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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1301061
審判番号 不服2014-2070  
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-02-04 
確定日 2015-05-21 
事件の表示 特願2009-191644「分析装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月 3日出願公開,特開2011- 43403〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は,平成21年8月21日を出願日とする出願であって,平成25年5月28日付けで拒絶理由が通知され,同年8月2日付けで意見書及び手続補正書が提出され,さらに,同年8月15日付けで拒絶理由が通知され,同年10月17日付けで意見書が提出され,同年10月31日付で拒絶査定がされたのに対し,平成26年2月4日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
そして,その請求項1及び2に係る発明は,上記平成25年8月2日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものと認められるところ,そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。
「【請求項1】
分析者により設定される分析条件の下で試料に対する分析を実行する分析装置において、
a)分析条件を情報として含む分析条件ファイルを、識別情報とさらに下位の識別補助情報とからなるファイル属性情報が付与された状態で保存する記憶手段と、
b)或る識別情報及び識別補助情報が付与されている分析条件ファイルが前記記憶手段から読み出され、その情報内容に変更が加えられて分析が実行されたときに、識別情報を元の状態として識別補助情報を更新し、変更後の情報内容を含む分析条件ファイルを元の分析条件ファイルとは別に保存するファイル管理手段と、
を備えることを特徴とする分析装置。」

第2 引用刊行物及びその記載事項
本願の出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2005-300324号公報(以下「引用例1」という。)には,次の事項が記載されている。なお,以下の摘記において,引用発明の認定に関連する箇所に下線を付与した。
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の被試験対象デバイスの測定に関わる測定装置の操作環境に関し、特に、被試験対象デバイスの測定において使用される半導体測定評価用アプリケーションの選択、実行時パラメータの設定、実行及びその結果の表示、プログラミングに関する操作について、ユーザが迅速に容易に理解することができる、被試験対象デバイスの測定装置とこれを用いた方法に関する。」

イ「【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る被試験対象デバイスの測定装置100を図1に示す。ここで、測定装置100は、各種の半導体測定評価用アプリケーションに対応するプログラムを記憶する記憶手段2と、記憶手段2に接続されており、各種の半導体測定評価用アプリケーションを技術分野別に分類して表示し、各種の半導体測定用アプリケーションに対応するプログラムの作成または実行を表示する表示手段3と、各種の半導体測定用アプリケーションから少なくとも1つの半導体測定用アプリケーションと、各種の半導体測定用アプリケーションに対応するプログラムの作成または実行をユーザに選択させるための入力手段4と、入力手段4と記憶手段2とに接続されており、少なくとも1つの半導体測定評価用アプリケーションに基づいて所定の演算及び接続された各種手段の制御を行う演算・制御手段5とを含んでなる。そして、図1に示すように、測定装置100は、測定手段200を介して、
被試験対象デバイス(DUT)102に接続できるようになっている。
【0010】
記憶手段2は、各種の半導体測定評価用アプリケーションに対応するプログラムの雛型だけでなく、ユーザが新たに作成した半導体測定評価用アプリケーションに対応するプログラムの雛型も記憶することができる。また、後述のように、測定の実行時に使用される半導体測定評価用アプリケーション情報、すなわち、そのパラメータに設定されるデータや、そのアプリケーション内で使用されるプログラム等の実行に必要な様々なデータや情報も記憶することができる。
【0011】
表示手段3は、半導体測定用アプリケーションに対応するプログラムを作成する場合にはプログラム構文のリストを表示し、プログラムを実行する場合には、前記半導体測定用アプリケーションのパラメータまたは前記半導体測定用アプリケーションにより得られた測定データのリストを表示することができる。つまり、ユーザが選択した半導体測定用アプリケーションについてのどのような作業を行うかを予めユーザに確認させ、その旨を表示するようになっている。
【0012】
入力手段4は、例えば、キーボードやマウスやタッチパネル等を含みうる。そのため、入力手段4は、表示手段3と一体となる場合もありうる。そして、被試験対象デバイスの特性評価のためのユーザによる操作は、表示手段3に表示される後述するGUIコンポーネント等を通じて、入力手段4を用いて行われる。例えば、入力手段4を用いて、記憶手段2に記憶されている半導体測定評価用アプリケーションの雛型の選択や、選択されたアプリケーションに対応するプログラムの雛形の選択や、そのアプリケーションの実行に必要な設定情報を設定することができる。」

ウ「【0015】
GUI304に示される半導体測定評価用アプリケーションの雛形リストから1つの項目を選択すると、そのアプリケーションを設定するためのGUIが、GUI305に示す領域に表示される。このGUIには、例えば、半導体測定評価用アプリケーションの実行時のパラメータを設定するための一連の入力フィールドが、半導体測定評価用アプリケーションの内容を説明する文章や図とともに表示されるので、ユーザは、各フィールドに所望の値を入力することにより半導体測定評価用アプリケーションのパラメータを容易に設定することができる。
なお、GUI305の表示及び入力フィールドの種類や配置は、半導体測定評価用アプリケーション毎に適した形態をとることができる。
【0016】
そして、GUI305の領域において設定を終えたユーザは、GUI306に示されるボタンを押すことによってその測定評価用アプリケーションを用いた測定を開始することができる。ユーザは、所望の結果が得られるまでGUI305に示すエリアにおいて設定した値を修正したり、被試験対象デバイスを交換したり、温度等の測定条件を変更したりしながら測定を繰り返すことができる。このようにして得られた測定データは、プレビュー用グラフ313上に折れ線グラフや散布図などの形式によりプロットされるので、測定の途中において測定の不具合の有無やパラメータの値の入力ミス等を知ることができる。また、このプレビュー用グラフを、必要に応じて拡大することもできる。
【0017】
このようにして得られた測定データは、記憶手段2に全て自動的に保持される。そのとき、その測定評価用アプリケーションの名前や、ユーザが付けた表題や、測定を行った日時や、測定の実行番号を示す値などを、符号309のエリアに順次に追加して表示される。なお、符号309のエリアに表示されるリストのことを、以降、「実行結果属性リスト」と呼ぶ。」

エ「【0018】
符号309に示す実行結果属性リストから過去の測定データを探す場合には、符号310に示すGUIなどを使用することにより、表題順、日時順、実行番号順、注釈順、もしくはマーク順などにより昇順または降順に表示をソートすることができる。また、上記のいくつかの項目中から、所定の条件を満足するものだけを表示または検索することができる。
さらに、実行結果属性リストから探した過去の測定データを選択し、その測定の際の設定情報をGUI305のエリアに呼び出し、そのアプリケーションを再度実行することもできるように構成されている。」

オ「【0019】
図2の符号305に示すエリアにおいてパラメータ等の設定を何回か変更して測定を繰り返した結果、測定に適したパラメータ等の設定がされた場合には、符号307に示す“Bookmark” GUIボタンを操作することによって、その設定内容をそのままOn Hand Setup Listに自動的に登録することができる。そして、このOn Hand Setup Listの内容が、符号308に示すエリア内に表示される。これにより、同じ半導体測定評価用アプリケーションのパラメータの設定について、設定の様々なバリエーションを、複数の設定リストとしてこのOn Hand Setup Listに登録することができる。また、ここにリストされる表題は、所望のタイトルに変更可能である。このBookmark GUIボタンの機能とは、その時の半導体測定評価用アプリケーションのパラメータの設定内容を、ユーザがファイル名を特に意識しなくても保存するもので、いわば、ボタン操作時の全パラメータの設定内容を上書きなしに保存する機能である。」

上記引用例1の記載事項を総合すると,引用例1には,以下の発明が記載されていると認められる。
「入力手段と記憶手段とに接続されており,少なくとも1つの半導体測定評価用アプリケーションに基づいて所定の演算及び接続された各種手段の制御を行う演算・制御手段を含んでなる被試験対象デバイスの測定装置において,
前記記憶手段は,測定の実行時に使用されるパラメータに設定されるデータを記憶し,
前記入力手段は,アプリケーションの実行に必要な設定情報を設定することができ,所望の値を入力することにより半導体測定評価用アプリケーションのパラメータを容易に設定することができるものであり,
所望の結果が得られるまで設定した値を修正したりしながら測定を繰り返すことができ,このようにして得られた測定データは、記憶手段に全て自動的に保持され,そのとき,その測定評価用アプリケーションの名前や,ユーザが付けた表題や,測定を行った日時や,測定の実行番号を示す値などの実行結果属性リストを,順次に追加して表示され,その実行結果属性リストから探した過去の測定データを選択し,その測定の際の設定情報を呼び出し,そのアプリケーションを再度実行することができるものであり,
パラメータ等の設定を何回か変更して測定を繰り返した結果,測定に適したパラメータ等の設定がされた場合には,GUIボタンを操作することによって,その設定内容をそのままOn Hand Setup Listに自動的に登録することができ,これにより,同じ半導体測定評価用アプリケーションのパラメータの設定について、設定の様々なバリエーションを,複数の設定リストとしてこのOn Hand Setup Listに登録することができ,その時の半導体測定評価用アプリケーションのパラメータの設定内容を,ユーザがファイル名を特に意識しなくても保存するもので,いわば,ボタン操作時の全パラメータの設定内容を上書きなしに保存する,
被試験対象デバイスの測定装置。」(以下「引用発明」という。)

第3 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)本願発明の「分析条件を情報として含む分析条件ファイル」は,本願明細書に「分析条件ファイルの情報内容(分析パラメータ)」(【0010】)と記載されているように,分析パラメータの集合であるといえる。してみれば,引用発明の「データ」として「設定される」「測定の実行時に使用されるパラメータ」すなわち「パラメータの設定内容」がその分析パラメータに相当し,そして,引用発明に「その時の半導体測定評価用アプリケーションのパラメータの設定内容を,ユーザがファイル名を特に意識しなくても保存するもので,いわば,ボタン操作時の全パラメータの設定内容を上書きなしに保存する」と記載されているように,その「パラメータの設定内容」の集合である引用発明の「全パラメータの設定内容」が,本願発明の「分析条件を情報として含む分析条件ファイル」に相当する。

(2)本願発明の「識別情報とさらに下位の識別補助情報」について,本願明細書に「ここで、識別情報とはIDコードやファイル名などであり、識別補助情報とは或る識別情報が付与された分析条件ファイルの更新状況を示す一種のバージョン情報である。識別補助情報は例えば単純な連続番号でもよいが、日時を含む情報とすると更新の時期などをあとから特定することが容易で利便性が高い。」(【0009】)と記載されているものである。してみれば,引用発明の「測定評価用アプリケーションの名前」が本願発明の「識別情報」に,「測定を行った日時や、測定の実行番号を示す値」が「さらに下位の識別補助情報」に相当することから,引用発明の「その測定評価用アプリケーションの名前」と「測定を行った日時や,測定の実行番号を示す値」の「実行結果属性リスト」は,本願発明の「識別情報とさらに下位の識別補助情報とからなるファイル属性情報」に相当する。
そして,「測定評価用アプリケーションの名前」と「測定を行った日時や,測定の実行番号を示す値」の「実行結果属性リストから探した過去の測定データを選択し,その測定の際の設定情報を呼び出し,そのアプリケーションを再度実行する」ことから,呼び出される「その測定の際の設定情報」すなわち「記憶手段」に「記憶」されている「測定の実行時に使用されるパラメータ」には,「測定評価用アプリケーションの名前」と「測定を行った日時や,測定の実行番号を示す値」が付与された状態で記憶(保存)されているといえる。
してみれば,引用発明の「測定の実行時に使用されるパラメータ」を「その測定評価用アプリケーションの名前」と「測定を行った日時や,測定の実行番号を示す値」などの実行結果属性リスト」「から探した過去の測定データを選択し,その測定の際の設定情報を呼び出し,そのアプリケーションを再度実行」できるように「記憶」する「記憶手段」は,上記(1)で指摘した「パラメータの設定内容」の集合である「全パラメータの設定内容」を記憶するものであるから,本願発明の「分析条件を情報として含む分析条件ファイルを、識別情報とさらに下位の識別補助情報とからなるファイル属性情報が付与された状態で保存する記憶手段」に相当するといえる。

(3)引用発明の「その測定評価用アプリケーションの名前」と「測定を行った日時や,測定の実行番号を示す値」の「実行結果属性リストから探した過去の測定データを選択し,その測定の際の設定情報を呼び出」すことは,本願発明の「或る識別情報及び識別補助情報が付与されている分析条件ファイル」を「前記記憶手段から読み出」すことに相当する。

(4)本願発明の「その情報内容」とは,上記(1)のとおり,分析パラメータのことであるから,引用発明の「パラメータ等の設定を何回か変更して測定を繰り返」すこことは,本願発明の「その情報内容に変更が加えられて分析が実行され」ていることに相当する。
また,引用発明の「ユーザがファイル名を特に意識しなくても保存するもので,いわば,ボタン操作時の全パラメータの設定内容を上書きなしに保存する」「その時の半導体測定評価用アプリケーションのパラメータの設定内容」は,「複数の設定リストとしてこのOn Hand Setup Listに登録」される「同じ半導体測定評価用アプリケーションの」「様々なバリエーション」の「パラメータの設定」であり,それは,「パラメータ等の設定を何回か変更して測定を繰り返した結果,測定に適したパラメータ等の設定がされた場合に」「GUIボタンを操作することによって」「そのままOn Hand Setup Listに自動的に登録」される「その設定内容」である。ここで,「同じ半導体測定評価用アプリケーション」であるから,「測定評価用アプリケーションの名前」(本願発明の「識別情報」に相当)は同じで元の状態であり,その「同じ半導体測定評価用アプリケーションの」「様々なバリエーション」の「パラメータの設定」での測定の結果,保存される「パラメータの設定内容」に付される「測定を行った日時や,測定の実行番号を示す値」(本願発明の「さらに下位の識別補助情報」に相当)は,更新されることとなる。そして,引用発明の「ボタン操作時の全パラメータの設定内容を上書きなしに保存する」ことにおける「ボタン操作時の全パラメータの設定内容」には,変更されたパラメータの設定内容を含むものであるから,引用発明の「ボタン操作時の全パラメータの設定内容を上書きなしに保存する」ことは,本願発明の「変更後の情報内容を含む分析条件ファイルを元の分析条件ファイルとは別に保存する」ことに相当する。
してみれば,引用発明の「パラメータ等の設定を何回か変更して測定を繰り返した結果,測定に適したパラメータ等の設定がされた場合には,GUIボタンを操作することによって,その設定内容をそのままOn Hand Setup Listに自動的に登録することができ,これにより,同じ半導体測定評価用アプリケーションのパラメータの設定について,設定の様々なバリエーションを,複数の設定リストとしてこのOn Hand Setup Listに登録することができ,その時の半導体測定評価用アプリケーションのパラメータの設定内容を,ユーザがファイル名を特に意識しなくても保存するもので,いわば,ボタン操作時の全パラメータの設定内容を上書きなしに保存する」ことと,本願発明の「その情報内容に変更が加えられて分析が実行されたときに、識別情報を元の状態として識別補助情報を更新し、変更後の情報内容を含む分析条件ファイルを元の分析条件ファイルとは別に保存する」こととは,「その情報内容に変更が加えられて分析が実行され、識別情報を元の状態として識別補助情報を更新し、変更後の情報内容を含む分析条件ファイルを元の分析条件ファイルとは別に保存する」ことの点で共通する。

(5)引用発明の「被試験対象デバイスの測定装置」は,摘記アを参照するに,ユーザが実行時パラメータの設定の下で被試験対象デバイスに対して測定を行うものであるから,本願発明の「分析者により設定される分析条件の下で試料に対する分析を実行する分析装置」に相当する。そして,引用発明の「記憶手段」は本願発明の「記憶手段」に相当し,引用発明の「入力手段と記憶手段とに接続されており,少なくとも1つの半導体測定評価用アプリケーションに基づいて所定の演算及び接続された各種手段の制御を行う演算・制御手段」は,「記憶手段とに接続され」「少なくとも1つの半導体測定評価用アプリケーションに基づいて」「接続された各種手段の制御を行う」もので,それは「全パラメータの設定内容」(上記(1)記載のとおり本願発明の「分析条件を情報として含む分析条件ファイル」)の読み出し,保存についての制御も行うものであるから,本願発明の「ファイル管理手段」に相当するものである。

してみれば,本願発明と引用発明とは,
(一致点)
「分析者により設定される分析条件の下で試料に対する分析を実行する分析装置において,
a)分析条件を情報として含む分析条件ファイルを,識別情報とさらに下位の識別補助情報とからなるファイル属性情報が付与された状態で保存する記憶手段と,
b)或る識別情報及び識別補助情報が付与されている分析条件ファイルが前記記憶手段から読み出され,その情報内容に変更が加えられて分析が実行され,識別情報を元の状態として識別補助情報を更新し,変更後の情報内容を含む分析条件ファイルを元の分析条件ファイルとは別に保存するファイル管理手段と,
を備える分析装置」
の点で一致し,以下の点で一応相違する。

(相違点)
分析条件ファイルを保存する時期が,本願発明では,「情報内容に変更が加えられて分析が実行されたとき」であるのに対し,引用発明では,パラメータ等の設定を何回か変更して測定を繰り返した結果,測定に適したパラメータ等の設定がされた」ときである点。

2 当審の判断
本願発明の「その情報内容に変更が加えられて分析が実行されたとき」について,一回の分析の度に分析条件ファイルを保存するとは特定されておらず,一方,引用発明において「測定に適したパラメータ等の設定がされた」ときは,「パラメータ等の設定を何回か変更して測定を繰り返した結果(とき)」であり,それはパラメータ等の設定の変更を何回か行い,測定を繰り返したものであるにしろ,パラメータ等の設定が変更され,測定が行われたときであるから,本願発明の「情報内容に変更が加えられて分析が実行されたとき」を満たすものといわざるを得ない。してみれば,上記相違点は実質的な相違点とはならないものである。
加えて,本願発明の「情報内容に変更が加えられて分析が実行されたとき」との記載を,一回の分析の度に分析条件ファイルを保存すると解しても,拒絶査定時に提示した特開2008-116407号公報の【0028】に記載されているとおり,計測装置(本願発明の「分析装置」)において,「計測単位毎に」(上記解釈における「一回の分析の度に」),計測に用いたパラメータ(本願発明における「分析条件ファイル」)を保存することは本出願前周知の技術である。一方,引用発明において,「過去の測定データを選択し,その測定の際の設定情報を呼び出し,そのアプリケーションを再度実行する」ものであるから,引用発明の記憶手段の容量がある程度の大きさがあれば,上記周知の技術を適用して,「測定に適したパラメータ等」に限らず,1回の測定毎のパラメータ等の設定内容も保存してみようとすることは当業者が容易になし得ることである。
そして,1回の測定毎のパラメータ等の設定内容が保存されることから,「測定に適したパラメータ等の設定がされた場合には,GUIボタンを操作する」作業がなくなり作業負担が軽減され,パラメータ等の設定内容の保存のし忘れもなくなるものであることは当業者が予期しうることであるから,本願発明の明細書に記載されている効果も当業者において格別なものではない。

なお,請求人は,審判請求書で,
「つまり、本願の請求項1に係る発明では、『分析条件を情報として含む分析条件ファイル』について、(1)分析条件に変更が加えられ、(2)分析が実行される、という2つの条件を満たした場合に、分析者によるファイル保存の操作が行われなくても、自動的に『分析条件ファイル』が保存されるという特長を有しており、このような特徴やそれにより得られる顕著な効果は、引用文献1-4に開示も示唆もされていない。」,
「引用文献1の段落[0019]に『図2の符号305に示すエリアにおいてパラメータ等の設定を何回か変更して測定を繰り返した結果、測定に適したパラメータ等の設定がされた場合には、符号307に示す“Bookmark”GUIボタンを操作することによって、その設定内容をそのままOn Hand Setup Listに自動的に登録することができる。』と記載されており、この『On Hand Setup List』に設定保存されたアプリケーションが本願の『分析条件を情報として含む分析条件ファイル』に相当するが、当該内容が(1)分析条件に変更が加えられ、(2)分析が実行される、という2つの条件を満たした場合に、自動的に登録されるものでないことは明らかである。」
と主張しているが,本願発明においては,「自動的に」保存することが発明特定事項とされていないことから,上記請求人の主張は,本願発明(請求項の記載)に基づかない主張であり,当をえたものではない。さらに,仮に,本願発明が,請求書の主張のとおり,情報内容を含む分析条件ファイルを「自動的に」保存する発明としても,上記拒絶査定時に提示した特開2008-116407号公報の【0114】に記載されているとおり,パラメータのファイル(本願発明の「情報内容を含む分析条件ファイル」)を自動保存することは,本出願前周知のことであるから,ここに進歩性のあることではない。

したがって,本願発明は,引用発明であるか,あるいは,引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第1項第3号の発明に該当し,あるいは,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないから,その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり,審決する。
 
審理終結日 2015-03-17 
結審通知日 2015-03-24 
審決日 2015-04-06 
出願番号 特願2009-191644(P2009-191644)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G01N)
P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 洋介  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 三崎 仁
右▲高▼ 孝幸
発明の名称 分析装置  
代理人 江口 裕之  
代理人 喜多 俊文  
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