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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1299039
審判番号 不服2013-25156  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-20 
確定日 2015-03-25 
事件の表示 特願2009-553005「監視システム」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月18日国際公開、WO2008/110158、平成22年 6月24日国内公表、特表2010-521844〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、2008年(平成20年)3月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年3月15日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成24年8月7日付けで拒絶理由の通知がなされ、これに対し、平成25年2月15日付けで手続補正がなされたが、平成25年8月26日付けで拒絶査定がなされた。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成25年12月20日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、平成25年12月20日付けで手続補正(明細書、特許請求の範囲又は図面について請求と同時にする補正)がなされた。

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
請求項1?19に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2000-324474号公報
引用文献2:特開2001-285844号公報
引用文献3:特開2004-64639号公報

第2 補正却下の決定
平成25年12月20日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成25年12月20日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成25年12月20日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正である。

補正前の請求項1?19
「 【請求項1】
光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段と、
光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段と、
前記画像記録手段から前記再生手段に画像情報を送信するための送信手段と、
を有する監視システムであって、
前記送信手段が、歪んだ画像の細部と、前記画像細部の歪みを補正できるようにする追加情報と、を一緒に送信し、
前記再生手段が、公知の歪補正関数および前記追加情報を用いて、画像細部の歪みを補正する、
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記画像記録手段が、アドレス可能画像センサ、好ましくは、列ごとおよび/または行ごとにアドレスできる画像記録センサ、特にCMOSセンサを有することを特徴とする、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記画像記録手段が、光学的に歪んだ画像のデジタル記録のために設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記画像記録手段が、特に90°を超える視角を備えた少なくとも1つの広角対物レンズ、特に魚眼対物レンズを装備していることを特徴とする、請求項1?3のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記画像記録手段が、特に、≧1Hz、好ましくは≧5Hz、特に好ましくは≧10Hzの画像繰り返し周波数で、移動画像を繰り返し記録するように設計されることを特徴とする、請求項1?4のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記画像記録手段が、高解像度画像のデジタル記録用に、好ましくは少なくとも1メガピクセル、2メガピクセル、特に好ましくは少なくとも3メガピクセルを備えていることを特徴とする、請求項1?5のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記送信手段が、制限された帯域幅のチャネル、特にLAN、WLANを介して、または無線によって、例えばブルートゥース、UMTS、GSMを介して画像情報を送信するように設計されることを特徴とする、請求項1?6のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記送信手段が、前記画像記録手段からの圧縮画像情報の送信用に設計されることを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項9】
前記再生手段に、モニタ、特に、制御センタ、好ましくは、2つ以上の画像記録手段からの画像を監視するための制御センタにおけるコンピュータモニタが設けられることを特徴とする、請求項1?8のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項10】
前記送信された画像情報および画像細部の歪みを補正できるようにする前記追加情報の記憶および/もしくは保護のための、または歪みが補正された画像の記憶のための記憶手段が、前記送信手段と前記再生手段との間に設けられることを特徴とする、請求項1?9のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項11】
特に、前記画像記録手段への制御情報の送信のために、特に、前記再生手段において定義されたPTZパラメータおよび/または画像細部の定義のために、双方向通信が、前記送信手段を介して提供されることを特徴とする、請求項1?10のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項12】
画像細部を示す特有の変数が、前記送信手段を介して、前記再生手段、例えば制御センタから、前記画像記録手段に送信されることを特徴とする、請求項1?11のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項13】
前記送信手段が、歪んだ画像、特に圧縮画像データストリーム間における差の圧縮送信のために設計され、これらの差が、連続的に取得された画像間の減算によって得られることを特徴とする、請求項1?12のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項14】
前記送信手段が、同一の画像記録手段からの複数の画像細部の同時送信用に設計されることを特徴とする、請求項1?13のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項15】
前記送信手段が、前記全体画像における前記画像細部の位置を特徴づける変数を一緒に送信するために設計されることを特徴とする、請求項1?14のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項16】
前記送信手段が、CMOSセンサの読み出すべき列および行が定義された画像細部および/またはセンサ中心に対して極座標を示すパラメータ(r、φ)が定義された画像細部の送信用に設計されることを特徴とする、請求項1?15のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項17】
請求項1?16のいずれか一項に記載の監視システムの一部としての画像再生手段。
【請求項18】
請求項1?17のいずれか一項に記載の監視システム用のドライバ。
【請求項19】
光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段と、
光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段へ、前記画像記録手段から画像情報を送信するための送信手段と、
を有する監視システムであって、
前記送信手段が、歪んだ画像の細部と、前記画像細部の歪みを補正できるようにする追加情報と、を一緒に送信して、これによって知らされた歪補正関数および前記追加情報を用いて、前記再生手段における歪み補正を可能にするために設計される、
ことを特徴とする監視システム。」

を、次のとおり補正後の請求項1?19に補正するものである。

「 【請求項1】
光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段と、
光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段と、
前記画像記録手段から前記再生手段に画像情報を送信するための送信手段と、
を有する監視システムであって、
前記送信手段が、歪んだ画像細部のみと、前記画像細部の歪みを補正できるようにする追加情報と、を一緒に送信し、
前記再生手段が、公知の歪補正関数および前記追加情報を用いて、画像細部の歪みを補正する、
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記画像記録手段が、アドレス可能画像センサ、好ましくは、列ごとおよび/または行ごとにアドレスできる画像記録センサ、特にCMOSセンサを有することを特徴とする、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記画像記録手段が、光学的に歪んだ画像のデジタル記録のために設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記画像記録手段が、特に90°を超える視角を備えた少なくとも1つの広角対物レンズ、特に魚眼対物レンズを装備していることを特徴とする、請求項1?3のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記画像記録手段が、特に、≧1Hz、好ましくは≧5Hz、特に好ましくは≧10Hzの画像繰り返し周波数で、移動画像を繰り返し記録するように設計されることを特徴とする、請求項1?4のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記画像記録手段が、高解像度画像のデジタル記録用に、好ましくは少なくとも1メガピクセル、2メガピクセル、特に好ましくは少なくとも3メガピクセルを備えていることを特徴とする、請求項1?5のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記送信手段が、制限された帯域幅のチャネル、特にLAN、WLANを介して、または無線によって、例えばブルートゥース、UMTS、GSMを介して画像情報を送信するように設計されることを特徴とする、請求項1?6のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記送信手段が、前記画像記録手段からの圧縮画像情報の送信用に設計されることを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項9】
前記再生手段に、モニタ、特に、制御センタ、好ましくは、2つ以上の画像記録手段からの画像を監視するための制御センタにおけるコンピュータモニタが設けられることを特徴とする、請求項1?8のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項10】
前記送信された画像情報および画像細部の歪みを補正できるようにする前記追加情報の記憶および/もしくは保護のための、または歪みが補正された画像の記憶のための記憶手段が、前記送信手段と前記再生手段との間に設けられることを特徴とする、請求項1?9のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項11】
特に、前記画像記録手段への制御情報の送信のために、特に、前記再生手段において定義されたPTZパラメータおよび/または画像細部の定義のために、双方向通信が、前記送信手段を介して提供されることを特徴とする、請求項1?10のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項12】
画像細部を示す特有の変数が、前記送信手段を介して、前記再生手段、例えば制御センタから、前記画像記録手段に送信されることを特徴とする、請求項1?11のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項13】
前記送信手段が、歪んだ画像、特に圧縮画像データストリーム間における差の圧縮送信のために設計され、これらの差が、連続的に取得された画像間の減算によって得られることを特徴とする、請求項1?12のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項14】
前記送信手段が、同一の画像記録手段からの複数の画像細部の同時送信用に設計されることを特徴とする、請求項1?13のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項15】
前記送信手段が、前記全体画像における前記画像細部の位置を特徴づける変数を一緒に送信するために設計されることを特徴とする、請求項1?14のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項16】
前記送信手段が、CMOSセンサの読み出すべき列および行が定義された画像細部および/またはセンサ中心に対して極座標を示すパラメータ(r、φ)が定義された画像細部の送信用に設計されることを特徴とする、請求項1?15のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項17】
請求項1?16のいずれか一項に記載の監視システムの一部としての画像再生手段。
【請求項18】
請求項1?17のいずれか一項に記載の監視システム用のドライバ。
【請求項19】
光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段と、
光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段へ、前記画像記録手段から画像情報を送信するための送信手段と、
を有する監視システムであって、
前記送信手段が、歪んだ画像細部のみと、前記画像細部の歪みを補正できるようにする追加情報と、を一緒に送信して、これによって知らされた歪補正関数および前記追加情報を用いて、前記再生手段における歪み補正を可能にするために設計される、
ことを特徴とする監視システム。」

2 補正の適合性
(1)補正の目的
本件補正は、請求項1、請求項19における「歪んだ画像の細部」を「歪んだ画像細部のみ」とするものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。

(2)独立特許要件
上記のとおり本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを、以下に検討する。

(3)補正後発明
補正後の請求項1?19に係る発明のうち請求項6に係る発明は、補正後の特許請求の範囲の請求項1?5のいずれか一項に記載の監視システムであって、そのうち請求項1に記載の監視システムは、以下のとおりのものである(この発明を以下「補正後発明」という。)。

「光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段と、
光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段と、
前記画像記録手段から前記再生手段に画像情報を送信するための送信手段と、
を有する監視システムであって、
前記送信手段が、歪んだ画像細部のみと、前記画像細部の歪みを補正できるようにする追加情報と、を一緒に送信し、
前記再生手段が、公知の歪補正関数および前記追加情報を用いて、画像細部の歪みを補正し、
前記画像記録手段が、高解像度画像のデジタル記録用に、好ましくは少なくとも1メガピクセル、2メガピクセル、特に好ましくは少なくとも3メガピクセルを備えている、
ことを特徴とする監視システム。」

(4)刊行物1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-324474号公報(上記引用文献1、以下「刊行物1」という。)には、「カメラ画像伝送方法及びカメラ画像伝送システム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

「 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ装置により画像を撮影し、撮影した画像を所定のデータ通信回線により伝送するカメラ画像伝送方法及びカメラ画像伝送システムに関し、特に、魚眼レンズ等を用いたカメラ装置により入力される高解像度で画像歪みを有するカメラ画像を、PHS(Personal Hand-Phone System)等の低速なデータ通信回線を用いて伝送し、画像受信側装置に接続される画像表示装置等に、画像歪みが補正された視野空間パノラマ画像を表示するカメラ画像伝送システムに適用して有効な技術に関するものである。」

「 【0002】
【従来の技術】
CCTV(Closed Circuit Te1evision)システムの分野においては、カメラ装置の監視可能範囲を向上するためカメラ装置にカメラ視点を変更する電動式雲台等の装置を具備したカメラ装置が開発されている。また、近年、魚眼レンズを用いることにより上下左右180°以上の視野空間画像(以下、魚眼レンズカメラ画像という)を同時に撮影可能としたカメラ装置が提案されている。魚眼レンズを用いる場合は、カメラ視点を変更するための装置を具備しなくても広範囲の可視領域を得ることができる。」

「 【0024】
図2は、本発明による一実施形態のカメラ画像伝送システムの概略構成を示すブロック構成図である。
本実施形態のカメラ画像伝送システムは、図2に示すように、魚眼レンズを有するカメラ画像送信側端末装置1と、1個のカメラ画像送信側端末装置1と無線データ通信回線3を介して通信する画像受信側装置2とで構成されている。
【0025】
前記カメラ画像送信側装置1は、上下左右180°以上の視野角を有する魚眼レンズ11と、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮影素子により魚眼レンズより入力される画像を電気信号に変換するイメージセンサ12と、イメージセンサ12によって電気信号に変換された画像のデジタル量子化等を行うDSP(Digital Signal Processor)13と、このDSP13によりデジタル化された画像データを記憶する画像データ記憶手段14と、画像データをJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)により符号化する画像符号化手段15と、魚眼レンズカメラ画像を複数の部分領域に分割し、各部分領域画像毎に前記画像符号化手段15により符号化するとともに領域位置範囲情報を付加した画像データフレーム30を構成する画像分割制御手段16と、画像データフレーム30を無線データ通信回線3により送信する無線データ送信手段10と、画像データフレームの送信制御を行う画像送信制御手段17から構成される。
【0026】
前記画像受信側装置2には、受信した画像を表示する画像表示装置5と、カメラ画像送信側端末装置の制御を行うための制御パネル6が接続されている。
画像受信側装置2は、カメラ画像送信側端末装置1から無線データ通信回線3を介して送信される画像データフレーム30等を受信する無線データ受信手段20と、受信された画像データフレームに含まれる符号化データに対する復号化処理を行う画像復号化手段21と、前記画像データフレームに含まれる領域位置範囲情報を用いて、前記画像データフレームに含まれる部分領域画像の各画素の位置情報を求め、前記各画素の位置情報を魚眼レンズの特性に対応する位置依存型歪み補正関数に代入することで、前記部分領域画像の有する魚眼レンズの特性に依存した画像歪みを補正する画像歪み補正手段22と、領域位置範囲情報で規定される位置に歪みが補正された前記部分領域画像をはめ込むことで、歪み補正されたカメラ画像を再構築する画像再構築手段23と、画像データを記憶する受信画像データ記憶手段24と、画像を画像表示装置や所定の通信ネットワーク等に出力するための出力インタフェース25と、さらに、制御パネルや所定の通信ネットワーク等からの制御情報35を入力するための制御情報の入力インタフェース26と、制御情報35をカメラ画像送信側端末装置1に送信するための制御情報送信手段27から構成される。」

「 【0028】
本実施形態のカメラ画像伝送システムは、図2に示したように、比較的処理量の大きい画像歪み補正処理をカメラ画像送信側端末装置1で行わず、処理能力の高い画像受信側装置2に画像歪み補正手段22を有する構成としている。これにより、画像歪み補正処理に要する処理時間の短縮が図れる。
【0029】
また、魚眼レンズ11によるカメラ画像等では、画像歪み補正処理を施した後の視野空間パノラマ画像の方が、画像歪み補正処理を施さない魚眼レンズ11によるカメラ画像に比較してデータ量が増加するため、画像受信側装置2で画像歪み補正処理を行う構成にすることにより、カメラ画像送信側端末装置1で画像歪み補正処理を行う場合に比較して、データ通信回線3を効率的に利用できる。
【0030】
なお、画像歪み補正手段22による画像歪み補正処理は、画像データフレームに付加される領域位置範囲情報を用いて、部分領域画像内の各画素の位置情報、すなわち、各画素の画像全体における座標位置、及び各画素の魚眼レンズ11より入力される円形画像の中心点からの距離を算出し、これらの数値を文献「Shishir Shah,J.K.Aggarwel,″Intrinsic Parameter Calibration Procedure for A(High-Distortion)Fish-Eye Lens Camera With Distortion Model and Accuracy Estimation,″Pattern Recognition,29,pp.1775?1788」等に記載の魚眼レンズの位置依存型歪み補正関数に入力していくことにより実現する。」

「 【0034】
前記図3に示す分割形式は、魚眼レンズカメラより撮影されるカメラ画像31の分割形式の一例であり、この図3の例では、カメラ画像31を34個の部分領域画像32に分割しており、カメラ画像31の中央上部に位置する斜線で示した1個の部分領域画像32に対応する領域位置範囲情報33は(3,1)である。」

「 【0036】
図4は、前記画像分割制御手段16により生成される画像データフレーム30の一構成例を示す図である。
図4に示すように、画像データフレーム30は、画像符号化手段15により符号化された部分領域画像符号化データ41に、その部分領域画像に対応する領域位置範囲情報33を付加した構成となる。
【0037】
図5は、カメラ画像送信側端末装置1に具備される画像送信制御手段17による部分領域画像32の送信順序の一例を示す図である。
本実施形態のカメラ画像伝送システムにおいて、カメラ画像送信側端末装置1の画像送信制御手段17は、画像受信側装置2の制御情報送信手段27より送信される画像データフレームの送信順序を規定する第2の制御情報にしたがって画像データフレームを送信する。ただし、画像受信側装置2より画像データフレームの送信を制御する第2の制御情報が送信されない場合、カメラ画像送信側端末装置1の画像送信制御手段17は既知の送信順序にしたがって画像データフレームを送信する。」

「 【0040】
図2乃至図5に示す例において、本実施形態のカメラ画像伝送システムのカメラ画像送信側端末装置1は、画像分割制御手段16により、カメラ画像31を図3に示した複数の部分領域画像32に分割し、一つの部分領域画像32に対応する画像データを画像符号化手段15により符号化し、図4に示した画像データフレーム30を構築する。そして、画像送信制御手段17により各画像データフレーム30を、図5に示す送信順序に従って無線データ送信手段10により、画像受信側装置2へ送信する。
【0041】
画像受信側装置2は、受信された画像データフレーム30に含まれる部分領域画像符号化データ41を画像復号化手段21により復号化し、画像歪み補正手段22は、画像データフレームに含まれる領域位置範囲情報33を用いて部分領域画像32が有する歪みの特性を算出し、画像歪みを補正する処理を行う。そして、画像再構築手段23により、歪みが補正された部分領域画像32を領域位置範囲情報33により規定される位置にはめ込む画像再構築処理を行う。
【0042】
前述の手順でカメラ画像の伝送処理を行うことにより、最後の画像データフレーム30に対する処理が終了した時点で、即座に、魚眼レンズカメラ画像の対応する視野空間パノラマ画像が、受信画像データ記憶手段24内に構築され、出力インタフェース25を介して画像表示装置5に前記視野空間パノラマ画像を出力することができる。」

「 【0058】
前述の本実施形態では、カメラ画像送信側端末装置1が、常に撮影された魚眼レンズカメラ画像全体を送信する場合について述べたが、本発明のカメラ画像伝送システムでは、画像受信側装置2に接続される画像表示装置5に、カメラ画像の特定の部分領域画像をできる限り高い画像フレームレートで表示させる必要がある場合等には、カメラ画像全体ではなく、必要な部分領域画像のみを送信する。
【0059】
図7は、カメラ画像の一部の部分領域画像のみを送信する場合の、画像受信側装置2から送信される第2の制御情報35により規定される部分領域画像32の送信順序の一例を示す図である。
【0060】
図7は、カメラ画像31を図3の例にしたがって分割した場合における各部分領域画像の送信順序の一例を示している。図7中の各部分領域画像32の中に記載された数字が送信順序34を示しており、この図7の例では、カメラ画像31の中央に位置する斜線で示した一つの部分領域画像32の送信順序34は1番目である。
【0061】
図7の例では、図3における領域位置範囲情報(3,2),(4,2),(3,3),(4,3)に対応する部分領域画像以外には送信順序を割り当てず、領域位置範囲情報(3,2),(4,2),(3,3),(4,3)に対応する部分領域画像以外は送信の対象としない。
【0062】
以下に、図2乃至図4及び図7により、本実施形態のカメラ画像伝送システムにおいて、カメラ画像の一部の部分領域画像のみを送信する場合のカメラ画像伝送の手順について説明する。
【0063】
カメラ画像送信側端末装置1は、画像分割制御手段16により、カメラ画像31を図3に示した複数の部分領域画像32に分割し、一つの部分領域画像32に対応する画像データを画像符号化手段15により符号化し、図4に示した画像データフレーム30を構築する。そして、画像送信制御手段17により各画像データフレーム30を、図7に示す送信順序に従って無線データ送信手段10により、画像受信側装置2へ送信する。」

(5)対比
ア 刊行物1に記載された発明
刊行物1には、魚眼レンズカメラ画像を複数の部分領域に分割し、各部分領域毎に符号化すると共に領域位置範囲情報を付加した画像データフレームを送信し、カメラ画像全体を送信する場合(段落【0018】?【0057】)及びカメラ画像全体ではなく必要な部分領域画像のみを送信する場合(段落【0058】?【0068】)が記載され、カメラ画像伝送システムとしては、それぞれの場合において同じ構成が記載されていると認められる。
カメラ画像全体ではなく必要な部分領域画像のみを送信する場合のカメラ画像伝送システムを刊行物1に記載された発明(以下「刊行物1発明」という。)として認定する。

a 刊行物1に記載された「カメラ画像伝送システム」は、「魚眼レンズを有するカメラ画像送信側端末装置1と、1個のカメラ画像送信側端末装置1と無線データ通信回線3を介して通信する画像受信側装置2とで構成され」(段落【0024】)、
前記カメラ画像送信側装置1は、魚眼レンズ11と、固体撮影素子により魚眼レンズより入力される画像を電気信号に変換するイメージセンサ12と、イメージセンサ12によって電気信号に変換された画像のデジタル量子化等を行うDSP13と、このDSP13によりデジタル化された画像データを記憶する画像データ記憶手段14を有しており(段落【0025】)、さらに、「魚眼レンズカメラ画像を複数の部分領域に分割し、各部分領域画像毎に前記画像符号化手段15により符号化するとともに領域位置範囲情報を付加した画像データフレーム30を構成する画像分割制御手段16」(段落【0025】)を有している。
「魚眼レンズカメラ画像」は、イメージセンサ12、DSP13、画像データ記憶手段により、記憶されており、ここでの記憶は、魚眼カメラレンズ画像を残しておく、とどめておくという意味であるから、記録されているといえる。
したがって、イメージセンサ12、DSP13、画像データ記憶手段は、魚眼レンズカメラ画像を記録する画像記録手段といえ、カメラ画像伝送システムは、魚眼レンズカメラ画像を記録する画像記録手段を有している。

b 刊行物1に記載された「カメラ画像伝送システム」における画像受信側装置2には、受信した画像を表示する画像表示装置5が接続され、画像受信側装置2は、カメラ画像送信側端末装置1から無線データ通信回線3を介して送信される画像データフレーム30等を受信する無線データ受信手段20と、受信された画像データフレームに含まれる符号化データに対する復号化処理を行う画像復号化手段21と、前記画像データフレームに含まれる領域位置範囲情報を用いて、前記画像データフレームに含まれる部分領域画像の各画素の位置情報を求め、前記各画素の位置情報を魚眼レンズの特性に対応する位置依存型歪み補正関数に代入することで、前記部分領域画像の有する魚眼レンズの特性に依存した画像歪みを補正する画像歪み補正手段22と、領域位置範囲情報で規定される位置に歪みが補正された前記部分領域画像をはめ込むことで、歪み補正されたカメラ画像を再構築する画像再構築手段23と、画像データを記憶する受信画像データ記憶手段24と、画像を画像表示装置に出力するための出力インタフェース25を有している(段落【0026】)。
画像受信側装置2で受信する画像データフレーム30は、「魚眼レンズカメラ画像を複数の部分領域に分割し、各部分領域画像毎に前記画像符号化手段15により符号化するとともに領域位置範囲情報を付加した」(段落【0025】)ものであり、部分領域画像は、魚眼レンズカメラ画像の画像細部といえる。
画像受信側装置2は、「画像歪み補正手段22」により前記部分領域画像の有する魚眼レンズの特性に依存した画像歪みを補正し、画像を表示装置に出力する(段落【0026】)から、魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段といえる。
したがって、カメラ画像伝送システムは、魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段を有している。

c 前記カメラ画像送信側装置1は、画像データをJPEGにより符号化する画像符号化手段15と、魚眼レンズカメラ画像を複数の部分領域に分割し、各部分領域画像毎に前記画像符号化手段15により符号化するとともに領域位置範囲情報を付加した画像データフレーム30を構成する画像分割制御手段16と、画像データフレーム30を無線データ通信回線3により送信する無線データ送信手段10と、画像データフレームの送信制御を行う画像送信制御手段17を有しており(段落【0025】)、刊行物1に記載された「カメラ画像伝送システム」は、「魚眼レンズを有するカメラ画像送信側端末装置1と、1個のカメラ画像送信側端末装置1と無線データ通信回線3を介して通信する画像受信側装置2とで構成され」(段落【0024】)ているから、画像データフレームの送信制御を行う画像送信制御手段17、無線データ送信手段10は、カメラ画像送信側端末装置から画像受信側装置に画像データフレームを送信するための送信手段といえる。
上記aのとおり、カメラ画像送信側端末装置におけるイメージセンサ12、DSP13、画像データ記憶手段は、魚眼レンズカメラ画像を記録する画像記録手段といえ、上記bのとおり、画像受信側装置2は、魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段といえるから、画像送信側制御手段17、無線データ送信手段10は、魚眼レンズカメラ画像を記録する画像記録手段から魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段に画像データフレームを送信するための送信手段といえる。

d 上記a、b、cのとおり、刊行物1に記載されたカメラ画像伝送システムは、魚眼レンズカメラ画像を記録する画像記録手段、魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段、魚眼レンズカメラ画像を記録する画像記録手段から魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段に画像データフレームを送信するための送信手段を有している。
刊行物1の段落【0002】に、従来の技術として「カメラ装置の監視範囲を向上させるために・・・」という記載があることから、刊行物1に記載されている「カメラ画像伝送システムシステム」は「監視システム」といえる。
したがって、刊行物1には、「魚眼レンズカメラ画像を記録する画像記録手段と、魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段と、前記画像記録手段から前記再生手段に画像データフレームを送信するための送信手段と、を有する監視システム」が記載されている。

e カメラ画像の一部の部分領域画像のみを送信する場合、カメラ画像送信側端末装置1は、画像分割制御手段16により、カメラ画像31を複数の部分領域画像32に分割し、一つの部分領域画像32に対応する画像データを画像符号化手段15により符号化し、画像データフレーム30を構築し、そして、画像送信制御手段17により各画像データフレーム30を、特定の送信順序に従って無線データ送信手段10により、画像受信側装置2へ送信する(段落【0062】?【0063】)。ここで、カメラ画像31は、魚眼レンズカメラ画像のことである(段落【0034】、【0058】?【0060】)。
また、画像データフレーム30は、「魚眼レンズカメラ画像を複数の部分領域に分割し、各部分領域画像毎に前記画像符号化手段15により符号化するとともに領域位置範囲情報を付加した」(段落【0025】)ものであり、部分領域画像は、魚眼レンズカメラ画像の部分であるから、魚眼レンズカメラ画像の画像細部といえる。
以上より、画像送信制御手段17、無線データ送信手段10は、魚眼レンズカメラ画像の一部の部分画像のみを送信するために、該魚眼レンズカメラ画像の一部の部分画像に対応する、魚眼レンズカメラ画像の画像細部と領域位置範囲情報とからなる各画像データフレームを特定の送信順序に従って送信するものであり、上記cのとおり、画像送信制御手段17、無線データ送信手段10は、魚眼レンズカメラ画像を記録する画像記録手段から魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段に画像データフレームを送信するための送信手段といえるから、刊行物1には、「前記送信手段が、魚眼レンズカメラ画像の一部の部分領域画像のみを送信するために、該魚眼レンズカメラ画像の一部の部分領域画像に対応する、魚眼レンズカメラ画像の画像細部と領域位置範囲情報とからなる各画像データフレームを特定の送信順序に従って送信」することが記載されている。

f 画像受信側装置2の画像歪み補正手段22は、「前記画像データフレームに含まれる領域位置範囲情報を用いて、前記画像データフレームに含まれる部分領域画像の各画素の位置情報を求め、前記各画素の位置情報を魚眼レンズの特性に対応する位置依存型歪み補正関数に代入することで、前記部分領域画像の有する魚眼レンズの特性に依存した画像歪みを補正する」(段落【0026】)ものであり、位置依存型歪み補正関数および領域位置範囲情報を用いて、魚眼レンズカメラ画像の画像細部といえる部分領域画像の歪みを補正するものである。
上記bのとおり、画像受信側装置2は再生手段といえるから、刊行物1には、「前記再生手段が、位置依存型歪み補正関数および上記領域位置範囲情報を用いて、魚眼レンズカメラ画像の画像細部の歪みを補正する」ことが記載されている。

g 刊行物1に記載された発明
以上、上記a?fをまとめると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。
「魚眼レンズカメラ画像を記録する画像記録手段と、
魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段と、
前記画像記録手段から前記再生手段に画像フレームデータを送信するための送信手段と、
を有する監視システムであって、
前記送信手段が、魚眼レンズカメラ画像の一部の部分領域画像のみを送信するために、該魚眼レンズカメラ画像の一部の部分領域画像に対応する、魚眼レンズカメラ画像の画像細部と領域位置範囲情報とからなる各画像データフレームを特定の送信順序に従って送信し、
前記再生手段が、位置依存型歪み補正関数および上記領域位置範囲情報を用いて、魚眼レンズカメラ画像の画像細部の歪みを補正する、
ことを特徴とする監視システム。」

イ 補正後発明と刊行物1発明との対比
補正後発明と刊行物1発明とを対比する。

(ア)「光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段と、光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段と、前記画像記録手段から前記再生手段に画像情報を送信するための送信手段と、を有する監視システム」

a 「光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段」
魚眼レンズカメラ画像は光学的に歪んだ画像といえるから、補正後発明と刊行物1発明とは、「光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段」を有する点で一致する。

b 「光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段」
刊行物1発明は、「魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段」を有しており、「画像細部を歪み補正し再生する」ことは、「画像細部を歪みのない形態で再生する」ことといえる。
また、「魚眼レンズカメラ画像の画像細部を歪み補正し再生する再生手段」における「魚眼レンズカメラ画像の画像細部」は、「送信手段」により、「画像記録手段」から「再生手段」に送信されるものであり、「魚眼レンズカメラ画像」は、「光学的に歪んだ画像」であるから、再生手段における「魚眼レンズカメラ画像の画像細部」は、「光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部」といえる。
したがって、補正後発明と刊行物1発明とは、「光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段」を有する点で一致する。

c 「前記画像記録手段から前記再生手段に画像情報を送信するための送信手段」
刊行物1発明は、「前記画像記録手段から前記再生手段に画像フレームデータを送信するための送信手段」を有している。また、画像データフレームは、魚眼レンズカメラ画像の画像細部と領域位置範囲情報とからなるものであり、魚眼レンズカメラ画像の画像細部を含むものであるから、画像情報といえる。
したがって、補正後発明と刊行物1発明とは、「前記画像記録手段から前記再生手段に画像情報を送信するための送信手段」を有する点で一致する。
d まとめ
上記a?cのとおりであって、刊行物1発明は「監視システム」であるから、補正後発明と刊行物1発明とは、
「光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段と、光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段と、前記画像記録手段から前記再生手段に画像情報を送信するための送信手段と、を有する監視システム」
である点で一致する。

(イ)「前記送信手段が、歪んだ画像細部のみと、前記画像細部の歪みを補正できるようにする追加情報と、を一緒に送信し」

刊行物1発明の「画像データフレーム」における「魚眼レンズカメラ画像の画像細部」は、「魚眼レンズカメラ画像」が歪んだ画像であるから、補正後発明における「歪んだ画像細部」に相当する。
また、刊行物1発明の「画像データフレーム」における「領域位置範囲情報」は、刊行物1発明における「前記再生手段が、位置依存型歪み補正関数および上記領域位置範囲情報を用いて、魚眼レンズカメラ画像の画像細部の歪みを補正する」から、補正後発明における「前記画像細部の歪みを補正できるようにする追加情報」に相当する。
さらに、刊行物1発明は、「前記送信手段が、魚眼レンズカメラ画像の一部の部分領域画像のみを送信するために、該魚眼レンズカメラ画像の一部の部分領域画像に対応する、魚眼レンズカメラ画像の画像細部と領域位置範囲情報とからなる各画像データフレームを特定の送信順序に従って送信」するものであって、魚眼レンズカメラ画像の一部の部分領域画像のみと領域位置範囲情報とを一緒に送信しているものといえる。魚眼レンズカメラ画像の一部の部分領域画像のみを送信することは、魚眼レンズカメラ画像が歪んだ画像であり、魚眼レンズ画像全体ではなく、一部の部分領域画像であるから、歪んだ画像細部のみを送信することといえる。
以上まとめると、補正後発明と刊行物1発明とは、「前記送信手段が、歪んだ画像細部のみと、前記画像細部の歪みを補正できるようにする追加情報と、を一緒に送信」する点で一致する。
なお、請求人は、刊行物1において図7の場合符号1?4が付された4つの部分領域画像が送信されるが、これらが歪んだ画像か否か判断されておらず、図7では中心付近の画像が送信されているから送信画像は歪みが小さい画像であり、「画像の歪んだ細部のみを送信する」ことは記載も示唆もされていない旨主張する。
しかしながら、魚眼レンズカメラ画像は歪んだ画像であり、中心付近であっても歪んでいることは明らかであって、請求人の主張は採用できない。

(ウ)「前記再生手段が、公知の歪補正関数および前記追加情報を用いて、画像細部の歪みを補正し」
刊行物1発明の「位置依存型歪み補正関数」は、補正後発明の「公知の歪み補正関数」に相当し、刊行物1発明の「上記領域位置範囲情報」は、補正後発明の「前記追加情報」(上記(イ))に相当する。
したがって、補正後発明と刊行物1発明とは、「前記再生手段が、公知の歪補正関数および前記追加情報を用いて、画像細部の歪みを補正」する点で一致する。

(エ)「前記画像記録手段が、高解像度画像のデジタル記録用に、好ましくは少なくとも1メガピクセル、2メガピクセル、特に好ましくは少なくとも3メガピクセルを備えている」
刊行物1発明は、「前記画像記録手段が、高解像度画像のデジタル記録用に、好ましくは少なくとも1メガピクセル、2メガピクセル、特に好ましくは少なくとも3メガピクセルを備えている」とはいえず、補正後発明と相違する。

ウ 一致点、相違点
以上より、補正後発明と刊行物1発明の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段と、
光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段と、
前記画像記録手段から前記再生手段に画像情報を送信するための送信手段と、
を有する監視システムであって、
前記送信手段が、歪んだ画像細部のみと、前記画像細部の歪みを補正できるようにする追加情報と、を一緒に送信し、
前記再生手段が、公知の歪補正関数および前記追加情報を用いて、画像細部の歪みを補正する、
ことを特徴とする監視システム。

(相違点)
補正後発明においては、「前記画像記録手段が、高解像度画像のデジタル記録用に、好ましくは少なくとも1メガピクセル、2メガピクセル、特に好ましくは少なくとも3メガピクセルを備えている」のに対し、
刊行物1発明においては、そうではない点。

(6)相違点の判断
出願当時、3メガピクセル以上の撮像素子は周知の技術であるから、刊行物1発明において、「前記画像記録手段が、高解像度画像のデジタル記録用に、好ましくは少なくとも1メガピクセル、2メガピクセル、特に好ましくは少なくとも3メガピクセルを備えている」ようにすることは、当業者が容易に想到することである。

また、補正後発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

したがって、補正後発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反している。

3 まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成25年12月20日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?19に係る発明は、平成25年2月15日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?19に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項6に係る発明は、請求項1?5のいずれか一項に記載の監視システムであって、そのうち請求項1に記載の監視システムは、以下のとおりのものである(この発明を以下「本願発明」という。)。

「光学的に歪んだ画像を記録するための画像記録手段と、
光学歪みを伴って記録された前記画像の画像細部を歪みのない形態で再生する再生手段と、
前記画像記録手段から前記再生手段に画像情報を送信するための送信手段と、
を有する監視システムであって、
前記送信手段が、歪んだ画像の細部と、前記画像細部の歪みを補正できるようにする追加情報と、を一緒に送信し、
前記再生手段が、公知の歪補正関数および前記追加情報を用いて、画像細部の歪みを補正し、
前記画像記録手段が、高解像度画像のデジタル記録用に、好ましくは少なくとも1メガピクセル、2メガピクセル、特に好ましくは少なくとも3メガピクセルを備えている、
ことを特徴とする監視システム。」

2 判断
補正後発明は、本願発明をさらに限定したものと認められ、補正後発明が刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであることは、上記第2のとおりであるから、同じ理由で、本願発明は刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものと認められる。

3 むすび
以上のとおり、本願の請求項6に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項1?5,7?19に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-20 
結審通知日 2014-10-27 
審決日 2014-11-07 
出願番号 特願2009-553005(P2009-553005)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大室 秀明  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 渡辺 努
小池 正彦
発明の名称 監視システム  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 久野 琢也  
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