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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1307205
審判番号 不服2014-26679  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-26 
確定日 2015-10-29 
事件の表示 特願2010-152879「集合住宅用インターホンシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年1月19日出願公開,特開2012-15944〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成22年7月5日の出願であって,平成26年1月29日付けで拒絶理由が通知され,同年4月7日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,同年9月24日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年12月26日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 補正却下の決定
[結論]
平成26年12月26日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下,「本件補正」という。)は,本件補正前の平成26年4月7日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された

「ライフラインメータに接続された住戸インターホン親機と,ロビーインターホンと,それらの通信を制御する制御装置とを有し,前記住戸インターホン親機は,インターホン回線によって,前記制御装置に接続された集合住宅用インターホンシステムにおいて,
前記制御装置は,広域ネットワークに接続するゲートウェイ装置を備え,
前記住戸インターホン親機は,前記ゲートウェイ装置および前記インターホン回線を通じて,前記広域ネットワーク側に前記ライフラインメータの検針情報を自発的に送信するとともに,記憶部に記憶し,所定の操作を受け付けると,前記記憶部に記憶している検針情報から算出したライフラインの使用量を表示する集合住宅用インターホンシステム。」

という発明(以下,「本願発明」という。)を,平成26年12月26日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された

「ライフラインメータに接続された住戸インターホン親機と,ロビーインターホンと,それらの通信を制御する制御装置とを有し,前記住戸インターホン親機は,インターホン回線によって,前記制御装置に接続された集合住宅用インターホンシステムにおいて,
前記制御装置は,広域ネットワークに接続するゲートウェイ装置を備え,
前記住戸インターホン親機は,前記ライフラインを有線接続させるアダプタと一体に構成されており,前記ゲートウェイ装置および前記インターホン回線を通じて,前記広域ネットワーク側に前記ライフラインメータの検針情報を自発的に送信するとともに,記憶部に記憶し,所定の操作を受け付けると,前記記憶部に記憶している検針情報から算出したライフラインの使用量を表示する集合住宅用インターホンシステム。」(下線部は補正箇所を示す。)

という発明(以下,「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2 補正の適否
(1)新規事項の有無,シフト補正要件及び補正の目的要件について
本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において,本願発明の「住戸インターホン親機」について「前記ライフラインを有線接続させるアダプタと一体に構成されており」と限定するものである。
したがって,上記補正は,特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に適合することは明らかであり,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件について
上記補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて,以下検討する。

ア 補正後の発明
上記「1 本願発明と補正後の発明」の項で,「補正後の発明」として認定したとおりである。再掲すると,

「ライフラインメータに接続された住戸インターホン親機と,ロビーインターホンと,それらの通信を制御する制御装置とを有し,前記住戸インターホン親機は,インターホン回線によって,前記制御装置に接続された集合住宅用インターホンシステムにおいて,
前記制御装置は,広域ネットワークに接続するゲートウェイ装置を備え,
前記住戸インターホン親機は,前記ライフラインを有線接続させるアダプタと一体に構成されており,前記ゲートウェイ装置および前記インターホン回線を通じて,前記広域ネットワーク側に前記ライフラインメータの検針情報を自発的に送信するとともに,記憶部に記憶し,所定の操作を受け付けると,前記記憶部に記憶している検針情報から算出したライフラインの使用量を表示する集合住宅用インターホンシステム。」

ここで,「前記ライフライン」は,「前記ライフラインメータ」の誤記と認める。

イ 引用例と引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された,本願出願前に公開された刊行物である特開2002-142030号公報(以下「引用例」という。)には,発明の名称を「インターホンシステム」として図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,インターホンシステムに係わり,特に,住戸の住戸玄関子機に,ガス計量センサ,水道計量センサ,電気計量センサからの計量カウント数を送信し得るRFメータ装置を備えるインターホンシステムに関する。」

(イ)「【0014】図1は,本発明におけるインターホンシステムのシステム構成図,図2は,本発明におけるインターホンシステムのブロック図,図3は,本発明のインターホンシステムにおけるモニタ付き親機のモニタの画面図を示している。
【0015】図1において,本発明のインターホンシステムは,集合住宅1,管理会社2,電気会社3,ガス会社4および水道局5を備えており,集合住宅1は,第1の電話回線TL1を介して中継点Pに接続され,この中継点Pは,第2の電話回線TL2を介して管理会社2に,第3の電話回線TL3を介して電気会社3に,第4の電話回線TL4を介してガス会社4に,第5の電話回線TL5を介して水道局5にそれぞれ接続され,これらの電気会社3,ガス会社4および水道局5は,それぞれ,第6,第7,第8の電話回線TL6?TL8を介して管理会社2に接続されている。
【0016】集合住宅1は,制御機11,管理サーバ12および複数の住戸13a,13b,…13nを備えており,管理サーバ12は,第1の伝送路L1を介して制御機11に接続され,この制御機11は,第1の電話回線TL1および第2の伝送路L2に接続されている。
【0017】一方,複数の住戸13a,13b,…13nは,それぞれ,住戸玄関子機14,アンテナ18(以下,「送受信機用アンテナ18」という。)を有する住戸RF送受信機15,モニタ166を有する親機16(以下,「モニタ付き親機16」という。)およびアンテナ19(以下,「メータ装置用アンテナ19」という。)を有し,電気・ガス・水道の使用量を計量するRFメータ装置17を備えており,各住戸玄関子機14は,それぞれ,第2の伝送路L2に接続されている。また,各モニタ付き親機16は,それぞれ,第3の伝送路L3を介して住戸玄関子機14に,第4の伝送路L4を介して住戸RF送受信機15に接続されている。
【0018】次に,ブロック図に基づいて,本発明のインターホンシステムの詳細について説明する。図2において,本発明のインターホンシステムにおける各制御機11は,それぞれ,電話回線接続回路111(以下,「制御機電話回線接続回路111」という。)と,データ処理回路112と,データ伝送接続回路113(以下,「制御機データ伝送接続回路113」という。)とを備えており,制御機電話回線接続回路111は,第1の電話回線TL1およびデータ処理回路112に接続され,このデータ処理回路112は,第1の伝送路L1を介して管理サーバ12に,制御機データ伝送接続回路113を介して第2の伝送路L2にそれぞれ接続されている。
【0019】一方,管理会社2は,電話回線接続回路21(以下,「公共電話回線接続回路21」という。)と顧客・公共料金情報サーバ22を,電気会社3は,電話回線接続回路31(以下,「電気電話回線接続回路31」という。)と顧客・電気料金情報サーバ32を,ガス会社4は,電話回線接続回路41(以下,「ガス電話回線接続回路41」という。)と顧客・ガス料金情報サーバ42を,水道局5は,電話回線接続回路51(以下,「水道電話回線接続回路51」という。)と顧客・水道料金情報サーバ52をそれぞれ備えている。ここで,顧客・公共料金情報サーバ22は,公共電話回線接続回路21に接続され,この公共電話回線接続回路21は,第2の電話回線TL2および第1の電話回線TL1を介して制御機電話回線接続回路111に接続されている。また,顧客・電気料金情報サーバ32は,電気電話回線接続回路31に接続され,この電気電話回線接続回路31は,第3の電話回線TL3および第1の電話回線TL1を介して制御機電話回線接続回路111に,第6の電話回線TL6を介して公共電話回線接続回路21接続されている。更に,顧客・ガス料金情報サーバ42は,ガス電話回線接続回路41に接続され,このガス電話回線接続回路41は,第4の電話回線TL4および第1の電話回線TL1を介して制御機電話回線接続回路111に,第7の電話回線TL7を介して公共電話回線接続回路21接続されている。同様に,顧客・水道料金情報サーバ52は,水道電話回線接続回路51に接続され,この水道電話回線接続回路51は,第5の電話回線TL5および第1の電話回線TL1を介して制御機電話回線接続回路111に,第8の電話回線TL8を介して公共電話回線接続回路21接続されている。
【0020】各RFメータ装置17は,それぞれ,ガス計量センサ171,水道計量センサ172,電気計量センサ173,計量カウンタ174,CPU175(以下,「メータ装置CPU175」という。)およびRF回路176(以下,「メータ装置RF回路176」という。)を備えており,ガス計量センサ171,水道計量センサ172および電気計量センサ173は,計量カウンタ174を介してメータ装置CPU175に接続され,このメータ装置CPU175は,メータ装置RF回路176を介してメータ装置用アンテナ19に接続されている。
【0021】各住戸玄関子機14は,それぞれ,ターミナルコネクタ141を備えており,各ターミナルコネクタ141は,第2の伝送路L2および後述する第2の親機データ伝送接続回路161bに接続されている。なお,制御機11に隣接するターミナルコネクタ141は,第2の伝送路L2を介して制御機データ伝送接続回路113にも接続されている。
【0022】各住戸RF送受信機15は,それぞれ,RF回路151(以下,「送受信機RF回路151」という。)およびデータ伝送接続回路152(以下,「送受信機データ伝送接続回路152」という。)を備えており,この送受信機データ伝送接続回路152は,送受信機RF回路151を介して送受信機用アンテナ18に接続されている。
【0023】各モニタ付き親機16は,それぞれ,第1のデータ伝送接続回路161a(以下,「第1の親機データ伝送接続回路161a」という。),第2のデータ伝送接続回路161b(以下,「第2の親機データ伝送接続回路161b」という。),CPU162(以下,「親機CPU162」という。),パネル操作部163,外部出力ポート164,モニタドライバー165,モニタ166,画面表示用メモリ168および第1?第4のメモリ167a?167dを備えている。ここで,各親機CPU162は,それぞれ,第1の親機データ伝送接続回路161a,第2の親機データ伝送接続回路161b,パネル操作部163,外部出力ポート164,モニタドライバー165,画面表示用メモリ168および第1?第4のメモリ167a?167dに接続され,モニタドライバー165にはモニタ166が接続されている。なお,第1のメモリ167aは,後述するように,住戸RF送受信機15から送信されてきた,積算された計量カウント数を記憶し,第2のメモリ167bは,1カウント当たりの料金を記憶し,第3のメモリ167cは,所定期間内で積算された計量カウント数から計算された公共料金の請求金額を記憶し,第4のメモリ167dは,前回の請求金額を金融機関より徴収したことを記憶する機能を有しており,また,画面表示メモリ168は,第4のメモリ167dと,モニタ166で請求金額を表示するためのメニュ画面のデータを記憶する機能を有している。」

(ウ)「【0025】最初に,各住戸13a,13b,…13n内の居住者が,各種公共料金のうち,例えば,電気の使用量や電気料金の請求金額等をリアルタイムで確認する場合について説明する。
【0026】図2および図3において,先ず,各住戸13a,13b,…13n内の居住者が,モニタ166に表示された画面301(図3参照)に従って,モニタ付き親機16のパネル操作部163の電気料金を表示する画面302をタッチ操作すると,親機CPU162から,電気料金に係るアクセス信号が出力され,このアクセス信号が第1の親機データ伝送接続回路161aおよび第4の伝送路L4を介して送受信機データ伝送接続回路152へ送出される。そうすると,このアクセス信号は,送受信機RF回路151において高周波信号に変換され,送受信機用アンテナ18から空間に放射され,メータ装置用アンテナ19で受信される。メータ装置用アンテナ19で受信された信号は,メータ装置RF回路176においてベースバンド信号に変換され,この変換信号がメータ装置CPU175で検出されると,メータ装置CPU175から電気料金に係るアクセス信号が出力され,この電気料金に係るアクセス信号が計量カウンタ174へ入力される。これにより,ガス計量センサ171,水道計量センサ172および電気計量センサ173のうちから,電気計量センサ173が選択され,この電気計量センサ173から計量カウント数が取り出され,計量カウンタ174に入力される。
【0027】一方,計量カウンタ174において,電気計量センサ173からの計量カウント数がそれぞれ積算され,この積算された計量カウント数がメータ装置CPU175を介してメータ装置RF回路176へ送出され,このメータ装置RF回路176において高周波信号に変換され,メータ装置用アンテナ19から空間に放射され,送受信機用アンテナ18で受信される。送受信機用アンテナ18で受信された信号は,送受信機RF回路151においてベースバンド信号に変換され,この変換信号は,送受信機データ伝送接続回路152および第4の伝送路L4を介して第1の親機データ伝送接続回路161aへ送出される。そして,この変換信号が親機CPU162で検出されると,親機CPU162から積算された計量カウント数が出力され,この積算された計量カウント数が第1のメモリ167aへ送出され,このメモリ167aに積算された計量カウント数が記憶される。また,これと共に,親機CPU162の制御により,メモリ167aから現時点における計量カウント数および過去の計量カウント数が,また,第2のメモリ167bから1カウント当たりの料金データが,更に,画面表示メモリ168から画像データがそれぞれ読み出され,これらのデータが画面305(図3参照)に表示されるような画像データに加工される。そして,このように加工された画像データは,モニタドライバー165へ送出され,モニタ166の画面上に,現在の電気料金309,現時点における使用カウント数310,当月分の使用カウント数および請求金額311および先月分の使用カウント数および使用料金312が表示される。」

(エ)「【0029】次に,電気・ガス・水道の公共機関,例えば,電気会社3が,各住戸13a,13b,…13nのうち,例えば,住戸13aに対して,所定期間内の電気の使用料金を請求する場合について説明する。
【0030】先ず,電気会社3の顧客・電気料金情報サーバ32には,第3の電話回線TL3および第1の電話回線TL1を通じて,住戸13aの第1メモリ167aにアクセスすることにより,当該住戸13aの現時点における電気の積算された計量カウント数に関するデータ(以下,「コマンド1」という。)並びに電気会社3における最新の1カウント当たりの料金に関するデータ(以下,「コマンド2」という。)がそれぞれ格納されている。しかして,顧客・電気料金情報サーバ32から読み出されれる住戸13aを識別するデータ,コマンド1およびコマンド2は,電気電話回線接続回路31,第3の電話回線TL3,第1の電話回線TL1および制御機電話回線接続回路111を介してデータ処理回路112へ送出され,このデータ処理回路112において,顧客・電気料金情報サーバ32からの要求,すなわち,住戸13aの電気料金に関する請求が認識される。そうすると,データ処理回路112から,住戸13aに対して,コマンド1およびコマンド2が制御機データ伝送接続回路113を介して第2の伝送路L2に送出される。
【0031】一方,第2の伝送路L2から送られてくるコマンド1およびコマンド2は,第3の伝送路L3を介して第2の親機データ伝送接続回路161bへ入力され,このコマンド1およびコマンド2が,親機CPU162で検出されると,親機CPU162からコマンド2が出力され,このコマンド2が第2のメモリ167bへ送出され,この第2のメモリ167bにおいてコマンド2,すなわち,最新の1カウント当たりの電気料金に関するデータが記憶される。また,これと共に親機CPU162からコマンド1が出力され,このコマンド1が第1の親機データ伝送接続回路161aおよび第4の伝送路L4を介して送受信機データ伝送接続回路152へ送出される。そして,送受信機データ伝送接続回路152で受信されたコマンド1は,送受信機RF回路151において高周波信号に変換され,送受信機用アンテナ18から空間に放射され,メータ装置用アンテナ19で受信される。メータ装置用アンテナ19で受信された信号は,メータ装置RF回路176においてベースバンド信号に変換され,この変換信号がメータ装置CPU175で検出されると,メータ装置CPU175から電気料金に係るコマンド1が出力され,この電気料金に係るコマンド1が計量カウンタ174へ入力される。これにより,電気計量センサ173が選択され,この電気計量センサ173から計量カウント数が取り出され,計量カウンタ174に入力される。
【0032】一方,計量カウンタ174において,電気計量センサ173からの計量カウント数がそれぞれ積算され,この積算された計量カウント数がメータ装置CPU175を介してメータ装置RF回路176へ送出され,このメータ装置RF回路176において高周波信号に変換され,メータ装置用アンテナ19から空間に放射され,送受信機用アンテナ18で受信される。送受信機用アンテナ18で受信された信号は,送受信機RF回路151においてベースバンド信号に変換され,この変換信号は,送受信機データ伝送接続回路152および第4の伝送路L4を介して第1の親機データ伝送接続回路161aへ送出される。そして,この変換信号が親機CPU162で検出されると,親機CPU162から積算された計量カウント数が出力され,この積算された計量カウント数が第2の親機データ伝送接続回路161bおよび第1のメモリ167aへ送出され,このメモリ167aに積算された計量カウント数が記憶される。また,これと共に,第2の親機データ伝送接続回路161bから,積算された計量カウント数が第3の伝送路L3,第2の伝送路L2および制御機データ伝送接続回路113を介してデータ処理回路112へ送出され,このデータ処理回路112から第1の伝送路L1を介して管理サーバ12へ送出される。これにより,住戸13aにおいて使用した最新の積算された計量カウント数が管理サーバ12に記憶される。また,これと共に,制御機電話回線接続回路111,第1の電話回線TL1および第3の電話回線TL3を介して各住戸13aにおいて使用した最新の積算された計量カウント数が電気電話回線接続回路31へ送信される。そして,電気会社3における顧客・電気料金情報サーバ32において,住戸13aにおいて使用した最新の積算された計量カウント数が記憶される。
【0033】(省略)そして,親機CPU162の制御により,画面表示用メモリ168から,画像データを読み出され,モニタードライバー165を介して,モニタ166の画面305(図3参照)に,今回使用したカウント数および請求金額を示す表示311および引き落とし完了を示す313が表示される。なお,住戸13aに送信されたデータは,外部出力ポート164を介してプリントすることもできる。」

上記引用例の前記(ア)ないし(エ)の記載,図面の記載並びにこの分野における技術常識を考慮すると,引用例には以下の事項が記載されているといえる。

a 前記(イ)の段落【0015】には,「本発明のインターホンシステムは,集合住宅1,管理会社2,電気会社3,ガス会社4および水道局5を備えており」と記載されており,引用例では,「管理会社2,電気会社3,ガス会社4および水道局5」も含めて「インターホンシステム」としているが,前記「管理会社2,電気会社3,ガス会社4および水道局5」を除いた集合住宅1内の構成(同段落【0016】,【0017】及び図1を参照。)である「制御機11」,「管理サーバ12」及びそれぞれの住戸に備えられた「モニタ付き親機16」,「住戸玄関子機14」,「送受信機用アンテナ18を有する住戸RF送受信機15」等を「集合住宅用のインターホンシステム」と捉えることができる。

b 前記(イ)の段落【0017】より,それぞれの住戸には,「メータ装置用アンテナ19を有し電気・ガス・水道の使用量を計量するRFメータ装置17」を備えている。そして,前記(エ)の段落【0030】?【0032】の記載より,前記「モニタ付き親機16」の「親機CPU162」からの「現時点における電気の積算された計量カウント数に関するデータ」という「コマンド1」が,適宜信号変換されて,前記「住戸RF送受信機15」,「送受信機用アンテナ18」及び「メータ装置用アンテナ19」を介して前記「RFメータ装置17」に送出されると,該「RFメータ装置17」において,電気計量センサから取り出された計量カウント数が積算され,この積算された計量カウント数が,適宜信号変換されて,前記「メータ装置用アンテナ19」,「送受信機用アンテナ18」及び「住戸RF送受信機15」を介して前記「モニタ付き親機16」に送出されるから,前記「モニタ付き親機16」は,前記「RFメータ装置17」に接続されたものといえる。

c 前記(イ)の段落【0016】より,「制御機11」は,第2の伝送路L2及び第3の伝送路L3を介して,それぞれの住戸の「モニタ付き親機16」と接続されている。そして,前記「制御機11」は,当然,それぞれの住戸のモニタ付き親機16と個別に通信するものであるから,「通信を制御する制御機11」ということができる。

d 前記cに加え,「制御機11」は,「電話回線接続回路111」を備え(前記(イ)の段落【0018】),前記「電話回線接続回路111」は,「第1の電話回線TL1」を介して「中継点P」に接続され,この「中継点P」は「第2の電話回線TL2を介して管理会社2に,第3の電話回線TL3を介して電気会社3に,第4の電話回線TL4を介してガス会社4に,第5の電話回線TL5を介して水道局5にそれぞれ接続され」(前記(イ)の段落【0015】)ており,前記「制御機11」は,「電話回線を利用したネットワーク」に接続されているということができる。

e 前記(エ)の段落【0032】より,前記「モニタ付き親機16」の「親機CPU162」で,「積算された計量カウント数」(前記b参照。)が検出されると,該「積算された計量カウント数」は,「第1のメモリ167a」に記憶されるとともに,第3の伝送路L3,第2の伝送路L2を介して前記「制御機11」に送出され,前記「制御機11」内の前記「電話回線接続回路111」,「第1の電話回線TL1」および「第3の電話回線TL3」を介して「電気会社3」に送信される。そして,前記dも考慮すると,前記「積算された計量カウント数」は,「電話回線を利用したネットワーク側」に送信されるといえる。

f 前記(エ)の段落【0033】より,親機CPU162の制御により,今回使用したカウント数が表示される。
ここで,前記(ウ)の段落【0027】の「親機CPU162の制御により,メモリ167aから現時点における計量カウント数および過去の計量カウント数が,また,第2のメモリ167bから1カウント当たりの料金データが,更に,画面表示メモリ168から画像データがそれぞれ読み出され,これらのデータが画面305(図3参照)に表示されるような画像データに加工される。そして,このように加工された画像データは,モニタドライバー165へ送出され,モニタ166の画面上に,現在の電気料金309,現時点における使用カウント数310,当月分の使用カウント数および請求金額311および先月分の使用カウント数および使用料金312が表示される。」の記載からみて,メモリ167aには,現時点における計量カウント数および過去の計量カウント数が記憶され,かつ,これらの計量カウント数を読み出して,現時点における使用カウント数,先月分の使用カウント数および先月分の使用カウント数が表示されるものである。
そうすると,前記(エ)の「今回使用したカウント数」を表示するために,第1のメモリ167aから,今回の計量カウント数と前回の計量カウント数を読み出して,今回使用したカウント数を算出しているものと理解することができる。

上記aないしfを総合すると,引用例には,以下に掲げる発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

「電気・ガス・水道の使用量を計量するRFメータ装置17に接続されたモニタ付き親機16と,通信を制御する制御機11とを有し,前記モニタ付き親機16は,第3の伝送路L3及び第2の伝送路L2を介して前記制御機11に接続された集合住宅用のインターホンシステムにおいて,
前記制御機11は,電話回線を利用したネットワークに接続する電話回線接続回路111を備え,
前記モニタ付き親機16は,住戸RF送受信機15,送受信機用アンテナ18及びメータ装置用アンテナ19を介して前記RFメータ装置17と接続され,電話回線接続回路111及び前記第3の伝送路L3,第2の伝送路L2を通じて,電話回線を利用したネットワーク側に,前記RFメータ装置17で電気計量センサ173からの計量カウント数が積算され,この積算された計量カウント数を送信するとともにメモリ167aに記憶し,前記メモリ167aに記憶している計量カウント数から算出した今回使用したカウント数を表示する集合住宅用のインターホンシステム。」

ウ 周知技術
(ア)周知技術1及び2
原査定の拒絶理由に周知文献として引用された特開平2009-30230号公報(以下,「周知例1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
a「【0013】図1は,本発明の一実施形態である集合住宅管理システムの概略構成の一例を示している。この集合住宅管理システムは,各住戸の玄関先に設置されたドアホン子器3が接続されたインターホン親機2と,管理室等に設置された警報監視盤5と,共同玄関等に設置されたロビーインターホン6とを備えて構成されている。」

b「【0015】また,警報監視盤5は,ルータやゲートウェイ等の外部ネットワーク接続部Gを介してインターネット等の外部ネットワークNに接続しており,付与されているIPアドレスに基づいて後述する管理サーバSと接続している。」

c「【0025】このロビーインターホン6は,来客者や集合住宅の住人は,操作部65を操作すると,住戸番号に対応したインターホン親機2を選択したことになり,ロビーインターホン6と伝送線Lで接続された警報監視盤5へ選択された住戸番号が送信され,警報監視盤5から住戸番号に対応する住戸のインターホン親機2に対して,呼出元のロビーインターホン6に割り当てられている固有アドレスが付加された制御信号(呼出コマンド)が送信される構成としている。」

したがって,周知例1には,以下の周知技術が記載されている。なお,前記「警報監視盤5」は,インターホンシステムの「制御装置」ということができる。

「集合住宅で用いられ,制御装置を有するインターホンシステムにおいて,ロビーインターホンを設け,各住戸のインターホン親機と該ロビーインターホンとの間で通話を行えるように通信を制御すること。」(以下,「周知技術1」という。),及び,
「集合住宅で用いられ,制御装置を有するインターホンシステムにおいて,制御装置は,ゲートウェイ等の外部ネットワーク接続部を介してインターネット等の外部ネットワークに接続すること。」(以下,「周知技術2」という。)

(イ)周知技術3
新たに追加する周知文献である特開平2001-127894号公報(以下,「周知例2」という。)には,「インターホンシステム」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

a「【0008】すなわち,インターホン親機に,通常のインターホン機能の他に,各部屋の温度/湿度のデータや,各部屋毎の人の在室の有無の情報を表示できるようにする。さらに,電力使用量やガス使用量や水道使用量などの情報をリアルタイムで表示したり,月間の使用量を表示できるようにする。これらの情報は,インターホン親機のインターフェースが各センサや各メータから受信できるようにして,モニタ部に必要な情報を選択的に表示させるようにする。」

b「【0020】(省略)その他の,衝撃センサ228,人センサ233,電力メータ231,ガスメータ216,コールボタン234の各信号も,センサI/F230よりデータI/F238を経て,データ形式でCPU212に入力される。」

c「【0034】先ず,インターホン親機101に接続する各センサ(温度/湿度センサ111や人センサ112や鍵センサ113など)を各室内に設置したり,各メータ(電力メータ114やガスメータ115や水道メータ116など)を設置する(ステップ401)。そして,設置した各センサや各メータの信号線をインターホン親機101のセンサーI/Fに接続する(ステップ402)。」

したがって,周知例2には,以下の周知技術(以下,「周知技術3」という。)が記載されている。

「ライフラインメータを有線接続するための接続手段をインターホン親機と一体に構成すること。」

(ウ)周知技術4
拒絶査定に周知文献として引用された特開平2010-49334号公報(以下,「周知例3」という。)には,「情報収集システム」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

a「【0049】 各社のサーバ60は,それぞれ電力,ガス,水道に関する使用量などの情報を顧客ごとに集計してデータベースで管理している。これにより,各社は,リアルタイムで電力,ガス,水道の使用量を把握することができる。この情報を利用して,需要予測を行うことや,使用量の抑制対策などに役立てることもできる。また,各社は,取得した情報に基づいて料金請求などの処理を行うこともできる。」

b「【0067】{4.通信処理の流れ}
以上のように構成された情報収集システムにおいて,上記構成の通信パケット70を利用した通信処理の流れについてA社の情報収集プロセスを例に説明する。
【0068】まず,家屋10内でテレビ41-1や冷蔵庫41-2などの家電が使用される。これら家電には,A社計測端末32Aを介して電力が供給され,情報取得部323において消費電力量が計測される。
【0069】A社計測端末32A,32Aは,計測した消費電力量の情報をA社マスタ端末31Aに送信する。A社マスタ端末31Aは,A社計測端末32A,32Aから受信した計測情報を基に,家屋10内の消費電力量を集計し,A社サーバ60Aへ報告する情報を生成する。
【0070】生成された情報は外部通知情報部73として通信パケット70に埋め込まれる。このとき,まず,外部通知情報部73は,A社独自の暗号鍵KAで暗号化される。さらに,A社サーバ60Aのアクセス情報が外部アクセス情報部72として通信パケット70に埋め込まれるが,このとき,外部アクセス情報部72と外部通知情報部73がA社の個別鍵CAで暗号化される。そして,A社の識別情報を含むヘッダ71が生成されると,図8に示すように,通信パケット70が外部アクセス装置35に送信される。」

新たに追加する周知文献である特開平2002-77431号公報(以下,「周知例4」という。)には,「通信制御装置」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

c「【0002】【従来の技術】ガスメータや電気メータなど(以下,メータを例に説明する)と監視センタを通信回線で接続することにより,各メータの自動検針が可能となっている。各メータは,マイクロコンピュータを内蔵し,自発的に又は監視センタからの指示に従って自己の指針値を監視センタに通信回線を介して通知する。」

したがって,周知例3及び周知例4には,以下の周知技術(以下,「周知技術4」という。)が記載されている。

「各種ライフラインメータのメータ情報の提供元が自発的に前記メータ情報を提供先に送信すること。」

オ 引用発明と補正後の発明との対比・判断
(ア)対比
上記引用発明と補正後の発明とをこの分野における技術常識を考慮して対比する。
a 引用発明の「集合住宅用のインターホンシステム」は,以下の各相違点は別として,補正後の発明の「集合住宅用インターホンシステム」に相当する。

b 引用発明の「電気・ガス・水道の使用量を計量するRFメータ装置17」及び「モニタ付き親機16」は,それぞれ補正後の発明の「ライフラインメータ」及び「住戸インターホン親機」に相当し,いずれも両者が接続されている点で共通する。

c 引用発明の「制御機11」は,補正後の発明の「制御装置」と,「通信を制御する」点で共通する。

d 引用発明は,「前記モニタ付き親機16は,第3の伝送路L3及び第2の伝送路L2を介して前記制御機11に接続された」ことについて,モニタ付き親機16と制御機11とを結ぶ第3及び第2の伝送路は,インターホンシステムの範囲内の回線であるから,インターホン回線ということができる。そうすると,引用発明の「前記モニタ付き親機16は,第3の伝送路L3及び第2の伝送路L2を介して前記制御機11に接続された」ことは,補正後の発明の「前記住戸インターホン親機は,インターホン回線によって,前記制御装置に接続された」ことに相当する。

e 「制御装置」について,引用発明は,「電話回線を利用したネットワークに接続する電話回線接続回路111を備え」ており,一方,補正後の発明は,「広域ネットワークに接続するゲートウェイ装置を備えて」いるところ,引用発明の「電話回線を利用したネットワーク」と補正後の発明の「広域ネットワーク」は,「特定のネットワーク」である点で共通するから,引用発明の「電話回線接続回路111」は,異なるネットワーク間の接続を行う装置である点で,補正後の発明の「ゲートウェイ装置」に相当する。

f 引用発明で,「モニタ付き親機16」が送信する「前記RFメータ装置17で電気計量センサ173からの計量カウント数が積算され,この積算された計量カウント数」は,補正後の発明の「ライフラインメータの検針情報」に相当する。

g さらに,引用発明の「メモリ167a」は,補正後の発明の「記憶部」に相当し,両者は,「ライフラインメータの検針情報」を記憶する点で共通する。
そして,引用発明の「今回使用したカウント数」は,補正後の発明の「ライフラインの使用量」に相当し,両者は,記憶部(メモリ167a)に記憶している検針情報(計量カウント数)から算出したものである点で共通する。

(イ)一致点
上記対比から,引用発明と補正後の発明は,以下の点で一致している。

「ライフラインメータに接続された住戸インターホン親機と,通信を制御する制御装置とを有し,前記住戸インターホン親機は,インターホン回線によって,前記制御装置に接続された集合住宅用インターホンシステムにおいて,
前記制御装置は,特定のネットワークに接続するゲートウェイ装置を備え,
前記住戸インターホン親機は,前記ゲートウェイ装置および前記インターホン回線を通じて,前記特定のネットワーク側に前記ライフラインメータの検針情報を送信するとともに,記憶部に記憶し,前記記憶部に記憶している検針情報から算出したライフラインの使用量を表示する集合住宅用インターホンシステム。」

(ウ)相違点
一方,引用発明と補正後の発明は,以下の点で相違している。

(相違点1)
補正後の発明の「集合住宅用インターホンシステム」は,「ロビーインターホン」を有し,「制御装置」は「住戸インターホン親機」と該「ロビーインターホン」の通信を制御するものであるのに対し,引用発明では,「ロビーインターホン」を有する点及び「制御機11」が「モニタ付き親機16」と前記「ロビーインターホン」の通信を制御する点が明示されていない点。

(相違点2)
「ゲートウェイ装置」が接続する「特定のネットワーク」について,補正後の発明では「広域ネットワーク」であるのに対し,引用発明では「電話回線を利用したネットワーク」である点。

(相違点3)
「住戸インターホン親機」について,補正後の発明では,「ライフライン(メータ)を有線接続させるアダプタと一体に構成されて」いるのに対し,引用発明では,「RFメータ装置17」と,「住戸RF送受信機15,送受信機用アンテナ18及びメータ装置用アンテナ19を介して」接続されている点。

(相違点4)
「ライフラインメータの検針情報」の「住戸インターホン親機による送信」が,補正後の発明では「自発的」であるのに対し,引用発明では「自発的」ではない点。

(相違点5)
「記憶部に記憶している検針情報から算出したライフラインの使用量を表示する」ための要件が,補正後の発明では,「所定の操作を受け付ける」ことであるのに対し,引用発明では,この点が明示されていない点。

(エ)相違点の検討
a 相違点1と2について
引用発明は「集合住宅用のインターホンシステム」であるところ,「集合住宅用のインターホンシステム」において,ロビーインターホンを設けて,制御装置が各住戸のインターホン親機との間で通信を可能とすることは,普通に行われていること(前記周知技術1を参照。)であるから,引用発明においても,ロビーインターホンを設けて,制御装置が各住戸のインターホン親機との間で通信を可能とすることは,当業者が適宜になし得たことである。
同様に「集合住宅用のインターホンシステム」において,「制御装置」が,「ゲートウェイ等の外部ネットワーク接続部を介してインターネット等の外部ネットワークに接続すること。」は,インターホンの技術分野において周知技術である(前記周知技術2を参照。)。そして,「インターネット」は「広域ネットワーク」であることが自明であるから,引用発明において,「制御機11」に設けられた電話回線を利用したネットワークに接続する「電話回線接続回路111」に代えて,「広域ネットワーク」に接続する「ゲートウェイ装置」を採用することは,当業者が必要に応じて適宜になし得たことである。

b 相違点3について
「ライフラインメータを有線接続するための接続手段をインターホン親機と一体に構成すること。」(前記周知技術3を参照。)は,インターホンの技術分野において周知技術である。そうすると,同じ技術分野に属する引用発明において,「モニタ付き親機16」(インターホン親機)と「RFメータ装置17」(ライフラインメータ)を,「住戸RF送受信機15,送受信機用アンテナ18及びメータ装置用アンテナ19を介して」接続する構成に代えて,前記周知技術のように,「モニタ付き親機16」に「RFメータ装置17」を有線接続する接続手段を一体に構成することは,当業者が適宜になし得たことである。この場合,前記「モニタ付き親機16」に一体に構成される「接続手段」を「アダプタ」と称することは任意である。

c 相違点4について
「各種ライフラインメータのメータ情報の提供元が自発的に前記メータ情報を提供先に送信すること。」(前記周知技術4を参照。)は,周知技術であることから,引用発明において,モニタ付き親機16による積算された計量カウント数の送信を「自発的」とすることは,当業者が必要に応じて適宜になし得たことである。

d 相違点5について
引用例(前記イの(ウ)参照。)には,居住者が,モニタ付き親機16のパネル操作部163の電気料金を表示する画面302をタッチ操作して,電気の使用量や電気料金の請求金額等をリアルタイムで確認する例が記載されており,引用発明において,居住者による画面のタッチ操作,すなわち,所定の操作を受け付けることで,前記「今回使用したカウント数」を表示できるようにすることは,当業者が適宜になし得たことである。

そして,補正後の発明が奏する作用効果も,引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

以上のとおり,補正後の発明は,引用発明に基づいて周知技術1ないし4を参酌して当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本願発明は,上記「第2 1 本願発明と補正後の発明」の項で認定したとおりである。

2 引用発明
また,引用発明は,上記「第2 2(2)イ 引用例と引用発明」の項で認定したとおりである。

3 引用発明と本願発明との対比・判断
そこで,引用発明と本願発明とを対比するに,本願発明は,補正後の発明から,「住戸インターホン親機」について,「前記ライフラインを有線接続させるアダプタと一体に構成されており」との限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成に前記限定を付加した補正後の発明が,上記「第2 2(2) 独立特許要件について」の項で検討したとおり,引用発明及び周知技術に基いて容易に発明することができたものであるから,補正後の発明から前記限定を省いた本願発明も,同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願は,その余の請求項に論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-18 
結審通知日 2015-08-25 
審決日 2015-09-08 
出願番号 特願2010-152879(P2010-152879)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 角張 亜希子岩田 淳  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 林 毅
中野 浩昌
発明の名称 集合住宅用インターホンシステム  
代理人 中井 宏行  
代理人 奥村 公敏  
代理人 沖本 周子  

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