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審決分類 審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B30B
審判 一部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  B30B
審判 一部無効 特174条1項  B30B
管理番号 1295851
審判番号 無効2014-800076  
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-05-16 
確定日 2015-01-05 
事件の表示 上記当事者間の特許第5347149号発明「回転式粉体圧縮成形機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
特許第5347149号(以下、「本件特許」という。)についての手続の経緯は、おおむね次のとおりである。
平成22年 3月16日 本件特許に係る出願(優先権主張平成21年4月7日)
平成24年 7月 9日 拒絶理由
平成24年 9月14日 意見書及び手続補正書提出
平成24年12月 6日 拒絶査定
平成25年 2月25日 審判請求書及び手続補正書提出
平成25年 5月22日 拒絶理由
平成25年 6月10日 意見書及び手続補正書提出
平成25年 7月16日 特許査定
平成25年 8月30日 設定登録(特許第5347149号)
平成26年 5月16日 本件無効審判請求書(以下、「審判請求書」という。)提出
平成26年 7月25日 審判事件答弁書(以下、「答弁書」という。)提出
平成26年 8月28日 審理事項通知
平成26年 9月29日 (被請求人)口頭審理陳述要領書(以下、「被請求人要領書(1)」という。)提出
平成26年10月 2日 (請求人)口頭審理陳述要領書(以下、「請求人要領書(1)」という。)提出
平成26年10月 3日 審理事項(2)通知
平成26年10月16日 (請求人)口頭審理陳述要領書(2)(以下、「請求人要領書(2)」という。)提出
平成26年10月16日 (被請求人)口頭審理陳述要領書(2)(以下、「被請求人要領書(2)」という。)提出
平成26年10月16日 口頭審理


第2.特許発明1及び特許発明10
本件特許の特許請求の範囲に記載された発明(以下、「本件特許発明」といい、請求項1に係る発明を「特許発明1」、請求項10に係る発明を「特許発明10」という。)は、本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件明細書」という。)、特許請求の範囲及び図面(以下、「本件図面」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1から10までに記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、特許発明1及び特許発明10の記載は、以下のとおりである。

1.特許発明1
「 【請求項1】
フレームと、
フレーム内に回転可能に設けられる回転軸と、
回転軸に取り付けられる回転盤と、
回転盤に周方向に所定間隔で設けられる複数の臼と、
各臼に対して、その上下位置に上下方向に移動可能に保持される上杵及び下杵と、
臼内に充填した粉体を圧縮するように杵先を臼内に挿入した上杵及び下杵を相互に近づく方向に付勢する上ロール及び下ロールと、
臼とその臼に組み合わされる上及び下杵との一組からなる成形部を指定する指定手段と、
前記指定手段が指定した成形部が所定位置に達したことを、回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段が、前記成形部が排出する指定成形品を分離する位置である指定成形品分離位置に達したことを、出力する位置検出信号に基づき、前記成形部から排出される指定成形品を指定成形品以外の成形品の集荷から分離する分離手段と、
前記位置検出手段が、前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを、出力する位置検出信号に基づき、前記分離手段の作動を確認する作動確認手段とを備えてなる回転式粉体圧縮成形機。」

2.特許発明10
「 【請求項10】
フレームと、
フレーム内に回転可能に設けられる回転軸と、
回転軸に取り付けられる回転盤と、
回転盤に周方向に所定間隔で設けられる複数の臼と、
各臼に対して、その上下位置に上下方向に移動可能に保持される上杵及び下杵と、
臼内に充填した粉体を圧縮するように杵先を臼内に挿入した上杵及び下杵を相互に近づく方向に付勢する上ロール及び下ロールとを備えてなる回転式粉体圧縮成形機において、
臼とその臼に組み合わされる上及び下杵との一組からなる成形部を指定し、
指定した成形部が指定成形品分離位置に達したことを回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出し、
前記成形部の指定と前記検出の結果とに基づき、指定する成形部から排出される指定成形品を指定成形品以外の成形品の集荷から分離し、
前記分離が正常に行われたか否かを、前記分離手段により前記指定成形品を分離する位置である指定成形品分離位置を経過した前記成形部における前記指定成形品の存否を、前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出し、
前記成形部の指定と前記検出の結果に基づき、確認する回転式粉体圧縮成形機における成形品分離作動を確認する方法。」(下線は、当審で付した。)
なお、特許発明10の上記「前記指定成形品の存否を確認する位置に達した」という記載において、「達した」という述語に対応する主語が不明であるところ、当該記載の前にある「前記成形部における前記指定成形品の存否を」からみて、「達した」という述語に対応する主語は、「成形部が」であると補足して解釈する(第1回口頭審理調書の「両当事者 1」参照。)。


第3.無効理由、無効理由に対する答弁及び証拠方法

1.請求人主張の無効理由
請求人は、審判請求書において、本件特許の特許発明1及び特許発明10についての特許を無効とする、との審決を求め、以下の無効理由1から8までを主張している。

(1)無効理由1(サポート要件)
特許発明1についての特許は、その特許請求の範囲の記載が、「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること」との要件(サポート要件)を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

(2)無効理由2(明確性要件)
特許発明1についての特許は、その特許請求の範囲の記載が、「特許を受けようとする発明が明確であること」との要件(明確性要件)を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

(3)無効理由3(新規事項要件)
特許発明1についての特許は、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない」との要件(新規事項要件)を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであり、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。

(4)無効理由4(実施可能要件)
特許発明1についての特許は、その発明の詳細な説明の記載が、「経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」との要件(実施可能要件)を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第36条第4項第1号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

(5)無効理由5(サポート要件)
特許発明10についての特許は、その特許請求の範囲の記載が、「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること」との要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

(6)無効理由6(明確性要件)
特許発明10についての特許は、その特許請求の範囲の記載が、「特許を受けようとする発明が明確であること」との要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

(7)無効理由7(新規事項要件)
特許発明10についての特許は、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない」との要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであり、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。

(8)無効理由8(実施可能要件)
特許発明10についての特許は、その発明の詳細な説明の記載が、「その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」との要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第36条第4項第1号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

2.無効理由に対する被請求人の答弁
被請求人は、答弁書において、本件無効審判の請求は成り立たない、との審決を求めている。

3.証拠方法
被請求人は、証拠方法として、答弁書において乙第1号証を提出し、被請求人要領書(1)において乙第2号証を提出した。

乙第1号証:実公平3-24313号公報
乙第2号証:臼の軌道に沿わせるような形状の案内部材を表した図面(盤面配置図)の一部。(被請求人作成)


第4.当事者の主張
なお、以下で行数により記載箇所を特定する際には、空白行は含めない。

1.無効理由1について
[請求人]
(1)「成形部が指定成形品の存否を確認する位置に達した」ことについて
ア.特許発明1の「前記位置検出手段が、前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを、出力する位置検出信号に基づき、前記分離手段の作動を確認する作動確認手段」の記載(以下、「記載A」という。)における、「前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達した」の記載(以下、「記載B」という。)に係る技術事項は、本件明細書の発明の詳細な説明において何ら記載されておらず、また、特許発明1の意図する内容であると拡張できる事項でもなく、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。
すなわち、「指定成形品分離位置は、臼4から排出される成形品が最初に案内部材21に接触する位置に設定してある。」(本件明細書段落(以下、単に「段落」という。)【0039】)ことから、「指定成形品分離位置」を過ぎると、良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても、成形部の「臼4」から離れて、案内部材21に接触して、確実に成形品回収位置20に向かって移動する。そして、「指定成形品の存否を確認する位置」とは、「通過センサ23」が「指定成形品」の通過信号を受信するか、又は受信しないかを確認する位置であり、「成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を計測」(段落【0060】)し、「所定時間が経過した時点」(段落【0060】)である。したがって、この「指定成形品の存否を確認する位置」においては、指定成形品分離位置をすでに過ぎていることから、成形部と、この成形部で成形された成形品(良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても)とは離れており、上記記載Bは、本件明細書、本件図面には何ら記載されていない(審判請求書第18ページ第5行から第19ページ第14行まで)。

イ.被請求人は、案内部材を臼の軌道に沿わせるような構成が、当業者にとって周知の事実である旨、主張しているが、問題は、本件明細書、本件図面には、何がどのように記載、開示されているかということであり、周知の事実か否かや、乙第1号証の記載は直接的には関係のないことである。
段落【0037】、【0039】、【0043】、【0055】、【0059】、【0060】等の記載、及び図3の記載によれば、「『指定成形品分離位置』を過ぎると、良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても、成形部の『臼4』から離れて、案内部材21に接触して、確実に成形品回収位置20に向かって移動する。」との認定に些かの誤りもない(請求人要領書(1)第2ページ第13行から第4ページ下から第10行まで)。

(2)「位置検出信号」について
ア.特許発明1の上記記載Aにおける、「前記位置検出手段が、前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを、出力する位置検出信号」の記載(以下、「記載C」という。)に係る技術事項は、本件明細書の発明の詳細な説明において何ら記載されておらず、又、特許発明1の意図する内容であると拡張できる事項でもなく、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。
すなわち、「位置検出手段が、・・・、出力する位置検出信号」とは、「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することによる検出であるから、上記記載Cは、「指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを」、「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することにより検出し、その出力としての位置検出信号に基づき、作動確認手段において、「分離手段の作動を確認する」と記載されていることとなる。
しかし、上記(1)において記載したように、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、成形部と、この成形部で成形された成形品(良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても)とは離れており、成形部の位置を「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することで検出したとしても、回転盤の回転に伴って移動する成形部の移動タイミングと案内部材に案内されて移動する成形品の移動タイミングは同じである筈はなく、同期しないことが明らかであることから、「指定成形品の存否を確認する位置」を検出することはできない(審判請求書第19ページ第15行から第20ページ第12行まで)。

イ.「通過センサ23は、案内部材21に案内されて成形品回収位置20に向かって移動する成形品の動きを検出するものであり、通過センサ23の位置は、空気通路22の先端22aの近傍で、かつ、成形品回収位置20寄りにある。」(段落【0043】)との構成を備えた「通過センサ23」が「指定成形品」の通過信号を受信するか、又は受信しないかを確認する位置である「指定成形品の存否を確認する位置」は、「成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を計測」(段落【0060】)し、「所定時間が経過した時点」(段落【0060】)であり、「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することでは得られないものである。
以上、記載Cは、本件明細書、本件図面には何ら記載されていない(審判請求書第20ページ第12行から第20ページ第24行まで)。

ウ.被請求人の主張する段落【0090】における「この制御プログラムにおいて、計数するパルスの所定数は、異常圧力の検出時点から、通過センサ23が配置されている位置に指定成形品が達するまでに回転盤3が回転して出力されるパルス数に対応させて設定するものである。」との記載は、段落【0085】から【0089】まで、並びに図6、及び図9とは、相容れない、矛盾する記載となっている。
すなわち、段落【0090】の「この制御プログラム」とは、段落【0085】の「図9に示すフローチャートの内容の制御プログラム」を意味するものと考えられるが、このプログラムは、「指定成形品分離位置から経過時間に基づいて、分離手段の作動を確認するものであってもよく、経過時間開始の時点は任意である。具体的には、図6に示す制御装置28において、図9に示すフローチャートの内容の制御プログラムを実行することにより実現する。」(段落【0085】)ためのものであり、この点からすると、段落【0090】に記載の「この制御プログラムにおいて、計数するパルスの所定数は、異常圧力の検出時点から、通過センサ23が配置されている位置に指定成形品が達するまでに回転盤3が回転して出力されるパルス数に対応させて設定するものである。」との記載は、本件明細書及び本件図面におけるそれ以外の記載と整合してなく、不明と言わざるを得ない。
仮に、段落【0090】における構成を採用し、「回転盤の回転により生じるパルスを測定する」ことで、指定成形品が「指定成形品の存否を確認する位置」に達したことを検出しようとして、指定成形品が載置されていた成形部の位置を「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することにより検出することができたとしても、回転盤の回転に伴って移動する成形部の移動タイミングと案内部材に案内されて移動する指定成形品の移動タイミングは同じである筈はなく、同期しないことが明らかであり、指定成形品が「指定成形品の存否を確認する位置」に達したことを検出することはできないものである(請求人要領書(1)第5ページ第10行から第6ページ下から第7行まで)。

エ.被請求人の、「本件図面の図3では、通過センサ23は、指定成形品又は成形品が案内部材21に接触する前の位置で通過確認を行っている。」との主張は、その根拠は不明であり、理由がない(請求人要領書(1)第6ページ下から第6行から第7ページ下から第8行まで)。

[被請求人]
(1)「成形部が指定成形品の存否を確認する位置に達した」ことについて
ア.指定成形品又は成形品が案内部材21に接触したからといって、成形部の臼4から離れるとは限らない。成形品に負担をかけずスムーズに成形品回収位置20に案内するために案内部材21を臼の軌道に沿わせるような構成もあり、このようなことは、当業者にとって周知の事実である。
また、乙第1号証では、不良成形品をスクレーパ11(成形品接触部27)に接触させた後、成形品の軌道に変化はなく、成形品は臼2から離れていない。
また、本件明細書には「指定成形品又は成形品が案内部材21に接触し、成形部の臼4から離れる。」といった積極的な記載もない。
よって、「『指定成形品分離位置』を過ぎると、良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても、成形部の『臼4』から離れて、案内部材21に接触して、確実に成形品回収位置20に向かって移動する」旨の請求人の主張は、誤りである。
よって、請求人の無効理由1についての主張は、失当である(答弁書第2ページ第2行から最終行まで、及び答弁書第6ページ下から第9行から第7ページ第6行まで)。

イ.乙第1号証は、本件特許発明とは関係がなく、「成形品は、指定成形品の存否を確認する位置までに臼から大きく離れる」という請求人の論理の例外を示すためのものである。
乙第1号証が存在することにより、「『案内部材に接触』ならば、『成形品は、指定成形品の存否を確認する位置までに臼から大きく離れる』」という請求人の論理は破綻している(被請求人要領書(2)第1ページ下から第4行から第4ページ下から第4行まで、及び被請求人要領書(2)に添付された参考資料1)。

(2)「位置検出信号」について
ア.段落【0090】には「この制御プログラムにおいて、計数するパルスの所定数は、異常圧力の検出時点から、通過センサ23が配置されている位置に指定成形品が達するまでに回転盤3が回転して出力されるパルス数に対応させて設定するものである。」と記載されており、本件図面の図6では、パルスを出力するロータリエンコーダ12と通過センサ23とが制御装置28に繋がっている。
そして、本件図面の図3では、通過センサ23は、指定成形品又は成形品が案内部材21に接触する前の位置で通過確認を行っている。
また、本件明細書には「回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出する位置検出手段が、指定成形品分離位置を経過した成形部が指定成形品の存否を確認する位置に達したことを出力しない。」といった積極的な記載もない。
よって、「『指定成形品の存否を確認する位置』とは、」「『成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を測定』し、『所定時間が経過した時点』である。」という旨の請求人の主張は、誤りである。
上記[請求人](2)における、請求人の無効理由1についての主張は、「『指定成形品の存否を確認する位置』においては、成形部と、この成形部で成形された成形品(良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても)とは離れて」いることを前提としているが、上記[被請求人](1)に示すように、当該前提は誤りである。
また、請求人の主張のうち、「『指定成形品の存否を確認する位置』とは、」「『成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を測定』し、『所定時間が経過した時点』である。」という点も誤りであるから、請求人の無効理由1についての主張は、失当である(答弁書第3ページ第1行から第4ページ第7行まで、答弁書第7ページ第7行から第8ページ第11行まで、及び被請求人要領書(1)第13ページ下から第2行から第14ページ最終行まで)。

イ.例えば、成形品(指定成形品)が案内部材に接触後、遠心力によって回転盤の半径方向外側へ成形品(指定成形品)が移動するような場合があるが、半径方向外側への移動であるので検出タイミングは同じである。
つまり、「回転盤の回転に伴って移動する成形部の移動タイミングと案内部材に案内されて移動する成形部の移動タイミングは同じである筈はない」ということまではいえない。
よって、必ず「同期しない」といえず、請求人の主張は誤りである。
また、例えば、わずかなタイミングのズレは誤差として実務的に処理することが可能である。
そのため、「『指定成形品の存否を確認する位置』を検出することはできない。」とはいえず、請求人の主張は誤りである。
なお、わずかな誤差があったとしても、それが直ちにサポート要件違反ということにはならない(被請求人要領書(1)第3ページ第7行から第25行まで)。

2.無効理由2について
[請求人]
(1)「成形部が指定成形品の存否を確認する位置に達した」ことについて
特許発明1の上記記載Aにおける、上記記載Bは、その文意が明確でない。
すなわち、「指定成形品分離位置」において成形品の分離がされないと、「指定成形品分離位置」を過ぎると、良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても、成形部の「臼4」から離れて、案内部材21に接触して、確実に成形品回収位置20に向かって移動する。また、「指定成形品の存否を確認する位置」とは、「通過センサ23」が「指定成形品」の通過信号を受信するか、又は受信しないかを確認する位置であり、「成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を計測」(段落【0060】)し、「所定時間が経過した時点」(段落【0060】)である。したがって、この「指定成形品の存否を確認する位置」においては、指定成形品分離位置をすでに過ぎていることから、成形部と、この成形部で成形された成形品(良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても)とは離れており、「指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達した」との記載は、本件明細書、本件図面との記載とは整合せず、不明確な記載である(審判請求書第21ページ下から第5行から第22ページ第17行まで)。

(2)「位置検出信号」について
特許発明1の上記記載Aにおける、上記記載Cは、その文意が明確でない。
すなわち、「位置検出手段が、・・・、出力する位置検出信号」とは、「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することによる検出であるが、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、成形部と、この成形部で成形された成形品(良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても)とは離れており、成形部の位置を「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することで検出したとしても、回転盤の回転に伴って移動する成形部の移動タイミングと案内部材に案内されて移動する成形品の移動タイミングは同じである筈はなく、同期しないことが明らかであることから、「指定成形品の存否を確認する位置」を検出することはできない。「通過センサ23」が「指定成形品」の通過信号を受信するか、又は受信しないかを確認する位置である「指定成形品の存否を確認する位置」は、「成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を計測」し、「所定時間が経過した時点」であり、「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することでは得られないものである。
以上、「前記位置検出手段が、前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを、出力する位置検出信号」との記載は、本件明細書、本件図面との記載とは整合せず、不明確な記載である(審判請求書第22ページ第18行から第23ページ第16行まで)。

(3)「位置検出信号に基づき、分離手段の作動を確認する」ことについて
特許発明1の上記記載Aにおける、「前記位置検出手段が、・・・出力する位置検出信号に基づき、前記分離手段の作動を確認する」の記載(以下、「記載D」という。)は、その文意が明確でない。
すなわち、「分離手段の作動を確認する」とは、分離手段が正常に作動したかどうかを確認するものであるが、「位置検出手段が、・・・出力する位置検出信号に基づき」どのように確認するのか明確でない。
以上、上記記載Dは、不明確な記載であり、この記載のままでは、発明を実質的に特定することはできない(審判請求書第23ページ第17行から第24ページ第3行まで)。

[被請求人]
(1)「成形部が指定成形品の存否を確認する位置に達した」ことについて
上記[請求人](1)における、請求人の無効理由2についての主張のうち、「『指定成形品の存否を確認する位置』においては、成形部と、この成形部で成形された成形品(良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても)とは離れて」いるという点は、誤りである。
よって、請求人の無効理由2についての主張は、失当である(答弁書第9ページ第13行から第10ページ第3行まで)。

(2)「位置検出信号」について
「『指定成形品分離位置』を過ぎると、良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても、成形部の『臼4』から離れて、案内部材21に接触して、確実に成形品回収位置20に向かって移動する。」旨の請求人の主張は誤りであり、「『指定成形品の存否を確認する位置』とは、」「『成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を測定』し、『所定時間が経過した時点』である。」という主張は誤りであるから、請求人の無効理由2についての主張は、失当である(答弁書第10ページ第4行から第11ページ第2行まで)。

(3)「位置検出信号に基づき、分離手段の作動を確認する」ことについて
請求項1には「・・・回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出する位置検出手段と、前記位置検出手段が、前記成形部が排出する指定成形品を分離する位置である指定成形品分離位置に達したことを、出力する位置検出信号に基づき、前記成形部から排出される指定成形品を指定成形品以外の成形品の集荷から分離する分離手段と、前記位置検出手段が、前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを、出力する位置検出信号に基づき、前記分離手段の作動を確認する作動確認手段・・・」とあり、その記載は明確である。
仮に明確であるとまでいえないとしても、本件明細書の記載を参酌すればどのように確認するかは明らかである。
よって、請求人の無効理由2についての主張は、失当である(答弁書第11ページ第3行から第25行まで)。

3.無効理由3について
[請求人]
(1)「成形部が指定成形品の存否を確認する位置に達した」ことについて
出願当初の請求項1においては、「指定成形品の動きに基づいて分離手段の作動を確認する作動確認手段」との記載であるのに対して、平成25年2月25日付けの審判請求と同時に、上記記載Aに補正(以下、「補正E」という。)されている。
当該補正Eについて、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、指定成形品分離位置をすでに過ぎていることから、成形部と、この成形部で成形された成形品(良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても)とは離れており、上記補正Eのうちの上記記載Bは、出願当初明細書、図面には何ら記載されてなく、また、出願当初明細書等の記載から自明な事項とも認められない(審判請求書第24ページ第15行から第27ページ第14行まで)。

(2)「位置検出信号」について
「通過センサ23」が「指定成形品」の通過信号を受信するか、または受信しないかを確認する位置である「指定成形品の存否を確認する位置」は、「成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を計測」(段落【0060】)し、「所定時間が経過した時点」(段落【0060】)であり、「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することでは得られないものであり、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、成形部と、この成形部で成形された成形品(良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても)とは離れており、成形部の位置を「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することで検出したとしても、回転盤の回転に伴って移動する成形部の移動タイミングと案内部材に案内されて移動する成形品の移動タイミングは同じである筈はなく、同期しないことが明らかであり、「指定成形品の存否を確認する位置」を検出することはできないものであることから、上記補正Eのうちの上記記載Cは、出願当初明細書、図面には何ら記載されてなく、また、出願当初明細書等の記載から自明な事項とも認められない(審判請求書第27ページ第15行から第28ページ第1行まで)。

(3)「位置検出信号に基づき、分離手段の作動を確認する」ことについて
「分離手段の作動を確認する」とは、分離手段が正常に作動したかどうかを確認するものであるが、「位置検出手段が、・・・出力する位置検出信号に基づき」どのように確認するのか特に記載がない。明細書等においては、この作動手段の確認について、「作動確認回路27cは、分離判定回路27aから出力される計数開始信号を受信し、所定時間経過時点で通過センサ23から通過信号を受信することにより、制御弁26を含む分離手段の不具合、つまり、故障を確認する。これとは反対に、作動確認回路27cが分離判定回路27aから出力される計数開始信号を受信し、所定時間経過時点で通過センサ23から通過信号を受信しない場合は、制御弁26が正常に作動していることを確認するものである。」(段落【0060】、【0061】)との記載があり、ちなみに、上記補正Eの補正前(平成24年9月14日付け手続補正書の請求項2)においては、「前記分離手段により指定成形品を分離する位置である指定成形品分離位置を経過した前記成形部における指定成形品の存否により分離手段の作動を確認する作動確認手段」と記載されている。上記補正Eのうちの上記記載Dにおいて、その確認の構成について特に限定のない構成とするようなことは、出願当初明細書、図面には何ら記載されてなく、また、出願当初明細書等の記載から自明な事項とも認められない(審判請求書第28ページ第2行から第28ページ第19行まで)。

(4)技術内容について
上記記載Aは、出願当初における、「指定成形品の動きに基づいて分離手段の作動を確認する作動確認手段」との記載とは、その技術内容を明らかに異にしており、出願当初明細書、図面には何ら記載されてなく、また、出願当初明細書等の記載から自明な事項とも認められない(審判請求書第28ページ第20行から第28ページ最終行まで)。

[被請求人]
(1)「成形部が指定成形品の存否を確認する位置に達した」こと、「位置検出信号」、「位置検出信号に基づき、分離手段の作動を確認する」ことについて
「『指定成形品分離位置』を過ぎると、良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても、成形部の『臼4』から離れて、案内部材21に接触して、確実に成形品回収位置20に向かって移動する。」旨の請求人の主張は誤りであり、「『指定成形品の存否を確認する位置』とは、」「『成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を測定』し、『所定時間が経過した時点』である。」という主張は誤りであるから、請求人の無効理由3についての主張は、失当である(答弁書第12ページ第3行から第13ページ下から第7行まで)。

(2)技術内容について
補正がいわゆる新規事項追加に該当するか否かは「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは図面に記載された事項又は新たな技術的事項を導入しないものに該当するか否か」で判断すべきであり、技術内容を異にしているか否かではない。
よって、請求人の無効理由3についての主張は、失当である(答弁書第13ページ下から第6行から第14ページ第9行まで)。

4.無効理由4について
[請求人]
(1)特許発明1の「指定成形品の存否を確認する位置」について、明細書の発明の詳細な説明には、抽象的、機能的に記載してあるだけであり、具体的な構成等は記載されていない。
発明の詳細な説明によると、「指定成形品の存否を確認する位置」とは、「通過センサ23」が「指定成形品」の通過信号を受信するか、又は受信しないかを確認する位置であり、「成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を計測」(段落【0060】)し、「所定時間が経過した時点」(段落【0060】)であるとするのが相当である(審判請求書第29ページ下から第8行から第31ページ第1行まで)。

(2)特許発明1のような回転式粉体圧縮成形機において、その案内部材による成形品の挙動に関して、成形品の形状が上下に球状面を有するものであると、下杵の上昇速度、成形品上下球状面と下杵の杵先R面との接触状態、回転盤の回転による成型品の案内部材への衝突速度等により、ジャンピング現象が発生するという問題点や、静電気による帯電等により案内部材に成形品が付着したり、回転盤との摩擦抵抗作用で回転盤と案内部材との接触部で成形品が滞留する現象が発生するという問題点が広く知られている。
特許発明1において、その案内部材による成形品の挙動に関して、ジャンピング現象や滞留現象をどのように解消して、「指定成形品の存否を確認する位置」において作動確認を効果的に行うのかについて何ら記載がない。
なお、特許発明1に係る出願に関する平成24年7月9日付けの拒絶理由通知で提示された引用文献2(特開平3-291534号公報)に対して、被請求人は、平成24年9月14日付けの意見書において、以下のような意見を述べている。
「物品が計量コンベア4から次の選別コンベア8に乗り移る際には、物品が飛び跳ねたり、コンベアとコンベアとの境界部分で一時的につまずいたり(引っ掛かったり)することがあります。その結果、遅延時間Tp経過後にエアノズル9a、9bからエアが吹付けられるタイミングと不良物品が通過するタイミングが合わない可能性があります。」(上記意見書第2頁第6から10行まで)
「コンベアの移動速度を変化させる場合、そのたびに遅延時間Tpを設定し直さなければなりません。所定の遅延時間Tpは距離LpをコンベアスピードSで除した値であるため、運転開始時や終了時などコンベアの移動速度が所定速度に達していないときなどの所定速度以外の場合は、物品が選別位置Pを通過するタイミングとエアノズル9a、9bからのエアの吹付けのタイミングが一致せず、不良物品も含めてすべて搬出コンベア2に移動してしまいます。」(上記意見書第2頁第16から22行まで)
「また、回転盤3の回転速度の上昇や降下とともに引用発明2でいう遅延時間Tpを設定し直すことは現実的に困難と言わざるを得ません。」(上記意見書第2頁第32から33行まで)
このような意見書での記載は、前述した本件に関するジャンピング現象や滞留現象による問題点を実質的に指摘しているものである。引用文献2に開示された装置における問題点はそのまま本件発明1が有している問題点となるものである。被請求人自ら、本件発明1において、引用文献2が有するような問題点が内在していることを認めていることに他ならない(審判請求書第31ページ第2行から第35ページ第1行まで)。

[被請求人]
請求人の主張するジャンピング現象や滞留現象は、本件特許発明とは別の課題であり、本件特許発明の実施可能要件の問題ではない。
また、平成24年9月14日付けの意見書は、拒絶理由を回避するための意見書であり、本件に関するジャンピング現象や滞留現象による問題点を実質的に指摘するものではなく、またそのように解釈することもできない。
よって、無効理由4についての請求人の主張は、失当である(答弁書第14ページ第15行から第15ページ第10行まで)。

5.無効理由5について
[請求人]
特許発明10の「前記分離が正常に行われたか否かを、前記分離手段により前記指定成形品を分離する位置である指定成形品分離位置を経過した前記成形部における前記指定成形品の存否を、前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出し、前記成形部の指定と前記検出の結果に基づき、確認する」の記載(以下、「記載F」という。)における、「前記指定成形品を分離する位置である指定成形品分離位置を経過した前記成形部における前記指定成形品の存否」の記載(以下、「記載G」という。)、及び「前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出し」の記載(以下、記載「H]という。)に係る各技術事項は、本件明細書の発明の詳細な説明において何ら記載されておらず、また、特許発明10の意図する内容であると拡張できる事項でもなく、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。
すなわち、特許発明10の上記記載Gは、特許発明1の上記記載Bに実質的に対応するものである。また、特許発明10の上記記載Hは、特許発明1の上記記載Cに実質的に対応するものである。それぞれの記載について、上記1.[請求人](1)及び(2)で主張している理由を準用することができる(審判請求書第35ページ第9行から第36ページ第14行まで)。

[被請求人]
上記1.[被請求人](1)及び(2)と同様に、請求人の主張は失当である(答弁書第15ページ第16行から第16ページ第5行まで)。

6.無効理由6について
[請求人]
特許発明10の上記記載Fにおける、上記記載G、上記記載H、及び「前記分離が正常に行われたか否かを、・・・前記成形部の指定と前記検出の結果に基づき、確認する」の記載(以下、「記載I」という。)は、その文意が明確でなく、不明確な記載であり、この記載のままでは、発明を実質的に特定することはできない。
特許発明10の上記記載Gは、特許発明1の上記記載Bに実質的に対応するものである。特許発明10の上記記載Hは、特許発明1の上記記載Cに実質的に対応するものである。また、特許発明10の上記記載Iは、特許発明1の上記記載Dに実質的に対応するものである。それぞれの記載について、上記2.[請求人](1)から(3)までで主張している理由を準用することができる(審判請求書第36ページ第15行から第37ページ最終行まで)。

[被請求人]
上記2.[被請求人](1)から(3)までと同様に、請求人の主張は失当である(答弁書第15ページ第16行から第16ページ第5行まで)。

7.無効理由7について
[請求人]
(1)「指定成形品分離位置を経過した成形部における指定成形品の存否」について
出願当初の請求項12、及び13においては、「前記分離が正常に行われたか否かを、指定成形品の軌跡によって確認し」との記載であるのに対して、審判請求時において、請求項10について、上記記載Fに補正(以下、「補正J」という。)されている。
「指定成形品の存否を確認する位置」においては、指定成形品分離位置をすでに過ぎていることから、成形部と、この成形部で成形された成形品(良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても)とは離れており、上記補正Jのうちの上記記載Gは、出願当初明細書、図面には何ら記載されてなく、また、出願当初明細書等の記載から自明な事項とも認められない(審判請求書第38ページ第1行から第39ページ第16行まで)。

(2)指定成形品の存否を確認する位置に達したことの確認について
「通過センサ23」が「指定成形品」の通過信号を受信するか、または受信しないかを確認する位置である「指定成形品の存否を確認する位置」は、「成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を計測」(段落【0060】)し、「所定時間が経過した時点」(段落【0060】)であり、「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することでは得られないものであり、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、成形部と、この成形部で成形された成形品(良品の成形品であっても不良品の指定成形品であっても)とは離れており、成形部の位置を「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することで検出したとしても、回転盤の回転に伴って移動する成形部の移動タイミングと案内部材に案内されて移動する成形品の移動タイミングは同じである筈はなく、同期しないことが明らかであり、「指定成形品の存否を確認する位置」を検出することはできないものであることから、上記補正Jのうちの上記記載Hは、出願当初明細書、図面には何ら記載されてなく、また、出願当初明細書等の記載から自明な事項とも認められない(審判請求書第39ページ第17行から第40ページ第3行まで)。

(3)「成形部の指定と検出の結果に基づき、確認する」ことについて
「前記分離が正常に行われたか否かを、・・・前記成形部の指定と前記検出の結果に基づき、確認する」とは、分離手段が正常に作動したかどうかを確認するものであるが、「前記成形部の指定と前記検出の結果に基づき」どのように確認するのか特に記載がない。明細書等においては、この作動手段の確認について、「作動確認回路27cは、分離判定回路27aから出力される計数開始信号を受信し、所定時間経過時点で通過センサ23から通過信号を受信することにより、制御弁26を含む分離手段の不具合、つまり、故障を確認する。これとは反対に、作動確認回路27cが分離判定回路27aから出力される計数開始信号を受信し、所定時間経過時点で通過センサ23から通過信号を受信しない場合は、制御弁26が正常に作動していることを確認するものである。」(段落【0060】、【0061】)との記載があり、ちなみに、上記補正Jの補正前(平成24年9月14日付け手続補正書の請求項12)においては、「前記分離が正常に行われたか否かを、前記分離手段により指定成形品を分離する位置である指定成形品分離位置を経過した前記成形部における指定成形品の存否により確認する」と記載されている。上記補正Jのうちの上記記載Iにおいて、その確認の構成について特に限定のない構成とするようなことは、出願当初明細書、図面には何ら記載されてなく、また、出願当初明細書等の記載から自明な事項とも認められない(審判請求書第40ページ第4行から第40ページ下から第8行まで)。

(4)技術内容について
上記記載Fは、出願当初の請求項12及び13における、「前記分離が正常に行われたか否かを、指定成形品の軌跡によって確認し」との記載とは、その技術内容を明らかに異にしており、出願当初明細書、図面には何ら記載されてなく、また、出願当初明細書等の記載から自明な事項とも認められない(審判請求書第40ページ下から第7行から第41ページ第3行まで)。

[被請求人]
上記3.[被請求人](1)及び(2)と同様に、請求人の主張は失当である(答弁書第15ページ第16行から第16ページ第5行まで)。

8.無効理由8について
[請求人]
特許発明10の「指定成形品の存否を確認する位置」について、明細書の発明の詳細な説明において、抽象的、機能的に記載してあるだけであり、具体的な構成等は記載されていないから、無効理由8は、上記4.[請求人]で主張している理由をそのまま準用することができる(審判請求書第41ページ第14行から第24行まで)。

[被請求人]
上記4.[被請求人]と同様に、請求人の主張は失当である(答弁書第15ページ第16行から第16ページ第5行まで)。


第5.無効理由についての当審の判断
1.本件明細書及び図面の記載
本件明細書及び図面には、以下の記載がある(なお、下線は当審で付した。)。

ア.「【背景技術】
【0002】
従来、粉体を圧縮して例えば錠剤を成形する回転式粉体圧縮成形機では、成形時の圧力の異常により、規格外の錠剤が生じることがある。このような錠剤は、製品にできないので、製品からは除外されなければならない。したがって、回転式粉体圧縮成形機には、不良品排除装置が組み付けてある。例えば特許文献1には、制御ユニットから出力される信号により制御弁を開いて、制御弁を介して圧縮空気源からの空気を排出ノズルから噴射して、欠陥のある成形品を排除する回転式粉体圧縮成形機が記載されている。
【0003】
この回転式粉体圧縮成形機においては、制御弁の故障を検出するために、圧縮空気源と制御弁との間の供給路に圧力計を設けている。そして、圧力計から出力される電気信号に基づいて供給路の静圧を監視し、その静圧があらかじめ設定された最小圧力より低い場合に、制御ユニットはエラー信号を発するものである。
・・・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、回転式粉体圧縮成形機において、何らかの理由で排出ノズルから圧縮空気を噴射しなかった場合、不良品は排除されずに良品とともに集荷されることになる。例えば、制御弁が故障した場合、排出ノズルから圧縮空気が噴射せず、不良品を排除し得ない。したがって、良品の中に、不良品が混入することがあり、一個の不良品のために、集荷した良品全てが製品として使用できなくなることがあった。
【0006】
特許文献1は、上述の課題を解決するために、排出ノズルにつながる供給ラインの圧縮空気の圧力を測ることにより、排出ノズルから圧縮空気が噴射されているか確認するものである。具体的には、供給ラインの圧力を測ることにより、圧力が低ければ制御弁が開いていることがわかり、また、圧力が高ければ制御弁が閉じていること、もしくは、排出ノズルが詰まっていることがわかる。それにより、圧縮空気が噴射されているか否かを確認しようとするものである。
【0007】
しかし、排出ノズルから圧縮空気が、噴射されていることが確認できても、実際は目的の成形品の軌跡を変更できたか否か、目的の成形品を回収できたか否かは、確認することができない。
【0008】
また、特許文献1では、サンプルの取り出しについても言及されているが、これに関しても上記と同様の理由により、実際に目的のサンプルを回収できたか否かを確認することができない。
【0009】
そこで、本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。」

イ.「【0029】
以下、本発明の一実施形態を、図1?5を参照して説明する。
【0030】
下記に説明する実施形態では、指定手段の例としては、圧力検出手段を、位置検出手段の例としては、角度測定手段を、撮像装置の例としては、高速度カメラをそれぞれ用いており、所定圧力外(異常圧力)で成形された指定成形品を所定内圧力で成形された指定成形品以外の成形品から分離する例を説明する。
【0031】
なお、本発明は、下記に説明する実施形態に限られるものではない。
【0032】
この回転式粉体圧縮成形機は、図1に示すように、フレーム1内に、回転軸である立シャフト2を回転可能に配置し、その立シャフト2に回転盤3を取り付けている。回転盤3は、円板形状をしており、その外周の近傍部分に、周方向に所定間隔で複数の円筒形状の臼4が取り付けてある。回転盤3は、臼4が取り付けてある部分の上側に、上下方向に移動可能にそれぞれの臼4に対して設けられる上杵5を保持するとともに、臼4が取り付けてある部分の下側に、上下方向に移動可能にそれぞれの臼4に対して下杵6を保持している。すなわち、それぞれの臼4に対して、一対の上杵5及び下杵6を設けるものである。上杵5の杵先は、臼4に出入りし、下杵6の杵先は、常時臼4に挿入されている。成形部は、臼4とその臼4に組み合わされる上杵5及び下杵6との一組で構成される。
【0033】
立シャフト2の下端には、ウォームホイール7が取り付けてある。このウォームホイール7には、図2に示すように、モータ8により駆動されるギア軸9に取り付けられたウォームギア10が噛み合う。モータ8の駆動力は、ベルト11によりギア軸9に伝達される。ギア軸9の端部は、ギア軸9の回転を少なくとも一つのパルス列に変換するロータリエンコーダ12が、減速装置13を介して接続してある。このロータリエンコーダ12は、ギア軸9の回転によりパルス列を出力するので、立シャフト2の回転角度に対応してパルス列を出力するとみなせる。したがって、ロータリエンコーダ12から出力されるパルス列を計数することにより、立シャフト2の回転角度、ひいては回転盤3の回転角度を測定できる。減速装置13は、ギア軸9の回転速度をロータリエンコーダ12の入力速度に適するように減速してロータリエンコーダ12に伝達する。
【0034】
回転盤3の回転方向の所定位置には、上杵5と下杵6とを挟むようにして、対をなす予圧上ロール14及び予圧下ロール(図示しない)と対をなす本圧上ロール15及び本圧下ロール16とが配置してある。・・・・・本圧上ロール15に対しては、粉体を圧縮する際に本圧上ロール15にかかった圧力を検出する圧力検出手段を構成するロードセル18が設けてある。本圧上ロール15にかかる圧力を検出することにより、上杵5及び下杵6が上ロール15及び下ロール16の間を通過する際に圧縮される粉体にかかる圧力を、ロードセル18が検出することになる。
・・・・・
【0037】
本圧上ロール15及び本圧下ロール16による加圧位置から回転盤3が進んだ位置には、製品排出部19が形成してある。この製品排出部19では、下杵6の先端が臼4の上端とほぼ一致するまで下杵6が上昇し、臼4内の成形品が臼4から排出されるものである。製品排出部19には、排出された成形品を集荷する成形品回収位置20に案内する案内部材21が設けてある。案内部材21は、その先端が臼4の軌跡より回転盤3の中心側に延びている。したがって、下杵6により臼4から押し出された成形品は、案内部材21に接触して、確実に成形品回収位置20に向かって移動する。この案内部材21の内部には、成形品の内、成形時の成形圧力が異常値を示した指定成形品を分離するための加圧空気が通る空気通路22が形成してあるとともに、空気通路22の先端22a近傍に、成形品の通過を検出し得る通過センサ23を設けている。
・・・・・
【0039】
空気通路22は、指定成形品を分離する分離手段を構成するもので、案内部材21の取付端21a側から案内部材21の先端部21bまで延びており、先端部21bにおいて回転盤3の半径方向外側に向いて開口するものである。空気通路22の先端22aは、加圧空気の噴射ノズルとして機能し、指定成形品分離位置に対応しており、加圧空気を噴出する噴射部となる。指定成形品分離位置は、臼4から排出される成形品が最初に案内部材21に接触する位置に設定してある。指定成形品分離位置で半径方向外側には、分離される指定成形品を受ける指定成形品回収位置40が設けてある。
・・・・・
【0042】
通過センサ23は、発光ダイオードなどの発光素子23aと、発光素子23aから射出された光が成形品に反射した後入射するフォトトランジスタなどの受光素子23bとを備えている。ここで、発光素子23aは、常時光を射出するものであってもよい。また、発光素子23aが射出した光を受光素子23bが受光すると、通過センサ23は、後述する作動確認回路27cに対して通過信号を出力する。
【0043】
この通過センサ23は、案内部材21に案内されて成形品回収位置20に向かって移動する成形品の動きを検出するものであり、通過センサ23の位置は、空気通路22の先端22aの近傍で、かつ、成形品回収位置20寄りにある。また、発光素子23aの位置は、成形品回収位置20寄りにある。
【0044】
制御装置27は、図5に示すように、分離判定回路27aと分離タイミング回路27bと作動確認回路27cとを備えており、分離判定回路27aは、ロードセル18から出力される電気信号と、指定成形品を分離する基準を設定する分離設定値とを比較し、上杵5及び下杵6が本圧上ロール15及び本圧下ロール16の間を通過する際の粉体にかかる圧力が、異常圧力であることを検出する。・・・・・
・・・・・
【0047】
そして、分離判定回路27aが異常圧力を検出、つまり、異常圧力である成形部を検出すると、分離タイミング回路27bと作動確認回路27cに対して、計数開始信号を出力する。
【0048】
この場合、指定手段は、圧力検出手段により実現され、圧力検出手段は、ロードセル18により構成される。
【0049】
分離タイミング回路27bは、分離判定回路27aから出力された計数開始信号を受信すると、角度測定手段を構成するロータリエンコーダ12から出力されるパルスの計数を開始して、成形部の位置を測定し、その計数したパルス数が所定数に達した時点で、制御弁26に弁制御信号を出力する。ここで、ロータリエンコーダ12では、回転盤3の回転角度をパルスにより測定しており、前記所定数は、加圧位置と指定成形品分離位置との間の角度に対応するパルス数により設定する。
【0051】
作動確認回路27cは、分離判定回路27aが、出力した計数開始信号と、通過センサ23から出力される通過信号とを受信すると、モータ8へ通電を停止させる停止信号を出力する。すなわち、作動確認回路27cは、計数開始信号と通過信号との両方を受信した場合に、分離手段の作動が正常に作動しなかったことを確認するものである。なお、本実施形態での作動確認手段の確認信号(異常確認信号)は、作動確認回路27cから出力される停止信号のことである。
【0052】
また、ここで、分離手段を構成する空気通路22、空気供給源24及び制御弁26のいずれか一つに不具合が生じた場合であっても、作動確認回路27cは、分離手段が正常でないことを確認することができ、異常確認信号を出力する。
・・・・・
【0055】
このような構成において、回転式粉体圧縮成形機を運転すると、検出された成形部が、本圧上ロール15と本圧下ロール16との間を通過する毎に、制御装置27の分離判定回路27aにロードセル18からの電気信号が入力される。分離判定回路27aは、入力された電気信号と上分離信号及び下分離信号とを比較し、電気信号が上分離信号を上回っている場合、又は、電気信号が下分離信号を下回っている場合に、分離タイミング回路27bと作動確認回路27cとに対して計数開始信号を出力する。分離タイミング回路27bは、計数開始信号を受信すると、入力されるパルスを計数し始める。そして、計数したパルスが所定数になった時点で、弁制御信号を所定時間だけ制御弁26に出力する。この時、指定成形品は、臼4から排出されて指定成形品分離位置に達しており、指定成形品が案内部材21に接触するのとほぼ同時に、分離タイミング回路27bの弁制御信号に基づいて、制御弁26が開く。その結果、空気供給源24から供給される加圧空気が、空気通路22の成形品分離位置側の端部、すなわち、先端22aから噴出し、分離すべき指定成形品を指定成形品回収位置40に吹き飛ばす。所定時間は、指定成形品を指定成形品回収位置40に吹き飛ばすに十分で、かつ、次の成形品が案内部材21に接触するまでの長さに設定する。
【0056】
これにより、指定成形品と指定成形品以外の成形品とを分離させることができる。つまり、加圧空気が指定成形品にのみ噴射されるので、その前後において空気通路22の先端22aの近傍を通過する成形品に対しては、加圧空気が吹き付けられない。この結果、指定成形品分離位置を通過する指定成形品以外の成形品は、誤って指定成形品回収位置側に吹き飛ばされることがなく、指定成形品と指定成形品以外の成形品とを分離させることができる。
・・・・・
【0058】
これに対して、例えば、分離判定回路27aが異常圧力を検出(成形部の検出)したにもかかわらず、分離手段を構成する制御弁26が作動しなかった場合について説明する。
【0059】
制御装置27の分離判定回路27aにロードセル18からの電気信号が入力され、電気信号が上述した上下分離信号で形成される信号の許容範囲からはずれている場合、分離判定回路27aは計数開始信号を出力する。そして、上述したように、分離タイミング回路27bから制御弁26に対して弁制御信号を出力するが、制御弁26が弁制御信号を受信したにもかかわらず、開かないことにより、指定成形品が分離されず案内部材21に沿って移動しようとする。
【0060】
作動確認回路27cは、分離判定回路27aから出力される計数開始信号を受信すると、その受信した時点、つまり、成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を計測する。そして作動確認回路27cは、所定時間が経過した時点に、通過センサ23から出力される通過信号を受信すると、モータ8への通電を停止させる停止信号を出力する。具体的には、制御弁26が開かずに先端22aから加圧空気が噴出しないと、指定成形品は案内部材21に沿って指定成形品以外の成形品と同じ軌跡を辿ることになる。そして、通過センサ23の発光素子23aが射出した光が、指定成形品に反射して、受光素子23bに入射することで、通過センサ23により、その動きが検出され、通過センサ23は作動確認回路27cに通過信号を送信する。そして、作動確認回路27cは、分離判定回路27aから出力される計数開始信号を受信し、所定時間経過時点で通過センサ23から通過信号を受信することにより、制御弁26を含む分離手段の不具合、つまり、故障を確認する。
【0061】
これとは反対に、作動確認回路27cが分離判定回路27aから出力される計数開始信号を受信し、所定時間経過時点で通過センサ23から通過信号を受信しない場合は、制御弁26が正常に作動していることを確認するものである。」

ウ.「【0072】
上記実施形態においては、制御装置27が分離制御回路27aと分離タイミング回路27bと作動確認回路27cとを備えるものを説明したが、コンピュータシステムを主体として、ソフトウェアにより指定成形品の検出、分離タイミングの判定及び分離すべき成形品(指定成形品)の動きに基づいて分離手段の作動の確認を行う構成であってもよい。すなわち、このような制御装置28は、図6に示すように、中央演算装置28a、記憶装置28b、入力インターフェース28c及び出力インターフェース28dを備えている。ここで、高速度カメラ30、31からの画像信号は、画像処理装置で解析されるが、その画像処理装置は中央演算装置28aに含まれる。図7は、指定成形品の検出及び分離タイミングの判定の手順を示すフローチャートであり、図8は、分離手段の作動の確認の手順を示すフローチャートである。なお、ロードセル18から出力される電気信号はアナログ信号であるので、アナログデジタル変換後の信号により圧力を検出するものである。
・・・・・
【0075】
次に、制御装置28が検出した圧力が異常値であった場合、ステップS3において、ステップS2の判定結果に基づいて、その判定結果の時点より、制御装置28は、ロータリエンコーダ12が出力するパルス列に含まれるパルスの計数を開始する。ステップS4では、制御装置28は、計数したパルス数が所定数か否かを判定する。この所定数とは、上述の実施形態と同じ値であり、所定数は、加圧位置と指定成形品分離位置との間の角度に対応するパルス数により設定される。この判定により、制御装置28は、回転盤3の回転角度を測定する。そして、計数したパルス数が所定数に満たない場合、制御装置28は、ステップS4における所定数の判定を繰り返し実行する。
【0076】
ステップS4において、計数したパルス数が所定数に達したと、制御装置28が判定した場合は、ステップS5において、制御弁26を所定時間だけ開く。
【0077】
次に、図8に示すフローチャートを説明する。
【0078】
上記に説明したステップS1?ステップS5の手順と並行して、制御装置28は、ステップS11?ステップS15により分離手段の不具合を確認する。まず、制御装置28は、制御プログラムを実行して、ステップS11において、検出した圧力が異常値か否かを判定する。この判定は、前記ステップS2と同じである。そして、制御装置28が、異常値であると判定した場合、制御装置28は、ステップS12において、異常値を検出した時点からの経過時間の計測を開始する。
【0079】
次に、ステップS13において、制御装置28が、通過センサ23からの通過信号を、所定時間に受信したか否かを判定する。制御装置28が、所定時間に通過センサ23から通過信号を受信した場合は、指定成形品が、指定成形品以外の成形品と同じ軌跡を辿ったと判定し、ステップS14において、モータ8への通電を止める停止信号を出力し、回転盤3を停止させる。
【0080】
これとは反対に、ステップS13において、制御装置28が、所定時間に通過センサ23から通過信号を受信していない場合は、指定成形品が指定成形品以外の成形品と同じ軌跡を辿っていないと判定し、分離手段が正常に作動していることを確認することができる。」

エ.「【0083】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
・・・・・
【0085】
また、上述の実施形態においては、粉体を成形する際の圧力の異常検出時点からの経過時間に基づいて、分離手段の作動を確認するものであっても、指定成形品分離位置から経過時間に基づいて、分離手段の作動を確認するものであってもよく、経過時間開始の時点は任意である。具体的には、図6に示す制御装置28において、図9に示すフローチャートの内容の制御プログラムを実行することにより実現する。
【0086】
図9に示すフローチャートを説明する。
【0087】
ステップS21において、制御装置28は、検出した成形時の圧力が異常値であると判定すると、ステップS22において、ロータリエンコーダ12から出力されるパルスの計数を開始する。そして、計数したパルスが所定数に達した時点で、ステップS23において、制御装置28が、通過センサ23から通過信号を、所定時間に受信したか否かを判定する。制御装置28が、所定時間に通過センサ23から通過信号を受信した場合は、指定成形品分離位置通過後の指定成形品の軌跡が、指定成形品以外の成形品の軌跡と同じと判定する。そして、ステップS24において、分離手段が正常に作動していないため、制御装置28は、回転盤3を停止させるため停止信号を出力する。
【0088】
これとは反対に、ステップS23において、制御装置28が、所定時間に通過センサ23からの通過信号を受信してない場合は、指定成形品が指定成形品以外の成形品と同じ軌跡を辿っていないと判定し、分離手段が正常に作動していることを確認することができる。
【0089】
なお、この際、正常確認信号が出力される構成であってもよい。
【0090】
この制御プログラムにおいて、計数するパルスの所定数は、異常圧力の検出時点から、通過センサ23が配置されている位置に指定成形品が達するまでに回転盤3が回転して出力されるパルス数に対応させて設定するものである。」

オ.図9
図9には、検出した圧力が異常値である場合(S21の判断がYesである場合)にパルスの計測を開始すること(S22)、及び所定時間に通過信号を受信した場合(S23の判断がYesである場合)に回転盤を停止すること(S24)について図示されている。


2.無効理由1について
無効理由1は、特許発明1についての特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである、というものであるので、特許発明1が、発明の詳細な説明に記載したものであるか否か、特に、特許発明1の上記記載Aにより特定される事項、すなわち「前記位置検出手段が、前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを、出力する位置検出信号に基づき、前記分離手段の作動を確認する作動確認手段」という発明特定事項が、発明の詳細な説明に記載したものであるか否かを、以下のとおり検討する。

(1)特許発明1の記載
特許発明1の記載は、上記第2.1.に記載されたとおりである。

(2)本件明細書における従来技術及び本件特許発明の解決課題
上記1.ア.の摘記事項を総合すると、本件明細書における従来技術及び本件特許発明の解決課題について、概ね次のように理解できる。

ア.従来、粉体を圧縮して成形する回転式粉体圧縮成形機では、成形時の圧力の異常により、不良成形品が生じることがあり、不良成形品を除外する不良品排除装置が組み付けられていた。当該装置は、空気を排出ノズルから噴射して、不良成形品を排除するものであった。

イ.何らかの理由で排出ノズルから圧縮空気を噴射しなかった場合、不良成形品を排除できず、良品の中に、不良成形品が混入することとなるため、排出ノズルにつながる供給ラインの圧縮空気の圧力を測ることにより、圧縮空気が噴射されているか否かを確認していたが、圧縮空気が噴射されていることを確認できても、実際に不良成形品の軌跡を変更できたか否かは、確認できなかった。
本件特許発明が解決しようとする課題は、不良品排除装置により、不良成形品の軌跡を変更できたか否かを確認できなかったことである。

(3)発明の詳細な説明の第3実施形態
ア.発明の詳細な説明には、上記1.イ.に摘示する実施形態(以下、「第1実施形態」という。)のほかに、上記1.ウ.に摘示するように、第1実施形態の制御装置27に代えてコンピュータシステムを主体とした制御装置28で構成した実施形態(以下、「第2実施形態」という。)が記載され、さらに上記1.エ.に摘示する実施形態(以下、「第3実施形態」という。)が記載されているところ、第3実施形態を説明する段落【0085】には「制御装置28」とその制御プログラムについての記載があるから、第3実施形態は、第2実施形態をさらに変形したものであると解することができる。

エ.第3実施形態を説明する段落【0086】及び【0087】には、「図9に示すフローチャートを説明する。・・・計数したパルスが所定数に達した時点で、ステップS23において、制御装置28が、通過センサ23から通過信号を、所定時間に受信したか否かを判定する」との記載があり、第3実施形態を説明する図9(上記1.オ)には、当該記載と同様に、「所定時間」に通過信号を受信した場合(S23の判断がYesである場合)に回転盤を停止すること(S24)の図示があるところ、当該「所定時間」がどのような時間であるかについて、本件明細書に明記はない。

オ.そこで、当該「所定時間」を解釈するために、第3実施形態を説明する段落【0085】を参照すると、「上述の実施形態においては、粉体を成形する際の圧力の異常検出時点からの経過時間に基づいて、分離手段の作動を確認するものであっても、指定成形品分離位置から経過時間に基づいて、分離手段の作動を確認するものであってもよく、経過時間開始の時点は任意である。具体的には、・・・図9に示すフローチャートの内容の制御プログラムを実行することにより実現する」との記載がある。

カ.また、第1実施形態を説明する段落【0060】には、「作動確認回路27cは、・・・・・成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を計測する。そして作動確認回路27cは、所定時間が経過した時点に、通過センサ23から出力される通過信号を受信すると、モータ8への通電を停止させる停止信号を出力する」との記載があることから、第1実施形態のものは、上記段落【0085】でいう「粉体を成形する際の圧力の異常検出時点からの経過時間に基づいて、分離手段の作動を確認するもの」と認定できる。
また、第2実施形態を説明する段落【0078】及び【0079】には、「ステップS11において、検出した圧力が異常値か否かを判定する。・・・・・制御装置28が、異常値であると判定した場合、・・・・・異常値を検出した時点からの経過時間の計測を開始する。・・・・・制御装置28が、通過センサ23からの通過信号を、所定時間に受信したか否かを判定する」との記載があることから、第2実施形態のものは、上記段落【0085】でいう「粉体を成形する際の圧力の異常検出時点からの経過時間に基づいて、分離手段の作動を確認するもの」と認定できる。

キ.上記カ.に認定するように、第1及び第2実施形態は、いずれも上記段落【0085】でいう「粉体を成形する際の圧力の異常検出時点からの経過時間に基づいて、分離手段の作動を確認するもの」であるし、図9のフローチャートは第3実施形態を説明する図であるうえ、当該図9のフローチャートは、上記段落【0085】でいう「指定成形品分離位置から経過時間に基づいて、分離手段の作動を確認するもの」を具体的に実現したものといわざるを得ないから、第3実施形態は、第1及び第2実施形態における「圧力の異常検出時点からの経過時間に基づいて・・・作動を確認するもの」を変形して、「指定成形品分離位置から経過時間に基づいて・・・作動を確認するもの」とした実施形態であると解するべきである。
そうすると、第3実施形態を説明する段落【0087】でいう「所定時間」は、「指定成形品分離位置から(の)経過時間」と解するのが相当であるから、第3実施形態の制御装置28は、「指定成形品分離位置からの所定の経過時間に通過センサ23からの通過信号を受信したか否か」を確認しているといえる。

ク.また、第3実施形態を説明する段落【0087】に「制御装置28は、検出した成形時の圧力が異常値であると判定すると、ステップS22において、ロータリエンコーダ12から出力されるパルスの計数を開始する。そして、計数したパルスが所定数に達した時点で、ステップS23において、制御装置28が、通過センサ23から通過信号を、所定時間に受信したか否かを判定する」との記載があるところ、段落【0090】の「この制御プログラムにおいて、計数するパルスの所定数は、異常圧力の検出時点から、通過センサ23が配置されている位置に指定成形品が達するまでに回転盤3が回転して出力されるパルス数に対応させて設定するものである」との記載からみて、段落【0087】の「計数したパルスが所定数に達した時点」における「所定数」が、段落【0090】でいう「異常圧力の検出時点から、通過センサ23が配置されている位置に指定成形品が達するまでに回転盤3が回転して出力されるパルス数」であることは明らかである。
そうすると、第3実施形態のロータリエンコーダ12は、異常圧力の検出時点から、通過センサ23が配置されている位置に指定成形品が達するまでに回転盤3が回転することに対応するパルス数の信号を出力していることになり、当該パルス数の信号を「指定成形品分離位置を経過した指定成形品が通過センサ23が配置されている位置に達したことを、出力する位置検出信号」ということができる。

ケ.上記1.イ.からオ.までに摘記する事項、及び上記ア.からク.までを総合すると、発明の詳細な説明には、特許発明1の記載Aに対応する事項として、
「位置検出手段の例である角度測定手段を構成するロータリエンコーダ12が、指定成形品分離位置を経過した指定成形品が通過センサ23が配置されている位置に達したことを、出力する位置検出信号と、前記指定成形品分離位置からの所定の経過時間に通過センサ23から通過信号を受信したか否かに基づき、分離手段を構成する空気通路22、空気供給源24及び制御弁26の作動を確認する作動確認手段である制御装置28」(以下、「第3実施形態事項1」という。)が記載されているといえる。

コ.次に、第3実施形態における「成形部」と「指定成形品」との相対的な位置関係をみると、上記1.イ.に摘示する段落【0039】の「指定成形品分離位置は、臼4から排出される成形品が最初に案内部材21に接触する位置に設定してある」との記載や、段落【0055】の「指定成形品は、臼4から排出されて指定成形品分離位置に達しており、指定成形品が案内部材21に接触する」との記載、及び段落【0037】の「下杵6により臼4から押し出された成形品は、案内部材21に接触して、確実に成形品回収位置20に向かって移動する」との記載からみて、指定成形品分離位置よりも回転方向の手前側では、「指定成形品」が「成形部」の内部にあるから、位置関係は同一の位置にあるところ、指定成形品分離位置よりも回転の進んだ側においては、「指定成形品」が「成形部」から押し出され、さらに「指定成形品」が案内部材21に接触して成形品回収位置20に向かって移動するから、「指定成形品」と「成形部」との位置は、離れ得ることは明らかである。

サ.また、第3実施形態事項1における「通過センサ23が配置されている位置」についてみると、上記1.イ.に摘示する段落【0042】の「通過センサ23は、発光ダイオードなどの発光素子23aと、発光素子23aから射出された光が成形品に反射した後入射するフォトトランジスタなどの受光素子23bとを備えている。ここで、発光素子23aは、常時光を射出するものであってもよい。また、発光素子23aが射出した光を受光素子23bが受光すると、通過センサ23は、後述する作動確認回路27cに対して通過信号を出力する」という記載や、段落【0043】の「この通過センサ23は、案内部材21に案内されて成形品回収位置20に向かって移動する成形品の動きを検出するもの」という記載からみて、通過センサ23は、光を射出して、成形品が光を反射するか否かにより、成形品の存否を確認していることから、第3実施形態事項1における「通過センサ23が配置されている位置」とは、通過センサ23が射出する光を成形品が反射する位置をいうものであることは明らかであって、特許発明1における「指定成形品の存否を確認する位置」に相当する。
そして、第3実施形態における通過センサ23の位置については、段落【0043】の「通過センサ23の位置は、空気通路22の先端22aの近傍で、かつ、成形品回収位置20寄りにある」との記載、及び段落【0039】の「空気通路22の先端22aは、・・・指定成形品分離位置に対応しており」との記載からみて、空気通路22の先端22aの位置の近傍、すなわち、指定成形品分離位置の近傍である。

シ.本件特許発明の解決課題は、上記2.(2)イ.に認定したとおり、従来技術では不良成形品の軌跡を変更できたか否かを確認できなかったことであるところ、軌跡変更の確認が遅くなるほど、良品の中に不良成形品が混入する可能性が高くなるから、本件特許発明の解決課題に接した当業者であれば、指定成形品の軌跡変更の確認をすみやかに行うものと、当然に理解する。
そして、指定成形品の軌跡変更の確認をすみやかに行うことは、指定成形品分離位置のできるだけ近傍で、指定成形品の存否を確認することにほかならないし、上記サ.に示すように、第3実施形態において、通過センサ23が指定成形品分離位置の近傍に位置していることの技術的な意義は、指定成形品の軌跡変更の確認をすみやかに行うためであると解するのが相当であるから、第3実施形態において、指定成形品分離位置の近傍に「通過センサ23が配置されている位置」、すなわち「指定成形品の存否を確認する位置」が存在するということができる。

ス.上記コ.に説示するように、第3実施形態において、指定成形品分離位置よりも回転の進んだ側では、「指定成形品」が案内部材21に接触して移動することにより、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とが、離れ得るものであるところ、「指定成形品」の移動形態は、回転盤3の平面上を滑動するような形態であることは、技術常識である。
そして、上記シ.に説示するように、「指定成形品の存否を確認する位置」が、指定成形品分離位置の近傍にあるということができるところ、「指定成形品」の移動形態が滑動であるという上記の技術常識を考慮すると、「指定成形品」が「指定成形品の存否を確認する位置」にあるときには、当該「指定成形品」が案内部材21との接触により「成形部」から移動していたとしても、その移動距離はわずかなもので、「指定成形品」は「成形部」の近傍に存在し、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とは、ほぼ同じであると解するべきである。

(4)判断
上記(3)ス.に説示するように、第3実施形態において、「指定成形品」が「指定成形品の存否を確認する位置」にあるときには、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とは、ほぼ同じであるといえるから、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とがほぼ同じという前提で、第3実施形態事項1をみると、第3実施形態事項1の「位置検出手段の例である角度測定手段を構成するロータリエンコーダ12」が、特許発明1の上記記載Aの「位置検出手段」に相当し、同様に、「指定成形品分離位置を経過した指定成形品が通過センサ23が配置されている位置に達したこと」が、「指定成形品分離位置を経過した成形部が指定成形品の存否を確認する位置に達したこと」に相当し、「を、出力する位置検出信号と、前記指定成形品分離位置からの所定の経過時間に通過センサ23から通過信号を受信したか否かに基づき、分離手段を構成する空気通路22、空気供給源24及び制御弁26の作動を確認する作動確認手段である制御装置28」が「を、出力する位置検出信号に基づき、分離手段の作動を確認する作動確認手段」に相当するから、第3実施形態事項1は特許発明1の上記記載Aに正に相当するものであって、両者に不一致な点はない。
そして、特許発明1の上記記載Aには「指定成形品の存否を確認する」ことが記載されている以上、当業者であれば、「指定成形品の存否を確認する」ための手段が作動確認手段に当然に内在されていると理解でき、特許発明1は、上記2.(2)イ.で認定した「不良成形品の軌跡を変更できたか否かを確認できなかったこと」という課題を解決しているといえる。
そうすると、特許発明1は、本件明細書の発明の詳細な説明の第3実施形態として記載されているし、当業者が出願時の技術常識に照らし本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、特許発明1の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件に適合する。

(5)請求人の主張に対して
ア.上記第4.1.[請求人](1)ア.及びイ.において、請求人は、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、成形部と、この成形部で成形された成形品とは離れていることを前提として無効理由を主張しているが、上記(3)ス.に説示するように、第3実施形態の「指定成形品の存否を確認する位置」においては、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とは、ほぼ同じであると解するべきであるから、請求人の当該主張は前提を欠くことになり、採用できない。

イ.上記第4.1.[請求人](2)ア.における主張は、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、成形部と、この成形部で成形された成形品とは離れていることを前提とするものであるから、上記ア.と同様に、採用できない。

ウ.上記第4.1.[請求人](2)イ.において、請求人は、「指定成形品の存否を確認する位置」は、「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することでは得られない旨を主張しているが、上記(3)シ.に説示するように、第3実施形態において、指定成形品分離位置の近傍に「指定成形品の存否を確認する位置」が存在するといえるから、「指定成形品の存否を確認する位置」を「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することで得られるものであり、請求人の当該主張は、採用できない。

エ.上記第4.1.[請求人](2)ウ.において、請求人は、本件明細書の段落【0090】の記載は、段落【0085】から【0089】までの記載、並びに図6及び図9とは、矛盾する旨を主張しているが、上記(3)に示すように、本件明細書において何らの矛盾もなく第3実施形態を理解できるから、請求人の主張は採用できない。

(6)無効理由1のむすび
以上のとおり、特許発明1の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件に適合するから、請求人の主張する無効理由1は成り立たない。

3.無効理由2について
無効理由2は、特許発明1についての特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである、というものであるので、以下、請求人の主張する理由ごとに、特許発明1が明確であるか否かを検討する。

(1)上記第4.2.[請求人](1)で主張する理由について
請求人は、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、成形部と、この成形部で成形された成形品とは離れていることを前提として、特許発明1の上記記載B、すなわち「前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達した」との記載が不明確である旨を主張している。
しかし、上記2.(3)ス.で説示するように、本件明細書の第3実施形態について、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とは、ほぼ同じであると解され、当業者が当該第3実施形態を参酌すれば、特許発明1においても、当然に「指定成形品の存否を確認する位置」において、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とは、ほぼ同じであると認識するから、特許発明1の上記記載Bは明確であるといえる。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。

(2)上記第4.2.[請求人](2)で主張する理由について
請求人は、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、成形部と、この成形部で成形された成形品とは離れていること、及び「指定成形品の存否を確認する位置」は、「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することでは得られないことを前提として、特許発明1の上記記載C、すなわち「前記位置検出手段が、前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを、出力する位置検出信号」との記載が不明確である旨を主張している。
しかし、上記2.(3)ス.で説示するように、本件明細書の第3実施形態について、「指定成形品の存否を確認する位置」においては、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とは、ほぼ同じであると解され、当業者が当該第3実施形態を参酌すれば、特許発明1においても、当然に「指定成形品の存否を確認する位置」において、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とは、ほぼ同じであると認識する。
また、上記2.(3)シ.に説示するように、第3実施形態について、指定成形品分離位置の近傍に「指定成形品の存否を確認する位置」が存在すると解され、当業者が当該第3実施形態を参酌すれば、特許発明1においても、当然に指定成形品分離位置の近傍に「指定成形品の存否を確認する位置」が存在すると認識するから、「指定成形品の存否を確認する位置」が「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することで得られるといえる。
したがって、特許発明1の上記記載Cは明確であり、請求人の上記主張は採用できない。

(3)上記第4.2.[請求人](3)で主張する理由について
請求人は、特許発明1の上記記載D、すなわち「前記位置検出手段が、・・・出力する位置検出信号に基づき、前記分離手段の作動を確認する」との記載では、どのように分離手段が正常に作動したかどうかを確認するものであるか、明確でなく、上記記載Dは、その文意が明確でない旨、主張している。
しかし、上記2.(3)ケ.に示すとおり、本件明細書から第3実施形態を理解することができ、当該第3実施形態が「位置検出手段の例である角度測定手段を構成するロータリエンコーダ12が、・・・出力する位置検出信号と、前記指定成形品分離位置からの所定の経過時間に通過センサ23から通過信号を受信したか否かに基づき、分離手段を構成する空気通路22、空気供給源24及び制御弁26の作動を確認する」ものであることを理解できる。
そして、当業者が本件明細書を参酌すれば、特許発明1においても、当然に「位置検出信号」のほかに、「指定成形品分離位置からの所定の経過時間に通過センサ23から通過信号を受信したか否か」に基づいて分離手段の作動を確認するものであると認識できる。
したがって、特許発明1の上記記載Dは明確であり、請求人の上記主張は採用できない。

(4)無効理由2のむすび
以上のとおり、特許発明1の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件に適合するから、請求人の主張する無効理由2は成り立たない。

4.無効理由3について
無効理由3は、特許発明1についての特許は、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない」との特許法第17条の2第3項の要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであり、その特許は、同法第123条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである、というものである。
上記第4.3.[請求人](1)から(4)までによれば、審判請求人は、審判請求時の補正、すなわち平成25年2月25日付けの手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)のうちの請求項1についての補正が、特許法第17条の2第3項の規定に違反する旨を主張しているから、本件補正のうちの請求項1についての補正が、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かを、以下、検討する。

(1)本件補正の概要
本件補正により、特許請求の範囲及び明細書の以下の項目が補正された。

ア.特許請求の範囲の全文が補正されたところ、請求項1の記載は、上記第2.1.に示す特許発明1と同一であり、請求項10の記載は、特許発明10と同一である。

イ.明細書の段落【0010】、【0013】及び【0023】が変更された。

ウ.明細書の段落【0022】、【0050】及び【0054】が削除された。

(2)本件補正の検討
上記(1)ウ.に示す、明細書の段落を削除する補正が、新たな技術的事項を導入しないものであることは、明らかである。
また、上記(1)イ.に示す、明細書の段落【0013】を変更する補正は、願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)の段落【0013】を、平成24年9月14日付けの手続補正書により補正したのち、再度補正したものであるところ、当初明細書の段落【0013】の記載と、本件補正に係る段落【0013】の記載とを比較すると、文言が一致するから、本件補正のうち段落【0013】を変更する補正が、新たな技術的事項を導入しないものであることは、明らかである。
また、上記(1)イ.に示す、明細書の段落【0010】及び【0023】を変更する補正は、段落【0010】の記載を特許発明1の記載に整合させ、段落【0023】の記載を特許発明10の記載に整合させるものである。
そうすると、特許発明1及び特許発明10に関連する明細書の段落【0010】及び【0023】を除けば、本件補正のうち、明細書に関する補正は、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであることは、明らかである。
そして、上記2.(4)に示すように、特許発明1の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件に適合するから、本件補正のうちの請求項1を変更して特許発明1とする補正、及び段落【0010】を変更して特許発明1と整合させる補正は、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえる。
以上のとおりであるから、本件補正のうちの請求項1についての補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(3)請求人の主張に対して
ア.上記第4.3.[請求人](1)において、請求人は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載と、本件補正に係る請求項1の記載とを比較しているが、特許法第17条の2第3項についての判断は、本件補正のうちの請求項1についての補正が、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かにより判断されるべきであるから、請求人の主張は採用できない。

イ.上記第4.3.[請求人](2)において、請求人は、本件補正に係る請求項1の上記記載C、すなわち「前記位置検出手段が、前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを、出力する位置検出信号」の記載が、当初明細書及び図面に記載されていない旨を主張している。
しかし、上記(2)に説示するように、本件補正のうちの請求項1を変更する補正は、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえるから、請求人の当該主張は採用できない。

ウ.上記第4.3.[請求人](3)において、請求人は、本件補正に係る請求項1の上記記載D、すなわち「前記位置検出手段が、・・・出力する位置検出信号に基づき、前記分離手段の作動を確認する」の記載において、その確認の構成について特に限定のない構成とするようなことは、当初明細書及び図面に記載されていない旨を主張している。
しかし、上記(2)に説示するように、本件補正のうちの請求項1を変更する補正は、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえるから、請求人の当該主張は採用できない。

エ.上記第4.3.[請求人](4)において、請求人は、本件補正に係る請求項1の上記記載A、すなわち「前記位置検出手段が、前記指定成形品分離位置を経過した前記成形部が前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを、出力する位置検出信号に基づき、前記分離手段の作動を確認する作動確認手段」の記載は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載と技術内容を明らかに異にしている旨を主張しているが、特許法第17条の2第3項についての判断は、本件補正のうちの請求項1についての補正が、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かにより判断されるべきであるから、請求人の主張は採用できない。

(4)無効理由3のむすび
以上のとおり、本件補正のうちの請求項1についての補正は、特許法第17条の2第3項の要件に適合するから、請求人の主張する無効理由3は成り立たない。

5.無効理由4について
無効理由4は、特許発明1についての特許は、その発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである、というものであるので、以下、請求人の主張する理由ごとに、発明の詳細な説明の記載が、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるか否かを検討する。

(1)上記第4.4.[請求人](1)で主張する理由について
請求人は、「指定成形品の存否を確認する位置」とは、「通過センサ23」が「指定成形品」の通過信号を受信するか、又は受信しないかを確認する位置であり、「成形時の異常圧力が検出された時点からの経過時間を計測」し、「所定時間が経過した時点」であるとするのが相当であり、発明の詳細な説明には、具体的な構成等は記載されていない旨、主張している。
しかし、上記2.(3)シ.に説示するように、第3実施形態において、指定成形品分離位置の近傍に「指定成形品の存否を確認する位置」が存在するといえるから、「指定成形品の存否を確認する位置」を「回転盤の回転により生じるパルス」を測定することで得られるものであり、発明の詳細な説明には、「指定成形品の存否を確認する位置」について、具体的な構成等が記載されているといえる。

(2)上記第4.4.[請求人](2)で主張する理由について
請求人は、回転式粉体圧縮成形機において、ジャンピング現象や滞留現象が発生するという問題点が広く知られているところ、特許発明1において、ジャンピング現象や滞留現象をどのように解消して、「指定成形品の存否を確認する位置」において作動確認を効果的に行うのかについて、発明の詳細な説明には何ら記載がない旨を主張している。
しかし、上記2.(2)イ.で認定したように、本件特許発明の課題は、「不良成形品の軌跡を変更できたか否かを確認できなかったこと」というものであり、上記2.(3)サ.に示すように、第3実施形態は「通過センサ23」を有しており、上記2.(3)ケ.に示すように、第3実施形態の「制御装置28」において、「指定成形品分離位置からの所定の経過時間に通過センサ23から通過信号を受信したか否か」を確認しているから、発明の詳細な説明には、本件特許発明の課題を解決するための具体的な構成が記載されているといえる。
したがって、仮に、ジャンピング現象や滞留現象をどのように解消して、「指定成形品の存否を確認する位置」において作動確認を効果的に行うのかについて、発明の詳細な説明に何らの記載がないとしても、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

(3)無効理由4のむすび
以上のとおり、特許発明1についての発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の要件に適合するから、請求人の主張する無効理由4は成り立たない。

6.無効理由5について
無効理由5は、特許発明10についての特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである、というものである。
以下、特許発明10が、発明の詳細な説明に記載したものであるか否か、特に、特許発明10の記載Fにより特定される事項、すなわち「前記分離が正常に行われたか否かを、前記分離手段により前記指定成形品を分離する位置である指定成形品分離位置を経過した前記成形部における前記指定成形品の存否を、前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出し、前記成形部の指定と前記検出の結果に基づき、確認する」という発明特定事項が、発明の詳細な説明に記載したものであるか否かを検討する。

(1)第3実施形態事項10
上記1.イ.からオ.までに摘記する事項、及び上記2.(3)ア.からク.までを総合すると、発明の詳細な説明には、特許発明10の上記記載Fに対応する事項として、
「分離が正常に行われたか否かを、分離手段により指定成形品を分離する位置である指定成形品分離位置を経過した指定成形品の存否を、指定成形品の存否を確認する位置に指定成形品が達したことを回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出し、成形部の指定と検出の結果、及び指定成形品分離位置からの所定の経過時間に通過センサから通過信号を受信したか否かに基づき、確認する」(以下、「第3実施形態事項10」という。)が記載されているといえる。

(2)判断
上記2.(3)シ.で説示したように、本件明細書の第3実施形態において、指定成形品分離位置の近傍に「指定成形品の存否を確認する位置」が存在するということができる。
また、上記2.(3)ス.で説示したように、「指定成形品」の移動形態が滑動であるという技術常識を考慮すると、「指定成形品」が「指定成形品の存否を確認する位置」にあるときには、当該「指定成形品」が案内部材との接触により「成形部」から移動していたとしても、その移動距離はわずかなもので、「指定成形品」は「成形部」の近傍に存在し、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とは、ほぼ同じであると解するべきである。
そして、「指定成形品」が「指定成形品の存否を確認するための位置」にあるときには、「指定成形品」の位置と「成形部」の位置とがほぼ同じという前提で、第3実施形態事項10をみると、当該事項は特許発明10の上記記載Fに正に相当するものであって、両者に不一致な点はない。
そして、特許発明の上記記載Fには、「指定成形品の存否を確認する」ことが記載されている以上、当業者であれば、「指定成形品の存否を確認する」ための手段が当然に内在されていると理解でき、特許発明10は、上記2.(2)イ.で認定した「不良成形品の軌跡を変更できたか否かを確認できなかったこと」という課題を解決しているといえる。
そうすると、特許発明10は、本件明細書の発明の詳細な説明の第3実施形態として記載されているし、当業者が出願時の技術常識に照らし本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、特許発明10の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件に適合する。

(3)請求人の主張に対して
上記第4.5.[請求人]において、請求人は、無効理由1で主張する理由を準用して無効理由5を主張しているところ、上記2.(5)ア.からエ.までに説示するように、無効理由1における請求人の主張は、いずれも採用できないから、無効理由5についての主張も同様に採用できない。

(4)無効理由5のむすび
以上のとおり、特許発明10の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件に適合するから、請求人の主張する無効理由5は成り立たない。

7.無効理由6について
無効理由6は、特許発明10についての特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである、というものであるので、上記第4.6.[請求人]で主張する請求人の理由を検討すると、請求人は、無効理由2における理由を準用している。
そして、上記3.(1)から(3)までに説示するように、無効理由2における請求人の主張は、いずれも採用できないから、無効理由6についての主張も採用できないし、上記3.(1)から(3)までにおいて特許発明1について説示する理由と同様に、特許発明10の記載は明確であるから、請求人の主張する無効理由6は成り立たない。

8.無効理由7について
無効理由7は、特許発明10についての特許は、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない」との特許法第17条の2第3項の要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであり、その特許は、同法第123条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである、というものである。
上記第4.7.[請求人](1)から(4)までによれば、審判請求人は、審判請求時の補正、すなわち本件補正のうちの請求項10についての補正が、特許法第17条の2第3項の規定に違反する旨を主張しているから、本件補正のうちの請求項10についての補正が、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かを、以下、検討する。

(1)本件補正の検討
まず、本件補正の概要は、上記4.(1)に示すとおりである。
そして、上記4.(2)に説示するように、特許発明1及び特許発明10に関連する明細書の段落【0010】及び【0023】を除けば、本件補正のうち、明細書に関する補正は、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであることは、明らかである。
そして、上記6.(2)に示すように、特許発明10の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件に適合するから、本件補正のうちの請求項10を変更して特許発明10とする補正、及び段落【0023】を変更して特許発明10と整合させる補正は、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえる。
以上のとおりであるから、本件補正のうちの請求項10についての補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(2)請求人の主張に対して
ア.上記第4.7.[請求人](1)において、請求人は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項12及び13の記載と、本件補正に係る請求項10の記載とを比較しているが、特許法第17条の2第3項についての判断は、本件補正のうちの請求項10についての補正が、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かにより判断されるべきであるから、請求人の主張は採用できない。

イ.上記第4.7.[請求人](2)において、請求人は、本件補正に係る請求項10の上記記載H、すなわち「前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出し」との記載が、当初明細書及び図面に記載されていない旨を主張している。
しかし、上記(1)に説示するように、本件補正のうちの請求項10を変更する補正は、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえるから、請求人の当該主張は採用できない。

ウ.上記第4.7.[請求人](3)において、請求人は、本件補正に係る請求項10の上記記載I、すなわち「前記分離が正常に行われたか否かを、・・・前記成形部の指定と前記検出の結果に基づき、確認する」との記載において、その確認の構成について特に限定のない構成とするようなことは、当初明細書及び図面に記載されていない旨を主張している。
しかし、上記(1)に説示するように、本件補正のうちの請求項10を変更する補正は、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえるから、請求人の当該主張は採用できない。

エ.上記第4.7.[請求人](4)において、請求人は、本件補正に係る請求項10の上記記載F、すなわち「前記分離が正常に行われたか否かを、前記分離手段により前記指定成形品を分離する位置である指定成形品分離位置を経過した前記成形部における前記指定成形品の存否を、前記指定成形品の存否を確認する位置に達したことを回転盤の回転により生じるパルスを測定することにより検出し、前記成形部の指定と前記検出の結果に基づき、確認する」との記載は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項12及び13の記載と技術内容を明らかに異にしている旨を主張しているが、特許法第17条の2第3項についての判断は、本件補正のうちの請求項10についての補正が、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かにより判断されるべきであるから、請求人の主張は採用できない。

(4)無効理由7のむすび
以上のとおり、本件補正のうちの請求項10についての補正は、特許法第17条の2第3項の要件に適合するから、請求人の主張する無効理由7は成り立たない。

9.無効理由8について
無効理由8は、特許発明10についての特許は、その発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号の規定に違反するものであって、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである、というものであるので、上記第4.8.[請求人]における請求人の主張する理由を検討すると、請求人は、無効理由4における理由を準用している。
上記5.(1)及び(2)に説示するように、無効理由4における請求人の主張は、いずれも採用できないから、無効理由8についての主張も採用できないし、上記5.(1)及び(2)に説示した理由と同様に、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、請求人の主張する無効理由8は成り立たない。


第6.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張によっては、本件特許の請求項1及び10に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-31 
結審通知日 2014-11-05 
審決日 2014-11-18 
出願番号 特願2010-59197(P2010-59197)
審決分類 P 1 123・ 537- Y (B30B)
P 1 123・ 55- Y (B30B)
P 1 123・ 536- Y (B30B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 見目 省二  
特許庁審判長 長屋 陽二郎
特許庁審判官 刈間 宏信
久保 克彦
登録日 2013-08-30 
登録番号 特許第5347149号(P5347149)
発明の名称 回転式粉体圧縮成形機  
代理人 特許業務法人スズエ国際特許事務所  
代理人 梶井 良訓  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 山本 雄介  
代理人 河野 哲  
代理人 赤堀 孝  
代理人 本田 史樹  
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