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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1296922
審判番号 不服2013-1697  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-01-30 
確定日 2015-02-13 
事件の表示 特願2011- 72157「書店における書籍の書籍販売システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月25日出願公開、特開2012-208590〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年3月29日の出願あって、平成24年8月21日付けで拒絶理由通知が通知され、平成24年10月24日付けで意見書が提出されたが、平成24年12月12日付けで拒絶査定がなされた。これに対して、平成25年1月30日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2.本願発明
本願請求項1に係る発明は、平成23年3月29日付けで提出された特許願の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】
書店に配置されたディスプレイ及び該ディスプレイの表示を制御する端末装置並びに前記端末装置とネットワーク接続されたサーバからなる、書店における書籍の書籍販売システムであって、
前記ディスプレイは、タッチパネル機能を有し、書籍を陳列した書棚に配置され、該ディスプレイに対する接触位置に関する信号を前記端末装置に出力するものであり、
前記端末装置は、前記サーバに対して要求信号を送信し、前記サーバから受信した信号に基づいて、前記ディスプレイに表示すべき画像を形成するとともに、前記ディスプレイから入力される接触位置に関する信号及び形成した画像に基づき、前記サーバに対して新たな要求信号を送信するか又は前記ディスプレイに表示すべき新たな画像を形成するものであり、
前記サーバは、書籍の背表紙画像と書籍特定情報を対応づけて格納したデータベースを備え、前記端末装置から受信した前記要求信号に基づいて、前記データベースから取得した情報を前記端末装置に送信可能であり、前記端末装置は前記サーバから書籍背表紙画像を含む信号を受信し、複数の背表紙が書棚に陳列されていることを模した画像を形成できる
ことを特徴とする、書店における書籍の書籍販売システム。」

3.引用例
1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前である平成15年3月7日に頒布された「特開2003-67464号公報」(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0046】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態である書店用図書閲覧システムの大略的な構成を示す。図1に示す書店用図書閲覧システムは、書店側システム1、顧客側システム2、および出版社側システム3からから構成される。書店側システム1は、書店サーバ10を中心に、図書ビュアーである電子立ち読み書籍ビュアー11、印刷装置12、POS(Point Of Sales)端末13などから構成され、これらの機器は無線LAN(Local Area Network)で相互に接続されている。POS端末13は、店員がいるレジに備えられている。書店サーバ10は、書店データベース15を備えている。書店データベース15は、販売データベース16、顧客データベース17、広告データベース18および閲覧データベース19を含む。電子立ち読み書籍ビュアー11は、書籍ばかりではなく、雑誌の内容でも閲覧は可能である。以下、書籍や雑誌を含む図書を、書籍で体表させて説明することがあるけれども、雑誌等を除外するものではない。
【0047】顧客側システム2は、顧客が携行するPDA(Personal Digital Assistant)20などの携帯情報端末や、携帯電話21などを含む。顧客は、書店の店舗を訪れると、電子立ち読み書籍ビュアー11を無償で利用することができ、書店の店舗に在庫している書籍や雑誌でも、実際には在庫していない書籍でも、立ち読み感覚で気軽に閲覧することができる。電子立ち読み書籍ビュアー11を利用して閲覧すれば、実際に顧客が書籍を手にとって閲覧しなくてもよいので、立ち読みによって書籍が汚れてしまうという問題も解消される。」
(2)「【0050】図2は、図1に示す電子立ち読み書籍ビュアー11を正面から見たときの外観を示す。電子立ち読み書籍ビュアー11は、図1のPDA20などと同様の大きさで、大略的に板上の筐体40を有する。筐体40は、ディスプレイ41およびタッチパネル42を表面に備え、無線アンテナ43を側面に備え、受話器44を顧客の頭部にセット可能である。ディスプレイ41とタッチパネル42とは、重ね合わされている。ディスプレイ41は、たとえば液晶表示パネルと表示制御回路等が組合わされた液晶表示装置であり、表面に透明な2次元座標入力装置がタッチパネル42として付加されている。ディスプレイ41およびタッチパネル42が重ね合された表面は、操作エリア45、書籍情報エリア46、書籍内容エリア47および広告エリア48に区分される。入力手段である操作エリア45には、電子立ち読み書籍ビュアー11の利用者による入力操作が行われ、表示手段としての書籍情報エリア46、書籍内容エリア47および広告エリア48との間には、スクロールバー49が表示される。」
(3)「【0052】図4は、電子立ち読みビュアー11で書籍を閲覧している画面を示す。前述のように、書籍閲覧用の画面は、書籍情報を表示する書籍エリア46、書籍内容を表示する書籍内容エリア47、広告を表示する広告エリア48、操作を表示する操作エリア45から構成される。操作エリア45には、たとえばページ送りに使用する“進む”ボタン45a、ページ戻りに使用する“戻る”ボタン45b、選択操作時の確認に使用する“確定”ボタン45c、および一つ前の操作に戻る場合に使用する“取消”ボタン45dなどが表示され、その上を指先などで押圧することによって、入力操作を行うことができる。書籍情報エリア46には、書籍名46a、出版社名46b、価格46c、および在庫46dなどが表示される。スクロールバー49は、書籍内容エリア47で表示されている書籍の内容が全体ではどの範囲であるかを表示する。表示範囲を示すインジケータ49aをタッチパネル42上から動かして、書籍内容エリア47の表示範囲を移動させることもできる。」
(4)「【0054】ステップa2では、電子立ち読み書籍ビュアー11の画面に書籍カタログー覧を表示させ、ステップa3で顧客はカタログから目的とする書籍を選択し、“確定”ボタン45cを押す。ステップa4で書籍情報エリア46に書籍名46aなどの表示を行わせ、ステップa5で書籍内容エリア47に書籍内容を表示させ、閲覧を行う。ステップa6で示すように、電子立ち読み書籍ビュアー11の“進む”ボタン45aを押すと、ステップa7で示すように、次のページに進む。ステップa8で示すように、“戻る”ボタン45bを押すと、ステップa9で示すように、前のページに戻る。ステップa10で示すように、“取消”ボタン45dを押すと、別の書籍の閲覧のため、ステップa2に戻る。ステップa3で読みたい書籍を選択する代りに、ステップa11で“取消”ボタン45dを押と、ステップa12で閲覧操作を終了することができる。ランダムにページを送ったり戻ったりする場合の操作は、スクロールバー49で行う。顧客が閲覧する書籍内容のデータは、出版社サーバ30の書籍データベース32から書店サーバ10へ、インターネット35経由で送られ、さらに無線LAN14を介して電子立ち読み書籍ビュアー11に送られる。」
(5)「【0058】図6は、書籍購入を顧客が電子立ち読み書籍ビュアー11を操作して行う場合の顧客の操作と電子立ち読み書籍ビュアー11の動作とを示す。これは、書籍購入をビュアーから発注するものである。ステップb0からステップb2までの操作は、図5のステップa0からステップa2までの各ステップと基本的に同等である。ステップb1では省略しているけれども、パスワードの入力も行う。すなわち、顧客は、電子立ち読み書籍ビュアー11にID番号とパスワードとを入力することにより、操作を開始することができる。ステップb2では、電子立ち読み書籍ビュアー11の画面に書籍カタログー覧を表示させる。」(下線は、当審による。)
これらの記載事項によると、引用例1には、
「ディスプレイ41を有する電子立ち読み書籍ビュアー11が、書店サーバ10と無線LANで接続された書店用図書閲覧システムであって、
ディスプレイ41は、タッチパネルを有し、2次元座標入力装置がタッチパネル42として付加され、
タッチパネルを押圧することで入力操作を行い、
電子立ち読み書籍ビュアー11の画面に書籍カタログの一覧を表示し、
書籍カタログの一覧から選択された書籍の内容は、出版社サーバ30の書籍データベース32から書店サーバ10へ、インターネット35経由で送られ、さらに無線LAN14を介して電子立ち読み書籍ビュアー11に送られ、
タッチパネルのボタン45a、45bによってページ送り、ページ戻りを行い、電子立ち読み書籍ビュアー11は、書籍購入を行える書店用図書閲覧システム」の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。

2)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前である平成8年6月25日に頒布された「特開平8-166992号公報」(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0025】図1の第1の実施例の商品見本陳列棚2と商品購入操作装置3を含む部分の詳細構成図を図2に示し、以下説明する。図2において図1と同じ内容を示すものには同じ番号をつけてある。商品見本陳列棚2にはAの商品が2つとBの商品及びCの商品がそれぞれ1つずつの計4つの商品見本が示されている。また、商品購入操作装置3はそれぞれ図示したように、Aの商品についてはそれぞれ1台或いは2台配置され、B及びCの商品については2つの商品で1台の商品購入操作装置3が配置されている。これはAの商品は取扱回数が多く、或いはその場所付近で購入客の混雑が予想されるからであり、一方、BやCの商品は取扱回数が比較的少ないと予想されるからである。従って、Aの商品を購入する時には商品購入操作装置3に商品の指定をしなくてもよいが、B或いはCの商品を購入するときには商品購入操作装置3にどちらの商品を購入するのかを指定する必要がある。また、破線で示した商品購入操作装置3は、現在は不要であるため装置がはずされているか使われていないが、将来必要な場合には容易に増設できる準備がされている。」
(2)「【0027】本発明の第2の実施例を図6に示し、以下説明する。図6は、第1の実施例での部分詳細図である図2に相当する部分が示されており、図2と同じ内容を示すものには同じ番号を付けてある。2-2は商品見本及びその付帯的情報を表示するためのディスプレイ群を示し、これらのディスプレイは図6の実施例では制御信号及び情報信号伝送路7で集中制御管理装置6と共に映像情報信号源17とも接続されている。また、これらのディスプレイ群はそれぞれのディスプレイに映像情報記憶装置18も備えている。各ディスプレイ2-2に記憶装置18を備えることにより、表示すべき情報を映像情報信号源17から各ディスプレイに常時供給し続ける必要がなくせる。商品見本をこのようにディスプレイ群2-2に表示させることによって、例えば日毎にそれぞれの場所での商品見本の内容や価格等の情報或いは配置順序等を変える場合でも、映像情報の内容を変更するだけで対応できる。また、このディスプレイにタッチパネル等の機能を付加すれば、ディスプレイが集中制御管理装置6に接続されているので商品購入操作装置3や精算用装置5の一部の機能または全部の機能をディスプレイに代行させることができる。」(下線は、当審による。)
ここで、摘記事項(2)の図6は、ディスプレイによって商品見本を示しており、摘記事項(1)の図2は、同じ商品見本について陳列棚で示していることから、引用例2には、「陳列において、商品見本陳列棚をディスプレイ群に置き換え可能なこと」が示唆されている(以下、「引用例2に示唆された事項」という。)

3)引用例3
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前である平成21年3月5日に頒布された「特開2009-48281号公報」(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【請求項2】
本箱画像に書籍背表紙画像をレイアウトすることで、書籍が入った本箱画像を合成し、さらにこれらを組み合わせることで、複数種類の縮尺の本棚画像を作成する方法。」
(2)「【0013】
このようにして作成した複数種類の縮尺の本棚画像を用いて、図2に示すフローチャートをブラウザ上で処理することで書籍探索の処理方法を実現する。最初にブラウザにて1のURLを入力し、処理開始時にプログラム(JavaScriptなど)と本棚画像ファイルをサーバからロードし、図1のブラウザの2の表示範囲の中に本棚画像が表示される。この本棚画像をマウスでホイール操作を行った場合、図2の12の分岐で13の処理が実行され、操作量に従って、あらかじめ用意された複数種類の縮尺の本棚画像に切り替えることで、ズームイン、ズームアウトを実現する。図1の3のマウスポインタで、ドラッグ操作した場合は、図2の15の分岐で16を実施しマウスポインタの移動に従って本棚画像を移動させる。このとき、本棚画像が表示枠に収まっていない場合、17と18で表示枠を補うために本棚画像をサーバから取得して表示する。また、選択すべき書籍上で左ダブルクリックすると、図2の14の判断と19の処理により、該当書籍の情報を取得し、本処理を終了する。結果として図1の4のように選択書籍の情報をブラウザ上に表示することも可能である。」
摘記事項(1)(2)を総合すると、引用例3には、「本箱画像に書籍背表紙画像をレイアウトし、選択すべき書籍上をダブルクリックすると当該書籍の情報を取得すること。」が記載されている。(以下、「引用例3の記載事項」という。)

4.対比
引用例1発明は、「ディスプレイ41」「電子立ち読み書籍ビュアー11」「書店サーバ10」「無線LAN」は、それぞれの機能から見て、本願発明の「書店に配置されたディスプレイ」「ディスプレイの表示を制御する端末装置」「サーバ」「ネットワーク」に相当する。
引用例1発明の「書店用図書閲覧システム」の「電子立ち読み書籍ビュアー11」は、書籍の購入も行えることから、引用例1の「書店用閲覧システム」は、本願発明の「書店における書籍の書籍販売システム」に相当する。
引用例1発明の「ディスプレイ41は、タッチパネルを有し、2次元座標入力装置がタッチパネル42として付加され」は、その機能から見て、本願発明の「ディスプレイは、タッチパネル機能を有し、」「該ディスプレイに対する接触位置に関する信号を端末装置に出力するものであり、」に相当する。
引用例1発明の「書籍カタログの一覧から選択された書籍の内容は、出版社サーバ30の書籍データベース32から書店サーバ10へ、インターネット35経由で送られ、さらに無線LAN14を介して電子立ち読み書籍ビュアー11に送られる」で、電子立ち読み書籍ビュアー11は、サーバ10に対して、書籍の閲覧を要求しており、書籍の内容、すなわち、ディスプレイに表示すべき画像は、サーバ10から電子立ち読み書籍ビュアー11に送られ、表示されるから、本願発明の「端末装置は、前記サーバに対して要求信号を送信し、前記サーバから受信した信号に基づいて、前記ディスプレイに表示すべき画像を形成する」に相当する。
引用例1発明の「タッチパネルのボタン45a、45bによってページ送り、ページ戻りを行う」で、「タッチパネルのボタン45a、45b」は接触位置に関する信号、形成した画像に基くものであり、ページ送り、ページ戻りは、「サーバに対して新たな要求信号を送信するか又は前記ディスプレイに表示すべき新たな画像を形成するもの」であることから、引用例1発明の「ディスプレイから入力される接触位置に関する信号及び形成した画像に基づき、前記サーバに対して新たな要求信号を送信するか又は前記ディスプレイに表示すべき新たな画像を形成するものであり、」に相当する。

してみると、両発明の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「書店に配置されたディスプレイ及び該ディスプレイの表示を制御する端末装置並びに前記端末装置とネットワーク接続されたサーバからなる、書店における書籍の書籍販売システムであって、
前記ディスプレイは、タッチパネル機能を有し、該ディスプレイに対する接触位置に関する信号を前記端末装置に出力するものであり、
前記端末装置は、前記サーバに対して要求信号を送信し、前記サーバから受信した信号に基づいて、前記ディスプレイに表示すべき画像を形成するとともに、前記ディスプレイから入力される接触位置に関する信号及び形成した画像に基づき、前記サーバに対して新たな要求信号を送信するか又は前記ディスプレイに表示すべき新たな画像を形成するものである、書店における書籍の書籍販売システム。」
[相違点]
(1)本願発明では、「ディスプレイ」を「書籍を陳列した書棚に配列」しているのに対して、引用例1発明の「電子立ち読み書籍ビュアー11」は書店のどこに設置するのかは明記されていない点。
(2)本願発明は、「サーバは、書籍の背表紙画像と書籍特定情報を対応づけて格納したデータベースを備え、前記端末装置から受信した前記要求信号に基づいて、前記データベースから取得した情報を前記端末装置に送信可能であり、前記端末装置は前記サーバから書籍背表紙画像を含む信号を受信し、複数の背表紙が書棚に陳列されていることを模した画像を形成できる」のに対して、引用例1発明の「サーバ10」はこの様な機能を有していない点。

5.当審の判断
相違点(1)(2)について
まず、相違点(2)から検討する。
相違点に係る構成は、引用例3の記載事項に、「選択すべき書籍を左ダブルクリックすると、当該書籍の情報を取得し」とあり、これは、書籍の背表紙画像と当該書籍の情報を関連付けて管理する機能をサーバが有していることであるから、背表紙画像と当該書籍の情報はデータベースによって管理されていることは明らかである。また、当該データベースは、選択すべき書籍の上を左ダブルクリックすること、すなわち、要求信号を受け取ると、対応する書籍情報をブラウザに対して送信しており、これは、「端末装置から受信した前記要求信号に基づいて、前記データベースから取得した情報を前記端末装置に送信可能」であることを意味している。さらに、引用例3の本棚画像ファイルをサーバからロードすることは、サーバから書籍背表紙画像を含む信号を受信し、複数の背表紙が書棚に陳列されていることを模した画像を形成することであって、これらの事項は、書籍の選択において用いられているものであるから、電子立ち読み書籍ビュアー11における書籍の一覧表示に替えて、引用例3の記載事項を適用し相違点(2)の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。
次に、相違点(1)について検討する。
引用例2に示唆された事項から明らかなように、商品見本陳列棚をディスプレイ群に置き換えることは可能であり、さらに、この置き換えにおいて、商品見本陳列棚の一部をディスプレイに置き換えても、商品見本を陳列するという目的は達成でき、書店においては、商品の陳列は書棚の書籍に他ならず、書棚の一部をディスプレイにしたところで、書籍の陳列という目的を達成できることから、相違点(1)のように、「ディスプレイ」を「書籍を陳列した書棚に配列」することが、技術的に困難性を有するものではなく、当業者が容易になし得ることである。

なお、審判請求人は、審判請求書において、「書棚に配置されたディスプレイの周囲は、書籍が陳列された書棚であり、ディスプレイには書棚に書籍が陳列されているのと同様の画像を表示できるので、周囲の書棚とディスプレイ画像の区別がつきにくくなり、購入者は、書棚に陳列された書籍に接するのに近い感覚で、ディスプレイに表示された背表紙画像に接することができ、ディスプレイに表示された画像であるにもかかわらず、あたかも書棚に陳列されている書籍を選択するかのように、ディスプレイに表示された背表紙画像から書籍を選択することができる。」を技術的な効果であると主張しているが、引用例3のように書籍背表紙画像をレイアウトして表示する理由は、あたかも書棚に陳列されている書籍を選択できるようにするためであることは明らかである。
また、この様な画像は現実の書棚に陳列されている書籍を模した画像であるから、このディスプレイを、書籍が陳列された書棚に配列すれば、周囲の書籍と区別がつきにくく、書棚に陳列された書籍に接するのに近い感覚が得られることも、当然予想される効果に過ぎない

以上のとおりであるから、相違点にかかる発明の構成は、引用例1発明および引用例2に示唆された事項、引用例3記載事項から当業者が容易に想到することができたものである。
そして、本願発明の効果も引用例1発明及び引用例2に示唆された事項、引用例3の記載事項から当業者が推測できる範囲のものである。

6.むすび
本願発明は引用例1発明および引用例2に示唆された事項、引用例3の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-12-11 
結審通知日 2013-12-17 
審決日 2014-01-07 
出願番号 特願2011-72157(P2011-72157)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮地 匡人  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 石川 正二
須田 勝巳
発明の名称 書店における書籍の書籍販売システム  
代理人 朴 志恩  
代理人 鳥野 正司  
代理人 瀧野 文雄  
代理人 津田 俊明  
代理人 川崎 隆夫  
代理人 瀧野 秀雄  

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