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審決分類 審判 判定 判示事項別分類コード:なし 属する(申立て成立) A23L
管理番号 1299387
判定請求番号 判定2014-600030  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2015-05-29 
種別 判定 
判定請求日 2014-07-09 
確定日 2015-04-02 
事件の表示 上記当事者間の特許第5439614号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 甲1号証及びその説明に示される「カゴメトマト100%」は、特許第5439614号発明の技術的範囲に属する。 
理由 第1 請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、甲1号証及びその説明に示される「カゴメトマト100%」(以下「イ号製品」という。)は、特許第5439614号発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

第2 本件発明
1 本件発明
特許第5439614号(以下、「本件特許」という。)に係る願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである(以下、請求項1に係る発明を「本件発明」という。)。
「【請求項1】
γ-アミノ酪酸が60?90mg/100gであり、
γ-アミノ酪酸/カルシウムが5.9?8.1であり、
カルシウム量が18mg/100g以下であり、且つ
γ-アミノ酪酸/ナトリウムが4.5?9.5であることを特徴とする容器詰トマト含有飲料。」

2 構成要件
本件発明を、構成要件に分説すると、次のとおりである。
A γ-アミノ酪酸が60?90mg/100gであり、
B γ-アミノ酪酸/カルシウムが5.9?8.1であり、
C カルシウム量が18mg/100g以下であり、且つ
D γ-アミノ酪酸/ナトリウムが4.5?9.5であることを特徴とする
E 容器詰トマト含有飲料。

第3 当事者の主張
1 請求人の主張
(1)イ号製品は、下記の栄養成分を含む容器詰トマト含有飲料である。
(栄養成分値抜粋)
γ-アミノ酪酸 140mg/200ml
カルシウム 20mg/200ml
ナトリウム 23mg/200ml
[判定請求書3頁9?13行及び甲1号証1頁「種類」及び「原材料」の欄並びに2頁上段「栄養成分」の欄]
(2)イ号製品の比重は一般的な容器詰トマト含有飲料と同様に1.03程度と考えられる。[判定請求回答書2頁11?23行及び甲3号証]
(3)甲1号証に記載のイ号製品分析値を比重1.03として算出すると、以下のとおりである。
γ-アミノ酪酸 140mg/200ml=67.9mg/100g
カルシウム 20mg/200ml= 9.7mg/100g
ナトリウム 23mg/200ml=11.2mg/100g
そして、
γ-アミノ酪酸/カルシウム=7
γ-アミノ酪酸/ナトリウム=6.06
である。
よって、イ号製品は、本件発明の構成要件をすべて充足するから、イ号製品は、本件発明の技術的範囲に属する。
[判定請求回答書3頁12行?4頁16行]

2 被請求人の主張
(1)イ号製品は、本件特許の出願前である、遅くとも2013年3月22日には、日本国内で流通していた。[判定請求答弁書2頁27行?3頁29行、乙1?11号証]
また、イ号製品の栄養成分表示は、本件特許の出願前である、遅くとも2013年3月4日には、秘密を脱した状態であった。[判定請求答弁書4頁1?20行、乙12?15号証]
(2)イ号製品
ア イ号製品は、トマトジュースであり、より詳しくは、濃縮トマトを水戻ししたものであるから、その比重は「1」よりも大きい。
イ号製品の構成を分説すると、以下のとおりである。
γ-アミノ酪酸が70mg/100gより小さく、
γ-アミノ酪酸/カルシウムが7.0であり、
カルシウム量が10mg/100gより小さく、
γ-アミノ酪酸/ナトリウムが6.1である、
濃縮トマトを還元してなる、200ml紙パック詰めトマトジュース。
[判定請求答弁書4頁21行?5頁6行、乙8?11号証]
イ 一般的に使用されているトマトジュースの比重が1.03であることから、イ号製品の包装に記載の200ml当たりの栄養成分表示値を換算して100g当たりの値にするにあたり使用する比重も1.03とするのが妥当である。[回答書2頁13?17行及び乙18、19号証]
(3)本件発明の技術的範囲とイ号製品との対比
ア イ号製品は、本件特許の出願前に公知ないしは公然実施されたものである。よって、公知技術除外の法理により、イ号製品に具現化された技術そのものは、本件発明の技術的範囲から除外される。
よって、イ号製品は、本件発明の技術的範囲外であり、本件発明の技術的範囲に属さない。[判定請求答弁書5頁7?最終行]
イ 本件明細書の記載及び出願経過での請求人の主張(包袋禁反言の原則)を考慮すれば、本件発明の「容器詰トマト含有飲料」は、「濃縮トマトを還元したものとは異なる性質を有するトマト搾汁液に、青果トマトの搾汁液を配合してなる、容器詰トマト含有飲料」と限定して解釈すべき。
本件明細書【0025】及び【0026】に「トマト含有飲料」が定義されているものの、本件発明の出願当時における技術常識に照らしても、本件明細書に開示された内容を拡張ないし一般化できる範囲を超えている。
そして、イ号製品は、「濃縮トマトを還元したものとは異なる性質を有するトマト搾汁液」という構成要件を有しておらず、上記のとおり限定解釈された本件発明の構成要件を充足しない。
よって、イ号製品は、上記のとおり限定解釈された本件発明の技術的範囲に属さない。[判定請求答弁書6頁1行?18頁25行]

第4 判断
1 イ号製品
甲1号証には、「カゴメ カゴメトマト100%」という商品について、商品外観写真とともに、「商品紹介」欄に「さらっと甘い食塩無添加トマトジュース」と記載されている。また、「種類(容量・容器)」の「種類」欄に商品外観写真が縮小されて表示され、「容量」欄に「200ml」と記載されている。また、「商品情報」の「原材料」欄に「トマト」と記載され、「栄養成分」欄に「【200ml当たり】・・・、ナトリウム:23mg、カルシウム:20mg、・・・、ギャバ(γ-アミノ酪酸):140mg」と記載されている。また、商品外観写真には、商品に「KAGOME」、「さらっと甘い」、「カゴメトマト100%」、「食塩無添加」及び「トマト100%(濃縮トマト還元)」の文字、トマトジュースが注がれたと思われるグラス及びトマトの絵が記されていることが見てとれる。
また、イ号製品に係る包装について、乙8?11号証には、「カゴメ カゴメトマト100%用に係る包装」として、甲1号証の商品外観写真に表示されたものと同じ絵柄、文字が印刷されるとともに、甲1号証の栄養成分欄に記載されたとの同じ栄養成分表示が印刷され、かつ「紙製容器包装の識別表示(紙マーク)」が付された包装が見てとれる。
以上によれば、イ号製品の構成は、次のとおりと認められる。
「200ml当たりの栄養成分として、
ギャバ(γ-アミノ酪酸)140mg、
カルシウム20mg及び、
ナトリウム23mgを含む、
200ml紙製容器包装された濃縮トマト還元トマトジュース。」

2 構成要件充足性について
イ号製品の200ml当たりの栄養成分を100g当たりの値に換算するにあたり、イ号製品のトマトジュースの比重は、甲3号証等を参酌して、一般的なトマトジュースの比重である1.03とするのが合理的である。なお、イ号製品のトマトジュースの比重を1.03とすることについて、当事者間に争いはない(上記第3の1(2)及び第3の2(2)イ)。
よって、イ号製品のトマトジュースの比重を1.03として換算した、イ号製品に含まれる栄養成分の100g当たりの値は、
ギャバ(γ-アミノ酪酸)67.9mg/100g
カルシウム9.7mg/100g
ナトリウム11.2mg/100g
となる。そして、
ギャバ(γ-アミノ酪酸)/カルシウム=7.0
ギャバ(γ-アミノ酪酸)/ナトリウム=6.06
である。
また、イ号製品の「濃縮トマト還元トマトジュース」は「トマト含有飲料」であり、「紙製容器包装され」ることは、「容器に詰められ」ることであるから、イ号製品の「200ml紙製容器包装された濃縮トマト還元トマトジュース」は「200ml容器詰トマト含有飲料」といえるものである。
そして、イ号製品に含まれる栄養成分のギャバ(γ-アミノ酪酸)67.9mg/100gは、本件発明の構成要件Aを充足し、以下同様に、
イ号製品のカルシウム9.7mg/100gは、本件発明の構成要件Cを、
イ号製品のギャバ(γ-アミノ酪酸)/カルシウム=7.0は、本件発明の構成要件Bを、
イ号製品のギャバ(γ-アミノ酪酸)/ナトリウム=6.06は、本件発明の構成要件Dを、
それぞれ充足している。
また、上記のとおりイ号製品の「200ml紙製容器包装された濃縮トマト還元トマトジュース」は「200ml容器詰トマト含有飲料」といえるものであるから、本件発明の構成要件Eを充足している。
したがって、イ号製品は、本件発明の構成要件をすべて充足している。

3 被請求人の主張について
判定は、イ号物件等が特許発明の技術的範囲に属するか否かを判断する制度であり、特許発明の技術的範囲の属否の判断にあたり、当該特許発明の無効理由の存否は無関係であるから、特許発明の無効理由の存否については判断しない。
そこで、被請求人の主張を検討する。
(1)上記第3の2(3)アについて
被請求人の主張する「公知技術除外」については、現行法では、新規性欠如として特許無効審判又は特許侵害訴訟における特許法104条の3第1項のいわゆる無効の抗弁として争うべきものであり、本件判定においては判断しない。
(2)上記第3の2(3)イについて
特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならないとされ(特許法70条1項)、また、明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとされるところ(同2項)、本件特許の請求項1には請求人が主張するような「濃縮トマトを還元したものとは異なる性質を有するトマト搾汁液に、青果トマトの搾汁液を配合してなる」という記載はない。そして、本件特許の請求項1に記載された「トマト含有飲料」については、本件明細書【0025】?【0047】に記載される種々の態様が示されるとともに、【0026】には「濃縮還元したものであってもよい」ことが明記されている。
よって、本件発明を被請求人の主張するように限定して解釈する理由はない。また、出願経過においても、請求人がそのように限定して解釈すべき旨を主張したという事実もない。
要するに、被請求人の主張は、「本件発明の出願当時における技術常識に照らしても、本件明細書に開示された内容を拡張ないし一般化できる範囲を超えている」という、いわゆるサポート要件(特許法36条6項1号)の無効理由に係るものであり、本件判定においては判断しない。

第5 むすび
以上のとおり、イ号製品は、本件発明の構成要件をすべて充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
 
判定日 2015-03-24 
出願番号 特願2013-62978(P2013-62978)
審決分類 P 1 2・ - YA (A23L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山本 晋也藤井 美穂  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 紀本 孝
千壽 哲郎
登録日 2013-12-20 
登録番号 特許第5439614号(P5439614)
発明の名称 容器詰トマト含有飲料及びその製造方法  
代理人 内藤 和彦  
代理人 北谷 賢次  
代理人 稲葉 良幸  
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