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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1299294
審判番号 不服2013-24210  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-09 
確定日 2015-04-01 
事件の表示 特願2008-279730「情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 5月13日出願公開、特開2010-109695〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成20年10月30日の出願であって、平成24年8月30日付けの拒絶理由通知に対し、平成24年10月24日付けで意見書・手続補正書が提出され、平成25年1月23日付けの最後の拒絶理由通知に対し、平成25年3月6日付けで意見書が提出されたが、平成25年10月23日付けで拒絶査定がなされたものである。
本件は、上記拒絶査定を不服として、平成25年12月9日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.平成25年12月9日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成25年12月9日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容

上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成24年10月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「複数の映像・画像・音声処理において設定を要する設定変数を決定するために必要な入力変数を入力する入力手段と、
前記設定変数を決定するために前記入力変数が満たすべき設定条件と、該設定条件が満たされたときに該設定変数の設定値を設定する設定方法とを対応付けて複数記憶する記憶手段と、
複数の前記設定条件のうち、前記入力手段により入力された前記入力変数が満たすべき設定条件を前記記憶手段から読出し、読み出した該設定条件を該入力変数が満たすのであれば、該設定条件に対応する設定方法を前記記憶手段から読み出す読出手段と、
前記読出手段により読み出された前記設定方法を使用することにより、前記設定変数を設定する設定手段と、
を有し、
前記入力変数は、使用中のアプリケーションの種類、アプリケーションの使用状況、映像・音声を入力する装置の状態、映像・音声の作成者、映像・音声の圧縮方式、映像の解像度、映像のフレームレート、映像の表示領域、映像の拡大又は縮小の倍率、映像・音声を入力する装置周辺の明度、映像・音声を出力する装置の電池残量、映像・音声を出力する装置の充電状況のうち、少なくとも1以上を示す変数である情報処理装置。」

という発明を、平成25年12月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「複数の映像・画像・音声処理において設定を要する設定変数を決定するために必要な入力変数を入力する入力手段と、
前記設定変数を決定するために前記入力変数が満たすべき設定条件と、該設定条件が満たされたときに該設定変数の設定値を設定する設定方法とを対応付けて複数記憶する記憶手段と、
複数の前記設定条件のうち、前記入力手段により入力された前記入力変数が満たすべき設定条件を前記記憶手段から読出し、読み出した該設定条件を該入力変数が満たすのであれば、該設定条件に対応する設定方法を前記記憶手段から読み出す読出手段と、
前記読出手段により読み出された前記設定方法を使用することにより、前記設定変数を設定する設定手段と、
を有し、
前記入力変数は、使用中のアプリケーションの種類、アプリケーションの使用状況、映像・音声を入力する装置の状態、映像・音声の作成者、映像・音声の圧縮方式、映像の解像度、映像のフレームレート、映像の表示領域、映像の拡大又は縮小の倍率、映像・音声を入力する装置周辺の明度、映像・音声を出力する装置の電池残量、映像・音声を出力する装置の充電状況のうち、少なくとも1以上を示す変数であり、 前記記憶手段により前記複数の映像・画像・音声処理に関連する複数の設定変数を一括して管理する情報処理装置。」

という発明に補正することを含むものである。
なお、下線は当審で付したものである。

2.補正の適法性について

本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、平成24年10月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「記憶手段」に関して、「前記記憶手段により前記複数の映像・画像・音声処理に関連する複数の設定変数を一括して管理する」ものであることを限定して、特許請求の範囲を減縮するものである。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3.独立特許要件について

上記補正後の発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後発明

本願の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明」という。)は、上記の本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
なお、A.?F.については、説明のために当審にて付したものである。(以下、「構成A」、・・・、「構成F」という。)

「A.複数の映像・画像・音声処理において設定を要する設定変数を決定するために必要な入力変数を入力する入力手段と、
B.前記設定変数を決定するために前記入力変数が満たすべき設定条件と、該設定条件が満たされたときに該設定変数の設定値を設定する設定方法とを対応付けて複数記憶する記憶手段と、
C.複数の前記設定条件のうち、前記入力手段により入力された前記入力変数が満たすべき設定条件を前記記憶手段から読出し、読み出した該設定条件を該入力変数が満たすのであれば、該設定条件に対応する設定方法を前記記憶手段から読み出す読出手段と、
D.前記読出手段により読み出された前記設定方法を使用することにより、前記設定変数を設定する設定手段と、
を有し、
E.前記入力変数は、使用中のアプリケーションの種類、アプリケーションの使用状況、映像・音声を入力する装置の状態、映像・音声の作成者、映像・音声の圧縮方式、映像の解像度、映像のフレームレート、映像の表示領域、映像の拡大又は縮小の倍率、映像・音声を入力する装置周辺の明度、映像・音声を出力する装置の電池残量、映像・音声を出力する装置の充電状況のうち、少なくとも1以上を示す変数であり、
F.前記記憶手段により前記複数の映像・画像・音声処理に関連する複数の設定変数を一括して管理する情報処理装置。」

(2)刊行物1発明

原審の拒絶理由に引用された、特開平7-77957号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「画像出力装置」として、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表示装置の表示画面に対し最適な画像情報出力を行なう画像出力装置に関するものである。」

イ.「【0012】
【課題を解決するための手段および作用】本発明によれば、表示装置観察時の照明条件を測定する輝度測定手段と画像の色補正処理手段を設けることにより、作業時の照明条件の表示装置に対する影響を考慮にいれた、画像情報の出力を自動的に行なうことを可能にしたものである。
(中略)
【0016】以上のように本発明はカラー画像情報を出力する画像出力装置において、カラー画像情報を表示する表示装置と、複数の色変換パラメータを記憶するパラメータ記憶手段と、前記表示装置の設置環境における明るさを測定する輝度測定手段と、該輝度測定手段による測定結果に基づいて色変換パラメータを選択するパラメータ選択手段と、該パラメータ選択手段によって選択された色変換パラメータによって、画像情報に対し色変換補正を行なう色変換補正手段とを備えたことを特徴とする。」

ウ.「【0041】[輝度測定装置のシステムブロック図]図3は、輝度測定装置のシステムブロック図を示し、8は光電変換器、9は光電変換器8を駆動するための駆動回路、10は光電変換器8の出力をアナログ輝度信号に置き換えるための積分回路、11は該アナログ輝度信号をA/D変換しディジタル輝度信号に変えるためのA/D変換器、12は光電変換器8の出力が周波数成分(50Hzまたは60Hz)をもち光源が蛍光灯であるかを判別する蛍光灯判別手段であり、蛍光灯光源の場合はハイレベルに、そうでない場合はロウレベルのディジタル信号を出力する。13はディジタル輝度信号と蛍光灯判別手段12の結果を画像処理装置4のシリアルポート制御手段に伝えるシリアルポート接続手段を示す。ここではA/D変換を4ビットで行ない5ビット目に蛍光灯判別手段12の結果を用いるために5ビット情報としてCPU15(後述)に伝える。また14は電源供給回路であり輝度測定装置の各回路に電源を供給すると共に制御のタイミングをとっている。これらの回路技術は公知の技術によって成り立つ。
【0042】[画像処理装置構成図]図4は、画像処理装置4の構成概略図である。図において、15はセントラルプロセスユニット(CPU)であり、CPU本体、フローティングプロセスユニット(FPU)、メモリマネージメントユニット(MMU)、および後述のフローチャートを格納した領域、ワークエリア等を有するCPUメモリから構成されている。そして本実施装置の主制御および画像処理演算などを行なう。該CPU15は、UNIXオペレーティングシステム環境下で、後述のフローチャートに示すプログラムを実行するものである。16は画像データ用のメモリであり、R(赤)、G(緑)、B(青)各8ビットの24ビット、画像サイズは1280×2048で構成されている。17は色補正処理パラメータとしてのテーブルデータを格納する色補正処理パラメータ格納メモリである。このメモリには、予め出力装置7の出力特性に合わせた色補正処理情報が照明条件に合わせそれぞれ32通り用意されている。図5はその色補正処理情報の格納フォーマットを示す。照明条件に対応したid番号を0から31まで、1バイトの領域として用いる。ここでid番号が16から31までは蛍光灯照明条件での情報で、0から15までは白熱灯照明条件に対応した情報である。次にマスキング情報としてa11?a33まで4バイトの実数データの形で格納され、最後にR,G,Bそれぞれの階調変換テーブル情報が256バイトづつ設けられている。すなわち一つの照明条件について803バイト用いられ、それが32種類ある。これらの情報は、それぞれの照明条件下で予め最適な出力(各条件で最小自乗法を用いて、色度誤差を最小にしたもの)が得られるように測定されたマスキング係数と各色の階調テーブル情報である。この情報はCPU15の働きによりid番号を算出しそのidに対応した情報データを読むことができる。ここでは白熱灯照明条件のid番号0から15でid番号0が最も暗い照明条件時であり、id番号15が所定条件より明るい照明条件時である。蛍光灯照明条件下も同様にid番号16が暗いときであり、id番号31が明るい照明条件時である。
【0043】18は表示装置5用のグラフィックメモリであり、1280×1024×24ビット構成で、CPU15の命令により各メモリの画像を表示装置に表示するためや、操作者に対しての指示情報を格納する。19はメモリバスであり、各メモリとCPU15が接続され、各メモリとCPU15とのデータ制御および転送を行なう。20はCPUバスであり、CPU15、各メモリ、各外部インターフェイスと接続され、CPU15の命令に従って、各メモリと外部インターフェイスとのデータ制御、転送を行なう。21は表示制御手段であり、グラフィックメモリ18のメモリ情報を表示装置5に表示するための制御を行なう。22は入出力制御手段であり、スキャナ1、カラー出力装置7およびファイル格納用のディスク装置24を接続し、該装置の制御およびデータの入出力を行なう。たとえばSCSIインターフェイス装置である。23はシリアルポート制御手段であり、キーボード2、マウス3および輝度測定装置6と接続し、該装置の情報の入出力制御を行なう。たとえばRS232Cのインターフェイス装置である。各流れの説明は、後述の処理手順に従って説明する。ここでの処理は全てCPU15上のメモリにあるプログラムに従って、各ハードウェアに対してCPU15の働きによって命令、制御、および演算、処理する事によって実現される。」

エ.「【0044】[輝度測定部の構成]図6は輝度測定装置6の輝度測定部25の取付位置を示す構成概要図であり、表示装置5の上面に取り付いている。図7は、輝度測定装置6の輝度測定部25の概略構成を示す図である。26は表示装置5の上面部であり、該上面部の凹部にセンサーユニット27が取り付けられている。(後略)」

オ.「【0046】《ステップ1(S1)》本発明の前提となるところで各種入力および各種編集処理を行なう。これは従来例で示したように、DTP、シミュレーション、デザインなどの処理でも良い。CPU15の働きによりスキャナ1から画像を入力し、各用途に応じて文字編集、画像編集、図形入力、色変換、数値演算により画像生成などの処理を表示装置5を観察しながら、キーボード2またはマウス3の操作によって作業を行なう。そして出力画像を完成させ、キーボード2またはマウス3によって操作の終了、およびその結果の出力の意志をCPU15に伝える。ここで出力対象となっている画像は画像メモリ16に格納され、そのうち表示可能な領域または縮小した画像がグラフィックメモリ18に格納されており表示されている。
【0047】《ステップ2(S2)》S1の結果の出力の意志をキーボード2またはマウス3によって伝えると、CPU15の働きにより、表示装置5に本発明による照明条件における自動色補正変換を行なうかまたは従来方法による出力を行うかを選択する。操作者が本発明による自動色補正変換を選択するとステップ3(S3)に進み、そうでない場合はステップS5(S5)に進む。
(中略)
【0050】《ステップ3(S3)》CPU15の働きにより、輝度情報をシリアルポート制御手段23を介して輝度測定装置6から得る。本実施例ではその情報は0?31の5ビットの情報として得られる。
【0051】《ステップ4(S4)》得られた輝度情報に基づいてどの色補正処理階調データに基づいて色補正処理をするかを決定する。本実施例では得られた情報とid番号を一致させているため、えられた情報の値と同じid番号の情報が処理を行なう情報であると決定する。
(中略)
【0053】《ステップ6(S6)》ステップ4(S4)またはステップ5(S5)によって決定されたid番号に対応するデータをあらかじめ格納してある色補正処理パラメータメモリ17に読みにいき、そのデータをCPU15上のメモリに格納する。CPU15は読み込んだR,G,Bそれぞれの色補正処理データに基づいて、R,G,Bそれぞれの各画像データを画像メモリ9から読込み、マスキング処理および階調変換処理を行ない、その結果を出力装置7によって出力する。」

このような事項を踏まえ、上記ア.?オ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、

(a)刊行物1には、上記ア.及びイ.に記載があるように、表示画面に対し最適な画像情報出力を行うために、表示装置の設置環境における照明条件を測定し、測定結果に基づいて色変換パラメータを選択し、選択された色変換パラメータによって、色変換補正を行う画像出力装置について記載がある。

(b)上記ウ.の段落【0041】、【0042】及びオ.の段落【0050】の記載から、刊行物1の画像出力装置の画像処理装置は、光電変換器のディジタル輝度信号を4ビットで表し、5ビット目を光源が蛍光灯であるかを判別する蛍光灯判別手段の結果とする、0?31の5ビットの照明条件を得るシリアルポート制御手段を有している。
上記ウ.の段落【0042】及びオ.の段落【0051】の記載から、得られた照明条件の値と、色補正処理パラメータメモリにおけるid番号は一致させており、id番号は、0が暗く15が明るい照明条件時とした0から15の白熱灯照明条件に対応した情報、16が暗く31が明るい照明条件時とした16から31の蛍光灯照明条件に対応した情報からなる。
上記ウ.の段落【0042】及びオ.の段落【0053】の記載から、id番号に対応するマスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータを色補正処理パラメータメモリから読み出し、マスキング処理および階調変換処理を行うものである。すなわち、id番号は、マスキング処理および階調変換処理におけるマスキング係数と各色の階調テーブル情報を決定するためのものである。
したがって、刊行物1の画像処理装置は、マスキング処理および階調変換処理におけるマスキング係数と各色の階調テーブル情報を決定するために、0が暗く15が明るい照明条件時とした0から15の白熱灯照明条件に対応した情報、16が暗く31が明るい照明条件時とした16から31の蛍光灯照明条件に対応した情報からなる照明条件を得るシリアルポート制御手段を有している。

(c)上記ウ.の段落【0042】及びオ.の段落【0051】の記載から、刊行物1の画像処理装置は、得られた照明条件の値に一致するid番号に対応して32通りのマスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータを格納する色補正処理パラメータメモリを有している。
そして、上記ウ.の段落【0042】及びオ.の段落【0053】の記載から、刊行物1の画像処理装置は、id番号に対応したマスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータを色補正処理パラメータメモリから読み出す手段を有している。さらに、読み出されたマスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータにより、マスキング処理および階調変換処理を行う、すなわち、マスキング処理および階調変換処理を該データの値に設定する手段を有している。

(d)上記ウ.の段落【0043】及びエ.及び図2、図4、図6の記載から、刊行物1では、照明条件を測定する輝度測定部が表示装置の上面に取り付いている。
そうすると、輝度測定部にて測定される照明条件は、表示装置周辺の照明条件といえる。

(e)上記ウ.の段落【0042】及びオ.の段落【0051】、図5の記載から、刊行物1の画像処理装置は、色補正処理パラメータメモリにより、id番号に対応してマスキング係数と各色の階調テーブル情報の両方のデータを管理するものである。

そうすると、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が開示されている。
なお、a.?f.については、説明のために当審にて付したものである。(以下、「構成a」、・・・、「構成f」という。)

[刊行物1発明]

「a.マスキング処理および階調変換処理におけるマスキング係数と各色の階調テーブル情報を決定するために、0が暗く15が明るい照明条件時とした0から15の白熱灯照明条件に対応した情報、16が暗く31が明るい照明条件時とした16から31の蛍光灯照明条件に対応した情報からなる照明条件を得るシリアルポート制御手段と、
b.得られた照明条件の値に一致するid番号に対応して32通りのマスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータを格納する色補正処理パラメータメモリと、
c.id番号に対応したマスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータを色補正処理パラメータメモリから読み出す手段と、
d.読み出されたマスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータにより、マスキング処理および階調変換処理を該データの値に設定する手段と、
を有し、
e.前記照明条件は、表示装置周辺の照明条件であり、
f.前記色補正処理パラメータメモリにより、id番号に対応してマスキング係数と各色の階調テーブル情報の両方のデータを管理する画像処理装置。」

(3)補正後発明と刊行物1発明との対比と一致点・相違点の認定

ア.対比

(ア-1)構成Aについて

刊行物1発明の「照明条件」は、「マスキング処理および階調変換処理におけるマスキング係数と各色の階調テーブル情報を決定するため」に得られる条件であり、0から31という変数で表され、画像処理装置が得る、すなわち、画像処理装置に入力されるものであるから、補正後発明の「入力変数」に対応し、「シリアルポート制御手段」は、「照明条件」を得る、すなわち、入力するための手段であるから、補正後発明の「入力手段」に対応する。
ここで、「マスキング処理および階調変換処理」は、いずれも画像処理であり、異なる2つの画像処理であるから、複数の画像処理である。そして、「マスキング係数と各色の階調テーブル情報」は、「マスキング処理および階調変換処理」において設定されるものであり、いずれも変化する数値であることから、複数の画像処理において設定を要する設定変数である。
そうすると、刊行物1発明の「設定を要する設定変数」は、「複数の画像処理において」設定を要するものであり、補正後発明は、「複数の映像・画像・音声処理において」設定を要するものである点で相違するものの、刊行物1発明の構成aと、補正後発明の構成Aは、「複数の画像処理において設定を要する設定変数を決定するために必要な入力変数を入力する入力手段」を有するという点で共通する。

(ア-2)構成Bについて

刊行物1発明の構成bは、入力された照明条件の値に一致するid番号が0から31のうちのどの値であるかという条件と、各条件(id番号が0から31のうちのどの値であるか)のときにマスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータをそれぞれどのような値にするかを対応付けて複数記憶されている記憶手段であり、上述のように、刊行物1発明の「マスキング係数と各色の階調テーブル情報」、「照明条件」は、補正後発明の「設定変数」、「入力変数」に対応していることから、刊行物1発明の構成bと、補正後発明の構成Bは対応する。

(ア-3)構成Cについて

刊行物1発明の構成cは、照明条件を得たら、照明条件の値に一致するid番号を検索し、id番号に対応するマスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータを色補正処理パラメータメモリから読み出すものであり、マスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータは、各id番号において、マスキング係数と各色の階調テーブル情報をどのような値に設定すれば良いかという方法を定めたものであるので、補正後発明の「設定方法」に対応する。
したがって、刊行物1発明の構成cは、補正後発明の構成Cに対応する。

(ア-4)構成Dについて

刊行物1発明の構成dは、マスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータは、色補正処理パラメータメモリから読み出されるものであるし、マスキング係数のデータと各色の階調テーブル情報のデータを使用して、マスキング処理および階調変換処理におけるマスキング係数と各色の階調テーブル情報を決定するのであるから、補正後発明の構成Dに対応する。

(ア-5)構成Eについて

刊行物1発明の構成eにおいて、表示装置は、画像を出力する装置であるから、構成eは、画像を出力する装置の周辺の照明条件であって、その装置の動作に関連する「所定の測定値」である。
補正後発明の構成Eは、入力変数として、例示したうちの1つの変数があればよいから、「前記入力変数は、映像・音声を出力する装置の電池残量を示す変数であり、」という構成を含むものである。
そして、「映像・音声を出力する装置」は、「所定のメディアを出力する装置」といえるとともに、その「電池残量」は、その装置の動作に関連する「所定の測定値」といえる。
そうすると、刊行物1発明は画像を出力する装置の周辺の照明条件であり、補正後発明は映像・音声を出力する装置の電池残量である点で相違するものの、刊行物1発明の構成eは、補正後発明の構成Eの、「前記入力変数は、使用中のアプリケーションの種類、アプリケーションの使用状況、映像・音声を入力する装置の状態、映像・音声の作成者、映像・音声の圧縮方式、映像の解像度、映像のフレームレート、映像の表示領域、映像の拡大又は縮小の倍率、映像・音声を入力する装置周辺の明度、映像・音声を出力する装置の電池残量、映像・音声を出力する装置の充電状況のうち、少なくとも1以上を示す変数」のうち、「前記入力変数は、所定のメディアを出力する装置の所定の測定値を示す変数」である点で共通する。

(ア-6)構成Fについて

刊行物1発明の構成fにおいて、(ア-1)と同様に、「マスキング係数と各色の階調テーブル情報」は、複数の画像処理に関連する複数の設定変数といえ、両方のデータを1つのid番号で管理していることから、一括して管理しているものである。
また、刊行物1発明の「画像処理装置」は、画像の情報を処理する装置であるから、補正後発明の「情報処理装置」に対応する。
そうすると、(ア-1)と同様に、刊行物1発明の「複数の設定変数」は、「複数の画像処理に関連する」ものであり、補正後発明は、「複数の映像・画像・音声処理に関連する」ものである点で相違するものの、刊行物1発明の構成fと、補正後発明の構成Fは、「前記記憶手段により前記複数の画像処理に関連する複数の設定変数を一括して管理する情報処理装置」という点で共通する。

イ.一致点・相違点

したがって、刊行物1発明と補正後発明は、以下の点で一致ないし相違する。

[一致点]
「複数の画像処理において設定を要する設定変数を決定するために必要な入力変数を入力する入力手段と、
前記設定変数を決定するために前記入力変数が満たすべき設定条件と、該設定条件が満たされたときに該設定変数の設定値を設定する設定方法とを対応付けて複数記憶する記憶手段と、
複数の前記設定条件のうち、前記入力手段により入力された前記入力変数が満たすべき設定条件を前記記憶手段から読出し、読み出した該設定条件を該入力変数が満たすのであれば、該設定条件に対応する設定方法を前記記憶手段から読み出す読出手段と、
前記読出手段により読み出された前記設定方法を使用することにより、前記設定変数を設定する設定手段と、
を有し、
前記入力変数は、所定のメディアを出力する装置の所定の測定値を示す変数であり、
前記記憶手段により前記複数の画像処理に関連する複数の設定変数を一括して管理する情報処理装置。」

[相違点]

(1)相違点1

複数の画像処理において設定を要する設定変数を決定すること、前記複数の画像処理に関連する複数の設定変数を一括して管理することにおける「複数の画像処理」に関して、補正後発明は、「複数の映像・画像・音声処理」であるのに対し、刊行物1発明は、「複数の画像処理」である点。

(2)相違点2

「所定のメディアを出力する装置の所定の測定値」である入力変数に関して、補正後発明は、「映像・音声を出力する装置の電池残量」であるのに対し、刊行物1発明は、「画像を出力する装置の照明条件」である点。

ウ.当審の判断

上記相違点について検討する。

(1)相違点1について

情報処理装置において、画像だけでなく、映像・画像・音声のようなマルチメディア情報を扱うことは、情報処理における慣用手段である。
そして、中黒(・)は、「小数点や並列点などとして用いる印刷用活字。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味するので、補正後発明の「複数の映像・画像・音声処理」との記載は、「映像・画像・音声」を並列して挙げているものと解される。そして、情報処理装置が、映像・画像・音声のようなマルチメディア情報を扱う場合、マスキング処理や階調変換処理は、映像・画像・音声処理の一例であるといえる。
そうすると、刊行物1発明の情報処理装置が、映像・画像・音声のようなマルチメディア情報を扱う場合、「マスキング処理および階調変換処理」は、複数の映像・画像・音声処理と捉えられる。
したがって、刊行物1発明の「複数の画像処理」において、映像・画像・音声のようなマルチメディア情報を扱う慣用手段を適用することにより、「複数の映像・画像・音声処理」とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(2)相違点2について

上記(1)のとおり、情報処理装置において、画像だけでなく、映像や音声も扱うことが、情報処理における慣用手段であるから、刊行物1発明の情報処理装置における画像を出力する装置において、映像・画像・音声のようなマルチメディア情報を扱う慣用手段を適用することにより、映像・音声も出力する装置となることは、当業者が当然に考えることである。
また、このような装置を電池により動作させることは例示するまでもなく、周知・慣用にされているものである。
原審の拒絶理由にて引用された特開2004-54250号公報には、電池残量など様々な状態に応じて、表示デバイスの輝度調整を行う、ゲーム画面やメール編集画面の表示をする画像表示装置が開示されている(段落【0039】)。(以下、「刊行物2発明」という。)
刊行物2発明は、ゲーム画面やメール編集画面の表示をする画像表示装置であるから、映像・音声を出力する装置であり、表示デバイスの輝度調整に係る設定変数を決定するために必要な入力変数として、映像・音声を出力する装置の電池残量を含むものである。そうすると、刊行物1発明の構成eにおいて、映像・画像・音声のようなマルチメディア情報を扱う慣用手段、刊行物2発明を適用して、入力変数として、映像・音声を出力する装置の電池残量を考えることは、当業者であれば、容易に想到できるといえる。
したがって、所定のメディアを出力する装置の「所定の測定値」として、刊行物1発明の「画像を出力する装置周辺の照明条件」だけでなく、映像・画像・音声のようなマルチメディア情報を扱う慣用手段、刊行物2発明を考慮することにより、「映像・音声を出力する装置の電池残量を示す変数」を採用することは、当業者が容易に想到し得るものである。

よって、各相違点については、格別のものではなく、補正後発明に関する作用・効果も、刊行物1発明から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、補正後発明は、刊行物1発明、刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

なお、原審の拒絶理由にて引用された特開2004-54250号公報には、ゲーム画面やメール編集画面などの表示内容(すなわち、使用中のアプリケーションの種類)、電池残量、周囲の照明など様々な状態に応じて、表示デバイスの輝度調整や光源の輝度調整を行うことが記載されており、特開2004-54250号公報に記載された発明において、刊行物1に記載された装置周辺の明るさを示す輝度情報に基づいて、複数の画像処理に関連する複数の設定変数を一括して管理する技術思想を適用することによっても、補正後発明は容易に発明することができたものである。

第3.本願発明について

1.本願発明

平成25年12月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成24年10月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「A.複数の映像・画像・音声処理において設定を要する設定変数を決定するために必要な入力変数を入力する入力手段と、
B.前記設定変数を決定するために前記入力変数が満たすべき設定条件と、該設定条件が満たされたときに該設定変数の設定値を設定する設定方法とを対応付けて複数記憶する記憶手段と、
C.複数の前記設定条件のうち、前記入力手段により入力された前記入力変数が満たすべき設定条件を前記記憶手段から読出し、読み出した該設定条件を該入力変数が満たすのであれば、該設定条件に対応する設定方法を前記記憶手段から読み出す読出手段と、
D.前記読出手段により読み出された前記設定方法を使用することにより、前記設定変数を設定する設定手段と、
を有し、
E.前記入力変数は、使用中のアプリケーションの種類、アプリケーションの使用状況、映像・音声を入力する装置の状態、映像・音声の作成者、映像・音声の圧縮方式、映像の解像度、映像のフレームレート、映像の表示領域、映像の拡大又は縮小の倍率、映像・音声を入力する装置周辺の明度、映像・音声を出力する装置の電池残量、映像・音声を出力する装置の充電状況のうち、少なくとも1以上を示す変数である
情報処理装置。」

2.刊行物1発明

原審の拒絶理由に引用された刊行物1、及び、その記載事項は、前記第2.3.(2)に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、前記第2.3.で検討した補正後発明における「F.前記記憶手段により前記複数の映像・画像・音声処理に関連する複数の設定変数を一括して管理する」という限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する補正後発明が前記第2.3.に記載したとおり、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.まとめ

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2014-10-28 
結審通知日 2014-11-04 
審決日 2014-11-17 
出願番号 特願2008-279730(P2008-279730)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 572- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大室 秀明  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡辺 努
丹治 彰
発明の名称 情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム  
代理人 丸山 隆夫  
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