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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G07F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G07F
管理番号 1296919
審判番号 不服2013-25080  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-20 
確定日 2015-01-28 
事件の表示 特願2010-518769号「自動販売機、およびその作動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年2月5日国際公開、WO2009/016490、平成22年11月18日国内公表、特表2010-535374号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成20年8月1日(パリ条約による優先権主張 2007年8月1日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成25年1月25日付けの拒絶理由通知に対し、同年7月24日付けで手続補正がされたが、同年8月12日付けで拒絶査定がされ、その後、同年12月20日付けで拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲についての手続補正がされたものである。


II.平成25年12月20日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成25年12月20日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。
「【請求項1】
自動販売機であって、電気的に駆動される1つ以上の部品に接続されており、かつデジタルデータの記憶および読み出しを行うためのメモリ手段を備えている制御ユニットと、ユーザに情報を示し、かつユーザから前記制御ユニットに送られた入力コマンドを読み出すためのユーザインターフェイスとを備え、かつ前記ユーザインターフェイスが、前記自動販売機を作動させるための仮想ボタン、およびマルチメディアコンテンツの少なくとも一部を表示することができるグラフィックスクリーンを有するグラフィックユーザインターフェイス(GUI)である自動販売機において、パッケージされた商品およびパッケージされていない商品を販売する手段を備え、かつ販売中の商品が仮想ボタンにより表示されることによりGUIディスプレイが自動販売機で販売するための商品を表示する窓パネルとして働き、自動販売機からユーザが商品を選択するための、または、ユーザが所望の商品に対応する仮想ボタンを押下するのに応答してさらなる商品情報を表示することにより画面変更するための、ユーザからの前記入力コマンドに応答して、前記グラフィックスクリーン上で、ユーザによってなされた選択の詳細に関連づいた表示を動的に変更するために、前記制御ユニットが前記ユーザインターフェースを制御し、前記詳細は利用可能な選択のタイプを含むことを特徴とする自動販売機。」
(下線は、補正箇所を明示するために付したものである。)

2 補正の目的及び新規事項の追加の有無等
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された、発明を特定するために必要な事項である「GUIディスプレイが商品を表示する窓パネルとして働くこと」について、表示対象である「商品」を「自動販売機で販売するための商品」と限定することにより「GUIディスプレイが自動販売機で販売するための商品を表示する窓パネルとして働き、」と補正すると共に、同じく発明を特定するために必要な事項である「制御ユニット」の行う制御について、「自動販売機からユーザが商品を選択するための、または、ユーザが所望の商品に対応する仮想ボタンを押下するのに応答してさらなる商品情報を表示することにより画面変更するための、ユーザからの前記入力コマンドに応答して、前記グラフィックスクリーン上で、ユーザによってなされた選択の詳細に関連づいた表示を動的に変更するために、前記制御ユニットが前記ユーザインターフェースを制御し、前記詳細は利用可能な選択のタイプを含む」と限定する補正であって、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に違反するところはない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について以下に検討する。

3-1 引用文献の記載事項
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平10-198853号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
1a:「【特許請求の範囲】
【請求項1】 接客面に配置されて画像や文字をその画面に表示する画像表示手段と、自動販売機の設定情報と商品の商品のサンプル画像の情報とを記憶する記憶手段と、設定情報に基づいて商品のサンプル画像とこの商品の価格とを画像表示手段の画面の互いに対応する位置に関連づけて表示させる制御手段とを備えた自動販売機の販売表示装置。
【請求項2】 制御手段は、サンプル画像と商品価格とに対応させて冷温表示も画像表示手段の画面に表示させる請求項1記載の自動販売機の販売表示装置。
【請求項3】 設定情報の内容を画像表示手段の画面上に表示させるように切り換え指示する表示切換指示手段を設けた請求項1または2に記載の自動販売機の販売表示装置。
【請求項4】 画面上の一部分が選択されたことを検出するポインティングデバイス手段を設けた請求項1?3の何れかに記載の自動販売機の販売表示装置。
【請求項5】 制御手段は、設定情報の内容を画像表示手段の画面上に表示させた状態で、ポインティングデバイス手段により画面上の一部分が選択されたことを検出して、設定情報の登録もしくは訂正の操作を可能とさせる請求項4に記載の自動販売機の販売表示装置。
【請求項6】 制御手段は、画面上のサンプル画像に対して選択されたことを検出した際にそのサンプル画像に対応する商品の販売払出動作を可能とさせる請求項4に記載の自動販売機の販売表示装置。
【請求項7】 商品名または商品名に対応するコードなどの商品識別情報とその商品の価格とを記憶手段により関連づけさせて記憶させ、販売設定商品の情報に基づいて、その商品のサンプル画像とその商品の商品識別情報に関連づけされた商品価格とを画像表示手段の画面上に表示させる請求項1?6の何れかに記載の自動販売機の販売表示装置。
【請求項8】 商品名または商品名に対応するコードなどの商品識別情報とその商品がホット販売およびコールド販売の両方が可能な冷温可能商品であるかどうかの情報とを関連づけさせて記憶手段に記憶させ、制御手段により、冷温可能商品が収納されている箇所を対象に、外気温度または時期に基づいて、冷温切換動作を行わせるとともに冷温表示も切り換える構成とした請求項1?7の何れかに記載の自動販売機の販売表示装置。」

1b:「【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図面に基づき説明する。図1,図2に示すように、この自動販売機の前面扉11における上部寄り箇所には、画像表示手段としての大型の液晶ディスプレイ装置からなる表示部12が設けられ、表示部12の表面にはタッチパネル15が設けられている。表示部12は自動販売機の制御手段13により制御されるようになっており、制御手段13には、記憶手段14やタッチパネル15が接続されている。また、前面扉11には人が近づいたことを検知する赤外線センサなどからなる接近検知センサ18や外気温を検知する温度センサ19も設けられてそれぞれ制御手段13に接続され、さらに、前面扉11の裏面側または自動販売機本体には前面扉11の開閉状態を検知する開閉状態検知センサ16が設けられて制御手段13に接続されている。
【0029】記憶手段14には、販売可能な商品名が全て入力されているとともに、この商品名に関連付けられて、それぞれ各商品のサンプル画像21(図2?図4では略して図示している)のデータと販売価格情報22と、その商品がホット販売およびコールド販売の両方が可能な冷温可能商品であるかどうかの冷温可否情報23とが記憶されている。また、自動販売機本体内のどの収納コラムにどの商品が収納されているかなどの情報も記憶できるようになっている。
【0030】サンプル画像21のデータとしては、例えば商品の写真をイメージスキャナで読み取った画像のデータを使用すればよいが、これに限るものではなく、商品のイメージを簡略化したものや、商品名自体でもよく、商品をイメージさせるものであればよい。
【0031】販売動作に先立って、商品を収納コラムに投入する・・・」

1c:「【0037】商品販売時には、客が販売金額以上を投入した状態で商品のサンプル画像21の箇所が指で押されると、タッチパネルによりこの選択動作が認識され、該当する商品が払い出されて販売される。
【0038】これにより、選択押釦などの選択手段を別途に設けなくても済むこととなるとともに、選択押釦をイメージした画像を表示させなくて済むので、その分だけ画像の表示スペースを削減することができ、表示部12を小さくしたり、空いた表示スペースを広告などの他の用途に利用したり、サンプル画像21の表示数を増やしたりすることができる。」

1d:上記摘記事項1bの「販売動作に先立って、商品を収納コラムに投入する」の記載及び図2に図示されたサンプル画像21の形状からみて、商品は、筒状の容器を有する商品であることが把握できる。

以上の各記載及び図面の図示内容を総合すれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「自動販売機であって、画像表示手段としての大型の液晶ディスプレイ装置からなる表示部12が設けられ、表示部12の表面にはタッチパネル15が設けられ、表示部12は自動販売機の制御手段13により制御されるようになっており、制御手段13には、記憶手段14やタッチパネル15が接続され、
記憶手段14には、各商品のサンプル画像21のデータが記憶され、
制御手段13は、サンプル画像21と商品価格とに対応させて冷温表示も画像表示手段の画面に表示させ、
商品販売時には、客が販売金額以上を投入した状態で商品のサンプル画像21の箇所が指で押されると、タッチパネル15によりこの選択動作が認識され、制御手段13は、画面上のサンプル画像に対して選択されたことを検出した際にそのサンプル画像21に対応する商品の販売払出動作を可能とさせ、
制御手段13により、冷温可能商品が収納されている箇所を対象に、外気温度または時期に基づいて、冷温切換動作を行わせる、自動販売機において、
商品は、筒状の容器を有する商品であり、
表示部12の空いた表示スペースを広告などの他の用途に利用したりすることができる、自動販売機。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2005-202683号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
2a:「【請求項1】
販売可能商品を示す商品画像等を表示するためのディスプレイを接客面に備え、商品選択操作に基づいて選択商品の販売を行う自動販売機であって、
・・・
ことを特徴とする自動販売機。」

2b:「【0001】
本発明は、缶入り飲料,瓶入り飲料,ペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機に関し、特に、画像表示用のディスプレイを接客面に備えた自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
缶入り飲料,瓶入り飲料,ペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機にあっては、液晶ディスプレイ等の画像表示用ディスプレイを接客面に備えたものが知られている。この自動販売機では、従来の商品サンプルの代わりに販売可能商品を示す複数の商品画像をディスプレイに表示すると共に、従来の押釦スイッチの代わりにタッチセンサをディスプレイの表示面に設けて、所定の商品画像に触れたことをタッチセンサで検出することにより所期の商品販売を行う。
【0003】
この自動販売機にあっては、商品サンプルを陳列した従前の自動販売機における商品サンプルの交換や位置変更に係わる作業を、ディスプレイに表示される商品画像の種類及び位置を設定,変更することにより容易に行える利点がある。
・・・
【0004】
自動販売機によって商品を販売するには顧客に対して商品に係る情報を的確に伝達する必要がある。この商品情報には、主として、商品のデザイン(色彩,模様,形状)を認識させるためのデザイン情報や、商品の内容量やカロリーや効能等を認識させるための成分情報や、どのような商品が実際に売れているかを認識させるための売れ筋情報があるが、これらの中でも前記売れ筋情報は顧客が商品選択で迷っているときや購入商品を決めていないとき等に極めて有益な情報となる。」

2c:「【0019】
液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、以下LCDと言う)14は静止画像及び動画像をカラー表示するためのもので、その表示面が窓穴13aから露出するように化粧パネル13の内側に配置されている。尚、LCD14の代わりに、同様の表示を可能とした周知ディスプレイ、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやPDP(Plasma Display Panel)等を使用してもよい。
【0020】
図1及び図2における図示を省略したが、LCD14の表示面には、表示面に指先等を接触或いは近接させたときのその座標位置を検出するためのタッチセンサ33(図3参照)が設けられている。このタッチセンサ33には周知の静電式透明タッチパネルや感圧式透明タッチパネルの他に、赤外線センサを構成する発光部と受光部を矩形枠の上下辺と左右辺に等間隔で配置したもの等が適宜使用できる。」

2d:「【0031】
LCD駆動部31は 外扉12に設けられたLCD14の表示を制御するためのもので、第2制御部24からの画像データ及び制御信号に基づいてLCD14を駆動して所期の画像表示を行う。」

2e:「【0038】
自動販売機の電源の投入に基づいて図7に示す待機画面をLCD14に表示する(図4のステップS1)。
【0039】
この待機画面には、「お飲物の販売」の文字を含むメニュー選択領域A1と、「コマーシャルのご案内」の文字を含むメニュー選択領域A2と、「キャンペーンのご案内」の文字を含むメニュー選択領域A3と、「お問い合わせ」の文字を含むメニュー選択領域A4と、「販売ランキング」の文字を含む販売ランキング表示領域A5が設定されており、各メニュー選択領域A1?A4には文字の他に必要に応じて各々に対応した静止画像が併せて表示される。尚、販売ランキング表示領域A5の表示に関しては後に詳述する。
【0040】
待機画面において硬貨投入口16に硬貨が投入されるか、或いは,紙幣投入口18に紙幣に投入されたときには、待機画面を図8に示す販売画面に切り替える(図4のステップS2,S4)。また、硬貨または紙幣の投入がない場合でも、待機画面の領域A1に指先等が接触または近接してタッチセンサ33からの信号に基づいて領域A1が指定されたことが判別された場合にも、待機画面を図8に示す販売画面に切り替える(図4のステップS3,S4)。
【0041】
この販売画面には、販売可能商品を示す「縮小商品画像」等を表示するための多数の商品選択領域B1?B30と、自動販売機の稼働状態を販売中か準備中の何れかにより表示するための稼働状態表示領域B31と、硬貨投入口16及び紙幣投入口18を通じて投入された金額を表示するための投入金額表示領域B32と、「実物大商品画像」と「商品説明」を表示するための商品情報表示領域B33と、待機画面に戻すためのリターン領域B34が図8に示すレイアウトで設定されている。
【0042】
各商品選択領域B1?B30には、実物大の商品画像を認識可能な大きさである70%?30%に相似縮小して得た「縮小商品画像」が中央に表示され、「縮小商品画像」の下側には「商品価格」を示す数字が表示され、「縮小商品画像」の上側には商品の冷却・加温状態を示すCOLD或いはつめたいとHOT或いはあたたかいの「温調文字」が表示されている。・・・」

2f:「【0046】
販売画面表示時には商品選択が成されたか否か、即ち、多数の商品選択領域B1?B30の何れか1つに指先等が接触または近接してタッチセンサ33からの信号に基づいて多数の商品選択領域B1?B30の何れか1つが指定されたか否かを判別し、商品選択が成されたとき、例えば商品選択領域B3に表示された120円の商品が指定されたときには、図9に示すように同領域B3の「縮小商品画像」を左右または上下に微動させると同時に音声を発生させ、商品選択がなされたことを購買者の視覚及び聴覚に喚起する(図4のステップS6,S7)。
【0047】
また、図9に示すように選択商品の「実物大商品画像」RSIを商品情報表示領域B33に表示して購買者に商品アピールを行うと共に、同じ商品情報表示領域B33に選択商品の「商品説明」CE、例えば内容量やカロリーや効能等を縦スクロールや横スクロールや静止状態で表示して更なる商品アピールを行い、さらに、商品情報表示領域B33に商品購入を決定するための購入決定領域B35を表示する(図4のステップS8)。
【0048】
さらに、商品選択が成されたときには投入金額が商品価格以上であるか否かを判別する(図4のステップS9)。投入金額が商品価格に満たない場合には、必要に応じて「投入金額が不足しています」等のメッセージを、投入金額が商品価格に達するまで縦または横等のスクロールや静止状態で表示するようにしてもよい。
【0049】
投入金額が商品価格以上で商品選択が成された後は、購入決定領域B35に指先等が接触または近接してタッチセンサ33からの信号に基づいて購入決定領域B35が指定されたか否かを判別し、購入決定がなされたときには選択商品が収納されている商品収納ラック2のベント機構2cを動作させて商品搬出を行う(図4のステップS10,S11)。
【0050】
商品搬出完了後は、図10に示すように、ありがとうございましたやthankyou等の「メッセージ」M2を所定時間、例えば0.5秒、縦,横または斜め等のスクロールや静止状態で表示し(図4のステップS12)、表示完了後は販売画面を待機画面に戻す。」

2g:「【0053】
一方、図7に示した待機画面において硬貨及び紙幣の投入がなく、同画面で領域A2に指先等が接触または近接してタッチセンサ33からの信号に基づいて領域A2が指定されたことが判別された場合には、待機画面をコマーシャル画面(図示省略)に切り替える(図5のステップS13,S14)。
【0054】
このコマーシャル画面には、コマーシャル映像を認識可能な静止画像を含むメニュー選択領域が1または2以上設定されている。コマーシャル画面において所定のメニュー選択領域に指先等が接触または近接してタッチセンサ33からの信号に基づいて領域選択がなされたことが判別された場合には、該領域に対応するコマーシャル映像(動画像)を第2制御部24の記憶手段から読み出して音声と共に再生する(図5のステップS15,S16)。」

以上の各記載及び図面の図示内容を総合すれば、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2A」という。)が記載されている。
「商品画像等を表示するためのディスプレイを接客面に備え、商品選択操作に基づいて選択商品の販売を行う自動販売機であって、
自動販売機の電源の投入に基づいて待機画面をLCD14に表示し、待機画面をコマーシャル画面に切り替え、このコマーシャル画面には、コマーシャル映像(動画像)を記憶手段から読み出して音声と共に再生する、自動販売機。」

また、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2B」という。)が記載されている。
「商品画像等を表示するためのディスプレイを接客面に備え、商品選択操作に基づいて選択商品の販売を行う自動販売機であって、
LCD14の表示面には、タッチセンサ33が設けられ、
第2制御部24からの画像データ及び制御信号に基づいてLCD14を駆動して所期の画像表示を行い、
多数の商品選択領域B1?B30の何れか1つに指先等が接触または近接してタッチセンサ33からの信号に基づいて多数の商品選択領域B1?B30の何れか1つが指定されたか否かを判別し、
商品選択が成されたとき、選択商品の「実物大商品画像」RSIを商品情報表示領域B33に表示して購買者に商品アピールを行うと共に、
同じ商品情報表示領域B33に選択商品の「商品説明」CE、例えば内容量やカロリーや効能等を縦スクロールや横スクロールで表示して更なる商品アピールを行い、
さらに、商品情報表示領域B33に商品購入を決定するための購入決定領域B35を表示し、
購入決定領域B35に指先等が接触または近接してタッチセンサ33からの信号に基づいて購入決定領域B35が指定されたか否かを判別し、
購入決定がなされたときには商品搬出を行う、自動販売機。」

(3)引用文献3
原査定において周知例として提示され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平11-39542号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
3a:「【0005】また、複合自動販売機の内部構成は、図5の図示のとおり、水桶13と、コーヒー原料を保管するコーヒー原料桶14と、前記の水桶13から供給される水を所定の温度で加熱して温水を貯蔵する温水桶15と、韓国茶(例えば、柚の実茶、鳩麦茶等)の原料を保管する韓国茶原料桶16と、各原料桶14、16から供給される原料と、温水桶15から供給される温水を混合し、混合された飲料を飲料投出口6に供給する飲料混合部17と、洗浄水及び除霜水等を集水する排水桶18と、缶を冷却させるために冷気を発生する冷却ユニット19と、缶を保管するラック20とから構成される。
【0006】前記のように構成された複合自動販売機の商品販売動作過程を、図3乃至図5を参照して説明する。
【0007】まず、利用者がコイン投入口4を通してコインを投入するかまたは紙幣投入口5を通して紙幣を投入すると、コインメカニズム54または紙幣識別部56を通して投入されたコインまたは紙幣の投入金額が感知され、投入金額が複合自動販売機内に備えられた商品の販売金額を超過すると、表示部10を通して商品の販売可能状態が表示される。
【0008】それから、利用者が缶を購買するために商品選択部50内に備えられている缶選択ボタン51を利用して所望する缶を選択すると、選択された缶がラック20から缶投出口7に投出され、利用者は所望する缶の購入が可能になる。
【0009】この時、複合自動販売機の販売可能状態で、利用者が飲料を購買するために商品選択部50内に備えられている飲料選択ボタン52を利用して、所望する飲料(コーヒーまたは韓国茶)を選択すると、コーヒー原料桶14または韓国茶原料桶16から、選択された飲料に相応する原料が投出され、温水桶15から温水が供給され、飲料混合部17を通して混合されてから飲料投出口6に投出され、利用者は所望する飲料を購入することができる。」

3b:「【0023】それから、利用者により商品選択部50に備えられた缶選択ボタン51、飲料選択ボタン52及び宝くじ選択ボタン53中の該当ボタンが操作されると(段階520)、制御部60は操作されたボタンに相応する商品を投出するための制御信号を発生し、制御部60からの制御信号により缶飲料投出部70、飲料投出部72、宝くじ投出部74を通して、利用者により選択された商品が投出される(段階522)。」

(4)引用文献4
原査定において周知例として提示され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2001-283317号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
4a:「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、封入容器飲料と機内で調製した飲料の両方を提供可能とする複合自動販売機に関する。」

4b:「【0016】この複合自動販売機1は、多種類の飲料を原料と温水、冷水若しくは氷を混合させることにより調製してカップ12で提供するカップ式ディスペンサ部10と、多種類の封入容器飲料22を収納する収納庫21を備え、この収納庫21より封入容器飲料22を選択的に提供する封入容器飲料提供部としての缶式ベンダーユニット20とを備え、封入容器飲料22と機内で調製したカップ飲料の両方を提供可能とするものである。ここで、封入容器飲料22とは、缶、紙パック、瓶、ペットボトル等の容器に飲料が封入されているものをいう。」

3-2 対比
本願補正発明と引用発明1を対比する。
(ア)引用発明1の「自動販売機」は、文言の意味、形状又は機能等からみて本願補正発明の「自動販売機」に相当し、以下同様に、「記憶手段14」は「メモリ手段」に、「サンプル画像21のデータ」は「デジタルデータ」に、「客」は「ユーザ」に、「筒状の容器を有する商品」は「パッケージされた商品」に、それぞれ相当する。

(イ)引用発明1では、「制御手段13は、画面上のサンプル画像に対して選択されたことを検出した際にそのサンプル画像21に対応する商品の販売払出動作を可能とさせ」ることから、制御手段13は、「商品の販売払出動作」を行うための適宜の販売払出手段に接続されているものといえる。同様に、引用発明1では、「制御手段13により、冷温可能商品が収納されている箇所を対象に、外気温度または時期に基づいて、冷温切換動作を行わせる」のであるから、制御手段13は、「冷温切換動作を行」うための適宜の冷却手段、加熱手段、切替えスイッチ手段等に接続されているものといえる。
ここで、自動販売機におけるこれらの販売払出手段、冷却手段、加熱手段、切替えスイッチ手段等は、通常電気的に駆動されるものであるから、“電気的に駆動される1つ以上の部品”といえるものである。
また、引用発明1では、「記憶手段14には、各商品のサンプル画像21のデータが記憶され」、「制御手段13は、サンプル画像21と商品価格とに対応させて冷温表示も画像表示手段の画面に表示させ」るところ、制御手段により表示される当該「サンプル画像21」は、記憶手段14から読み出された「サンプル画像21のデータ」に基づく画像であることは明らかである。
さらに、引用発明1の「記憶手段14」と「記憶手段14やタッチパネル15が接続され」た「制御手段13」とは、全体として一の“制御ユニット”を成すものといえる。
よって、引用発明1の自動販売機は、“電気的に駆動される1つ以上の部品に接続されており、かつデジタルデータの記憶および読み出しを行うためのメモリ手段を備えている制御ユニット”を備えるものである。

(ウ)引用発明1では、「制御手段13は、サンプル画像21と商品価格とに対応させて冷温表示も画像表示手段の画面に表示させ」るのであるから、引用発明1の「表示部12」は、客に「サンプル画像21と商品価格」という情報を示すものである。
また、引用発明1では、「表示部12の表面にはタッチパネル15が設けられ」ており、「商品販売時には、客が販売金額以上を投入した状態で商品のサンプル画像21の箇所が指で押されると、タッチパネル15によりこの選択動作が認識され、制御手段13は、画面上のサンプル画像に対して選択されたことを検出」するところ、制御手段13が検出する「画面上のサンプル画像に対して選択されたこと」は、客から制御手段13に送られた“入力コマンド”といえ、さらに、この「画面上のサンプル画像に対して選択されたこと」は、客の指で押されるタッチパネル15により認識されるのであるから、「タッチパネル15が設けられ」た「表示部12」は、“入力コマンドを読み出すためのユーザインターフェイス”として機能するものである。
よって、引用発明1の自動販売機は、“ユーザに情報を示し、かつユーザから前記制御ユニットに送られた入力コマンドを読み出すためのユーザインターフェイス”を備えるものである。

(エ)引用発明1では、「商品販売時には、客が販売金額以上を投入した状態で商品のサンプル画像21の箇所が指で押されると、タッチパネル15によりこの選択動作が認識され、制御手段13は、画面上のサンプル画像に対して選択されたことを検出した際にそのサンプル画像21に対応する商品の販売払出動作を可能とさせ」るのであるから、客が指で押す「サンプル画像21の箇所」は「販売払出動作を可能とさせ」るための“仮想ボタン”といえ、このような「サンプル画像21」を表示する「タッチパネル15が設けられ」た「表示部12」は、“グラフィックユーザインターフェイス(GUI)”といえるものである。
そうすると、引用発明1の「タッチパネル15が設けられ」た「液晶ディスプレイ装置からなる表示部12」は、このグラフィックユーザインターフェイス(GUI)のディスプレイ、即ち“GUIディスプレイ”ともいえるところ、このような「表示部12」が、“販売中の商品が仮想ボタンにより表示されることにより自動販売機で販売するための商品を表示する窓パネル”として機能していることは明らかである。
また、引用発明1の「画像表示手段としての大型の液晶ディスプレイ装置からなる表示部12」が、画像を表示するためのスクリーンを備えていることは明らかであるし、しかも引用発明1の「広告」もコンテンツの一種といえることから、引用発明の「表示部12」と本願補正発明の「グラフィックスクリーン」とは、“自動販売機を作動させるための仮想ボタン、およびコンテンツの少なくとも一部を表示することができるグラフィックスクリーン”である点で共通する。
さらに、引用発明1の自動販売機は、「筒状の容器を有する商品」を取り扱うものであって、当該商品を販売するための適宜の手段を備えていることは明らかであるから、“パッケージされた商品を販売する手段を備え”る点で、本願補正発明の自動販売機と共通する。
よって、引用発明1は、“ユーザインターフェイスが、前記自動販売機を作動させるための仮想ボタン、およびコンテンツの少なくとも一部を表示することができるグラフィックスクリーンを有するグラフィックユーザインターフェイス(GUI)である自動販売機において、パッケージされた商品を販売する手段を備え、かつ販売中の商品が仮想ボタンにより表示されることによりGUIディスプレイが自動販売機で販売するための商品を表示する窓パネルとして働く”なる事項を具備する点で、本願補正発明と共通する。

以上の(ア)?(エ)によれば、本願補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は次のとおりである。
(一致点)
自動販売機であって、電気的に駆動される1つ以上の部品に接続されており、かつデジタルデータの記憶および読み出しを行うためのメモリ手段を備えている制御ユニットと、ユーザに情報を示し、かつユーザから前記制御ユニットに送られた入力コマンドを読み出すためのユーザインターフェイスとを備え、かつ前記ユーザインターフェイスが、前記自動販売機を作動させるための仮想ボタン、およびコンテンツの少なくとも一部を表示することができるグラフィックスクリーンを有するグラフィックユーザインターフェイス(GUI)である自動販売機において、パッケージされた商品を販売する手段を備え、かつ販売中の商品が仮想ボタンにより表示されることによりGUIディスプレイが自動販売機で販売するための商品を表示する窓パネルとして働く、自動販売機。

(相違点1)
グラフィックスクリーンに表示されるコンテンツが、本願補正発明では、「マルチメディアコンテンツ」であるのに対し、引用発明1では、広告ではあるもののその広告がマルチメディアコンテンツであるのか否か不明な点。

(相違点2)
商品を販売する手段により販売される商品が、本願補正発明では、「パッケージされた商品およびパッケージされていない商品」であるのに対し、引用発明1では、パッケージされた商品である点。

(相違点3)
本願補正発明では、「自動販売機からユーザが商品を選択するための、または、ユーザが所望の商品に対応する仮想ボタンを押下するのに応答してさらなる商品情報を表示することにより画面変更するための、ユーザからの前記入力コマンドに応答して、前記グラフィックスクリーン上で、ユーザによってなされた選択の詳細に関連づいた表示を動的に変更するために、前記制御ユニットが前記ユーザインターフェースを制御し、前記詳細は利用可能な選択のタイプを含む」事項を具備するのに対し、引用発明ではこのような事項を具備しない点。

3-3 相違点の判断
上記各相違点について検討する。
(相違点1について)
引用文献2には、上記引用発明2Aが記載されているところ、引用発明2Aの「ディスプレイ」又は「LCD14」、「コマーシャル映像」、「再生する」は、それぞれ“グラフィックスクリーン”、“広告映像”、“表示する”と言い換えることができるので、引用発明2Aは、”販売可能商品を示す商品画像等を表示するためのグラフィックスクリーンを備える自動販売機であって、グラフィックスクリーンに広告映像(動画像)を表示する、自動販売機”なる事項を包含する発明といえる。
引用発明1及び引用発明2Aは、自動販売機のグラフィックスクリーンに商品画像及び広告を表示するという機能で共通するものであるから、引用発明1のグラフィックスクリーンに表示するコンテンツとしての広告に、引用発明2Aのコマーシャル映像(動画像)を採用し、「仮想ボタン、およびマルチメディアコンテンツの少なくとも一部を表示することができる」ようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(相違点2について)
引用文献3に上記摘記事項3a?3bとして、また、引用文献4に上記摘記事項4a?4bとして開示されるように、自動販売機において、予め缶等の容器に飲料が封入された容器飲料と、機内で原料や温水等から調製される飲料との両方を提供可能とすることは、本技術分野において、従来周知の技術事項である。
ここで、上記の「予め缶等の容器に飲料が封入された容器飲料」、「機内で原料や温水等から調製される飲料」は、それぞれ“パッケージされた商品”、“パッケージされていない商品”といえるものであるところ、ある自動販売機においてどのような商品を販売するかは、顧客のニーズ等に応じて供給者が適宜に選択決定し得る事項であるから、上記の周知技術を踏まえ、引用発明1の自動販売機を、パッケージされた商品に加えパッケージされていない商品をも販売可能な自動販売機とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

(相違点3について)
まず、引用発明2Bについて検討する。
ア)引用発明2Bでは、「商品画像等を表示するためのディスプレイを接客面に備え」、「多数の商品選択領域B1?B30の何れか1つに指先等が接触または近接してタッチセンサ33からの信号に基づいて多数の商品選択領域B1?B30の何れか1つが指定されたか否かを判別」するのであるから、当該「商品選択領域B1?B30」は、“自動販売機から客が商品を選択するための、または、客が所望の商品に対応する仮想ボタン”といえるし、「客」は“ユーザ”と言い換えることができる。
また、引用発明2Bでは、「商品選択が成されたとき、選択商品の「実物大商品画像」RSIを商品情報表示領域B33に表示し」、「同じ商品情報表示領域B33に選択商品の「商品説明」CE、例えば内容量やカロリーや効能等を表示」いるのであるから、
「商品選択領域B1?B30の何れか1つに指先等が接触または近接してタッチセンサ33からの信号」は、「実物大商品画像」や「商品説明」というさらなる商品情報を表示するための“入力コマンド”として機能していることは明らかである。
よって、引用発明2Bは、“自動販売機からユーザが商品を選択するための、または、ユーザが所望の商品に対応する仮想ボタンを押下するのに応答してさらなる商品情報を表示することにより画面変更するための、ユーザからの前記入力コマンド”なる事項を実質的に含むものである。
イ)引用発明2Bの「商品選択が成されたとき」に表示される「実物大商品画像」、「商品説明」、「購入決定領域B35」等は、「商品選択」に関連づいた表示であって、かつ、「商品選択」に係る詳細な表示といえるし、また、引用発明2Bの「LCD14の表示面」は“グラフィックスクリーン”といえるものである。
そして、「商品選択が成され」ると、商品情報表示領域B33の表示内容が変化するとともに「商品説明」が「縦スクロールや横スクロールで表示」されることをも踏まえれば、引用発明2Bは、“ユーザからの入力コマンドに応答して、グラフィックスクリーン上で、ユーザによってなされた選択の詳細に関連づいた表示を動的に変更する”事項を実質的に含むものである。
ウ)引用発明2Bにおける「タッチセンサ33が設けられ」た「LCD14」が、“ユーザインターフェース”として機能していることは明らかであり、また、「第2制御部24からの画像データ及び制御信号に基づいてLCD14を駆動して所期の画像表示を行」うのであるから、引用発明2Bは、“表示を動的に変更するために、前記制御ユニットが前記ユーザインターフェースを制御”する事項を含むものである。
エ)上記イ)に示したとおり、引用発明2Bにおいて、「商品選択が成されたとき」に表示される「実物大商品画像」、「商品説明」、「購入決定領域B35」等は、「商品選択」に係る詳細な表示であるところ、この「購入決定領域B35」は、客が最終的に商品購入をするか否かを選択し、決定するための領域であって、商品購入を選択した際に、指先等を接触させるという形式で利用可能な領域であるといえるので、引用発明2Bは、“詳細は利用可能な選択のタイプを含む”なる事項を含むものである。
オ)以上のア)?エ)によれば、引用発明2Bは、「自動販売機からユーザが商品を選択するための、または、ユーザが所望の商品に対応する仮想ボタンを押下するのに応答してさらなる商品情報を表示することにより画面変更するための、ユーザからの前記入力コマンドに応答して、前記グラフィックスクリーン上で、ユーザによってなされた選択の詳細に関連づいた表示を動的に変更するために、前記制御ユニットが前記ユーザインターフェースを制御し、前記詳細は利用可能な選択のタイプを含む」なる事項を包含する発明といえる。

ところで、引用文献2には、「自動販売機によって商品を販売するには顧客に対して商品に係る情報を的確に伝達する必要がある。この商品情報には、主として、商品のデザイン(色彩,模様,形状)を認識させるためのデザイン情報や、商品の内容量やカロリーや効能等を認識させるための成分情報や、どのような商品が実際に売れているかを認識させるための売れ筋情報がある」(摘記事項2b)との記載があるところ、消費者が的確な表品情報を望むことは自明であるから、「顧客に対して商品に係る情報を的確に伝達する必要がある」ことは、引用発明1の自動販売機においても当然に内在する技術課題にすぎないものといえる。
そうすると、選択商品の詳細な商品情報を顧客に提示した上で、商品購入を決定できるように、引用発明1の画面表示として引用発明2Bを適用し、相違点3に係る本願補正発明の特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明の効果も、引用発明1、引用発明2A、引用発明2B及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって格別のものとはいえない。

よって、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2A、引用発明2B及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


III.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし17に係る発明は、平成25年7月24日付け手続補正書によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
自動販売機であって、電気的に駆動される1つ以上の部品に接続されており、かつデジタルデータの記憶および読み出しを行うためのメモリ手段を備えている制御ユニットと、ユーザに情報を示し、かつユーザから前記制御ユニットに送られた入力コマンドを読み出すためのユーザインターフェイスとを備え、かつ前記ユーザインターフェイスが、前記自動販売機を作動させるための仮想ボタン、およびマルチメディアコンテンツの少なくとも一部を表示することができるグラフィックスクリーンを有するグラフィックユーザインターフェイス(GUI)である自動販売機において、パッケージされた商品およびパッケージされていない商品を販売する手段を備え、かつ販売中の商品が仮想ボタンにより表示されることによりGUIディスプレイが商品を表示する窓パネルとして働くことを特徴とする自動販売機。」


IV.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記II.
3-1に記載したとおりである。


V.対比
本願発明は、前記II.1の本願補正発明から、前記II.2で指摘した限定を省いたものに相当する発明である。
そこで、前記「II.3-2 対比」における(ア)?(エ)の検討を踏まえつつ、本願発明と引用発明1とを対比すると、両者は、
「自動販売機であって、電気的に駆動される1つ以上の部品に接続されており、かつデジタルデータの記憶および読み出しを行うためのメモリ手段を備えている制御ユニットと、ユーザに情報を示し、かつユーザから前記制御ユニットに送られた入力コマンドを読み出すためのユーザインターフェイスとを備え、かつ前記ユーザインターフェイスが、前記自動販売機を作動させるための仮想ボタン、およびコンテンツの少なくとも一部を表示することができるグラフィックスクリーンを有するグラフィックユーザインターフェイス(GUI)である自動販売機において、パッケージされた商品を販売する手段を備え、かつ販売中の商品が仮想ボタンにより表示されることによりGUIディスプレイが商品を表示する窓パネルとして働く自動販売機。」
の点で一致し、前記相違点1及び相違点2で相違する。


VI.判断
相違点1及び相違点2については、前記「II.3-3 相違点の判断」において検討したとおりである。
そして、本願発明の効果も、引用発明1、引用発明2A及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって格別のものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明1、引用発明2A及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


VII.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、引用発明2A及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-08-27 
結審通知日 2014-09-02 
審決日 2014-09-18 
出願番号 特願2010-518769(P2010-518769)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G07F)
P 1 8・ 575- Z (G07F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大瀬 円  
特許庁審判長 山口 直
特許庁審判官 松下 聡
関谷 一夫
発明の名称 自動販売機、およびその作動方法  
代理人 中馬 典嗣  
代理人 竹沢 荘一  

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