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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C08F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C08F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08F 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 C08F |
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管理番号 | 1301983 |
審判番号 | 不服2014-2249 |
総通号数 | 188 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-02-06 |
確定日 | 2015-06-12 |
事件の表示 | 特願2010-508535「担持メタロセン触媒」拒絶査定不服審判事件〔平成20年11月27日国際公開、WO2008/144303、平成22年8月19日国内公表、特表2010-528126〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成20年5月13日(パリ条約による優先権主張 2007年5月18日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特許出願であって、平成23年5月6日に手続補正書が提出され、平成25年6月12日付けで拒絶理由が通知され、同年9月12日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、同月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成26年2月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年3月10日付けで前置報告がなされたものである。 第2 平成26年2月6日付けの手続補正に係る補正の却下の決定 [補正の却下の結論] 平成26年2月6日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成26年2月6日付けの手続補正(以下、「当審補正」という。)は、平成25年9月12日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の、 「【請求項1】 (a)(i)式 B(CpR_(a)R_(b))(FlR’_(2))MQ_(n) (1) (式中、 Cpは置換シクロペンタジエニル基であり、 Flは2および7位で置換されたフルオレニル基であり、 Bは前記触媒に立体剛直性を賦与するCpとFlの間の構造的架橋であり、 R_(a)は、架橋に対して遠位の位置にあり、式XR^(*)_(3)(式中、Xは炭素またはケイ素であり、R^(*)は同一であるか、もしくは異なり、少なくとも1つのR^(*)が水素でないという前提で、水素または1-20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される)のかさ高な基を含むシクロペンタジエニル基上の置換基であり、 R_(b)は、架橋に対して近位であり、遠位の置換基に対して非隣接で配置され、ならびに式YR#_(3)(式中、Yはケイ素または炭素であり、各R#は同一であるか、もしくは異なり、水素または1から7個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、チオアルキル基またはアミノ、アルキル基である)であり、R_(b)は置換基R_(a)よりも低かさ高なシクロペンタジエニル環上の置換基であり、 各R’は、同一であるか、もしくは異なり、4-20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基であり、置換R_(b)よりも高かさ高であり、一方のR’がフルオレニル基上2位で置換され、他方のR’がフルオレニル基上7位で置換され、ここで、R_(a)および2のR’の1以上は非置換のフェニル基もしくは置換されたフェニル基であり、 Mはチタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選択される遷移金属であり、 QはハロゲンまたはC_(1)-C_(4)アルキル基であり、ならびに nは0-4の整数である) または式 B’(Cp’R’_(a)R’_(b))(Fl’)M’Q’_(n) (2) (式中、 Cp’は置換シクロペンタジエニル基であり、 Fl’はフルオレニル基であり、 B’は前記触媒に立体剛直性を賦与するCp’とFl’の間の構造的架橋であり、 R’_(a)は、架橋に対して遠位の位置にあり、置換されたフェニル基もしくは非置換のフェニル基を含むシクロペンタジエニル基上の置換基であり、 R’_(b)は、架橋に対して近位であり、遠位の置換基に対して非隣接で配置され、ならびに式YR#_(3)(式中、Yはケイ素または炭素であり、各R#は同一であるか、もしくは異なり、水素または1から7個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、チオアルキル基またはアミノ、アルキル基である)であり、置換基R’_(a)よりも低かさ高であるシクロペンタジエニル環上の置換基であり、 M’はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選択される遷移金属であり、 Q’はハロゲンまたはC_(1)-C_(4)アルキル基であり、 n’は0-4の整数である) のアイソ特異性メタロセン触媒成分; (ii)アルキルアルモキサン共触媒成分、および (iii)20-40ミクロンの粒子サイズ、200-400m^(2)/グラムの表面積、および1.3-1.6ml/グラムの範囲内の細孔容積により特徴付けられる粒子状シリカ担体 を含む担持メタロセン触媒を準備すること; (b)重合反応域中で前記触媒を、前記エチレン-プロピレン混合物中0.01-20モルパーセントのエチレンの範囲内の量でのプロピレンとエチレンの混合物と接触すること ;および (c)前記プロピレンのアイソ特異性重合をもたらすのに有効な温度および圧力条件下で前記エチレンの存在において触媒1グラム当り少なくとも1000グラムのポリマーの生成量で前記反応域を運転して、150℃以下の融解温度を有するアイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーを製造すること を含んでなる、アイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーを製造するための方法。 【請求項2】 前記アルキルアルモキサン共触媒成分がメチルアルモキサンである、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記メチルアルモキサンが始めにシリカ担体1グラム当り0.6-0.8グラムの範囲内のメチルアルモキサン量で前記シリカ担体上に組み込まれ、続いて前記アイソ特異性メタロセン触媒成分が組み込まれる、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記メタロセン成分の置換基R’_(b)がメチル基またはエチル基である、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記メタロセン成分の架橋Bが1から20個の炭素原子を有するアルキリデン基、ジアルキルゲルマニウムもしくはケイ素もしくはシロキサン、アルキルホスフィンもしくはアミンからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 Bがイソプロピリデン基である、請求項5に記載の方法。 【請求項7】 Mがジルコニウムまたはチタンである、請求項6に記載の方法。 【請求項8】 アイソ特異性メタロセン触媒成分が、粒子状シリカ担体およびアルキルアルモキサン共触媒の重量に対して少なくとも0.5重量%で存在する、請求項1に記載の方法。 【請求項9】 前記メタロセン成分のR_(a)置換基がフェニル基また置換フェニル基であるか、もしくはC(CH_(3))_(3)、C(CH_(3))_(2)Ph、CPh_(3)、およびSi(CH_(3))_(3)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。 【請求項10】 前記メタロセン成分のR_(b)置換基がメチル基またはエチル基である、請求項1に記載の方法。 【請求項11】 前記メタロセン成分の架橋Bが1から20個の炭素原子を有するアルキリデン基、ジアルキルゲルマニウムもしくはケイ素もしくはシロキサン、アルキルホスフィンもしくはアミンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。 【請求項12】 Bがイソプロピリデン基である、請求項12に記載の方法。 【請求項13】 前記メタロセン触媒成分がジフェニルメチレン(2-メチル-4-tert-ブチル-シクロペンタジエニル-2,7-ジ-tert-ブチル-1-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドである、請求項1に記載の方法。 【請求項14】 置換フェニル基上の置換基が、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基およびイソプロピル基を含む、請求項1記載の方法。 【請求項15】 アイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーが120℃以下の融解温度を有する、請求項1記載の方法。」 を、 「【請求項1】 アイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーを製造するための方法であって、 (a)(i)式 B(CpR_(a)R_(b))(FlR’_(2))MQ_(n) (1) (式中、 Cpは置換シクロペンタジエニル基であり、 Flは2および7位で置換されたフルオレニル基であり、 Bは前記触媒に立体剛直性を賦与するCpとFlの間の構造的架橋であり、 R_(a)は、架橋に対して遠位の位置にあり、式XR^(*)_(3)(式中、Xは炭素またはケイ素であり、R^(*)は同一であるか、もしくは異なり、少なくとも1つのR^(*)が水素でないという前提で、水素または1-20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される)のかさ高な基を含むシクロペンタジエニル基上の置換基であり、 R_(b)は、架橋に対して近位であり、遠位の置換基に対して非隣接で配置され、ならびに式YR#_(3)(式中、Yはケイ素または炭素であり、各R#は同一であるか、もしくは異なり、水素または1から7個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、チオアルキル基またはアミノ、アルキル基である)であり、R_(b)は置換基R_(a)よりも低かさ高なシクロペンタジエニル環上の置換基であり、 各R’は、同一であるか、もしくは異なり、4-20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基であり、置換基R_(b)よりも高かさ高であり、一方のR’がフルオレニル基上2位で置換され、他方のR’がフルオレニル基上7位で置換され、 Mはチタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選択される遷移金属であり、 QはハロゲンまたはC_(1)-C_(4)アルキル基であり、ならびに nは0-4の整数である) または式 B’(Cp’R’_(a)R’_(b))(Fl’)M’Q’_(n) (2) (式中、 Cp’は置換シクロペンタジエニル基であり、 Fl’はフルオレニル基であり、 B’は前記触媒に立体剛直性を賦与するCp’とFl’の間の構造的架橋であり、 R’_(a)は、架橋に対して遠位の位置にあるシクロペンタジエニル基上の置換基であり、式XR^(*)_(3)(式中、Xは炭素またはケイ素であり、R^(*)は同一であるか、もしくは異なり、少なくとも1つのR^(*)が水素でないという前提で、水素または1-20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される)のかさ高な基を含み、 R’_(b)は、架橋に対して近位であり、遠位の置換基に対して非隣接で配置され、ならびに式YR#_(3)(式中、Yはケイ素または炭素であり、各R#は同一であるか、もしくは異なり、水素または1から7個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、チオアルキル基またはアミノ、アルキル基である)であり、置換基R’_(a)よりも低かさ高であるシクロペンタジエニル環上の置換基であり、 M’はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選択される遷移金属であり、 Q’はハロゲンまたはC_(1)-C_(4)アルキル基であり、 n’は0-4の整数である) のアイソ特異性メタロセン触媒成分; (ii)アルキルアルモキサン共触媒成分、および (iii)20-40ミクロンの粒子サイズ、200-400m^(2)/グラムの表面積、および1.3-1.6ml/グラムの範囲内の細孔容積により特徴付けられる粒子状シリカ担体 を含む担持メタロセン触媒を準備すること、 ここで、アルキルアルモキサン共触媒成分は粒子状シリカ担体に対する重量比が0.4-1のアルキルアルモキサン共触媒成分をもたらすような量で粒子状シリカ担体上に組み込まれ、アイソ特異性メタロセン触媒成分は、前記粒子状シリカ担体上に粒子状シリカ担体およびアルキルアルモキサンの少なくとも0.5重量パーセントの量で担持されている; (b)重合反応域中で前記触媒をプロピレンとエチレンの混合物と接触すること;および (c)前記プロピレンのアイソ特異性重合をもたらすのに有効な温度および圧力条件下で前記エチレンの存在において触媒1グラム当り少なくとも1000グラムのポリマーの生成量で前記反応域を運転して、150℃以下の融解温度を有するアイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーを製造すること を含んでなり、 ここで、製造されるアイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーが、エチレン含量が2-7重量%の間にある場合10グラム/10分以下のエチレン含量による増分的変動を有するメルトフローレートを呈する、 方法。 【請求項2】 前記アルキルアルモキサン共触媒成分がメチルアルモキサンである、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記メチルアルモキサンが始めに粒子状シリカ担体1グラム当り0.6-0.8グラムの範囲内のメチルアルモキサン量で前記シリカ担体上に組み込まれ、続いて前記アイソ特異性メタロセン触媒成分が組み込まれる、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記メタロセン成分の置換基R’_(a)がtert-ブチル基または置換もしくは非置換フェニル基であり、R’_(b)がメチル基またはエチル基である、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記メタロセン成分の架橋Bが1から20個の炭素原子を有するアルキリデン基、ジアルキルゲルマニウムもしくはケイ素もしくはシロキサン、アルキルホスフィンもしくはアミンからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 Bがイソプロピリデン基である、請求項5に記載の方法。 【請求項7】 Mがジルコニウムまたはチタンである、請求項6に記載の方法。 【請求項8】 前記メタロセン成分の置換基R_(a)がtert-ブチル基または置換もしくは非置換フェニル基である請求項1に記載の方法。 【請求項9】 前記メタロセン成分のR_(a)置換基がフェニル基また置換フェニル基であるか、もしくはC(CH_(3))_(3)、C(CH_(3))_(2)Ph、CPh_(3)、およびSi(CH_(3))_(3)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。 【請求項10】 前記メタロセン成分のR_(b)置換基がメチル基またはエチル基である、請求項1に記載の方法。 【請求項11】 前記メタロセン成分の架橋Bが1から20個の炭素原子を有するアルキリデン基、ジアルキルゲルマニウムもしくはケイ素もしくはシロキサン、アルキルホスフィンもしくはアミンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。 【請求項12】 Bがイソプロピリデン基である、請求項11に記載の方法。 【請求項13】 前記メタロセン触媒成分がジフェニルメチレン(2-メチル-4-tert-ブチル-シクロペンタジエニル-2,7-ジ-tert-ブチル-1-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドである、請求項1に記載の方法。 【請求項14】 置換フェニル基上の置換基が、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基およびイソプロピル基を含む、請求項1記載の方法。 【請求項15】 アイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーが120℃以下の融解温度を有する、請求項1記載の方法。 【請求項16】 エチレンが1時間で5?25gの注入速度で重合反応域に送られ、重合反応域の初期水素濃度が0?60ppmである、請求項1記載の方法。 【請求項17】 製造されるアイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーが、エチレン含量が2-7重量%の間にある場合5グラム/10分以下のエチレン含量による増分的変動を有するメルトフローレートを呈する、請求項1記載の方法。 【請求項18】 製造されるアイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーが、2.0-2.9重量%の範囲内のエチレン含量を有する対応するエチレン-プロピレンコポリマーに対するメルトフローレートよりも小さい、3.0-7.0重量%の範囲のエチレン含量に対するメルトフローレートを呈する、請求項1記載の方法。 【請求項19】 アルキルアルモキサン共触媒成分は、粒子状シリカ担体に対するアルモキサンの重量比が0.6-0.8の範囲内となるように粒子状シリカ担体上に組み込まれる、請求項1記載の方法。 【請求項20】 アルキルアルモキサン共触媒成分は、粒子状シリカ担体に対するアルモキサンの重量比が0.7となるように粒子状シリカ担体上に組み込まれる、請求項1記載の方法。」 とするものである。 2.補正の目的について 当審補正は、下記補正事項1?3を含むものである。 <補正事項1> 当審補正前の旧請求項1に記載の、式(1)の説明中の、R_(a)及びR’について、 「ここで、R_(a)および2のR’の1以上は非置換のフェニル基もしくは置換されたフェニル基であり」 との限定を削除する。 <補正事項2> 当審補正前の旧請求項1に記載の、式(2)の説明中の、R’_(a)について、 「架橋に対して遠位の位置にあり、置換されたフェニル基もしくは非置換のフェニル基を含むシクロペンタジエニル基上の置換基であり」 を、 「架橋に対して遠位の位置にあるシクロペンタジエニル基上の置換基であり、式XR^(*)_(3)(式中、Xは炭素またはケイ素であり、R^(*)は同一であるか、もしくは異なり、少なくとも1つのR^(*)が水素でないという前提で、水素または1-20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される)のかさ高な基を含み」 と補正する。 <補正事項3> 当審補正後において、 「【請求項16】 エチレンが1時間で5?25gの注入速度で重合反応域に送られ、重合反応域の初期水素濃度が0?60ppmである、請求項1記載の方法。 【請求項17】 製造されるアイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーが、エチレン含量が2-7重量%の間にある場合5グラム/10分以下のエチレン含量による増分的変動を有するメルトフローレートを呈する、請求項1記載の方法。 【請求項18】 製造されるアイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーが、2.0-2.9重量%の範囲内のエチレン含量を有する対応するエチレン-プロピレンコポリマーに対するメルトフローレートよりも小さい、3.0-7.0重量%の範囲のエチレン含量に対するメルトフローレートを呈する、請求項1記載の方法。 【請求項19】 アルキルアルモキサン共触媒成分は、粒子状シリカ担体に対するアルモキサンの重量比が0.6-0.8の範囲内となるように粒子状シリカ担体上に組み込まれる、請求項1記載の方法。 【請求項20】 アルキルアルモキサン共触媒成分は、粒子状シリカ担体に対するアルモキサンの重量比が0.7となるように粒子状シリカ担体上に組み込まれる、請求項1記載の方法。」 を追加し、請求項の数を5つ増加する。 上記補正事項1は、当審補正前の旧請求項1において、式(1)の説明中のR_(a)および2のR’の1以上が、非置換のフェニル基もしくは置換されたフェニル基であると限定されていた事項を削除するものであって、これは当審補正前の旧請求項1を拡張するものであり、減縮するものとはいえない。 同様に、上記補正事項2も、当審補正前の旧請求項1において、式(2)の説明中のR’_(a)が、非置換のフェニル基もしくは置換されたフェニル基を含むと限定されていた事項を削除し、代わりにより広範囲の置換基を意味包含することとなる「式XR^(*)_(3)(式中、Xは炭素またはケイ素であり、R^(*)は同一であるか、もしくは異なり、少なくとも1つのR^(*)が水素でないという前提で、水素または1-20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される)のかさ高な基を含み」と特定するものであって、これは当審補正前の旧請求項1を拡張するものであり、減縮するものとはいえない。 そして、補正事項1及び2は、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 また、補正事項3にかかる、当審補正後の請求項16?20は、当審補正前の旧請求項1?15において特定されていた事項ではないことから、請求項の数を増加する補正であることは明らかである。 そうすると、補正事項1?3を含む当審補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明のいずれかを目的とするものに該当するものではない。 3.むすび 以上のとおりであるから、補正事項1?3を含む当審補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 当審の判断 1.本願発明 上記のとおり、当審補正は却下されたので、本願の請求項1?15に係る発明は、平成25年9月12日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲並びに明細書及び図面(以下、併せて「本願明細書等」という。)の記載からみて、前記特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「(a)(i)式 B(CpR_(a)R_(b))(FlR’_(2))MQ_(n) (1) (式中、 Cpは置換シクロペンタジエニル基であり、 Flは2および7位で置換されたフルオレニル基であり、 Bは前記触媒に立体剛直性を賦与するCpとFlの間の構造的架橋であり、 R_(a)は、架橋に対して遠位の位置にあり、式XR^(*)_(3)(式中、Xは炭素またはケイ素であり、R^(*)は同一であるか、もしくは異なり、少なくとも1つのR^(*)が水素でないという前提で、水素または1-20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される)のかさ高な基を含むシクロペンタジエニル基上の置換基であり、 R_(b)は、架橋に対して近位であり、遠位の置換基に対して非隣接で配置され、ならびに式YR#_(3)(式中、Yはケイ素または炭素であり、各R#は同一であるか、もしくは異なり、水素または1から7個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、チオアルキル基またはアミノ、アルキル基である)であり、R_(b)は置換基R_(a)よりも低かさ高なシクロペンタジエニル環上の置換基であり、 各R’は、同一であるか、もしくは異なり、4-20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基であり、置換R_(b)よりも高かさ高であり、一方のR’がフルオレニル基上2位で置換され、他方のR’がフルオレニル基上7位で置換され、ここで、R_(a)および2のR’の1以上は非置換のフェニル基もしくは置換されたフェニル基であり、 Mはチタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選択される遷移金属であり、 QはハロゲンまたはC_(1)-C_(4)アルキル基であり、ならびに nは0-4の整数である) または式 B’(Cp’R’_(a)R’_(b))(Fl’)M’Q’_(n) (2) (式中、 Cp’は置換シクロペンタジエニル基であり、 Fl’はフルオレニル基であり、 B’は前記触媒に立体剛直性を賦与するCp’とFl’の間の構造的架橋であり、 R’_(a)は、架橋に対して遠位の位置にあり、置換されたフェニル基もしくは非置換のフェニル基を含むシクロペンタジエニル基上の置換基であり、 R’_(b)は、架橋に対して近位であり、遠位の置換基に対して非隣接で配置され、ならびに式YR#_(3)(式中、Yはケイ素または炭素であり、各R#は同一であるか、もしくは異なり、水素または1から7個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、チオアルキル基またはアミノ、アルキル基である)であり、置換基R’_(a)よりも低かさ高であるシクロペンタジエニル環上の置換基であり、 M’はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選択される遷移金属であり、 Q’はハロゲンまたはC_(1)-C_(4)アルキル基であり、 n’は0-4の整数である) のアイソ特異性メタロセン触媒成分; (ii)アルキルアルモキサン共触媒成分、および (iii)20-40ミクロンの粒子サイズ、200-400m^(2)/グラムの表面積、および1.3-1.6ml/グラムの範囲内の細孔容積により特徴付けられる粒子状シリカ担体 を含む担持メタロセン触媒を準備すること; (b)重合反応域中で前記触媒を、前記エチレン-プロピレン混合物中0.01-20モルパーセントのエチレンの範囲内の量でのプロピレンとエチレンの混合物と接触すること ;および (c)前記プロピレンのアイソ特異性重合をもたらすのに有効な温度および圧力条件下で前記エチレンの存在において触媒1グラム当り少なくとも1000グラムのポリマーの生成量で前記反応域を運転して、150℃以下の融解温度を有するアイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーを製造すること を含んでなる、アイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーを製造するための方法。」 2.原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由の概要は、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1(国際公開第2001/27124号)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないというもの、また、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものを含むものである。 3.引用刊行物 刊行物:国際公開第2001/27124号(平成25年6月12日付け拒絶理由通知書における引用文献1。以下、「引用例」という。) 4.引用例の記載事項 本願の優先日前に頒布された刊行物である引用例には以下の事項が記載されている。 摘示ア 「1. 下記一般式(1)または(2)で表されることを特徴とするメタロセン化合物; (式中、R^(3)は炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、R^(1)、R^(2)、R^(4)、R^(5)、R^(6)、R^(7)、R^(8)、R^(9)、R^(10)、R^(11)、R^(12)、R^(13)およびR^(14)は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、R^(1)ないしR^(12)で示される基のうち隣接した基は互いに結合して環を形成してもよく、一般式(1)の場合はR^(1)、R^(4)、R^(5)およびR^(12)から選ばれる基とR^(13)またはR^(14)が互いに結合して環を形成してもよく、Aは不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2?20の2価の炭化水素基を示し、AはYと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよく、Yは炭素原子またはケイ素原子であり、Mは周期表第4族から選ばれた金属を示し、jは1?4の整数であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれ、jが2以上のときはQは互いに同一でも異なっていてもよい。)。 ・・・ 9. (A)請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載のメタロセン化合物と、 (B)(B-1)有機金属化合物、 (B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および (B-3)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物 から選ばれる少なくとも1種の化合物と からなることを特徴とするオレフィン重合触媒。 10. 請求の範囲第9項に記載のオレフィン重合触媒と(C)粒子状担体からなることを特徴とするオレフィン重合触媒。 11. 請求の範囲第8項ないし第10項のいずれかに記載のオレフィン重合触媒の存在下にオレフィンを重合または共重合することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。 12. メタロセン化合物(A)が上記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン化合物であり、少なくとも2種類のオレフィンを共重合する請求の範囲第11項に記載のポリオレフィンの製造方法。 ・・・ 14. 炭素原子数3ないし8のα-オレフィンから選ばれる1種のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位(U_(1))を50ないし100モル%、炭素原子数2ないし20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる前記繰り返し単位(U_(1))以外の繰り返し単位(U_(2))を50ないし0モル%の割合で含有するポリオレフィンであって、 (i)2,1-挿入と1,3-挿入とがいずれも0.2%以下であり、 (ii)ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより求めた分子量分布(Mw/Mn)が1?3の範囲にあり、 (iii)デカン可溶部量が2重量%以下である ことを特徴とするポリオレフィン。 15. プロピレンから導かれる繰り返し単位を50ないし99.5モル%、プロピレンを除く炭素原子数2ないし20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位を50ないし0.5モル%の割合で含有する請求の範囲第14項に記載のポリオレフィン。 ・・・ 18. 炭素原子数3ないし8のα-オレフィンから選ばれる1種のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位(U_(1))を95ないし99.5モル%、炭素原子数2ないし20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる前記繰り返し単位(U_(1))以外の繰り返し単位(U_(2))を5ないし0.05モル%の割合で含有するポリオレフィンであって、 (i)^(13)C-NMRスペクトル測定から求められるペンタッドアイソタクティシティーが80%以上であり、 (ii)2,1-挿入と1,3-挿入とがいずれも0.2%以下であり、 (iii)メルトフローレート(ASTM D1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定)が0.01?1000g/10分の範囲にあり、 (iv)ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより求めた分子量分布(Mw/Mn)が1?3の範囲にあり、 (v)デカン可溶部量が2重量%以下であり、 (vi)示差走査型熱量計により測定した融点(Tm)が145℃以下である ことを特徴とするポリオレフィン。 19. プロピレンから導かれる繰り返し単位を95ないし99.5モル%、プロピレンを除く炭素原子数2ないし20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位を5ないし0.5モル%の割合で含有する請求の範囲第18項に記載のポリオレフィン。」(特許請求の範囲、請求の範囲1、9?12、14、15、18及び19) 摘示イ 「[メタロセン化合物] 本発明に係るメタロセン化合物は、下記一般式(1)または(2)で表される。 上記一般式(1)または(2)において、R^(3)は炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれる。 炭化水素基として好ましくは、炭素原子数1?20のアルキル基、炭素原子数7?20のアリールアルキル基、炭素原子数6?20のアリール基、炭素原子数7?20のアルキルアリール基などが挙げられる。またR^(3)はイオウ、酸素などの異原子を含む環状の炭化水素基、例えばチエニル、フリルなどであってもよい。 具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、ネオペンチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、1-メチル-1-シクロヘキシル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、2-メチル-2-アダマンチル、メンチル、ノルボルニル、ベンジル、2-フェニルエチル、1-テトラヒドロナフチル、1-メチル-1-テトラヒドロナフチル、フェニル、ナフチル、トリルなどが挙げられる。 ・・・ なお、R^(3)は立体的に嵩高い置換基であることが好ましく、炭素原子数4以上の置換基であることがより好ましい。 上記一般式(1)または(2)において、R^(1)、R^(2)、R^(4)、R^(5)、R^(6)、R^(7)、R^(8)、R^(9)、R^(10)、R^(11)、R^(12)、R^(13)およびR^(14)は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基から選ばれる。好ましい炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。 ・・・ さらに、フルオレン環に置換するR^(5)ないしR^(12)の置換基は、合成上の容易さから左右対称、すなわちR^(5)とR^(12)、R^(6)とR^(11)、R^(7)とR^(10)、R^(8)とR^(9)が同一の基であることが好ましく、無置換フルオレン、3,6-二置換フルオレン、2,7-二置換フルオレンまたは2,3,6,7-四置換フルオレンであることがより好ましい。ここでフルオレン環の3位、6位、2位、7位はそれぞれR^(7)、R^(10)、R^(6)、R^(11)に対応する。 ・・・ Qは、少なくとも一つはハロゲンまたはアルキル基であることが好ましい。 以下に上記一般式(1)または(2)で表される本発明に係るメタロセン化合物の具体例を示す。 まずメタロセン化合物のMQ_(j)(金属部分)を除いたリガンド構造を、表記上、Cp(シクロペンタジエニル環部分)、Bridge(架橋部分)、Flu(フルオレニル環部分)の3つに分け、それぞれの部分構造の具体例、およびそれらの組み合わせによるリガンド構造の具体例を以下に示す。 リガンド構造の具体例を以下の表に示す。 ・・・ ・・・ ・・・ 上記の表に従えば、No.752のリガンド構造はa2-b1-c3の組み合わせを意味し、金属部分のMQ_(j)がZrCl_(2)の場合は、下記のメタロセン化合物を例示したことになる。 MQ_(j)の具体的な例示としては、ZrCl_(2)、ZrBr_(2)、ZrMe_(2)、Zr(OTs)_(2)、Zr(OMs)_(2)、Zr(OTf)_(2)、TiCl_(2)、TiBr_(2)、TiMe_(2)、Ti(OTs)_(2)、Ti(OMs)_(2)、Ti(OTf)_(2)、HfCl_(2)、HfBr_(2)、HfMe_(2)、Hf(OTs)_(2)、Hf(OMs)_(2)、Hf(OTf)_(2) などが挙げられる。ここでTsはp-トルエンスルホニル基、Msはメタンスルホニル基、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を示す。」(14頁5行?79頁16行) 摘示ウ 「(C)粒子状担体 本発明で必要に応じて用いられる(C)粒子状担体は、無機または有機の化合物であって、粒径が5?300μm、好ましくは10?200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。このうち無機化合物としては多孔質酸化物または塩化物が好ましく、具体的にはSiO_(2)、Al_(2)O_(3 )、MgCl_(2)、MgO、ZrO、TiO_(2)、B_(2)O_(3)、CaO、ZnO、BaO、ThO_(2) など・・・が例示できる。これらの中でSiO_(2 )およびAl_(2)O_(3 )からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。 ・・・ このような(C)粒子状担体は、種類および製法によりその性状は異なるが、比表面積が50?1000m^(2)/g、好ましくは100?800m^(2)/gの範囲にあり、細孔容積が0.3?3.0cm^(3)/gの範囲にあることが望ましい。該担体は、必要に応じて80?1000℃、好ましくは100?800℃で焼成して用いられる。」(209頁12行?210頁18行) 摘示エ 「[ポリオレフィン] 本発明に係るポリオレフィンは、炭素原子数3ないし8のα-オレフィンから選ばれる1種のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位(U_(1))を50ないし100モル%、好ましくは65?100モル%、より好ましくは80?100モル%、炭素原子数2ないし20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる前記繰り返し単位(U_(1))以外の繰り返し単位(U_(2))を50ないし0モル%、好ましくは35?0モル%、より好ましくは20?0モル%の割合で含有するポリオレフィンである。 炭素原子数3ないし8のα-オレフィン、炭素原子数2ないし20のα-オレフィンとしては上記と同様のものが挙げられる。 このポリオレフィンは、下記要件(i)ないし(iii)を満たしている。 (i)2,1-挿入と1,3-挿入とがいずれも0.2%以下、好ましくは0.1%以下である。 (ii)GPCにより求めた分子量分布(Mw/Mn)が1?3、好ましくは1?2.5、より好ましくは1?2.3の範囲にある。 (iii)デカン可溶部量が2重量%以下、好ましくは1重量%以下である。 このようなポリオレフィンとしては、プロピレンから導かれる繰り返し単位を50ないし99.5モル%、好ましくは65?99.5モル%、より好ましくは80?99.5モル%、プロピレンを除く炭素原子数2ないし20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位を50ないし0.5モル%、好ましくは35?0.5モル%、より好ましくは20?0.5モル%の割合で含有するものが好ましい。 このような本発明に係るポリオレフィンは、弾性率、耐インパクト性、透明性などに優れている。 ・・・ さらに本発明の他の態様に係るオレフィンは、炭素原子数3ないし8のα-オレフィンから選ばれる1種のα-オレフィンから導かれる繰り返し単位(U_(1))を95ないし99.5モル%、好ましくは95?99モル%、より好ましくは95?98モル%、炭素原子数2ないし20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる前記繰り返し単位(U_(1))以外の繰り返し単位(U_(2))を5ないし0.05モル%、好ましくは5?1モル%、より好ましくは5?2モル%の割合で含有するポリオレフィンである。 炭素原子数3ないし8のα-オレフィン、炭素原子数2ないし20のα-オレフィンとしては上記と同様のものが挙げられる。 このポリオレフィンは、下記要件(i)ないし(vi)を満たしている。 (i)^(13)C-NMRスペクトル測定から求められるペンタッドアイソタクティシティーが80%以上、好ましくは85%以上である。 (ii)2,1-挿入と1,3-挿入とがいずれも0.2%以下、好ましくは0.1%以下である。 (iii)MFRが0.01?1000g/10分、好ましくは0.01?500g/10分、より好ましくは0.02?400g/10分の範囲にある。 (iv)GPCにより求めた分子量分布(Mw/Mn)が1?3、好ましくは1?2.5、より好ましくは1?2.3の範囲にある。 (v)デカン可溶部量が2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。 (vi)示差走査型熱量計により測定した融点(Tm)が145℃以下、好ましくは140℃以下である。 このようなポリオレフィンとしては、プロピレンから導かれる繰り返し単位を95ないし99.5モル%、好ましくは95?99モル%、より好ましくは95?98モル%、プロピレンを除く炭素原子数2ないし20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位を5ないし0.5モル%、好ましくは5?1モル%、より好ましくは5?2モル%の割合で含有するものが好ましい。 このような本発明に係るポリオレフィンは、弾性率、耐インパクト性、透明性などに優れている。 上述したような本発明に係るポリオレフィンは、例えば上記一般式(1)、(2)、(1a)、(2a)、(1b)または(2b)で表されるメタロセン化合物を含むオレフィン重合触媒を用いて、上述したような条件下に、それぞれ対応するオレフィンを重合または共重合することにより製造することができる。」(218頁19行?222頁14行) 摘示オ 「実施例25 〔ジメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 充分に窒素置換した50mlの二つ口フラスコ中に、シリカ担持メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で0.72mmol入れ、ヘプタン20mlに懸濁させた。その懸濁液に、実施例1で得られた赤橙色の固体0.65mg(1.3μmol)をトルエン溶液として加えた後、次いでアルキルアルミニウムとしてトリイソブチルアルミニウム(0.33mmol)とトリエチルアルミニウム(1.0mmol)を加え、30分攪拌して触媒懸濁液とした。 充分に窒素置換した2000mlのオートクレーブに400gのプロピレンと2NLのエチレンガスを仕込み、上記の触媒懸濁液を添加し、3.0?3.5MPaの圧力下、60℃で60分重合した。重合後メタノールを加えて重合を停止し、プロピレンをパージしてポリマーを得た。真空下80℃で6時間乾燥した。得られたポリマーは127gであった。このポリマーはTmが128℃であり、MFRが5.5g/10分であり、デカン可溶部量あ0.2重量%であった。 実施例26 〔ジメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 エチレンの仕込み量を3NLにしたこと以外は、実施例25と同様にしてプロピレンとエチレンの共重合を行った。得られたポリマーは146gであった。このポリマーはTmが124℃であり、MFRが5.5g/10分であり、デカン可溶部量が0.3重量%であった。 実施例27 〔ジメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 シリカ担持メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で0.52mmol使用し、アルキルアルミニウムとしてトリエチルアルミニウム(1.3mmol)のみを使用したこと以外は、実施例25と同様の方法で重合を行った。得られたポリマーは79gであった。 このポリマーはTmが124℃であり、MFRが7.5g/10分であり、デカン可溶部量が0.2重量%であった。 実施例28 〔ジメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 水素を0.5NL加えたこと以外は、実施例25と同様にしてプロピレンとエチレンの共重合を行った。得られたポリマーは49gであった。このポリマーはTmが120℃であり、MFRが65g/10分であり、デカン可溶部量が0.2重量%であった。 実施例29 〔ジメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 実施例5で得られたオレンジ色の固体0.8mgを用いたこと以外は、実施例25と同様にしてプロピレンとエチレンの共重合を行った。得られたポリマーは97gであった。このポリマーはTmが126℃、MFRが2.0g/10分であり、デカン可溶部量が0.2重量%であった。 実施例30 〔ジメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 エチレンの仕込み量を4NLにしたこと以外は、実施例29と同様にしてプロピレンとエチレンの共重合を行った。得られたポリマーは142gであった。このポリマーはTmが116℃であり、MFRが4.1g/10分であり、デカン可溶部量が0.3重量%であった。 実施例31 〔シクロヘキシリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 実施例2で得られた赤褐色の固体0.7mgを用いたこと以外は、実施例25と同様にしてプロピレンとエチレンの共重合を行った。得られたポリマーは89gであった。このポリマーはTmが126℃であり、MFRが13.0g/10分であり、デカン可溶部量が0.2重量%であった。 実施例32 〔シクロヘキシリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 エチレンの仕込み量を3NLにしたこと以外は、実施例31と同様にしてプロピレンとエチレンの共重合を行った。得られたポリマーは107gであった。このポリマーはTmが122℃であり、MFRが18.0g/10分であり、デカン可溶部量が0.5重量%であった。 実施例33 〔シクロヘキシリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 実施例4で得られた赤褐色の固体1.3mgを用い、エチレンの仕込み量を4NLとしたこと以外は、実施例25と同様にしてプロピレンとエチレンの共重合を行った。得られたポリマーは297gであった。このポリマーはTmが141℃であり、MFRが58g/10分であり、デカン可溶部量が0.3重量%であった。 実施例34 〔シクロヘキシリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 エチレンの仕込み量を5NLにしたこと以外は、実施例33と同様にしてプロピレンとエチレンの共重合を行った。得られたポリマーは284gであった。このポリマーはTmが137℃であり、MFRが97g/10分であり、デカン可溶部量が0.6重量%であった。 実施例35 〔シクロヘキシリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 エチレンの仕込み量を5NLとし、重合温度を50℃にしたこと以外は、実施例33と同様にしてプロピレンとエチレンの共重合を行った。得られたポリマーは262gであった。このポリマーはTmが137℃であり、MFRが115g/10分であり、Mwが112000であり、Mnが62000であり、Mw/Mnが1.8であり、デカン可溶部量が0.8重量%であった。またポリマーの立体規則性は、mmmmが95.7%であり、2,1-挿入が0.02%であり、1,3-挿入が0.18%であった。 実施例36 〔シクロヘキシリデン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライドによるプロピレンとエチレンのバルク共重合〕 エチレンの仕込み量を5NLとし、水素を0.5NL加えたこと以外は、実施例33と同様にしてプロピレンとエチレンの共重合を行った。得られたポリマーは205gであった。このポリマーはTmが131℃であり、MFRが310g/10分であり、デカン可溶部量が1.0重量%であった。またポリマーの立体規則性は、mmmmが95.0%であり、2,1-挿入が0.03%であり、1,3-挿入が0.20%であった。」(286頁8行?291頁5行) 5.引用例に記載された発明 摘示ア?オの記載を総合すれば、引用例には、次のとおりの発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されているといえる。 「ポリオレフィンの製造方法であって、 (A)下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物と (式中、R^(3)は炭素原子数4以上の立体的に嵩高い置換基である炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、R^(1)、R^(2)、R^(4)、R^(5)、R^(6)、R^(7)、R^(8)、R^(9)、R^(10)、R^(11)、R^(12)、R^(13)およびR^(14)は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、式中のフルオレン環は無置換フルオレン、3,6-二置換フルオレン、2,7-二置換フルオレンまたは2,3,6,7-四置換フルオレンであり、Yは炭素原子またはケイ素原子であり、Mは周期表第4族から選ばれた金属を示し、jは1?4の整数であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれ、jが2以上のときはQは互いに同一でも異なっていてもよい。)。 (B)(B-1)有機金属化合物、 (B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および (B-3)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物 から選ばれる少なくとも1種の化合物と (C)粒径が10?200μmの範囲にあり、比表面積が100?800m^(2)/gの範囲にあり、細孔容積が0.3?3.0cm^(3)/gの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状シリカ担体と からなるオレフィン重合触媒の存在下に、 プロピレンとエチレンとを共重合することにより得られる、プロピレンから導かれる繰り返し単位を95ないし99.5モル%、エチレンから導かれる繰り返し単位を5ないし0.5モル%の割合で含有し、下記(i)?(vi)の特性を有するポリオレフィンの製造方法。 (i)^(13)C-NMRスペクトル測定から求められるペンタッドアイソタクティシティーが80%以上であり、 (ii)2,1-挿入と1,3-挿入とがいずれも0.2%以下であり、 (iii)メルトフローレート(ASTM D1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定)が0.01?1000g/10分の範囲にあり、 (iv)ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより求めた分子量分布(Mw/Mn)が1?3の範囲にあり、 (v)デカン可溶部量が2重量%以下であり、 (vi)示差走査型熱量計により測定した融点(Tm)が145℃以下である。」 6.対比 本願発明と引用例発明とを対比する。 (1)引用例発明の「(A)一般式(1)で表されるメタロセン化合物」と本願発明の「式(2)のメタロセン触媒成分」とを以下に対比する。 ア 引用例発明の一般式(1)は、置換シクロペンタジエニル環とフルオレニル環とを有するものであって、当該フルオレニル環が無置換フルオレンであるから、本願発明の式(2)を説明する「Cp’は置換シクロペンタジエニル基であり、Fl’はフルオレニル基であり」を満たす。そして、引用例発明の式(1)は、「R^(3)は炭素原子数4以上の立体的に嵩高い置換基である炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ」るのであるから、本願発明の式(2)を説明する「R’_(a)は、架橋に対して遠位の位置にあ」る「シクロペンタジエニル基上の置換基であ」るを満たす。また、引用例発明の式(1)は、「R^(1)・・・は・・・水素原子、炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ」るのであるから、本願発明の式(2)を説明する「R’_(b)は、架橋に対して近位であり、遠位の置換基に対して非隣接で配置され、ならびに式YR#_(3)(式中、Yはケイ素または炭素であり、各R#は同一であるか、もしくは異なり、水素または1から7個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、チオアルキル基またはアミノ、アルキル基である)であ」る「シクロペンタジエニル環上の置換基であ」るを満たす。 イ 引用例発明の「Yは炭素原子またはケイ素原子であり」は本願発明の「B’は前記触媒に立体剛直性を賦与するCp’とFl’の間の構造的架橋であり」に相当する。 ウ 引用例発明の「Mは周期表第4族から選ばれた金属」は本願発明の「M’はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選択される遷移金属」に相当する。 エ 引用例発明の「jは1?4の整数であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれ、jが2以上のときはQは互いに同一でも異なっていてもよい」は本願発明の「Q’はハロゲンまたはC_(1)-C_(4)アルキル基であり、n’は0-4の整数である」に相当する。 オ そうすると、引用例発明の「一般式(1)で表されるメタロセン化合物 (式中、R^(3)は炭素原子数4以上の立体的に嵩高い置換基である炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、R^(1)、R^(2)、R^(4)、R^(5)、R^(6)、R^(7)、R^(8)、R^(9)、R^(10)、R^(11)、R^(12)、R^(13)およびR^(14)は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、式中のフルオレン環は無置換フルオレン、3,6-二置換フルオレン、2,7-二置換フルオレンまたは2,3,6,7-四置換フルオレンであり、Yは炭素原子またはケイ素原子であり、Mは周期表第4族から選ばれた金属を示し、jは1?4の整数であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれ、jが2以上のときはQは互いに同一でも異なっていてもよい。)。」は、本願発明の「式 B’(Cp’R’_(a)R’_(b))(Fl’)M’Q’_(n) (2) (式中、 Cp’は置換シクロペンタジエニル基であり、 Fl’はフルオレニル基であり、 B’は前記触媒に立体剛直性を賦与するCp’とFl’の間の構造的架橋であり、 R’_(a)は、架橋に対して遠位の位置にあるシクロペンタジエニル基上の置換基であり、 R’_(b)は、架橋に対して近位であり、遠位の置換基に対して非隣接で配置され、ならびに式YR#_(3)(式中、Yはケイ素または炭素であり、各R#は同一であるか、もしくは異なり、水素または1から7個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、チオアルキル基またはアミノ、アルキル基である)であるシクロペンタジエニル環上の置換基であり、 M’はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選択される遷移金属であり、 Q’はハロゲンまたはC_(1)-C_(4)アルキル基であり、 n’は0-4の整数である) のメタロセン触媒成分」に相当するといえる。 (2)引用例発明の「(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物」は本願発明の「(ii)アルキルアルモキサン共触媒成分」に相当する。 (3)引用例発明の「(C)粒径が10?200μmの範囲にあり、比表面積が100?800m^(2)/gの範囲にあり、細孔容積が0.3?3.0cm^(3)/gの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状シリカ担体」は本願発明の「(iii)20-40ミクロンの粒子サイズ、200-400m^(2)/グラムの表面積、および1.3-1.6ml/グラムの範囲内の細孔容積により特徴付けられる粒子状シリカ担体」に相当する。 (4)引用例発明の「ポリオレフィン」と本願発明の「アイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマー」とを以下に対比する。 ア 引用例発明の「ポリオレフィン」は、「プロピレンとエチレンとを共重合することにより得られる」ものであるから、プロピレン-エチレンコポリマーであって、「プロピレンから導かれる繰り返し単位を95ないし99.5モル%、エチレンから導かれる繰り返し単位を5ないし0.5モル%の割合で含有」するものであるから、本願発明の「エチレン-プロピレン混合物中0.01-20モルパーセントのエチレンの範囲内の量でのプロピレンとエチレンの混合物と接触すること」により製造される「エチレン-プロピレンコポリマー」に相当するといえる。 イ 引用例発明の「(i)^(13)C-NMRスペクトル測定から求められるペンタッドアイソタクティシティーが80%以上であり、(ii)2,1-挿入と1,3-挿入とがいずれも0.2%以下であり」かつ「(v)デカン可溶部量が2重量%以下であり」は、本願発明の「アイソタクチック」に相当するといえる。 ウ 引用例発明の「(vi)示差走査型熱量計により測定した融点(Tm)が145℃以下である」と本願発明の「150℃以下の融解温度を有する」とは重複一致する。 (5)してみると、本願発明と引用例発明との一致点及び相違点は、次のとおりのものであるといえる。 <一致点> 「(a)(i)式 B’(Cp’R’_(a)R’_(b))(Fl’)M’Q’_(n) (2) (式中、 Cp’は置換シクロペンタジエニル基であり、 Fl’はフルオレニル基であり、 B’は前記触媒に立体剛直性を賦与するCp’とFl’の間の構造的架橋であり、 R’_(a)は、架橋に対して遠位の位置にあるシクロペンタジエニル基上の置換基であり、 R’_(b)は、架橋に対して近位であり、遠位の置換基に対して非隣接で配置され、ならびに式YR#_(3)(式中、Yはケイ素または炭素であり、各R#は同一であるか、もしくは異なり、水素または1から7個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、チオアルキル基またはアミノ、アルキル基である)であるシクロペンタジエニル環上の置換基であり、 M’はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選択される遷移金属であり、 Q’はハロゲンまたはC_(1)-C_(4)アルキル基であり、 n’は0-4の整数である) のアイソ特異性メタロセン触媒成分; (ii)アルキルアルモキサン共触媒成分、および (iii)20-40ミクロンの粒子サイズ、200-400m^(2)/グラムの表面積、および1.3-1.6ml/グラムの範囲内の細孔容積により特徴付けられる粒子状シリカ担体 を含む担持メタロセン触媒を準備すること; (b)重合反応域中で前記触媒を、前記エチレン-プロピレン混合物中0.01-20モルパーセントのエチレンの範囲内の量でのプロピレンとエチレンの混合物と接触すること ;および (c)前記プロピレンのアイソ特異性重合をもたらすのに有効な温度および圧力条件下で前記エチレンの存在において前記反応域を運転して、150℃以下の融解温度を有するアイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーを製造すること を含んでなる、アイソタクチックエチレン-プロピレンコポリマーを製造するための方法。」 である点。 <相違点1> メタロセン触媒成分の置換基R’_(a)(引用例発明のメタロセン化合物の置換基R^(3))に関し、本願発明では、「置換されたフェニル基もしくは非置換のフェニル基を含む」と特定するのに対して、引用例発明では、「炭素原子数4以上の立体的に嵩高い置換基である炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ」と特定する点。 <相違点2> メタロセン触媒成分の置換基R’_(a)(引用例発明のメタロセン化合物の置換基R^(1))に関し、本願発明では、「置換基R’_(a)よりも低かさ高である」と特定するのに対して、引用例発明では、置換基R^(1)について置換基R^(3)との関係において特定がない点。 <相違点3> 触媒活性に関し、本願発明では、「触媒1グラム当り少なくとも1000グラムのポリマーの生成量で」と特定するのに対して、引用例発明では、そのような特定がない点。 7.相違点の判断 (1)相違点1について 引用例発明では、置換基R^(3)について「炭素原子数4以上の立体的に嵩高い置換基である炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ」と特定しており、当該特定は「置換されたフェニル基もしくは非置換のフェニル基」を直接的に特定していないものの、技術常識から「置換されたフェニル基もしくは非置換のフェニル基」を包含するものである。実際、置換基R^(3)の具体的なものとして、引用例には、「フェニル基」が例示されている(摘示イ)。 そうすると、引用例発明は、その態様として「置換基R^(3)」が「フェニル基」であるものを包含するものである。してみると、相違点3は、本願発明と引用例発明との実質的な相違点ではない。 仮にそうでないとしても、引用例発明において、置換基R^(3)として、具体的に引用例に例示されたものの中から特に「フェニル基」を採用することは、当業者にとって容易になし得ることであり、本願発明が、そのことにより予期し得ない格別顕著な作用・効果を奏するともいえない。 (2)相違点2について 引用例発明では、置換基R^(1)(本願発明のR’_(b)に対応する)について置換基R^(3)(本願発明のR’_(a)に対応する)との関係に関し直接的に特定していないものの、「R^(3)は炭素原子数4以上の立体的に嵩高い置換基であ」り、架橋基に対して遠位に位置しているのに対して、置換基R^(1)は架橋基に対して近位に位置していることから、架橋基の立体障害に起因して当該遠位の立体的に嵩高い置換基R^(3)よりもさらに一層かさ高な置換基となりえないことは技術常識であるといえる。実際、置換基R^(1)の具体的なものとして、引用例には、「水素原子(無置換)」あるいは「メチル基」が例示されており、これは当然に置換基R^(3)よりも低かさ高である(摘示イ及びオ)。 そうすると、引用例発明は、その態様として「置換基R^(1)」が「置換基R^(3)よりも低かさ高な」ものを包含するものである。してみると、相違点2は、本願発明と引用例発明との実質的な相違点ではない。 仮にそうでないとしても、引用例発明において、置換基R^(1)として、具体的に引用例に例示された「メチル基」を採用することは、当業者にとって容易になし得ることであり、本願発明が、そのことにより予期し得ない格別顕著な作用・効果を奏するともいえない。 (3)相違点1及び2の組み合わせについて 引用例には、例えば、置換基R^(1)及びR^(3)が、「メチル基」及び「フェニル基」であって、他の置換基R^(2)、R^(4)、R^(5)、R^(6)、R^(7)、R^(8)、R^(9)、R^(10)、R^(11)及びR^(12)が全て水素原子であるメタロセン化合物が具体的に例示されている(摘示イのCpの具体例中のa20とBridgeの具体例中のb8?b11等とFluの具体例中のc1とを組み合わせた、例えば、No.195、No.220、No.245、No.270等)。 そうすると、相違点1及び2を総合的に検討しても、引用例発明は、その態様として置換基R^(1)及びR^(3)が、各々メチル基及びフェニル基であって、他の置換基R^(2)、R^(4)、R^(5)、R^(6)、R^(7)、R^(8)、R^(9)、R^(10)、R^(11)およびR^(12)が全て水素原子であるものを包含するものである。 してみると、相違点1及び2を組み合わせた点についても、本願発明と引用例発明との実質的な相違点ではない。 仮にそうでないとしても、引用例発明において、置換基R^(1)及びR^(3)並びに他の置換基R^(2)、R^(4)、R^(5)、R^(6)、R^(7)、R^(8)、R^(9)、R^(10)、R^(11)及びR^(12)として、具体的に引用例に例示されたものの中から特に、各々、「メチル基」及び「フェニル基」並びに他の全て「水素原子」を同時に採用することは、当業者にとって容易になし得ることであり、本願発明が、そのことにより予期し得ない格別顕著な作用・効果を奏するともいえない。 (4)相違点3について 引用例発明では、触媒活性について特定していないものの、引用例の実施例では、メタロセン化合物0.65mgからポリマーが49?146g、あるいはメタロセン化合物1.3mgからポリマーが205?297g得られたこと、すなわち、触媒1グラム当り75384?228461グラムのポリマーの生成量であることが具体的に記載されている(例えば、摘示オの実施例25?36)。 そうすると、引用例発明は、その態様として「触媒1グラム当り少なくとも1000グラムのポリマーの生成量で」重合するものを包含するものであるといえる。してみると、相違点3は、本願発明と引用例発明との実質的な相違点ではない。 仮にそうでないとしても、引用例発明において、触媒活性を高める重合条件を採用することは、当業者が当然に考慮することであり、その値を「触媒1グラム当り少なくとも1000グラムのポリマーの生成量」と特定することに格別の困難性はみあたらない。そして、本願発明が、そのことにより予期し得ない格別顕著な作用・効果を奏するともいえない。 (5)まとめ したがって、本願発明は引用例に記載された発明であるか、あるいは、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、平成25年9月12日に提出された手続補正書により補正された本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないか、または、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 原査定の理由は妥当なものである。 したがって、他の請求項に係る発明についてさらに検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-01-05 |
結審通知日 | 2015-01-07 |
審決日 | 2015-01-27 |
出願番号 | 特願2010-508535(P2010-508535) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(C08F)
P 1 8・ 572- Z (C08F) P 1 8・ 57- Z (C08F) P 1 8・ 113- Z (C08F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 牧野 晃久、阪野 誠司 |
特許庁審判長 |
田口 昌浩 |
特許庁審判官 |
大島 祥吾 小野寺 務 |
発明の名称 | 担持メタロセン触媒 |
代理人 | 特許業務法人小田島特許事務所 |