• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1304826
審判番号 不服2014-13955  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-17 
確定日 2015-08-27 
事件の表示 特願2012-545341「コンピュータにより実施される形状特徴を検出する改良された方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月30日国際公開、WO2011/076908、平成25年 5月 9日国内公表、特表2013-515993〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、2010年12月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年12月23日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成25年12月24日付けの拒絶理由通知に対し、平成26年3月5日付けで手続補正がなされたが、平成26年5月23日付けで拒絶査定がなされたものである。
本件は、上記拒絶査定を不服として、平成26年7月17日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2.平成26年7月17日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成26年7月17日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容

上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成26年3月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「コンピュータにより実施される形状特徴を検出する方法であって、
オブジェクトの形状モデルを含むデータ・ファイルにアクセスするステップと、
解析に不適切な形状特徴の定義と前記コンピュータに前記不適切な形状特徴を変形させる命令とを含む不適切な特徴のフィアルにアクセスするステップと、
前記不適切な特徴のフィアルに含まれる前記不適切な形状特徴の定義を用いて、前記オブジェクトに含まれる不適切な形状特徴を自動的に検出するステップと、
前記不適切な特徴のフィアルに含まれる前記不適切な形状特徴を変形させる命令を用いて、前記の検出した不適切な形状特徴を変形するステップと、
解析を目的とした変形モデルを生成するために、前記の変形に基づき前記不適切な特徴のファイルを変更するステップと、
を有する方法。」

という発明を、平成26年7月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「コンピュータにより実施される形状特徴を検出する方法であって、
オブジェクトの形状モデルを含むデータ・ファイルにアクセスするステップと、
解析に不適切な形状特徴の定義と前記コンピュータに前記不適切な形状特徴を変形させる命令とを含む不適切な特徴のファイルにアクセスするステップと、
前記不適切な特徴のファイルに含まれる前記不適切な形状特徴の定義と前記形状モデルの基本形状要素に関連する外向き法線ベクトルとを用いて、前記オブジェクトに含まれる不適切な形状特徴を自動的に検出するステップと、
前記不適切な特徴のファイルに含まれる前記不適切な形状特徴を変形させる命令を用いて、前記の検出した不適切な形状特徴を変形するステップと、
解析を目的とした変形モデルを生成するために、前記の変形に基づき前記データ・ファイルを変更するステップと、
を有する方法。」

という発明に補正することを含むものである。

2.補正の適法性について

本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、平成26年3月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された

「前記オブジェクトに含まれる不適切な形状特徴を自動的に検出する」ことについて、「前記形状モデルの基本形状要素に関連する外向き法線ベクトルと」を用いるという限定を付加するものであって、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とすることを含むものである。

3.独立特許要件について

本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものであるから、上記補正後の発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後発明

本願の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明」という。)は、上記の本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
なお、A.?G.については、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成A」、・・・、?「構成G」という。)

「A.コンピュータにより実施される形状特徴を検出する方法であって、
B.オブジェクトの形状モデルを含むデータ・ファイルにアクセスするステップと、
C.解析に不適切な形状特徴の定義と前記コンピュータに前記不適切な形状特徴を変形させる命令とを含む不適切な特徴のファイルにアクセスするステップと、
D.前記不適切な特徴のファイルに含まれる前記不適切な形状特徴の定義と前記形状モデルの基本形状要素に関連する外向き法線ベクトルとを用いて、前記オブジェクトに含まれる不適切な形状特徴を自動的に検出するステップと、
E.前記不適切な特徴のファイルに含まれる前記不適切な形状特徴を変形させる命令を用いて、前記の検出した不適切な形状特徴を変形するステップと、
F.解析を目的とした変形モデルを生成するために、前記の変形に基づき前記データ・ファイルを変更するステップと、
G.を有する方法。」

(2)刊行物1発明

原審の拒絶理由に引用された、特開2003-337836号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「解析用モデル作成方法および解析用モデル作成装置」として、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、計算機を用いた数値解析シミュレーションにより設計業務を合理化するCAE(Computer Aided Engineering)における解析用モデル作成方法および解析用モデル作成装置に係り、特に、解析対象の形状モデルから解析用モデルを作成する際のモデル化作業の効率を高める技術に関する。
【0002】
【従来の技術】まず、本明細書および図面で、形状モデルのモデル化とは、数値解析シミュレーションの実行時間の短縮を目的として、解析対象形状モデルの穴やフィレットを削除すること、および、形状モデル間の締結部の結合を近似モデルに置き換えることである。
【0003】また、形状特徴とは、形状モデルにおいて、モデル化の対象になる穴,フィレット,形状接合部などの部分形状であり、かつ、特定の意味に解釈可能な部分形状である。
【0004】形状モデルのモデル化作業は、従来、数値解析シミュレーションの熟練者が、手操作で実行しており、労力と時間とがかかる作業であることが知られている。」

イ.「【0011】本発明の目的は、煩雑な前処理や手作業を削減してシステム使用者が所望の解析用モデルを容易に短時間で作成できるようにする手順および手段を備えた解析用モデル作成方法および解析用モデル作成装置を提供することである。」

ウ.「【0020】
【発明の実施の形態】次に、図1?図18を参照して、本発明による解析用モデル作成方法および解析用モデル作成装置の実施形態を説明する。
1.解析用モデル作成装置の構成
図1は、本発明による解析モデル作成装置の一実施形態の全体構成を示すブロック図である。本実施形態の解析モデル作成装置は、入出力装置100と、形状モデル入力手段101と、形状特徴認識手段102と、モデル化提示手段103と、モデル化実行手段104と、解析条件入力手段105と、解析メッシュ生成手段106と、モデルデータベース107と、モデル化データベース108とで構成される。
【0021】入出力装置100は、解析対象の形状モデルを入力し、解析モデル情報を入出力する。形状モデル入力手段101は、解析対象の形状モデルをモデルデータベース107に入力する。形状特徴認識手段102は、モデルデータベース107に登録された形状モデルからモデル化データベース108に登録された各形状特徴の識別基準に基づき形状特徴を認識し、形状特徴とその種類とを対応付けてモデルデータベース107に登録する。
【0022】モデル化提示手段103は、モデルデータベース107に登録されている形状特徴とその種類とモデル化データベース108に登録された形状特徴の種類に対応付けて登録されているモデル化手法とを出力装置101aに表示し、システム使用者に入出力装置を用いてモデル化手法の選択を促し、形状特徴毎に選択されたモデル化手法をモデルデータベース107に対応付けて登録する。
【0023】モデル化実行手段104は、モデルデータベース107に登録されている形状特徴に対して、システム使用者が選択したモデル化手法に従い、解析モデル化処理を実行する。解析条件入力手段105は、システム使用者に材料や境界条件などの解析条件の入力を促し、入力された解析条件をモデルデータベース107に登録する。解析メッシュ生成手段106は、モデルデータベース107に登録された形状モデルに対して解析メッシュを生成する。
【0024】モデルデータベース107は、解析対象の形状モデルと形状モデルに帰属する形状特徴情報と解析条件と解析メッシュとを対応付けて格納する。モデル化データベース108は、形状特徴の種類とその識別基準とモデル化方法とを対応付けて格納する。
【0025】本実施形態の解析モデル作成装置は、モデル化実行の候補となる形状特徴を形状モデルから認識し、認識した形状特徴毎にそのモデル化手法を画面上に表示し、システム使用者にモデル化手法を選択させるモデル化提示手段を備え、解析モデル化処理を効率よく実行できるようにしてある。
2.データベースの構造
2.1 モデルデータベース107
図2は、本発明におけるモデルデータベース107を示す概念図である。モデルデータベース107では、解析対象毎にユーニクな識別子を付けてモデルデータを管理する。識別子としては、例えば、モデル番号を用いてもよいし、モデル名称を用いてもよい。
【0026】モデルデータベース107には、解析対象形状モデル毎に、形状モデルデータ,形状特徴データ,解析条件データ,解析メッシュデータを対応付けて登録できる。」

エ.「【0037】図5は、解析メッシュデータのデータ構造の一例を示す図である。解析メッシュデータとしては、節点データ(総節点数,節点座標値),要素データ(総要素数,要素を構成する節点の数,節点の番号)が登録される。
2.2 モデル化データベース108
図6は、本発明におけるモデル化データベース108のデータ構造の一例を示す図である。モデル化データベース108には、形状特徴の種類に応じて、形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準,形状特徴を構成する形状要素群を選択するルール,適用可能な少なくとも一つのモデル化方法が対応付けて登録される。
【0038】また、形状特徴が特徴を規定する属性値を持つ場合、その属性値のしきい値パラメータを併せて登録しておけば、しきい値パラメータと形状特徴の属性値の値を比較し、モデル化対象として提示することもできる。
【0039】次に、形状特徴の種類毎に認識のための識別基準,形状要素の選択ルール,適用可能なモデル化方法,特徴を規定する属性値を示す。
≪穴,突起≫図7は、本発明による穴形状のモデル化の例を示す図である。穴や突起のモデル化とは、解析時間の短縮を目的として、解析計算の精度にさほど影響を与えない穴や突起を削除することである。
【0040】図7(a)は、穴形状と認識されるべき形状特徴を有する形状モデルであり、図7(b)は、図7(a)の形状モデルをワイヤ表示した図である。
【0041】穴の識別基準,形状要素選択ルール,モデル化手法,属性値を以下に示す。識別基準:属性が穴であるループ(穴ループ)。形状要素選択ルール:属性が穴であるループに点で接する全ての線群(線群1),形状モデル構成面のうち外形ループの構成線分が全て線群1に含まれる面群(面群1),線群1に属する全ての点群(点群1)を穴とする。モデル化手法:削除(選択ルールにより選択された面群1,線群1,点群1に該当する面,線,点を削除し、線群1に属する穴ループを、穴ループが属する面のデータから削除する)。属性値:形状特徴の帰属する穴ループ輪郭の面積の最大値。
【0042】図7の形状モデルの場合、線群701および702が穴ループであるため穴の識別基準を満足する。続いて、選択ルールに基づき穴を構成する形状要素を選択する。
【0043】図7の形状モデルにおいては、線分705,706,707,穴の側面に該当する面708,点709,7010が選択され、モデルデータベース107に登録される。
【0044】この際、穴ループ701および702の輪郭の面積を求め、大きい方の面積を穴の属性値としてモデルデータベース107に併せて登録する。
【0045】続いて、穴のモデル化について説明する。モデル化データベース108には、モデル化手法としてキーワード「削除」と、「削除」を実行したときの動作とが記載されている。
【0046】図7の形状モデルにおいては、穴を構成する形状要素705?7010を削除するとともに、穴ループ701および702が属する面703および704の構成ループから、穴ループ701および702を削除する。
【0047】図7(c)は、「削除」実行後の形状モデルである。
【0048】ここでは、穴形状のモデル化について示したが、同様の処理により、突起についてもモデル化できる。
≪フィレット≫図8は、本発明によるフィレットのモデル化の例を示す図である。フィレットは、円筒面またはトーラス面または球面の少なくとも一つの連続する面群から構成されることを特徴とする形状であり、フィレットのモデル化とは、解析時間の短縮を目的として、解析計算の精度にさほど影響を与えないフィレットを削除することである。
【0049】図8(a)は、フィレットと認識されるべき形状特徴を有する形状モデルである。
【0050】フィレットの識別基準,形状要素選択ルール,モデル化手法,属性値を以下に示す。識別基準:円弧以外の線が平面と連続性を持つ円筒面またはトーラス面。形状要素選択ルール:識別基準で検索された基準となる円筒面に線で接する円筒面,球面,および面形状に属する線分と点をフィレットとする。モデル化手法:削除(選択ルールにより選択された各円筒面と線で接する面をそれぞれ交線の位置まで延長する)。属性値:フィレットの半径。
【0051】図8の形状モデルの場合、面801または802または803が識別基準を満足する。続いて選択ルールに基づき、穴形状を構成する形状要素を選択する。
【0052】図7の形状モデルにおいては、面801,802,803,これらの面に属する線や点が選択されモデルデータベース107に登録される。
【0053】また、この円筒面801,802,803の半径を求め、最大の半径をフィレットの属性値としてモデルデータベース107に併せて登録する。
【0054】続いて、フィレットのモデル化について説明する。モデル化データベース108には、モデル化手法としてキーワード「削除」と、「削除」を実行したときの動作が記載されている。
【0055】図8の形状モデルにおいては、フィレットを構成する面801,802,803,これらの面に属する線や点を削除するとともに、各円筒面と線で接する平面806と807,807と808,808と806をそれぞれ交線の位置まで延長する。
【0056】図8(b)は、「削除」実行後の形状モデルである。」

オ.「【0083】システム使用者は、他のシステムで作成し入出力装置を用いて指定した形状モデルデータを読み込み、モデルデータベース107に登録することもできる。
3.2 形状特徴認識手段102
システム使用者が図11(a)の「形状特徴認識」ボタン1103を選択すると、形状特徴認識手段102は、モデルデータベース107に登録された形状モデルに対して、モデル化データベース108に登録された形状特徴の種類に合致する部分形状(形状特徴)を検索する。
【0084】図12は、本発明における形状特徴認識の処理手順を示すフローチャートである。図12のST1201?ST1205は、締結部の認識登録処理であり、ST1206?ST1210は、フィレットの認識登録処理であり、ST1211?ST1215は、穴,突起の認識登録処理である。
【0085】ここでは、モデル化データベース108に形状特徴として、上記モデル化データベース108の項で説明した≪穴,突起≫≪フィレット≫≪締結≫が登録されているとする。
【0086】認識した形状特徴は、図5に示すデータ構造でモデルデータベース107に登録される。
【0087】図13は、本発明により検索された形状特徴の例を示す図である。すなわち、図11の形状について認識した形状特徴を示している。図13(a)は、≪穴,突起≫と認識した形状特徴に属する線を太線で強調表示している。図13(b)は、≪フィレット≫と認識した形状特徴に属する面を塗りつぶしで強調表示している。図13(c)は、≪締結部≫と認識した形状特徴をハッチングで強調表示している。
3.3 モデル化提示手段103
システム使用者が図11(a)の「モデル化表示」ボタン1103を選択すると、モデル化提示手段103は、モデルデータベース107に登録された各形状特徴を形状モデル上に表示する。
【0088】図14は、本発明における形状特徴表示画面の一例を示す図である。図14(a)は、モデル化提示手段の画面出力例を示している。
【0089】システム使用者が入力装置101bや101cにより形状特徴を選択すると、モデル化提示手段103は、形状特徴の種類に関連付けられているモデル化手法を図14(b)のように表示し、システム使用者にモデル化手法の選択を促す。システム使用者が図14(b)のメニューからモデル化手法を選択すると、モデル化提示手段103は、選択されたモデル化手法をモデルデータベース107に登録する。
【0090】システム使用者は、図14(b)のメニュー1406からモデル化手法を選択するだけで、モデル化作業を実行できる。図14(b)は、マウスポインタ1405を用いて締結部を選択したときのモデル簡略化メニューであり、この場合、右端のチェックボックスのうち「接着」が選択されている。」

カ.「【0105】なお、ここでは、各形状特徴に対して、図16に示すようなモデル化処理を設定したとする。
3.4 モデル化実行手段104
システム使用者が、図14のモデル化実行ボタン1403を選択すると、モデル化実行手段104は、モデルデータベース107の形状特徴データに登録された形状特徴毎に、モデル化提示手段103で設定されたモデル化に従い、モデル化データベース108に登録されたモデル化手法を適用し、形状モデルの形状を変更する。
【0106】図17は、本発明により作成された解析用モデルの例を示す図である。図16に示したモデル化手法によって各形状特徴をモデル化した後の解析用モデルについて、図17(a)は、ワイヤモデル表示した図であり、図17(b)は、図11(c)との違いを示すために、二つの立体を分離させて表示した図である。
【0107】システム使用者は、図14のモデル化部分表示ボタン1407を選択すると、モデル化実行により削除された形状要素を表示し、変更箇所を確認することもできる。
【0108】図18は、本発明におけるモデル化部分表示ボタン選択時の画面表示の一例を示す図である。図18に示したように、解析用モデル1801とモデル化実行により削除された形状要素1802とを並べて表示すれば、システム使用者は、変更箇所を確認しやすい。
3.5 解析条件入力手段105
解析条件入力手段105は、システム使用者に材料や境界条件などの解析条件の入力を促し、入力された解析条件をモデルデータベース107に登録する。解析条件の指定は、モデル化実行手段104により変更された形状モデルの形状要素を指定し、材料や境界条件を入力する。したがって、モデルデータベース107には、解析条件が形状モデルの各形状要素に対応付けて登録される。
3.6 解析メッシュ生成手段106
解析メッシュ生成手段106は、システム使用者に解析メッシュの生成を促す。立体に対してメッシュを作成する場合は、六面体メッシュまたは四面体メッシュを用いる。面に対してメッシュを作成する場合は、四角形メッシュまたは三角形メッシュを用いる。線に対してメッシュを作成する場合は、ビームメッシュを用いる。
【0109】解析メッシュ生成手段106は、作成された解析メッシュに対してモデル化実行手段104,解析条件入力手段105で設定された形状要素の属性やタイイング情報などの締結情報を解析メッシュに変換し、モデルデータベース107に登録する。」

このような事項を踏まえ、上記ア.?カ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮し、刊行物1について検討する。

(a)刊行物1には、上記ア.、イ.に記載があるように、システム使用者が所望の解析用モデルを容易に短時間で作成できるようにする手順を備えた解析用モデル作成方法についての記載がある。

(b)上記ア.の段落【0001】、ウ.の段落【0020】の記載から、刊行物1の方法は、計算機を用いて形状特徴を認識する方法を含むものである。

(c)上記ウ.の段落【0021】、【0024】?【0026】、エ.の段落【0037】、オ.の段落【0083】?【0087】の記載から、刊行物1の方法は、解析対象の形状モデルを含むモデルデータベースを有し、形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準、適用可能な少なくとも一つのモデル化方法を含むモデル化データベースを有し、モデル化データベースに含まれる形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準を用いて、モデルデータベースに含まれる解析対象の形状モデルから形状特徴を検索して認識しているものである。

(d)上記ウ.の段落【0022】、【0023】、オ.の段落【0089】、カ.の段落【0105】の記載から、刊行物1の方法は、システム使用者がメニューからモデル化方法を選択すると、設定されたモデル化に従い、前記モデル化データベースに含まれるモデル化方法を用いて、形状モデルの形状を変更するものである。

(e)上記カ.の段落【0109】の記載から、刊行物1の方法は、作成された解析メッシュに対して、モデル化実行手段で設定された情報を解析メッシュに変換し、モデルデータベースに登録するものである。そして、モデル化実行手段は、上記カ.の段落【0105】の記載から、モデル化データベースに含まれるモデル化方法を用いて、形状モデルの形状を変更することである。
したがって、刊行物1の方法は、作成された解析メッシュに対して、前記モデル化データベースに含まれるモデル化方法を用いて、形状モデルの形状を変更するステップで設定された情報を解析メッシュに変換し、モデルデータベースに登録するものといえる。

そうすると、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が開示されている。
なお、a.?g.については、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成a」、・・・、「構成g」という。)

[刊行物1発明]

「a.計算機を用いて形状特徴を認識する方法であって、
b.解析対象の形状モデルを含むモデルデータベースを有し、
c.形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準、適用可能な少なくとも一つのモデル化方法を含むモデル化データベースを有し、
d.前記モデル化データベースに含まれる前記形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準を用いて、モデルデータベースに含まれる前記解析対象の形状モデルから形状特徴を検索して認識するステップと、
e.システム使用者がメニューからモデル化方法を選択すると、設定されたモデル化に従い、前記モデル化データベースに含まれるモデル化方法を用いて、形状モデルの形状を変更するステップと、
f.作成された解析メッシュに対して、前記モデル化データベースに含まれるモデル化方法を用いて、形状モデルの形状を変更するステップで設定された情報を解析メッシュに変換し、モデルデータベースに登録するステップと
g.を有する方法。」

(3)補正後発明と刊行物1発明との対比と一致点・相違点の認定

ア.対比

(ア-1)構成Aについて

刊行物1発明において、構成aの「計算機を用い」ることは、補正後発明の構成Aの「コンピュータにより実施される」ことに相当し、構成aの「形状特徴を認識する」ことは、形状特徴を検出することによって、認識するのであるから、刊行物1発明の構成aと、補正後発明の構成Aは、「コンピュータにより実施される形状特徴を検出する方法」である点で一致する。

(ア-2)構成Bについて

刊行物1発明において、構成bの「解析対象の形状モデル」は、オブジェクトの形状モデルであるといえる。
また、刊行物1発明は、構成dのように、「モデルデータベースに含まれる前記解析対象の形状モデルから形状特徴を検索して認識する」のであるから、検索のために、モデルデータベースをアクセスしているものといえる。
そうすると、刊行物1発明の「形状モデル」を含むのは、「モデルデータベース」であるのに対し、補正後発明は、「データ・ファイル」である点で相違するものの、データ格納部という点で共通するものであり、刊行物1発明の構成bと、補正後発明の構成Bは、「オブジェクトの形状モデルを含むデータ格納部にアクセスするステップ」を有するという点で共通する。

(ア-3)構成Cについて

刊行物1発明の構成cの「形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準」に関して、上記第2.3.(2)エ.の段落【0039】?【0047】に示された穴や突起のモデル化の例では、識別基準は、属性が穴であるループであり、上記第2.3.(2)エ.の段落【0048】?【0056】に示されたフィレットのモデル化の例では、識別基準は、円弧以外の線が平面と連続性を持つ円筒面またはトーラス面である。
そうすると、構成cの「形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準」は、形状特徴がどのようなものかを定義するものといえる。
刊行物1発明の構成cの「適用可能な少なくとも一つのモデル化方法」に関して、上記第2.3.(2)エ.の段落【0039】?【0056】をみるに、穴や突起のモデル化の例も、フィレットのモデル化の例でも、モデル化方法は、削除することであり、形状をどのように変形させるかを定義したものであり、該定義を用いて計算機により変形させるのであるから、計算機に形状特徴を変形させる命令であるといえる。
構成cの「モデル化データベース」に含まれる識別基準やモデル化方法により、形状モデルの形状を変更するのは、上記第2.3.(2)ア.に記載されているように、数値解析シミュレーションの実行時間を短縮を目的とするものであり、形状モデルの形状を変更することによって、解析に不適切な(解析の実行時間がかかる)形状から適切な(解析の実行時間を短縮する)形状にすることといえる。したがって、構成cの「モデル化データベース」は、不適切な特徴のデータベースであり、「形状特徴」は、不適切な形状特徴であるといえる。
また、刊行物1発明は、構成dのように、「前記モデル化データベースに含まれる前記形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準を用いて」いるのであるから、識別基準を用いるために、モデル化データベースをアクセスしているものといえる。
そうすると、刊行物1発明の構成cの「形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準、適用可能な少なくとも一つのモデル化方法」を含むのは、「モデル化データベース」(不適切な特徴のデータベース)であるのに対し、補正後発明の構成Cの「解析に不適切な形状特徴の定義と前記コンピュータに前記不適切な形状特徴を変形させる命令」を含むのは、「不適切な特徴のファイル」である点で相違するものの、不適切な特徴のデータ格納部という点で共通するものであり、刊行物1発明の構成cと、補正後発明の構成Cは、「解析に不適切な形状特徴の定義と前記コンピュータに前記不適切な形状特徴を変形させる命令とを含む不適切な特徴のデータ格納部にアクセスするステップ」を有するという点で共通する。

(ア-4)構成Dについて

上記(ア-3)での相違に起因して、刊行物1発明の構成dは「前記モデル化データベース」であるのに対し、補正後発明の構成Dは「前記不適切な特徴のファイル」である点で相違するものの、不適切な特徴のデータ格納部という点で共通する。
上記(ア-2)、(ア-3)の検討を踏まえると、刊行物1発明の構成dの「前記形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準」は、補正後発明の構成Dの「前記不適切な形状特徴の定義」に対応する。
また、刊行物1発明の構成dの「モデルデータベースに含まれる前記解析対象の形状モデルから形状特徴を検索して認識する」に関して、「モデルデータベースに含まれる前記解析対象の形状モデル」は、補正後発明の構成Dの「オブジェクト」に対応し、形状モデルから形状特徴を検索して認識するということは、形状特徴は、形状モデルに含まれるものであり、「形状特徴を検索して認識する」ことは、形状特徴を検索して、検出することにより、形状特徴を認識するものであるから、形状特徴を検出するものといえる。
そして、形状特徴を検出するのは、計算機により検出されるものであるから、人手を介することなく、計算機が自動的に行っているものといえるので、刊行物1発明においても、「自動的に検出する」構成であるといえる。
そうすると、刊行物1発明の構成dの「モデルデータベースに含まれる前記解析対象の形状モデルから形状特徴を検索して認識する」は、補正後発明の構成Dの「前記オブジェクトに含まれる不適切な形状特徴を自動的に検出する」に対応する。
さらに、刊行物1発明は、「前記形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準を用い」るのに対し、補正後発明は、「前記不適切な形状特徴の定義」だけでなく、「前記形状モデルの基本形状要素に関連する外向き法線ベクトル」を用いる点で相違する。

そうすると、上記(ア-3)での相違に起因して、刊行物1発明の構成dは「前記モデル化データベース」であるのに対し、補正後発明の構成Dは「前記不適切な特徴のファイル」である点、刊行物1発明の構成dは、「前記形状モデルから形状特徴を認識するための識別基準を用い」るのに対し、補正後発明の構成Dは、「前記不適切な形状特徴の定義」だけでなく、「前記形状モデルの基本形状要素に関連する外向き法線ベクトル」を用いる点の2点で相違するものの、刊行物1発明の構成dと、補正後発明の構成Dは、「前記不適切な特徴のデータ格納部に含まれる前記不適切な形状特徴の定義を用いて、前記オブジェクトに含まれる不適切な形状特徴を検出するステップ」を有するという点で共通する。

(ア-5)構成Eについて

上記(ア-3)での相違に起因して、刊行物1発明の構成eは「前記モデル化データベース」であるのに対し、補正後発明の構成Eは「前記不適切な特徴のファイル」である点で相違するものの、「前記不適切な特徴のデータ格納部」という点で共通し、上記(ア-3)で検討したように、刊行物1発明の構成eの「モデル化方法」と補正後発明の構成Eの「前記不適切な形状特徴を変形させる命令」は対応する。
また、刊行物1発明の構成eの「形状モデルの形状を変更する」とは、構成dにて検出した形状特徴を変形することであるから、補正後発明の構成Eの「前記の検出した不適切な形状特徴を変形する」に対応する。
そして、刊行物1発明の構成eは、「システム使用者がメニューからモデル化方法を選択すると、設定されたモデル化に従」うという前提であるのに対し、補正後発明の構成Eは、そのような前提がない点で相違する。

したがって、刊行物1発明の構成eは「前記モデル化データベース」であるのに対し、補正後発明の構成Eは「前記不適切な特徴のファイル」である点、刊行物1発明の構成eは、「システム使用者がメニューからモデル化方法を選択すると、設定されたモデル化に従」うという前提であるのに対し、補正後発明の構成Eは、そのような前提がない点の2点で相違するものの、刊行物1発明の構成eと、補正後発明の構成Eは、「前記不適切な特徴のデータ格納部に含まれる前記不適切な形状特徴を変形させる命令を用いて、前記の検出した不適切な形状特徴を変形するステップ」を有するという点で共通する。

(ア-6)構成Fについて

刊行物1発明の構成fの「解析メッシュ」は、解析のときに使用されるモデルであるから、解析を目的としたモデルといえる。
また、刊行物1発明の構成fの「前記モデル化データベースに含まれるモデル化方法を用いて、形状モデルの形状を変更するステップ」とは、構成eのステップを指し、該ステップで設定された情報とは、形状を変更することすなわち変形に関する情報であり、変形に関する情報を解析メッシュに変換するとは、変形に関する情報を解析メッシュに適用して、解析メッシュを変形させることといえるから、刊行物1発明の構成fの「前記モデル化データベースに含まれるモデル化方法を用いて、形状モデルの形状を変更するステップで設定された情報を解析メッシュに変換し、モデルデータベースに登録する」ことは、変形された解析メッシュを生成するために、構成eのステップの変形に基づいて、モデルデータベースの解析メッシュを変形された解析メッシュに変更するものであるといえる。
ここで、変形された解析メッシュは、解析を目的とした変形モデルといえ、モデルデータベースの解析メッシュを変形された解析メッシュに変更することは、モデルデータベースを変更するものといえる。
そうすると、上記(ア-2)での相違に起因して、刊行物1発明の構成fは「前記モデルデータベース」であるのに対し、補正後発明の構成Fは、「前記データ・ファイル」である点で相違するものの、刊行物1発明の構成fと、補正後発明の構成Fは、「解析を目的とした変形モデルを生成するために、前記の変形に基づき前記データ格納部を変更するステップ」を有するという点で共通する。

イ.一致点・相違点

したがって、刊行物1発明と補正後発明は、以下の点で一致ないし相違する。

[一致点]
「コンピュータにより実施される形状特徴を検出する方法であって、
オブジェクトの形状モデルを含むデータ格納部にアクセスするステップと、
解析に不適切な形状特徴の定義と前記コンピュータに前記不適切な形状特徴を変形させる命令とを含む不適切な特徴のデータ格納部にアクセスするステップと、
前記不適切な特徴のデータ格納部に含まれる前記不適切な形状特徴の定義を用いて、前記オブジェクトに含まれる不適切な形状特徴を検出するステップと、
前記不適切な特徴のデータ格納部に含まれる前記不適切な形状特徴を変形させる命令を用いて、前記の検出した不適切な形状特徴を変形するステップと、
解析を目的とした変形モデルを生成するために、前記の変形に基づき前記データ格納部を変更するステップと、
を有する方法。」

[相違点]

(1)相違点1

「オブジェクトの形状モデルを含むデータ格納部」における「データ格納部」に関して、補正後発明は、「データ・ファイル」であるのに対し、刊行物1発明は、「モデルデータベース」である点。

(2)相違点2

「解析に不適切な形状特徴の定義と前記コンピュータに前記不適切な形状特徴を変形させる命令とを含む不適切な特徴のデータ格納部」における「不適切な特徴のデータ格納部」に関して、補正後発明は、「不適切な特徴のファイル」であるのに対し、刊行物1発明は、「モデル化データベース」である点。

(3)相違点3

「前記不適切な形状特徴の定義を用いて、前記オブジェクトに含まれる不適切な形状特徴を検出する」ことに関して、補正後発明は、さらに、「前記形状モデルの基本形状要素に関連する外向き法線ベクトル」も用いるのに対し、刊行物1発明は、そのような限定がない点。

(4)相違点4

「前記の検出した不適切な形状特徴を変形する」ことに関して、補正後発明は、「前記不適切な形状特徴を変形させる命令を用いて」いるのに対し、刊行物1発明は、「システム使用者がメニューからモデル化手法を選択すると、設定されたモデル化に従」うという前提で、「前記不適切な形状特徴を変形させる命令を用いて」いるものである点。

ウ.当審の判断

上記相違点について検討する。

(1)相違点1、2について

データ格納部として、データベースだけでなく、データ・ファイルもしくはファイルを利用することも、情報処理における慣用手段である。
したがって、刊行物1発明の「モデルデータベース」について、データ格納部としての慣用手段である「データ・ファイル」を利用する構成にすること、不適切な特徴のデータの格納部である刊行物1発明の「モデル化データベース」について、データ格納部としての慣用手段である「ファイル」を利用する構成とし、「不適切な特徴のファイル」にすることは、いずれも容易に想到できるといえる。

(2)相違点3について

面と法線ベクトルの向きから立体形状を認識することは、立体のモデリングをする上で、周知の手法である(例えば、特開2006-72855号公報には、3D形状データを簡略化する形状簡略化装置において、3D形状の微小部分を除去する際に、円柱の軸方向に面の法線ベクトルが向いているものを穴として抽出する手法(段落【0001】、【0098】、【0102】)が開示されている。)。
そうすると、刊行物1発明において、不適切な形状特徴を検出する際に、上記周知の手法を適用し、外向きの法線ベクトルを用いて検出するようにすることは、当業者であれば、容易に想到できるといえるものである。

(3)相違点4について

刊行物1発明の「システム使用者がメニューからモデル化手法を選択すると、設定されたモデル化に従」うことについて、上記第2.3.(2)エ.の段落【0039】?【0047】に示された穴や突起のモデル化の例や、上記第2.3.(2)エ.の段落【0048】?【0056】に示されたフィレットのモデル化の例のように、穴や突起やフィレットをモデル化する際には、「削除」という1つのモデル化手法のみが指定されており、システム使用者がメニューからモデル化手法を選択しなくても、1つのモデル化手法に決定され得るものと認められる。そのような選択肢が無い場合であれば、刊行物1発明においても、「システム使用者がメニューからモデル化手法を選択すると、設定されたモデル化に従」う構成を省略することは、自然に考え得ることである。
そうすると、刊行物1発明において、「システム使用者がメニューからモデル化手法を選択すると、設定されたモデル化に従」うことなく、「前記不適切な形状特徴を変形させる命令を用いて」いる構成とすることは、容易に想到し得るものである。

よって、相違点1?4については、格別のものではなく、補正後発明に関する作用・効果も、その容易想到である構成から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、補正後発明は、刊行物1発明と、周知の手法に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について

1.本願発明

平成26年7月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成26年3月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「コンピュータにより実施される形状特徴を検出する方法であって、
オブジェクトの形状モデルを含むデータ・ファイルにアクセスするステップと、
解析に不適切な形状特徴の定義と前記コンピュータに前記不適切な形状特徴を変形させる命令とを含む不適切な特徴のフィアルにアクセスするステップと、
前記不適切な特徴のフィアルに含まれる前記不適切な形状特徴の定義を用いて、前記オブジェクトに含まれる不適切な形状特徴を自動的に検出するステップと、
前記不適切な特徴のフィアルに含まれる前記不適切な形状特徴を変形させる命令を用いて、前記の検出した不適切な形状特徴を変形するステップと、
解析を目的とした変形モデルを生成するために、前記の変形に基づき前記不適切な特徴のファイルを変更するステップと、
を有する方法。」

2.刊行物1発明

原審の拒絶理由に引用された刊行物1、及び、その記載事項は、前記第2.3.(2)に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、前記第2.3.で検討した補正後発明における
「前記形状モデルの基本形状要素に関連する外向き法線ベクトルとを用い」るという限定事項を省き、また、誤記の訂正をしたものを元の記載に戻したものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する補正後発明が、前記第2.3.に記載したとおり、刊行物1発明と、周知の手法に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、同様の理由により、刊行物1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.まとめ

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について言及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2015-06-26 
結審通知日 2015-06-30 
審決日 2015-07-13 
出願番号 特願2012-545341(P2012-545341)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松浦 功  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡邊 聡
渡辺 努
発明の名称 コンピュータにより実施される形状特徴を検出する改良された方法  
代理人 加藤 隆夫  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ