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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01J
管理番号 1304915
審判番号 不服2014-6858  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-14 
確定日 2015-09-03 
事件の表示 特願2011-133717「赤外線センサ測定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月27日出願公開、特開2011-215155〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成18年3月31日に出願した特願2006-100736号(以下,「原出願」という。)の一部を新たな特許出願として,平成23年6月15日に出願したものであって,平成24年12月21日付けで拒絶理由が通知され,平成25年3月5日に手続補正がなされ,同年7月2日付けで最後の拒絶理由が通知され,同年9月5日に意見書のみが提出され,平成26年1月7日付けで拒絶査定がなされ,同年4月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同時に手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正後の請求項1に係る発明(下線は補正箇所を示す。)
本件補正により,補正前の特許請求の範囲の請求項1は,
「 【請求項1】
赤外線センサの受光面に黒体面から赤外線を放射することによって,前記赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する赤外線センサ測定装置において,
一部が開口し,内面が半球形または半円筒形に湾曲した黒体面により形成される内部空間を有する黒体炉と,
前記赤外線センサを保持するセンサ載置部と,を備え,
前記センサ載置部は,前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ,かつ,前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が直接的に対向するように前記赤外線センサを保持するとともに,前記内部空間より外側に位置する,
ことを特徴とする赤外線センサ測定装置。」
と補正された。

本件補正は,補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記センサ載置部は,前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ,かつ,前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が対向するように前記赤外線センサを保持する」を「前記センサ載置部は,前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ,かつ,前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が直接的に対向するように前記赤外線センサを保持する」と,「センサ載置部」が「赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が対向するように前記赤外線センサを保持する」状態を,「赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が直接的に対向するように前記赤外線センサを保持する」と限定した補正を含むものである。
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前(以下,「平成18年法改正前」という。)の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下,「補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用刊行物およびその記載事項(下線は当審で付与した。)
(1)本願の原出願の出願日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である「REDA,I. 他,“Pyrgeometer Calibrations for the ARM Program”, Ninth ARM Sceince Team Meeting Proceedings, 1999年, pp.1-6」(以下,「刊行物1」という。)には,次の事項が記載されている。

(1-ア)
「Introduction
Pyrgeometers are used to measure the longwave radiation. Accurate measurements from these radiometers require regular calibration using temperature controlled blackbody radiators.The National Renewable Energy Laboratory (NREL) and The Eppley Laboratory, Inc. (EPLAB) are developing a new automated system for calibrating EPLAB Precision Infrared Radiometers (PIRs) for the Atmospheric Radiation Measurement (ARM) Program.
・・・
Blackbody
The blackbody radiator is a copper hemisphere mounted in a fluid containing vessel, which is insulated. The geometry is such that the PIR will be in the up-looking position when it is inserted into the radiator. The surface of the hemispherical cavity is coated with Parson's black paint over a layer of Parson' s black primer. This should yield a surface emissivity greater than 0.98. When the PIR is inserted in the hemispherical cavity the effective emissivity approaches 1.0, due to the cavitation and enhancement from reflection of its own radiation.Independent temperature-controlled circulators are used to set the blackbody hemisphere and the PIR case temperatures.」(第1頁のIntroductionとBlackbody)「当審仮訳:
はじめに
赤外放射計は,長波放射を測定するために使用されます。これらの放射計からの正確な測定は,温度制御された黒体放射体を使用した定期的なキャリブレーションを必要とします。国立再生可能エネルギー研究所(NREL)とエプリー研究所株式会社(EPLAB)は,大気からの放射線測定 (ARM) 計画のEPLAB精密赤外線放射計(PIR_(S))を較正するための自動化された新しいシステムを開発しています
・・・
黒体
黒体放射体は,断熱された液体が入った容器に取り付けられた銅製の半球です。その形状は,精密赤外線放射計が挿入されたとき,精密赤外線放射計が黒体放射体を見上げる位置にあります。その半球状空洞の表面は,パーソンズの黒色プライマー層の上にパーソンズの黒色塗料が塗布されています。これは0.98よりも大きい表面放射率が得られるはずです。その精密赤外線放射計が,半球状空洞内に挿入されると,空洞現象と自己放射の影響の強化によって,有効放射率は,1.0に近づきます。
その黒体半球体とその精密赤外線放射計のケースの温度設定のために,独立した温度制御サーキュレータが使用されます。」

上記(1-ア)の記載を参照すると,上記刊行物1には,次の発明が記載されていると認められる。
「温度制御された,半球状空洞の表面にパーソンズの黒色塗料が塗布された銅製の黒体放射体を使用した精密赤外線放射計(PIR_(S))を較正するための自動化されたシステムであって,上記精密赤外線放射計が黒体放射体の半球状空洞内に挿入されたとき,精密赤外線放射計は黒体放射体を見上げる位置となり,空洞現象や自己放射の反射からの増大によって,有効放射率は,1.0に近づく精密赤外線放射計(PIR_(S))を較正するための自動化されたシステム。」(以下,「引用発明」という。)

(2)本願の原出願の出願日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である「REDA,I. 他,“Using a Blackbody to Calculate Net Longwave Responsivity of Shortwave Solar Pyranometers to Correct for Their Thermal Offset Error during Outdoor Calibration Using the Component Sum Method”, Journal of Atmospheric and Oceanic Technology, Vol.22, No.10, 2005年10月, pp.1531-1540」(以下,「刊行物2」という。)には,次の事項が記載されている。

(2-ア)
「2. Blackbody calibration to calculate the NET-IR responsivity of pyranometers

Figure 1 is a simplified diagram for the blackbody system (BBS) that is used for the pyranometer calibration.・・・The system consists of a blackbody cavity (BB) and aluminum plate that are connected to two independent temperature baths.
・・・
Each pyranometer was placed on the BBS aluminum plate in an upright position with its dome inside the BB sphere, where there is no visible light. 」(第1532頁右欄4行?26行)「当審仮訳:
2.全天日射計のNET-IR応答を計算するための黒体を用いた校正

図1は,全天日射計のキャリブレーションのために使用される黒体システム(BBS)の簡略化した図です。・・・システムは,2つの独立した温度槽に接続された黒体空洞(BB)とアルミニウム板から構成されています。
・・・
各全天日射計は,直立位置で可視光のない黒体空洞球内部にそのドームがあるように黒体システムのアルミ板上に置かれました。」

3 対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「精密赤外線放射計」は,補正発明の「赤外線センサ」に相当する。
そして,補正発明の[赤外線センサ測定装置」は,本願明細書に「【0001】
本発明は,赤外線センサ測定装置に関するものである。
・・・
【0004】
・・・赤外線センサの出力値のばらつきを予め設定された範囲に抑えるため,この増幅器の増幅率は,赤外線センサの出力値に基づいて設定される。
【0005】
このような赤外線センサの出力値を測定する赤外線センサ測定装置がある」と記載されていることから,補正発明の「赤外線センサ測定装置」は赤外線センサの較正にも使用される赤外線センサ測定装置といえることから,引用発明の「精密赤外線放射計(PIR_(S))を較正するための自動化されたシステム」は,補正発明の「赤外線センサ測定装置」に相当する。
一般に,赤外線放射計とは,その受光面に赤外線を放射することによって出力される信号の出力値を測定するものであり,引用発明の「精密赤外線放射計(PIR_(S))を較正するための自動化されたシステム」は,「黒体放射体を使用して」「較正」を行うものであるから,受光面に放射される赤外線は,その「黒体」面から放射されたものといえる。
してみれば,引用発明の「黒体放射体を使用した精密赤外線放射計(PIR_(S))を較正するための自動化されたシステム」は,補正発明の「赤外線センサの受光面に黒体面から赤外線を放射することによって,前記赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する赤外線センサ測定装置」に相当する。

イ 補正発明の「黒体炉」とは,本願明細書に「【0015】・・・ 一部が開口し,内面が半球形または半円筒形に湾曲した黒体面により形成される内部空間を有する黒体炉」と記載されているから,引用発明の「黒体放射体」は,補正発明の「黒体炉」に相当する。そして,引用発明の「半球状空洞の表面にパーソンズの黒色塗料が塗布された」「黒体放射体」は,「半球状空洞」であることから,一部が開口し,内面が湾曲した黒体面により形成された内部空間を有しているといえる。
してみれば,引用発明の「半球状空洞の表面にパーソンズの黒色塗料が塗布された」「黒体放射体」は,補正発明の「一部が開口し,内面が半球形に湾曲した黒体面により形成される内部空間を有する黒体炉」に相当する。

ウ 引用発明は「精密赤外線放射計(PIR_(S))を較正するための自動化されたシステムであって,上記精密赤外線放射計が黒体放射体の半球状空洞内に挿入されたとき,精密赤外線放射計は黒体放射体を見上げる位置とな」るのであるから,引用発明が「精密赤外線放射計」の保持手段を内在することは自明である。
そうすると,引用発明が内在する「精密赤外線放射計」の保持手段と,補正発明の「赤外線センサを保持するセンサ載置部」とは,「赤外線センサを保持するセンサ保持手段」の点で共通する。

エ 補正発明の「前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が直接的に対向するように前記赤外線センサを保持する」ことについて,「赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が対向する」とは,黒体面から赤外線を赤外線センサが受光するのであるから,赤外線センサが感度を有する角度範囲全体に赤外線が放射されるように対向させることであり,「直接的に」は,審判請求時に本願の図5を根拠に補正しているので,「赤外線センサへの放射は黒体面から直接放射される放射」であるという技術的意味以外には解され得ない。
してみれば,引用発明の「上記精密赤外線放射計が黒体放射体の半球状空洞内に挿入されたとき,精密赤外線放射計は黒体放射体を見上げる位置とな」ることは,補正発明の「前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ,かつ,前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が直接的に対向するように前記赤外線センサを保持する」ことに相当する。

そうすると,両者は,
(一致点)
「赤外線センサの受光面に黒体面から赤外線を放射することによって,前記赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する赤外線センサ測定装置において,
一部が開口し,内面が半球形に湾曲した黒体面により形成される内部空間を有する黒体炉と,
前記赤外線センサを保持するセンサ保持手段と,を備え,
前記センサ保持手段は,前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ,かつ,前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が直接的に対向するように前記赤外線センサを保持する赤外線センサ測定装置。」である点で一致し,以下の点で相違するといえる。

(相違点)
センサ保持手段とその位置について,補正発明では,「センサ載置部」であり,その位置は「前記内部空間より外側に位置する」のに対して,引用発明では「センサ載置部」であるか不明であり,精密赤外線放射計の位置として「黒体放射体に挿入時には,精密赤外線放射計は黒体放射体を見上げる位置となり,空洞現象すなわち自己放射の影響の強化によって,有効放射率は,1.0に近づく」と記載されている点。

(1)相違点についての検討
上記刊行物2には,上記摘記事項(2-ア)に「全天日射計のNET-IR応答を計算するための黒体を用いた校正」において「全天日射計は,直立位置で可視光のない黒体空洞球内部にそのドームがあるように黒体システムのアルミ板上に置かれました」と記載されており,ここで,「全天日射計」は赤外線放射計に相当するものであるから,黒体を用いた赤外線放射計の校正において,赤外線放射計をアルミ板上に置いて保持する構成が記載されている。
そうすると,引用発明の内在する赤外線放射計保持手段の具体化において,引用発明と同じ黒体を用いた赤外線放射計の校正に関する,上記刊行物2に記載されたアルミ板を採用することは,当業者が容易に想到するものといえる。
そして,引用発明は,半球状空洞の黒体放射体に精密赤外線放射計を挿入時に,有効放射率は,1.0に近づくものであるから,有効反射率が最大となる,半球状空洞の開口の中心部分に精密赤外線放射計を保持することは明らかであるから,赤外線放射計保持手段としてアルミ板を採用し,半球状空洞の開口の中心部分に赤外線放射計を載置すると,アルミ板は,半球状空洞の外側となることは自明である。
してみると,引用発明の内在する赤外線放射計保持手段として,上記刊行物2に記載されたアルミ板を採用して相違点に記載の補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到するものといえる。

(2)そして,補正発明の作用効果は,当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

なお,請求人は,審判請求書において,上記引用刊行物1(以下の審判請求書においては,「引用文献2」)について,以下の2点を主張している。
(ア)「すなわち,上記の記載の趣旨は,Parson's black塗料でコーティングされた黒体面の表面放射率は0.98であり,その黒体面を半球形キャビティの内表面に適用した場合,実行放射率が1.0に近い黒体炉とすることができると述べているものです。
従って,引用文献2における「実行放射率が1.0に近づく」との記載は,平面型の黒体炉(黒体面)に対する空洞型(半球形)の黒体炉の優位性を述べたものであって,黒体炉に対するPIRの位置を示すものではありません。」

(イ)「受光面の位置と,黒体炉の実効放射率との関連性について
添付の参考資料1(久野治義著,社団法人電子情報通信学会編,“赤外線工学”,1994年,18p)では,黒体炉における実効放射率ε’は以下の式で表せるとしています。
ε’=ε/[ε(1-s/S)+s/S]
ε:放射率,ε’:実効放射率,s:孔開口面積,S:全内表面積
上記の式から,「黒体炉における実効放射率ε’」は,「放射率を測定するセンサの位置」に関係なく決定されると考えられます。
従って,「“実効放射率を1.0に近付ける”という効果が実際に得られるような受光面の位置が前記球の中心であることは,幾何光学的な観点から上述のように検討したとおりである。」との審査官殿の主張には,根拠がありません。」

しかしながら,上記(ア)の主張は,刊行物1(引用文献2)に記載されていない「平面型の黒体炉」と対比させた主張であり,刊行物1に記載された「When the PIR is inserted in the hemispherical cavity」(当審仮訳:精密赤外線放射計が半球状空洞内に挿入されたとき),すなわち,精密赤外線放射計を半球状の空洞に位置させるということを考慮していない主張である。
また,上記「(イ)受光面の位置と,黒体炉の実効放射率との関連性について 」の主張は,「囲まれた面に黒体の条件を乱さないような小さな孔をあけ」た黒体放射体についての主張であり,半球状の黒体放射体である引用発明に対する主張ではない。
したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。

(3)したがって,補正発明は,引用発明,および刊行物2に記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年法改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?3に係る発明は,平成25年3月5日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されたものであって,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりであると認める。
「 【請求項1】
赤外線センサの受光面に黒体面から赤外線を放射することによって,前記赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する赤外線センサ測定装置において,
一部が開口し,内面が半球形または半円筒形に湾曲した黒体面により形成される内部空間を有する黒体炉と,
前記赤外線センサを保持するセンサ載置部と,を備え,
前記センサ載置部は,前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ,かつ,前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が対向するように前記赤外線センサを保持するとともに,前記内部空間より外側に位置する,
ことを特徴とする赤外線センサ測定装置。」

2 引用刊行物およびその記載事項
本願出願前に頒布された刊行物1,2およびその記載事項は,上記「第2 2」に記載したとおりである。

3 当審の判断
補正発明は,上記「第2 1」で記載したように,本願発明を特定するために必要な事項である「前記センサ載置部は,前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ,かつ,前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が対向するように前記赤外線センサを保持する」を「前記センサ載置部は,前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ,かつ,前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が直接的に対向するように前記赤外線センサを保持する」と,「センサ載置部」が「赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が対向するように前記赤外線センサを保持する」状態を,「赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が直接的に対向するように前記赤外線センサを保持する」と限定するものである。

そうすると,本願発明の構成要件を全て含む補正発明が,上記「第2 3」において検討したとおり,引用発明,および刊行物2に記載の技術事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明,および刊行物2に記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。

第4 まとめ
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その他の請求項について言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-06 
結審通知日 2015-07-07 
審決日 2015-07-21 
出願番号 特願2011-133717(P2011-133717)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01J)
P 1 8・ 575- Z (G01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼場 正光  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 松本 隆彦
信田 昌男
発明の名称 赤外線センサ測定装置  
代理人 毛受 隆典  
代理人 木村 満  

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