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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2013800227 審決 特許
無効2014800125 審決 特許
無効2011800266 審決 特許
無効2013800123 審決 特許
無効2014800041 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  G03B
審判 全部無効 2項進歩性  G03B
管理番号 1299596
審判番号 無効2013-800192  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-10-02 
確定日 2015-02-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5079759号発明「高ダイナミック・レンジ表示装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 請求のとおり訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許は、ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビアにより出願された2002年2月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2001年2月27日、米国)を国際出願日とする出願である特願2002-568092号の一部を、平成20年10月22日に新たな特許出願とした特願2008-272107号(平成21年6月12日付けの出願人名義変更届により、出願人が、ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビアからドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション(以下「被請求人」という。)に変更された。)の一部を、平成21年8月27日に新たな特許出願とした特願2009-196728号に係り、平成24年7月17日付けの手続補正によって補正された願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面の内容について、特許第5079759号として平成24年9月7日に設定登録されたものである。
本件特許無効審判事件は、請求人 岡本 敏夫 (以下「請求人」という。)が、「特許第5079759号の請求項1?14に係る発明についての特許を無効にする。審判請求費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」として、平成25年10月2日に請求したものであって、当該審判請求後の手続は以下のとおりである。

平成26年 3月24日 審判事件答弁書
訂正請求書
平成26年 4月30日 審判事件弁駁書
平成26年 6月17日 審理事項通知書
平成26年 9月11日 請求人 口頭審理陳述要領書
被請求人 口頭審理陳述要領書
平成26年 9月25日 第1回口頭審理


第2 平成26年3月24日付け訂正請求について
平成26年3月24日付け訂正請求(以下、「本件訂正」という。)の適否について、以下に検討する。

1.本件訂正の内容
本件訂正は、「特許第5079759号の明細書、特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求める。」とするものであって、その内容は以下のとおりである。なお、本件訂正により訂正されたのは、特許請求の範囲の請求項1?6からなる一群の請求項及び請求項7?10からなる一群の請求項である。

(1)訂正事項1
【請求項1】について、本件訂正前の、
「中心から中心までの距離である、表示装置。」を、
「中心から中心までの距離であり、前記光学系からの前記空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される、表示装置。」と訂正する。

(2)訂正事項2
【請求項7】について、本件訂正前の、
「表示装置であって、前記前記表示装置」を、
「表示装置であって、前記表示装置」と訂正する。

(3)訂正事項3
【請求項7】について、本件訂正前の、
「前記光のパターンを有する前記画素」を、
「前記光のパターンが有する前記画素」と訂正する。

2.本件訂正の訂正の目的、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)被請求人の主張
本件訂正について、被請求人は、
訂正事項1について、空間的に変調されて光学系によって空間光変調器に伝達された光が、空間光変調器によって更に空間的に変調される旨を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とし、
訂正事項2について、「前記前記」として「前記」が重複する明らかな誤記があり不明瞭であるので、「前記」を一つ削除することで、明瞭でない記載の釈明をしようとするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号にに規定する明瞭でない記載の釈明を目的とし、
訂正事項3について、請求項7の冒頭には「第1の大きさの画素を有する光のパターン」という記載があり、「光のパターン」が「画素」を有するという主体と客体の関係を規定している。しかし、請求項7の「前記光のパターンを有する前記画素」という記載では、主体としての「画素」が、客体としての「光のパターン」を有することになり、逆の主客関係になり明瞭でないところ、主体としての「光のパターン」が、客体としての「画素」を有するという記載で統一することで、明瞭でない記載の釈明をしようとするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号にに規定する明瞭でない記載の釈明を目的としていると主張している。
また、いずれの訂正事項も、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものには該当しないから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5、6項に適合すると主張している。

(2)平成26年4月30日付けの審判事件弁駁書における請求人の主張
請求人は、平成26年4月30日付けの審判事件弁駁書(以下、単に「弁駁書」という。)において、
請求項1?6からなる一群の請求項に係る訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲を超えるものであるから、認められるべきでない(特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項)、また、請求項7?10からなる一群の請求項に係る訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲を超えており、さらに実質上特許請求の範囲を拡張し又へ変更するものであるから認められるべきでない(特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項)として、概ね、以下のとおり、主張している。(弁駁書「5.」「(1)」「A.」、「(2)」「A.」)

a.請求項1?6からなる一群の請求項に係る訂正について
訂正事項である「前記光学系からの前記空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」の「空間的に変調された光」を、どのように生成するかについて一切限定していないため、請求項1に係る発明の技術的範囲は、「空間的に変調された光」を請求項1に係る表示装置で生成する場合に加えて、請求項1に係る表示装置とは別の装置で生成する場合も含む。
したがって、訂正された請求項1に係る発明は、その技術的範囲の中に、例えば「請求項1に係る表示装置とは別の装置で生成された空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」という事項も含むが、この事項が、本件特許明細書に記載されていない。

b.請求項7?10からなる一群の請求項に係る訂正について
ア.明細書等の記載範囲超過(特許法第126条第5項)について
「前記光のパターンが有する前記画素」という訂正事項は、本件特許明細書に記載されておらず、訂正請求書においても、上記の訂正事項の根拠が、明細書等のいずれの箇所に存在するのかが一切説明されていない。

イ:特許請求の範囲の拡張・変更(特許法第126条第6項)について
「前記光のパターンが有する前記画素」という訂正事項は、本件訂正前の「前記光のパターンを有する前記画素」という事項と、主体と客体が入れ替わっており、また、本件訂正前の事項は図7に示されたものであるから、本件訂正後の事項は本件訂正前の事項から変更されたものである。

(3)当審の判断
a.一群の請求項について
請求項1は請求項2?6で引用されているから、請求項1?6は一群の請求項を構成するものであり、また、請求項7は請求項8?10で引用されているから、請求項7?10は一群の請求項を構成するものであり、本件訂正は、一群の請求項ごとに請求するものである。

b.訂正事項1について
「前記光学系からの前記空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」は、空間光変調器に伝達された空間的に変調された光が、空間光変調器によって更に変調されることを限定するものであるから、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
また、空間光変調器に伝達された空間的に変調された光が、空間光変調器によって更に変調されることは、本件特許明細書の段落【0019】?【0021】に「第1の光変調器16によって変調された光は、適当な光学系17によって透過投影(rear-projection)スクリーン23上に投影される。・・・ 本実施形態においては、透過投影スクリーン23は、第2の光変調器20とコリメータ18とを備えている。コリメータ18の主な機能は、透過投影スクリーン23を通過する光を、優先的に視聴領域へと指向させることである。・・・コリメータ18は光を第2の光変調器20の素子を通して、通常はスクリーン23の法線方向へと伝える。コリメータ18からの入射光が第2の光変調器20を通過するのに伴って、その光は更に変調される。そして、光は拡散器22を通過してある範囲の方向へ出力光を拡散して、第1の光変調器16からみて拡散器22とは反対側に位置する視聴者は、スクリーン23の全域に由来する光を見ることができる。・・・」(下線は、当審が付した。)と記載されるように、本件特許明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであることは明らかである。
したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

なお、審判請求人は、上記「(2)」「a.」のように、主張する。
しかし、訂正事項1の「前記光学系からの前記空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」のうちの「空間的に変調された光」は、請求項1に、本件訂正前から「空間的に変調された光を」、「前記空間的に変調された光は、」と存在するものであって、訂正事項1の「前記光学系からの前記空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」における「空間的に変調された光」を取り出して、該「空間的に変調された光」が本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものではないとする、請求人の主張は、実質的に、本件訂正前の請求項1の「空間的に変調された光」は、本件特許明細書に記載した事項を超えるものであるから、本件訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないという、審判請求書で申し立てていない新たな無効理由を主張するに等しいものである。
したがって、請求人の該主張は考慮の対象とすることはできない。

c.訂正事項2について
訂正事項2は、「前記前記」という明瞭でない記載を「前記」と訂正するものであり、この訂正によって請求項7に係る発明の発明特定事項は実質的に何ら変わるものではない。
したがって、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

d.訂正事項3について
訂正事項3は、請求項7の記載の中で、動詞「有する」の主体、客体の関係が2通りあり、明瞭でない記載であったものを、主体が「光のパターン」であり、客体が「画素」であるという関係に統一して明瞭にするものである。
また、本件訂正後の請求項7の「表示装置であって、前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系と、・・・」という記載によると、「光のパターン」は「空間光変調器に射影」されるものであって、本件特許明細書の全記載を参酌すると、「空間光変調器」に射影されるのは画像であると認められるから、「光のパターン」は画像であるといえる。
そして、画像が複数の画素から構成されることは技術常識であるから、訂正事項3は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

なお、請求人は、上記「(2)」「b.」のように、主張する。
しかし、上述のとおり、「光のパターン」は画像であって、請求人の主張するような1つの画素における強度分布ではないから、請求人の主張は、本件特許明細書を誤解するものであって、採用することはできない。

3.本件訂正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に適合し、かつ、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件訂正による訂正を認める。


第3 訂正特許発明
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?14に係る発明(以下、それぞれ、「訂正特許発明1」?「訂正特許発明14」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

訂正特許発明1
「表示装置であって、
空間光変調器と、
拡散器と、
光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系と
を備え、前記空間的に変調された光は、0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含み、d_(2)は、画素間の中心から中心までの距離であり、前記光学系からの前記空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される、表示装置。」

訂正特許発明2
「前記表示装置は、800:1よりも大きなコントラスト比を有する高ダイナミック・レンジ(HDR)表示装置を含む、請求項1に記載の表示装置。」

訂正特許発明3
「前記空間光変調器は、前記光学系からの前記空間的に変調された光よりも高い分解能を備え、前記空間光変調器は、前記光学系からの光の各画素が前記空間光変調器の複数の画素に共通することに起因する、表示される画像に生じる影響を低減するように制御されるように構成される、請求項1に記載の表示装置。」

訂正特許発明4
「前記光学系により前記空間光変調器に伝達される光は、第1の分解能を有し、前記空間光変調器は、前記第1の分解能とは異なる第2の分解能を有し、前記表示装置は更に、前記第1の分解能と前記第2の分解能との間の差に起因する影響を低減するように、表示される所望の画像を含む画像信号に従って前記空間光変調器を制御するように構成されるコントローラを含む、請求項1に記載の表示装置。」

訂正特許発明5
「前記光学系は、前記空間光変調器の少なくとも片側の軸外にある光源を含む、請求項1に記載の表示装置。」

訂正特許発明6
「前記光学系は、前記空間光変調器の面に平行な面の光を発するように配向された光源を含む、請求項1に記載の表示装置。」

訂正特許発明7
「表示装置であって、前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系と、前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系の光源と前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラとを備え、前記コントローラは、前記空間光変調器を制御するように構成される前記信号を調整して、前記光のパターンが有する前記画素と前記空間光変調器の画素との間の画素の大きさの差に起因する前記所望の画像における影響を低減する、表示装置。」

訂正特許発明8
「前記空間光変調器の面にほぼ平行な方向に前記光源から発せられる光は、前記空間光変調器の後方から、前記空間光変調器の前記面にほぼ垂直な方向に反射される、請求項7に記載の表示装置。」

訂正特許発明9
「前記光源は、前記空間光変調器の端部の後方かつ外側に配置される、請求項7に記載の表示装置。」

訂正特許発明10
「前記空間光変調器に射影された光の前記パターンの画素は、0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲の半値全幅の光分布関数を有し、d_(2)は、光の前記パターンの画素間の中心から中心までの距離である、請求項7に記載の表示装置。」

訂正特許発明11
「方法であって、第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って光学系を制御する段階と、第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階とを備え、各第1画素は複数の第2画素に共通し、前記画像信号の一部を含む制御信号であって、各第1画素が複数の第2画素に共通することに起因する影響を、前記光学系及び前記空間光変調器を含む表示装置において低減させる前記制御信号を提供することにより、前記所望の画像を生成するように光の前記パターンを変調するように前記空間光変調器が制御される、方法。」

訂正特許発明12
「前記光学系は前記空間光変調器の面とは軸外の面にある光源を含む、請求項11に記載の方法。」

訂正特許発明13
「前記光学系は、光源を含み、前記方法は、前記空間光変調器の面にほぼ平行な方向の前記光源からの発光を、前記空間光変調器の後方から、前記空間光変調器の前記面にほぼ垂直な方向に反射する段階を更に備える、請求項11に記載の方法。」

訂正特許発明14
「前記光学系は、光源と、前記光源と前記空間光変調器との間に配置された拡散器とを含み、0.3×d_(2)から3×d_(2)までの範囲の半値全幅を有する分布関数に従って前記第1画素のアレイからの光が混合され、d_(2)は前記第1画素間の中心から中心までの距離である、請求項11に記載の方法。」


第4 請求人の主張する無効理由
1.審判請求書での請求人の主張
請求人は、審判請求書において、本件特許について、
本件訂正前の本件特許の請求項1?14に係る発明(以下、それぞれ、「本件特許発明1」?「本件特許発明14」という。)は、米国仮出願(甲第13号証の1、2)の優先権を主張した原出願(甲第14号証 親出願:特願2002-568092)から二度の分割出願(子出願:特願2008-272107、孫出願(本件特許出願):特願2009-196728)を経て特許になったものであるが、優先権主張の効果が認められないので、新規性及び進歩性に係る判断基準日は、親出願の出願日(平成14年(2002年)2月27日)となる、
そして、本件特許発明1?14は、甲第1?12号証により新規性又は進歩性が欠如するから、その特許が特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである
として、概略、以下のとおり主張している。

(1)優先権主張の効果について
(1-1)本件特許発明1について
本件特許発明1には「空間光変調器」という文言が使用されるので、その技術的範囲は「LCD」に限定されることなく、「LED」、「EL」等の様々な種類の「空間光変調器」を含むが、仮出願では「LCD」のみが説明されるだけであり、「LCD」以外の空間光変調器の例は説明されていない。
また、本件特許発明1は「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系」と規定されるが、仮出願では、「光学系により伝達される光がLCDを通過して拡散器に達する例」が説明されるだけである。
さらに、本件特許発明1は「前記空間的に変調された光は、0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含み、d_(2)は、画素間の中心から中心までの距離である」旨を規定されるが、仮出願では、上記数値範囲の半値全幅を有する「光分布関数」について一切説明されていない。
以上のことから、本件特許発明1について優先権主張の効果は認められない。

(1-2)本件特許発明2?6について
本件特許発明2?6は、本件特許発明1を引用するものであり、上述したように本件特許発明1について優先権主張の効果が認められないことから、同様に、本件特許発明2?6についても優先権主張の効果は認められない。

(1-3)本件特許発明7について
本件特許発明7は「第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系」、「前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系の光源と前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラ」、及び「前記コントローラは、前記空間光変調器を制御するように構成される前記信号を調整して、前記光のパターンを有する前記画素と前記空間光変調器の画素との間の画素の大きさの差に起因する前記所望の画像における影響を低減する」という規定を有する。
一方、仮出願に、上記「光学系」に係る記載は存在しないし、また上記「コントローラ」に係る記載は存在しないし、さらに上記「影響を低減する」に係る記載も存在しないので、本件特許発明7について優先権主張の効果は認められない。

(1-4)本件特許発明8?10について
本件特許発明8?10は、本件特許発明7を引用するものであり、上述したように本件特許発明7について優先権主張の効果が認められないことから、同様に、本件特許発明8?10についても優先権主張の効果は認められない。

(1-5)本件特許発明11について
本件特許発明11は、「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って光学系を制御する段階」、「第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階」、「各第1画素は複数の第2画素に共通し」という内容、及び「前記画像信号の一部を含む制御信号であって、各第1画素が複数の第2画素に共通することに起因する影響を、前記光学系及び前記空間光変調器を含む表示装置において低減させる前記制御信号を提供することにより、前記所望の画像を生成するように光の前記パターンを変調するように前記空間光変調器が制御される」という内容を有する。
一方、仮出願には、上記「光学系を制御する段階」に係る記載は存在せず、また、「LCD」の例が説明されるだけであり、上記「第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する」ことまで説明されていない。
さらに、仮出願には、上記「各第1画素は複数の第2画素に共通」という内容は含まれないし、上記「所望の画像を生成するように光の前記パターンを変調するように前記空間光変調器が制御」という内容も含まれない。
よって、仮出願には、本件特許発明11に応じた記載が存在しないので、本件特許発明11について優先権主張の効果は認められない。

(1-6)本件特許発明12?14について
本件特許発明12?14は、本件特許発明11を引用するものであり、上述したように本件特許発明11について優先権主張の効果が認められないことから、同様に、本件特許発明12?14についても優先権主張の効果は認められない。

(2)本件特許発明1について
本件特許発明1は、甲第1号証?甲第5号証等により新規性及び進歩性が欠如する。
(2-1)甲第1号証による新規性進歩性の欠如
(2-1-1)新規性の欠如
甲第6、7号証に記載の技術常識を参酌すれば、甲第1号証には、
甲1発明-1
「表示装置1であって、
空間光変調器10と、
光を拡散させる機能を有する光学ローパスフィルタ8と、
結像レンズ4Aを含む光学系であって、結像レンズ4Aを含む光学系により伝達される書き込み光発生手段3のLCDパネル23から発せられた光が、光学ローパスフィルタ8を通過して空間光変調器10に達するように、LCDパネル23により空間的に変調された光を、空間光変調器10と光学ローパスフィルタ8とに伝達するように構成された結像レンズ4Aを含む光学系と
を備え、
LCDパネル23により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む、表示装置1。」、

甲1発明-2
「表示装置1であって、
空間光変調器10と、
光を拡散させる機能を有する光学ローパスフィルタ8と、
結像レンズ4Aを含む光学系であって、結像レンズ4Aを含む光学系により伝達される書き込み光発生手段3のCRT30から発せられた光が、光学ローパスフィルタ8を通過して空間光変調器10に達するように、CRT30により空間的に変調された光を、空間光変調器10と光学ローパスフィルタ8とに伝達するように構成された結像レンズ4Aを含む光学系と
を備え、
CRT30により空間的に変調された光は、約1×d_(1)(d_(1)はCRT画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む、表示装置1。」、

甲1発明-3
「表示装置1であって、
空間光変調器10と、
光を拡散させる機能を有する光学ローパスフィルタ8と、
結像レンズ4Aを含む光学系であって、結像レンズ4Aを含む光学系により伝達される書き込み光発生手段3のLEDアレイ31から発せられた光が、光学ローパスフィルタ8を通過して空間光変調器10に達するように、LEDアレイ31により空間的に変調された光を、空間光変調器10と光学ローパスフィルタ8とに伝達するように構成された結像レンズ4Aを含む光学系と
を備え、
LEDアレイ31により空間的に変調された光は、約0.9×d_(1)(d_(1)はLED発光素子ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素成分を含む、表示装置1。」
が、それぞれ、記載されている。

そして、本件特許発明1に係る構成要件と、甲1発明-1、甲1発明-2、甲1発明-3の構成要件のそれぞれは、一致する。
したがって、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(2-1-2)進歩性の欠如
上述したように、本件特許発明1は、甲第1号証により新規性欠如となるが、仮に、なんらかの理由により、甲第6号証又は甲第7号証に記載の事項が技術常識と認められないとした場合、甲1発明-1から「LCDパネル23により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」を除いた発明を甲1発明-4と認定し、甲1発明-4は、本件特許発明1の「前記空間的に変調された光は、0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含み、d_(2)は、画素間の中心から中心までの距離である」構成に相当する構成を有しない点で、相違する。
しかし、この「0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲」は非常に幅広い数値範囲であるから、このように規定される数値範囲内となる事項は、表示装置に使用されるようなLCDパネルであれば当然、具備する特性と云える。しかも、甲第6号証又は甲第7号証では、LCDパネルから発せられる光の一般的な特性の例として、上記範囲内に収まる「約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数」という具体例が示されているから、本件特許発明1は、甲1発明-4、表示装置で用いられるLCDパネルの一般的な特性、並びに甲第6号証又は甲第7号証で例示される半値全幅の値に基づき、当業者であれば容易に想到し得るので、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(2-2)甲第2号証による新規性進歩性の欠如
(2-2-1)新規性の欠如
甲第6、7号証に記載の技術常識を参酌すれば、甲第2号証には、
甲2発明-1
「ディスプレイ構成であって、
LCD(114)と、
拡散パネル(113)と、
レンチキュラレンズ(112)を含む光学系であって、レンチキュラレンズ(112)を含む光学系により伝達される光が、拡散パネル(113)を通過してLCD(114)に達するように、電子光学シャッタアレイ(111)により空間的に変調された光を、LCD(114)と拡散パネル(113)とに伝達するように構成されたレンチキュラレンズ(112)を含む光学系と
を備え、
電子光学シャッタアレイ(111)により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む、ディスプレイ構成。」、

また、甲第1、8号証に記載の技術常識を参酌すれば、甲第2号証には、
甲2発明-2
「2-Dディスプレイであって、
LCD(193)と、
拡散器(192)と、
集束レンズ(191)を含む光学系であって、集束レンズ(191)を含む光学系により伝達される高強度投写型受像管(190)から発せられた光が、拡散器(192)を通過してLCD(193)に達するように、高強度投写型受像管(190)により空間的に変調された光を、LCD(193)と拡散器(192)とに伝達するように構成された集束レンズ(191)を含む光学系と
を備え、
高強度投写型受像管(190)により空間的に変調された光は、約0.77×d_(1)又は約1×d_(1)(d_(1)はCRT画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む、2-Dディスプレイ。」、

また、甲第1、9号証に記載の技術常識を参酌すれば、甲第2号証には、
甲2発明-3
「ディスプレイであって、
LCD(143)と、
弱拡散パネル(142)と、
レンチキュラレンズ(141)を含む光学系であって、レンチキュラレンズ(141)を含む光学系により伝達されるLEDアレイ(140)から発せられた光が、弱拡散パネル(142)を通過してLCD(143)に達するように、LEDアレイ(140)により空間的に変調された光を、LCD(143)と弱拡散パネル(142)とに伝達するように構成されたレンチキュラレンズ(141)を含む光学系と
を備え、
LEDアレイ(140)により空間的に変調された光は、約0.46×d_(1)又は約0.9×d_(1)(d_(1)はLED素子ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接するLED素子へ広がる複数のLED素子に応じた画素成分を含む、ディスプレイ。」
が、それぞれ、記載されている。

そして、本件特許発明1に係る構成要件と、甲2発明-1、甲2発明-2、甲2発明-3の構成要件のそれぞれは、一致する。
したがって、本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(2-2-2)進歩性の欠如
上述したように、本件特許発明1は、甲第2号証により新規性欠如となるが、仮に、なんらかの理由により、上記甲2発明-1において、上記甲第6号証又は甲第7号証に記載の事項(電子光学シャッタアレイに係る液晶パネルに関する技術常識)が、技術常識と認められない場合、上記甲2発明-2において、上記甲第1号証又は甲第8号証に記載の事項(CRTに関する技術常識)が、技術常識と認められない場合、若しくは上記甲2発明-3において、上記甲第1号証又は甲第9号証に記載の事項(LEDアレイに関する技術常識)が、技術常識と認められない場合、甲第2号証に記載の発明に、表示装置における空間的に変調された光に係る一般的な特性、さらには甲第6、7号証の記載事項、甲第1、8号証の記載事項、又は甲第1、9号証の記載事項のいずれかを適用することで、本件特許発明1は進歩性が欠如する。
したがって、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(2-3)甲第3号証による新規性進歩性の欠如
(2-3-1)新規性の欠如
甲第1、9号証に記載の技術常識を参酌すれば、甲第3号証には、
甲3発明-1
「液晶表示装置であって、
液晶パネル1と、
光拡散板6と、
バックライトパネル2で構成される光学系であって、光学系により伝達される複数のLED3から発せられた光が、光拡散板6を通過して液晶パネル1に達するように、複数のLED3により空間的に変調された光を、液晶パネル1と光拡散板6とに伝達するように構成された光学系と
を備え、
複数のLED3により空間的に変調された光は、約0.46×d_(1)又は約0.9×d_(1)(d_(1)はLEDの発光素子ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する発光素子へ広がる複数の発光素子に応じた画素成分を含む、液晶表示装置。」、
が、記載されている。

そして、本件特許発明1に係る構成要件と、甲3発明-1の構成要件は、一致する。
したがって、本件特許発明1は、甲第3号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(2-3-2)進歩性の欠如
上述したように、本件特許発明1は、甲第3号証により新規性欠如となるが、仮に、なんらかの理由により、上記甲3発明-1において、上記甲第1号証又は甲第9号証に記載の事項(LEDアレイに関する技術常識)が、技術常識と認められない場合、甲第3号証に記載の発明に、表示装置における空間的に変調された光に係る一般的な特性、さらには甲第1、9号証の記載事項を適用することで、本件特許発明1は進歩性が欠如する。
したがって、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(2-4)甲第4号証による新規性進歩性の欠如
(2-4-1)新規性の欠如
甲第6、7、10、11号証に記載の技術常識を参酌すれば、甲第4号証には、
甲4発明-1
「液晶プロジェクタであって、
光変調器(液晶パネル)16、17、18と、
第2はえの目レンズ3bと、
ミラー7、9、11、12、及びダイクロミラー8、10等を含む光学系であって、ミラー7、9、11、12、及びダイクロミラー8、10等を含む光学系により伝達される光が、第2はえの目レンズ3bを通過して光変調器16、17、18に達するように、液晶パネル120により空間的に変調された光を、光変調器16、17、18と第2はえの目レンズ3bとに伝達するように構成されたミラー7、9、11、12、及びダイクロミラー8、10等を含む光学系と
を備え、
液晶パネル120により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む、液晶プロジェクタ。」、

甲第6、7号証に記載の技術常識を参酌すれば、甲第4号証には、
甲4発明-2
「直視型液晶表示装置であって、
液晶セル204と、
拡散板202と、
導光板を含む光学系であって、導光板を含む光学系により伝達される光が、拡散板202を通過して液晶セル204に達するように、高分子分散型液晶セル222により空間的に変調された光を、液晶セル204と拡散板202とに伝達するように構成された導光板を含む光学系と
を備え、
高分子分散型液晶セル222により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む、直視型液晶表示装置。」
が、それぞれ、記載されている。

そして、本件特許発明1に係る構成要件と、甲4発明-1、甲4発明-2の構成要件のそれぞれは、一致する。
したがって、本件特許発明1は、甲第4号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(2-4-2)進歩性の欠如
上述したように、本件特許発明1は、甲第4号証により新規性欠如となるが、仮に、なんらかの理由により、上記甲4発明-1又は甲4発明-2において、上記甲第6号証又は甲第7号証に記載の事項(液晶パネル120又は高分子分散型液晶セル222に関する技術常識)が、技術常識と認められない場合、甲第4号証に記載の発明に、表示装置における空間的に変調された光に係る一般的な特性、さらには甲第6、7号証の記載事項を適用することで、本件特許発明1は進歩性が欠如する。
したがって、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(2-5)甲第5号証による新規性進歩性の欠如
(2-5-1)新規性の欠如
甲第1、9号証に記載の技術常識を参酌すれば、甲第5号証には、
甲5発明-1
「液晶表示装置であって、
液晶セル23と、
アクリル導光板24と、
発光ダイオード群26及び反射板14で構成される光学系であって、光学系により伝達される発光ダイオード群26から発せられた光が、アクリル導光板24を通過して液晶セル23に達するように、発光ダイオード群26により空間的に変調された光を、液晶セル23とアクリル導光板24とに伝達するように構成された光学系と
を備え、
発光ダイオード群26により空間的に変調された光は、約0.46×d_(1)又は約0.9×d_(1)(d_(1)は発光ダイオードに係るピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する発光ダイオードへ広がる複数の発光ダイオードに応じた画素成分を含む、液晶表示装置。」
が、記載されている。

そして、本件特許発明1に係る構成要件と、甲5発明-1の構成要件は、一致する。
したがって、本件特許発明1は、甲第5号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(2-5-2)進歩性の欠如
上述したように、本件特許発明1は、甲第5号証により新規性欠如となるが、仮に、なんらかの理由により、上記甲5発明-1において、上記甲第1号証又は甲第9号証に記載の事項(LEDアレイに関する技術常識)が、技術常識と認められない場合、甲第5号証に記載の発明に、表示装置における空間的に変調された光に係る一般的な特性、さらには甲第1、9号証の記載事項を適用することで、本件特許発明1は進歩性が欠如する。
したがって、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(3)本件特許発明2について
本件特許発明2は、甲第4号証により新規性が欠如するとともに、甲第1、2、4、12号証等により進歩性が欠如する。
(3-1)甲第4号証による新規性の欠如
本件特許発明2は、本件特許発明1を引用し、「前記表示装置は、800:1よりも大きなコントラスト比を有する高ダイナミック・レンジ(HDR)表示装置を含む」という規定を有する。
一方、甲第4号証に記載の発明は、ダイナミックレンジを拡大して高コントラストな高画質を実現するものであり、一方、「800:1よりも大きなコントラスト比を有する高ダイナミックレンジの表示装置」という事項は技術常識にすぎないことから、高ダイナミックレンジに係る技術常識を参酌すれば、甲第4号証の段落[0005]及び[0025]等に記載のダイナミックレンジを拡大して高コントラストを実現する旨より、高ダイナミックレンジに係る技術常識の具体的な数値比の一例である「800:1」という数値比も導き出せる。
以上のことから、本件特許発明2の「800:1よりも大きなコントラスト比を有する高ダイナミックレンジの表示装置」という事項は、甲第4号証に記載されているに等しい事項と云える。
よって、本件特許発明2が引用する本件特許発明1は、上記のように、甲第4号証に記載の発明(甲4発明-1、2)と一致し、本件特許発明2に係る「800:1よりも大きなコントラスト比を有する高ダイナミックレンジの表示装置」という事項は甲第4号証に記載されているに等しい事項であるから、本件特許発明2は、甲第4号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当するので、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(3-2)甲第1、2、4、12号証等による進歩性の欠如
上述したように、「800:1より大きなコントラスト比は高ダイナミックレンジである」ということは単なる従来技術であり、また、本件特許明細書(甲第15号証参照)においても、どのような構成により具体的に「800:1より大きなコントラスト比」を実現するかは一切説明されておらず、「800:1より大きなコントラスト比」とは、説明するまでもない設計的事項であると云える。
また、甲第12号証(特開平8-76077号公報)には、第1の光変調器として、液晶から構成される電界制御回折格子8と、第2の光変調器として、液晶から構成される電界制御回折格子7とを有する構成が示されており、段落[0047]には「1600:1」のコントラスト比が得られることが記載されていることから、このような甲第12号証を参照することでも、「800:1より大きなコントラスト比」とは、本件特許明細書で記載されるような構成の表示装置における一般的な設計的事項であると云える。
また、第1の光変調器16として「LCD(液晶表示装置)」を適用すると共に、第2の光変調器20としても「LCD(液晶表示装置)」を適用した本件特許明細書(甲第15号証)の表示装置と同様な構成を持つものとしては、上述した甲第1号証に記載の甲1発明-1、甲第2号証に記載の甲2発明-1、及び甲第4号証に記載の甲4発明-1、2が存在するから、これらの甲1発明-1、甲2発明-1、甲4発明-1、2においても、コントラスト比を800:1より大きく設定することは単なる設計的な事項にすぎず、場合によっては、甲第12号証に例示されるコントラスト比1600:1を参照することで、当業者であれば容易に達成できる事項である。
そして、甲1発明-1、甲2発明-1、甲4発明-1、2は上述したように本件特許発明1と一致するものであり、また、液晶パネルに係る技術常識が認められない場合は、甲1発明-1、甲2発明-1、甲4発明-1、2等により、本件特許発明1は進歩性が欠如するものである。
以上のことから、本件特許発明1を引用する本件特許発明2は、甲1発明-1、甲2発明-1、甲4発明-1、2を記載した甲第1、2、4号証のそれぞれに、コントラスト比を例示する甲第12号証又は設計的事項等を参酌することで、その進歩性が欠如し、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(4)本件特許発明3について
本件特許発明3は、甲第4、5号証等によりそれぞれ新規性及び進歩性が欠如するとともに、甲第3、4、5号証等により進歩性が欠如する。
(4-1)甲第4号証による新規性進歩性の欠如
(4-1-1)新規性の欠如
甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4fg)を把握でき、この構成要件(4fg)は甲4発明-1に適用できるものである。
「光変調器(液晶パネル)16?18は、液晶パネル120の空間的に変調された光よりも高い分解能を備え、
液晶パネル120の空間的に変調された光の各画素は、光変調器(液晶パネル)16?18の複数の画素に共通しており、液晶パネル120の空間的に変調された光の各画素が、光変調器(液晶パネル)16?18の複数の画素に共通することに起因する、光変調器(液晶パネル)16?18で表示される画像部分で生じる信号のレベルが適切でなくなる影響を低減するように、光変調器(液晶パネル)16?18には、液晶パネル120の照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し印加するという制御がなされるように構成される」

そして、本件特許発明3の構成要件「前記空間光変調器は、前記光学系からの前記空間的に変調された光よりも高い分解能を備え、前記空間光変調器は、前記光学系からの光の各画素が前記空間光変調器の複数の画素に共通することに起因する、表示される画像に生じる影響を低減するように制御されるように構成される」と、構成要件(4fg)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明3は、甲4発明-1に構成要件(4fg)を用いた発明と一致する。

また、甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4f’g’)を把握でき、この構成要件(4f’g’)は甲4発明-2に適用できるものである。
「液晶セル204は、高分子分散型液晶セル222の空間的に変調された光よりも高い分解能を備え、
高分子分散型液晶セル222の空間的に変調された光の各画素は、液晶セル204の複数の画素に共通しており、高分子分散型液晶セル222の空間的に変調された光の各画素が、液晶セル204の複数の画素に共通することに起因する、液晶セル204で表示される画像部分で生じる信号のレベルが適切でなくなる影響を低減するように、液晶セル204には、高分子分散型液晶セル222の照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し印加するという制御がなされるように構成される」

そして、本件特許発明3の上記構成要件と、構成要件(4f’g’)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明3は、甲4発明-2に構成要件(4f’g’)を用いた発明と一致する。

以上のことから、本件特許発明3は、甲第4号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(4-1-2)進歩性の欠如
上記(2-4-2)で記載したように、液晶パネル120又は高分子分散型液晶セル222に関する技術常識が認められない場合は、甲第4号証等の記載に基づき、本件特許発明1の進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明1を引用する本件特許発明3も甲第4号証等の記載に基づき、その進歩性は欠如する。
また、何らかの理由により、構成要件(4f’g’)が甲4発明-2に適用できないとしても、構成要件(4f’g’)を甲4発明-2に組み合わせることで、本件特許発明3は進歩性が欠如する。
以上のことから、いずれにしても本件特許発明3は、技術常識が認められない場合などには、甲第4号証等に基づき進歩性が欠如することになり、本件特許発明3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(4-2)甲第5号証による新規性進歩性の欠如
(4-2-1)新規性の欠如
甲第5号証からは、以下に示すような構成要件(5fg)を把握でき、この構成要件(5fg)は甲5発明-1に適用できるものである。
「液晶セル23は、光学系より空間的に変調された光よりも高い分解能を備え、
バックライトの各発光単位から発せられた光の各画素が、液晶セル23の複数の画素に共通することに起因する、液晶セル23の輝度のコントラストが高くならないと云う影響を低減するように、液晶セル23は制御されるように構成される」

そして、本件特許発明3の上記構成要件と、構成要件(5fg)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明3は、甲5発明-1に構成要件(5fg)を用いた発明と一致する。

以上のことから、本件特許発明3は、甲第5号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(4-2-2)進歩性の欠如
上記(2-5-2)で記載したように、LEDアレイに関する技術常識が認められない場合は、甲第5号証等の記載に基づき、本件特許発明1の進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明1を引用する本件特許発明3も甲第5号証等の記載に基づき進歩性が欠如することになり、本件特許発明3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(4-3)甲第3、5号証等による進歩性の欠如
甲第3号証からは、以下に示すような構成要件(3fg)を把握でき、この構成要件(3fg)は甲3発明-1に適用できるものである。
「液晶パネル1は、バックライトパネル2の各LEDから発せられる空間的に変調された光よりも高い分解能を備え、
バックライトパネル2の各LED3から発せられた光の各画素は、液晶パネル1の複数の画素に共通しており、バックライトパネル2に配置された各LED3は、液晶パネル51で表示される表示画像51に対応する領域に位置するものだけが駆動される」

そして、本件特許発明3の上記構成要件と構成要件(3fg)とを対比すると、構成要件(3fg)が、本件特許発明3の「共通することに起因する、表示される画像に生じる影響を低減するように制御されるように構成される」という事項を有しない点で相違する。
しかし、甲第5号証の構成要件(5fg)の「液晶セル23の輝度のコントラストが高くならないと云う影響を低減するように、液晶セル23は制御されるように構成される」という事項が、本件特許発明3の「共通することに起因する、表示される画像に生じる影響を低減するように制御されるように構成される」という事項に相当するから、甲第3号証に記載の発明に甲第5号証に記載の事項を適用すれば、本件特許発明3に想到する。

したがって、本件特許発明3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である

(5)本件特許発明4について
本件特許発明4は、甲第4、5号証等によりそれぞれ新規性が欠如するとともに、甲第3、4、5号証等により進歩性が欠如する。
(5-1)甲第4号証による新規性進歩性の欠如
(5-1-1)新規性の欠如
甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4h)を把握でき、この構成要件(4h)は甲4発明-1に適用できるものである。
「液晶パネル120の空間的に変調された光の各画素に共通する画素に応じた光変調器(液晶パネル)16?18で表示される画像部分で生じる信号のレベルが適切でなくなる影響を低減するように、図3に示すようなシーンを含む画像信号に従って、光変調器(液晶パネル)16?18を制御するように構成されるマイコン63」

そして、本件特許発明4の構成要件「影響を低減するように、表示される所望の画像を含む画像信号に従って前記空間光変調器を制御するように構成されるコントローラを含む」と、構成要件(4h)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明4は、甲4発明-1に構成要件(4fg)と(4h)を用いた発明と一致する。

また、第4号証からは、以下に示すような構成要件(4h’)を把握でき、この構成要件(4h’)は甲4発明-2に適用できるものである。
「高分子分散型液晶セル222の空間的に変調された光の各画素に共通する画素に応じた液晶セル204で表示される画像部分で生じる信号のレベルが適切でなくなる影響を低減するように、図3に示すようなシーンを含む画像信号に従って、液晶セル204を制御するように構成されるマイコン」

そして、本件特許発明4の構成要件「影響を低減するように、表示される所望の画像を含む画像信号に従って前記空間光変調器を制御するように構成されるコントローラを含む」と、構成要件(4h’)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明4は、甲4発明-2に構成要件(4f’g’)と(4h’)を用いた発明と一致する。

以上のことから、本件特許発明4は、甲第4号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(5-1-2)進歩性の欠如
上記(2-4-2)で記載したように、液晶パネル120又は高分子分散型液晶セル222に関する技術常識が認められない場合は、甲第4号証等の記載に基づき、本件特許発明1の進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明1を引用する本件特許発明4も甲第4号証等の記載に基づき、その進歩性は欠如する。
また、何らかの理由により、構成要件(4f’g’)と(4h’)が甲4発明-2に適用できないとしても、構成要件(4f’g’)と(4h’)を甲4発明-2に組み合わせることで、本件特許発明4は進歩性が欠如する。
以上のことから、いずれにしても本件特許発明4は、技術常識が認められない場合などには、甲第4号証等に基づき進歩性が欠如することになり、本件特許発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(5-2)甲第5号証による新規性,進歩性の欠如
(5-2-1)新規性の欠如
甲第5号証からは、以下に示すような構成要件(5h)を把握でき、この構成要件(5h)は甲5発明-1に適用できるものである。
「前記液晶表示装置は更に、光学系により伝達されるバックライトの光の第1の分解能と、液晶セル23の第2の分解能との間の差に起因する影響を低減するように、表示される所望の画像に応じた1フレームの画像信号に従って液晶セル23を制御するように構成される演算回路15を含む、」

そして、本件特許発明4の構成要件「前記表示装置は更に、前記第1の分解能と前記第2の分解能との間の差に起因する影響を低減するように、表示される所望の画像を含む画像信号に従って前記空間光変調器を制御するように構成されるコントローラを含む」と、構成要件(5h)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明4は、甲5発明-1に構成要件(5fg)と(5h)を用いた発明と一致する。

以上のことから、本件特許発明4は、甲第5号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(5-2-2)甲第5号証等による進歩性の欠如
上記(2-5-2)で記載したように、LEDアレイに関する技術常識が認められない場合は、甲第5号証等の記載に基づき、本件特許発明1の進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明1を引用する本件特許発明4も甲第5号証等の記載に基づき、その進歩性は欠如することになり、本件特許発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(5-3)甲第3、5号証等による進歩性の欠如
上記(4-3)と同様、甲第3号証に記載の発明に甲第5号証に記載の事項を適用すれば、本件特許発明4に想到するから、本件特許発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(6)本件特許発明5について
本件特許発明5は、甲第4号証等により新規性及び進歩性が欠如する。
(6-1)甲第4号証による新規性進歩性の欠如
(6-1-1)新規性の欠如
甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4i)を把握でき、この構成要件(4i)は甲4発明-1に適用できるものである。
「甲4発明-1に係る光学系は、光変調器(液晶パネル)16?18の光の入射側において、光軸の軸外にある発光管2を含む」

また、甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4i’)を把握でき、この構成要件(4i’)は甲4発明-2に適用できるものである。
「甲4発明-2に係る光学系は、液晶セル204の光の入射側において、液晶セル204に係る直交軸の軸外にある発光管を含む」

そして、本件特許発明5の構成要件「前記光学系は、前記空間光変調器の少なくとも片側の軸外にある光源を含む」と、構成要件(4i)、(4i’)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明5は、甲4発明-1に構成要件(4i)を用いた発明、甲4発明-2に構成要件(4i’)を用いた発明と一致する。

以上のことから、本件特許発明5は、甲第4号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(6-1-2)進歩性の欠如
上記(2-4-2)で記載したように、液晶パネル120又は高分子分散型液晶セル222に関する技術常識が認められない場合は、甲第4号証等の記載に基づき、本件特許発明1の進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明1を引用する本件特許発明5も甲第4号証等の記載に基づき、その進歩性は欠如する。
以上のことから、本件特許発明5は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(7)本件特許発明6について
本件特許発明6は、甲第1?5号証等により新規性及び進歩性が欠如する。
(7-1)甲第1号証による新規性進歩性の欠如
(7-1-1)新規性の欠如
甲第1号証からは、以下に示すような構成要件(1-1f)、(1-2f)、(1-3f)を把握でき、これらの構成要件(1-1f)、(1-2f)、(1-3f)は、それぞれ、甲1発明-1、甲1発明-2、甲1発明-3に適用できるものである。

構成要件(1-1f)
「甲1発明-1に係る光学系は、空間光変調器10の入射面に平行な面の光を発するように配向された光源21を含む」

構成要件(1-2f)
「甲1発明-2に係る光学系は、空間光変調器10の入射面に平行な面の光を発するように配向されたCRT30を含む」

構成要件(1-3f)
「甲1発明-3に係る光学系は、空間光変調器10の入射面に平行な面の光を発するように配向されたLEDアレイ31を含む」

そして、本件特許発明6の構成要件「前記光学系は、前記空間光変調器の面に平行な光を発するように配向された光源を含む」と、構成要件(1-1f)、(1-2f)、(1-3f)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明6は、甲第1号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(7-1-2)進歩性の欠如
上記(2-1-2)で記載したように、LCDパネル23に関する技術常識が認められない場合は、甲第1号証等の記載に基づき、本件特許発明1の進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明1を引用する本件特許発明6も甲第1号証等の記載に基づき、その進歩性は欠如する。
以上のことから、本件特許発明6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(7-2)甲第2号証による新規性進歩性の欠如
(7-2-1)新規性の欠如
甲第2号証からは、以下に示すような構成要件(2-1f)、(2-2f)、(2-3f)を把握でき、これらの構成要件(2-1f)、(2-2f)、(2-3f)は、それぞれ、甲2発明-1、甲2発明-2、甲2発明-3に適用できるものである。

構成要件(2-1f)
「甲2発明-1に係る光学系は、LCD(114)の入射面に平行な面の光を発するように配向された光源(101)?(109)を含む」

構成要件(2-2f)
「甲2発明-2に係る光学系は、LCD(193)の入射面に平行な面の光を発するように配向された高強度投写型受像管(190)を含む」

構成要件(2-3f)
「甲2発明-3に係る光学系は、LCD(143)の入射面に平行な面の光を発するように配向されたLEDアレイ(140)を含む」

そして、本件特許発明6の上記構成要件と、構成要件(2-1f)、(2-2f)、(2-3f)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明6は、甲第2号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(7-2-2)進歩性の欠如
上記(2-2-2)で記載したように、液晶パネル、CRT、又はLEDアレイに関する技術常識が認められない場合は、甲第2号証等の記載に基づき、本件特許発明1の進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明1を引用する本件特許発明6も甲第2号証等の記載に基づき、その進歩性は欠如する。
以上のことから、本件特許発明6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(7-3)甲第3号証による新規性進歩性の欠如
(7-3-1)新規性の欠如
甲第3号証からは、以下に示すような構成要件(3h)を把握でき、これらの構成要件(3h)は、それぞれ、甲3発明-1に適用できるものである。
「甲3発明-1に係る光学系は、液晶パネル1の入射面に平行な面の光を発するように配向された複数のLED3を含む」

そして、本件特許発明6の上記構成要件と、構成要件(3h)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明6は、甲第3号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(7-3-2)進歩性の欠如
上記(2-3-2)で記載したように、LEDアレイに関する技術常識が認められない場合は、甲第3号証等の記載に基づき、本件特許発明1の進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明1を引用する本件特許発明6も甲第3号証等の記載に基づき、その進歩性は欠如する。
以上のことから、本件特許発明6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(7-4)甲第4号証による新規性進歩性の欠如
(7-4-1)新規性の欠如
甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4j)を把握でき、この構成要件(4j)は甲4発明-1に適用できるものである。
「甲4発明-1に係る光学系は、ミラー7により光変調器(液晶パネル)17の入射面に平行な面の光を発すると共に、ダイクロミラー8により光変調器(液晶パネル)16、18の入射面に平行な面の光を発するように配向された発光管2を含む」

また、甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4j’)を把握でき、この構成要件(4j’)は甲4発明-2に適用できるものである。
「甲4発明-2に係る光学系は、液晶セル204の入射面に平行な面の光を発するように配向された発光管を含む」

そして、本件特許発明6の上記構成要件と、構成要件(4j)、(4j’)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明6は、甲4発明-1に構成要件(4j)を用いた発明、甲4発明-2に構成要件(4j’)を用いた発明と一致する。

以上のことから、本件特許発明6は、甲第4号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(7-4-2)進歩性の欠如
上記(2-4-2)で記載したように、液晶パネル120又は高分子分散型液晶セル222に関する技術常識が認められない場合は、甲第4号証等の記載に基づき、本件特許発明1の進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明1を引用する本件特許発明6も甲第4号証等の記載に基づき、その進歩性は欠如する。
以上のことから、本件特許発明6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(7-5)甲第5号証による新規性,進歩性の欠如
(7-5-1)新規性の欠如
甲第5号証からは、以下に示すような構成要件(5i)を把握でき、この構成要件(5i)は甲5発明-1に適用できるものである。
「甲5発明-1に係る光学系は、液晶セル23の面に平行な面の光を発するように配向された発光ダイオード群26を含む」

そして、本件特許発明6の上記構成要件と、構成要件(5i)とは一致するから、本件特許発明1を引用する本件特許発明6は、甲5発明-1に構成要件(5i)を用いた発明と一致する。

以上のことから、本件特許発明6は、甲第5号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(7-5-2)進歩性の欠如
上記(2-5-2)で記載したように、LEDアレイに関する技術常識が認められない場合は、甲第5号証等の記載に基づき、本件特許発明1の進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明1を引用する本件特許発明6も甲第5号証等の記載に基づき、その進歩性は欠如することになり、本件特許発明6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(8)本件特許発明7について
本件特許発明7は、甲第4号証及び甲第5号証によりそれぞれ新規性が欠如するとともに、甲第3、4、5号証等により進歩性が欠如する。
(8-1)甲第4号証による新規性進歩性の欠如
(8-1-1)新規性の欠如
甲第4号証には、
甲4発明-5
「液晶プロジェクタであって、
液晶パネル(光変調器)120から発せられた空間的に変調された光に係る第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して画像を生成するように構成される光変調器(液晶パネル)16?18に射影するように構成されたミラー7、9、11、12、及びダイクロミラー8、10等を含む光学系と、
図3に示すような「太陽が沈み、夜空になるシーン」という所望の画像を含む画像信号に従って、液晶パネル(光変調器)120を含む光源と光変調器(液晶パネル)16?18とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたマイコン63とを備え、
マイコン63は、照明光量に対応した液晶駆動信号(制御信号)のレベルを算出して、液晶パネル120の空間的に変調された光のパターンの各画素に共通する画素に応じた光変調器(液晶パネル)16?18で表示される画像部分で生じる信号のレベルが適切でなくなる影響を低減する」、

甲4発明-6
「直視型液晶表示装置であって、
バックライト201c,201d,201e,201fから発せられた空間的に変調された光に係る第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して画像を生成するように構成される液晶セル204に射影するように構成された光学系と、
図3に示すような「太陽が沈み、夜空になるシーン」という所望の画像を含む画像信号に従って、バックライト201c,201d,201e,201fに含まれる発光管213と液晶セル204とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたマイコンとを備え、
マイコンは、照明光量に対応した液晶駆動信号(制御信号)のレベルを算出して、バックライト201c,201d,201e,201fの空間的に変調された光のパターンの各画素に共通する画素に応じた液晶セル204で表示される画像部分で生じる信号のレベルが適切でなくなる影響を低減する」、

甲4発明-7
「直視型液晶表示装置であって、
高分子分散型液晶セル222から出る空間的に変調された光に係る第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して画像を生成するように構成される液晶セル204に射影するように構成された光学系と、
図3に示すような「太陽が沈み、夜空になるシーン」という所望の画像を含む画像信号に従って、高分子分散型液晶セル222を含む光源と液晶セル204とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたマイコンとを備え、
マイコンは、照明光量に対応した液晶駆動信号(制御信号)のレベルを算出して、高分子分散型液晶セル222の空間的に変調された光のパターンの各画素に共通する画素に応じた液晶セル204で表示される画像部分で生じる信号のレベルが適切でなくなる影響を低減する」
が、それぞれ、記載されている。

そして、本件特許発明7に係る構成要件と、甲4発明-5、甲4発明-6、甲4発明-7の構成要件のそれぞれは、一致する。
したがって、本件特許発明7は、甲第4号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(8-1-2)進歩性の欠如
甲4発明-6及び甲4発明-7では、甲4発明-5におけるマイコン63に係る制御が、そのまま適用できるとしたが、仮に、そのまま適用できないとした場合は、甲4発明-6、7に、甲4発明-5に係るマイコン63に係る制御内容を適用することで、本件特許発明7は進歩性が欠如し、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(8-2)甲第5号証による新規性進歩性の欠如
(8-2-1)新規性の欠如
甲第5号証には、
甲5発明-3
「液晶表示装置であって、
バックライトの光に係る第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して画像を生成するように構成される液晶セル23に射影するように構成された光学系と、
表示される所望の画像に応じた1フレームの画像信号に従って、バックライトに含まれる発光ダイオード群26と液晶セル23とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成された演算回路15と、
演算回路15は、光学系により伝達される光のパターンを有する画素と液晶セル23の画素との間の画素の大きさの差に起因する所望の画像における影響を低減する」

そして、本件特許発明7に係る構成要件と、甲5発明-3の構成要件のそれぞれは、一致する。
したがって、本件特許発明7は、甲第5号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(8-2-2)進歩性の欠如
甲5発明-3では、「表示される所望の画像に応じた1フレームの画像信号に従って、バックライトに含まれる発光ダイオード群と液晶セル23とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成された演算回路15」として、演算回路15は、発光ダイオード群と液晶セル23とを制御するように構成された制御信号を生成するとしたが、仮に、上記のような制御信号を生成することが、甲第5号証に記載された事項、又は記載されているに等しい事項と云えない場合は、発光ダイオード及び液晶セルの制御に係る設計的事項を甲第5号証に記載の発明に適用することで、本件特許発明7は進歩性が欠如する。
すなわち、発光ダイオード及び液晶セルの駆動制御を行う際、演算回路のようなコントローラが制御信号を生成して制御を行うことは設計的な事項にすぎないものである。
そのため、このような制御信号の生成に係る設計的事項を甲第5号証に記載の発明に適用することで、本件特許発明7は進歩性が欠如し、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(8-3)甲第3、5号証による進歩性の欠如
本件特許発明7の
「表示装置であって、前記前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系と、」は、甲第3号証に記載の発明と一致する。
また、本件特許発明7の
「前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系の光源と前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラとを備え、前記コントローラは、前記空間光変調器を制御するように構成される前記信号を調整して、前記光のパターンを有する前記画素と前記空間光変調器の画素との間の画素の大きさの差に起因する前記所望の画像における影響を低減する、表示装置」は、甲第5号証に記載の発明と一致する。
したがって、当業者であれば、甲第3号証及び甲第5号証に基づき、本件特許発明7に容易に想到し得るので、本件特許発明7は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(9)本件特許発明8について
本件特許発明8は、甲第4号証及び甲第5号証によりそれぞれ新規性が欠如するとともに、甲第3、4、5号証等により進歩性が欠如する。
(9-1)甲第4号証による新規性進歩性の欠如
(9-1-1)新規性の欠如
甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4o)を把握でき、この構成要件(4o)は甲4発明-5に適用できるものである。
「光変調器(液晶パネル)17の入射面にほぼ平行な方向に発光管2から発せられる光は、光変調器(液晶パネル)17の後方から、光変調器(液晶パネル)17の入射面にほぼ垂直な方向に反射される」

また、甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4o’)を把握でき、この構成要件(4o’)は甲4発明-6に適用できるものである。
「液晶セル204の入射面にほぼ平行な方向に発光管213から発せられる光は、液晶セル204の後方から、液晶セル204の入射面にほぼ垂直な方向に反射される」

また、甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4o”)を把握でき、この構成要件(4o”)は甲4発明-7に適用できるものである。
「液晶セル204の入射面にほぼ平行な方向に発光管から発せられる光は、液晶セル204の後方から、液晶セル204の入射面にほぼ垂直な方向に反射される」

そして、本件特許発明8の構成要件「前記空間光変調器の面にほぼ平行な方向に前記光源から発せられる光は、前記空間光変調器の後方から、前記空間光変調器の前記面にほぼ垂直な方向に反射される」と、構成要件(4o)、(4o’)、(4o”)とは一致するから、本件特許発明7を引用する本件特許発明8は、甲4発明-5に構成要件(4o)を用いた発明、甲4発明-6に構成要件(4o’)を用いた発明、甲4発明-7に構成要件(4o”)を用いた発明と一致する。

以上のことから、本件特許発明8は、甲第4号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(9-1-2)進歩性の欠如
上記(8-1-2)で記載したように、甲4発明-6、7では、甲4発明-5におけるマイコン63に係る制御が、そのまま適用できるとしたが、仮に、そのまま適用できないとした場合は、甲4発明-6、7に、甲4発明-5に係るマイコン63に係る制御内容を適用することで、本件特許発明8は進歩性が欠如し、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(9-2)甲第5号証による新規性進歩性の欠如
(9-2-1)新規性の欠如
甲第5号証からは、以下に示すような構成要件(5n)を把握でき、この構成要件(5n)は甲5発明-3に適用できるものである。
「液晶セル23の入射面にほぼ平行な方向に発光ダイオード群26から発せられる光は、液晶セル23の後方から、液晶セル23の入射面にほぼ垂直な方向に反射される」

そして、本件特許発明8の上記構成要件と、構成要件(5n)とは一致するから、本件特許発明7を引用する本件特許発明8は、甲第5号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(9-2-2)進歩性の欠如
上記(8-2-2)で記載したように、演算回路15は、制御信号を生成して発光ダイオード群と液晶セル23とを制御するとしたが、仮に、上記のような制御信号を生成することが、甲第5号証に記載された事項、又は記載されているに等しい事項と云えない場合は、制御信号の生成に係る設計的事項を甲第5号証に記載の発明に適用することで、本件特許発明7は進歩性が欠如するので、同様に、本件特許発明7を引用する本件特許発明8も甲第5号証及び設計的事項に基づき、その進歩性は欠如し、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(10)本件特許発明9について
本件特許発明9は、甲第4号証等により新規性及び進歩性が欠如する。
(10-1)甲第4号証による新規性進歩性の欠如
(10-1-1)新規性の欠如
甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4p)を把握でき、この構成要件(4p)は甲4発明-5に適用できるものである。
「発光管2は、光変調器(液晶パネル)17の一方の端部の後方かつ外側、又は光変調器(液晶パネル)18の一方の端部の後方かつ外側に配置される」、

また、甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4p’)を把握でき、この構成要件(4p’)は甲4発明-6に適用できるものである。
「発光管213は、液晶セル204の一方の端部の後方かつ外側に配置される」、

また、甲第4号証からは、以下に示すような構成要件(4p”)を把握でき、この構成要件(4p”)は甲4発明-7に適用できるものである。
「発光管は、液晶セル204の一方の端部の後方かつ外側に配置される」。

そして、本件特許発明9の構成要件「前記光源は、前記空間光変調器の端部の後方かつ外側に配置される」と、構成要件(4p)、(4p’)、(4p”)とは一致するから、本件特許発明7を引用する本件特許発明9は、甲4発明-5に構成要件(4p)を用いた発明、甲4発明-6に構成要件(4p’)を用いた発明、甲4発明-7に構成要件(4p”)を用いた発明と一致する。

以上のことから、本件特許発明9は、甲第4号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(10-1-2)進歩性の欠如
上記(8-1-2)で記載したように、甲4発明-6、7では、甲4発明-5におけるマイコン63に係る制御が、そのまま適用できるとしたが、仮に、そのまま適用できないとした場合は、甲4発明-6、7に、甲4発明-5に係るマイコン63に係る制御内容を適用することで、本件特許発明9は進歩性が欠如し、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(11)本件特許発明10について
本件特許発明10は、甲第4号証及び甲第5号証によりそれぞれ新規性が欠如するとともに、甲第3、4、5号証等により進歩性が欠如する。
(11-1)甲第4号証による新規性進歩性の欠如
(11-1-1)新規性の欠如
甲4発明-1の「液晶パネル120により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」という事項は、甲4発明-5にも用いることができる。
そして、本件特許発明10の構成要件「前記空間光変調器に射影された光の前記パターンの画素は、0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲の半値全幅の光分布関数を有し、d_(2)は、光の前記パターンの画素間の中心から中心までの距離である」と、上記「液晶パネル120により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」という事項とは一致する。

甲4発明-2の「高分子分散型液晶セル222により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」という事項は、甲4発明-7にも用いることができる。
そして、本件特許発明10の上記構成要件と、上記「高分子分散型液晶セル222により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」という事項とは一致する。

したがって、本件特許発明7を引用する本件特許発明10は、甲第4号証に記載された発明であると云うことができ、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(11-1-2)進歩性の欠如
上述したように、本件特許発明10は、甲第4号証により新規性欠如となるが、上記「2-4-2」で記載したように、液晶パネルに関する技術常識が認められない場合、又は、上記「(8-1-2)」で記載したように、マイコン63に係る制御をそのまま適用できないとした場合は、同様に、本件特許発明10は、甲第4号証等に基づき進歩性が欠如するので、本件特許発明10は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(11-2)甲第5号証による新規性進歩性の欠如
(11-2-1)新規性の欠如
「LEDアレイから発せられる光は、約0.46×d_(1)又は約0.9×d_(1)(d_(1)はLED素子ピッチ)の半値全幅の光分布関数を有する、隣接するLED素子へ広がる複数のLED素子に応じた画素成分を含む」と云うLEDアレイに関する技術常識は、甲5発明-3の「発光ダイオード群26」にも適用できる。
そして、このLEDアレイに関する事項は、本件特許発明10の上記構成要件にも一致する。
したがって、本件特許発明10は、甲5発明-3にLEDアレイに関する技術常識を用いた発明と一致し、新規性が欠如するから(特許法第29条第1項第3号)、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(11-2-2)進歩性の欠如
上記(2-5-2)で記載したように、LEDアレイに関する技術常識が認められない場合、又は、上記(8-2-2)で記載したように、制御信号を生成することが、甲第5号証に記載された事項、又は記載されているに等しい事項と云えない場合、これらの進歩性欠如の場合と同様に、本件特許発明10は、甲第5号証等に基づき進歩性が欠如するので、本件特許発明10は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(11-3)甲第3、5号証による進歩性の欠如
上記(2-3-1)で記載したように、「LEDアレイから発せられる光は、約0.46×d_(1)又は約0.9×d_(1)(d_(1)はLED素子ピッチ)の半値全幅の光分布関数を有する、隣接するLED素子へ広がる複数のLED素子に応じた画素成分を含む」と云うLEDアレイに関する技術常識は、甲第3号証に記載の発明が有する「複数のLED」にも参照される。
そして、上記(2-3-1)で記載したように、上記のLEDアレイに関する技術常識は、本件特許発明10の上記構成要件にも一致する。
また、上記(8-3)で記載したように、本件特許発明7は甲第3、5号証により進歩性が欠如するので、本件特許発明7を引用する本件特許発明10も、甲第3、5号証及び上述したLEDアレイに関する技術常識に基づき進歩性が欠如し、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(12)本件特許発明11について
本件特許発明11は方法の発明であり、カテゴリー自体は相違するが、内容的には本件特許発明7と同等である。
そのため、本件特許発明7と同様に、本件特許発明11は、甲第4号証に記載の発明、又は甲第5号証に記載の発明と一致するので、新規性が欠如し(特許法第29条第1項第3号)、また、上述した各技術常識等が認められない場合も、本件特許発明7と同様に、本件特許発明11は、甲第3、4、5号証等の記載に基づき進歩性が欠如するので(特許法第29条第2項)、いずれにせよ同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(13)本件特許発明12について
本件特許発明12は方法の発明であり、カテゴリー自体は相違するが、内容的には本件特許発明5と同等である。
そのため、本件特許発明5と同様に、本件特許発明12は、甲第4号証に記載の発明と一致するので、新規性が欠如し(特許法第29条第1項第3号)、また、上述した各技術常識等が認められない場合は甲第4号証等の記載に基づき進歩性が欠如するので(特許法第29条第2項)、いずれにせよ同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(14)本件特許発明13について
本件特許発明13は方法の発明であり、カテゴリー自体は相違するが、内容的には本件特許発明8と同等である。
そのため、本件特許発明8と同様に、本件特許発明13は、甲第4号証に記載の発明、又は甲第5号証に記載の発明と一致するので、新規性が欠如し(特許法第29条第1項第3号)、また、上述した各技術常識等が認められない場合は甲第4号証又は甲第5号証等の記載に基づき進歩性が欠如するので(特許法第29条第2項)、いずれにせよ同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

(15)本件特許発明14について
本件特許発明14は方法の発明であり、カテゴリー自体は相違するが、内容的には本件特許発明10と、本件特許発明1の「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系とを備え」とを組み合わせた発明と同等である。
そのため、本件特許発明10又は本件特許発明1と同様に、甲第4号証に記載の発明、又は甲第5号証に記載の発明と一致するので、新規性が欠如し(特許法第29条第1項第3号)、また、上述した各技術常識等が認められない場合は甲第3、4、5号証等の記載に基づき進歩性が欠如するので(特許法第29条第2項)、いずれにせよ同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

2.弁駁書での請求人の主張
(1)請求人は、本件訂正後の訂正特許発明1?6について、以下のとおり、主張している。
上記「第2」「2.」「(2)」「a.」と同様、訂正特許発明1に含まれる「請求項1に係る表示装置とは別の装置で生成された空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」という事項は、発明の詳細な説明に記載されていない。
それゆえ、訂正特許発明1は、この点において、サポート要件違反であると共に(特許法第36条第6項第1号)、発明の詳細な説明でサポートされていないことから実施可能要件も満たしていない(特許法第36条第4項)。また、訂正特許発明2?6も同様である。

(2)請求人は、本件訂正後の訂正特許発明7?10について、以下のとおり、主張している。
上記「第2」「2.」「(2)」「b.」と同様、「前記光のパターンが有する前記画素」という事項は、発明の詳細な説明に記載されていないから、訂正特許発明7は、サポート要件違反であると共に(特許法第36条第6項第1号)、実施可能要件も満たしていない(特許法第36条第4項)。
また、訂正特許発明7を引用する訂正特許発明8?10も、同様である。

(3)平成26年3月24日付けの審判事件答弁書(以下、単に「答弁書」という。)に対する請求人の反論
(3-1)甲第1号証に対して
ア.答弁書第3頁第3段落
「本件特許発明1はデュアル変調ディスプレイに関する」という被請求人の主張は、請求項1の記載に基づいていないので誤りである。
訂正特許発明1は、「請求項1に係る表示装置とは別の装置で生成された空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」という事項も、その技術的範囲に含むものであることから、デュアル変調ディスプレイに限定されない。

イ.答弁書第4頁「b. 本件特許発明1と甲第1号証との差異点1」
請求項1に係る訂正が認められない場合、差異点1は存在しなくなる。

ウ.答弁書第6頁「c. 本件特許発明1と甲第1号証との差異点2」
「差異点2は、甲第1号証の明細書によると、拡散器(光学的ローパスフィルタ8)が光アドレッシングユニットの空間周波数以上の高空間周波数を除去することである。」という記載より、被請求人は、甲第1号証に記載の光学的ローパスフィルタ8は、ある所定空間周波数以上の高空間周波数を除去するので、本件特許発明1の「拡散器」と相違すると主張しているように思われるが、この主張は誤りである。
本件特許発明1は、請求項1で単に「拡散器」と記載するだけであるから、その「拡散器」は、ある所定空間周波数以上の高空間周波数を除去する拡散器も当然含むことになるので、請求項1の「拡散器」と、甲第1号証に記載の「光学的ローパルフィルタ8」は相違しない。

エ.答弁書第8頁「d. 作用効果としての「影響」について」
答弁書第8?10頁の「d. 作用効果としての「影響」について」の欄は、例えば、この欄の最初に記載されている「甲第1号証の光のパターンは、高空間周波数のアーティファクトが、ディスプレイの表示やLEDアレイのミキシングの結果であることを説明するために描かれている。」というように(下線は請求人が付した)、甲第1号証の記載において、請求項1に一致すると請求人が指摘した事項と何ら関係しない内容(「高空間周波数のアーティファクト」、「ミキシングの結果」等)を延々と述べるだけであり、考慮に値しない。

オ.答弁書第11頁「e. 甲第6号証について」
甲第6号証の第3頁第3欄47行?第4欄7行の記載において、「光度分布が互いに隣接画素領域に広がった場合」という記載が明確に存在し、また、この記載の後方には、「近隣画素からの光量を排除して、精度よく点灯状態の光度を検査するには、近隣の画素を消灯状態として隣の画素から発した光を低減すればよい。」という記載があり、消灯状態にする画素は、センサ画素ではなく、LCD画素の方であることから、上記の「光度分布が互いに隣接画素領域に広がった場合」とは、隣接するLCD画素の光度分布を指す。
よって、甲第6号証は、検査対象となる液晶ディスプレイ(LCD)において、LCDの画素の光度分布は隣接画素領域へ広がることを記載している。

カ.答弁書第11頁「f. 甲第7号証について」
甲第7号証の段落[0003]で、従来の技術として、以下に示すように、特開平6-11679号公報(甲第6号証)を指摘している
したがって、甲第7号証で用いられる液晶表示装置(液晶ディスプレイ)も、上述した甲第6号証と同等の一般的な特性を具備するので、仮に甲第7号証の図2及び図3において細かな整合性のズレがあったとしても、甲第7号証で使用される液晶表示装置(液晶ディスプレイ)においても、画素の光度分布は隣接画素領域へ広がる。

キ.答弁書第15頁「g. 審判請求人の一般的な共通知識(GCK)について」
被請求人は、答弁書第15?16頁にかけて、審判請求書に記載の技術常識について縷々述べているが、上記「ア」で説明したように、本件特許発明1は「デュアル変調ディスプレイ」に限定されないにもかかわらず、答弁書第16頁で「本件特許発明1は、デュアル変調ディスプレイの特定の範囲の分布関数の使用を主張している。」と記載されていることからも、答弁書第15?16頁の記載は、被請求人の誤った認識に基づく内容であるから、考慮に値しない。

ク.甲第1号証による新規性欠如
請求項1に係る訂正が認められない場合、上述したように差異点1が存在しなくなり、また、差異点2は上述したように誤りであるから、本件特許発明1と「甲1発明-1」、「甲1発明-2」、「甲1発明-3」それぞれとの間に相違点は存在しない。

ケ.甲第1号証等による進歩性欠如
請求項1に係る訂正が認められない場合で、甲第6号証又は甲第7号証の記載事項が何らかの理由により、技術常識と認められないときは、上述したように差異点2は誤りであるから、甲第1号証、LCDパネルの一般的な特性、並びに甲第6号証又は甲第7号証により、本件特許発明1は進歩性が欠如する。

(3-2)甲第2号証に対して
ア.答弁書第17頁「a. 甲第2号証との相違点」について
甲第2号証の図9は、LCD114が画像を表示し、電子光学シャッタアレイ(高速作動液晶バルブ)111は、その表示された画像に対応する位置のシャッタ124をオープンにしていることを示すから、高速作動液晶バルブである電子光学シャッタアレイ111は、光源101?109より発せられた光を空間的に変調している。

イ.甲第2号証の図10について
甲第2号証の高強度投写型受像管(CRT)190を使用した図10に示すシステムについて(審判請求書第47頁参照)、被請求人は今回の答弁書で何ら言及していない。甲第2号証第15頁第3?4行に「本発明のなお他の目的は、前記システム内に使用される適当な光パターン発生用手段として、高輝度投写受像管を利用することである。」と記載されるように(下線は請求人が付した)、高強度投写型受像管(CRT)190は、光パターンを発生し、それにより空間的に変調された光を生成していることは明らかである。

ウ.甲第2号証の図12について
甲第2号証第15頁第5?8行に「この発明の更になお他の目的は、前記照明システム内に使用される適当な光パターンを発生する手段として少なくとも3色のいずれか1つの又はあらゆる組合わせの高輝度発光ダイオード(LED)の二次元マトリックスを使用することである。」と記載されるように(下線は請求人が付した)、図12に示されるLEDアレイ140も、光パターンを発生し、それにより空間的に変調された光を生成していることは明らかである。

エ.答弁書第21頁「b. 甲第8号証について」
甲第8号証の図1(a)(b)において、中央に位置するCRT画素の輝度分布は、右側のCRT画素の方へ広がっている。右側のCRT画素の輝度分布を想定すれば、右側のCRT画素の輝度分布も同様に、中央のCRT画素の方へ広がることになるので、中央のCRT画素の輝度分布と、右側のCRT画素の輝度分布がミキシングすることになる。

オ.答弁書第21頁「c. 甲第9号証について」
審判請求書第55?57頁で記したように、甲第9号証は、LEDアレイに関する技術常識を説明するために用いているだけである。したがって、答弁書第21頁「c. 甲第9号証について」の中で「甲第9号証は、LCDや変調器について言及していない」という被請求人の主張は、的外れである。

カ:甲第2号証による新規性欠如
上述したように、今回の答弁書における被請求人の甲第2号証に対する主張に妥当性はないので、本件特許発明1は依然として、甲第2号証に記載の発明(甲2発明-1?3)により新規性が欠如する。

キ:甲第2号証等による進歩性欠如
上述したように、今回の答弁書における被請求人の甲第2号証等に関する主張に妥当性はなく、また、被請求人は甲第2号証等による進歩性欠如について特に述べていないことから、本件特許発明1は、審判請求書第63?65頁の「(4)-4 甲第2号証等による本件特許発明1の進歩性欠如」の欄で述べたように進歩性が欠如する。

(3-3)甲第3号証に対して
答弁書第23頁における被請求人の甲第3号証に対する主張は、本件特許発明1との対比という観点で基本的に意味不明であり、単に甲第3号証に記載のLEDのバックライトによって放射された光は相互にミキシングしない、という事項を述べるに留まる。

(3-4)甲第4号証に対して
ア:答弁書第24頁「a. 甲第4号証の段落[0007]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0007]の記載を指摘して色々と主張を行っているが、請求人は甲第4号証の段落[0007]の記載を、本件特許発明1の構成要件と対応付けていない。
そのため、本件特許発明1との対比の関係において、甲第4号証の段落[0007]を指摘する被請求人の主張は意味不明である。

イ:答弁書第24頁「b. 甲第4号証の[0008]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0008]の記載を指摘して、光のビームがスムーズにミキシングしないことを示している等と主張しているが、上述したように、本件特許発明1はミキシングに限定されないので、上記のミキシングに関する被請求人の主張は甲第4号証と本件特許発明1との対比において失当である。

ウ:答弁書第25頁「c. 甲第4号証の[0009]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0009]の記載を指摘して、分割ビーム(分割された照明光)が互いにミキシングすることの可能性をなくしている、と云う主張を行っているが、上述したように、本件特許発明1はミキシングに限定されないので、このミキシングに関する被請求人の主張は甲第4号証と本件特許発明1との対比において失当である。

エ:答弁書第25頁「d. 甲第4号証の[0010]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0010]の記載を指摘して、変調器の各領域が同じ照明を取得することを示している、と云う主張を行っているが、甲第4号証と本件特許発明1との対比において、この被請求人の主張は意味不明である。

オ:答弁書第26頁「e. 甲第4号証の[0011]」について
上述したように、本件特許発明1はミキシングに限定されるものではないが、被請求人は、甲第4号証の段落[0011]の記載を指摘して、この記載のみが光りミキシングを示している、というように、甲第4号証に記載の図1(c)に示す実施例がミキシングを示すものであると認めている。
また、答弁書第26、27頁で、「つまり甲第4号証の記載は、拡散光の量を示していない」等の本件特許発明1の構成要件と無関係な主張を行っており、このような被請求人の主張は意味不明である。

カ:答弁書第27頁「f. 甲第4号証の[0016]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0016]の記載を指摘して主張を行っているが、請求人は、この段落[0016]の記載を、本件特許発明1の構成要件と対応付けていないので、本件特許発明1との対比の関係において、甲第4号証の段落[0016]を指摘する被請求人の主張は意味不明である。

キ:答弁書第27頁「g. 甲第4号証の[0023]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0023]の記載を指摘して主張を行っているが、請求人は、この段落[0023]の記載を、本件特許発明1の構成要件と対応付けていないので、本件特許発明1との対比の関係において、甲第4号証の段落[0023]を指摘する被請求人の主張は意味不明である。

ク:答弁書第28頁「h. 甲第4号証の[0025]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0025]の記載を指摘して主張を行っているが、請求人は、この段落[0025]の記載を、本件特許発明1の構成要件と対応付けていないので、本件特許発明1との対比の関係において、甲第4号証の段落[0025]を指摘する被請求人の主張は意味不明である。

ケ:答弁書第28頁「i. 甲第4号証の[0028]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0028]の記載を指摘して主張を行っているが、請求人は、この段落[0028]の記載を、本件特許発明1の構成要件と対応付けていないので、本件特許発明1との対比の関係において、甲第4号証の段落[0028]を指摘する被請求人の主張は意味不明である。

コ:答弁書第29頁「j. 甲第4号証の[0031]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0031]の記載を指摘して、最終的に「したがって甲第4号証は、本件特許発明1の0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲に、互いに隣接する画素を拡散することをしない。」と主張しているが、どのような理由により、そのような主張になるのか、答弁書第30頁の記載から理解不能である。
本件特許発明1は、「空間的に変調された光」が、0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含むものであり、このような特性は、本件特許発明1が具備する拡散器を通過して得られるようになるとは限定されていないので、答弁書第30頁の「フルネルパネル拡散器とともに境界領域は、高周波拡散器の使用を介して、他の領域にミキシングせずに拡散する。」等の被請求人の主張は意味不明である。
また、請求人は、甲第4号証の図6に示す実施例において、高分子分散型液晶セル222が、本件特許発明1に係る特性を有する「空間的に変調された光」を生成することは、甲第6号証及び甲第7号証に記載の技術常識に基づいて主張しており(審判請求書第76頁「(甲4ク)高分子分散型液晶セル222に関する技術常識」参照)、このような請求人の主張に対して、被請求人は何ら反論していない。

サ:答弁書第30頁「k. [0032]の甲第4号証」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0032]の記載を指摘して、「つまり高周波拡散器は、領域をミキシングせず、代わりに各領域内の高空間周波数遷移を除去することで各領域を均一にすることを示す。」と主張するが、上述したように、本件特許発明1はミキシングに限定されないので、上記のミキシングに関する被請求人の主張は甲第4号証と本件特許発明1との対比において失当である。

シ:答弁書第31頁「l. 甲第4号証の[0033]と[0034]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0033]及び[0034]の記載を指摘して、「高周波拡散器はまた、近接した液晶層によって生じるモアレパターンを目立たなくする傾向がある。」と主張するが、甲第4号証と本件特許発明1との対比において、この被請求人の主張は何を意味するのか理解できない。

ス:答弁書第31頁「m. 甲第4号証の[0035]」について
被請求人は、甲第4号証の段落[0035]の記載を指摘して、「甲第4号証は、バックライトが相互にミキシングするための思想を提供していない。」等と主張するが、上述したように、本件特許発明1はミキシングに限定されないので、上記のミキシングに関する被請求人の主張は甲第4号証と本件特許発明1との対比において失当である。

セ:甲第4号証による新規性欠如
上述したように、今回の答弁書における被請求人の甲第4号証に関する主張に妥当性はないので、本件特許発明1は依然として、甲第4号証に記載の発明により新規性が欠如する。

ソ:甲第4号証等による進歩性欠如
上述したように、今回の答弁書における被請求人の甲第4号証等に関する主張に妥当性はなく、また、被請求人は甲第4号証等による進歩性欠如について特に述べていないことからも、本件特許発明1は、審判請求書第80?81頁の「(4)-8 甲第4号証等による本件特許発明1の進歩性欠如」の欄で述べたように進歩性が欠如する。

(3-5)甲第5号証に対して
答弁書第33頁における被請求人の「甲第5号証は、バックライト部分のミキシングを教示しない。」等の主張は、上述したように、本件特許発明1はミキシングに限定されないので、甲第5号証と本件特許発明1との対比において失当であり、また、甲第5号証の段落[0028]の指摘も、被請求人が一体、何を主張したいのか、意味不明である。

(3-6)「(2)本件特許発明2が新規性進歩性を有すること」の誤り
「1600:1の測定値は、単一のレーザビームに限定される」という被請求人の主張は、本件特許発明2に係る請求項2の記載に基づかないので失当である。すなわち、請求項2は「前記表示装置は、800:1よりも大きなコントラスト比を有するダイナミック・レンジ(HDR)表示装置を含む」と記載するだけであるから、本件特許発明2は、レーザビームを照射する場合を除外していない。そのため、上記の「レーザ」に関する被請求人の主張に妥当性はない。しかも、本件特許明細書の段落[0017]の中には「光源12は、例えば、白熱灯、アーク灯等の投影ランプや、レーザや、その他適当な光源であってもよい。」と云う記載があり、光源12にはレーザも適用できるので、この点においても、上述した「レーザ」に関する被請求人の主張が失当であることは明らかである。

(3-7)「(3)本件特許発明3が新規性進歩性を有すること」の誤り
被請求人は、答弁書第34頁において「円光の解消についていずれの甲号証も開示や示唆しないことから、本件特許発明3は新規性進歩性を有する。」と主張するが、この被請求人の主張は、本件特許発明3に係る請求項3の記載に基づくものでないことから、失当である。
請求項3は、「前記空間光変調器は、前記光学系からの光の各画素が前記空間光変調器の複数の画素に共通することに起因する、表示される画像に生じる影響を低減するように制御される」と記載されるように(下線は請求人が付した)、本件特許発明3は「円光の解消」に限定されるものではない。

(3-8)「(4)本件特許発明4が新規性進歩性を有すること」の誤り
被請求人は、答弁書第34頁において「円光の解消についていずれの甲号証も開示や示唆しないことから、本件特許発明4は新規性進歩性を有する。」と主張するが、この被請求人の主張は、本件特許発明3の場合と同様に、本件特許発明4に係る請求項4の記載に基づくものでないことから、失当である。
請求項4は、「前記表示装置は更に、前記第1の分解能と前記第2の分解能との間の差に起因する影響を低減するように、表示される所望の画像を含む画像信号に従って前記空間光変調器を制御する」と記載されるように(下線は請求人が付した)、本件特許発明4は「円光の解消」に限定されるものではない。

(3-9)「(5)本件特許発明5-6が新規性進歩性を有すること」の誤り
被請求人は、答弁書第35頁において「独立請求項である本件特許発明1が新規性進歩性を有する理由と同様に、従属請求項である本件特許発明5と6も新規性進歩性を有する。」と主張するに留まり、本件特許発明5、6が独自に新規性進歩性を有することは何ら主張していない。

(3-10)「(6)本件特許発明7が新規性進歩性を有すること」の誤り
被請求人は、答弁書第35頁において「本件特許発明4が新規性進歩性を有する理由と同様に、本件特許発明7も新規性進歩性を有する。」と主張するが、上記のように、本件特許発明4の新規性進歩性は依然として欠如することから、同様に、本件特許発明7についても新規性進歩性は欠如する。
本件特許発明7の本来の「前記所望の画像における影響を低減する」という事項については、審判請求書第145?163頁の「(10)本件特許発明7の新規性進歩性欠如について」の欄で説明したように、甲第4、5号証に開示されている(特に審判請求書第153頁の甲4n、第156頁の甲4n′、第157頁の甲4n″、第161頁の甲5mの各事項等参照)。

(3-11)「(7)本件特許発明8-9が新規性進歩性を有すること」の誤り
被請求人は、答弁書第35頁において「独立請求項である本件特許発明7が新規性進歩性を有する理由と同様に、従属請求項である本件特許発明8と9も新規性進歩性を有する。」と主張するに留まり、本件特許発明8、9が独自に新規性進歩性を有することは何ら主張していない。

(3-12)「(8)本件特許発明10が新規性進歩性を有すること」の誤り
被請求人は、答弁書第36頁において「本件特許発明1が新規性進歩性を有する理由と同様に、本件特許発明10も新規性進歩性を有する。」と主張するだけであり、本件特許発明1については上述したように、今回の答弁書における被請求人の主張に妥当性は無いことから、依然として、その新規性進歩性は欠如し、それゆえ、本件特許発明10も同様に、新規性進歩性を有しない。

(3-13)「(9)本件特許発明11-14が新規性進歩性を有すること」の誤り
被請求人は、答弁書第36頁において「本件特許発明7-10が新規性進歩性を有する理由と同様に、カテゴリー違いの本件特許発明11-14も新規性進歩性を有する。」と主張するだけであり、本件特許発明7-10については上述したように、今回の答弁書における被請求人の主張に妥当性は無いことから、依然として、その新規性進歩性は欠如し、それゆえ、本件特許発明11-14も同様に、新規性進歩性を有しない。

3.平成26年9月11日付けの口頭審理陳述要領書での請求人の主張
請求人は、平成26年6月17日付けの審理事項通知書(以下、単に「審理事項通知書」という。)で通知した審理事項について、以下のように、主張している。

(1)審理事項通知書の「請求人に対して」の(1)について
甲4発明-1として、「ミラー7、9、11、12、及びダイクロミラー8、10等を含む光学系により伝達される光が、第2はえの目レンズ3bを通過して光変調器16、17、18に達するように」とした根拠は(下線は請求人が付した)、「第2の光変調器120」以降の「第2はえの目レンズ3b」等の各構成部材の配列順を説明するためではなく、「第2はえの目レンズ3b」を通過した光が、「光学系」で伝達されて、「光変調器16、17、18」へと導かれるという「光学系」で伝達される光の流れを説明するためである。
甲4発明-1(審判請求書第75頁に記載の甲4発明-1)における「光学系」は、甲4号証の図1(次頁参照)の光の進行方向において、「光変調器(液晶パネル)16、17、18」より後方(光の進行方向と逆方向)の範囲に位置する「ミラー7、9、11、12」、「ダイクロミラー8、10」、「フィールドレンズ13、14、15」及び「リレーレンズ6、24」等を少なくとも含むように構成されており、この「光学系」により伝達される光は、その流れの経緯を見ると、「光学系」の前で「第2はえの目レンズ」を通過し、「光学系」の後で「光変調器(液晶パネル)16、17、18」へ達しており、このように伝達される光の流れを上記のように記載している。
なお、同様の光の流れの経緯は、本件特許発明1の「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、・・・」の部分についても当てはまる。
すなわち、上記の構成要件の部分は、「前記光学系によりで伝達される光」という表現になっており、「前記光学系により伝達された光」というように「伝達された」になっていない。
「前記光学系により伝達された光」の場合、その「光」は「伝達された」のであるから、光学系を既に通過して伝達されたことを意味する。
一方、本件特許発明1の上記部分の中では、「前記光学系により伝達される光」であるから、この「光」は、光学系を通過して伝達されたことだけでなく、より広く、単に「光学系により伝達される」ことを意味する。
そのため、「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、・・・」という部分は、「光学系」により伝達されることになる光が、「拡散器」を通過して「空間光変調器」へ達するという光の流れを規定するだけであり、この光の流れによって、「拡散器」、「空間光変調」という配列の順は特定されるが、「光学系」が「拡散器」の前方(光の進行方向とは逆方向)に位置しなければならないことまでは特定されない。
したがって、上記部分は、配列の順序が「拡散器」、「空間光変調器」の順になることを規定するが、「光学系」の配列順までは規定していないので、例えば、配列順が「拡散器」、「光学系」、「空間光変調器」の順になる場合も、その技術的範囲に含まれており、この例の場合が、甲4発明-1と一致する。

(2)審理事項通知書の「請求人に対して」の(2)について
甲4発明-2として、「高分子分散型液晶セル222により空間的に変調された光を、液晶セル204と拡散板202とに伝達するように構成された導光板を含む光学系」とした根拠は、「導光板221」から「液晶セル206」へと至るまでの各構成部材の配列順を説明するためではなく、「高分子分散型液晶セル222(PDLC222)」により空間的に変調された光を、「液晶セル204」と「拡散板202」とに伝達するという光の流れが、「光学系」により達成されていることを説明するためである。
そして、甲4発明-2は、「PDLC222」、「拡散板202」、「液晶セル204」を上方へ向かって積層しており、発光管から発せられた光を「光学系(導光板)」により「PDLC222」へ導くことで、「PDLC222」により空間的に変調された光を、結果として「液晶セル204」と「拡散板202」とに伝達するように構成されているので、「高分子分散型液晶セル222により空間的に変調された光を、液晶セル204と拡散板202とに伝達するように構成された導光板を含む光学系」という事項が成立する。
なお、本件特許発明1の構成要件1Dは、「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系と」であることから、「空間的に変調された光」が「光学系」を通過することまでは規定しておらず、『「光学系」により伝達される光が「拡散器」を通過して「空間光変調器」に達すること』および『空間的に変調された光を、「空間光変調器」と「拡散器」とに伝達するように構成されたこと』が、「光学系」に関する発明特定事項であり、このような記載ぶりの「光学系」に関する発明特定事項は、甲4発明-2の上述した事項も含むものになっている。

4.請求人の提示した証拠方法
請求人が提示した証拠方法は以下のとおりである。

甲第1号証:特開平7-104310号公報
甲第2号証:特表平8-505014号公報
甲第3号証:特開2001-142409号公報
甲第4号証:特開2001-100689号公報
甲第5号証:特開平10-282470号公報
甲第6号証:特開平6-11679号公報
甲第7号証:特開平8-75542号公報
甲第8号証:特開平5-196959号公報
甲第9号証:特開平8-111545号公報
甲第10号証:特開平5-45605号公報
甲第11号証:特開平11-271889号公報
甲第12号証:特開平8-76077号公報
甲第13号証の1:米国仮出願60/271,563明細書等
甲第13号証の2:米国仮出願60/271,563明細書等の翻訳
甲第14号証:特表2004-523001号公報(本件特許の原出願)
甲第15号証:特許第5079759号公報(本件特許の登録公報)
甲第16号証:本件特許の別の無効審判(無効2013-800140)において、被請求人が平成25年12月19日付けで提出した審判事件答弁書


第5 被請求人の主張
1.答弁書での被請求人の主張
被請求人は、「訂正を認める、本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする,との審決を求める。」とし、その理由を、本件特許発明1-14は、特許法第29条第1項及び第2項に規定する要件を満たすから、特許法第123条第1項第2号の無効理由を有しないとして、概略、以下のとおり主張している。ただし、答弁書において、主張の内容や主張の趣旨が判然としない記載が存在するところ、主張の内容や主張の趣旨がある程度理解できるもののみについて、以下に記載している。

(1)訂正特許発明1が新規性進歩性を有すること
(1-1)甲第1号証に対して
a.本件特許発明1の訂正
訂正特許発明1では、空間的に変調されて光学系によって空間光変調器に伝達された光が、空間光変調器によって更に空間的に変調される旨を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
つまり、訂正特許発明1はデュアル変調ディスプレイに関する。

b.訂正特許発明1と甲第1号証との差異点1
甲第1号証に記載された発明では、書き込み光発生手段3からの空間的に変調された光出力は、光変調器10を通過せず、空間光光変調器10によって変調されることもない。

c.訂正特許発明1と甲第1号証との差異点2
甲第1号証の光学的ローパスフィルタ8の目的は、訂正特許発明1とは異なり、互いに画素を拡散させることではない。訂正特許発明1の「隣接する画素へ広がる」という記載は、拡散つまりミキシングを意味する。

(1-2)甲第2号証に対して
a.訂正特許発明1と甲第2号証との相違点
甲第2号証の第9図に図解された電気光学シャッタアレイ111のオン-オフは、LCD114の走査と同期して制御されるものであり、それはLCD114上に投影された「光のパターン」ではない。

(1-3)甲第3号証に対して
甲第3号証では、バックライトの画素によって放射された光は、相互にミキシングしない。また、甲第3号証の図2において、バックライトは空間的に変調されていない。

(1-4)甲第4号証に対して
甲第4号証は、バックライトが相互にミキシングするための思想を提供していない。

(1-5)甲第5号証に対して
甲第5号証は、バックライト部分のミキシングを教示しない。

(2)訂正特許発明2が新規性進歩性を有すること
甲第12号証について、1600:1の測定値は、単一のレーザビームに限定される。

(3)訂正特許発明3が新規性進歩性を有すること
円光の解消についていずれの甲号証も開示や示唆しないことから、訂正特許発明3は新規性進歩性を有する。

(4)訂正特許発明4が新規性進歩性を有すること
円光の解消についていずれの甲号証も開示や示唆しないことから、訂正特許発明4は新規性進歩性を有する。

(5)訂正特許発明5-6が新規性進歩性を有すること
独立請求項である訂正特許発明1が新規性進歩性を有する理由と同様に、従属請求項である訂正特許発明5-6も新規性進歩性を有する。

(6)訂正特許発明7が新規性進歩性を有すること
訂正特許発明4が新規性進歩性を有する理由と同様に、訂正特許発明7も新規性進歩性を有する。
訂正特許発明7は、画素サイズにおける違いに起因するアーティファクトを低減する。甲第3号証-甲第5号証のいずれも、画素サイズにおける違いに起因するアーティファクトを低減することを開示も示唆もしていない。

(7)訂正特許発明8-9が新規性進歩性を有すること
独立請求項である訂正特許発明7が新規性進歩性を有する理由と同様に、従属請求項である訂正特許発明8-9も新規性進歩性を有する。

(8)訂正特許発明10が新規性進歩性を有すること
訂正特許発明1が新規性進歩性を有する理由と同様に、訂正特許発明10も新規性進歩性を有する。

(9)訂正特許発明11-14が新規性進歩性を有すること
訂正特許発明7-10が新規性進歩性を有する理由と同様に、カテゴリー違いの訂正特許発明11-14も新規性進歩性を有する。

2.平成26年9月11日付けの口頭審理陳述要領書での被請求人の主張
請求人は、審理事項通知書で通知した審理事項について、以下のように、主張している。

(1)審理事項1.について
段落【0030】には、「プロジェクタ37は画像38をスクリーン34上に投影する。」という記載があり、プロジェクタは、単にLCDに同期して光の領域をオン-オフに切り換えるだけではなく、むしろ実際の画像を、空間的に変調された光として生成する。
段落【0044】には、「制御装置は、所望の画像に近いものを与えるために低分解能光変調器の画素を設定する。」という記載がある。
したがって、本件特許発明1の「空間的に変調された光」は、甲第2号証に記載されるような、LCDの走査に同期してオン-オフ制御されることによって得られる光を含まない。

(2)弁駁書に対する反論
(2-1)弁駁書第3頁第4段落への反論
請求人は、訂正特許発明1は、請求項1に係る表示装置とは別の装置で生成された空間的に変調された光が、空間変調器を通過するのに伴って更に変調されるという事項も含むと主張するが、訂正特許発明1において、更に変調するための変調器に提供される任意の空間的に変調された光は、図4、6に例示されるように、表示装置の一部であるから、請求人の該主張は意味をなさない。

(2-2)弁駁書第9頁の「A.(1の1)甲第1号証に対して ア:答弁書第3頁第3段落」への反論
請求人は、本件特許発明1はデュアル変調ディスプレイであるという被請求人の主張は請求項1の記載に基づかないと主張するが、デュアル変調ディスプレイというのは、変調された光が「更に変調」されることを意味するのであるから、請求項1の記載から分かることである。

(2-3)弁駁書第11頁の第2段落への反論
請求人は、本件特許発明1の「拡散器」と甲第1号証に記載の「光学的ローパスフィルタ8」は相違しないと主張するが、仮に、相違しないとした場合でも、両者は全く異なった機能をする。つまり、甲第1号証に記載の「光学的ローパスフィルタ8」は複数の均一な画素を作るのに対し、本件特許発明1の「拡散器」は望ましい画素同士のミキシングを実現する。
また、請求人は、「隣接する画素へ広がる」はミキシングしない場合を含むと主張するが、本件特許発明1はミキシングを必要とする。
さらに、請求人は、画素の光が広がってもミキシングが生じない場合もあると主張するが、本件特許発明1はこのような場合を意図していない。

(2-4)弁駁書第12頁の「エ:答弁書第8頁「d. 作用効果としての「影響」について」」への反論
ミキシングは本件特許発明1に密接に関連しており、そしてミキシングは甲第1号証では行われていない。

(2-5)弁駁書第12頁の「オ:答弁書第11頁「e. 甲第6号証について」」への反論
ミキシングは本件特許発明1に密接に関連しているのに対し、ミキシングは甲第1号証では行われていない。

(2-6)弁駁書第15頁の「キ:答弁書第15頁「g. 審判請求人の一般的な共通知識(GCK)について」」への反論
本件特許発明1の表示装置は、デュアル変調表示装置である。

(2-7)弁駁書第17頁のB.「ア:答弁書第17頁「a. 甲第2号証との相違点」について」への反論
請求人は、甲第2号証の図9において、電子光学シャッタアレイ111は、光源101?109より発せられた光を空間的に変調していると主張するが、個々のシャッタは、一定のバックライトが液晶表示ディスプレイパネルの通電に同期して当該液晶表示ディスプレイの画素を照らすことを許可するに過ぎず、バックライトの画素は、空間的に変調されて変化しているのではない。

(2-8)弁駁書第19頁の第1行「イ:甲第2号証の図10について」への反論
甲第2号証の図10の装置は,図9の装置と同様に作動していると考えられる。高強度投写受像管(CRT)190は、光の時間多重化された複数の点を生成し、またはパネル193に表示される画像の複数の部分に同期する複数の線を提供するに過ぎない。

(2-9)弁駁書第19頁の第3段落「ウ:甲第2号証の図12について」への反論
甲第2号証の図12のLEDアレイ140は、結局、図9のバックライトおよび電子工学シャッタアレイ111や、図10の高強度投写受像管(CRT)190と同じ作動をしているに過ぎない。甲第2号証の図12では、空間的に変調されてもいないし、空間的に変調された光でもない。

(2-10)弁駁書第20頁の第3段落「エ:答弁書第21頁「b. 甲第8号証について」」への反論
弁駁書第21頁の図1(a)と図1(b)を繋ぐ、請求人が作図した破線は、不適切である。図1(a)が個々のCRT画素の範囲つまり地理的正確さを示すのに対し、図1(b)は輝度分布のグラフである。つまり全く意図の違う2つの図を繋ぐのは無理がある。

(2-11)弁駁書第31頁の第2段落「J.「(6)本件特許発明7が新規性進歩性を有すること」の誤り」への反論
「第1の分解能と第2の分解能との間の差」は、「円光の解消」への主な寄与である。しかし「円光の解消」だけでなく、他のアーティファクト(視差効果つまりパララックスなど)も本件特許発明7によって低減される。「円光の解消」は一例である。

3.被請求人の提示した証拠方法
被請求人の提示した証拠方法は 以下のとおりである。

乙第1号証:Electrooptics PHENOMENA,MATERIALS AND APPLICATIONS、ACADEMIC PRESS LIMITED、1994
乙第2号証:特開平9-127544号公報


第6 当審の判断
1.優先権主張の効果について
(1)訂正特許発明1?14に係る出願は、その親出願(特願2002-568092号)に対応する国際出願(PCT/CA02/00255)において、米国仮出願(60/271,563:以下、単に「仮出願」という。)に基づく優先権を主張しているところ、請求人は、該優先権主張の効果は認められないと主張しているので、該優先権主張の効果について検討する。なお、被請求人は、該優先権主張の効果についての請求人の主張に反論を行っていない。

(2)訂正特許発明1について
仮出願(甲第13号証の1(請求人が提出した翻訳文(甲第13号証の2)参照))には、「一旦、所望のコントラストに達すれば、最後のLCDはディスプレイの画面として機能する。その最後のLCDに付けられた拡散器(5)は、所望の立体角φで出射光を拡散する。」と記載され、図1からも、最後の「LCD(2)」の出射側に「拡散器(5)」が配置された構成が読み取れること、また、仮出願には、最後の「LCD(2)」と「拡散器(5)」の他の配置が記載も示唆もされていないことから、仮出願には、訂正特許発明1の「前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、」という発明特定事項は記載されていないと認められる。
すると、該発明特定事項を有する訂正特許発明1について、該優先権主張の効果は認められない。

(3)訂正特許発明2?6について
訂正特許発明2?6は、訂正特許発明1を引用するものであり、上述したように訂正特許発明1について、該優先権主張の効果が認められないことから、同様に、訂正特許発明2?6についても、該優先権主張の効果は認められない。

(4)訂正特許発明7について
仮出願には、画素の大きさに関する記載は全くないことから、仮出願には、訂正特許発明7の「第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器」という発明特定事項は記載されていないと認められる。
すると、該発明特定事項を有する訂正特許発明7について、該優先権主張の効果は認められない。

(5)訂正特許発明8?10について
訂正特許発明8?10は、訂正特許発明7を引用するものであり、上述したように訂正特許発明7について、該優先権主張の効果が認められないことから、同様に、訂正特許発明8?10についても、該優先権主張の効果は認められない。

(6)訂正特許発明11について
仮出願には、画素の大きさに関する記載は全くないことから、仮出願には、訂正特許発明11の「各第1画素は複数の第2画素に共通すると」という発明特定事項は記載されていないと認められる。
すると、該発明特定事項を有する訂正特許発明11について、該優先権主張の効果は認められない。

(7)訂正特許発明12?14について
訂正特許発明12?14は、訂正特許発明11を引用するものであり、上述したように訂正特許発明11について、該優先権主張の効果が認められないことから、同様に、訂正特許発明12?14についても、該優先権主張の効果は認められない。

(8)以上のとおり、訂正特許発明1?14の全てについて、該優先権主張の効果は認められず、新規性及び進歩性に係る判断基準日は、親出願の国際出願日(2002年(平成14年)2月27日)となる。
すると、請求人が提出した甲第1?12号証は、いずれも、親出願の国際出願日より前に頒布されたものである。

2.訂正特許発明1について
(1)甲第1号証による新規性進歩性の欠如について
a.甲第1号証には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a-1)「【0002】
【従来の技術】光アドレス空間光変調器に情報を書き込み、光源光を変調してスクリーン上に投影表示する表示装置が従来より知られ、この概略構成は、図5に示すようになっている。同図において表示装置20は、光アドレス空間光変調器(以下、空間光変調器と称する)10と、この空間光変調器10に書き込み光を照射するための書き込み光発生手段3と、この書き込み光発生手段3より発せられた書き込み光を上記空間光変調器10へ導くための光誘導手段4である結像レンズ4Aと、投影光を発生するための投影ランプ5と、この投影ランプ5より発せられる投影光、及び空間光変調器10からの読み出し光をP波,S波に分離するための偏光ビームスプリッタ6と、投影レンズ7とを有している。
【0003】また、上記空間光変調器10は、図6に示すような構造になっており、透明基板11A,11Bの透明電極12A,12Bとの間に、光導電層13、誘電体ミラー14、光変調層15が各々この順で積層された構造になっている。また、上記書き込み光発生手段3は、光源21と、偏光子22と、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示板)パネル23と、検光子24とから構成されている。なお、この書き込み光発生手段3としては、同図に示すようなLCDパネルを用いたものの他に、CRTや、LEDアレイ等を用いたものがあることは周知の通りである。更に、上記光誘導手段4としては、結像レンズ4Aの他に、セルフォックレンズ、マイクロレンズアレイ、光ファイバプレート等があることも周知の通りである。
【0004】上記表示装置20において、書き込み光発生手段3のLCDパネル23に映像電気信号を入力すると、光源21から発せられた光は、LCDパネル23を介して書き込み光として発せられ、結像レンズ4Aを介して空間光変調器10の光導電層13へ照射される。光導電層13に書き込み光が照射されると、液晶である光変調層15には、書き込み光に応じた偏光形態が現れる。そして、投影ランプ5から偏光ビームズプリッタ6を介して光変調層15に投影光を照射すると、光変調層15上の偏光形態に応じた読み出し光が偏光ビームズプリッタ6を介して投影レンズ7に出力され、上記映像電気信号に応じた投影画が投影レンズ7前方に配置したスクリーン等に投影されることになる。この表示装置20は、比較的微弱な書き込み光を用いて空間光変調器10に書き込んでも、大出力な投影ランプ5を用いることにより、高輝度、高解像度を両立させることができる。」

(a-2)「【0014】以下、最高空間周波数を越える空間周波数成分を除去するための実施例を、添付図面を参照して説明する。なお、上述の従来例で説明した部分は、同符号を付しその説明を省略する。
【0015】最初に、本発明の第一の実施例として光学的ローパスフィルタを使用する場合を説明する。図1は、本発明の第一の実施例の表示装置の概略構成図である。同図に示す表示装置1は、上記表示装置20において、結像レンズ4Aと空間光変調器10との間に、水晶板による光学的ローパスフィルタ8を設けた構成になっている。この結果、光導電層13に照射される書き込み光は、水晶板による光学ローパスフィルタ8によって各画素が拡散され、最高空間周波数を越える空間周波数成分が除去されることになる。
【0016】ここで、上記水晶板は、周知のように複屈折を利用した光学ローパスフィルタであり、除去したい空間周波数成分にあわせて水晶板の厚みやカット軸を選択すれば良い。なお、光学ローパスフィルタ8を設ける位置は、結像レンズ4Aと書き込み光発生手段3との間に設けても良く、更に、光誘導手段4も結像レンズ4Aに限らず、セルフォックレンズ、マイクロレンズアレイ、或いは光ファイバプレートを使用しても良く、書き込み光発生手段3においてもCRT30や、LEDアレイ31が使用されても良い。
【0017】また、水晶板以外の光学ローパスフィルタとしては、光導電層13の感度域の波長の光を透過する光透過性平行平板、例えば、任意の厚みのガラス板を使用することが可能である。光透過性平行平板の厚みは、空間光変調器10の光導電層13上に結像される書き込み光が、その解像度を低下させない程度にデフォーカスの状態になるように、屈折率を考慮して適宜決定される。この光透過性平行平板は、上述の水晶板と同様に、空間光変調器10と書き込み光発生手段3との間に設けられる。このように光透過性平行平板を空間光変調器10と書き込み光発生手段3との間に設けることにより、書き込み光の光学的光路長が変化して書き込み光の結像位置がずれて、最高空間周波数を越える空間周波数成分が除去される。
【0018】また、水晶板や、光透過性平行平板による光学的ローパスフィルタ8を設ける方法の他に、光導電層13上の書き込み光が、その解像度が低下しない程度に適量デフォーカスの状態になるように空間光変調器10、情報発生手段3、光誘導手段4を設置する方法もある。このように空間光変調器10、情報発生手段3、光誘導手段4の設置位置を調節するだけでも、水晶板や光透過性平行平板等による光学ローパスフィルタ8を設けたときと同様の効果を得ることができる。
【0019】なお、上記説明した光学的ローパスフィルタ8は、最高空間周波数を越える空間周波数成分を除去できるものであれば、水晶板や、光透過性平行平板だけに限定されることはなく、従来より知られる光学的ローパスフィルタを使用することが可能である。
【0020】次に、第二の実施例として、機械的に行う方法に付いて説明する。図2は、本発明の表示装置の第二の実施例の要部の構成を示す図である。同図において、表示装置2は、上述の表示装置20に対し、書き込み光発生手段3の構成が異なる。即ち、表示装置2における書き込み光発生手段3Aは、映像電気信号に応じてライン状の書き込み光を発生するLEDアレイ31と、このLEDアレイ31をそのライン方向に振動させるための例えば圧電素子或いはコイル等による振動手段33と、上記LEDアレイ31からのライン状の画像情報光を偏向ミラー34Aを用いて、空間光変調器10の光導電層13上に垂直方向に走査させる偏向手段34とを備えている。
【0021】この表示装置2において、LEDアレイ31は、振動手段33によりライン方向に振動される。この振動量Δlは、図3に示すようにLEDアレイ31の発光素子32の間隔d1 の1/2以下の量である。また、LEDアレイ31を振動させる速度は、映像電気信号の1ラインの書き込み時間に対して十分速い速度で振動させるようにする。このようにLEDアレイ31を振動させることで、図9(B)で示したLEDアレイ31から発生した光の輝度分布は平均化され、解像度が低下することなく最高空間周波数を越える空間周波数成分が除去されることになるのである。」

(a-3)「【図1】

【図2】

【図3】

【図5】

【図6】

【図9】



すると、甲第1号証の記載事項から、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-1発明」という。)が記載されている。

「光アドレス空間光変調器10と、この光アドレス空間光変調器10に書き込み光を照射するための書き込み光発生手段3と、この書き込み光発生手段3より発せられた書き込み光を上記光アドレス空間光変調器10へ導くための光誘導手段4である結像レンズ4Aと、投影光を発生するための投影ランプ5と、この投影ランプ5より発せられる投影光、及び光アドレス空間光変調器10からの読み出し光をP波,S波に分離するための偏光ビームスプリッタ6と、投影レンズ7とを有し、結像レンズ4Aと光アドレス空間光変調器10との間に、水晶板による光学的ローパスフィルタ8を設けた表示装置1であって、
上記光アドレス空間光変調器10は、透明基板11A,11Bの透明電極12A,12Bとの間に、光導電層13、誘電体ミラー14、光変調層15が各々この順で積層された構造になっており、また、上記書き込み光発生手段3は、光源21と、偏光子22と、LCDパネル23と、検光子24とから構成されていて、
上記表示装置1において、書き込み光発生手段3のLCDパネル23に映像電気信号を入力すると、光源21から発せられた光は、LCDパネル23を介して書き込み光として発せられ、結像レンズ4Aを介して空間光変調器10の光導電層13へ照射され、光導電層13に書き込み光が照射されると、液晶である光変調層15には、書き込み光に応じた偏光形態が現れ、そして、投影ランプ5から偏光ビームズプリッタ6を介して光変調層15に投影光を照射すると、光変調層15上の偏光形態に応じた読み出し光が偏光ビームズプリッタ6を介して投影レンズ7に出力され、上記映像電気信号に応じた投影画が投影レンズ7前方に配置したスクリーン等に投影されることになり、
光導電層13に照射される書き込み光は、水晶板による光学ローパスフィルタ8によって各画素が拡散され、最高空間周波数を越える空間周波数成分が除去されることになる、
表示装置1。」

b.請求人の主張する甲1発明-1について
請求人は、甲第6、7号証に記載の技術常識を参照して、甲第1号証から甲1発明-1を認定している。
詳細には、まず、甲第6号証の図1を実測して、約0.62×d_(1)の半値全幅を有する光度分布が記載されていると認定している。
しかし、甲第6号証の図1は、甲第6号証の段落【0007】に「図1は本発明の原理を説明するための図である。」と記載されるように、液晶ディスプレイの画素の実際の光度分布ではなく、いわゆる、原理をわかりやすく説明するための模式図に類するものであるから、該図1を実測して、半値全幅を求めることに意味はないし、さらに、液晶表示ディスプレイが、そのように実測して得られた約0.62×d_(1)の半値全幅を有する光度分布を有することが、技術常識であるとは認められない。
次に、甲第7号証の図3の表示光量の分布を、図6の発光画素に組み合わせた参考図1なるものを提示して、その実測から、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)の半値全幅を有する光度分布が記載されていると認定しているが、そもそも、該図3の表示光量の分布と該図6の発光画素の縮尺の関係が、甲第7号証の全記載を参照しても不明であって、該図3の表示光量の分布と該図6の発光画素を組み合わせることはできないから、該参考図1自体の成立が認められず、請求人の甲第7号証に基づく主張は、その前提が誤りである。
してみると、請求人が、甲第6、7号証の記載から、液晶表示ディスプレイの画素が約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)の半値全幅を有する光度分布を有することが技術常識であるとする主張は採用できず、甲1発明-1が、「LCDパネル23により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」という発明特定事項を含むとの請求人の認定は採用できない。

c.対比
(a)訂正特許発明1と甲1-1発明との対比
(a-1)
甲1-1発明の「表示装置1」、「光アドレス空間光変調器10」は、それぞれ、訂正特許発明1の「表示装置」、「空間光変調器」に相当する。

(a-2)
甲1-1発明の「この書き込み光発生手段3より発せられた書き込み光」、「光誘導手段4である結像レンズ4A」は、それぞれ、訂正特許発明1の「空間的に変調された光」、「光学系」に相当し、また、甲1-1発明の「水晶板による光学的ローパスフィルタ8」と、訂正特許発明1の「拡散器」とは、「光学素子」である点で一致するから、
甲1-1発明の
「この書き込み光発生手段3より発せられた書き込み光を上記光アドレス空間光変調器10へ導くための光誘導手段4である結像レンズ4Aと、」「を有し、結像レンズ4Aと光アドレス空間光変調器10との間に、水晶板による光学的ローパスフィルタ8を設けた」構成は、訂正特許発明1の
「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系」とは、
「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記光学素子を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記光学素子とに伝達するように構成された前記光学系」で一致する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲1-1発明は、
「表示装置であって、
空間光変調器と、
光学素子と、
光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記光学素子を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記光学素子とに伝達するように構成された前記光学系と
を備える、表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-1-1-1)
光学素子が、訂正特許発明1では、「拡散器」であるのに対して、甲1-1発明では、「水晶板による光学的ローパスフィルタ8」である点。

(1-1-1-2)
空間的に変調された光が、訂正特許発明1では、「0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含み、d_(2)は、画素間の中心から中心までの距離である」のに対して、甲1-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

(1-1-1-3)
光学系からの空間的に変調された光が、訂正特許発明1では、「前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」のに対して、甲1-1発明では、「光源21から発せられた光は、LCDパネル23を介して書き込み光として発せられ、結像レンズ4Aを介して空間光変調器10の光導電層13へ照射され、光導電層13に書き込み光が照射されると、液晶である光変調層15には、書き込み光に応じた偏光形態が現れ」る点。

d.判断
上記相違点(1-1-1-3)について検討する。
甲第1号証には、甲1-1発明のような「光アドレス空間光変調器」を使用することを前提とする技術事項が記載されるのみであることは明らかであって、甲1-1発明の「光アドレス空間光変調器」を周知のLCDやDMDのような入射光を変調する空間光変調器に置き換える動機付けは存在しないといえる。
すると、甲1-1発明やその他の周知技術を参酌しても、上記相違点(1-1-1-3)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明1は、甲1-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-1-1-3)で相違し、訂正特許発明1は甲1発明ではないし、また、訂正特許発明1は、甲第6号証、甲第7号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲1-1発明から当業者が容易に発明し得たものともいえない。

e.請求人の主張する甲1発明-2、甲1発明-3について
請求人は、甲1発明-1の「LCDパネル23」を、「CRT30」、「LEDアレイ31」に換えた甲1発明-2、甲1発明-3によっても、訂正特許発明1は新規性進歩性が欠如する旨主張する。
しかし、甲1-1発明の「LCDパネル23」を「CRT30」、「LEDアレイ31」に換えた発明(それぞれ、「甲1-2発明」、「甲1-3発明」という。)を認定しても、甲1-1発明と同様、上記相違点(1-1-1-3)と同様の相違点により、訂正特許発明1は「甲1-2発明」又は「甲1-3発明」ではないし、「甲1-2発明」又は「甲1-3発明」から当業者が容易に発明し得たものでもない。

なお、請求人が主張するように、仮に、甲第1号証の図9(A)から「CRT30により空間的に変調された光は、約1×d_(1)(d_(1)はCRT画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」、また、甲第1号証の図9(B)から「LEDアレイ31により空間的に変調された光は、約0.9×d_(1)(d_(1)はCRT画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」構成を認定したとしても、訂正特許発明1と「甲1-2発明」又は「甲1-3発明」との対比において、上記相違点(1-1-1-2)と同様の相違点が相違点ではなくなるだけであって、上記相違点(1-1-1-3)と同様の相違点の認定及びこれらについての判断は変わることがないから、請求人の該主張は、上述した、訂正特許発明1は「甲1-2発明」又は「甲1-3発明」ではないし、「甲1-2発明」又は「甲1-3発明」から当業者が容易に発明し得たものでもないとの判断を覆すものではない。

f.結論
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものともいえないから、訂正特許発明1は、甲第1号証等によっては、無効とすることはできない。

(2)甲第2号証による新規性進歩性の欠如について
a.甲第2号証には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a-1)「LCD走査のタイミング順序(この間全ての画素がアドレス指定される)、次の画像成分を形成するための画素透過率変化、及び少数のランプが第2図におけるような完全解像度3-D作像に使用されるときの光源ターンオン、ターンオフが、第3a-3c図に示されている。
タイミング線図が、第3a-3c図に示されている。第3a図は、最上行で開始しかつ最下行へ進行するLCD行の繰り返しアドレス指定を描く。第3b図は、それらの画素がアドレス指定された後、ビデオフィールド内の最初及び最後の画素の「オフ」又はオペーク状態から「オン」又はクリヤ状態への(又はこの逆の)変化、及び第2図に示された第1発光点又はランプ(42)のフラッシングを示す。TFT及び強誘電体LCDの場合、LCDの走査中画素がターンオンされると、それはターンオフされるまで、この場合1ビデオフレームを表示するための全LCDの走査が完了し、かつ最終の画素がそれらの状態を変化する時間を持つまで、オンに滞在する。
第3a図に示されたように、1つのLCD走査の開始と次の開始との間の時間区間は3つの期間に分割され、これらの間中3つの作用が起こる。すなわち、第1期間(22)中LCDが走査されかつその行が通常最上行で開始しかつ最下行で終端する順次アドレス指定されて、次の画像を表示するために画素の状態を変化させ、休止又は待機期間(23)中何も起こらず、或る種のLCDにおいて有益な効果のある動作消去期間(24)中LCDは再び走査され及び全ての画素がアドレス指定され、かつ先行画像を完全に消去するために、LCDの構成に応じてフルオン又はフルオフのどちらかをするように状態を変化させられる。典型的に、所与の行の全ての画素は、同じ時刻にアドレス指定される。
最初の行の画素の状態を変化させる信号は、時刻t_(0)にLCD(6)に与えられる。図解目的のために、この画素が印加信号に応答して新状態へのその変化を完了させる-それは、第3b図に示されたように、時刻t_(1)にターンオンし始めかつオペークと時刻t_(2)におけるクリヤとの間にその状態の変化を完了する-前に約3.5msの遅延が起こる。第3b図において、画素はフルオンとフルオフとの間でターンするように示されているが、云うまでもなく典型的には或るものはオンからオフへターンし、他は1の中間グレー状態から他へターンすることになる。最後の画素は、それが時刻t_(2)においてアドレス指定された後、時刻t_(3)にその状態変化を開始し、かつそれを時刻t_(4)において完了する。この瞬間に、第3c図に示されたように、ビデオフレームが完了され、かつ光源(7)がフラッシュし、それゆえ、第1フィールド内の情報を観察者へ転送する。第3a図で判るように、LCDのアドレス指定が起こらない休止期間(23)が、ランプが点灯される前に全ての画素にそれらの新状態へ変化する時間を与えるために挿入される。もし画素に状態変化を取らせる時間が充分に長いか、又は走査に要求される時間が充分に短ければ、第2走査が休止期間中に起こり得る。第2走査中、第1走査におけると同じ画像情報がLCDへ転送される。次いで、動作帰線消去走査を起こすことができこれにLCDのアドレス指定が続き、この間中第2画像フィールドを創出するために画素がアドレス指定される。第2フレーム内の順序はランプ(43)がフラッシュすることを除き第1フレームにおけるのと同じである。同様に、事象のタイミングは、後続フレームにおいても同等であり、ただ異なるのは、LCDへの書込み情報及びランプのどれがフラッシュするかである。
再び第3a-3c図に示されたように、画素は、いったんそれらがアドレス指定されると状態を変化するために或る期間を費やす。この場合、3.5msは照明のために示され、これはディメンションテクノロジーズ社(Dimension Technologies Inc.,)のために或るLCD開発研究所によって作製されるカスタム画素LCDの典型的期間である。フルオフからフルオンへのターンに要求される時間は、フルオンからフルオフに対して要求される時間、又は種々の中間グレーレベル間の変化に要求される時間と異なることがある。このような場合、2つの状態間の変化に要求される最長時間が、最も関係性があり、全ての画素が、その変化がどの状態へ又はからにかかわらす、ランプが点灯される前にそれらの変化を完了することができるように、適応しなければならない。
ランプは、もちろん、決して瞬間的にフラッシュはぜず、短い時間にわたり発光し、次いでターンオフする。ランプが発光する持続時間はそのランプに依存し、かつLEDのような、或るランプで以て制御され得る。一般に、ランプは、最後の画素の変化の完了と次のアドレス指定走査の開始との間の時間区間中にのみ発光するべきである。しかしながら、もし帰線消去走査が使用され、LCDが暗状態へ帰線消去されるならば、ランプは有意な画像劣化を伴うことなく帰線消去期間中発光すると云える。しかしながら、もしLCDが明るい又は透明状態へ帰線消去されるならば、帰線消去期間が始まる前にランプは発光を停止するべきである。そうしないと、コントラストが可なり低下しよう。
ターンオン信号が最初の画素に印加された時刻から最後の画素の状態の変化の完了、光源のフラッシュ、全ての画素における帰線消去、及び次の走査の始まりまでに合計16,7msが経過する。それゆえ、60フィールド毎秒、又は30画像(ビデオフレーム)毎秒がある。このフレーム周波数は、与えられ特定スクリーン寸法及び輝度レベルにおいてほとんどフリッカレス画像を生じることになる。光線条又はスポットの3集合以上を創出する他の構成は、フリッカを回避するために更に高いフレーム周波数を必要とすることがある。この走査、変化、及びフラッシュ順序は、2つのランプフラッシュによって観察者の眼に見えるようにさせられた2つの順次フィールドから各々がなる、後続の画像フレームが表示されるに従って、連続的に進行する。これら2つの画像フィールドの各々は、米国特許第5,036,385号に説明されたステレオ対のインタリーブ右及び左眼要素からなる。
第4図は、光源(42)及び(43)のフラッシュとLCD(53)上のフィールド発生との間の関係を描く。示されているように、時間は1で開始して線図上に連続番号を付けられた期間に分割される。1、3等で標識された奇数期間中、LCDは走査されかつ画素の全ての行がアドレス指定される。これらは、第3a-3c図における時間区間T_(0)からT_(3)に相当する。2、4等で標識された偶数期間は待機期間でありこれらの期間中アドレス指定作用は行われず、最後にアドレス指定されたものを含むLCD上の全ての画素はアドレス指定された後それらの新状態へ変化することを許される。これらの期間は、第3a-3c図における時間区間T_(3)からT_(4)に相当する。スパイクは、光源(42)及び(43)に対するフラッシュを表す。
2つの期間は第4図におおよそ等しいように示されているが、しかし、いかに高速にLCD内の液晶材料がその状態を変化させるかに応じて、待機期間は走査期間より短い又は長いことがあり得る。もしこれらの期間が等しくあり得るならば、すなわち、もしLC材料がLCDを走査するのに要する時間と約同じ量内に状態を変化させるならば、その際は、臨時走査を偶数時間区間中遂行することができ、この間中先行奇数フィールドの情報が2度目にLCD上に走査される。これは、従来のTFT LCDが使用されるとき大きなコントラストを持つ、僅かに明るさを増した、一層均一な画像を生じることになる。これの理由は、LCD画素セルが状態を変化させかつ次のアドレス指定を待機して後、電荷がこのセルを横断してゆっくり漏れて、走査及び待機期間の残余中このセルの透過率を僅かに低下させるからである。第2走査は、画素透過率が低下するのを停止し、かつこれを、ランプがフラッシュする時刻までに、少なくとも部分的にその適正値へ復帰させることになる。」(第38頁第4行?第41頁第18行)

(a-2)「同様の照明システムを、自動立体及びエンハンスト2-Dディスプレイに使用することができ、ここでLCDの長い側が水平で、いわゆる「ランドスケープ(landscape)」様式である。このようなシステムは、第8図に描かれている。複数の光源(81)-(88)、及び(91)-(92)等が、また、この方式に使用される。しかしながら、第6図を参照して説明された照明システムと対照的に、光源(81)-(88)は、ディスプレイの全高にわたって延びず、同じ高さの垂直セクションに分割される。第8図は、2つのこのようなセクションを示すが、云うまでもなく3つ以上のセクションも使用することができ、それらの数においてはディスプレイの物理的寸法及び光源の物理的寸法のみにしか制約されない。前記光源は、蛍光ランプ、ストロボモードで動作する、キセノンガスで充たされたランプのような、ガス入りアークランプでよい。LEDのような小形ランプのアレイは、EL又はプラズマディスプレイのようなアドレス指定可能の発光ディスプレイのように、良好な効果を持たらすように使用され得る。
この照明システムは、次のように動作する。すなわち、第1半画像が、LCD(95)上内で、最上(最初)行で開始して、この場合、LCD(95)スクリーンの上半部の走査が完了しかつ下半部内の画素が画像を形成するそれらの変化を行ってしまうまで(走査はこの間LCDの下半部を通して連続することができる)、漸次走査される。この瞬間に光源(81)、(83)、(85)、及び(87)がフラッシュし、それゆえ、スクリーンの上半部上のビデオ情報を観察者へ転送する。LCD(95)の走査は、スクリーンの下半部が完了されるまで進行する。下半部上の画素がそれらの変化を完了するや否や、光源(91)等の下側集合がトリガされてフラッシュし、LCD(95)スクリーン上のビデオ情報を観察者へ転送させる。いまや、プロセスは、同等の仕方で次のインタリーブ半画像に対して、まず光源(92)、(94)、(96)、(98)、次いで光源(92)、等々を使用して繰り返され、このような仕方で、画像の残りを観察者へ転送し、かつ、このようにして、画像停滞の視覚現象のゆえに、フリッカのない完全解像度三次元画像の錯視を発生する。
第1半画像の下半部の画素がそれらの状態の変化を許されている間に、次の半画像の上半部を走査することを開始することができる。やはり、もし各半部内の全ての画素がそれらの変化を他の半部の走査が完了される前に完了しているように画素がそれらの状態を充分速く変化させるならば、LCDは、連続的に走査され、休止期間は必要とされないことになろう。」(第44頁第19行?第45頁第22行)

(a-3)「第2図から第8図を参照して説明された、画像形成構想は、第9図に概略的に図解されたディスプレイ構成において実現され得る。この構成における照明システムは、フラッシング光源を採用するのではなくて、むしろ、ベース(100)上に取り付けられた光源(101)から(109)が絶えず点灯される。このような光源は、好適には、蛍光ランプであってよいと云える。この光源からの光は、強拡散器(110)によって拡散されて、好適には高速作動液晶バルブを採用する電子光学シャッタアレイ(111)を均一照明を生成する。
目下の所、この型式の典型的シャッタは、角外れからビューされるとき低コントラトを呈する。このことは、オフ状態にあるとき、これらを種々の軸高外れ角で通過する光をこれらが効率的に阻止しないと云うことを意味する。バッフルは、第2図に示されたものに類似し、この光を阻止し、それがシステム内で散乱しかつゴースト像を眼に見えさせるのを防止する。
採用されるシャッタが前部及び後部偏光器を必要とするLCデバイスであるとき、その偏光角の偏光の方向が垂直及び水平方向に従う直線偏光器を使用することが、一般に望ましい。この構成においては、光阻止は、垂直及び水平両方向に対する法線方向から遠ざかる角において最も効率的である傾向を有し、これらの方向に従う遥かな軸外れからゴースト像が問題になることなくディスプレイをビューすることを可能にする。また、前部シャッタ偏光器及び後部LCD偏光器を平行にし、それゆえ光透過を最大にさせることが、もちろん望ましい。もしLCDの後部偏光器がシャッタLC材料と共に使用に供されのに最適のものであり、かつもしその偏光方向が垂直又は水平であるならば、前部偏光器をシャッタから外し、かつ単にLC後部偏光器に依存してシャッタオフ状態における光阻止機能を遂行させることが、また望ましい。これは、オン状態において僅かながら大きい光透過を生じる。
第9図に図解された電気光学シャッタアレイ(111)の個々のシャッタ(115)から(124)等、(131)、(132)等の、オン-オフ、すなわち、クリヤ及びオペーク、状態は、LCD(114)の走査と同期して制御され、かつ第8図に示されたディスプレイ内の光源フラッシュの順序に類似した、順序に従ってターンオンされる。LCD(114)上の走査及び画素変化が上から下へ進行し、かつLCD高さの1/3を完了するに従って、光シャッタ(115)、(117)、(119)、及び(121)が瞬間的にターンオンして、光をレンチキュラレンズ(112)に通過させ、このレンズが光線条の第1集合を拡散パネル(113)上に発生し、その結果、インタリーブ画像の第1部分を観察者へ転送する。次に、画像の半分の第2の1/3が走査され、かつ画像のこの部分が走査されるとき光シャッタ(123)等がターンオンされ、これに画像の最終の1/3が続く。
第1半画像の最終1/3内の画素がそれらの状態を変化している間、次の半画像の最初の1/3をLCD(114)の上1/3内へ走査することができ、かつシャッタ(115)、(117)、(119)、(121)を瞬間的にターンオンすることによって観察者へ転送する。この仕方で、ビデオ情報の高速かつ効率的が達成される。
第10図は、自動立体及びエンハンスト解像度2-Dディスプレイに対するなお他の照明システムを描く。このシステムにおいて、高強度投写型受像管(190)が使用されて、LCD(193)上の走査と同期してかつ適当な順序で光線条又は点のパターンを発生する。これらの光線条は、集束レンズ(191)によって強拡散パネル(192)上へ投写される。LCD走査及び光線条発生は、第2、5、7、8図の照明システムの説明を参照して説明されるようであるか、又は適当な他の順序であってよく、そこでは拡散器(192)上に投写された線条又は点がそれらの図内に指示されたランプを置換する。立体画像又はエンハンスト解像度2-D画像は、既に説明されたように発生される。
第11図は、エレクトロルミネセント又はプラズマパネル(194)を使用し、このパネルはアドレス可能の線条又は点の所定パターンを有し、これらはLCD(197)の走査と同期して適当な順序で作動させられる。或る場合には、情報ディスプレイに通常使用される型式のカスタム化EL又はプラズマディスプレイを採用することができる。先に説明されたシステムにおけるように、レンチキュラ又は複眼レンズ(195)が、パネル上に発生された線条又は点を弱拡散パネル(196)上へ作像し、かつ立体又はエンハンスト解像度2-D画像が上に説明されたように生成される。
立体又はエンハンスト解像度2-D画像の発生に必要とされる照明を創出するなお他の方法は、光源として発光ダイオード(LED)の利点を生かすことができる。このようなデバイスは、種々の色でかつ高輝度を持つものが、ますます盛んに市販されている。第12図は、LEDを利用するディスプレイの1つの品型を示す。
二次元アレイ(140)は、多数のLED(144)、(145)、(146)等を含む。このようなLEDは、全て1色、云うなれば、緑のものであり、単色ディスプレイ用か、又は三原色、赤、青、及び緑の集合であって、色彩ディスプレイ用である。
青LEDの輝度は、赤及び緑デバイスのそれほどは高くないので、多数の青LEDがLEDアレイ(140)内の各LEDクラスタ内に使用されることもあり得る。
これらのLEDは、ベース上のアレイ内に取り付けられた離散パッケージデバイスであるか又は適当な基板上に取り付けられたチップであり得る。
LEDは、個別に又は色発生集合上の光パターン内で、LCD(143)の走査と同期してターンオン、オフされる。前記LEDによって発生された光は、レンチキュラレンズ(141)によって弱拡散パネル(142)上へ集束されて、LCD(143)上の立体及びエンハンスト画像の観察に必要な光線条又は点を形成する。」(第48頁第7行?第51頁第1行)

(a-4)「



すると、甲第2号証の記載事項から、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2-1発明」という。)が記載されている。

「ディスプレイ構成において、
この構成における照明システムは、フラッシング光源を採用するのではなくて、むしろ、ベース(100)上に取り付けられた光源(101)から(109)が絶えず点灯され、
この光源からの光は、強拡散器(110)によって拡散されて、好適には高速作動液晶バルブを採用する電子光学シャッタアレイ(111)に均一照明を生成し、
電気光学シャッタアレイ(111)の個々のシャッタ(115)から(124)等、(131)、(132)等の、オン-オフ、すなわち、クリヤ及びオペーク、状態は、LCD(114)の走査と同期して制御され、順序に従ってターンオンされ、
LCD(114)上の走査及び画素変化が上から下へ進行し、かつLCD高さの1/3を完了するに従って、光シャッタ(115)、(117)、(119)、及び(121)が瞬間的にターンオンして、光をレンチキュラレンズ(112)に通過させ、このレンズが光線条の第1集合を拡散パネル(113)上に発生し、その結果、インタリーブ画像の第1部分を観察者へ転送し、次に、画像の半分の第2の1/3が走査され、かつ画像のこの部分が走査されるとき光シャッタ(123)等がターンオンされ、これに画像の最終の1/3が続き、
第1半画像の最終1/3内の画素がそれらの状態を変化している間、次の半画像の最初の1/3をLCD(114)の上1/3内へ走査することができ、かつシャッタ(115)、(117)、(119)、(121)を瞬間的にターンオンすることによって観察者へ転送する、ディスプレイ構成。」

b.請求人の主張する甲2発明-1について
請求人は、甲第6、7号証に記載の技術常識を参照して、甲第2号証から甲2発明-1を認定しているが、上記「(1)」「b.」で検討したとおり、甲2発明-1が、「電気光学シャッタアレイ(111)により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」という発明特定事項を含むとの請求人の認定は採用できない。

c.対比
(a)訂正特許発明1と甲2-1発明との対比
(a-1)
甲2-1発明の「ディスプレイ構成」、「電気光学シャッタアレイ(111)」、「レンチキュラレンズ(112)」及び「拡散パネル(113)」は、それぞれ、訂正特許発明1の「表示装置」、「空間光変調器」、「光学系」及び「拡散器」に相当する。

(a-2)
甲2-1発明の「電気光学シャッタアレイ(111)の個々のシャッタ(115)から(124)等、(131)、(132)等の、オン-オフ、すなわち、クリヤ及びオペーク、状態は、LCD(114)の走査と同期して制御され、順序に従ってターンオンされ、LCD(114)上の走査及び画素変化が上から下へ進行し、かつLCD高さの1/3を完了するに従って、光シャッタ(115)、(117)、(119)、及び(121)が瞬間的にターンオンして、光をレンチキュラレンズ(112)に通過させ、このレンズが光線条の第1集合を拡散パネル(113)上に発生し、その結果、インタリーブ画像の第1部分を観察者へ転送」する構成と、
訂正特許発明1の「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系とを備え、」「前記光学系からの前記空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」構成とは、
「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系とを備え、」「前記光学系からの前記光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」構成で一致する。

なお、請求人は、甲2-1発明の「電気光学シャッタアレイ(111)の個々のシャッタ(115)から(124)等、(131)、(132)等の、オン-オフ、すなわち、クリヤ及びオペーク、状態は、LCD(114)の走査と同期して制御され、順序に従ってターンオンされ、」「光シャッタ(115)、(117)、(119)、及び(121)が瞬間的にターンオンして、」生成される「光」が、訂正特許発明1の「空間的に変調された光」に相当すると主張する。
しかし、訂正特許発明1が「表示装置」に係る発明であることを考慮すると、訂正特許発明1において、「空間的に変調された光」は、精細度の大小の差はあれども、何らかの画像を意味すると解するのが相当である。
すると、甲2-1発明の上記「光」は画像でないことは明らかであるから、訂正特許発明1の「空間的に変調された光」に相当するとはいえない。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲2-1発明は、
「表示装置であって、
空間光変調器と、
拡散器と、
光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系と
を備え、前記光学系からの前記光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-2-1-1)
光学系により伝達される光が、訂正特許発明1では、「空間的に変調された光」であるのに対して、甲2-1発明では、「電気光学シャッタアレイ(111)の個々のシャッタ(115)から(124)等、(131)、(132)等の、オン-オフ、すなわち、クリヤ及びオペーク、状態は、LCD(114)の走査と同期して制御され、順序に従ってターンオンされ、」「光シャッタ(115)、(117)、(119)、及び(121)が瞬間的にターンオンして、」生成される「光」である点。

(1-2-1-2)
光学系により伝達される光が、訂正特許発明1では、「0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含み、d_(2)は、画素間の中心から中心までの距離である」のに対して、甲2-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(1-2-1-1)について検討する。
甲第2号証の記載から、甲2-1発明の「電気光学シャッタアレイ(111)の個々のシャッタ(115)から(124)等、(131)、(132)等の、オン-オフ、すなわち、クリヤ及びオペーク、状態は、LCD(114)の走査と同期して制御され、順序に従ってターンオンされ」る構成は、甲第2号証の図3aに記載される「休止期間23」(甲第2号証の第38頁第4?25行等も参照)を短くするあるいは無くすためのものである(甲第2号証の第44頁第19行?第45頁第22行等参照)から、甲2-1発明の「電気光学シャッタアレイ(111)の個々のシャッタ(115)から(124)等、(131)、(132)等の、オン-オフ、すなわち、クリヤ及びオペーク、状態」を画像を表示するように制御する動機付けは存在しないといえる。
よって、甲2-1発明に基づいて、上記相違点(1-2-1-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明1は、甲2-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-2-1-1)で相違し、訂正特許発明1は甲2-1発明ではないし、また、訂正特許発明1は、甲第6号証、甲第7号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲2-1発明から当業者が容易に発明し得たものともいえない。

e.請求人の主張する甲2発明-2、甲2発明-3について
請求人は、甲2発明-1の「電気光学シャッタアレイ(111)」を、「高強度投写型受像管(190)」、「LEDアレイ(140)」に換えた甲2発明-2、甲2発明-3によっても、訂正特許発明1は新規性進歩性が欠如する旨主張する。
しかし、甲2-1発明の「電気光学シャッタアレイ(111)」を、「高強度投写型受像管(190)」、「LEDアレイ(140)」に換えた発明(それぞれ、「甲2-2発明」、「甲2-3発明」という。)を認定しても、甲2-1発明と同様、上記相違点(1-2-1-1)と同様の相違点により、訂正特許発明1は「甲2-2発明」又は「甲2-3発明」ではないし、「甲2-2発明」又は「甲2-3発明」から当業者が容易に発明し得たものでもない。

なお、請求人が主張するように、仮に、甲第1号証の図9(A)から「CRT30により空間的に変調された光は、約1×d_(1)(d_(1)はCRT画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」、また、甲第1号証の図9(B)から「LEDアレイ31により空間的に変調された光は、約0.9×d_(1)(d_(1)はCRT画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」構成を認定したとしても、訂正特許発明1と「甲2-2発明」又は「甲2-3発明」との対比において、上記相違点(1-2-1-2)と同様の相違点が相違点ではなくなるだけであって、上記相違点(1-2-1-1)と同様の相違点の認定及びこれらについての判断は変わることがないから、請求人の該主張は、上述した、訂正特許発明1は「甲2-2発明」又は「甲2-3発明」ではないし、「甲2-2発明」又は「甲2-3発明」から当業者が容易に発明し得たものでもないとの判断を覆すものではない。
さらに、請求人は、甲第1号証、甲第8号証により、CRTから発せられる光は隣接する画素を含む空間的に変調された光であり、その光は約0.77×d_(1)又は約1×d_(1)(d_(1)はCRTの画素ピッチ)の半値全幅の光分布関数を有することが技術常識である、また、甲第1号証、甲第9号証により、LEDアレイから発せられる光は隣接する画素を含む空間的に変調された光であり、その光は約0.46×d_(1)又は約0.9×d_(1)(d_(1)はLED発光素子ピッチ)の半値全幅の光分布関数を有することが技術常識であると主張するが、上述と同様、これら請求人の主張は、上述した、訂正特許発明1は「甲2-2発明」又は「甲2-3発明」ではないし、「甲2-2発明」又は「甲2-3発明」から当業者が容易に発明し得たものでもないとの判断を覆すものではない。

f.結論
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲第2号証に記載された発明であるとも、甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものともいえないから、訂正特許発明1は、甲第2号証等によっては、無効とすることはできない。

(3)甲第3号証による新規性進歩性の欠如について
a.甲第3号証には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a-1)「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】[第1の実施の形態]図2は、本発明の第1の実施の形態に係る映像表示装置としての液晶表示装置の要部構造を示す断面図である。同図に示したように、本実施の形態に係る液晶表示装置は、照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備えている。なお、同図(B)に示したように、本実施の形態に係る液晶表示装置において、更に、液晶パネル1とバックライトパネル2との間に、バックライトパネル2からの照明光を均一化するための光拡散板6を設けるようにしても良い。ここで、液晶パネル1は、本発明における「光変調素子」の一具体例に対応する。
【0012】液晶パネル1は、例えば、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)型等のアクティブマトリクス方式によって駆動されるものであり、図示しないが、液晶層と、この液晶層に電圧を印加するための電極基板とを有している。ここで、TFT型の液晶パネルは、スイッチング素子として機能する薄膜トランジスタを、行方向に配列された行電極と列方向に配列された列電極との交点にマトリクス状に配置した構成となっている。TFT型の液晶パネルでは、マトリクス状に配置された薄膜トランジスタを制御して、液晶層に画素毎に独立して選択的に電圧を印加することにより、入射した光を光学的に変調させ、映像表示が行われる。また、液晶パネル1として、例えば、STN(super twisted nematic;超ねじれネマティック) 型等の単純マトリクス方式によって駆動されるものを使用しても良い。STN型の液晶パネルは、表面にマトリクス状に行電極と列電極とが配置された2つの電極基板を、液晶層を挟んで対向配置した構成となっている。STN型の液晶パネルでは、行電極と列電極との間に印加される駆動電圧の実効電圧値に応答して、入射した光を光学的に変調させ、映像表示が行われる。
【0013】バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有している。LED3は、液晶パネル1の背面から白色光を発するようになっており、単独で白色光を発する白色LEDまたは色毎に独立駆動可能な赤(Red =R),緑(Green =G),青(Blue=B)の3色のLEDを組み合わせたもので構成されている。LED3は、例えば所定の分割領域単位でスイッチング素子に接続され、後述するように、所定の分割領域単位で駆動制御がなされるようになっている。なお、複数のLED3から発せられる個々の光にムラが生じて問題となる場合には、同図(B)に示したように、液晶パネル1とバックライトパネル2との間に光拡散板6を配置して光量の均一化を図ることが望ましい。ここで、LED3は、本発明における「発光手段」の一具体例に対応する。また、LED3を独立駆動可能なR,G,Bの各色のLEDで構成した場合における各色のLEDのそれぞれが、本発明における「発光素子」の一具体例に対応する。
【0014】図3は、液晶パネル1における各画素とLED3との関係についてを示す説明図である。同図において、(A)は、液晶パネル1における各画素の配置を示し、(B)は、バックライトパネル2におけるLED3の配置を示している。なお、(A)において、1つの矩形領域Pが1画素に相当する。
【0015】液晶パネル1においては、同図(A)に示したように、画素がm行n列(m,nは2以上の整数)のマトリクス状に配置されている。一方、LED3は、液晶パネル1によって形成される表示画面を分割した複数の分割領域に対して少なくとも1つずつ配置されている。同図(B)の例では、LED3の配置面を水平方向(同図X方向)および垂直方向(同図Y方向)にそれぞれ2つに分割して合計4つの領域20A?20Dに分割すると共に、各分割領域内にLED3を6つずつ等間隔に配置した例について示している。また、本実施の形態においては、LED3は、映像信号に応じて、各分割領域単位で駆動制御され、液晶パネル1を各分割領域単位で部分的に照明することが可能となっている。
【0016】なお、分割領域の分割数と各分割領域内に配置するLED3の数は、表示画面全体の大きさや総画素数等を考慮して任意の数に設定可能であり、図示したものに限定されるものではない。例えば、表示画面全体の大きさが小さい場合には、表示画面が大きい場合に比べて、各分割領域内に配置するLED3の数を少ない数に設定することが可能である。また、図では各分割領域を矩形状に設定すると共に、各分割領域の大きさを全て同一にした例について示したが、各分割領域の形状および大きさは、図示したものに限定されず、部分的に大きさが異なるように各分割領域の大きさを設定したり、各分割領域の形状を矩形以外の多角形等の他の形状に設定することも可能である。
【0017】図1は、本実施の形態に係る液晶表示装置の制御系の回路構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る液晶表示装置は、その制御回路として、データ線13を介して液晶パネル1に映像信号に応じた信号電圧を印加する信号駆動回路11と、データ線14を介して液晶パネル1に循環的に走査電圧を印加する走査駆動回路12と、データ線23を介してバックライトパネル2のLED3を制御するための制御信号を印加する水平駆動回路21と、データ線24を介してバックライトパネル2のLED3を制御するための制御信号を印加する垂直駆動回路22とを備えている。
【0018】本実施の形態に係る液晶表示装置は、更に、入力された映像信号Vsが液晶パネル1の駆動に適した信号となるように信号処理を施す映像信号処理回路31と、映像信号処理回路31において信号処理された所定単位(例えば1フレームまたは1ライン)の映像信号を一時的に記憶する映像メモリ32と、映像メモリ32に記憶された映像信号に基づいて信号駆動回路11および走査駆動回路12を介して液晶パネル1を駆動制御する液晶パネル制御回路33と、水平駆動回路21および垂直駆動回路22を介してバックライトパネル2を駆動制御するLED制御回路34と、映像信号処理回路31、液晶パネル制御回路33およびLED制御回路34を含む液晶表示装置の各部の構成要素の制御を行うコントローラ35とを備えている。
【0019】ここで、水平駆動回路21、垂直駆動回路22、LED制御回路34およびコントローラ35が、本発明における「制御回路」の一具体例に対応する。
【0020】データ線13およびデータ線14は、それぞれ液晶パネル1の液晶層に電圧を印加するための電極に接続されている。データ線13は、液晶パネル1における水平方向(同図X方向)の画素数に対応して複数設けられており、1つのデータ線13で液晶パネル1における同一列方向(同図Y方向)にある画素に対して信号駆動回路11からの信号電圧を印加することが可能となっている。データ線14は、液晶パネル1における垂直方向(同図Y方向)の画素数に対応して複数設けられており、1つのデータ線14で液晶パネル1における同一行方向(同図X方向)にある画素に対して走査駆動回路12からの走査電圧を印加することが可能となっている。液晶パネル1においては、信号電圧が印加されたデータ線13と走査電圧が印加されたデータ線14との交点に位置する画素が駆動されるようになっている。これにより、液晶パネル1を、映像信号に応じて1画素単位で駆動することが可能となっている。
【0021】液晶パネル制御回路33は、走査駆動回路12から複数のデータ線14に一定の走査周期で順次走査電圧が印加されるよう、走査駆動回路12を制御するようになっている。また、液晶パネル制御回路33は、映像メモリ32に記憶された映像信号を所定の周期で読み出し、読み出した映像信号に基づいて、信号駆動回路11から複数のデータ線13に映像信号に基づいた信号電圧が選択的に印加されるよう、信号駆動回路11を制御するようになっている。
【0022】データ線23およびデータ線24は、それぞれバックライトパネル2のLED3に電圧を印加するための電極に接続されている。データ線23は、バックライトパネル2の駆動単位として設定された分割領域の水平方向(同図X方向)の分割数(図3の例では2つ)に対応して複数設けられている。データ線24は、バックライトパネル2の駆動単位として設定された分割領域の垂直方向(同図Y方向)の分割数(図3の例では2つ)に対応して複数設けられている。バックライトパネル2においては、水平駆動回路21からの制御信号が印加されたデータ線23と垂直駆動回路22からの制御信号が印加されたデータ線14との交点に位置する分割領域内のLED3が駆動される。これにより、バックライトパネル2において、LED3を分割領域単位で駆動することが可能となっている。
【0023】LED制御回路34は、液晶パネル1の駆動に応じて、照明光が必要とされる画素領域に対応する分割領域にあるLED3が駆動されるよう、水平駆動回路21および垂直駆動回路22を制御するようになっている。
【0024】コントローラ35は、バックライトパネル2のLED3が液晶パネル1の駆動周期に同期して駆動されるよう、液晶パネル制御回路33とLED制御回路34とを同期制御するようになっている。
【0025】次に、以上のような構成の液晶表示装置の動作について説明する。なお、以下の説明は、本実施の形態における照明制御方法の説明を兼ねている。
【0026】映像信号処理回路31に入力された映像信号Vsは、映像信号処理回路31によって、液晶パネル1の駆動に適した信号となるように信号処理が施され、映像メモリ32に出力される。映像メモリ32は、映像信号処理回路31において信号処理された所定単位(例えば1フレームまたは1ライン)の映像信号を一時的に記憶する。液晶パネル制御回路33は、映像メモリ32に記憶された映像信号を所定の周期で読み出し、読み出した映像信号に基づいて、信号駆動回路11および走査駆動回路12を介して液晶パネル1を駆動制御する。
【0027】走査駆動回路12は、液晶パネル制御回路33の制御に基づいて、複数のデータ線14に一定の走査周期で順次走査電圧を印加する。信号駆動回路11は、液晶パネル制御回路33の制御に基づいて、複数のデータ線13に映像信号に応じた信号電圧を選択的に印加する。液晶パネル1では、信号電圧が印加されたデータ線13と走査電圧が印加されたデータ線14との交点に位置する画素が駆動され、液晶層に入射した照明光に対して映像信号に応じた光学的な変調が行われる。
【0028】LED制御回路34は、映像信号に応じて、液晶パネル1において少なくとも照明光が必要とされる画素領域に照明光が照射されるよう、水平駆動回路21および垂直駆動回路22を介してバックライトパネル2におけるLED3を、設定された分割領域単位で駆動制御する。バックライトパネル2では、水平駆動回路21からの制御信号が印加されたデータ線23と、垂直駆動回路22からの制御信号が印加されたデータ線14との交点に位置する分割領域内のLED3が駆動され、駆動されたLED3から液晶パネル1の背面に向けて、設定された分割領域単位で照明光が照射される。コントローラ35は、バックライトパネル2のLED3が液晶パネル1における画素の駆動周期に同期して駆動されるよう、液晶パネル制御回路33とLED制御回路34とを同期制御する。
【0029】次に、図4を参照して、本実施の形態に係る液晶表示装置の特徴部分である液晶パネル1における画素の駆動制御とバックライトパネル2におけるLED3の駆動制御との制御関係について、より詳細に説明する。同図(A)は、液晶パネル1の表示面5(図2)に表示される表示画面50の一例を示している。また、同図(B),(C)は、それぞれ図3(A),(B)に対応している。同図(C)において、黒く塗りつぶされた領域20B?20DはLED3が点灯していないことを示し、黒く塗りつぶされていない領域20AはLED3が点灯していることを示す。なお、以下では、液晶表示装置1が、いわゆるノーマリ・ブラックモードでの白黒画像表示を行う場合について説明する。なお、ノーマリ・ブラックモードで動作する液晶パネル1は、液晶層に電圧を印加しない通常状態で画面が黒レベルの表示となり、液晶層に電圧を印加すると、液晶層を光が透過して画面が白レベルの表示となるように動作する。
【0030】ここでは、同図(A)に示したように、アドレス(α,β)に位置する画素部分のみが白レベル表示(明表示)で、それ以外の画素部分が黒レベル表示(暗表示)となるような1フレームの表示画面50を、液晶パネル1の表示面5(図2)に表示する場合について説明する。同図(A)に示したような表示画面50を表示する場合、液晶パネル制御回路33(図1)は、液晶パネル1において、同図(B)に示したように、アドレス(α,β)に位置する画素電極部分のみが駆動され、アドレス(α,β)に対応する液晶層に入射した照明光のみが透過するよう、信号駆動回路11および走査駆動回路12の制御を行う。
【0031】このとき、バックライトパネル2では、アドレス(α,β)に対応する分割領域内にある全てのLED3が駆動される。例えば、同図(C)に示したように、バックライトパネル2におけるLED3の駆動単位を、4つの分割領域20A?20Dに等分割した場合には、LED制御回路34によって、アドレス(α,β)に対応する分割領域20A内にあるLED3のみが駆動されて発光するよう、水平駆動回路21および垂直駆動回路22の制御が行われる。なお、液晶パネル1においては、アドレス(α,β)以外の画素は駆動されていないので、アドレス(α,β)以外の液晶層に入射した照明光は液晶層を透過せず、最終的に同図(A)に示したような表示画面50が表示される。このようにして、同図(A)に示したような1フレームの表示画面50を表示する場合には、1フレーム単位では、4つの分割領域20A?20Dのうち、アドレス(α,β)に対応する分割領域20A内にあるLED3のみが駆動される。
【0032】なお、従来の液晶表示装置では、画像の表示状態に関わらず、常に画面全体に照明光を照射するようにしていたので、同図(A)に示したように部分的にしか画像を表示しない場合においても、常に画面全体に照明光が照射される。これに対し、本実施の形態の液晶表示装置では、上述のように、表示しようとする画像に応じて、バックライトパネル2におけるLED3を選択的に駆動制御して、少なくとも照明光が必要とされる画素領域にのみ部分的に照明光を照射するので、照明に必要とされる消費電力が低減される。図4に示した例では、画面全体に照明光を照射した場合に比べて、1/4の領域にしか照明光を照射しないので、従来よりも3/4=75%の電力が削減されている。
【0033】次に、図5および図6を参照して、LED3の駆動単位となる分割領域の数とLED3の消費電力との関係について、より詳細に説明する。なお、図5および図6では、図面の簡略化のため、バックライトパネル2に設定された分割領域内にあるLED3の図示を省略している。
【0034】図4に示した例では、1フレームの画面で、照明光が必要とされる画素領域が1画素分しかない場合について説明したが、一般的な画像表示の用途では、画面全体に分散して画像を表示する場合が多いと考えられる。このとき、分割領域の数が少ないと、消費電力削減の効果が得られない場合がある。
【0035】例えば、図5(A)に示したように、LED3の駆動単位である4つの分割領域20A?20Dの全てにまたがるような表示画像51を表示する場合には、同図(B)に示したように、4つの分割領域20A?20D内の全てのLED3を点灯することになり、消費電力削減の効果が得られない。しかしながら、画面全体に画像が分散して表示されるような場合であっても、分割領域をより細分化することにより、消費電力削減の効果を得ることが可能である。
【0036】図6は、バックライトパネル2におけるLED3の駆動単位となる分割領域を、表示画面に対して水平方向(同図X方向)に8つ、および、垂直方向(同図Y方向)に6つに等分割して、合計48個に設定した例について示している。なお、図中、符号20で示した矩形領域が1つの分割領域である。このように分割領域を設定して、同図(A)に示したような表示画像51を表示する場合、駆動する必要のあるLED3は、同図(B)に示したように、表示画像51に対応する画面中央の領域20-1にある合計22個の分割領域内のLED3だけであり、他の領域20-2,20-3にある合計26個の分割領域内のLED3については駆動する必要はない。従って、この場合には、画面全体に照明光を照射した場合に比べて、26/48=60.9%の電力が削減される。
【0037】このように、分割領域を細分化することにより、画面全体に画像が分散するような複雑な画像表示を行う場合であっても、省電力の効果を高めることが可能となる。なお、分割領域を1画素に対して1つに設定することで、事実上、消費電力削減の効果が最も大きくなる。しかしながら、携帯型パソコン等に使用される液晶パネル1における1画素の大きさは、現状のLED3の大きさに比べてかなり小さいため、通常では、1つのLED3で複数画素に対して照明を行うことになり、分割領域を1画素に対して1つに設定することは難しい。但し、1画素の大きさが大きい場合や、デバイス技術の向上によっては、分割領域を1画素に対して1つに設定することも可能であることは勿論である。
【0038】以上説明したように、本実施の形態に係る液晶表示装置によれば、液晶パネル1に照射する照明光を発する光源となるLED3を、複数の分割領域に対して少なくとも1つずつ配置すると共に、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照射されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するようにしたので、照明する必要のない画面領域に対しては照明光を照射しないようにすることが可能となり、照明に必要とされる消費電力を低減することができる。これにより、特に、電源としてバッテリを使用することの多い携帯型パソコン等の情報機器に対しては、バッテリの使用可能時間を延ばすことが可能となるという優れた効果を得ることができる。
【0039】また、本実施の形態に係る液晶表示装置によれば、通常、黒レベル表示を行う画素部分には照明光が照射されなくなるので、本来照明光が必要とされない画素部分にまで光が漏れてくるようないわゆる漏れ光を低減することが可能となり、黒レベルの輝度を下げることができる。これにより、画像表示におけるコントラストの向上を図ることができ、良好な画像表示を行うことが可能となる。」

(a-2)「【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】



すると、甲第3号証の記載事項から、甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3-1発明」という。)が記載されている。

「液晶表示装置であって
照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備えており、
バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するようにし、
更に、液晶パネル1とバックライトパネル2との間に、バックライトパネル2からの照明光を均一化するための光拡散板6を設けた、液晶表示装置。」

b.請求人の主張する甲3発明-1について
請求人は、「甲第3号証に記載の「バックライトパネル2」は、「甲3B(段落[0013])」の「バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有している。」という記載より、基板4に複数の「LED3(発光素子)」を配置したものとなっており、光学系を構成する。」と主張するが、甲第3号証の段落【0013】の上記記載と「光学系を構成する」こととの関係が不明であって、該主張は採用できるものではない。
よって、請求人の甲3発明-1のような「バックライトパネル2で構成される光学系であって、光学系により伝達される複数のLED3から発せられた光が、光拡散板6を通過して液晶パネル1に達するように、複数のLED3により空間的に変調された光を、液晶パネル1と光拡散板6とに伝達するように構成された光学系」は、甲第3号証には記載されていない。

c.対比
(a)訂正特許発明1と甲3-1発明との対比
(a-1)
甲3-1発明の「液晶表示装置」、「液晶パネル1」及び「光拡散板6」は、それぞれ、訂正特許発明1の「表示装置」、「空間光変調器」及び「拡散器」に相当する。

(a-2)
甲3-1発明の「バックライトパネル2からの照明光」について、「複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するようにし」たものであるから、該「バックライトパネル2からの照明光」は、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種であるといえる。
すると、甲3-1発明の「バックライトパネル2からの照明光」は、訂正特許発明1の「空間的に変調された光」に相当するから、甲3-1発明の「照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1」は、訂正特許発明1の「空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」構成に相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲3-1発明は、
「表示装置であって、
空間光変調器と、
拡散器と
を備え、空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-3-1-1)
訂正特許発明1は、「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系」「を備え」るのに対して、甲3-1発明は、そのような光学系を備えない点。

(1-3-1-2)
空間的に変調された光が、訂正特許発明1では、「0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含み、d_(2)は、画素間の中心から中心までの距離であ」るのに対して、甲3-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(1-3-1-1)について検討する。
甲第3号証の全記載を参照すると、甲第3号証では、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置を対象とした技術事項を開示していると解するのが相当あるから、甲3-1発明においても、「液晶パネル1」、「光拡散板6」、「バックライト2」間に、他の光学系を配置する動機付けは存在しないといえる。

また、請求人が主張するように、仮に、甲第1号証の図9(B)、甲第9号証から「複数のLED3により空間的に変調された光は、約0.46×d_(1)又は約0.9×d_(1)(d_(1)はLEDの発光素子ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」構成を認定したとしても、訂正特許発明1と甲3-1発明との対比において、上記相違点(1-3-1-2)が相違点ではなくなるだけであって、上記相違点(1-3-1-1)の認定及びこれについての判断は変わることがない。

よって、甲3発明に基づいて、上記相違点(1-3-1-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明1は、甲3-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-3-1-1)で相違し、訂正特許発明1は甲3-1発明ではないし、また、訂正特許発明1は、甲第1号証、甲第9号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲3-1発明から当業者が容易に発明し得たものともいえない。

e.結論
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲第3号証に記載された発明であるとも、甲第3号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものともいえないから、訂正特許発明1は、甲第3号証等によっては、無効とすることはできない。

(4)甲第4号証による新規性進歩性の欠如について
(4-1)甲第4号証の実施例1による新規性進歩性の欠如について
a.甲第4号証には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a-1)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶等の電圧、透過率特性の制約により従来のCRTに比べて、ダイナミックレンジが狭く、特に、自然画等の表示では、上記原因により、黒表示領域で黒浮きが生じ十分な画質が得られていない。
【0003】上記課題を解決すべく1999年9月の日経マイクロデバイス「続報:大型液晶テレビ、松下の事業参入支える技術が明らかに」に解決方式が述べられている。
【0004】ただし、画面全体でバックライトを調整するために、画面の一部に高輝度領域と低輝度領域が存在する場合、上記低輝度領域での表示性能が十分でないという課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、あらゆる映像信号に対しても、ダイナミックレンジを拡大し高コントラストな高画質を実現する方式を提案することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明では、光変調器(液晶パネル、DMD(ディジタル・ミラー・デバイス、例えば特開平10-78550号参照))への照明光を分割し、かつ分割された各照明光ごとにその照明光量を変調するようにしている。
【0007】
【作用】分割された各照明光で、光変調器上の別々の領域を照明し、かつ各照明光の光量をその照明光で照明される領域での表示輝度に応じて調整することにより、光変調器の照明光量を固定した場合に比べて高コントラストで色再現性の良い、高品質の表示を実現することができる。
【0008】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
実施例1
図1は、本発明の一実施例に係る液晶プロジェクタの光学系の構成を示す。この液晶プロジェクタは、照明光を複数個に分割し、各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにしたものである。
【0009】図1において、1はランプ用リフレクタ、2は発光管(ランプ)、3ははえの目インテグレータ、4はPS変換光学素子、6,24はリレーレンズ、7,9,11,12はミラー、8,10はダイクロミラー、13,14,15はフィールドレンズ、16,17,18は第1の光変調器である液晶パネル、19,20,21は偏光板、22はクロスプリズム、23は投射レンズである。120は照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器で、例えば液晶パネル等を使用できる。上記光変調器120は、はえの目インテグレータ3のランプ側に極力近接して設けられている。図1において、ランプ側の第1はえの目レンズ3aは、各液晶パネル16,17,18と実質的に共役関係になっており、そのはえの目レンズのアスペクト比は使用している液晶パネル16,17,18と同等のものとなっている。従って液晶パネルへ分割照明を行なうため、光変調器120は第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになっている。この配置は、実質的に分割照明可能であればよく、共役位置からのわずかなずれは許容し得る。光変調器として、液晶パネルを用いる時、極力光量ロスを防ぐために、PS変換素子4は、赤外、紫外カットフィルタ101を介してランプ2と第1はえの目レンズ3aとの間に設けられている。
【0010】第1はえの目レンズの一部領域を切り出した図を図1(b)に示す。121,122,123は、はえの目状の各レンズであり、そのレンズ一つ一つに対して、同一構成の光変調器124,125,126,127が設けられている。上記光変調器124?127の1つを切り出した図が図1(c)である。図1(c)では、パネルへの照明領域を4分割に分割した例を示す。上記124,125,126,127は原則同等の駆動電圧が印加され、液晶パネル16,17,18へ照明された時、それぞれのはえの目レンズから合成される像が同等の分割照明できるようになっている。
【0011】また、図1(c)の4分割された131,132,133,134の境界は、光学的、電気的にフィルタが設けられ、境界が目立たないように工夫されている。上記フィルタとしては、境界領域に光学的拡散特性を持つフィルム等を貼りつけるのが最も簡便な方法である。
【0012】図2は、図1のプロジェクタの電気ブロック図である。図2において、18,17,16は、R、G、B各色表示対応の液晶パネル、54は各液晶パネルに印加する信号と電源を供給するドライバ回路、55はDAコンバータ、56はメモリである。メモリ56は、現状の表示データと次のフレームで表示するデータ等を保持する。57はDSP部で、δ調整、インターレース信号のノンインターレース信号への変換、使用している液晶パネルの画素数と入力信号との画素数とが対応しない場合の解像度変換、および色調整節等の処理だけでなく、照明光変調にともなう各色の信号レベルを算出する演算等を実行する。58はタイミング発生回路、59は電源ON-OFFおよび各種設定を行うリモコンである。60はリモコンからの信号を受け、かつ、各種入力信号切替等を行うための制御パネルである。63はマイコンで、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックが接続され、それら各ブロックの制御を行なっている。バラスト64にはランプ65が接続されている。67はADコンバータ、68はスイッチである。69は信号処理回路で、NTSC信号のデコード、ノイズ低減処理、帯域制限フィルタリングおよび信号レベル調節等の信号処理を行なう。71はPC(パソコン)入力端子、72はNTSC入力端子で、本ブロック図には、アナログ入力信号のみ記載されているが、それに限らず、LVDS、TMDS等の入力端子や、デジタルTV用D3端子等も設けても有効であることは言うまでもない。70は音声回路アンプ、73はスピーカ、74はACインレットである。
【0013】140は光変調器120を駆動するためのデジタル信号をアナログ信号に変換するためのDA変換器で、DA変換が液晶パネル用のDAコンバータ55で対応できる場合は省略できる。141は光変調器用ドライバである。
【0014】本実施例において、光変調器への信号、さらにそれにともなう液晶パネルへの信号をどう処理するかについて、図3を用いて説明する。図3は山へ太陽が沈み、夜空になるシーンを4つに分割したものである。
【0015】時刻t_(1)の時、第1象限の位置にあたる領域150の最大輝度は8、第4象限の領域151は8、第3象限の領域は100、第2象限の領域153は8となる。分割しない時は、この時刻t_(1)の最大輝度は100となっていたのに対し、152の領域以外は最大輝度レベルが極めて下がっている。したがって、領域150,151,153は、光変調器120を透過する光量(照明光量レベル)を8まで落とし、その照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し印加する。
【0016】時刻t_(2)の画像の場合、160の領域の最大輝度は6、161の最大輝度は6、162の最大輝度は80、163の最大輝度は6、さらに時刻t_(3)の画像の場合、170の最大輝度は30、171の最大輝度は2、172の最大輝度は2、173の最大輝度は2となる。時刻t_(2)とt_(3)に移行する場合、第3象限の領域である162から172は最大輝度が80から2へ急速に変化する。このような場合、照明光を急速に変えると、光変調器の応答速度と液晶パネルの応答速度との関係から、連続的な滑らかな表示輝度特性が得られない場合もある。この場合は照明光量を急速に落とさず、滑らかに連続的に変化する駆動方式も有効である。
【0017】さらに分割領域ごとで照明レベルをどこに設定するかについて説明する。
<1>1フィールド(フレーム)中の各領域中の画素の最大輝度をその領域の最大輝度とする方式
この方法は、最大輝度算出としては、最も簡素な方法で画像データをメモリに格納する時にコンパレータを設け、各象限の最大輝度のデータを検出すれば良い。
【0018】<2>輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式
映像信号は、通常、最大振幅0.7Vppで、図2に示すADコンバータ67に入力されるが、0.7Vに対して120%相当のレベルが入力されることもある。その120%を最大値とし、輝度レベルを10階層に分類し、120%でノーマライズした時のある画像データの中での輝度が91%から100%の輝度分布を表1に示す。
【0019】
【表1】(略)
【0020】この期待値(輝度レベル平均値)を算出すると、94%となった。これにより、最大輝度グループ内での平均的な輝度が最大輝度となるために、領域全体の傾向をより反映できる利点を有している。
【0021】上記階層での分類は、等間隔にきざむ方法以外に、各層の画素数がほぼ同一になるように分類し、その最上位層で期待値を計算する方式も有効である。
【0022】<3>画素領域の所望の割合を占めるしきい値を最大輝度とする方式
人間の目には、輝度のレベルがある一定の面積で存在しないと、目につかない特性を有している。したがって、分割領域中の画素を輝度の高い順に並べた時、その領域中の全画素数の所望の割合になる輝度を最大輝度と定める方式が本方式である。表1のデータにおいて、全画素の2%となる輝度レベルは91%となる。但し、この場合、全画素は78万6432画素で、その2%とすると15729画素がそれに相当する。輝度レベルが91%までの画素数は17130画素であるから、本方式を採用した場合の最大輝度レベルは91%となる。
【0023】以上説明したように、映像信号に応じて、どの最大輝度算出方法が最も良いかは変わってくる。したがって、本実施例においては、これら複数の算出方式がユーザーにより選択できるモードもしくは、映像信号により自動的に適切な演算方式が選択できるようになっている。
【0024】本実施例では光変調器16?18および120として、液晶パネルを用いる方式について説明したがディジタル・ミラー・デバイス(DMD)等を利用することも有効である。DMDを用いれば、偏光制御に伴う光量ロスが無くなるため高輝度化には優れている。
【0025】上記実施例では、領域を分割し、照明できるのでさらに高コントラスト、高画質の表示が実現できた。上記構成の場合、液晶パネル等の素子以外の光学素子に表面反射防止膜等を設けて、コントラストを低下させる要因を低減してもよいことは言うまでもない。
【0026】各分割領域の照明光量は、上記の最大輝度に応じてリアルタイムで変化させてもよいが、照明光量を増加する時はリアルタイムで、照明光量を減少する時は、1?複数フレーム遅らせて変化させるのが好ましい。
【0027】実施例2
次に図4、図5を用いて本発明の第2の実施例について説明する。図4(a)は、直視型液晶表示装置の断面図で、201a,201bはバックライト、213は発光管、214は導光板、202は拡散板、203は入射光側偏光板、204は液晶セル、205は出射側の偏光板である。入射光側偏光板203、液晶セル204および出射側の偏光板205は偏光板付液晶セルユニット206を構成している。
【0028】図4(b)は、(a)の平面図で、この図から分かるように、表示領域の右側領域215は、バックライト201aにより照明し、左側領域216はバックライト201bにより照明する。右側と左側との境界部217は両者の照明の平均値が照明される。これはバックライト光が拡散板202により拡散することにより平均化される。
【0029】図4(c)は、入射光側偏光素子203の一つの構成例を示す。図4(a)においては、入射光側偏光素子203として単純な偏光板を用いた例を示したが、図4(c)に示すような多層構造の偏光素子を用いるのがより好ましい。図4(c)において、207は剥離ライナ、208は粘着剤、209は偏光板、210は粘着剤、211はコレステリック液晶フィルムで例えば、日東電工のPCF-350や、3M社製DBEF(Dual Brightness Enhancement Film)等が好適である。212は保護フィルムである。上記膜構造体を用いることにより、導光板214からの出射光束のうちS偏光光束もP偏光光束へ変換して液晶セル上に照明することができ、高輝度が達成できる。
【0030】図4(b)の例は、液晶セルの左右にバックライト光源を配置したが、図5に示すごとく、液晶セルの上下にそれぞれ2分割したバックライト201c,201d,201e,201fを設けることにより217に示すような水平方向への分割と、218に示すような垂直方向への分割を行ない、表示画素の分割数を増やすことも可能である。
【0031】実施例3
次に本発明の第3の実施例について図6を用いて説明する。図4と同等箇所は、同一番号で記し、説明は省略する。221は従来使用されている(非分割型の)バックライト、222は透過型のPDLC(高分子分散型液晶)セルである。
【0032】高分子分散液晶セルの上下電極に電圧を印加しない時は、上記液晶セル部で導光板221からの光が拡散して、液晶セル206の角度特性よりユーザーが見る光量は減少する。一方、PDLC222に印加する電圧を徐々に大きくすると、分散された光分子材料と液晶との屈折率差が縮小し、導光板からの光拡散量が減少し、所望の電圧(例えば、10μmギャップの時、11V)で透明体となる。これらの高分子分散液晶セルを分割しておき、液晶セル206への照明光量を領域ごと変更することができた。
【0033】但し、照明ピッチLと液晶セルの画素ピッチpとし、モアレが出にくいピッチに照明ピッチを選択することが好適である。モアレのピッチをmとすると、
【0034】
【数1】(略)
となる。したがって、照明ピッチLと画素ピッチpとが近い場合、モアレの波長(ピッチ)mが大きくなり目立つ。照明ピッチLを画素ピッチpの10倍以上とすればその時のモアレ波長mは、m≒1.1pで、ほぼ目立たなくなる。よって、照明領域の分割ピッチは少なくとも10倍以上が望ましい。」

(a-2)「【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】



甲第4号証に記載された「はえの目インテグレータ3」を構成する2つのはえの目レンズのうちの「第1はえの目レンズ3a」ではないもの(「リレーレンズ6」側のもの)を、請求人が、審判請求書の中で称しているように、「第2はえの目レンズ3b」と称することとする。
図1の記載から、「第2の光変調器120」が「第1はえの目レンズ3a」と「第2はえの目レンズ3b」の間に設けられている構成、「分割照明光」が、「リレーレンズ6,24」、「ミラー7,9,11,12」、「ダイクロミラー8,10」、「フィールドレンズ13,14,15」により、「液晶パネル16,17,18」に結像する構成を読み取ることができる。

すると、上記甲第4号証の記載事項から、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4-1発明」という。)が記載されている。

「ランプ用リフレクタ1、発光管(ランプ)2、はえの目インテグレータ3、PS変換光学素子4、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15、第1の光変調器である液晶パネル16,17,18、偏光板19,20,21、クロスプリズム22、投射レンズ23を有する液晶プロジェクタであって、
照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器120として、液晶パネルを使用し、第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになっていて、
照明光を4個に分割し、各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、液晶プロジェクタ。」

b.請求人の主張する甲4発明-1について
請求人は、甲第6、7号証に記載の技術常識を参照して、甲第4号証から甲4発明-1を認定しているが、上記「(1)」「b.」で検討したのと同様の理由により、甲4発明-1が、「液晶パネル120により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」という発明特定事項を含むとの請求人の認定は採用できない。
また、請求人は、甲4発明-1の「ミラー7、9、11、12、及びダイクロミラー8、10等を含む光学系であって、ミラー7、9、11、12、及びダイクロミラー8、10等を含む光学系により伝達される光が、第2はえの目レンズ3bを通過して光変調器16、17、18に達するように、液晶パネル120により空間的に変調された光を、光変調器16、17、18と第2はえの目レンズ3bとに伝達するように構成されたミラー7、9、11、12、及びダイクロミラー8、10等を含む光学系」について、口頭審理陳述要領書において、「「第2の光変調器120」以降の「第2はえの目レンズ3b」等の各構成部材の配列順を説明するためではなく、「第2はえの目レンズ3b」を通過した光が、「光学系」で伝達されて、「光変調器16、17、18」へと導かれるという「光学系」で伝達される光の流れを説明するためである。」と説明しているところ、甲第4号証の記載から、上述の甲4-1発明のように認定した。

c.対比
(a)訂正特許発明1と甲4-1発明との対比
(a-1)
甲4-1発明の「液晶プロジェクタ」、「液晶パネル16,17,18」は、それぞれ、訂正特許発明1の「表示装置」、「空間光変調器」に相当する。

(a-2)
請求人が主張するとおり、甲第10,11号証に記載されるように、一般に、はえの目レンズが拡散機能を有することが技術常識であるから、甲4-1発明の「第2はえの目レンズ3b」は、訂正特許発明1の「拡散器」に相当するといえる。

(a-3)
甲4-1発明の「分割照明光」について、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」ものであるから、該「分割照明光」は、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種であるといえる。
すると、甲4-1発明の「分割照明光」は、訂正特許発明1の「空間的に変調された光」に相当するから、甲4-1発明の「分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになっていて、照明光を4個に分割し、各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし」た構成は、訂正特許発明1の「空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」構成に相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲4-1発明は、
「表示装置であって、
空間光変調器と、
拡散器と
を備え、空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-4-1-1)
訂正特許発明1は、「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系」「を備え」るのに対して、甲4-1発明は、「第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになってい」る点、
すなわち、訂正特許発明1では、「空間的に変調された光」が、「光学系」、「拡散器」、「空間光変調器」の順に通過するのに対して、甲4-1発明では、「分割照明光」が、「第2はえの目レンズ3b」、「リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15」、「液晶パネル16,17,18」の順に通過する点。

なお、請求人は、口頭審理陳述要領書において、訂正特許発明1の「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、」という記載は、「光学系」により伝達されることになる光が、「拡散器」を通過して「空間光変調器」へ達するという光の流れを規定するだけであり、この光の流れによって、「拡散器」、「空間光変調」という配列の順は特定されるが、「光学系」が「拡散器」の前方(光の進行方向とは逆方向)に位置しなければならないことまでは特定されないから、甲4発明-1の内容と一致する旨の主張を行っているが、訂正特許発明1では、「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系」と特定されており、「空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系」との記載からは、「空間的に変調された光」が、「光学系」、「拡散器」、「空間光変調器」の順に通過する構成であることは明らかであるから、請求人の該主張は失当であって、採用し得るものではない。

(1-4-1-2)
空間的に変調された光が、訂正特許発明1では、「0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含み、d_(2)は、画素間の中心から中心までの距離であ」るのに対して、甲4-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(1-4-1-1)について検討する。
甲4-1発明の「第2はえの目レンズ3b」は、「第1はえの目レンズ3a」と対になって、「はえの目インテグレータ3」を構成するものであるから、「第2はえの目レンズ3b」のみを、「リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15」と「液晶パネル16,17,18」の間に配置することは光学系の設計としてあり得ないことは、当業者には自明のことである。
すると、甲4-1発明に基づいて、上記相違点(1-4-1-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明1は、甲4-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-4-1-1)で相違し、訂正特許発明1は甲4-1発明ではないし、また、訂正特許発明1は、甲第6号証、甲第7号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲4-1発明から当業者が容易に発明し得たものともいえない。

(4-2)甲第4号証の実施例3による新規性進歩性の欠如について
a.甲第4号証の記載事項は、上記「(4-1)」「a.」に挙げたとおりであって、甲第4号証の段落【0032】の「液晶セル206」(2箇所あり)は「液晶セル204」の誤記、「導光板221」は「バックライト221」の誤記であることは明らかである。
また、図6の記載から、「バックライト221」は、段落【0027】、図4(a)に記載された「バックライト201a,201b」が有する「発光管213」と「導光板214」と同様の、「発光管」と「導光板」を有すること、及び、「バックライト221」、「透過型の高分子分散型液晶セル222」、「拡散板202」、「液晶セル204」が、この順に配置された構成を読み取ることができる。
また、甲第4号証の実施例3の「高分子分散型液晶セル222」の「領域ごとの」「照明光量」は、甲第4号証の全記載からみて、甲4-1発明と同様、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」と認められる。

すると、上記甲第4号証の記載事項から、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4-2発明」という。)が記載されている。

「バックライト221、透過型の高分子分散型液晶セル222、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した直視型液晶表示装置であって、
高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更し、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、直視型液晶表示装置。」

b.請求人の主張する甲4発明-2について
請求人は、甲第6、7号証に記載の技術常識を参照して、甲第4号証から甲4発明-2を認定しているが、上記「(1)」「b.」で検討したのと同様の理由により、甲4発明-2が、「高分子分散型液晶セル222により空間的に変調された光は、約0.57×d_(1)?約0.62×d_(1)(d_(1)は画素ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」という発明特定事項を含むとの請求人の認定は採用できない。
また、請求人は、甲4発明-2の「導光板を含む光学系であって、導光板を含む光学系により伝達される光が、拡散板202を通過して液晶セル204に達するように、高分子分散型液晶セル222により空間的に変調された光を、液晶セル204と拡散板202とに伝達するように構成された導光板を含む光学系」について、口頭審理陳述要領書において、「「導光板221」から「液晶セル206」へと至るまでの各構成部材の配列順を説明するためではなく、「高分子分散型液晶セル222(PDLC222)」により空間的に変調された光を、「液晶セル204」と「拡散板202」とに伝達するという光の流れが、「光学系」により達成されていることを説明するためである。」と説明しているところ、甲第4号証の記載から、上述の甲4-2発明のように認定した。

c.対比
(a)訂正特許発明1と甲4-2発明との対比
(a-1)
甲4-2発明の「直視型液晶表示装置」、「液晶セル204」、「拡散板202」は、それぞれ、訂正特許発明1の「表示装置」、「空間光変調器」、「拡散器」に相当する。

(a-2)
甲4-2発明の「バックライト221、透過型の高分子分散型液晶セル222、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した」構成により、「透過型の高分子分散型液晶セル222」からの光が、「拡散板202」を通過して、「液晶セル204」に達すること、そして、「液晶セル204」が、「拡散板202」を通過した「透過型の高分子分散型液晶セル222」からの光を変調することは、当業者には自明である。
また、甲4-2発明の「高分子分散型液晶セル222」の「領域ごとの」「照明光量」は、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」のであるから、「高分子分散型液晶セル222」は、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種を表示するものであるといえる。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲4-2発明は、
「表示装置であって、
空間光変調器と、
拡散器と
を備え、空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-4-2-1)
訂正特許発明1は、「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系」「を備え」るのに対して、甲4-2発明は、そのような光学系を有しない点。

なお、請求人は、口頭審理陳述要領書において、訂正特許発明1の「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系」という記載は、「空間的に変調された光」が「光学系」を通過することまでは規定しておらす、『「光学系」により伝達される光が「拡散器」を通過して「空間光変調器」に達すること』及び『空間的に変調された光を、「空間光変調器」と「拡散器」とに伝達するように構成されたこと』が、「光学系」に関する発明特定事項であると主張するが、上記「(4-1)」「c.」「(c)」の相違点(1-4-1-1)で検討したとおり、訂正特許発明1の上記記載は「空間的に変調された光」が、「光学系」、「拡散器」、「空間光変調器」の順に通過する構成を示すことは明らかであるから、請求人の該主張は失当であって、採用し得るものではない。

(1-4-2-2)
空間的に変調された光が、訂正特許発明1では、「0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含み、d_(2)は、画素間の中心から中心までの距離であ」るのに対して、甲4-2発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(1-4-2-1)について検討する。
甲第4号証の全記載を参照すると、甲第4号証の実施例3は、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当であるから、甲4-2発明において、「液晶セル204」、「拡散板202」、「バックライト221」間に、他の光学系を配置する動機付けは存在しないといえる。

したがって、訂正特許発明1は、甲4-2発明に対して少なくとも上記相違点(1-4-2-1)で相違し、訂正特許発明1は甲4-2発明ではないし、また、訂正特許発明1は、甲第6号証、甲第7号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲4-2発明から当業者が容易に発明し得たものともいえない。

(4-3)結論
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲第4号証に記載された発明であるとも、甲第4号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものともいえないから、訂正特許発明1は、甲第4号証等によっては、無効とすることはできない。

(5)甲第5号証による新規性進歩性の欠如について
a.甲第5号証には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a-1)「【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態における透過型液晶表示装置について図面を参照しながら説明する。
【0008】まず図1に本発明に係る液晶モデュールの構成断面図を示す。図1において、1は出射側偏光板、2はガラス基板、3はカラーフィルター、4は透明電極、5は液晶層、6は透明電極、7は各画素に付随した薄膜トランジスター(TFT)、8はガラス基板、9は入射側偏光板であり、出射側偏光板1から、入射側偏光板9により、液晶パネルが構成される。10は、光源と導光板を含むバックライト、11は反射板を示している。
【0009】次に図2に本発明に係る液晶表示装置の斜視図を示す。図2において、12は、液晶パネル、13は光源と導光板を含むバックライト、14は反射板であり、15は表示すべき情報のメモリーおよび演算回路、16は液晶パネルへの結線、17はバックライトの輝度切り替え回路、18は情報のメモリーおよび演算回路15からバックライトの輝度切り替え回路17への結線、19はバックライトの輝度切り替え回路17からバックライトへの結線を示している。
【0010】(実施の形態1)まず、約5インチのカラー表示液晶パネル(ツイスティッドネマチック・モード、表示容量QVGA、カラーフィルター付き)を公知の手法で作成した。次に鹿児島松下電子(株)から、3原色対応発光ダイオード、すなわち、赤として、商品LN289CUQを、緑として、LNG389CNJを、青として、LNG992CFQを入手し、これらをバックライトとして用いることとした。
【0011】次に本実施の形態に係るバックライトの斜視図を、図3に示す。同図において、20は赤、緑、青の順に、多数並べられた、発光ダイオードである。21はアクリルで形成された導光板であり、明拓システム(株)から入手した。22は導光板裏面に形成された多数の突起であり、この分布は、矢印で示したように光の散乱により上方向に均一な光が出るようにされる。なお、上記の構成は印刷法により形成した。その後結線、回路ブロック、反射板等は図1及び図2に記載したように構成した。
【0012】本発明の透過型液晶表示装置においては、光源が放電管である通常のバックライトに比較して、インバーターが無い構成となっている。また、放電管(放電ランプ)をバックライトとして用いた場合、この放電管は輝度の切り替えを敏速に行うことは困難であるが、バックライトの光源として発光ダイオードを用いた場合輝度の切り替えを敏速に行うことができ、具体的には1マイクロ秒以下の輝度切り替えが可能となる。ちなみに、本実施の形態における表示装置においては、1水平走査期間は69マイクロ秒であるため、1マイクロ秒という速さは、十分な速度である。
【0013】上記のように発光ダイオードをバックライトの光源として用いた場合、輝度の輝度の切り替えを敏速に行うことができるため、画面のフレーム毎に輝度を切り替えることが可能となる。しかしながら、従来のように、バックライトとして放電ランプを用いた場合、フレーム毎に輝度を切り替えることは困難であるため、バックライトの輝度は常に最高の輝度で光らせておき、輝度の低い画像を表示するためには、液晶層により光をある程度の量遮断する必要性が生じる。従って、従来のようにバックライトとして放電ランプを用いると、光を無駄にすることになり、この無駄な光の分だけ消費電力も高くなってしまう。
【0014】次に以下では、発光ダイオードを用いてフレーム毎に輝度を切り替えた場合の本発明の透過型液晶表示装置の駆動方法について説明する。
【0015】本発明の特徴は、図2におけるは表示すべき情報のメモリーおよび演算回路15とバックライトの輝度切り替え回路17にある。この点を、これらの回路でなされる駆動についてフローチャートである図4を用いて説明する。
【0016】メモリーおよび演算回路15に、まず液晶パネルの特性から決定される赤、緑、青のそれぞれの実現可能最大輝度(ここでは、各々R100、G100、及びB100と記載することとする)の数値をストアしておく。
【0017】次に表示すべき1フレーム内の各赤画素、各緑画素、各青画素の表示情報(具体的には輝度の大きさに関する情報)、R(x,y)、G(x,y)、B(x、y)の数値を、液晶表示装置のメモリーおよび演算回路15に対して外部から伝える。このR(x,y)について説明すると、例えばR(1,2)とは(1,2)という座標で与えられた赤の表示を行う画素の輝度に関する情報を示すものとなっている。具体的に説明すると、例えばR100が100(任意単位)という輝度であり、(1,2)という座標において、赤の表示輝度を50(任意単位)としたい場合、このR(1,2)には、実現可能最大輝度に対する実際に表示したい輝度の割合である50%という情報が記録されている。この情報に基づいて光源から照射された光のうちの50%を遮断するように液晶層をコントロールしてやれば、(1,2)という座標において所望の輝度の赤表示を行うことができる。
【0018】ここで、1フレーム中には通常、赤、緑、青の表示を行う画素が各々複数個存在し、それぞれの画素の輝度も異なる。上記の伝達の際に、1フレーム中に複数存在する赤、緑、及び青の画素中で、それぞれの色の最大輝度(絶対値)を演算回路15で比較演算する。この比較演算について説明する。例えば赤の表示を行う画素が100個存在し、この100個の赤の画素には輝度情報として、上記したような50%という情報を持つ画素以外に30%や80%等というように異なる輝度情報を有する画素が存在したとする。上記の100個の情報の中の最大値が80%であった場合には、赤の実現可能最大輝度×80%を最大輝度(絶対値)として求める。上記のようにして比較演算された赤、緑、及び青の最大輝度を、MAXR、MAXG、MAXBとして決定し、記憶させる。
【0019】次に、メモリー15内のR(x,y)、G(x,y)、B(x、y)という輝度情報の変換を行う。具体的には、図に示しているように、演算回路15により、新しい赤、緑、青の表示信号を、R(x,y)×R100/MAXR、G(x,y)×G100/MAXG、B(x,y)×B100/MAXB、により計算し、これに従って駆動波形を計算し、各画素に電圧を印加する。
【0020】上記の計算について具体例とともに、以下に詳細に説明する。前述した例と同じように、例えばR100が100(任意単位)という輝度であり、(1,2)という座標において、赤の表示輝度を50(任意単位)としたい場合、このR(1,2)には、実現可能最大輝度に対する実際に表示したい輝度の割合である50%という情報が記録されている。その後演算により、特定の1フレーム中の赤の最大輝度情報が80%であった場合、MAXR=100(任意単位)×80%=80(任意単位)となる。ここで、R(1,2)×R100/MAXRの計算を行うと、50%×100/80=62.5%となる。すなわち、R(1,2)という輝度情報には、最初50%という情報がもりこまれていたわけであるが、特定のフレームにおける赤の最大輝度を100から80(いずれも任意単位)に変更したために、R(1,2)の輝度情報をこれらにリンクさせて50%から62.5%に変更したわけである。
【0021】上記のような駆動を行うことにより、本発明によれば、消費電力を少なくすることができるわけであるが、その理由について以下に詳細に説明する。
【0022】従来のように、光源として放電ランプを用いた場合、フレーム毎に光源の輝度を切り替えることはできない。今、例えば赤の実現可能最大輝度が100(任意単位)であり、特定のフレームにおいて、R(x,y)の最大値が80%であっったとすると、最も明るく光らせたい赤の画素においても、光源から発せられた光のうちの20%は液晶層により、遮断せざるをえなくなり、光源の光量の20%は無駄に光らせていることになる。
【0023】これに対して、本発明では、1フレーム毎に光源の輝度を切り替えることの可能な発光ダイオードを用いているために、例えば、特定のフレームにおいて、R(x,y)の最大値が80%であっったとすると、これに応じて赤の発光ダイオードの最大輝度が80(任意単位)になるように光らせてやれば、従来のように20%の光量の無駄をなくすことができる。実際、景色等の画像表示の場合、電力は、本発明を用いない場合に比べて、約半分になった。
【0024】(実施の形態2)約10インチのカラー表示液晶パネル(ツスティッドネマチック・モード、表示容量VGA、カラーフィルター付き)を公知の手法で製作した。次に、カラー表示液晶パネル部と、バックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割する。
【0025】各領域のバックライトは図5の如く形成する。図5は本実施の形態における液晶表示素子の構成断面図を示したものである。同図において、23は液晶セル、24はアクリル導光板、25は突起、26は発光ダイオード群を示している。
【0026】本実施の形態は、上記したように各発光ダイオードの位置に特殊性があるのみで、その他の部分については上記した実施の形態1と同様である。また、本実施の形態における液晶表示装置の駆動方法についても、上記した実施の形態1と同様であり、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える。これにより、実施の形態1と同様に、消費電力の削減が図れる。
【0027】しかし、本実施の形態では、上記した実施の形態1の場合と異なり、光源をN個の領域に分割することにより、さらなる効果を得ることができる。この理由について以下詳細に説明する。
【0028】実施の形態1の際と同様に、今、赤の表示を行いたい画素が100個存在し、R100=100(任意単位)であったとする。そして、この100個の赤の表示画素のうち、80(任意単位)の輝度で赤表示を行いたいものが1個で、その他は全て50以下の赤表示を行うものであったとする。ここで、上記の実施の形態1のような駆動を行うと、MAXR=80で赤の発光ダイオードを光らせる必要性が生じる。しかしながら、本実施の形態のように、光源領域を複数に分割すると、たまたま80(任意単位)の画素が含まれている領域の赤の発光ダイオードのみMAXR=80とし、その他の領域の赤の発光ダイオードはMAXR=50としてやればよくなり、実施の形態1と比較して更に消費電力を削減することができる。」

(a-2)「【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】



図5の記載から、「発光ダイオード群26」、「突起25」が形成された「アクリル導光板24」、「液晶セル23」が、この順に配置された構成を読み取ることができる。
また、段落【0024】に記載された「カラー表示液晶パネル部」、「バックライト部」が、それぞれ、「液晶セル23」を、「発光ダイオード群26」、「突起25」が形成された「アクリル導光板24」を含むことは明らかである。さらに、段落【0011】の「その後結線、回路ブロック、反射板等は図1及び図2に記載したように構成した。」との記載から、上記「バックライト部」も「反射板」を有すると解するのが相当である。

すると、甲第5号証の記載事項から、甲第5号証には、以下の発明(以下「甲5-1発明」という。)が記載されている。

「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24、液晶セル23を、この順に配置し、さらに、アクリル導光板24の下部に反射板を配置した液晶表示装置であって、
液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、
1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える、液晶表示装置。」

b.請求人の主張する甲5発明-1について
請求人は、甲5発明-1の発明特定事項として、「発光ダイオード群26及び反射板14で構成される光学系であって、光学系により伝達される発光ダイオード群26から発せられた光が、アクリル導光板24を通過して液晶セル23に達するように、発光ダイオード群26により空間的に変調された光を、液晶セル23とアクリル導光板24とに伝達するように構成された光学系」を認定している。
この発明特定事項のうちの「発光ダイオード群26により空間的に変調された光」について検討すると、甲第5号証に記載された「実施の形態2」において、「バックライト部」は、N個の複数の領域に分割されて、各領域が表示すべき画像情報に基づいて、発光ダイオードへの電力供給を決めるものであって、「バックライト部」は、N個の複数の領域全体により、空間的に変調された光を発すると解するのが相当であるから、上記「発光ダイオード群26により空間的に変調された光」との認定は誤りである。

c.対比
(a)訂正特許発明1と甲5-1発明との対比
(a-1)
甲5-1発明の「液晶表示装置」、「液晶セル23」は、それぞれ、訂正特許発明1の「表示装置」、「空間光変調器」に相当する。

(a-2)
請求人が主張するとおり、甲第5号証の段落【0011】の「21はアクリルで形成された導光板であり、明拓システム(株)から入手した。22は導光板裏面に形成された多数の突起であり、この分布は、矢印で示したように光の散乱により上方向に均一な光が出るようにされる。」という記載から、甲5-1発明の「アクリル導光板24」は、光の拡散機能を有するから、訂正特許発明1の「拡散器」に相当するといえる。

(a-3)
甲5-1発明の「バックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞」る構成により、「バックライト部」は、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種を表示するものであるといえる。
また、上記「b.」で述べたとおり、甲5-1発明は、「バックライト部」は、N個の複数の領域全体により、空間的に変調された光を発するものである。そして、この「バックライト部」による空間的に変調された光を、「液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部」で更に変調することは、当業者には自明である。
よって、甲5-1発明は、訂正特許発明1の「空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される」構成に相当する構成を備えると認められる。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲5-1発明は、
「表示装置であって、
空間光変調器と、
拡散器と
を備え、空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-5-1-1)
訂正特許発明1は、「光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系」「を備え」るのに対して、甲5-1発明は、そのような光学系を備えない点。

(1-5-1-2)
空間的に変調された光が、訂正特許発明1では、「0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含み、d_(2)は、画素間の中心から中心までの距離であ」るのに対して、甲5-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(1-5-1-1)について検討する。
甲第5号証の全記載を参照すると、甲第5号証では、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置を対象とした技術事項を開示していると解するのが相当あるから、甲5発明においても、「液晶セル23」、「バックライト部」間に、他の光学系を配置する動機付けは存在しないといえる。

なお、請求人は、上述のとおり、甲5発明-1の発明特定事項として、「発光ダイオード群26及び反射板14で構成される光学系であって、光学系により伝達される発光ダイオード群26から発せられた光が、アクリル導光板24を通過して液晶セル23に達するように、発光ダイオード群26により空間的に変調された光を、液晶セル23とアクリル導光板24とに伝達するように構成された光学系」を認定しているが、上述のとおり、「発光ダイオード群26により空間的に変調された光」という認定が誤りであって、該発明特定事項の認定自体が誤りとなるから、請求人の該主張は採用できない。(甲5-1発明の「突起25が形成されたアクリル導光板24」、「反射板」は、いずれも、空間的に変調された光を生成するための光学素子であって、空間的に変調された光が通過する光学素子ではない。)

また、請求人が主張するように、仮に、甲第1号証の図9(B)、甲第9号証から「複数のLED3により空間的に変調された光は、約0.46×d_(1)又は約0.9×d_(1)(d_(1)はLEDの発光素子ピッチ)の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含む」構成を認定したとしても、訂正特許発明1と甲5-1発明との対比において、上記相違点(1-5-1-2)が相違点ではなくなるだけであって、上記相違点(1-5-1-1)の認定及びこれについての判断は変わることがない。

よって、甲5-1発明に基づいて、上記相違点(1-5-1-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明1は、甲5-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-5-1-1)で相違し、訂正特許発明1は甲5-1発明ではないし、また、訂正特許発明1は、甲第1号証、甲第9号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲5-1発明から当業者が容易に発明し得たものともいえない。

e.結論
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲第5号証に記載された発明であるとも、甲第5号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものともいえないから、訂正特許発明1は、甲第5号証等によっては、無効とすることはできない。

3.訂正特許発明2?6について
上記「2.」で検討したとおり、訂正特許発明1は、甲第1?5号証等によっては無効とすることはできないから、訂正特許発明1の発明特定事項を全て含む訂正特許発明2?6も、甲第1?5号証等によっては、無効とすることはできない。

4.訂正特許発明7について
(1)訂正特許発明7の発明特定事項について
訂正特許発明7が有する「前記光学系の光源」という発明特定事項が示す事項について検討する。
まず、「光学系」が示す事項について、訂正特許発明7では、「第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系」(特に、下線部)と特定されていることから、該「光学系」は、訂正明細書に記載された実施形態における「光学系17」、「光学系27」に対応する技術事項を示すものと認められる。
すると、これら「光学系17」、「光学系27」には、一般に「光源」と称されるような構成を有しないことは明らかであることから、訂正特許発明7の「前記光学系の光源」が示す事項が不明となる。そこで、訂正明細書の記載を参酌すると、「光源」という用語としては、「光源12」に関する記載が認められるのみであるから、「光源12」は「光学系17」、「光学系27」を構成するものではないものの、訂正特許発明7の「前記光学系の光源」は、「光源12」に対応する技術事項を示すものと解さざるを得ないので、訂正特許発明7の「前記光学系の光源」は、「光源12」に対応する技術事項を示すものと認める。
したがって、以下では、訂正特許発明7の「前記光学系の光源」を上記のように認定して、検討を進める。

(2)甲第4号証による新規性進歩性の欠如について
(2-1)甲第4号証の実施例1による新規性進歩性の欠如について
a.甲第4号証の記載事項は、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「a.」に挙げたとおりであって、図2から、「液晶パネル16,17,18」は「ドライバー回路54」、「DAコンバータ55」を介して「DSP部57」に、「第2の光変調器120」(図2の「142」は「120」の誤記である。)は「光変調器用ドライバ141」、「DA変換器140」を介して「タイミング発生回路58」に、それぞれ、接続された構成を読み取ることができる。
また、「ランプ65」は、「発光管(ランプ)2」と同一のものを指すことは明らかである。

すると、上記甲第4号証の記載事項から、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4-5発明」という。)が記載されている。

「ランプ用リフレクタ1、発光管(ランプ)2、はえの目インテグレータ3、PS変換光学素子4、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15、第1の光変調器である液晶パネル16,17,18、偏光板19,20,21、クロスプリズム22、投射レンズ23を有する液晶プロジェクタであって、
照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器120として、液晶パネルを使用し、第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになっていて、
照明光を4個に分割し、各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、
マイコン63は、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックに接続され、それら各ブロックの制御を行なっており、
発光管(ランプ)2は、バラスト64に、液晶パネル16,17,18はドライバー回路54、DAコンバータ55を介してDSP部57に、第2の光変調器120は光変調器用ドライバ141、DA変換器140を介してタイミング発生回路58に、それぞれ、接続されており、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、液晶プロジェクタ。」

b.請求人の主張する甲4発明-5について
請求人は、「また、図1に示す液晶プロジェクタにおける光源を構成する範囲としては、「光源とは、光を発する機能、発した光を所望の方向へ向ける機能、発した光の量を調整する機能等を有するもの」として光源を把握すれば、上記の図1中、二点鎖線で囲んだ範囲に含まれる「ランプ用リフレクタ1」、「発光管2」、「赤外、紫外カットフィルタ101」、「PS変換素子4」、「ランプ側の第1はえの目レンズ3a」、及び「第2の光変調器120」が少なくとも、図1の液晶プロジェクタの光源を構成していると云える。」と主張するが、甲第4号証には、上記「光源とは、光を発する機能、発した光を所望の方向へ向ける機能、発した光の量を調整する機能等を有するもの」として光源を把握することは記載も示唆もされておらず、また、プロジェクタにおいて、「光源」はランプを意味すると解するのが一般的であることからも、「第2の光変調器120」が光源である旨の主張は採用できない。

c.対比
(a)訂正特許発明7と甲4-5発明との対比
(a-1)
甲4-5発明の「液晶プロジェクタ」、「液晶パネル16,17,18」は、それぞれ、訂正特許発明7の「表示装置」、「空間光変調器」に相当する。

(a-2)
甲4-5発明の「分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになってい」る構成は、訂正特許発明7の「前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系と」「を備え」る構成に相当する。

(a-3)
甲4-5発明の「分割照明光」について、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「c.」「(a-3)」で検討したとおり、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種であるといえるから、訂正特許発明7の「第1の大きさの画素を有する光のパターン」に相当する。
甲4-5発明の「分割照明光」は4分割であるのに対して、「液晶パネル16,17,18」が4つよりはるかに多い画素を有することは自明であるから、「液晶パネル16,17,18」の画素の大きさは、「分割照明光」の各分割領域の大きさよりも小さいこととなる。

(a-4)
甲4-5発明の「マイコン63」は、画像信号に従って、「液晶パネル16,17,18」を制御することは自明であるから、該「マイコン63」は、訂正特許発明7の「前記所望の画像を含む画像信号に従って、」「前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラ」に相当する。
なお、甲4-5発明では、「各照明光束を互いに独立に調光(変調)する」ために、「マイコン63」により「第2の光変調器120」を制御するものであって、「発光管(ランプ)2」を制御するものではないことは明らかである。
また、甲4-5発明は、「各照明光束」の「光量を調節(調光)するため」に、「マイコン63」が、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定」して、「第2の光変調器120」を制御するものであって、「発光管(ランプ)2」を制御するものではない。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明7と甲4-5発明は、
「表示装置であって、前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系と、前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラとを備える、表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(7-4-5-1)
「コントローラ」が「前記所望の画像を含む画像信号に従って、」「制御する」対象が、「空間光変調器」以外では、訂正特許発明7では、「前記光学系の光源」であるのに対して、甲4-5発明では、「第2の光変調器120」である点。

(7-4-5-2)
訂正特許発明7では、「前記コントローラは、前記空間光変調器を制御するように構成される前記信号を調整して、前記光のパターンが有する前記画素と前記空間光変調器の画素との間の画素の大きさの差に起因する前記所望の画像における影響を低減する」のに対して、甲4-5発明では、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」が、この「設定」により、「分割照明光」の各分割領域と「液晶パネル16,17,18」の画素の大きさの差に起因する画像への影響を低減するか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(7-4-5-1)について検討する。
プロジェクタにおいて、ランプを画像信号に従って制御することが公知であることを示す証拠は提示されておらず、また、プロジェクタにおいて、ランプを画像信号に従って制御することが周知技術や技術常識であるとも認められず、さらに、「第2の光変調器120」を制御して、「各照明光束を互いに独立に調光(変調)する」構成を有する甲4-5発明において、「コントローラ63」が「発光管(ランプ)2」を画像信号に従って制御するように構成する動機付けも存在しないといえる。

よって、甲4-5発明に基づいて、上記相違点(7-4-5-1)に係る訂正特許発明7の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明7は、甲4-5発明に対して少なくとも上記相違点(7-4-5-1)で相違し、訂正特許発明1は甲4-5発明ではないし、また、訂正特許発明7は、甲4-5発明から当業者が容易に発明し得たものでもない。

(2-2)甲第4号証の実施例2による新規性進歩性の欠如について
a.甲第4号証の記載事項は、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「a.」に挙げたとおりであって、図4(a)、図5の記載から、「バックライト201c、201d、201e、201f」、「拡散板202」、「液晶セル204」が、この順に配置された構成を読み取ることができる。
また、甲第4号証の全記載から、「バックライト201c、201d、201e、201f」について、甲4-5発明の「照明光を4個に分割し、各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、」と同様、「バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにされており、この調光は、甲4-5発明の「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」構成と同様の構成により、それぞれの輝度が定められ、そして、これらの輝度は、「バックライト201c、201d、201e、201f」のそれぞれの発光量を調整することにより得られる構成であると解するのが相当である。
また、甲第4号証の全記載から、実施例2の「直視型液晶表示装置」においても、甲4-5発明の「マイコン63は、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックに接続され、それら各ブロックの制御を行なっており、発光管(ランプ)2は、バラスト64に、液晶パネル16,17,18はドライバー回路54、DAコンバータ55を介してDSP部57に、第2の光変調器120は光変調器用ドライバ141、DA変換器140を介してタイミング発生回路58に、それぞれ、接続されて」いる構成と同様の構成である、「マイコン63は、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックに接続され、それら各ブロックの制御を行なっており、発光管213は、バラスト64に、液晶セル204はドライバー回路54、DAコンバータ55を介してDSP部57に、それぞれ、接続されて」いる構成を有すると認められる。

すると、上記甲第4号証の記載事項から、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4-6発明」という。)が記載されている。

「発光管213と導光板214を含むバックライト201c、201d、201e、201f、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した直視型液晶表示装置であって、
バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、
マイコン63は、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックに接続され、それら各ブロックの制御を行なっており、
発光管213は、バラスト64に、液晶セル204はドライバー回路54、DAコンバータ55を介してDSP部57に、それぞれ、接続されており、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、直視型液晶表示装置。」

b.請求人の主張する甲4発明-6について
請求人は、「上記の図4(a)より、甲4発明-6において、発光管213から発せられた光を液晶セル204へ伝達する光学系は導光板214及び拡散板203等で構成されることが分かる。また、「甲4O(段落[0035])」の中には、「また、ランプ等により、光量を変調する時は、低輝度画面ではランプパワーを抑制できるために、より低消電力比にも役立つ利点を持っている」という記載があることから、甲4発明-6では、4分割されたバックライトによって変調された光のパターンを発しており、このようなバックライトからの光のパターンを、光学系は液晶セル204へ射影発することになる。」として、甲4発明-6において、「バックライト201c,201d,201e,201fから発せられた空間的に変調された光に係る第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して画像を生成するように構成される液晶セル204に射影するように構成された光学系」という発明特定事項を認定している。
しかし、上記「発光管213から発せられた光を液晶セル204へ伝達する光学系は導光板214及び拡散板203等で構成される」、「このようなバックライトからの光のパターンを、光学系は液晶セル204へ射影発する」との記載からは、「バックライト201c,201d,201e,201f」からの光のパターンを、「導光板214及び拡散板203等から構成される」「光学系」で伝達することになるが、「導光板214」は「バックライト201c,201d,201e,201f」を構成するものであって、「導光板214」が「バックライト201c,201d,201e,201f」と「光学系」に二重に認定されており、明らかに認定誤りである。
さらに、甲第4号証に記載された「実施例2」において、「バックライト201c,201d,201e,201fからの4分割された各照明光束」の輝度を異なるものとすることにより、光のパターンを生成するのであるから、「バックライト201c,201d,201e,201f」を構成する「導光板214」を、光のパターンを空間光変調器に射影する光学系と認定することができないことも明らかである。

c.対比
(a)訂正特許発明7と甲4-6発明との対比
(a-1)
甲4-6発明の「直視型液晶表示装置」、「液晶セル204」、「発光管213」は、それぞれ、訂正特許発明7の「表示装置」、「空間光変調器」、「光学系の光源」に相当する。

(a-2)
甲4-6発明の「バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束」について、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「c.」「(a-3)」での検討と同様に、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種であるといえるから、訂正特許発明7の「第1の大きさの画素を有する光のパターン」に相当する。
甲4-6発明の「バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束」は4分割であるのに対して、「液晶セル204」が4つよりはるかに多い画素を有することは自明であるから、「液晶セル204」の画素の大きさは、「バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束」の各分割領域の大きさよりも小さいこととなる。
甲4-6発明の「発光管213と導光板214を含むバックライト201c、201d、201e、201f、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した」構成により、「発光管213と導光板214を含むバックライト201c、201d、201e、201f」と「液晶セル204」との間には、「拡散板202」が配置されることになるが、この「拡散板202」は、「発光管213と導光板214を含むバックライト201c、201d、201e、201f」により生成される光のパターンを、「液晶セル204」に射影する光学系であるとはいえない。

すると、甲4-6発明と訂正特許発明7は、「前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に伝達するように構成された光学系と」「を備え」る点で一致する。

(a-3)
甲4-6発明の「マイコン63」は、画像信号に従って、「液晶セル204」を制御することは自明であり、さらに、「バックライト201c、201d、201e、201f」を構成する4つの「発光管213」を制御するものでもあるから、該「マイコン63」は、訂正特許発明7の「前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系の光源と前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラ」に相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明7と甲4-6発明は、
「表示装置であって、前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に伝達するように構成された光学系と、前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系と前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラとを備える、表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(7-4-6-1)
訂正特許発明7は、「第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系」(特に、下線部)を備えるのに対して、甲4-6発明は、そのような光学系を有しない点。

(7-4-6-2)
訂正特許発明7では、「前記コントローラは、前記空間光変調器を制御するように構成される前記信号を調整して、前記光のパターンが有する前記画素と前記空間光変調器の画素との間の画素の大きさの差に起因する前記所望の画像における影響を低減する」のに対して、甲4-6発明では、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」が、この「設定」により、「バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束」と「液晶セル204」の画素の大きさの差に起因する画像への影響を低減するか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(7-4-6-1)について検討する。
甲第4号証の全記載を参照すると、甲第4号証の実施例2は、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当あるから、甲4-6発明において、「液晶セル204」、「拡散板202」、「バックライト201c、201d、201e、201f」間に、「バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束」を「液晶セル204」に射影するような他の光学系を配置する動機付けは存在しないといえる。

よって、甲4-6発明に基づいて、上記相違点(7-4-6-1)に係る訂正特許発明7の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明7は、甲4-6発明に対して少なくとも上記相違点(7-4-6-1)で相違し、訂正特許発明は甲4-6発明ではないし、また、訂正特許発明7は、甲4-6発明から当業者が容易に発明し得たものでもない。

(2-3)甲第4号証の実施例3による新規性進歩性の欠如について
a.甲第4号証の記載事項は、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「a.」に挙げたとおりであって、実施例3の「バックライト221」は、甲4-6発明の「バックライト201c、201d、201e、201f」と同様の「発光管」と「導光板」を含むと認められる。
さらに、甲第4号証の全記載から、実施例3の「直視型液晶表示装置」においても、甲4-5発明の「マイコン63は、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックに接続され、それら各ブロックの制御を行なっており、発光管2は、バラスト64に、液晶パネル16,17,18はドライバー回路54、DAコンバータ55を介してDSP部57に、第2の光変調器120は光変調器用ドライバ141、DA変換器140を介してタイミング発生回路58に、それぞれ、接続されて」いる構成と同様の構成である、「マイコン63は、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックに接続され、それら各ブロックの制御を行なっており、発光管は、バラスト64に、液晶セル204はドライバー回路54、DAコンバータ55を介してDSP部57に、それぞれ、接続されて」いる構成を有すると認められる。」

すると、上記甲第4号証の記載事項から、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4-7発明」という。)が記載されている。

「発光管と導光板を含むバックライト221、透過型の高分子分散型液晶セル222、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した直視型液晶表示装置であって、
高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更するようにし、
マイコン63は、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックに接続され、それら各ブロックの制御を行なっており、
発光管は、バラスト64に、液晶セル204はドライバー回路54、DAコンバータ55を介してDSP部57に、それぞれ、接続されており、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、
直視型液晶表示装置。」

b.請求人の主張する甲4発明-7について
請求人は、甲4発明-6と同様に、「発光管」から発せられた光を「液晶セル204」へ伝達する光学系は「バックライト221」等で構成されているとして、甲4発明-7において、「高分子分散型液晶セル222から出る空間的に変調された光に係る第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して画像を生成するように構成される液晶セル204に射影するように構成された光学系」という発明特定事項を認定している。
しかし、上記「(2-2)」「b.」で検討したとおり、上記請求人の認定は誤りである。

c.対比
(a)訂正特許発明7と甲4-7発明との対比
(a-1)
甲4-7発明の「直視型液晶表示装置」、「液晶セル204」、「発光管」は、それぞれ、訂正特許発明7の「表示装置」、「空間光変調器」、「光学系の光源」に相当する。

(a-2)
甲4-7発明の「高分子分散型液晶セル222」は、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「c.」「(a-3)」での検討と同様に、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種を生成するものであるといえるから、甲4-7発明の「透過型の高分子分散型液晶セル222」が生成するものは、訂正特許発明7の「第1の大きさの画素を有する光のパターン」に相当する。
甲4-7発明の「高分子分散型液晶セル222」の「領域」の数よりも、「液晶セル204」が画素数が多いことは自明であるから、「液晶セル204」の画素の大きさは、「高分子分散型液晶セル222」の「領域」の大きさよりも小さいこととなる。
甲4-7発明の「発光管と導光板を含むバックライト221、透過型の高分子分散型液晶セル222、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した」構成により、「透過型の高分子分散型液晶セル222」と「液晶セル204」との間には、「拡散板202」が配置されることになるが、この「拡散板202」は、「透過型の高分子分散型液晶セル222」により生成される光のパターンを、「液晶セル204」に射影する光学系であるとはいえない。

すると、甲4-7発明と訂正特許発明7は、「前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に伝達するように構成された光学系と」「を備え」る点で一致する。

(a-3)
甲4-7発明の「マイコン63」は、画像信号に従って、「液晶セル204」を制御することは自明であるから、該「マイコン63」は、訂正特許発明7の「前記所望の画像を含む画像信号に従って、」「前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラ」に相当する。
なお、甲4-7発明では、「液晶セル204への照明光量を領域ごと変更する」ために、「マイコン63」により「高分子分散型液晶セル222」を制御するものであって、「発光管」を制御するものではないことは明らかである。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明7と甲4-7発明は、
「表示装置であって、前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に伝達するように構成された光学系と、前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラとを備える、表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(7-4-7-1)
訂正特許発明7は、「第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系」(特に、下線部)を備えるのに対して、甲4-7発明は、そのような光学系を有しない点。

(7-4-7-2)
訂正特許発明7では、「コントローラ」は、「前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系の光源」「を制御するように構成された制御信号を生成する」のに対して、甲4-7発明では、「マイコン63」は、画像信号に従って、「発光管」を制御するように構成された制御信号を生成するものではない点。

(7-4-7-3)
訂正特許発明7では、「前記コントローラは、前記空間光変調器を制御するように構成される前記信号を調整して、前記光のパターンが有する前記画素と前記空間光変調器の画素との間の画素の大きさの差に起因する前記所望の画像における影響を低減する」のに対して、甲4-7発明では、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」が、この「設定」により、「高分子分散型液晶セル222」と「液晶セル204」の画素の大きさの差に起因する画像への影響を低減するか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(7-4-7-1)について検討する。
甲第4号証の全記載を参照すると、甲第4号証の実施例3は、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当あるから、甲4-7発明において、「液晶セル204」、「拡散板202」、「バックライト221」間に、「高分子分散型液晶セル222」を「液晶セル204」に射影するような他の光学系を配置する動機付けは存在しないといえる。

よって、甲4-7発明に基づいて、上記相違点(7-4-7-1)に係る訂正特許発明7の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明7は、甲4-7発明に対して少なくとも上記相違点(7-4-7-1)で相違し、訂正特許発明7は甲4-7発明ではないし、また、訂正特許発明1は、甲4-7発明から当業者が容易に発明し得たものでもない。

(2-4)結論
以上のとおり、訂正特許発明7は、甲第4号証に記載された発明であるとも、甲第4号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものともいえないから、訂正特許発明7は、甲第4号証等によっては、無効とすることはできない。

(3)甲第5号証による新規性進歩性の欠如について
a.甲第5号証の記載事項は、上記「2.」「(5)」「a.」に挙げたとおりであって、甲第5号証の段落【0008】?【0009】、図1、2の記載から、「液晶パネル12」は「メモリー及び演算回路15」に接続され、「バックライト部」は「バックライトの輝度切り替え回路17」を介して「メモリー及び演算回路15」に接続された構成が読み取れる。そして、甲第5号証の全記載から、実施の形態2の液晶表示装置も、段落【0008】?【0009】、図1、2に記載された液晶表示装置と同様の構成を有すると認められるから、実施の形態2の液晶表示装置は、「液晶セル23」は「メモリー及び演算回路15」に接続され、「バックライト部」は「バックライトの輝度切り替え回路17」を介して「メモリー及び演算回路15」に接続された構成を有すると認められる。
また、「液晶セル23」の「各画素」の輝度と「バックライト部」の「各領域」の輝度は、実施の形態1と同様、甲第5号証の段落【0014】?【0020】に記載されるように、「メモリー及び演算回路15」により制御されると認められる。

すると、甲第5号証の記載事項から、甲第5号証には、以下の発明(以下「甲5-3発明」という。)が記載されている。

「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24、液晶セル23を、この順に配置し、さらに、アクリル導光板24の下部に反射板を配置した液晶表示装置であって、
液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、
メモリー及び演算回路15は、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える、液晶表示装置。」

b.請求人の主張する甲5発明-3について
請求人は、甲5発明-3の発明特定事項として、「バックライトの光に係る第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して画像を生成するように構成される液晶セル23に射影するように構成された光学系」を認定している。
上記「2.」「(5)」「b.」での検討と同様、「N個の複数の領域に区分、分割」された「バックライト部」全体で光のパターンを生成すると解され、また、「突起25が形成されたアクリル導光板24」及び「反射板」は「バックライト部」を構成するものであって、甲第5号証の実施の形態2の液晶表示装置では、「バックライト部」と「カラー表示液晶パネル部」の間に光学要素は配置されていないから、請求人が上記のように認定する「・・・前記光のパターンを変調して画像を生成するように構成される液晶セル23に射影するように構成された光学系」は、甲第5号証には記載されていないことが明らかである。

c.対比
(a)訂正特許発明7と甲5-3発明との対比
(a-1)
甲5-3発明の「液晶表示装置」、「液晶セル23」、「発光ダイオード群26」は、それぞれ、訂正特許発明7の「表示装置」、「空間光変調器」、「光学系の光源」に相当する。

(a-2)
甲5-3発明の「バックライト部」は、上記「2.」「(5)」「c.」「(a-3)」での検討と同様に、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種を生成するものであるといえるから、甲5-3発明の「バックライト部」が生成するものは、訂正特許発明7の「第1の大きさの画素を有する光のパターン」に相当する。
甲5-3発明の「バックライト部」の「領域」の個数Nよりも、「液晶セル23」の画素数が多いことは自明であるから、「液晶セル23」の画素の大きさは、「バックライト部」の「領域」の大きさよりも小さいこととなる。
上記「2.」「(5)」「c.」「(a-3)」で検討したとおり、「バックライト部」により生成された光のパターンが、「液晶セル23」で、更に変調されることは、自明である。
すると、甲5-3発明と訂正特許発明7は、「前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に伝達するようにした構成と」「を備え」る点で一致する。

(a-3)
甲5-3発明の「メモリー及び演算回路15」は、画像信号に従って、「発光ダイオード群26」と「液晶セル23」を制御することは明らかであるから、該「メモリー及び演算回路15」は、訂正特許発明7の「前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系の光源と前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラ」に相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明7と甲5-3発明は、
「表示装置であって、前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に伝達するようにした構成と、前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系の光源と前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラとを備える、表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(7-5-3-1)
訂正特許発明7は、「第1の大きさの画素を有する光のパターンを、・・・空間光変調器に射影するように構成された光学系と」「を備え」るのに対して、甲5-3発明は、そのような光学系を備えない点。

(7-5-3-2)
訂正特許発明7は、「前記コントローラは、前記空間光変調器を制御するように構成される前記信号を調整して、前記光のパターンが有する前記画素と前記空間光変調器の画素との間の画素の大きさの差に起因する前記所望の画像における影響を低減する」のに対して、甲5-3発明では、「メモリー及び演算回路15は、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える」構成であるが、この構成により、「バックライト部」の「領域」と「液晶セル23」の画素の大きさの差に起因する画像への影響を低減するか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(7-5-3-1)について検討する。
甲第5号証の全記載を参照すると、甲第5号証では、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置を対象とした技術事項を開示していると解するのが相当あるから、甲5-3発明においても、「液晶セル23」、「バックライト部」の間に、「バックライト部」により生成された光のパターンを「液晶セル23」に射影するような他の光学系を配置する動機付けは存在しないといえる。

よって、甲5-3発明に基づいて、上記相違点(7-5-3-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明7は、甲5-3発明に対して少なくとも上記相違点(7-5-3-1)で相違し、訂正特許発明7は甲5-3発明ではないし、また、訂正特許発明7は、甲5-3発明から当業者が容易に発明し得たものでもない。

e.結論
以上のとおり、訂正特許発明7は、甲第5号証に記載された発明であるとも、甲第5号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものともいえないから、訂正特許発明7は、甲第5号証等によっては、無効とすることはできない。

(4)甲第3、5号証による進歩性の欠如について
a.甲第3号証の記載事項は、上記「2.」「(3)」「a.」に挙げたとおりであって、甲第3号証には、以下の甲3-2発明が記載されている。

「液晶表示装置であって
照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備えており、
更に、液晶パネル1とバックライトパネル2との間に、バックライトパネル2からの照明光を均一化するための光拡散板6を設け、
バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3は48個の分割領域に分割されており、
液晶パネル制御回路33は、映像メモリ32に記憶された映像信号に基づいて液晶パネル1を駆動制御し、
LED制御回路34は、映像信号に応じて、液晶パネル1において少なくとも照明光が必要とされる画面領域に照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御する、液晶表示装置。」

b.対比
(a)訂正特許発明7と甲3-2発明との対比
(a-1)
甲3-2発明の「液晶表示装置」、「液晶パネル1」、「複数のLED3」は、それぞれ、訂正特許発明7の「表示装置」、「空間光変調器」、「光学系の光源」に相当する。

(a-2)
上記「2.」「(3)」「c.」「(a-2)」での検討と同様、甲3-2発明の「バックライト2からの照明光」は、訂正特許発明7の「第1の大きさの画素を有する光のパターン」に相当する。
甲3-2発明の「液晶パネル1」の画素の大きさは、「分割領域」の大きさよりも小さいことは、当業者には自明である。
上述のとおり、甲3-2発明の「バックライト2からの照明光」は訂正特許発明7の「第1の大きさの画素を有する光のパターン」に相当するから、甲3-2発明の「照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1」は、訂正特許発明7の「前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器」に相当する。
甲3-2発明の「液晶パネル1とバックライトパネル2との間に、」設けられた「バックライトパネル2からの照明光を均一化するための光拡散板6」は、「バックライト2からの照明光」を「液晶パネル1」に伝達する光学系であるといえる。(「光拡散板6」は、「バックライト2からの照明光」を拡散するものであって、「液晶パネル1」に射影する光学系とはいえない。)
すると、甲3-2発明と訂正特許発明7は、「前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に伝達するようにした構成された光学系」を備える点で一致する。

(a-3)
甲3-2発明の「映像メモリ32に記憶された映像信号に基づいて液晶パネル1を駆動制御」する「液晶パネル制御回路33」及び「映像信号に応じて、」「LED3を分割領域単位で駆動制御する」「LED制御回路34」が、訂正特許発明7の「前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系の光源と前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラ」に相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明7と甲3-2発明は、
「表示装置であって、前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に伝達するように構成された光学系と、前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系の光源と前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラと備える、表示装置。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(7-3-2-1)
訂正特許発明7では、「前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系」であるのに対して、甲3-2発明では、「液晶パネル1とバックライトパネル2との間に、」設けられた「バックライトパネル2からの照明光を均一化するための光拡散板6」は、「バックライト2からの照明光」を「液晶パネル1」に伝達する光学系であって、射影する光学系ではない点。

(7-3-2-2)
訂正特許発明7では、「前記コントローラは、前記空間光変調器を制御するように構成される前記信号を調整して、前記光のパターンが有する前記画素と前記空間光変調器の画素との間の画素の大きさの差に起因する前記所望の画像における影響を低減する」のに対して、甲3-2発明では、「液晶パネル1において少なくとも照明光が必要とされる画面領域に照明光が照明されるよう」駆動制御するものであって、「分割領域」の大きさと「液晶パネル1」の画素の大きさとの差に起因する影響を低減するものであるかが不明である点。

c.判断
甲第3号証の全記載を参照すると、甲第3号証では、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置を対象とした技術事項を開示していると解するのが相当であるから、甲3-2発明において、「液晶パネル1」、「光拡散板6」、「バックライト2」の間に、「バックライトパネル2からの照明光」を「液晶パネル1」に射影する光学系を配置する動機付けは存在しないといえる。

よって、甲3-2発明に基づいて、上記相違点(7-3-2-1)に係る訂正特許発明7の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、甲第5号証に記載された発明との組み合わせを検討するまでもなく、訂正特許発明7は、甲3-2発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明7は、甲第3、5号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえないから、訂正特許発明7は、甲第3、5号証等によっては、無効とすることはできない。

5.訂正特許発明8?10について
上記「4.」で検討したとおり、訂正特許発明7は、甲第3?5号証等によっては無効とすることはできないから、訂正特許発明7の発明特定事項を全て含む訂正特許発明8?10も、甲第3?5号証等によっては、無効とすることはできない。

6.訂正特許発明11について
(1)訂正特許発明11の発明特定事項について
訂正特許発明11が有する「光学系」という発明特定事項が示す事項について検討するに、「光学系」が示す事項について、訂正特許発明11では、「光学系」自体の構成を特定する記載がないことから、訂正明細書を参照する。
訂正明細書において、「光学系」という記載は、実施形態における「光学系17」、「光学系27」に関して使用されているものと、
訂正明細書の段落【0017】に、「表示装置10は光源12を備えている。光源12は、例えば、白熱灯、アーク灯等の投影ランプや、レーザや、その他適当な光源であってもよい。光源12は、表示装置10の他の部分に光を伝達するように協同する、1つ以上のミラー、レンズ、その他の光学素子からなる光学系を備えていてもよい。」と記載された、ランプ等の光源からの光を空間光変調器に伝達するための、反射鏡、レンズ、拡散器等の光学素子からなる照明光学系に使用されているものの2種類の「光学系」に使用されている。
このうち、訂正特許発明11では、「光学系」は「光のパターン」の制御について使用されているところ、照明光学系は、空間光変調器に照明光を供給するものであって、「光のパターン」の制御に関連が薄いものであることを考慮すると、訂正特許発明11の「光学系」は、訂正明細書に記載された実施形態における「光学系17」、「光学系27」に対応する技術事項を示すものと認められる。
したがって、以下では、訂正特許発明11の「光学系」を上記のように認定して、検討を進める。

(2)甲第4号証による新規性進歩性の欠如について
(2-1)甲第4号証の実施例1による新規性進歩性の欠如について
a.甲第4号証の記載事項は、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「a.」、「4.」「(2)」「(2-1)」「a.」に挙げたとおりである。

すると、上記甲第4号証の記載事項から、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4-8発明」という。)が記載されている。

「ランプ用リフレクタ1、発光管(ランプ)2、はえの目インテグレータ3、PS変換光学素子4、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15、第1の光変調器である液晶パネル16,17,18、偏光板19,20,21、クロスプリズム22、投射レンズ23を有する液晶プロジェクタを制御する方法であって、
照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器120として、液晶パネルを使用し、第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになっていて、
照明光を4個に分割し、各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、
マイコン63は、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックに接続され、それら各ブロックの制御を行なっており、
発光管(ランプ)2は、バラスト64に、液晶パネル16,17,18はドライバー回路54、DAコンバータ55を介してDSP部57に、第2の光変調器120は光変調器用ドライバ141、DA変換器140を介してタイミング発生回路58に、それぞれ、接続されており、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、液晶プロジェクタの制御方法。」

b.対比
(a)訂正特許発明11と甲4-8発明との対比
(a-1)
甲4-8発明の「液晶プロジェクタの制御方法」、「液晶パネル16,17,18」は、それぞれ、訂正特許発明11の「方法」、「空間光変調器」に相当する。

(a-2)
甲4-8発明の「分割照明光」を「光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになってい」る「リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15」は、訂正特許発明11の「光学系」に相当する。

(a-3)
甲4-8発明の「分割照明光」について、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「c.」「(a-3)」で検討したとおり、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種であるといえるから、訂正特許発明11の「第1画素のアレイを含む光のパターン」に相当する。
そして、該「分割照明光」を、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」のであるから、甲4-8発明と訂正特許発明11は、「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」を備える点で共通する。

(a-4)
甲4-8発明の「分割照明光」は4分割であるのに対して、「液晶パネル16,17,18」が4つよりはるかに多い画素を有することは自明であるから、「分割照明光」の1つが、「液晶パネル16,17,18」の複数の画素に共通することとなる。

(a-5)
甲4-8発明の「マイコン63」は、画像信号に従って、「液晶パネル16,17,18」を制御することは自明であるから、甲4-8発明は、訂正特許発明11の「第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階」に相当する構成を有すると認められる。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明11と甲4-8発明は、
「方法であって、第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階と、第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階とを備え、各第1画素は複数の第2画素に共通する、方法。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(11-4-8-1)
「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」の制御対象が、「空間光変調器」以外では、訂正特許発明11では、「光学系」であるのに対して、甲4-8発明では、「第2の光変調器120」である点。

(11-4-8-2)
訂正特許発明11では、「前記画像信号の一部を含む制御信号であって、各第1画素が複数の第2画素に共通することに起因する影響を、前記光学系及び前記空間光変調器を含む表示装置において低減させる前記制御信号を提供することにより、前記所望の画像を生成するように光の前記パターンを変調するように前記空間光変調器が制御される」のに対して、甲4-8発明では、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」が、この「設定」により、「分割照明光」の1つが「液晶パネル16,17,18」の複数の画素に共通することに起因する画像への影響を低減するか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(11-4-8-1)について検討する。
プロジェクタにおいて、ランプからの光を液晶パネルに照射する照明光学系を画像信号に従って制御することが公知であることを示す証拠は提示されておらず、また、プロジェクタにおいて、ランプからの光を液晶パネルに照射する照明光学系を画像信号に従って制御することが周知技術や技術常識であるとも認められないから、甲4-8発明において、「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」の制御対象を「リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15」とすることは、当業者といえども、容易に想到し得るとはいえない。

したがって、訂正特許発明11は、甲4-8発明に対して少なくとも上記相違点(11-4-8-1)で相違し、訂正特許発明11は甲4-8発明ではないし、また、訂正特許発明11は、甲4-8発明から当業者が容易に発明し得たものでもない。

(2-2)甲第4号証の実施例2による新規性進歩性の欠如について
a.甲第4号証の記載事項は、甲第4号証の記載事項は、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「a.」、「2.」「(4)」「(4-2)」「a.」、「4.」「(2)」「(2-1)」「a.」、「4.」「(2)」「(2-2)」「a.」に挙げたとおりである。

すると、上記甲第4号証の記載事項から、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4-9発明」という。)が記載されている。

「発光管213と導光板214を含むバックライト201c、201d、201e、201f、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した直視型液晶表示装置の制御方法であって、
バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、
マイコン63は、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックに接続され、それら各ブロックの制御を行なっており、
発光管213は、バラスト64に、液晶セル204はドライバー回路54、DAコンバータ55を介してDSP部57に、それぞれ、接続されており、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、直視型液晶表示装置の制御方法。」

b.対比
(a)訂正特許発明11と甲4-9発明との対比
(a-1)
甲4-9発明の「直視型液晶表示装置の制御方法」、「液晶セル204」は、それぞれ、訂正特許発明11の「方法」、「空間光変調器」に相当する。

(a-2)
甲4-9発明の「バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束」について、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「c.」「(a-3)」での検討と同様に、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種であるといえるから、訂正特許発明11の「第1画素のアレイを含む光のパターン」に相当する。
そして、該「各照明光束」を、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」のであるから、甲4-9発明と訂正特許発明11は、「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」を備える点で共通する。
なお、甲4-9発明では、「各照明光束を互いに独立に調光(変調)する」ために、「マイコン63」により「発光管213」を制御するものであることは明らかである。

(a-3)
甲4-9発明の「バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束」は4分割であるのに対して、「液晶セル204」が4つよりはるかに多い画素を有することは自明であるから、「各照明光束」の1つが、「液晶セル204」の複数の画素に共通することとなる。

(a-4)
甲4-9発明の「マイコン63」は、画像信号に従って、「液晶セル204」を制御することは自明であるから、甲4-9発明は、訂正特許発明11の「第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階」に相当する構成を有すると認められる。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明11と甲4-9発明は、
「方法であって、第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階と、第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階とを備え、各第1画素は複数の第2画素に共通する、方法。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(11-4-9-1)
「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」の制御対象が、「空間光変調器」以外では、訂正特許発明11では、「光学系」であるのに対して、甲4-9発明では、「発光管213」である点。

(11-4-9-2)
訂正特許発明11では、「前記画像信号の一部を含む制御信号であって、各第1画素が複数の第2画素に共通することに起因する影響を、前記光学系及び前記空間光変調器を含む表示装置において低減させる前記制御信号を提供することにより、前記所望の画像を生成するように光の前記パターンを変調するように前記空間光変調器が制御される」のに対して、甲4-9発明では、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」が、この「設定」により、「バックライト201c、201d、201e、201fからの4分割された各照明光束」の1つが「液晶セル204」の複数の画素に共通することに起因する画像への影響を低減するか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(11-4-9-1)について検討する。
甲4-9発明の「液晶セル204」と「4つのバックライト201c、201d、201e、201f」間に配置された「拡散板202」は、訂正特許発明11の「光学系」に相当するものではない。
さらに、甲第4号証の全記載を参照すると、甲第4号証の実施例2は、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当であるから、甲4-9発明において、「液晶セル204」、「拡散板202」、「4つのバックライト201c、201d、201e、201f」間に、訂正特許発明11の「光学系」のような他の光学系を配置する動機付けも存在しないといえる。

すると、そもそも、甲4-9発明において、訂正特許発明11の「光学系」のような光学系を配置することができないのであるから、甲4-9発明に基づいて、上記相違点(11-4-9-1)に係る訂正特許発明11の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明11は、甲4-9発明に対して少なくとも上記相違点(11-4-9-1)で相違し、訂正特許発明11は甲4-9発明ではないし、また、訂正特許発明11は、甲4-9発明から当業者が容易に発明し得たものでもない。

(2-3)甲第4号証の実施例3による新規性進歩性の欠如について
a.甲第4号証の記載事項は、甲第4号証の記載事項は、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「a.」、「2.」「(4)」「(4-2)」「a.」、「4.」「(2)」「(2-3)」「a.」に挙げたとおりである。

すると、上記甲第4号証の記載事項から、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4-10発明」という。)が記載されている。

「発光管と導光板を含むバックライト221、透過型の高分子分散型液晶セル222、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した直視型液晶表示装置の制御方法であって、
高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更するようにし、
マイコン63は、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックに接続され、それら各ブロックの制御を行なっており、
発光管は、バラスト64に、液晶セル204はドライバー回路54、DAコンバータ55を介してDSP部57に、それぞれ、接続されており、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、
直視型液晶表示装置の制御方法。」

b.対比
(a)訂正特許発明11と甲4-10発明との対比
(a-1)
甲4-10発明の「直視型液晶表示装置の制御方法」、「液晶セル204」は、それぞれ、訂正特許発明11の「方法」、「空間光変調器」に相当する。

(a-2)
甲4-10発明の「高分子分散型液晶セル222」は、上記「2.」「(4)」「(4-1)」「c.」「(a-3)」での検討と同様に、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種を生成するものであるといえるから、甲4-10発明の「透過型の高分子分散型液晶セル222」が生成するものは、訂正特許発明11の「第1画素のアレイを含む光のパターン」に相当する。
そして、該「高分子分散型液晶セル222」において、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」のであるから、甲4-10発明と訂正特許発明11は、「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」を備える点で共通する。
なお、甲4-10発明では、「液晶セル204への照明光量を領域ごとに変更する」ために、「マイコン63」により「高分子分散型液晶セル222」を制御するものであることは明らかである。

(a-3)
甲4-10発明の「高分子分散型液晶セル222」の「領域」の数よりも、「液晶セル204」が画素数が多いことは自明であるから、該「領域」の1つが、「液晶セル204」の複数の画素に共通することとなる。

(a-4)
甲4-10発明の「マイコン63」は、画像信号に従って、「液晶セル204」を制御することは自明であるから、甲4-10発明は、訂正特許発明11の「第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階」に相当する構成を有すると認められる。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明11と甲4-10発明は、
「方法であって、第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階と、第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階とを備え、各第1画素は複数の第2画素に共通する、方法。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(11-4-10-1)
「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」の制御対象が、「空間光変調器」以外では、訂正特許発明11では、「光学系」であるのに対して、甲4-10発明では、「高分子分散型液晶セル222」である点。

(11-4-10-2)
訂正特許発明11では、「前記画像信号の一部を含む制御信号であって、各第1画素が複数の第2画素に共通することに起因する影響を、前記光学系及び前記空間光変調器を含む表示装置において低減させる前記制御信号を提供することにより、前記所望の画像を生成するように光の前記パターンを変調するように前記空間光変調器が制御される」のに対して、甲4-10発明では、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」が、この「設定」により、「高分子分散型液晶セル222」の「領域」の1つが「液晶セル204」の複数の画素に共通することに起因する画像への影響を低減するか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(11-4-10-1)について検討する。
甲4-10発明の「液晶セル204」と「高分子分散型液晶セル222」間に配置された「拡散板202」は、訂正特許発明11の「光学系」に相当するものではない。
さらに、甲第4号証の全記載を参照すると、甲第4号証の実施例3は、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当であるから、甲4-10発明において、「液晶セル204」、「拡散板202」、「高分子分散型液晶セル222」間に、訂正特許発明11の「光学系」のような他の光学系を配置する動機付けも存在しないといえる。

すると、そもそも、甲4-10発明において、訂正特許発明11の「光学系」のような光学系を配置することができないのであるから、甲4-10発明に基づいて、上記相違点(11-4-10-1)に係る訂正特許発明11の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明11は、甲4-10発明に対して少なくとも上記相違点(11-4-10-1)で相違し、訂正特許発明11は甲4-10発明ではないし、また、訂正特許発明11は、甲4-10発明から当業者が容易に発明し得たものでもない。

(2-4)結論
以上のとおり、訂正特許発明11は、甲第4号証に記載された発明であるとも、甲第4号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものともいえないから、訂正特許発明11は、甲第4号証等によっては、無効とすることはできない。

(3)甲第5号証による新規性進歩性の欠如について
a.甲第5号証の記載事項は、上記「2.」「(5)」「a.」、「4.」「(3)」「a.」に挙げたとおりである。

すると、甲第5号証の記載事項から、甲第5号証には、以下の発明(以下「甲5-4発明」という。)が記載されている。

「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24、液晶セル23を、この順に配置し、さらに、アクリル導光板24の下部に反射板を配置した液晶表示装置の制御方法であって、
液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、
メモリー及び演算回路15は、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える、液晶表示装置の制御方法。」

b.対比
(a)訂正特許発明11と甲5-4発明との対比
(a-1)
甲5-4発明の「液晶表示装置の制御方法」、「液晶セル23」は、それぞれ、訂正特許発明11の「方法」、「空間光変調器」に相当する。

(a-2)
甲5-4発明の「バックライト部」は、上記「2.」「(5)」「c.」「(a-3)」での検討と同様に、精細度が極めて低いとはいえ、画像の一種を生成するものであるといえるから、甲5-4発明の「バックライト部」が生成するものは、訂正特許発明11の「第1画素のアレイを含む光のパターン」に相当する。
そして、該「バックライト部」において、「メモリー及び演算回路15は、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞」るのであるから、甲5-4発明と訂正特許発明11は、「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」を備える点で共通する。

(a-3)
甲5-4発明の「バックライト部」の「領域」の個数Nよりも、「液晶セル23」の画素数が多いことは自明であるから、該「領域」の1つが、「液晶セル23」の複数の画素に共通することとなる。

(a-4)
甲5-4発明の「メモリー及び演算回路15」は、画像信号に従って、「液晶セル23」を制御することは自明であるから、甲5-4発明は、訂正特許発明11の「第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階」に相当する構成を有すると認められる。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明11と甲5-4発明は、
「方法であって、第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階と、第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階とを備え、各第1画素は複数の第2画素に共通する、方法。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(11-5-4-1)
「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」の制御対象が、「空間光変調器」以外では、訂正特許発明11では、「光学系」であるのに対して、甲5-4発明では、「発光ダイオード群26」である点。

(11-5-4-2)
訂正特許発明11では、「前記画像信号の一部を含む制御信号であって、各第1画素が複数の第2画素に共通することに起因する影響を、前記光学系及び前記空間光変調器を含む表示装置において低減させる前記制御信号を提供することにより、前記所望の画像を生成するように光の前記パターンを変調するように前記空間光変調器が制御される」のに対して、甲5-4発明では、「メモリー及び演算回路15は、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える」構成により、「バックライト部」の「領域」の1つが「液晶セル23」の複数の画素に共通することに起因する画像への影響を低減するか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(11-5-4-1)について検討する。
甲5-4発明は、訂正特許発明11の「光学系」に相当する構成を有しない。
さらに、甲第5号証の全記載を参照すると、甲第5号証の実施の形態2は、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当であるから、甲5-4発明において、「バックライト部」、「カラー表示液晶パネル部」間に、訂正特許発明11の「光学系」のような他の光学系を配置する動機付けも存在しないといえる。

すると、そもそも、甲5-4発明において、訂正特許発明11の「光学系」のような光学系を配置することができないのであるから、甲5-4発明に基づいて、上記相違点(11-5-4-1)に係る訂正特許発明11の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明11は、甲5-4発明に対して少なくとも上記相違点(11-5-4-1)で相違し、訂正特許発明11は甲5-4発明ではないし、また、訂正特許発明11は、甲5-4発明から当業者が容易に発明し得たものでもない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明11は、甲第5号証に記載された発明であるとも、甲第5号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものともいえないから、訂正特許発明11は、甲第5号証等によっては、無効とすることはできない。

(4)甲第3、5号証による進歩性の欠如について
a.甲第3号証の記載事項は、上記「2.」「(3)」「a.」に挙げたとおりであって、甲第3号証には、以下の甲3-3発明が記載されている。

「液晶表示装置の制御方法であって
照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備えており、
更に、液晶パネル1とバックライトパネル2との間に、バックライトパネル2からの照明光を均一化するための光拡散板6を設け、
バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3は48個の分割領域に分割されており、
液晶パネル制御回路33は、映像メモリ32に記憶された映像信号に基づいて液晶パネル1を駆動制御し、
LED制御回路34は、映像信号に応じて、液晶パネル1において少なくとも照明光が必要とされる画面領域に照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御する、液晶表示装置の制御方法。」

b.対比
(a)訂正特許発明11と甲3-3発明との対比
(a-1)
甲3-3発明の「液晶表示装置の制御方法」、「液晶パネル1」は、それぞれ、訂正特許発明7の「方法」、「空間光変調器」に相当する。

(a-2)
上記「2.」「(3)」「c.」「(a-2)」での検討と同様、甲3-3発明の「バックライト2からの照明光」は、訂正特許発明11の「第1画素のアレイを含む光のパターン」に相当する。
そして、「LED制御回路34は、映像信号に応じて、」「LED3を分割領域単位で駆動制御する」のであるから、甲3-3発明と訂正特許発明11は、「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」を備える点で共通する。

(a-3)
甲3-3発明の「複数のLED3」は48分割されているのに対して、「液晶パネル1」が48よりはるかに多い画素を有することは自明であるから、甲3-3発明において、「分割領域」の1つが、「液晶セル1」の複数の画素に共通することとなる。

(a-4)
甲3-3発明では、「液晶パネル制御回路33は、映像メモリ32に記憶された映像信号に基づいて液晶パネル1を駆動制御する」のであるから、甲3-3発明は、訂正特許発明11の「第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階」に相当する構成を有すると認められる。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明11と甲3-3発明は、
「方法であって、第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階と、第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階とを備え、各第1画素は複数の第2画素に共通する、方法。」で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(11-3-3-1)
「第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って制御する段階」の制御対象が、「空間光変調器」以外では、訂正特許発明11では、「光学系」であるのに対して、甲3-3発明では、「複数のLED3」である点。

(11-3-3-2)
訂正特許発明11では、「前記画像信号の一部を含む制御信号であって、各第1画素が複数の第2画素に共通することに起因する影響を、前記光学系及び前記空間光変調器を含む表示装置において低減させる前記制御信号を提供することにより、前記所望の画像を生成するように光の前記パターンを変調するように前記空間光変調器が制御される」のに対して、甲3-3発明では、「LED制御回路34は、」「液晶パネル1において少なくとも照明光が必要とされる画面領域に照明光が照明されるよう、」駆動制御するが、この駆動制御により、「分割領域」の1つが「液晶パネル1」の複数の画素に共通することに起因する画像への影響を低減するか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(11-3-3-1)について検討する。
甲3-3発明は、訂正特許発明11の「光学系」に相当する構成を有しない。
さらに、甲第3号証の全記載を参照すると、甲第3号証の第2の実施の形態は、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当であるから、甲3-3発明において、「バックライトパネル2」、「液晶パネル1」間に、訂正特許発明11の「光学系」のような他の光学系を配置する動機付けも存在しないといえる。

すると、そもそも、甲3-3発明において、訂正特許発明11の「光学系」のような光学系を配置することができないのであるから、甲3-3発明に基づいて、上記相違点(11-3-3-1)に係る訂正特許発明11の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

したがって、訂正特許発明11は、甲3-3発明に対して少なくとも上記相違点(11-3-3-1)で相違し、訂正特許発明11は甲3-3発明ではないし、また、訂正特許発明11は、甲3-3発明から当業者が容易に発明し得たものでもない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明11は、甲第3、5号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえないから、訂正特許発明11は、甲第3、5号証等によっては、無効とすることはできない。

7.訂正特許発明12?14について
上記「6.」で検討したとおり、訂正特許発明11は、甲第3?5号証等によっては無効とすることはできないから、訂正特許発明11の発明特定事項を全て含む訂正特許発明12?14も、甲第3?5号証等によっては、無効とすることはできない。


第7 むすび
以上のとおり、訂正特許発明1?14の特許は、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。

よって、結論の通り審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
高ダイナミック・レンジ表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像を表示するための表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、米国特許出願第60/271563号(2001年2月27日出願、発明の名称:高ダイナミック・レンジ・カラー表示装置及び投影技術(HIGH DYNAMIC RANGE COLOUR DISPLAY AND PROJECTION TECHNOLOGY))に基づき、優先権を主張している。
【0003】
ダイナミック・レンジとは、一場面における最高輝度の部分と最低輝度の部分との強度の比である。例えば、ビデオ投影系によって投影された画像は、300:1の最大ダイナミック・レンジを持ち得る。
【0004】
人の視覚体系は、非常に高いダイナミック・レンジを持つ場面で、特徴を認識することができる。たとえ、近くの太陽に照らされた領域の輝度が、景色の暗がり部分の輝度より何千倍も大きくても、人は、例えば、明るく太陽が輝く日に、明かりのついていない車庫の中を覗き込み、暗がりにある物の細部を見ることができる。このような場面を現実的に表現するためには、1000:1を超えるダイナミック・レンジを持つ表示装置が必要である。″高ダイナミック・レンジ″とは、800:1またはそれ以上のダイナミック・レンジを意味する。
【0005】
現代のデジタル画像システムは、場面のダイナミック・レンジが保存された状態で、デジタル表示画像を取り込み、記録することができる。コンピュータ画像システムは高ダイナミック・レンジを持つ画像を合成することができる。しかしながら、現在の表示技術は、高ダイナミック・レンジが正確に再現されるように画像を表示できない。
【0006】
ブラッカム(Blackham)他に付与された米国特許第5978142号にはスクリーン上に映像を投影するためのシステムが開示されている。そのシステムは、光源からの光を変調する第1及び第2の光変調器を備えている。それぞれの光変調装置は、光源からの光を画素レベルで変調する。両光変調器によって変調された光はスクリーン上に投影される。
【0007】
ギボン(Gibbon)他の国際特許出願PCT/US01/21367には前置変調器を含む投影システムが開示されている。前置変調器は可変ミラー表示装置に投射される光量を調節する。別体の前置変調器は選択された領域(例えば、4分円)を暗くするために用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示画像中に広レンジの光強度を再現できる費用効率の良い表示装置が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像を表示するための表示装置と、画像を表示するための方法とを提供する。本発明の一態様では、光源と、光源からの光を変調するように設けられた第1の空間光変調器と、第2の空間光変調器を備える表示スクリーンと、第1の空間光変調器によって変調された光を表示スクリーンの第1の面上に投影するように構成された光学系とを備える表示装置が提供される。
【0010】
本発明の別の態様では、光源と、光源からの光を変調するように設けられた第1の空間光変調器であって、制御可能な画素のアレイを備えた第1の空間光変調器と、第1の空間光変調器により変調された光を変調するように設けられた第2の空間光変調器であって、制御可能な画素のアレイを備えた第2の光空間変調器とを備え、第1及び第2の空間光変調器の一方の各画素は、第1及び第2の空間光変調器の他方の複数の画素に対応する表示装置が提供される。
【0011】
本発明の別の態様では、第1の空間分解能で空間的に変調された光を供給するための第1の空間変調手段と、第1の分解能とは異なる第2の分解能で、光を更に空間的に変調するための第2の空間変調手段と、第1及び第2の空間変調手段を制御して画像データによって形成される画像を表示する手段とを備える表示装置が提供される。
【0012】
本発明のまた更なる態様では、高ダイナミック・レンジを持つ画像を表示するための方法が提供される。その方法は、光を生成し、第1の光変調段階において、画像データに基づく光を空間的に変調し、空間的に変調された光を、光変調器を備えるスクリーン上に結像する。
【0013】
本発明の更なる態様と本発明の一実施形態の特徴とを以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略図。
【図1A】図1の表示装置の具体的な実施例の概略図。
【図2】4つの空間光変調器を備える、本発明の一変形例に基づく表示装置の概略図。
【図3】本発明の更なる実施形態に係る透過投影スクリーンの概略図。
【図4】本発明の更なる実施形態に係る反射投影型表示装置の概略図。
【図5】本発明に係る表示装置における、高分解能空間光変調器の画素と、低分解能空間光変調器の画素との間の可能な関係を説明する図。
【図5A】他の光変調器よりも低い分解能を持つ光変調器を備えることの影響を説明するための図。
【図6】別のプロジェクタ構造を持つ反射投影型カラー表示装置の概略図。
【図6A】図6のカラー表示装置の反射投影スクリーンの部分拡大断面図。
【図6B】図6のカラー表示装置の反射投影スクリーンの部分拡大断面図。
【図7】低分解能光変調器の画素から高分解能光変調器上に結像された光が、どのように重なり合って、滑らかな光強度の変化を与えるかを説明するグラフ。
【図7A】光変調器の画素の画像に対する位置により光強度の変化が、どのように方形プロフィールと分布関数との畳み込みとして表現され得るかを説明するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明を通して、本発明のより理解すべく、その詳細について述べる。しかし、これらの詳細なしで本発明を実施してもよい。また、発明が不必要にあいまいになることを避けるため、公知の部材は、示さないか、または、詳細な説明をしない。したがって、明細書と図面とは限定的というよりは、実施例としての意味を持つ。
【0016】
本発明は、高ダイナミック・レンジで画像を表示することができる表示装置を提供する。本発明に係る表示装置は、2つの光変調段を有している。光が連続的にそれらの段を通過することで、高められたダイナミック・レンジを持つ画像が供給される。
【0017】
図1は本発明の簡単な実施形態に係る表示装置10を概略的に示している。図1における部材の大きさやそれらの間の距離は、実寸ではない。表示装置10は光源12を備えている。光源12は、例えば、白熱灯、アーク灯等の投影ランプや、レーザや、その他適当な光源であってもよい。光源12は、表示装置10の他の部分に光を伝達するように協同する、1つ以上のミラー、レンズ、その他の光学素子からなる光学系を備えていてもよい。
【0018】
本実施形態においては、光源12からの光は、第1の光変調器16へと指向される。光源12は好ましくは、第1の光変調器16に実質的に均一な照明を供給する。光変調器16は個々にアドレス可能な素子のアレイを備えている。光変調器16は、例えば、透過型光変調器の一種であるLCD(液晶表示装置)、または、反射型光変調器の一種であるDMD(可変ミラー装置)を備えていてもよい。表示駆動回路(図1には示さず)は、表示される画像を規定するデータにしたがって、光変調器16の素子を制御する。
【0019】
第1の光変調器16によって変調された光は、適当な光学系17によって透過投影(rear-projection)スクリーン23上に投影される。第1の光変調器16の小さな領域からの光は、光学系17によって、透過投影スクリーン23上の対応する領域へと指向される。本実施形態においては、光学系17は、焦点距離fを持つレンズを備えている。通常、第1の光変調器16によって変調された光を、透過投影スクリーン23上に結像する光学系17は、1つ以上のミラーやレンズ、その他の光学素子を備えている。このような光学系は第1の光変調器によって変調された光を第2の光変調器上に結像する機能を持っている。
【0020】
本実施形態においては、透過投影スクリーン23は、第2の光変調器20とコリメータ18とを備えている。コリメータ18の主な機能は、透過投影スクリーン23を通過する光を、優先的に視聴領域へと指向させることである。コリメータ18は、フレネル・レンズやホログラフィック・レンズ、また、1つ以上のレンズ及び/又は他の光学素子の他の装置を備えており、それらが光を視聴領域の方向へ導くこととなる。
【0021】
本実施形態において、コリメータ18は光を第2の光変調器20の素子を通して、通常はスクリーン23の法線方向へと伝える。コリメータ18からの入射光が第2の光変調器20を通過するのに伴って、その光は更に変調される。そして、光は拡散器22を通過してある範囲の方向へ出力光を拡散して、第1の光変調器16からみて拡散器22とは反対側に位置する視聴者は、スクリーン23の全域に由来する光を見ることができる。一般に、拡散器22は、水平面と垂直面とで光の拡散角度範囲が異なる。拡散器22は、第2の光変調器20によって変調された光が、ある範囲の角度に散乱され、その最大拡散角が、好ましい視聴位置から見られたときにスクリーン23によって決定される範囲の角度に少なくとも等しくなるように選択される。
【0022】
透過投影スクリーン23は第1の光変調器16と異なる面積であってもよい。例えば、透過投影スクリーン23が、第1の光変調器16よりも大きな面積であってもよい。この場合、光学系17は、第1の光変調器16によって変調された光束を拡大して、透過投影スクリーン23のより大きな面積に一致するように照射する。
【0023】
第2の光変調器20は第1の光変調器と同じタイプのものでも、また、異なるタイプのものでもよい。第1及び第2の光変調器16,20が両方とも光を偏光させるタイプである場合、実用的には、第2の光変調器20は、その偏光面が、第1の光変調器16から入射する光の偏光面と一致するように向きを合わせるべきである。
【0024】
表示装置10はカラー表示装置であってもよい。この場合、以下のような様々な方法がある。
・第1の光変調器16と第2の光変調器20とを1つのカラー光変調器にすること。
【0025】
・異なる色を同時に操作する複数の異なる第1の光変調器16を備えること。
・第2の光変調器20の前方の光路に異なる色のフィルタを迅速に導入するための機構を備えること。
前記の第1のやり方の例として、第2の光変調器20は、各々が多数のカラー・サブ画素からなる、複数の画素を備えたLCDパネルから構成されていてもよい。例えば、各画素は1つが赤色のフィルタと関連し、1つが緑色のフィルタと関連し、1つが青色のフィルタと関連する3つのサブ画素から構成されていてもよい。フィルタはLCDパネルと一体であってもよい。
【0026】
図1Aに示すように、光源12と、第1の光変調器16と、光学系17とが、透過投影スクリーン23の後側の制御装置39からの信号38Aによって形成される画像を投影するように設けられたデジタル・ビデオ・プロジェクタ37の部品であってもよい。第2の光変調器20の素子は、制御装置39からの信号38Bによって制御され、高ダイナミック・レンジを持つ視聴者に画像を提供する。
【0027】
図2に示すように、本発明に係る表示装置10Aは、1つ以上の付加的な光変調段24を備えていてもよい。各付加的な光変調段24は、コリメータ25と、光変調器26と、光学系27とからなっており、光学系27は、光変調器26からの光の焦点を次の付加的な光変調段24、または、コリメータ18上に合わせる。図2の表示装置10Aでは、2つの付加的な光変調段24がある。本発明のこの実施形態に係る装置は、1つ以上の付加的な光変調段24を有していてもよい。
【0028】
拡散器22の出力の任意の点の輝度は、光変調器16,20,26の対応する素子を通過する光の量を制御することにより調節することができる。この制御は、光制御装置16,20,26のそれぞれを駆動するために接続された適当な制御システム(図2には示さず)によって行われてもよい。
【0029】
前述のように、光変調器16,20,26は、全て同じ種類でもよいし、2つまたはそれ以上が異なる種類でもよい。図3は、本発明の変形例に係る表示装置10Bを示しており、その表示装置10Bは可変ミラー装置からなる第1の光変調器16Aを備えている。可変ミラー装置は、各画素を”オン”または”オフ”にするという意味においては2値の装置である。異なる見掛けの輝度レベルは、画素を素早くオン及びオフさせることによって生み出すことができる。このような装置は、例えば、米国特許第4441791号や米国特許第4954789号に記載されており、そして、デジタル・ビデオ・プロジェクタに一般的に使われている。光源12と第1の光変調器16(または16A)は、例えば、市販のデジタル・ビデオ・プロジェクタの光源と変調器であってもよい。
【0030】
図4は、本発明に基づく反射投影型(front-projection-type)表示装置10Cを示している。表示装置10Cはスクリーン34を備えている。プロジェクタ37は画像38をスクリーン34上に投影する。プロジェクタ37は、適当な光源12と、第1の光変調器16と、第1の光変調器によって形成された画像をスクリーン34上に投影するのに好適な光学系17とを備えている。プロジェクタ37は、市販の表示プロジェクタであってもよい。スクリーン34は第2の光変調器36を内蔵している。第2の光変調器36は、多数のアドレス可能な素子を備えており、それらは、スクリーン34の対応する領域の輝度に作用するように、個々に制御することができる。
【0031】
光変調器36はどのような構造をもっていてもよい。例えば、光変調器36は、反射器の前方に設けられた、個々の透過率を制御することができるLCD素子のアレイを備えていてもよい。プロジェクタ37によって投影された光は、各LCD素子を通過し、反射器によってLDC素子の後側で反射される。スクリーン34上のあらゆる点の輝度は、プロジェクタ37のその点で受け取られる光の強度と、光変調器36(例えば、その点のLCD素子)がそれを介して伝達される光を吸収する程度とによって決められる。
【0032】
光変調記36は、可変逆反射特性をもつ素子のアレイを備えてなることもできる。素子は、プリズム状であってもよい。このような素子は、例えば、ホワイトヘッド(Whitehead)に付与された米国特許第5959777号(発明の名称:受動型高性能可変反射率画像表示装置(Passive High Efficiency Variable Reflectivity Image Dysplay Device))や、ホワイトヘッド(Whitehead)他に付与された米国特許第6215920号(発明の名称:高性能可変反射率画像表示装置における全反射の、電気泳動の高インデックスと相転移制御(Electrophoretic High Index and Phase Transition Control of Total Internal Reflection in High Efficiency Variable Reflectivity Image Displays))に記述されている。
【0033】
光変調器36は、例えば、アルバート(Albert)他に付与された米国特許第6172798号(発明の名称:閉状態マイクロカプセル電気泳動表示装置(Shutter Mode Micricapsulated Electrophoretic Display))や、コミスキー(Comiskey)他に付与された米国特許第6120839号(発明の名称:電気浸透表示装置及びその製造のための材料(Electro-osmotic Displays and Materials for Making the Same))、ヤコブソン(Jacobson)に付与された米国特許第6120588号(発明の名称:電気的にアドレス可能なマイクロカプセル・インク及び表示装置(Electronically Addressable Microencapsulated Ink and Display))、ヤコブソン(Jacobson)他に付与された米国特許第6323989号(発明の名称:ナノ粒子を用いた電気泳動表示装置(Electrophoretic Displays Using Nanoparticles))、アルバート(Albert)に付与された米国特許第6300932号(発明の名称:発光粒子を備える電気泳動表示装置及びその製造のための材料(Electrophoretic Displays with Luminescent Particles and Materials for Making the Same))、コミスキー(Comiskey)他に付与された米国特許第6327072号(発明の名称:微小体電気泳動表示装置(Microcell Electrophoretic Displays))に述べられたような、電気泳動表示素子のアレイからなっていてもよい。
【0034】
図6A及び図6Bに示すように、スクリーン34は好ましくは、光を視聴者の目へと優先的に指向させるように機能するレンズ素子40を備えている。本実施形態においては、レンズ素子40は、プロジェクタ37に由来する光錐の頂点と実質的に一致する焦点を持つフレネル・レンズによって構成されている。レンズ素子40は、ホログラフィック・レンズのような他の種類のレンズによって構成されていてもよい。レンズ素子40は、スクリーン34から反射された光を、所望の程度に拡散する複数の拡散中心(scattering centers)45を内蔵している。本実施形態においては、第2の光変調器36は、反射層43により指示され、かつ基材47上に搭載された、多数の画素42を有する反射型LCDパネルから構成されている。
【0035】
光変調器36は可変逆反射特性を持つ素子のアレイを備えており、素子自体が逆反射光をスクリーン34の前面の視聴域の方向へ優先的に指向させるように設計することができる。反射層43は、拡散中心45の効果を増大させるためや、拡散中心45の代わりをするために光を拡散するようにパターン形成されていてもよい。
【0036】
図4に示すように、制御装置39は、画像38を形成するデータを第1の光変調器16及び第2の光変調器36のそれぞれに供給する。制御装置39は、例えば、適当な表示補助装置を備えるコンピュータから構成することもできる。制御装置39は、画像処理段階を迅速化するための画像処理ハードウェアを備えていてもよい。スクリーン34上のあらゆる点の輝度は、その点に対応する、第1の光変調器16の画素及び第2の光変調器の画素の影響の組み合わせによって決まる。第1と第2の光変調器の対応する画素を、それらの”最も暗い”状態に設定すると、最小輝度の点が存在する。第1と第2の光変調器の対応する画素を、それらの”最も明るい”状態に設定すると、最大輝度の点が存在する。他の点は、中間の輝度値を持つ。最大輝度値は、例えば、10^(5)cd/m^(2)のオーダーである。最小輝度値は、例えば、10^(-2)cd/m^(2)のオーダーである。
【0037】
光変調器及び関連する制御回路の費用は、光変調器のアドレス可能な素子の数とともに増加する。本発明の一実施形態において、光変調器の1つが、他の1つ以上の光変調器よりも非常に高い空間分解能を持っている。そして、1つ以上の光変調器が低分解能の装置である場合、本発明のそのような実施形態に基づく表示装置の費用は低減され得る。2つ以上の光変調器を備えるカラー表示装置においては、どれか1つがカラー光変調器で(例えば、図6に示すように、複数のモノクローム光変調器を組み合わせたものが色彩光変調器を構成していてもよい)、どれか1つが高分解能光変調器であって、高分解能光変調器はカラー光変調器でもあるべきである。ある実施形態において、高分解能光変調器は、低分解能光変調器上に光を投影する。他の実施形態においては、低分解能光変調器は、高分解能光変調器上に光を投影する。
【0038】
図5は、図1に示される表示装置10の画素のとり得る構成を示している。第2の光変調器20の9個の画素42は第1の光変調器16の各画素44に対応している。第1の光変調器16の各画素44に対応する、第2の光変調器20の画素42の数は、設計的選択事項として変更してもよい。第1及び第2の光変調器16,20(または36)のうち高分解能であるものの画素44は、所望の全般的な分解能を備えるほどに十分に小さくあるべきである。一般的に、分解能が増加するほど、費用が高くなる。標準的な表示装置において、高分解能光変調器は、各方向に少なくとも2、300画素、より標準的には1000画素以上の画素のアレイを備えている。
【0039】
第1及び第2の光変調器のうち低分解能であるものの画素42サイズによって、最大輝度から最小輝度までを確実に得ることができる大きさが決定される。例えば、図5Aに描かれた状況について考えてみる。ここでは、最小輝度の大きな背景に、最大輝度の小さな点の画像を表示することを意図している。点47で最大輝度を得るため、点47に対応する第1及び第2の光変調器のそれぞれの画素は、それらの最大輝度に設定されるべきである。ここで、ある光変調器の画素は、他の光変調器の画素よりも分解能が低いため、低分解能光変調器のいくつかの画素は、点47の境界に跨ることとなる。これは、例えば、図5Aの場合である。
【0040】
点47の外側には2つの領域がある。領域48においては輝度を最小値に設定することができない。なぜならば、この領域では、低分解能光変調器は最大輝度値に設定されているからである。領域49においては、両光変調器をその最低輝度に設定することができる。もし仮に、第1及び第2の光変調器のそれぞれが、1?100単位の範囲の輝度を持っているとすると、領域47は100×100=10000単位の輝度を、領域48は100×1=100単位の輝度を、そして、領域49は1×1=1単位の輝度を持つこととなるであろう。
【0041】
他の光変調器よりも低い分解能の光変調器を有するため、低分解能光変調器の各画素は、高分解能光変調器における1以上の画素に対応してしまう。低分解能光変調器の任意の画素と高分解能光変調器の異なる画素とが対応する点を、装置のダイナミック・レンジの極端な輝度値にすることはできない。このような点の間における輝度の最大の差は、高分解能光変調器が備えるダイナミック・レンジによって決定される。
【0042】
表示装置の全ダイナミック・レンジ分の輝度が異なる近接点を作り出すことができなくても、一般的には問題がない。人の目には、どのような事象においても非常に近い距離にある輝度の大きな違いを正確に認識できないような、固有の散乱がある。
【0043】
低分解能光変調器及び高分解能光変調器の両方を備えた、本発明に係る表示装置において、制御装置39は、低分解能空間光変調器の各画素の輝度を決定し、そして、高分解能空間光変調器を制御する信号を調節して、低分解能空間光変調器の各画素が高分解能空間光変調器の複数の画素に共通するという事実から生じる影響を低減するようにしてもよい。このことは、いろいろな方法によって行うことができる。
【0044】
例えば、低分解能空間光変調器の各画素が高分解能空間光変調器の複数の画素に対応する場合を考えてみる。所望の画像を特定する画像データは制御装置に供給される。画像データは、高分解能空間光変調器の各画素に対応する画像領域に対する所望の輝度を示す。制御装置は、所望の画像に近いものを与えるために低分解能光変調器の画素を設定する。このことは、例えば、低分解能光変調器の各画素に対応する画像領域の所望の輝度の平均値、または、重み付けされた平均値を決めることによって達成することができる。
【0045】
制御装置は、高分解能光変調器の画素を設定して、映し出される画像を所望の画像に近づける。このことは、例えば、所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割ることによって行うことができる。光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理は、制御装置39により即座に行ってもよいし、制御装置39またはその他の装置により先立って行い、そして、その画像データに統合してもよいし、または、ある処理を先立って行ってもよいし、そして、制御装置39が制御信号を生成するための最後の処理を行ってもよい。
【0046】
低分解能の画素が大きすぎると、視聴者から画像の中の明るい素子の周囲に円光が見えてしまうことがある。低分解能の画素は好ましくは、暗い背景の中の明るいパッチや、明るい背景の中の暗いスポットの見た目が、容認できないほど低下しないように、十分に小さい。低分解能光変調器の各画素に対して、高分解能光変調器上には約8?144個の、より好ましくは、約9?36個の画素を備えていることが、今のところ実用的であると考えられる。
【0047】
画像中の点の輝度を調節することができる画素42,44の段階の大きさは必ずしも等しくはない。低分解能光変調器の画素は、高分解能光変調器よりも粗い段階で光の強度を調節してもよい。例えば、低分解能光変調器は1?512単位の強度範囲を持つ各画素の光強度を8段階で調節可能にしてもよく、一方、高分解能光変調器は同様の範囲を持つ各画素の光強度を512段階で調節可能にしてもよい。図5において、画素42,44は両方とも四角形として図示されているが、必ずしもこのようでなくてもよい。画素42及び/又は44は、他の形、例えば、長方形、三角形、六角形、円形、楕円形等であってもよい。
【0048】
低分解能光変調器の画素は、望ましくは、多少拡散した光を放ち、光が低分解能光変調器の画素を横切るのに伴い、光の強度が確実にかつなだらかに変化する。図7に示すように、これは、低分解能光変調器の各画素からの光が隣接した画素に広がる場合である。図7Aに示すように、低分解能光変調器の画素の強度プロフィールは、しばしば、画素の有効幅に等しい幅d_(1)を持つ方形プロフィール(rectangular profile)が畳み込まれたガウス分布関数によって近似することができる。分布関数は、好ましくは、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を持ち、ここで、d_(2)は画素間の中心から中心までの距離であり、所望の円滑に変化する光強度を得る。典型的に、d_(1)はd_(2)にほぼ等しい。
【0049】
図5の実施形態において、各画素42は3つのサブ画素43R,43G,43Bからなっている(明瞭にするため,図5は、いくつかの画素42のサブ画素を省略している)。サブ画素43R,43G,43Bは、独立にアドレス指定ができる。それらは、第2の光変調器20に組み込まれている赤、緑、青のカラーフィルタとそれぞれ関連している。多数のカラー・サブ画素を有し、本発明に用いるのに適当なLCDパネルの様々な構成は技術的に公知である。
【0050】
反射投影型表示装置(例えば、図4の表示装置10C)において、第1の光変調器16をカラー情報を提供する高分解能光変調器とすることや、光変調器36をモノクローム光変調器とすることは、一般的に最も実用的である。光変調器36は、その素子の境目が視覚的に気になるパターンを形成しないような、かなり小さなアドレス可能な素子を持つ。例えば、光変調器36はプロジェクタ37と同じ数のアドレス可能な素子を備えていてもよい(しかし、このような素子は、プロジェクタ37の光変調器16の対応する素子よりも、一般的にかなり大きな寸法を持つであろう)。
【0051】
プロジェクタ37は、どのような適宜の構成を持っていてもよい。必要なことは、プロジェクタ37が、スクリーン34上に画像を結像するために、空間的に変調された光を投影することができることだけである。図6は、発明の更なる別の実施形態に係る表示システム10Dを図示している。システム10Dは、図4を参照して、先に述べられたような集積光変調器36を有するスクリーン34を備えている。システム10Dは、3色のそれぞれに分かれた光変調器16R,16G,16Rを有するプロジェクタ37を備えている。各光変調器16R,16G,16Rにより変調された光は、3つのカラーフィルタ47R,47G,47Bうちの対応する1つのフィルタによりフィルタにかけられる。変調された光は光学系17によりスクリーン34上に投影される。1つの光源12で、3つの光変調器16R,16G,16Bの全てに光を供給してもよいし、別々の光源(図示せず)で供給してもよい。
【0052】
前記開示を考慮に入れて当業者には明らかなように、多くの変更例や改良が、その精神や範囲から逸脱することなく、本発明の実施において可能である。例えば、
・拡散器22とコリメータ18とを一体化してもよい。
【0053】
・拡散器22とコリメータ18との順序を逆にしてもよい。
・光の拡散及び/又は平行化を行うために、多数の協同素子を設けてもよい。
・スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。
【0054】
・第1の光変調器16を駆動する信号38Aは、第2の光変調器20を駆動するデータと同じデータから構成されていてもよいし、異なるデータから構成されていてもよい。
従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される要旨に従って解釈されるものである。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
空間光変調器と、
拡散器と、
光学系であって、前記光学系により伝達される光が前記拡散器を通過して前記空間光変調器に達するように、空間的に変調された光を、前記空間光変調器と前記拡散器とに伝達するように構成された前記光学系と
を備え、前記空間的に変調された光は、0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する光分布関数を有する、隣接する画素へ広がる複数の画素を含み、d_(2)は、画素間の中心から中心までの距離であり、前記光学系からの前記空間的に変調された光は、前記空間光変調器を通過するのに伴って更に変調される、表示装置。
【請求項2】
前記表示装置は、800:1よりも大きなコントラスト比を有する高ダイナミック・レンジ(HDR)表示装置を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記空間光変調器は、前記光学系からの前記空間的に変調された光よりも高い分解能を備え、前記空間光変調器は、前記光学系からの光の各画素が前記空間光変調器の複数の画素に共通することに起因する、表示される画像に生じる影響を低減するように制御されるように構成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光学系により前記空間光変調器に伝達される光は、第1の分解能を有し、前記空間光変調器は、前記第1の分解能とは異なる第2の分解能を有し、前記表示装置は更に、前記第1の分解能と前記第2の分解能との間の差に起因する影響を低減するように、表示される所望の画像を含む画像信号に従って前記空間光変調器を制御するように構成されるコントローラを含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光学系は、前記空間光変調器の少なくとも片側の軸外にある光源を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光学系は、前記空間光変調器の面に平行な面の光を発するように配向された光源を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
表示装置であって、前記表示装置は、第1の大きさの画素を有する光のパターンを、前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの画素を有し、前記光のパターンを変調して所望の画像を生成するように構成される空間光変調器に射影するように構成された光学系と、前記所望の画像を含む画像信号に従って、前記光学系の光源と前記空間光変調器とを制御するように構成された制御信号を生成するように構成されたコントローラとを備え、前記コントローラは、前記空間光変調器を制御するように構成される前記信号を調整して、前記光のパターンが有する前記画素と前記空間光変調器の画素との間の画素の大きさの差に起因する前記所望の画像における影響を低減する、表示装置。
【請求項8】
前記空間光変調器の面にほぼ平行な方向に前記光源から発せられる光は、前記空間光変調器の後方から、前記空間光変調器の前記面にほぼ垂直な方向に反射される、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記光源は、前記空間光変調器の端部の後方かつ外側に配置される、請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記空間光変調器に射影された光の前記パターンの画素は、0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲の半値全幅の光分布関数を有し、d_(2)は、光の前記パターンの画素間の中心から中心までの距離である、請求項7に記載の表示装置。
【請求項11】
方法であって、第1画素のアレイを含む光のパターンを発するように所望の画像の画像信号に少なくとも部分的に従って光学系を制御する段階と、第2画素のアレイを含む空間光変調器を制御する段階とを備え、各第1画素は複数の第2画素に共通し、前記画像信号の一部を含む制御信号であって、各第1画素が複数の第2画素に共通することに起因する影響を、前記光学系及び前記空間光変調器を含む表示装置において低減させる前記制御信号を提供することにより、前記所望の画像を生成するように光の前記パターンを変調するように前記空間光変調器が制御される、方法。
【請求項12】
前記光学系は前記空間光変調器の面とは軸外の面にある光源を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光学系は、光源を含み、前記方法は、前記空間光変調器の面にほぼ平行な方向の前記光源からの発光を、前記空間光変調器の後方から、前記空間光変調器の前記面にほぼ垂直な方向に反射する段階を更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記光学系は、光源と、前記光源と前記空間光変調器との間に配置された拡散器とを含み、0.3×d_(2)から3×d_(2)までの範囲の半値全幅を有する分布関数に従って前記第1画素のアレイからの光が混合され、d_(2)は前記第1画素間の中心から中心までの距離である、請求項11に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2014-12-10 
結審通知日 2014-12-12 
審決日 2014-12-24 
出願番号 特願2009-196728(P2009-196728)
審決分類 P 1 113・ 113- YAA (G03B)
P 1 113・ 121- YAA (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松岡 智也西島 篤宏北川 創  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 土屋 知久
北川 清伸
登録日 2012-09-07 
登録番号 特許第5079759号(P5079759)
発明の名称 高ダイナミック・レンジ表示装置  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 博宣  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 誠  
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