することができる。」(5頁右下欄5行?6頁左上欄8行、上記(b)あ(え))、
「しかしながら、以下の説明ではこの回路の動作を詳細に扱うので、ケーブルシステムからのアドレスを有するデータ信号を必要とする。そのアドレスはローカル加入者局を指定するものである。アドレスをいつでも意のままに変更することができ、そのインテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるこの装置の構造は、本発明の特に有用な概念であると思われる。」(11頁左下欄10?18行、上記(b)あ(と))、
と記載されており、「インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)」の記載から、インテリジェンスには動作プログラムがあり、「有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラム」は、「特定の加入者局機器」の動作プログラムといえるから、インテリジェンスの例には、「有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラム」があると認められ、該プログラムは、「全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであ」り、「選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになる」。

(お)甲第1号証に記載の発明
以上より、甲第1号証には、インテリジェンスに着目すれば、次の発明(以下「甲第1発明2」という。)が記載されていると認められる。

「双方向性CATV同軸ケーブル分配システムであって、
双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセット102が接続された加入者局101が複数個接続されており、
前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え、
CPU324は、加入者局を制御するものであり、
データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードできるものであり、
データ取得回路314と関係するメモリは、ダウンロードされたソフトウェアを蓄積する領域を有し、
インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、
インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであり、
選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになる
ことを特徴とする双方向性CATV同軸ケーブル分配システム。」

う 訂正発明1と甲第1発明2との対比
訂正発明1と甲第1発明2とを対比する。

(あ)1A「ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システム」

(あ-1)「ソフトウエアの更新情報」
甲第1発明2における「インテリジェンス」は、「ダウンロードされる」ものである。
また、「インテリジェンスの例」である「制御プログラム」は、「ダウンロードされる」ことによって、プログラムが追加されるものである。
そして、「インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり」、プログラムはソフトウエアといえ、上記(a)い(あ)(あ-2)のとおり、「ソフトウエアの更新情報」は、提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新するための情報であり、この情報で更新しようとするソフトウエアを更新(更新、追加)した結果として、機能が提供されることになる情報であり、甲第1発明2における「インテリジェンスの例」である「制御プログラム」は、「あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになる」という機能を実現するためのソフトウエアを更新(更新、追加)するための情報であり、この情報で更新しようとするソフトウエアを更新(更新、追加)した結果として、機能が提供されることになる情報であるから、甲第1発明2における「インテリジェンス」は、「ソフトウエアの更新情報」といえる。

(あ-2)「テレビジョン・システム」
甲第1発明2は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」であり、「テレビション・システム」といえる。また、上記(あ-1)のとおり、「インテリジェンス」は「ソフトウエアの更新情報」といえ、甲第1発明2において、「インテリジェンス」は、ダウンロードされるから、ダウンロード可能であり、甲第1発明2は、「ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システム」といえる。

(あ-3)まとめ
以上より、甲第1発明2は、「ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システム」といえる。

(い)1B「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置」

甲第1発明2は、「前記双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセツト102が接続された加入者局が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え」るものであり、加入者局はデータを受信する装置を備えているから、受信装置といえ、加入者局にはテレビジョンセットが接続されているから、受信装置はテレビジョン受信機からなるといえる。また、加入者局は複数あるから、甲第1発明2は、「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機とからなる、複数の受信装置」を備えているといえる。
したがって、甲第1発明2は、「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置」を備えているといえる。

(う)1C「前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機」

甲第1発明2は、「前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え、」「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘツドエンドからの制御によりダウンロードできるものであり、」「インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみである」る。また、上記(あ)(あ-1)のとおり、「インテリジェンス」は、「ソフトウエアの更新情報」といえる。
甲第1発明2の「データを受信する装置」は、「受信機」といえ、甲第1発明2は、「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘツドエンドからの制御によりダウンロードできるものであり、」「インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであ」り、「加入者局を指定するアドレス」は「複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子」といえ、上記(あ)(あ-1)のとおり、「インテリジェンス」は、「ソフトウエアの更新情報」といえ、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得るから、甲第1発明2は、「前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機」を備えているといえる。

(え)1D「前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリ」

甲第1発明2においては、「データ取得回路314と関係するメモリは、ダウンロードされたソフトウエアを蓄積する領域を有し」ている。
甲第1発明2における「インテリジェンス」が、「ソフトウエアの更新情報」といえることは上記(あ)(あ-1)のとおりであり、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得、甲第1発明2において、「インテリジェンスの例には、・・・特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであ」るから、甲第1発明2の「メモリ」は、「前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリ」といえる。

(お)1E「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」

(お-1)「プロセッサ」
上記(い)のとおり、甲第1発明2は、「前記双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセツト102が接続された加入者局が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え」るものであり、甲第1発明2は、「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置」を備えているといえる。
そして、甲第1発明2は、「CPU324」を備えているので、「プロセッサ」を備えているといえ、その「プロセッサ」は、「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサ」といえる。
また、甲第1発明2において、「CPU324は、加入者局を制御するものであ」り、「CPU324」は、「前記メモリ」、「前記受信機」を制御するから、「前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合して」いるといえる。

(お-2)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」

(A)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する 」
甲第1発明2は、「インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであり、選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになる」ものである。
インテリジェンスには、制御プログラムがあり、「選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになる」から、インテリジェンス(制御プログラム)をダウンロードすると、インテリジェンス(制御プログラム)が使えるようになる。
「インテリジェンス」が「ソフトウエアの更新情報」といえることは、上記(a)い(あ)(あ-2)のとおりであり、「ソフトウエアの更新情報」を「実装」するとは、上記(a)い(い)(い-3)のとおり、提供される機能を実現するためのソフトウエアを更新するための情報が受信装置に組み込まれて、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになるという機能が実現されて提供されるようになることである。
上記のとおり、甲第1発明2においては、「インテリジェンスの例」である「制御プログラム」は、機能を実現するために加入者局に組み込まれて使えるようになっており、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する 」といえる。

(B)「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」
「前記データ」は、構成要件1Cにおける受信機で受信され、構成要件1Dにおけるメモリに記憶される「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」である。
「インテリジェンスの例」である「制御プログラム」が「ソフトウエアの更新情報」といえることは、上記(あ)(あ-1)のとおりであり、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得る。
そして、甲第1発明2が構成要件1C、構成要件1Dを備えていることは、上記(う)、(え)のとおりであり、甲第1発明2は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する 」といえることは、上記(A)のとおりであるから、甲第1発明2は、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」といえる。

(C)「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」
上記(お-1)のとおり、甲第1発明2における「CPU324」は、プロセッサであって、「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられた」ものであり、「前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合して」いるものであり、上記(B)のとおり、甲第1発明2は、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」ものといえ、この動作は、「CPU324」により行われているといえる。
したがって、甲第1発明2は、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」を備えているといえる。

(D)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」
上記(C)のとおり、甲第1発明2は、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」を備えているといえる。
しかしながら、甲第1発明2における「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して」、実装するものではないから、訂正発明1と相違する。

(お-3)まとめ
以上のとおり、甲第1発明2は、「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」を備えている。
しかしながら、甲第1発明2における「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して」、実装するものではないから、訂正発明1と相違する。

(か)1F「を備え、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システムテレビジョン・システム」

甲第1発明2は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」であり、「テレビション・システム」といえる。
しかしながら、甲第1発明2は、「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後、ユーザとの相互作用を必要とする」ものではなく、訂正発明1と相違する。

え 一致点、相違点
以上より、訂正発明1と甲第1発明2との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、
前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備えていることを特徴とするテレビジョン・システム。

(相違点1)
「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」が、
本件特許発明1においては、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、」「・・・実装する」のに対し、
甲第1発明2においては、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、」「・・・実装する」ものではない点。

(相違点2)
訂正発明1が
「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とする」のに対し、甲第1発明2はそうではない点。

お 判断
(あ)相違点1について
(あ-1)甲第2号証
(A)甲第2号証の記載

〈産業上の利用分野〉
(Aあ)「本発明は、一般のマイクロコンピュータ装置、あるいはキャプテン受信機等のマイクロコンピュータ装置を内蔵した装置に関する。」(1頁左下欄13?15行)

〈従来技術〉
(Aい)「ところが上述の装置において、時として装置の出荷後に基本プログラムに欠陥(バグ)が発見されることがある。また後日に、使用者の要求などによって機能向上(バージョンアップ)を行う必要が生じることがある。
その場合に従来は、欠陥が補修されたり、バージョンアップされた基本プログラムのROM(102')を作成し、これを使用者に配布して従前のROM(102)と交換させることが行われている。
しかしながらこのようなやり方では、ROM(102')の作成、使用者への流通等の経費が極めて多くかかり、またROM(102)の交換を使用者の手で行わせるために信頼性が極めて低下するおそれがあった。
またいわゆるキャプテン受信機などにおいてもマイクロコンピュータが内蔵されて機能が行われているが、その場合にもシステムの改善などによって機能の基本プログラムが変更される場合がある。」(1頁右下欄12行?2頁左上欄10行)

〈発明が解決しようとする問題点〉
(Aう)「従来の装置では、バージョンアップ等を行う際にROMを交換しなければならないために、そのための経費や、作業による信頼性の低下などの問題点があった。」(2頁右上欄15?18行)

〈作用〉
(Aえ)「この装置によれば、バージョンアップ等の際にROMを交換する必要がないので、流通等の経費が少なくてすみ、信頼性の低下のおそれもない。」(2頁左下欄9?11行)

〈実施例〉
(Aお)「ところでいわゆるパーソナルコンピュータにおいて、電話回線等の通信回線との接続が可能になってきている。またキャプテン受信機は元より通信回線と接続されている。
そこで第1図において、CPU(1)と、このCPU(1)に接続されたCPUバス(2)が設けられ、このCPUバス(2)にROM(3)、RAM(4)、I/Oコントローラ(5)が接続されると共に、いわゆるEPROM等の書替可能な不揮発メモリ(6)がCPUバス(2)に接続される。
さらに通信回線(10)が通信回線インターフェイス(11)を通じてデータ変換回路(12)に接続されると共に、インターフェイス(11)からの信号が通信回路制御回路(13)に供給されて上述のデータ変換回路(12)等が制御され、このデータ変換された信号がインターフェイス回路(14)を通じてメモリ書替制御回路(15)に供給される。またCPUバス(2)からの信号がCPUインターフェイス(16)を通じて制御回路(15)に供給され、この制御回路(15)からの信号によりメモリ(6)の内容が書替られる。
そしてこの装置において、基本プログラムはメモリ(6)に収容されると共に、ROM(3)には例えば第2図のフローチャートに示すようなプログラムが収容される。図において電源投入等でプログラムがスクートされるとステップ〔1〕で回線(10)を通じて基本プログラム更新の要求が成されているか判断され、ステップ〔2〕で使用者から基本プログラム更新の要求が成されているか判断される。そして共にノーのときはステップ〔3〕で既存のメモリ(6)の基本プログラムに従ってシステムがスタートされる。また、ステップ〔1〕、〔2〕のいずれかがイエスのときは、ステップ〔4〕で基本プログラムの更新(書替)が実行され、ステップ〔5〕で更新の終了が判断され、更新が終了すると、ステップ〔6〕で更新されたメモリ(6)の基本プログラムに従ってシステムがスタートされる。」(2頁左下欄13行?3頁左上欄10行)

(Aか)「こうしてパーソナルコンピュータ等の動作が行われるわけであるが、上述の装置によれば、バージョンアップ等の基本プログラムの変更が必要の際に、通信回線を使って基本プログラムの書替を自動的に行うことができる。」(3頁左上欄11?15行)

(Aき)「さらに第3図はキャプテン受信機に適用した例を示す。この例では出力手段としてのV-RAM(7)、音声出力装置(8)が設けられると共に、回線インターフェイス(11)?インターフェイス回路(14)は既存なので、このインターフェイス回路(14)の出力をI/Oコントローラ(5)とメモリ書替制御回路(15)の両回路に振り分ければよい。これによって、信号処理等の基本プログラムの収容されたメモリ(6)の内容を更新することができる。」(3頁左上欄20行?右上欄8行)

(B)甲第2号証に記載された発明
(B-1)通信回線に接続されたキャプテン受信機
甲第2号証には、
「本発明は、一般のマイクロコンピュータ装置、あるいはキャプテン受信機等のマイクロコンピュータ装置を内蔵した装置に関する。」(1頁左下欄13?15行、上記(Aあ))、
「ところでいわゆるパーソナルコンピュータにおいて、電話回線等の通信回線との接続が可能になってきている。またキャプテン受信機は元より通信回線と接続されている。」(2頁左下欄13?16行、上記(Aお))、
と記載されているから、甲第2号証には、「通信回線に接続されたキャプテン受信機」が記載されている。

(B-2)キャプテン受信機の構成
甲第2号証には、
「そこで第1図において、CPU(1)と、このCPU(1)に接続されたCPUバス(2)が設けられ、このCPUバス(2)にROM(3)、RAM(4)、I/Oコントローラ(5)が接続されると共に、いわゆるEPROM等の書替可能な不揮発メモリ(6)がCPUバス(2)に接続される。
さらに通信回線(10)が通信回線インターフェイス(11)を通じてデータ変換回路(12)に接続されると共に、インターフェイス(11)からの信号が通信回路制御回路(13)に供給されて上述のデータ変換回路(12)等が制御され、このデータ変換された信号がインターフェイス回路(14)を通じてメモリ書替制御回路(15)に供給される。またCPUバス(2)からの信号がCPUインターフェイス(16)を通じて制御回路(15)に供給され、この制御回路(15)からの信号によりメモリ(6)の内容が書替られる。」(2頁左下欄17行?右下欄13行、上記(Aお))、
「さらに第3図はキャプテン受信機に適用した例を示す。この例では出力手段としてのV-RAM(7)、音声出力装置(8)が設けられると共に、回線インターフェイス(11)?インターフェイス回路(14)は既存なので、このインターフェイス回路(14)の出力をI/Oコントローラ(5)とメモリ書替制御回路(15)の両回路に振り分ければよい。これによって、信号処理等の基本プログラムの収容されたメモリ(6)の内容を更新することができる。」(3頁左上欄20行?右上欄8行、上記(Aき))
と記載されているから、キャプテン受信機は、通信回線と接続される通信回線インタフェース(11)、信号処理等の基本プログラムが収容されるメモリ(6)、及びCPU(1)を備える。

(B-3)基本プログラムの更新
甲第2号証には、
「さらに通信回線(10)が通信回線インターフェイス(11)を通じてデータ変換回路(12)に接続されると共に、インターフェイス(11)からの信号が通信回路制御回路(13)に供給されて上述のデータ変換回路(12)等が制御され、このデータ変換された信号がインターフェイス回路(14)を通じてメモリ書替制御回路(15)に供給される。」(2頁右下欄3?9行、上記(Aお))、
「図において電源投入等でプログラムがスクートされるとステップ〔1〕で回線(10)を通じて基本プログラム更新の要求が成されているか判断され、ステップ〔2〕で使用者から基本プログラム更新の要求が成されているか判断される。そして共にノーのときはステップ〔3〕で既存のメモリ(6)の基本プログラムに従ってシステムがスタートされる。また、ステップ〔1〕、〔2〕のいずれかがイエスのときは、ステップ〔4〕で基本プログラムの更新(書替)が実行され、ステップ〔5〕で更新の終了が判断され、更新が終了すると、ステップ〔6〕で更新されたメモリ(6)の基本プログラムに従ってシステムがスタートされる。」(2頁右下欄17行?3頁左上欄10行、上記(Aお))、
「こうしてパーソナルコンピュータ等の動作が行われるわけであるが、上述の装置によれば、バージョンアップ等の基本プログラムの変更が必要の際に、通信回線を使って基本プログラムの書替を自動的に行うことができる。」(3頁左上欄11?15行、上記(Aか))、
「さらに第3図はキャプテン受信機に適用した例を示す。この例では出力手段としてのV-RAM(7)、音声出力装置(8)が設けられると共に、回線インターフェイス(11)?インターフェイス回路(14)は既存なので、このインターフェイス回路(14)の出力をI/Oコントローラ(5)とメモリ書替制御回路(15)の両回路に振り分ければよい。これによって、信号処理等の基本プログラムの収容されたメモリ(6)の内容を更新することができる。」(3頁左上欄20行?右上欄8行、上記(Aき))
と記載されているから、バージョンアップ等の基本プログラムの変更が必要な際、キャプテン受信機のCPU(1)は、回線(10)を通じて基本プログラム更新の要求が成されているか、又は使用者からの基本プログラム更新の要求が成されているかを判断し、いずれかの要求がなされているときは、通信回線インターフェイス(11)が通信回線から受け取る信号により、メモリ(6)に収容される基本プログラムを書き替えて、基本プログラムの更新を実行する。

(B-4)甲第2号証に記載された発明
以上より、甲第2号証には、次の発明(以下「甲第2発明」という。)が記載されていると認められる。

「通信回線に接続されたキャプテン受信機であって、
キャプテン受信機は、通信回線と接続される通信回線インタフェース(11)、信号処理等の基本プログラムが収容されるメモリ(6)、及びCPU(1)を備え、
CPU(1)は、回線(10)を通じて基本プログラム更新の要求が成されているか、又は使用者からの基本プログラム更新の要求が成されているかを判断し、いずれかの要求がなされているときは、通信回線インターフェイス(11)が通信回線から受け取る信号により、メモリ(6)に収容される基本プログラムを書き替えて、基本プログラムの更新を実行する
ことを特徴とするキャプテン受信機。」

(あ-2)甲第3号証
(A)甲第3号証の記載

〈技術分野〉
(Aあ)「本発明は映像およびデータの送受信方式に関する。」(1頁右下欄11?12行)

〈従来技術〉
(Aい)「ビデオゲームはそのゲーム内容が高度化し、また多様化しており、種々のサービスを行なうために、カセットテープレコーダにビデオゲームのソフトウェアの蓄積を行なったり、ソフトウェアごとにカートリッジに記憶してそれをゲームごとに交換する方式がとられている。このような方式では、カートリッジを収容するスペースが必要でカートリッジも個有化し、不経済である。
これを解決する方法として、放送電波、CATV、CCTVでの映像信号にソフトウェアや画像データを重畳させて端末(家庭)に伝送し、端末で相応するソフトウェアを抜き取る方法が考えられる。」(1頁右下欄13行?2頁左上欄4行)

〈目的〉
(Aう)「本発明は、上記の如き背景のもとに、映像信号により伝送されるビデオゲーム等のソフトウェアデータなどを受信処理し、端末でのリフレッシュメモリ出力、外部よりの映像信号、それにリフレッシュメモリ出力を重畳した信号のいずれか1つを端末のキー操作あるいは映像信号により伝送される制御データによる指令でもって切り換えるようになし、これをテレビジョン受像機に組み入れるか、アダプタ化することにより広範囲なテレビジョン利用法を提供する映像およびデータの送受信システムを提案するものである。」(2頁左上欄14行?右上欄4行)

〈実施例〉
(Aえ)「以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。第1図は映像信号の垂直同期区間にデータを重畳させた信号波形を示し、放送局あるいはCATV局からの映像信号(A)以外のデータ信号(B)は映像信号(A)の区間または図示されていないが垂直同期信号(V)もしくは水平同期信号の区間に重畳されて端末に送られて来る。」(2頁右上欄5?11行)

(Aお)「第2図はそのデータフォーマットを示し、ヘッダ部(C)、端末アドレス部(D)、制御部(E)および情報部(F)よりなる。ヘッダ部(C)はnビットの特定のビット系列であり、情報系列の先頭を示す。端末アドレス部(D)はmビットの端末ごとの特定ビット系列であり、これにより端末ごとにソフトウェアプログラムの供給、画像データの伝送ができる。この信号で端末がデータを抜き取る。制御部(E)は、後に続く情報部(F)のデータ長、種類(ソフトウェアプログラムデータか、端末で重畳する画像データか、端末のリフレッシュメモリの一画面分のデータかの種別)、端末での処理方法例えばソフトウェアサービスのときソフトウェアプログラムが受信されれば直ぐにサービスをスタートさせるかあるいは一定時間後(遅延タイムは同時に送られて来る)にスタートさせるかの区別、および端末に設けられているリフレッシュメモリの一画面の出力あるいは外部信号出力(放送波またはCATV信号波)、もしくは外部信号にリフレッシュメモリからの出力を重畳した映像出力の内の1つをテレビジョン受像機に出力するための選択信号を含んでいる。情報部(F)は制御部(E)で指定される任意長のビットを有し、ソフトウェアプログラムデータあるい端末で重畳する画像データもしくは端末のリフレッシュメモリの一画面分のデータである。」(2頁右上欄12行?左下欄17行)

(Aか)「第3図は端末の構成図である。(1)はRFコンバータ、(2)は映像信号(A)からデータ信号(B)を抜き取るデータ抜き取り回路、(3)はマイクロコンピュータで構成した処理回路、(4)はビデオRAMで構成した1画面分のリフレッシュメモリ、(5)は3入力1出力の映像および音声のスイッチャー、(6)はリフレッシュメモリ(4)からの画像データ出力と外部信号の映像信号を重畳する回路、(7)はRFコンバータ、(8)は同期分離回路、(9)はキーボード、(10)は電話線との接続用のインターフェイス回路で、音響カップラまたはモデムから構成されている。」(2頁左下欄18行?右下欄8行)

(Aき)「第4図はキーボード(9)の構成図である。(11)はTELキーで、このキーの押下により放送局またはCATV局と接続される。(12)はプログラムキーで、後述するヘキサキー(18)を用いてプログラムが可能となるモードに端末がセットされる。従ってこのキーの押下後はヘキサキー(18)によりプログラムを作成し、プログラムを実行することができる。」(2頁右下欄11?17行)

(Aく)「放送局またはCATV局等に映像およびデータの送出を要求するとき、もしくは送出方法を要求するとき、TELキー(11)を押下した後、置数キー(17)により定められた手続きで、データを送出する。
端末でプログラムを作成するときは、プログラムキー(12)を押下した後、ヘキサキー(18)、アドレスキー(20)、データストアキー(21)によりプログラムを処理回路(3)のメモリに格納し、プログラムスタートキー(23)によりプログラムを実行する。端末で受信モードすなわちテレビジョン受像機への映像出力モードをセットしたいときは、モードセレクトキー(13)を押下した後、(14)?(16)のキーを押して重畳信号か、外部信号か、リフレッシュメモリ出力かを選択する。」(3頁左上欄14行?右上欄7行)

(Aけ)「次に第3図の回路の動作を説明する。キーボード(9)のTELキー(11)の押下により処理回路(3)は放送局またはCATV局等とのデータリンクを形成する。置数キー(17)に続いて送出キー(22)を押下することにより、局からの映像の種類、または送出方法のリクエストを行なう(ソフトウェアの番号のリクエストやその送出の仕方)。これにより送出される放送波、CATV波等の外部信号は、それがRF信号であれば、RFコンバータ(1)でベースバンドの映像音声信号に変換され、1つは映像信号(A)に重畳されているデータ信号(B)を抜き取るためにデータ抜取り回路(2)に導かれ、デコードされる。その出力は処理回路(3)に入力され、処理回路(3)は自己端末アドレスと受信信号の端末アドレス部(C)の端末アドレスとを照合する。アドレスが一致しておれば、後続のデータを解読する。ソフトウェアデータならば、処理回路(3)のマイクロコンピュータのメモリに制御部(E)で指定された番地から順次格納する。制御部(E)が即時スタートを指示していれば、スイッチャー(5)の入力をV1に切換え、命令カウンタに開始番号をセットして起動をかける。これによりビデオゲーム等のサービスがテレビジョン受像機に出力される。」(3頁右上欄8行?左下欄10行)

(Aこ)「端末での受信モード(スイッチャーの入力)として、外部信号からのデータを優先するか、端末からのキーボード入力を優先するかは、端末の処理回路(3)のコンピュータの処理プログラムによる。」(3頁左下欄18行?右下欄2行)

(Aさ)「第5図は端末での受信処理のフローチャートで、以下これに基づいて端末の動作を説明する。第3図のデータ抜取り回路(2)から処理回路(3)のマイクロコンピュータヘ常に復号されたデータが入力される。処理回路(3)で第2図のヘッダ部(C)が認識されると伝送テキストの頭出しと見倣して、受信態勢に入り、前述の如く自己の端末アドレスと伝送されて来た端末アドレスを比較し、一致したら後続のデータをメモリに取り込むようにデータ受信処理する。次に制御部(E)に入っているデータ長、情報の種類、スタート時期、映像出力の方法等の情報に基づいて処理を振り分ける。そしてリフレッシュメモリ用の一両面データならばそのデータをコード変換等してリフレッシュメモリ(4)に転送し、またスイッチャー(5)をV1に切換える。重畳用のデー夕ならばコード変換等を行なってリフレッシュメモリ(4)に転送し、スイッチャー(5)をV2に切り換える。ソフトウェアプログラムのデータのときはキーボード(9)のプログラム転送終フランプ(25)を点灯する。そしてプログラム実行を即時に行う指令が来ていると、プログラム転送終了ランプ(25)を消灯し、スイッチャー(5)の入力をV1に切換え、プログラムを実行する。タイマースタートのときは指令された遅延タイムの後、ランプ(25)を消灯し、スイッチャー(5)の入力をV1に切換えてプログラムを実行する。キー入カモードのときはキーボード(9)のプログラムスタートキー(23)が押下されるまで待機し、入力された時点からプログラムを実行する。」(3頁右下欄4行?4頁左上欄12行)

〈効果〉
(Aし)「以上本発明によれば、外部からの、一方向またはキーボードよりリクエストした到来信号に、ソフトウェアプログラムデータまたは画像データを重畳し、それを端末で受信復号したときに、到来信号の指令に基づき端末の映像出力を切り換えるので、テレビジョン受像機に多彩な映像サービスを行わせることができ、しかもこれを簡易なマイクロコンピュータシステムにデータ抜取り回路を付加するだけで容易に構成できるものである。」(4頁左上欄15行?右上欄3行)

(B)甲第3号証に記載された発明
(B-1)映像およびデータの送受信システム
甲第3号証には、
「本発明は、上記の如き背景のもとに、映像信号により伝送されるビデオゲーム等のソフトウェアデータなどを受信処理し、端末でのリフレッシュメモリ出力、外部よりの映像信号、それにリフレッシュメモリ出力を重畳した信号のいずれか1つを端末のキー操作あるいは映像信号により伝送される制御データによる指令でもって切り換えるようになし、これをテレビジョン受像機に組み入れるか、アダプタ化することにより広範囲なテレビジョン利用法を提供する映像およびデータの送受信システムを提案するものである。」(2頁左上欄14行?右上欄4行、上記(Aう))、
と記載されているから、甲第3号証に記載された「映像およびデータの送受信システム」は、映像信号により伝送されるビデオゲーム等のソフトウェアを受信処理するものである。

(B-2)複数のテレビジョン受像機
甲第3号証には、
「第1図は映像信号の垂直同期区間にデータを重畳させた信号波形を示し、放送局あるいはCATV局からの映像信号(A)以外のデータ信号(B)は映像信号(A)の区間または図示されていないが垂直同期信号(V)もしくは水平同期信号の区間に重畳されて端末に送られて来る。」(2頁右上欄6?11行、上記(Aえ))、
「第3図は端末の構成図である。(1)はRFコンバータ、(2)は映像信号(A)からデータ信号(B)を抜き取るデータ抜き取り回路、(3)はマイクロコンピュータで構成した処理回路、(4)はビデオRAMで構成した1画面分のリフレッシュメモリ、・・・(9)はキーボード・・・から構成されている。」(2頁左下欄18行?右下欄8行、上記(Aか))、
「外部からの、・・・キーボードよりリクエストした到来信号に、ソフトウェアプログラムデータ・・・を重畳し、それを端末で受信復号したときに、到来信号の指令に基づき端末の映像出力を切り換えるので、テレビジョン受像機に多彩な映像サービスを行わせることができ、しかもこれを簡易なマイクロコンピュータシステムにデータ抜取り回路を付加するだけで容易に構成できるものである。」(4頁左上欄15行?右上欄3行、上記(Aし))、
「本発明は、・・・映像信号により伝送されるビデオゲーム等のソフトウェアデータなどを受信処理し、・・・端末のキー操作あるいは映像信号により伝送される制御データによる指令でもって切り換えるようになし、これをテレビジョン受像機に組み入れるか、アダプタ化することにより広範囲なテレビジョン利用法を提供する映像およびデータの送受信システムを提案するものである。」(2頁左上欄14行?右上欄4行、上記(Aう))、
と記載されているから、甲第3号証に記載された「映像およびデータの送受信システム」は、CATV局からの信号を端末で受信する機能等をテレビジョン受信機に組み入れている。また、CATV(ケーブルテレビ)であるから、複数のテレビジョン受信機を備えているといえる。

(B-3)端末(アドレス、ソフトウェア、メモリ、処理装置)
「第3図は端末の構成図」(2頁左下欄18行、上記(Aか))であり、
「次に第3図の回路の動作を説明する。キーボード(9)のTELキー(11)の押下により処理回路(3)は放送局またはCATV局等とのデータリンクを形成する。置数キー(17)に続いて送出キー(22)を押下することにより、局からの映像の種類、または送出方法のリクエストを行なう(ソフトウェアの番号のリクエストやその送出の仕方)。これにより送出される放送波、CATV波等の外部信号は、それがRF信号であれば、RFコンバータ(1)でベースバンドの映像音声信号に変換され、1つは映像信号(A)に重畳されているデータ信号(B)を抜き取るためにデータ抜取り回路(2)に導かれ、デコードされる。その出力は処理回路(3)に入力され、処理回路(3)は自己端末アドレスと受信信号の端末アドレス部(C)の端末アドレスとを照合する。アドレスが一致しておれば、後続のデータを解読する。ソフトウェアデータならば、処理回路(3)のマイクロコンピュータのメモリに制御部(E)で指定された番地から順次格納する。制御部(E)が即時スタートを指示していれば、スイッチャー(5)の入力をV1に切換え、命令カウンタに開始番号をセットして起動をかける。これによりビデオゲーム等のサービスがテレビジョン受像機に出力される。」(3頁右上欄8行?左下欄10行、上記(Aけ))、
と記載されているから、端末は、キーボード(9)を用いて、ソフトウェアの番号のリクエストを行い、これにより送出されるCATV波等の外部信号は、それがRF信号であれば、RFコンバータでベースバンドの映像音声信号に変換され、1つの映像信号(A)に重畳されているデータ信号(B)を抜き取るためにデータ抜取り回路(2)に導かれ、デコードされ、その出力は処理回路(3)に入力され、処理回路(3)は自己端末アドレスと受信信号の端末アドレス部(C)の端末アドレスとを照合し、アドレスが一致しておれば、後続のデータを解読し、ソフトウェアデータならば、処理回路(3)のマイクロコンピュータのメモリに制御部(E)で指定された番地から順次格納し、制御部(E)が即時スタートを指示していれば、スイッチャー(5)の入力をV1に切換え、命令カウンタに開始番地をセットして起動をかけ、これによりビデオゲーム等のサービスがテレビジョン受像機に出力されるものである。
このような端末の動作は、第5図にフローチャートとして示されており(上記(Aさ))、また、「端末での受信モード(スイッチャーの入力)として、外部信号からのデータを優先するか、端末からのキーボード入力を優先するかは、端末の処理回路(3)のコンピュータの処理プログラムによる。」(3頁左下欄18行?右下欄2行、上記(Aこ))と記載されていることから、端末の処理回路(3)は処理プログラムにより動作するものである。そうすると、第5図に示されている受信処理のフローチャートの上記端末の動作は、端末の処理回路(3)の処理プログラムにより動作するものといえる。

(B-4)甲第3号証に記載された発明
以上より、甲第3号証には、次の発明(以下「甲第3発明」という。)が記載されている。

「映像信号により伝送されるビデオゲーム等のソフトウェアを受信処理する映像およびデータの送受信システムにおいて、
複数のテレビジョン受像機と、
テレビジョン受像機に組み入れられた端末と、
備え、
端末は、処理プログラムにより、キーボード(9)を用いて、ソフトウェアの番号のリクエストを行い、これにより送出されるCATV波等の外部の信号は、それがRF信号であれば、RFコンバータでベースバンドの映像音声信号に変換され、1つは映像信号(A)に重畳されているデータ信号(B)を抜き取るためにデータ抜取り回路(2)に導かれ、デコードされ、その出力は処理回路(3)に入力され、処理回路(3)は自己端末アドレスと受信信号の端末アドレス(C)の端末アドレスとを照合し、アドレスが一致しておれば、後続のデータを解読し、ソフトウェアデータならば、処理回路(3)のマイクロコンピュータのメモリに制御部(E)で指定された番地から順次格納し、制御部(E)が即時スタートを指示していれば、スイッチャー(5)の入力をV1に切換え、命令カウンタに開始番地をセットして起動をかけ、これによりビデオゲーム等のサービスがテレビジョン受信機に出力される
ことを特徴とする映像およびデータの送受信システム。」

(あ-3)判断
甲第2発明は、「使用者からの基本プログラム更新の要求が成されている・・・ときは、・・・基本プログラムの更新を実行する」ものであり、「基本プログラムの更新を実行する」ことは、基本プログラムが組み込まれて使えるようになっており、実装されていると認められ、甲第3発明は、「映像信号により伝送されるビデオゲーム等のソフトウェアを受信処理する映像およびデータの送受信システムにおいて、・・・端末は、処理プログラムにより、キーボード(9)を用いて、ソフトウェアの番号のリクエストを行」い、「これによりビデオゲーム等のサービスがテレビジョン受信機に出力される」ものであり、「ビデオゲーム等のソフトウェア」が組み込まれて使えるようになっており、「ビデオゲーム等のソフトウェア」が実装されていると認められる。すなわち、甲第2発明、甲第3発明は、機器を用いて要求、リクエストして、機能(基本プログラムの更新、ビデオゲーム等のサービス)を追加するものと認められる。
また、甲第1号証には、従来の技術として、「所定の機能、例えば、ビデオゲームプログラムをダウンロードする能力、情報やデータサービスの異なるレベルをダウンロードする能力、有料T.V.デスクランブラを動作させうる能力、他の方法では見ることのできないテレビジョンチャンネルを見ることができる能力など、を備えた加入者局はコスト高になることがわかってきた。もし加入者局が最低限度の機能しか備えていない場合、機能を拡張しようとすれば、付加機能のための差込みモジュールを購入するか、ケーブル分配会社からサービスマンを派遣してもらってその加入端末に付加機能を行う機器を取り付けてもらわなければならない。」(5頁左下欄4?16行、上記(b)あ(い))と記載されており、有料T.V.デスクランブラを動作させうる能力等の機能を拡張するために、購入することが記載されている。また、機能を拡張するために、「ケーブル分配会社からサービスマンを派遣してもら」うことが記載されており、このことは、加入者局からの要請が必要なことが明らかである。
そうすると、甲第1号証には、ユーザ(加入者局)の購入や要請により、機能が拡張することの示唆があると認められる。
甲第2発明、甲第3発明は、機器を用いて要求、リクエストして、機能を追加するものであるところ、上記のとおり、甲第1号証には、ユーザ(加入者局)の購入や要請により、機能が拡張することの示唆があるから、甲第1発明2の機器において、購入・要請をヘッドエンドに行うようにするとは、容易に想到され、そのようにすると、ヘッドエンドはユーザ要求に従って番地を付与して必要なインテリジェンスを要求したユーザに与え、それに従ってプロセッサが実装を行うことになり、インテリジェンスの実装は、ソフトウエアの更新情報の実装であり、ソフトウエアの更新情報の実装はその結果として実現される機能と一体不可分であり、ユーザ要求は、機能をユーザ要求することであるから、機能のユーザ要求は、その機能を実現するためのソフトウエアの更新情報を実装する「旨」の指示となっている。

したがって、甲第1発明2に甲第2発明又は甲第3発明に適用して、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(い)相違点2について
(い-1)周知技術
周知技術は、上記(b)お(あ)(あ-1)のとおりである。

(い-2)甲第12号証
(A)甲第12号証の記載
甲第12号証の記載は、上記(b)お(あ-2)(A)のとおりである。

(B)甲第12号証に記載された発明
甲第12号証に記載された発明は、上記(b)お(あ-2)(B)のとおりである。

(い-3)判断
甲第1号証には、
「本発明は、比較的低コストな加入者局であって、システムオペレータの制御下でのみ付加的機能を得ることができ、しかも設置にサービスマンの手を煩わすことのない加入者局を提供するものである。
概略的に述べると、本発明の装置では、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要な“インテリジェンス”がケーブル分配ヘッドエンドからダウンロードされ、ケーブル分配ヘッドエンドはまた、この“インテリジェンス”を随時後述のものに修正することができる。このように、加入者局がデータを取得する能力はシステム管理会社に完全に制御されることになる。」(5頁右下欄1?15行)
と記載されており、 甲第1発明2は、ケーブル分配ヘッドエンドが加入者局を完全に制御するものである。
一方、上記(い-1)のとおり、汎用のコンピュータにおいて、ダウンロードされたソフトウエアをインストールするために、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させることは周知技術を認められる。
しかしながら、甲第1発明2のテレビジョン・システムにおいて、ダウンロードされたソフトウエアをインストールするために、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させることは周知技術とは認められないし、甲第1発明2のテレビジョン・システムに、汎用のコンピュータにおける、ダウンロードされたソフトウエアをインストールする必要があるとは、甲第1号証の記載から認めることはできず、それゆえ、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させる技術を適用する動機付けがあるとは認められない。
したがって、訂正発明1は、甲第1発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

また、甲第12発明は、「表示された問い合わせメッセージに対して、バージョンアップを許可する旨の指示を保守担当者が入力すると、現行のシステムプログラムを新バージョンのシステムプログラムに置き換える」から相互作用するものであるが、バージョンアップを許可する旨の指示を入力しない場合は、バージョンアップせず、現状を維持するものと認められる。
そうすると、甲第1発明2に甲第12発明を適用すると、ケーブル分配ヘッドエンドが加入者局を制御するという甲第1発明1の目的を達成できなくなるから、甲第1発明2に甲第12発明を適用する動機付けはないと言うべきである。
したがって、訂正発明1は、甲第1発明2及び甲第12発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

か まとめ
訂正発明1は、甲第1発明2及び、甲第2発明又は甲第3発明、周知技術又は甲第12発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

(d)まとめ
訂正された請求項1に係る発明は、甲第1号証の記載された発明及び、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。
訂正された請求項1に係る発明は、甲第1号証の記載された発明及び、甲第2号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

B 訂正された請求項2?10
訂正された請求項2?10に係る発明は、訂正された請求項1を引用するものである。請求項1に係る訂正は、特許法第36条第6項第1号、第2号、同条4項第1項に規定する要件を満たし、訂正された請求項1に係る発明は、特許法第29条2項に規定に違反しないことは、上記Aのとおりであり、同じ理由で、請求項2?10に係る訂正のうち、訂正された請求項1を引用する部分は、特許法第36条第6項第1号、第2号、同条4項第1項に規定する要件を満たし、訂正された請求項2?10に係る発明は、特許法第29条2項に規定に違反しない。
他に、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。

(エ)まとめ
以上によれば、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするところ、特許無効審判の請求がされていない請求項に係る上記目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

ウ まとめ
請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、特許無効審判の請求がされていない請求項2?10に係る上記目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
よって、請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き、及び同条第2項、3項、同条9項において準用する同法第126条第5項、第6項、第7項の規定に適合するので適法な訂正と認める。

(2)請求項12に係る訂正
ア 訂正の目的
当該訂正は、「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすること」を追加し、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。

イ 訂正の適合性
(ア)訂正の範囲
当該訂正は、本件特許明細書(全文訂正明細書、甲第10号証)の13頁18行?14頁1行(甲第7号証の特許公報11頁5?28行)の記載を根拠とするものである(記載事項は、上記(1)イ(ア)参照)。
当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正である。

(イ)拡張・変更
当該訂正は、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)まとめ
以上によれば、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ まとめ
請求項12に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、請求項12に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き、及び同条第2項、同条9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので適法な訂正と認める。

(3)請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正の目的
当該訂正は、「前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含む」を追加し、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。

イ 訂正の適合性
(ア)訂正の範囲
当該訂正は、本件特許明細書(全文訂正明細書、甲第10号証)の13頁18行?14頁1行(甲第7号証の特許公報11頁5?28行)に、
「データがテレビジョン、VCR、TVCR又はケーブル・ボックスにダウンロードされて消費者に消費者の注文によるソフトウエアの更新情報が提供されるときには、消費者は、新たなソフトウエアの更新情報を完全に組み入れるために、テレビジョン・システム10と相互作用をしなければならない場合がある。例えば、ソフトウエアの更新情報が消費者のVCRにダウンロードされた後で、別のメールボックス・アイコン120又はオンスクリーン・メッセージを用いて、注文されたソフトウエアの更新情報を実装するにはある種の情報が必要であると消費者に警告が与えられることがある。再び、消費者は、特別のリモコン・ボタン102、104及び106の任意のものを押すことによって、望むときには、相互作用プロセスを開始することができる。マイクロプロセッサ62は、OSDと共に、テレビジョン・スクリーン110上に、一般化されたボタン112、114及び116を用いて、必要な情報を提供することができる。これらのボタンは、必要な情報を、消費者に要請する。消費者は、対応するリモコン上のボタン102、104、及び106を押すことにより、テレビジョン・スクリーン110上の種々の質問に応答する。例えば、ピクチャ・イン・ピクチャ表示における第2のピクチャの配置及び/又は大きさは、ピクチャ・イン・ピクチャ強化タイプのソフトウエアの更新情報に対しては、消費者によって選択される必要がない。さらに、データがダウンロードされて、消費者に1又は複数の新たなソフトウエアの更新情報が提供される際には、(1)新たなソフトウエアの更新情報は、ほとんど瞬時に自動的に表示され、(2)データ又は新たなソフトウエアの更新情報は、消費者がそのソフトウエアの更新情報の表示を要求するまで、一次的に記憶され、そして、(3)複数の新たなソフトウエアの更新情報のためのデータは、ソフトウエアの更新情報群が後で一度に表示されるように記憶されるようにすることができる。必要に応じて、消費者は、リモコン100とテレビジョン・スクリーン110上のプロンプト130とを用いて、新たなソフトウエアの更新情報を表示する複数のモードの中から選択することが可能である。」
と記載されていることを根拠とするものである。
当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正である。

(イ)拡張・変更
当該訂正は、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)独立特許要件
上記アのとおり、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするところ、特許無効審判の請求がされていない請求項に係る上記目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
請求項13?17からなる一群の請求項のうち、特許無効審判の請求がされていない請求項は、請求項14?17である。
独立特許要件の検討に際し、請求項14?17が引用する請求項13について検討し、その後請求項14?17について検討する。

A 訂正された請求項13
a 記載不備
(a)請求人の主張
あ 訂正された本件特許発明13では、「方法」という物理的に実存しない概念が、ユーザと相互作用する内容になっているので、どのようにして「相互作用」が行われるのか不明であり、この点において明確性要件を満たさない。
また、「方法」がユーザと相互作用する内容は、発明の詳細な説明に記載されていないので、この点においてサポート要件及び実施可能要件も満たさない。

い 上記(1)イ(ウ)Aa(a)あ(あ)及び(い)、並びに上記(1)イ(ウ)Aa(a)う、の内容は、訂正された本件特許発明13でも同様である。

(b)当審の判断
あ 訂正された請求項13の記載から、訂正された本件特許発明13(以下「訂正発明13」という。)に係る方法がテレビジョン・システムにおける方法であることは明らかであり、ユーザが相互作用する対象がテレビジョン・システムであることは明らかである。
また、上記(ア)のとおり、訂正発明13は、サポート要件を満たしており、さらに、実施可能要件を満たしていないとまではいえない。

い 上記(1)イ(ウ)Aa(a)あ(あ)及び(い)、並びに上記(1)イ(ウ)Aa(a)う、の判断は、上記(1)イ(ウ)Aa(b)あ(あ)及び(い)、並びに上記(1)イ(ウ)Aa(b)う、のとおりである。

(c)まとめ
請求項13に係る訂正は、請求人が主張する、特許法第36条第6項第1号、第2号、同条4項第1項に規定する要件違反はない。
他に、請求項13に係る訂正が、特許法第36条第6項第1号、第2号、同条4項第1項に規定する要件を満たしていない理由を発見しない。

b 進歩性
(a)訂正発明13
訂正発明13を分説すると次のとおりである。

13A テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、

13B 複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、

13C 前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、

13D 前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、

13E 前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと

13F を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法。

(b)進歩性その1
あ 甲第1号証の記載
甲第1号証の記載は、上記(1)イ(ウ)Ab(b)あ、のとおりである

い 甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、上記(1)イ(ウ)Ab(b)い(き)のとおりの「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」が記載されていると認定でき、この「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」において、「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」をダウンロードする動作を方法の発明として認定できる。
そうすると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲第1発明1’」という。)が記載されていると認められる。

「双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセット102が接続された加入者局101が複数個接続されており、
前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え、CPU324は、加入者局を制御するものである、双方向性CATV同軸ケーブル分配システムにおいて、
サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)及び有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムをダウンロードする方法であって、
データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードし、
データ取得回路314と関係するメモリは、ダウンロードされたソフトウェアを蓄積する領域を有し、
加入者局へ放送される制御プログラムは、番地が指定された加入者局でのみ保持され、特定加入者局を指定する論理アドレスは論理アドレスPROM320に蓄積され、サービスアドレスは、CPU324の制御により選択テーブルメモリ318に蓄積され、
インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、
インテリジェンスの一例には、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがあり、
加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され、アンスクランブル化が施される前提として、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがヘッドエンドにより番地が指定され、ダウンロードされる
方法。」

う 訂正発明13と甲第1発明1’との対比
訂正発明13と甲第1発明1’とを対比する。

(あ)13A「テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法」

甲第1発明1’は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセット102が接続された加入者局101が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え、CPU324は、加入者局を制御するものである双方向性CATV同軸ケーブル分配システムにおいて、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)及び有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムをダウンロードする方法」であり、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」は「テレビジョン・システム」といえ、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、上記(1)イ(ウ)Ab(b)う(あ)(あ-1)のとおり、「ソフトウエアの更新情報」といえるから、甲第1発明1’は、「テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法」といえる。

(い)13B「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」

甲第1発明1’は、「前記双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセツト102が接続された加入者局が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え」るものであり、加入者局はデータを受信する装置を備えているから、受信装置といえ、「加入者局が複数個接続されて」いるから、受信装置は複数あるといえる。

甲第1発明1’においては、「加入者局へ放送される制御プログラムは、番地が指定された加入者局でのみ保持され」、「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードし、」「インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、インテリジェンスの一例には、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがあ」る。また、甲第1発明1’においては、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ」、「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有して」いる。
上記(1)イ(ウ)Ab(b)う(あ)(あ-1)のとおり、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、「ソフトウエアの更新情報」といえ、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得る。「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有して」おり、「ソフトウエアの更新情報」である「インテリジェンス」及び「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」は、ダウンロードされるものであるから、甲第1発明1’は、「データが送信される」ステップを含むといえる。
したがって、甲第1発明1’は、「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」を含むといえる。

(う)13C「前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップ」

甲第1発明1’は、「前記双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセツト102が接続された加入者局が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え」るものであり、加入者局はデータを受信する装置を備えているから、受信装置といえ、「加入者局が複数個接続されて」いるから、受信装置は複数あるといえる。データを受信する装置は「受信機」といえる。
甲第1発明1’においては、「加入者局へ放送される制御プログラムは、番地が指定された加入者局でのみ保持され」、「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロード」し、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され」るから、甲第1発明1’は、「前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップ」を含むといえる。

(え)13D「前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップ」

甲第1発明1’においては、「データ取得回路314と関係するメモリは、ダウンロードされたソフトウエアを蓄積する領域を有し」ている。
甲第1発明1’における「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」が、「ソフトウエアの更新情報」といえることは上記(1)イ(ウ)Ab(b)う(あ)(あ-1)のとおりであり、甲第1発明1’において、「加入者局へ放送される制御プログラムは、番地が指定された加入者局でのみ保持され」るから、甲第1発明1’は、「前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップ」を含むといえる。
また、甲第1発明1’は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され」、「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有して」おり、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」が、「ソフトウエアの更新情報」といえることは、上記(1)イ(ウ)Ab(b)う(あ)(あ-1)のとおりであり、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得、甲第1発明1’において、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され」るから、甲第1発明1’は、「前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップ」を含むといえる。

(お)13E「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」

(お-1)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」

甲第1発明1’は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され、アンスクランブル化が施される前提として、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがヘッドエンドにより番地が指定され、ダウンロードされる」ものであり、「アンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され」るから、有料TVが見られることになっている。すなわち、有料TVを見るためには、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」が必要であり、甲第1発明1’は、有料TVが見られることになっているから、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、有料TVが見られる機能を実現するために加入者局において使用可能になっている。
「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」が「ソフトウエアの更新情報」といえることは、上記(1)イ(ウ)Ab(b)う(あ)(あ-1)のとおりであるから、甲第1発明1’は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ 」を含むといえる。

(お-2)「前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」

「前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データ」は、上記(え)のステップにおいて記憶されたデータであり、その「前記データ」は、上記(う)のステップにおいて受信されたデータであり、その「前記データ」は、上記(い)のステップにおいて送信された「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータ」であって、上記(い)のとおり、「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」及び「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、「ソフトウエアの更新情報」といえ、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得る。
そして、上記(お-1)のとおり、甲第1発明1’は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ 」を含むといえるから、甲第1発明1’は、「前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」を含むといえる。

(お-3)「ユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」

「ユーザの注文/購入」が「ユーザ指示」といえることは、上記(1)イ(ウ)Ab(a)い(う)(う-2)のとおりである。
甲第1発明1’は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され、アンスクランブル化が施される前提として、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがヘッドエンドにより番地が指定され、ダウンロードされる」ものであり、上記(お-1)、(お-2)を踏まえると、「加入者による有料TVの購入によって」、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」を含むといえる。
そして、「加入者による有料TVの購入によって」は、「ユーザ指示によって」といえ、甲第1発明1’は、「ユーザ指示によって」、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」を含むものといえ、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能する」ことは、「ユーザ指示」に応答しているといえる。
したがって、甲第1発明1’は、「ユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」を含むといえる。

(お-4)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」

上記(お-3)のとおり、甲第1発明1’は、「ユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」を含むものといえ、ソフトウエアの更新情報を使用可能にすることはその結果として実現される機能と一体不可分であり、「加入者による有料TVの購入」は、有料TVを見るという機能を注文することであるから、機能の注文は、その機能を実現するためのソフトウエアの更新情報を使用可能にすべき「旨」の指示となっている。
したがって、甲第1発明1’は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」を含むといえる。

(お-5)まとめ
上記(お-1)?(お-4)のとおりであるから、甲第1発明1’は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」を含むといえる。

(か)13F「を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法」

甲第1発明1’は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセット102が接続された加入者局101が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え、CPU324は、加入者局を制御するものである双方向性CATV同軸ケーブル分配システムにおいて、
サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)及び有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムをダウンロードする方法」であり、上記(い)?(お)のとおり、「ステップ」を含むから、「含むことを特徴とする方法」といえる。
しかしながら、甲第1発明1’は、「前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含む」ものではなく、訂正発明13と相違する。

え 一致点、相違点
以上より、訂正発明13と甲第1発明1’との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、
複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、
前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、
前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、
前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと
を含むことを特徴とする方法。

(相違点)
訂正発明13は、
「前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含む」のに対し、甲第1発明1’がそうではない点

お 判断
(あ)周知技術及び甲第12号証に記載された発明
(あ-1)周知技術
周知技術は、上記(1)イ(ウ)Ab(b)お(あ)(あ-1)のとおりである。

(あ-2)甲第12号証
(A)甲第12号証の記載
甲第12号証の記載は、上記(1)イ(ウ)Ab(b)お(あ-2)(A)のとおりである。

(B)甲第12号証に記載された発明
甲第12号証に記載された発明は、上記(1)イ(ウ)Ab(b)お(あ-2)(B)のとおりである。

(い)判断
甲第1号証には、
「本発明は、比較的低コストな加入者局であって、システムオペレータの制御下でのみ付加的機能を得ることができ、しかも設置にサービスマンの手を煩わすことのない加入者局を提供するものである。
概略的に述べると、本発明の装置では、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要な“インテリジェンス”がケーブル分配ヘッドエンドからダウンロードされ、ケーブル分配ヘッドエンドはまた、この“インテリジェンス”を随時後述のものに修正することができる。このように、加入者局がデータを取得する能力はシステム管理会社に完全に制御されることになる。」(5頁右下欄1?15行)
と記載されており、 甲第1発明1’は、ケーブル分配ヘッドエンドが加入者局を完全に制御するものである。
一方、上記(あ-1)のとおり、汎用のコンピュータにおいて、ダウンロードされたソフトウエアをインストールするために、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させることは周知技術を認められる。
しかしながら、甲第1発明1’の「テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法」において、ダウンロードされたソフトウエアをインストールするために、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させることは周知技術とは認められないし、甲第1発明1’の「テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法」に、汎用のコンピュータにおける、ダウンロードされたソフトウエアをインストールする必要があるとは、甲第1号証の記載から認めることはできず、それゆえ、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させる技術を適用する動機付けがあるとは認められない。
したがって、訂正発明13は、甲第1発明1’及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

また、甲第12発明は、「表示された問い合わせメッセージに対して、バージョンアップを許可する旨の指示を保守担当者が入力すると、現行のシステムプログラムを新バージョンのシステムプログラムに置き換える」から相互作用するものであるが、バージョンアップを許可する旨の指示を入力しない場合は、バージョンアップせず、現状を維持するものと認められる。
そうすると、甲第1発明1’に甲第12発明を適用すると、ケーブル分配ヘッドエンドが加入者局を制御するという甲第1発明1’の目的を達成できなくなるから、甲第1発明1’に甲第12発明を適用する動機付けはないと言うべきである。
したがって、訂正発明13は、甲第1発明1’、甲第12発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

か まとめ
訂正発明13は、甲第1発明1’及び、周知技術又は甲第12発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

(c)進歩性その2
あ 甲第1号証の記載
甲第1号証の記載は、上記(1)イ(ウ)Ab(b)あ、のとおりである。

い 甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、上記(1)イ(ウ)Ab(c)い(お)のとおりの「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」が記載されていると認定でき、この「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」における「インテリジェンス」をダウンロードする動作を方法の発明として認定できる。
そうすると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲第1発明2’」という。)が記載されていると認められる。

「双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセット102が接続された加入者局101が複数個接続されており、
前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え、
CPU324は、加入者局を制御するものである、双方向性CATV同軸ケーブル分配システムにおいて、
インテリジェンスをダウンロードする方法であって、
データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードし、
データ取得回路314と関係するメモリは、ダウンロードされたソフトウェアを蓄積する領域を有し、
インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、
インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであり、
選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになる
方法。」

う 本件特許発明13と甲第1発明2’との対比
本件特許発明13と甲第1発明2’とを対比する。

(あ)13A「テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法」

甲第1発明2’は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセット102が接続された加入者局101が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え、CPU324は、加入者局を制御するものである、双方向性CATV同軸ケーブル分配システムにおいて、インテリジェンスをダウンロードする方法」であり、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」は「テレビジョン・システム」といえ、「インテリジェンス」は、上記(1)イ(ウ)Ab(c)う(あ)(あ-1)のとおり、「ソフトウエアの更新情報」といえるから、甲第1発明2’は、「テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法」といえる。

(い)13B「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」

甲第1発明2’は、「前記双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセツト102が接続された加入者局が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え」るものであり、加入者局はデータを受信する装置を備えているから、受信装置といえ、「加入者局が複数個接続されて」いるから、受信装置は複数あるといえる。

甲第1発明2’においては、「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロードし、」「インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであ」る。
上記(1)イ(ウ)Ab(c)う(あ)(あ-1)のとおり、「インテリジェンス」は、「ソフトウエアの更新情報」といえ、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得る。「データ信号は、ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレスを有して」おり、「ソフトウエアの更新情報」である「インテリジェンス」は、ダウンロードされるものであるから、甲第1発明2’は、「データが送信される」ステップを含むといえる。
したがって、甲第1発明2’は、「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」を含むといえる。

(う)13C「前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップ」

甲第1発明2’は、「前記双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセツト102が接続された加入者局が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え」るものであり、加入者局はデータを受信する装置を備えているから、受信装置といえ、「加入者局が複数個接続されて」いるから、受信装置は複数あるといえる。データを受信する装置は「受信機」といえる。
甲第1発明2’においては、「インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであり」、「データ信号は、加入者局を指定するアドレスを有しており、インテリジェンス(選択テーブルと動作プログラム)をヘッドエンドからの制御によりダウンロード」するから、甲第1発明2’は、「前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップ」を含むといえる。

(え)13D「前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップ」

甲第1発明2’においては、「データ取得回路314と関係するメモリは、ダウンロードされたソフトウエアを蓄積する領域を有し」ている。
甲第1発明2’における「インテリジェンス」が、「ソフトウエアの更新情報」といえることは上記(1)イ(ウ)Ab(c)う(あ)(あ-1)のとおりであり、甲第1発明2’において、「インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであ」るから、甲第1発明2’は、「前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップ」を含むといえる。

(お)13E「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」

甲第1発明2’は、「選択テーブルからなる番地に制御プログラムをダウンロードすると、あるプログラムまたはサービスを得ること、あるチャンネルを制御することができるようになる」のであるから、「制御プログラム」は、使えるようになっており、このことは、「制御プログラム」を使用可能にするといえる。
「インテリジェンス」には、制御プログラムがあり、上記(1)イ(ウ)Ab(c)う(あ)(あ-1)のとおり、「インテリジェンス」は、「ソフトウエアの更新情報」であって、上記(い)のとおり、この「ソフトウエアの更新情報」をダウンロードするために送られるデータは、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」といい得、上記(う)のとおり、このデータが受信され、上記(え)のとおり、このデータがメモリに記憶される。
したがって、甲第1発明2’は、「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」を含むといえる。しかしながら、甲第1発明2’は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、」使用可能にするものではないから、本件特許発明13と相違する。

(か)13F「を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法」

甲第1発明2’は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システムには、テレビジョンセット102が接続された加入者局101が複数個接続されており、前記加入者局は、データを受信する装置、CPU324、データ取得回路314を備え、CPU324は、加入者局を制御するものである双方向性CATV同軸ケーブル分配システムにおいて、
インテリジェンスをダウンロードする方法」であり、上記(い)?(お)のとおり、「ステップ」を含むから、「含むことを特徴とする方法」といえる。
しかしながら、甲第1発明2’は、「前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含む」ものではなく、訂正発明13と相違する。

え 一致点、相違点
以上より、訂正発明13と甲第1発明2’との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、
複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、
前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、
前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、
前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと
を含むことを特徴とする方法。

(相違点1)
「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」が、
訂正発明13においては、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、」使用可能にするのに対し、
甲第1発明2’においては、そうではない点。

(相違点2)
訂正発明13は、
「前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含」むのに対し、
甲第1発明2’は、そうではない点。

お 判断
(あ)相違点1について
甲第2発明は、「使用者からの基本プログラム更新の要求が成されている・・・ときは、・・・基本プログラムの更新を実行する」ものであり、「基本プログラムの更新を実行する」ことは、基本プログラムが組み込まれて使えるようになっており、使用可能にしていると認められ、甲第3発明は、「映像信号により伝送されるビデオゲーム等のソフトウェアを受信処理する映像およびデータの送受信システムにおいて、・・・端末は、処理プログラムにより、キーボード(9)を用いて、ソフトウェアの番号のリクエストを行」い、「これによりビデオゲーム等のサービスがテレビジョン受信機に出力される」ものであり、「ビデオゲーム等のソフトウェア」が組み込まれて使えるようになっており、「ビデオゲーム等のソフトウェア」を使用可能にしていると認められる。すなわち、甲第2発明、甲第3発明は、機器を用いて要求、リクエストして、機能(基本プログラムの更新、ビデオゲーム等のサービス)を追加するものと認められる。
また、甲第1号証には、従来の技術として、「所定の機能、例えば、ビデオゲームプログラムをダウンロードする能力、情報やデータサービスの異なるレベルをダウンロードする能力、有料T.V.デスクランブラを動作させうる能力、他の方法では見ることのできないテレビジョンチャンネルを見ることができる能力など、を備えた加入者局はコスト高になることがわかってきた。もし加入者局が最低限度の機能しか備えていない場合、機能を拡張しようとすれば、付加機能のための差込みモジュールを購入するか、ケーブル分配会社からサービスマンを派遣してもらってその加入端末に付加機能を行う機器を取り付けてもらわなければならない。」(5頁左下欄4?16行、上記(1)イ(ウ)Ab(b)あ(い))と記載されており、有料T.V.デスクランブラを動作させうる能力等の機能を拡張するために、購入することが記載されている。また、機能を拡張するために、「ケーブル分配会社からサービスマンを派遣してもら」うことが記載されており、このことは、加入者局からの要請が必要なことが明らかである。
そうすると、甲第1号証には、ユーザ(加入者局)の購入や要請により、機能が拡張することの示唆があると認められる。
甲第2発明、甲第3発明は、機器を用いて要求、リクエストして、機能を追加するものであるところ、上記のとおり、甲第1号証には、ユーザ(加入者局)の購入や要請により、機能が拡張することの示唆があるから、甲第1発明2’において、購入・要請をヘッドエンドに行うようにするとは、容易に想到され、そのようにすると、ヘッドエンドはユーザ要求に従って番地を付与して必要なインテリジェンスを要求したユーザに与え、それに従ってプロセッサが使用可能にすることになり、インテリジェンスを使用可能にすることは、ソフトウエアの更新情報を使用可能にすることであり、ソフトウエアの更新情報を使用可能にすることはその結果として実現される機能と一体不可分であり、ユーザ要求は、機能をユーザ要求することであるから、機能のユーザ要求は、その機能を実現するためのソフトウエアの更新情報を使用可能にすべき「旨」の指示となっている。

したがって、甲第1発明2’に甲第2発明又は甲第3発明に適用して、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(い)相違点2について
(い-1)周知技術及び甲第12号証に記載された発明
(A)周知技術
周知技術は、上記(1)イ(ウ)Ab(b)お(あ)(あ-1)のとおりである。

(B)甲第12号証
(B-1)甲第12号証の記載
甲第12号証の記載は、上記(1)イ(ウ)Ab(b)お(あ)(あ-2)(A)のとおりである。

(B-2)甲第12号証に記載された発明
甲第12号証に記載された発明は、上記(1)イ(ウ)Ab(b)お(あ)(あ-2)(B)のとおりである。

(い-2)判断
甲第1号証には、
「本発明は、比較的低コストな加入者局であって、システムオペレータの制御下でのみ付加的機能を得ることができ、しかも設置にサービスマンの手を煩わすことのない加入者局を提供するものである。
概略的に述べると、本発明の装置では、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要な“インテリジェンス”がケーブル分配ヘッドエンドからダウンロードされ、ケーブル分配ヘッドエンドはまた、この“インテリジェンス”を随時後述のものに修正することができる。このように、加入者局がデータを取得する能力はシステム管理会社に完全に制御されることになる。」(5頁右下欄1?15行)
と記載されており、 甲第1発明2’は、ケーブル分配ヘッドエンドが加入者局を完全に制御するものである。
一方、上記(A)のとおり、汎用のコンピュータにおいて、ダウンロードされたソフトウエアをインストールするために、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させることは周知技術を認められる。
しかしながら、甲第1発明2’の「テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法」において、ダウンロードされたソフトウエアをインストールするために、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させることは周知技術とは認められないし、甲第1発明2’の「テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法」に、汎用のコンピュータにおける、ダウンロードされたソフトウエアをインストールする必要があるとは、甲第1号証の記載から認めることはできず、それゆえ、「今すぐ起動する」、「後で起動する」などの再起動を促す表示をさせ、相互作用し、再起動させる技術を適用する動機付けがあるとは認められない。
したがって、訂正発明13は、甲第1発明2’及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

また、甲第12発明は、「表示された問い合わせメッセージに対して、バージョンアップを許可する旨の指示を保守担当者が入力すると、現行のシステムプログラムを新バージョンのシステムプログラムに置き換える」から相互作用するものであるが、バージョンアップを許可する旨の指示を入力しない場合は、バージョンアップせず、現状を維持するものと認められる。
そうすると、甲第1発明2’に甲第12発明を適用すると、ケーブル分配ヘッドエンドが加入者局を制御するという甲第1発明2’の目的を達成できなくなるから、甲第1発明2’に甲第12発明を適用する動機付けはないと言うべきである。
したがって、訂正発明13は、甲第1発明2’、甲第12発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

か まとめ
訂正発明13は、甲第1発明2’及び、甲第2発明又は甲第3発明、周知技術又は甲第12発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

(d)まとめ
訂正された請求項13に係る発明は、甲第1号証の記載された発明及び、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。
訂正された請求項13に係る発明は、甲第1号証の記載された発明及び、甲第2号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

B 訂正された請求項14?17
訂正された請求項14?17に係る発明は、訂正された請求項13を引用するものである。
請求項13に係る訂正は、特許法第36条第6項第1号、第2号、同条4項第1項に規定する要件を満たし、訂正された請求項13に係る発明は、特許法第29条2項に規定に違反しないことは、上記Aのとおりであり、同じ理由で、請求項14?17に係る訂正のうち、訂正された請求項13を引用する部分は、特許法第36条第6項第1号、第2号、同条4項第1項に規定する要件を満たし、訂正された請求項14?17に係る発明は、特許法第29条2項に規定に違反しない。
他に、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。

(エ)まとめ
以上によれば、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするところ、特許無効審判の請求がされていない請求項に係る上記目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

ウ まとめ
請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、特許無効審判の請求がされていない請求項14?17に係る上記目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
よって、請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き、及び同条第2項、3項、同条9項において準用する同法第126条第5項、第6項、第7項の規定に適合するので適法な訂正と認める。

(4)請求項18に係る訂正
ア 訂正の目的
当該訂正は、「前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むこと」を追加し、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。

イ 訂正の適合性
(ア)訂正の範囲
当該訂正は、本件特許明細書(全文訂正明細書、甲第10号証)の13頁18行?14頁1行(甲第7号証の特許公報11頁5?28行)の記載を根拠とするものである(記載事項は、上記(1)イ(ア)参照)。
当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正である。

(イ)拡張・変更
当該訂正は、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)まとめ
以上によれば、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ まとめ
請求項18に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、請求項18に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き、及び同条第2項、同条9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので適法な訂正と認める。

第三 本件特許発明

本件特許に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1から請求項18までに記載された下記のとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を請求項の番号を用いて「本件特許発明1」等という。)。


【請求項1】
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、
ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、
前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項2】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、該システムはさらに、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つに関係する情報を表示するスクリーンを有するデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項3】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、該システムはさらに、前記ソフトウエアの更新情報を注文するための少なくとも1つの電話を購えており、前記ソフトウエアの更新情報の実装に必要なデータは、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つが前記電話を用いて注文された後に、前記受信装置にダウンロードされることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項4】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、該システムはさらに、セットトップ・ボックスを介して前記ソフトウエアの更新情報を注文する少なくとも1つの遠隔制御装置を備えており、前記ソフトウエアの更新情報の実装に必要なデータは、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つが前記遠隔制御装置を用いて注文された後に、前記受信装置にダウンロードされることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項5】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記ソフトウエアの更新情報は、ソフトウエアの修理に関する情報を含むことを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項6】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記ソフトウエアの更新情報は、赤外線(IR)コードを指定することを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項7】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記ソフトウエアの更新情報は、ピクチャ・イン・ピクチャの拡張、ピクチャ・イン・ピクチャ画面のチャネル識別子、表示されたチャネル識別子を有するグラフィック・ネットワークのロゴ及びアイコン、拡張されたデータ・サービス、株相場サービス、バーチャル・ チャネル・サービス、ニュース・サービス、気象情報サービス、及びスポーツ・スコア・サービスの少なくとも1つに関する情報であることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項8】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記受信装置の各々は、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダとのいずれか1つからなることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項9】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記プロセッサは各々、ダウンロード可能な新規のソフトウエアの更新情報が利用可能となったときに、該ソフトウエアの更新情報を広告するためのアイコンを表示するように構成されていることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項10】
請求項9記載のテレビジョン・システムにおいて、前記プロセッサは、ユーザによる新規のダウンロード可能なソフトウエアの更新情報に関連するデータの要求に応答して、該情報を受信するよう構成されていることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項11】
ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、
前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、
前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる
ことを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項12】
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データを記憶するよう構成されているメモリと、
前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、
前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されており、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項13】
テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、
複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、
前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、
前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、
前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと
を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記ソフトウエアの更新情報は、ピクチャ・イン・ピクチャの拡張、ピクチャ・イン・ピクチャ画面のチャネル識別子、表示されたチャネル識別子を有するグラフィック・ネットワークのロゴ及びアイコン、拡張されたデータ・サービス、株相場サービス、バーチャル・チャネル・サービス、ニュース・サービス、気象情報サービス、及びスポーツ・スコア・サービスの少なくとも1つ用のソフトウエアの更新情報であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、前記受信装置の各々は、テレビジョンと、セットトップ・ボックスとのいずれか1つからなることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、該方法はさらに、ダウンロード可能な新規のソフトウエアの更新情報が利用可能となったときに、該ソフトウエアの更新情報を広告するためのアイコンを表示するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13記載の方法において、該方法はさらに、ユーザによる新規のソフトウエアの更新情報に関する情報の要求に応答して、該情報を受信するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項18】
テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、
複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを、モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、
前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、
前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、
前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと
を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法。

第四 当事者の主張

1 請求
(1)請求の趣旨
特許第3965462号の請求項1、11、12、13、及び18に係る発明についての特許を無効とする。
審判請求費用は被請求人の負担とする。
との審決を求める。

(2)請求の理由(概要)
本件特許発明1、13は、甲第1号証に記載された発明と同一であるので、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
また、本件特許発明1、11、12、13、及び18は、甲第1号証に各甲号証のいずれかを適用することにより、当業者が容易に想到し得る発明であるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、本件特許発明1、11、12、13、及び18はいずれも特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(3)請求の理由の要点
(審判請求書)
ア 本件特許発明1
(ア)新規性欠如(甲第1号証)
本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当する。
・「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示」について(構成要件1Eについて)
審決取消訴訟(平成21年(行ケ)第10161号)の判決書(甲第8号証)より、「ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示」には、「消費者による注文/購入」という意味が含まれる。
また、本件特許発明1に係る「ソフトウェアの更新情報」は、甲第1号証に記載の「インテリジェンス(動作プログラム)」が対応する。
「インテリジェンス(動作プログラム)」は、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、解読に必要なものの一例としては、有料TVチャンネルを解読するための「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム(アンスクランブラ304を動作させるプログラム)」がある。
「有料TV」については
『このシステムによれば、全てのケーブルテレビジョン加入者は通常のケーブルテレビジョンを受信できるようになり、また有料TVに料金を支払ってきた加入者はそれぞれのローカルのデスクランブラを操作できるようになる。』(8頁左下欄15?19行)、
『初期化後、追加制御信号がRAM315に蓄積され、それによって有料TVアンスクランブラサービス、情報、コンピュータゲーム、ソフトウェアサービスなどの追加変換サービスを購入している加入者にそれらのサービスが提供される。』(12頁右上欄6?11行)、
『このスクランブル化されたテレビジョン信号は、有料TVサービスを購入している加入者に対してはアンスクランブラ304(第3図)によりアンスクランブラ化されるものである。』(19頁右上欄11行?左下欄4行)、
との記載より、料金の支払いが必要であり、それゆえ甲第1発明において、「加入者により有料TV(有料TVアンスクランブラサービス、有料TVサービス)は購入」されている。
よって、甲第1発明1は、「加入者による有料TV(有料TVアンスクランブラサービス、有料TVサービス)の購入」があることから、「消費者による購入」がなされており、審決取消訴訟(平成21年(行ケ)第10161号)の判決書(甲第8号証)より、甲第1発明1では、「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示」がなされているといえる。

(イ)本件特許発明1の進歩性欠如その1(甲第1号証及び甲第2号証)
甲第1号証に記載の発明を、特に有料TVの購入に着目しないで把握した場合、構成要件1Eに係る「ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示」は、甲第2号証に記載の「使用者からの基本プログラム更新の要求」に対応させることでき、それゆえ、甲第1号証に甲第2号証を適用することにより、本件特許発明1は容易に想到し得るものであるから進歩性が欠如する。

(ウ)本件特許発明1の進歩性欠如その2(甲第1号証及び甲第3号証)
甲第1号証に記載の発明を、特に有料TVの購入に着目しないで把握した場合、構成要件1Eに係る「ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示」は、甲第3号証に記載の「キーボード(9)を用いて、ソフトウェアの番号のリクエストを行う」という旨に対応させることでき、それゆえ、甲第1号証に甲第3号証を適用することにより、本件特許発明1は容易に想到し得るものであるから、進歩性が欠如する。

イ 本件特許発明11
(ア)本件特許発明11の進歩性欠如その1(甲第1号証及び甲第4号証)
本件特許発明11は、甲第1号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(イ)本件特許発明11の進歩性欠如その2(甲第1号証、甲第2号証、及び甲第4号証)
本件特許発明11は、甲第1号証、甲第2号証、及び甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(ウ)本件特許発明11の進歩性欠如その3(甲第1号証、甲第3号証、及び甲第4号証)
本件特許発明11は、甲第1号証、甲第3号証、及び甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(エ)本件特許発明11の進歩性欠如その4(甲第1号証及び甲第5号証)
本件特許発明11は、甲第1号証及び甲第5号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(オ)本件特許発明11の進歩性欠如その5(甲第1号証、甲第2号証、及び甲第5号証)
本件特許発明11は、甲第1号証、甲第2号証、及び甲第5号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(カ)本件特許発明11の進歩性欠如その6(甲第1号証、甲第3号証、及び甲第5号証)
本件特許発明11は、甲第1号証、甲第3号証、及び甲第5号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

ウ 本件特許発明12
(ア)本件特許発明12の進歩性欠如その1(甲第1号証及び甲第6号証)
本件特許発明12は、甲第1号証及び甲第6号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(イ)本件特許発明12の進歩性欠如その2(甲第1号証、甲第2号証、及び甲第6号証)
本件特許発明12は、甲第1号証、甲第2号証、及び甲第6号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(ウ)本件特許発明12の進歩性欠如その3(甲第1号証、甲第3号証、及び甲第6号証)
本件特許発明12は、甲第1号証、甲第2号証、及び甲第6号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

エ 本件特許発明13
(ア)本件特許発明13の新規性欠如(甲第1号証)
本件特許発明13は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当する。

(イ)本件特許発明13の進歩性欠如その1(甲第1号証及び甲第2号証)
本件特許発明13は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(ウ)本件特許発明13の進歩性欠如その2(甲第1号証及び甲第3号証)
本件特許発明13は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

オ 本件特許発明18
本件特許発明18は、甲第1号証及び甲第6号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本件特許発明18は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第6号証に記載された発明に基づいて容易に発朋できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
さらに、本件特許発明18は、甲第1号証、甲第3号証及び甲第6号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(陳述要領書)
カ 本件特許発明11について
本件特許発明11について、甲第4号証又は甲第5号証のいかなる記載に基づいて構成要件11Fが記載されているといえるのか。

甲第4号証又は甲第5号証には「ユーザが所望のゲームを選択できるメニュー画面」に関する記載があり、この記載を当業者が参照することにより、甲第1号証に記載の発明において「所望の有料TVを選択できるようにしたメニュー画面」又は「所望のインテリジェンス(動作プログラム)を選択できるようにしたメニュー画面」を考え付くことは、通常の創作能力の範囲内の事項であるので、このように考え付く事項が、構成要件11Fを充足する(審判請求書第72頁第2、3段落、第74頁第3、4段落等参照)。

甲第4号証又は甲第5号証は、「システムのユーザが、自分のシステムにゲームをダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報(甲第4号証の「ゲームメニュー画面」又は甲第5号証の「ゲーム番号一覧」を表示するためのデーク)」という事項を開示する。
また、主引例となる甲第1号証に記載の発明(甲第1発明1、2)において、「有料TVメニュー」、又はダウンロードを希望するインテリジェンス(動作プログラム)を選択するための手段(例えば、インテリジェンスを選択するメニュー)が必要となることは、当然考慮すべき技術的事項であるから、甲第4号証又は甲第5号証に開示された「所望のゲーム差選択できるメニュー画面」に関する事項を当業者が参照すれば、「視聴を希望する有料TVを選択することができるようにするための情報(例えば「有料TVメニュー」に係る情報)」、又は「所望のインテリジェンス(動作プログラム)をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報(例えば「インテリジェンスを選択するメニュー」に係る情報」を、当業者であれば容易に想到し得る。
なお、上述の「有料TVメニュー」の場合、視聴を希望する有料TVを選択することは、実際の処理においては、視聴を希望する有料TVをデスクランブル(解除)するための制御プログラム(インテリジェンス)のダウンロードを選択することに該当する。

甲第1号証に記載の発明では、ユーザの視聴希望の選択に伴い購入された有料TVのインテリジェンス(制御プログラム)がダウンロードされるので、有料TVの選択とインテリジェンス(制御プログラム)のダウンロードは表裏一体的なものとなり、有料TVメニューで有料TVを選択することは、実質的には、その有料TV視聴用のインテリジェンス(制御プログラム)のダウンロードを選択することに該当し、このことが、構成要件11Fの「システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウェアの更新情報(例えば、インテリジェンス)をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報」を充足することになる。

キ 本件特許発明13、18について
本件特許発明13及び本件特許発明18について、「使用可能」が「実装」と同等の意味であることについて。
審判請求書第96頁に記載したように、「実装」は、「組み込んで使えるようにすること」を意味するものと理解でき、「組み込んで使えるようにすること」の後半部分の「使えるようにすること」は、まさしく「使用可能」という意味である。それゆえ、「使用可能」は、「実装」から「組み込んで」という概念を外した上位概念的な意味合いとなるので、「実装」の上位概念として、同等の意味であると云える。

ク 答弁書における被請求人の主張について
(ア)甲第1号証は、少なくとも、構成要件1Eを開示していない、という被請求人の主張について
答弁書の第2頁?第6頁において、被請求人は「甲第1号証は、少なくとも、構成要件1Eを開示していない」と主張するが、この主張は誤りである。

ユーザの購入に応答して行われるアクションは、システム管理会社のオペレータが、購入したユーザの加入者局の番地(アドレス)を指定して、ユーザが購入した付加的機能に応じたインテリジェンス(例えば、有料TVデスクランブラを制御するのに用いられるプログラム)を送ることである。

甲第1号証に記載の発明において、システム管理会社のオペレータが行う制御(加入者局の番地を指定してインテリジェンスを送ること)は、ユーザの購入を契機(トリガー)にして行われる。

したがって、構成要件1Eに関連する甲第1号証の正しい記載内容は、以下のとおりである。
甲第1号証のシステムでは、ユーザによる購入(例えば、有料TVの購入)に応答して、システム管理会社のオペレータにより、購入したユーザの加入者局の番地(アドレス)が指定されてプログラム(例えば、デスクランブラを制御するのに用いられるプログラム)が放送される。

甲第1号証に記載の発明では、ユーザによる有料TVの購入が、デスクランブラ用のプログラムが加入者局に実装されることを引き起こすので、甲第1号証は構成要件1Eを開示していない、という被請求人の主張は誤りである。

(イ)甲第1号証及び甲第2号証による進歩性欠如、並びに甲第1号証及び甲第3号証による進歩性欠如について
本件特許発明1の進歩性が欠如することについて、被請求人答弁書第6頁の最終段落から第7頁で被請求人は色々と述べているが、そもそも披請求人は、本件特許発明1に関連する甲第1号証の記載内容を誤って認識しており、その誤った認識を前提に、甲第2号証又は甲第3号証の記載を参照しているので、被請求人よる進歩性欠如に関する反論は全く見当違いなものになっており、妥当でない。

なお、請求人が主張する甲第2号証又は甲第3号証を適用した場合の進歩性欠如の概要は、以下のとおりである。

甲第2号証は、甲第1号証に記載の発明と技術分野が関連し、機能が共通し、課題も共通しており、その甲第2号証には、基本プログラム更新について、「ヘッドエンド側に相当する回線側の主導により行う場合」と、「使用者からの要求に基づき行う場合」の計2通りが記載されている。
甲第1発明2は、インテリジェンスを加入者局にダウンロードすることをヘッドエンド側の制御に基づき行っており、また、甲第1号証には「ユーザ指示」に関する示唆も存在するので、甲第1発明2でも、インテリジェンスのダウンロードを、甲第2号証に記載の「使用者からの要求に基づき行う場合」を参照して、ユーザ指示に応答して行えるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得ることになり、それゆえ本件特許発明1の進歩性は欠如する。

甲第3号証は、甲第1号証に記載の発明と技術分野が関連し、機能が共通しており、その甲第3号証には、ソフトウェアの受信を「キーボードを用いたリクエスト」に基づき行うことが記載されている。
甲第1発明2は、インテリジェンスを加入者局にダウンロードすることをヘッドエンド側の制御に基づき行っており、当然考慮すべき技術的事項としては、ヘッドエンド側の制御を開始するにあたり、何らかの「きっかけ(トリガー)」が必要となることがあり、さらに、甲第1号証には「ユーザ指示」に関する示唆も存在するので、甲第1発明2において、インテリジェンスのダウンロードを、甲第3号証に記載の「キーボードを用いたリクエスト」を参照し、ユーザ指示に応答して行えるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得ることから、本件特許発明1の進歩性は欠如する。

(ウ)本件特許発明11、12、13、18に対する無効理由について
本件特許発明11、12、13、18について、披請求人は、本件特許発明1の議論と同様の議論があてはまると主張しており、上述したように、被請求人による本件特許発明1の無効理由に関する主張は誤りであるから、本件特許発明11、12、13、18に関する被請求人の無効理由に関する主張も同様に誤りとなる。

(4)弁駁の趣旨
平成26年1月6日付提出の訂正請求書(平成26年2月7日付提出の手続補正書で「請求の趣旨および請求の理由」を補正)により訂正請求された「請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正」、「請求項12に係る訂正」、「請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正」、及び「請求項18に係る訂正」が行われた場合であっても本件特許を無効にするとの審決を求める。

(5)弁駁の理由(概要)
訂正された本件特許発明1、12、13、18は、記載不備であるから、特許法第36条第4項、同条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。
訂正された本件特許発明1、12、13、18は、甲第1号証に記載された発明に周知技術又は甲第12号証に記載された発明を適用することにより、当業者が容易に想到し得る発明であるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
訂正された本件特許発明1、12、13、18は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明を適用することにより、当業者が容易に想到し得る発明であるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(6)弁駁の理由の要点
(弁駁書)
ケ 請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正について
ケ-1 記載不備
(ア)相互作用
a 「相互作用」とは、どういう意味であるか全く意味不明である。
「相互作用」を含む訂正された本件特許発明1は明確でない。

b 「相互作用」という用語は、抽象的な表現であるから、結果として、発明の詳細な説明に記載された内容以上のものを含み、発明の詳細な説明に対して広すぎる技術的範囲を規定するので、サポート要件及び実施可能要件をそれぞれ満たさない。
訂正された請求項1では、「相互作用」について何ら限定されていないことから、発明の詳細な説明で記載されたユーザ設定的な事項の意味合いを超える内容も含むことになる。

c 訂正された本件特許発明1では、「相互作用」が、どのように行えるか不明である。
訂正された請求項1は、複数の受信装置として、セットトップ・ボックスだけ、ビデオ・レコーダだけを複数有する場合も含まれる。この場合、どのようにして情報をユーザに提供できるのか不明である。
また、訂正された請求項1は、「遠隔制御装置」を必須の構成要件にしていないことから、ユーザは、どのようにして応答を行えるのか不明である。

d 訂正された本件特許発明1は、複数の受信装置として、セットトップ・ボックスだけ、ビデオ・レコーダだけを複数有する場合をそれぞれ含むが、このような場合に、どのようにして相互作用を行うかについて、発明の詳細な説明に記載されていない。

(イ)実装の主体の不一致
訂正された本件特許発明1では、ソフトウエアの更新情報を実装する主体が「プロセッサ」であるのか、「テレビジョン・システム」であるのか明確でない。

(ウ)実装の程度
訂正事項においては、「実装する」という記載に「完全に」という限定が付されていないから、「ある程度組み入れられた状態のソフトウエアの更新情報を、完全に組み入れられる場合以外」も技術的範囲に含むことになる。

ケ-2 進歩性欠如
(ア)進歩性欠如1
ユーザ指示によりダウンロードされたソフトウェアを実装するために、ダウンロード後に、インストール用のボタンをユーザに提供し、ユーザからインストール操作を受け付けることに伴い、ダウンロードされたソフトウェアのインストール処理を行うことは、従来より、ごく普通に行われている周知・慣用技術である。
甲第1発明1に上述した周知・慣用技術を適用することは、当業者であれば当然考え付くような設計的事項にすぎない。
訂正された本件特許発明1は、甲第1発明1及び上述したインストールに係る周知・慣用技術又は再起動に係る周知・慣用技術に基づき進歩性が欠如する。
訂正された本件特許発明1は、甲第1発明2、甲第2発明、又は甲第3発明、及び上記の周知・慣用技術に基づき進歩性が欠如する。

(イ)進歩性欠如2
甲第12号証(特開平6-152645号)に記載された発明(甲第12発明)の
「FEPは、新たなシステムプログラムが伝送インタフェース回路85で受信された後、蓄積装置84に格納されて再起動されると、ディスプレイ装置92に問い合わせメッセージを表示し、表示された問い合わせメッセージに対して、バージョンアップを許可する旨の指示を保守担当者が入力すると、現行のシステムプログラムを新バージョンのシステムプログラムに置き換える」という内容は、訂正された本件特許発明1の訂正事項における「ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つにおいて実装するために、ダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすること」という部分に一致する。
甲第1発明2と甲第12発明とでは、・・・前者は動作プログラム・制御プログラムと云ったインテリジェンスをダウンロードして機能の向上を図るものであり、後者も新たなシステムプログラムをダウンロードして現行のシステムプログラムのバージョンアップを図るものであることから、両者は発明の適用対象が相違するだけであり、発明の根幹の概念となる技術的思想は共通する。なお、両者を、インテリジェンス(新たなシステムプログラム)をダウンロードして機能向上(バージョンアップ)を図るシステムいう上位のレベルで技術分野を把握すれば、このレベルでの技術分野は共通するといえる。
また、甲第1発明2の課題は、サービスマンを派遣してもらってサービスマンの手を煩わすようなことを行わなくても、付加機能を得られるようにすることであり(甲第1号証 第5頁左下欄及び右下欄の記載参照)、甲第12発明の課題も、保守担当者が蓄積交換装置の設置現場に出向き、手作業でシステムプログラムの変更操作を行わねばならなかったという保守性の改善を図ったものであるから、両者の課題は共通する。
さらに、甲第1発明2に係る甲第1号証は、第21頁左下欄下から5行?下から2行に・・・、ファクシミリに関して利用できる示唆も含んでいる。
よって、甲第1発明2と甲第12発明の間には、発明の根幹の概念となる技術的思想及び課題がそれぞれ共通すること、及び甲第1号証には甲第12発明に係るファクシミリに関する示唆も存在することから、「動機づけ」が存在する。さらに、上述した進歩性欠如1で述べたように、「ダウロードしたソフトウェアについてインストール操作のウィンドウ等をユーザに提供し、それに対しユーザが操作を行うこと」が周知・慣用技術であることも考慮すれば、甲第12発明における「問い合わせメッセージの表示と、その表示に対する保守担当者のバージョンアップの指示」は、上述したインストール操作のウィンドウ等をユーザに提供するという周知・慣用技術と同等の技術的思想と云えるから、これらに基づけば、甲第12発明に係る事項を甲第1発明2に適宜、参照適用することは、当業者であれば極めて容易に考え付くと云える。
ゆえに、甲第12発明の上述した事項を参照適用すれば、甲第1発明2においても、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システムは、データ信号を用いてインテリジェンスを加入者局に実装するために、データ信号が加入者局にダウンロードされた後に、ユーザに問い合わせメッセージを表示し、その表示に対してユーザがバージョンアップの指示を入力するという相互作用を必要とする」という事項を当業者であれば、極めて容易に考え付く。
このように甲第1発明2において、甲第12発明に基づき当業者が極めて容易に考え付く事項は、訂正された本件特許発明1の訂正事項に一致するものであることから、訂正された本件特許発明1は、甲第1発明2、甲第2発明又は甲第3発明のいずれか、及び甲第12発明に基づき進歩性が欠如する(特許法第29条第2項)。

コ 請求項12に係る訂正について
請求項12に係る訂正による訂正事項は、実質的に上述した請求項1に対する訂正と同じである。
そのため、訂正された本件特許発明12は、訂正された本件特許発明1と同様の上述した理由により、記載不備及び進歩性欠如の無効理由を有する。

サ 請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正について
請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正による訂正事項は、手続補正書の第10頁に記載されたように、特許請求の範囲の請求項13に「を含むことを特徴とする方法。」とあるのを、「を含み、前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装晋の少なくとも1つにおいて実装するために前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法。」に訂正するものである。
この請求項13に係る訂正事項は、請求項1に係る訂正事項において「前記テレビジョン・システムは、・・・」となっていた箇所が、「前記方法は、・・・」となっている点で、請求項1に係る訂正と相違する。
そのため、訂正された本件特許発明13では、「方法」という物理的に実存しない概念が、ユーザと相互作用する内容になっているので、どのようにして「相互作用」が行われるのか不明であり、この点において明確性要件を満たさない(特許法第36条第6項第2号)。
また、「方法」がユーザと相互作用する内容は、発明の詳細な説明に記載されていないので、この点においてサポート要件及び実施可能要件も満たさない(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)。

さらに、上述した訂正された本件特許発明1の無効理由について、記載不備で説明した「(ア)相互作用」の欄の中の(A)及び(B)の内容、並びに「(ウ)実装の程度」の内容は、訂正された本件特許発明13でも同様であり、また、訂正された本件特許発明1で述べた進歩性欠如1、2も、訂正された本件特許発明13に当てはまる。

シ 請求項18に係る訂正について
請求項18に係る訂正による訂正事項は、・・・上述した請求項13の発明(方法の発明)と同等であることから、訂正された本件特許発明18は、訂正された本件特許発明13と同様の理由により、記載不備及び進歩性欠如の無効理由を有する。

(4)証拠方法
甲第1号証:特開59-15348号公報
甲第2号証:特開昭61-105642号公報
甲第3号証:特開昭55-28691号公報
甲第4号証:特開平6-319874号公報
甲第5号証:特開平6-334780号公報
甲第6号証:特開平5-324450号公報
甲第7号証:特許第3965462号公報(本件特許の登録公報)
甲第8号証:平成21年(行ケ)第10161号 審決取消請求事件
判決謄本の写し
甲第9号証:訂正請求書(平成20年11月17日付提出)の写し
甲第10号証:全文訂正明細書(平成20年11月17日付提出)の写し
甲第11号証:国際公開96/41472号
甲第12号証:特開平6-152645号公報

2 答弁
(1)答弁の趣旨
特許第3965462号の請求項1、11、12、13、及び18に係る発明についての特許を維持する、審判請求費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

(2)答弁の理由(概要)
審判請求書における審判請求人の主張は、いずれも失当である。本件特許発明に無効理由はない。

(3)答弁の理由の要点
(答弁書)
ア 本件特許発明1に対する無効理由について
請求人は、構成要件1Eは、甲第1号証に記載されていると主張する。しかしながら、請求人の上記主張は誤りである。甲第1号証は、少なくとも、構成要件1Eを開示していない。
構成要件1Eは、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」を規定する。
これに対して、甲第1号証のシステムにおいて、ユーザによる購入に応答して実行される唯一のアクションは、システム管理会社がユーザの番地を加入者リストに追加することである。甲第1号証に記載されている残りの機能(例えば、更新データの放送)は、すべて、システム管理会社の完全な制御下で行われ、ユーザによる購入に応答して行われることはない。

甲第1号証の開示から、甲第1号証のシステムは、以下の(1)?(4)に示すステップを実行するように機能することが明らかである。
(1)ユーザは、新たなサービス(例えば、有料テレビ番組サービス)を注文する。
(2)ケーブルシステムのオペレータが、その注文を受信し、新たなサービスデータをコンピュータに入力する。すなわち、ユーザは、特定のサービスを受信する加入者のリストに追加される。
(3)すべてのサービスは、各加入者局が各サービスを注文したか否かにかかわらず、すべての加入者局に周期的に放送される。
(4)追加のサービスに対してお金を支払った加入者局は、放送されたデータの中にコード化されたヘッダを利用することによって追加のサービスをデコードするようにデスクランブラを用いることが可能になる。

請求人は、上記ステップ(4)が、上記ステップ(1)に間接的に応答して起こることを示唆しているようである。被請求人は、これに同意することができない。なぜなら、更新が実装され得る前にデータが放送されなければならないことから、上記ステップ(3)が上記ステップ(4)よりも前に起こるからである。従って、請求人の解釈が正しいと仮定すると、上記ステップ(3)が上記ステップ(1)に間接的に応答して起こらなければならないことになる。

しかしながら、「上記ステップ(3)が上記ステップ(1)に間接的に応答して起こらなければならない」ということが誤りであることは明らかである。上記ステップ(3)は、ケーブル分配システムのヘッドエンドの制御下で行われるものであるとして甲第1号証によって明示的に記載されているからである。周期的な放送は、ヘッドエンドによって予め決められているように、予め決められた態様で行われる。甲第1号証には、データの放送がユーザによる購入によって何らかの態様で影響を受けるという記載は何も存在しない。加えて、上述した記載から、甲第1号証が、放送による従来のセットアップ(すなわち、ユーザ指示にかかわらず、ヘッドエンドがシステムのすべての局面を完全に制御するという態様でのセットアップ)に関連して記載されていることは明らかである。

さらに、甲第1号証は、ユーザが所定のデータ信号を送信するようにヘッドエンドに要求することができることを記載しているものの、データ信号の送信の要求は、ソフトウエア更新情報を実装すべき旨のユーザ指示とは等価ではない。データ信号の送信の要求がソフトウエア更新情報を実装すべき旨のユーザ指示とは等価ではない理由は、データ信号の送信の要求は、放送情報自体を要求するのみであり、放送情報自体は、加入者局上に実装されているソフトウエアを更新するいなかる情報も含まず、むしろ、加入者局によって再生されるデータであるからである。

少なくとも以上の理由から、甲第1号証のシステムが、本件特許発明1の構成要件1Eを開示も教示も示唆もしていないことは明確である。ユーザによる購入・注文の上記ステップ(1)は、せいぜい、更新ソフトウエアを実装するための前提条件として特徴付けられるにすぎない。すなわち、サービスが更新され得る前に、ユーザはそのサービスを購入しなければならないところ、甲第1号証には、ユーザによる購入が更新ソフトウエアが実装されることを引き起こすという教示または示唆は存在しない。

このように、本件特許発明1のシステムと甲第1号証のシステムとは根本的に異なっている。従って、請求人が主張する新規性欠如の無効理由は存在しないというべきである。

さらに、甲第2号証、甲第3号証の教示をもって、甲第1号証の教示の不足を補うことはできない。なぜなら、甲第1号証のシステムは、本件特許発明1のシステムによって解決されるべき課題とは完全に異なる課題に対処することによって、本件特許発明1のシステムとは根本的に異なっているからである。甲第1号証におけるユーザによる購入は、何が送信されるかに影響を与えるかもしれないが、データが送信されるか否か、データがいつ送信されるかは、ユーザによる購入にかかわらず、ヘッドエンドによって制御される。

従って、仮に、ある文献が、ソフトウエア更新情報を実装する旨のユーザ指示に応答してソフトウエア更新情報を実装することを記載していたとしても、当業者が、そのような特徴を含むように甲第1号証のシステムを改変することは容易想到ではないというべきである。実際、そのような特徴を含むように甲第1号証のシステムを改変することは、甲第1号証の教示に反する重大な改変を必要とすることになるからである。

仮に、議論のために、甲第1号証のシステムが請求人が主張するように改変されるとすると(被請求人がそのことを自認するわけではないが)、上記ステップ(2)、(3)が完全に置換されることが必要とされることになる。ユーザを加入者のリストに追加し、周期的にデータを放送するのではなく、上記ステップ(2)、(3)が、ユーザが新たなサービスを注文するときに加入者局を更新するための命令がそのユーザの加入者局に送信される双方向の通信システムに置換されることが必要とされることになる。

このような改変は、甲第1号証のシステムの主要な特徴を変更するばかりでなく、ヘッドエンドがシステム全体を完全に制御しないという点て、甲第1号証のシステムの主要な特徴を破壊するものである。それ故、請求人が主張するように甲第1号証のシステムを改変することに対する阻害要因が存在するというべきである。

さらに、本件特許発明1の「ソフトウエア」更新と甲第1号証の有料番組の「アクセスコード」のダウンロードとは明確に区別されるべきである。本件特許発明1におけるソフトウエアは、システムが実行可能なものであるのに対して、甲第1号証におけるデータは、単に、スクランブルをイネーブルするかディセーブルするかを決定するために用いられるにすぎないからである。

以上の理由から、本件特許発明1に対する無効理由は存在しないというべきである。

イ 本件特許発明11に対する無効理由について
本件特許発明1について上述した議論と同様の議論は、本件特許発明11についてもあてはまる。甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証(又は甲第5号証)の教示をもって、甲第1号証の教示の不足を補うことができないこともまた同様である。従って、本件特許発明11に対する無効理由もまた存在しないというべきである。

ウ 本件特許発明12に対する無効理由について
本件特許発明1について上述した議論と同様の議論は、本件特許発明12についてもあてはまる。甲第2号証、甲第3号証、甲第6号証の教示をもって、甲第1号証の教示の不足を補うことができないこともまた同様である。従って、本件特許発明12に対する無効理由もまた存在しないというべきである。

エ 本件特許発明13に対する無効理由について
本件特許発明1について上述した議論と同様の議論は、本件特許発明13についてもあてはまる。甲第2号証、甲第3号証の教示をもって、甲第1号証の教示の不足を補うことができないこともまた同様である。従って、本件特許発明13に対する無効理由もまた存在しないというべきである。

オ 本件特許発明18に対する無効理由について
本件特許発明1について上述した議論と同様の議論は、本件特許発明18についてもあてはまる。甲第2号証、甲第3号証、甲第6号証の教示をもって、甲第1号証の教示の不足を補うことができないこともまた同様である。従って、本件特許発明18に対する無効理由もまた存在しないというべきである。

(陳述要領書)
カ 「本件特許発明1の進歩性欠如その1(甲第1号証及び甲第2号証)」(請求書37?50頁)における請求人の主張に対する反論
請求人は、甲第1号証に甲第2号証を適用することにより、本件特許発明1は容易に想到し得るものであるから進歩性が欠如すると主張し、甲第1号証に記載の発明(甲第1発明2)に甲第2号証に記載の発明(甲第2発明)を適用する動機づけとして、(ア)技術分野の関連性、(イ)機能の共通性、(ウ)課題の共通性、(エ)甲第1号証の内容中の示唆があることを主張する。被請求人は、晴求人の主張に同意することができない。

(ア)技術分野の関連性について
甲第1発明2及び甲第2発明が同一の技術分野に属するという隋求人の主張は、(双方向性通信に対応することが可能な)「受信機」を有するという点に単純に着目した、甲第1発明2及び甲第2発明の過度な一般化に基づくものであるから誤りである。実際、甲第1発明2及び甲第2発明は、異なる技術分野に属している。

甲第1号証は、複数の加入者を含むテレビジョン送信ネットワークに関し(甲第1号証の第5頁右上欄2?5行)、特に、分配インフラストラクチヤ及びヘッドエンドの動作に焦点を当てている(甲第1号証の第5頁右下欄5?15行)、これに対し、甲第2号証は、「回線(10)」(例えば、電話回線)を有する形態の更新システムに言及しつつ、単一の受信機の詳細を記載しているにすぎない(甲第2号証の第2頁左下欄13行?第3頁左上欄10行)。甲第2号証は、分配システムの詳細に何ら言及しておらず、複数の受信機の存在にすら言及していない。

(イ)機能の共通性について
甲第1号証は、加入者サービスを注文することに関し、加入者サービスの取得は、ヘッドエンドによってのみ制御される(甲第1号証の第5頁右下欄11?15行)。ここで、「ヘッドエンドによって制御され得る」ことと「ヘッドエンドによってのみ制御される」こととの間には、重大な相違点があることに留意されたい。これに対し、甲第2号証には、ヘッドエンドまたはユーザのいずれかによって、基本プログラムの更新が制御され得ることが記載されている。
従って、「ヘッドエンド/回線によって制御される」ものとして甲第1発明2及び甲第2発明の両方を特徴付けることは、甲第1発明2及び甲第2発明の過度な一般化に基づくものであるから誤りである。甲第1発明2及び甲第2発明の正しい特徴付けは、甲第1発明2は「ヘッドエンドによってのみ制御される」のに対し、甲第2発明は「ヘッドエンドによってのみ制御されるわけではない」である。

(ウ)課題の共通性について
請求人は、甲第1発明2及び甲第2発明は、差し込みモジュールの購入等に係る問題を解決しなければならないという点で、同一の課題を有すると主張する(請求書の第47頁)。

被請求人は、請求人の主張に同意することができない。甲第1号証の解決すべき課題は、差し込みモジュールの購入等に係る問題を解決することとして一般化されるものではない。むしろ、甲第1号証は、侵害者または盗みを回避しつつ更新機能を提供することの必要性を記載し、システムオペレータ(ヘッドエンド)における完全な制御を維持することによって更新機能の提供を達成することを記載している(甲第1号証の第5頁左下欄16行?右下欄4行)。これに対し、甲第2号証は、侵害者等を回避する必要性を認職していない、むしろ、甲第2号証は、欠陥のある基本プログラムを補修すること、または、ROMを交換することなく基本プログラムのバージョンを更新することを課題として記載している(甲第2号証の第1頁右下欄12行?第2頁左上欄10行)。甲第2号証は、更新プロセスのユーザ制御を与えることによってこの課題を解決する。

このように、ユーザ制御を与えることを伴う甲第2発明による解決策は、ヘッドエンドにおける完全な制御を維持することを伴う甲第1発明2による解決策とは相容れないものである。従って、甲第1発明2及び甲第2発明によって解決されるべき課題が共通であるとはいえない。

(エ)甲第1号証の内容中の示唆について
請求人は、甲第1号証に記載の「サービスの要求」が、本件特許発明1の構成要件1Eに係る「ユーザ指示」を示唆すると主張する(請求書の第47頁?第48頁)。

被請求人は、請求人の主張に同意することができない。「サービスの要求」は、ケーブル分配システムのヘッドエンドに送られる加入者から発生する信号の一例として記載されている。しかしながら、甲第1号証の他の部分の記戟から、この「サービスの要求」がデータ信号の要求を意味することが明確である。
「サービスの要求」は、ユーザがサービス自身を要求することであり、ユーザが将来そのようなサービスを受け取ることを可能にする更新ではない。また、このようなデータ信号の要求が、インテリジェンスにより翻訳されるデータを要求するものを意味し、インテリジェンス自身を要求するものを意味しないことは、無効2010-800053の審決においても認定されているとおりである。

さらに、請求人は、甲第1号証の「選択テーブル」に関する記載が、本件特許発明1の構成要件1Eに係る「ユーザ指示」を示唆すると主張する(請求書の第48頁?第49頁)。

被請求人は、請求人の主張に同意することができない。なぜなら、甲第1号証に記載の「選択テーブル」は、本件特許発明1の構成要件1Eの「ソフトウエアの更新情報」には相当せず、さらに、「選択テーブル」のダウンロードは、加入者のヘッドエンドヘの要求に応答して起こらないからである。その代わりに、オペレータの手動の設定に基づいて、データ放送が所定の回数行われる(甲第1号証の第8頁左下欄1行り14行)。すなわち、このようなデータ放送は、加入者の要求がなされたことに影響を受けることなく、加入者の要求がなされたか否かにかかわらず行われる。

このように、請求人の主張とは異なり、甲第1発明2及び甲第2発明は、同一の技術分野に属さず、機能も共通せず、同一の課題を有さない。さらに、甲第1号証の内容中に本件特許発明1の構成要件1Eに係る「ユーザ指示」を示唆する記載も存在しない。

さらに、最も重要なことは、甲第2号証の教示は、甲第1号証の教示とは相容れず、むしろ甲第1号証の教示に反するということである。

甲第1号証は、加入者サービスの分配を効率的に管理するためにすべての制御がヘッドエンドによって完全に維持されるシステムに関している。これに対し、甲第2号証は、ヘッドエンドおよびユーザが、基本プログラムの補修および更新を制御することが可能なシステムに関している。従って、甲第2号証の教示を甲第1号証の教示と組み合わせると、すべての制御がヘッドエンドによって完全に維持されることができなくなり、甲第1号証における課題の解決策を破壊することになる。それ故、当業者であれば、甲第2号証の教示を甲第1号証の教示と組み合わせようとはしないというべきである。

従って、甲第1発明2に甲第2発明を適用する動機づけが存在しないというべきである。それ故、甲第1発明2に甲第2発明を適用することにより、本件特許発明1は容易に想到し得るという請求人の主張は失当である。

キ 「本件特許発明1の進歩性欠如その2(甲第1号証及び甲第3号証)」(請求書50?63頁)における請求人の主張に対する反論

請求人は、甲第1号証に甲第3号証を適用することにより、本件特許発明1は容易に想到し得るものであるから進歩性が欠如すると主張する。
被請求人は、請求人の主張に同意することができない。なぜなら、甲第1号証に記載の発明(甲第1発明2)に甲第3号証に記載の発明(甲第3発明)を適用する動機づけが存在しないことに加えて、仮に、甲第1発明2に甲第3発明を適用したとしても、本件特許発明1には到達しないからである。

請求人は、甲第3号証が、ユーザエンドのキーボード入力を用いて端末からソフトウエアを要求することが可能であることを記載していると主張する。しかしながら、このソフトウェアは、更新ソフトウエアではない。むしろ、甲第3号証において議論されているソフトウエアは、ビデオゲームソフトウェアである。しかしながら、ビデオゲーム等のソフトウエアが、ソフトウエアを更新する「ソフトウエア更新情報」とはいえないことは、無効2010-800053の審決においても認定されているとおりである。

甲第3号証は、「ソフトウエアの更新情報」ではない「ビデオゲームのソフトウエア」を要求することに関しているにすぎない、従って、仮に、当業者が、甲第1号証を甲第3号証と組み合わせるとすると、甲第3号証に記載の要求を「ソフトウエアの更新情報以外の甲第1号証におけるデータと組み合わせることにしかならない。具体的には、当業者は、甲第3号証に記載の要求を甲第1号証の第8頁左上欄12行に配載の「コンピュータゲーム信号」と組み合わせることにしかならない。このように、甲第1号証、甲第3号証の組み合わせの結果として得られるものは、甲第1号証のシステムに他ならない。なぜなら、甲第1号証には、「コンピュータゲーム信号」等のデータ信号(このデータ信号は、「ソフトウエアの更新情報」ではない)が要求され得ることが既に記載されているからである(甲第1号証の第8買右下欄8?13行を参照)。

甲第3号証は、甲第1号証に対して貢献せず、甲第1号証を甲第3号証と組み合わせる動機づけも存在しない。さらに、甲第3号証が甲第1号証に対して貢献しないことから、仮に、甲第1号証が甲第3号証と組み合わせられたとしても、そのような組み合わせの結果として得られるものは甲第1号証のシステムに他ならない。

ク 口頭審理陳述要領書における請求人の主張に対する反論
(ア)本件特許発明11について
請求人は、甲第4号証又は甲第5号証に基づいて、本件特許発明11の構成要件11Fが記載されているといえると主張する。
しかしながら、被請求人は、甲第4号証又は甲第5号証を甲第1号証と組み合わせることは、容易想到でないと主張する。その理由は、甲第3号証について上記キにおいて上述した理由と同様である。

甲第3号証と同様に、甲第4号証又は甲第5号証は、「ソフトウエアの更新情報」ではない「ビデオゲームのソフトウエア」を要求することに関しているにすぎない。従って、仮に、当業者が、甲第1号証を甲第4号証又は甲第5号証のいすれかと組み合わせるとすると、甲第4号証又は甲第5号証に記載の要求を「ソフトウエアの更新情報」以外甲第1号証におけるデータと組み合わせることにしかならない。

(イ)本件特吽発明13、18について
請求人は、本件特許発明13及び本件特許発明18について、「使用可能」が「実装」と同等の意味であることを主張する。この主張について、被請求人の反論は特にない。

(ウ)答弁書における被請求人の主張に対する請求人の主張に対する反論
a 甲第1号証は、少なくとも、構成要件1Eを開示していない、という被請求人の主張に対する請求人の主張に対する反論

請求人の立場の焦点は、甲第1号証の記載から、甲第1号証は、ユーザが新たなサービスを注文し、それに応答して、ケーブルオペレータがユーザの加入者局のアドレスを指定し、かつ、(本件特許発明1の「ソフトウエア更新情報」に対応する)デスクランブラ・プログラムを放送するシステムを教示しているということである。

被請求人は、請求人の立場に同意することができない。なぜなら、甲第1号証は、ユーザが新たなサービスを注文したことに応答して、ケーブルオペレータがユーザの加入者局のアドレスを指定すること、および、デスクランブラ・プログラムが放送されることの両方が起こることを記載していないからである。ユーザが新たなサービスを注文することは前提条件にすぎない。ユーザが新たなサービスを注文したことに応答して、デスクランブラ・プログラムが放送されることはない。むしろ、ユーザが新たなサービスを注文したか否かにかかわらず、デスクランブラ・プログラムが放送されるというべきである。

b 甲第1号証及び甲第2号証による進歩性欠如、並びに甲第1号証及び甲第3号証による進歩性欠如について
請求人は、本件特許発明1の進歩性が欠如することについて、被請求人が、本件特許発明1に関連する甲第1号証の記載内容を誤って認識し、その誤った認識を前提に、甲第2号証又は甲第3号証の記載を参照しているので、被請求人による進歩性欠如に関する反論が全く見当違いなものになっていると主張し、被請求人による甲第1号証の認識が誤りであるとする。

請求人の主張の失当である理由は、上記カ、キにおいて上述した理由と同様である。
また、被請求人は、本件特許発明1の「ソフトウエア更新情報」が甲第1号証の「アクセスコード」とは異なるという主張を維持する。仮に、議論の便宜上、甲第1号証の「アクセスコード」が本件特許発明1の「ソフトウエア更新情報」であると考えることが可能であったとしても、甲第1号証は、依然として、本件特許発明1の構成要件1Eを開示していない。

本件特許発明1の構成要件1Eは、ユーザ指示において実装すべきとされる対象が「ソフトウエアの更新情報」であり、実際に実装される対象もまた「ソフトウエアの更新情報」であることを必要とする、換言すると、本件特許発明1の構成要件1Eは、ユーザ指示において実装すべきとされる対象と実際に実装される対象とが同一のもの(すなわち、「ソフトウエアの更新情報」)であることを必要とする。

これとは対照的に、甲第1号証は、ユーザ指示において実装すべきとされる対象と実際に実装される対象とが同一のものであることを教示も示唆もしていない。むしろ、甲第1号証では、ユーザ指示において実装すべきであるとされる対象(すなわち、「インテリジェンス」)は指定されない。その代わりに、甲第1号証では、ユーザ指示の対象が「新たなサービスを注文する」、「新たなサービスを購入する」ことである一方で、実際に実装される対象が「インテリジェンス」である。従って、甲第1号証では、ユーザ指示の対象と実際に実装される対象とが異なっているというべきである。

甲第1号証の記載から、加入者が要求するのが「サービス」であって、加入者が「ソフトウエアの更新情報」や「インテリジェンス」を要求しないことが明確である。例えば、甲第1号証の第6頁右上欄9?11行を参照。ここには、「また、グループの個々のメンバーが更にサービスを受けたいと望んだり、特別な選択サービスから脱退したいと望む場合には、・・・」と記載されている。このことは、デスクランブル・プログラムのダウンロードや実装についてユーザが知る必要がなく気にする必要もなく、注文したサービスが受信されるようになることのみをユーザが知れば足りるという技術常識の範囲内である。

以上の理由から、被請求人による甲第1号証の認識に誤りはないというべきである。

c 本件特許発明11、12、13、18に対する無効理由について
請求人は、被請求人による本件特許発明1の無効理由に関する主張が誤りであるから、本件特許発明11、12、13、18に関する被請求人の無効理由に関する主張も同様に誤りとなると主張する。しかしながら、上述した理由から、被請求人による本件特許発明1の無効理由に関する主張に誤りはない。従って、本件特許発明1と同様に、本件特許発明11、12、13、18に関する被請求人の無効理由に関する主張にも誤りはないというべきである。

(4)答弁の趣旨
平成26年1月6日付けで提出した訂正請求書(平成26年2月7日付けで提出した手続補正書で「請求の趣旨および請求の理由」を補正)により訂正請求された 「請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正」、「請求項12に係る訂正」、「請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正」、及び「請求項18に係る訂正」を認める、特許第3965462号の請求項1、11、12、13、及び18に係る発明についての特許を維持する、審判請求費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

(5)答弁の理由(概要)
審判事件弁駁書における請求人の主張は、いずれも失当である。

(6)答弁の理由の要点
(平成26年6月19日付け答弁書)
ケ 請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正について
ケ-1 記載不備
(ア)相互作用
a 「相互作用」とは、相互に作用するという意味であることが明確であるところ、請求項1の「前記テレビジョン・システムは、・・・ユーザとの相互作用を必要とする」という記載から、「相互作用」の「相互」が「テレビジョン・システム」と「ユーザ」とを指すことは明確である。

b 審判弁駁書の第4頁の表の「一」では、消費者(ユーザ)とテレビジョン・システム10との「相互作用」は、新たなソフトウェアの更新情報を完全に組み入れるために行われると説明されている。
上表の「二」、「五」の冒頭に「例えば、・・・」とあることから明らかなように、上表の「二」?「五」の記載は、「相互作用」の一例を説明したものである。これらの発明の詳細な説明によると、「相互作用」の一例は、ソフトウェアの更新情報を完全に組み入れるために必要な情報をテレビジョン・システムがユーザに提供すると共に、その提供された情報にユーザが応答することである。
訂正された本件特許発明1がサポート要件および実施可能要件を満たしていないという請求人の主張は、根拠がないというべきである。

c 「相互作用」とは、相互に作用することであり、「相互作用」のー例は、ソフトウェアの更新情報を完全に組み入れるために必要な情報をテレビジョン・システムがユーザに提供すると共に、その提供された情報にユーザが応答することである。このように、「相互作用」を行うために、テレビジョン装置のテレビジョン画面やリモコンは必ずしも必要とされない。
訂正された本件特許発明1が明確でないという請求人の主張は根拠がないというべきである。

d 上記cで説明したように、「相互作用」を行うために、テレビジョン装置のテレビジョン画面やリモコンは必ずしも必要とされない。従って、上記cで上述した理由と少なくとも同様の理由から、訂正された本件特許発明1は、サポート要件および実施可能要件を満たしているというべきである。

(イ)実装の主体の不一致
訂正された請求項1の文言から、ソフトウェアの更新情報を実装する主体が「プロセッサ」であることは明らかである。訂正された請求項1の「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを・・・実装するために・・・ユーザとの相互作用を必用とする」という記載における「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを・・・実装する」主体が何であるかは、訂正された請求項1には明示されていないが、上述したように、ソフトウェアの更新情報を実装する主体が「プロセッサ」であることは明らかであるから、「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを・・・実装する」主体もまた「プロセッサ」であるというべきである。

(ウ)実装の程度
「ソフトウェア更新情報を完全に組み入れる」ことと、「ソフトウェア更新情報を実装する」こととは同義である。
従って、「完全に組み入れる」と「実装する」とが異なる意味であることを前提とした請求人の主張は失当であるというべきである。

ケ-2 進歩性欠如
(ア)進歩性欠如1
請求人は、「甲第1発明1」、「甲第1発明2」の中に請求人が主張する周知・慣用技術を適用することの動機づけがあることの根拠を何ら提示していない。従って、請求人の主張は、根拠がないというべきである。
さらに、被請求人は、「甲第1発明1」、「甲第1発明2」の中には、請求人が主張する周知・慣用技術を適用する動機づけは存在しないと主張する。その理由は、「甲第1発明1」、「甲第1発明2」のいずれも、訂正された本件特許発明1の「前記テレビジョン・システムは 前記データを用いて前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを前記受信の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすること」という特徴を開示していないばかりでなく、訂正された本件特許発明1の上述した特徴からむしろ遠ざかる方向の事項を教示しているからである。

(イ)進歩性欠如2
「甲第1発明1」、「甲第1発明2」のいずれも、訂正された本件特許発明1の「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置のすくなくとも1つにおいて実装するために前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすること」という特徴を開示していないばかりでなく、訂正された本件特許発明1の上述した特徴からむしろ遠ざかる方向の事項を教示している。従って、「甲第1発明1」、「甲第1発明2」の中には、甲第12号証の開示を組み合わせる動機づけが存在しないというべきである。
以上の理由から、訂正された本件特許発明1は、記載不備および進歩性欠如の無効理由を有していないというべきである。
また、訂正された本件特許発明1について上述した理由と同様の理由から、訂正された本件特許発明2?10もまた、記載不備および進歩性欠如の無効理由を有していないというべきである。

コ 請求項12に係る訂正について
訂正された本件特許発明12は、記載不備および進歩性欠如の無効理由を有していないというべきである。その理由は、少なくとも、訂正された本件特許発明1について上述した理由と同様である。

サ 請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正について
訂正された本件特許発明13は、記載不備および進歩性欠如の無効理由を有していないというべきである。その理由は、訂正された本件特許発明13は、訂正された本件特許発明1に係るテレビジョン・システムに対応する方法に係る発明であり、訂正された本件特許発明1について上述した議論と同様の議論が訂正された本件特許発明13についても該当するからである。

また、訂正された本件特許発明13について上述した理由と同様の理由から、訂正された本件特許発明14?17もまた、記載不備および進歩性欠如の無効理由を有していないというべきである。

シ 請求項18に係る訂正について
訂正された本件特許発明18は、記載不備および進歩性欠如の無効理由を有していないというべきである。その理由は、少なくとも、訂正された本件特許発明13について上述した理由と同様である。

第五 当審の判断

1 本件特許発明1
本件特許発明1は、上記第二3(1)イ(ウ)Aにおいて検討した訂正発明1と同じであるから、上記第二3(1)イ(ウ)Aを援用する。
また、本件特許発明1は、甲第1発明1と対比すると、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)う、え、のとおりの相違点があり、本件特許発明1は、甲第1発明2と対比すると、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)う、え、のとおりの相違点があるから、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明といえない。

したがって、本件特許発明1は、特許法第36条第6項第1号及び第2号、同条第4項第1号に規定する要件を満たしており、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明及び、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでなく、甲第1号証及び、甲第2号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでない。
また、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明といえない。

2 本件特許発明11
(1)分説
本件特許発明11を分説すると次のとおりである。

11A ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システムにおいて、

11B 複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、

11C 前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、

11D 前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、

11E 前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、

11F 前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる

11G ことを特徴とするテレビジョン・システム。

(2)進歩性その1
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証の記載は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)あ、のとおりである。

イ 甲第1号証に記載された発明
甲第1発明1は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)い(き)のとおりである。

ウ 本件特許発明11と甲第1発明1との対比
本件特許発明11と甲第1発明1との対比する。

(ア)11A「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム」

a 「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報」
甲第1発明1の「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」が「ソフトウエアの更新情報」といえることは、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)う(あ)(あ-1)のとおりである。
甲第1発明1の「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、インテリジェンスの例であり、インテリジェンスはダウンロードできるものであるから、「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」はダウンロードできるものであり、ダウンロード可能である。
したがって、甲第1発明1の「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報」といえる。

b 「テレビジョン・システム」
甲第1発明1は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」であり、「テレビジョン・システム」といえる。また、甲第1発明1の「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」はダウンロードできるものであり、「テレビジョン・システム」といえる「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」は、「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」を有しているといえる。
そして、上記aのとおり、「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」は、「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報」といえるから、甲第1発明1は、「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム」といえる。

c まとめ
以上より、甲第1発明1は、「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム」といえる。

(イ)11B?11D
構成要件11B?11Dは、本件特許発明1の構成要件1B?1Dと同じであるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)う(い)?(え)を援用する。
甲第1発明1は、構成要件11B?11Dを備えている。

(ウ)11E「前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」

構成要件11Eは、本件特許発明1の構成要件1Eにおける「それぞれ」が「各々」である点で相違し、それ以外は同じである。「各々」は「それぞれ」と同じ意味であるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)う(お)を援用する。
甲第1発明1は、構成要件11Eを備えている。

(エ)11F「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる」

甲第1発明1においては、「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる」ものではないから、本件特許発明11と相違する。

(オ)11G「ことを特徴とするテレビジョン・システム」
甲第1発明1は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」であり、「テレビジョン・システム」といえる。
甲第1発明1は、構成要件11Gを備えている。

エ 一致点、相違点
以上より、本件特許発明11と甲第1発明1との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、
前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備えることを特徴とするテレビジョン・システム。

(相違点)
本件特許発明11においては、
「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる」
のに対し、甲第1発明1においては、そうではない点。

オ 判断
(ア)甲第4号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された発明
a 甲第4号証
(a)甲第4号証の記載

「【0001】
【産業上の利用分野】この発明はテレビゲームデータの送受信システムに関し、さらに詳しく言えば、子局(各家庭)などにおいて居ながらにして所望とするテレビゲームソフトを選択して使用できるようにしたテレビゲームデータの送受信システムに関するものである。」

「【0011】
【作用】上記の構成によると、ユーザー側のディスプレイにはゲーム情報フレームに格納されている全ゲームのタイトルなどが表示される。ユーザーがその中から希望するゲームを例えばゲーム機本体のキーパッド(操作部)より指定すると、そのゲームソフトのデータ信号がアダプタのメモリに取り込まれ、そのゲームを楽しむことができる。」

「【0012】
【実施例】まず、図1を参照しながらこの送受信システムの概略を説明する。この実施例では基地局1は有線テレビジョン網のCATV局として示されており、子局2には同基地局1と同軸ケーブルを介して接続される各家庭が想定されている。
【0013】この送受信システムにおいては、基地局1からテレビゲームソフトのデータ信号が所定の周波数をもって各子局2に伝送され、これに関連して各子局2側にはゲーム機本体(ファミリーコンピュータ)3に接続される受信用のアダプタ4が用意される。
【0014】ここで、基地局1から送信されるテレビゲームのデータ信号の伝送フォーマットについて説明する。図3は全体の伝送フォーマットで、これによるとコントロールフレームCF、ゲーム情報フレームGFおよびデータフレームDFを含む。
【0015】この実施例では送信する全ゲーム数を20ゲームとし、これを1チャンネルあたり5ゲームとして4チャンネルに分けて伝送するようにしている。
【0016】送信段階でこのデータ信号はシリアルデータであり、例えば第1チャンネルからはゲーム番号1?5のデータが繰り返し送信されるようになっている。同様に、第2チャンネルからはゲーム番号6?10、第3チャンネルからはゲーム番号11?15および第4チャンネルからはゲーム番号16?20のデータがそれぞれ繰り返し送信される。」

「【0021】図5にはゲーム情報フレームGFのフォーマットが例示されている。同ゲーム情報フレームGFはコントロールフレームCFとデータフレームDFとの間に挿入されるフレームで全ゲームに関する情報が格納されている。
【0022】同ゲーム情報フレームGFにおいて、アドレス部および制御部の機能は上記コントロールフレームCFと同じであるが、情報部には同情報部の全容量、使用するチャンネルの数および全ゲーム数が書き込まれた後、各ゲーム(この例では1?20)についてのゲーム番号、そのゲームが存在しているチャンネルおよび周波数データ、データフレームのアドレス、タイトル名、そのゲームのデータフレーム数およびチェックサムが書き込まれる。
【0023】なお、これらのデータに基づいて、図7に示されているように、ユーザー側のディスプレイ5にゲームメニュー画面が表示される。」

「【0025】この実施例によると、データ信号はHDLC(ハイレベルデータリンク制御手順)によって伝送される。このHDLC処理時に上記の各フレームCF,GFおよびDFの先頭と後尾にフラグが立てられる。また、このフラグとともにFCS(フレームチェックシーケンス)が付加される。なお、アドレス部に関して、本来のHDLCにおいては同アドレス部には受信する端末を指定するためのデータが書き込まれるのであるが、このシステムでは送信データをフレームごとに識別すめためのコードとして用いている。
【0026】次に、受信側のアダプター4について図2を参照しながら説明する。同アダプター4は受信部を備えている。この実施例において、同受信部はTV用のチューナー41からなり、例えば50?900MHzの任意の周波数を選局し、例えば45.75MHzのIF信号に変換して出力する。なお、同チューナー41にはPLL(位相同期)回路が内蔵されている。」

「【0030】ここで、図7に例示されているゲームメニュー画面において、ユーザーにより操作部3aの例えばキーパッドなどにてゲームが選択されると、制御回路44はそのゲームデータをDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)45に書き込む。これにより、ユーザーはゲーム機本体3にそのゲームデータを読み出しながら、それを楽しむことができる。」

(b)甲第4号証に記載された発明
あ テレビゲームデータの送受信システム
甲第4号証には、
「この発明はテレビゲームデータの送受信システムに関し、さらに詳しく言えば、子局(各家庭)などにおいて居ながらにして所望とするテレビゲームソフトを選択して使用できるようにしたテレビゲームデータの送受信システムに関するものである。」(段落【0001】)、
と記載されているから、甲第4号証に記載された「テレビゲームデータの送受信システム」は、各家庭の子局において、選択されたテレビゲームソフトが使用できるものである。

い 複数のテレビ受信機
甲第4号証には、
「まず、図1を参照しながらこの送受信システムの概略を説明する。この実施例では基地局1は有線テレビジョン網のCATV局として示されており、子局2には同基地局1と同軸ケーブルを介して接続される各家庭が想定されている。
この送受信システムにおいては、基地局1からテレビゲームソフトのデータ信号が所定の周波数をもって各子局2に伝送され、これに関連して各子局2側にはゲーム機本体(ファミリーコンピュータ)3に接続される受信用のアダプタ4が用意される。」(段落【0012】?【0013】)、
「この実施例によると、データ信号はHDLC(ハイレベルデータリンク制御手順)によって伝送される。このHDLC処理時に上記の各フレームCF,GFおよびDFの先頭と後尾にフラグが立てられる。」(段落【0025】)、
「次に、受信側のアダプター4について図2を参照しながら説明する。同アダプター4は受信部を備えている。この実施例において、同受信部はTV用のチューナー41からなり、例えば50?900MHzの任意の周波数を選局し、例えば45.75MHzのIF信号に変換して出力する。」(段落【0026】)、
と記載されているから、甲第4号証に記載された「テレビゲームデータの送受信システム」は、CATV局からHDLC(ハイレペルデータリンク制御手順)によって伝送されるデータ信号を各家庭の子局2に含まれるアダプタ4で受信し、アダプタ4はTV用のチューナー41からなる受信部を備えるので、テレビ受信機に該当し、アダプタ4は各家庭に備えられることが想定されるので、複数のテレビ受信機を備えるといえる。

う アダプタ
甲第4号証には、
「図5にはゲーム情報フレームGFのフォーマットが例示されている。同ゲーム情報フレームGFはコントロールフレームCFとデータフレームDFとの間に挿入されるフレームで全ゲームに関する情報が格納されている。
同ゲーム情報フレームGFにおいて、アドレス部および制御部の機能は上記コントロールフレームCFと同じであるが、情報部には同情報部の全容量、使用するチャンネルの数および全ゲーム数が書き込まれた後、各ゲーム(この例では1?20)についてのゲーム番号、そのゲームが存在しているチャンネルおよび周波数データ、データフレームのアドレス、タイトル名、そのゲームのデータフレーム数およびチェックサムが書き込まれる。
なお、これらのデータに基づいて、図7に示されているように、ユーザー側のディスプレイ5にゲームメニュー画面が表示される。」(段落【0021】?【0023】)、
「ここで、図7に例示されているゲームメニュー画面において、ユーザーにより操作部3aの例えばキーパッドなどにてゲームが選択されると、制御回路44はそのゲームデータをDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)45に書き込む。これにより、ユーザーはゲーム機本体3にそのゲームデータを読み出しながら、それを楽しむことができる。」(段落【0030】)、
と記載されているから、アダプタ4は、制御回路44及びDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)45を備えており、受信したデータに基づいて、ゲームメニュー画面をディスプレイ5に表示し、ゲームメニュー画面の中からユーザーの操作によりゲームが選択されると、そのゲームデータがDRAM45に書き込まれ、ユーザーはゲーム機本体3にそのゲームデータを読み出しながら、それを楽しむことができる。
「基地局1から送信されるテレビゲームのデータ信号の伝送フォーマット」は、「コントロールフレームCF、ゲーム情報フレームGFおよびデータフレームDFを含」み(段落【0014】)、「送信段階でこのデータ信号はシリアルデータであり、」「第1チャンネルからはゲーム番号1?5のデータが繰り返し送信され」、「第2チャンネルからはゲーム番号6?10、第3チャンネルからはゲーム番号11?15および第4チャンネルからはゲーム番号16?20のデータがそれぞれ繰り返し送信される。」(段落【0016】)
から、ゲームメニュー画面の中からユーザーの操作によりゲームが選択されると、選択されたゲームのゲームデータが受信され、DRAM45に書き込まれ、ユーザーはゲーム機本体3にそのゲームデータを読み出しながら、それを楽しむことができる。

え 甲第4号証に記載された発明
以上より、甲第4号証には、次の発明(以下「甲第4発明」という。)が記載されている。

「CATV局からHDLC(ハイレペルデータリンク制御手順)によって伝送されるテレビゲームソフトを含むデータ信号を受信するテレビゲームデータの送受信システムにおいて、
テレビ受像機に該当するアダプタ4を複数備え、
アダプタ4は、制御回路44及びDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)45を備え、受信したデータに基づいてゲームメニュー両面を表示し、そのゲームメニュー画面の中からユーザーの操作によりゲームが選択されると、選択されたゲームのゲームデータを受信し、DRAM45に書き込み、
ユーザーはゲーム機本体3にそのゲームデータを読み出しながら、それを楽しむことができる
ことを特徴とするテレビゲームデータの送受信システム。」

b 甲第5号証
(a)甲第5号証の記載
以下「○1」、「○2」および「○3」なる表記は、甲第5号証中の記号「○の中に数字を入れた記号」を示す。情報処理システムの能力上、甲第5号証中の同記号を表すことができないことによる。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、双方向通信システムに用いられるゲーム機やカラオケ装置を兼用する情報通信端末装置(コミュニケータ)及びそのコミュニケータを用いたゲーム用あるいはカラオケ用のソフト配信システムに関する。」

「【0019】配信センタ100は、ゲームソフトデータベース101、カラオケデータベース103、その他のデータベース(群)105と、各データベース101,103,105から情報を検索して送出するためそれぞれ対応して設けられたゲーム情報送出装置111、カラオケ情報送出装置113、他情報送出装置115、及びそれら各情報送出装置111,113,115の制御等を行う制御装置120、外部との信号の入出力を行うヘッドエンド130を備えている。
【0020】制御装置120は、伝送路200を介してパーソナルコミュニケータ1より送信されてきたリクエストデータをヘッドエンド130を介して入力する。そして、そのリクエストに対応した情報を、情報送出装置111,113,115を制御してデータベース101,103,105から取り出し、ヘッドエンド130を介して伝送路200に送出させる。
【0021】本実施例では、伝送路200は同軸ケーブルで構成されており、この伝送路200は複数のパーソナルコミュニケータ1と接続されている。次にパーソナルコミュニケータ1側の構成について説明する。図1に示すように、本パーソナルコミュニケータ1は、端末モデム3と、タイマ4と、CPU5と、入力装置6と、ROM7と、メモリ8と、ビデオ映像回路9と、音源10と、オーディオアンプ11と、スピーカ13と、映像合成回路15とモニタ16と、制御器コネクタ21と、マイクコネクタ23と、データ入出
力コントローラ25と、データ入出力コネクタ27とを備えている。
【0022】端末モデム3は伝送路200と接続されており、復変調器3aと、画像のチャンネル選択をするビデオチューナ3bとから構成されている。入力装置6は、例えばキーボードやマウス等からなり、パーソナルコミュニケータ1の使用者が所望のゲームソフトの番号や演奏を希望するカラオケ曲の番号を入力したり、その他の処理指令等を入力するのに用いられる。また、制御器コネクタ21にゲーム専用の制御器31を接続することにより、制御器31を用いたゲーム専用の操作もできる。この制御器31には操作指令を与えるボタンやジョイスティック等、いわゆるテレビゲーム等に広く用いられている制御ボタンと同様のものが設けられている。」

「【0026】最初に、ゲームを行う場合の制御について、その手順も含めながら説明する。上記S1000での利用項目表示においてゲームを選択すると、図4のような個別処理画像が表示される。説明すると、入力あるいは選択を求める表示301と個別処理名一覧303である。個別処理名一覧303は○1?○3まであり、「○1:希望ゲーム番号」は、この画面においてゲーム番号入力欄305に直接ゲーム番号を入力すれば、その後該当するゲーム情報が送信されてくる処理である。また、「○2:ゲーム番号一覧」は、現在配信センタ100のゲームソフトデータベース101から配信可能なゲームの番号の一覧表示がされる処理である。「○3:料金表示」は、例えば今月の累積料金を表示したり、過去の料金を表示したりする処理である。」

「【0028】○2のゲーム番号一覧処理について簡単に説明しておく。○2を選択すると、配信センタ100からゲームの番号の一覧表示に関するデータが送信されて表示される。詳しくは、図5に示すように、入力領域311と表示覧313とに分かれており、表示覧313をスクロールさせれば未表示データも見ることができる。表示覧313には、ゲーム番号とゲーム名に加えて、「参加可能人数」と「料金」が表示される。従って、この表示を参考にして希望のゲーム番号を探し、入力領域311のゲーム番号入力欄315に入力すればよい。」

「【0031】上記個別処理○1による図4の番号入力欄305、あるいは個別処理○2による図5のゲーム番号入力欄315に希望ゲーム番号を入力した際に実行される処理について図6を参照して説明する。まず、ゲームリクエストデータが作成される(S1100)。このゲームリクエストデータは、データを送信するパーソナルコミュニケータ1のID番号、希望ゲーム番号等から構成される。作成されたゲームリクエストデータは配信センタ100に送信される(S1110)。
【0032】配信センタ100(図2)では、制御装置120が送信されてきたリクエストデータをヘッドエンド130を介して入力する。そして、そのリクエストに対応したゲーム情報を、ゲーム情報送出装置111を制御してゲームソフトデータベース101から取り出す。取り出したゲーム情報はヘッドエンド130を介して伝送路200に送出させ、該当するパーソナルコミュニケータ1に転送する。なお、この際ゲーム情報と共に、後述する第1及び第2の所定時間も送信される。
【0033】図6に戻り、パーソナルコミュニケータ1側では、そのゲーム情報を受信し(S1120)、メモリ8に格納する(S1130)。そして、メモリ8への格納が完了すると、モニタ16に受信完了表示を行い(S1140)、さらに配信センタ100に受信完了データを送信して(S1150)、本処理ルーチンを一旦終了し、次の処理を待つ。その後例えばゲーム開始の操作がされると、メモリ8内のゲーム情報に従うゲームが開始される。」

(b)甲第5号証に記載された発明
以上より、甲第5号証には、次の発明(以下「甲第5発明」という。)が記載されている。

「ヘッドエンド130を有する配信センタ100から複数の情報通信端末装置(コミュニケータ)のそれぞれヘゲーム情報を配信する双方向通信システムにおいて、
情報通信端末装置(パーソナルコミュニケータ1)は、伝送路200を構成する同軸ケーブルを介して双方向通信可能であり、CPU5及びメモリ8等を備え、
受信したデータに基づいてゲーム番号一覧を表示し、そのゲーム番号一覧の中からユーザーの希望するゲームの番号が指定されると、ゲームリクエストデータが配信センタ100へ送信され、配信センタ100から送られてくるゲーム情報を受信して、そのゲーム情報をメモリ8に格納する
ことを特徴とする双方向通信システム。」

(イ)判断
構成要件11Fの「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる」における「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」は、構成要件11Cにおける、受信機に受信される「前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータ」であり、構成要件11Dにおける、メモリに記憶される「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」であり、構成要件11Eにおける、プロセッサが「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」ための「前記データ」である。
そうすると、「システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報」は、「ソフトウエアの更新情報」を「受信装置」において「実装する」のに用いられる「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」に含まれていると理解できる。
この点を本件特許明細書で確認すると、本件特許明細書(甲第10号証)12頁6?18行(甲第7号証、10頁7?17行)には、
「好適な実施例では、データに関係するソフトウエアの更新情報は、3つの状況下で、上述の態様で送られる。第1に、製造業者がデバイスを更新することを望んでいるか、又はソフトウエアの問題点を自動的に修理することを望むときに、データが送られる。この状況では、消費者の相互作用は要求されない。・・・第2に、新たなソフトウエアの更新情報が、消費者の選択によって利用可能である場合に、データが送られる。このシナリオでは、データは、通常、広告の形式を有している。第3に、ソフトウエアの更新情報が消費者によって注文/購入された後で、そのソフトウエアの更新情報を実装するために送られる。」
と記載されており、構成要件11Fは、上記第2の状況のものと認められる。
一方、甲第4発明においては、「ソフトウエアの更新情報」を「受信装置」において「実装する」のに用いられる「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」に対応するものは、「選択したゲームのゲームデータ」であるが、そのデータは「システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報」が含んでいるものではなく、甲第4号証には、構成要件11Fは記載されておらず、示唆する記載もない。
また、甲第5発明においては、「ソフトウエアの更新情報」を「受信装置」において「実装する」のに用いられる「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」に対応するものは、「配信センタ100から送られてくるゲーム情報」であるが、その情報は「システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報」が含んでいるものではなく、甲第5号証には、構成要件11Fは記載されておらず、示唆する記載もない。
したがって、甲第1発明1において、構成要件11Fを備えるようにすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。

カ まとめ
本件特許発明11は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第4号証に記載された発明又は甲第5号証に記載された基づいて容易に発明できたものとは認められない。

(3)進歩性その2
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証の記載は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)あ、のとおりである

イ 甲第1号証に記載された発明
甲第1発明2は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)い(お)のとおりである。

ウ 本件特許発明11と甲第1発明2との対比
本件特許発明11と甲第1発明2との対比する。

(ア)11A「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム」

a 「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報」
甲第1発明2の「インテリジェンス」が「ソフトウエアの更新情報」といえることは、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)う(あ)(あ-1)のとおりである。
甲第1発明2の「インテリジェンス」はダウンロードできるものであり、ダウンロード可能である。
したがって、甲第1発明2の「インテリジェンス」は、「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報」といえる。

b 「テレビジョン・システム」
甲第1発明2は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」であり、「テレビジョン・システム」といえる。また、甲第1発明2の「インテリジェンス」はダウンロードできるものであり、「テレビジョン・システム」といえる「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」は、「インテリジェンス」を有しているといえる。
そして、上記aのとおり、「インテリジェンス」は、「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報」といえるから、甲第1発明2は、「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム」といえる。

c まとめ
以上より、甲第1発明2は、「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム」といえる。

(イ)11B?11D
構成要件11B?11Dは、本件特許発明1の構成要件1B?1Dと同じであるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)う(い)?(え)を援用する。
甲第1発明2は、構成要件11B?11Dを備えている。

(ウ)11E「前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」

構成要件11Eは、本件特許発明1の構成要件1Eにおける「それぞれ」が「各々」である点で相違し、それ以外は同じである。「各々」は「それぞれ」と同じ意味であるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)う(お)を援用する。
甲第1発明2は、「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」を備えている。
しかしながら、甲第1発明2における「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して」、実装するものではないから、本件特許発明11と相違する。

(エ)11F「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる」

甲第1発明2においては、「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる」ものではないから、本件特許発明11と相違する。

(オ)11G「ことを特徴とするテレビジョン・システム」
甲第1発明1は、「双方向性CATV同軸ケーブル分配システム」であり、「テレビジョン・システム」といえる。
甲第1発明1は、構成要件11Gを備えている。

エ 一致点、相違点
以上より、本件特許発明11と甲第1発明2との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、
前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備えることを特徴とするテレビジョン・システム。

(相違点1)
「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」が、
本件特許発明11においては、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、」「・・・実装する」のに対し、
甲第1発明2においては、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、」「・・・実装する」ものではない点。

(相違点2)
本件特許発明11においては、
「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる」
のに対し、甲第1発明2においては、そうではない点。

オ 判断
相違点1は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)え、の相違点1と同じであるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)お(あ)(あ-3)の判断を援用する。
したがって、甲第1発明2において、相違点1の構成にすることは、当業者が容易に想到できたものと認めらる。
相違点2は、上記(2)エの相違点と同じであるから、上記(2)オ(イ)の判断を援用する。
したがって、甲第1発明2において、相違点2の構成にすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。

カ まとめ
本件特許発明11は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第2号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明、甲第4号証に記載された発明又は甲第5号証に記載された基づいて容易に発明できたものとは認められない。

(4)まとめ
以上のとおり、本件特許発明11は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第4号証に記載された発明又は甲第5号証に記載された基づいて容易に発明できたものとは認められない。
また、本件特許発明11は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第2号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明、甲第4号証に記載された発明又は甲第5号証に記載された基づいて容易に発明できたものとは認められない。

3 本件特許発明12
(1)分説
本件特許発明12を分説すると次のとおりである。

12A ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、

12B 複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、

12C 前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、

12D 前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データを記憶するよう構成されているメモリと、

12E 前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、

12F 前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されており、

12G 前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システム。

(2)進歩性その1
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証の記載は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)あ、のとおりである

イ 甲第1号証に記載された発明
甲第1発明1は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)い(き)のとおりである。

ウ 本件特許発明12と甲第1発明1との対比
本件特許発明12と甲第1発明1との対比する。

(ア)12A?12E、12G
構成要件12A?12E、12Gは、本件特許発明1の構成要件1A?1E、1Fと同じであるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)う(あ)?(か)を援用する。

(イ)12F「前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている」

甲第1発明1における「識別子」は、「加入者局を指定するアドレス」であって、「前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されて」いないから、本件特許発明12と相違する。

エ 一致点、相違点
以上より、本件特許発明12と甲第1発明1との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データを記憶するよう構成されているメモリと、
前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備えることを特徴とするテレビジョン・システム。

(相違点1)
「識別子」が
本件特許発明12においては、
「モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている」
のに対し、甲第1発明1においては、
「加入者局を指定するアドレス」
である点。

(相違点2)
本件特許発明12が
「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とする」のに対し、甲第1発明1がそうではない点。

オ 判断
(ア)相違点1について
a 甲第6号証に記載された発明
(a)甲第6号証の記載

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は同一通信網上に存在する不特定多数の情報処理装置のファイル自動更新方法およびその装置に関する。」

「【0002】
【従来の技術】ソフトウェアの改良・機能追加に対応するためにユーザ側ではバージョンアップという作業が発生する。バージョンアップはファイルを更新するという単純な操作によって行われることが多く、通信網上に情報機器が相当数存在する場合でも1台ごとに手作業で行われてきた。例えば図5、図6、図7はオペレーションシステム(以下、OSと称す)上でファイル更新が行われている様子を表したものである。図5のファイルDが図6のファイル更新操作によって図7のようにファイルDxにバージョンアップされている。」

「【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のバージョンアップ方法ではバージョンアップの対象となる情報処理装置の機種やファイル名、バージョン番号などをユーザが管理し、各情報処理装置ごとに手作業によるファイル更新が必要であった。この場合通信網上の情報処理装置の数が増加するにつれてユーザの作業量も当然増大し、機種,ファイル,設置場所などの管理も煩雑になってしまうという問題点があった。」

「【0008】図1は本発明の一実施例におけるファイル自動更新送信側装置の構成図である。図中、101は更新要求部で、ファイル自動更新要求を受け付けるものである。102は更新元ファイル情報記録部で、少なくともファイル名とバージョン番号と対象機種名とを含む更新元ファイルの情報を格納しているものである。103は更新元ファイル記録部で、更新元ファイルの実体を格納しているものである。104はパケット作成部で、前記更新要求部101により起動され、前記更新元ファイル情報記録部102の更新元ファイルの情報と前記更新元ファイル記録部103の更新元ファイルとからパケットを作成するものである。105はパケット送出部で前記パケット作成部104により作成されたパケットをブロードキャストパケットとして通信網に送出するものである。図2は本発明の一実施例におけるファイル自動更新受信側装置の構成図である。106はパケット受信部で、前記パケット送出部105より送出されたパケットを通信網から取り込むものである。107はパケット解析部で、前記パケット受信部106より取り込まれたパケットを更新元ファイル情報と更新元ファイルとに分解するものである。108は更新条件比較部で、更新元ファイルの情報と後述の更新先ファイル情報記録部109の更新先ファイルの情報とを比較するものである。109は更新先ファイル情報記録部で、更新先ファイルの情報を格納しているものである。110はファイル更新部で、前記更新条件比較部108によりバージョンアップの条件が満たされていると判断されたときに、後述の更新先ファイル記録部111の更新先ファイルを更新元ファイルに置き換えるものである。111は更新先ファイル記録部で、更新する対象のファイルを格納しているものである。図3は前記パケット送出部105から通信網に送出されるパケットである。
【0009】前述のように構成された本実施例のファイル自動更新装置の動作を図4を用いて以下に説明する。ファイル自動更新送信側装置(情報機器A120)の動作
(1) 通信網上の情報機器A120において、オペレータはバージョンアップを行なうための操作を行なう。または何らかのプログラムはその内部に記述されたバージョンアップを行なうためのコマンドを実行する。
(2) これに対し、更新要求部101はパケット作成部104を起動する。
(3) パケット作成部104は更新元ファイル情報記録部102の更新元ファイル情報と更新元ファイル記録部103の更新元ファイルとを読み込み、バージョンアップパケットであることを示すヘッダを含めてパケットを作成する。
(4) パケット送出部105はパケット作成部104で作成されたパケットをブロードキャストパケットとして通信網に送出する。
(5) 終わり。
ファイル自動更新受信側装置(情報機器B121)の動作
(1) 通信網上の情報機器B121において、パケット受信部106は前記パケット送出部より送出されたパケットが通信網上に流れるまで待ち、これを取り込む。
(2) パケット解析部107は前記パケット受信部106により取り込まれたパケットを更新元ファイル名、バージョン番号、対象機種名およびファイルの実体に分解する。
(3) 更新情報比較部108は、前記パケット解析部107より得られるバージョンアップ情報(更新元ファイル名、バージョン番号、対象機種名)と更新先ファイル情報記録部109より得られるバージョンアップ情報(更新先ファイル名、現バージョン番号、機種名)とを比較する。
(4) その結果、バージョンアップの条件が満たされていたならば、すなわち更新元ファイルが情報機器B121に存在し、更新後のバージョン番号が現在のものより上位で、かつ機種名が一致したならば、ファイル更新部110は更新先ファイル記録部111のファイルを前記パケット更新部107より得られる更新元ファイルに置き換える。バージョンアップの条件が満たされていないときは何もしない。
(5) (1)に戻る。
なお上記実施例の説明では情報機器A120と情報機器B121が1対1で通信しているが、情報機器B121は複数存在してよいことは言うまでもない。」

(b)甲第6号証に記載された発明
あ パケットの送受信システム
甲第6号証には、
「ソフトウェアの改良・機能追加に対応するためにユーザ側ではバージョンアップという作業が発生する。バージョンアップはファイルを更新するという単純な操作によって行われることが多く、・・・」(段落【0002】)、
「図1は本発明の一実施例におけるファイル自動更新送信側装置の構成図である。・・・105はパケット送出部で前記パケット作成部104により作成されたパケットをブロードキャストパケットとして通信網に送出するものである。図2は本発明の一実施例におけるファイル自動更新受信側装置の構成図である。106はパケット受信部で、前記パケット送出部105より送出されたパケットを通信網から取り込むものである。」(段落【0008】)、
と記載されており、甲第6号証には、「ソフトウェアの改良・機能追加に対応するためのバージョンアップはファイルを更新する」ことで行われること、及び「ファイル自動更新送信側装置がパケットを通信網に送出し、送出されたパケットをファイル自動更新受信側装置が通信網から取り込む」ことが記載されているので、甲第6号証には、「ソフトウェアの改良・機能追加に対応したバージョンアップ用のファイルを含むパケットの送受信システム」に関する発明が記載されているといえる。

い 複数のファイル自動更新受信側装置
甲第6号証には、
「・・・なお上記実施例の説明では情報機器A120と情報機器B121が1対1で通信しているが、情報機器B121は複数存在してよいことは言うまでもない。」(段落【0009】)、
「・・・図2は本発明の一実施例におけるファイル自動更新受信側装置の構成図である。106はパケット受信部で、前記パケット送出部105より送出されたパケットを通信網から取り込むものである。107はパケット解析部で、前記パケット受信部106より取り込まれたパケットを更新元ファイル情報と更新元ファイルとに分解するものである。108は更新条件比較部で、更新元ファイルの情報と後述の更新先ファイル情報記録部109の更新先ファイルの情報とを比較するものである。109は更新先ファイル情報記録部で、更新先ファイルの情報を格納しているものである。110はファイル更新部で、前記更新条件比較部108によりバージョンアップの条件が満たされていると判断されたときに、後述の更新先ファイル記録部111の更新先ファイルを更新元ファイルに置き換えるものである。111は更新先ファイル記録部で、更新する対象のファイルを格納しているものである。」(段落【0008】)、
と記載されており、「情報機器B121は複数存在してよい」ことから、「ファイル自動更新受信側装置」は複数存在し、また、「ファイル自動更新受信側装置」は、パケットを通信網から取り込む「パケット受信部106」、更新元のファイルの情報と更新先ファイルの情報とを比較する「更新条件比較部108」、更新先ファイルの情報を格納する「更新先ファイル情報記録部109」、更新先ファイルを更新元ファイルに置き換える「ファイル更新部110」、及び更新する対象のファイルを格納する「更新先ファイル記録部111」等を有する。

う パケット
甲第6号証には、
「・・・
(1) 通信網上の情報機器A120において、オペレータはバージョンアップを行なうための操作を行なう。または何らかのプログラムはその内部に記述されたバージョンアップを行なうためのコマンドを実行する。
(2) これに対し、更新要求部101はパケット作成部104を起動する。
(3) パケット作成部104は更新元ファイル情報記録部102の更新元ファイル情報と更新元ファイル記録部103の更新元ファイルとを読み込み、バージョンアップパケットであることを示すヘッダを含めてパケットを作成する。
(4) パケット送出部105はパケット作成部104で作成されたパケットをブロードキャストパケットとして通信網に送出する。
・・・
(2) パケット解析部107は前記パケット受信部106により取り込まれたパケットを更新元ファイル名、バージョン番号、対象機種名およびファイルの実体に分解する。
(3) 更新情報比較部108は、前記パケット解析部107より得られるバージョンアップ情報(更新元ファイル名、バージョン番号、対象機種名)と更新先ファイル情報記録部109より得られるバージョンアップ情報(更新先ファイル名、現バージョン番号、機種名)とを比較する。」(段落【0009】)、
と記載されており、この記載より、「パケット」は、オペレータのバージョンアップを行うための操作に応じて通信網に送出されており、「パケット」には、ファイルの実体の他に、バージョンアップ情報(更新元ファイル名、バージョン番号及び対象機種名)が含まれる。

え 甲第6号証に記載の発明
以上より、甲第6号証には、次の発明(以下「甲第6発明」という。)が記載されている。

「ソフトウェアの改良・機能追加に対応したバージョンアップ用のファイルを含むパケットの送受信システムにおいて、
複数のファイル自動更新受信側装置を備え、
ファイル事項更新側受信装置け、パケットを通信網から取り込むパケット受信部106、更新元のファイルの情報と更新先ファイルの情報とを比較する更新条件比較部108、更新先ファイルの情報を格納する更新先ファイル情報記録部109、更新先ファイルを更新元ファイルに置き換えるファイル更新部110、及び更新する対象のファイルを格納する更新先ファイル記録部111を備え、
オペレータのバージョンアップを行うための操作により送出されたパケットには、ファイルの実体の他に、バージョンアップ情報(更新元ファイル名、バージョン番号及び対象機種名)が含まれており、
更新情報比較部108は、パケット受信部106で受信されたパケットに含まれるバージョンアップ情報(更新元ファイル名、バージョン番号及び対象機種名)と、更新先ファイル情報記録部109に格納された更新先ファイルの情報とを比較し、
ファイル更新部110は、更新情報比較部108による比較の結果、機種名の一致等のバージョンアップ条件が満たされると、更新先ファイル記録部111の更新先ファイルを更新元ファイルに置き換える
ことを特徴とするパケットの送受信システム。」

b 判断
甲第1発明1は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され、アンスクランブル化が施される前提として、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがヘッドエンドにより番地が指定され、ダウンロードされる」ものである。
一方、甲第6発明は、ソフトウエアのバージョンアップ情報の対象機種が、一致すると、更新先ファイルに置き換えるものであり、更新先ファイルに置き換える対象を機種により特定することが開示されている。甲第6発明は、ソフトウエアのデータを特定の機器に送るものであって、甲第1発明1と同様な技術であるから、甲第1発明1において、「ソフトウエアの更新情報」といえる「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」のダウンロードする対象を、ヘッドエンドにより指定された「番地」により特定していたものを、機種により特定するようにすることは、当業者が容易に着想するものである。
そして、甲第1発明1では、購入により「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」をダウンロードすると、有料TVを見ることができ、実装されるのであるが、この際、前提として「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」が必要であり、このクラスの実装には、プログラムのデータも用いられるといえるから、プログラムのデータも実装に用いられる前記データといい得る。そして、プログラムはハードウエアに対応したものであって、機器ごとの異なるハードウエアに対応させる必要があるから、前提としてプログラムを送る際に、対象機種を識別子として送ることは容易に想到できる。
そのようにしても、クラスの実装が購入によってなされるのであるから、ユーザの識別能力を有さない対象機種でプログラムを送っても、有料TVの購入に問題は生じない。
「機種」は、「製品のタイプ」といえるから、甲第1発明1に甲第6発明を適用して、「前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(イ)相違点2について
相違点2は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)え、の相違点と同じであるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)お(い)の判断を援用する。
したがって、甲第1発明1、周知技術又は甲第12発明に基づいて、相違点2に係る構成に当業者が容易に想到し得ることとは認められない。

カ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明12は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第6号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとは認められない。

(3)進歩性その2
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証の記載は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)あ、のとおりである

イ 甲第1号証に記載された発明
甲第1発明2は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)い(お)のとおりである。

ウ 本件特許発明12と甲第1発明2との対比
本件特許発明12と甲第1発明2との対比する。
(ア)12A?12D、12G
構成要件12A?12D、12Gは、本件特許発明1の構成要件1A?1D、1Fと同じであるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)う(あ)?(え)、(か)を援用する。

(イ)12E「前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」

構成要件12Eは、本件特許発明1の構成要件1Eにおける「それぞれ」が「各々」である点で相違し、それ以外は同じである。「各々」は「それぞれ」と同じ意味であるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)う(お)を援用する。
甲第1発明2は、「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」を備えている。
しかしながら、甲第1発明2における「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して」、実装するものではないから、本件特許発明12と相違する。

(ウ)12F「前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている」

甲第1発明2における「識別子」は、「加入者局を指定するアドレス」であって、「前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されて」いないから、本件特許発明12と相違する。

エ 一致点、相違点
以上より、本件特許発明12と甲第1発明2との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データを記憶するよう構成されているメモリと、
前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備えることを特徴とするテレビジョン・システム。

(相違点1)
「前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」が、
本件特許発明12においては、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、」「・・・実装する」のに対し、
甲第1発明2においては、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、」「・・・実装する」ものではない点。

(相違点2)
「識別子」が
本件特許発明12においては、
「モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている」
のに対し、甲第1発明2においては、
「加入者局を指定するアドレス」
である点。

(相違点3)
本件特許発明12が
「前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とする」のに対し、甲第1発明1がそうではない点。

オ 判断
(ア)相違点1
相違点1は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)え、の相違点と同じであるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)お(あ)の判断を援用する。
相違点1の構成は、甲第1発明2に甲第2発明又は甲第3発明に適用して、当業者が容易に想到し得ることである。

(イ)相違点2
甲第1発明2は、「インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであ」り、「ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレス」を用いるものである。
そして、上記(ア)のとおり「ユーザ指示に応答して」ソフトウエアの更新情報を実装することは容易に想到し得ることである。
一方、甲第6発明は、ソフトウエアのバージョンアップ情報の対象機種が、一致すると、更新先ファイルに置き換えるものであり、更新先ファイルに置き換える対象を機種により特定することが開示されている。
しかしながら、「ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレス」を「機種」とする理由はない。なぜなら、対象を「機種」とすれば、ユーザ指示した受信装置以外の受信装置がソフトウエアの更新情報をダウンロードし、実装することになるからである。
したがって、甲第1発明2に甲第6発明を適用して、「前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることとは認められない。

(ウ)相違点3
相違点3は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)え、の相違点2と同じであるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)お(い)の判断を援用する。
したがって、甲第1発明2及び、周知技術又は甲第12発明に基づいて、相違点3に係る構成に当業者が容易に想到し得ることとは認められない。

カ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明12は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第2号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明、甲第6号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとは認められない。

(4)記載不備
請求人は、本件特許発明12が本件特許発明1と同様の記載不備の無効理由を有すると主張する。
しかしながら、本件特許発明1が記載不備の無効理由がないことは上記1(上記第二3(1)イ(ウ)Aa(b))のとおりである。

(5)まとめ
以上のとおり、本件特許発明12は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第6号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとは認められない。
また、本件特許発明12は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第2号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明、甲第6号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとは認められない。
さらに、本件特許発明12は、特許法第36条第6項第1号及び第2号、同条第4項第1号に規定する要件を満たしている。

4 本件特許発明13
本件特許発明13は、上記第二3(3)イ(ウ)Aにおいて検討した訂正発明13と同じであるから、上記第二3(3)イ(ウ)Aを援用する。
また、本件特許発明13は、甲第1発明1と対比すると、上記第二3(3)イ(ウ)Ab(b)う、え、のとおりの相違点があり、本件特許発明1は、甲第1発明2と対比すると、上記第二3(3)イ(ウ)Ab(c)う、え、のとおりの相違点があるから、本件特許発明13は、甲第1号証に記載された発明といえない。

したがって、本件特許発明13は、特許法第36条第6項第1号及び第2号、同条第4項第1号に規定する要件を満たしており、本件特許発明13は、甲第1号証に記載された発明及び、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでなく、甲第1号証及び、甲第2号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでない。
また、本件特許発明13は、甲第1号証に記載された発明といえない。

5 本件特許発明18
(1)分説
本件特許発明18を分説すると次のとおりである。

18A テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、

18B 複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを、モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、

18C 前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、

18D 前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、

18E 前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと

18F を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法。

(2)進歩性その1
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証の記載は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)あ、のとおりである

イ 甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、上記第二3(3)イ(ウ)Ab(b)い、のとおりの甲第1発明1’が記載されている。

ウ 本件特許発明18と甲第1発明1’との対比
本件特許発明18と甲第1発明1’とを対比する。

(ア)18A、18C?18F
本件特許発明18の構成要件18A、18C?18Fは、本件特許発明13の構成要件13A、13C?13Fと同じであるから、上記第二3(3)イ(ウ)Ab(b)う(あ)、(う)?(か)を援用する。

(イ)18B「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを、モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」

上記第二3(3)イ(ウ)Ab(b)う(い)のとおり、甲第1発明1’は、「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」を含んでいる。
しかしながら、甲第1発明1’の「識別子」は、「モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する」ものではないから、本件特許発明18と相違する。

エ 一致点、相違点
以上より、本件特許発明13と甲第1発明1’との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、
複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、
前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、
前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、
前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと
を含むことを特徴とする方法。

(相違点1)
「識別子」が、
本件特許発明18においては、「モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって」識別するものであるのに対し、
甲第1発明1’においては、「加入者局を指定するアドレス」である点。

(相違点2)
本件特許発明18は、
「前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含む」のに対し、甲第1発明1’がそうではない点。

オ 判断
(ア)相違点1について
甲第1発明1’は、「加入者による有料TVの購入によって、ヘッドエンドにより、特定の加入者局へサービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が送られ、加入者局に蓄積され、サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)が蓄積されることにより、I/Oポート回路から与えられるイネーブル入力信号中に存在する信号により動作可能となるアンスクランブラ304の動作により、スクランブル化されている信号は、アンスクランブル化が施され、アンスクランブル化が施される前提として、有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラムがヘッドエンドにより番地が指定され、ダウンロードされる」ものである。
一方、甲第6発明は、ソフトウエアのバージョンアップ情報の対象機種が、一致すると、更新先ファイルに置き換えるものであり、更新先ファイルに置き換える対象を機種により特定することが開示されている。甲第6発明は、ソフトウエアのデータを特定の機器に送るものであって、甲第1発明1と同様な技術であるから、甲第1発明1において、「ソフトウエアの更新情報」といえる「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」のダウンロードする対象を、ヘッドエンドにより指定された「番地」により特定していたものを、機種により特定するようにすることは、当業者が容易に着想するものである。
そして、甲第1発明1’では、購入により「サービス信号のクラス(適当なクラスのサービスデータ信号)」をダウンロードすると、有料TVを見ることができ、使用可能にするのであるが、この際、前提として「有料T.V.デスクランブラを制御するのに用いることができるプログラム」が必要であり、このクラスを使用可能にするには、プログラムのデータも用いられるといえるから、プログラムのデータも使用可能にすることに用いられる前記データといい得る。そして、プログラムはハードウエアに対応したものであって、機器ごとの異なるハードウエアに対応させる必要があるから、前提としてプログラムを送る際に、対象機種を識別子として送ることは容易に想到できる。
そのようにしても、クラスを使用可能にすることが購入によってなされるのであるから、ユーザの識別能力を有さない対象機種でプログラムを送っても、有料TVの購入に問題は生じない。
「機種」は、「製品のタイプ」といえるから、甲第1発明1’に甲第6発明を適用して、「前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(イ)相違点2について
相違点2は、上記第二3(3)イ(ウ)Ab(b)え、の相違点と同じであるから、上記第二3(3)イ(ウ)Ab(b)お(い)の判断を援用する。
したがって、甲第1発明1’及び、周知技術又は甲第12発明に基づいて、相違点2の構成に当業者が容易に想到し得ることとは認められない。

カ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明18は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第6号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとは認められない。

(3)進歩性その2
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証の記載は、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(b)あ、のとおりである

イ 甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)い、のとおりの甲第1発明2’が記載されている。

ウ 本件特許発明18と甲第1発明2’との対比
本件特許発明18と甲第1発明2’とを対比する。

(ア)18A、18C?18F
本件特許発明18の構成要件18A、18C?18Fは、本件特許発明13の構成要件13A、13C?13Fと同じであるから、上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)う(あ)、(う)?(か)を援用する。

(イ)18B「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを、モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」

上記第二3(1)イ(ウ)Ab(c)う(い)のとおり、甲第1発明2’は、「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」を含んでいるといえる。
しかしながら、甲第1発明2’の「識別子」は、「モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する」ものではないから、本件特許発明18と相違する。

エ 一致点、相違点
以上より、本件特許発明13と甲第1発明2’との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、
複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、
前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、
前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、
前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと
を含むことを特徴とする方法。

(相違点1)
「識別子」が、
本件特許発明18においては、「モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって」識別するものであるのに対し、
甲第1発明2’においては、「加入者局を指定するアドレス」である点。

(相違点2)
「前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」が、
本件特許発明18においては、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、」使用可能にするのに対し、
甲第1発明2’においては、そうではない点。

(相違点3)
本件特許発明18は、
「前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含む」のに対し、甲第1発明2’がそうではない点。

オ 判断
(ア)相違点1について
甲第1発明2’は、「インテリジェンスは、ヘッドエンドから送信されてくるデータその他の信号を翻訳あるいは解読するに必要なものであり、ヘッドエンドからダウンロードされるものであり、インテリジェンスの例には、有料T.V.デスクランブラ、チャンネル変換機もしくは音声減衰器などの如き特定の加入者局機器を制御するのに用いることができるプログラムがあり、該プログラムは、全ての加入者局へ放送されるが、保持されるのは番地が指定された加入者局によってのみであ」り、「加入者局を指定するアドレス」を用いるものである。
そして、下記(イ)のとおり「ユーザ指示に応答して」ソフトウエアの更新情報を使用可能することは容易に想到し得ることである。
一方、甲第6発明は、ソフトウエアのバージョンアップ情報の対象機種が、一致すると、更新先ファイルに置き換えるものであり、更新先ファイルに置き換える対象を機種により特定することが開示されている。
しかしながら、「ヘッドエンドがつけた加入者局を指定するアドレス」を「機種」とする理由はない。なぜなら、対象を「機種」とすれば、ユーザ指示した受信装置以外にもソフトウエアの更新情報をダウンロードし、使用可能にすることになるからである。
したがって、甲第1発明2’において、「前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることとは認められない。

(イ)相違点2について
相違点2は、上記第二3(3)イ(ウ)Ab(c)え、の相違点1と同じであるから、上記第二3(3)イ(ウ)Ab(c)お(あ)の判断を援用する。
したがって、甲第1発明2’において、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、」使用可能にするようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(ウ)相違点3について
相違点2は、上記第二3(3)イ(ウ)Ab(b)え、の相違点と同じであるから、上記第二3(3)イ(ウ)Ab(b)お(い)の判断を援用する。
したがって、甲第1発明2’及び、周知技術又は甲第12発明に基づいて、相違点3の構成に当業者が容易に想到し得ることとは認められない。

カ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明18は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証又は甲第3号証に記載された発明、及び甲第6号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとは認められない。

(4)記載不備
請求人は、本件特許発明18が本件特許発明1と同様の記載不備の無効理由を有すると主張する。
しかしながら、本件特許発明1が記載不備の無効理由がないことは上記1(上記第二3(1)イ(ウ)Aa(b))のとおりである。

(5)まとめ
以上のとおり、本件特許発明18は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第6号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明、に基づいて容易に発明することができたものとは、認められない。
また、本件特許発明18は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証又は甲第3号証に記載された発明、及び甲第6号証に記載された発明、周知技術又は甲第12号証に記載された発明、に基づいて容易に発明することができたものとは、認められない。
さらに、本件特許発明18は、特許法第36条第6項第1号及び第2号、同条第4項第1号に規定する要件を満たしている。

第六 むすび

以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1、請求項11、請求項12、請求項13及び請求項18に係る発明を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
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(目次)
第一 経緯 p.2
1 本件特許 p.2
2 本件請求 p.2

第二 訂正の可否についての判断 p.3

1 p.3

2 訂正事項 p.3
(1)請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正 p.3
(2)請求項12に係る訂正 p.3
(3)請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正 p.3
(4)請求項18に係る訂正 p.4

3 当審の判断 p.4
(1)請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正 p.4
ア 訂正の目的 p.4
イ 訂正の適合性 p.4
(ア)訂正の範囲 p.4
(イ)拡張・変更 p.5
(ウ)独立特許要件 p.5
A 訂正された請求項1 p.5
a 記載不備 p.6
(a)請求人の主張 p.6
あ 相互作用 p.6
(あ) p.6
(い) p.6
(う) p.6
(え) p.6
い 実装の主体の不一致 p.6
う 実装の程度 p.6
(b)当審の判断 p.7
あ 相互作用 p.7
(あ) p.7
(い) p.7
(う) p.8
(え) p.8
い 実装の主体の不一致 p.9
う 実装の程度 p.9
(c)まとめ p.9
b 進歩性 p.9
(a)訂正発明1 p.9
あ 分説 p.9
い 用語の解釈 p.10
(あ)「ソフトウエアの更新情報」 p.10
(あ-1)本件特許明細書の記載 p.10
(あ-2)ソフトウエアの更新情報 p.13
(い)「実装」 p.15
(い-1)本件特許明細書の記載 p.15
(い-2)実装 p.16
(い-3)「ソフトウエアの更新情報」を実装 p.16
(い-4)「ソフトウエアの更新情報に関連するデータ」が受信され、記憶され、このデータを用いて「ソフトウエアの更新情報」を実装p.16
(う)「ユーザ指示に応答して」 p.17
(う-1)本件特許明細書の記載 p.17
(う-2)ユーザ指示に応答して p.18
(b)進歩性その1 p.19
あ 甲第1号証の記載 p.19
い 甲第1号証に記載された発明 p.28
(あ)双方向性CATV同軸ケーブル分配システム p.28
(い)複数個の加入者局 p.29
(う)加入者局の構成(復調器、データ取得回路、メモリ、CPU) p.29
(え)インテリジェンス p.31
(お)有料TVの購入 p.32
(か)有料TVの購入による動作 p.33
(き)甲第1号証に記載の発明 p.34
う 訂正発明1と甲第1発明1との対比 p.35
(あ)1A「ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システム」 p.35
(あ-1)「ソフトウエアの更新情報」 p.35
(あ-2)「テレビジョン・システム」 p.36
(あ-3)まとめ p.36
(い)1B「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置」 p.36
(う)1C「前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機」 p.37
(え)1D「前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリ」 p.38
(お)1E「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」 p.39
(お-1)「プロセッサ」 p.39
(お-2)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」 p.39
(A)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」 p.39
(B)「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」 p.40
(C)「ユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」 p.41
(D)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」 p.41
(E)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」 p.42
(お-3)まとめ p.42
(か)1F「を備え、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システムテレビジョン・システム」 p.43
え 一致点、相違点 p.43
お 判断 p.44
(あ)周知技術及び甲第12号証に記載された発明 p.44
(あ-1)周知技術 p.44
(あ-2)甲第12号証 p.44
(A)甲第12号証の記載 p.44
(B)甲第12号証に記載された発明 p.47
(い)判断 p.48
か まとめ p.50
(c)進歩性その2 p.50
あ 甲第1号証の記載 p.50
い 甲第1号証に記載された発明 p.50
(あ)双方向性CATV同軸ケーブル分配システム p.50
(い)複数個の加入者局 p.50
(う)加入者局の構成(復調器、データ取得回路、メモリ、CPU) p.50
(え)インテリジェンス p.52
(お)甲第1号証に記載の発明 p.53
う 訂正発明1と甲第1発明2との対比 p.54
(あ)1A「ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システム」 p.54
(あ-1)「ソフトウエアの更新情報」 p.54
(あ-2)「テレビジョン・システム」 p.55
(あ-3)まとめ p.55
(い)1B「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置」 p.55
(う)1C「前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機」 p.56
(え)1D「前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリ」 p.56
(お)1E「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」 p.57
(お-1)「プロセッサ」 p.57
(お-2)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」 p.58
(A)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する 」 p.58
(B)「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」 p.58
(C)「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」 p.59
(D)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」 p.59
(お-3)まとめ p.60
(か)1F「を備え、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システムテレビジョン・システム」 p.60
え 一致点、相違点 p.60
お 判断 p.61
(あ)相違点1について p.61
(あ-1)甲第2号証 p.61
(A)甲第2号証の記載 p.61
(B)甲第2号証に記載された発明 p.63
(B-1)通信回線に接続されたキャプテン受信機 p.63
(B-2)キャプテン受信機の構成 p.64
(B-3)基本プログラムの更新 p.64
(B-4)甲第2号証に記載された発明 p.65
(あ-2)甲第3号証 p.66
(A)甲第3号証の記載 p.66
(B)甲第3号証に記載された発明 p.69
(B-1)映像およびデータの送受信システム p.69
(B-2)複数のテレビジョン受像機 p.69
(B-3)端末(アドレス、ソフトウェア、メモリ、処理装置) p.70
(B-4)甲第3号証に記載された発明 p.71
(あ-3)判断 p.72
(い)相違点2について p.73
(い-1)周知技術 p.73
(い-2)甲第12号証 p.73
(A)甲第12号証の記載 p.73
(B)甲第12号証に記載された発明 p.73
(い-3)判断 p.73
か まとめ p.74
(d)まとめ p.75
B 訂正された請求項2?10 p.75
(エ)まとめ p.75
ウ まとめ p.75
(2)請求項12に係る訂正 p.76
ア 訂正の目的 p.76
イ 訂正の適合性 p.76
(ア)訂正の範囲 p.76
(イ)拡張・変更 p.76
(ウ)まとめ p.76
ウ まとめ p.76
(3)請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正 p.77
ア 訂正の目的 p.77
イ 訂正の適合性 p.77
(ア)訂正の範囲 p.77
(イ)拡張・変更 p.78
(ウ)独立特許要件 p.78
A 訂正された請求項13 p.78
a 記載不備 p.78
(a)請求人の主張 p.78
あ p.78
い p.78
(b)当審の判断 p.79
あ p.79
い p.79
(c)まとめ p.79
b 進歩性 p.79
(a)訂正発明13 p.79
(b)進歩性その1 p.80
あ 甲第1号証の記載 p.80
い 甲第1号証に記載された発明 p.80
う 訂正発明13と甲第1発明1’との対比 p.81
(あ)13A「テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法」 p.81
(い)13B「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」 p.81
(う)13C「前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップ」 p.82
(え)13D「前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップ」 p.83
(お)13E「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」 p.84
(お-1)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」 p.84
(お-2)「前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」 p.85
(お-3)「ユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」 p.85
(お-4)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」 p.86
(お-5)まとめ p.86
(か)13F「を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法」 p.87
え 一致点、相違点 p.87
お 判断 p.88
(あ)周知技術及び甲第12号証に記載された発明 p.88
(あ-1)周知技術 p.88
(あ-2)甲第12号証 p.88
(A)甲第12号証の記載 p.88
(B)甲第12号証に記載された発明 p.88
(い)判断 p.88
か まとめ p.89
(c)進歩性その2 p.89
あ 甲第1号証の記載 p.90
い 甲第1号証に記載された発明 p.90
う 本件特許発明13と甲第1発明2’との対比 p.90
(あ)13A「テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法」 p.91
(い)13B「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」 p.91
(う)13C「前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップ」 p.92
(え)13D「前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップ」 p.92
(お)13E「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」 p.93
(か)13F「を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法」 p.93
え 一致点、相違点 p.94
お 判断 p.95
(あ)相違点1について p.95
(い)相違点2について p.96
(い-1)周知技術及び甲第12号証に記載された発明 p.96
(A)周知技術 p.96
(B)甲第12号証 p.96
(B-1)甲第12号証の記載 p.96
(B-2)甲第12号証に記載された発明 p.96
(い-2)判断 p.96
か まとめ p.97
(d)まとめ p.98
B 訂正された請求項14?17 p.98
(エ)まとめ p.98
ウ まとめ p.98
(4)請求項18に係る訂正 p.99
ア 訂正の目的 p.99
イ 訂正の適合性 p.99
(ア)訂正の範囲 p.99
(イ)拡張・変更 p.99
(ウ)まとめ p.99
ウ まとめ p.99

第三 本件特許発明 p.100

第四 当事者の主張 p.104

1 請求 p.105
(1)請求の趣旨 p.105
(2)請求の理由(概要) p.105
(3)請求の理由の要点 p.105
(審判請求書)
ア 本件特許発明1 p.105
(ア)新規性欠如(甲第1号証) p.105
(イ)本件特許発明1の進歩性欠如その1(甲第1号証及び甲第2号証) p.106
(ウ)本件特許発明1の進歩性欠如その2(甲第1号証及び甲第3号証) p.106
イ 本件特許発明11 p.106
(ア)本件特許発明11の進歩性欠如その1(甲第1号証及び甲第4号証) p.106
(イ)本件特許発明11の進歩性欠如その2(甲第1号証、甲第2号証、及び甲第4号証) p.107
(ウ)本件特許発明11の進歩性欠如その3(甲第1号証、甲第3号証、及び甲第4号証) p.107
(エ)本件特許発明11の進歩性欠如その4(甲第1号証及び甲第5号証) p.107
(オ)本件特許発明11の進歩性欠如その5(甲第1号証、甲第2号証、及び甲第5号証) p.107
(カ)本件特許発明11の進歩性欠如その6(甲第1号証、甲第3号証、及び甲第5号証) p.107
ウ 本件特許発明12 p.107
(ア)本件特許発明12の進歩性欠如その1(甲第1号証及び甲第6号証) p.107
(イ)本件特許発明12の進歩性欠如その2(甲第1号証、甲第2号証、及び甲第6号証) p.108
(ウ)本件特許発明12の進歩性欠如その3(甲第1号証、甲第3号証、及び甲第6号証) p.108
エ 本件特許発明13 p.108
(ア)本件特許発明13の新規性欠如(甲第1号証) p.108
(イ)本件特許発明13の進歩性欠如その1(甲第1号証及び甲第2号証) p.108
(ウ)本件特許発明13の進歩性欠如その2(甲第1号証及び甲第3号証) p.108
オ 本件特許発明18 p.108
(陳述要領書)
カ 本件特許発明11について p.109
キ 本件特許発明13、18について p.110
ク 答弁書における被請求人の主張について p.110
(ア)甲第1号証は、少なくとも、構成要件1Eを開示していない、という被請求人の主張について p.110
(イ)甲第1号証及び甲第2号証による進歩性欠如、並びに甲第1号証及び甲第3号証による進歩性欠如について p.111
(ウ)本件特許発明11、12、13、18に対する無効理由について p.112
(4)弁駁の趣旨 p.112
(5)弁駁の理由(概要) p.112
(6)弁駁の理由の要点 p.112
(弁駁書)
ケ 請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正について p.112
ケ-1 記載不備 p.112
(ア)相互作用 p.112
a p.112
b p.113
c p.113
d p.113
(イ)実装の主体の不一致 p.113
(ウ)実装の程度 p.113
ケ-2 進歩性欠如 p.113
(ア)進歩性欠如1 p.113
(イ)進歩性欠如2 p.114
コ 請求項12に係る訂正について p.115
サ 請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正について p.115
シ 請求項18に係る訂正について p.116
(4)証拠方法 p.116

2 答弁 p.116
(1)答弁の趣旨 p.116
(2)答弁の理由(概要) p.117
(3)答弁の理由の要点 p.117
(答弁書)
ア 本件特許発明1に対する無効理由について p.117
イ 本件特許発明11に対する無効理由について p.120
ウ 本件特許発明12に対する無効理由について p.120
エ 本件特許発明13に対する無効理由について p.120
オ 本件特許発明18に対する無効理由について p.120
(陳述要領書)
カ 「本件特許発明1の進歩性欠如その1(甲第1号証及び甲第2号証)」(請求書37?50頁)における請求人の主張に対する反論 p.120
(ア)技術分野の関連性について p.120
(イ)機能の共通性について p.121
(ウ)課題の共通性について p.121
(エ)甲第1号証の内容中の示唆について p.122
キ 「本件特許発明1の進歩性欠如その2(甲第1号証及び甲第3号証)」(請求書50?63頁)における請求人の主張に対する反論 p.123
ク 口頭審理陳述要領書における請求人の主張に対する反論 p.124
(ア)本件特許発明11について p.124
(イ)本件特吽発明13、18について p.124
(ウ)答弁書における被請求人の主張に対する請求人の主張に対する反論 p.125
a 甲第1号証は、少なくとも、構成要件1Eを開示していない、という被請求人の主張に対する請求人の主張に対する反論 p.125
b 甲第1号証及び甲第2号証による進歩性欠如、並びに甲第1号証及び甲第3号証による進歩性欠如について p.125
c 本件特許発明11、12、13、18に対する無効理由について p.126
(4)答弁の趣旨 p.127
(5)答弁の理由(概要) p.127
(6)答弁の理由の要点 p.127
(平成26年6月19日付け答弁書)
ケ 請求項1?10からなる一群の請求項に係る訂正について p.127
ケ-1 記載不備 p.127
(ア)相互作用 p.127
a p.127
b p.127
c p.127
d p.128
(イ)実装の主体の不一致 p.128
(ウ)実装の程度 p.128
ケ-2 進歩性欠如 p.128
(ア)進歩性欠如1 p.128
(イ)進歩性欠如2 p.129
コ 請求項12に係る訂正について p.129
サ 請求項13?17からなる一群の請求項に係る訂正について p.129
シ 請求項18に係る訂正について p.129

第五 当審の判断 p.130

1 本件特許発明1 p.130

2 本件特許発明11 p.130
(1)分説 p.130
(2)進歩性その1 p.131
ア 甲第1号証の記載 p.131
イ 甲第1号証に記載された発明 p.131
ウ 本件特許発明11と甲第1発明1との対比 p.131
(ア)11A「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム」 p.131
a 「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報」 p.131
b 「テレビジョン・システム」 p.132
c まとめ p.132
(イ)11B?11D p.132
(ウ)11E「前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」 p.132
(エ)11F「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる」 p.133
(オ)11G「ことを特徴とするテレビジョン・システム」 p.133
エ 一致点、相違点 p.133
オ 判断 p.134
(ア)甲第4号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された発明 p.134
a 甲第4号証 p.134
(a)甲第4号証の記載 p.134
(b)甲第4号証に記載された発明 p.136
あ テレビゲームデータの送受信システム p.136
い 複数のテレビ受信機 p.136
う アダプタ p.137
え 甲第4号証に記載された発明 p.138
b 甲第5号証 p.138
(a)甲第5号証の記載 p.138
(b)甲第5号証に記載された発明 p.140
(イ)判断 p.141
カ まとめ p.142
(3)進歩性その2 p.142
ア 甲第1号証の記載 p.142
イ 甲第1号証に記載された発明 p.142
ウ 本件特許発明11と甲第1発明2との対比 p.142
(ア)11A「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム」 p.142
a 「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報」 p.142
b 「テレビジョン・システム」 p.143
c まとめ p.143
(イ)11B?11D p.143
(ウ)11E「前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」 p.143
(エ)11F「前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる」 p.144
(オ)11G「ことを特徴とするテレビジョン・システム」 p.144
エ 一致点、相違点 p.144
オ 判断 p.145
カ まとめ p.146
(4)まとめ p.146

3 本件特許発明12 p.146
(1)分説 p.146
(2)進歩性その1 p.147
ア 甲第1号証の記載 p.147
イ 甲第1号証に記載された発明 p.147
ウ 本件特許発明12と甲第1発明1との対比 p.147
(ア)12A?12E、12G p.147
(イ)12F「前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている」 p.147
エ 一致点、相違点 p.147
オ 判断 p.149
(ア)相違点1について p.149
a 甲第6号証に記載された発明 p.149
(a)甲第6号証の記載 p.149
(b)甲第6号証に記載された発明 p.151
あ パケットの送受信システム p.151
い 複数のファイル自動更新受信側装置 p.151
う パケット p.152
え 甲第6号証に記載の発明 p.153
b 判断 p.153
(イ)相違点2について p.154
カ まとめ p.154
(3)進歩性その2 p.155
ア 甲第1号証の記載 p.155
イ 甲第1号証に記載された発明 p.155
ウ 本件特許発明12と甲第1発明2との対比 p.155
(ア)12A?12D、12G p.155
(イ)12E「前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」 p.155
(ウ)12F「前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている」 p.156
エ 一致点、相違点 p.156
オ 判断 p.157
(ア)相違点1 p.157
(イ)相違点2 p.157
(ウ)相違点3 p.158
カ まとめ p.158
(4)記載不備 p.158
(5)まとめ p.158

4 本件特許発明13 p.159

5 本件特許発明18 p.159
(1)分説 p.159
(2)進歩性その1 p.160
ア 甲第1号証の記載 p.160
イ 甲第1号証に記載された発明 p.160
ウ 本件特許発明18と甲第1発明1’との対比 p.160
(ア)18A、18C?18F p.160
(イ)18B「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを、モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」 p.160
エ 一致点、相違点 p.161
オ 判断 p.162
(ア)相違点1について p.162
(イ)相違点2について p.163
カ まとめ p.163
(3)進歩性その2 p.163
ア 甲第1号証の記載 p.163
イ 甲第1号証に記載された発明 p.163
ウ 本件特許発明18と甲第1発明2’との対比 p.163
(ア)18A、18C?18F p.163
(イ)18B「複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを、モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップ」 p.163
エ 一致点、相違点 p.164
オ 判断 p.165
(ア)相違点1について p.165
(イ)相違点2について p.165
(ウ)相違点3について p.166
カ まとめ p.166
(4)記載不備 p.166
(5)まとめ p.166

第六 むすび p.166
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、
前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項2】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、該システムはさらに、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つに関係する情報を表示するスクリーンを有するデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項3】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、該システムはさらに、前記ソフトウエアの更新情報を注文するための少なくとも1つの電話を購えており、前記ソフトウエアの更新情報の実装に必要なデータは、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つが前記電話を用いて注文された後に、前記受信装置にダウンロードされることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項4】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、該システムはさらに、セットトップ・ボックスを介して前記ソフトウエアの更新情報を注文する少なくとも1つの遠隔制御装置を備えており、前記ソフトウエアの更新情報の実装に必要なデータは、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つが前記遠隔制御装置を用いて注文された後に、前記受信装置にダウンロードされることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項5】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記ソフトウエアの更新情報は、ソフトウエアの修理に関する情報を含むことを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項6】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記ソフトウエアの更新情報は、赤外線(IR)コードを指定することを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項7】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記ソフトウエアの更新情報は、ピクチャ・イン・ピクチャの拡張、ピクチャ・イン・ピクチャ画面のチャネル識別子、表示されたチャネル識別子を有するグラフィック・ネットワークのロゴ及びアイコン、拡張されたデータ・サービス、株相場サービス、バーチャル・チャネル・サービス、ニュース・サービス、気象情報サービス、及びスポーツ・スコア・サービスの少なくとも1つに関する情報であることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項8】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記受信装置の各々は、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダとのいずれか1つからなることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項9】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記プロセッサは各々、ダウンロード可能な新規のソフトウエアの更新情報が利用可能となったときに、該ソフトウエアの更新情報を広告するためのアイコンを表示するように構成されていることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項10】
請求項9記載のテレビジョン・システムにおいて、前記プロセッサは、ユーザによる新規のダウンロード可能なソフトウエアの更新情報に関連するデータの要求に応答して、該情報を受信するよう構成されていることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項11】
ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、
前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、
前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる
ことを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項12】
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データを記憶するよう構成されているメモリと、
前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、
前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されており、
前記テレビジョン・システムは、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用を必要とすることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項13】
テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、
複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、
前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、
前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、
前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと
を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記ソフトウエアの更新情報は、ピクチャ・イン・ピクチャの拡張、ピクチャ・イン・ピクチャ画面のチャネル識別子、表示されたチャネル識別子を有するグラフィック・ネットワークのロゴ及びアイコン、拡張されたデータ・サービス、株相場サービス、バーチャル・チャネル・サービス、ニュース・サービス、気象情報サービス、及びスポーツ・スコア・サービスの少なくとも1つ用のソフトウエアの更新情報であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、前記受信装置の各々は、テレビジョンと、セットトップ・ボックスとのいずれか1つからなることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、該方法はさらに、ダウンロード可能な新規のソフトウエアの更新情報が利用可能となったときに、該ソフトウエアの更新情報を広告するためのアイコンを表示するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13記載の方法において、該方法はさらに、ユーザによる新規のソフトウエアの更新情報に関する情報の要求に応答して、該情報を受信するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項18】
テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、
複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを、モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、
前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、
前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、
前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと
を含み、
前記方法は、前記データを用いて前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするために、前記データが前記受信装置の少なくとも1つにダウンロードされた後に、ユーザとの相互作用をするステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
関連出願
本出願は、1994年5月13日に出願した米国特許出願08/243598号(継続中)の一部継続出願であり、該米国特許出願08/243598号は、1994年5月4日に出願した米国特許出願08/239225号(継続中)の一部継続出願である。これらの米国特許出願の開示事項はすべて、あらゆる目的で本出願において参照されている。
発明の背景
今日、テレビジョン関連の情報をダウンロードするための種々の方法が利用可能である。この情報の多くは、テレビジョン・スケジュール・ガイドに関連している。テレビジョン・スケジュール・ガイドに要求される情報を提供するために、多数の異なる転送スキームもまた利用可能である。例えば、直接放送サテライト・システム(DBS)は、セットトップ受信機と接続されたサテライト・ディッシュアンテナを介してテレビジョン番組のスケジュール情報を提供している。さらに、汎用のサテライト・ディッシュアンテナ、同軸ケーブル、電話線、光学ケーブル、アンテナ等が、テレビジョン番組のスケジュール情報を分配するために使用されている。例えば、テレビジョン・チャネル中の垂直ブランキング期間(VBI)又は独立のテレビジョン・チャネルを、テレビジョン番組のスケジュール情報を提供するために用いることができる。
米国特許第5353121号には、テレビジョン番組のスケジュール・ガイド情報を提供して、工業的に成功を収めたシステムの代表例が開示されている。該米国特許第5353121号も、あらゆる目的において本出願に組み込まれている。さらに、1995年4月17日に出願された米国特許出願08/423411号には、テレビジョン情報に関する利用可能な多数の転送スキームが開示されており、該米国出願もすべての目的において本出願に組み入れられている。
さらに、加入者がビデオを選択してその位置で表示することができるようにしたシステムも提供されている。このようなシステムの1つとして、タッチ・トーン・テレフォン・キーパッドを用いたものがあり、それにより、加入者の選択を入力できるようにしている。これらのシステムは、ケーブル・テレビジョンにおいて利用可能であり、該システムは、ペイ-パー-ビュー(pay-per-view)・ビデオ・システムと呼ばれている。
テレビジョンのソフトウエアは往々にして、技術の進歩により、時代遅れとなる場合があり、または、機能しないことさえある。したがって、新規な機能を追加すること、ソフトウエアを更新すること、ソフトウエア・プログラムを修正することが必要な場合がある。さらに、テレビジョン・システムにおける新規購入ユニット(例えば、新規なVCRに必要な遠隔制御赤外線コード)によっては、不適合性の問題が生じる。これらの状況においては、サービスマンが顧客の家に出向いて修理又は更新をするか、または、顧客がデバイスのサービスが可能な小売店に該デバイスを持っていくか、又は送るかする必要がある。これら両方の状況において、顧客はある程度の不都合を被ることになる。したがって、この種のサービスのより簡便な提供方法が待たれている。さらには、新規に構築された機能の提供を希望する場合、顧客は依然として、機能可能なユニットを新しいユニットに取り替えて、これらの新機能を得るようにしなければならない。
最後に、製造業者は、顧客と直接連絡(通信)することができるものの、この通信は極めて限定されたものであり、しかも高価格となってしまう。例えば、製造業者は、郵便で送ることができ、電話連絡することができ、広告を分配することができ、又は、商業的に放送広告することができる。製造業者は、ある特別の製品を購入した顧客に対してダイレクト・メールを送りかつ電話連絡が可能であるが、同様な方法では製造業者のテレビジョン・コマーシャルを送ることができない。したがって、ある顧客のテレビジョン上に広告を表示することができるシステムの提供が要望されている。さらに、上記したように、修理係を必要とせずに、製造業者がテレビジョン・システムのソフトウエアを更新し、取り替え、又はテレビジョン・システムのソフトウエアを追加することが、要望されている。
発明の概要
本発明は、好適な実施例においては、ダウンロード可能な機能を提供することを意図しており、より詳細には、このような機能をテレビジョン・システムの識別特定された受信装置に提供することを意図している。機能は製造業者に所望のものであり、(1)ソフトウエアの障害を訂正すること、(2)ソフトウエアを追加又は更新すること、(3)汎用性の要求を満足するためのものである。機能はまた、テレビジョン・システムの広告に応答して、これらの機能に関する勧誘、広告に応答する顧客が、注文できるものである。例えば、広告は、特定の顧客のテレビジョン(又は、他の電子的プロダクト)にネットワークを介して、プロダクトの電子的シリアル番号に基づいて、電子的に供給される。これらのソフトウエアの更新情報は、テレビジョン・システムに機能的に追加可能である。これらのソフトウエアの更新情報に関連するデータは、コンパイルされてメイン装置(中央装置)から多数の受信装置に配置される顧客の電子的プロダクト(例えば、テレビジョン)に対して送信される。該データは、識別特定された受信装置において格納され、ソフトウエアが用いられて該格納されたソフトウエアの更新情報をインストールする。このような記憶は、通常、不揮発性メモリ又はフラッシュRAMにおいて実行される。受信装置はそれぞれ、受信機、メモリ、プロセッサを備えている。受信機は、これらのソフトウエアの更新情報に関連するデータを受信する。該データは、受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいる。各受信装置にあるメモリは、データの識別子が該受信装置を識別する場合にのみ、受信データを記憶する。受信装置のプロセッサは、セーブしたデータを用いて、受信装置にソフトウエアの更新情報をロードし、セーブし、又は実行する。
これら及び他の作用効果は、当業者が、採用した図面を参照して本発明の以下詳細な説明を読めば、明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、ソフトウエアの更新情報を放送して受信するためのシステムを示す図dある。
図2は、受信テレビジョンの基本的な構成要素を示す図である。
図3は、関連するソフトウエアの更新情報フィールドを示すデータ・パケットの一部を示す図である。
図4は、ソフトウエアの更新情報に関連する情報が如何にしてテレビジョン画面に表示されるか、及び、追加の情報を得るために遠隔装置がどのように用いられるかを示す図である。
好適実施例の詳細な説明
ソフトウエアの更新情報のタイプ
本発明は、テレビジョン・システムにソフトウエアの更新情報をダウンロードするためのスキームを提供する。ダウンロード可能な多数のソフトウエアの更新情報は、一般に、1又は2のカテゴリに分けられる。第1のカテゴリは、ソフトウエア検出訂正、適合性要求フィックス、及び、テレビジョン製造業者又は第3者によって提供されるソフトウエアの更新または追加を含んでいる。例えば、テレビジョン製造業者は、あるモデルのテレビジョンが売られて頒布された後に、ソフトウエアの欠点に気づくことがある。障害があるテレビジョン・モデルを購入した消費者を惑わせることなく、このような欠点を訂正するために、ソフトウエアの問題点を修正する新しいソフトウエアを、製造業者がはたやすくダウンロードすることが可能である。この場合、サービスマンが出向く必要はない。他の例を挙げれば、赤外線(IR)コードが間違っているか又は摩滅状態にある場合がある。IRコードは、テレビジョンと単一の遠隔制御を有するVCRとの間の相互動作を可能にするために、用いられる。したがって、テレビジョン遠隔制御によりテレビジョンとVCRとの両者を制御するために、正しいIRコードが必要である。このような場合、製造業者は新しいIRコードを容易にダウンロードし、これにより、顧客は、該顧客の所にあるテレビジョン遠隔制御装置を用いて、購入したか又は以前には整合性を有していなかったVCR、セットトップ・ボックス等を制御することができる。再度強調するが、サービスマンは不要であり、遠隔制御装置又は製品をサービスのために送る必要はない。
ソフトウエアの更新情報の第2のカテゴリは、顧客が自身のテレビジョン・システムにダウンロード又はイネーブル状態にしたいソフトウエアの更新情報を選択することである。例えば、顧客は、テレビジョン画面上のメニューまたはガイドがより多くのオプションを含むように、ユーザ・インターフェースを拡張(増強)したい場合がある。ソフトウエアの更新情報のこれらタイプの他の例としては、(1)ピクチャ・イン・ピクチャの拡張、(2)ピクチャ・イン・ピクチャ画面におけるチャネル識別、(3)グラフィック・ネットワークのロゴ及びアイコンを、画面上のチャネル識別子とともに表示すること、(4)拡張データ・サービス(EDS)の増強(すなわち、グレードアップ)、(5)株相場サービス、(6)バーチャル・チャネル・サービス、(7)ニュース・サービス、(8)気象情報サービス、(9)スポーツ・スコア・サービスを含んでいる。
上記したソフトウエアの更新情報の多くは、販売されたテレビジョンに既に付属しており、テレビジョン・システムにおいて使用可能(イネーブル)状態にすることだけが必要である。例えば、表示されたチャネル識別子とともにアイコンを有するように選択すると、ユーザが新しいチャネルを選択する度に、左上に該アイコンが表示される。チャネル識別子を備えたこれらのアイコンは、テレビジョンが販売されたときに該テレビジョンのROMに通常記憶されているものであるが、適宜のソフトウエアが存在する場合にのみ表示されるものである。本発明は、このようなソフトウエアを販売後にダウンロード可能にするものである。ダウンロードされたソフトウエアは、新しいネットワークに関する追加のアイコンを提供するためにも使用可能である。
最後に、利用可能なソフトウエアの更新情報に関する広告は、一人の顧客又は複数の顧客に送信可能である。広告及び該広告に関連する情報は、画面を有する任意の装置(例えば、テレビジョンまたはコンピュータ・モニタ)で可視表示することができる。
ハードウエア環境
図1は、ソフトウエアの更新情報を放送して受信するためのシステムを示している。好適な実施例においては、上記したソフトウエアの更新情報に関連するデータは、メイン装置(中央装置)20でコンパイルされる。メイン装置20は、例えば、テレビジョン製造業者、ガイド・プロバイダ等である。その後、データは、通信ライン22を介して分配装置(遠隔装置)30に送信される。ライン22は、任意の形式の媒体である。好適な実施例においては、コンパイルされたデータは、レーザ・ディスク、ビデオ・テープ及びコンパクト・ディスク上に記憶され、翌朝配達郵便やクーリエによって、分配装置30に送られる。
好適実施例では、分配装置30は、衛星(サテライト)40と共に機能し、データを、受信装置46、48及び50に向けて放送する。データは、好適実施例では、ある専用チャネルの垂直ブランキング周期(VBI)で搬送される。この代替的な方法としては、データは、他のデータと共に、又は、そのデータだけで、専用のテレビジョン又はラジオ周波数チャネルで、放送することもできる。また、データは、高速デジタル環境で放送することもできる。好適実施例では、この放送は毎晩行われ、それによって、受信装置が受信するように、そして、必要な場合には、受信したデータをセーブするように、プログラムすることが可能になる。受信装置46、48及び50は、例えば、VCR46、種々のボックス48及びテレビジョン50を含む。種々のボックス48とは、例えば、セットトップ・ボックス(ケーブル・ボックスなど)や、TVCR(テレビジョンとVCRとが1つのユニットに組み合わされたもの)である。好適実施例では、受信装置は、住居内に置かれた複数のテレビジョン50及びVCR46である。これらの受信装置46、48及び/又は50は、他のデバイス又は製品にリンクされ、これらのデバイス/製品に、データの更新又はダウンロードを提供することができる。
本発明の別の実施例では、上述のソフトウエアの更新情報に関連するデータは、メイン装置20でコンパイルされて、コンピュータ・ディスク(例えば、レーザ・ディスク、コンパクト・ディスク、フロッピ・ディスク等)に記憶される。そして、このディスクが、好適実施例では、翌日配達の郵便で、受信装置46、48及び/又は50に位置する消費者に送られる。消費者は、このコンピュータ・ディスクを、コンピュータ記憶デバイス52に挿入して、上述のソフトウエアの更新情報に関係するデータを、受信装置50の1つの中のメモリにダウンロードする。コンピュータ記憶デバイス52は、市販されている任意のディスク・ドライブでよい。さらに別の実施例では、データは、ビデオ・カセット・テープ(又は、それに類似する媒体)上に提供されて、翌日配達の郵便により消費者へ配送され、それにより、消費者は、自分のVCRを用いて、自身が選択したソフトウエアの更新情報に関係するデータをダウンロードできる。この構成では、データは、ビデオ・テープのVBIから読み出される。最後に、コンパイルされたデータは、送信ライン42を介して送ることもできる。送信ライン42は、例えば、同軸ケーブル、電話回線、光ファイバ・ケーブル、地上アンテナ等である。
データが放送されるときには、第1の実施例に示されるように、データは、システム10の中の利用可能な受信装置46、48及び/又は50の少なくとも1つを示すインジケータ・アドレスを含む。上述のように、これらの受信装置46、48及び50は、例えば、テレビジョン、VCR、セットトップ・ボックス、TVCR等である。したがって、その製造業者を示す関連するデータにインジケータ・アドレスを配置することにより、特定の製造業者によって製造されたすべてのテレビジョンに、あるソフトウエアの更新情報を送ることも可能である。受信装置46、48及び50のそれぞれは、排他的な識別番号を有している。この識別番号は、好適な実施例では、(1)TV帯域、(2)モデル/シリアル番号、(3)顧客のシリアル番号、及び(4)地域番号を含むサブ識別フィールドである。データが受信装置46、48又は50の1つによって受信されると、インジケータ・アドレスが読み出される。インジケータ・アドレスが受信装置46、48又は50の1つに対する識別番号の適切な部分と一致する場合には、そのインジケータ・アドレスに関連するデータは、対応する受信装置46、48又は50の中にセーブされる。それぞれのインジケータ・アドレス・サブフィールドは、該サブフィールドにおいて指示され得るすべてのカテゴリを識別するワイルドカード・インジケータを含み得る。例えば、顧客のシリアル番号のサブフィールドがワイルドカード・インジケータを含む場合には、指示されたテレビジョン・ブランドを有するすべての顧客は、その関連するデータをセーブすることになる。したがって、インジケータ・アドレスは、特定のユニット、特定のモデル又はシリアル番号グループ、特定のブランド、特定の製造又は日付の運転、又は、特定の製品のタイプ(すなわち、テレビジョンか、TVCRか、VCR又はセットトップ・ボックス)を識別するように、構成されている。
図2は、受信テレビジョンの基本的な構成要素を示している。上述のように、好適実施例では、受信装置は、テレビジョン50である。放送されたデータは、テレビジョン50の中の、チューナ54、ビデオ・プロセッサ60及びデータ・デコーダ61によって受信される。放送されたデータを受け取るために、マイクロプロセッサ62は、チューナ54を、ソフトウエアの更新情報に関係したデータを搬送するチャネルに同調(チューニング)させる。受信されたデータがテレビジョンの識別番号の適切な部分に対応するインジケータ・アドレスを含む場合には、これらのデータはRAM58にセーブ(記憶)される。マイクロプロセッサ62は、正しいインジケータ・アドレスの放送時に、受信されたデータをモニタする。ある実施例では、データがRAM58にセーブされた後で、オンスクリーン・ディスプレイ(OSD)64が、テレビジョン・スクリーン上に利用可能なソフトウエアの更新情報に関係するメッセージを表示する。
RAM58は、不揮発性の、バッテリによってバックアップされたメモリ、又はフラッシュ・メモリであり、したがって、RAMを維持するのに、連続的な電力供給は必要でない。RAM58は、TV制御部分、ローダ(loader)プログラム及びアドバンスト・プログラム(advanced program)を含む。別の実施例では、ROM59がローダ・プログラムとTV制御部分を含むこともある。TV制御部分は、基本的なプログラムであり、これによって、テレビジョン50が遠隔制御器(リモート・コントロール)100と相互作用することが可能になる。遠隔制御器100によって送信された信号は、IR受信機68によって受信される。ローダ・プログラムは、アドバンスト・プログラムを変更するのに用いられる。アドバンスト・プログラムは、テレビジョンが購入された当初には、テレビジョンに含まれる場合と含まれない場合とがある。アドバンスト・プログラムは、新たなソフトウエアの更新情報を実装させるデータが受信されたときに、後で追加することが可能であるし、そうでなくとも、アドバンスト・プログラムの一部を交換したり、イネーブルして、そのソフトウエアの更新情報を実装させるデータが受信されたときに、新たなソフトウエアの更新情報を与えることも可能である。したがって、あるソフトウエアの更新情報を実装させるために送られるデータには、アドバンスト・プログラム・データが含まれる。
テレビジョン50の内部のハードウエア及びソフトウエア(図2参照)は、VCR46又はセットトップ・ボックス48の中に配置することもできる。その場合には、制御部分(上述のTV制御部分に対応する)は、VCR制御部分、又は、セットトップ・ボックス制御部分である。したがって、テレビジョン50において実装した場合と同じ態様で、ソフトウエアの更新情報を、VCR46やセットトップ・ボックス48に実装することができる。
ソフトウエア
図3は、データ・パケットの一部であり、本発明の1つの特定の実施例の関係するソフトウエアの更新情報のフィールドを示している。好適な実施例では、ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、パケット形式で放送される。それぞれのデータ・パケットの内部には、少なくとも1つのソフトウエアの更新情報に関係する情報が提供されている。例えば、図3には、IRコードを指定する特定のパレットが示されている。
IRコード・コマンドは、リモコンが特定の周辺機器を制御するのに用いられる制御コードを特定する。好適な実施例では、周辺機器には、VCR、セットトップ・ボックス、TVC及びテレビジョンが含まれる。このコマンドの送信は、通常は、消費者がその周辺機器の1つと互換性を有するリモコンを有するときに生じる。他のソフトウエアの更新情報の場合のように、IRコードは、そのシリアル番号を介して特定のユニットに向けられて送られるか、又は、与えられた製品コード、デバイスのタイプ(例えば、VCR)及び/又はデバイスIDを有するユニットのグループに向けて送られる。
図3に示されているIRコード・コマンドには、複数のフィールドが含まれている。第1のフィールドであるフィールド0は、コマンド・タイプ70を含む。コマンド・タイプ70は、コマンドを、IRコードの割り当てコマンドとして、識別する。フラグ72もまた、フィールド0に含まれる。フラグ72は、現在のコマンドが暗号化されているかどうかを示す。暗号解除キーID74は、これもまたフィールド0に含まれているが、必要な場合には、2つの現在のプログラム暗号解除キーのどちらをこのコマンドの暗号解除するのに用いるべきかを、識別する。フィールド1及び2は、コマンド長76を含む。これらのフィールドは、このコマンドに含まれる全バイト数を表している。フィールド3からフィールド7は、シリアル番号78を含む。シリアル番号78は、コマンドが向けられる消費者(顧客)ユニットのシリアル番号である。シリアル番号が0である場合には、コマンドは、このコマンドの中のものに対応する製品(プロダクト)コード、デバイス・タイプ、デバイスIDを有するすべての消費者ユニットに向けられる。
フィールド8及び9は、製品コード80を含み、フィールド10は、相互接続コンフィギュレーション82を含む。相互接続コンフィギュレーション82は、周辺機器によって制御される構成要素が接続されている方法に対応する値を含む。フィールド11は、ベンダー識別(ベンダーに特有の)フィールド84である。このフィールドは、その使用値がこのコマンドが向けられている製品に依存するバイト値を含む。例えば、このコマンドが特定の製造業者のテレビジョンに向けられている場合には、この値は、その特定の製造業者のテレビジョンに対するダウンロードされたIRコードと共に用いられるチューニング方法インデックスである。製品コード80は、このコマンドが向けられている消費者ユニットのタイプ/モデルを識別する番号である。この番号は、また、その周辺機器に対するリモコンのタイプとも相関する。このコマンドは、この番号がシリアル番号フィールドが0であるときにその製品番号に一致しない場合には、消費者ユニットによって、無視される。さらに、このフィールドは、シリアル番号フィールドがゼロでないときに、無視される。
デバイス・タイプ86は、IRコードを認識することができるデバイスのタイプ(VCR、ケーブル・ボックス、TV、IRD等)を識別する。デバイスID88は、そのIRコードを認識するデバイスに対するコード・グループ番号を含む。消費者ユニットは(一致するアドレスを有する場合にだけ)、与えられたデバイス・タイプに対して現に有しているグループ番号を、それが何であれ、この番号と交換する。したがって、メイン装置20は、特定のユーザに対して、コード・グループを直接に設定できる。このコマンドにおけるシリアル番号フィールドが0である場合には、これは実行されない。この場合には、コマンドは、同じデバイス・タイプに対するデバイスIDと一致するコード番号を消費者が既に入力している場合には、処理されるだけである。
フィールド15は、このコマンドにおけるIRコードに対するバージョン番号を有するIRバージョン90を含む。識別された周辺機器は、それぞれのデバイス・タイプに対してバージョン番号をセーブし、そのバージョン番号が先に記憶されているバージョン番号よりも大きい場合には、消費者のグループに向けられたこれらのIRコード割り当てコードを処理するだけである。したがって、システムは、IRコード・コマンドを再処理することはない。フィールド16及び17は、IRコード長92を含む。IRコード・コマンド92は、IRコード・フィールドにおけるバイト数を含む。この値が0に等しい場合には、デバイスIDだけを用いて特定されたデバイス・タイプに対するコード・グループを更新し、IRコードを有するフィールドは空である。フィールド18?nは、IRコード94を含む。IRコード94は、リモコンによって、特定されたタイプのデバイスを制御するのに用いられる。フィールド18?nの構造は、リモコンの製造業者によって決定される。まとめると、ソフトウエアの更新情報パレットの内部の適切なフィールドが受信装置の識別番号の適切な部分と対応するときには、マイクロプロセッサ62は、そのパケットをRAM58にセーブする。ローダ・プログラムが、次に、そのソフトウエアの更新情報パケットの適切なフィールドからのデータを、アドバンスト・プログラムに挿入する。こうして、受信装置のソフトウエアは、受信されたパケットのソフトウエアの更新情報コマンド部分と共に用いられて、新たなソフトウエアの更新情報を組み入れることになる。
テレビジョン・ディスプレイ
好適な実施例では、データに関係するソフトウエアの更新情報は、3つの状況下で、上述の態様で送られる。第1に、製造業者がデバイスを更新することを望んでいるか、又はソフトウエアの問題点を自動的に修理することを望むときに、データが送られる。この状況では、消費者の相互作用は要求されない。したがって、データは、消費者のテレビジョン・システムの中にダウンロードされるが、この際に消費者は、通常の保守の目的でこれを知ることはない。望む場合には、消費者に、そのテレビジョン・システムにダウンロードされたすべてのデータの記述を提供することもできる。相互作用が必要であれば、リモコン100を後に述べるように用いることになる。第2に、新たなソフトウエアの更新情報が、消費者の選択によって利用可能である場合に、データが送られる。このシナリオでは、データは、通常、広告の形式を有している。第3に、ソフトウエアの更新情報が消費者によって注文/購入された後で、そのソフトウエアの更新情報を実装するために送られる。上述のように、これらのソフトウエアの更新情報は、VCR、テレビジョン、TVCR、セットトップ・ボックス等に対して、用いられる。ソフトウエアの更新情報データがテレビジョンではない受信サイトに送られる場合には、テレビジョンは、依然として、そのソフトウエアの更新情報に関係する情報を表示するために使用可能である。
図4は、あるソフトウエアの更新情報に関係する情報がテレビジョン・スクリーン上にどのように示されるか、そして、追加的な情報を得るのにリモコンをどのように用いることができるかを、示している。テレビジョン・システム10と相互作用するためには、消費者は、テレビジョン・スクリーン110上のメッセージに応答して、リモコン100を用いる。好適な実施例では、リモコンのボタン102、104及び106は、当初は、ブランクになっている。これらのボタン102、104及び106は、テレビジョン・スクリーン110上に、図形的に表示されているボタン112、114及び116に対応する。テレビジョン50と共に売られたリモコンが、必要となる特別のボタン102、104及び106を備えていない場合には、新たなリモコンを、翌日配送の郵便でその消費者に宛てて送ることができる。
消費者に対して新たなソフトウエアの更新情報を宣伝するためにデータが送られる場合には、メールボックス・アイコン120が、消費者に対して、新たなソフトウエアの更新情報を選択することができることを知らせるのに用いられるのが通常である。消費者は、望むときには、メールボックス・アイコン120の表示を消去することができる。消費者は、さらに、一般化されたボタン112、114及び116によって促されるときには、特別のリモコン・ボタン102、104及び106の任意のものを押すことにより、新たなソフトウエアの更新情報に関係するより多くの情報を受け取ることができる。
好適な実施例では、メールボックス・アイコン120が一杯である(例えば、点滅するアイコン120は、メールボックスが一杯であることを示す)ときには、消費者は、テレビジョン・スクリーン110上で、新たに入手可能になったソフトウエアの更新情報に関係する情報を受け取ることができる。この情報は、消費者が特別のリモコン・ボタン102、104及び106の1つを押した後で、デモンストレーションとして与えられる。この短いデモンストレーションが終わると、次に、消費者は、リモコン・ボタン102、104及び106の1つを押下することによって、そのソフトウエアの更新情報を注文するか、又は、より多くの情報を受け取るかのどちらかを促される。例えば、宣伝のメッセージは、次のようなものがある。「RCAのテレビジョンをもっている方々へ、ネットワークID付きのデラックス・デジタル・ピクチャ・イン・ピクチャの提供です。1-800-STAR-NOWに今日中にお電話下さい。たったの、19ドル95セントです。」消費者には、また、注文のための、ソフトウエアの更新情報のID番号が与えられる。さらに、新たに利用可能になったソフトウエアの更新情報に関係するデモンストレーション中の任意の時間に、消費者は、リモコン100の上のボタン108を押すことにより、通常のテレビジョン番組に戻ることもできる。ボタン108は、例えば、リモコン上のプリ(前)チャネル・ボタンでよい。
データがテレビジョン、VCR、TVCR又はケーブル・ボックスにダウンロードされて消費者に消費者の注文によるソフトウエアの更新情報が提供されるときには、消費者は、新たなソフトウエアの更新情報を完全に組み入れるために、テレビジョン・システム10と相互作用をしなければならない場合がある。例えば、ソフトウエアの更新情報が消費者のVCRにダウンロードされた後で、別のメールボックス・アイコン120又はオンスクリーン・メッセージを用いて、注文されたソフトウエアの更新情報を実装するにはある種の情報が必要であると消費者に警告が与えられることがある。再び、消費者は、特別のリモコン・ボタン102、104及び106の任意のものを押すことによって、望むときには、相互作用プロセスを開始することができる。マイクロプロセッサ62は、OSDと共に、テレビジョン・スクリーン110上に、一般化されたボタン112、114及び116を用いて、必要な情報を提供することができる。これらのボタンは、必要な情報を、消費者に要請する。消費者は、対応するリモコン上のボタン102、104、及び106を押すことにより、テレビジョン・スクリーン110上の種々の質問に応答する。例えば、ピクチャ・イン・ピクチャ表示における第2のピクチャの配置及び/又は大きさは、ピクチャ・イン・ピクチャ強化タイプのソフトウエアの更新情報に対しては、消費者によって選択される必要がない。さらに、データがダウンロードされて、消費者に1又は複数の新たなソフトウエアの更新情報が提供される際には、(1)新たなソフトウエアの更新情報は、ほとんど瞬時に自動的に表示され、(2)データ又は新たなソフトウエアの更新情報は、消費者がそのソフトウエアの更新情報の表示を要求するまで、一次的に記憶され、そして、(3)複数の新たなソフトウエアの更新情報のためのデータは、ソフトウエアの更新情報群が後で一度に表示されるように記憶されるようにすることができる。必要に応じて、消費者は、リモコン100とテレビジョン・スクリーン110上のプロンプト130とを用いて、新たなソフトウエアの更新情報を表示する複数のモードの中から選択することが可能である。
好適な実施例では、消費者の場所にある電話のキーパッドを用いて、望むソフトウエアの更新情報を注文することができる。例えば、自動呼び出し応答システムを、タッチ・トーン・キーパッドと共に用いて、消費者のクレジット・カード番号、消費者の識別(ID)番号、及び所望のソフトウエアの更新情報を受け取ることができ、注文を自動的に行うことができる。別の実施例では、消費者の場所にある双方向/相互作用的(対話的)なセットトップ・ボックスを用い、リモコン100を使って、望むソフトウエアの更新情報を注文することができる。このセットトップ・ボックスがケーブル・ボックスである場合には、ケーブル会社は、注文をメイン装置20まで送信することができ、また、ケーブル会社は、料金請求プロセスを助けることもできる。注文の際には、消費者の識別(ID)番号が、このソフトウエアの更新情報が後で正しい消費者テレビジョン・システムにセーブされるように、必要となり得る。この識別番号は、注文している消費者の場所をトラッキングできる対話的なセットトップ・ボックス・システムでは、必要ない。
本発明の別の実施例では、受信装置48はコンピュータであり、オフサイトのデータベースからの情報が注文されて、コンピュータ48にダウンロードすることができる。例えば、特定の対象、ニュース・ストーリなどを、オンスクリーンに広告表示することができる。消費者は、次に、その特定の対象、ニュース・ストールなどのコンピュータ48へのダウンロードを注文できる。さらに、望む場合には、消費者は、オフサイト・データベースからコンピュータ48に対して、広告されたソフトウエア・プログラムを注文することもできる。これらの対象、ニュース・ストーリ、ソフトウエア・プログラムなどは、上述の場合と同じ態様で、受信装置に送ることができる。
本発明のすべての完全な開示を以上で行ったが、当業者には、種々の修正や変更が可能であることは明らかである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2014-09-08 
結審通知日 2014-09-10 
審決日 2014-09-26 
出願番号 特願平9-501931
審決分類 P 1 123・ 121- YAA (H04N)
P 1 123・ 113- YAA (H04N)
P 1 123・ 856- YAA (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古川 哲也  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
藤井 浩
登録日 2007-06-08 
登録番号 特許第3965462号(P3965462)
発明の名称 ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム  
復代理人 飯田 貴敏  
復代理人 大塩 竹志  
代理人 山本 秀策  
復代理人 飯田 貴敏  
復代理人 山本 健策  
代理人 山本 秀策  
復代理人 大塩 竹志  
代理人 森下 夏樹  
代理人 岡本 敏夫  
代理人 森下 夏樹  
復代理人 山本 健策  
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