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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 H04J 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H04J |
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管理番号 | 1301215 |
審判番号 | 不服2013-25787 |
総通号数 | 187 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-12-27 |
確定日 | 2015-05-20 |
事件の表示 | 特願2012-240140「無線通信システムにおける使用のために,受信された信号干渉の正確な推定を提供するためのシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月18日出願公開,特開2013- 70386〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2000年5月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 1999年5月11日 米国)を国際出願とする出願である特願2000-617575号の一部を,平成22年9月22日に新たな特許出願とした特願2010-212308号の一部を,平成24年10月31日に更に新たな特許出願としたものであって,平成25年8月23日に拒絶査定がなされ,これに対し,同年12月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 補正却下の決定 [結論] 平成25年12月27日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 上記手続補正(以下,「本件補正」という。)は,平成25年8月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された 「【請求項1】 無線チャネルを通して信号を受信することができる符号分割多元アクセス(CDMA)受信器と,なお,前記受信された信号は望ましい信号成分と干渉成分とを有する; 前記受信信号の干渉エネルギ値及び信号対干渉比を発生するための,前記CDMA受信器に接続された搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定器と,なお,前記搬送波信号対干渉および干渉エネルギ推定器は, 逆拡散されデカバーされたパイロット信号を受信し,それに応じて濾波されたパイロット信号を発生することができるパイロットフィンガフィルタと; パイロットエネルギ値p^(2)を発生するための,前記パイロットフィンガフィルタに接続されたパイロットエネルギ計算回路と; 1/(1-p^(2))に等しい結果を発生するための,前記パイロットエネルギ計算回路に接続されたルックアップテーブルと; 総マルチパス搬送波信号対干渉比の推定値を発生するための,前記ルックアップテーブルに接続された搬送波信号対干渉パスアキュムレータとを備える; 前記搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定回路に接続され,合計された重み付けられたパス信号を発生するためのパス結合器と; を備えたシステム。」 を, 「【請求項1】 無線チャネルを通して信号を受信することができる符号分割多元アクセス(CDMA)受信器と,なお,前記受信された信号はパイロット信号及びデータ信号を有する; 前記受信信号の干渉エネルギ値及び信号対干渉比を発生するための,前記CDMA受信器に接続された搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定器と,なお,前記搬送波信号対干渉および干渉エネルギ推定器は, 逆拡散されデカバーされたパイロット信号を受信し,それに応じて濾波されたパイロット信号を発生することができるパイロットフィンガフィルタと; パイロットエネルギ値p^(2)を発生するための,前記パイロットフィンガフィルタに接続されたパイロットエネルギ計算回路と; 1/(1-p^(2))に等しい結果を発生するための,前記パイロットエネルギ計算回路に接続されたルックアップテーブルと; 総マルチパス搬送波信号対干渉比の推定値を発生するための,前記ルックアップテーブルに接続された搬送波信号対干渉パスアキュムレータとを備える; 前記搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定器に接続され,前記ルックアップテーブルの出力及び前記搬送波信号対干渉パスアキュムレータの出力を受信するパス結合器と; を備えたシステム。」 とし, 同じく平成25年8月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項7に記載された 「【請求項7】 前記パス結合器は, 逆拡散されデカバーされたデータ信号を受信することができるデータ信号入力部と; 前記パイロットフィンガフィルタ及び前記ルックアップテーブルに接続され,前記濾波されたパイロット信号及び前記ルックアップテーブルの結果の積を発生するための掛け算器と; 前記掛け算器及び前記データ信号入力部に接続され,マルチプルパスにわたって前記データ信号の同相及び直交成分を発生するためのデマルチプレクサと; 前記デマルチプレクサに接続され,合計された重み付けられたパス成分を発生するためのデュアルマキシマ発生器と; を備えた,請求項1のシステム。」 を 「【請求項7】 前記パス結合器は, 逆拡散されデカバーされたデータ信号を受信することができるデータ信号入力部と; 前記パイロットフィンガフィルタ及び前記ルックアップテーブルに接続され,前記濾波されたパイロット信号及び前記ルックアップテーブルの結果の積を発生するための掛け算器と; 前記掛け算器及び前記データ信号入力部に接続され,マルチプルパスにわたって前記データ信号の同相及び直交成分を発生するためのデマルチプレクサと; を備えた,請求項1のシステム。」 とするものである。 2 補正の適否 (1)本件補正の概要 請求項1についての補正は,「前記受信された信号は望ましい信号成分と干渉成分とを有する」を「前記受信された信号はパイロット信号及びデータ信号を有する」とし,また,「・・・前記搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定回路に接続され,合計された重み付けられたパス信号を発生するためのパス結合器」を「・・・前記搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定器に接続され,前記ルックアップテーブルの出力及び前記搬送波信号対干渉パスアキュムレータの出力を受信するパス結合器」との構成に補正するものである。 請求項7についての補正は,「前記デマルチプレクサに接続され,合計された重み付けられたパス成分を発生するためのデュアルマキシマ発生器」の構成を削除するものである。 (2)新規事項の有無について 補正後の請求項1の「前記受信された信号はパイロット信号及びデータ信号を有する」の点は,出願当初の特許請求の範囲の請求項9,請求項31,本願明細書の【0027】の記載及び図2に対応するものである。 また,補正後の請求項1の「・・・前記搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定器に接続され,前記ルックアップテーブルの出力及び前記搬送波信号対干渉パスアキュムレータの出力を受信するパス結合器」の点は,図4に示されるパス重み付け/結合回路122は,C/I及びNt推定回路120に接続され,ルックアップテーブル88及びC/Iパス蓄積回路130の出力を入力しているから,図4及びその説明である【0083】,【0090】の記載に基づくものといえる。 したがって,本件補正は,出願当初の明細書又は図面に記載された事項の範囲内でしたものと認められる。 (3)補正の目的要件について 請求項1についての補正は,「パス結合器」に付されていた「合計された重み付けられたパス信号を発生するため」のものであるとの限定が削除されているから,特許請求の範囲の減縮には当たらない。請求項7についての補正も,「前記デマルチプレクサに接続され,合計された重み付けられたパス成分を発生するためのデュアルマキシマ発生器」の構成を削除するものであるから,「特許請求の範囲の減縮」には当たらない。したがって,本件補正は,「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとはいえない。 また,本件補正は,明らかに「請求項の削除」,「誤記の訂正」を目的とするものではない。 更に,拒絶査定の理由は,拒絶理由通知書に記載された「理由C」であり,「この出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。」との理由であるから,発明の詳細な説明の記載の不備を指摘したものであって,特許請求の範囲の記載の不備を指摘したものでない。したがって,特許請求の範囲の記載を補正することは,特許法第17条の2第4項第4号の「(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」に該当しない。したがって,本件補正は,「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものとはいえない。 以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第4項各号に規定されるいずれの事項を目的とするものともいえない。 3 結語 以上のとおり,本件補正は,平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成25年12月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成25年8月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。 「【請求項1】 無線チャネルを通して信号を受信することができる符号分割多元アクセス(CDMA)受信器と,なお,前記受信された信号は望ましい信号成分と干渉成分とを有する; 前記受信信号の干渉エネルギ値及び信号対干渉比を発生するための,前記CDMA受信器に接続された搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定器と,なお,前記搬送波信号対干渉および干渉エネルギ推定器は, 逆拡散されデカバーされたパイロット信号を受信し,それに応じて濾波されたパイロット信号を発生することができるパイロットフィンガフィルタと; パイロットエネルギ値p^(2)を発生するための,前記パイロットフィンガフィルタに接続されたパイロットエネルギ計算回路と; 1/(1-p^(2))に等しい結果を発生するための,前記パイロットエネルギ計算回路に接続されたルックアップテーブルと; 総マルチパス搬送波信号対干渉比の推定値を発生するための,前記ルックアップテーブルに接続された搬送波信号対干渉パスアキュムレータとを備える; 前記搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定回路に接続され,合計された重み付けられたパス信号を発生するためのパス結合器と; を備えたシステム。」 2 拒絶理由の概要 平成25年4月23日付け拒絶理由通知書の理由Cは,以下のとおりである。 「C.この出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 段落0099-0100に,「総合二重最高点回路132」が「尺度」を出力する旨が記載されているが,当該「総合二重最高点回路132」がどのような構成を備え,どのように動作することにより「尺度」を出力するのか,また,「尺度」とはいかなるパラメータであり,それをどのようにして求めるのか,といった点につき,具体的な説明がなく不明である。 よって,この出願の発明の詳細な説明は,当業者が請求項1-7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。」 そして,拒絶査定の理由は,以下のとおりである。 「 出願人は意見書において,概ね以下の主張を述べている。 (1)総合二重最高点回路(generalized dual maxima回路)の構成や動作は,例えば米国特許第5,442,627号明細書やIEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,VOL.16,No2,FEBRUARY 1998などの文献によって本願出願前において公知である。 (2)図4のパス重み付け/結合回路122は図2のパス重み付け/結合回路42の動作と同じアルゴリズムを実施し,総合二重最高点回路(generalized dual maxima回路)はI及びQ信号デマルチプレクサ(DEMUX)136からの直交出力(YQ)と同相出力(YI)を受けて直交尺度(MQ)と同相尺度(MI)を得る。 しかし,これらの点を考慮しても,「汎用型デュアルマキシマ回路」(補正前の「総合二重最高点回路」)がどのような構成を備え,どのように動作することにより「尺度」を出力するのか,また,「尺度」とはいかなるパラメータであり,それをどのようにして求めるのか,といった点は依然として明らかでない。その理由は以下のとおりである。 発明の詳細な説明には,汎用型デュアルマキシマ回路が,「数27」(段落0097)により得られる「YI」及び「YQ」を「別々のパス上に選択的に切り替えた」もの(段落0099。以下,「入力A」という。)と,「C/Iパス蓄積回路130」の「総C/Iの正確な推定値」(段落0090。以下,「入力B」という。)とが供給されて,「尺度」(段落0099-0101)を出力するものであることが記載されているが,当該尺度の求め方が上記(1)の各文献に開示されていることは記載されていない。また,仮にこの点が記載されているとしても,各文献(後者については,Viterbi, A.J.らによる「An intuitive justification and a simplified implementation of the MAP decoder for convolutional codes」と推察される。)には,入力A及び入力Bから尺度を求める場合の求め方が開示されているとは認められない。 また,上記(2)については,段落0095の「図4のシステムは,・・・(中略)・・・図2のシステムと同じアルゴリズムを実施する。」との記載が,汎用型デュアルマキシマ回路の具体的な構成や動作,尺度の具体的な求め方を説明する記載として十分でないことは明らかである。 よって,出願人の主張は採用できない。」 ([当審注]:「特許法第36条第4項第1号」は「特許法第36条第4項」の誤記であることは明らかである。) 3 検討 (1)本願発明の「なお,前記搬送波信号対干渉および干渉エネルギ推定器は,逆拡散されデカバーされたパイロット信号を受信し,それに応じて濾波されたパイロット信号を発生することができるパイロットフィンガフィルタと;パイロットエネルギ値p^(2)を発生するための,前記パイロットフィンガフィルタに接続されたパイロットエネルギ計算回路と;1/(1-p^(2))に等しい結果を発生するための,前記パイロットエネルギ計算回路に接続されたルックアップテーブルと;総マルチパス搬送波信号対干渉比の推定値を発生するための,前記ルックアップテーブルに接続された搬送波信号対干渉パスアキュムレータとを備える;」との構成によれば,本願発明の「ルックアップテーブル」は,「1/(1-p^(2))に等しい結果を発生するための」「パイロットエネルギ計算回路に接続された」ものである。そして,「1/(1-p^(2))に等しい結果を発生するための,前記パイロットエネルギ計算回路に接続されたルックアップテーブル」については,本願明細書又は図面には図4のLUT88が開示されるのみであるから,本願発明は本願明細書の【0083】?【0102】,図4に記載された実施例に対応する発明であると一応推察される。 そして,本願発明の「前記搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定回路に接続され,合計された重み付けられたパス信号を発生するためのパス結合器」は,合計された重み付けられたパス信号を発生するための構成が特定されていないが,上述のとおり具体的な開示は【0083】?【0102】,図4しかないこと,請求項7には「前記デマルチプレクサに接続され,合計された重み付けられたパス成分を発生するためのデュアルマキシマ発生器」との記載があることを考慮すると,「搬送波信号対干渉及び干渉エネルギ推定回路」(図4のC/I及びNt推定回路120)に接続され,「LLR回路」へ出力する同相尺度(M_(I))及び直交尺度(M_(Q))を発生する「総合二重最高点回路132」を備える,図4の「パス重み付け及び結合回路122」に対応すると解することができる。 このため,以下,本願発明の「パス結合器」を図4の「パス重み付け/結合122」と解して,発明の詳細な説明の記載が,当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるかどうか検討する。 (2)本願明細書には「総合二重最高点回路132」について,【0083】,【0084】,【0090】,【0101】に言及があるが,これらの記載及び図4をみても,DEMUX136からのI及びQとC/Iパス蓄積回路130は総C/Iとを入力し,LLR回路へ同相尺度(M_(I))及び直交尺度(M_(Q))を出力することが読み取れるだけであり,総合二重最高点回路の具体的構成も同相尺度(M_(I))及び直交尺度(M_(Q))の生成処理も一切明らかにされていないから,LLR回路に出力される同相尺度(M_(I))及び直交尺度(M_(Q))がいかなるなるものか不明である。 ここで,出願人は,総合二重最高点回路(generalized dual maxima回路)の構成や動作は,例えば米国特許第5,442,627号明細書やIEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,VOL.16,No2,FEBRUARY 1998などの文献によって本願出願前において公知である旨主張しているが,米国特許第5,442,627号明細書には「dual maxima」は記載されているものの,「generalized dual maxima」は記載されていない。また,「IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,VOL.16,No2,FEBRUARY 1998」の記載では論文が特定できない。なお,「IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS,VOL.16,No2,FEBRUARY 1998」の260?264ページに掲載されているAndrew J. Vitervi, An Intuitive Justification and a Simplified Implementation of the MAP Decoder for Convolutional Codes に「generalized dual maxima」についての記載があるが,これはMAPデコーダにおける処理に関するものであり,本願発明の「総合二重最高点回路132」のようにI及びQと総C/Iとを入力してLLR回路に出力する同相尺度(M_(I))及び直交尺度(M_(Q))を生成するものではないから,当該文献から直ちに本願発明の「総合二重最高点回路132」の具体的構成及び動作を把握することはできない。また,本願発明の「総合二重最高点回路132」が周知であり,「総合二重最高点回路」との記載のみからその構成及び本願発明における動作が当業者に自明であったと認めることはできない。 したがって,本願発明の「パス結合器」においてその出力である「合計された重み付けられたパス信号」を発生する「総合二重最高点回路132」の具体的内容が不明であるから,本願発明を実施することができない。 (3)本願明細書の【0095】の「図4のシステムは,図4のシステムが自動利得制御回路(図1参照)によるスケーリングを明白に示すことを除いて,図2のシステムと同じアルゴリズムを実施する。」と記載されている。 しかしながら,図2の「パス重み付け及び結合回路42」には「C/I及びNt推定回路12」からの「総C/I」は入力されておらず,「LLR回路46」は,「C/I及びNt推定回路12」からの「総C/I」と,「パス重み付け及び結合回路42」の「パスアキュムレータ回路104」の出力とを入力するものである。 一方,図4の「パス重み付け及び結合回路122」には「C/I及びNt推定回路120」からの「総C/I」が入力されており,「LLR回路」は,「C/I及びNt推定回路120」からの「総C/I」を入力しおらず,「パス重み付け及び結合回路122」の「同相尺度(M_(I))及び直交尺度(M_(Q))」のみ入力するものである。 してみると,図2の実施例と図4の実施例とでは「LLR回路」の入力が異なるのであるから,図2と図4とではシステム及びアルゴリズムが全く異なることは明らかである。同様の理由で,図4と図1との対応も不明であり,図4に対応する「LLR回路」の動作も不明になっている。 したがって,図4の実施例の動作が不明であるから,本願発明を実施することができない。 (4)仮に本願発明が【0083】?【0102】,図4に記載された実施例に対応するものでないとすると,本願発明は発明の詳細な説明に記載されていないこととなり,なんらの開示がないから当業者がその実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。 なお,上記「第2 2(1)」で述べたとおり,平成25年12月27日付け手続補正により,「合計された重み付けられたパス信号を発生する」デュアルマキシマ発生器に係る事項が削除され,「前記ルックアップテーブルの出力及び前記搬送波信号対干渉パスアキュムレータの出力を受信する」点が付加されたが,発明の詳細な説明に開示された,請求項に係る発明に対応する実施例が変わるものではない。そして,当該手続補正により,「パス結合器」の入力のみが特定でき,「パス結合器」の構成及び動作は不明になったことから,そのようなものが課題を解決し所期の効果を奏し得ることが確認できない。したがって,補正後の特許請求の範囲の記載は発明特定事項が不十分であって課題解決手段が反映されているとはいえず,また,依然として発明の詳細な説明は請求項に係る発明を実施することができる程度に開示されているとはいえない。このため,仮に平成25年12月27日付け手続補正を認めたとしても,特許要件を満たしていない。 5 むすび 以上のとおり,本願の発明の詳細な説明の記載は,特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。したがって,本願は,特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-12-12 |
結審通知日 | 2014-12-16 |
審決日 | 2015-01-05 |
出願番号 | 特願2012-240140(P2012-240140) |
審決分類 |
P
1
8・
57-
Z
(H04J)
P 1 8・ 536- Z (H04J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 富澤 哲生 |
特許庁審判長 |
田中 庸介 |
特許庁審判官 |
山澤 宏 菅原 道晴 |
発明の名称 | 無線通信システムにおける使用のために、受信された信号干渉の正確な推定を提供するためのシステム及び方法 |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 砂川 克 |
代理人 | 佐藤 立志 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 赤穂 隆雄 |
代理人 | 井上 正 |
代理人 | 河野 直樹 |
代理人 | 堀内 美保子 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |