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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1307287
審判番号 不服2014-6060  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-03 
確定日 2015-11-06 
事件の表示 特願2009-517555「コンテンツ置換の方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 1月17日国際公開、WO2008/007279、平成21年12月 3日国内公表、特表2009-543413〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、2007年(平成19年)6月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年7月4日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成24年7月17日付けで拒絶理由の通知がなされ、これに対し、平成24年12月27日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされ、平成25年3月25日付けで拒絶理由の通知がなされ、これに対し、平成25年9月25日に意見書が提出されたが、平成25年11月29日付け(発送日同年12月3日)で拒絶査定がなされた。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成26年4月3日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされた。

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
請求項1?14に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2000-270274号公報
引用文献2:特開2006-140913号公報

第2 補正却下の決定
平成26年4月3日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成26年4月3日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成26年4月3日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正である。

補正前の請求項1?14
「 【請求項1】
主チャネル上で送信されている主コンテンツを、副チャネル上で送信されているコンテンツに対応する副コンテンツにより置換する方法であって、前記副チャネル上で送信されているコンテンツにおいて発生するハイライトに応じて前記副コンテンツにより置換を行い、前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツの要約であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記副チャネル上で送信されている番組はライブのイベントに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記副コンテンツの提示に続いて、前記副チャネル上で現在放送されている番組が、前記主コンテンツの代わりに提示される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記主コンテンツの送信がいつ再開されるべきかをユーザが明示的に指示する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記主コンテンツの再開された送信は、前記置換に用いられたコンテンツの継続時間に対応する時間の量だけタイムシフトされる、請求項1又は4に記載の方法。
【請求項6】
所定の時間の量に対応するコマーシャルの一部のスキップが、前記主チャネルの前記タイムシフトを減少させ、前記所定の時間の量は、前記置換に用いられたコンテンツの継続時間に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記置換に用いられるコンテンツの継続時間は予め決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ユーザが番組及び前記番組に対応する前記副チャネルを明示的に規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
番組及び前記番組に対応する前記副チャネルが、ユーザの好みに基づいて導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記副コンテンツに含まれる前記要約は、前記副チャネルにおいて現在送信されているコンテンツであって、前記番組に対応する以前に送信された要約に含まれないコンテンツについて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
副チャネル上で送信されているコンテンツに出現するハイライトを検出するためのハイライト検出器と、前記ハイライトの出現までのものであり且つ前記ハイライトを含む前記コンテンツの要約である副コンテンツを生成するための手段と、前記副チャネル上で送信される前記コンテンツにおいて出現するハイライトに応じて前記副コンテンツによって置換を行うための手段と、を提供するように動作可能な装置であって、請求項1に記載の方法により動作可能である装置。
【請求項12】
主コンテンツの再開された送信が、前記置換に用いられたコンテンツの継続時間に対応する所定の時間の量だけタイムシフトされることを可能とするための、前記主コンテンツを保存するためのバッファを更に有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記タイムシフトを減少させるため、前記所定の時間の量に対応するコマーシャルの一部をスキップするように動作可能なスキップ手段を更に有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
主チャネル上で送信されている主コンテンツを、副チャネル上で送信されているコンテンツに対応する副コンテンツにより置換するステップであって、前記副チャネル上で送信されているコンテンツにおいて発生するハイライトに応じて前記副コンテンツにより置換を行い、前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツの要約であるステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。」

を、次のとおり補正後の請求項1?14に補正するものである。

「 【請求項1】
主チャネル上で送信されている主コンテンツを、副チャネル上で送信されているコンテンツに対応する副コンテンツにより置換する方法であって、前記副チャネル上で送信されているコンテンツにおいて発生するハイライトに応じて前記副コンテンツにより置換を行い、前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツの要約であり、前記要約は、前記副チャネル上で現在送信されている番組のコンテンツであって且つ以前に送信された要約に含まれるものではないコンテンツについて生成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記副チャネル上で送信されている番組はライブのイベントに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記副コンテンツの提示に続いて、前記副チャネル上で現在放送されている番組が、前記主コンテンツの代わりに提示される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記主コンテンツの送信がいつ再開されるべきかをユーザが明示的に指示する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記主コンテンツの再開された送信は、前記置換に用いられたコンテンツの継続時間に対応する時間の量だけタイムシフトされる、請求項1又は4に記載の方法。
【請求項6】
所定の時間の量に対応するコマーシャルの一部のスキップが、前記主チャネルの前記タイムシフトを減少させ、前記所定の時間の量は、前記置換に用いられたコンテンツの継続時間に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記置換に用いられるコンテンツの継続時間は予め決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ユーザが番組及び前記番組に対応する前記副チャネルを明示的に規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
番組及び前記番組に対応する前記副チャネルが、ユーザの好みに基づいて導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記副コンテンツに含まれる前記要約は、前記副チャネルにおいて現在送信されているコンテンツであって、前記番組に対応する以前に送信された要約に含まれないコンテンツについて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
副チャネル上で送信されているコンテンツに出現するハイライトを検出するためのハイライト検出器と、前記ハイライトの出現までのものであり且つ前記ハイライトを含む前記コンテンツの要約である副コンテンツを生成するための手段と、前記副チャネル上で送信される前記コンテンツにおいて出現するハイライトに応じて前記副コンテンツによって置換を行うための手段と、を提供するように動作可能な装置であって、請求項1に記載の方法により動作可能である装置。
【請求項12】
主コンテンツの再開された送信が、前記置換に用いられたコンテンツの継続時間に対応する所定の時間の量だけタイムシフトされることを可能とするための、前記主コンテンツを保存するためのバッファを更に有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記タイムシフトを減少させるため、前記所定の時間の量に対応するコマーシャルの一部をスキップするように動作可能なスキップ手段を更に有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
主チャネル上で送信されている主コンテンツを、副チャネル上で送信されているコンテンツに対応する副コンテンツにより置換するステップであって、前記副チャネル上で送信されているコンテンツにおいて発生するハイライトに応じて前記副コンテンツにより置換を行い、前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツの要約であり、前記要約は、前記副チャネル上で現在送信されている番組のコンテンツであって且つ以前に送信された要約に含まれるものではないコンテンツについて生成されるステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。」

2 補正の適合性
(1)補正の目的
本件補正は、請求項1及び請求項14における「要約」を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。

(2)独立特許要件
上記のとおり本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを、以下に検討する。

(3)補正後発明
補正後の請求項1?14に係る発明のうち請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「補正後発明」という。)。

「(A)主チャネル上で送信されている主コンテンツを、副チャネル上で送信されているコンテンツに対応する副コンテンツにより置換する方法であって、
(B)前記副チャネル上で送信されているコンテンツにおいて発生するハイライトに応じて前記副コンテンツにより置換を行い、
(C)前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツの要約であり、前記要約は、前記副チャネル上で現在送信されている番組のコンテンツであって且つ以前に送信された要約に含まれるものではないコンテンツについて生成される
(D)ことを特徴とする方法。」

((A)?(D)は当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

(4)刊行物の記載及び刊行物に記載された発明
ア 刊行物1
(ア)刊行物1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-270274号公報(上記引用文献1、以下「刊行物1」という。)には、「受信装置及び番組信号記録再生装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、映像信号や音声信号よりなる番組を受信すると共にその番組を記録再生するための受信装置及び番組信号記録再生装置であり、特に裏番組の重要部分を逃さずに視聴できる受信装置及び番組信号記録再生装置に関する。」

「【0005】即ち、現在視聴している番組以外に放送されている番組で、緊急放送等、特に重要な番組が放送されている場合に、いつ放送されるかもわからないこのような番組を確実に受信するということは不可能であった。
【0006】このような例として、台風接近時に映画を視聴しているが、天気予報が最新情報に更新された場合には、そちらを優先して視聴したい場合等がある。また、ある番組の視聴中に、同時刻に行われているスポーツの試合があり、例えば得点が入る等、何らかの大きな状況の変化があった時のみ番組を切り替えて視聴したい場合もある。
【0007】なお、このような場合、テレビ受像機に2画面同時表示機能があれば、分割された画面内でこれらの状況の変化を確認できるが、そのタイミングがいつくるかもわからない場合には、視聴したい番組を常に分割された画面内で視聴せざるをえず、また、もう一方の番組を常に気にかけながら視聴するのは非常に煩わしく、快適な番組視聴が行えないという問題があった。
【0008】本発明に係る受信装置は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、裏番組の重要部分を逃さずに視聴できる受信装置を提供することを目的とする。」

「【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る受信装置の構成を説明するためのブロック図である。アンテナより入来したディジタル放送信号は受信処理部1により、周波数変換、復調、誤り訂正などの処理が施され、パケット抽出部2で受信したい番組の映像信号や音声信号が格納されるパケットが抽出される。
【0014】そして、抽出されたパケットはメモリ3の所定領域に蓄積される。メモリ3に一時的に蓄積された映像音声信号は、切替器4を介して出力インターフェース5に出力され、出力インターフェース5では、映像音声信号を信号の伝送に適した所定のフォーマットに変換してこれらの信号をディスプレイ装置に出力する。」

「【0017】一方、記録再生部6は、メモリ3に蓄積される番組信号を記録し、再生するためのものであり、記録と再生とを同時に行うことができ、切替器4が記録再生部6側に切り替えられている際には、記録再生部6からの再生信号が切替器4を介して出力インターフェース5から出力される。・・・」

「【0021】今、第1の番組を受信中であり、この第1の番組が外部のディスプレイ装置で表示されているものとする。この時、判定処理部11にて裏番組である第2の番組の重要度が高いと判定されると、記録再生部6は第1の番組の記録を開始し、第1の番組と同時にパケット抽出されたメモリ3内の第2の番組の情報が切替器4を介して出力インターフェース5に供給される。なお、ここで、第1の番組と第2の番組とは前述の如くパケット抽出部2にて同時にパケット抽出されており、メモリ3内において第1の番組と第2の番組とは夫々別々の領域に蓄積されているものとする。
【0022】その後、判定処理部11により、第2の番組の重要部分が終了したと判定された場合には、切替器4はその入力を再度記録再生部6側に切り替え、先程第2の番組に切り替えを行った箇所以降の第1の番組の内容、即ち第1の番組の続きの部分を記録再生部6内の記録媒体から再生して出力インターフェース5に出力すると共に、受信処理部1で受信している第1の番組の記録を継続させる。
【0023】このように、第2の番組の重要部分が終了した時点から第1の番組の時間差視聴が開始されたが、第2の番組が再び重要部分へと移行した場合には、その期間は再び第2の番組の視聴に切り替えられる。その時、記録再生部6における第1の番組の記録は継続され、第2の番組の重要部分が終了した際に、第1の番組の続きが視聴可能となる。
【0024】即ち、裏番組である第2の番組が重要部分に移行したと判定される毎に第1の番組の視聴が中断され、その回数が増す毎に時間差視聴における時間差が大きくなる。なお、裏番組である第2の番組の重要度が高いと判定されて第2の番組に視聴が切り替えられても、視聴者が第2の番組を見る意志がなく、第1の番組の視聴に直ちに戻したい時には第2の番組の重量度が高いと判定されている期間中であっても第1の番組に切り替え可能であることは言うまでもない。
【0025】ところで、番組によっては重要と判定された箇所から視聴したのでは遅く、その少し前の箇所から視聴するのが望ましい場合もある。例えば、サッカーの試合ではいつ点が入るかは予測できず、得点シーンなどが重要であると判定された場合に、その得点シーン以降を視聴しただけではその得点シーンを充分に楽しめないことがある。従って、このような場合は、得点シーンの少し前の部分から視聴することが望ましい。
【0026】このように重要であると判定された少し前の部分から視聴する場合、第2の番組を若干のバッファ(数秒から数分程度)を介して記録することで対応できる。即ち、重要と判定される前の番組データを所定データ量分だけ常に保持しておくことにより対応できる。なお、このバッファとしては、記録再生部6内の記録媒体の一部を用いても良いし、また別途設けた記録再生部、あるいは半導体メモリなどの記録手段を用いても良い。」

(イ)刊行物1に記載された発明
刊行物1には、裏番組の重要部分を逃さずに視聴できる受信装置が記載されており、この受信装置の動作を方法の発明として認定する。
刊行物1には、ディジタル放送の第1の番組をディスプレイで表示している時に、裏番組である第2の番組の重要度が高いと判定され重要部分に移行したと判定された場合、第2の番組に切り替えることが記載され(段落【0013】、【0021】、【0024】)、重要であると判定された少し前の部分から視聴する場合、第2の番組をバッファを介して記録することで対応できることが記載されている(段落【0026】)。
そうすると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

「ディジタル放送の第1の番組をディスプレイで表示している時に、裏番組である第2の番組に切り替える方法であって、
第2の番組が重要度が高いと判定され重要部分に移行したと判定された場合、バッファを介して記録した第2の番組に切り替えることを特徴とする方法。」

イ 刊行物2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-140913号公報(上記引用文献2、以下「刊行物2」という。)には、「情報再生装置及び方法、情報記録装置及び方法、情報記録再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0113】
(2-1)詳細動作原理
次に、図4及び図5を参照して、本発明の情報再生装置の第2実施例に係る情報記録再生装置1の詳細動作原理について説明する。ここに、図4は、本発明の情報再生装置の第2実施例に係る情報記録再生装置の基本構成を概念的に示す論理ブロック図である。図5は、本発明の情報再生装置の第2実施例に係る情報記録再生装置1によって受信された放送コンテンツにおけるイベントを契機とした通常再生とダイジェスト再生との切替え動作の流れを示したフローチャートである。尚、図5におけるステップにおいては、前述した第1実施例における図2と同様のステップには、同様のステップ番号を付しそれらの説明は適宜省略する。
【0114】
特に、第2実施例に係る情報記録再生装置1においては、放送受信部10は、複数の受信コンテンツCTを同時に受信することが可能であると共に、コンテンツ記録部41は、複数の受信コンテンツCTを同時に記録することが可能である。従って、視聴している一の受信コンテンツCT、所謂「表番組」において、例えばハーフタイム等のイベントが検出された場合、視聴と平行して(同時に)コンテンツ記録部41等に記録されている他の受信コンテンツCT、所謂「裏番組」の概要をダイジェスト再生によって簡便に視聴することができる。言い換えると、第2実施例においては、第1実施例におけるコンテンツ記録部41に記録されている複数の記録コンテンツRCTを、「表番組」と平行して記録されている「裏番組」に置き換えて構成しているとも言える。
【0115】
図5に示されるように、前述したステップS100に続いて、前述したステップS101と同様にして、(i)通常再生とダイジェスト再生との切替えの契機となる各種のイベントが設定され、(ii)コンテンツ記録部41に記録される記録コンテンツRCTのダイジェスト再生(要約再生)の全体再生時間、又は再生順番が設定されることに加えて、(iii)例えば裏番組を特定するための各種パラメータが設定され、(iv)仮に裏番組が複数であった場合、所定の再生順番(再生シーケンス)が設定されるようにしてもよい(ステップS201)。
【0116】
次に、前述と同様にして、特徴量抽出部30によって、通常再生されユーザに視聴されている一の受信コンテンツCT(以下、適宜「コンテンツA」と称す)に含まれる特徴量SPEの抽出が開始される(ステップS102)。
【0117】
次に、特定された複数の裏番組(以下、適宜「コンテンツB」、及び「コンテンツC」とする)の記録が開始されると同時に、ダイジェスト再生のための特徴量SPEの抽出が開始される(ステップS202)。尚、図4中におけるコンテンツ記録部41における受信コンテンツCTb、及び受信コンテンツCTcを参照。加えて、特徴量記録部42における特徴量SPEb、及び特徴量SPEcを参照。
【0118】
前述したステップS103の判定の結果、ユーザが設定したイベントが検出された場合(ステップS103:Yes)、記録されている裏番組「コンテンツB」、及び「コンテンツC」のダイジェスト再生が所定の順番で開始される(ステップS203)。
【0119】
前述したステップS105、及びステップS106を経て、ステップS107の判定の結果、コンテンツ記録部41にイベントが検出されるまで記録されている裏番組「コンテンツB」、及び「コンテンツC」の両方に対するダイジェスト再生が終了した場合(ステップS107:Yes)、ユーザに対して、「コンテンツB」、及び「コンテンツC」の、イベントが検出されるまで記録されていた部分のダイジェスト再生が終了したことが、表示機器60を介して表示されると共に、「表番組」である「コンテンツA」が通常再生される(ステップS204)。続いて、前述した「コンテンツB」及び「コンテンツC」の記録等が再度、開始される(ステップS202)。
【0120】
他方、ステップS107の判定の結果、コンテンツ記録部41にイベントが検出されるまで記録されている裏番組「コンテンツB」、及び「コンテンツC」の両方に対するダイジェスト再生が終了していない場合(ステップS107:No)、更に、ダイジェスト再生されている裏番組「コンテンツB」、及び「コンテンツC」の中から、ユーザが所望するコンテンツが選択され、このコンテンツの通常再生が選択されたか否かが判定される(ステップS109)。
【0121】
ここで、ユーザが所望するコンテンツ(裏番組「コンテンツB」又は「コンテンツC」)の通常再生が選択された場合(ステップS109:Yes)、更に、途中まで視聴した表番組「コンテンツA」の記録を開始するか否かがユーザに確認される(ステップS205)。尚、ステップS205と同時に又は相前後して、選択されたコンテンツ(裏番組「コンテンツB」又は「コンテンツC」)の記録されている部分が再生されるように構成してもよい。
【0122】
ここで、ユーザが、表番組「コンテンツA」の記録を所望した場合(ステップS205:Yes)、表番組「コンテンツA」が、コンテンツ記録部41に記録される(ステップS206)。他方、ユーザが表番組「コンテンツA」の記録を所望しない場合、ステップS206における記録が省略される。
【0123】
続いて、ステップS109において、選択されたユーザが所望するコンテンツ(裏番組「コンテンツB」又は「コンテンツC」)の通常再生が、最初から開始される(ステップS207)。
【0124】
以上のように、第2実施例においては、一の受信コンテンツ(表番組)を視聴している際に、例えばハーフタイム等のイベントが検出されると、自動的に記録されている他の受信コンテンツ(裏番組)がダイジェスト再生される。従って、ユーザは、ザッピングする必要はなくなり、他の受信コンテンツ(裏番組)のダイジェスト再生を自動的に視聴できるので、ユーザにとって高い利便性を享受することが可能である。
【0125】
更に、情報記録再生装置1に記録された他の受信コンテンツCT(裏番組)が、所定の順番で、ダイジェスト再生されるので、ユーザが所望する他の受信コンテンツCTをより迅速に検索することが可能となる。」

「【0104】
具体的には、複数の記録コンテンツのうち一の記録コンテンツRCTのダイジェスト再生が行われ、次に、他の記録コンテンツRCTのダイジェスト再生が行われる。尚、後述されるステップを経て、2回目以降のステップS104においては、既にダイジェスト再生を行った記録コンテンツRCTは、再度、ダイジェスト再生を行わず、未視聴の記録コンテンツRCTを、ダイジェスト再生するように構成してもよい。」

(5)対比
ア 補正後発明と刊行物1発明との対比
補正後発明と刊行物1発明とを対比する。

(ア)構成要件A
構成要件Aと刊行物1発明における「ディジタル放送の第1の番組をディスプレイで表示している時に、裏番組である第2の番組に切り替える方法であって」とを対比する。
刊行物1発明における「ディジタル放送の第1の番組」、「裏番組である第2の番組」、「切り替える方法」は、補正後発明における「主チャネル上で送信されている主コンテンツ」、「副チャネル上で送信されているコンテンツに対応する副コンテンツ」、「置換する方法」に相当する。
したがって、補正後発明と刊行物1発明とは、「主チャネル上で送信されている主コンテンツを、副チャネル上で送信されているコンテンツに対応する副コンテンツにより置換する方法であって」で一致する。

(イ)構成要件B
構成要件Bと刊行物1発明における「第2の番組が重要度が高いと判定され重要部分に移行したと判定された場合、バッファを介して記録した第2の番組に切り替える」とを対比する。
刊行物1発明における「第2の番組が重要度が高いと判定され重要部分に移行したと判定された場合、・・・第2の番組に切り替える」は、重要部分はハイライトであるといえるから、「前記副チャネル上で送信されているコンテンツにおいて発生するハイライトに応じて前記副コンテンツにより置換を行い」に相当する。
したがって、補正後発明と刊行物1発明とは、「前記副チャネル上で送信されているコンテンツにおいて発生するハイライトに応じて前記副コンテンツにより置換を行い」で一致する。

(ウ)構成要件C
構成要件Cと刊行物1発明における「バッファを介して記録した第2の番組に切り替える」とを対比する。
刊行物1発明における「バッファを介して記録した第2の番組」は、「前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツ」として、補正後発明と共通する。
しかしながら、当該コンテンツが「前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツの要約」でない点で、相違する。
また、刊行物1発明は、「前記要約は、前記副チャネル上で現在送信されている番組のコンテンツであって且つ以前に送信された要約に含まれるものではないコンテンツについて生成される」ものでない点で、補正後発明と相違する。

(エ)構成要件D
構成要件Dと刊行物1発明における「ことを特徴とする方法」と対比すると、補正後発明と刊行物1発明とは「ことを特徴とする方法」で一致する。

イ 一致点、相違点
以上より、補正後発明と刊行物1発明の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
主チャネル上で送信されている主コンテンツを、副チャネル上で送信されているコンテンツに対応する副コンテンツにより置換する方法であって、前記副チャネル上で送信されているコンテンツにおいて発生するハイライトに応じて前記副コンテンツにより置換を行い、前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツであることを特徴とする方法。

(相違点)
「前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツ」が、
補正後発明においては、「前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツの要約」であるのに対し、刊行物1発明においては、当該要約でなく、
さらに、補正後発明が、「前記要約は、前記副チャネル上で現在送信されている番組のコンテンツであって且つ以前に送信された要約に含まれるものではないコンテンツについて生成される」のに対し、刊行物1発明においてはそうではない。

(6)相違点の判断
裏番組を表示する際に要約として表示することは、刊行物2に記載されている。刊行物1発明と刊行物2の技術は、ともに裏番組を表示する技術といえるから、刊行物1発明に刊行物2の技術を適用することは、当業者が容易に着想することである。
そして、一度裏番組の要約を表示した後に、更に裏番組の要約を表示する時に、一度表示したものは、ユーザは見たものであるから、同じ要約を再度表示するのではなく、その要約の続きを表示するようにすることは自然なことであり、刊行物2の段落【0104】に「後述されるステップを経て、2回目以降のステップS104においては、既にダイジェスト再生を行った記録コンテンツRCTは、再度、ダイジェスト再生を行わず、未視聴の記録コンテンツRCTを、ダイジェスト再生するように構成してもよい。」と記載され、既にダイジェスト再生を行ったものは再度ダイジェスト再生を行わないことが示唆されていることを勘案すれば、刊行物1発明に刊行物2の技術を適用して、刊行物1発明において「コンテンツ」を「コンテンツの要約」とし、さらに、「前記要約は、前記副チャネル上で現在送信されている番組のコンテンツであって且つ以前に送信された要約に含まれるものではないコンテンツについて生成される」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

そして、補正後発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

したがって、補正後発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反している。

3 まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成26年4月3日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?14に係る発明は、平成24年12月27日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?14に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「本願発明」という。)。

「主チャネル上で送信されている主コンテンツを、副チャネル上で送信されているコンテンツに対応する副コンテンツにより置換する方法であって、前記副チャネル上で送信されているコンテンツにおいて発生するハイライトに応じて前記副コンテンツにより置換を行い、前記副コンテンツは前記副チャネルにおいて既に送信されたコンテンツの要約であることを特徴とする方法。」

2 判断
補正後発明は、本願発明をさらに限定したものと認められ、補正後発明が刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであることは、上記第2のとおりであるから、同じ理由で、本願発明は刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて容易に発明できたものと認められる。

3 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2?14に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-12 
結審通知日 2015-06-16 
審決日 2015-06-29 
出願番号 特願2009-517555(P2009-517555)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅岡 信幸  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
渡邊 聡
発明の名称 コンテンツ置換の方法  
代理人 津軽 進  
代理人 笛田 秀仙  

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