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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録(定型) G06F
管理番号 1306946
審判番号 不服2015-1337  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-23 
確定日 2015-11-10 
事件の表示 特願2010-226602「推薦アイテム検索サーバ、および推薦アイテム検索プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月19日出願公開、特開2012- 79268、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成22年10月6日の出願であって、平成26年3月26日付けで拒絶理由が通知され、平成26年5月30日付けで手続補正がされ、平成26年10月22日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成27年1月23日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願請求項に係る発明

本願の請求項1に係る発明は、平成26年5月30日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
各ユーザのアイテム購入履歴を示す購入履歴情報に基づいて、購入サイトを訪問した訪問ユーザに対して購入を推薦する推薦アイテムを特定する推薦アイテム検索サーバであって、
前記購入履歴情報を記憶する購入履歴情報記憶手段と、
前記購入履歴情報を参照し、前記訪問ユーザが購入したアイテムあるいは当該訪問ユーザが購入を予定しているアイテムを示す訪問ユーザ関係アイテムの購入履歴を持つ他のユーザである関係ユーザを特定する関係ユーザ特定手段と、
前記購入履歴情報を参照し、前記関係ユーザ特定手段によって特定された関係ユーザが購入したアイテムの集合であるアイテム集合を導出するアイテム集合導出手段と、
前記アイテム集合に属する各アイテムと前記訪問ユーザ関係アイテムとの相関度を、前記購入履歴情報に基づいて導出する相関度導出手段と、
該相関度導出手段によって導出された相関度に応じて、前記訪問ユーザ関係アイテムとの相関度の高い所定数のアイテムを前記推薦アイテムに特定する推薦アイテム特定手段とを含む
ことを特徴とする推薦アイテム検索サーバ。」

(以下、本願の請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

また、本願請求項2-6に係る発明は、平成26年5月30日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項2-6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項2】
前記購入履歴情報は、各アイテムが配列されたアイテム軸と、各ユーザが配列されたユーザ軸とを有する購入履歴マトリクステーブルに格納されており、
該購入履歴マトリクステーブルにおける各マスに購入実績の有無を示す購入実績情報が格納されている
請求項1記載の推薦アイテム検索サーバ。
【請求項3】
前記関係ユーザ特定手段は、前記購入履歴マトリクステーブルのアイテム軸における前記訪問ユーザ関係アイテムに対応する各マスを確認し、前記訪問ユーザ関係アイテムの購入実績が有ることを示す購入実績情報が格納されている各マスに対応するユーザ軸におけるユーザを関係ユーザとして特定する
請求項2記載の推薦アイテム検索サーバ。
【請求項4】
前記アイテム集合導出手段は、前記購入履歴マトリクステーブルのユーザ軸における前記関係ユーザに対応する各マスを確認し、当該関係ユーザが購入したアイテムの集合であるアイテム集合を導出する
請求項2または請求項3記載の推薦アイテム検索サーバ。
【請求項5】
前記推薦アイテム特定手段によって特定された前記推薦アイテムを前記訪問ユーザに対して推薦するアイテム推薦手段を含む
請求項1から請求項4のうちいずれかに記載の推薦アイテム検索サーバ。

【請求項6】
各ユーザのアイテム購入履歴を示す購入履歴情報に基づいて、購入サイトを訪問した訪問ユーザに対して購入を推薦する推薦アイテムを特定させる推薦アイテム検索プログラムであって、
コンピュータに、
前記購入履歴情報を記憶する購入履歴情報記憶手段に記憶された当該購入履歴情報を参照し、前記訪問ユーザが購入したアイテムあるいは当該訪問ユーザが購入を予定しているアイテムを示す訪問ユーザ関係アイテムの購入履歴を持つ他のユーザである関係ユーザを特定する関係ユーザ特定ステップと、
前記購入履歴情報を参照し、前記関係ユーザ特定ステップにて特定した関係ユーザが購入したアイテムの集合であるアイテム集合を導出するアイテム集合導出ステップと、
前記アイテム集合に属する各アイテムと前記訪問ユーザ関係アイテムとの相関度を、前記購入履歴情報に基づいて導出する相関度導出ステップと、
該相関度導出ステップにて導出した相関度に応じて、前記訪問ユーザ関係アイテムとの相関度の高い所定数のアイテムを前記推薦アイテムに特定する推薦アイテム特定ステップとを
実行させるための推薦アイテム検索プログラム。」

第3 原査定の理由の概要

本願請求項1-6に記載の発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用例1:特開2002-024694号公報
引用例2:特開2007-172091号公報
引用例1には、お薦め情報をクライアントに紹介するシステムであって、
アイテムの閲覧/購入履歴をアイテム閲覧/購入データベースに保持し、
利用者A(基点利用者)にお薦め情報を紹介するときには、利用者Aが閲覧した閲覧書籍群G1の各書籍を閲覧している利用者群を抽出して、関連利用者群G2を選択し、利用者Aが閲覧した閲覧書籍群G1のうち関連利用者群G2が共通に見ている関連書籍群G3をお薦めの情報として紹介等するものであり、閲覧/購入履歴を利用して、アイテム推薦サーバにアクセスしてきたクライアント毎にお薦めアイテムを紹介するものであり、
各アイテムの閲覧/購入履歴を閲覧/購入履歴データベースより取得し、関連クライアントリストを生成し、クライアントのブラウザ11に送信し、表示する、システムが記載(【0001】【0006】-【0012】【0026】【0048】-【0056】等)されており、
ここで、引用例1には、各アイテムの閲覧/購入履歴を利用して、関連クライアントリストを生成すること(【0052】等)が記載されるように、各アイテムの閲覧/購入履歴(「購買対象のアイテム」に相当)と、クライアント(「購買した利用者」に相当)との関連を用いた処理を行うものである。
また、引用例2には、利用者に最適な情報を提示するシステムであって、
利用者がどの利用情報を利用したかの利用履歴を収集する利用履歴記憶手段を有し、履歴収集手段が、収集した購買履歴を利用履歴記憶手段に記録するものであり、利用履歴を利用して、各利用者に対する利用情報ごとの推薦値を算出するものであり、相関関数を用いるものであり、
購買履歴として、購買対象のアイテム(商品)、購買した利用者を行、列を用いて示され、交差する場所の○印は購買したことを示すものを有するシステムが記載(【0001】【0008】-【0027】図2等)されており
、引用例1には、相関関数(相関度)を用いること、購買対象のアイテム(商品)と購買した利用者との関係行列を用いることが明記されていないものの、引用例2に記載されるような技術を用いて、本願発明の構成とすることに、特段の技術的な困難性は認められない。

第4 当審の判断

1.引用例の記載事項及び引用発明の認定

引用例1には、以下の記載がある(なお、下線は審判合議体が付したものである)。

(1-1)「【0023】アイテム閲覧サーバ30は、検索サーバ、ネットワークを介して商品や情報の閲覧、購入できるECサーバ等であり、アイテムの閲覧や導入等のアイテム閲覧/購入履歴を保持することができ、クライアントID管理部31を持つ。・・・・
【0026】アイテム推薦サーバ20は、サーバエンジン22、Webページ21、閲覧/購入履歴データベース23、閲覧アイテム群保持部24、関連クライアント群保持部25、関連アイテム群保持部26、制御部27を備えており、前記アイテム閲覧/購入履歴をアイテム閲覧サーバ30から定期的に取得、保持し、保持した閲覧/購入履歴を利用して、アイテム推薦サーバ20にアクセスしてきたクライアント毎にお薦めアイテムを紹介する。」

(1-2)「【0031】閲覧/購入履歴データベース23は、アイテム閲覧サーバ30から定期的に取得する閲覧/購入履歴を保持し、クライアントIDをキーとしてクライアントIDで識別されるクライアントが閲覧/購入したアイテムのリストを、またはアイテムIDをキーとしてアイテムIDで識別されるアイテムを閲覧/購入したクライアントのリストに返す。」

(1-3)「3. お薦めアイテムの紹介(アイテム推薦サーバ20へのアクセスと同時に紹介する場合)(図5)。
【0047】1)クライアント10がブラウザ11を利用して、インターネット等のネットワークを介してアイテム推薦サーバ20をアクセスする(ステップ301)・・・
【0048】2)クライアント10は、アイテム推薦サーバ20との接続を確認すると、“アイテム推薦要求”とともに、クライアントID記憶部12に保持しているクライアントIDを送る(ステップ302)。」

(1-4)「【0049】3)前記“アイテム推薦要求”とクライアントIDを受けたアイテム推薦サーバ20は、閲覧/購入データベース23より、前記クライアントIDをキーとして、前記クライアントがアイテムを閲覧/購入したアイテム閲覧/購入履歴を取得し、閲覧アイテムリストを生成し、閲覧アイテム群保持部24に書き込む(ステップ303)。」

(1-5)「【0052】5)関連クライアントリストの抽出
閲覧アイテム群保持部24に保持されている前記閲覧アイテムリストの各アイテムのアイテムIDをキーとして、前記各アイテムの閲覧/購入履歴を閲覧/購入履歴データベース23より取得し、関連クライアントリストを生成し、関連クライアント群保持部25に書き込む(ステップ305)。」

(1-6)「【0054】7)関連アイテムリストの抽出
関連クライアント群保持部25に保持されている閲覧クライアントリストの各クライアントのクライアントIDをキーとして、各クライアント10が閲覧/購入している閲覧/購入履歴を閲覧/購入履歴データベース23より取得し、関連アイテムリストを関連アイテム群保持部24に書き込む(ステップ307)。」

(1-7)「【0056】9)アイテムの紹介(推薦)
関連アイテム群保持部26に保持した前記関連アイテムリストをクライアント10のブラウザ11に送信し、表示する。
【0057】以上のステップ303から309の処理は制御部27により行われる。」

(1-8)さらに、図5の符号309が付された枠内には
「アイテム推薦サーバからクライアントへの推薦アイテムの紹介」
という記載がある。

そして、
(1-1)?(1-8)より、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「商品や情報の購入ができるアイテム閲覧サーバ30から取得される閲覧/購入履歴を利用して、アイテム閲覧サーバ30での閲覧/購入履歴を有するクライアント毎にお薦めアイテムを紹介する推薦アイテムサーバ20であって、
アイテム閲覧サーバ30から取得される閲覧/購入履歴を保持する閲覧/購入履歴データベース23と、
前記閲覧/購入履歴より、クライアントIDをキーとして前記クライアントがアイテムを閲覧/購入したアイテム閲覧/購入履歴を取得して閲覧アイテムリストを生成し、前記閲覧アイテムリストの各アイテムのアイテムIDをキーとして、各アイテムの閲覧/購入履歴を閲覧/購入履歴データベース23より取得し、関連クライアントリストを生成する制御部27と、
前記関連クライアントリストの各クライアントのクライアントIDをキーとして、各クライアントが閲覧/購入している閲覧/購入履歴を閲覧/購入履歴データベース23より取得し、関連アイテムリストを抽出する制御部27と、前記関連アイテムリストを推薦アイテムとする制御部27、
を含むことを特徴とする、
推薦アイテムサーバ20」

また、引用例2には以下の記載がある(なお、下線は審判合議体が付したものである)。

(2-1)「【0012】
(2.利用履歴収集処理)
次に、図1に示したシステムの処理動作について説明する。本システムにおいては、事前に利用履歴を収集しておく必要がある。利用履歴の収集は、まず、利用者端末100から処理サーバ300にアクセスがあると、処理サーバ300はアクセスしてきた利用者の認識を行う。・・・
【0013】
利用者の認識後、処理サーバ300が情報を利用者に提示し、それに対して利用者から所定の利用行為が行われた場合には、履歴収集手段330が、利用者が利用した行為を、利用者の利用履歴として収集する。利用行為としては、例えば、アイテムの購買、コンテンツの閲覧等があり、その場合、利用履歴は、アイテムの購買履歴、コンテンツの閲覧履歴となる。ここでは、利用行為としてアイテムの購買を行う場合を例にとって以下説明していくことにする。そして、履歴収集手段330が、収集した購買履歴を利用履歴記憶手段340に記録する。このようにして、多数の利用者が利用行為を行う度に利用履歴が利用履歴記憶手段340に蓄積されていく。ここで、利用履歴記憶手段340に記憶された購買履歴の一例を図2に示す。図2において、“item1”?“item4”は購買対象のアイテム(商品)を示し、“user1”?“user3”は購買した利用者を示している。また、○印は購買したことを示しており、例えば“user1”は“item1” “item2”“item4”を購買したことを示している。」

(2-2)「【0014】
(3.情報推薦処理)
次に、情報推薦処理について説明する。まず、利用者端末100から処理サーバ300にアクセスがあると、処理サーバ300はアクセス元の利用者端末100に対してユーザIDの入力を求める。そして、処理サーバ300がユーザIDを受け取ると、推薦値算出手段350が、そのユーザIDで特定される利用者に対する各アイテムの推薦値を算出する。なお、ここでも、ユーザIDの入力に代えて、ブラウザのクッキー情報等を利用して利用者を特定しても良い。
【0015】
推薦値算出手段350における推薦値算出処理については、図3のフローチャートに従って説明する。推薦値算出手段350は、まず、利用者間における有方向の値であるcover値を算出する(S1)。具体的には、以下の“数1”に従った処理を実行することにより行う。
【0016】
【数1】

【0017】
上記“数1”において、Ca,bは、利用者ubの購買したアイテムのうち利用者uaが購買したアイテムの総数であり、Naは、利用者uaの購買アイテムの総数である。また、coverua→ubは、利用者uaの利用者ubに対するcover値である。
【0018】
例えば、図3の場合におけるuser1のuser2に対するcover値を求めてみると、Cuser1,user2=2/3≒0.66となり、Nuser1=3となるため、coveruser1→user2=Cuser1,user2/Nuser1≒0.22となる。
【0019】
続いて、推薦値算出手段350は、算出したcover値を用いて相関係数を算出する(S2)。具体的には、以下の“数2”に従った処理を実行することにより行う。
【0020】
【数2】


【0021】
上記“数2”において、“correlationua,ub”は、利用者uaと利用者ubの相関係数であり、“*”は乗算を示している。すなわち、利用者uaと利用者ubの相関係数は、利用者uaの利用者ubに対するcover値と利用者ubの利用者uaに対するcover値の積として算出される。S1、S2においては、推薦値算出手段350は、アクセスしてきた利用者についての、他の全ての利用者との相関係数を算出する。」

(2-3)「【0022】
次に、推薦値算出手段350は、算出した相関係数を用いて各アイテムの推薦値Sを算出する(S3)。具体的には、以下の“数3”に従った処理を実行することにより行う。
【0023】
【数3】

【0024】
上記“数3”において、“Si,ua”は、アイテムiに対する利用者uaの推薦値であり、“U”はアイテムiを既に購買した利用者の集合である。
【0025】
以上のように、推薦値算出手段350は、“数1”?“数3”に従った処理を実行することにより、アクセスしてきた利用者の、各アイテムに対する推薦値を算出する。したがって、図3に示した購買履歴が記録されている状態で、user1がアクセスしてきた場合は、“Sitem1,user1”、“Sitem2,user1”、“Sitem3,user1”、“Sitem4,user1”が推薦値として算出される。
【0026】
アクセスしてきた利用者に対する各アイテムの推薦値が算出されたら、コンテンツ提示手段360が、推薦値が算出されたアイテムに対応するコンテンツをコンテンツ記憶手段310から抽出し、推薦値が大きい順にコンテンツを配置した一覧画面データを作成する。・・・
【0028】
上記のように、利用履歴情報のみを用いて推薦値を算出するようにしたので、評価の書込みによるレーティング情報を用いることなく、推薦すべき情報を利用者に提示することが可能となる。」

以上の(2-1)から(2-3)の記載を総合すると、引用例2には

「アクセスしてきた利用者uaが購買したアイテムの総数と、利用者ubが購買したアイテムの総数と、利用者ubが購買したアイテムのうち利用者uaが購買したアイテムの総数と、利用者uaが購買したアイテムのうち利用者ubが購買したアイテムの総数と、を元に、利用者uaの利用者ubに対するcover値およびubのuaに対するcover値を求め、
これらのcover値を元にuaとubとの相関係数を求め、uaと他の全ての利用者との相関係数を算出し、
uaとアイテムiを既に購買した利用者との相関係数を基にアイテムiに対するuaの推薦値を求める」

こと(以下、引用例2記載事項という)が示されているものと認める。

2.対比

ここで、本願発明と引用発明とを対比する、

(1)引用発明の「閲覧/購入履歴」は、本願発明の「各ユーザのアイテム購入履歴を示す購入履歴情報」に相当する。

(2)引用発明の「アイテム閲覧サーバ30での閲覧/購入履歴を有するクライアント毎にお薦めアイテムを紹介する推薦アイテムサーバ20」は、本願発明の「購入サイトを訪問した訪問ユーザに対して購入を推薦する推薦アイテムを特定する推薦アイテム検索サーバ」に相当する。

(3)引用発明の「アイテム閲覧サーバ30から取得される閲覧/購入履歴を保持する閲覧/購入履歴データベース23」は、
本願発明の「購入履歴情報を記憶する購入履歴情報記憶手段」に相当する。

(4)引用発明の「前記閲覧/購入履歴より、クライアントIDをキーとして前記クライアントがアイテムを閲覧/購入したアイテム閲覧/購入履歴を取得して閲覧アイテムリストを生成し、前記閲覧アイテムリストの各アイテムのアイテムIDをキーとして、各アイテムの閲覧/購入履歴を閲覧/購入履歴データベース23より取得し、関連クライアントリストを生成する制御部27」は、
本願発明の「前記購入履歴情報を参照し、前記訪問ユーザが購入したアイテムあるいは当該訪問ユーザが購入を予定しているアイテムを示す訪問ユーザ関係アイテムの購入履歴を持つ他のユーザである関係ユーザを特定する関係ユーザ特定手段」に相当する。

(5)引用発明の「前記関連クライアントリストの各クライアントのクライアントIDをキーとして、各クライアントが閲覧/購入している閲覧/購入履歴を閲覧/購入履歴データベース23より取得し、関連アイテムリストを抽出する制御部27」は、
本願発明の「前記購入履歴情報を参照し、前記関係ユーザ特定手段によって特定された関係ユーザが購入したアイテムの集合であるアイテム集合を導出するアイテム集合導出手段」
に相当する。

(6)引用発明の「前記関連アイテムリストを推薦アイテムとする制御部27」は、関連アイテムリストを利用して得られるアイテムを推薦アイテムに特定するという点で、
本願発明の「該相関度導出手段によって導出された相関度に応じて、前記訪問ユーザ関係アイテムとの相関度の高い所定数のアイテムを前記推薦アイテムに特定する推薦アイテム特定手段」に対応する。

してみると、両者は以下の点で一致している。

(一致点)
「各ユーザのアイテム購入履歴を示す購入履歴情報に基づいて、購入サイトを訪問した訪問ユーザに対して購入を推薦する推薦アイテムを特定する推薦アイテム検索サーバであって、
前記購入履歴情報を記憶する購入履歴情報記憶手段と、
前記購入履歴情報を参照し、前記訪問ユーザが購入したアイテムあるいは当該訪問ユーザが購入を予定しているアイテムを示す訪問ユーザ関係アイテムの購入履歴を持つ他のユーザである関係ユーザを特定する関係ユーザ特定手段と、
前記購入履歴情報を参照し、前記関係ユーザ特定手段によって特定された関係ユーザが購入したアイテムの集合であるアイテム集合を導出するアイテム集合導出手段と、
アイテム集合を利用して得られるアイテムを推薦アイテムに特定する推薦アイテム特定手段とを含む
ことを特徴とする推薦アイテム検索サーバ。」

一方、本願発明と引用発明は、以下の点で相違する。

(相違点)
本願発明は、
「前記アイテム集合に属する各アイテムと訪問ユーザ関係アイテムとの相関度を、前記購入履歴情報に基づいて導出する相関度導出手段」および
「該相関度導出手段によって導出された相関度に応じて、前記訪問ユーザ関係アイテムとの相関度の高い所定数のアイテムを前記推薦アイテムに特定する推薦アイテム特定手段」
を有するのに対して、
引用発明では
「アイテム集合に属する各アイテムと訪問ユーザ関係アイテムとの相関度を導出する」ことに関する事項を備えるものではなく、
また、「推薦アイテム特定手段」は
「相関度導出手段によって導出された相関度に応じて、前記訪問ユーザ関係アイテムとの相関度の高い所定数のアイテムを推薦アイテムに特定する」のではない点。

3.判断

上記相違点について検討するに、引用例2記載事項からは、
「アクセスしてきた利用者についての利用者間の相関係数を計算して、これを元にアイテムに対する推薦値を求める」
ことが導き出せるにすぎず、
「アイテム集合に属する各アイテムと訪問ユーザ関係アイテムとの相関度を導出する」
ことを導き出すことはできず、
「導出された相関度に応じて、訪問ユーザ関係アイテムとの相関度の高い所定数のアイテムを推薦アイテムに特定する」
ことも導き出すことはできない。

してみると、本願発明は、引用発明及び引用例2記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第5 本願請求項1に係る発明についてのまとめ

以上の通りであるから、本願請求項1に係る発明は、引用発明及び引用例2記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、原査定の理由によっては、本願発明を拒絶することはできない
また、他に本願請求項1に係る発明を拒絶すべき理由を発見しない。

第6 本願請求項2-6に係る発明

本願請求項2-5に係る発明は、本願請求項1に係る発明を上記第2のように、請求項2-5に記載される事項で限定したものであり、本願請求項1に係る発明と同様に拒絶するべき理由を発見しない。
また、本願請求項6に係る発明は、上記第2のように、本願請求項1に係る発明をプログラムという物の発明のカテゴリの発明として特定したものであり、本願請求項1に係る発明と同様に拒絶すべき理由を発見しない。

第7 むすび

以上のとおり、本願請求項1-6に係る発明は、本願出願前に公開された刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができた
ものとすることができないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2015-10-23 
出願番号 特願2010-226602(P2010-226602)
審決分類 P 1 8・ 121- WYF (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 川崎 優
石川 正二
発明の名称 推薦アイテム検索サーバ、および推薦アイテム検索プログラム  
代理人 海田 浩明  
代理人 須藤 浩  

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