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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する C01B
審判 訂正 2項進歩性 訂正する C01B
審判 訂正 1項3号刊行物記載 訂正する C01B
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C01B
管理番号 1297408
審判番号 訂正2014-390163  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2014-10-31 
確定日 2015-01-16 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5512904号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5512904号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯

特許第5512904号(以下、「本件特許」という。)は、平成24年 2月28日(パリ条約による優先権主張:平成23年 3月10日、ドイツ)を国際出願日とする特願2013-555845号の請求項1?5に係る発明について、平成26年 4月 4日に特許権の設定登録がされたものであり、平成26年10月31日に本件訂正審判が請求されたものであり、同年12月12日付けで審判請求書の請求の趣旨及び理由について手続補正がされている。

2.請求の要旨

本件訂正審判は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲の記載のとおりに、請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであって、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項1,2に示すとおり(下線部が訂正箇所)である。
なお、訂正特許請求の範囲において、訂正事項を有する請求項1と、同請求項を引用する請求項2,4,5が上記一群の請求項を構成する。

訂正事項1
請求項1の記載を、
「NおよびSから選択される原子を含み、これらの原子上に遊離電子対を有する有機化合物Dで処理することにより、ネオペンタシランのアルミニウム含有量を低下させる方法。」に訂正する。

訂正事項2
請求項3を削除する。

3.訂正要件の判断

訂正事項1について
この訂正は、訂正前の請求項1に記載された「N、OおよびSから選択される原子を含み、これらの原子上に遊離電子対を有する有機化合物D」から、「O原子を含み、この原子上に遊離電子対を有する有機化合物D」を除外するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

訂正事項2について
この訂正は、請求項の削除により「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

独立特許要件について
上述したように、訂正事項1,2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするから、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明、すなわち、以下に示す請求項1,2,4,5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。

【請求項1】
NおよびSから選択される原子を含み、これらの原子上に遊離電子対を有する有機化合物Dで処理することにより、ネオペンタシランのアルミニウム含有量を低下させる方法。
【請求項2】
遊離電子対を含む窒素原子を有する化合物Dが、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、アミド、ニトリル、イミン、アルジミン、非芳香族系アザ環および芳香族系アザ環から選択されるモノマー窒素化合物またはポリマー窒素化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
遊離電子対を含む硫黄原子を有する化合物Dが、チオエーテル、チオレート、チオール、チオカルボニル、チオシアネート、チオカルボキシレート、非芳香族チア環および芳香族チア環から選択されるモノマー硫黄化合物またはポリマー硫黄化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
最低-65℃で、最高90℃で行われる、請求項1または2または4に記載の方法。

(1)新規性進歩性について
本件特許の登録後の平成26年 4月18日に提出された刊行物等提出書には、以下の引用文献1,2が添付されている。そこで、訂正後の請求項1,2,4,5に係る発明が、引用文献1又は引用文献2に記載された発明であるか、又は、これらの発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるかについて検討する。
※審決注:以下、ドイツ語のaウムラウト、oウムラウト、uウムラウト、エスツェットはそれぞれae、oe、ue,ssで代用している。

引用文献1"ZUR KENNTNIS DES NEOPENTASILANS" F.Hoefler und R Jannach
Inorganic and Nuclear Chemistry Letters
Volume 9,No. 7,July 1973,Pages 723-725
引用文献2"Neuere Aspekte zur basenkatalysierten,,Polykondensation''von Silanen und zur praeparativen Chemie der Silane und Silyl-Anionen"
Robert Freund
Inaugural-Dissertation der Universitaet zu Koeln,1973

(2)引用文献1,2の記載

引用文献1(723頁15行?724頁1行)
「Als Ausgangssubstanz zu einer gezielten Darstellung bot sich Dodekachlorpentasilan Si_(5)Cl_(12) an,dessen neo-Struktur durch Raman-(4) und IR-Spektren(4,5) gesichert war.Im Gegensatz zu negativen Versuchen frueherer Autoren(6,7) gelang uns die Hydrierung von neo-Si_(5)Cl_(12) mit LiAlH_(4 )bei -100°in Aether.Allerdings beobachteten auch wir in betraechtlichem Ausmass Zerfallsreaktionen zu SiH_(4) und gelbbraun gefaerbten Polymeren.Nach Abziehen von SiH_(4) und Aether liess sich aus dem Rueckstand mit Pentan ein 1:2 Gemisch von i-Tetrasilan[ν_(s) SiSi_(3) im Raman-Spektrum bei 351cm^(-1)(8)] und Neopentasilan extrahieren,das durch franktionierende Kondensation weiter aufgetrennt wurde.」
(訳)
「目的物の抽出のための出発物質として、ラマン(4)と赤外線吸収(4,5)スペクトルによってネオ構造を確認したドデカクロロペンタシランSi_(5)Cl_(12)が提供された。以前の著者ら(6,7)の失敗実験とは対照的に、我々は、-100℃のエーテル中でLiAlH_(4)を用いてネオSi_(5)Cl_(12)の水素化に成功した。しかし、SiH_(4)と黄褐色のポリマーへの大幅な分解反応が観察された。ペンタンを含む残留物からSiH_(4)及びエーテルを除去した後、iテトラシラン[351cm^(-1)のラマンスペクトルにおいてν_(S) SiSi_(3)(8)]とネオペンタシランの混合物を分別凝縮によって抽出した。」

引用文献2(144頁21行?145頁24行)
「Versuchsaufbau:
Die gleiche bereits bei der Bromierung beschriebene Apparatur wurde weiter verwendet.

Versuchsablauf:
Vor Beginn der Hydrierung wurde eine der Bromsilanmenge(=Phenylsilanmenge)aequimolare Menge Diisobutylaluminiumhydrid abgewogen und mit der gleichen molaren Menge Diaethylaether versetzt.Unter schwacher Erwaermung wurde ein offenbar sehr fester Komplex der Aluminiumverbindung mit dem Aether gebildet:Der Dampfdruck des sonst bei 35℃ siedenden Aethers wird dabei so erniedrigt,dass dieser such bei schwachem Erhitzen im Hochvakuum nicht mehr durch Kondensation abtrennbar ist.
Die so entstandene,wieder abgekuehlte Loesung wurde mit einer Spritze zu dem noch von der Bromierung her in Kolben A vorliegenden Bromsilan gegeben.Ohne aeussere Erkennungszeichen fand die Hydrierung sofort statt.
Kolben A wurde dann auf-196℃ gekuehlt bevor Hochvakuum gezogen und Hahn H1 verschlossen wurde,um die Moeglichkeit von Undichtigkeiten zu verringern.
Nach dem Auftauen von Kolben A wurde durch vorsichtiges Kuehlen des Kolbens B auf-196℃ das entstandene Silan zusammen mit dem von der Bromierung zurueckgebliebenen Benzol abgetrennt.Die so gewonnenen Silane erwiesen sich als sehr sauber und konnten fuer Kernresonazaufnahmen direkt verwendet werden.Fuer alle anderen Untersuchungen wurde das Benzol gaschromatographisch abgetrennt.

Auf die beschriebene Weise wurden Brom-neo-Pentasilan und Brom-neo-Hexasilan zu neo-Pentasilen bzw,neo-Hexasilan hydriert.Die Identifizierung der beiden Silan erfolgt in Abschnitt 6.2.2.」
(訳)
「実験装置
臭素化で説明した装置を再度用いた。

実験手順
水素化の開始に先立ち、臭素化シランの量(=フェニルシランの量)と当モル量のジイソブチルアルミニウムヒドリドを秤量し、同じモル量のジエチルエーテルと混合した。わずかに加熱すると、外見は非常に強固なアルミニウム化合物の複合体がエーテルにより形成された。通常の沸点が35℃のエーテルの蒸気圧を下げ、高真空において加熱された場合でも、エーテルが凝縮によって除去されないようにする。
この方法で作製した再冷却した溶液をシリンジを用いて、フラスコAに依然として残っている臭素化シランに加えた。水素化は、外見上の兆候なしにすぐに起こった。
その後、フラスコAは、高真空吸引前に-196℃まで冷却され、弁H1を密閉して漏れの可能性を減らした。
フラスコAを解凍した後、フラスコBを-196℃まで注意深く冷却することによって、臭素化から残っているベンゼンと共に残っているシランを取り出した。この方法で得たシランは非常に純粋であることが判明しており、直ちに磁気共鳴画像法に使用できた。その他全ての実験では、ベンゼンがガスクロマトグラフィーによって分離された。

臭素化ネオペンタシラン及び臭素化ネオヘキサシランを、記載する方法でネオペンタシラン及び/又はネオヘキサシランに水素化した。この2種のシランは、6.2.2項において同定する。」

(3)発明の認定及び対比・判断
上記記載によれば、引用文献1には、
「エーテル中でLiAlH_(4)を用いてネオSi_(5)Cl_(12)を水素化し、エーテルを除去して、ネオペンタシランを抽出する方法。」
また、引用文献2には、
「ジイソブチルアルミニウムヒドリドとジエチルエーテルを混合して得られるアルミニウム化合物の複合体を含む溶液を、臭素化ネオペンタシランに加えることで水素化し、得られたネオペンタシランを取り出す方法。」
の発明がそれぞれ記載されていると認められる。
しかしながら、いずれの文献にも、訂正後の請求項1に記載された「NおよびSから選択される原子を含み、これらの原子上に遊離電子対を有する有機化合物Dで処理することにより、ネオペンタシランのアルミニウム含有量を低下させる方法」について記載や示唆はない。

(4)まとめ
引用文献1,2の記載を検討したが、訂正後の請求項1に係る発明は、引用文献1又は引用文献2に記載された発明ではないし、これらの発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。訂正後の請求項1に係る発明に従属する請求項2,4,5に係る発明についても同様である。
また、訂正後の請求項1,2,4,5に係る発明について、他に、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができる。

4.むすび

以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ネオペンタシランのアルミニウム含有量を低下させる方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物で処理することにより、ネオペンタシランのアルミニウム含有量を低下させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネオペンタシラン(NPS、テトラキス(トリヒドリドシリル)シラン)は、化学蒸着(CVD)によりシリコン含有被膜を堆積させるための前駆物質として使用することができる。NPSの利点は、CVD操作におけるSiまたはSiCの堆積速度が速く、他のシランと比較して堆積温度が比較的低いことである(J.C.Sturm、K.H.Chung、ECS Transactons 2008、16、799-805)。
【0003】
工業的規模でNPSを製造するための好適な合成方法は、WO2008051328、WO2010043551およびWO2010149547に記載されている。
【0004】
WO2008051328には、ヘキサクロロジシラン(HCDS)と、触媒として第三級アミンとを反応させ、ドデカクロロネオペンタシラン(CNPS)が得られることが記載されている。このネオペンタシランへの経路は、WO2010043551では、触媒としてエーテル化合物、より詳しくは、テトラヒドロフラン(THF)を使用して改良されている。WO2008051328に記載されている製造方法の第二工程では、得られたドデカクロロネオペンタシランをジイソブチルアルミニウム水素化物(DIBAH)でNPSに還元している。しかし、この方法には、得られたNPSが、蒸留または凝縮による精製にも関わらず、はっきり識別できる比率のオルガノアルミニウム不純物(特にジイソブチルアルミニウムクロライド(DIBAC))をなお含むという欠点がある。しかし、アルミニウムは、ドーパント元素として、シリコンの半導体特性に影響を及ぼすので、シリコン含有被膜の多くの用途には、アルミニウムの含有量を最小に低下させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/051328号
【特許文献2】国際公開第2010/043551号
【特許文献3】国際公開第2010/149547号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J.C.Sturm、K.H.Chung、ECS Transactons 2008、16、799-805
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、N、OおよびSから選択される原子を含み、これらの原子上に遊離電子対を有する有機化合物Dで処理することにより、ネオペンタシランのアルミニウム含有量を低下させる方法を提供する。
【0008】
驚くべきことに、少量の有機化合物Dを加えることにより、NPSのAl含有量が、他の物質群の使用によっては不可能な程度にまで下がることが見出された。例えば、製造中に生じ、典型的には約3000ppmのオーダーの残留アルミニウム含有量を、<100ppmのAlの含有量まで低下させることができる。こうして精製されたNPSは、その低いAl含有量のために、特に半導体技術または光起電力におけるシリコン含有被膜の製造に使用できる。
【0009】
本方法のさらなる利点は、極めて化学的に敏感で、反応性の高い物質であるNPSが、使用される化合物Dに対しては安定であることである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
有機化合物Dは、選択されたN、OまたはS原子上の遊離電子対を経由してアルミニウム化合物とアラン供与体付加物を形成する。好ましくは、有機化合物Dによる処理は、それ自体公知のNPS製造後に行う。有機化合物Dおよびアルミニウム化合物で形成する付加物は、NPSから容易に除去することができる。
【0011】
不揮発性付加物を形成する化合物Dを使用するのが好ましい。続く凝縮工程で、NPSは、形成された付加物から除去される。
【0012】
有機化合物Dは、モノマーまたはポリマーでよい。有機化合物Dは、N、OおよびSから選択される遊離電子対を有する1個以上の原子を含むことができる。化合物Dは、N、OおよびSから選択される遊離電子対を含む同一または異なる原子を含むことができる。
【0013】
遊離電子対を含む窒素原子を有する化合物Dは、モノマー窒素化合物またはポリマー窒素化合物、例えばアンモニア、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、アミド、ニトリル、イミン、アルジミン、非芳香族系アザ環または芳香族系アザ環でよい。
【0014】
一般式Iのアミン
NR^(1)R^(2)R^(3) (I)
が好ましく、式中、
R^(1)、R^(2)、R^(3)は、それぞれ水素またはC_(1)-C_(20)-ヒドロカルビル基であり、ここで、1個以上の隣接していないメチレン単位は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、または-OCOO-、-S-、または-NR^(x)-基で置き換えられていてよく、1個以上の隣接していないメチン単位は、-N=、-N=N-または-P=基により置き換えられていてよく、2または3個のR^(1)、R^(2)、R^(3)基は互いに結合されていてよく、
R^(x)は、水素またはC_(1)-C_(10)-ヒドロカルビル基であるが、
ただし、R^(1)、R^(2)、R^(3)基の最大2個は水素でよい。
【0015】
C_(1)-C_(20)-ヒドロカルビル基R^(1)、R^(2)、R^(3)は、脂肪族の飽和または不飽和、芳香族、直鎖状または分岐鎖状でよい。R^(1)、R^(2)、R^(3)は、好ましくは1から12個の原子、より好ましくは3から10個の原子、特に炭素原子だけを有する。
【0016】
一般式IにおけるR^(1)、R^(2)、R^(3)基の2個が互いに結合している場合、その化合物は非芳香族アザ環である。好ましくは、互いに結合して一緒になっている基は、二価のC_(4)-C_(11)-ヒドロカルビル基、特に4、5、6、7または9個の炭素原子を有する基を形成する。ピロリジン、ピペリジンおよびヘキサメチレンイミンが特に好ましい。
【0017】
同様に、遊離電子対を含む窒素原子を有することができる、好ましい化合物Dは、C、SおよびOから選択される好ましくは4から10個の環原子を有する芳香族アザ環である。好ましくは、すべての環原子が炭素原子である。ピリジン、ピロール、アザトロピリデン、キノリン、イソキノリンおよびインドールが特に好ましい。
【0018】
遊離電子対を含む酸素原子を有する化合物Dは、モノマー酸素化合物またはポリマー酸素化合物、例えばエーテル、アルコキシド、カルボニル、カルボキシレート、非芳香族オキサ環または芳香族オキサ環でよい。
【0019】
一般式IIのエーテル
OR^(4)R^(5) (II)
が好ましく、式中、
R^(4)、R^(5)は、それぞれC_(1)-C_(20)-ヒドロカルビル基であり、ここで、1個以上の隣接していないメチレン単位は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、または-OCOO-、-S-、または-NR^(y)-基で置き換えられていてよく、1個以上の隣接していないメチン単位は、-N=、-N=N-または-P=基により置き換えられていてよく、R^(4)、R^(5)基は互いに結合されていてよく、
R^(y)は、水素またはC_(1)-C_(10)-ヒドロカルビル基である。
【0020】
C_(1)-C_(20)-ヒドロカルビル基R^(4)、R^(5)は、脂肪族の飽和または不飽和、芳香族、直鎖状または分岐鎖状でよい。R^(4)、R^(5)は、好ましくは1から12個の原子、より好ましくは3から10個の原子、特に炭素原子だけを有する。
【0021】
一般式IIにおけるR^(4)、R^(5)基が互いに結合している場合、その化合物はオキサ環である。互いに結合して一緒になっている基は、好ましくは二価のC_(4)-C_(11)-ヒドロカルビル基、特に4、5、7または9個の炭素原子を有する基である。好ましくは、すべての環原子が炭素原子である。フラン、テトラヒドロフラン、ピラン、テトラヒドロピラン、ヘキサメチレンオキシド、オキサシクロヘプタトリエンおよびベンゾフランが特に好ましい。
【0022】
遊離電子対を含む硫黄原子を有する化合物Dは、モノマー硫黄化合物またはポリマー硫黄化合物、例えばチオエーテル、チオレート、チオール、チオカルボニル、チオシアネート、チオカルボキシレート、非芳香族チア環または芳香族チア環でよい。
【0023】
一般式III
SR^(6)R^(7) (III)
が好ましく、式中、
R^(6)、R^(7)は、それぞれC_(1)-C_(20)-ヒドロカルビル基であり、ここで、1個以上の隣接していないメチレン単位は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、または-OCOO-、-S-、または-NR^(z)-基で置き換えられていてよく、1個以上の隣接していないメチン単位は、-N=、-N=N-または-P=基により置き換えられていてよく、R^(6)、R^(7)基は互いに結合されていてよく、
R^(z)は、水素またはC_(1)-C_(10)-ヒドロカルビル基である。
【0024】
C_(1)-C_(20)-ヒドロカルビル基R^(6)、R^(7)は、脂肪族の飽和または不飽和、芳香族、直鎖状または分岐鎖状でよい。R^(6)、R^(7)は、好ましくは1から12個の原子、より好ましくは3から10個の原子、特に炭素原子だけを有する。
【0025】
一般式IIIにおけるR^(6)、R^(7)基が互いに結合している場合、その化合物はチア環である。互いに結合している基は、好ましくは二価のC_(4)-C_(11)-ヒドロカルビル基、特に4、5、7または9個の炭素原子を有する基を一緒になって形成する。好ましくは、すべての環原子が炭素原子である。チオラン、チオフェン、チアン、ヘキサメチレンスルフィド、チオトロピリデンおよびベンゾチオフェンが特に好ましい。
【0026】
2個以上の同一または異なる、N、OおよびSから選択される遊離電子対を含む原子を有する化合物も同様に好ましい。これらの化合物は、脂肪族の飽和または不飽和、環式または非環式、芳香族、直鎖状または分岐鎖状でよい。非環式化合物の例は、テトラメチルエチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジメトキシエタン、2-メトキシエチルアミンおよびメルカプトエタノールである。
【0027】
複素環式化合物は、好ましくは5から30個の環原子を含み、単環式、二環式または多環式でよい。複素環式化合物の例は、ピペラジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピリミジン、モルホリン、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンズオキサゾール、トリアゾール[18]クラウン-6、ジアザ-[18]クラウン-6および[2.2.2]クリプタンドである。
【0028】
ポリマー有機化合物Dは、ポリマー鎖中にN、OおよびSから選択される遊離電子対を含む原子を有する、例えばポリ(エチレンオキシド)、またはN、OおよびSから選択される遊離電子対を含む原子を有する側基を有する(例えばポリ(4-ビニルピリジン))ことができる。
【0029】
有機化合物Dは、無機マトリックスに物理的または化学的に結合することもできる。例えば、化合物Dは、アミノアルキル基としてポリシロキサンまたはシリカ表面に結合することができる。
【0030】
本方法は、好ましくは最低-65℃、より好ましくは最低-10℃、特に最低0℃、および最高90℃、より好ましくは最高60℃、特に最高40℃の温度で行う。
【0031】
化合物Dとアルミニウム化合物の付加物は、典型的にはNPSよりも揮発性が低い。
【0032】
好ましい実施態様では、NPSよりも揮発性の高い化合物Dを使用する。この場合、NPS中に存在するアルミニウム化合物に対して化学量論的比率に非常に近い化合物Dを使用するのが好ましい。化合物Dは、好ましくは0.1MPaで、NPSより少なくとも10℃低い、特に少なくとも20℃低い温度で沸騰する。この実施態様では、蒸留により先ず化合物Dを、次いでNPSを化合物Dとアルミニウム化合物の付加物から除去することができる。
【0033】
さらに好ましい実施態様では、NPSよりも揮発性の低い化合物Dを使用する。化合物Dは、好ましくは0.1MPaで、NPSより少なくとも10℃高い、特に少なくとも20℃高い温度で沸騰する。この実施態様では、NPSは、先ず蒸留により化合物Dおよび化合物Dとアルミニウム化合物の付加物から除去することができる。
【0034】
さらに好ましい実施態様では、NPSに不溶な化合物Dを使用する。この場合、化合物Dは、好ましくは固体であり、反応後、形成された付加物とともに物理的に除去することができる。例えば、除去は、ろ過または遠心分離により達成される、またはNPSを、液体移動相として、化合物Dを含む固定相を通過させる。NPSは、移動相として気体状形態で、化合物Dを含む固定相を通過させることもできる。
【0035】
ネオペンタシランは、化合物Dと、純粋な形態で、または混合物の構成成分として反応させることができる。例えばNPSは、非プロトン性溶媒と混合してプロセス中に存在することができる。そのような溶媒の例は、塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロエチレン、炭化水素、例えばペンタン、n-ヘキサン、ヘキサン異性体混合物、ヘプタン、オクタン、揮発油、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、シロキサン、特に好ましくは0から6個のジメチルシロキサン単位を有するトリメチルシリル末端基を含む直鎖状ジメチルポリシロキサン、または好ましくは4から7個のジメチルシロキサン単位を有する環状ジメチルポリシロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサン、二硫化炭素およびニトロベンゼン、またはそれらの溶媒の混合物である。
【0036】
好ましくは、溶媒は、NPSよりも揮発性が低い。溶媒は、好ましくは0.1MPaで、NPSよりも少なくとも10℃高い、特に少なくとも20℃高い温度で沸騰する。
【0037】
上記の式中にあるすべての上記記号は、それぞれ互いに独立して定義される。すべての式中、ケイ素原子は四価である。
【0038】
他に指示が無い限り、下記の実施例は、乾燥アルゴン5.0の雰囲気で、周囲雰囲気の圧力で、すなわち約1013mbarで、室温で、すなわち約23℃で行った。
【0039】
実施例におけるすべての百分率数値は、他に指示が無い限り、重量に基づく。
【0040】
合成に使用する溶媒は、標準的な方法により乾燥させ、乾燥アルゴン雰囲気下で貯蔵する。NMR分光法に使用する市販の重溶媒は、さらなる精製を行わずに、融解により開いたアンプルから測定に直接使用した。実施例では、下記の方法および材料を使用した。
【0041】
核磁気共鳴(NMR)
記載するすべての化学的シフトは、δスケールに基づき、ppmで記載する。^(1)H、^(13)C{^(1)H}および^(29)Si{^(1)H}NMRスペクトルは、Brukerから市販のAvance300計器(^(1)H、300.1MHz;^(29)Si、59.6MHz)またはAvance500計器(^(1)H、500.1MHz;^(13)C、125.8MHz;^(29)Si、99.4MHz)で、23℃で記録した。C_(6)D_(6)を溶媒として使用した。試料(約0.1ml)を、直径5mmのNMR管中でC_(6)D_(6)0.7mlに溶解させた。化学シフト(ppm)を、内部標準C_(6)HD_(5)(^(1)H、δ=7.28、C_(6)D_(6))、内部標準C_(6)D_(6)(^(13)C、δ=128.0、C_(6)D_(6))または外部標準TMS(^(29)Si、δ=0、C_(6)D_(6))にして測定した。すべての^(13)Cおよび^(29)SiNMRスペクトルは、^(1)Hブロードバンドデカップリングで記録した。記載したカップリング定数の値は大きく、そのサインは測定しなかった。多重度に関して使用する略号は、下記の通り定義される、すなわちs、一重線;d、二重線;q、四重線;ht、三重線の七重線;c、複雑。^(1)HNMRスペクトルの積分から得た、組成物の各成分の質量による比率の計算では、推定される誤差は±1%である。
【0042】
誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析
アルミニウムおよび他の指定元素の定性および定量測定は、Perkin Elmer Optima 7300 DV計器で行った。試料は、下記のように調製した。正確に規定した量のNPS組成物(約300mg)を、アルゴン雰囲気下で、規定量の1M水酸化ナトリウム溶液に撹拌しながら滴下して加え(約3g)、その際、加水分解により僅かな発熱およびガスの発生があった。滴下が終了した後、混合物は、アルゴン下で24時間撹拌し、加水分解の完了を確認した。Al含有量を測定するために、得られた水溶液を硝酸(65%)5mlおよびフッ化水素酸(40%)1mlで温浸し、基準として未処理の1M水酸化ナトリウム溶液に対して分析した。記載したAl含有量はすべて、使用したNPS組成物の量に基づいており、ppmで記載し、平均誤差は±38ppmである(P=95%)。実施例2-11および比較例1のAl含有量測定の結果を表1にまとめる。
【0043】
下記の材料を市販品から購入し、さらなる精製を行わずに直接使用した。ヘキサクロロジシラン(HCDS)、<=100%、(ワッカーケミーAG)、テトラヒドロフラン(THF)、99.9%、(シグマ-アルドリッチ)、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)、100%、(アクゾノーベルポリマーズケミカルズ)、トリブチルアミン、99%(シグマ-アルドリッチ)、トリエチルアミン、99.7%(アクロスオーガニクス)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、99.5%(シグマ-アルドリッチ)、n-オクチルアミン、98%、(フルカ)、ジイソプロピルアミン、99%(メルク)、ピペリジン、99%(シグマ-アルドリッチ)、ジ-n-ブチルエーテル、99.5%(シグマ-アルドリッチ)、ポリ(4-ビニルピリジン)(シグマ-アルドリッチ)、ポリエチレンオキシド、100%(シグマ-アルドリッチ)。
【実施例】
【0044】
[実施例1]
ドデカクロロネオペンタシラン(CNPS)の製造は、WO2010043551に基づいて行った。精密ガラス攪拌機を備えた2lの反応器、Vigreuxカラム、コンデンサー、蒸留容器(500mlフラスコ)および2lの集積フラスコからなる装置を減圧下で十分に焼成し(反応器ジャケットを100℃に加熱、他の装置部品には500℃のホットエアガン)、アルゴンで満たした。HCDS(5.58mmol)1500gを反応器中で無水THF30mlと混合し、撹拌しながら合計45時間、120℃に加熱した。形成された蒸留物を受け器に連続的に集めた(569g、b.p.56℃)。反応器中に存在する淡黄色の懸濁液をn-ヘキサン(4x50ml)で集積フラスコに移し、-114℃に冷却し、不溶の無色固体を低温条件下で濾別し、四塩化ケイ素(2x10ml)で洗浄し、減圧下(0.03mbar、50℃、14時間)で乾燥させた。減圧下(0.02mbar、100℃、90分間)で昇華によりさらに精製した後、無色固体508g(898mmol、64%)が得られた。^(29)SiNMR(99.4MHz、C_(6)D_(6))、δ=3.5(SiCl_(3))、-80.9(Si_(q))。
【0045】
[実施例2]
ネオペンタシラン(NPS)の製造をWO2008051328に基づいて行った。DIBAH(702g、4.94mol)を、アルゴン雰囲気下で撹拌しながら30℃で3時間以内に、CNPS(202g、357mmol)に滴下して加え、得られた反応混合物を23℃で24時間撹拌した。透明な無色混合物を、減圧下(0.03mbar)で撹拌しながら、90分間、40℃で加熱し、揮発性の構成成分を低温のトラップ中に-196℃で集めた。凝縮物を23℃に解凍した。残留物、ジイソブチルアルミニウムクロリド(DIBAC)846g(4.79mmol、97%)が無色液体として得られた。1H NMR(500.1MHz,C_(6)D_(6)):δ=0.59(d,^(3)J_(HH)=6.9Hz,4H,CH_(2)),1.16(d,^(3)J_(HH)=6.3Hz,12H,CH_(3)),2.14(ht,^(3)J_(HH)=6.9Hz,^(3)J_(HH)=6.3Hz,2H,CH).^(13)C-NMR(125.8MHz,C_(6)D_(6)):δ=25.3(CH_(2)),25.8(CH),27.8(CH_(3))。
【0046】
凝縮物、すなわち67%NPS、4%(H_(3)Si)_(3)Si(SiH_(2)CH_(3))(Me-NPS)、21%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、7%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))および1%DIBACを含む無色液体49.6gが得られた。成分の同定および組成物の純度は、^(1)H NMRスペクトルから決定した。^(1)H NMR(500.1MHz,C_(6)D_(6)):δ=0.26(t,^(3)J_(HH)=4.8Hz,(H_(3)Si)_(3)Si(SiH_(2)CH_(3));Me-NPS),0.58(d,^(3)J_(HH)=6.9Hz,CH_(2);DIBAC),0.82-1.97(c,C-H;C_(n)H_(2n+2)),1.15(d,^(3)J_(HH)=6.3Hz,CH_(3);DIBAC),2.13(ht ^(3)J_(HH)=6.9Hz,^(3)J_(HH)=6.3Hz,CH;DIBAC),3.27-3.81(c,Si-H;Si_(n)H_(2n+2)),3.61(s,Si(SiH_(3))_(4);NPS);4.02(q,^(3)J_(HH)=4.8Hz,(H_(3)Si)_(3)Si(SiH_(2)CH_(3));Me-NPS).^(29)Si NMR(59.6MHz,C_(6)D_(6)):δ=-88.2(Si_(q);Me-NPS),-89.0,-90.0,-90.6および-91.5(Si;Si_(n)H_(2n+2),-89.5(SiH_(3);NPS),-165.8(Si_(q);NPS)。Al含有量は3132ppm(ICP)であった。Ag、As、B、Bi、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、In、Li、Mn、Nb、Ni、P、Tl、Znの含有量は<5ppmで、Sb、Ptの含有量は<10ppmで、それぞれの元素の検出限界未満である。
【0047】
[実施例3]
実施例2から得たNPS組成物4.51gを、n-オクチルアミン71mg(0.548mmol)と撹拌しながら混合し、得られた混合物を23℃で24時間撹拌し、次いで実施例2により減圧下で凝縮により精製した。これによって、70%NPS、5%Me-NPS、21%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、3%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))およびAl含有量22ppm(ICP)を含む無色液体4.16gが得られた。
【0048】
[実施例4]
実施例2から得たNPS組成物4.11gを、ジイソプロピルアミン51mg(0.500mmol)と撹拌しながら混合し、得られた混合物を23℃で24時間撹拌し、次いで実施例2により減圧下で凝縮により精製した。これによって、67%NPS、5%Me-NPS、23%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、4%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))およびAl含有量34ppm(ICP)を含む無色液体3.73gが得られた。
【0049】
[実施例5]
実施例2から得たNPS組成物3.89gを、ピペリジン40mg(0.474mmol)と撹拌しながら混合し、得られた混合物を23℃で24時間撹拌し、次いで実施例2により、凝縮により精製した。これによって、67%NPS、6%Me-NPS、24%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、3%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))およびAl含有量<1ppm(ICP)を含む無色液体3.64gが得られた。
【0050】
[実施例6]
実施例2から得たNPS組成物4.13gを、トリエチルアミン51mg(0.503mmol)と撹拌しながら混合し、得られた混合物を23℃で24時間撹拌し、次いで実施例2により、凝縮により精製した。これによって、67%NPS、5%Me-NPS、23%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、5%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))およびAl含有量58ppm(ICP)を含む無色液体3.68gが得られた。
【0051】
[実施例7]
実施例2から得たNPS組成物4.63gを、トリ-n-ブチルアミン105mg(0.563mmol)と撹拌しながら混合し、得られた混合物を23℃で24時間撹拌し、次いで実施例2により、凝縮により精製した。これによって、72%NPS、5%Me-NPS、18%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、5%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))およびAl含有量42ppm(ICP)を含む無色液体3.96gが得られた。
【0052】
[実施例8]
実施例2から得たNPS組成物4.21gを、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン60mg(TMEDA、0.513mmol)と撹拌しながら混合し、得られた混合物を23℃で24時間撹拌し、次いで実施例2により、凝縮により精製した。これによって、73%NPS、4%Me-NPS、19%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、3%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))およびAl含有量26ppm(ICP)を含む無色液体3.85gが得られた。
【0053】
[実施例9]
ポリ(4-ビニルピリジン)55mgを、実施例2から得たNPS組成物4.52gと撹拌しながら混合し、得られた懸濁液を23℃で24時間撹拌した。液体成分を実施例2により、凝縮により精製した。これによって、67%NPS、6%Me-NPS、24%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、3%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))およびAl含有量70ppm(ICP)を含む無色液体4.08gが得られた。
【0054】
[実施例10]
実施例2から得たNPS組成物2.69gを、ジ-n-ブチルエーテル43mg(0.328mmol)と撹拌しながら混合し、得られた混合物を23℃で60時間撹拌し、次いで実施例2により、凝縮により精製した。これによって、62%NPS、5%Me-NPS、28%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、5%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))およびAl含有量<1ppm(ICP)を含む無色液体2.37gが得られた。
【0055】
[実施例11]
実施例2から得たNPS組成物2.74gを、ポリ(エチレンオキシド)(分子量 約600000g/mol)46mgと撹拌しながら混合し、得られた混合物を23℃で60時間撹拌し、次いで実施例2により、凝縮により精製した。これによって、53%NPS、5%Me-NPS、37%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、5%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))およびAl含有量<1ppm(ICP)を含む無色液体2.04gが得られた。
【0056】
[比較例1](非本発明)
実施例2から得たNPS組成物3.69gを、さらなる前処理無しに、実施例2により、さらに凝縮することにより直接精製した。これによって、67%NPS、5%Me-NPS、24%他のシラン(Si_(n)H_(2n+2))、4%炭化水素(C_(n)H_(2n+2))およびAl含有量435ppm(ICP)を含む無色液体3.45gが得られた。
【0057】
【表1】

(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NおよびSから選択される原子を含み、これらの原子上に遊離電子対を有する有機化合物Dで処理することにより、ネオペンタシランのアルミニウム含有量を低下させる方法。
【請求項2】
遊離電子対を含む窒素原子を有する化合物Dが、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、アミド、ニトリル、イミン、アルジミン、非芳香族系アザ環および芳香族系アザ環から選択されるモノマー窒素化合物またはポリマー窒素化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
遊離電子対を含む硫黄原子を有する化合物Dが、チオエーテル、チオレート、チオール、チオカルボニル、チオシアネート、チオカルボキシレート、非芳香族チア環および芳香族チア環から選択されるモノマー硫黄化合物またはポリマー硫黄化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
最低-65℃で、最高90℃で行われる、請求項1または2または4に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2015-01-08 
出願番号 特願2013-555845(P2013-555845)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (C01B)
P 1 41・ 113- Y (C01B)
P 1 41・ 856- Y (C01B)
P 1 41・ 121- Y (C01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 浅野 裕之  
特許庁審判長 真々田 忠博
特許庁審判官 河原 英雄
大橋 賢一
登録日 2014-04-04 
登録番号 特許第5512904号(P5512904)
発明の名称 ネオペンタシランのアルミニウム含有量を低下させる方法  
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所  
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所  

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