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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1303770
審判番号 不服2014-4036  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-03 
確定日 2015-07-30 
事件の表示 特願2010-283617「接着剤」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月24日出願公開、特開2011- 61241〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2007年4月24日(優先権主張2006年4月26日、日本国)を国際出願日とする特願2007-528906号の一部を平成22年12月20日に新たな特許出願としたものであって、平成25年2月4日付けで拒絶理由が通知され、同年4月15日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、同年7月12日付けで拒絶理由(最後)が通知され、同年9月24日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたが、その後、同年11月27日付けで拒絶査定がなされた。これに対して、平成26年3月3日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審において、平成27年3月12日付けで拒絶理由が通知され、平成27年5月14日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出された。


第2 本願発明について
1.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年5月14日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「金属箔を介して互いに電気的に接続された複数の太陽電池セルを有する太陽電池モジュールを製造する方法であって、
太陽電池セルと金属箔とをフィルム状の接着剤を介して圧着し、電気的に接続する工程を備え、
前記接着剤が、導電性粒子及び絶縁性接着剤組成物を含有し、
前記導電性粒子の平均粒子径が2?20μmであり、
前記導電性粒子の含有量が、前記接着剤全体の体積に対して0.1?20体積%であり、
前記絶縁性接着剤組成物が、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂用硬化剤及びフィルム形成材を含み、
前記熱硬化性樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂であり、
前記フィルム形成材が、重量平均分子量が10000?10000000のフェノキシ樹脂である、太陽電池モジュールの製造方法。」

2.引用刊行物
(1)当審で通知した拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2006-59991号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審が付した。)

(a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セルを直列または並列に接続した太陽電池モジュールに関する。より詳しくは、太陽電池セルを接続するリード線に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルは、所定の電圧及び電流を得るため、複数の太陽電池セルを直列または並列に接続して太陽電池モジュールとして構成されて使用される。この場合の接続方法としては、太陽電池セルの受光面側のフィンガー集電電極からの電流を集めるために形成されたバスバー集電電極と呼ばれる太い電極と、太陽電池セルの裏面の全面に形成された電極とを、リード線を用いて半田付けするのが一般的である(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。該リード線としては半田で被覆した銅線が主に用いられる。
【0003】
しかしながら、リード線を太陽電池セルの電極に半田付けする工程において、リード線と太陽電池セルの熱膨張係数の違いから太陽電池セルが反ってしまい、太陽電池セルが破損してしまうという問題があった。
また、昨今の環境問題への対応のため、リード線として鉛フリー半田で被覆した銅線を使用する場合には、鉛フリー半田の融点が高いためさらに高温で処理する必要があり、上記の問題がさらに深刻となる。
【0004】
また、太陽電池モジュールは過酷な自然条件下で使用されるため、大きな温度変化などに繰り返しさらされることに対する耐久性が要求される。しかし、従来の方法で製造された太陽電池モジュールでは、リード線と太陽電池セルの電極との接着部分に生じる内部応力が、その後の電気的安定性を損ない、太陽電池モジュールの耐久性に影響を及ぼすことがあった。
【0005】
また、リード線は通常リールから供給されるために巻き癖がついており、そのまま太陽電池セルの電極に接続しようとしてもリード線が浮いてしまい、接続ができない。このため、巻き癖を取るための機構をリード線接続装置に追加する必要があった。
【0006】
また、リード線の押さえ機構及び加熱方法を工夫することにより、半田付けの際にリード線と太陽電池セルとの間に温度差が生じて反りを誘発しないようにした、リード線取り付け装置が開示されている(特許文献4参照)。しかし、前述のように融点の高い鉛フリー半田を用いた場合には、半田付け時と冷却時の温度差が大きくなるため、装置側で太陽電池セルの反りを解消することには限界があった。
【0007】
また、導電性の箔に複数の穴があけられたもの、または細い導線を複数並べて束ねたものをリード線として用いることにより、特にフィルム状に加工された太陽電池モジュールの外部からの変形に対する機械的、電気的信頼性を向上させる発明が開示されている(特許文献5参照)。しかしながら、通常使用されている平板リード線と比べると、強度、加工性、ハンドリングなどの点で劣っており、結晶系太陽電池モジュールにおいて、平板リード線に置き換わるだけの技術的優位性がなかった。
【0008】
一方、リード線を半田付けするときの熱応力による太陽電池セルの破損を防止するため、太陽電池セルの周辺部を樹脂等によって補強する発明が開示されている(特許文献6参照)。しかし、この方法では太陽電池セルを補強する工程が必要となり、製造工程が増えるという問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開平7-131049号公報
【特許文献2】特開平8-330615号公報
【特許文献3】特開平9-55531号公報
【特許文献4】特開平11-87756号公報
【特許文献5】特開2001-135846号公報
【特許文献6】特開2003-69055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、リード線を太陽電池セルの電極に接続する際に生じる半田付けの熱応力、またはリード線と太陽電池セルの電極との接着部分に生じる内部応力を簡便な方法で軽減することにより、太陽電池セルの破損を防止し、電気的信頼性および長期耐久性・耐候性の高い太陽電池モジュールを安価な製造方法で提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明では、少なくとも2つの太陽電池セルが直列または並列に接続された太陽電池モジュールにおいて、前記太陽電池セルの一主面側に表面電極を有し、他の主面側に裏面電極を有し、前記太陽電池セルの電極と該太陽電池セルに隣接する太陽電池セルの電極とをリード線で接続したものであって、該リード線に溝または凹凸が形成されているものであることを特徴とする太陽電池モジュールが提供される(請求項1)。
【0012】
このように、溝または凹凸が形成されているリード線は、伸縮性および柔軟性を有し、温度変化による熱応力や、リード線と太陽電池セルの電極との接着部分の内部応力を十分に吸収する。したがって、溝または凹凸が形成されているリード線を用いて接続された太陽電池セルは、従来のリード線を用いて接続された太陽電池セルに比べて反りや割れが発
生し難く、温度変化や外力に対する耐久性が高い。
また、溝または凹凸が形成されているリード線は、従来のリード線に比べて太陽電池セルと接着する面積が増えるため、接着力が高くはがれにくい。したがって、溝または凹凸が形成されているリード線を用いて接続された太陽電池セルは、従来のリード線を用いて接続された太陽電池セルに比べて接着部分がはがれて断線する確率が低く、電気的信頼性が高い。
以上から、溝または凹凸が形成されたリード線により接続された太陽電池セルから成る太陽電池モジュールは温度変化や外力などに対して耐久性が高く、長期間安定して使用することができる。
【0013】
上記リード線の厚さが50μm以上250μm以下である太陽電池モジュールが好ましい(請求項2)。
【0014】
このように、リード線の平均厚さを50μm以上250μm以下とすることによって、リード線の断面積を大きくすることができ電気抵抗を十分に低減することができるとともに、必要以上に厚くなることもない。大面積・高効率太陽電池セルにおいては発生する電流が大きくなるので、電気抵抗によるロスを防ぐため100μm以上の厚さのリード線を用いるのがより好ましい。
【0015】
次に本発明では、少なくとも2つの太陽電池セルが直列または並列に接続された太陽電池モジュールの製造方法であって、少なくとも、前記太陽電池セルの一主面側に表面電極を形成する工程と、他の主面側に裏面電極を形成する工程と、前記太陽電池セルの電極と該太陽電池セルに隣接する太陽電池セルの電極とをリード線で接続するリード線接続工程とを有し、該リード線接続工程において接続されるリード線に溝または凹凸を形成することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法が提供される(請求項3)。
【0016】
このように、太陽電池セルの電極と隣接する太陽電池セルの電極とを電気的に結線するのに用いるリード線に溝又は凹凸を形成することで、リード線は伸縮性および柔軟性を有するようになり、リード線と太陽電池セルの電極とを半田付けする際に生じる温度変化による熱応力や、リード線と電極との接着部分の内部応力を十分に吸収するようになる。このようなリード線を用いて太陽電池セルの表面電極と隣接する太陽電池セルの裏面電極とを接続するか、もしくは太陽電池セルとこれに隣接する太陽電池セルの表面電極同士または裏面電極同士を接続すると、従来のリード線を用いて同様に接続した太陽電池セルに比べて太陽電池セルの反りが軽減され、太陽電池モジュールの製造において太陽電池セルが割れにくくなり、歩留りを向上させることができる。
リード線に溝又は凹凸を形成する加工は、リード線を接続する前であればいつ行ってもよく、リード線接続工程の直前に行ってもよい。
【0017】
上記太陽電池モジュールの製造方法において、リード線の溝または凹凸の形成を、ローラーまたはプレス板を用いて行うことができる(請求項4)。
このように、ローラーまたはプレス板を用いれば、簡単かつ安価にリード線に溝または凹凸を形成することができる。
【0018】
この場合、リード線の送り部にローラーまたはプレス板を配置し、送り出されるリード線に溝または凹凸を形成しながらリード線を接続してもよい(請求項5)。
【0019】
このように、リード線の送り部にローラーまたはプレス板を配置し、送り出されるリード線に溝または凹凸を形成しながらリード線を接続するというインライン加工を行ってもよい。
リード線は通常リールから供給されるために巻き癖がついており、そのまま太陽電池セ
ルの電極に接続しようとしてもリード線が浮いてしまい、接続ができない。したがって、従来は巻き癖を取るための機構をリード線接続装置に追加する必要があった。しかし、上記のインライン加工により、リード線を加工すると同時に巻き癖を取ることができる。
リード線に溝または凹凸を形成する装置は、リード線に溝または凹凸を形成できるものであればなんでもよく、ローラーまたはプレス板に限らない。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、溝または凹凸が形成されているリード線を用いて太陽電池セルを接続することにより、リード線と太陽電池セルの電極とを半田付けする際に生じる熱応力、または外気の温度変化により生じる熱応力、またはリード線と太陽電池セルの電極との接着部分に生じる内部応力を軽減することができ、電気的信頼性および長期耐久性・耐候性の高い太陽電池モジュールを安価で提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明についてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の太陽電池モジュールは、少なくとも2つの太陽電池セルが電気的に例えば直列に接続された太陽電池モジュールにおいて、前記太陽電池セルの一主面側に表面電極を有し、他の主面側に裏面電極を有し、前記太陽電池セルの表面電極と該太陽電池セルに隣接する太陽電池セルの裏面電極とをリード線で接続したものであって、該リード線に溝または凹凸が形成されているものである。
【0022】
図1に、隣接する太陽電池セルが直列に結線されている部分の概略図を示す。点線は太陽電池セルの裏側に位置していること示している。太陽電池セル101および101’は一般的に市販されている結晶系シリコン太陽電池セルで、スクリーン印刷法によって受光面フィンガー電極102、受光面バスバー電極103、裏面アルミ電極104、裏面銀パッド電極105が形成されている。太陽電池セル101の受光面のバスバー電極103と、太陽電池セル101’の裏面の銀パッド電極105’とが、リード線106により半田または導電性接着剤などの材料で電気的に接続されている。
【0023】
ここで、本発明に係るリード線106には、溝または凹凸が形成されている。溝または凹凸が形成されたリード線は、伸縮性および柔軟性を有し、温度変化による熱応力や接着部分の内部応力を充分に吸収する機能を発揮する。したがって、溝または凹凸が形成されているリード線を用いて接続された太陽電池セルは、従来のリード線を用いて接続された太陽電池セルに比べて反りにくい上に割れにくい。従って、温度変化や外力に対する耐久性が高い。
また、溝または凹凸が形成されているリード線は、従来のリード線に比べて表面積が大きくなり、太陽電池セルと接着する面積が増えるため、接着力が高くはがれにくい。したがって、溝または凹凸が形成されているリード線を用いて接続された太陽電池セルは、従来のリード線を用いて接続された太陽電池セルに比べて接着部分がはがれて断線する確率が低く、電気的信頼性が高い。
このように、本発明のような溝または凹凸が形成されたリード線により接続された太陽電池セルから成る太陽電池モジュールは、温度変化や外力などに対して耐久性が高く長期間安定して使用することができる。
【0024】
本発明に係るリード線106の溝や凹凸の形状は、特に限定されるものではないが、例えば断面形状としては図4に示される滑らかなもしくは凹凸のある波線状、もしくは図5に示される滑らかなもしくは凹凸のある形状、あるいは図6に示される局所的に溝が形成されているもの等が挙げられる。また、リード線106の外面形状としては、図7に示すように、リード線引き出し方向に対して垂直に溝もしくは凹凸が形成されているものや、
図8に示すような格子状、図9に示すように丸い形状のくぼみが並んだもの等が挙げられる。
【0025】
本発明に係るリード線106の平均厚さは、50μm以上250μm以下であることが好ましい。比抵抗を低くし、かつ取り扱い易くするためである。すなわち、50μm以上250μm以下とすることによって、リード線の断面積を大きくすることができ電気抵抗を十分に低減することができるとともに必要以上に厚くなることもない。特に125mm角以上の大面積・高効率太陽電池セルにおいては、発生する電流が5A以上と大きく、抵抗によるロスを防ぐため平均厚さが100μm以上のリード線を用いるのが好ましい。また、溝または凹凸が形成されたリード線は、加工パターンにより面内の厚さに分布を生じるが、厚さの分布は平均厚さに対して±30%以内であることが好ましい。こうすることで、リード線自体の強度を保持できるし、比抵抗にも余り悪影響を及ぼすこともない。
【0026】
本発明に係るリード線106の材質としては、比抵抗が低く、機械的強度があるものが望ましい。このような材料としては、加工性が良く、安価な銅が好適に用いられる。また、表面に防錆処理を行うことも可能であり、表面に薄い銀、パラジウム、金、ニッケル、半田、錫などの金属層をめっき又は蒸着してもよい。
【0027】
このような本発明の太陽電池モジュールの製造方法として、本発明方法は、少なくとも2つの太陽電池セルが電気的に例えば直列に接続された太陽電池モジュールの製造方法であって、少なくとも、前記太陽電池セルの一主面側に表面電極を形成する工程と、他の主面側に裏面電極を形成する工程と、前記太陽電池セルの表面電極と該太陽電池セルに隣接する太陽電池セルの裏面電極とをリード線で接続するリード線接続工程とを有し、該リード線接続工程において接続されるリード線に溝または凹凸を形成することを特徴とする。
【0028】
太陽電池セル101の基板は、アモルファスシリコンやシリコン多結晶であってもよいが、シリコン単結晶であれば、光起電力の変換効率を高くできるので好ましい。このシリコン単結晶基板は従来のCZ法、FZ法などで育成したシリコン単結晶を所望の大きさに切断することで得られる。
【0029】
上記のようにして得られたシリコンウエーハに対し、スクリーン印刷法により、太陽電池セルの一主面側に表面電極たる受光面フィンガー電極102および受光面バスバー電極103を形成する。同じくスクリーン印刷法により、太陽電池セルの他の主面側に裏面電極たる裏面アルミ電極104および裏面銀パッド電極105を形成する。
【0030】
次に、リード線106を用いて半田または導電性接着剤を介して、太陽電池セル101の受光面バスバー電極103と隣接する太陽電池セル101’の裏面銀パッド電極105’とを電気的に結線するリード線接続工程を行う。
【0031】
ここで用いるリード線に溝又は凹凸を形成することで、リード線は伸縮性および柔軟性を有するようになり、リード線接続工程においてリード線と太陽電池セルの電極とを半田付けする際に生じる熱応力や、リード線と電極との接着部分の内部応力を十分に吸収するようになる。このようなリード線を用いて接続した太陽電池セルは、従来のリード線を用いて接続した太陽電池セルに比べて太陽電池セルの反りが軽減され、太陽電池モジュール製造工程において太陽電池セルが割れにくくなり、太陽電池モジュール製造工程の歩留りを向上させることができる。
【0032】
このようなリード線の溝または凹凸の形成は、例えばローラーまたはプレス板またはヤスリによって行うことができる。
【0033】
リード線に溝または凹凸を形成する加工は、実際にリード線が接続される前であればいつ行ってもよく、リード線接続工程の直前に行ってもよい。また、リード線接続工程においてリールから供給されるリード線の送り部に、図2もしくは図3などに例示されるパターン形成されたローラー201やパターン形成されたプレス機301のような機械加工機構を加えることで、リード線の加工から太陽電池セルの接続までインラインで行うことも可能となる。
【0034】
リード線は通常リールから供給されるために巻き癖がついており、そのまま太陽電池セルの電極に接続しようとしてもリード線が浮いてしまい、接続ができない。したがって、従来は巻き癖を取るための機構をリード線接続装置に追加する必要があった。しかし、上記のインライン加工を行えば、リード線を加工すると同時に巻き癖を取ることができ、きわめて簡単かつ効率よくリード線の接続ができる。
【0035】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
(実施例1)
(リード線の加工)
図4の断面形状、図7の外面形状を加工対象物に形成できるパターンをもった二個のローラーを組み合わせて、幅2mm、厚さ150μm、長さ300mmの半田で被覆された平板銅線を加工した。適切なパターン、ローラーのギャップを選択することにより、厚さが150μm、隣り合った凹凸の間隔が2mm、凹凸の高低差が0.5mmであるように成形された平板銅線を得て、これを用いるリード線とした。
【0037】
(太陽電池セルの接続)
太陽電池セルの基板として、150mm擬似四角形、厚さ250μmの単結晶シリコン基板を用いた。スクリーン印刷法によって形成した太陽電池セル101の受光面バスバー電極103に、上記で加工したリード線106の一端を、200℃に加熱したホットプレート上でリード線を被覆している半田を溶融させて取り付けた。リード線106のもう一端は、隣接する太陽電池セル101’の裏面銀パッド電極105’に、200℃に加熱したホットプレート上でリード線を被覆している半田を溶融させて取り付けた。ここで太陽電池セル101の反りを測定したところ、0.2mmだった。
【0038】
(モジュール化)
上記で接続した太陽電池セルについて、太陽電池セル101の裏面銀パッド電極105に対して、上記と同様にして加工して準備したリード線を用いて、その一端を、200℃に加熱したホットプレート上でリード線を被覆している半田を溶融させて取り付けた。同じく、太陽電池セル101’の受光面バスバー電極103’に対して、リード線の一端を、200℃に加熱したホットプレート上でリード線を被覆している半田を溶融させて取り付けた。これら2本のリード線のそれぞれもう一端が外部に取り出されるように白板ガラス、EVA、バックシートの寸法を選択して、太陽電池セルをモジュール化し、太陽電池モジュールを得た。この太陽電池モジュールを試料として温湿度サイクル試験(湿度85%、-40℃?90℃、サイクルタイム6時間)を200サイクル行い、試験前、試験後のセル特性を測定した。試験前のフィルファクターが78.4%であったのに対し、試験後のフィルファクターは78.4%と変わらなかった。
【0039】
(引っ張り試験)
また、引っ張り試験により耐久性を評価すべく、前記と同様にしてローラーで加工したリード線を用いて太陽電池セルを接続した。太陽電池セルの基板として、150mm擬似四角形、厚さ400μmの単結晶シリコン基板を用いた。スクリーン印刷法によって形成した太陽電池セル101の受光面バスバー電極103に、加工したリード線106の一端を、200℃に加熱したホットプレート上でリード線を被覆している半田を溶融させて取り付けた。リード線106のもう一端は、隣接する太陽電池セル101’の裏面銀パッド電極105’に、200℃に加熱したホットプレート上でリード線を被覆している半田を溶融させて取り付けた。こうして得られた太陽電池セルを試料として、取り付けたリード線を太陽電池セルに対して90度の角度で引っ張り、剥離までに要する力を測定したところ、3.5Nで基板が破壊されたが、リード線とバスバー電極間の剥離は観察されなかった。
【0040】
(比較例1)
(太陽電池セルの接続)
リード線106として幅2mm、厚さ150μm、長さ300mmの半田で被覆された平板銅線を加工せずにそのまま用いた以外は、実施例1の(太陽電池セルの接続)と同じ方法で、太陽電池セル101および101’の接続を行い太陽電池セル101の反りを測定したところ、0.5mmだった。
【0041】
(モジュール化)
リード線106として幅2mm、厚さ150μm、長さ300mmの半田で被覆された平板銅線を加工せずにそのまま用いた以外は、実施例1の(モジュール化)と同じ方法で、接続した太陽電池セルをモジュール化し温湿度サイクル試験を行ったところ、試験前のフィルファクターが78.2%だったのに対し、試験後のフィルファクターは77.7%と、相対値で0.7%低下した。
【0042】
(引っ張り試験)
また、リード線106として幅2mm、厚さ150μm、長さ300mmの半田で被覆された平板銅線を加工せずにそのまま用いた以外は、実施例1の(引っ張り試験)と同じ方法で、太陽電池セルを接続し引っ張り試験を行ったところ、3.2Nで破壊を伴いながらリード線とバスバー電極間で剥離した。
【0043】
以上の結果から、本発明の製造方法により得られた太陽電池モジュールは、従来の製造方法により得られた太陽電池モジュールと比較して、反りが小さく、外力や温度変化に対する耐久性が高く、結果として電気的安定性および長期耐久性・耐候性に優れることがわかる。
【0044】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0045】
たとえば上記実施例では、太陽電池セルの表面電極と隣接する太陽電池セルの裏面電極とを接続する直列の場合について例を挙げて説明したが、太陽電池セルと隣接する太陽電池セルの表面電極同士あるいは裏面電極同士を接続する並列としてもよいことはいうまでもない。
また、リード線としては、平板銅線以外に公知の配線材を用いてよい。
また、リード線を用いて太陽電池セルを接続する手段として、半田以外に導電性接着剤等を用いてもよい。
また、リード線に伸縮性および柔軟性を与える加工は、上記で示した形態の溝または凹凸に限られず同様の効果を奏する種々の模様・形状を溝または凹凸としてリード線に形成する加工であれば、すべて本発明に含まれる。
リード線に溝または凹凸を形成する装置も、リード線に溝または凹凸を形成できるものであればなんでもよく、ローラーまたはプレス板またはヤスリに限られない。

(b)「【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】



(c)引用文献1では、「太陽電池セル101の受光面のバスバー電極103と、太陽電池セル101’の裏面の銀パッド電極105’とが、リード線106により半田または導電性接着剤などの材料で電気的に接続されている。」(段落【0022】)、「リード線106を用いて半田または導電性接着剤を介して、太陽電池セル101の受光面バスバー電極103と隣接する太陽電池セル101’の裏面銀パッド電極105’とを電気的に結線するリード線接続工程を行う。」(段落【0030】)と記載されるように、「半田」と「導電性接着剤」とは、接着手段として並列に記載されており、また、実施例1として、「幅2mm、厚さ150μm、長さ300mmの半田で被覆された平板銅線を加工した。」と「平板銅線」を「半田」で被覆したものが挙げられ、この実施例1の記載の後ろに、
「【0044】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0045】
たとえば上記実施例では、・・・としてもよいことはいうまでもない。
また、リード線としては、平板銅線以外に公知の配線材を用いてよい。
また、リード線を用いて太陽電池セルを接続する手段として、半田以外に導電性接着剤等を用いてもよい。
また、リード線に・・・」
と記載されていること(特に、下線部)、さらに、特開2005-243935号公報(特に、段落【0041】)に記載されるように、平板銅線に導電性接着剤を塗布することにより被覆したリード線が周知であることも勘案すると、引用文献1には、実施例1の「半田で被覆された平板銅線」の「半田」に換えて「導電性接着剤」とした、導電性接着剤で被覆された被平板銅線が開示されていると認められる。

すると、上記引用文献1の記載事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「少なくとも2つの太陽電池セルが電気的に例えば直列に接続された太陽電池モジュールの製造方法であって、
幅2mm、厚さ150μm、長さ300mmの導電性接着剤で被覆された平板銅線を加工し、適切なパターン、ローラーのギャップを選択することにより、厚さが150μm、隣り合った凹凸の間隔が2mm、凹凸の高低差が0.5mmであるように成形された平板銅線を得て、これを用いるリード線として、
スクリーン印刷法によって形成した太陽電池セル101の受光面バスバー電極103に、上記で加工したリード線106の一端を導電性接着剤で取り付け、リード線106のもう一端は、隣接する太陽電池セル101’の裏面銀パッド電極105’に、リード線を被覆している導電性接着剤で取り付ける、太陽電池モジュールの製造方法。」

(2)当審で通知した拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開平8-315885号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審が付した。)

(a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は接着剤組成物と導電性粒子を用いた回路接続材料に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂系接着剤は、高い接着強さが得られ、耐水性や耐熱性に優れること等から、電気・電子・建築・自動車・航空機等の各種用途に多用されている。中でも一液型エポキシ樹脂系接着剤は、主剤と硬化剤との混合が不必要であり使用が簡便なことから、フィルム状・ペースト状・粉体状の形態で使用されている。この場合、エポキシ樹脂と硬化剤及び変性剤との多様な組合せにより、特定の性能を得ることが一般的であり、例えば特開昭62-141083号公報の試みが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特開昭62-141083号公報に示されるフィルム状接着剤は、作業性に優れるものの耐熱性と耐湿性が不十分であるという欠点を有していた。この理由は、短時間硬化性(速硬化性)と貯蔵安定性(保存性)の両立により良好な安定性を得ることを目的として、常温で不活性な触媒型硬化剤を用いているために、硬化に際して十分な反応が得られないためである。すなわち、耐熱性の尺度であるガラス転移点(Tg)は、最高100℃近辺であり、半導体封止レベルで多用される、例えばプレッシャークッカー試験(PCT、121℃-2atm)といったより高温高湿の評価に耐性が不十分であった。なお、耐熱性用途に多用される硬化剤である酸無水物や芳香族アミン、及びポリフェノール等の重付加型の場合では、硬化に数時間以上と長時間が必要であり、作業性が不十分である。本発明の目的は、耐熱性と耐湿性、及び作業性に優れ、特に厳しい信頼性の要求される電気・電子用の回路接続材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)?(3)の成分を必須とする接着剤組成物と、導電性粒子よりなる回路接続材料に関する。
(1)フェノキシ樹脂
(2)ナフタレン系エポキシ樹脂
(3)潜在性硬化剤
【0005】本発明に用いるフェノキシ樹脂について説明する。フェノキシ樹脂は、高速液体クロマトグラフィー(HLC)から求められた平均分子量が10000以上の高分子量エポキシ樹脂に相当し、エポキシ樹脂と同様に、ビスフェノールA型、F型、AD型等の種類がある。これらはエポキシ樹脂と構造が類似していることから相溶性がよく、また接着性も良好な特徴を有する。分子量の大きいほどフィルム形成性が容易に得られ、また接続時の流動性に影響する溶融粘度を高範囲に設定できる。平均分子量としては、10000?150000のものがあり、10000?80000程度のものが溶融粘度や他の樹脂との相溶性等の点からより好ましい。これらの樹脂は、水酸基やカルボキシル基等の極性基を含有すると、エポキシ樹脂との相溶性が向上し、均一な外観や特性を有するフィルムが得られることや、硬化時の反応促進による短時間硬化を得る点からも好ましい。
【0006】本発明に用いるナフタレン系エポキシ樹脂は、1分子内に少なくとも1個以上のナフタレン環を含んだ骨格を有しており、ナフトール系、ナフタレンジオール系等がある。ナフタレン系エポキシ樹脂は、他の高耐熱化用エポキシ樹脂と比較して諸物性に優れ、かつ接着剤組成物の硬化物のTgを向上させ、高温域での線膨張係数(α2 )を低下させることが可能となるという点からより好ましい。また配合量は、フィルム形成性や硬化反応の点から、樹脂成分全体に対して10?80重量%とするのが好ましい。さらに、このナフタレン系エポキシ樹脂には必要に応じて、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールAやF、AD、S等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂や、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ビフェニル、脂環式、塩素環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等を単独にあるいは2種以上を混合して用いることが可能である。上記した混合可能なエポキシ樹脂の中では、ビスフェノール型エポキシ樹脂が分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性等を任意に設定できることから好ましい。これらのエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na^(+)、Cl^(-)等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、エレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
【0007】潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素-アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等、及びこれらの変性物があり、これらは単独または2種以上の混合体として使用できる。これらはアニオンまたはカチオン重合型等のいわゆるイオン重合性の触媒型硬化剤であり、速硬化性を得やすく、また化学当量的な考慮が少なくてよいことから好ましい。硬化剤としては、その他にポリアミン類、ポリメルカプタン、ポリフェノール、酸無水物等の重付加型の適用や前記触媒型硬化剤との併用も可能である。
【0008】アニオン重合型の触媒型硬化剤としては、第3アミン類やイミダゾール類が主として用いられる。第3アミン類やイミダゾール類を配合したエポキシ樹脂は、160?200℃程度の中温で、数10秒?数時間程度の加熱により硬化するために可使時間が比較的長い。カチオン重合型の触媒型硬化剤としては、エネルギー線照射により樹脂を硬化させる感光性オニウム塩、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩等が主として用いられる。またエネルギー線照射以外に、加熱によっても活性化してエポキシ樹脂を硬化させるものとして、脂肪族スルホニウム塩等がある。この種の硬化剤は、速硬化性という特徴を有することから好ましい。これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質や、Ni、Cu等の金属薄膜及びケイ酸カルシウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化したものは可使時間が延長できるため好ましい。
【0009】上記で得た接着剤組成物中には、通常の添加物等として例えば、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃剤、チキソトロピック剤、カップリング剤及びフェノール樹脂やメラミン樹脂、イソシアネート類等の硬化剤等を含有することもできる。これらの中では、導電性粒子やシリカ等の充填剤及びシラン、チタン、クロム、ジルコニウム、アルミニウム等の各系のカップリング剤が特に有効である。
【0010】導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等があり、これら及び非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等に前記した導通層を被覆等により形成したものでもよい。プラスチックを核とした場合や熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し信頼性が向上するので好ましい。導電性粒子は、接着剤成分100体積に対して、0.1?30体積%の広範囲で用途により使い分ける。過剰な導電性粒子による隣接回路の短絡等を防止するためには、0.1?10体積%とするのがより好ましい。カップリング剤としては、アミノ基やエポキシ基、及びイソシアネート基含有物が、接着性の向上の点から特に好ましい。」

(b)「【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。なお、それぞれの配合比は表1にまとめてある。
実施例1
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、平均分子量45000)50gを、重量比でトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)/酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40%の溶液とした。ナフタレン系エポキシ樹脂(ナフタレンジオール系エポキシ樹脂、大日本インキ化学工業株式会社製、商品名HP-4032、エポキシ当量149、加水分解性塩素130ppm))50gを、重量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40%の溶液とした。潜在性硬化剤は、ノバキュア3941(イミダゾール変性体を核とし、その表面をポリウレタンで被覆してなる平均粒径5μmのマイクロカプセル型硬化剤を、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂中に分散してなるマスターバッチ型硬化剤、活性温度125℃、旭化成工業株式会社製商品名)を用いた。ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設け、平均粒径10μm、比重2.0の導電性粒子を作製した。固形重量比で樹脂成分100、潜在性硬化剤50となるように配合し、さらに、導電性粒子を3体積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、75℃、10分の熱風乾燥により、接着剤層の厚みが30μmの回路接続材料を得た。得られたフィルム状接着剤は、室温での十分な柔軟性を示し、また40℃で240時間放置しても、フィルムの性質には変化がほとんどなく、良好な保存性を示した。」

(c)「【0019】実施例8
導電性粒子の配合量を7体積%とした他は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。」

すると、上記引用文献2の記載事項から、引用文献2には、以下の技術事項(以下「引用文献2の技術事項」という。)が記載されている。

「耐熱性と耐湿性、及び作業性に優れ、特に厳しい信頼性の要求される電気・電子用の回路接続材料を提供することを目的とする、
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、平均分子量45000)50gを、重量比でトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)/酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40%の溶液とし、ナフタレン系エポキシ樹脂(ナフタレンジオール系エポキシ樹脂、大日本インキ化学工業株式会社製、商品名HP-4032、エポキシ当量149、加水分解性塩素130ppm))50gを、重量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40%の溶液とし、潜在性硬化剤は、ノバキュア3941(イミダゾール変性体を核とし、その表面をポリウレタンで被覆してなる平均粒径5μmのマイクロカプセル型硬化剤を、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂中に分散してなるマスターバッチ型硬化剤、活性温度125℃、旭化成工業株式会社製商品名)を用い、ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設け、平均粒径10μm、比重2.0の導電性粒子を作製し、固形重量比で樹脂成分100、潜在性硬化剤50となるように配合し、さらに、導電性粒子を7体積%配合分散させて得られる接着剤。」

2.対比
(1)本願発明と引用発明との対比
(a)引用発明の「太陽電池セル」、「太陽電池モジュール」及び「平板銅線」が、それぞれ、本願発明の「太陽電池セル」、「太陽電池モジュール」及び「金属箔」に相当する。

(b)引用発明の「幅2mm、厚さ150μm、長さ300mmの導電性接着剤で被覆された平板銅線」において、「平板銅線」を被覆する「導電性接着剤」はフィルム状に形成されたものであるといえ、また、一般に、導電性接着剤で接着するときに、被接着物同士を圧着することは自明のことであるから、引用発明の
「少なくとも2つの太陽電池セルが電気的に例えば直列に接続された太陽電池モジュールの製造方法であって、
幅2mm、厚さ150μm、長さ300mmの導電性接着剤で被覆された平板銅線を加工し、適切なパターン、ローラーのギャップを選択することにより、厚さが150μm、隣り合った凹凸の間隔が2mm、凹凸の高低差が0.5mmであるように成形された平板銅線を得て、これを用いるリード線として、
スクリーン印刷法によって形成した太陽電池セルの受光面バスバー電極に、上記で加工したリード線の一端を導電性接着剤で取り付け、リード線のもう一端は、隣接する太陽電池セルの裏面銀パッド電極に、リード線を被覆している導電性接着剤で取り付ける」ことは、本願発明の
「金属箔を介して互いに電気的に接続された複数の太陽電池セルを有する太陽電池モジュールを製造する方法であって、
太陽電池セルと金属箔とをフィルム状の接着剤を介して圧着し、電気的に接続する工程を備え」ることに相当する。

(2)一致点
してみると、両者は、
「金属箔を介して互いに電気的に接続された複数の太陽電池セルを有する太陽電池モジュールを製造する方法であって、
太陽電池セルと金属箔とをフィルム状の接着剤を介して圧着し、電気的に接続する工程を備える、太陽電池モジュールの製造方法。」で一致し、次の点で相違する。

(3)相違点
(イ)本願発明では、
「前記接着剤が、導電性粒子及び絶縁性接着剤組成物を含有し、
前記導電性粒子の平均粒子径が2?20μmであり、
前記導電性粒子の含有量が、前記接着剤全体の体積に対して0.1?20体積%であり、
前記絶縁性接着剤組成物が、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂用硬化剤及びフィルム形成材を含み、
前記熱硬化性樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂であり、
前記フィルム形成材が、重量平均分子量が10000?10000000のフェノキシ樹脂である」のに対して、引用発明では、「導電性接着剤」の詳細が明らかでない点。

3.判断
(1)相違点について
引用文献2の技術事項の、「ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設け」た「平均粒径10μm、比重2.0の導電性粒子」、「フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、平均分子量45000)」、「液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂」、「イミダゾール変性体を核とし、その表面をポリウレタンで被覆してなる平均粒径5μmのマイクロカプセル型硬化剤」が、それぞれ、本願発明の「平均粒子径が2?20μmであ」る「導電性粒子」、「重量平均分子量が10000?10000000のフェノキシ樹脂である」「フィルム形成材」、「ビスフェノール型エポキシ樹脂であ」る「熱硬化性樹脂」、「熱硬化性樹脂用硬化剤」に相当する。
すると、引用文献2の技術事項の
「フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHC、平均分子量45000)50gを、重量比でトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)/酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40%の溶液とし、ナフタレン系エポキシ樹脂(ナフタレンジオール系エポキシ樹脂、大日本インキ化学工業株式会社製、商品名HP-4032、エポキシ当量149、加水分解性塩素130ppm))50gを、重量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40%の溶液とし、潜在性硬化剤は、ノバキュア3941(イミダゾール変性体を核とし、その表面をポリウレタンで被覆してなる平均粒径5μmのマイクロカプセル型硬化剤を、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂中に分散してなるマスターバッチ型硬化剤、活性温度125℃、旭化成工業株式会社製商品名)を用い、ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設け、平均粒径10μm、比重2.0の導電性粒子を作製し、固形重量比で樹脂成分100、潜在性硬化剤50となるように配合し、さらに、導電性粒子を7体積%配合分散させて得られる接着剤」は、本願発明の
「導電性粒子及び絶縁性接着剤組成物を含有し、
前記導電性粒子の平均粒子径が2?20μmであり、
前記導電性粒子の含有量が、前記接着剤全体の体積に対して0.1?20体積%であり、
前記絶縁性接着剤組成物が、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂用硬化剤及びフィルム形成材を含み、
前記熱硬化性樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂であり、
前記フィルム形成材が、重量平均分子量が10000?10000000のフェノキシ樹脂である」「接着剤」に相当する。

そして、引用文献1に「太陽電池モジュールは過酷な自然条件下で使用されるため、大きな温度変化などに繰り返しさらされることに対する耐久性が要求される。しかし、従来の方法で製造された太陽電池モジュールでは、リード線と太陽電池セルの電極との接着部分に生じる内部応力が、その後の電気的安定性を損ない、太陽電池モジュールの耐久性に影響を及ぼすことがあった。」(段落【0004】)、「電気的信頼性および長期耐久性・耐候性の高い太陽電池モジュールを安価な製造方法で提供することを目的としたものである。」(段落【0010】)と記載されるように、引用発明は、温度変化に対する耐久性、電気信頼性、長期耐久性・耐候性の高い太陽電池モジュールを提供することを目的とするものであるから、その「導電性接着剤」についても、温度変化に対する耐久性、電気信頼性、長期耐久性・耐候性の高い方がよいことは明らかである。
すると、引用発明の「導電性接着剤」として、「耐熱性と耐湿性、及び作業性に優れ、特に厳しい信頼性の要求される電気・電子用の回路接続材料を提供することを目的とする」、引用文献2に記載された技術事項の「接着剤」を採用することは、当業者が容易想到し得ることである。

(2)効果について
本願発明が奏し得る効果は、引用発明及び引用文献2の技術事項から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。

(3)請求人の主張について
(a)引用発明について
請求人は、平成27年5月14日付けの意見書において、
「引用文献1には、「半田で被覆された平板銅線」の記載はありますが、当該平板銅線はあくまで、「該リード線としては半田で被覆した銅線が主に用いられる」(引用文献1の段落0002)との記載から明らかなように、単にリード線として容易に入手し得たものにすぎず、「被覆」によって発明の課題を解決しようとするものではありません。
そして、半田と導電性接着剤ではその保管時及び接続時の安定性・取扱性が全く異なりますし、リード線の接続に「被覆」の必要は全くありませんから、上記の記載から「導電性接着剤で被覆された平板銅線」が実質的に記載されているとは言えないし、導電性接着剤を平板銅線に被覆する動機付けがあるとも到底言えないと思料致します。」と主張する。
しかし、引用発明の「リード線」は、上記「2.」「(1)」「(c)」で検討したとおりであり、また、「単にリード線として容易に入手し得たものにすぎ」ないという根拠もなく、「リード線の接続に「被覆」の必要」が有るか無いかは引用文献1の記載の解釈に影響を与えるものではない(引用文献1には、「半田で被覆された平板銅線」が明記されている。)から、上記請求人の主張は失当である。

(b)異方導電性について
請求人は、平成27年5月14日付けの意見書において、
「引用文献1には「導電性接着剤」の記載はありますが、引用文献1の技術内容からは当該導電性接着剤として、導電性フィラーを多量に含有し、塗布及び硬化によって接着剤全体で導電性が発揮される一般的な導電性接着剤を想定していることが認められるます。これに対して、引用文献2?4に記載された回路接続材料等は、いずれも加熱加圧によって加圧方向にのみ導電性を発揮する異方導電性の材料であり、引用文献1?4のいずれの文献にも、引用文献2?4に記載されるような異方導電性の材料を引用文献1に記載の発明に適用することの動機付けとなり得る記載はありません。
より具体的には、引用文献1において「導電性接着剤」は、あくまで半田の代替として記載されているにすぎません。そして半田は異方性の無い導電材料であることは明白です。また、引用文献1に記載の発明は、「リード線に溝または凹凸が形成」されることを発明の必須の構成要素とするものであり、この「溝または凹凸」の形状を維持したまま接着されることが必要です。異方導電性の材料では、導通させる部材間に導電性粒子を捕捉するために加圧を行いますが、引用文献1に記載の発明で加圧接続を行うと「溝または凹凸」の形状が保たれず、発明の効果が得られなくなることが容易に予測されます。さらに、引用文献1に記載の発明で異方導電性の材料を適用すれば、「溝または凹凸」によって部材間に導電性粒子を捕捉することが困難となり、十分な導通を確保することも困難となることが容易に予測されます。
以上のことから、引用文献1における「導電性接着剤」は、あくまで一般的な導電性接着剤を意図したものであって、引用文献2?4に記載されるような異方導電性の材料を意図したものでないことは明らかです。
そして、引用文献1?4のいずれの文献にも、引用文献1において、あくまで半田の代替として記載されているにすぎない「導電性接着剤」に着目し、さらには当業者であれば当然把握し得る技術内容から逸脱してまで敢えて「導電性接着剤」として異方導電性の材料を適用しようとする動機付けとなり得る記載は一切ありません。」と主張する。

しかし、まず、「引用文献1の技術内容からは当該導電性接着剤として、導電性フィラーを多量に含有し、塗布及び硬化によって接着剤全体で導電性が発揮される一般的な導電性接着剤を想定していることが認められるます。」という主張は、その根拠を欠くものであり、明らかに失当である。
また、引用文献1には、異方性についての明記はなく、「導電性粒子は、接着剤成分100体積に対して、0.1?30体積%の広範囲で用途により使い分ける。過剰な導電性粒子による隣接回路の短絡等を防止するためには、0.1?10体積%とするのがより好ましい。」(段落【0010】:特に下線部参照。)との記載から、引用文献2の技術事項の接着剤が異方性である可能性があるところ、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セルとリード線とを導電性接着剤で接続するときに、異方性である必要はないが、異方性が阻害されるものでもないことは当業者には明らかであるから、引用発明の「導電性接着剤」として、引用文献2の接着剤を適用することができないという請求人の主張は採用できない。
さらに、引用発明において、「平板銅線」が溝や凹凸を有するとしても、導電性接着剤による電気的接続が困難になるとはいえない。

(7)結論
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


第3 むすび
以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-01 
結審通知日 2015-06-02 
審決日 2015-06-17 
出願番号 特願2010-283617(P2010-283617)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀部 修平  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 伊藤 昌哉
山口 剛
発明の名称 接着剤  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 池田 正人  
代理人 清水 義憲  
代理人 古下 智也  
代理人 城戸 博兒  
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