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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G21G
管理番号 1302113
審判番号 不服2013-25930  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-19 
確定日 2015-06-16 
事件の表示 特願2010- 63265「放射性組成物原材料及び放射性形成物とそれを用いた健康施設」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月15日出願公開、特開2011-180112〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年3月1日の出願(発明者:土屋豊、出願人:土屋豊、小川好紀)であって、平成25年5月17日付けで拒絶理由が通知され、同年6月14日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、同年8月30日付けで拒絶理由が通知され、同年9月19日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたが、その後、同年11月22日付けで拒絶査定がなされた。本件は、これに対して、同年12月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審において、平成27年1月14日付けで拒絶理由が通知され、同年2月20日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出された。


第2 本願発明について
1.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年2月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「放射線を放出する組成物の原材料合成において、ウラン系列又は、トリウム系列の放射性物質を含む天然鉱石を砂状に粉砕し、放射線量の高い部分を選択したものを補助剤と混ぜ、補助剤と共に1μm?10μmに加工した鉱石粉末とし、鉱石粉末に元素の周期表で分類された銅族の金属である、金、銀、銅の中から選択し1μm?10μmに加工した金属粉末を重量比で5%から20%添加し、オーストリアのバドガシュタインの廃坑又は、銅スクロドフスカ石の鉱物組成を模し、銅族の金属イオン化に伴うイオンの反応性や抗菌性を付加したことを特徴とする放射性組成物原材料。」

2.先願発明
当審で通知した拒絶の理由に引用され、本願の出願日である平成22年3月1日前の平成20年11月17日を出願日とする他の特許出願であって,その出願後の平成22年6月3日に出願公開された特願2008-317650号(発明者:土屋豊、高垣和之、出願人:株式会社アポリア。以下「先願」という。特開2010-121608号公報参照)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「先願明細書」という)には、下記の事項が記載されている(下線は、当審が付した。)

(a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の合成において、ウラン系列又は、トリウム系列の天然放射線核種の鉱石粉末に、元素の周期表で分類された銅族の金属粉末を単体又は同比率で混合し重量比で5%から20%添加した混合粉末とし、ラジウムから放出されるα線、β線、γ線と銅属の金属による触媒効果を用い活性効果を高めたことを特徴とする燃焼性改善用組成物資材。
【請求項2】
放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の形成において、請求項1の燃焼性改善用組成物資材を用い、同じ質量の混合粉末層(1)と混合粉末層(2)を形成し、各混合粉末層の距離が電磁波放射線のγ線の波長である0.00124nmに共振(同調)関係の距離に設定され、混合粉末による触媒効果と共振による増幅効果を用い活性効果を更に高めたことを特徴とする燃焼性改善用組成物。
【請求項3】
放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の形成において、請求項1の燃焼性改善用組成物資材を用い、ポリエステル樹脂に混練し、薄膜のポリエステル樹脂形成物を作り、薄膜のポリエステル樹脂形成物上部に、ガラス繊維にポリエステル樹脂を浸透させFRP層を形成し硬化させたFRP積層板の2組を、薄膜のポリエステル樹脂層が互いに外側に向くように配置し、内側のFRP層に対してポリエステル樹脂に増粘剤を加えた接着層を形成し、プレス加圧接合することで合体させ、燃焼性改善用組成物資材を混練したポリエステル樹脂層が薄膜でも充分な強度を確保することを特徴とする燃焼性改善用組成物。
【請求項4】
放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の形成において、請求項1の燃焼性改善用組成物資材を用い、混合粉末を未硬化のプラスチック素材に混練し、成型機により製造することを特徴とする燃焼性改善用組成物。
【請求項5】
放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の形成において、請求項1の燃焼性改善用組成物資材を用い、シリコン樹脂に混練し、混練シリコン樹脂を型に注入し硬化後、脱型させることにより製造し、柔軟性を持たせた組成物とすることを特徴とする燃焼性改善用組成物。
【請求項6】
放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の形成において、ウラン系列又は、トリウム系列の天然放射線核種の鉱石粉末層を2つ以上形成し、鉱石粉末層と鉱石粉末層の間に元素の周期表で分類された銅族の金属層を設け、吸引や圧送によりラジウムから放出されるα線、β線、γ線に影響を受けた気体や液体の物質が銅族の金属層を通過する時に触媒効果を発揮できるように配置したことを特徴とする燃焼性改善用組成物。
【請求項7】
放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の形成において、元素の周期表で分類された銅族の金属板を用い、その金属板を核とし金属板の全面を覆うウラン系列又は、トリウム系列の天然放射線核種の鉱石粉末層を形成し、吸引や圧送によりラジウムから放出されるα線、β線、γ線と銅属の金属による触媒効果を用い活性効果を高めたことを特徴とする燃焼性改善用組成物。
【請求項8】
放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の形成において、天然放射線を放出する溶岩流粉末を可撓性の樹脂製容器内に収容し、その収容容器をスズメッキシールド編組内に収納し、屈曲性のある形成体とし、液体燃料を直接的に放射線と金属イオンに反応させ相互効果を発揮できるようにしたことを特徴とする燃焼性改善用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラー等の燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物とその利用方法に関するものである。」

(b)「【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら上記従来の技術においては、放射線による負の空気イオン発生は、電離現象を考えれば、同量の正の空気イオンを発生しているはずである。しかし、通常利用されている放射線の量は、天然のバックグラウンドと同程度であり、空気イオンの発生量は微量である。もしも大量の空気イオンを発生させようとしたら強い放射線が必要になり危険を伴う、そして放射線量が安全性の面で許容される範囲内では放射エネルギーを十分に発揮できないという課題を有していた。
【0015】
そこで本発明は、α線を放出する核変換(α変換)すなわち、ラジウムの同位元素RaがRnのラドンの放射性気体に変換されたとき、ラドンの放射性気体が銅属の金属による反応性を示すこと、γ線の電磁波は波動と粒子の両方の性質をもつ(同様に、粒子も波動の性質をもつ)ことに着目し、放射線量が安全性の面で許容される範囲内において、放射エネルギーを十分に発揮できる燃焼性改善用組成物資材及び組成物とその利用器材を提供することを課題とする。」

(c)「【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を達成するため、請求項1に記載した燃焼性改善用組成物資材は、放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の合成において、ウラン系列又は、トリウム系列の天然放射線核種の鉱石粉末に、元素の周期表で分類された銅族の金属粉末を単体又は同比率で混合し重量比で5%から20%添加した混合粉末とし、ラジウムから放出されるα線、β線、γ線と銅属の金属による触媒効果を用い活性効果を高めたことを特徴としている。
【0017】
この発明に使用する鉱石粉末は、ウラン系列又は、トリウム系列の天然放射線核種のラジウムを有する鉱石を粉末化したもので、高エネルギーの電磁波(γ線)や、運動エネルギーをもつ電子(β線)、原子核(α線)や中性子線などの粒子を発生し、それが物質を通過するときに、物質中の原子や分子に作用して電離したり熱エネルギーを与える能力を持っている。
【0018】
そして銅族の金属粉末と混合粉末とすることで、ラジウムを有する鉱石から放射されるエネルギーにより電離作用や熱エネルギーを得た活性効果が、鉱石微粉末中に添加された元素の周期表で分類された銅族の金属(金(Au)、銀(Ag)銅(Cu))の持つ金属イオンと触媒反応を起こし、放射線量が安全性の面で許容される範囲内においても活性効果を十分に発揮するのである。」

(d)「【発明の効果】
【0035】
以上説明したように請求項1の発明によれば、ウラン系列又は、トリウム系列の天然放射線核種のラジウムを有する鉱石を粉末化し銅族の金属粉と混合して混合粉末にすることで、鉱石の粉末から発生したラジウムの同位元素RaがRnのラドンの放射性気体に変換されたとき、ラドンの放射性気体が銅属の金属による金属イオンと同一部位で触媒反応を起こし、放射線量が安全性の面で許容される範囲内では放射エネルギーを十分に発揮できないという課題を解決できる。」

(e)「【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態を図1?図7を参照して詳細に説明する。図1は本発明の混合粉末層1と混合粉末層2の間をγ線の波長に共振関係の距離に設定した燃焼性改善用組成物の斜視図、図2はFRP積層板のプレス加工の説明図、図3(a)は成型機により羽根付きの球状に成形した燃焼性改善用組成物の側面図、図3(b)は成型機により羽根付きの球状に成形した燃焼性改善用組成物のX-X’断面図、図4はシリコン樹脂板の断面図、図5は鉱石粉末層と鉱石粉末層の間に金属層を設けた燃焼性改善用組成物の斜視図、図6は金属板を核とし金属板の全面を覆う鉱石粉末層を設けた燃焼性改善用組成物の斜視図、図7はスズメッキシールド編組内に可撓性の樹脂製フィルム等の容器と共に燃焼性改善用組成物を封入した組成物の斜視図である。
【0044】
図を省略した請求項1の燃焼性改善用組成物資材は、放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る使用目的において、放射線が物質を通過するとき物質中の原子や分子に作用して電離する能力を利用する。この電離作用は、α線、β線の直接電離放射線(電荷をもつ高速の粒子放射線(荷電粒子)のみがもつ性質)や間接電離放射線(電荷をもたない放射線でも原子や分子と作用して二次的に高速の荷電粒子を発生させる)のエネルギーにより達成される。
【0045】
また、γ線は原子核のエネルギー状態の変化によって発生し、放射性同位元素の原子核壊変などによって生じる電波や光と同じ電磁波の一種であるが、それらにくらべて波長が非常に短い。すなわちエネルギーが非常に大きいものである。電磁波放射線は直接的には電離作用をもたないが、物質中で原子と種々の相互作用をして高速の電子線を作り出す。したがって、これは間接電離放射線であり、γ線が放出する電磁波放射線エネルギーも利用できる。
【0046】
物質を活性化し燃焼性改善を図る使用目的での放射線は、高エネルギーの電磁波(γ線)や、運動エネルギーをもつ電子(β線)、原子核(α線)や中性子線などの粒子で、それが物質を通過するときに、物質中の原子や分子に作用して電離したり熱エネルギーを与える能力をもつものをいう。
【0047】
α線、β線の直接電離放射線やγ線の間接電離放射線(電磁波放射線)を有効利用するために、α線を放出する核変換(α変換)すなわち、ラジウムの同位元素RaがRnのラドンの放射性気体に変換されたとき、ラドンの放射性気体が元素の周期表で分類された銅族の金属(金(Au)、銀(Ag)銅(Cu))の持つ金属イオンと触媒反応を起こし、活性効果を十分に発揮するよう構成したり、各混合粉末層の距離が電磁波放射線のγ線の波長である0.00124nmに共振(同調)関係の距離に構成し、放射線量が安全性の面で許容される範囲内において、放射エネルギーを十分に発揮できる燃焼性改善用組成物を提供する。
【0048】
図1は本発明の請求項2に示した燃焼性改善用組成物の斜視図で、可撓性の基材1(合成樹脂、プラスチック、樹脂製フィルム、綿絹等の織布等)に、鉱石粉末と元素の周期表で分類された銅族の金属(金(Au)、銀(Ag)銅(Cu))の金属粉末を混ぜた請求項1の燃焼性改善用組成物資材の混合粉末を樹脂に混練し、同じ質量の混合粉末層(1)2と混合粉末層(2)4を形成し、各混合粉末層の距離が電磁波放射線のγ線の波長である0.00124nmに共振(同調)関係の距離3に設定され、混合粉末による触媒効果と共振による増幅効果を用いた燃焼性改善用組成物である。
【0049】
この燃焼性改善用組成物は、空気吸入口の吸気ダクトの外周に巻き付けて装着されたり、空気吸入口とエアークリーナーとの間の内部空間に貼着されたり、ラジエーターとエンジンを結ぶ結合ホースの外周に巻き付けて装着されたり、燃料タンクとエンジンを結ぶ結合ホースの外周に巻き付けて装着されたりする。
【0050】
燃焼性改善用組成物を通過する空気、水、燃料は、混合粉末層(1)2、共振(同調)関係の距離3、混合粉末層(2)4の順で作用を受けのであるが、装着や貼着される部位の体積に合わせて各混合粉末層の距離を適宜設定することにより、γ線の波長と装着や貼着される部位の体積とを共振定数に導き、混合粉末層(1)2と混合粉末層(2)4と装着や貼着される部位の体積との質量が最大になり、共振(同調)関係の距離3を設定しない場合より強力なエネルギーを確保できる。
【0051】
図2は本発明の請求項3に示したFRP積層板のプレス加工の説明図で、平らなアルミ板の上に、鉱石粉末と元素の周期表で分類された銅族の金属(金(Au)、銀(Ag)銅(Cu))の金属粉末を混ぜた請求項1の燃焼性改善用組成物資材の混合粉末をポリエステル樹脂に混練し、薄膜のポリエステル樹脂形成物5、7を作り、薄膜のポリエステル樹脂形成物5、7と、♯450ガラスマットにポリエステル樹脂を浸透させFRP層6、8を形成し硬化させたFRP積層板の2組を、薄膜のポリエステル樹脂層5、7が互いに外側に向くように配置し、内側のFRP層6、8に対してポリエステル樹脂にエアロジル、タルク、ガラスビーズなどの増粘剤を加え粘度を高めた接着層9を形成し、プレス加圧接合することで合体させ、周囲のバリをカットし、使用目的の形状に仕上げるので、高強度、軽量、耐候性、電波透過性、電気絶縁性、断熱性に大変優れているため、外層が薄膜のポリエステル樹脂層でも充分な強度を確保する燃焼性改善用組成物である。
【0052】
この燃焼性改善用組成物は、空気吸入口の吸気ダクトの内側に装着されたり、空気吸入口とエアークリーナーとの間の内部空間に貼着されたり、エアークリーナーの谷間に装着されたりする。
【0053】
請求項4の燃焼性改善用組成物は、請求項1の燃焼性改善用組成物資材を用い、混合粉末を未硬化のプラスチック素材に混練し、成型機により製造する物で、板状の製品やブロック状の製品や複雑な形状の製品が容易に制作でき、強度的にも優れた製品の製造が可能となり、量産効果も期待できる。
【0054】
図3は本発明のこの発明に使用する一例として、(a)は本発明の成型機により羽根付きの球状に成形した燃焼性改善用組成物の側面図、(b)は成型機により羽根付きの球状に成形した燃焼性改善用組成物のX-X’断面図で、燃焼性改善用組成物は、請求項1に示したものと同一の混合粉末を未硬化のプラスチック素材に混入し、成型機により外周部に羽根状の1mm?2mmの突起物11を形成し、突起物と平行した延長方向に延びる溝12を円周方向に所定の間隔を持つて多数形成し、羽根の最外周に輪状の縁10を設け、球状形成体の中心部に直径方向に貫通する孔13を設け、混合粉末による触媒効果と流体
との反応面積を広げたことによる反応性の向上効果を用いた燃焼性改善用組成物である。
【0055】
この燃焼性改善用組成物は、ラジエーターや燃料タンク内に投入され直接液体に放射線を作用させると同時に、流動する液体が球状形成体の羽根状の1mm?2mmの突起物11と突起物と平行した延長方向に延びる溝12を物質が通過するとき物質中の原子や分子に作用して電離する能力を利用する。この電離作用は、α線、β線の直接電離放射線(電荷をもつ高速の粒子放射線(荷電粒子)のみがもつ性質)や間接電離放射線(電荷をもたない放射線でも原子や分子と作用して二次的に高速の荷電粒子を発生させる)のエネルギーにより達成される。
【0056】
図4は本発明の請求項5に示したシリコン樹脂板の断面図で、平らなテフロン板の上に、鉱石粉末と元素の周期表で分類された銅族の金属(金(Au)、銀(Ag)銅(Cu))の金属粉末を混ぜた請求項1の燃焼性改善用組成物資材の混合粉末をシリコン樹脂に混練し、2.0mm?5.0mmのシリコン樹脂形成板14とした、柔軟性を持たせた燃焼性改善用組成物である。
【0057】
この燃焼性改善用組成物は、ゴム状に硬化するシリコン樹脂の特性を利用し、R半径の小さい燃料吸入管や形状が複雑な部位に密着配置させたり、折り曲げたり、巻いて積層することが可能となり、放射線量が安全性の面で許容される範囲内においても活性効果を十分に発揮する。
【0058】
図5は本発明の請求項6に示した鉱石粉末層と鉱石粉末層の間に金属層を設けた燃焼性改善用組成物の斜視図で、可撓性の基材1(合成樹脂、プラスチック、樹脂製フィルム、綿絹等の織布等)に、鉱石粉末層15と鉱石粉末層17を形成し各層の間に、元素の周期表で分類された銅族の金属(金(Au)、銀(Ag)銅(Cu))の金属層16を設けた燃焼性改善用組成物である。
【0059】
この燃焼性改善用組成物は、空気吸入口の吸気ダクトの外周に巻き付けて装着されたり、空気吸入口とエアークリーナーとの間の内部空間に貼着されたり、ラジエーターとエンジンを結ぶ結合ホースの外周に巻き付けて装着されたり、燃料タンクとエンジンを結ぶ結合ホースの外周に巻き付けて装着されたりする。
【0060】
燃焼性改善用組成物を通過する空気、水、燃料は、鉱石粉末層15、金属層16、鉱石粉末層17の順で作用を受け、吸引や圧送により鉱石粉末層15を通過する祭にラジウムから放出されるα線、β線、γ線に影響を受けた気体や液体の物質が金属層16を通過する時に触媒作用を発揮し、鉱石粉末層17に達するので、金属層16の持つ金属イオンと触媒反応を起こし、通過する物質が金属層16を有しない場合より強力なエネルギーを確保できる。
【0061】
図6は本発明の請求項7に示した金属板18を核とし金属板18の全面を覆う鉱石粉末層19を設けた燃焼性改善用組成物の斜視図で、元素の周期表で分類された銅族の金属板18を用い、その金属板18を核とし、ウラン系列又は、トリウム系列の天然放射線核種の鉱石粉末を混練した樹脂による塗布、又は鉱石粉末を混練したポリエチレンによる流動浸漬、又は鉱石粉末を混練したシリカを主成分とするガラス質の釉薬を高温で焼き付けし、金属板の全面を覆った燃焼性改善用組成物である。
【0062】
この燃焼性改善用組成物は、鉱石粉末を混練した資材を用いて鉱石粉末層19を形成し、元素の周期表で分類された銅族の金属板18を強度保持部材の核として用い、吸引や圧送によりラジウムから放出される各種のエネルギーにより、電離作用や熱エネルギーを得た気体や液体の物質を、強度保持部材として用いた銅族の金属板18の触媒効果と共に作用させ、放射線量が安全性の面で許容される範囲内においても活性効果を十分に発揮するのである。
【0063】
図7は本発明の請求項8に示したスズメッキシールド編組内に可撓性の樹脂製フィルム等の容器と共に燃焼性改善用組成物を封入した組成物の斜視図で、天然放射線を放出する溶岩流粉末22を可撓性の樹脂製容器21内に収容し、その収容容器をスズメッキシールド編組20内に収納し、スズメッキシールド編組20の両端をクリップ23で止め、屈曲性のある形成体とし、液体燃料を直接的に放射線と金属イオンに反応させ相互効果を発揮させる燃焼性改善用組成物である。
【0064】
上記の燃焼性改善用組成物は、溶岩流粉末22が液体燃料に流出するのを防止する目的と燃料タンクに容易に挿入できるようにする目的のため、可撓性の樹脂製フィルム等の容器に封入したものをスズメッキシールド編組20内に収納し、屈曲性のある燃焼性改善用組成物形成体としている。
【0065】
この燃焼性改善用組成物は、鉱物のスズ鉱に天然放射線発生物質が付着している点に着目し、スズが天然放射線発生物質の放出にプラスの効果をもたらすこと、銅との融合性が良いこと、銅の表面にメッキすれば銅の耐蝕を防ぐ効果を持つこと等の特性から、メッキ銅線を液体燃料に反応させると、金属イオンと反応し燃料が改質される原理を応用すると共に、さらなる改質効果の向上を図るため、溶岩流粉末から放出される放射線源のα線、β線、γ線と相互作用させ、放射線量が安全性の面で許容される範囲内においても活性効果を十分に発揮する。」

(f)「【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】



すると、上記先願明細書の記載事項から、先願明細書には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。

「放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の合成において、ウラン系列又は、トリウム系列の天然放射線核種の鉱石粉末に、元素の周期表で分類された銅族の金属粉末を単体又は同比率で混合し重量比で5%から20%添加した混合粉末とし、ラジウムを有する鉱石から放射されるエネルギーにより電離作用や熱エネルギーを得た活性効果が、鉱石微粉末中に添加された元素の周期表で分類された銅族の金属(金(Au)、銀(Ag)銅(Cu))の持つ金属イオンと触媒反応を起こし、放射線量が安全性の面で許容される範囲内においても活性効果を十分に発揮する燃焼性改善用組成物資材。」

3.対比
(1)本願発明と先願発明との対比
(a)先願発明の「放射線を照射して物質を活性化しガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ストーブ、ボイラーの燃焼性改善を図る燃焼性改善用組成物の合成」が、本願発明の「放射線を放出する組成物の原材料合成」に相当する。

(b)先願発明の「ウラン系列又は、トリウム系列の天然放射線核種の鉱石粉末」と、本願発明の「ウラン系列又は、トリウム系列の放射性物質を含む天然鉱石を砂状に粉砕し、放射線量の高い部分を選択したものを補助剤と混ぜ、補助剤と共に1μm?10μmに加工した鉱石粉末」とは、「ウラン系列又は、トリウム系列の放射性物質を含む天然鉱石を粉砕した鉱石粉末」で一致する。

(c)先願発明の「元素の周期表で分類された銅族の金属粉末」と、本願発明の「元素の周期表で分類された銅族の金属である、金、銀、銅の中から選択し1μm?10μmに加工した金属粉末」とは、「元素の周期表で分類された銅族の金属である、金、銀、銅の中から選択して加工した金属粉末」で一致する。
すると、先願発明の「鉱石粉末に、元素の周期表で分類された銅族の金属粉末を単体又は同比率で混合し重量比で5%から20%添加した混合粉末とし」た構成と、本願発明の「鉱石粉末に元素の周期表で分類された銅族の金属である、金、銀、銅の中から選択し1μm?10μmに加工した金属粉末を重量比で5%から20%添加し」た構成は、「鉱石粉末に元素の周期表で分類された銅族の金属である、金、銀、銅の中から選択して加工した金属粉末を重量比で5%から20%添加し」た構成で一致する。

(d)本願明細書の「オーストリアのバドガシュタインの廃坑は銀鉱山、銅スクロドフスカ石は銅と珪石と酸化ウランの結晶化した鉱物であり、」(段落【0012】)との記載、及び、オーストリアのバドガシュタインの廃坑はラドン温泉として知られていることを参照すれば、本願発明の「オーストリアのバドガシュタインの廃坑又は、銅スクロドフスカ石の鉱物組成を模し」たことは、「ウラン系列又は、トリウム系列の放射性物質を含む天然鉱石」「に元素の周期表で分類された銅族の金属」を「添加し」たことにより得られることであると認められる。
すると、引用発明は、「ウラン系列又は、トリウム系列の天然放射線核種の鉱石粉末に、元素の周期表で分類された銅族の金属粉末を」「添加した混合粉末とし」たことにより、本願発明の「オーストリアのバドガシュタインの廃坑又は、銅スクロドフスカ石の鉱物組成を模し」た構成と同様の構成を有すると認められる。

(e)本願発明の「銅族の金属イオン化に伴うイオンの反応性」「を付加した」ことは、本願明細書の「元素の周期表で分類されたその属の一般名は銅族であり、イオンの反応性や抗菌性や電磁波共振に応用できる物質族として残った。」(段落【0012】)、「鉱石から放射されるエネルギーにより電離作用や熱エネルギーを得た活性効果が、鉱石微粉末中に添加された元素の周期表で分類された銅族の金属(金(Au)、銀(Ag)銅(Cu))の持つ金属イオンと反応を起こし、放射線量が安全性の面で許容される範囲内においても活性効果を十分に発揮するのである。」(段落【0015】)との記載を参照すれば、「ウラン系列又は、トリウム系列の放射性物質を含む天然鉱石」からの放射線と、「鉱石粉末に元素の周期表で分類された銅族の金属」のイオンが反応を起こすことを意味すると解される。
すると、先願発明の「ラジウムを有する鉱石から放射されるエネルギーにより電離作用や熱エネルギーを得た活性効果が、鉱石微粉末中に添加された元素の周期表で分類された銅族の金属(金(Au)、銀(Ag)銅(Cu))の持つ金属イオンと触媒反応を起こし、放射線量が安全性の面で許容される範囲内においても活性効果を十分に発揮する」ことは、本願発明の「銅族の金属イオン化に伴うイオンの反応性」「を付加した」ことに相当する。

(f)本願明細書の「元素の周期表で分類されたその属の一般名は銅族であり、イオンの反応性や抗菌性や電磁波共振に応用できる物質族として残った。」(段落【0012】)との記載、及び、特開昭61-293463号公報(当審において、平成27年1月14日付けで通知した拒絶理由で挙げた引用文献1:特に、第2頁左下欄第8?10行参照。)にも記載されるように、銅族の金属が殺菌性、抗菌性を有するとされていることを参照すれば、本願発明の「抗菌性を付加した」ことは、「元素の周期表で分類された銅族の金属である、金、銀、銅」が抗菌性を有することを意味すると解される。
すると、引用発明の「元素の周期表で分類された銅族の金属(金(Au)、銀(Ag)銅(Cu))」も抗菌性を有するから、引用発明が、本願発明の「抗菌性を付加した」ことと同様の構成を有することは明らかである。

(2)一致点
してみると、両者は、
「放射線を放出する組成物の原材料合成において、ウラン系列又は、トリウム系列の放射性物質を含む天然鉱石を粉砕した鉱石粉末とし、鉱石粉末に元素の周期表で分類された銅族の金属である、金、銀、銅の中から選択して加工した金属粉末を重量比で5%から20%添加し、オーストリアのバドガシュタインの廃坑又は、銅スクロドフスカ石の鉱物組成を模し、銅族の金属イオン化に伴うイオンの反応性や抗菌性を付加した放射性組成物原材料。」で一致し、次の各点で一応相違する。

(3)相違点
(a)本願発明では、「鉱石粉末」が、「天然鉱石を砂状に粉砕し、放射線量の高い部分を選択したものを補助剤と混ぜ、補助剤と共に1μm?10μmに加工した鉱石粉末」としたものであるのに対して、先願発明では、「天然放射線核種の鉱石粉末」である点。
ただし、本願発明の「天然鉱石を砂状に粉砕し、放射線量の高い部分を選択したものを補助剤と混ぜ、補助剤と共に1μm?10μmに加工した鉱石粉末」は、「鉱石粉末」の製造方法により「鉱石粉末」という物を限定する記載であるところ、「鉱石粉末」という物自体の構成は、放射線量の高い1μm?10μmの天然鉱石粉末と1μm?10μmの補助剤を混ぜたものであることは明らかであるから、上記相違点は、結局、
(イ)本願発明では、天然鉱石粉末が放射線量の高い部分を選択したものであるのに対して、先願発明では、「鉱石粉末」が放射線量の高い部分を選択したものであるか否かが明らかでない点、
(ロ)本願発明では、「補助剤」を混ぜるのに対して、先願発明では、「補助剤」を混ぜるか否かが明らかでない点、
(ハ)本願発明では、「鉱石粉末」が1μm?10μmであるのに対して、先願発明では、「鉱石粉末」の大きさが明らかでない点、
の3つの相違点に分けられる。

(b)本願発明では、「1μm?10μmに加工した金属粉末」であるのに対して、先願発明では、「金属粉末」の大きさが明らかでない点。(相違点(ニ))

4.判断
(1)相違点(イ)について
一般に、天然鉱石から所望の元素を取り出すときに、天然鉱石中では元素が偏在しているから、所望の元素を効率よく取り出すために、天然鉱石中の所望の元素が多く含まれる部分を選択して所望の元素を取り出すことはよく行われることである。
すると、放射性物質を含む天然鉱石から所望の放射性物質を取り出す際に、所望の放射性物質が多く含まれる部分、すなわち、放射線量の高い部分を選択して取り出すことは、周知技術の付加であって、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点(イ)は課題解決のための具体化手段における微差であって、実質的な相違点ではない。

(2)相違点(ロ)について
本願発明、先願発明は、それぞれ、「原材料」、「資材」であって、何らかの用途に供されるものであり、本願明細書、先願明細書には、それぞれ、複数の用途が記載されている。
そして、一般に、「原材料」や「資材」を何らかの用途に供する際に、具体的な用途に応じて、「原材料」や「資材」に、他に必要とされる材料を混ぜることはよく行われることである。
すると、「補助剤」を混ぜることは、周知技術の付加であって、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点(ロ)は課題解決のための具体化手段における微差であって、実質的な相違点ではない。

(3)相違点(ハ)について
上記(2)と同様、粉末である「原材料」や「資材」を何らかの用途に供する際に、具体的な用途に応じて、粉末の大きさを設定することはよく行われることである。
そして、本願発明の「1μm?10μm」という数値が、鉱石粉末の大きさとして、格別なものでもないことを考慮すると、「鉱石粉末」を「1μm?10μm」とすることは、周知技術の付加であって、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点(ハ)は課題解決のための具体化手段における微差であって、実質的な相違点ではない。

(4)相違点(ニ)について
上記(3)と同様、「金属粉末」を「1μm?10μm」とすることは、周知技術の付加であって、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点(ニ)は課題解決のための具体化手段における微差であって、実質的な相違点ではない。

(5)結論
以上のとおり、上記相違点(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)は、いずれも実質的な相違点ではないから、本願発明は先願発明と同一である。
また、本願発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が先願の出願人と同一であるとも認められないので、本願発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。


第3 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-02 
結審通知日 2015-04-07 
審決日 2015-04-21 
出願番号 特願2010-63265(P2010-63265)
審決分類 P 1 8・ 161- WZ (G21G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 祐樹  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 土屋 知久
伊藤 昌哉
発明の名称 放射性組成物原材料及び放射性形成物とそれを用いた健康施設  

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