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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C12N
管理番号 1300279
審判番号 不服2013-21870  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-07 
確定日 2015-04-27 
事件の表示 特願2011- 43238「培養歯根膜細胞シート、製造方法及びその利用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月16日出願公開、特開2011-115604〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17(2005)年4月25日(優先権主張 平成16(2004)年4月25日、日本国)を国際出願日とする特願2006-512629号の一部を特許法第44条第1項の規定により平成23(2011)年2月28日に新たな特許出願としたものであって、平成25年2月8日付けで拒絶理由が通知され、同年4月15日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年5月13日付けで最後の拒絶理由が通知された後、同年7月16日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月2日付けで、同年7月16日付け手続補正書でした補正を却下する決定及び拒絶査定がされたところ、同年11月7日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで特許請求の範囲についての手続補正がなされたものである。
第2 平成25年11月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年11月7日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容
平成25年11月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、拒絶査定不服審判の請求と同時にしたものであって、補正前の請求項1と補正後の請求項1の記載は次のとおりである(下線は、補正前後で記載が変更された個所を示すために、当審で付与した)。
補正前:
「【請求項1】
歯根膜組織を酵素処理することにより、歯根膜細胞を回収し、
回収した歯根膜細胞を、水に対する上限臨界溶解温度または下限臨界溶解温度が0?80℃である温度応答性ポリマーで基材表面が被覆された細胞培養支持体上で培養することにより、歯根膜細胞を構成細胞とする細胞シートを形成させ、
培養液温度を上限臨界溶解温度以上または下限臨界溶解温度以下とし、
形成させた細胞シートをキャリアに密着させた状態で細胞培養支持体から回収する、
ことを含んでなる、歯根膜細胞を構成細胞とする細胞シートの製造方法。」
補正後:
「【請求項1】
歯根膜組織を常法に従い酵素処理することにより、歯根膜細胞を回収し、
回収した歯根膜細胞を、水に対する上限臨界溶解温度または下限臨界溶解温度が0?80℃である温度応答性ポリマーで基材表面が被覆された細胞培養支持体上に播種し、培養することにより、歯根膜細胞を構成細胞とする細胞シートを形成させ、前記培養はアスコルビン酸の存在下で行う、
培養液温度を上限臨界溶解温度以上または下限臨界溶解温度以下とし、
形成させた細胞シートをキャリアに密着させた状態で細胞培養支持体から回収する、
ことを含んでなる、歯根膜細胞を構成細胞とする細胞シートの製造方法。」
2.補正の適否
上記補正後の請求項1は、補正前の請求項1における「酵素処理」という事項を「常法に従い」行うことに限定した。また、補正前の請求項1における「歯根膜細胞を…細胞培養支持体上で培養する」という事項を「歯根膜細胞を…細胞培養支持体上に播種し、培養する」と、歯根膜細胞を細胞培養支持体上に「播種」することに限定した。さらに、補正前の請求項1における「培養」という事項を「アスコルビン酸の存在下で行う」ことに限定したものである。
補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項1に係る発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という)第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定を満たすものであるか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1において「補正後」として記載したとおりのものである。
(2)引用例の記載事項
本願の優先日前に頒布された刊行物である「第68回口腔病学会学術大会講演抄録(2004年3月31日)第44?45頁」(以下、「引用例」という。原査定で引用された「引用文献3」に同じ)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与した)。
ア.「歯周組織の再生には歯根膜由来の細胞が重要な役割を果たしていると考えられており、外来性に細胞を組織欠損部に移植することは有効な手段となりうる。そこで本研究では、温度応答性培養皿を用いることによって得られる歯根膜由来細胞シートの移植による新規歯周組織再生技術を検討した。
【方法】
ヒト歯根膜組織片から遊走した歯根膜由来細胞を温度応答性培養皿上で培養し、培養皿上における培養条件の検討および細胞動態を観察した。低温処理にて細胞シートとして回収した後、歯根膜由来細胞シートの組織学的、生化学的検索を行った。また回収したヒト歯根膜由来細胞シートを免疫不全ラットの上顎第一大臼歯歯周組織欠損モデルに移植し、その組織再生に与える影響を検討した。
【結果】
培養ヒト歯根膜由来細胞は、接着性タンパク質を含む豊富な細胞外基質とともに移植可能な細胞シートとして回収された。動物実験モデルでは、対照側に著しい骨性癒着と歯根吸収が観察されたが、実験側では機能的な線維走行を示す歯根膜様組織の形成が確認され、象牙質表面に染色性の異なる1層の無細胞性セメント質様の沈着層が確認された。
【考察】
培養歯根膜由来細胞は温度応答性培養皿から非侵襲的に、1枚の移植可能な細胞シートとして回収された。またこの培養歯根膜由来細胞シート移植により、実験的歯周組織欠損部に組織再生を誘導できることが示された。」(第44頁右欄下から第2行?第45頁左欄第24行)
摘記事項アの記載からみて、引用例には、以下の発明が記載されていると認める。
「歯根膜組織片から遊走した歯根膜由来細胞を温度応答性培養皿上で培養し、低温処理にて歯根膜由来細胞シートとして回収する方法。」(以下、「引用発明」という。)
(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
本願補正発明の細胞培養に用いる「支持体」は、本願明細書の段落【0033】の「本発明における支持体の形態は特に制約されるものではないが、例えばディッシュ、マルチプレート、フラスコ、セルインサートなどが挙げられる」(下線は当審で付与した)という記載からみて、細胞培養に用いるディッシュ(皿)を包含するものと解することができる。そうすると、引用発明の「培養皿」は、本願補正発明の「細胞培養支持体」に相当することになる。
また、本願優先日前の技術常識からみて、組織片由来の細胞を培養するにあたり、組織片から細胞を回収し、回収する際に用いる容器とは別の容器で該回収した細胞を培養するのが通常であるから、引用発明において、ヒト歯根膜組織片から遊走した歯根膜由来細胞を回収し、該回収に用いた容器とは別体の温度応答性培養皿に移して培養することは、引用例に記載されたに等しい事項である。そうすると、引用発明に明示的な特定はないが、引用発明も、歯根膜組織片から歯根膜由来細胞を回収し、回収した歯根膜由来細胞を温度応答性培養皿上に播種するものといえる。
さらに、引用発明の「歯根膜由来細胞シート」は、歯根膜由来細胞を培養して製造されたものであるから歯根膜細胞を構成細胞とすることは明らかであり、本願補正発明の「歯根膜細胞を構成細胞とする細胞シート」に相当する。

そうすると、両者は、
「歯根膜組織から歯根膜細胞を回収し、
回収した歯根膜細胞を、温度応答性の細胞培養支持体上に播種し、培養することにより、歯根膜細胞を構成細胞とする細胞シートを形成させ、
形成させた細胞シートを細胞培養支持体から回収する、
ことを含んでなる、歯根膜細胞を構成細胞とする細胞シートの製造方法」
である点で一致するものの、以下のア?ウの点で相違する。
ア.培養に用いる歯根膜細胞が、本願補正発明は「歯根膜組織を常法に従い酵素処理することにより」回収されたものであると特定されているのに対し、引用発明では「歯根膜組織片から遊走した」ものと特定されている点。
イ.温度応答性の細胞培養支持体から、形成させた細胞シートを回収する際に、本願補正発明は「水に対する上限臨界溶解温度または下限臨界溶解温度が0?80℃である温度応答性ポリマーで基材表面が被覆された」細胞培養支持体を用い、「培養液温度を上限臨界溶解温度以上または下限臨界溶解温度以下とし、形成させた細胞シートをキャリアに密着させた状態で」回収することが特定されているのに対し、引用発明では「低温処理にて」回収することだけが特定されている点。
ウ.培養を、本願補正発明は「アスコルビン酸の存在下で行う」ことが特定されているのに対し、引用発明ではそのような特定がない点。
(4)相違点についての検討
まず、相違点アについて検討する。
「常法」という文言は、一般に「通常の方法」を意味しており(要すれば、「広辞苑 第5版、岩波書店(1998)第1331頁」の「常法」の項を参照されたい)、しかも、本願明細書に「常法」を定義づける記載はないから、本願補正発明でいう「常法」とは、本願出願時において通常用いられる方法すなわち周囲慣用の方法を意味していると解することができる。
そして、コラゲナーゼを用いて歯根膜組織を消化することにより歯根膜細胞を回収する手法は、本願優先日前から当業者に周知慣用の手法であった(例えば、「小児歯科学雑誌(1999)第37巻,第2号,第344頁」の【材料と方法】、「日本補綴歯科学会雑誌(1998)第42巻,第6号,第932?944頁」の第934頁左欄第30?33行、「Jpn. J. Oral Biol.(2000)第42巻,第193-205頁」の第194頁左欄下から第11行?右欄第5行及び第20-38行、等)から、引用発明において、歯根膜由来細胞を、歯根膜組織からの遊走を待つことなく、該周知慣用の手法を採用し、歯根膜組織を酵素処理することにより回収することは、当業者が容易に想到し得ることである。
次に、相違点イについて検討する。
本願補正発明の「キャリア」という記載は、本願明細書の段落【0024】の「…培養歯根膜細胞シートを密着させる際に使用するキャリアは…例えば高分子膜または高分子膜から成型された構造物、金属性治具などを使用することができる。」(下線は当審で付与した)という記載からみて、高分子膜を包含する文言と解することができる。
そして、細胞を細胞培養支持体上で培養することによって形成した細胞シートを非侵襲的に回収する手法として、水に対する上限臨界溶解温度または下限臨界溶解温度が0?80℃である温度応答性ポリマーで基材表面が被覆された細胞培養支持体を用いて細胞を培養し、培養によって細胞シートが形成された後、培養液温度を上限臨界溶解温度以上または下限臨界溶解温度以下とするとともに、該細胞シートを高分子膜に密着させ、そのまま高分子膜と共に該細胞シートを剥離する手法が、本願優先日前から当業者に周知の手法であった(例えば、特開2003-38170号公報(原査定で引用された「引用文献6」に同じ)の請求項7、段落【0034】及び実施例、国際公開第02/10349号(原査定で引用された「引用文献7」に同じ)の請求項4、第8頁第21行?29行及び実施例、国際公開第02/08387号(原査定で引用された「引用文献8」に同じ)の請求項5、第6頁第24行?第7頁第11行及び実施例、等)。
ここで、引用発明は「低温処理」つまり温度操作をすることによって温度応答性培養皿から歯根膜由来細胞シートを回収するものである。また、摘記事項アの「温度応答性培養皿から非侵襲的に…細胞シートとして回収」するとの記載からみて、引用発明は細胞シートを非侵襲的に回収するものである。そうすると、細胞培養支持体上で形成した歯根膜由来細胞シートを回収する際に温度操作を行う点、及び非侵襲的な回収である点で引用発明と共通する該周知の手法を採用して、引用発明において、水に対する上限臨界溶解温度または下限臨界溶解温度が0?80℃である温度応答性ポリマーで基材表面が被覆された細胞培養支持体を用い、培養液温度を上限臨界溶解温度以上または下限臨界溶解温度以下とするとともに、該細胞シートを高分子膜つまりキャリアに密着させ、そのままキャリアと共に該細胞シートを剥離することは、当業者が容易に想到し得ることである。
最後に、相違点ウについて検討する。
歯根膜細胞の培養を、アスコルビン酸の存在下に行うことは、本願優先日前から当業者に周知慣用の手法であった(例えば、特開平7-265069号公報(原査定で引用された「引用文献9」に同じ)の実施例1、「神奈川歯学(1990)第25巻,第3号,第273?283頁」(原査定で引用された「引用文献10」に同じ)の第274頁右欄下から第6行?第275頁右欄第14行、「第45回 日本歯周病学会秋季学術大会プログラムおよび講演抄録集(2002)第131頁」(原査定で引用された「引用文献11」に同じ)、「第46回 日本歯周病学会春季学術大会プログラムおよび講演抄録集(2003)第113頁」(原査定で引用された「引用文献12」に同じ)、等)から、引用発明において、歯根膜由来細胞の培養を、アスコルビン酸の存在下に行うことは、当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
そして、本願補正発明の構成を採ることによって、当業者が予測できない程の効果が奏せられているとも推認出来ない。
(5)審判請求人の主張
審判請求人は、審判請求書を対象とする平成25年12月27日付け手続補正書において、要するに、以下の点を主張している。
ア.歯根膜組織から歯根膜細胞を回収する際に、本願補正発明は「酵素法」を用いているのに対し、引用発明では、「ヒト歯根膜組織片から遊走した歯根膜由来細胞を温度応答性培養皿上で培養し」と引用例に記載されるように、「アウトグロース法」を用いている点。
イ.本願補正発明で使用される歯根膜細胞は、歯根膜組織から完全に分離され、かつ個々の細胞が独立した状態で回収されたものであり、このような細胞を使用することによって、歯根膜細胞シートをうまく製造できる点。
ウ.酵素処理により得られた細胞が、アウトグロース法によって得られた細胞に比べてコロニー形成能が著しく高い点。
エ.歯根膜細胞をアスコルビン酸の存在下で培養することが周知であったとしても、引用発明において、アスコルビン酸を歯根膜細胞の培養に用いることの動機付けは存在しない点。
(6)審判請求人の主張の検討
主張アについては、(4)の相違点アにおいて検討済みであるから、以下では主張イ?エについて検討する。
まず、主張イについて検討する。
個々の歯根膜細胞が歯根膜組織から分離及び独立する程度は、用いる歯根膜組織の量、用いる酵素の種類や活性、該酵素で処理する際の温度、処理時間等、様々な条件により変化するものである。しかし、本願補正発明では、そのような条件が何ら特定されていない。そうすると、本願補正発明で回収される歯根膜細胞が必ず「歯根膜組織から完全に分離され、かつ個々の細胞が独立した状態」であるとまではいえない。したがって、該主張は、本願補正発明に対応するものではない。
また、たとえ該状態のものが常に得られたとしても、そのような歯根膜細胞を用いて製造された細胞シートが、引用発明の歯根膜由来細胞シートと比較してどの程度の差異があるのかも全く不明である。
以上からみて、該主張は失当である。
次に、主張ウについて検討する。
該主張は、参考資料1(本願出願日から5年以上経過後に頒布された刊行物である「Arch. Oral Biol.(2011)第56巻,第4号,第380?388頁」)の記載に基づいて主張されたものである。
しかし、本願明細書の実施例1及び2に「歯根膜組織を採取し、常法に従い酵素処理することで歯根膜細胞を回収し」たことが記載されているのみで、参考資料1の特に「Materials and methods」に記載された酵素処理の手法を用いることについて本願明細書には何ら記載も示唆もなく、ましてや、そのような手法を用いることにより、アウトグロース法とは異なる性質の細胞が回収される旨の記載や、それをうかがわせる示唆も本願明細書にはない。
したがって、主張ウに関する事項は、本願明細書の記載から何ら推認できない事項であるから、該主張を参酌することはできない。
最後に、主張エについて検討する。特定の細胞を培養する際、該特定の細胞の培養に既に用いられている培地と同等の組成の培地を用いることは、本願優先日前から当業者が広く行っていることである。ここで、(4)の相違点ウで述べたように、歯根膜細胞の培養をアスコルビン酸の存在下で行うことは本願優先日前から当業者に周知慣用の手法であったから、引用発明において、歯根膜由来細胞の培養を、アスコルビン酸の存在下に行うことには十分な動機づけがあったといえる。
さらにいえば、アスコルビン酸が、歯根膜細胞の増殖を促進すること(要すれば、「神奈川歯学(1990)第25巻,第3号,第273?283頁」(原査定で引用された「引用文献10」に同じ)の第279頁右欄第23?26行)や、歯根膜細胞の細胞外マトリックスの1つであるI型コラーゲンの合成を促進すること(要すれば、「第45回 日本歯周病学会秋季学術大会プログラムおよび講演抄録集(2002)第131頁」(原査定で引用された「引用文献11」に同じ)等は本願優先日前から当業者に既知のものであった。つまり、歯根膜細胞の培養時にアスコルビン酸が正の効果を奏することは、本願優先日前から当業者に周知のものであったといえる。したがって、当業者は、そのような正の効果を期待してアスコルビン酸を用いることもできたのである。
以上からみて、該主張は失当である。
3.小括
以上検討したところによれば、本願補正発明は、引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について

1.本願発明

平成25年11月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、平成25年4月15日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された発明特定事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、第2の[理由]1に「補正前」として記載したとおりのものである。
2.引用例の記載事項
原査定で引用された引用文献3の記載事項は、第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
3.対比・判断
本願発明は、第2の[理由]2で検討した本願補正発明から、酵素処理を「常法に従い」行うという限定事項を削除し、また、歯根膜細胞を細胞培養支持体上に「播種」するという限定事項を削除し、さらに、培養を「アスコルビン酸の存在下で行う」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、第2の[理由]2(3)?(6)で述べたように、引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。
4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-03 
結審通知日 2015-03-04 
審決日 2015-03-17 
出願番号 特願2011-43238(P2011-43238)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61L)
P 1 8・ 575- Z (C12N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邉 潤也山本 匡子  
特許庁審判長 今村 玲英子
特許庁審判官 小暮 道明
飯室 里美
発明の名称 培養歯根膜細胞シート、製造方法及びその利用方法  
代理人 小林 泰  
代理人 鶴喰 寿孝  
代理人 小野 新次郎  
代理人 山本 修  
代理人 竹内 茂雄  

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