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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H01L
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H01L
管理番号 1301827
審判番号 訂正2015-390039  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2015-04-10 
確定日 2015-06-04 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5676771号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5676771号に係る明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1.手続の経緯

本件特許第5676771号は、平成23年9月30日を国際出願日とし、平成27年1月9日に特許権の設定登録がなされたものであり、さらに、平成27年4月10日に訂正審判請求がなされ、同年5月1日付けで手続補正指令書(方式)が通知され、同年5月12日付けで審判請求書を補正する手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2.本件補正について

1.補正の内容
本件補正は、
(1)「5.請求の趣旨」を、「特許第5676771号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」から「特許第5676771号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求める。」に補正し、
(2)「6.請求の理由 (3)訂正事項 (3-17)訂正事項17」において、「パッケージ12」を「パッケージPKG12」に補正し、さらに、「パッケージ13」を「パッケージPKG13」に補正するものである。

2.補正の適否
本件補正は、特許法第131条の2第1項第3号に該当するから、これを認める。

第3.請求の趣旨

本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5676771号(以下、「本件特許」という。)の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを求めるものである。

第4.訂正の内容

本件訂正の内容は、以下のとおりである。

1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記第1裏面」とあるのを、「第1裏面」と訂正する。

2.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記第2表面とは反対側の前記第2裏面と、を有する第2半導体チップ」とあるのを、「前記第2表面とは反対側の第2裏面と、を有する第2半導体チップ」と訂正する。

3.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「第2金属導体」とあるのを、「前記第2金属導体」と訂正する。

4.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項11に「前記第1金属体および前記第3金属体」とあるのを、「前記第1金属導体および前記第3金属導体」と訂正する。

5.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項22に「前記接合トランジスタ」とあるのを、「前記接合FET」と訂正する。

6.訂正事項6
特許請求の範囲の請求項23に「前記接合トランジスタ」とあるのを、「前記接合FET」と訂正する。

7.訂正事項7
特許請求の範囲の請求項24に「前記接合トランジスタ」とあるのを、「前記接合FET」と訂正する。

8.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項25に「前記第1裏面」とあるのを、「第1裏面」と訂正する。

9.訂正事項9
特許請求の範囲の請求項25に「前記第2表面とは反対側の前記第2裏面と、を有する第2半導体チップ」とあるのを、「前記第2表面とは反対側の第2裏面と、を有する第2半導体チップ」と訂正する。

10.訂正事項10
特許請求の範囲の請求項26に「前記第1裏面」とあるのを、「第1裏面」と訂正する。

11.訂正事項11
特許請求の範囲の請求項26に「前記第2表面とは反対側の前記第2裏面と、を有する第2半導体チップ」とあるのを、「前記第2表面とは反対側の第2裏面と、を有する第2半導体チップ」と訂正する。

12.訂正事項12
本件特許明細書の段落【0002】に「スイッチングそし」とあるのを、「スイッチング素子」と訂正する。

13.訂正事項13
本件特許明細書の段落【0009】に「発明の目的」とあるのを、「本発明の目的」と訂正する。

14.訂正事項14
本件特許明細書の段落【0015】に「積層半導体チップの他の旺盛」とあるのを、「積層半導体チップの他の構成」と訂正する。

15.訂正事項15
本件特許明細書の段落【0050】に「半導体チップCHP1」とあるのを、「半導体チップCHP2」と訂正する。

16.訂正事項16
本件特許明細書の段落【0070】に「図3」とあるのを、「図5」と訂正する。

17.訂正事項17
本件特許明細書の段落【0106】に「パッケージPKG12」とあるのを、「パッケージPKG13」と訂正する。

18.訂正事項18
本件特許明細書の段落【0107】に「図22」とあるのを、「図24」と訂正する。

19.訂正事項19
本件特許明細書の段落【0110】に「ターミネーション領域TMJ」とあるのを、「ターミネーション領域TMj」と訂正する。

20.訂正事項20
本件特許明細書の段落【0113】に「半導体基板SUB」とあるのを、「半導体基板SUBj」と訂正する。

21.訂正事項21
本件特許明細書の段落【0116】に「アクティブ領域ASCTj」とあるのを、「アクティブ領域ACTj」と訂正する。

第5.当審の判断

1.訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における請求項1には「前記第1裏面」と記載されているが、当該記載以前に「第1裏面」との記載がないことから、当該記載は「第1裏面」とすべきものであったことは明らかである。
そして、訂正事項1は、明らかな誤記である「前記第1裏面」を、「第1裏面」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項1に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項1は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項1は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

2.訂正事項2について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における請求項1には「前記第2表面とは反対側の前記第2裏面と、を有する第2半導体チップ」と記載されているが、当該記載以前に「第2裏面」との記載がないことから、当該記載は「前記第2表面とは反対側の第2裏面と、を有する第2半導体チップ」とすべきものであったことは明らかである。
そして、訂正事項2は、明らかな誤記である「前記第2裏面」を、「第2裏面」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項2に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項2は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項2は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

3.訂正事項3について
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項3は、請求項3の「第2金属導体」が請求項2に記載した「第2金属導体」を示していることを明らかにするために、「前記」という用語を追加するものであり、請求項3の「第2金属導体」が請求項2に記載した「第2金属導体」を指すのかどうかが明瞭でないという不備を是正するためのものである。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
請求項2の第2金属導体は、願書に最初に添付した明細書の段落【0059】に記載された「ワイヤWgm」に対応するものであり、また、請求項3の第2金属導体は、願書に最初に添付した明細書の段落【0079】に記載された「ワイヤWgm」に対応するものであるから、願書に最初に添付した明細書において、請求項2に記載された第2金属導体と請求項3に記載された第2金属導体に対して同じ名称を用いている。
したがって、訂正事項3は、当初明細書等の記載に基づくものであって、当初明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項3は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項3は、上記(1)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

4.訂正事項4について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における請求項11には「前記ソースリードポスト部の前記第1金属体および前記第3金属体が接続されている領域と、前記ゲートリードポスト部の前記第2金属導体が接続されている領域」と記載されているが、当該記載以前に「第1金属体」及び「第3金属体」について記載されておらず、また、請求項11が引用する請求項10には、ソースリードポスト部と第1金属導体及び第3金属導体を接続し、かつ、ゲートリードポスト部と第2金属導体とを接続することが記載されているから、請求項11の「前記第1金属体および前記第3金属体」が「前記第1金属導体および前記第3金属導体」と記載すべきものであったことは明らかである。
そして、訂正事項4は、明らかな誤記である「前記第1金属体および前記第3金属体」を、「前記第1金属導体および前記第3金属導体」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項4は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項4に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項4は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項4は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項4は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項11に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

5.訂正事項5について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における請求項22には「前記接合トランジスタ」と記載されているが、当該記載以前に「接合トランジスタ」について記載されていない。
また、訂正前における請求項22には、前記接合トランジスタが「前記第1ドレイン」、「前記第1ゲート電極」及び「前記第1ソース」を有することが記載されているが、請求項22が引用する請求項1には、「第1ドレイン」、「第1ゲート電極」及び「第1ソース」を有するのは接合FETであることが記載されている。
したがって、請求項22の「前記接合トランジスタ」は「前記接合FET」と記載すべきものであったことは明らかである。
よって、訂正事項5は、明らかな誤記である「前記接合トランジスタ」を、「前記接合FET」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
願書に最初に添付した明細書には、「接合トランジスタ」ではなく「接合FET」と記載されている。
したがって、訂正事項5は、当初明細書等の記載に基づくものであって、当初明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項5は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項5は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項5は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項22に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

6.訂正事項6について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における請求項23には「前記接合トランジスタ」と記載されているが、当該記載以前に「接合トランジスタ」について記載されていない。
また、訂正前における請求項23には、前記接合トランジスタが「前記第1ドレイン」、「前記第1ゲート電極」及び「前記第1ソース」を有することが記載されているが、請求項23が引用する請求項1には、「第1ドレイン」、「第1ゲート電極」及び「第1ソース」を有するのは接合FETであることが記載されている。
したがって、請求項23の「前記接合トランジスタ」は「前記接合FET」と記載すべきものであったことは明らかである。
よって、訂正事項6は、明らかな誤記である「前記接合トランジスタ」を、「前記接合FET」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項6は、上記5.(2)で述べたとおり、当初明細書等の記載に基づくものであって、当初明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項6は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項6は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項6は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項23に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

7.訂正事項7について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における請求項24には「前記接合トランジスタ」と記載されているが、当該記載以前に「接合トランジスタ」について記載されていない。
また、訂正前における請求項24には、前記接合トランジスタが「前記第1ドレイン」、「前記第1ゲート電極」及び「前記第1ソース」を有することが記載されているが、請求項24が引用する請求項1には、「第1ドレイン」、「第1ゲート電極」及び「第1ソース」を有するのは接合FETであることが記載されている。
したがって、請求項24の「前記接合トランジスタ」は「前記接合FET」と記載すべきものであったことは明らかである。
よって、訂正事項7は、明らかな誤記である「前記接合トランジスタ」を、「前記接合FET」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項7は、上記5.(2)で述べたとおり、当初明細書等の記載に基づくものであって、当初明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項7は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項7は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項7は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項24に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項7は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

8.訂正事項8について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における請求項25には「前記第1裏面」と記載されているが、当該記載以前に「第1裏面」との記載がないことから、当該記載は「第1裏面」とすべきものであったことは明らかである。
そして、訂正事項8は、明らかな誤記である「前記第1裏面」を、「第1裏面」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項8は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項8に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項8は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項8は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項8は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項25に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項8は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

9.訂正事項9について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における請求項25には「前記第2表面とは反対側の前記第2裏面と、を有する第2半導体チップ」と記載されているが、当該記載以前に「第2裏面」との記載がないことから、当該記載は「前記第2表面とは反対側の第2裏面と、を有する第2半導体チップ」とすべきものであったことは明らかである。
そして、訂正事項9は、明らかな誤記である「前記第2裏面」を、「第2裏面」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項9は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項9に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項9は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項9は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項9は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項25に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項9は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

10.訂正事項10について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における請求項26には「前記第1裏面」と記載されているが、当該記載以前に「第1裏面」との記載がないことから、当該記載は「第1裏面」とすべきものであったことは明らかである。
そして、訂正事項10は、明らかな誤記である「前記第1裏面」を、「第1裏面」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項10は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項10に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項10は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項10は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項10は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項10は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

11.訂正事項11について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における請求項26には「前記第2表面とは反対側の前記第2裏面と、を有する第2半導体チップ」と記載されているが、当該記載以前に「第2裏面」との記載がないことから、当該記載は「前記第2表面とは反対側の第2裏面と、を有する第2半導体チップ」とすべきものであったことは明らかである。
そして、訂正事項11は、明らかな誤記である「前記第2裏面」を、「第2裏面」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項11は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項11に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項11は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項11は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項11は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項11は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

12.訂正事項12について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における明細書の段落【0002】には、「スイッチングそし」と記載されているが、明細書の他の箇所では「スイッチング素子」の記載が多数見受けられるのに対し、「スイッチングそし」との記載は見当たらない。
このことから、「スイッチングそし」は、「スイッチング素子」とすべきところを誤記したことは明らかである。
したがって、訂正事項12は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項12は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項12に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項12は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項12は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項12は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1乃至26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項12は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

13.訂正事項13について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における明細書の段落【0009】には、「発明の目的は、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することにある。」と記載されているが、明細書の他の箇所では「本発明」の記載が多数見受けられるのに対し、「発明」との記載は見当たらない。
このことから、「発明の目的」は、「本発明の目的」とすべきところを誤記したことは明らかである。
したがって、訂正事項13は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項13は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項13に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項13は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項13は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項13は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1乃至26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項13は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

14.訂正事項14について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における明細書の段落【0015】の【図26】の説明における「積層半導体チップの他の旺盛」という記載は、当該箇所が図面の簡単な説明の項目の箇所であり、積層半導体チップの他の構成を説明する箇所であるから、「積層半導体チップの他の構成」の誤記であることが明らかである。
したがって、訂正事項14は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項14は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項14に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項14は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項14は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項14は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1乃至26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項14は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

15.訂正事項15について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における明細書の段落【0050】の「半導体チップCHP1」という記載は、当該段落が「半導体チップCHP2」に関する説明箇所であることから、「半導体チップCHP2」の誤記であることが明らかである。
したがって、訂正事項15は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項15は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項15に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項15は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項15は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項15は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1乃至26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項15は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

16.訂正事項16について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における明細書の段落【0070】の「図3」という記載は、当該段落が「図5」に関する説明箇所であることから、「図5」の誤記であることが明らかである。
したがって、訂正事項16は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項16は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項16に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項16は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項16は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項16は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1乃至26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項16は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

17.訂正事項17について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における明細書の段落【0106】の「パッケージPKG12」という記載は、当該段落が「パッケージPKG13」に関する説明箇所であることから、「パッケージPKG13」の誤記であることが明らかである。
したがって、訂正事項17は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項17は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項17に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項17は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項17は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項17は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1乃至26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項17は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

18.訂正事項18について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における明細書の段落【0107】の「図22」という記載は、当該段落が「図24」に関する説明箇所であることから、「図24」の誤記であることが明らかである。
したがって、訂正事項18は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項18は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項18に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項18は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項18は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項18は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1乃至26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項18は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

19.訂正事項19について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における明細書の段落【0110】には、「ターミネーション領域TMJ」と記載されているが、明細書の他の箇所では「ターミネーション領域TMj」の記載が多数見受けられるのに対し、「ターミネーション領域TMJ」の記載は見当たらない。
このことから、「ターミネーション領域TMJ」は、「ターミネーション領域TMj」とすべきところを誤記したことは明らかである。
したがって、訂正事項19は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項19は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項19に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項19は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項19は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項19は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1乃至26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項19は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

20.訂正事項20について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における明細書の段落【0113】の「半導体基板SUB」という記載は、当該段落の同じ文が「半導体基板SUBj」の説明文であることからも明らかなように、当該説明箇所は、「半導体基板SUBj」の構成について図27を参照して説明している箇所である。
このことから、「半導体基板SUB」は、「半導体基板SUBj」とすべきところを誤記したことは明らかである。
したがって、訂正事項20は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項20は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項20に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項20は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項20は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項20は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1乃至26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項20は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

21.訂正事項21について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前における明細書の段落【0116】の「アクティブ領域ASCTj」と記載されているが、明細書の他の箇所では「アクティブ領域ACTj」の記載が多数見受けられるのに対し、「アクティブ領域ASCTj」の記載は見当たらない。
このことから、「アクティブ領域ASCTj」は、「アクティブ領域ACTj」とすべきところを誤記したことは明らかである。
したがって、訂正事項21は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項21は、誤記の訂正を目的とするものであり、訂正事項21に係る補正により何等技術的内容が変更されるものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることは明らかである。
よって、訂正事項21は特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項21は、上記(1)のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件について
訂正事項21は、誤記の訂正を目的とするものであって、特許請求の範囲の内容が拡張・変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものではないから、請求項1乃至26に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項21は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第6.むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
半導体装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、例えば、エアコンのインバータ、コンピュータ電源のDC/DCコンバータ、ハイブリッド自動車や電気自動車のインバータモジュールなどに使用されるパワー半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特表2000-506313号公報(特許文献1)には、低オン抵抗と高耐圧を両立させたスイッチング素子を提供する技術が記載されている。具体的に、特許文献1には、シリコンカーバイド(SiC)を材料とする接合FET(Junction Field Effect Transistor)と、シリコン(Si)を材料とするMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をカスコード接続する構成が記載されている。
【0003】
特開2008-198735号公報(特許文献2)には、低オン電圧で高耐圧の素子を提供するために、SiCを材料とするFETと、Siを材料とするダイオードとを直列接続する構成が記載されている。
【0004】
特開2002-208673号公報(特許文献3)には、パワーモジュールの面積を削減するために、スイッチング素子と、ダイオードとを平板接続端子を挟んで積層する構造が記載されている。
【0005】
特開2010-206100号公報(特許文献4)には、SiCを材料とするノーマリオフ型の接合FETのしきい値電圧を高くすることにより、誤点孤を防ぐ技術が記載されている。具体的には、SiC基板上に、接合FETとMOSFETとを配置し、接合FETのゲート電極に、MOSFETをダイオード接続するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2000-506313号公報
【特許文献2】特開2008-198735号公報
【特許文献3】特開2002-208673号公報
【特許文献4】特開2010-206100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
耐圧の向上とオン抵抗の低減の両立を図るスイッチング素子として、カスコード接続方式を使用したスイッチング素子がある。カスコード接続方式を使用したスイッチング素子は、例えば、シリコン(Si)よりもバンドギャップの大きな材料を使用したノーマリオン型の接合FET(Junction Field Effect Transistor)と、シリコン(Si)を使用したノーマリオフ型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)とを直列接続した構成をしている。このカスコード接続方式のスイッチング素子によれば、絶縁耐圧の大きな接合FETにより耐圧を確保できるとともに、ノーマリオン型の接合FETによるオン抵抗の低減と、低耐圧なMOSFETによるオン抵抗の低減により、耐圧の向上とオン抵抗の低減を両立させたスイッチング素子を得ることができる。
【0008】
このカスコード接続したスイッチング素子の実装構成においては、接合FETを形成した半導体チップと、MOSFETを形成した半導体チップとを、ボンディングワイヤで接続した構成が採用されている。この構成の場合、ボンディングワイヤに存在する寄生インダクタンスの影響や、接合FETのリーク電流の影響により、スイッチング時に、低耐圧であるMOSFETのソースとドレイン間に設計耐圧以上の大きさの電圧が印加されてしまうことを本発明者が新たに見出した。このように、低耐圧であるMOSFETに設計耐圧以上の電圧が印加されると、MOSFETが破壊されるおそれがあり、半導体装置の信頼性低下を招くことになる。
【0009】
本発明の目的は、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
一実施の形態における半導体装置は、接合FETを形成した半導体チップのゲートパッドが、他のリード(ゲートリードやドレインリード)よりもソースリードに近くなるように配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0014】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上できる。また、半導体装置の電気的特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】カスコード接続方式を採用したスイッチング素子の回路構成を示す図である。
【図2】(a)カスコード接続した接合FETとMOSFETとをスイッチング素子として利用したインバータを示す回路図である。(b)は、上アームを構成するスイッチング素子をターンオンした場合の波形を示す図であり、(c)は、上アームを構成するスイッチング素子をターンオフした場合の波形を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体装置の実装構成を示す図である。
【図4】実施の形態1における他の半導体装置の実装構成を示す図である。
【図5】変形例1における半導体装置の実装構成を示す図である。
【図6】変形例1における他の半導体装置の実装構成を示す図である。
【図7】変形例1における他の半導体装置の実装構成を示す図である。
【図8】図7の一断面を示す断面図である。
【図9】変形例1における他の半導体装置の実装構成を示す図である。
【図10】図9の一断面を示す断面図である。
【図11】変形例1における他の半導体装置の実装構成を示す図である。
【図12】(a)は、従来技術におけるスイッチング素子とともに寄生インダクタンスの存在位置を示す回路図であり、(b)は、実施の形態1におけるスイッチング素子とともに寄生インダクタンスの存在位置を示す回路図である。また、(c)は、本変形例1におけるスイッチング素子とともに寄生インダクタンスの存在位置を示す回路図である。
【図13】変形例2における半導体装置の実装構成を示す図である。
【図14】図13の一断面を示す断面図である。
【図15】変形例2における他の半導体装置の実装構成を示す図である。
【図16】図15の一断面を示す断面図である。
【図17】変形例3における半導体装置の実装構成を示す図である。
【図18】図17の一断面を示す断面図である。
【図19】変形例3における他の半導体装置の実装構成を示す図である。
【図20】図19の一断面を示す断面図である。
【図21】変形例4における半導体装置の実装構成を示す図である。
【図22】図21の一断面を示す断面図である。
【図23】変形例4における他の半導体装置の実装構成を示す図である。
【図24】図23の一断面を示す断面図である。
【図25】実施の形態2における積層半導体チップの構成を示す図である。
【図26】実施の形態2における積層半導体チップの他の構成を示す図である。
【図27】図25および図26のA-A線で切断した断面図である。
【図28】変形例における積層半導体チップの構成を示す図である。
【図29】変形例における積層半導体チップの他の構成を示す図である。
【図30】図28および図29のA-A線で切断した断面図である。
【図31】実施の形態2におけるMOSFETのデバイス構造を示す断面図である。
【図32】カスコード接続されたスイッチング素子における電流経路を示す図である。(a)は、オン時の電流経路を示す図であり、(b)は、オフ時に流れるリーク電流の電流経路を示す図である。
【図33】実施の形態2における接合FETのデバイス構造を示す断面図である。
【図34】実施の形態2における接合FETの他のデバイス構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0017】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0018】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0019】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0020】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0021】
(実施の形態1)
<本発明者が見出した課題の詳細>
地球環境保全という大きな社会潮流の中で、環境負荷を低減するエレクトロニクス事業の重要性が増している。中でもパワーデバイス(パワー半導体装置)は、鉄道車両、ハイブリッド自動車、電気自動車のインバータやエアコンのインバータ、パソコンなどの民生機器の電源に用いられており、パワーデバイスの性能改善は、インフラシステムや民生機器の電力効率改善に大きく寄与する。電力効率を改善するということは、システムの稼働に必要なエネルギー資源を削減できるということであり、言い換えれば、二酸化炭素の排出量削減、すなわち、環境負荷を低減できる。このため、パワーデバイスの性能改善に向けた研究開発が各社で盛んに行われている。
【0022】
一般的に、パワーデバイスは、大規模集積回路(LSI(Large Scale Integration))と同様に、シリコンを材料としている。しかし、近年では、シリコンよりもバンドギャップが大きいシリコンカーバイド(SiC)が注目されている。SiCは、バンドギャップが大きいため、絶縁破壊耐圧がシリコンの10倍程度ある。このことから、SiCを材料とするデバイスは、Siを材料とするデバイスよりも膜厚を薄くできる結果、導通時の抵抗値(オン抵抗値)Ronを大幅に下げることができる。したがって、SiCを材料とするデバイスは、抵抗値Ronと導通電流iの積で表される導通損失(Ron×i^(2))を大幅に削減することができ、電力効率の改善に大きく寄与できる。このような特徴に着目して、国内外で、SiCを使用したMOSFETやショットキーダイオードや接合FETの開発が進められている。
【0023】
特に、スイッチングデバイスに着目すると、SiCを材料とした接合FET(JFET)の製品化がいち早く進められている。この接合FETは、SiCを材料とするMOSFETと比較すると、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜を必要としないため、酸化シリコン膜とSiCとの界面における欠陥と、それに伴う素子特性の劣化に代表される問題を回避することができる。また、この接合FETは、pn接合による空乏層の延びを制御してチャネルのオン/オフを制御できるため、ノーマリオフ型の接合FETと、ノーマリオン型の接合FETとを容易に作り分けることができる。このようにSiCを材料とした接合FETは、SiCを材料したMOSFETと比較すると、長期信頼性にも優れており、また、デバイスを作りやすいという特徴を有する。
【0024】
SiCを材料とした接合FETの中でも、ノーマリオン型の接合FETは、通常、チャネルがオンして電流が流れており、チャネルをオフする必要があるときにゲート電極に負電圧を印加してpn接合から空乏層を延ばしてチャネルをオフする。したがって、接合FETがなんらかの原因で壊れた場合、チャネルがオンしたまま電流が流れ続けることになる。通常、接合FETが壊れた場合には電流が流れないことが安全性(フェイルセーフ)の観点から望ましいが、ノーマリオン型の接合FETでは、接合FETが壊れた場合でも電流が流れ続けるので用途が限定される。したがって、フェイルセーフの観点から、ノーマリオフ型の接合FETが望まれる。
【0025】
しかしながら、ノーマリオフ型の接合FETは、次のような課題を有する。つまり、接合FETのゲート電極とソース領域は、それぞれp型半導体領域(ゲート電極)とn型半導体領域(ソース領域)とからなるpn接合ダイオード構造を有するため、ゲート電極とソース領域との間の電圧が3V程度になると、ゲート電極とソース領域との間の寄生ダイオードがオンする。この結果、ゲート電極とソース領域との間に大電流が流れる場合があり、これによって、接合FETが過剰に発熱してしまい破壊するおそれがある。このことから、接合FETをノーマリオフ型のスイッチング素子として利用するためには、ゲート電圧を2.5V程度の低い電圧に制限して、寄生ダイオードがオンしない状態、もしくは、ゲート電極とソース領域の間のダイオード電流が充分小さい状態で利用することが望ましい。なお、Siを材料とする通常のMOSFETでは0から15Vもしくは20V程度のゲート電圧を印加する。このため、ノーマリオフ型の接合FETを利用するためには、既存のMOSFETのゲート駆動回路に加えて、2.5V程度の電圧を生成する降圧回路(DC/DCコンバータ)や、レベル変換回路などを追加する必要がある。この設計変更、すなわち、部品の追加は、システム全体のコストを上昇させることになってしまう。このことから、長期信頼性に優れ、かつ、作りやすいという特徴を有する接合FETであるが、駆動するためのゲート電圧が一般的なMOSFETと大きく異なるため、接合FETを新たに利用する場合には、駆動回路等を含めた大きな設計変更が必要であり、そのため、システム全体のコストが上昇するという課題が存在する。
【0026】
この問題を解決する方法として、カスコード接続方式がある。このカスコード接続方式は、SiCを材料としたノーマリオン型の接合FETと、Siを材料とした低耐圧MOSFETとを直列接続した方式である。このような接続方式を採用すると、ゲート駆動回路は低耐圧MOSFETを駆動することになるので、ゲート駆動回路の変更は不要となる。一方、ドレインとソースとの間の耐圧は絶縁耐圧の高い接合FETの特性で決定することができる。さらには、カスコード接続した場合でも、接合FETの低いオン抵抗と、低耐圧MOSFETの低いオン抵抗の直列接続となるので、カスコード接続したスイッチング素子のオン抵抗も比較的小さく抑えることができる。このようにカスコード接続方式は、ノーマリオフ型の接合FETの問題点を解決できる可能性がある。
【0027】
図1は、カスコード接続方式を採用したスイッチング素子の回路構成を示す図である。図1に示すように、カスコード接続方式を採用したスイッチング素子は、ソースSとドレインD間にノーマリオン型の接合FETQ1と、ノーマリオフ型のMOSFETQ2が直列接続された構成をしている。具体的には、ドレインD側に接合FETQ1が配置され、ソースS側にMOSFETQ2が配置されている。つまり、接合FETQ1のソースSjは、MOSFETQ2のドレインDmと接続されており、MOSFETQ2のソースSmがスイッチング素子のソースSと接続されている。また、接合FETQ1のゲート電極Gjは、スイッチング素子のソースSと接続されており、MOSFETQ2のゲート電極Gmがゲート駆動回路(図示せず)と接続されている。
【0028】
なお、図1に示すように、MOSFETQ2と逆並列にフリーホイールダイオードが接続されている。このフリーホイールダイオードは、逆方向電流を還流させてインダクタンスに蓄積されるエネルギーを開放する機能を有している。すなわち、図1に示すスイッチング素子がインダクタンスを含む負荷に接続された場合、スイッチング素子をオフすると、負荷に含まれるインダクタンスによって、MOSFETQ2の電流が流れる方向と逆方向の逆方向電流が発生する。このことから、MOSFETQ2と逆並列にフリーホイールダイオードを設けることにより、逆方向電流を還流させてインダクタンスに蓄積されるエネルギーを開放している。
【0029】
このような接続方式がカスコード接続方式であり、カスコード接続方式が採用されたスイッチング素子によれば、まず、ゲート駆動回路(図示せず)がMOSFETQ2のゲート電極Gmを駆動することになるため、MOSFET単体をスイッチング素子として利用する場合からのゲート駆動回路の変更が不要となる利点がある。
【0030】
さらに、接合FETQ1が、シリコン(Si)よりもバンドギャップの大きなシリコンカーバイド(SiC)に代表される物質を材料として使用しているため、接合FETQ1の絶縁耐圧が大きくなる。このことから、カスコード接続されたスイッチング素子の耐圧は、主に、接合FETQ1の特性で決定される。したがって、接合FETQ1と直列接続されているMOSFETQ2に要求される絶縁耐圧を、MOSFET単体を使用したスイッチング素子よりも低くすることができる。すなわち、スイッチング素子として絶縁耐圧が必要とされる場合であっても、MOSFETQ2として低耐圧(例えば、数十V程度)のMOSFETを使用することができる。このため、MOSFETQ2のオン抵抗を低減することができる。さらに、接合FETQ1がノーマリオン型の接合FETから構成されるため、接合FETQ1のオン抵抗も低減することができる。この結果、カスコード接合されたスイッチング素子によれば、ゲート駆動回路の設計変更が不要になる利点を有するとともに、絶縁耐性の確保とオン抵抗の低減の両立を図ることができ、これによって、半導体素子(スイッチング素子)の電気的特性の向上を図ることができる。
【0031】
また、図1に示すように、カスコード接続された接合FETQ1は、ノーマリオン型の接合FETQ1であり、接合FETQ1のゲート電極Gjがスイッチング素子のソースSと電気的に接続されている。この結果、接合FETQ1のゲート電極GjとソースSとの間の電圧は、スイッチング時(オン時)でも順バイアスされない。このことから、カスコード接続では、接合FETQ1の寄生ダイオードによる大電流が流れないため、過剰な発熱によるスイッチング素子の破壊を抑制することができる。すなわち、ノーマリオフ型の接合FETでは、スイッチング時(オン時)に、ソースSに対してゲート電極Gjに正電圧を印加する。このとき、接合FETQ1のソース領域はn型半導体領域から形成され、ゲート電極Gjはp型半導体領域から形成されていることから、ソースSに対してゲート電極Gjに正電圧を印加するということは、ソース領域とゲート電極Gjの間に順方向電圧(順バイアス)が印加されることを意味する。このため、ノーマリオフ型の接合FETでは、順方向電圧をあまり大きくしすぎると、ソース領域とゲート電極Gjからなる寄生ダイオードがオンしてしまう。この結果、ゲート電極Gjとソース領域との間に大電流が流れる場合があり、接合FETが過剰に発熱して破壊に至る可能性がある。これに対し、カスコード接続されたスイッチング素子では、ノーマリオン型の接合FETQ1を使用しており、ゲート電極Gjがスイッチング素子のソースSと電気的に接続されている。このことから、接合FETQ1のゲート電極GjとソースSとの間の電圧は、スイッチング時(オン時)でも順バイアスされない。したがって、カスコード接続では、接合FETQ1の寄生ダイオードによる大電流が流れないため、過剰な発熱によるスイッチング素子の破壊を抑制することができる。
【0032】
このようにカスコード接続されたスイッチング素子は、上述した様々な利点を有するが、本発明者が検討した結果、以下に示す課題を新たに見出した。すなわち、カスコード接続を実現するためには、接合FETQ1を形成した半導体チップと、低耐圧なMOSFETQ2を形成した半導体チップとをボンディングワイヤで接続する必要がある。このため、例えば、低耐圧なMOSFETQ2のドレインDmと、接合FETQ1のソースSjは、ボンディングワイヤを介して接続される。この場合、接合FETQ1のソースSjには、ボンディングワイヤによる寄生インダクタンスが付加されてしまう。このような寄生インダクタンスが付加されると、スイッチング時に大きなサージ電圧が発生し、これによって、低耐圧なMOSFETQ2に耐圧以上の電圧が印加されることになる。この結果、低耐圧なMOSFETQ2がアバランシェモードで動作して、ゲート電極Gmでは制御できない大電流が低耐圧なMOSFETQ2に流れて素子破壊に至るおそれがあることを本発明者が新たに見出したのである。以下に、このメカニズムについて、詳細に説明する。
【0033】
<課題の発生するメカニズム>
図2(a)は、カスコード接続した接合FETとMOSFETとをスイッチング素子として利用したインバータを示す回路図である。図2(a)に示すインバータは、電源VCCに直列接続された上アームと下アームとを有している。上アームは、ドレインD1とソースS1との間に接続されたスイッチング素子から構成されている。上アームを構成するスイッチング素子は、カスコード接続された接合FETQ1aとMOSFETQ2aから構成されている。具体的には、接合FETQ1aのドレインDj1がスイッチング素子のドレインD1と接続され、接合FETQ1aのソースSj1がMOSFETQ2aのドレインDm1と接続されている。そして、MOSFETQ2aのソースSm1がスイッチング素子のソースS1と接続されている。また、接合FETQ1aのゲート電極Gj1は、スイッチング素子のソースS1と接続され、MOSFETQ2aのゲート電極Gm1と、スイッチング素子のソースS1との間にはゲート駆動回路(G/D)が接続されている。
【0034】
ここで、接合FETQ1aのソースSj1と、MOSFETQ2aのドレインDm1との間にはボンディングワイヤに基づく寄生インダクタンスLse1が存在し、接合FETQ1aのゲート電極Gj1と、スイッチング素子のソースS1との間には、ボンディングワイヤに基づく寄生インダクタンスLgi1が存在する。なお、図2(a)において、スイッチング素子のソースS1と、スイッチング素子のドレインD1との間の電圧を電圧Vdsuと定義し、スイッチング素子のソースS1とMOSFETQ2aのドレインDm1との間の電圧を電圧Vdsmuと定義する。
【0035】
同様に、図2(a)に示すように、下アームは、ドレインD2とソースS2との間に接続されたスイッチング素子から構成されている。下アームを構成するスイッチング素子は、カスコード接続された接合FETQ1bとMOSFETQ2bから構成されている。具体的には、接合FETQ1bのドレインDj2がスイッチング素子のドレインD2と接続され、接合FETQ1bのソースSj2がMOSFETQ2bのドレインDm2と接続されている。そして、MOSFETQ2bのソースSm2がスイッチング素子のソースS2と接続されている。また、接合FETQ1bのゲート電極Gj2は、スイッチング素子のソースS2と接続され、MOSFETQ2bのゲート電極Gm2と、スイッチング素子のソースS2との間にはゲート駆動回路(G/D)が接続されている。さらに、スイッチング素子のソースS2と、スイッチング素子のドレインD2の間には負荷インダクタンスLLが接続されている。
【0036】
ここで、接合FETQ1bのソースSj2と、MOSFETQ2bのドレインDm2との間にはボンディングワイヤに基づく寄生インダクタンスLse2が存在し、接合FETQ1bのゲート電極Gj2と、スイッチング素子のソースS2との間には、ボンディングワイヤに基づく寄生インダクタンスLgi2が存在する。なお、図2(a)において、スイッチング素子のソースS2と、スイッチング素子のドレインD2との間の電圧を電圧Vakと定義し、スイッチング素子のソースS2とMOSFETQ2bのドレインDm2との間の電圧を電圧Vdsmdと定義する。
【0037】
カスコード接続されたスイッチング素子を利用したインバータは上記のように構成されており、以下に、このインバータの動作を説明しながら、課題の発生するメカニズムについて説明する。まず、上アームを構成するスイッチング素子をターンオンする場合について説明する。すなわち、上アームを構成するスイッチング素子をオンする一方、下アームを構成するスイッチング素子をオフすることにより、負荷(負荷インダクタンスを含む)に電源電圧を印加する場合について説明する。
【0038】
図2(b)は、上アームを構成するスイッチング素子をターンオンした場合の波形を示している。具体的に、上アームを構成するスイッチング素子をターンオンすると、上アームを構成する接合FETQ1aおよびMOSFETQ2aがオンするため、接合FETQ1aのドレインDj1から、MOSFETQ2aのドレインDm1およびソースSm1を経由して、負荷インダクタンスLLを通り、電源VCCに戻るという経路で還流電流が流れる。このとき、図2(b)に示すように、電圧Vdsmuは、所定電圧から0V程度に変化する一方、電圧Vakは、上アームのスイッチング素子をオフしている際の0Vから電源電圧程度の電圧まで上昇する。この結果、下アームのMOSFETQ2bのドレイン電圧である電圧Vdsmdは、下アームの接合FETQ1bをカットオフする電圧まで上昇し、下アームの接合FETQ1bがオフした後は、ある一定の電圧を維持する。この電圧Vdsmdの変化は、寄生インダクタンスが無視できる理想状態の変化であり、図2(b)の破線で示されている。ところが、寄生インダクタンスLse2や寄生インダクタンスLgi2が大きくなると、図2(b)の実線で示すように、電圧Vdsmdは、上アームのスイッチング素子をターンオンした際、急激に大きく上昇する。
【0039】
一方、図2(c)は、上アームを構成するスイッチング素子をターンオフした場合の波形を示している。具体的に、上アームを構成するスイッチング素子をターンオフすると、図2(c)に示すように、電圧Vdsmdは、所定電圧から0V程度に変化する一方、電圧Vdsuは、上アームのスイッチング素子をオンしている際の0Vから電源電圧程度の電圧まで上昇する。この結果、上アームのMOSFETQ2aのドレイン電圧である電圧Vdsmuは、上アームの接合FETQ1aをカットオフする電圧まで上昇し、上アームの接合FETQ1aがオフした後は、ある一定の電圧を維持する。この電圧Vdsmuの変化は、寄生インダクタンスが無視できる理想状態の変化であり、図2(c)の破線で示されている。ところが、寄生インダクタンスLse1や寄生インダクタンスLgi1が大きくなると、図2(c)の実線で示すように、電圧Vdsmuは、上アームのスイッチング素子をターンオフした際、急激に大きく上昇する。
【0040】
このように、上アームのスイッチング素子をターンオンする場合には、ターンオフする下アームのMOSFETQ2bのドレイン電圧である電圧Vdsmdが急激に上昇する現象が生じ、上アームのスイッチング素子をターンオフする場合には、ターンオフする上アームのMOSFETQ2aのドレイン電圧である電圧Vdsmuが急激に上昇する現象が生じることがわかる。これらの現象が生じるメカニズムは同様であるため、以下では、上アームのスイッチング素子をターンオンする場合に着目して、ターンオフする下アームのMOSFETQ2bのドレイン電圧である電圧Vdsmdが急激に上昇する現象が生じるメカニズムについて説明する。この現象が生じるメカニズムとしては、次に示す3つのメカニズムが考えられる。
【0041】
第1のメカニズムは、下アームを構成する接合FETQ1bのソースSj2と、下アームを構成するMOSFETQ2bのドレインDm2の間に存在する寄生インダクタンスLse2に起因している。具体的に、上アームのスイッチング素子をターンオンする際、下アームのMOSFETQ2bはオフされる。このとき、電圧Vakは0V程度から増加し始め、この電圧Vakの増加に伴って、下アームのMOSFETQ2bのドレイン電圧である電圧Vdsmdも増加し始める。しかしながら、電圧Vdsmdが増加する初期段階においては、電圧Vdsmdが、接合FETQ1bのゲート電極Gj2に印加されているゲート電圧よりも所定値以上大きくなっていないため、接合FETQ1bはカットオフされず、接合FETQ1bのドレインDj2からソースSj2に向って電流が流れる。この結果、MOSFETQ2bのドレインDm2に電流が流れ込み、電荷が蓄積される。このことから、MOSFETQ2bのドレイン電圧である電圧Vdsmdが上昇する。そして、この電圧Vdsmdが上昇し続けて、接合FETQ1bのゲート電圧よりも所定値以上大きくなると、接合FETQ1bがカットオフされて、それ以上電流が流れなくなる。つまり、電圧Vdsmdが増加する初期段階においては、接合FETQ1bのドレインDj2とソースSj2の間に電流が流れて、MOSFETQ2bのドレインDm2に電荷が蓄積されるため、電圧Vdsmdが増加する。その後、電圧Vdsmdが増加するにしたがって、電圧Vdsmdが、接合FETQ1bのゲート電圧よりも所定値以上の大きさになる状態に近づくため、接合FETQ1bのドレインDj2とソースSj2に流れる電流が次第に減少していく。そして、最終的に、電圧Vdsmdが、接合FETQ1bのゲート電圧よりも所定値以上大きくなることによって、接合FETQ1bがカットオフされる。接合FETQ1bがカットオフされた後は、MOSFETQ2bのドレインDm2に流入する電荷がなくなるため、電圧Vdsmdは、ほぼ一定となる。
【0042】
このように、上アームのスイッチング素子をターンオンする際、下アームのMOSFETQ2bはオフされるが、この段階で、下アームの接合FETQ1bは直ちにカットオフされず、接合FETQ1bのドレインDj2からソースSj2に電流が流れる。そして、接合FETQ1bのソースSj2に流れ込んだ電流は、寄生インダクタンスLse2を介して、MOSFETQ2bのドレインDm2に流れ込む。このとき、着目すべき点は、下アームの接合FETQ1bのドレインDj2からソースSj2に流れる電流が減少するという点である。このことは、寄生インダクタンスLse2に流れる電流も時間とともに減少することを意味している。この結果、寄生インダクタンスLse2においては、電流の減少を打ち消すような起電力が発生する。すなわち、寄生インダクタンスLse2は、接合FETQ1bのドレインDj2からソースSj2に流れる電流を増加させるように機能する。このため、寄生インダクタンスLse2が大きくなると、過渡的に、接合FETQ1bのドレインDj2からソースSj2に向って大きな電流が流れる。この結果、MOSFETQ2bのドレインDm2に流入する電荷が急激に増加し、これによって、電圧Vdsmdが急激に増加するのである。これが第1のメカニズムである。
【0043】
続いて、第2のメカニズムは、下アームを構成する接合FETQ1bのゲート電極Gj2と、下アームのソースS2との間に存在する寄生インダクタンスLgi2に起因している。具体的に、上アームのスイッチング素子をターンオンする際、下アームのMOSFETQ2bはオフされる。このとき、電圧Vakは0V程度から増加し始めるが、例えば、図2(b)に示すように、上アームのスイッチング素子をターンオンした初期段階において、電圧Vakは電源電圧を超える範囲まで振動する。これは、インバータに接続されている負荷に含まれる負荷インダクタンスLLに起因する逆起電力に基づくものである。したがって、電圧Vakは、上アームをターンオンする際の初期段階で変動することになる。ここで、接合FETQ1bに着目すると、接合FETQ1bのドレインDj2とゲート電極Gj2の間に寄生容量が形成されており、電圧Vakが変動すると、この寄生容量に印加される電圧も変動する。そして、この寄生容量の静電容量値は比較的大きな値となるため、寄生容量に印加される電圧変動に伴って発生する充放電電流も大きくなる。この充放電電流は、接合FETQ1bのゲート電極Gj2と下アームのソースS2との間を流れる。このとき、充放電電流は、時間的に変化する電流である。このため、例えば、接合FETQ1bのゲート電極Gj2と下アームのソースS2との間に寄生インダクタンスLgi2が存在すると、時間的に変化する充放電電流が寄生インダクタンスLgi2を流れるため、寄生インダクタンスLgi2の大きさと充放電電流の時間微分の積に比例した抵抗成分が、接合FETQ1bのゲート電極Gj2と下アームのソースS2の間に発生する。この結果、接合FETQ1bのゲート電極Gj2と下アームのソースS2が同電位にならず、接合FETQ1bのゲート電極Gj2が下アームのソースS2に対して正電圧方向に上昇するモードが発生する。この場合、接合FETQ1bのゲート電極Gj2が正電圧となるため、接合FETQ1bのゲート電極Gj2から延びる空乏層が抑制されて、チャネル領域の幅が大きくなる。このため、過渡的に、接合FETQ1bのドレインDj2からソースSj2に向って流れる電流が大きくなる。この結果、MOSFETQ2bのドレインDm2に流入する電荷が急激に増加し、これによって、電圧Vdsmdが急激に増加するのである。これが第2のメカニズムである。さらに、第2のメカニズムによれば、接合FETQ1bのゲート電極Gj2に正電圧が印加されることから、接合FETQ1bをカットオフするためには、ゲート電極Gj2に0Vが印加されている場合よりも大きな電圧が接合FETQ1bのソースSj2に印加されなくてはならないことになる。この観点からも、接合FETQ1bがカットオフされるまで上昇する電圧Vdsmdが大きくなる。
【0044】
さらに、第3のメカニズムは、下アームを構成する接合FETQ1bのゲート電極Gj2と、下アームのソースS2との間に存在する寄生抵抗に起因している。第2のメカニズムで説明したように、接合FETQ1bのゲート電極Gj2と下アームのソースS2との間を充放電電流が流れる。このことから、接合FETQ1bのゲート電極Gj2と、下アームのソースS2との間に寄生抵抗が存在すると、この寄生抵抗に充放電電流が流れて、電圧降下が生じる。この結果、接合FETQ1bのゲート電極Gj2と下アームのソースS2が同電位にならず、接合FETQ1bのゲート電極Gj2が下アームのソースS2に対して正電圧方向に上昇するモードが発生する。これにより、第3のメカニズムでも、第2のメカニズムと同様に、接合FETQ1bのゲート電極Gj2が正電圧となるため、接合FETQ1bのゲート電極Gj2から延びる空乏層が抑制されて、チャネル領域の幅が大きくなる。したがって、過渡的に、接合FETQ1bのドレインDj2からソースSj2に向って流れる電流が大きくなる。この結果、MOSFETQ2bのドレインDm2に流入する電荷が急激に増加し、これによって、電圧Vdsmdが急激に増加するのである。
【0045】
以上のように、寄生インダクタンスLse2、寄生インダクタンスLgi2および寄生抵抗に関する第1のメカニズムから第3のメカニズムによって、電圧Vdsmdが急激に増加することがわかる。このように、寄生インダクタンスLse2、寄生インダクタンスLgi2および寄生抵抗が大きくなると、下アームのMOSFETQ2bのドレイン電圧である電圧Vdsmdが、MOSFETQ2bの耐圧以上の電圧まで上昇し、これによって、下アームのMOSFETQ2bがアバランシェ動作し、最終的に、下アームのMOSFETQ2bが破壊されるおそれがあるのである。
【0046】
具体的には、MOSFETQ2bに耐圧以上の電圧が印加されると、MOSFETQ2bの内部に電界集中する領域が局所的に発生し、この領域でインパクトイオン化による正孔電子対が大量に発生する。この大量に発生した正孔電子対によって、ソース領域(n型半導体領域)、チャネル形成領域(p型半導体領域)およびドリフト領域(n型半導体領域)によって形成される寄生npnバイポーラトランジスタがオンする。寄生npnバイポーラトランジスタがオンしたセル(MOSFETQ2b)では、MOSFETQ2bのゲート電極Gm2では制御することができない大電流が流れて発熱する。このとき、発熱による温度上昇により半導体領域の電気抵抗が小さくなるために、さらに大きな電流が流れるという正帰還が起こる。この結果、大電流が局所的に流れて、MOSFETQ2bの破壊が起こる。この現象がアバランシェ破壊である。このようなアバランシェ破壊が発生すると、半導体装置の信頼性低下を招くことになる。
【0047】
そこで、本実施の形態1では、アバランシェ破壊の原因となるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制するため、寄生インダクタンスおよび寄生抵抗を低減する工夫を施している。以下に、この工夫を施した本実施の形態1における技術的思想について説明する。本実施の形態1では、半導体装置の実装構成に工夫を施した点に特徴があり、この特徴点を含む半導体装置の実装構成について説明する。
【0048】
<本実施の形態1における半導体装置の実装構成>
図3は、本実施の形態1におけるパッケージ(半導体装置)PKG1の実装構成を示す図である。図3に示すように、本実施の形態1におけるパッケージPKG1は、互いに電気的に絶縁された2つのチップ搭載部PLT1とチップ搭載部PLT2を有している。図3において、右側に配置されている金属プレートがチップ搭載部PLT1を構成し、左側に配置されている金属プレートがチップ搭載部PLT2を構成している。チップ搭載部PLT1は、ドレインリードDLと連結されるように一体的に形成されており、チップ搭載部PLT1とドレインリードDLとは電気的に接続されている。そして、このドレインリードDLを離間して挟むように、ソースリードSLとゲートリードGLが配置されている。具体的には、図3に示すように、ドレインリードDLの右側にソースリードSLが配置され、ドレインリードDLの左側にゲートリードGLが配置されている。これらのドレインリードDL、ソースリードSL、および、ゲートリードGLは、互いに電気的に絶縁されている。そして、ソースリードSLの先端部には、幅広領域からなるソースリードポスト部SPSTが形成され、ゲートリードGLの先端部には、幅広領域からなるゲートリードポスト部GPSTが形成されている。
【0049】
次に、チップ搭載部PLT1上には、例えば、銀ペーストや半田からなる導電性接着材を介して、半導体チップCHP1が搭載されている。この半導体チップCHP1には、例えば、SiCを材料とした接合FETが形成されている。そして、半導体チップCHP1の裏面がドレイン電極となっており、半導体チップCHP1の表面(主面)にソースパッドSPjとゲートパッドGPjが形成されている。つまり、半導体チップCHP1には、カスコード接続方式をしたスイッチング素子の一部を構成する接合FETが形成されており、この接合FETのドレインと電気的に接続されるドレイン電極が半導体チップCHP1の裏面に形成され、接合FETのソースと電気的に接続されるソースパッドSPj、および、接合FETのゲート電極と電気的に接続されるゲートパッドGPjが半導体チップCHP1の表面に形成されている。
【0050】
続いて、チップ搭載部PLT2上には、例えば、銀ペーストや半田からなる導電性接着材を介して、半導体チップCHP2が搭載されている。この半導体チップCHP2には、例えば、Siを材料としたMOSFETが形成されている。このとき、半導体チップCHP2の裏面がドレイン電極となっており、半導体チップCHP2の表面(主面)にソースパッドSPmとゲートパッドGPmが形成されている。つまり、半導体チップCHP2には、カスコード接続方式をしたスイッチング素子の一部を構成するMOSFETが形成されており、このMOSFETのドレインと電気的に接続されるドレイン電極が半導体チップCHP2の裏面に形成され、MOSFETのソースと電気的に接続されるソースパッドSPm、および、MOSFETのゲート電極と電気的に接続されるゲートパッドGPmが半導体チップCHP2の表面に形成されている。
【0051】
そして、チップ搭載部PLT1上に搭載された半導体チップCHP1と、チップ搭載部PLT2上に搭載された半導体チップCHP2と、ボンディングワイヤで接続することにより、カスコード接続されたスイッチング素子を構成することができる。具体的には、図3に示すように、半導体チップCHP1の表面に形成されているゲートパッドGPjと、ソースリードSLの先端部に形成されているソースリードポスト部SPSTがワイヤWgjで電気的に接続されている。また、半導体チップCHP1の表面に形成されているソースパッドSPjと、チップ搭載部PLT2がワイヤWdsで電気的に接続されている。さらに、半導体チップCHP2の表面に形成されているソースパッドSPmと、ソースリードSLの先端部に形成されているソースリードポスト部SPSTがワイヤWsmで電気的に接続されている。また、半導体チップCHP2の表面に形成されているゲートパッドGPmと、ゲートリードGLの先端部に形成されているゲートリードポスト部GPSTがワイヤWgmで電気的に接続されている。ここで、ソースリードポスト部SPSTのワイヤWgjおよびワイヤWsmが接続されている領域と、ゲートリードポスト部GPSTのワイヤWgmが接続されている領域は、チップ搭載部PLT1の上面やチップ搭載部PLT2の上面よりも高い位置に位置するように構成されている。
【0052】
なお、半導体チップCHP1は、導電性接着材を介してチップ搭載部PLT1上に搭載されていることから、半導体チップCHP1の裏面に形成されているドレイン電極は、チップ搭載部PLT1と電気的に接続されている。また、半導体チップCHP2は、導電性接着材を介してチップ搭載部PLT2上に搭載されていることから、半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極は、チップ搭載部PLT2と電気的に接続されていることになる。
【0053】
このように構成されているパッケージPKG1においては、半導体チップCHP1、半導体チップCHP2、チップ搭載部PLT1の一部、チップ搭載部PLT2の一部、ドレインリードDLの一部、ソースリードSLの一部、ゲートリードGLの一部、および、ワイヤWgj、Wds、Wgm、Wsmが、少なくとも、封止体で封止されている。したがって、チップ搭載部PLT1とチップ搭載部PLT2との間には、封止体の一部が配置されていることになり、これによって、チップ搭載部PLT1とチップ搭載部PLT2が封止体によって電気的に絶縁されることになる。なお、チップ搭載部PLT1の下面、および、チップ搭載部PLT2の下面は、封止体から露出するように構成されていてもよい。この場合、半導体チップCHP1や半導体チップCHP2で発生した熱を、チップ搭載部PLT1の下面やチップ搭載部PLT2の下面から効率良く放散させることができる。
【0054】
この封止体は、例えば、直方体形状をしており、第1側面と、この第1側面と対向する第2側面とを有している。この場合、例えば、封止体の第1側面から、ドレインリードDLの一部、ソースリードSLの一部、ゲートリードGLの一部が突出している。これらの突出したドレインリードDLの一部、ソースリードSLの一部、ゲートリードGLの一部が外部接続端子として機能することになる。
【0055】
ここで、カスコード接続されたスイッチング素子では、半導体チップCHP1と半導体チップCHP2という2つの半導体チップを搭載するため、パッケージ内に1つのチップ搭載部しか有さない既存の汎用パッケージをそのまま流用することはできない。例えば、数A以上の大きな定格電流での使用も考慮して、半導体チップCHP1に形成されている接合FETや、半導体チップCHP2に形成されているMOSFETは、いわゆる半導体チップの裏面にドレイン電極を有する縦型構造が採用されている。この場合、カスコード接続方式のスイッチング素子では、半導体チップCHP1の裏面に形成されているドレイン電極と、半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極とを電気的に接続することはできない。このことから、パッケージ内に1つのチップ搭載部しか有さない既存の汎用パッケージにおいては、この1つのチップ搭載部に、半導体チップCHP1と半導体チップCHP2を配置すると、半導体チップCHP1の裏面に形成されているドレイン電極と、半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極が電気的に接続されてしまいカスコード接続方式を実現することができなくなる。
【0056】
そこで、本実施の形態1では、図3に示すように、外形形状が汎用パッケージと同等であることを前提として、封止体の内部に、互いに電気的に絶縁された2つのチップ搭載部PLT1およびチップ搭載部PLT2を設けるようにパッケージPKG1を構成している。そして、チップ搭載部PLT1上に半導体チップCHP1を搭載するとともに、チップ搭載部PLT2上に半導体チップCHP2を搭載するように、パッケージPKG1を構成している。つまり、電気的に絶縁された2つのチップ搭載部PLT1およびチップ搭載部PLT2をパッケージPKG1内に設け、半導体チップCHP1と半導体チップCHP2とを平面的に配置し、平面的に配置された半導体チップCHP1と半導体チップCHP2とをワイヤで接続することにより、カスコード接続を実現している。
【0057】
このため、本実施の形態1におけるパッケージPKG1によれば、例えば、電源回路などに利用されているスイッチング素子を実装している既存の汎用パッケージを、外形寸法の同等な本実施の形態1におけるパッケージPKG1に入れ替えることができる。特に、本実施の形態1におけるパッケージPKG1によれば、ドレインリードDL、ソースリードSL、および、ゲートリードGLの配置が汎用パッケージと同様であるため、汎用パッケージを本実施の形態1におけるパッケージPKG1に入れ替えることが可能であり、その他の駆動回路やプリント基板の配線などを設計変更する必要がない。したがって、本実施の形態1によれば、汎用パッケージを利用したスイッチング素子から、本実施の形態1のパッケージPKG1を利用した高性能なカスコード接続方式のスイッチング素子に変更することが容易であり、高性能な電源システムを大幅な設計変更することなく提供できるという利点を有している。
【0058】
以下に、本実施の形態1におけるパッケージPKG1の特徴点について説明する。まず、本実施の形態1における第1特徴点は、図3に示すように、接合FETを形成した半導体チップCHP1の表面に設けられているゲートパッドGPjと、ソースリードSLとをできるだけ近づけるように配置する点にある。具体的に、本実施の形態1では、半導体チップCHP1を搭載するチップ搭載部PLT1をドレインリードDLに対してソースリードSLが配置されている側と同じ側に配置している。これにより、チップ搭載部PLT1をソースリードSLに近づけることができる。このことは、チップ搭載部PLT1上に搭載される半導体チップCHP1をソースリードSLに近づけるように配置できることを意味している。そして、本実施の形態1では、チップ搭載部PLT1上に搭載される半導体チップCHP1をチップ搭載部PLT1の中央部に配置するのではなく、チップ搭載部PLT1のソースリードSLに最も近い辺へ近づくように半導体チップCHP1を配置している。これにより、半導体チップCHP1をソースリードSLに最も近づくように配置することができる。さらに、本実施の形態1では、半導体チップCHP1をできるだけ、ソースリードSLに近づけるように配置するとともに、半導体チップCHP1の表面に形成されているゲートパッドGPjがソースリードSLに近づくように配置されている。このように本実施の形態1では、まず、接合FETが形成されている半導体チップCHP1が搭載されるチップ搭載部PLT1を、ソースリードSLに近い位置に配置し、さらに、チップ搭載部PLT1内の内部領域のうち、ソースリードSLに近い領域に半導体チップCHP1を搭載している。その上、本実施の形態1では、半導体チップCHP1の表面に形成されているゲートパッドGPjがソースリードSLに近づくように、ゲートパッドGPjを配置している。これにより、半導体チップCHP1の表面に形成されているゲートパッドGPjと、ソースリードSLとが近づくことになる。言い換えれば、本実施の形態1においては、半導体チップCHP1の表面に形成されているゲートパッドGPjが、その他のリード(ドレインリードDLやゲートリードGL)よりもソースリードSLに近づくように配置されていることになる。この結果、本実施の形態1によれば、ゲートパッドGPjとソースリードSLとの間の距離を短くすることができるため、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを短くすることができる。特に、本実施の形態1では、ソースリードSLのうち、ゲートパッドGPjに近い先端部に存在する幅広のソースリードポスト部SPSTでワイヤWgjを接続する構成を取っているので、さらに、ワイヤWgjの長さを短くすることができる。ワイヤWgjの長さを短くできるということは、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンス(図2のLgi1やLgi2)を低減できることを意味する。つまり、本実施の形態1によれば、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンスを充分に低減できる。このことから、上述した第2のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本実施の形態1によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0059】
続いて、本実施の形態1における第2特徴点について説明する。本実施の形態1における第2特徴点は、図3に示すように、MOSFETを形成した半導体チップCHP2の表面に設けられているゲートパッドGPmと、ゲートリードGLとをできるだけ近づけるように配置する点にある。具体的に、本実施の形態1では、半導体チップCHP2を搭載するチップ搭載部PLT2をドレインリードDLに対してゲートリードGLが配置されている側と同じ側に配置している。これにより、チップ搭載部PLT2をゲートリードGLに近づけることができる。このことは、チップ搭載部PLT2上に搭載される半導体チップCHP2をゲートリードGLに近づけるように配置できることを意味している。そして、本実施の形態1では、チップ搭載部PLT2上に搭載される半導体チップCHP2をチップ搭載部PLT2の中央部に配置するのではなく、チップ搭載部PLT2のゲートリードGLに最も近い辺へ近づくように半導体チップCHP2を配置している。これにより、半導体チップCHP2をゲートリードGLに最も近づくように配置することができる。さらに、本実施の形態1では、半導体チップCHP2をできるだけ、ゲートリードGLに近づけるように配置するとともに、半導体チップCHP2の表面に形成されているゲートパッドGPmがゲートリードGLに近づくように配置されている。このように本実施の形態1では、まず、MOSFETが形成されている半導体チップCHP2が搭載されるチップ搭載部PLT2を、ゲートリードGLに近い位置に配置し、さらに、チップ搭載部PLT2内の内部領域のうち、ゲートリードGLに近い領域に半導体チップCHP2を搭載している。その上、本実施の形態1では、半導体チップCHP2の表面に形成されているゲートパッドGPmがゲートリードGLに近づくように、ゲートパッドGPmを配置している。これにより、半導体チップCHP2の表面に形成されているゲートパッドGPmと、ゲートリードGLとが近づくことになる。言い換えれば、本実施の形態1においては、半導体チップCHP2の表面に形成されているゲートパッドGPmが、その他のリード(ドレインリードDLやソースリードSL)よりもゲートリードGLに近づくように配置されていることになる。この結果、本実施の形態1によれば、ゲートパッドGPmとゲートリードGLとの間の距離を短くすることができるため、ゲートパッドGPmとゲートリードGLとを接続するワイヤWgmの長さを短くすることができる。特に、本実施の形態1では、ゲートリードGLのうち、ゲートパッドGPmに近い先端部に存在する幅広のゲートリードポスト部GPSTでワイヤWgmを接続する構成を取っているので、さらに、ワイヤWgmの長さを短くすることができる。これにより、本実施の形態1によれば、ワイヤWgmの寄生インダクタンスを低減することができる。このワイヤWgmの寄生インダクタンスを低減できることは、カスコード接続されたスイッチング素子の電気的特性の向上に寄与するが、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することとは直接関連していない。本実施の形態1における第2特徴点の構成によれば、直接的ではなく間接的に、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制できるのである。
【0060】
以下に、この点について説明する。図3に示すように、本実施の形態1における第2特徴点は、MOSFETが形成された半導体チップCHP2をできるだけ、ゲートリードGLに近づけるように配置する点にある。このことは、図3に示すように、チップ搭載部PLT2の手前側に偏って半導体チップCHP2が配置されることを意味し、言い換えれば、チップ搭載部PLT2の奥側に、半導体チップCHP2が搭載されていない大きなスペースができることを意味する。このように、本実施の形態1では、チップ搭載部PLT2に、半導体チップCHP2が搭載されていない大きなスペースを確保できる点に間接的な特徴がある。具体的には、この特徴により、図3に示すように、チップ搭載部PLT1上に搭載された半導体チップCHP1の表面に形成されているソースパッドSPjと、チップ搭載部PLT2とを電気的に接続するワイヤ接続領域を充分に確保することができるのである。この結果、図3に示すように、ソースパッドSPjとチップ搭載部PLT2とを複数本のワイヤWdsで接続できることになる。ここで、チップ搭載部PLT2は、搭載されている半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極と電気的に接続されていることから、本実施の形態1によれば、複数本のワイヤWdsによって、MOSFETのドレインと接合FETのソースが接続されることになる。このことは、MOSFETのドレインと接合FETのソースとを接続するワイヤWdsの寄生インダクタンス(図2のLse1、Lse2)を低減できることを意味する。つまり、本実施の形態1によれば、複数本のワイヤWdsを使用することにより、MOSFETのドレインと接合FETのソース間の寄生インダクタンスを充分に低減できる。
【0061】
さらには、図3に示すように、半導体チップCHP1の表面に形成されているソースパッドSPjの形成位置を、なるべく、チップ搭載部PLT2に近づけるように配置することが望ましい。なぜなら、ソースパッドSPjを、このように配置することにより、ソースパッドSPjとチップ搭載部PLT2とを接続するワイヤWdsの長さをできるだけ短くすることができるからである。これによっても、MOSFETのドレインと接合FETのソースとを接続するワイヤWdsの寄生インダクタンス(図2のLse1、Lse2)を低減できる。
【0062】
以上のことから、本実施の形態1における第2特徴点によれば、上述した第1のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本実施の形態1によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0063】
なお、本実施の形態1では、図3に示すように、ゲートパッドGPjは、ワイヤWgjによって、ソースリードSLと電気的に接続され、かつ、ゲートパッドGPmは、ワイヤWgmによって、ゲートリードGLと電気的に接続されている。このとき、ワイヤWgjの太さ(幅)は、ワイヤWgmの太さ(幅)よりも太く構成することが望ましい。なぜなら、ワイヤWgjに存在する寄生抵抗が大きくなると、第3のメカニズムによって、MOSFETへ絶縁耐圧以上の電圧が印加されることになってしまうからである。したがって、ワイヤWgjに存在する寄生抵抗を低減する観点から、ワイヤWgjの太さをその他のワイヤよりも太くする構成を取ることが望ましい。これにより、接合FETのゲート電極とスイッチング素子のソース(MOSFETのソースということもできる)との間の寄生抵抗を低減できることから、上述した第3のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本実施の形態1によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0064】
次に、本実施の形態1における第3特徴点について説明する。本実施の形態1における第3特徴点は、図3に示すように、MOSFETを形成した半導体チップCHP2の表面に設けられているソースパッドSPmと、ソースリードSL(ソースリードポスト部SPST)とを複数本のワイヤWsmで接続する点にある。これにより、MOSFETのソースとソースリードSLとの間の寄生抵抗および寄生インダクタンスを低減することができる。この結果、MOSFETのソースの電位がソースリードSLから供給されるGND電位(基準電位)から変動することを抑制でき、MOSFETのソースをGND電位に確実に固定することができる。さらには、MOSFETのソースとソースリードSLとの間の寄生抵抗が低減されることから、カスコード接続されたスイッチング素子のオン抵抗を低減することもできる。このように、本実施の形態1における第3特徴点によれば、パッケージPKG1に形成されているカスコード接続されたスイッチング素子の電気的特性の向上を図ることができる。
【0065】
以上のように、本実施の形態1におけるパッケージPKG1(半導体装置)によれば、上述した第1特徴点と第2特徴点を備えることにより、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。さらには、本実施の形態1におけるパッケージPKG1(半導体装置)が上述した第3特徴点を備えることによっても、寄生抵抗および寄生インダクタンスの低減を図ることができることから、半導体装置の電気的特性の向上を図ることができる。
【0066】
また、本実施の形態1のパッケージPKG1に付随する具体的な効果として、本実施の形態1におけるパッケージPKG1は、接合FETを形成した半導体チップCHP1と、MOSFETを形成した半導体チップCHP2を平面的に配置する構成を採用しているので、半導体チップCHP1や半導体チップCHP2のチップ面積を自由に設計することができる。このことから、低オン抵抗の設計やオン電流密度の設計も容易となり、様々な仕様のスイッチング素子を実現することができる。
【0067】
続いて、本実施の形態1におけるスイッチング素子の他の実装形態の一例について説明する。図4は、本実施の形態1におけるパッケージPKG2の実装構成を示す図である。図4に示すパッケージPKG2と、図3に示すパッケージPKG1との相違点は、ソースリードSLとドレインリードDLの形成位置が異なる点である。具体的に、図3に示すパッケージPKG1では、一番左側にゲートリードGLが配置され、真中にドレインリードDLが配置され、一番右側にソースリードSLが配置されていた。これに対し、図4に示すパッケージPKG2では、一番左側にゲートリードGLが配置され、真中にソースリードSLが配置され、一番右側にドレインリードDLが配置されている。この場合、図4に示すように、ソースリードSLの配置位置が変更されていることに伴って、半導体チップCHP1の表面に形成されているゲートパッドGPjの形成位置も、他のリードよりもソースリードSLに近くなるように変更されている。この結果、図4に示すパッケージPKG2においても、ゲートパッドGPjとソースリードSLとの間の距離を短くすることができる。このため、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを短くすることができる。つまり、図4に示すパッケージPKG2においても、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンスを充分に低減できる。このことから、上述した第2のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、図4に示すパッケージPKG2においても、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0068】
さらに、図4に示すパッケージPKG2に特有な特徴点としては、半導体チップCHP2の表面に形成されているソースパッドSPmと、ソースリードSLとを電気的に接続するワイヤWsmの長さを、図3に示すパッケージPKG1に比べて充分に短くすることができる点である。このため、図4に示すパッケージPKG2によれば、ワイヤWsmの寄生抵抗および寄生インダクタンスを低減できることから、本実施の形態1におけるスイッチング素子の電気的特性を向上させることができる。特に、ワイヤWsmの長さを短くすることによる効果は、本実施の形態1におけるスイッチング素子のオン抵抗を小さくなる点に顕在化する。
【0069】
<変形例1>
次に、本変形例1におけるパッケージPKG3の実装構成について説明する。本変形例1では、接合FETを形成した半導体チップと、MOSFETを形成した半導体チップとを積層する構成について説明する。
【0070】
図5は、本変形例1におけるパッケージPKG3の実装構成を示す図である。図5において、本変形例1におけるパッケージPKG3は、例えば、矩形形状をした金属プレートからなるチップ搭載部PLTを有している。このチップ搭載部PLTは、ドレインリードDLと連結されるように一体的に形成されており、チップ搭載部PLTとドレインリードDLとは電気的に接続されている。そして、このドレインリードDLを離間して挟むように、ソースリードSLとゲートリードGLが配置されている。具体的には、図5に示すように、ドレインリードDLの右側にソースリードSLが配置され、ドレインリードDLの左側にゲートリードGLが配置されている。これらのドレインリードDL、ソースリードSL、および、ゲートリードGLは、互いに電気的に絶縁されている。そして、ソースリードSLの先端部には、幅広領域からなるソースリードポスト部SPSTが形成され、ゲートリードGLの先端部には、幅広領域からなるゲートリードポスト部GPSTが形成されている。
【0071】
次に、チップ搭載部PLT上には、例えば、銀ペーストや半田からなる導電性接着材を介して、半導体チップCHP1が搭載されている。この半導体チップCHP1には、例えば、SiCを材料とした接合FETが形成されている。そして、半導体チップCHP1の裏面がドレイン電極となっており、半導体チップCHP1の表面(主面)にソースパッドSPjとゲートパッドGPjが形成されている。つまり、半導体チップCHP1には、カスコード接続方式をしたスイッチング素子の一部を構成する接合FETが形成されており、この接合FETのドレインと電気的に接続されるドレイン電極が半導体チップCHP1の裏面に形成され、接合FETのソースと電気的に接続されるソースパッドSPj、および、接合FETのゲート電極と電気的に接続されるゲートパッドGPjが半導体チップCHP1の表面に形成されている。
【0072】
続いて、この半導体チップCHP1上に、例えば、銀ペーストや半田からなる導電性接着材を介して、半導体チップCHP2が搭載されている。この半導体チップCHP2には、例えば、Siを材料としたMOSFETが形成されている。このとき、半導体チップCHP2の裏面がドレイン電極となっており、半導体チップCHP1の表面(主面)にソースパッドSPmとゲートパッドGPmが形成されている。つまり、半導体チップCHP2には、カスコード接続方式をしたスイッチング素子の一部を構成するMOSFETが形成されており、このMOSFETのドレインと電気的に接続されるドレイン電極が半導体チップCHP2の裏面に形成され、MOSFETのソースと電気的に接続されるソースパッドSPm、および、MOSFETのゲート電極と電気的に接続されるゲートパッドGPmが半導体チップCHP2の表面に形成されている。
【0073】
このように、本変形例1では、半導体チップCHP1上に半導体チップCHP2が搭載されており、特に、半導体チップCHP1の表面に形成されているソースパッドSPj上に半導体チップCHP2が搭載されている。これにより、半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極と、半導体チップCHP1の表面に形成されているソースパッドSPjとが電気的に接続されることになる。この結果、半導体チップCHP1に形成されている接合FETのソースと、半導体チップCHP2に形成されているMOSFETのドレインとが電気的に接続されることになる。このことから、半導体チップCHP2は、平面視において、半導体チップCHP1の表面に形成されているソースパッドSPjに内包されるように形成されている必要がある。つまり、本変形例1においては、半導体チップCHP2のサイズは、半導体チップCHP1のサイズよりも小さくなっている必要があり、さらに言えば、半導体チップCHP2のサイズは、ソースパッドSPjのサイズよりも小さくなっている必要がある。
【0074】
続いて、図5に示すように、半導体チップCHP1の表面に形成されているゲートパッドGPjと、ソースリードSLの先端部に形成されているソースリードポスト部SPSTがワイヤWgjで電気的に接続されている。そして、半導体チップCHP2の表面に形成されているソースパッドSPmと、ソースリードSLの先端部に形成されているソースリードポスト部SPSTがワイヤWsmで電気的に接続されている。また、半導体チップCHP2の表面に形成されているゲートパッドGPmと、ゲートリードGLの先端部に形成されているゲートリードポスト部GPSTがワイヤWgmで電気的に接続されている。ここで、ソースリードポスト部SPSTのワイヤWgjおよびワイヤWsmが接続されている領域と、ゲートリードポスト部GPSTのワイヤWgmが接続されている領域は、チップ搭載部PLT1の上面やチップ搭載部PLT2の上面よりも高い位置に位置するように構成されている。
【0075】
このように構成されているパッケージPKG3においては、半導体チップCHP1、半導体チップCHP2、チップ搭載部PLTの一部、ドレインリードDLの一部、ソースリードSLの一部、ゲートリードGLの一部、および、ワイヤWgj、Wgm、Wsmが、少なくとも、封止体で封止されている。なお、チップ搭載部PLTの下面は、封止体から露出するように構成されていてもよい。この場合、半導体チップCHP1や半導体チップCHP2で発生した熱を、チップ搭載部PLTの下面から効率良く放散させることができる。
【0076】
この封止体は、例えば、直方体形状をしており、第1側面と、この第1側面と対向する第2側面とを有している。この場合、例えば、封止体の第1側面から、ドレインリードDLの一部、ソースリードSLの一部、ゲートリードGLの一部が突出している。これらの突出したドレインリードDLの一部、ソースリードSLの一部、ゲートリードGLの一部が外部接続端子として機能することになる。
【0077】
本変形例1におけるパッケージPKG3は上記のように構成されており、以下に、本変形例1におけるパッケージPKG3の特徴点について説明する。まず、本変形例1における特徴点は、図5に示すように、接合FETを形成した半導体チップCHP1の表面に設けられているゲートパッドGPjと、ソースリードSLとをできるだけ近づけるように配置する点にある。具体的に、本変形例1では、半導体チップCHP1をドレインリードDLに対してソースリードSLが配置されている側と同じ側に配置している。つまり、半導体チップCHP1は、図5に示す中心線a-a´に対して右側に偏って配置されている。これにより、半導体チップCHP1をソースリードSLに近づけることができる。そして、本変形例1では、半導体チップCHP1をチップ搭載部PLTの中央部に配置するのではなく、チップ搭載部PLTのソースリードSLに最も近い辺へ近づくように半導体チップCHP1を配置している。つまり、半導体チップCHP1は、図5に示す中心線b-b´に対して手前側(下側)に偏って配置されている。これにより、半導体チップCHP1をソースリードSLに最も近づくように配置することができる。言い換えれば、本変形例1においては、半導体チップCHP1の表面に形成されているゲートパッドGPjが、その他のリード(ドレインリードDLやゲートリードGL)よりもソースリードSLに近づくように配置されていることになる。この結果、本変形例1によれば、ゲートパッドGPjとソースリードSLとの間の距離を短くすることができるため、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを短くすることができる。特に、本変形例1では、ソースリードSLのうち、ゲートパッドGPjに近い先端部に存在する幅広のソースリードポスト部SPSTでワイヤWgjを接続する構成を取っているので、さらに、ワイヤWgjの長さを短くすることができる。ワイヤWgjの長さを短くできるということは、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンス(図2のLgi1やLgi2)を低減できることを意味する。すなわち、本変形例1によれば、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンスを充分に低減できる。このことから、上述した第2のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本変形例1によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0078】
ここで、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを短くする観点からは、半導体チップCHP1のソースリードSLに最も近い辺側に、ゲートパッドGPjを偏って配置することが考えられる。ところが、本変形例1では、図5に示すように、半導体チップCHP1の右辺側に沿うとともに、右辺中央部に対して対称となるように、ゲートパッドGPjが配置されている。これは、以下に示す理由による。すなわち、ゲートパッドGPjは、半導体チップCHP1の内部に形成されている複数の接合FETの各ゲート電極とゲート配線によって接続されている。このことから、例えば、ゲートパッドGPjを右辺中央部に対して対称となるように配置することにより、複数の接合FETの各ゲート電極とゲートパッドGPjを接続するゲート配線の距離のばらつきを抑制できるのである。このことは、半導体チップCHP1内に形成されている複数の接合FETの特性を揃えて利用できることを意味している。このような理由から、本変形例1では、半導体チップCHP1の右辺中央部に対して対称となるように、ゲートパッドGPjを配置しているのである。
【0079】
なお、本変形例1では、図5に示すように、ゲートパッドGPjは、ワイヤWgjによって、ソースリードSLと電気的に接続され、かつ、ゲートパッドGPmは、ワイヤWgmによって、ゲートリードGLと電気的に接続されている。このとき、ワイヤWgjの太さ(幅)は、ワイヤWgmの太さ(幅)よりも太く構成することが望ましい。なぜなら、ワイヤWgjに存在する寄生抵抗が大きくなると、第3のメカニズムによって、MOSFETへ絶縁耐圧以上の電圧が印加されることになってしまうからである。したがって、ワイヤWgjに存在する寄生抵抗を低減する観点から、ワイヤWgjの太さをその他のワイヤよりも太くする構成を取ることが望ましい。これにより、接合FETのゲート電極とスイッチング素子のソース(MOSFETのソースということもできる)との間の寄生抵抗を低減できることから、上述した第3のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本変形例1によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0080】
次に、本変形例1におけるさらなる特徴点について説明する。本変形例1におけるさらなる特徴点は、図5に示すように、MOSFETを形成した半導体チップCHP2の表面に設けられているソースパッドSPmと、ソースリードSL(ソースリードポスト部SPST)とを複数本のワイヤWsmで接続する点にある。これにより、MOSFETのソースとソースリードSLとの間の寄生抵抗および寄生インダクタンスを低減することができる。この結果、MOSFETのソースの電位がソースリードSLから供給されるGND電位(基準電位)から変動することを抑制でき、MOSFETのソースをGND電位に確実に固定することができる。さらには、MOSFETのソースとソースリードSLとの間の寄生抵抗が低減されることから、カスコード接続されたスイッチング素子のオン抵抗を低減することもできる。このように、本変形例1におけるさらなる特徴点によれば、パッケージPKG3に形成されているカスコード接続されたスイッチング素子の電気的特性の向上を図ることができる。
【0081】
続いて、本変形例1に特有の特徴点について説明する。本変形例1に特有の特徴点は、図5に示すように、接合FETを形成した半導体チップCHP1上に、MOSFETを形成した半導体チップCHP2が搭載されている点である。これにより、半導体チップCHP1の表面に形成されているソースパッドSPjと、半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極とを直接接続することができる。つまり、本変形例1によれば、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとをワイヤを使用せずに、直接接続することができる。このことは、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとの間に介在する寄生インダクタンスをほぼ完全に削除できることを意味する。すなわち、本変形例1に特有の特徴点は、半導体チップCHP1上に直接半導体チップCHP2を搭載している点にあり、この構成によって、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとを接続するためにワイヤが不要となるのである。ワイヤを使用する場合、ワイヤに存在する寄生インダクタンスが問題となるが、本変形例1によれば、ワイヤを使用せずに、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとを直接接続することができるので、MOSFETのドレインと接合FETのソースとの間の寄生インダクタンス(図2のLse1、Lse2)をほぼ完全になくすことができる。以上のことから、本変形例1に特有の特徴点によれば、上述した第1のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本変形例1によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0082】
本変形例1におけるパッケージPKG3によれば、チップ搭載部PLT上に半導体チップCHP1と半導体チップCHP2とを積層して配置している。このことから、本変形例1におけるパッケージPKG3では、パッケージ内に1つのチップ搭載部PLTを有する構造でもよく、したがって、パッケージ内に1つのチップ搭載部しか有さない既存の汎用パッケージをそのまま流用することができる。すなわち、本変形例1におけるパッケージPKG3によれば、いわゆる安価な汎用パッケージをそのまま流用することができるため、カスコード接続された高性能なスイッチング素子を安価に提供することができる。言い換えれば、本変形例1によれば、カスコード接続された高性能なスイッチング素子を形成したパッケージPKG3のコスト削減を図ることができる。
【0083】
また、本変形例1によれば、接合FETを形成した半導体チップCHP1と、MOSFETを形成した半導体チップCHP2とを積層しているため、半導体チップの実装面積を低減できる利点も得られる。特に、この場合、図5に示すように、チップ搭載部PLTに大きなスペースを確保することができるため、半導体チップCHP1や半導体チップCHP2で発生した熱を効率良く放散することもできる。さらには、本変形例1によれば、スイッチング素子の実装面積を低減することができるため、従来は、パッケージ外部のプリント基板上に配置していたフリーホイールダイオード(還流ダイオード)を、スイッチング素子と一緒のパッケージに実装できる利点も得られる。この結果、本変形例1によれば、プリント基板の実装面積削減にも寄与することができ、これによって、電源システムに代表されるシステム全体のコスト削減を図ることができる。
【0084】
続いて、本変形例1におけるスイッチング素子の他の実装形態の一例について説明する。図6は、本変形例1におけるパッケージPKG4の実装構成を示す図である。図6に示すパッケージPKG4と、図5に示すパッケージPKG3との相違点は、半導体チップCHP1の表面に形成されているゲートパッドGPjの配置位置が異なる点である。具体的に、図5に示すパッケージPKG3では、半導体チップCHP1の右辺側に沿うとともに、右辺中央部に対して対称となるように、ゲートパッドGPjが配置されていた。これに対し、図6に示すパッケージPKG4では、半導体チップCHP1のソースリードSLに最も近い辺側に、ゲートパッドGPjが偏って配置されている。この場合、ゲートパッドGPjからソースリードSLまでの距離を最短にすることができる。したがって、図6に示すパッケージPKG4によれば、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを最短にすることができ、これによって、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンスを最小化することができる。このことから、上述した第2のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、図6に示すパッケージPKG4においても、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0085】
本変形例1におけるスイッチング素子の他の実装形態の一例について説明する。図7は、本変形例1におけるパッケージPKG5の実装構成を示す図である。図7に示すパッケージPKG5では、ゲートパッドGPjとソースリードSLとの接続、および、ソースパッドSPmとソースリードSLとの接続に、例えば、銅板(金属板)からなるクリップCLPを使用している。このように銅板を使用することにより、ワイヤよりも導体抵抗が小さくなるので、寄生インダクタンスの低減を図ることができる。つまり、金属板構造をしたクリップCLPを使用することにより、ゲートパッドGPjとソースリードSLとの間に存在する寄生インダクタンス、および、ソースパッドSPmとソースリードSLとの間に存在する寄生インダクタンスを低減することができる。
【0086】
特に、図7に示すパッケージPKG5によれば、ゲートパッドGPjとソースリードSLとの間に存在する寄生インダクタンスを低減できるため、上述した第2のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、図7に示すパッケージPKG5によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。さらに、図7に示すパッケージPKG5によれば、ソースパッドSPmとソースリードSLとの間に存在する寄生インダクタンスも低減できるため、半導体装置の電気的特性の向上も図ることができる。
【0087】
なお、図8は、本変形例1におけるパッケージPKG5の一断面を示す図である。図8に示すように、チップ搭載部PLT上に、導電性接着材PSTを介して、半導体チップCHP1が搭載されており、この半導体チップCHP1上に、導電性接着材(図示せず)を介して、半導体チップCHP2が搭載されている。そして、半導体チップCHP1(ゲートパッド)とソースリードSL、および、半導体チップCHP2(ソースパッド)とソースリードSLがクリップCLPによって電気的に接続されている。なお、破線部は、封止体で覆われる部分を示している。
【0088】
続いて、本変形例1におけるスイッチング素子の他の実装形態の一例について説明する。図9は、本変形例1におけるパッケージPKG6の実装構成を示す図である。図9に示すパッケージPKG6と、図5に示すパッケージPKG3との相違点は、ソースリードSLとドレインリードDLの形成位置が異なる点である。具体的に、図5に示すパッケージPKG3では、一番左側にゲートリードGLが配置され、真中にドレインリードDLが配置され、一番右側にソースリードSLが配置されていた。これに対し、図9に示すパッケージPKG6では、一番左側にゲートリードGLが配置され、真中にソースリードSLが配置され、一番右側にドレインリードDLが配置されている。この場合、図9に示すように、ソースリードSLの配置位置が変更されていることに伴って、チップ搭載部PLTに搭載される半導体チップCHP1の搭載位置が変更されている。つまり、半導体チップCHP1の配置位置が、他のリードよりもソースリードSLに近くなるように変更されている。具体的に、半導体チップCHP1は、図9に示す中心線a-a´に対して対称になるように配置され、かつ、中心線b-b´に対して、手前側(下側)に偏るように配置されている。この結果、図9に示すパッケージPKG6においても、ゲートパッドGPjとソースリードSLとの間の距離を短くすることができる。このため、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを短くすることができる。つまり、図9に示すパッケージPKG6においても、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンスを充分に低減できる。このことから、上述した第2のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、図9に示すパッケージPKG6においても、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0089】
さらに、図9に示すパッケージPKG6に特有な特徴点としては、半導体チップCHP2の表面に形成されているゲートパッドGPmと、ゲートリードGLとを電気的に接続するワイヤWgmの長さを、図5に示すパッケージPKG3に比べて充分に短くすることができる点である。このため、図9に示すパッケージPKG6によれば、ワイヤWgmの寄生抵抗および寄生インダクタンスを低減できることから、本変形例1におけるスイッチング素子の電気的特性を向上させることができる。
【0090】
なお、図10は、本変形例1におけるパッケージPKG6の一断面を示す図である。図10に示すように、チップ搭載部PLT上に、導電性接着材PSTを介して、半導体チップCHP1が搭載されており、この半導体チップCHP1上に、導電性接着材(図示せず)を介して、半導体チップCHP2が搭載されている。そして、半導体チップCHP2(ソースパッド)とソースリードSLがワイヤWsmによって電気的に接続されている。なお、破線部は、封止体で覆われる部分を示している。
【0091】
次に、本変形例1におけるスイッチング素子の他の実装形態の一例について説明する。図11は、本変形例1におけるパッケージPKG7の実装構成を示す図である。図11に示すパッケージPKG7と、図9に示すパッケージPKG6との相違点は、半導体チップCHP1の表面に形成されているゲートパッドGPjの配置位置が異なる点である。具体的に、図9に示すパッケージPKG6では、半導体チップCHP1の右辺側に沿うとともに、右辺中央部に対して対称となるように、ゲートパッドGPjが配置されていた。これに対し、図11に示すパッケージPKG7では、半導体チップCHP1のソースリードSLに最も近い辺側に、ゲートパッドGPjが偏って配置されている。この場合、ゲートパッドGPjからソースリードSLまでの距離を最短にすることができる。したがって、図11に示すパッケージPKG7によれば、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを最短にすることができ、これによって、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンスを最小化することができる。このことから、上述した第2のメカニズムによるMOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、図11に示すパッケージPKG7においても、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0092】
続いて、本実施の形態1におけるスイッチング素子、および、本変形例におけるスイッチング素子に存在する寄生インダクタンスについて、従来技術におけるスイッチング素子に存在する寄生インダクタンスと対比して説明する。図12は、カスコード接続されたスイッチング素子の回路図を寄生インダクタンスとともに示す図である。具体的に、図12(a)は、従来技術におけるスイッチング素子とともに寄生インダクタンスの存在位置を示す回路図であり、図12(b)は、本実施の形態1におけるスイッチング素子とともに寄生インダクタンスの存在位置を示す回路図である。また、図12(c)は、本変形例1におけるスイッチング素子とともに寄生インダクタンスの存在位置を示す回路図である。
【0093】
まず、図12(a)からわかるように、従来技術のカスコード接続されたスイッチング素子では、接合FETQ1のソースと、MOSFETQ2のドレインとを接続する中間ノードSeに寄生インダクタンスLseが存在し、MOSFETQ2のソースと、スイッチング素子のソースSとの間に寄生インダクタンスLsが存在する。また、接合FETのゲート電極と、スイッチング素子のソースSとの間に寄生インダクタンスLgiが存在し、MOSFETのゲート電極Gmに寄生インダクタンスが存在する。
【0094】
これに対し、図12(b)に示すように、本実施の形態1のカスコード接続されたスイッチング素子では、寄生インダクタンスLse、寄生インダクタンスLs、および、寄生インダクタンスLgiが、図12(a)に示す従来技術のカスコード接続されたスイッチング素子に比べて低減されている。これは、例えば、図3に示すように、本実施の形態1では、チップ搭載部PLT1の配置位置と半導体チップCHP1の配置位置とゲートパッドGPjの配置位置を工夫することにより、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjを短くする構成を取っている点と、ソースパッドSPjとチップ搭載部PLT2とを接続するワイヤWdsを複数本で構成している点に基づくものである。これにより、本実施の形態1によれば、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本実施の形態1によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができるのである。
【0095】
また、図12(c)に示すように、本変形例1のカスコード接続されたスイッチング素子では、本実施の形態1と同様に、寄生インダクタンスLs、および、寄生インダクタンスLgiを、図12(a)に示す従来技術のカスコード接続されたスイッチング素子に比べて低減することができる。さらに、本変形例1では、接合FETQ1のソースと、MOSFETQ2のドレインとを接続する中間ノードSeに存在する寄生インダクタンスLseをほぼ完全に削除することができる。これは、例えば、図5に示すように、接合FETを形成した半導体チップCHP1上に、MOSFETを形成した半導体チップCHP2が搭載されているからである。これにより、半導体チップCHP1の表面に形成されているソースパッドSPjと、半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極とを直接接続することができる。つまり、本変形例1によれば、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとをワイヤを使用せずに、直接接続することができる。このため、本変形例1によれば、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとの間に介在する寄生インダクタンスをほぼ完全に削除できるのである。これにより、本変形例1によれば、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本変形例1によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0096】
<変形例2>
次に、本変形例2におけるパッケージPKG8の実装構成について説明する。図13は、本変形例2におけるパッケージPKG8の実装構成を示す図である。図13に示すパッケージPKG8の構成は、図3に示すパッケージPKG1の構成とほぼ同様である。異なる点は、パッケージの外形形状である。このように本発明の技術的思想は、図3に示すパッケージPKG1に適用できるだけでなく、図13に示すようなパッケージPKG8にも適用することができる。つまり、スイッチング素子を実装構成するパッケージには、様々な種類の汎用パッケージがあり、本発明の技術的思想は、例えば、図3に示すパッケージPKG1や図13に示すパッケージPKG8に代表される多様な汎用パッケージを改良して実現することができる。具体的に、図13に示すパッケージPKG8においても、例えば、ゲートパッドGPjとソースリードSLとの間の距離を短くすることができるため、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを短くすることができる。このことから、図13に示すパッケージPKG8においても、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンスを充分に低減できる。このことから、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、図13に示すパッケージPKG8においても、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0097】
なお、図14は、本変形例2におけるパッケージPKG8の一断面を示す図である。図14に示すように、チップ搭載部PLT2上に、導電性接着材PSTを介して、半導体チップCHP2が搭載されている。そして、例えば、半導体チップCHP2(ゲートパッド)とゲートリードGL(ゲートリードポスト部GPST)が、ワイヤWgmによって電気的に接続されている。なお、破線部は、封止体で覆われる部分を示している。
【0098】
続いて、本変形例2におけるスイッチング素子の他の実装形態の一例について説明する。図15は、本変形例2におけるパッケージPKG9の実装構成を示す図である。図15に示すパッケージPKG9の構成は、図5に示すパッケージPKG3の構成とほぼ同様である。異なる点は、パッケージの外形形状である。このように本発明の技術的思想は、図5に示すパッケージPKG3に適用できるだけでなく、図15に示すようなパッケージPKG9にも適用することができる。つまり、スイッチング素子を実装構成するパッケージには、様々な種類の汎用パッケージがあり、本発明の技術的思想は、例えば、図5に示すパッケージPKG3や図15に示すパッケージPKG9に代表される多様な汎用パッケージに適用することができる。具体的に、図15に示すパッケージPKG9によっても、接合FETを形成した半導体チップCHP1上に、MOSFETを形成した半導体チップCHP2を搭載しているため、ソースパッドSPjと、半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極とを直接接続することができる。このことから、図15に示すパッケージPKG9によっても、ワイヤを使用せずに、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとを直接接続することができるので、MOSFETのドレインと接合FETのソースとの間の寄生インダクタンス(図2のLse1、Lse2)をほぼ完全になくすことができる。したがって、図15に示すパッケージPKG9によっても、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本変形例2によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0099】
なお、図16は、本変形例2におけるパッケージPKG9の一断面を示す図である。図16に示すように、チップ搭載部PLT上に、導電性接着材PSTを介して、半導体チップCHP1が搭載され、この半導体チップCHP1上に、導電性接着材(図示せず)を介して、半導体チップCHP2が搭載されている。そして、例えば、半導体チップCHP2(ゲートパッド)とゲートリードGL(ゲートリードポスト部GPST)が、ワイヤWgmによって電気的に接続されている。なお、破線部は、封止体で覆われる部分を示している。
【0100】
<変形例3>
次に、本変形例3におけるパッケージPKG10の実装構成について説明する。図17は、本変形例3におけるパッケージPKG10の実装構成を示す図である。図17に示すパッケージPKG10の構成は、図3に示すパッケージPKG1の構成とほぼ同様である。異なる点は、パッケージの外形形状である。このように本発明の技術的思想は、図3に示すパッケージPKG1に適用できるだけでなく、図17に示すようなパッケージPKG10にも適用することができる。つまり、スイッチング素子を実装構成するパッケージには、様々な種類の汎用パッケージがあり、本発明の技術的思想は、例えば、図3に示すパッケージPKG1や図17に示すパッケージPKG10に代表される多様な汎用パッケージを改良して実現することができる。具体的に、図17に示すパッケージPKG10においても、例えば、ゲートパッドGPjとソースリードSLとの間の距離を短くすることができるため、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを短くすることができる。このことから、図17に示すパッケージPKG10においても、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンスを充分に低減できる。このことから、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、図17に示すパッケージPKG10においても、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0101】
なお、図18は、本変形例3におけるパッケージPKG10の一断面を示す図である。図18に示すように、チップ搭載部PLT1上に、導電性接着材PSTを介して、半導体チップCHP1が搭載されている。そして、例えば、半導体チップCHP1(ゲートパッドGPj)とソースリードSL(ソースリードポスト部SPST)が、ワイヤWgjによって電気的に接続されている。なお、破線部は、封止体で覆われる部分を示している。
【0102】
続いて、本変形例3におけるスイッチング素子の他の実装形態の一例について説明する。図19は、本変形例3におけるパッケージPKG11の実装構成を示す図である。図19に示すパッケージPKG11の構成は、図5に示すパッケージPKG3の構成とほぼ同様である。異なる点は、パッケージの外形形状である。このように本発明の技術的思想は、図5に示すパッケージPKG3に適用できるだけでなく、図19に示すようなパッケージPKG11にも適用することができる。つまり、スイッチング素子を実装構成するパッケージには、様々な種類の汎用パッケージがあり、本発明の技術的思想は、例えば、図5に示すパッケージPKG3や図19に示すパッケージPKG11に代表される多様な汎用パッケージに適用することができる。具体的に、図19に示すパッケージPKG11によっても、接合FETを形成した半導体チップCHP1上に、MOSFETを形成した半導体チップCHP2を搭載しているため、ソースパッドSPjと、半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極とを直接接続することができる。このことから、図19に示すパッケージPKG11によっても、ワイヤを使用せずに、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとを直接接続することができるので、MOSFETのドレインと接合FETのソースとの間の寄生インダクタンス(図2のLse1、Lse2)をほぼ完全になくすことができる。したがって、図19に示すパッケージPKG11によっても、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本変形例3によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0103】
なお、図20は、本変形例3におけるパッケージPKG11の一断面を示す図である。図20に示すように、チップ搭載部PLT上に、導電性接着材PSTを介して、半導体チップCHP1が搭載され、この半導体チップCHP1上に、導電性接着材(図示せず)を介して、半導体チップCHP2が搭載されている。そして、例えば、半導体チップCHP2(ゲートパッド)とゲートリードGL(ゲートリードポスト部GPST)が、ワイヤWsmによって電気的に接続されている。なお、破線部は、封止体で覆われる部分を示している。
【0104】
<変形例4>
次に、本変形例4におけるパッケージPKG12の実装構成について説明する。図21は、本変形例4におけるパッケージPKG12の実装構成を示す図である。図21に示すパッケージPKG12の構成は、図3に示すパッケージPKG1の構成とほぼ同様である。異なる点は、パッケージの外形形状である。具体的に、本変形例4におけるパッケージPKG12のパッケージ形態は、SOP(Small Outline Package)となっている。このように本発明の技術的思想は、図3に示すパッケージPKG1に適用できるだけでなく、図21に示すようなパッケージPKG12にも適用することができる。つまり、スイッチング素子を実装構成するパッケージには、様々な種類の汎用パッケージがあり、本発明の技術的思想は、例えば、図3に示すパッケージPKG1や図21に示すパッケージPKG12に代表される多様な汎用パッケージを改良して実現することができる。具体的に、図21に示すパッケージPKG12においても、例えば、ゲートパッドGPjとソースリードSLとの間の距離を短くすることができるため、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを短くすることができる。このことから、図21に示すパッケージPKG12においても、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンスを充分に低減できる。このことから、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、図21に示すパッケージPKG12においても、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0105】
なお、図22は、本変形例4におけるパッケージPKG12の一断面を示す図である。図22に示すように、チップ搭載部PLT1上に、導電性接着材(図示せず)を介して、半導体チップCHP1が搭載されている。そして、例えば、半導体チップCHP1(ゲートパッドGPj)とソースリードSL(ソースリードポスト部SPST)が、ワイヤWgjによって電気的に接続されている。なお、本変形例4においては、例えば、図22に示すように、チップ搭載部PLT1、半導体チップCHP1、ワイヤWgjやリードの一部分などが、樹脂からなる封止体MRによって封止されている。このとき、図21と図22から類推できるように、パッケージPKG12(SOPパッケージ)において、封止体MRは、略直方体形状をしており、第1側面と、この第1側面と対向する第2側面とを有する。そして、ゲートリードGL、および、ソースリードSLは、封止体MRの第1側面から突出するように構成され、ドレインリードDLは、封止体MRの第2側面から突出するように構成されている。
【0106】
続いて、本変形例4におけるスイッチング素子の他の実装形態の一例について説明する。図23は、本変形例4におけるパッケージPKG13の実装構成を示す図である。図23に示すパッケージPKG13の構成は、図5に示すパッケージPKG3の構成とほぼ同様である。異なる点は、パッケージの外形形状である。具体的に、本変形例4におけるパッケージPKG13のパッケージ形態は、SOP(Small Outline Package)となっている。このように本発明の技術的思想は、図5に示すパッケージPKG3に適用できるだけでなく、図23に示すようなパッケージPKG13にも適用することができる。つまり、スイッチング素子を実装構成するパッケージには、様々な種類の汎用パッケージがあり、本発明の技術的思想は、例えば、図5に示すパッケージPKG3や図23に示すパッケージPKG13に代表される多様な汎用パッケージに適用することができる。具体的に、図23に示すパッケージPKG13によっても、接合FETを形成した半導体チップCHP1上に、MOSFETを形成した半導体チップCHP2を搭載しているため、ソースパッドSPjと、半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極とを直接接続することができる。このことから、図23に示すパッケージPKG13によっても、ワイヤを使用せずに、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとを直接接続することができるので、MOSFETのドレインと接合FETのソースとの間の寄生インダクタンス(図2のLse1、Lse2)をほぼ完全になくすことができる。したがって、図23に示すパッケージPKG13によっても、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本変形例4によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0107】
なお、図24は、本変形例4におけるパッケージPKG13の一断面を示す図である。図24に示すように、チップ搭載部PLT上に、導電性接着材(図示せず)を介して、半導体チップCHP1が搭載され、この半導体チップCHP1上に、導電性接着材(図示せず)を介して、半導体チップCHP2が搭載されている。そして、例えば、半導体チップCHP1(ゲートパッドGPj)とソースリードSL(ソースリードポスト部SPST)が、ワイヤWgjによって電気的に接続されている。なお、本変形例4においては、例えば、図24に示すように、チップ搭載部PLT、半導体チップCHP1、半導体チップCHP2、ワイヤWgjやリードの一部分などが、樹脂からなる封止体MRによって封止されている。このとき、封止体MRの両側の側面からリードの一部が突出している。
【0108】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、パッケージ構造に関する工夫点について説明したが、本実施の形態2では、デバイス構造に関する工夫点について説明する。
【0109】
<積層半導体チップのレイアウト構成>
図25は、本実施の形態2における半導体チップのレイアウト構成を示す図である。以下に示す半導体チップのレイアウト構成は、例えば、シリコンカーバイド(Si)に代表されるシリコン(Si)よりもバンドギャップの大きな物質を材料とする接合FETを形成した半導体チップCHP1上に、シリコン(Si)を材料とするMOSFETを形成した半導体チップCHP2を積層して搭載する例を示している。図25において、半導体チップCHP1は矩形形状をしており、この矩形形状をした半導体チップCHP1の外周領域にターミネーション領域TMjが形成されている。このターミネーション領域TMjは、耐圧を確保するために設けられている領域である。そして、ターミネーション領域TMjの内側領域がアクティブ領域ACTjとなっている。このアクティブ領域ACTjに複数の接合FETが形成されている。
【0110】
半導体チップCHP1の外周領域にターミネーション領域TMjが設けられているが、ターミネーション領域TMjの一部が内部に入り込むようになっており、この領域にゲートパッドGPjが形成されている。このゲートパッドGPjは、アクティブ領域ACTjに形成される複数の接合FETの各ゲート電極とゲート配線を介して接続されている。ここで、図25では、ゲートパッドGPjが、半導体チップCHP1の右辺中央部に配置されている。言い換えれば、ゲートパッドGPjは、右辺に偏って配置されるとともに、左右に延在する中心線に対して対称となるように配置されている。これにより、複数の接合FETの各ゲート電極とゲートパッドGPjを接続するゲート配線の距離のばらつきを抑制できる。このため、図25に示すレイアウト構成によれば、半導体チップCHP1内に形成されている複数の接合FETの特性を揃えて利用できる利点が得られる。
【0111】
半導体チップCHP1のアクティブ領域ACTj上には、ソースパッドSPjが形成されている。このソースパッドSPjは、アクティブ領域ACTjに形成されている接合FETのソース領域と電気的に接続されている。そして、このソースパッドSPj上に、矩形形状をした半導体チップCHP2が搭載されている。この半導体チップCHP2には、複数のMOSFETが形成されており、半導体チップCHP2の主面にソースパッドSPmと、ゲートパッドGPmが形成されている。ソースパッドSPmは、MOSFETのソース領域と電気的に接続され、ゲートパッドGPjは、MOSFETのゲート電極と電気的に接続されている。
【0112】
図26は、本実施の形態2における積層半導体チップの他のレイアウト構成を示す図である。図26に示すレイアウト構成は、図25に示すレイアウト構成とほぼ同様である。図26と図25の異なる点は、図25に示すレイアウト構成では、ゲートパッドGPjが、右辺中央部に配置されているのに対し、図26に示すレイアウト構成では、ゲートパッドGPjが、半導体チップCHP1の右下角部に偏って配置されている点である。このように図26では、半導体チップCHP1の右下角部に配置することにより、例えば、図6に示すように、ゲートパッドGPjからソースリードSLまでの距離を最短にすることができる。つまり、図26に示すレイアウト構成を採用することにより、ゲートパッドGPjとソースリードSLとを接続するワイヤWgjの長さを最短にすることができ、これによって、ワイヤWgjに存在する寄生インダクタンスを最小化することができる。
【0113】
続いて、図27は、図25および図26のA-A線で切断した断面図である。図27に示すように、半導体基板SUBjの裏面にドレイン電極DEjが形成されており、半導体基板SUBjの主面(表面)にドリフト層DFTjが形成されている。そして、ドリフト層DFTj上にアクティブ領域ACTjが形成されており、このアクティブ領域ACTjに接合FETのゲート電極およびソース領域が形成されている。アクティブ領域ACTjの端部には、耐圧を確保するためのターミネーション領域TMjが形成されており、アクティブ領域ACTj上にソースパッドSPjが形成されている。このソースパッドSPjの端部を覆うように、例えば、酸化シリコン膜からなる絶縁膜IL1が形成されている。ここまでの構成が、接合FETを形成した半導体チップCHP1の構造であり、この接合FETを形成した半導体チップCHP1上に、MOSFETを形成した半導体チップCHP2が搭載されている。
【0114】
具体的には、露出しているソースパッドSPj上に、例えば、導電性接着材(図示せず)を介して、ドレイン電極DEmが接触している。このドレイン電極DEmは、半導体基板SUBmの裏面に形成されており、半導体基板SUBmの裏面と反対側の主面(表面)には、ドリフト層DFTmが形成されている。そして、ドリフト層DFTmにアクティブ領域ACTmが形成されており、アクティブ領域ACTmの両端部に、耐圧を確保するためのターミネーション領域TMmが形成されている。このアクティブ領域ACTmには、MOSFETのゲート電極およびソース領域が形成されている。アクティブ領域ACTmとターミネーション領域TMmに跨るようにソースパッドSPmが形成されている。このソースパッドSPmの端部を覆うように絶縁膜IL2が形成されているが、ソースパッドSPmの大部分の表面領域は、絶縁膜IL2から露出している。このようにして、接合FETを形成した半導体チップCHP1上に、MOSFETを形成した半導体チップCHP2が搭載されている。
【0115】
図27に示すように、ソースパッドSPjに内包されるように、半導体チップCHP2が半導体チップCHP1上に搭載されている。したがって、半導体チップCHP2の裏面に形成されているドレイン電極DEmが、半導体チップCHP1の表面に形成されているソースパッドSPjと、ワイヤを介さず、導電性接着材(図示せず)で直接接触している。このことは、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとの間に介在する寄生インダクタンスをほぼ完全に削除できることを意味する。すなわち、図27に示すように、半導体チップCHP1上に直接半導体チップCHP2を搭載する構成によって、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとを接続するためにワイヤが不要となるのである。ワイヤを使用する場合、ワイヤに存在する寄生インダクタンスが問題となるが、本実施の形態2におけるレイアウト構成によれば、ワイヤを使用せずに、接合FETのソースと、MOSFETのドレインとを直接接続することができる。このことから、MOSFETのドレインと接合FETのソースとの間の寄生インダクタンス(図2のLse1、Lse2)をほぼ完全になくすことができる。以上のことから、本実施の形態2によれば、MOSFETへの絶縁耐圧以上の電圧印加を抑制することができ、これによって、カスコード接続されたMOSFETのアバランシェ破壊を効果的に抑制することができる。この結果、本実施の形態2によれば、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【0116】
また、図27に示すように、本実施の形態2におけるレイアウト構成によれば、アクティブ領域ACTj上にソースパッドSPjを配置しているため、接合FETを流れる電流を大きくすることができる。そして、この場合、ソースパッドSPjの大面積化も可能であるため、ソースパッドSPj上に搭載される半導体チップCHP2の面積も大きくすることができる。すなわち、半導体チップCHP2の面積を大きくすることができるということは、半導体チップCHP2内に形成されるMOSFETの数を増加できることを意味し、この結果、複数のMOSFET全体を流れる電流を大きくすることができる。このように、本実施の形態2におけるレイアウト構成によれば、複数の接合FET全体を流れる電流、および、複数のMOSFET全体を流れる電流を大きくすることができるので、接合FETとMOSFETとをカスコード接続したスイッチング素子の大電流化を容易に実現することができる。さらに、本実施の形態2によれば、シリコンに比べて原理的に高耐圧および低オン抵抗を実現可能なシリコンカーバイドを利用した接合FETを使用しているため、大電流化、高耐圧化、および、低オン抵抗化を両立できるスイッチング素子を提供することができる。
【0117】
<レイアウト構成の変形例>
続いて、本実施の形態2における積層半導体チップの他のレイアウト構成について説明する。図28は、本変形例における積層半導体チップのレイアウト構成を示す図である。図28に示すように、半導体チップCHP1は矩形形状をしており、この矩形形状をした半導体チップCHP1の外周領域にターミネーション領域TMjが形成されている。そして、ターミネーション領域TMjの内側領域に、アクティブ領域ACTj、ゲートパッドGPj、および、ソースパッドSPjが形成されている。ここで、本変形例の特徴は、アクティブ領域ACTj、ゲートパッドGPj、および、ソースパッドSPjが平面的に重ならないように配置されている点である。つまり、図28に示すように、接合FETが形成されるアクティブ領域ACTjは、ゲートパッドGPjやソースパッドSPjを避けるように配置されている。そして、ソースパッドSPj上に半導体チップCHP2が搭載されている。
【0118】
また、図29は、本変形例における積層半導体チップの他のレイアウト構成を示す図である。図29に示すレイアウト構成は、図28に示すレイアウト構成とほぼ同様である。図29と図28の異なる点は、図28に示すレイアウト構成では、ゲートパッドGPjが、右辺中央部に配置されているのに対し、図29に示すレイアウト構成では、ゲートパッドGPjが、半導体チップCHP1の右下角部に偏って配置されている点である。
【0119】
次に、図30は、図28および図29のA-A線で切断した断面図である。図30に示すように、半導体基板SUBjの裏面にドレイン電極DEjが形成されており、半導体基板SUBjの主面(表面)にドリフト層DFTjが形成されている。このドリフト層DFTjには、アクティブ領域ACTjが形成されており、アクティブ領域ACTjの外側領域にターミネーション領域TMjが形成されている。アクティブ領域ACTjには、接合FETのゲート電極GEやソース領域SRが形成されている。そして、アクティブ領域ACTj上およびターミネーション領域TMj上には、絶縁膜IL1が形成されており、この絶縁膜IL1上にソースパッドSPjが形成されている。ここで、本変形例において、重要な点は、ソースパッドSPjがアクティブ領域ACTjには形成されておらず、ターミネーション領域TMj上に形成されている点である。すなわち、本変形例では、平面視において、アクティブ領域ACTjとソースパッドSPjは重ならないように配置されており、ソースパッドSPjは、ターミネーション領域TMj上に配置される。なお、図30では、ソースパッドSPj上に配置される半導体チップCHP2の図示を省略している。つまり、図30においても、図27と同様に、ソースパッドSPjに半導体チップCHP2が搭載されるが、その構成は、同様であるため、図30では、ソースパッドSPj上に配置される半導体チップCHP2の図示を省略している。
【0120】
このように構成されている本変形例によれば、以下に示す効果を得ることができる。すなわち、ソースパッドSPj上には半導体チップCHP2が搭載される。この場合、ソースパッドSPjに応力がかかる。ところが、本変形例では、このソースパッドSPjの直下領域に、接合FETを形成したアクティブ領域ACTjが形成されていないため、アクティブ領域ACTjに応力が印加されることを防止できる。つまり、本変形例によれば、アクティブ領域ACTjに不必要な応力が印加されることを防止できることから、アクティブ領域ACTjに形成されている接合FETの機械的な破壊を防止することができる。
【0121】
また、ソースパッドSPj上に搭載される半導体チップCHP2の表面には、ゲートパッドGPmやソースパッドSPmが形成されており、これらのパッドには、ワイヤボンディングによって、ワイヤが接続される。このワイヤボンディング工程でも応力が発生するが、本変形例では、半導体チップCHP2とアクティブ領域ACTjが平面的に重ならないように配置されているため、ワイヤボンディング工程で発生した応力が、アクティブ領域ACTjに直接伝達されることを防止できる。この結果、本変形例における積層半導体チップのレイアウト構成によれば、半導体チップCHP2の搭載時やワイヤボンディング時に発生する応力が、半導体チップCHP1のアクティブ領域ACTjに形成されている接合FETの特性に影響を与えることを抑制できる。すなわち、本変形例によれば、組み立て歩留まりが高く、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0122】
<MOSFETのデバイス構造>
次に、半導体チップCHP2に形成されているMOSFETのデバイス構造の一例について説明する。図31は、本実施の形態2におけるMOSFETのデバイス構造の一例を示す断面図である。図31に示すように、例えば、n型不純物を導入したシリコンからなる半導体基板SUBmの裏面には、例えば、金膜からなるドレイン電極DEmが形成されている一方、半導体基板SUBmの主面側には、n型半導体領域からなるドリフト層DFTmが形成されている。ドリフト層DFTmには、p型半導体領域からなるボディ領域PRが形成されており、このボディ領域PRに内包されるように、n型半導体領域からなるソース領域SRが形成されている。このソース領域SRとドリフト層DFTmで挟まれた、ボディ領域PRの表面領域がチャネル形成領域として機能する。そして、ソース領域SRとボディ領域PRの両方に電気的に接続するようにソース電極SEが形成されている。さらに、チャネル形成領域上を含むドリフト層DFTmの表面には、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GOXが形成されており、このゲート絶縁膜GOX上にゲート電極Gが形成されている。
【0123】
このように構成されているMOSFETでは、例えば、ソース領域SRから、ボディ領域PRの表面に形成されたチャネル形成領域を通って、ドリフト層DFTmから半導体基板SUBmの裏面に形成されているドレイン電極DEmへ電子が流れるように構成されており、いわゆる縦型MOSFETと呼ばれる構造である。この縦型MOSFETの利点は、半導体チップCHP2に高密度に形成できるため、電流密度の大きなMOSFETとなる点である。したがって、縦型MOSFETを本発明のスイッチング素子に利用することにより、電流密度の大きなスイッチング素子を実現することができる。
【0124】
例えば、図28や図29に示すレイアウト構成の場合、アクティブ領域ACTjに形成されている接合FETへの応力に基づく特性劣化を効果的に防止できるが、その一方で、ソースパッドSPjの面積が比較的小さくなる。この場合、ソースパッドSPj上に配置されるMOSFETを形成した半導体チップCHP2の面積も比較的小さくなるが、半導体チップCHP2に形成されるMOSFETとして、図31に示す縦型MOSFETを使用すれば、小さなチップ面積でも、比較的大きな電流密度のMOSFETを実現することができる。この結果、カスコード接続されたスイッチング素子全体の電流密度を大きくすることができる。つまり、特に、図28や図29に示すレイアウト構成を取ることにより、MOSFETを形成した半導体チップCHP2の面積が小さくなる場合であっても、図31に示す縦型MOSFETを使用することで、アクティブ領域ACTjに形成されている接合FETへの応力に基づく特性劣化を効果的に防止しながら、大電流を確保できる高性能なスイッチング素子を提供することができる。
【0125】
<本発明者が見出した課題>
次に、本発明者が見出した新たな課題について説明する。図32は、カスコード接続されたスイッチング素子における電流経路を示す図である。図32(a)は、オン時の電流経路を示す図であり、図32(b)は、オフ時に流れるリーク電流の電流経路を示す図である。図32(a)に示すように、オン時においては、定格電流Idが接合FETQ1のドレインからMOSFETQ2のソースへ流れる。すなわち、カスコード接続されたスイッチング素子のドレインDからソースSに向って定格電流Idが流れる。このとき、MOSFETQ2がカットオフされる前のMOSFETQ2のドレイン電圧(中間ノードSeの電圧)は、MOSFETQ2のオン抵抗と定格電流Idの積から求めることができる。例えば、オン抵抗が10mΩで、定格電流Idが40Aであれば、中間ノードSeの電圧は0.4Vである。この中間ノードSeの電圧は、MOSFETQ2のドレイン電圧であるとともに、接合FETQ1のソース電圧でもあるため、接合FETQ1のソース電圧を基準とした接合FETQ1のゲート電圧である電圧Vgsは、-0.4Vである。
【0126】
カスコード接続されたスイッチング素子をオン状態からオフ状態に遷移させる場合、図32(a)に示すように、MOSFETQ2のゲート電極Gmに15Vを印加した状態から、図32(b)に示すように、MOSFETQ2のゲート電極Gmに0Vを印加する。MOSFETQ2は、ノーマリオフ型のMOSFETであるため、ゲート電極Gmに0Vが印加されると、カットオフする。
【0127】
MOSFETQ2をカットオフする過程において、初期段階では、チャネルが徐々に消失するので、MOSFETQ2のドレインとソース間のオン抵抗は徐々に上昇する。カスコード接続されたスイッチング素子に使用されている接合FETQ1は、ノーマリオン型であり、MOSFETQ2をカットオフする初期段階においては、接合FETQ1の電圧Vgsは、-0.4Vであるため、接合FETQ1は、オン状態を維持する。このことから、接合FETQ1のドレイン(例えば、電源電圧300Vのアプリケーションでは、ドレイン電圧が300V程度)から接合FETQ1のソースに向って電流が流れる。したがって、MOSFETQ2のドレイン電圧(中間ノードSeの電圧)は、チャネルの消失に伴って増加するオン抵抗と、接合FETQ1のドレインから流れ込むドレイン電流の積となるため、MOSFETQ2のドレイン電圧(中間ノードSeの電圧)は、0.4Vから徐々に上昇する。
【0128】
その後、MOSFETQ2のチャネルが完全に消失して、MOSFETQ2が完全にカットオフされると、接合FETQ1から流れ込む電流により、中間ノードSeに電荷が蓄積されるため、MOSFETQ2のドレイン電圧(中間ノードSeの電圧)は、さらに上昇し、接合FETQ1のカットオフ電圧(例えば、5V?15V程度)まで上昇する。この状態になると、接合FETQ1がオフして、接合FETQ1のドレイン電流が流れなくなる。すなわち、MOSFETQ2のドレイン電圧(中間ノードSeの電圧)の上昇が止まり、この状態が維持される。
【0129】
しかしながら、カスコード接続されたスイッチング素子において、接合FETQ1の電圧Vgsが-5V?-15V程度になった場合でも、接合FETQ1のドレインとソースとの間にリーク電流Idlが流れる場合があることを本発明者は見出した。このリーク電流Idlが流れると、中間ノードSeに電荷が蓄積されるため、MOSFETQ2のドレイン電圧(中間ノードSeの電圧)は、上昇することになる。このことから、上述したリーク電流Idlが大きくなると、MOSFETQ2のドレイン電圧(中間ノードSeの電圧)が、MOSFETQ2の耐圧以上(例えば、30V以上)の電圧になるおそれが生じる。この結果、MOSFETQ2がアバランシェ動作し、最終的に、MOSFETQ2が破壊されるおそれが生じる。この対策として、耐圧の高い高耐圧なMOSFETを使用すれば、上述したMOSFETのアバランシェ破壊を防止できる可能性は高まるが、高耐圧なMOSFETを使用する場合、耐圧を確保するためにドリフト層を厚く設計する必要がある。このように低濃度のドリフト層の厚さが厚くなると、MOSFETのオン抵抗が増加してしまうため、カスコード接続されたスイッチング素子のオン時における導通損失が増加してしまう問題点が生じる。つまり、カスコード接続されたスイッチング素子の高性能化を確保しつつ、MOSFETのアバランシェ破壊を防止するためには、低濃度のドリフト層を厚くする構成以外の工夫を施す必要があるのである。そこで、本実施の形態2では、カスコード接続されたスイッチング素子の高性能化を確保しつつ、MOSFETのアバランシェ破壊を防止するために、接合FETのデバイス構造に工夫を施している。以下に、この工夫を施した本実施の形態2における接合FETのデバイス構造について説明する。
【0130】
<接合FETのデバイス構造>
図33は、本実施の形態2における接合FETのデバイス構造を示す断面図である。図33に示すように、本実施の形態2における接合FETは、半導体基板SUBjを有し、この半導体基板SUBjの裏面にドレイン電極DEjが形成されている。一方、半導体基板SUBjの裏面とは反対側の主面側には、ドリフト層DFTjが形成されており、このドリフト層DFTjには、複数のトレンチTRが形成されている。そして、複数のトレンチTRのそれぞれの側面および底面には、ゲート電極GE(ゲート領域ともいう)が形成されており、隣り合うトレンチTRの側面および底面に形成されたゲート電極GEに挟まれるようにチャネル形成領域が形成されている。このチャネル形成領域の上部にはソース領域SRが形成されている。このように構成されている接合FETでは、ゲート電極GEに印加する電圧を制御することにより、ゲート電極GEからの空乏層の延びを制御する。これにより、互いに隣り合うゲート電極GEから延びる空乏層が繋がるとチャネル形成領域が消失してオフ状態が実現される一方、互いに隣り合うゲート電極GEから延びる空乏層が繋がらない場合には、チャネル形成領域が形成されてオン状態が実現される。
【0131】
ここで、本実施の形態2における接合FETの特徴点は、チャネル形成領域のチャネル長CLが1μm以上となる点である。言い換えれば、ソース領域SRの底部と、ゲート電極GEの底部との間の距離が1μm以上になる点に本実施の形態2における特徴点がある。これにより、チャネル形成領域のチャネル長を長くすることができるため、接合FETのオフ時におけるチャネル形成領域内の静電ポテンシャルを高くすることができる。このことから、本実施の形態2によれば、チャネル長が0.5μm程度のデバイス構造を使用する場合よりも、接合FETのドレインとソースの間を流れるリーク電流を小さく抑えることができる。このように、チャネル長CLを1μm以上とする利点は、オフ時におけるチャネル形成領域内の静電ポテンシャルを高くできる点によってリーク電流を低減することができる点にあるが、さらに、チャネル長CL自体が長くなることも、リーク電流を低減することに寄与していると考えられる。
【0132】
さらに、図33に示す接合FETのデバイス構造の場合、ドレインとなる半導体基板SUBjとソース領域SRとの間の距離よりも、半導体基板SUBjとゲート電極GEとの間の距離の方が小さい。そして、接合FETがオフしている状態では、ゲート電極GEとドリフト層DFTjの間に逆方向電圧(逆バイアス)が印加されることになる。この結果、オフ時に接合FETを流れるリーク電流は、距離の離れた半導体基板SUBjとソース領域SRとの間を流れるよりも、距離の短い半導体基板SUBjとゲート電極GEとの間の逆方向電流(リーク電流)として主に流れるものと考えられる。したがって、本実施の形態2によれば、接合FETがカットオフされた後、接合FETのドレインとソース間を流れるリーク電流を大幅に低減することができる。このことから、本実施の形態2によれば、オフ時における接合FETのドレインとソース間を流れるリーク電流に起因して、MOSFETのドレイン電圧が、耐圧以上の電圧に上昇することを抑制でき、これによって、MOSFETがアバランシェ動作して、最終的に、MOSFETが破壊されることを効果的に防止することができる。なお、図33に示したトレンチ構造の接合FETによれば、接合FETを高密度に形成することができるため、電流密度の大きなスイッチング素子を実現できることは言うまでもない。
【0133】
続いて、図34は、本実施の形態2における接合FETの他のデバイス構造を示す断面図である。図34に示すように、本実施の形態2における他の接合FETは、半導体基板SUBjを有し、この半導体基板SUBjの裏面にドレイン電極DEjが形成されている。一方、半導体基板SUBjの裏面とは反対側の主面側には、ドリフト層DFTjが形成されており、このドリフト層DFTjには、複数のゲート電極GEが離間して埋め込まれるように形成されている。そして、隣り合うゲート電極GE間のドリフト層DFTjの表面にソース領域SRが形成されている。このように構成されている図34に示す接合FETは、いわゆるトレンチ構造を有さない縦型の接合FETである。
【0134】
このような構造を有する接合FETにおいても、チャネル形成領域のチャネル長CLが1μm以上となる点に特徴点がある。言い換えれば、ソース領域SRの底部と、ゲート電極GEの底部との間の距離(チャネル長CL)が1μm以上になる点に特徴点がある。これにより、チャネル形成領域のチャネル長を長くすることができるため、図34に示す接合FETでも、オフ時におけるチャネル形成領域内の静電ポテンシャルを高くすることができる。このことから、図34に示す接合FETにおいても、チャネル長が0.5μm程度のデバイス構造を使用する場合よりも、接合FETのドレインとソースの間を流れるリーク電流を小さく抑えることができる。このように、チャネル長CLを1μm以上とする利点は、オフ時におけるチャネル形成領域内の静電ポテンシャルを高くできる点によってリーク電流を低減することができる点にあるが、さらに、チャネル長CL自体が長くなることも、リーク電流を低減することに寄与していると考えられる。
【0135】
図34に示す接合FETの利点は、デバイス構造が簡素であり、製造コストを低くできる点にある。さらには、図33に示す接合FETでは、トレンチTRの側面に導電型不純物(p型不純物)を高度な斜めイオン注入技術などの手段で形成する必要があるのに対し、図34に示す接合FETでは、ゲート電極GEを形成するために、高度な斜めイオン注入技術を使用する必要がなく、ゲート電極GEに導入される不純物プロファイルの精度が高いという利点がある。つまり、図34に示す接合FETによれば、特性の揃った接合FETを容易に形成できる利点が得られる。
【0136】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0137】
例えば、前記実施の形態では、MOSFETのゲート電極をゲート駆動回路(ゲートドライバ)で駆動する例について説明したが、接合FETのゲート電極もゲート駆動回路で駆動するように構成してもよい。この場合、接合FETのゲート電極をゲート駆動回路で制御することにより、接合FETのソース電圧を所望のレベルに制御できるので、中間ノードのサージ電圧を抑制できる効果を得ることができる。この構成の場合、端子数が増加してしまうが、より低損失なスイッチング素子を提供できる利点が得られる。
【0138】
また、前記実施の形態1で説明したパッケージ形態に関し、リード配置もこれらに限定されない。つまり、ゲートリード、ドレインリード、および、ソースリードの配置位置は、様々な変更が可能である。例えば、パッケージを実装基板に実装する際、既存のリード配置を流用できるように、パッケージのリード配置を決定することができる。この場合、実装基板の変更が不要となり、設計変更に伴うコストの増加も抑制することができる。
【0139】
さらに、積層半導体チップのレイアウト構成も、特に、明細書で説明したレイアウト構成だけに限定されるものではなく、各半導体チップの形状、パッドの形状、ターミネーション領域の形状なども、特に限定されない。また、接合FETやMOSFETの構造も限定されるものではなく、様々な既存の構造を適用することができる。さらには、デバイスの不純物プロファイルも自由に変更することができる。例えば、MOSFETでは、パンチスルーしないように表面の不純物濃度を薄くし、かつ、深さ方向に徐々に不純物濃度を濃くするように不純物を注入するようにしてもよい。
【0140】
なお、上述のMOSFETは、ゲート絶縁膜を酸化膜から形成する場合に限定するものではなく、ゲート絶縁膜を広く絶縁膜から形成するMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をも含むものと想定している。つまり、本明細書では、便宜上MOSFETという用語を使用しているが、このMOSFETは、MISFETをも含む意図の用語として本明細書では使用している。
【0141】
また、上述した各ワイヤの金属材料としては、金(Au)、金合金、銅(Cu)、銅合金、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金等を用いるとよい。
【0142】
本発明のスイッチング素子は、例えば、電源回路に適用することができるが、これに限定されるものではなく、例えば、エアコン用のインバータ、太陽光発電システムのパワーコンディショナー、ハイブリッド車や電気自動車のインバータ、パソコンの電源モジュール、白色LEDのインバータなどの様々な機器への適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0144】
ACTj アクティブ領域
ACTm アクティブ領域
CHP1 半導体チップ
CHP2 半導体チップ
CL チャネル長
CLP クリップ
D ドレイン
D1 ドレイン
D2 ドレイン
DEj ドレイン電極
DEm ドレイン電極
DFTj ドリフト層
DFTm ドリフト層
Dj1 ドレイン
Dj2 ドレイン
DL ドレインリード
Dm ドレイン
Dm1 ドレイン
Dm2 ドレイン
G ゲート電極
GE ゲート電極
Gj ゲート電極
Gj1 ゲート電極
Gj2 ゲート電極
GL ゲートリード
Gm ゲート電極
Gm1 ゲート電極
Gm2 ゲート電極
GOX ゲート絶縁膜
GPj ゲートパッド
GPm ゲートパッド
GPST ゲートリードポスト部
Id 定格電流
Idl リーク電流
IL1 絶縁膜
IL2 絶縁膜
Lgi1 寄生インダクタンス
Lgi2 寄生インダクタンス
LL 負荷インダクタンス
Ls 寄生インダクタンス
Lse1 寄生インダクタンス
Lse2 寄生インダクタンス
MR 封止体
PKG1 パッケージ
PKG2 パッケージ
PKG3 パッケージ
PKG4 パッケージ
PKG5 パッケージ
PKG6 パッケージ
PKG7 パッケージ
PKG8 パッケージ
PKG9 パッケージ
PKG10 パッケージ
PKG11 パッケージ
PKG12 パッケージ
PKG13 パッケージ
PLT チップ搭載部
PLT1 チップ搭載部
PLT2 チップ搭載部
PR ボディ領域
Q1 接合FET
Q1a 接合FET
Q1b 接合FET
Q2 MOSFET
Q2a MOSFET
Q2b MOSFET
S ソース
S1 ソース
S2 ソース
SE ソース電極
Se 中間ノード
Sj ソース
Sj1 ソース
Sj2 ソース
SL ソースリード
Sm ソース
Sm1 ソース
Sm2 ソース
SPj ソースパッド
SPm ソースパッド
SPST ソースリードポスト部
SR ソース領域
SUBj 半導体基板
SUBm 半導体基板
TMj ターミネーション領域
TMm ターミネーション領域
TR トレンチ
Vak 電圧
Vdsu 電圧
Vdsmu 電圧
Vdsmd 電圧
Wds ワイヤ
Wgj ワイヤ
Wgm ワイヤ
Wsm ワイヤ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンよりもバンドギャップの大きな物質を材料とし、第1ゲート電極と、第1ソースと、第1ドレインと、を有するノーマリオン型の接合FETと、
シリコンを材料とし、第2ゲート電極と、第2ソースと、第2ドレインと、を有するノーマリオフ型のMOSFETと、を備え、
前記接合FETの前記第1ソースと、前記MOSFETの前記第2ドレインとを電気的に接続し、かつ、前記接合FETの前記第1ゲート電極と、前記MOSFETの前記第2ソースとを電気的に接続するカスコード接続された半導体装置であって、
(a)前記接合FETの前記第1ソースと電気的に接続された第1ソースパッド、および、前記接合FETの前記第1ゲート電極と電気的に接続された第1ゲートパッドが形成された第1表面と、前記接合FETの前記第1ドレインと電気的に接続され、前記第1表面とは反対側の第1裏面と、を有する第1半導体チップと、
(b)前記MOSFETの前記第2ソースと電気的に接続された第2ソースパッド、および、前記MOSFETの前記第2ゲート電極と電気的に接続された第2ゲートパッドが形成された第2表面と、前記MOSFETの前記第2ドレインと電気的に接続され、前記第2表面とは反対側の第2裏面と、を有する第2半導体チップと、
(c)前記第1半導体チップが第1導電性接着材を介して搭載された第1上面を有する第1チップ搭載部と、
(d)前記第1チップ搭載部に連結されたドレインリードと、
(e)前記ドレインリードとは電気的に絶縁されたソースリードと、
(f)前記ドレインリード、および、前記ソースリードと電気的に絶縁されたゲートリードと、
(g)前記第1半導体チップの前記第1ゲートパッドと前記ソースリードとを電気的に接続する第1金属導体と、
(h)前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップ、前記第1チップ搭載部の一部、前記ドレインリードの一部、前記ソースリードの一部、前記ゲートリードの一部、および前記第1金属導体を封止する封止体と、を有し、
前記第1半導体チップの前記第1ソースパッドと、前記第2半導体チップの前記第2裏面とは電気的に接続されており、
前記第2半導体チップの前記第2ゲートパッドと、前記ゲートリードとは電気的に接続されており、
前記第2半導体チップの前記第2ソースパッドと前記ソースリードとは電気的に接続されており、
前記第1半導体チップの前記第1ゲートパッドは、他のリードよりも前記ソースリードに近くなるように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップの前記第2ゲートパッドと前記ゲートリードとは、第2金属導体により電気的に接続されており、
前記第2半導体チップの前記第2ゲートパッドは、前記第2ソースパッドよりも前記ゲートリードに近くなるように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1金属導体の導体幅は、前記第2金属導体の導体幅よりも広いことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップの前記第2裏面と、前記第1半導体チップの前記第1ソースパッドとが対向するように、前記第1半導体チップの前記第1ソースパッド上に前記第2半導体チップが第2導電性接着材を介して搭載されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、他のリードよりも前記ソースリードに近くなるように前記第1チップ搭載部上に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体装置において
前記第2半導体チップの前記第2ソースパッドと前記ソースリードとは第3金属導体により電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第1金属導体、前記第2金属導体、および、前記第3金属導体は、それぞれ、ボンディングワイヤであることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第3金属導体の前記ボンディングワイヤは、複数本存在することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第1導電性接着材、および、前記第2導電性接着材は、銀ペーストもしくは半田のいずれかであることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記ソースリードは、ソースリードポスト部を有し、
前記ゲートリードは、ゲートリードポスト部を有し、
前記第1金属導体、および、前記第3金属導体は、前記ソースリードポスト部に接続されており、
前記第2金属導体は、前記ゲートリードポスト部に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記ソースリードポスト部の前記第1金属導体および前記第3金属導体が接続されている領域と、前記ゲートリードポスト部の前記第2金属導体が接続されている領域は、前記第1チップ搭載部の前記第1上面よりも高い位置に位置することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記封止体は、第1側面と前記第1側面と対向する第2側面とを有し、
前記ドレインリード、前記ゲートリード、および、前記ソースリードは、前記封止体の前記第1側面から突出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置において、
前記ドレインリードは、前記ゲートリードと前記ソースリードとの間に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップが搭載された第2上面を有し、前記第1チップ搭載部とは電気的に絶縁された第2チップ搭載部をさらに備え、
前記第2半導体チップの前記第2裏面と前記第2チップ搭載部の前記第2上面とは第3導電性接着材を介して電気的に接続されており、
前記第1半導体チップの前記第1ソースパッドと前記第2チップ搭載部の前記第2上面とは第4金属導体により電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置において、
前記第4金属導体はボンディングワイヤであることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項14に記載の半導体装置において、
前記第1チップ搭載部と前記第2チップ搭載部との間には、前記封止体の一部が配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1チップ搭載部は前記第1上面とは反対側の第1下面をさらに有し、
前記第1チップ搭載部の前記第1下面は、前記封止体から露出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記封止体は、第1側面と前記第1側面と対向する第2側面とを有し、
前記ゲートリード、および、前記ソースリードは、前記封止体の前記第1側面から突出し、
前記ドレインリードは、前記封止体の前記第2側面から突出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1金属導体は、前記第2半導体チップの前記第2ソースパッドにも電気的に接続されており、
前記第1金属導体は、金属板であることを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
請求項19に記載の半導体装置において、
前記金属板は銅材から構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記接合FETは、シリコンカーバイドを材料としていることを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記接合FETは、
前記第1ドレインとなる半導体基板と、
前記半導体基板の主面に形成されたドリフト層と、
前記ドリフト層に形成された複数のトレンチと、
前記複数のトレンチのそれぞれの側面および底面に形成された前記第1ゲート電極と、
隣り合うトレンチの側面および底面に形成されたゲート電極に挟まれたチャネル形成領域と、
前記チャネル形成領域上に形成された前記第1ソースと、を有し、
前記チャネル形成領域の長さは、1μm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項23】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記接合FETは、
前記第1ドレインとなる半導体基板と、
前記半導体基板の主面に形成されたドリフト層と、
前記ドリフト層に形成された複数のトレンチと、
前記複数のトレンチのそれぞれの側面および底面に形成された前記第1ゲート電極と、
隣り合う前記トレンチの側面および底面に形成されたゲート電極に挟まれたチャネル形成領域と、
前記チャネル形成領域上に形成された前記第1ソースと、を有し、
前記第1ソースの底部と、前記第1ゲート電極の底部との間の距離は、1μm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項24】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記接合FETは、
前記第1ドレインとなる半導体基板と、
前記半導体基板の主面に形成されたドリフト層と、
前記ドリフト層に互いに離間して形成された複数の前記第1ゲート電極と、
離間して形成された前記第1ゲート電極の間の前記ドリフト層の表面に形成された前記第1ソースと、を有し、
前記第1ソースの底部と、前記第1ゲート電極の底部との間の距離は、1μm以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項25】
シリコンよりもバンドギャップの大きな物質を材料とし、第1ゲート電極と、第1ソースと、第1ドレインと、を有するノーマリオン型の接合FETと、
シリコンを材料とし、第2ゲート電極と、第2ソースと、第2ドレインと、を有するノーマリオフ型のMOSFETと、を備え、
前記接合FETの前記第1ソースと、前記MOSFETの前記第2ドレインとを電気的に接続し、かつ、前記接合FETの前記第1ゲート電極と、前記MOSFETの前記第2ソースとを電気的に接続するカスコード接続された半導体装置であって、
(a)前記接合FETの前記第1ソースと電気的に接続された第1ソースパッド、および、前記接合FETの前記第1ゲート電極と電気的に接続された第1ゲートパッドが形成された第1表面と、前記接合FETの前記第1ドレインと電気的に接続され、前記第1表面とは反対側の第1裏面と、を有する第1半導体チップと、
(b)前記MOSFETの前記第2ソースと電気的に接続された第2ソースパッド、および、前記MOSFETの前記第2ゲート電極と電気的に接続された第2ゲートパッドが形成された第2表面と、前記MOSFETの前記第2ドレインと電気的に接続され、前記第2表面とは反対側の第2裏面と、を有する第2半導体チップと、
(c)前記第1半導体チップが第1導電性接着材を介して搭載された第1上面を有する第1チップ搭載部と、
(d)前記第1チップ搭載部に連結されたドレインリードと、
(e)前記ドレインリードとは電気的に絶縁されたソースリードと、
(f)前記ドレインリード、および、前記ソースリードと電気的に絶縁されたゲートリードと、
(g)前記第1半導体チップの前記第1ゲートパッドと前記ソースリードとを電気的に接続する第1金属導体と、
(h)前記第2半導体チップの前記第2ゲートパッドと前記ゲートリードとを電気的に接続する第2金属導体と、
(i)前記第2半導体チップの前記第2ソースパッドと前記ソースリードとを電気的に接続する第3金属導体と、
(j)前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップ、前記第1チップ搭載部の一部、前記ドレインリードの一部、前記ソースリードの一部、前記ゲートリードの一部、および前記第1金属導体、前記第2金属導体、および、前記第3金属導体を封止する封止体と、を有し、
前記第2半導体チップの前記第2裏面と、前記第1半導体チップの前記第1ソースパッドとが対向するように、前記第1半導体チップの前記第1ソースパッド上に前記第2半導体チップが第2導電性接着材を介して搭載されており、
前記第1半導体チップの前記第1ゲートパッドは、他のリードよりも前記ソースリードに近くなるように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項26】
シリコンよりもバンドギャップの大きな物質を材料とし、第1ゲート電極と、第1ソースと、第1ドレインと、を有するノーマリオン型の接合FETと、
シリコンを材料とし、第2ゲート電極と、第2ソースと、第2ドレインと、を有するノーマリオフ型のMOSFETと、を備え、
前記接合FETの前記第1ソースと、前記MOSFETの前記第2ドレインとを電気的に接続し、かつ、前記接合FETの前記第1ゲート電極と、前記MOSFETの前記第2ソースとを電気的に接続するカスコード接続された半導体装置であって、
(a)前記接合FETの前記第1ソースと電気的に接続された第1ソースパッド、および、前記接合FETの前記第1ゲート電極と電気的に接続された第1ゲートパッドが形成された第1表面と、前記接合FETの前記第1ドレインと電気的に接続され、前記第1表面とは反対側の第1裏面と、を有する第1半導体チップと、
(b)前記MOSFETの前記第2ソースと電気的に接続された第2ソースパッド、および、前記MOSFETの前記第2ゲート電極と電気的に接続された第2ゲートパッドが形成された第2表面と、前記MOSFETの前記第2ドレインと電気的に接続され、前記第2表面とは反対側の第2裏面と、を有する第2半導体チップと、
(c)前記第1半導体チップが第1導電性接着材を介して搭載された第1上面を有する第1チップ搭載部と、
(d)前記第2半導体チップが第2導電性接着材を介して搭載された第2上面を有し、前記第1チップ搭載部とは電気的に絶縁された第2チップ搭載部と、
(e)前記第1チップ搭載部に連結されたドレインリードと、
(f)前記ドレインリードとは電気的に絶縁されたソースリードと、
(g)前記ドレインリード、および、前記ソースリードと電気的に絶縁されたゲートリードと、
(h)前記第1半導体チップの前記第1ゲートパッドと前記ソースリードとを電気的に接続する第1金属導体と、
(i)前記第2半導体チップの前記第2ゲートパッドと前記ゲートリードとを電気的に接続する第2金属導体と、
(j)前記第2半導体チップの前記第2ソースパッドと前記ソースリードとを電気的に接続する第3金属導体と、
(k)前記第1半導体チップの前記第1ソースパッドと前記第2チップ搭載部の前記第2上面とを電気的に接続する第4金属導体と、
(l)前記第1半導体チップ、前記第2半導体チップ、前記第1チップ搭載部の一部、前記第2チップ搭載部の一部、前記ドレインリードの一部、前記ソースリードの一部、前記ゲートリードの一部、および前記第1金属導体、前記第2金属導体、前記第3金属導体、および、前記第4金属導体を封止する封止体と、を有し、
前記第1半導体チップの前記第1ゲートパッドは、他のリードよりも前記ソースリードに近くなるように配置されていることを特徴とする半導体装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2015-05-26 
出願番号 特願2013-535780(P2013-535780)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (H01L)
P 1 41・ 852- Y (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木下 直哉  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 関谷 隆一
ゆずりは 広行
登録日 2015-01-09 
登録番号 特許第5676771号(P5676771)
発明の名称 半導体装置  
代理人 特許業務法人筒井国際特許事務所  
代理人 特許業務法人筒井国際特許事務所  

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