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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A63F
管理番号 1299612
審判番号 訂正2014-390192  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2014-12-09 
確定日 2015-03-12 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5158220号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5158220号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5158220号の請求項1に係る発明は,平成23年2月22日に特願2011-35414号として特許出願されたものであって,平成24年12月21日にその特許権の設定登録がなされ,平成26年12月9日に本件訂正審判の請求がなされ,平成27年1月23日付けの訂正拒絶理由通知に対して,同年2月6日付けでその手続補正書及び意見書が提出されたものである。


第2 平成27年2月6日付け手続補正書の適否について
1 補正事項
上記手続補正書における補正は,以下の通りである(下線部は,当審で付与した。)。

(1)補正事項1
審判請求書の「ウ.訂正事項1 (ア)訂正事項1」の
「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を板面の表裏側のうち一方向側へ向けた部位」という記載を,
「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位」に補正する。

(2)補正事項2
審判請求書の「ウ.訂正事項1 (イ)訂正事項2」の
「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を板面の表裏側のうち一方向側へ向けた部位」という記載を,
「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位」に補正する。

2 当審の判断
(1)補正事項1について
審判請求書の上記の「(ア)訂正事項1」に対しては,次の訂正拒絶理由が通知されていた。
「ア 訂正事項1の「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を板面の表裏側のうち一方側へ向けた部位」との記載は,「部材の一端側端部を?向けた部位」との記載は意味が不明であることから,板金部材の一端側端部がどのような構成を備えているのか把握することができず,依然として不明瞭な記載である。
そして,訂正事項1は,特許請求の範囲の減縮あるいは誤記または誤訳の訂正にも該当しないので,特許法第126条第1項ただし書に掲げる何れの訂正目的にも該当しない。」,

「イ また,本件特許明細書の記載と図面とを参酌すると,当該部位は,「裏側へ向けてプレス加工が施された部位」としては把握できるものの,訂正事項1のように「板面の表裏側のうち一方側へ向けた部位」として,当該部位を表側と裏側の何れの側に向けても加工し得るとすることについてまでは,本件特許明細書,特許請求の範囲及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)には記載されておらず,また,これらに記載された事項から自明な事項ではない。
したがって,訂正事項1は,本件特許明細書等に記載した全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,特許法第126条第5項の規定にも適合しない。」

これに対して提示された補正事項1の「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位」との記載に関して,本件特許明細書には,「板金部材の一端側端部」について,「図21及び図22(a)に示すように,切断部材97の下端側は,切り欠き部97aを挟んで,プレスが施されていない平坦部97cと,プレスが施された窪み部97dとを,交互に並べた構成を備える。」(段落【0071】)こと,また, 「 本明細書において,「前」及び「表」は,「遊技機を基準とする前方(つまり,遊技者に近接する方向)」を示し,「後」及び「裏」は,遊技機を基準とする後方(つまり,遊技者から離間する方向)」を示す。」(段落【0019】)と記載されており,これらの記載と図21及び図22(a)の記載を参酌すると,補正事項1の「板金部材の一端側端部」については,本件特許明細書等には,補正事項1として記載された「使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位」が記載されているといえる。
そして,補正事項1により,「板金部材の一端側端部」は,このような「使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位」として補正されることにより,その構成は明瞭になることから,補正事項1は,上記の訂正拒絶理由のアを解消するものである。
また,補正事項1は,上述したように本件特許明細書等に記載された事項に基づくものであって,本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項等の関係において,新たな技術的事項を導入するものではないから,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり,上記の訂正拒絶理由のイを解消するものである。
よって,補正事項1は,当審が訂正拒絶理由通知において訂正事項1に対して訂正の要件を満たしていないとした上記の点を解消するものであり,実質的な内容変更を伴う補正ではなく,審判請求書の要旨を変更するものではないから,特許法第131条の2第1項の規定を満たすものである。

(2)補正事項2について
審判請求書の上記の「(イ)訂正事項2」に対しては,次の訂正拒絶理由が通知されていた。
「 訂正事項2は,訂正事項1と同じく「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を板面の表裏側のうち一方側へ向けた部位」との訂正を求めるものであるから,訂正事項1と同様に,不明瞭な記載であり,特許請求の範囲の減縮あるいは誤記または誤訳の訂正にも該当しないので特許法第126条第1項ただし書に掲げる何れの訂正目的にも該当しない。
また,訂正事項1と同様に,本件特許明細書等には記載されていない新たな技術的事項を導入するものであるから,特許法第126条第5項の規定にも適合しない。」

これに対して,補正事項2は,特許請求の範囲の記載を補正事項1のとおりに補正したことに伴い,整合性を取るために関連する発明の詳細な説明の段落【0009】の記載を補正事項1に併せて補正したものであって,当審が訂正拒絶理由通知において訂正事項1に対して訂正の要件を満たしていないとした点の解消に伴い,訂正事項2に対して訂正の要件を満たしていないとした点を解消するものであり,実質的な内容変更を伴う補正ではなく,審判請求書の要旨を変更するものではないから,特許法第131条の2第1項の規定を満たすものである。


第3 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求は,本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)及び特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)を,本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める,との審決を求めるものである(下線部は訂正箇所を意味する。)。

その訂正内容は,次のとおりである。

1 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1における
「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を板面表裏側へ向けた部位」という記載を,
「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位」に訂正する。

2 訂正事項2
本件特許明細書の段落【0009】における
「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を板面表裏側へ向けた部位」という記載を,
「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位」に訂正する。


第4 当審の判断
1 訂正事項1について
訂正前の請求項1の「該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を板面表裏側へ向けた部位」という記載については,「板金部材の一端側端部」の形状が「表側」あるいは「裏側」の何れかの方向へ向けたものであるのか,あるいは「表側」及び「裏側」の方向へ交互あるいは不規則に向けたものであるのかを特定することができず,また,「部材の一端側端部を?向けた部位」との記載は意味が不明であることから,不明瞭な記載になっていた。
これに対して提示された訂正事項1に関して,本件特許明細書には,「板金部材の一端側端部」は,「図21及び図22(a)に示すように,切断部材97の下端側は,切り欠き部97aを挟んで,プレスが施されていない平坦部97cと,プレスが施された窪み部97dとを,交互に並べた構成を備える。」(段落【0071】)こと,また, 「本明細書において,「前」及び「表」は,「遊技機を基準とする前方(つまり,遊技者に近接する方向)」を示し,「後」及び「裏」は,遊技機を基準とする後方(つまり,遊技者から離間する方向)」を示す。」(段落【0019】)と記載されており,これらの記載と図21及び図22(a)の記載を参酌すると,「板金部材の一端側端部」については,本件特許明細書等には,訂正事項1に係る「使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位」が記載されているといえる。
そして,訂正事項1により,「板金部材の一端側端部」は,このような「使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位」に訂正されることにより,その構成は明瞭になることから,訂正事項1は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また,訂正事項1は,上述したように本件特許明細書等に記載された事項に基づくものであって,本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項等の関係において,新たな技術的事項を導入するものではないから,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり, また,訂正事項1は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことから,訂正事項1は,特許法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。

2 訂正事項2について
訂正事項2は,訂正事項1の訂正により,本件訂正前の請求項1における明瞭でない記載の釈明の訂正を行った結果,記載表現が一致しなくなった本件特許明細書の段落【0009】の記載を,訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる,明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして,訂正事項2は,訂正事項1と同様に,本件特許明細書等の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり, また,訂正事項2は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことから,訂正事項2は,特許法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。


第4 むすび
したがって,本件訂正審判の請求は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項及び第6項の規定に適合する。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、いわゆるセブン機、羽根物、権利物又はアレンジボール等の弾球式の遊技機に対して適用することができる。
【背景技術】
【0002】
弾球式の遊技機は、外枠と、本体枠(中枠)と、この本体枠に保持された遊技盤と、遊技盤の遊技盤面(前面部)を覆う透明板(ガラス板)を具備する前面枠と、前面枠の下方に配置される皿部材とを備える。また、この種の遊技機では、遊技盤の遊技盤面において外側レールと内側レールとが所定形状(略真円形、略楕円形、略長円形等の略円形等)に取り囲んで構成される遊技領域に、各種の入賞装置(大入賞装置、始動入賞装置、その他の一般入賞装置等)、通過ゲート、可変表示装置、障害釘等が配設されている。
【0003】
更に、本体枠の前方であって遊技盤の下方の部位には、遊技球を発射待機位置に保持するための保持部材と、皿部材に貯留されている遊技球を1球ずつ発射待機位置に送る球送り装置と、発射装置とが配置されている。そして、発射装置によって発射待機位置から打ち出された遊技球が、誘導通路等を経て遊技盤面の左上部に導かれた後、遊技領域左上部に形成された球進入口を通じて遊技領域内に放出される。
【0004】
この種の遊技機では、遊技球が始動入賞口に入賞することに起因して、大当りを発生させるか否かの抽選(つまり、大当りか否かの当否判定)が行われる。かかる場合、可変表示装置において、特別図柄を用いた変動表示を所定時間に亘って行った後、当該抽選の結果を示す停止図柄が一定時間(例えば、0.6秒)に亘って停止表示される。そして、この抽選の結果が当選(当否判定の結果が大当り)である旨の停止図柄(大当り図柄)が可変表示装置に停止表示されると、遊技機は大当り遊技(特別遊技)を開始し、開閉部材(大入賞装置を構成する開閉部材)の開放動作を行って、閉鎖状態にある大入賞口を開放状態に変化させ、大入賞口への遊技球の入賞が可能となる。この後、大入賞口に所定個数の遊技球が入賞するか、所定時間が経過することにより、一旦、開閉部材の閉鎖動作を行って大入賞口を閉鎖状態とし、開閉部材に施される「1回の単位駆動(1回の大当りラウンド)」を完了する。この「開閉部材の単位駆動」が、所定の回数(所謂、「ラウンド数」)だけ繰り返されると、この遊技機は大当り遊技を終了する。
【0005】
ところで、この種の遊技機においては、不正行為の対象となることがある。例えば、不正行為者が、皿扉材にドリルや半田ゴテ等を用いて孔を開け、この孔を通じて、遊技機の内部(具体的には、皿扉部材の背後に位置する部位等)に、ピアノ線や針金のような部材を差し込む。そして、この部材の先端部を大入賞装置等の可変式入賞装置に到達させ、この先端部を用いて可変式入賞装置を無理に開放させ、遊技球を不正に入賞させる、という不正行為等が行われることがある。このため、本出願人は、この種の不正行為を抑制するための提案を種々行ってきた(特許文献1及び特許文献2等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-206893号
【特許文献2】特開2008-73070号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、近年、不正行為の態様が多様化しており、従来の方法では的確に対応できないケースも生じている。つまり、遊技球に糸状部材(釣糸等)を巻き、不正行為者が、糸状部材の一端部を保持した状態で、この糸状部材付き遊技球(以下、「不正球」という。)を通常の遊技球と同じように発射する。そして、この不正球が遊技領域に到達したところで、不正行為者が糸状部材を操作して遊技領域内の障害釘等に引っ掛け、不正球を遊技領域の所望の部位に停留させる。この後、この停留する不正球を用いて、遊技領域での遊技球の流下経路を不正に調整したり、意図的な球詰まり(所謂、「ブドウと称する球詰まり」)を発生させ、特定の入賞口への入賞確率を作為的に向上させるという内容の不正行為がなされるケースが生じている。また、糸状部材を操作して、不正球そのものを、始動入賞口等の特定の入賞口内に設けられた検出スイッチに検出させて、特定の入賞口への入賞を意図的に何度も発生させるといった不正行為の事例も報告されている。このため、遊技機メーカーにとっては、かかる不正行為を抑制するための方策を講ずることが重要である。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、糸状部材を巻き付けた遊技球を用いた不正行為の抑制のために有効な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の遊技機は、
遊技球を進入させる球進入口を具備する遊技領域が前面部に形成された遊技盤と、
前記遊技領域を前方に向けた状態で前記遊技盤を保持する本体枠と、
前記本体枠の前面側に設けられるとともに、前記球進入口に向けて発射される遊技球を発射待機位置に保持する保持手段と、
前記本体枠の前面側に設けられる前面枠と、
前記前面枠の前面側に設けられるとともに、遊技球を貯留可能な皿部材と、
前記皿部材に貯留されている遊技球を1球ずつ取り込んで前記発射待機位置に送る球送り手段と、
前記発射待機位置に送られてきた遊技球を前記球進入口に向けて発射する発射手段と、
を備えた遊技機であって、
前記球送り手段から前記発射待機位置に向けて送られる遊技球が通過する開口部を有し、
前記開口部の開口縁のうち前記発射待機位置から発射される遊技球の発射方向側の部位に、前記開口部に挿通される糸状部材を切断可能な切断部を設け、
前記切断部は、板金部材の一端側に、該板金部材の板面に沿って水平な部位と、該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位とを並べて設け、両部位が前記板金部材の一端から離間する側にて交わる部位のなす角を鋭角とし、該鋭角をなす前記両部位の側端に前記発射待機位置から発射される遊技球に付された前記糸状部材が接触することで、当該糸状部材が切断可能となるように構成される
ことを特徴とする。
【0010】
請求項1の遊技機によると、糸状部材を巻き付けた遊技球(不正球)が遊技領域に向かって発射されたとしても、この糸状部材が開口部の開口縁に設けられた切断部に接触して切断されれば、不正行為を失敗に終わらせることができる。よって、この種の不正行為を企てる不正行為者にとっては、不正行為の成功確率が低くなる。従って、請求項1の遊技機によると、不正行為者に「不正球を用いた不正行為の実行」を躊躇させたり、「不正球を用いた不正行為」を失敗に終わらせることができるため、この種の不正行為が発生を抑制することができる。
【0011】
なお、切断部が、開口部に挿通される糸状部材を切断する確率は100%であることが望ましいが、この確率が100%未満であっても、請求項1の発明の目的を達成できる。蓋し、この確率が100%未満であっても、不正行為を企てる不正行為者にとって、本遊技機は不正行為失敗のリスクが高い遊技機である。そして、不正行為者は、「不正行為の対象としようとする遊技機」の仕様・構造を十分に研究するのが通例であるが、切断部の存在を知った不正行為者は、請求項1の遊技機を敬遠すると考えられるからである。
【0012】
切断部は、開口部の開口縁に別途装着される部材(刃体等の切断部材)であってもよいし、開口部の開口縁を構成する部材に設けられてもよい。また、切断部を設ける範囲は、「開口部の開口縁において発射待機位置から発射される遊技球の発射方向に位置する部位」に限定されてもよいが、それよりも広範囲とされてもよい。例えば、開口部の開口縁の全域に切断部を設けられてもよい。また、切断部においては、その刃先となる部分(糸状部材が接触することになる部分)が、開口部の開口縁よりも内側に突出することが望ましい。
【0013】
通常、遊技盤面(遊技盤の前面部)には周壁部材が装着され、この遊技盤面に「遊技球の入口部(球進入口)を左上部に確保しつつ所定形状に囲まれた遊技領域」が設けられる。この「周壁部材」としては、「外側レール及び内側レールとで構成されるレール部材」、「単一のレールで構成されるレール部材」等を例示できる。また、遊技領域の正面から見た外縁形状(略円形)としては、「入口部(球進入口)を構成する開口部を左上部に備える略真円形」、「入口部(球進入口)を構成する開口部を左上部に備える略楕円形」、「入口部(球進入口)を構成する開口部を左上部に備える略楕円形」、「入口部(球進入口)を構成する開口部を左上部に備える略矩形」、「入口部(球進入口)を構成する開口部を左上部に備える略鍵穴形」等を例示できる。
【0014】
本明細書において参考的に開示する第1の参考発明(以下、「参考発明1」という。)の遊技機は、請求項1に記載の遊技機において、
前記開口部の開口縁のうちの前記切断部が設けられる部位には、先端部を前記切断部よりも前記開口部の内側に到達させたガイド部が設けられ、前記ガイド部には、前記先端部の側と、前記開口部の手前側と、前記開口部の奥側とで開口する溝形状に構成されるとともに、前記開口部の内側に位置する糸状部材を進入させて前記切断部の位置まで案内するガイド溝が設けられることを特徴とする。
【0015】
参考発明1によると、開口部に挿通される糸状部材が切断部に向かって誘導され易くなり、「糸状部材を巻き付けた遊技球を用いた不正行為」の成功確率を更に低くできるため、この不正行為を抑制することが更に容易である。また、参考発明1によると、切断部が、ガイド部の先端部よりも後退する位置に設けられ、切断部の周囲のメンテナンスを頻繁に行ったり、手探りで行っても、作業者の手が切断部に触れる可能性が低くなるため、メンテナンスを効率的に行うことができる。
【0016】
ここで、切断部を「開口部の開口縁に別途装着される切断部材」で構成する場合において、ガイド部は、切断部材を開口部の開口縁に取り付けるための取付部であってもよい。また、ガイド部は、切断部に付加的に装着される部材であってもよい。ここで、ガイド部としては、単一のガイド溝を備えるガイド部(例えば、先端部に向かって広がる略V字のガイド溝を備えるガイド部)、複数のガイド溝を備えるガイド部(例えば、略櫛形状のガイド部)等を例示できる。
【0017】
本明細書において参考的に開示する第2の参考発明(以下、「参考発明2」という。)の遊技機は、参考発明1の遊技機において、
前記ガイド部には、前記ガイド溝が複数設けられるとともに、前記ガイド部の先端部には、前記ガイド溝の奥側に向かって下り傾斜となる案内面が設けられることを特徴とする。
【0018】
参考発明2によると、開口部に挿通される糸状部材が更に切断部に向かって誘導され易くなる。従って、「糸状部材を巻き付けた遊技球を用いた不正行為」の成功確率を更に一層低くできるため、この不正行為を抑制することが更に一層容易である。
【0019】
ここで、本明細書において、「前」及び「表」は、「遊技機を基準とする前方(つまり、遊技者に近接する方向)」を示し、「後」及び「裏」は、遊技機を基準とする後方(つまり、遊技者から離間する方向)」を示す。また、「左」とは、遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは「遊技者から見て右」であることを示す。更に、本体枠、前面枠、上皿部材、下皿部材等のように、「扉の如く、開閉可能な部材(以下、「扉型部材」という。)」において、「左」、「右」、「前」、「後」等は、これらの扉型部材が使用状態にある場合、つまり、閉鎖された状態にある場合を基準としたものである。
【発明の効果】
【0020】
以上記述したように請求項1の発明によると、糸状部材を巻き付けた遊技球を用いた不正行為の抑制のために有効な遊技機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の各実施例に係る遊技機を示す斜視図である。
【図2】本発明の各実施例に係る遊技機を示す正面図である。
【図3】本発明の各実施例に係る遊技機の本体枠等を説明するための概略的な説明図である。
【図4】本発明の各実施例に係る遊技機の本体枠及び上皿部材等を説明するための概略的な説明図である。
【図5】実施例1に係る遊技機の本体枠、上皿部材及び下皿部材等を説明するための概略的な説明図である。
【図6】実施例1に係る遊技機の上皿部材の概略的な背面図である。
【図7】実施例1に係る遊技機の遊技盤等を示す正面図である。
【図8】実施例1において発射装置ユニットを本体枠に取り付けた状態を説明するための概略的な正面図である。
【図9】球送り装置及び発射装置ユニットの斜視図である。
【図10】球送り装置(蓋体を取り外した状態)及び発射装置ユニットの斜視図である。
【図11】球送り装置の概略的な縦断面図である。
【図12】整流カムの概略的な縦断面図(回転軸に直交する縦断面であって、整流カムの後方から見た状態の縦断面図)である。
【図13】球送り装置の概略的な縦断面図である。
【図14】発射装置ユニット及び球送り装置を示す概略的な縦断面図である。
【図15】発射装置ユニットの正面図である。
【図16】発射装置ユニットの正面図である。
【図17】保持部材等を説明するための正面図である。
【図18】球通路部材の背面図である。
【図19】球通路部材を本体枠に取り付けた状態を示す概略的な横断面図である。
【図20】切断部材等を示す斜視図である。
【図21】図20の一部拡大斜視図である。
【図22】(a)は切断部等の一部拡大斜視図であり、(b)切断部等の説明図である。
【図23】(a)は本発明の各実施例において特別図柄表示部を示す概略的な正面図であり、(b)は本発明の各実施例において演出表示装置の表示画面に表示する表示内容を示す概略的な正面図である。
【図24】(a)は左下表示装置の概略的な正面図であり、(b)は右下表示装置の概略的な正面図である。
【図25】本発明の各実施例に係る遊技機を示す裏面図である。
【図26】本発明の各実施例に係る電子制御装置を示すブロック図である。
【図27】本発明の各実施例に係る電子制御装置を示すブロック図である。
【図28】(a)及び(b)は切断部材の作用を説明するための説明図である。
【図29】断部材の作用を説明するための説明図である。
【図30】実施例2に係る遊技機の本体枠、上皿部材及び下皿部材等を説明するための概略的な説明図である。
【図31】実施例2に係る遊技機の上皿部材の概略的な背面図である。
【図32】実施例2に係る遊技機の遊技盤等を示す正面図である。
【図33】実施例2において発射装置ユニットの取付状態等を説明するための概略的な正面図である。
【図34】発射装置ユニット及び球送り装置を示す概略的な縦断面図である。
【図35】発射装置ユニット及び球送り装置を示す概略的な横断面図である。
【図36】実施例2において切断部材の取付位置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための最良の形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。以下に示す各実施例では、請求項1に係る発明を、「セブン機」と称する遊技機(パチンコ機)1に適用した各具体例について説明する。
【実施例1】
【0023】
(1)機械的な構造
a.遊技機の全体構造
先ず、この遊技機1の全体構造について、図1?図3を参照して説明する。この遊技機1は、図1及び図2に示すように、外枠2と、この外枠2に装着された遊技機本体Hと、を備えている。また、外枠2は、パチンコホールの島設備に設けられた設置部位に固定されるとともに遊技機本体Hを支持するためのものである。この外枠2は、略矩形状の枠状体によって構成される外枠本体21(図1及び2を参照)と、外枠本体21の前面下部を覆う前板部22とを備えている。
【0024】
遊技機本体Hは、外枠2の左端側上下のヒンジH1、H2(図1を参照)を用いて、外枠2の左端側に回動自在に組み付けてられている。この遊技機本体Hは、遊技機1のうちで外枠2を除く部分であって、図1に示すように、本体枠3と、前面枠4と、上皿部材5と、下皿部材6と、遊技盤10(図7を参照)と、裏機構盤102(図25を参照)等を主要部としている。また、本体枠3は、図3に示すように、外枠2に嵌めこまれ、外枠2に対して開閉可能に軸支されている。尚、本体枠3の右端側には、施錠装置7が装着されている。
【0025】
本体枠3は、全体がプラスチック製であり、図3に示すように、枠状体によって構成されている。この本体枠3は、上半部に窓部3Mを備える枠本体部3bと、枠本体部3bの裏面部から略矩形枠状に突出する突出部3cとを備える。そして、本体枠3は、この突出部3cを用いて遊技盤10を保持するための保持部を構成している。つまり、突出部3cの突端面であって、窓部3Mの左方側の上下と、窓部3Mの右方側の上下には保持具3fが回動可能な状態で装着され、保持具3fの突端部を遊技盤10の後面部に当接させることで遊技盤10が本体枠3により保持されている。
【0026】
本体枠3が遊技盤10を保持したとき、「遊技盤10の前面部10aに構成される遊技領域11」を、窓部3Mによって本体枠3の前方から視認することができる。また、遊技盤10の背面部には、裏機構盤102(図25参照)が装着され、この背面部を覆う状態とされている。なお、遊技球を上皿部材5に払い出すための遊技球払出装置109が、裏機構盤102に配設されている(図25を参照)。なお、本体枠3の前面部左端側には、遊技球を後述する上皿部材5の方向(前方)に向かって排出するための排出口35が設けられている(図4を参照)。
【0027】
前面枠4は、図1に示すように、本体枠3の前面側に配置され、本体枠3の左端に開閉可能に支持されている。この前面枠4はその中央部に視認窓41aを備えている。この視認窓41aは前面枠4の前後に貫通する状態に設けられ、遊技盤10の遊技盤面(遊技盤10の前面部)に形成された遊技領域11(図7参照)の外周形状に対応して略円周状に開設され、前面枠4を閉じたときにその背後に配置される遊技領域11が、この視認窓41aによって前方から視認可能とされる。
【0028】
前面枠4は、図1に示すように、枠本体41と、この枠本体41に装着されるガラス板43と、ガラス板43を枠本体41に保持させるための保持具(図示を省略)とを備える。また、前面枠4の上端部側の左右には、各々スピーカSP1、SP2が内蔵されている。また、本遊技機1においては、前板部22の左右両端にも、スピーカSP3、SP4が内蔵されている。そして、本遊技機1においては、これらのスピーカSP1?SP4を用いて、遊技状態に応じた効果音その他の音(音声)を発生させる。
【0029】
図1及び図2に示すように、遊技機本体Hの前面部のうちで前面枠4の下方の部位には、上皿部材5と下皿部材6とが設けられている。すなわち、上皿部材5は前面枠4の下方に配置され、その略容器形状とされる内部に遊技機1の裏側から排出される遊技球を受け入れて貯留するためのものである。なお、本実施例と異なり、上皿部材5及び下皿部材6を単一の皿部材で構成することもできる。
【0030】
上皿部材5は、図4?図6を用いて示されるように、略矩形の板形状に構成される背板部5Aと、背板部5Aの前面部から前方に突出する状態に配置される上皿本体5Bと、を備えている。また、この背板部5Aの左端部が、ヒンジ5hを用いて本体枠3に支持されている。更に、図4及び図5に示すように、背板部5Aの左端寄りであって、「本体枠3の排出口35」と前後に位置合わせ可能な位置(上皿部材5の閉鎖時に位置合わせ可能な位置)からは球受入部5dが突出している。この球受入部5dは、略筒形状とされると共に、その軸心を後方に向かって上がり傾斜状としている。
【0031】
図4及び図5に示すように、背板部5Aの左端部寄りには、上皿導入口5bが前後に貫通する状態に設けられている。また、図1に示すように、上皿本体5Bは基体部51Bと、基体部51Bから立ち上げられた略円弧状の前壁51Cと、を備え、基体部51Bと、前壁51Cと、背板部5Aとが協働して、上方に開口する貯留部51Gを構成する。そして、上皿導入口5bの前端部は、貯留部51Gの左端側において開放されるとともに、上皿部材5が本体枠3に対して閉鎖された状態となると、上皿導入口5bの後端部が球受入部5dに接続されるため、遊技球払出装置109(後述する。)から払い出される遊技球は、排出口35、球受入部5dを、この順に通過して貯留部51G内に導入される。
【0032】
図4に示すように、貯留部51Gの底部からは、略円弧状(曲率中心を右斜め後方に配した略円弧状)の仕切壁51Dが立ち上げられている。この仕切壁51Dは、貯留部51Gの左右方向略中央部における後端から、貯留部51Gの右端側における前後方向中間部に向かって設けられている。そして、貯留部51Gの底部は、仕切壁51Dの左側と、仕切壁51Dの正面前方において、右方向に緩やかに下る下り傾斜を備え、その他の部位においては、左方向に緩やかに下る下り傾斜を備えている。
【0033】
このため、上皿導入口5bを通じて、貯留部51Gに導入される遊技球は、図4の矢印に示すように、仕切壁51Dの左側の部位を右方向に転動し、仕切壁51Dの前方を更に右方向に転動した後、仕切壁51Dの右端部を反時計回り(上方から見て、反時計回り)に半回転(反転)した後、仕切壁51Dの後方を左方向に転動しようとする挙動を示すことになる。
【0034】
図4に示すように、貯留部51Gの底部であって、仕切壁51Dの右端部の後方に位置する部位には、球抜口51aが設けられている。この球抜口51aは、背板部5Aの背面の球抜き通路51b(図6を参照)に連通可能とされているが、通常、球抜口51aと球抜き通路51bは弁体51c(後述する)によって遮断されている。また、貯留部51Gの底部のうち、仕切壁51Dの後方であって、しかも、球抜口51aの左側に位置する部位には、遊技球整列部51dが設けられている。つまり、遊技球整列部51dは、1球の遊技球のみが進入して転動可能な前後幅を備える凹部によって構成され、その底部は、左方向に向かう下り傾斜を有している。また、遊技球整列部51dは、貯留部51Gの後端側において、仕切壁51Dの左端部に向かって形成され、その左端部において、背板部5Aの背面の球送り通路51e(図6を参照)に連絡されている。
【0035】
次に、背板部5Aの背面側の構造について図6を用いて説明する。なお、図6における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。図6に示すように、背板部5Aの左端側の背面(背面視で右端側)には、球送り装置80が装着されている。また、背板部5Aの背面には、遊技球整列部51dから背板部5Aの後方に送り出される遊技球を、球送り装置80に到達させるための球送り通路51eが設けられている。この球送り通路51eは、背板部5Aの背面部に設けられる溝部を用いて構成され、背板部5Aの略中央から左端側(背面視で右端側)に向かう下り傾斜を有している。そして、球送り通路51eの下端部は、球送り装置80の取入口81a(後述する。)に連通されている。なお、球送り装置80の詳細については後述する。また、前述の球抜き通路51bや、後述する第2球抜き通路51fも、背板部5Aの背面部に設けられる溝部を用いて構成されている。
【0036】
背板部5Aの背面であって、球送り通路51eの下端部側(取入口81aとの連通部分よりも上流側)には、背板部5Aの略中央に向かって下り傾斜となる第2球抜き通路51fが設けられている。この第2球抜き通路51fと球送り通路51eとの連通及び遮断は、弁体51gを操作することで選択される。そして、弁体51gが、第2球抜き通路51fと球送り通路51eを遮断すると、球送り通路51e内の遊技球は、球送り装置80に送り出され、第2球抜き通路51fと球送り通路51eを連通させると、球送り通路51e内の遊技球は、第2球抜き通路51fに進入する。但し、通常時において、第2球抜き通路51fと球送り通路51eは、弁体51gによって遮断された状態とされる。
【0037】
背板部5Aの背面であって、球送り通路51eの上流側には、前述の球抜き通路51bが設けられている。そして、前述のように、通常、球抜口51aが弁体51cによって遮断されているため、貯留部51G内において、仕切壁51Dの右端部を反時計回りに半回転した遊技球は、球送り通路51eに進入するが、弁体51cを操作し、球抜口51aと球抜き通路51bを連通させると、この半回転した遊技球は、球抜き通路51bに流入することになる。
【0038】
図1及び図4等に示すように、上皿本体5Bの前面部には、この弁体51cを操作するための球抜きボタン5Nが配置されている。そして、遊技者が、この球抜きボタン5Nを操作すると(例えば、押圧すると)、球抜口51aと球抜き通路51bが連通することになる。また、この上皿部材5の外郭部分は、レンズ状のプラスチックを主体され、上皿部材5の内部にも、LED基板4iが内蔵されている(図2を参照)。また、上皿部材5の裏側(背板部5Aの後面部)には、球貸表示基板410(図25参照)及び演出ボタン基板228(図25参照)が設けられている。
【0039】
図2に示すように、下皿部材6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられ、下皿部材6の右端には発射ハンドル9が設けられている。また、図5に示すように、下皿部材6の底面には球抜き孔6dが設けられている。この球抜き孔6dは、通常時には、閉鎖されているが、下皿部材6に貯留された遊技球を遊技機1から排出する際に開放状態とされる。なお、図6に示すように、球抜き通路51bと、第2球抜き通路51fは、下皿部材6の背面の連絡通路61e、61fと連通するとともに、これらの連絡通路61e、61fの端末部は、排出口6aに連通している。このため、球抜き通路51bに流入した遊技球と、第2球抜き通路51fに流入した遊技球は、各々、下皿部材6に向かって排出される。
【0040】
なお、上皿部材5の貯留部51Gに貯留される遊技球が、その上限量に到達した場合、その上限量を超える遊技球は、遊技機1の裏側において、誘導樋(遊技球払出装置109から払い出される遊技球を上皿部材5等に向かって誘導する誘導樋)から、下皿部材用球通路部材(図示を省略)に移行した後、本体枠3前面側の通路ボックス3B(図4を参照)を通過して、下皿部材6に到達する。また、上皿部材5が開放状態とされ、上皿導入口5bと球受入部5dとの接続が解除された状態で排出口35から排出される遊技球も、通路ボックス3B(図4を参照)に回収され、下皿部材6に到達する。
【0041】
図1に示すように、下皿部材6の右端には、後述する発射装置91を操作するため発射ハンドル9が設けられている。この発射ハンドル9は、その回転量を調整することで、発射装置91が遊技球に加える打撃力が調整される。また、発射ハンドル9には、遊技者が触れていることを検出するタッチスイッチ(タッチセンサ)9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。
【0042】
図7及び図8に示すように、本体枠3の前面部下方側(本体枠3の内部)であって、遊技盤10よりも下方の左端側に位置する部位には、発射装置ユニット90が配設されている。この発射装置ユニット90は、球送り装置80から送り出される遊技球を略鉛直上方に発射して、遊技領域11に到達させるためのものである。そして、図9及び図10に示すように、上皿部材5の背面部に装着される球送り装置80と、本体枠3の前面部に装着される発射装置ユニット90は、上皿部材5を本体枠3に対して閉鎖したときに、前後に略重ね合わされた状態(互いに対向した状態)となるように配置される。次に、球送り装置80及び発射装置ユニット90について詳細に説明する。
【0043】
球送り装置80は、球送り手段の具体例を構成するものであり、図9?図11に示されるように、ハウジング81と、ハウジング81の内部に揺動可能な状態に支持された整流カム82と、ハウジング81の内部に配置された電磁コイル85と、を備えている。また、ハウジング81は、略容器形状に構成されるベース体81aと、ベース体81の開口部に装着される蓋体81bとを備える。また、本実施例では、ベース体81aの開口部を前方に向け、蓋体81bでハウジング81の前面部を構成する状態で用いている。
【0044】
図14に示すように、蓋体81bには、「球送り通路51eの端末部(左端部)から遊技球を1球ずつ受け入れるための受入口81c」が設けられている。また、ベース体81aの奥壁部には、遊技球を1球ずつ送り出すための送り出し口81vが設けられている。更に、図11に示すように、ベース体81aの内部であって、受入口81cの後方に位置する部位には、受入口81cから受け入れた遊技球を受け取って保持するための保持壁81eが設けられており、その保持壁81eの上方には調整壁81fが設けられている。
【0045】
図11に示すように、整流カム82は、略L字状に構成される本体部82aと、本体部82aの底部から垂下する保持部82bと、を備えている。また、本体部82aにおいて、上下方向に配置される部分(以下、「第1の部分82c」という。)と、水平方向に配置される部分(以下、「第2の部分82d」という。)の境界位置においては、前後(肉厚方向)に縦断する状態の支持軸82vを備える。そして、図14に示すように、この支持軸82vにおいて、整流カム82の前面側に突出する端部が、蓋体81bに設けられた軸受部81mによって回転可能に支持されている。また、支持軸82vにおいて、整流カム82の後面側に突出する端部が、ベース体81aに設けられた軸受部81hによって回転可能に支持されている。このため、整流カム82は、ハウジング81内において、支持軸82vを基準に揺動可能とされている。
【0046】
図11に示すように、第1の部分82cの上端面(以下、「受け取り面」という。)82eは、保持壁81eの方向に(図中の右方向)向かう下り傾斜を有しており、「第1の部分82cにおいて第2の部分82d側に位置する側面(図中の左側面)」と、「第2の部分82dの上面」とが、その境界部分で連続しつつ略円弧状に凹む凹面(以下、「受け渡し面」という。)82gを構成している。そして、受け渡し面82gの下端側は、後方(図10において奥方向、図12において手前方向)に向かう下り傾斜を有している。なお、図11における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。
【0047】
図11に示すように、保持部82bは永久磁石82xを保持するとともに、電磁コイル85は、その一端面(磁着面)を保持部82bに対向させた状態で配置されている。そして、電磁コイル85への通電を行うと、電磁コイル85と保持部82b(永久磁石82x)との間に反発力(斥力)を生ずる構成とされている。
【0048】
この球送り装置80において、電磁コイル85への通電を行わない場合、第1の部分82cを上下に向けるとともに第2の部分82dを略水平に向け、保持部82bを垂下させる状態(以下、「初期状態」という。)となるように、整流カム82の重量バランス(重心位置)が設定されている。このように、整流カム82が初期状態にあると、保持部82bと電磁コイル85の一端面(磁着面)とは僅かな隙間を挟んで対向した状態となるとともに、受け取り面82eと保持壁81eの上面部とが、左右に位置合わせされる。
【0049】
このとき、図11に示すように、保持壁81eの上面部が左方向(受け取り面82eの方向)に下り傾斜を有するとともに、受け取り面82eが右方向(保持壁81eの方向)に下り傾斜を構成しつつ、保持壁81eの上面部よりも僅かに下方に位置する。このため、受入口81cから受け入れた遊技球は、保持壁81eを左方向に転動した後、受け取り面82eに移行する。但し、受け取り面82の左端側においては、調整壁81fの下面との間に遊技球の直径よりも小さな隙間が存在するのみであるため、受け取り面82e上の遊技球は、その左側部を調整壁81fに当接させた状態で、受け取り面82eに停留する。そして、受け取り面82eでは、1球の遊技球のみを保持可能であるため、受け取り面82eに停留する遊技球に後続する遊技球は、保持壁81eの上面部で停留する。
【0050】
一方、電磁コイル85への通電を行うと、図13に示すように、電磁コイル85と保持部82b(永久磁石82x)との間に生ずる反発力(斥力)によって、整流カム82が、保持部82b(永久磁石82x)を電磁コイル85の一端面(磁着面)から遠ざけるように回動する。これにより、第1の部分82cが右方向に傾動し、第2の部分82dが左上がり傾斜となる。これにより、受け取り面82の左端側において、調整壁81fの下面との隙間が、遊技球の直径以上に拡大されるため、受け取り面82eで保持されていた遊技球は、受け渡し面82gの中心方向に転動する。そして、この遊技球は受け渡し面82gの後方向かう下り傾斜を用いて後方(図13において奥方向)に転動し、送り出し口81vを通じて球送り装置80外へと排出され、発射装置ユニット90へ供給される。但し、電磁コイル85への通電は、受け取り面82eで保持されていた遊技球が、受け渡し面82gに移行する毎に(移行すると略同時に)停止されるため、当該移行した遊技球に後続する遊技球(保持壁81e上で待機していた遊技球)は受け取り面82eで停留する。そして、本実施例の球送り装置80では、電磁コイル85への通電と、通電の停止(遮電)とを遊技球の発射に連動して繰り返すことで、発射装置ユニット90に対して遊技球を間欠的に1球ずつ供給することとなる。なお、図13における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。
【0051】
次に、発射装置ユニット90について説明する。この発射装置ユニット90は、図15に示すように、本体枠3の前面側に配置されるもので、発射装置91と、遊技球を発射待機位置に保持するために発射装置91に装着された保持部材93と、ガイド部材94と、球通路部材96と、切断部材97とを備える。なお、保持部材93は保持手段の具体例を構成し、発射装置91は発射手段の具体例を構成する。
【0052】
発射装置91は、図16に示すように、取付基板91aと、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bと、ハンマー91cと、ストッパー92a、92bとを備える。また、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bは、固定子92fと、可動子92gとを備えるとともに、ハンマー91cは可動子92gに一体化されている。
【0053】
固定子92fは、筒状のコイル92eの筒内に配置される内鉄心92hと、この内鉄心92hの基端に連接される外鉄心92jとを備え、内鉄心92hの先端部には、開口磁極面を構成する凹部92kが設けられている。なお、内鉄心92h及び外鉄心92jは、軟質磁性体(珪素鋼板)を多数枚積層した構成を備える。また、固定子92fは、取付基板91aの前面部にピン、ネジ等を用いて固定されている、
【0054】
可動子92gも、珪素鋼板等の磁性体(珪素鋼板)を多数枚積層した構成を備え、一端部がピン92mを用いて回転可能な状態に支持されている。また、可動子92gの中間部には、突出部92nが設けられている。この突出部92nは、凹部92kよりも一回り小さな相似形状に構成され、コイル92eへの通電がなされると、凹部92kに吸引され、凹部92kに進入する。このとき、凹部92kの内壁面と、突出部92nとの間には隙間(クリアランス)が設けられる。
【0055】
ハンマー91cは、可動子92gにおいて突出部92nの形成部位よりも先端側に一体化されている。また、可動子92gには、その自重によって、「突出部92nを凹部92kから離させる方向への回転力」が作用する。このため、コイル92eへの通電を行わない場合には、可動子92gは、この回転力によって、図中矢印B方向に回転する。そして、可動子92gにおいて、ハンマー91cの形成位置の裏側(対向外面側)に位置する部位921gが、取付基板91aに装着されたストッパー92aに当接して、下方から支持された状態とされる。
【0056】
なお、以下の説明において、「ストッパー92aで支持された状態にあるときの可動子92gの姿勢」を「後退姿勢」と称する。また、可動子92gの動作の円滑化を図るために、付勢手段(圧縮コイルスプリング等)を用いて可動子92gを付勢してもよい。例えば、付勢手段の付勢力を可動子92gに負荷し、「突出部92nが凹部92kから離れるように回転させる回転力」を可動子92gに負荷してもよい。また、本実施例と異なり、「突出部92nを凹部92kから離させる方向への回転力」が作用しない状態で、可動子92gを配置する場合(例えば、上方に配置されるピン92mによって、可動子92gが吊り下げられた状態で配置される場合)には、この付勢手段が必要となる。
【0057】
保持部材93は、図17に示すように、取付基板91aの前面部に装着されることで、取付基板91aの前面部に「遊技球の発射待機位置」を形成するとともに、ガイド部材94と協働して、遊技球の発射方向を規制する部材である。この保持部材93は、右上がり傾斜状に配置される受け部93aと、受け部93aの左端部から左上がり傾斜状に延設される左側板部93bと、受け部93aの右端部から左上がり傾斜状に延設される右側板部93cとを備えている。また、受け部93aは遊技球の直径よりも大きな幅を有するとともに、その肉厚方向を貫通する貫通孔93dを備える。
【0058】
球送り装置80から送られる遊技球は、保持部材93上部の開口(左側板部93bの上端部と、右側板部93cの上端部との間に設けられる開口)から、保持部材93内に落下した後、貫通孔93dに嵌り込む。つまり、貫通孔93dの直径は、遊技球の直径よりも小さくされているため、保持部材93内に落下して、受け部93aに到達した遊技球は、その下方側の「約1/3」の部分を受け部93aの下方に突出させた状態で、受け部93aに保持される。そして、このときの遊技球の位置が発射待機位置である。
【0059】
ガイド部材94は、取付基板91aの前面部に装着され、保持部材93と球通路部材96との間に遊技球の通路を構成する部材である(図15参照)。つまり、左側板部93bの斜め上方に配置される左レール部94bと、右側板部93cの斜め上方に配置される右レール部94cとを備えている。
【0060】
発射装置ユニット90においては、コイル92eに通電を行わないと、可動子92gは後退姿勢となり、ハンマー91cは受け部93aの下方に位置する状態となる(図16を参照)。そして、コイル92eに通電を行うと、突出部92n(磁性体で構成)が凹部92kに吸引されるため、「突出部92nを凹部92kに近接させる方向に回転するための回転力」が可動子92gに負荷される(図15を参照)。そして、ハンマー91cが、受け部93aの下方に突出する遊技球の下端側を打撃し、この遊技球を発射した後、可動子92gの先端部922gが、「取付基板91aの前面部に装着されたストッパー92b」に、その下方から当接する。このとき、突出部92nと凹部92kとの間には微少隙間が維持された状態となる。なお、先端部922gがストッパー92bに当接したときの可動子92gの姿勢を、前進姿勢という。
【0061】
本遊技機では、球送り装置80の球送り動作(電磁コイル85のON/OFF制御)は、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bの作動と同期制御されており、図14に示すように、発射ハンドル9の回転操作に基づき、発射装置ユニット90から遊技球が発射される毎に、送り出し口81vから受け部93aに向かって、遊技球が1球ずつ落下する。
【0062】
球通路部材96は、略樋形状を備え、図8及び図19に示すように、本体枠3の前面部における左下方側に装着されている。そして、発射装置ユニット90と、「遊技盤10の前面(盤面左端側)の誘導経路Y(図7を参照)」との間を連絡する通路を形成する。この球通路部材96は、図18に示すように、前壁部96aと、前壁部96aの周縁部から後方(球通路部材96の背面側)に突出する周壁部96bと、前壁部96aの裏面略中央から後方(球通路部材96の背面側)に突出する仕切壁部96cとを備える。なお、図18における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。そして、この球通路部材96は、図19に示すように、周壁部96b及び仕切壁部96cの突端面を、本体枠3の前面部に当接させ、前壁部96aと本体枠3の前面部との間に、遊技球が通過可能な空間(樋)を設けた状態で、本体枠3の前面部に装着されている。
【0063】
前壁部96aは、図18に示すように、略台形状に構成され、上縁部を略水平方向に沿った略直線形状とし、左側縁部(背面視で右端部側)を上下方向に沿った略直線形状とし、右側縁部(背面視で左端部側)を左上がり傾斜上の略直線形状とするとともに、下縁部を左右方向中間部で屈曲する屈曲形状としている。また、周壁部96bは、前壁部96aの左側縁部から後方に突出する第1周壁部96dと、右側縁部から後方に突出する第2周壁部96eと、下縁部の左端側から後方に突出する第3周壁部96fとを備える。
【0064】
第3周壁部96fは、その左端部を第1周壁部96dの下端部と一体としつつ、下縁部の屈曲部96gまで到達している。つまり、球通路部材96においては、前壁部96aの下端縁のうちで屈曲部96gよりも右側の部位(以下、「下部開放部位96W」という。)には周壁部96bが存在せず、下方に向かって開放されている。そして、この下方に向かって開放されている部位によって、球通路部材96に入球が進入するための入口部96hを構成する。また、球通路部材96においては、前壁部96aの上縁部にも、周壁部が存在せず、上方に向かって開放されている。そして、この上方に向かって開放されている部位によって、球通路部材96から遊技球を排出するための出口部96jを構成する。
【0065】
図20及び図21に示すように、前壁部96aの下部開放部位96W側に位置する部位には、複数(本実施例では、4個)の切り欠き部96Xが設けられている。これらの切り欠き部96Xは、前壁部96aの下端面、前面及び後面で開口するガイド溝96Mを形成するためのものである。また、各切り欠き部96Xは、第2周壁部96eと平行となるように傾斜する状態に設けられ(図18を参照)、前壁部96aの下部開放部位96W側に位置する部位は、5つの突起部R1?R5に区画されている。これらの突起部R1?R5では、その下端部側(ガイド溝96Mの下端側に位置する部位)に面取りが施されている。これにより、各突起部R1?R5には、ガイド溝96Mの奥側に向かって下り傾斜となる案内面96rが形成されている。つまり、隣り合う突起部R1?R5の間においては、ガイド溝96Mの入口側(下端側)の幅において、ガイド溝96Mの入口に向かってテーパ状に拡大している。なお、「前壁部96aの下部開放部位96W側に位置する部位(突起部R1?R5及びガイド溝96Mからなる部分)によって、ガイド部の具体例を構成する。
【0066】
図18に示すように、仕切壁部96cは、上下方向中間部に屈曲部96kを設けつつ、上下に設けられ、「球通路部材96が本体枠3の前面部に装着されて構成する空間部」を左右に区画する。また、仕切壁部96cにおいて、屈曲部96kよりも上方側の部位は第2周壁部96eと略平行とされ、屈曲部96kよりも下方側の部位は第1周壁部96dと略平行とされている。
【0067】
図15及び図19に示すように、球通路部材96が、本体枠3の前面部に装着されると、この前面部における左下方側に、発射用連絡通路96Aと、回収用連絡通路96Bとが形成される。つまり、第2周壁部96eと仕切壁部96cとの間の空間によって、経路が左斜め上方に向かって上がり傾斜となる発射用連絡通路96Aが形成され、仕切壁部96cと第1周壁部96dとの間の空間によって、経路が略鉛直方向を向いた回収用連絡通路96Bが形成される。また、発射用連絡通路96Aと回収用連絡通路96Bとは球通路部材96の上端で合流し、出口部96jによって上方に開放されている。また、発射用連絡通路96Aの下端部は入口部96hに向かって開放されている。
【0068】
発射装置ユニット90から発射される遊技球は、入口部96hに進入した後、発射用連絡通路96Aを通過して出口部96jから排出されて誘導経路Y(図7を参照)に進入し、更に、誘導経路Yを上昇し、球進入口11S(図7を参照)から遊技領域11に進入する。但し、発射装置ユニット90から発射される遊技球の中には、球進入口11Sを通過できない(進入口11Sに到達しない)ファール球も存在する。このファール球は、誘導経路Yを下降した後、出口部96jから球通路部材96に進入する。ここで、誘導経路Yの下端部側(始点側)は開放しており、その鉛直下方に回収用連絡通路96Bが存在し、その右側に位置する発射用連絡通路96Aは、誘導経路Yの下端部側との間に遊技球1個分以上の間隔をあけた位置から、斜め右下り傾斜状に配置されている。このため、誘導経路Yを逆進(落下)するファール球は、誘導経路Yの下端部(始点部)の直下に位置する回収用連絡通路96Bに進入するようになっており、回収用連絡通路96Bに進入したファール球(遊技球)は、図示しない通路を通過して下皿部材6に誘導される。
【0069】
図20に示すように、切断部材97は切断部を構成する部材であり、球通路部材96の前壁部96aの前面部のうち、下部開放部位96Wの前方(手前側)に位置する部位(入口部96hの前方に位置する部位)に装着されている。ここで、図14に示すように、入口部96hの鉛直下方には、「発射待機位置を構成する保持部材93」が設置され、「球送り装置80の送り出し口81v」は、入口部96hと保持部材93との間の部位の正面前方に位置している。このため、送り出し口81vの真後ろであって、下部開放部位96Wの下方の位置に「球送り装置80から発射待機位置に遊技球を流入させるための流入口81R」が形成され、下部開放部位96Wが、流入口81Rのうちで発射待機位置から発射される遊技球の発射方向に位置する部位81Tを構成する。
【0070】
切断部材97は、鉄板にプレス加工(板金加工)を施して形成されるものであり、図20に示すように、縦幅よりも横幅を大きくしているとともに、この横幅が入口部96hの幅と略等しくされている。また、図21及び図22に示すように、切断部材97の下端部には、複数(4個)の切り欠き部97aが略V字状に設けられ、これらの切り欠き部97aを中心に刃先部97b、97hが設けられている。
【0071】
図21及び図22(a)に示すように、切断部材97の下端側は、切り欠き部97aを挟んで、プレスが施されていない平坦部97cと、プレスが施された窪み部97dとを、交互に並べた構成を備える。また、平坦部97cにおける窪み部97d側の角部97eには斜面状の面取り(カット)が施されるとともに、この角部97e(隣り合う窪み部97dに傾斜する端面、つまり、角面を構成する角部97e)には刃先部97bが形成されている。
【0072】
更に、窪み部97dにおける平坦部97c側の角部97gは、当該平坦部97c側から当該窪み部97d側に傾斜しつつ「円弧状の面取り」が施されるとともに、この傾斜面状の角部97g(丸面を構成する角部97g)にも、刃先部97hが形成されている。このため、切断部材97の下端側は、略V字の切り欠き部97aを挟んで、2つの刃先部97b、97hを配置した構成を備える。
【0073】
図20に示すように、切断部材97は、ビス97Bを用いて、「球通路部材96の前壁部96aの前面部(下部開放部位96W側に位置する部位)」に装着されている。その際、窪み部97dの先端が前壁部96aの前面部に当接し、平坦部97cと前壁部96aの前面部との間に隙間を設けた状態とするとともに、各切り欠き部97aと、各ガイド溝96Mとが前後に位置合わせされる。しかも、切断部材97の下端部(刃先部97b、97h)は、ガイド溝96Mの入口(下端部)よりも上方に後退した状態とされるため、発射装置ユニット90のメンテナンス等を行う作業者の手等が、切断部材97の下端部(刃先部97b、97h)に誤って接触する可能性を低くし、装置としての安全性を高めている。また、前壁部96aの前面部における切断部材97の取付部位は、他の部位に比べて段差状に凹む凹部961aとされている。そして、切断部材97の前面部が、前壁部96aにおける凹部961aの周囲よりも段差状に凹む状態とされている。
【0074】
b.遊技盤10の構成
次に、遊技盤10の構成について図7を用いて説明する。この遊技盤10は正面視で略矩形状の合板を用いて構成される遊技盤本体10Aと、この遊技盤本体10Aに装着される各種の盤部品(外側レール12、内側レール13、メイン役物装置20等)が装着されている。尚、この遊技盤本体10Aの前面部には、セル画が印刷されたシート状物が貼着されているが図示を省略する。
【0075】
遊技盤本体10Aは、正面視で略円形とされる領域形成部10Bと、領域形成部10Bの周囲に位置する領域外部10Cとを備える。また、遊技盤本体10Aの前面部には、ともに帯状の金属板を用いて構成される外側レール12と、内側レール13とが配設されている。そして、領域形成部10Bの前面部(遊技盤面)は、この外側レール12及び内側レール13が形成する略円形の周壁によって略包囲されつつ、遊技領域11を構成している。
【0076】
内側レール13は略U字形状に配置されつつ、左端部を遊技盤本体10Aは左上部に配置されるとともに、その左側方に位置する「外側レール12の左上部」との間に「遊技球が通過可能な隙間」を設け、球進入口11Sを形成している。
【0077】
外側レール12の左端部は、「球通路部材96の出口部96j」の斜め左上に近接配置されている。そして、外側レール12において、内側レール13の外側に配置される部分は、外側レール12の左端部から左斜め上方に上がる経路を描き、内側レール13の右端部の側方に到達したところで、その経路を内側レール13と略平行な円弧状の経路に改めつつ上昇し、球進入口11Sの側方を越えて、遊技盤本体10Aの右上部まで到達している。
【0078】
内側レール13の外側面部には、補助レール13Bの上端部が一体化されている。そして、「補助レール13Bと、これに略平行な外側レール12の部分の間に形成される通路」と、その上方の「外側レール12と内側レール13とに挟まれつつ球進入口11Sに至る通路」とが連続して誘導経路Yを構成している。この誘導経路Yは下端部が「球通路部材96の出口部96j」と連通するとともに、下端部から左上がり傾斜状に「内側レール13の外側(左側方)」を上昇した後、内側レール13の外側を時計回転方向に通過して、球進入口11Sに到達している。
【0079】
領域形成部10B(つまり、遊技盤10において遊技領域11内に位置する部位)には、メイン役物装置20と、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16と、始動入賞装置17と、下部装置30と、左下表示装置50と、右下表示装置60と、4個の一般入賞装置40、41、43、44と、多数の障害釘(図示を省略)と、風車19等が配設されている。
【0080】
メイン役物装置20は、取付部材(化粧板)21と、演出表示装置27とを備えている。このうち、取付部材21は、領域形成部10Bの前面部に装着される板状体によって構成され、遊技領域11の上半部のうちで、左端側を除く部位を構成している。この取付部材(化粧板)21には窓部形成孔21dが設けられ、この窓部形成孔21dによって正面視で略矩形状の表示窓21eを構成している。
【0081】
取付部材21の頂部から右側縁部の下端に至る部位は、外側レール12に近接し、頂部から左側縁部の上端に至る部位には、上部装飾部材21nが前方に突出する状態に装着されている。また、取付部材21の左側縁部には、左側装飾部材21qが前方に突出する状態に装着され、取付部材21の下縁部には、ステージ部材21pが前方に突出する状態に装着されている。更に、左側装飾部材21qは、内部に遊技球通路(図示を省略)が形成された造形物21rを備えている。この遊技球通路の進入口は左斜め上方に向かって開口し、遊技領域11を流下する遊技球を、この進入口で受け入れ、メイン役物装置20の内部に進入させる。
【0082】
ステージ部材21pは、その上面部によって遊技球の転動面を構成するが、この転動面は左右の端部から中央部に向かって下る傾斜面とされている。但し、転動面の中央部では上方に向かって僅かに隆起する隆起部とされている。また、ステージ部材21pには、転動面上の遊技球をメイン役物装置20の外部に排出するための排出通路が設けられている。尚、排出通路の入口部21uは、転動面の中央部の背後において、この中央部と連続する位置で開口し、排出通路の出口部21vは、この中央部よりも下方の位置で開口している。
【0083】
本実施例では、遊技領域11を流下し、メイン役物装置20の内部に進入した遊技球は転動面の左端部に到達し、転動面上を右方向に転動し、更に、左方向に転動する。そして、遊技球の勢いが衰えたところで、この遊技球は排出通路を通過してメイン役物装置20外に排出されるか、或いは、転動面の前縁部から、メイン役物装置20外に排出される。尚、出口部21vの直下に、後述する始動入賞装置17が位置している。
【0084】
演出表示装置27は、液晶表示装置によって構成されるものであり、後述する右下表示装置60と同様に、特別図柄の変動表示及び停止表示を行う。但し、この演出表示装置27においては、右下表示装置60における特別図柄の変動表示および停止表示に連動する演出表示(図柄変動表示)を実行する。尚、本実施例では、右下表示装置60が、本図柄(特別図柄の一具体例を示す。)を表示するための表示装置を構成し、演出表示装置27が疑似図柄(特別図柄の他の具体例を示す。)を表示する。
【0085】
演出表示装置27の表示画面27aは、その全体、若しくは、一部を用いて種々の図柄を表示可能である。このには、図23(b)に示すように、3つの疑似図柄表示部27b?27dと、その他の部分で構成される背景画面表示部27hとが出現することがある。この場合、この疑似図柄表示部27b?27dは、表示画面27aにおいて横方向に3つ並んで配置される。このように出現する各疑似図柄表示部27b?27dでは、「疑似図柄」を用いた演出表示(変動表示)と、停止表示等がなされる。また、表示画面27aに疑似図柄表示部27b?27dが表示されるときには、この表示画面27aのその他の部位によって背景画面表示部27hが表示される。そして、この背景画面表示部27hには、背景を示す図柄(以下、背景図柄という。)を表示したり、この背景図柄と共にキャラクタを示す図柄(以下、キャラクタ図柄という。)を表示することができる。これら「疑似図柄」や「背景図柄」や「キャラクタ図柄」は、演出表示装置27の表示画面27aに表示される「演出図柄」の一具体例を示すものであり、これら「疑似図柄」や「背景図柄」や「キャラクタ図柄」により「図柄変動演出表示」が実現される。
【0086】
普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16は、遊技領域11において、メイン役物装置20の左側方に位置する部位に配設されている。また、この普通図柄作動ゲート16内には普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s(図7参照)が配設されている。そして、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16sにより遊技球が検出されることを前提に「普通図柄の変動開始条件(普通図柄の抽選実行条件)」が成立すると、左下表示装置50(後述する。)において、普通図柄の変動表示(具体的は、普通図柄用のランプ装置の点滅表示)を開始する。そして、普通図柄の変動開始後、所定の変動時間を経過すると、普通図柄の確定表示(点灯、若しくは、消滅)がなされる。そして、普通図柄の当り表示(点灯表示)がなされると、普通電動役物17d(後述する。)が、所定時間(例えば、0.5秒)開放駆動される。
【0087】
始動入賞装置17は、ステージ部21dの排出路の直下に位置する部位に配設されている。そして、第1の始動入賞部17aと、第2の始動入賞部17bとを上下に配設した構成を備える。このうち、第1の始動入賞部17aは、上方に開口部、つまり、第1の始動口を開口させたポケット形状を備えている。この第1の始動口は、排出通路の出口部21vの直下に位置するため、排出通路を通過した遊技球は、この第1の始動口を通じて、始動入賞装置17に入賞する確率が高くされている。
【0088】
第2の始動入賞部17bは、第1の始動入賞部17aの略直下に位置すると共に、入口側部分に普通電動役物17dを備えている。この普通電動役物17dは、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するべく形成されている。つまり、第2の始動入賞部17bは、この一対の翼片部を作動させるための普通電動役物ソレノイド17c(図7参照)を備えている。そして、この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
【0089】
始動入賞装置17の内部には、第1の始動入賞部17a、若しくは、第2の始動入賞部17bを遊技球の通過を検出する始動口入賞検出スイッチ17s(図7参照)が配設されている。つまり、第1の始動入賞部17aに入賞した遊技球と、第2の始動入賞部17bに入賞した遊技球は、始動入賞装置17内の同一の通路(図示を省略)を通過し、この通路の経路途中に配設された始動口入賞検出スイッチ17sによって検出される。
【0090】
大入賞装置31は、大入賞口31aを開放・閉鎖するための開閉板31bと、この開閉板31bを駆動するための大入賞口ソレノイド31c(図26参照)と、大入賞口31aへの遊技球の入賞を検出するための大入賞口入賞検出スイッチ31s(図7参照)と、を備える。また、開閉板31bは、その下端部が軸支されることで、傾動可能とされている。そして、開閉板31bが起立姿勢となると、この開閉板31bが大入賞口31aを閉鎖するため、大入賞装置31への遊技球の入賞が不可能となり、開閉板31bが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、大入賞口31aが開放される。
【0091】
図7に戻り、左下表示装置50は、大入賞装置31の左側方に配置されている。この左下表示装置50は、図23(a)に示すように、略円弧状に構成されると共に、遊技盤10の前面部に取り付けられる取付板51を備えている。そして、この取付板51には、普通図柄保留表示部52と、特別図柄保留表示部53と、遊技状態表示部55と、普通図柄表示部56とが設けられている。
【0092】
普通図柄保留表示部52は、2個のLEDを用いて構成され、所謂「普通図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、「普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16を通過したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、普通図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、普通図柄作動ゲート16を通過したが、後述する普通図柄表示部56において、当該通過に伴う当否抽選の結果の表示と、これに先行する変動表示(本実施例では、LEDを用いて点滅表示)とがなされていない遊技球を指す。
【0093】
特別図柄保留表示部53も、2個のLEDを用いて構成され、所謂「特別図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、「始動入賞装置17に入賞したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、特別図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、始動入賞装置17に入賞したが、後述する特別図柄表示部82において、当該通過に伴う当否抽選(当否判定)の結果の表示と、これに先行する変動表示とがなされていない遊技球を指す。
【0094】
普通図柄保留表示部52及び特別図柄保留表示部53においては、同様な態様で、保留数の表示を行う。つまり、(a)2個のLEDを消灯させて「保留数」が「ゼロ」であることを、(b)1個のLEDを点灯させ、1個のLEDを消灯させて「保留数」が「1」であることを、(c)2個のLEDを点灯させて「保留数」が「2」であることを、(d)1個のLEDを点滅させ、1個LEDを点灯させて「保留数」が「3」であることを、(e)2個のLEDを点滅させて「保留数」が「4」であることを各々示す。
【0095】
遊技状態表示部55は、1個のLEDにより構成され、遊技機1の電源投入時(遊技機1の起動時)の遊技状態(遊技モード)を表示するために用いられる。具体的には、LEDを消灯させることで「遊技状態が通常遊技状態(通常モード)である」旨が表示され、LEDを点灯させることで「遊技状態が確変遊技状態(高確率モード)である」旨が表示される。つまり、遊技状態表示部55のLEDは、電源投入時(起動時)に遊技モードが高確率モードとなっている場合に限り、点灯するものである。この場合、特別図柄の当否判定の結果として「大当り」が得られると、以後、遊技状態表示部55のLEDは消灯する。そして、遊技機1の電源を切るまでの間(遊技機1が稼働している間)に遊技状態が確変モードになったとしても、遊技状態表示部55のLEDが点灯することはない。ここで、本実施例では、遊技機1の遊技モード(遊技状態)が「通常モード」から「高確率モード」になると、確変手段(当否抽選判定で大当り判定がなされる確率を通常に比べ高い確率に設定する手段)と、変動時間短縮手段(特別図柄や普通図柄の変動時間を通常(変動時間短縮手段の非作動時)に比べ短い時間に設定される可能性を高くする手段)と、開放延長手段(普通電動役物17dの開放時間を通常に比べ長い時間に設定したり、開放回数を通常に比べ多い回数に設定する手段)とが作動する。そして、遊技機1の遊技モードが「高確率モード」から「時短モード」になると、変動時間短縮手段および開放延長手段が作動を継続し、確変手段のみが作動を停止する。更に、遊技機1の遊技モードが「時短モード」から「通常モード」に戻されると、変動時間短縮手段および開放延長手段が作動を停止する。
【0096】
次に、右下表示装置60は、前述のように、特別図柄表示部62と、大当り態様表示部63とを備える。このうち、特別図柄表示部62は、図24(b)に示すように、7個のLED62a?62gを用いて構成され、「始動入賞装置17への遊技球の入賞(以下、「始動入賞」という。)に伴う当否判定の結果の表示」を、変動表示(本実施例では、複数のLEDを用いて点灯表示)を経て実行する。つまり、図23(a)に示すように、この「当否判定に関する結果の表示に、先行する変動表示」の実行時期が到来すると、「7個のLED62a?62g」を順次、点灯させる。そして、この変動表示(以下、「LED62b?62gを用いた循環表示」という。)を実行し、「特別図柄の当否判定に関する結果の表示」の実行時期が到来すると、特別図柄表示部62において、特別図柄の停止表示(確定表示)が実行される。
【0097】
大当り態様表示部63は、2個のLED63a、63bを用いて構成され、主に、「特別図柄の当否判定の結果が当選(大当り)である場合、それに基づいて発生する大当りの種類」を表示するために用いられる。つまり、特別図柄表示部62において大当り表示がなされていない場合には、2個のLED63a、63bは消灯状態とされる。そして、特別図柄表示部62において大当り表示がなされる場合、何れかのLED63a、63bを点灯させて、当該大当りの種類が表示される。
【0098】
図24(a)に示すように、2個の一般入賞装置40、41は、左下表示装置50を構成する取付板51に一体化されている。そして、各一般入賞装置40、41の内部には、遊技球の入賞を検出するための入賞検出スイッチ40s、41s(図7参照)が配設されている。
【0099】
図7に戻り、多数の障害釘(図示を省略)は、以上説明した各盤部品との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく、配設され、遊技盤10の下方にはアウト口18が設けられている。更に、アウト口18の下部にはバック球防止部材(図示を省略)が設けられている。
【0100】
c.遊技機1の裏面構造
次に、本実施例の遊技機1の裏面構造について図25を参照して説明する。つまり、遊技機1の裏面構造は、大きな裏パック102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏パック102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。
【0101】
裏パック102には、遊技球が蓄えられる遊技球タンク105と、賞球または貸球としての遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置109と、主制御部200Aを構成する主制御基板200が格納された主制御基板ケースと、発射装置ユニットを制御する発射制御基板260が格納された発射装置制御基板ケース130と、遊技球払出装置109を制御する払出制御基板240が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板200と各種スイッチ類とを中継する中継端子板などが搭載されている。また、遊技球タンク105には底部にタンクスイッチが設けられており、球切れを検出することができる。また、遊技球タンク105と遊技球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されている。更に、図25において、タンクレール106の右側には球抜きレバーが設けられ、タンクレール106の下流側には補給球切れ検知スイッチが設けられている。
【0102】
(2)制御回路の構成
次に、図26及び図27を用いて本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。本遊技機1の制御回路は、主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、240A、260A)とを含んで構成されている。つまり、主制御基板200を用いて構成されると共に遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、240A、260A)とを備えている。
【0103】
副制御部としては、(a)サブ制御基板220を用いて構成されると共に、「図柄表示、ランプの発光、効果音、可動物の動作等を用いた遊技の各種の演出の制御を司るサブ制御部220Aと、(b)演出表示制御基板222を用いて構成されると共に、「図柄表示、ランプの発光、効果音、可動物の動作等を用いた遊技の各種の演出の制御を司る演出制御部222Aと、(c)払出制御基板240を用いて構成されると共に貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御部240Aと、(d)発射制御基板260を用いて構成されると共に遊技球の発射に関する制御を司る発射制御部260Aを備える。尚、副制御部には、主制御部140に直に接続された第1次副制御部(220A、240A)と、この第1次副制御部を介して主制御部200Aに接続された第2次副制御部(260A)とが存在する。
【0104】
これらの制御部(200A、220A、240A、260A)を構成する制御基板(200、220、240、260)は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図26及び図27中の矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。また、図26においては、主制御基板200に搭載されたCPU201、RAM202、ROM203のみ図示されており、主制御基板200に搭載されているPIO、更には、他の制御基板に搭載されているCPUや、RAM、ROMなどについては図示を省略している。
【0105】
主制御部200A(主制御基板200)は、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s、始動口入賞検出スイッチ17s、一般入賞検出スイッチ40s、41s、大入賞口入賞検出スイッチ31s等から遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御部200A(サブ制御基板220)や、払出制御部240A(払出制御基板240)、発射制御部260A(発射制御基板260)等に向かって、後述する各種の信号(コマンド)を出力する。また、主制御部200A(主制御基板200)には、発射装置ユニットから発射された遊技球を検出するカウントスイッチ8sも接続されている。
【0106】
また、主制御部200A(主制御基板200)は、普通電動役物ソレノイド17cや、大入賞口ソレノイド31c、左下表示装置50、右下表示装置60に信号を出力することにより、これらの動作を直接制御している。つまり、主制御部200A(主制御基板200)は、「始動入賞に起因して大当りか否かを当否判定する当否判定手段」と、「大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段」として機能することになる。また、主制御部200A(主制御基板200)を構成するCPU201により決定された所定の信号(コマンド)は、サブ制御基板220や払出制御基板240に対してそれぞれ送信される。
【0107】
サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの各種信号(コマンド)を受け取ると、信号(コマンド)の内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。つまり、サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの制御信号に基づいて遊技の演出の制御を司るものである。このサブ制御部220A(サブ制御基板220)には、図22に示すように、演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)と、アンプ基板224と、装飾駆動基板226と、演出ボタン基板228と、にそれぞれ電気的に接続されている。サブ制御基板220は、CPUと、ROMと、RAMとを備えている。
【0108】
サブ制御基板220のCPUは、主制御基板200からの制御信号を受けて演出表示制御基板222、アンプ基板224、装飾駆動基板226及び演出ボタン基板228などの各基板を制御する。また、ROMには、各基板の制御に必要なデータ(特に遊技の装飾に関する情報)が記憶されている。また、CPUは、主制御部200A(主制御基板200)から送出された表示制御コマンド(つまり、表示制御信号)を受信すると共に、ROMに記憶されたプログラムに従って解析する。そして、サブ制御部220A(サブ制御基板220)を構成するCPUは、このCPUにより決定された所定の表示制御コマンドや、主制御部200A(主制御基板200)から送信されたままの表示制御コマンドを演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)に対して送信する。
【0109】
アンプ基板224には、所定の効果音を出力するスピーカSP1?SP4が電気的に接続されている。また、装飾駆動基板226には、前面枠4や遊技盤10等に設けられる装飾用の各種LED(ランプ)を搭載した各種LED基板が接続されている。また、装飾駆動基板226は、サブ制御基板220Aからの信号を受けて遊技の装飾に関する制御を行うものである。
【0110】
払出制御部240Aには、図26に示すように、発射制御部260A及び主制御部200Aが双方向通信可能な状態に接続されている。この払出制御部240Aは、所謂、貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が貸出スイッチ5cや返却スイッチ5qを操作すると、その操作信号は、球貸表示基板410から中継端子板を介して払出制御基板240に伝達され、その操作信号に基づいて払出モータ109mを駆動させるための駆動信号が、遊技球払出装置(払出装置)109(払出モータ109m)に伝達される。
【0111】
また、主制御部200Aが賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御部240Aが受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。また、払い出される遊技球は、2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)によって検出されて、払出制御部240Aに入力される。更に、払い出された賞球数はカウントスイッチ109cによっても検出されて、主制御部200Aでも計数されている。
【0112】
図27に示すように、払出制御部240Aを構成する払出制御基板240には、発射制御部260Aを構成する発射制御基板260が接続され、発射制御基板260には、発射装置91(クラッパー型ソレノイド91b)と、タッチスイッチ9aと、発射停止スイッチ9b等が接続されている。そして、タッチスイッチ9aは、遊技者が発射ハンドル9に接触している場合に接触検知信号(オン信号)を発射制御部260Aに出力し、遊技者が発射ハンドル9に接触していない場合に接触非検知信号(オフ信号)を発射制御部260Aに出力する。また、発射停止スイッチ8bは、遊技者が操作していない(押していない)場合に発射非停止信号(オン信号)を発射制御部260Aに出力し、遊技者が操作している(押している)場合に発射停止信号(オフ信号)を発射制御部260Aに出力する。
【0113】
発射制御部260Aは、タッチスイッチ9aが接触検知信号(オン信号)を出力するとともに発射停止スイッチ9bが発射非停止信号(オン信号)を出力している状態で、発射ハンドル9が回転操作されると、発射装置91(クラッパー型ソレノイド91b)を構成するコイル92eへの通電を行う。このとき、遊技者が発射ハンドル9に加えた回転量に応じた電圧でコイル92eが通電されるため(発射ハンドル9の回転量に応じて凹部92kに生ずる吸引力が制御されるため)、ハンドル9に加えた回転量に応じた打撃力がハンマー91cから「発射待機位置の遊技球」に加えられる。そして、この打撃力が十分である場合、ハンマー91cで打撃された遊技球は遊技領域11に到達する。また、ハンマー91cからの打撃力が十分でなく、遊技領域11に到達できなかった遊技球は、ファール球として回収される。一方、発射ハンドル9が回転操作された状態であっても、遊技者が発射停止スイッチ9bを操作すると(発射停止スイッチ9bが発射停止信号(オフ信号)を出力すると)、発射制御部260Aは発射装置91(クラッパー型ソレノイド91b)の駆動を停止させる。
【0114】
また、図27に示すように、発射制御部260Aを構成する発射制御基板260には、球送り装置80(電磁コイル85)が接続されている。そして、電磁コイル85への通電と、通電の停止(遮電)とを繰り返すことで、球送り装置80から発射待機位置に対して、遊技球が間欠的に1球ずつ送り出される。つまり、球送り装置80の球送り動作(電磁コイル85のON/OFF制御)は、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bの作動と同期制御されており、発射ハンドル9の回転操作に基づき、発射装置ユニット90から遊技球が発射される毎に、送り出し口81vから受け部93aに向かって、遊技球が1球ずつ落下する。
【0115】
(3)切断部材の作用
次に、図28及び図29を用いて、切断部材97の作用について説明する。仮に、不正行為者が、糸状部材(釣り糸等)98Bを巻き付けた(装着した)遊技球(以下、「不正球」と称する。)98Aを上皿部材5の貯留部51Gに投入したとする。この不正球98Aは、やがて、遊技球整列部51d、球送り通路51eの順に通過し、取入口81aから球送り装置80に進入する。この後、送り出し口81vを通じて球送り装置80外へと排出され、図28(a)に示すように、保持部材93の受け部93a(発射待機位置)に到達するため、ハンマー91cに殴打されると、不正球98Aは糸状部材98Bを保持した状態で遊技領域11に打ち出されることになる。
【0116】
ところが、本遊技機1では、「球送り装置80から発射待機位置に遊技球を流入させるための流入口81R」のうちで、発射待機位置から発射される遊技球の発射方向に位置する部位81T」に、上述の切断部材97が配置されている。そして、図28(b)及び図29に示すように、不正行為者が、糸状部材98Bを操ろうとして引っ張った際には、糸状部材98Bが刃先部97b、97hに接触するため、糸状部材98Bが分断される可能性が高い。従って、糸状部材(釣り糸等)98B付きの遊技球(不正球98A)を用いた不正行為の遂行を妨げることができる。
【0117】
特に、本遊技機1では、切断部材97よりも下方に突起部R1?R5の下端側が突出し、それらの間にガイド溝96Mが設けられるばかりか、ガイド溝96Mの入口側(下端側)が、ガイド溝96Mの入口に向かってテーパ状に拡大している。よって、糸状部材98Bを刃先部97b、97hに到達させることが容易であるため、不正行為者にとって、不正行為の遂行が特に困難である。つまり、図22(b)に示すように、糸状部材98Bが直接、ガイド溝96Mに進入せず、突起部R1?R5の下端側に当接した場合においても、不正行為者が、この糸状部材98Bにテンションを加えることで、発射された遊技球(不正球98A)の進行方向と逆方向に糸状部材98が引っ張られると、その糸状部材98Bはガイド面97gを摺動し、ガイド溝96Mの底部96V方向(上方)に移動しようとする。但し、この場合、突起部R1?R5の下端と、底部96Vとの間に切断部材97(刃先部97b、97h)が存在するため、「不正行為者が加えたテンション」を用いて糸状部材98Bが切断される。
【0118】
(4)実施例の効果
本実施例の遊技機1によると、糸状部材98Bを巻き付けた遊技球(不正球)98Aが遊技領域11に向かって発射されたとしても、この糸状部材98Bが、「球送り装置80から発射待機位置に遊技球を流入させるための流入口81R」の開口縁に設けられた切断部材97に接触して切断されれば、不正行為を失敗に終わらせることができる。従って、糸状部材98Bを巻き付けた遊技球(不正球)98Aを用いた不正行為を行おうとする不正行為者にとっては、不正行為の成功確率が低くなるため、この種の不正行為を抑制することができる。
【0119】
また、本実施例の遊技機1では、切断部材97よりも下方に突起部R1?R5の下端側を突出させ、それらの間にガイド溝96Mが設けられるばかりか、ガイド溝96Mの入口側(下端側)が、ガイド溝96Mの入口に向かってテーパ状に拡大しているため、遊技球(不正球98A)に巻き付けられた糸状部材98Bを刃先部97b、97hに到達させることが容易である。このため、不正行為者にとって、不正行為の遂行が特に困難である。加えて、切断部材97が、突起部R1?R5の先端部よりも後退する位置(上方に後退する位置)に設けられるため、切断部材97の周囲のメンテナンスを頻繁に行ったり、手探りで行っても、作業者の手が切断部材97に触れる可能性が低くなるため、メンテナンスを効率的に行うことができる。
【実施例2】
【0120】
実施例2の遊技機1は、本体枠3の前面部のうちの右下方部に発射装置ユニット90を配置した点と、(b)球送り装置80を上皿部材5の右端側背面に配置した点と、(c)本体枠3の前面部に、緩やかな左上がり傾斜を備える発射レール55を配設した点等が実施例1の遊技機と異っている。以下、実施例1との相違点を中心に説明する。
【0121】
実施例2の上皿部材5では、図30に示すように、貯留部51Gの底部に仕切壁51D(図4参照)が設けられていないとともに、貯留部51Gの底部全体が右方向に緩やかに下る下り傾斜を備えている。また、貯留部51Gの底部の後方右端側に遊技球整列部51dが設けられている。つまり、この遊技球整列部51dは、1球の遊技球が進入して転動可能な前後幅を備える凹部によって構成され、その底部は、右方向に向かう下り傾斜を有している。
【0122】
図30に示すように、実施例2では、球送り装置80が背板部5Aの右端側背面に装着されている。また、図31に示すように、背板部5Aの背面には、遊技球整列部51dから背板部5Aの後方(背面側)に送り出される遊技球を、球送り装置80に到達させるための球送り通路51eが設けられているが、この球送り通路51eは、遊技球整列部51dの右端部と連通しており、この遊技球整列部51dの右端部の背後から、背板部5Aの左端側に向かう下り傾斜を有している。そして、球送り通路51eの下端部は、球送り装置80の取入口81aに連通されている。なお、図31における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。
【0123】
図31に示すように、球送り通路51eの経路方向中間部には球抜き通路51Fが接続されている。但し、この球抜き通路51Fと、球送り通路51eとの間には弁体51Gが配置され、球抜き通路51Fと球送り通路51eの連通と遮断は弁体51Gを操作することで選択される。そして、弁体51Gが、球抜き通路51Fと球送り通路51eを遮断すると、球送り通路51e内の遊技球は球送り装置80に到達し、球抜き通路51Fと球送り通路51eを連通させると、球送り通路51e内の遊技球は、球抜き通路51Fを通り、下皿部材6の側へ排出される。但し、通常時において、球抜き通路51Fと球送り通路51eは、弁体51Gによって遮断された状態とされる。
【0124】
図30及び図33に示すように、本体枠3の前面部のうちの右下方部には発射装置ユニット90が設置されている。そして、実施例2の発射装置ユニット90は、発射装置91と、発射レール55を備える。また、この発射レール55は、本体枠3の前面部のうちの発射装置91の左側に配設されており、発射装置91から発射された遊技球を、遊技盤本体10Aの前面(盤面)左端側の誘導経路Yに誘導する機能を備える。
【0125】
実施例2の遊技機においては、図32に示すように、誘導経路Yを、補助レール13B(図7参照)を用いずに構成している。つまり、外側レール12において、内側レール13の外側(左側)に配置される部分の略全体が、内側レール13と略平行な円弧状の経路を描くようにする。これにより、遊技盤本体10Aの前面(盤面)左端側において左右に並ぶ外側レール12及び内側レール13の間に、曲率中心を遊技領域11の中心側に配設し、下端部を発射レール55の延長線上に開口しつつ、上端部を球進入口11Sに連通させた誘導経路Yが形成されている。なお、誘導経路Yの下端部(始点部)と、発射レール55の上端部との間には、遊技球の直径を超えるサイズの隙間Y2が設けられている。
【0126】
そして、発射装置ユニット90から発射された遊技球は、通常、その勢いで、発射レール55の上端部(左端部)から誘導経路Yに移行するが、遊技球の勢いが不十分であれば、隙間Y2から落下してファール球として処理される。また、発射レール55の上端部(左端部)から誘導経路Yに移行し、誘導経路Yを上昇しても、遊技領域11に進入できなかった遊技球は、誘導経路Yを下降し、隙間Y2から落下してファール球として処理される。これらのファール球は、本体枠3に設けられた通路(図示を省略)を通過して、下皿部材6に到達する。
【0127】
実施例2の球送り装置80は、図30に示すように、上皿部材5の右端側背面に配置される点と、以下の点を除いて、実施例1の球送り装置80と同様な構成を備える。つまり、図34?図36に示すように、ハウジング81の後面部であって、送り出し口81vの開口周縁に、実施例1の切断部材97と同様な切断部材97を配設している。具体的には、送り出し口81vの左側縁の周囲に切断部材97を配置している。つまり、ハウジング81の後壁部のうちで、送り出し口81vの左側縁を構成する部位の近傍に、突起部R1?R5と、ガイド溝96Mとを設けるとともに、当該部位の後面部に切断部材97を装着している。また、このガイド溝96Mは、遊技球が発射される方向と反対の方向に向かって開口している(つまり、ガイド溝96Mの開口部を発射待機位置の方向に向けつつ、このガイド溝96Mを、発射レール55と略平行に配置している。)。
【0128】
次に、実施例2の発射装置ユニット90について説明する。この発射装置ユニット90は、前述のように、発射レール55を備える点と、発射装置91を本体枠3の前面部の右下方側に装着する点と、発射装置91の取付角度を変更した点と、切断部材97を備えない点等が、実施例1の発射装置ユニット90と異なる。なお、図32及び図33に示すように、実施例2では、実施例1の場合に比べて、反時計回りに約80度回転した状態で発射装置91を、本体枠3の前面部の右下方側に装着している。
【0129】
図33に示すように、保持部材93が、断面が略V字状のレール93rと、その屈曲端部に配置される球保持部93sとを備える。また、ガイド部材94は断面が略V字状のレール94rを備えている。そして、両レール93r、94rは左上がり傾斜状に配置されるとともに、両レール93r、94rの上面部が略連続した状態とされている。また、発射レール55の上面部下端(右端側)と、レール94rの上面部上端(左端側)とが略連続する状態に配置される。従って、保持部材93と、ガイド部材94と、発射レール55とによって、本体枠3の前面部において右端側から左端側に向かって上がり傾斜となる発射経路(遊技球を発射させる経路)を形成している。
【0130】
球保持部93sは、左右に貫通するとともに直径が遊技球の直径よりも小さい貫通孔95tを有している(図35を参照)。そして、球送り装置80から送られる遊技球は、保持部材93を構成するレール93rに落下した後、レール93rを右方向に下降して、貫通孔95tに嵌り込む。これにより、遊技球は、その「約1/3」の部分を貫通孔95tから右斜め下方に突出させた状態で、球保持部93sに保持される。そして、実施例2では、このときの遊技球の位置が発射待機位置となる。
【0131】
実施例2の発射装置ユニット90においても、コイル92eに通電を行わないと、可動子92gは後退姿勢となり、ハンマー91cは球保持部93sの右斜め下方で遊技球と離間した状態となる。そして、コイル92eに通電を行うと、ハンマー91cが、球保持部93sの右斜め下方に突出する遊技球を打撃して発射した後、可動子92gの先端部922gが、ストッパー92bに当接する。そして、発射ハンドル9の回転操作に基づき、発射装置ユニット90によって遊技球が発射される毎に、球送り装置80の球送り動作(電磁コイル85のON/OFF制御)が行われて、送り出し口81vから球保持部93sに向かって遊技球が1球ずつ落下する。
【0132】
実施例2の遊技機においても、仮に、不正行為者が、糸状部材(釣り糸等)98Bを巻き付けた(装着した)遊技球(不正球)98Aを遊技領域11に打ち出したとしても、「球送り装置80から発射待機位置に遊技球を流入させるための流入口(送り出し口81v)のうちの発射待機位置から発射される遊技球の発射方向に位置する部位(左側縁部の近傍)」に、切断部材97が配置されている。そして、不正行為者が、糸状部材98Bを操ろうとして引っ張った際には、糸状部材98Bが刃先部97b、97hに接触するため、糸状部材98Bが分断される可能性が高い。従って、糸状部材(釣り糸等)98B付きの遊技球(不正球98A)を用いた不正行為の遂行を妨げることができる。
【0133】
また、実施例2の遊技機においても、切断部材97よりも発射待機位置側に突起部R1?R5の下端側が突出し、それらの間にガイド溝96Mが設けられるばかりか、ガイド溝96Mの入口側が、そのガイド溝96Mの入口に向かってテーパ状に拡大している。よって、糸状部材98Bを刃先部97b、97hに到達させることが容易であるため、不正行為者にとって、不正行為の遂行が特に困難である。従って、実施例2によっても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0134】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、請求項1に記載した範囲を逸脱しない限り、請求項1の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0135】
つまり、実施例1では、本体枠3の前面部左下方から遊技球を発射する態様を例示し、実施例2では、本体枠3の前面部右下方から遊技球を発射する態様を例示したが、本体枠3の前面部略中央の下方から遊技球を発射する態様に対しても、請求項1の発明を適用できる。
【0136】
各実施例では、球送り装置80から発射待機位置に遊技球を流入させるための流入口のうちで、発射待機位置から発射される遊技球の発射方向に位置する部位のみに、切断部材97を配置する態様を例示したが、この流入口の他の部位に対しても、切断部材97を配置することができる。例えば、流入口のうちの発射待機位置側に位置する部位(遊技球の発射方向と逆方向)にも、切断部材を付加的に配置してもよい。この場合、糸状部材付きの遊技球(不正球)が、発射待機位置に落下するときに、遊技球(不正球)の自重を用いて、糸状部材を切断することもできる。この場合においては、切断部材が付加的に配置される部位に突起部とガイド溝とを設け、ガイド溝の入口を流入口の内側方向に配置するとともに、ガイド溝の溝幅を入口に向かってテーパ状に拡大したり、流入口の内側方向に位置する突起部の突端側にガイド面を設けることが望ましい。
【0137】
各実施例では、流入口の開口縁に別途装着される部材(刃体)を用いて切断部を構成したが、流入口の開口縁を構成する部材(実施例1では「球通路部材96」、実施例2では「ハウジング81」)に切断部を設けてもよい。また、各実施例では、ハンマー91cをクラッパー型ソレノイドで駆動する態様を例示したが、直動型電磁ソレノイドを用いて駆動したり、モータを用いて駆動してもよい。また、各実施例と異なり、球通路部材96やハウジング81に「刃形状となる部分」を設け、この部分で切断部を構成してもよいし、上皿部材5や本体枠3に切断部を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、遊技機を製造、販売等する分野において利用できる。
【符号の説明】
【0139】
1;遊技機(弾球遊技機)、
3;本体枠、
5;上皿部材(皿部材)、
10;遊技盤、
11;遊技領域、
11S;球進入口、
80;球送り装置(球送り手段)、
81R;流入口
90:発射装置ユニット、
91;発射装置(発射手段)、
93;保持部材(保持手段)、
96M;ガイド溝(ガイド部)、
97;切断部材(切断部)
R1?R5;突起部(ガイド部)
Y;誘導通路。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を進入させる球進入口を具備する遊技領域が前面部に形成された遊技盤と、
前記遊技領域を前方に向けた状態で前記遊技盤を保持する本体枠と、
前記本体枠の前面側に設けられるとともに、前記球進入口に向けて発射される遊技球を発射待機位置に保持する保持手段と、
前記本体枠の前面側に設けられる前面枠と、
前記前面枠の前面側に設けられるとともに、遊技球を貯留可能な皿部材と、
前記皿部材に貯留されている遊技球を1球ずつ取り込んで前記発射待機位置に送る球送り手段と、
前記発射待機位置に送られてきた遊技球を前記球進入口に向けて発射する発射手段と、
を備えた遊技機であって、
前記球送り手段から前記発射待機位置に向けて送られる遊技球が通過する開口部を有し、
前記開口部の開口縁のうち前記発射待機位置から発射される遊技球の発射方向側の部位に、前記開口部に挿通される糸状部材を切断可能な切断部を設け、
前記切断部は、板金部材の一端側に、該板金部材の板面に沿って水平な部位と、該水平な部位に対して前記板金部材の一端側端部を使用状態にある遊技機を基準として後方へ向けて折り曲げた部位とを並べて設け、両部位が前記板金部材の一端から離間する側にて交わる部位のなす角を鋭角とし、該鋭角をなす前記両部位の側端に前記発射待機位置から発射される遊技球に付された前記糸状部材が接触することで、当該糸状部材が切断可能となるように構成される
ことを特徴とする遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2015-03-03 
出願番号 特願2011-35414(P2011-35414)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 河本 明彦  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 長崎 洋一
杉浦 淳
登録日 2012-12-21 
登録番号 特許第5158220号(P5158220)
発明の名称 遊技機  

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