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審決分類 審判 一部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H01R
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  H01R
審判 一部無効 2項進歩性  H01R
管理番号 1301832
審判番号 無効2014-800015  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-01-23 
確定日 2015-05-26 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5362931号発明「電気コネクタ組立体」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 請求のとおり訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第5362931号の請求項3?5に係る発明についての出願は、平成22年1月21日(優先権主張 平成21年4月16日)に出願した特願2010-11225号の一部を平成24年2月29日に新たな特許出願(特願2012-43761号)とし、更にその一部を平成25年4月9日に新たな特許出願(特願2013-81080号)とし、更にその一部を平成25年7月25日に新たな特許出願としたものであって、平成25年9月13日に設定登録がなされたものである。
また、本件無効審判請求に係る経緯は、以下のとおりである。

平成26年 1月22日 無効審判請求
平成26年 4月18日 答弁書提出
平成26年 4月18日 訂正請求
平成26年 6月 2日 弁駁書提出
平成26年 7月14日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
平成26年 7月22日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
平成26年 8月 4日 口頭審理陳述要領書(2)提出(被請求人)
平成26年 8月 4日 口頭審理

2.訂正請求
2-1.訂正の内容
被請求人により請求された訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、本件特許第5362931号の明細書及び特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲(以下「本件訂正明細書」という。)のとおり一群の請求項ごとに訂正しようとするものである。すなわち、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す)。

(1)請求項3?5からなる一群の請求項に係る訂正
(ア)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項3を、以下のとおり訂正する。
「ハウジングの周面に形成された嵌合面で互いに嵌合接続されるケーブルコネクタとレセプタクルコネクタとを有し、嵌合面が側壁面とこれに直角をなし前方に位置する端壁面とで形成されており、ケーブルコネクタが後方に位置する端壁面をケーブルの延出側としている電気コネクタ組立体において、
ケーブルコネクタは、突部前縁と突部後縁が形成されたロック突部を側壁面に有し、レセプタクルコネクタは、前後方向で該ロック突部に対応する位置で溝部前縁と溝部後縁が形成されたロック溝部を側壁面に有し、該ロック溝部には溝部後縁から溝内方へ突出する突出部が設けられており、ケーブルコネクタは、前方の端壁面に寄った位置で側壁に係止部が設けられ、レセプタクルコネクタは、前後方向で上記係止部と対応する位置でコネクタ嵌合状態にて該係止部と係止可能な被係止部が側壁に設けられており、コネクタ嵌合過程にて上記ケーブルコネクタの前端がもち上がって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケープルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置し、上記ロック突部が上記ロック溝部内に進入して所定位置に達した後に上記上向き傾斜姿勢が解除されて上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が上記突出部の最前方位置よりも後方に位置し、該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記抜出方向で上記突出部と当接して、上記ケーブルコネクタの抜出が阻止されるようになっていることを特徴とする電気コネクタ組立体。」

(イ)訂正事項2
明細書の段落【0012】の記載を、以下のとおり訂正する。
「<第二発明>
第二発明では、ケーブルコネクタは、突部前縁と突部後縁が形成されたロック突部を側壁面に有し、レセプタクルコネクタは、前後方向で該ロック突部に対応する位置で溝部前縁と溝部後縁が形成されたロック溝部を側壁面に有し、該ロック溝部には溝部後縁から溝内方へ突出する突出部が設けられており、ケーブルコネクタは、前方の端壁面に寄った位置で側壁に係止部が設けられ、レセプタクルコネクタは、前後方向で上記係止部と対応する位置でコネクタ嵌合状態にて該係止部と係止可能な被係止部が側壁に設けられており、コネクタ嵌合過程にて上記ケーブルコネクタの前端がもち上かって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置し、上記ロック突部が上記ロック溝部内に進入して所定位置に達した後に上記上向き傾斜姿勢が解除されて上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が上記突出部の最前方位置よりも後方に位置し、該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記抜出方向で上記突出部と当接して、上記ケーブルコネクタの抜出が阻止されるようになっていることを特徴としている。」

2-2.訂正の適否
上記訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項3で特定される事項に「ケーブルコネクタは、前方の端壁面に寄った位置で側壁に係止部が設けられ、レセプタクルコネクタは、前後方向で上記係止部と対応する位置でコネクタ嵌合状態にて該係止部と係止可能な被係止部が側壁に設けられて」いることの限定を付加するものであり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に該当する。
また、訂正前の、請求項3の実施形態である図7に係る願書に添付した明細書の段落【0052】に「図7において、コネクタ前端側における、ケーブルコネクタ10の係止部22’そしてレセプタクルコネクタ50の被係止部60’は、図3における係止部22そして被係止部60と同じである。」と記載され、そして、図3に関連して、同段落【0023】に「上記ハウジング11は、上記後方そして前方の端壁面12,15と共に側壁面20が周面をなし、相手コネクタたるレセプタクルコネクタ50と嵌合する嵌合面を形成している。上記側壁面20には、その後部位置にロック突部21がそして前部下縁位置に係止部22がそれぞれ設けられている。」と記載され、同段落【0031】に「上記レセプタクルコネクタ50は、前方位置に形成された係止溝部58内心前後方向に延びる突条部として被係止部60が設けられている(図4をも参照)。上記係止溝部58は、ケーブルコネクタ10の係止部22が進入可能とする前後方向での溝幅を有しており、上記被係止部60も該係止部22の前後方向寸法に対応する長さとなっている。上記被係止部60は、係止部22と同様に、上縁そして下縁に、該係止部22との係止そして解除を容易とするために図4に見られるようにテーパ部60Aとテーパ部60Bがそれぞれ形成されている。」と記載され、同段落【0041】に「(6)このように嵌合が終了してレセプタクルコネクタ50に対して接続されたケーブルコネクタ10は、嵌合後に不用意な後方への力がケーブルCに受けても、しかもその不用意な力が上向き成分を伴っていても、ロック突部21がロック溝部57の突出部59と当接するのでケーブルコネクタ10は嵌合終了時の水平姿勢を保って、あるいは前端側か下方に向く下向き姿勢をとるだけであり、ケーブルコネクタ10は抜出されてしまうことはない。」と記載されていることから、上記訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正である。
そして、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

上記訂正事項2に係る訂正は、上記訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合を図るためのものであり、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に該当する。
そして、この訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされた訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

また、上記訂正事項1に係る訂正後の請求項3?5は、訂正後の請求項3の記載を請求項4及び5がそれぞれ引用しているものであるから、当該訂正後の請求項3、請求項4、並びに請求項3及び4を引用する請求項5は、特許法施行規則第46条の2第2号に規定する関係を有する一群の請求項である。

したがって、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書に掲げる事項を目的とし、同法第134条の2第9項の規定によって準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するのであるので、一群の請求項として当該訂正を認める。

3.本件特許発明
本件特許第5362931号の請求項3?5に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明3」?「本件特許発明5」ともいう。)は、上記訂正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項3?5に記載された次のとおりのものである。
「【請求項3】
ハウジングの周面に形成された嵌合面で互いに嵌合接続されるケーブルコネクタとレセプタクルコネクタとを有し、嵌合面が側壁面とこれに直角をなし前方に位置する端壁面とで形成されており、ケーブルコネクタが後方に位置する端壁面をケーブルの延出側としている電気コネクタ組立体において、
ケーブルコネクタは、突部前縁と突部後縁が形成されたロック突部を側壁面に有し、レセプタクルコネクタは、前後方向で該ロック突部に対応する位置で溝部前縁と溝部後縁が形成されたロック溝部を側壁面に有し、該ロック溝部には溝部後縁から溝内方へ突出する突出部が設けられており、ケーブルコネクタは、前方の端壁面に寄った位置で側壁に係止部が設けられ、レセプタクルコネクタは、前後方向で上記係止部と対応する位置でコネクタ嵌合状態にて該係止部と係止可能な被係止部が側壁に設けられており、コネクタ嵌合過程にて上記ケーブルコネクタの前端がもち上かって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケープルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置し、上記ロック突部が上記ロック溝部内に進入して所定位置に達した後に上記上向き傾斜姿勢が解除されて上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が上記突出部の最前方位置よりも後方に位置し、該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記抜出方向で上記突出部と当接して、上記ケーブルコネクタの抜出が阻止されるようになっていることを特徴とする電気コネクタ組立体。
【請求項4】
ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方にあることとする請求項3に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項5】
ケーブルコネクタの前端部にはコネクタ嵌合状態でレセプタクルコネクタの前方の端壁面の位置から前方へ突出する持上げ部が設けられていて、該持上げ部を抜出方向に持ち上げることにより該ケーブルコネクタの抜出が可能となっていることとする請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の電気コネクタ組立体。」

4.請求人の主張及び証拠方法
請求人は、「特許第5362931号の請求項3、請求項4及び請求項5に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、」との審決を求め、その理由の概要として、以下のとおり主張している。

(1)29条関係
(1-1)本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、または、甲第1号証に記載された発明、及び周知の甲第5号証から甲第8号証に示される構成に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(1-2)本件特許発明4及び5は、甲第1号証に記載された発明、及び周知の甲第2号証から甲第8号証に示される構成に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(2)36条関係
(2-1)本件特許発明3は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえないから、また、特許請求の範囲の請求項3は、特許を受けようとする発明が明確に記載されているとはいえないから、特許法第36条第6項第1項及び第2号の規定に違反することより、本件特許発明3についての特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。
(2-2)願書に添付した明細書の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、本件特許発明4の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえないから、また、本件特許発明4は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえないから、特許法第36条第4項第1項及び第6項第1号の規定に違反することより、本件特許発明4についての特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。

そして、請求人は、証拠方法として、以下の甲第1号証ないし甲第11号証を提出している。

[証拠方法]
甲第1号証:特開昭63-218174号公報
甲第2号証:特開平6-124747号公報
甲第3号証:特開2003-36928号公報
甲第4号証:実願昭63-80989号(実開平2-3676号)のマイクロフィルム
甲第5号証:特開2000-252007号公報
甲第6号証:特開平10-208784号公報
甲第7号証:特開平10-112340号公報
甲第8号証:特開平10-144366号公報
甲第9号証:実願昭62-140170号(実開昭64-44580号)のマイクロフィルム
甲第10号証:特許第5362136号号公報(本件特許公報)
甲第11号証:特許第5247904号公報

なお、当事者間に甲第1ないし11号証の成立に争いはない。

5.被請求人の主張
被請求人は、「本審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、上記請求人の主張に対し、上記請求人の主張に対し、請求人の主張には何れも理由がないものである旨の主張をしている。

6.甲各号証の記載事項
甲第1号証及び甲第5?8号証には、以下の各事項が記載されている。

[甲第1号証]
(1a)「〔産業上の利用分野〕
本発明は,一方のハウジングを他方のハウジングに対し回動させることで接続又は切離しの作用を得ることのできるコネクタに関する。」(第1頁右下欄5?8行)

(1b)「〔従来例〕
通常のコネクタは,軸方向の挿抜によって電気的な接続又は切離しを得るようになっている。そのコネクタは,第7図に示すように,一方のコネクタ1と,このコネクタ1に着脱可能に嵌合する他方のコネクタ(以下相手コネクタと呼ぶ)3とを有している。一方のコネクタ1は,電気絶縁材料によって作られたハウジング5と,このハウジング5に組込まれたピンコンタクトのような複数の導電性のコンタクト7とを有している。ハウジング5の一側には溝部9が形成されている。溝部9には複数のコンタクト7が並列している。これらのコンタクト7は,溝部9の底面から開口近くにまでのびた接触部11と,ハウジング5の背面から外部に露出した端子部13とを有している。
ハウジング5の溝部9には,相手コネクタ3が着脱可能に嵌合される。相手コネクタ3は電気絶縁材料によって作られた相手ハウジング15と,この相手ハウジング15の内部に組込まれたソケットコンタクトのような複数の導電性の相手コンタクト(図示せず)とを有している。相手コンタクトには相手ハウジング15の外部から導入されたケーブル17の一端が接続されている。このような相手コネクタ3はハウジング5のコンタクト7の接触部11の軸心に沿った方向(即ち,コネクタ突合方向)に動かされることで一方のコネクタ1に対し挿抜される。かくして相手コンタクトと接触部11とを,1対1に接続させることができる。」(第1頁右下欄9行?第2頁左上欄18行)

(1c)「〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら,このようなコネクタによれば,挿入が不完全であるとロックレバー19の突起部21が相手の係止穴23に止まらないため,後にケーブル17を引張るような時,コネクタ1から相手コネクタ3が外れてしまうという問題がある。
また,係止穴23とこれに対応する突起部21とを設けるためにハウジング5や相手ハウジング15の所要スペースが大きくなり,したがって,特に高密度化を必要とするコネクタとしては不向きである。
それ故に本発明の目的は,確実な嵌合を得ることができ,かつ小型化が可能なコネクタを提供することにある。」(第2頁右上欄15行?同左下欄8行)

(1d)「〔問題点を解決するための手段及び作用〕
本発明によれば,第1の絶縁体に第1のコンタクトを組込んでなる第1のコネクタ要素と,第2の絶縁体に第2のコンタクトを組込んでなる第2のコネクタ要素とを含むコネクタにおいて,上記第1の絶縁体は上記第2のコネクタ要素の側面に対向するよう延出した側壁を有し,該側壁はその延出方向に対し実質的に直角にのびて一端が縁部にまで至る溝部を有し,上記第2の絶縁体は上記溝部に挿入された回転中心突起を側面に有し,さらに上記第1及び第2のコンタクトは,上記回転中心突起を支点とした上記第1及び第2の絶縁体の相対的回動により互いに接触・離間されるものであることを特徴とする回転挿抜コネクタが得られる。」(第2頁左下欄9行?同右下欄3行)

(1e)「〔実施例〕
第1図は本発明の回転挿抜コネクタの一実施例を示している。
図示の回転挿抜コネクタは,一方のコネクタ31(第1のコネクタ要素)とこのコネクタ31に挿抜可能にして嵌合する相手コネクタ(第2のコネクタ要素)33とを有している。
一方のコネクタ31は,電気絶縁材料によって作られたハウジング(第1の絶縁体)35と,このハウジング35に設けられた複数の導電性のコンタクト37(第1のコンタクト)とを有している。コンタクト37は接触部39と,ハウジング35の外部に露出した端子部(第4図に記号38で示した)とを有している。
また,相手コネクタ33は電気絶縁材料によって作られた相手ハウジング(第2の絶縁体)39とこのハウジング39の内部に設けられた導電性のソケットコンタクトのような相手コンタクト(第2のコンタクト)41とを有している。相手コンタクト41には,第2図に示すように,相手ハウジング39の外部から導入されたケーブル44の一端が接続されている。これらの相手コンタクト41のソケット部46は,一方のハウジング35に設けられたコンタクト37の接触部39に嵌合される形状を有している。なお両コンククト41,37は,互いに1対1に接触されて電気的な接続を得るものである。
一方のコネクタ31のハウジング35は互いに間隔をおいて対向するよう延出した対の側壁(その一方のみを47で示した)を有している。これらの側壁47の内面には,溝部49及び係止穴51がそれぞれ形成されている。これらの溝部49は,側壁47の延出方向,即ち,コネクタ突合方向の軸線とほぼ直角方向(実質的に直角方向)にのびるように形成されている。また溝部49には中間部分に肩部56が形成されている。このようなハウジング35の対の側壁47の間には,相手コネクタ33のハウジング39が嵌込まれる。
一方,相手コネクタ33のハウジング39の対の側面には,それぞれ,ハウジング35の溝部49に嵌込まれる回転中心突起53が形成されている。これらの突起53はまた肩部56に当接するものである。さらに相手コネクタ33のハウジング39の対の側面には,一方のコネクタ31のハウジング35の係止穴51に嵌込まれる係止突起60が形成されている。」(第2頁右下欄4行?第3頁右上欄9行)

(1f)「次に,第3図及び第6図をも参照して回転挿抜コネクタの嵌合について説明する。
先ず,相手コネクタ33は一方のコネクタ31におけるコネクタ突合方向の軸線に対して成る角度を持った状態でその回転中心突起53をハウジング35の溝部49に挿入される。溝部49に挿入された回転中心突起53は,第3図に示すように,溝部49の中間部分の肩部56で停止する深さまで挿入される。この状態では,コンタクト37の接触部39と相手コンタクト46とは,第4図に示すように,互いに軸方向を異にしている。
その後に,相手コネクタ33を反時計方向に回転させる。この結果,相手コネクタ33の係止突起60は,第5図に示すようにコネクタの係止穴51にしっかりと入り込み回転が停止すると共にロックされる。即ち,係止突起60と係止穴51とが協働してロック装置を構成する。その際,コンタクト37の接触部39と相手コンタクト41のソケット部46とは,第6図にも示すように,回転しながら摺動し嵌合接触する。さらに,相手コネクタ33をコネクタ31から引抜く際には,相手コネクタ33を時計方向に回転した後に,溝部49にて案内しつつ上方に引き抜く。」(第3頁右上欄10行?同左下欄12行)

(1g)「〔発明の効果〕
以上実施例により説明したように,本発明の回転挿抜コネクタによれば,コネクタの両側に,相手コネクタの回転中心突起に対応する溝部が係合しているため,コネクタあるいは相手コネクタが破壊しない限り,ケーブルを引張っても嵌合が外れることがない。また,回転挿抜コネクタは,大きな形状のロックレバーや係止穴を必要としないため小型化が可能である。」(第3頁左下欄13行?右下欄1行)

(1h)第1図


(1i)第3図及び第5図


ここで、「回転中心突起53」の形状は、第1,3,5図の記載及び回転中心となる機能からみて「円柱形」と認識される。
また、第1,3,5図には、溝部49の肩部56が形成された面と対向する面から溝内方へ突出する「突出部」が形成され、相手コネクタ33とコネクタ31とがロックされた状態において、「回転中心突起53」は溝部49の上記「突出部」の下方に位置していることが図示されている。
さらに、第1図には、一方のコネクタ31のハウジング35は、対の側壁47の内面と直角をなす端部の内面を備え、また、相手コネクタ33の相手ハウジング39は、対の側面と直角をなし、ハウジング35の対の側壁47の間に嵌込まれた際にハウジング35の上記端部の内面に対面する端面を備えることが図示されている。
そして、第1及び5図には、係止突起60が、相手コネクタ33の相手ハウジング39の上記端面に寄った位置に形成されることも図示されている。

以上の記載から、甲第1号証には、下記の発明(以下「甲1発明」ともいう。)が記載されている。
「ハウジング35とこのハウジング35に設けられた複数のコンタクト37とを有する一方のコネクタ31と
相手ハウジング39とこの相手ハウジング39の内部に設けられた複数の相手コンタクト41とを有し、また、相手ハウジング39の外部から導入されたケーブル44の一端が接続された相手コネクタ33と
を有した回転挿抜コネクタにおいて、
一方のコネクタ31のハウジング35は互いに間隔をおいて対向するよう延出した対の側壁47を有し、これらの側壁47の内面には、溝部49及び係止穴51がそれぞれ形成され、これらの溝部49は、側壁47の延出方向、即ち、コネクタ突合方向の軸線とほぼ直角方向にのびるように形成され、また、溝部49には、中間部分に肩部56及び、該肩部56が形成された面と対向する面から溝内方へ突出する突出部が形成され、このようなハウジング35の対の側壁47の間には,相手コネクタ33の相手ハウジング39が嵌込まれるものであり、さらに、ハウジング35は、上記対の側壁47の内面と直角をなす端部の内面を備え、
相手コネクタ33の相手ハウジング39は、対の側面及びこれと直角をなし、一方のコネクタ31のハウジング35の対の側壁47の間に嵌込まれた際にハウジング35の上記端部の内面に対面する端面を備え、上記対の側面には、それぞれハウジング35の溝部49に嵌込まれる円柱形の回転中心突起53が形成され、さらに上記対の側面には、一方のコネクタ31のハウジング35の係止穴51に嵌込まれる係止突起60が上記端面に寄った位置に形成され、
相手コネクタ33は、一方のコネクタ31におけるコネクタ突合方向の軸線に対して或る角度を持った状態でその回転中心突起53を溝部49に肩部56で停止する深さまで挿入され、その後に、相手コネクタ33を反時計方向に回転させ、その結果、相手コネクタ33の係止突起60は、一方のコネクタ31の係止穴51に入り込み回転が停止すると共にロックされ、そして、このロックされた状態において、回転中心突起53は溝部49の上記突出部の下方に位置し、
さらに、相手コネクタ33を一方のコネクタ31から引抜く際には、相手コネクタ33を時計方向に回転した後に、回転中心突起53を溝部49にて案内しつつ上方に引き抜く
回転挿抜コネクタ。」

[甲第5号証]
(5a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コネクタに取り付けたレバーを回動させることによりコネクタを相手コネクタに嵌合させるレバー嵌合式コネクタに関する。」

(5b)「【0019】レバー嵌合式コネクタは、図1に示すように、雄コネクタ21と、この雄コネクタ21に回動自在に取り付けられたレバー22と、雄コネクタ21が嵌合する雌コネクタ23と、を備えている。」

(5c)「【0024】雌コネクタ23は、雄コネクタ21が嵌合する上面開放のフード部32を有している。このフード部32の内壁面32Aの先端側には、雄コネクタ21の外れ防止リブ26が挿入される長溝33が嵌合方向(上下方向)に沿って形成されている。また、このフード部32には、雄コネクタ21の両側面25に形成された案内突起25Aと対応する内壁面32Aに、嵌合方向に沿って案内溝34が形成されている。この案内溝34の中間部には、レバー22の係合突起30と係合しつつ支点として作用する、前方に突出するように形成された係合溝35が案内溝34に連通して形成されている。また、案内溝34の下部には、レバー22を解除方向へ回転させた際に係合突起30が係当して解除する際に支点となるフード側段部36が形成されている。特に、本実施形態では、フード部32の内壁面32Aのうちレバー22に対向する面には、上記したレバー22の側壁28に形成した側面突起31が嵌合方向に導かれる案内用段差溝37が形成されている。この案内用段差溝37は、第1段差部37Aと第2段差部37Bとを有している。さらに、フード部32の内底面には、上方へ向けて複数の接続端子40が突設されている。」

(5d)「【0026】まず、図1に示すように、雄コネクタ21に対してレバー22が嵌合初期の姿勢をとる状態(レバー22の側壁28の下端と案内突起25Aとが当接する状態)でフード部32に雄コネクタ21を嵌合して、フード部32の長溝33、33に外れ防止リブ26、26を、それぞれの案内溝34に案内突起25Aおよび係合突起30を、案内用段差溝37、37にレバー22の側面突起31、31を、挿入する。このとき、側面突起31は、案内用段差溝37の第1段差部37Aに一旦突き当たり、その後、図3に示すように、第2段差部37Bに載る。このとき、側面突起31は、ボス部27の真下に位置するため、第2段差部37Bに突き当たったときの反力によりレバー22が回動することはない。このため、係合突起30は、係合溝35には係合していない。
【0027】次に、この状態でレバー22の操作部29を押すと、レバー22は回転して、係合突起30は係合溝35に確実に係合する。その後、レバー22の回動に伴って側面突起31は第2段差部37Bから外れるが、図4に示すように、このとき既に係合突起30が係合溝35に係合してレバー22の回動の支点となっている。そして、さらにレバー22を回動操作することにより、係合突起30は係合溝35に入り込み、てこの作用により雄コネクタ21が雌コネクタ23のフード部32内に完全に押し込まれ、雄コネクタ21側の端子(図示省略する)と雌コネクタ23側の接続端子40は完全に接続される。逆に、雄コネクタ21をフード部32から離脱させるときは、レバー22の操作部29を持ち上げることにより、レバー22は回動してフード側段部36に係合突起30が係合して支点となり、操作部29が力点、ボス部27が作用点となり、雄コネクタ21を引き上げる力が作用することにより、雄コネクタ21をフード部32から容易に離脱させることができる。このとき、側面突起31は、第2段差部37Bから僅かに離れているため、レバー22の回動を妨げることはない。」

(5e)図5?7


[甲第6号証]
(6a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はケーブル用コネクタに関するものである。」

(6b)「【0011】本発明の一実施形態によるケーブル用コネクタ1は、ケーブル7に接続されるケーブル側コネクタ3と、ケーブル7の接続対象物であるプリント基板9に接続される接続対象側コネクタ5とを組み合わせて構成される。
【0012】ケーブル側コネクタ3は、図1?図3、並びに図6、図7に示したように、ケーブル7を保持する第1のケーブル側インシュレータ31と、第2のケーブル側インシュレータ32とから構成される。第2のケーブル側インシュレータ32は、第1のケーブル側インシュレータ31を覆うと共に、第1のケーブル側インシュレータ31に係止されて、第1のケーブル側インシュレータ31と共同してケーブル7を保持する。このケーブル7は、絶縁性の被覆70の内側に芯線71を有している(図6(b)参照)。尚、ケーブル7は、図示した例では1本1本分離されたディスクリートワイヤとしたが、複数本が融着された形のFRCでも良い。
・・・
【0014】また、第2のケーブル側インシュレータ32は、ケーブル7の延在方向の一端部に形成された凸部32a、及びこの一端部の両側面に形成された突出部32bを有している。尚、上述の延在方向とは、ケーブル7の部分の内で第1及び第2のケーブル側インシュレータ31,32により保持されている部分の延在方向を意味するものとする。尚、第2のケーブル側インシュレータ32にも、ケーブル7の整列溝32eが設けられている。尚、第1のケーブル側インシュレータ31と第2のケーブル側インシュレータ32とをそれらの一端で回動自在に連結し、ケーブル7をこれらの間に差し込む構成とすることもできる。
【0015】接続対象側コネクタ5は、図4、並びに図8?12に示したように、接続対象側インシュレータ50、コンタクト51を有している。接続対象側インシュレータ50は、ケーブル側コネクタ3を収納する形で離脱可能に保持している。コンタクト51は、接続対象側インシュレータ50に固定されており、先端にスリットが形成された接触部51aを有している。接触部51aは、ケーブル側コネクタ3が接続対象側インシュレータ50に保持される際に、ケーブル7の被覆70を裂いてケーブル7の芯線71に離脱可能に接触する。尚、接続対象側コネクタ5は、図4(c)及び図5に示したように、プリント基板9上に実装される。
【0016】更に、接続対象側インシュレータ50は、その一端部に形成された凹部50a、及びこの一端部の内側面に形成された溝50bを有している。凹部50aは、ケーブル側コネクタ3の凸部32aを回動自在に枢支する。溝50bは、ケーブル側コネクタ3の突出部32bを所定の角度で受け入れる。」

(6c)「【0020】嵌合の初期段階は、ケーブル側コネクタ3(第2のケーブル側インシュレータ32)を図9又は図12のように斜め上方A或いは上方Bから接続対象側コネクタ5(接続対象側インシュレータ50)に挿入することで行われる。尚、図12においてθは具体的には例えば約35°である。
・・・
【0022】嵌合途中では、図13に示すように、面50dと面32cが当接する。よって、嵌合操作をケーブル側左端で行うことで、テコの原理による低挿入力での挿入が可能となる。また、図13より分かるように、面50cと曲面50eがそれぞれ面32dと曲面32gをガイドすることから、正確な位置での嵌合が可能となる。
【0023】そして、図14の嵌合状態においては、第2のケーブル側インシュレータ32に設けられた突起32hが接続対象側インシュレータ50の溝50fに係合することから、振動や衝撃等によって簡単に嵌合が外れることがない。また、嵌合途中において、面50dに図13において上方向に力が加わるが、補強リブ50gが中央に構成され、また第2のケーブル側インシュレータ32にはこの逃げ溝32iが設けられていることから、小さい寸法でも充分な強度が得られるようになっている。」

(6d)図13


(6e)図14


[甲第7号証]
甲第6号証と同様な事項が記載されている。(記載事項省略)

[甲第8号証]
(8a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芯線に接触による疵がつかず連接(ディージーチェン)が可能なケーブルコネクタの技術分野に属する。」

(8b)「【0012】また、先端をコンタクト側アセンブリ2へ挿入し、後方を押し下げたときに先端が持ち上らないようにするため前方凸部24が設けられており、嵌合した後その嵌合を維持するための係止突起11が左右両側に設けられている。コンタクト側アセンブリ2は、インシュレータブロック13に嵌合凹部25を有し、そこへケーブル側アセンブリ1が嵌合したときの芯線8に対応する位置にコンタクト12を有し、芯線8がコンタクト12に充分押し付けられた状態で保持されるように係止凹部23を有し、ケーブル側アセンブリの係止突起11が係止凹部23に嵌まることによって嵌合が維持される。これはインシュレータブロック3,13の材質の若干の変形復元性を利用している。
【0013】以上のような、ケーブル側アセンブリ1の前方凸部24の方を下げた傾斜状態でコンタクト側アセンブリ2の嵌合凹部25へ挿入し、充分挿入したところでケーブル側アセンブリ1の後部をコンタクト側アセンブリ2へ押し付けるように回動すると芯線8がコンタクト12に押し付けられて電気的接続が得られ、所定の位置まで押し下げるとケーブル側アセンブリ1の係止突起11がコンタクト側アセンブリ2の係止凹部23に嵌まり両アセンブリの嵌合状態が維持される。」

(8c)図2


7.当審の判断
7-1.29条関係
7-1-1. 本件特許発明3について
本件特許発明3と甲1発明とを対比すると、
甲1発明の「相手コネクタ33」は本件特許発明3の「ケーブルコネクタ」に相当し、以下同様に、「一方のコネクタ31」は「レセプタクルコネクタ」に、「回転中心突起53」は「ロック突部」に、「溝部49」は「ロック溝部」に、「係止突起60」は「係止部」に、「係止穴51」は「被係止部」に、「回転挿抜コネクタ」は「電気コネクタ組立体」に、それぞれ相当する。(ただし、「回転中心突起53」及び「溝部49」の「ロック」機能については、相違点2として検討する。)
甲1発明の回転挿抜コネクタは、一方のコネクタ31のハウジング35の対の側壁47の間には,相手コネクタ33の相手ハウジング39が嵌込まれるものであって、かつ、相手コネクタ33の相手ハウジング39の対の側面及びそれと直角をなす端面が、一方のコネクタ31のハウジング35の対の側壁47の内面及びそれと直角をなす端部の内面にそれぞれ対面して嵌込まれるものである。そうすると、それら対面するそれぞれの面は、本件特許発明3の「ハウジングの周面に形成された嵌合面」といえるので、甲1発明の「相手コネクタ33」と「一方のコネクタ31」とは、本件特許発明3の「ハウジングの周面に形成された嵌合面で互いに嵌合接続される」ものといえる。
甲1発明の相手ハウジング39の係止突起60が形成される対の側面の「端面に寄った位置」は、本件特許発明3のケーブルコネクタの係止部が設けられる側壁の「前方の端壁面に寄った位置」に相当する。
また、甲1発明のハウジング35の側壁47の内面に形成された「係止穴51」は、相手コネクタ33の係止突起60が入り込みロックされることから、前後方向で上記係止突起60と対応する位置でロックされた状態にて上記係止突起60と係止可能なものといえ、ここで「ロックされた状態」は、本件特許発明3の「コネクタ嵌合状態」に相当する。
甲1発明の「相手コネクタ33」が、「外部から導入されたケーブル44の一端が接続され」ていることは、本件特許発明3でいう「後方に位置する端壁面をケーブルの延出側としている」ことを意味する。
甲1発明の「溝部49」には、本件特許発明3でいう「溝部前縁と溝部後縁」が形成されていることは明らかであり、また、甲1発明の溝内方へ突出する突出部が形成されている「肩部56が形成された面と対向する面」は、上記「溝部後縁」に対応する。
甲1発明は、相手コネクタ33と一方のコネクタ31とがロックされた状態において、少なくとも回転中心突起53と溝部49の突出部とは、本件特許発明3でいう「当接可能な状態」といえ、そして、相手コネクタ33を一方のコネクタ31から引抜く際には、係止突起60とコネクタの係止穴51との係止可能な状態が解除されるとともに、上記「当接可能な状態」が解除され、相手コネクタ33の引抜き(抜出)が可能となることは明らかであり、
さらに、甲1発明の「相手コネクタ33を時計方向に回転した後に、回転中心突起53を溝部49にて案内しつつ上方に引き抜く」ことと、本件特許発明3の「コネクタ嵌合状態で持上げ部を抜出方向に持ち上げる」こととは、「コネクタ嵌合状態で解除操作を行う」ことである限りにおいて一致する。

よって、両者は、
「ハウジングの周面に形成された嵌合面で互いに嵌合接続されるケーブルコネクタとレセプタクルコネクタとを有し、嵌合面が側壁面とこれに直角をなし前方に位置する端壁面とで形成されており、ケーブルコネクタが後方に位置する端壁面をケーブルの延出側としている電気コネクタ組立体において、
ケーブルコネクタは、ロック突部を側壁面に有し、レセプタクルコネクタは、前後方向で該ロック突部に対応する位置で溝部前縁と溝部後縁が形成されたロック溝部を側壁面に有し、該ロック溝部には溝部後縁から溝内方へ突出する突出部が設けられており、ケーブルコネクタは、前方の端壁面に寄った位置で側壁に係止部が設けられ、レセプタクルコネクタは、前後方向で上記係止部と対応する位置でコネクタ嵌合状態にて該係止部と係止可能な被係止部が側壁に設けられており、コネクタ嵌合過程にてケーブルコネクタの前端がもち上がって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあり、上記ロック突部がロック溝部内に進入して所定位置に達した後に上記上向き傾斜姿勢が解除されて上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となる電気コネクタ組立体。」点で一致し、以下の点で相違する。

相違点:本件特許発明3では、ロック突部は、突部前縁と突部後縁が形成され、また、ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置し、上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が上記突出部の最前方位置よりも後方に位置し、該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記抜出方向で上記突出部と当接して、上記ケーブルコネクタの抜出が阻止されるようになっているのに対し、
甲1発明では、回転中心突起53は、円柱形とされ、また、相手コネクタ33と一方のコネクタ31とがロックされた状態において、回転中心突起53は溝部49の突出部の下方に位置しているものの、相手コネクタ33が後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、回転中心突起53が上記抜出方向で突出部と当接して、上記相手コネクタ33の抜出が阻止されるとはされていない点。

上記相違点について検討すると、
甲1発明は、相手コネクタ33とコネクタ31とがロックされた状態において、回転中心突起53は溝部49の突出部の下方に位置している位置関係から、相手コネクタ33が後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、回転中心突起53が上記抜出方向で突出部と当接し、それにより、回転中心突起53の上方への移動が制限されること、すなわち、相手コネクタ33の上方への移動が制限されることは明らかであり、このことは本件特許発明3でいう「抜出を阻止する」ようになっていることに他ならない。
しかし、上記抜出しの阻止が、その手段において、本件特許発明3では、「ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置し、上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が上記突出部の最前方位置よりも後方に位置し、該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記抜出方向で上記突出部と当接」すること、すなわち、ケーブルコネクタの姿勢に応じて「ロック突部」の突部後縁の最後方位置と「ロック溝部」の突出部の最前方位置との位置関係を変化させることにより行われているのに対し、甲1発明では、「回転中心突起53」と「溝部49」との関係からみて、「回転中心突起53」がコネクタ突合方向の軸線方向に突出部の下方の位置まで移動することにより行われる点で相違する。
そして、甲第5?8号証には、コネクタにおいて嵌合操作の支点となる突部を多角形状としたものが示されているものの、何れも本件特許発明3における上記抜出しの阻止の手段が記載または示唆されているものではない。
また、仮に、甲1発明の「回転中心突起53」として、甲第5?8号証に記載されているような多角形状のものを採用したとしても、ケーブルコネクタの姿勢に応じた「ロック突部」の突部後縁の最後方位置と「ロック溝部」の突出部の最前方位置との位置関係が特定された本件特許発明3における上記抜出しの阻止の手段をただちに構成し得るものではない。
さらに、他に上記相違点の本件特許発明3に係る事項を容易になし得たとする証拠はない。
よって、甲1発明において、上記相違点の本件特許発明3のようになすことが容易であるということはできない。
したがって、本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明とはいえず、また、甲第1号証に記載された発明、及び周知の甲第2号証から甲第8号証に示される構成に基づいて、当業者が容易に発明できたものともいうことはできない。

7-1-2.請求人の主張につて
請求人は、「最後方位置」に係り以下の主張をしている(口頭審理陳述要領書第5頁14行?6頁3行)。
被請求人によれば、この特定はロック突部の後縁における特定部位の位置について、上向き傾斜姿勢と嵌合終了姿勢のときの前後方向の位置を比較したもの(答弁書第42頁第19行?第43頁第3行)ということである。
しかしながら、上向き傾斜姿勢時と嵌合終了時におけるロック突部の前後方向における絶対的な最後方位置を比較したもの(特定部位の比較ではなく、その時点における最後方位置の比較)であるなら、ロック突部の全体的な変位の内容を特定したことになるのかもしれないが、単に特定部位について前後方向の位置を比較してもコネクタの全体的な挙動に関して何の意味もない。
なおこの特定が、「上向き傾斜姿勢でロック突部が突出部の下側にはなく、嵌合終了姿勢では突出部の下側に位置する」というような構成を意味するものでないのは、本件特許発明の実施例を示した図5(B)や図8(B)において、上向き傾斜姿勢においてロック突部が突出部の下側にある形態が示されていることからも明らかである。
そもそも、水平の嵌合状態時に最後方位置になる部位が、これを回転させたときにそれより前方に移動することは、回転という動作に伴い必然的に生じる現象である。したがって、およそ本件特許発明3や甲1発明のように回転させて挿抜するタイプのコネクタにおいて、「ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置し、上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が上記突出部の最前方位置よりも後方に位置」することにならい構成はあり得ない。
このように最後方位置の変位が生じるのは甲1発明でも同じであるし、その他、甲第5号証から甲第8号証の何れのコネクタでも生じる現象である。

しかし、本件特許発明3の実施形態である図7に係り、本件明細書には「 ロック突部21’は、図3(B)における突部前縁21Aと斜部21Cと同様な突部前縁21’Aと斜部21’Cとを有している。これに対し、突部後縁21’Bは、ケーブル延出方向(嵌合終了時の姿勢における前後方向)に対し直角方向に延びる上部垂直部21’B-1と、その下方位置に下方に向け後方に延びる下部傾斜部21’B-2とを有している。」(段落【0049】)、「ロック突部21’の下部傾斜部21’B-2が、ロック溝部57’の後縁突出部59’Bの位置まで達すると、該後縁突出部59’Bに対して下部傾斜部21’B-2が該後縁突出部59’Bの下方に向けて滑動しながらケーブルコネクタ10はその前端が時計方向に回転して水平姿勢となって嵌合終了の姿勢に至る。この嵌合終了時には、上記下部傾斜部21’B-2が後縁突出部59’Bと上方向で干渉して、上記嵌合終了の姿勢あるいはケーブルCがもち上げられる前端の下向き姿勢での抜けが防止されると」(段落【0053】)と記載され、
また、それに関連して図3に係り、本件明細書には「ロック突部21は、ケーブルコネクタ10が、図3(A)に示されるような嵌合終了時の姿勢、すなわちケーブルコネクタ10の上面、下面そしてケーブルがいずれも水平方向に延びていて前端がもち上かっていない姿勢のときに、突部前縁21Aの最前方位置と突部後縁21Bの最後方位置との距離Aが該ロック突部21の前後方向幅として最大値をとる。」(段落【0030】)、「(4)しかる後、ケーブルコネクタ10を嵌合終了の姿勢、すなわち、図3(A)における姿勢と同じとなるように、ケーブルコネクタ10の前端側を降下させる。該ケーブルコネクタ10は、ロック突部21側を中心として突部後縁21Bの最後方位置がロック溝部57の溝部後縁57Bの垂直部57B-2に当接しながら時計方向に回転し、上記上向き姿勢が解除されて、水平となって嵌合終了の姿勢をとる(図3(C)参照)。上記回転の際、斜部21Cは、突出部59の下縁に近接した状態で、溝部前縁57Aに近づき、上下方向では突出部59と干渉する位置、すなわち、ロック位置にきている。」(段落【0039】)と記載されていることも参酌すれば、本件特許発明3において、ケーブルコネクタの姿勢の変化はロック突部の前後方向における絶対的な最後方位置の変化を伴うことは明らかである。
よって、本件特許発明3における「ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置し、上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が上記突出部の最前方位置よりも後方に位置し」ているとの要件は、ロック突部の前後方向における絶対的な最後方位置が変化するものに特定されたものであって、その「ロック突部」は、甲1発明の「回転中心突起53」の円柱形のような回転により絶対的な最後方位置が変化しないものは除かれることは明らかである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。

7-1-3.本件特許発明4及び5について
本件特許発明4及び5のそれぞれと甲1発明とを対比すると、両者は、少なくとも上記「7-1-1.本件特許発明3について」で挙げた相違点において相違し、当該相違点は、上記したように容易になし得たとすることはできない。したがって、本件特許発明4及び5は、甲第1号証に記載された発明とはいえず、また、甲第1号証に記載された発明、及び周知の甲第5号証から甲第8号証に示される構成に基づいて、当業者が容易に発明できたものともいうことはできない。

7-1-4.まとめ
以上のとおり、請求人の主張する無効理由(1)によっては、本件特許発明3?5ついての特許を無効とすることはできない。

7-2.36条関係
7-2-1.請求項3について
(ア-1)請求人は、請求項3に係り以下の主張をしている。
請求項3には、(1)「ロック溝部には溝部後縁から溝内方へ突出する突出部が設けられて」いること、(2)「コネクタ嵌合過程にて上記ケーブルコネクタの前端がもち上がって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置」すること、および(3)「上記ロック突部が上記ロック溝部内に進入して所定位置に達した後に上記上向き傾斜姿勢が解除されて上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が上記突出部の最前方位置よりも後方に位置」することが特定されている。
これに対し、本件明細書に記載された実施例において、突出部がロック溝部後縁から溝内方へ突出する構成は、図7に示された実施例だけであるから、請求項3は、この実施例を基に特定されたものと解される。
この実施例の構成、および嵌合過程については、明細書の段落【0048】から【0053】に説明されているが、この部分には、本実施例における、ロック突部の突部後縁の最後方位置に関する説明が無い上、突出部がロック溝部後縁から溝内方へ突出する構成において、その最後方位置が嵌合過程および嵌合終了姿勢でどのように移動するのか、記載も示唆もされていない。また図7においても、ロック突部の突部後縁の最後方位置がどのように移動するのか示されていない。
したがって、請求項3における上記特定事項(2)(3)が、明細書に記載も示唆もされていないから、請求項3に係る本件特許発明は、特許法第36条第6項1号の規定に違反する。

しかし、本件特許発明3の実施形態である図7に係り、本件明細書には「 図7において、ロック突部21’の水平姿勢時の前後方向距離Aそして上向傾斜時の前後方向距離A’、そしてロック溝部57’の前後方向の最小溝幅の距離Bの関係は、図3(A)における距離A、距離A’そして距離Bとそれぞれ同様に、距離A’<距離B<距離Aとなっている。」(段落【0049】)、「ロック突部21’の下部傾斜部21’B-2が、ロック溝部57’の後縁突出部59’Bの位置まで達すると、該後縁突出部59’Bに対して下部傾斜部21’B-2が該後縁突出部59’Bの下方に向けて滑動しながらケーブルコネクタ10はその前端が時計方向に回転して水平姿勢となって嵌合終了の姿勢に至る。この嵌合終了時には、上記下部傾斜部21’B-2が後縁突出部59’Bと上方向で干渉して、上記嵌合終了の姿勢あるいはケーブルCがもち上げられる前端の下向き姿勢での抜けが防止されると」(段落【0053】)と記載され、
また、それに関連して図3に係り、本件明細書には「ロック突部21は、ケーブルコネクタ10が、図3(A)に示されるような嵌合終了時の姿勢、すなわちケーブルコネクタ10の上面、下面そしてケーブルがいずれも水平方向に延びていて前端がもち上かっていない姿勢のときに、突部前縁21Aの最前方位置と突部後縁21Bの最後方位置との距離Aが該ロック突部21の前後方向幅として最大値をとる。」(段落【0030】)、「(4)しかる後、ケーブルコネクタ10を嵌合終了の姿勢、すなわち、図3(A)における姿勢と同じとなるように、ケーブルコネクタ10の前端側を降下させる。該ケーブルコネクタ10は、ロック突部21側を中心として突部後縁21Bの最後方位置がロック溝部57の溝部後縁57Bの垂直部57B-2に当接しながら時計方向に回転し、上記上向き姿勢が解除されて、水平となって嵌合終了の姿勢をとる(図3(C)参照)。上記回転の際、斜部21Cは、突出部59の下縁に近接した状態で、溝部前縁57Aに近づき、上下方向では突出部59と干渉する位置、すなわち、ロック位置にきている。」(段落【0039】)との記載を参酌すれば、図7に係る実施例におけるロック突部の突部後縁の最後方位置が嵌合過程および嵌合終了姿勢でどのように移動するのかは容易に理解できる。
よって、図7の実施形態は、図1乃至図4に示された実施形態を基本とした「他の実施形態」として説明されているものであるから(本件明細書段落【0016】)、図7の実施形態を理解するにあたって、図1乃至図4に示された実施形態など本件明細書の記載を参酌すれば、その内容を容易に理解できる。そうすると、本件特許発明3は、発明の詳細な説明に記載したものであることは明らかである。
したがって、請求人の上記主張に理由はない。

(ア-2)また、請求人は、請求項3に係り以下の主張をしている。
請求項3には、「コネクタ嵌合過程にて上記ケーブルコネクタの前端がもち上がって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置」と特定されている。すなわち、ロック突部の突部後縁の最後方位置に関して、上向き傾斜姿勢にあるときと嵌合終了姿勢にあるときの位置関係を特定している。
しかしながら、本件明細書では、突出部がロック溝部後縁から溝内方へ突出する構成における「ロック突部の突部後縁の最後方位置」に関する説明が無いから、上向き傾斜姿勢と嵌合終了姿勢において、ロック突部のどの部位に関する位置を比較しているのか不明であり、発明が不明確である。
すなわち一つには、例えば嵌合終了姿勢時に突部後縁における最後方位置となる部位に着目し、上向き傾斜姿勢と嵌合終了姿勢においてその部位についての前後の位置関係を比較するもの、つまりロック突部の同じ部位について比較したものと解釈できる。
あるいはそうではなく、それぞれ上向き傾斜姿勢時と嵌合終了姿勢時の、それぞれの時点における突部後縁の最後方位置を比較するもの、つまりロック突部の同じ部位について比較したものでは無いとも解釈できる。
したがって、請求項3は発明の内容が不明確であるから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反する。

しかし、被請求人の答弁書(第42頁19行?第43頁1行)での主張のとおり、本件特許発明3の「ロック突部」は、「ロック溝部」に対する前後方向の位置関係を、ケーブルコネクタの姿勢に応じて変化させることによって、「該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記抜出方向で上記突出部と当接して、上記ケーブルコネクタの抜出が阻止される」ものであるから、「嵌合終了時に突部後縁における最後方位置となる部位に着目し、上向き傾斜姿勢と嵌合終了姿勢においてその部位についての前後の位置関係を比較するもの、つまりロック突部の同じ部位について比較したもの」であることは明らかである。
よって、本件特許発明3は明確であり、請求人の主張に理由はない。

7-2-2.請求項4について
(イ-1)請求人は、請求項4に係り以下の主張をしている。
請求項4には、「ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方にあることとする」ことが特定されている。請求項4は請求項3に従属するものであり、請求項3では、ロック溝部の溝部後縁に突出部が形成されていることが特定されており、この構成に該当するのは図7の実施例のみであるから、請求項4は図7に示された実施例の構成を発明として請求したものと考えられる。
しかし、「ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方にある」構成Eとすることについて本件明細書の発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない。また、このように特定することの技術的意義が何ら記載されておらず、示唆もされていない。さらに、構成Eとしたからといって、常にロック突部が抜出方向で突出部と当接するわけではなく、そのような構成としなくても、ロック突部が抜出方向で突出部と当接させることは可能である。
したがって、「ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方に」することが、ロック突部が抜出方向で突出部と当接させる手段であるという技術的意義を有するわけでもない。
よって、請求項4の、「ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方にあることとする」構成とすることについて、本件明細書の発明の詳細な説明に記載も示唆もされておらず、このように特定することの技術的意義も不明である。
特許法36条4項1号において、発明を実施できるというためには、発明がどのような技術上の意義を有するか当業者が理解できる必要があると解されるが、当業者が本件特許発明4を技術上の意義を持ったものとして実施できるとはいえないから、特許法第36条第4項第1号の規定に違反する。

しかし、本件特許発明4は、本件特許発明3の従属項として規定されたものであって、本件特許発明3の「ロック突部の突部後縁」について、さらに限定を加えたものである。
よって、本件特許発明4に規定されている「ロック突部の突部後縁」は、少なくとも本件特許発明3と同様な技術上の意義を有すものである。
したがって、請求人の上記主張には理由はない。

(イ-2)また、請求人は、請求項4に係り以下の主張をしている。
請求項4における「ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方にあることとする」は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない。
さらに、「ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方に」することによって、ロック突部が抜出方向で突出部と当接させられるとはいえず、このように特定することの技術的意義が不明であるから、このように特定することによって、発明のどのような課題を解決することができるのか不明である。さらに、どのような構成であっても「ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方」にあれば、本件特許発明4に該当することになる。
特許法36条第6項1号において、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるといえるためには、請求項に係る特許発明が、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲のものである必要がある。
しかしながら、本件特許発明4によりどのような課題が解決できるか当業者が認識できないから、本件明細書で提示された課題を解決する範囲を超えるものであるといわざるを得ない。

しかし、本件特許発明3の実施形態である図7に係り、本件明細書には「 ロック突部21’は、図3(B)における突部前縁21Aと斜部21Cと同様な突部前縁21’Aと斜部21’Cとを有している。これに対し、突部後縁21’Bは、ケーブル延出方向(嵌合終了時の姿勢における前後方向)に対し直角方向に延びる上部垂直部21’B-1と、その下方位置に下方に向け後方に延びる下部傾斜部21’B-2とを有している。」(段落【0049】)とのロック突部の形状に係る記載、 「ロック突部21’の下部傾斜部21’B-2が、ロック溝部57’の後縁突出部59’Bの位置まで達すると、該後縁突出部59’Bに対して下部傾斜部21’B-2が該後縁突出部59’Bの下方に向けて滑動しながらケーブルコネクタ10はその前端が時計方向に回転して水平姿勢となって嵌合終了の姿勢に至る。この嵌合終了時には、上記下部傾斜部21’B-2が後縁突出部59’Bと上方向で干渉して、上記嵌合終了の姿勢あるいはケーブルCがもち上げられる前端の下向き姿勢での抜けが防止されると」(段落【0053】)とのロック突部の動作に係る記載及び図7を参酌すれば、請求項4における「ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方にあることとする」ことは、発明の詳細な説明に記載されたものと認識し得る。
また、本件特許発明4は、本件特許発明3の従属項として規定されたものであって、本件特許発明3の「ロック突部の突部後縁」について、さらに限定を加えたものである。よって、本件特許発明4は、少なくとも本件特許発明3と同様に本件明細書で提示された課題を解決し得ることは明らかである。
したがって、請求人の上記主張には理由がない。

7-2-3.まとめ
以上のとおり、請求人の主張する無効理由(2)によっては、本件特許発明3及び4についての特許を無効とすることはできない。

8.むすび
したがって、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件特許発明3ないし本件特許発明5についての特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担するものとする。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電気コネクタ組立体
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングの周面に形成された嵌合面で互いに嵌合接続されるケーブルコネクタとレセプタクルコネクタとを有する電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
このような電気コネクタ組立体としては、例えば、特許文献1に開示されているコネクタが知られている。この特許文献1の電気コネクタ組立体では、嵌合面が側壁面とこれに直角な端壁面とで形成されており、ケーブルコネクタが後方の端壁面をケーブルの延出側としている。
【0003】
特許文献1では、レセプタクルコネクタは内側に向く側壁面に嵌合突部を有しケーブルコネクタの嵌合時に、該ケーブルコネクタの嵌合凹部に上記嵌合突部が係止してコネクタの抜けを図るロック手段を形成している。該ロック手段は、ケーブルの延出側となる後部の位置で、上記側壁面に設けられている。さらに、この側壁面には前部に斜面からなるカム面が両コネクタに設けられていて、コネクタ嵌合後、ケーブルを後方に引くと、その力が上記両コネクタのカム面で上方向、すなわち、コネクタ抜出方向の力の成分を生ずるようになっていて、この力によって上記ロック手段でのロック力に抗して、コネクタの抜出を容易としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-033150
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような特許文献1のコネクタにあっては、ケーブルコネクタのケーブルを後方に引く力が、意図的に加えられる場合は勿論のこと、不用意に加えられたときでも、上記カム面での抜出方向の力の発生により、ロック手段が解除されてコネクタが抜出されてしまう、すなわち意図せぬ外れを生じてしまう、ということを意味する。
【0006】
ケーブルコネクタにあってはケーブルに不用意な力、しかも、抜出方向成分をもつ力が加えられてしまうことがしばしばある。かかる不用意な力がケーブルに作用すると、特許文献1のコネクタでは、単純なケーブル延出方向の力であっても、上記カム面の働きによって上方向の成分の力が発生しコネクタを抜出してしまう。また、ケーブルに作用する不用意な力に、もともと上向き成分を伴っていると、上記抜出の傾向はさらに強くなる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、ケーブルコネクタのケーブルに不用意な力が作用しても、そして、その力が上向き方向の成分を伴っても、ケーブルコネクタを意図的に抜出させない限り、外れない電気コネクタ組立体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気コネクタ組立体は、ハウジングの周面に形成された嵌合面で互いに嵌合接続されるケーブルコネクタとレセプタクルコネクタとを有し、嵌合面が側壁面とこれに直角をなし前方に位置する端壁面とで形成されており、ケーブルコネクタが後方に位置する端壁面をケーブルの延出側としている。
【0009】
かかる電気コネクタ組立体において、以下の第一発明および第二発明によって上述の課題を解決できる。
【0010】
<第一発明>
第一発明では、ケーブルコネクタは、突部前縁と突部後縁が形成されたロック突部を側壁面に有し、レセプタクルコネクタは、前後方向で該ロック突部に対応する位置で溝部前縁と溝部後縁が形成されたロック溝部を側壁面に有し、該ロック溝部には溝部前縁から溝内方へ突出する突出部が設けられており、コネクタ嵌合過程にて上記ケーブルコネクタの前端がもち上がって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部前縁の最前方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して後方に位置し、上記ロック突部が上記ロック溝部内に進入して所定位置に達した後に上記上向き傾斜姿勢が解除されて上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部前縁の最前方位置が上記突出部の最後方位置よりも前方に位置し、該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記抜出方向で上記突出部と当接して、上記ケーブルコネクタの抜出が阻止されるようになっていることを特徴としている。
【0011】
第一発明において、ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部前縁は、該突部前縁の最前方位置が最後方位置よりも上方にあることとしてもよい。
【0012】
<第二発明>
第二発明では、ケーブルコネクタは、突部前縁と突部後縁が形成されたロック突部を側壁面に有し、レセプタクルコネクタは、前後方向で該ロック突部に対応する位置で溝部前縁と溝部後縁が形成されたロック溝部を側壁面に有し、該ロック溝部には溝部後縁から溝内方へ突出する突出部が設けられており、ケーブルコネクタは、前方の端壁面に寄った位置で側壁に係止部が設けられ、レセプタクルコネクタは、前後方向で上記係止部と対応する位置でコネクタ嵌合状態にて該係止部と係止可能な被係止部が側壁に設けられており、コネクタ嵌合過程にて上記ケーブルコネクタの前端がもち上がって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置し、上記ロック突部が上記ロック溝部内に進入して所定位置に達した後に上記上向き傾斜姿勢が解除されて上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が上記突出部の最前方位置よりも後方に位置し、該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記抜出方向で上記突出部と当接して、上記ケーブルコネクタの抜出が阻止されるようになっていることを特徴としている。
【0013】
第二発明において、ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方にあることとしてもよい。
【0014】
第一発明および第二発明において、ケーブルコネクタの前端部にはコネクタ嵌合状態でレセプタクルコネクタの前方の端壁面の位置から前方へ突出する持上げ部が設けられていて、該持上げ部を抜出方向に持ち上げることにより該ケーブルコネクタの抜出が可能となっていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のように、ケーブルコネクタがその側壁面にロック突部、そしてレセプタクルコネクタがその側壁面の対応位置にロック溝部を有し、上記ロック突部が嵌合方向で上記ロック溝部内に進入してケーブルコネクタが嵌合終了の姿勢となった後は、該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記ロック溝部の突出部に当接して該ケーブルコネクタの抜出を阻止するようにしたので、ケーブルコネクタの後端から延出しているケーブルを不用意に引いても、そしてその引く力がたとえ上向き成分を伴っていても、ロック突部がロック溝部の突出部に当接して、ケーブルコネクタはレセプタクルコネクタから外れることはない。ケーブルを引く不用意な力は、多くの場合、上記の上向き成分を伴っており、このような力に対して、本発明は確実に対処可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態のケーブルコネクタとレセプタクルコネクタの嵌合前の斜視図である。
【図2】図1におけるII-II線でのケーブルコネクタ及びこれに対応する位置でのレセプタクルコネクタの断面図であり、(A)はコネクタ嵌合前、(B)は嵌合途中そして(C)は嵌合終了時を示す。
【図3】図1におけるIII-III線でのケーブルコネクタ及びこれに対応する位置でのレセプタクルコネクタの断面図であり、(A)はコネクタ嵌合前、(B)は嵌合途中そして(C)は嵌合終了時を示す。
【図4】図1におけるIV-IV線でのケーブルコネクタ及びこれに対応する位置でのレセプタクルコネクタの断面図であり、(A)はコネクタ嵌合前、(B)は嵌合途中そして(C)は嵌合終了時を示す。
【図5】本発明の他の実施形態を示す断面図であり、(A)はコネクタ嵌合前、(B)は嵌合途中そして(C)は嵌合終了時を示す。
【図6】本発明のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態を示す断面図で、(A)はコネクタ嵌合前、(B)は嵌合途中そして(C)は嵌合終了時を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1において、符号10はケーブルコネクタであり、該ケーブルコネクタ10は相手コネクタとしてのレセプタクルコネクタ50に嵌合し、互いに電気的に接続される。
【0019】
ケーブルコネクタ10は、外形が略直方体をなす電気絶縁材のハウジング11を有し、ケーブルCが結線された端子を上記ハウジング11内で保持している。本実施形態では、ハウジング11の内部には二つの端子が保持されていて、ハウジング11の後方の端壁面12に形成された二つの開口部13から、各端子に結線されたケーブルCがそれぞれ後方へ延出している。
【0020】
図2(A)に見られるように、本実施形態では、端子30は圧着端子である。しかし、本発明において、端子は圧着端子に限らず、圧接結線、半田結線等の他の方法で結線される端子であってもよい。上記端子30は、金属板を成形そして屈曲させて作られていて、帯状の平板部31と、該平板部31の両側縁から対をなして延びる保持片32、圧着片33、係止片34そして接触片35を順に有している。かかる端子30に結線されるケーブルCは先端部にて外皮C1が除去されていて、芯線C2が露呈している。上記端子30の保持片32はケーブルCの外皮C1を緊締するように曲げられてケーブルCを保持し、圧着片33は芯線C2を緊締するように曲げられて該芯線C2と圧着結線されている。係止片34は、芯線C2よりも前方(図2にて右方)にあり、後述のハウジングの対応せる係止端に対し、後方に向け係止してケーブル付端子の抜けを防止している。一対の接触片35は延出方向(図2にて下方向)中間位置にて、くびれた喉状部35Aを有し、一対の接触片35の間に下方から進入するレセプタクルコネクタ50の板状の端子を挟圧して該端子との接触を図るようになっている。
【0021】
ハウジング11は、図2(A)に見られるように、上記ケーブルCが結線された端子30をケーブル長手方向に挿入するため上記開口部13から前方へ延びる端子孔14が形成されており、該端子孔14は前方の端壁面15に貫通開口していると共に、ハウジング11の前部にて底壁16でも下方に開口していて上記前方の端壁面15寄り部分に端子進入スリット17を形成し、その後方に係止孔18を形成している。上記端子進入スリット17は、上記相手コネクタたるレセプタクルコネクタ50の板状の端子の進入のためにその板厚より若干大きい幅(図2(A)にて紙面に直角方向のスリット幅)を形成している。また、この端子進入スリット17の後方で該端子進入スリット17に隣接する係止孔18は、該端子進入スリット17よりも、紙面に直角方向で、大きい幅に形成されていて、上記端子30の一対の係止片34が上方から進入可能となっている。該係止孔18の後端をなすハウジング11の底壁16の端縁は係止端16Aを形成し、上記係止片34の後退を阻止する。該係止片34は、端子30を端子孔14への挿入時、該係止片34と底壁16との間の相対的弾性変位により前進して係止孔18の位置にまで達して上記係止端16Aとの係止可能状態となる。
【0022】
上記ハウジング11は、前端に上壁の延長部として、該前端を摘んでもち上げるための持上げ片として形成された持上げ部19を有している。
【0023】
上記ハウジング11は、上記後方そして前方の端壁面12,15と共に側壁面20が周面をなし、相手コネクタたるレセプタクルコネクタ50と嵌合する嵌合面を形成している。上記側壁面20には、その後部位置にロック突部21がそして前部下縁位置に係止部22がそれぞれ設けられている。
【0024】
上記ロック突部21は、図1そして図3(A)に見られるように、突部前縁21A、突部後縁21Bとを有し、両者21A,21Bは、コネクタ嵌合方向、すなわち図1にて下方に向けコネクタの後端側へ傾斜しており、本実施形態では互いに平行となっている。突部前縁21Aの上方には斜部21Cが形成されている。また、ロック突部21の下縁は、相手コネクタとの嵌合を容易とするテーパ部21Dが形成されている(図1参照)。
【0025】
一方、係止部22は、ハウジング11の下縁から下方に突出した状態で前後方向に延びている。この係止部22には、その上縁そして下縁に相手コネクタとの嵌合の際の相手方たる後述の被係止部との係止そして解除を容易とするテーパ部22A,22Bが形成されている。この係止部22はハウジング11の側壁部20の面に対し直角方向で弾性変位可能となっている。
【0026】
上記ケーブルコネクタ10を受け入れるレセプタクルコネクタ50のハウジング51は、その受入れのための空間として周壁と底壁で形成される凹部52を形成している(図1参照)。ハウジング51の周壁は、一対の平行な側壁53、前端壁54そして後端壁55を有している。そして、周壁の下部と連結されている底壁56は、その後部に、後方へ開放された切欠部56Aが形成されている。
【0027】
上記側壁53は、凹部52の内方に向く側壁面53Aの後部位置にロック溝部57そして、前部位置には係止溝部58が形成されている。
【0028】
ロック溝部57は、溝部前縁57Aと溝部後縁57Bとの間で上下方向に貫通して形成されている。上記溝部前縁57Aの上部には、後方へ向け溝内に突出する突出部59が設けられている。該突出部59は、ロック溝部57の入口側すなわち上縁部に、テーパ部59Aを有している。該突出部59は、このテーパ部59Aよりも下の部分が下方に延びる垂直部59Bをなしているが、この形は特に重要ではなく、本実施形態では、上記テーパ部59Aを有する突出部59となっていればよい。上記溝部前縁57Aは突出部59の下方に位置する部分が下方に向く垂直前縁をなしているが、この垂直前縁もその形は自由であり、上記突出部59の下方に既述のロック突部21を収容する空間を形成していればよい。上記ロック溝部57の溝部後縁57Bは、ロック溝部57の入口から下方に向け前方へ傾く案内傾斜部57B-1とその下方に位置する垂直部57B-2とを有している。上記案内傾斜部57B-1は、上下方向で、上記突出部59よりも下方位置にまで及んでいる。
【0029】
次に、上述したロック突部21とロック溝部57における前後方向での寸法関係について説明する。
【0030】
ロック突部21は、ケーブルコネクタ10が、図3(A)に示されるような嵌合終了時の姿勢、すなわちケーブルコネクタ10の上面、下面そしてケーブルがいずれも水平方向に延びていて前端がもち上がっていない姿勢のときに、突部前縁21Aの最前方位置と突部後縁21Bの最後方位置との距離Aが該ロック突部21の前後方向幅として最大値をとる。これに対して、レセプタクルコネクタ50のロック溝部57は、前後方向における溝幅としては、突出部59の後端位置と垂直部57B-2の位置との間の前後方向での距離Bが最小値である。本発明では、上記距離B<距離Aとなっている。すなわち、図3(A)の姿勢で上記ケーブルコネクタ10をそのまま降下させても、ロック突部21はロック溝部57の奥部までは進入できないことを意味しており、コネクタの嵌合ができない。しかしながら、図3(A)にも見られるように、ロック突部21の突部前縁21Aと突部後縁21Bはいずれも嵌合方向先方に向け後端側へ傾いていて、しかも両者は平行なので、この傾いている角度の分だけを、前端側にもち上げられる上向き傾斜させた姿勢とすれば、そのときの突部前縁21Aと突部後縁21Bとの距離A’そして上記距離Bとの関係は、距離A’<距離B<距離Aという関係となることができる。さらに、本発明では、この距離A’は、レセプタクルコネクタ50における距離Bに対して、距離A’<距離Bの関係にあるので、したがって、上記ケーブルコネクタ10の前端側がもち上がっている上向傾斜の姿勢では、上記ロック突部21はロック溝部57の奥部まで進入可能となる。さらに、該ロック溝部57は突出部59よりも下方部分が上記ロック突部21を収容するに足りる空間を形成しているので、上記ロック突部21は、水平状態のケーブルコネクタ10の姿勢に戻ることが可能となる。このことは、この水平状態の姿勢において、ロック突部21は、ケーブルコネクタが嵌合方向とは逆方向に抜出されようとしても、距離B<距離Aの関係で、上記突出部59と干渉して、抜出できないことを意味する。
【0031】
上記レセプタクルコネクタ50は、前方位置に形成された係止溝部58内に、前後方向に延びる突条部として被係止部60が設けられている(図4をも参照)。上記係止溝部58は、ケーブルコネクタ10の係止部22が進入可能とする前後方向での溝幅を有しており、上記被係止部60も該係止部22の前後方向寸法に対応する長さとなっている。上記被係止部60は、係止部22と同様に、上縁そして下縁に、該係止部22との係止そして解除を容易とするために、図4に見られるように、テーパ部60Aとテーパ部60Bがそれぞれ形成されている。
【0032】
レセプタクルコネクタ50には、図1そして図2(A)に見られるように、その前端壁54の内面側に二つの端子61が設けられている。該端子61は、コネクタの前後方向と嵌合方向の両者を含む面に拡がる板状をなす金属板で作られており、ハウジング51の成形時に一体的に、該ハウジング51の底壁56と前端壁54とで支持されているが、ハウジング51へ圧入されて支持されていても良い。該端子61はケーブルコネクタ10の端子30に設けられた一対の接触片35間への進入を容易とするように、上縁がテーパ部61Aとなっている。
【0033】
さらに、上記レセプタクルコネクタ50の底壁56には、既述のとおり、切欠部56Aが後方に解放されるように形成されている。本実施形態では、この切欠部56Aは、前後方向では、上記ロック溝部57の溝部前縁57Aよりも後方に形成され、幅方向、すなわち両側の側壁53の対向方向では、上記ケーブルコネクタ10の同方向幅にわたる範囲に形成されている。したがって、ケーブルコネクタ10は、嵌合過程で、この切欠部56Aにケーブルコネクタ10の後部(ケーブル延出側部分)が入るようにして、コネクタの前端側がもち上がる上向き姿勢をとることが容易となる。
【0034】
次に、図2ないし図4を参照しつつ本実施形態のケーブルコネクタ10とレセプタクルコネクタ50の嵌合接続の要領を説明する。ここで、図2は図1におけるケーブルの軸線の位置であるII-II位置でのケーブルコネクタ10の断面とこの位置に対応する位置でのレセプタクルコネクタ50の断面を示している。図3はロック溝部57の範囲内の位置であるIII-III位置でのレセプタクルコネクタ50とこれに対応する位置でのケーブルコネクタ10の断面を示している。さらに、図4は、レセプタクルコネクタ50の両端子61を通るIV-IV位置での断面と、これに対応する位置でのケーブルコネクタの断面を示している。図2ないし図4のいずれにおいても、(A)はコネクタ嵌合前、(B)は嵌合途中、(C)は嵌合終了時を示している。
【0035】
(1)先ず、端子30にケーブルCが結線されたケーブルコネクタ10を、図2(A)、図3(A)、図4(A)に見られるように、正規の嵌合終了時の姿勢、すなわち、ケーブルコネクタ10が水平姿勢でケーブルCが後方へ水平に延出している状態で、相手コネクタたるレセプタクルコネクタ50の上方位置へもたらす。
【0036】
(2)しかる後、ケーブルコネクタ10をそのままの姿勢で降下せしめる。この姿勢でのケーブルコネクタ10のロック突部21における前後方向での距離Aは、図3(A)に見られるごとく、同方向でのレセプタクルコネクタ50のロック溝部57の幅(距離B)よりも大きいために、上記姿勢のままでは、ロック突部21はこのロック溝部57の奥部までは進入できない。したがって、該ロック突部21はロック溝部57の溝部前縁57Aと溝部後縁57Bの少なくとも一方に当接する(図3(B)における二点鎖線の姿勢)。
【0037】
ケーブルコネクタ10は、(1)でレセプタクルコネクタ50の上方位置にもたらされるとき、図3(A)の水平姿勢をとらずに、上向き姿勢をとってそのまま降下して図3(B)の実線の姿勢となるように降下してもよい。
【0038】
(3)次に、ケーブルコネクタ10の前端側をもち上げるように、該ケーブルコネクタ10を上向き姿勢とする。この上向き姿勢では、ロック突部21の前後方向における突部前縁21Aと突部後縁21Bとの間の距離A’は距離Aよりも小さくなっていて、該ロック突部21はその突部後縁21Bが上記溝部後縁57Bの案内傾斜部57B-1に案内されてロック溝部57内への進入が進行し、ロック溝部57の奥部まで到達する(図3(B)における実線の位置及び姿勢)。このとき、ロック突部21の突部前縁21Aに形成されている斜部21Cの下端は、図3(B)における実線で示されているように、上下方向で、突出部59の下縁よりも下方に位置している。
【0039】
(4)しかる後、ケーブルコネクタ10を嵌合終了の姿勢、すなわち、図3(A)における姿勢と同じとなるように、ケーブルコネクタ10の前端側を降下させる。該ケーブルコネクタ10は、ロック突部21側を中心として突部後縁21Bの最後方位置がロック溝部57の溝部後縁57Bの垂直部57B-2に当接しながら時計方向に回転し、上記上向き姿勢が解除されて、水平となって嵌合終了の姿勢をとる(図3(C)参照)。上記回転の際、斜部21Cは、突出部59の下縁に近接した状態で、溝部前縁57Aに近づき、上下方向では突出部59と干渉する位置、すなわち、ロック位置にきている。
【0040】
(5)一方、ケーブル10がその前端側が降下するように回転する際、ケーブルコネクタ10の係止部22はレセプタクルコネクタ50の被係止部60を乗り越えて該被係止部60の下側に位置し、被係止部60に対して係止される。又、ケーブルコネクタ10の端子30の一対の接触片35間にレセプタクルコネクタ50の端子61が進入し、両者は電気的に接続される。
【0041】
(6)このように嵌合が終了してレセプタクルコネクタ50に対して接続されたケーブルコネクタ10は、嵌合後に不用意な後方への力がケーブルCに受けても、しかもその不用意な力が上向き成分を伴っていても、ロック突部21がロック溝部57の突出部59と当接するのでケーブルコネクタ10は嵌合終了時の水平姿勢を保って、あるいは前端側が下方に向く下向き姿勢をとるだけであり、ケーブルコネクタ10は抜出されてしまうことはない。本実施形態では、コネクタの前端側にて、ケーブルコネクタ10の係止部22とレセプタクルコネクタ50の被係止部60が係止し合っているので、ケーブルコネクタ10に前端側をもち上げようとする多少の力が作用しても、前端側が上向き姿勢をとることがなく、したがってロック突部21と突出部59との干渉とも相俟って、ケーブルコネクタ10の抜出が確実に阻止される。
【0042】
(7)ケーブルコネクタ10を意図的に抜出するときには、ケーブルコネクタ10の前端に設けられた持上げ部19に比較的大きな力を上方向に向け作用させる。この力は、ケーブルコネクタ10の係止部22とレセプタクルコネクタ50の被係止部60との間の係止力に抗して、この係止を解除し、ケーブルコネクタ10を前端側がもち上がる上向き姿勢にもたらす。この姿勢は、図3(B)における実線の姿勢と同じであり、ロック突部21は突出部59と干渉することがなくロック溝部57の外部へ上昇でき、ケーブルコネクタ10の抜出が可能となる。
【0043】
本発明では、図1ないし図4に示した形態以外にも変更が可能である。例えば、図1ないし図4では、ロック溝部57の溝部後縁57Bの上部たる案内傾斜部57B-1が該溝部後縁57Bの上下方向中央位置を若干越えた範囲までで、その下方に垂直部57B-2が形成されていたが、図5の形態では上記案内傾斜部57B-1がほぼ下端まで延びている。したがって、ロック突部21は、その突部後縁21Bが上記案内傾斜部57B-1に接面した傾斜状態で、すなわちケーブルコネクタ10の前端が上向き状態で、スライドするようにロック溝部57内へ進入する。その際、ロック突部21の前後方向(ケーブル延出方向)での突部前縁21Aと突部後縁21Bとの距離Aと、上記案内傾斜部57B-1に直角な方向で測った該案内傾斜部57B-1から突出部59までの最小の距離B’と、前後方向で測った上記案内傾斜部57B-1から突出部59までの最小の距離Bとの関係が、距離B<距離A<距離B’となっていて、上記上向き状態のケーブルコネクタ10のロック突部21の進入を可能とし、進入後、突部後縁21Bの最後方位置がロック溝部57の溝部後縁57Bの案内傾斜部57B-1に当接しながら、この上向き姿勢が解除されることで水平姿勢となったケーブルコネクタ10はその姿勢でもち上げられてもロック突部21が上記突出部59と干渉して、その姿勢ではケーブルコネクタ10は抜出できない。
【0044】
さらに図1ないし図4で、ケーブルコネクタ10の側壁面20に設けられていた係止部22そしてレセプタクルコネクタ50の側壁面53Aに設けられていた被係止部60を、前端壁に設けることが可能である。図5の例では、ケーブルコネクタ10の係止部22’は持上げ部19の前端から下方に延びる腕体22’Aの先端に設けられた爪部として形成されている。一方、レセプタクルコネクタ50の被係止部60’は前端壁の外面に、コネクタ幅方向(図5にて紙面に対して直角方向)に延びる突条部として形成されている。
【0045】
したがって、図5の形態では、上記係止部22’は、図5(A)の嵌合前、図5(B)の嵌合途中の状態を経て、図5(C)の嵌合終了の状態で、被係止部60’と係止する。この図5の形態は、上記係止部22’と被係止部60’以外は、図1ないし図4に示された形態と同じである。
【0046】
図1ないし図5の形態では、ロック突部がケーブルコネクタに、そしてロック溝部がレセプタクルコネクタに設けられていたが、図6の形態では、これとは反対に、ケーブルコネクタ10にロック溝部57が、そしてレセプタクルコネクタ50にロック突部21が設けられている。図6では、ケーブルコネクタ10であっても、ロック溝部57に関しては図1との対応の把握を容易とすべく同じく50番台の符号を、そしてレセプタクルコネクタコネクタ50であってもロック突部21に関して20番台の符号を用いている。
【0047】
図6におけるケーブルコネクタ10のロック溝部57は、図1のレセプタクルコネクタコネクタ50のロック溝部57を上下反転した形をなしており、図6におけるレセプタクルコネクタ50のロック突部21は図1のケーブルコネクタ10のロック突部21を上下反転した形をなしている。したがって、図6に示されるロック突部21とロック溝部57の位置及び姿勢は、この図6を上下反転して紙面の裏側から見ると、図3(C)の位置及び姿勢と同じになる。したがって、図6(A)における嵌合の様子は、レセプタクルコネクタ50が下方からケーブルコネクタ10へ嵌合されると考えると、相対的に図3(A)ないし図3(C)と同じであり、したがって、同符号で示される各部位の位置関係も同じとなる。
【0048】
次に、図7に示される形態にあっては、ロック突部21’がケーブルコネクタ10に設けられそしてロック溝部57’がレセプタクルコネクタ50に形成されている点では、図1ないし図5の形態と同じであるが、ロック突部21’の突部後縁21’Bの形態が相違し、ロック溝部57’の突出部59’が溝部後縁57’Bに設けられている点で相違している。
【0049】
ロック突部21’は、図3(B)における突部前縁21Aと斜部21Cと同様な突部前縁21’Aと斜部21’Cとを有している。これに対し、突部後縁21’Bは、ケーブル延出方向(嵌合終了時の姿勢における前後方向)に対し直角方向に延びる上部垂直部21’B-1と、その下方位置に下方に向け後方に延びる下部傾斜部21’B-2とを有している。
【0050】
一方、ロック溝部57’は前縁突出部59’Aと後縁突出部59’Bとがそれぞれ溝内方へ突出するように設けられている。上記前縁突出部59’Aは、図3の溝部前縁における突出部59よりも突出量は小さい。また、上記溝部後縁57’Bの案内傾斜部57’B-1と垂直部57’B-2との間には段部が形成されていて、後縁突出部59’Bは案内傾斜部57’B-1が垂直部57’B-2よりも溝内方に突出する部分で形成されている。この後縁突出部59’Bの突出量、すなわち段部の大きさは、上記前縁突出部59’Aの突出量よりも大きい。
【0051】
図7において、ロック突部21’の水平姿勢時の前後方向距離Aそして上向傾斜時の前後方向距離A’、そしてロック溝部57’の前後方向の最小溝幅の距離Bの関係は、図3(A)における距離A、距離A’そして距離Bとそれぞれ同様に、距離A’<距離B<距離Aとなっている。
【0052】
また、図7において、コネクタ前端側における、ケーブルコネクタ10の係止部22’そしてレセプタクルコネクタ50の被係止部60’は、図3における係止部22そして被係止部60と同じである。
【0053】
このような形態のケーブルコネクタ10は、図7の実線で示される前端が上向き姿勢でレセプタクルコネクタ50の上方位置から降下して、二点鎖線の位置にもたらされ、しかる後、前端の上向姿勢が解除されて水平姿勢となって嵌合終了の姿勢となる。この嵌合の過程において、前端が上向き姿勢のケーブルコネクタ10のロック突部21’の距離A’はレセプタクルコネクタ50のロック溝部57’の溝幅たる距離B’よりも小さいので、上記上向き姿勢のままロック突部21’はロック溝部57’の案内傾斜部57’B-1で案内されながらロック溝部57’内へ進入する。ロック突部21’の下部傾斜部21’B-2が、ロック溝部57’の後縁突出部59’Bの位置まで達すると、該後縁突出部59’Bに対して下部傾斜部21’B-2が該後縁突出部59’Bの下方に向けて滑動しながらケーブルコネクタ10はその前端が時計方向に回転して水平姿勢となって嵌合終了の姿勢に至る。この嵌合終了時には、上記下部傾斜部21’B-2が後縁突出部59’Bと上方向で干渉して、上記嵌合終了の姿勢あるいはケーブルCがもち上げられる前端の下向き姿勢での抜けが防止されると共に、前端側での係止部22’が被係止部60’と係止しており、この係止を解除する意図的な力が作用しない限り、多少の不用意な力が前端をもち上げようとするように作用してもこの係止は解除できず、コネクタの抜出は防止される。
【0054】
本発明は、ケーブルコネクタ10とレセプタクルコネクタ50との嵌合過程を円滑に行うために、さらに変更が可能である。図8に示された形態は図3に示された形態と基本的に同じであるが、嵌合過程を円滑に行うために、ロック突部とロック溝部の突出部との対向部分を連続した曲線とした点に特徴がある。
【0055】
図8(A)において、ケーブルコネクタ10のロック突部21は、斜部21Cが突部前縁21Aの上端と突部後縁21Bの上端とを連続して結ぶ凸曲線で形成されている。また、突部前縁21Aと突部後縁21Bは、コネクタ嵌合方向、すなわち図8にて下方に向けコネクタの後端側へ傾斜しており、そのときの突部前縁21Aと突部後縁21Bとの距離A’と、ロック突部21の前後方向(ケーブル延出方向)での突部前縁21Aと突部後縁21Bとの距離Aと、上記案内傾斜部57B-1に直角な方向で測った該案内傾斜部57B-1から突出部59までの最小の距離B’と、前後方向で測った上記案内傾斜部57B-1から突出部59までの最小の距離Bとの関係が距離B<距離A’<距離B’<距離Aとなっていて、上記上向き状態のケーブルコネクタ10のロック突部21の進入を可能とし、その下縁の前縁そして後縁に斜めに切り取られた前縁斜部21Fと後縁斜部21Eがそれぞれ形成されている。該前縁斜部21Fと後縁斜部21Eは、レセプタクルコネクタ50のロック溝部57への導入を容易とする。ロック突部21の進入後、突部後縁21Bの最後方位置がロック溝部57の溝部後縁57Bの垂直部57B-2に当接しながら回転し、上向き姿勢が解除される。
【0056】
一方、レセプタクルコネクタ50のロック溝部57に形成された突出部59は、その下縁59Cが上記ケーブルコネクタ10の斜部21Cに適合する凹曲線で形成されている。したがって、ケーブルコネクタ10がレセプタクルコネクタ50に対して正規状態で嵌合した後に、上方に引かれた場合、上記ロック突部21の斜部21Cと突出部59の下縁59Cがそれらの面にて当接することとなり、互いの負荷が軽減して損傷しなくなるばかりか、ガタツキもなく位置が安定する。
【0057】
本実施形態では、上記凸曲線そして凹曲線は、これに近似する一つの直線によって置き換え形成することも可能である。
【0058】
本実施形態では、さらに、レセプタクルコネクタ50に設けられた被係止部60に係止するケーブルコネクタ10の係止部22が上記被係止部60に向け回転する際に、該係止部22の下縁後端22Cを案内するために案内部62が上記レセプタクルコネクタ50に設けられている。該案内部62は、高さ方向で、レセプタクルコネクタ50のハウジング51の上縁から下縁まで凸曲線をなす面で形成されている。
【0059】
このような図8の形態では、ケーブルコネクタ10は図8(A)の位置から降下して、ロック突部21が前縁斜部21Fと後縁斜部21Eにてロック溝部57内へ導入され、しかる後、図8(B)に示されているように、係止部22の下縁後端22Cが上記案内部62で案内されて傾斜状態から水平状態へ回転して該係止部22が上記被係止部60と係止し、図8(C)のごとくロック状態となる。
【0060】
このとき、ロック突部21は下方に向けコネクタの後端側へ傾斜しているため、突部前縁21Aの最前方位置がロック溝部57の溝部前縁57Aの垂直前縁に近接する。
【0061】
したがって、ロック突部21と突出部59との干渉がより深まることになり、ケーブルコネクタ10の抜出を確実に阻止できるばかりか、突部後縁21Bの最後方位置がロック溝57の溝部後縁57Bの垂直部57B-2に当接して、突部前縁21Aの最前方位置がロック溝部57の溝部前縁57Aの垂直前縁に近接しているため、前後方向でガタツキもなくなる。
【0062】
本発明は、図示された形態に限定されず、種々変更が可能である。例えば、ロック突部はコネクタ嵌合方向で複数に分割されていてもよい。その場合、複数のロック突部の突部前縁同士、そして突部後縁同士が実質的に連絡される位置関係をもつようにする。
【0063】
さらに、ロック溝部は、図示の形態のごとく側壁の一面側に凹部として形成されるのではなく、側壁の壁厚方向に貫通して形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 ケーブルコネクタ 59 突出部
11 ハウジング 60 被係止部
21 ロック突部 21’ロック突部
21A 突部前縁 21’A 突部前縁
21B 突部後縁 21’B 突部後縁
21C 斜部 21’C 斜部
22 係止部 22’係止部
50 レセプタクルコネクタ 57’ロック溝部
56A 切欠部 57’A 溝部前縁
57 ロック溝部 57’B 溝部後縁
57A 溝部前縁 60’被係止部
57B 溝部後縁
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの周面に形成された嵌合面で互いに嵌合接続されるケーブルコネクタとレセプタクルコネクタとを有し、嵌合面が側壁面とこれに直角をなし前方に位置する端壁面とで形成されており、ケーブルコネクタが後方に位置する端壁面をケーブルの延出側としている電気コネクタ組立体において、
ケーブルコネクタは、突部前縁と突部後縁が形成されたロック突部を側壁面に有し、レセプタクルコネクタは、前後方向で該ロック突部に対応する位置で溝部前縁と溝部後縁が形成されたロック溝部を側壁面に有し、該ロック溝部には溝部前縁から溝内方へ突出する突出部が設けられており、コネクタ嵌合過程にて上記ケーブルコネクタの前端がもち上がって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部前縁の最前方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して後方に位置し、上記ロック突部が上記ロック溝部内に進入して所定位置に達した後に上記上向き傾斜姿勢が解除されて上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部前縁の最前方位置が上記突出部の最後方位置よりも前方に位置し、該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記抜出方向で上記突出部と当接して、上記ケーブルコネクタの抜出が阻止されるようになっていることを特徴とする電気コネクタ組立体。
【請求項2】
ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部前縁は、該突部前縁の最前方位置が最後方位置よりも上方にあることとする請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項3】
ハウジングの周面に形成された嵌合面で互いに嵌合接続されるケーブルコネクタとレセプタクルコネクタとを有し、嵌合面が側壁面とこれに直角をなし前方に位置する端壁面とで形成されており、ケーブルコネクタが後方に位置する端壁面をケーブルの延出側としている電気コネクタ組立体において、
ケーブルコネクタは、突部前縁と突部後縁が形成されたロック突部を側壁面に有し、レセプタクルコネクタは、前後方向で該ロック突部に対応する位置で溝部前縁と溝部後縁が形成されたロック溝部を側壁面に有し、該ロック溝部には溝部後縁から溝内方へ突出する突出部が設けられており、ケーブルコネクタは、前方の端壁面に寄った位置で側壁に係止部が設けられ、レセプタクルコネクタは、前後方向で上記係止部と対応する位置でコネクタ嵌合状態にて該係止部と係止可能な被係止部が側壁に設けられており、コネクタ嵌合過程にて上記ケーブルコネクタの前端がもち上がって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が、上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に位置し、上記ロック突部が上記ロック溝部内に進入して所定位置に達した後に上記上向き傾斜姿勢が解除されて上記ケーブルコネクタが上記コネクタ嵌合終了姿勢となったとき、上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が上記突出部の最前方位置よりも後方に位置し、該ケーブルコネクタが後端側を持ち上げられて抜出方向に移動されようとしたとき、上記ロック突部が上記抜出方向で上記突出部と当接して、上記ケーブルコネクタの抜出が阻止されるようになっていることを特徴とする電気コネクタ組立体。
【請求項4】
ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるとき、ロック突部の突部後縁は、該突部後縁の最後方位置が最前方位置よりも下方にあることとする請求項3に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項5】
ケーブルコネクタの前端部にはコネクタ嵌合状態でレセプタクルコネクタの前方の端壁面の位置から前方へ突出する持上げ部が設けられていて、該持上げ部を抜出方向に持ち上げることにより該ケーブルコネクタの抜出が可能となっていることとする請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の電気コネクタ組立体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2014-09-16 
結審通知日 2014-09-18 
審決日 2014-09-26 
出願番号 特願2013-154475(P2013-154475)
審決分類 P 1 123・ 851- YAA (H01R)
P 1 123・ 121- YAA (H01R)
P 1 123・ 113- YAA (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 由希子芝井 隆莊司 英史  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 千壽 哲郎
平上 悦司
登録日 2013-09-13 
登録番号 特許第5362931号(P5362931)
発明の名称 電気コネクタ組立体  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 高石 秀樹  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 豊島 匠二  
代理人 正林 真之  
代理人 小菅 一弘  
代理人 岩池 満  
代理人 崎間 伸洋  
代理人 須田 洋之  
代理人 芝 哲央  
代理人 高野 芳徳  
代理人 豊島 匠二  
代理人 林 一好  
代理人 須田 洋之  
代理人 高石 秀樹  
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