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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1307700
審判番号 不服2014-17762  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-06 
確定日 2015-11-12 
事件の表示 特願2011- 50862「太陽電池向け透明導電膜用組成物および透明導電膜」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月 4日出願公開、特開2012-190856〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年3月8日の出願であって、平成26年2月13日付けで拒絶理由が通知され、同年4月16日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが、同年6月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同日付で同時に手続補正がなされた。


第2 平成26年9月6日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年9月6日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
平成26年9月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前の平成26年4月16日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1である
「【請求項1】
平均粒径:1?50nmのITO中空粒子と、シリコンのアルコキシドと硝酸触媒を含むノンポリマー型バインダーと、を含むことを特徴とする、薄膜太陽電池向け透明導電膜用組成物。」を
「【請求項1】
平均粒径:8?15nmであり、アスペクト比:1?1.4のITO中空粒子と、シリコンのアルコキシドと硝酸触媒を含むノンポリマー型バインダーと、を含み、分散媒を除く透明導電膜用組成物:100質量部に対して、ノンポリマー型バインダーを、20?30質量部含むことを特徴とする、薄膜太陽電池向け透明導電膜用組成物。」
と補正することを含むものである(下線は請求人が付与したとおりである。)。

2 本件補正の目的
上記本件補正は、本件補正前の「平均粒径:1?50nmのITO中空粒子」を「平均粒径:8?15nmであり、アスペクト比:1?1.4のITO中空粒子」とし、補正前の「シリコンのアルコキシドと硝酸触媒を含むノンポリマー型バインダー」を「シリコンのアルコキシドと硝酸触媒を含むノンポリマー型バインダーと、を含み、分散媒を除く透明導電膜用組成物:100質量部に対して、ノンポリマー型バインダーを、20?30質量部含むこと」とする補正を含むものであり、いずれも本件補正前の記載事項を限定するものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。

3 独立特許要件違反
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)を、進歩性要件(特許法第29条第2項)について以下に検討する。

(1)本願補正発明の認定
本願補正発明は、上記1に記載したとおり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。

(2)刊行物、各刊行物の記載事項及び引用発明の認定
ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開2009-231505号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線部は当審による。)。

(ア)「【0001】
本発明は、入射した光の一部を反射する反射層を備える太陽電池に関する。」

(イ)「【0009】
本発明の一の特徴に係る太陽電池10は、導電性及び透光性を有する受光面電極層2と、導電性を有する裏面電極層4と、前記受光面電極層2と前記裏面電極層4との間に設けられた積層体3とを備え、前記積層体3は、光の入射により光生成キャリアを生成する第1光電変換部31と、前記第1光電変換部31を透過した光の一部を前記第1光電変換部31側に反射する反射層32とを含み、前記反射層32は、屈折率調整材を含む低屈折率層32bと、前記低屈折率層32bと前記第1光電変換部31との間に介挿されたコンタクト層32aとを有し、前記屈折率調整材を構成する材料の屈折率は、前記コンタクト層32aを構成する材料の屈折率よりも低く、前記低屈折率層32bの屈折率は、前記コンタクト層32aの屈折率よりも低いことを要旨とする。
【0010】
本発明の第1の特徴に係る太陽電池10によれば、反射層32が、屈折率調整材を含む低屈折率層32bを含むため、ZnOなどを主体とする従来の反射層よりも反射層32の反射率を高めることができる。また、コンタクト層32aが、低屈折率層32bと第1光電変換部31との間に介挿されているため、低屈折率層32bと第1光電変換部31とが直接接触することに起因する太陽電池10全体におけるシリーズ抵抗(直列抵抗)値の増大を抑制することができる。従って、太陽電池10の光電変換効率を向上させることができる。」

(ウ)【0018】
[第1実施形態]
〈太陽電池の構成〉
以下において、本発明の第1実施形態に係る太陽電池の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池10の断面図である。
【0019】
図1に示すように、太陽電池10は、基板1と、受光面電極層2と、積層体3と、裏面電極層4とを備える。
【0020】
基板1は、透光性を有し、ガラス、プラスチック等の透光性材料により構成される。
【0021】
受光面電極層2は、基板1上に積層されており、導電性及び透光性を有する。受光面電極層2としては、酸化錫(SnO_(2))、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In_(2)O_(3))、又は酸化チタン(TiO_(2))などの金属酸化物を用いることができる。尚、これらの金属酸化物に、フッ素(F)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)などがドープされていてもよい。
【0022】
積層体3は、受光面電極層2と裏面電極層4との間に設けられる。積層体3は、第1光電変換部31と、反射層32とを含む。第1光電変換部31及び反射層32は、受光面電極層2側から順に積層される。
【0023】
第1光電変換部31は、受光面電極層2側から入射する光により光生成キャリアを生成する。また、第1光電変換部31は、反射層32から反射される光により光生成キャリアを生成する。第1光電変換部31は、p型非晶質シリコン半導体と、i型非晶質シリコン半導体と、n型非晶質シリコン半導体とが基板1側から積層されたpin接合を有する(不図示)。
【0024】
反射層32は、第1光電変換部31を透過した光の一部を第1光電変換部31側に反射する。反射層32は、第1層32aと、第2層32bとを含む。
【0025】
第1層32aと第2層32bとは、第1光電変換部31側から順に積層される。従って、第1層32aは、第1光電変換部31に接触しており、第2層32bは、第1光電変換部31に接触していない。
【0026】
第2層32bは、樹脂などにより構成されるバインダーと、透光性導電材料と、屈折率調整材とを含む。バインダーとしては、シリカなどを用いることができる。また、透光性導電材料としては、ZnO、ITOなどを用いることができる。また、屈折率調整材としては、第1層32aの屈折率よりも低い屈折率を有する材料が用いられる。例えば、屈折率調整材としては、気泡、あるいはSiO_(2),Al_(2)O_(3),MgO,CaF_(2),NaF,CaO,LiF,MgF_(2),SrO,B_(2)O_(3)などにより構成される微粒子を用いることができる。従って、第2層32bとしては、例えば、シリカ系バインダー中に、ITO粒子と気泡とを含む層を用いることができる。第2層32bに上記のような屈折率調整材が含まれることにより、第2層32b全体としての屈折率は、第1層32aの屈折率よりも低くなる。
【0027】
第1層32aとしては、第1光電変換部31との間のコンタクト抵抗値が、第2層32bを構成する材料と第1光電変換部31との間のコンタクト抵抗値よりも小さい材料が主体として用いられる。
【0028】
即ち、第1層32aを構成する材料は、第1光電変換部31と第1層32aとのコンタクト抵抗(接触抵抗)値が、第1光電変換部31と第2層32bとを直接接触させた場合のコンタクト抵抗値未満となるように選択されることが好ましい。
【0029】
第1層32aとしては、例えば、ZnO、ITOなどを用いることができる。
【0030】
尚、本発明の第1実施形態にあっては、第1層32aが本発明の「コンタクト層」に相当する。また、第2層32bが、本発明の「低屈折率層」に相当する。
【0031】
また、第1層32aを構成する材料は、第1層32aを含む積層体3の両端の抵抗値が、第1層32aを含まない積層体3の両端の抵抗値よりも小さくなるように選択されることが好ましい。
【0032】
裏面電極層4は、導電性を有している。裏面電極層4としては、ZnO、銀(Ag)などを用いることができるが、これに限るものではない。裏面電極層は、ZnOを含む層と、Agを含む層とが、積層体3側から積層した構成を有していてもよい。また、裏面電極層4は、Agを含む層のみを有していてもよい。」

(エ)「【実施例】
【0091】
以下、本発明に係る太陽電池について、実施例を挙げて具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施することができるものである。
【0092】
[屈折率評価]
まず、シリカ系バインダー中にITO粒子(透光性導電材料)と気泡(屈折率調整材)とを含む層(以下、気泡含有ITO層)の屈折率と、従来から反射層の主体として用いられているZnO層,ITO層の屈折率との比較を行った。
【0093】
具体的には、まず、アルコール系溶剤中にITO微粒子とシリカ系バインダーとを混合した分散液を用いて、スピンコート法により気泡含有ITO層を作製した。このとき、スピンコート法に用いる直前に分散液を機械攪拌することにより、分散液中に気泡を含ませた。尚、ITO微粒子としては、平均粒径20?40nmの住友金属鉱山製ITO微粒子(SUFP)を用いた。また、シリカ系バインダーの混合割合は、ITO微粒子に対して10?15体積%とした。また、スピンコート後には、乾燥及び焼成のために、大気中150℃で1時間のアニールを行った。その後、作製された気泡含有ITO層の屈折率を測定した。気泡含有ITO層屈折率の測定結果を表1に示す。
【表1】

【0094】
一般的に、ZnO層及びITO層の屈折率は、約2.0である。従って、表1に示すように、気泡含有ITO層の屈折率は、ZnO層及びITO層の屈折率よりも低いことが確認された。従って、気泡含有ITO層を反射層に含めることによって、反射層の反射率を高めることができる。
【0095】
[光電変換効率評価]
次に、以下のようにして実施例1、実施例2、比較例1、比較例2及び比較例3に係る
太陽電池を作製し、光電変換効率の比較を行った。
【0096】
〈実施例1〉
以下のようにして、実施例1に係る太陽電池10を作製した。まず、厚さ4mmのガラス基板(基板1)上に、SnO_(2)層(受光面電極層2)を形成した。
【0097】
次に、SnO_(2)層(受光面電極層2)上に、プラズマCVD法を用いて、p型非晶質シリコン半導体と、i型非晶質シリコン半導体と、n型非晶質シリコン半導体とを積層し、第1セル(第1光電変換部31)を形成した。p型非晶質シリコン半導体、i型非晶質シリコン半導体、及びn型非晶質シリコン半導体の厚さは、それぞれ15nm、200nm、30nmとした。
【0098】
次に、第1セル(第1光電変換部31)上に、スパッタ法及びスピンコート法を用いて、中間反射層(反射層32)を形成した。具体的には、スパッタ法により形成されるZnO層(第1層32a)、スピンコート法により形成される気泡含有ITO層(第2層32b)及びスパッタ法により形成されるZnO層(第3層32c)を第1セル(第1光電変換部31)上に順次積層することによって、3層構造を有する中間反射層(反射層32)を形成した。ZnO層(第1層32a)、気泡含有ITO層(第2層32b)、及びZnO層(第3層32c)の厚さは、それぞれ5nm、20nm、5nmとした。
【0099】
次に、中間反射層(反射層32)上に、プラズマCVD法を用いて、p型微結晶シリコン半導体と、i型微結晶シリコン半導体と、n型微結晶シリコン半導体とを積層し、第2セル(第2光電変換部33)を形成した。p型微結晶シリコン半導体、i型微結晶シリコン半導体、及びn型微結晶シリコン半導体の厚さは、それぞれ30nm、2000nm、20nmとした。
【0100】
次に、第2セル(第2光電変換部33)上に、スパッタ法を用いて、ZnO層及びAg層(裏面電極層4)を形成した。ZnO層及びAg層(裏面電極層4)の厚さは、それぞれ90nm、200nmとした。
【0101】
以上により、本実施例1では、図3に示すように、第1セル(第1光電変換部31)と第2セル(第2光電変換部33)との間に、気泡含有ITO層(第2層32b)を含む中間反射層(反射層32)を有する太陽電池10を形成した。また、気泡含有ITO層(第2層32b)と第1セル(第1光電変換部31)との間にZnO層(第1層32a)を介挿し、気泡含有ITO層(第2層32b)と第2セル(第2光電変換部33)との間のZnO層(第3層32c)を介挿した。」

(オ)図3


(カ)上記(オ)の図3から、気泡含有層32bは太陽電池10の第1セル(光電変換部31)と第2セル(光電変換部33)の間に配置されていることが看取できるので、気泡含有層32bが透明導電膜からなることは明らかである。

(キ)上記(エ)の【0097】の「p型非晶質シリコン半導体、i型非晶質シリコン半導体、及びn型非晶質シリコン半導体の厚さは、それぞれ15nm、200nm、30nmとした。」、【0099】の「p型微結晶シリコン半導体、i型微結晶シリコン半導体、及びn型微結晶シリコン半導体の厚さは、それぞれ30nm、2000nm、20nmとした。」との記載から、太陽電池10が薄膜であることは明らかである。

上記(ア)ないし(キ)より、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「アルコール系溶剤中にITO微粒子(透光性導電材料)とシリカ系バインダーとを混合し、気泡を含ませた分散液であって、スピンコート後、大気中150℃で1時間の乾燥及び焼成のためのアニールを行うスピンコート法による、薄膜太陽電池10の透明導電膜からなる低屈折率層である第2層32bの作製に用いられる、分散液」

イ 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開2006-124655号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている(下線部は当審による。)。

(ア)「【0001】
本発明は、干渉縞の発生と埃付着とを防止する帯電防止性層を形成するための組成物、及び、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の各種ディスプレイ等の光学物品の表面に用いられる反射防止フィルムに使用される帯電防止層に関する。」

(イ)「【0025】
効果
本発明の第3の態様による帯電防止層形成用組成物は、空隙を有する導電性金属酸化物微粒子を帯電防止剤として含有しているので、本発明の第3の態様による帯電防止層形成用組成物を用いて形成した帯電防止層は、空隙内に屈折率1の空気を包含することになり、従来の空隙を有さない導電性金属酸化物微粒子を含むコーティング組成物を用いて形成した帯電防止層よりも、低い屈折率とすることができる。そのため本発明の第3の態様による帯電防止層形成用組成物を用いて形成した本発明の第3の別の態様による反射防止フィルムは、透明基材フィルムと帯電防止層との屈折率の差、及び帯電防止層とハードコート層の屈折率差の絶対値を各々0.03以内とすることができるため、透明基材フィルムと帯電防止層との界面、及び帯電防止層とハードコート層との界面による干渉縞の発生を防止することができるとの効果を有する。」

(ウ)「【0070】
本発明の第3の態様
帯電防止層形成用組成物(帯電防止層形成用コーティーング組成物)
本発明の第3の態様は、下記する導電性金属酸化物微粒子以外は、他の成分及び調製方法等は本発明の第1の態様と同様であってよい。
導電性金属酸化物微粒子
(1)種類
本発明で用いる空隙を有する導電性金属酸化物微粒子は、塗膜に帯電性を付与するための帯電防止剤として用いられ、例えば、酸化錫(SnO_(2) )、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化アンチモン(Sb_(2) O_(5) )、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物およびこれらの混合物からなる群から選択されるものであり、かつ、各々が空隙を有するものが挙げられる。
【0071】
(2)形状;粒径
本発明で用いる空隙を有する導電性金属酸化物微粒子の粒径は、5nm?100nmが好ましく、さらに好ましくは30nm?60nmである。粒径が上記の範囲内にあることにより、透明性に優れ、かつ、導電性金属酸化物の微粒子の分散が容易となる。
【0072】
空隙を有する導電性金属酸化物の形状は、外殻の内部に空隙を有しており、外殻は多孔質でも良く、この外殻層の厚みは1nm以上30nm以下であることが好ましい。外殻層の厚みが1nm以上とすることにより、粒子を完全に被覆することができ、バインダー成分などが微粒子内部に侵入することなく内部の空隙や多孔質構造を維持することが可能となり、低屈折率の効果を十分に発揮することが可能となる。外殻層の厚みを30nm以下とすることにより、微粒子の多孔質を維持し、屈折率を低減化する効果を十分に得ることが可能となる。
【0073】
本発明において、「空隙を有する」とは、導電性金属酸化物の微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造をとった結果、或いは微粒子が集合体を形成した結果、気体が屈折率1.0の空気である場合、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の空気の占有率に反比例して屈折率が低下した導電性金属酸化物の微粒子、及びその集合体のことを言う。」

(エ)【0121】
[実施例C2](中空ITO微粒子を用いた場合)
帯電防止層形成用組成物の調製
下記組成の成分を混合して帯電防止層形成用組成物を調製した。
中空インジウム錫酸化物分散液(平均粒径60nm、外殻厚み10nm、屈折率1.46、固形分30%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
33.3質量部
EO変性DPHA(DPEA-12:商品名、日本化製薬)
10質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製)
0.5質量部
メチルイソブチルケトン」

(オ)図2

(カ)図3

ウ 本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、T.Suzuki et al, "Nanosize-Controlled Syntheses of Indium Metal Particles and Hollow Indium Oxide Particles via the Sputter Deposition Technique in Ionic Liquids", Ameriacan Chemical Society, 22,p.5209-5215,[online],08/19/2010,[平成27年8月21日検索],インターネット,(以下「周知例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「Figure 5. (a) Typical TEM image of nanoparticles in EMI-BF_(4) obtained after heat treatment at 523 K in air. ・・・中略・・・(c) Size distribution of In_(2)O_(3) hollow nanoparticles ・・・後略・・・」(第5212頁のFigure5の説明文)
図5.(a)大気中523Kで加熱後得られたEMI-BF_(4)のナノ粒子の典型的なTEM像・・・中略・・・(c)In_(2)O_(3)中空ナノ粒子の粒度分布・・・後略・・・(当審にて仮訳)

(イ)図5(a)

図5(a)より、In_(2)O_(3)中空ナノ粒子が球形に近いことが看取できる。

(ウ)図5(c)

上記(ア)ないし(ウ)より、周知例1には、平均粒径が8.1nmであり、球形に近いIn_(2)O_(3)中空ナノ粒子が記載されている。

(3)対比・判断
ア 本願補正発明と引用発明を対比する。
(ア)引用発明の「ITO微粒子(透光性導電材料)」と本願補正発明の「平均粒径:8?15nmであり、アスペクト比:1?1.4のITO中空粒子」とは、「ITO粒子」の点で一致する。
(イ)引用発明の「シリカ系バインダー」と本願補正発明の「シリコンのアルコキシドと硝酸触媒を含むノンポリマー型バインダー」とは、「バインダー」の点で一致する。
(ウ)引用発明の「スピンコート後、大気中150℃で1時間の乾燥及び焼成のためのアニールを行うスピンコート法による、薄膜太陽電池10の透明導電膜からなる低屈折率層である第2層32bの作製に用いられる、分散液」は、本願補正発明の「薄膜太陽電池向け透明導電膜用組成物」に相当する。

上記(ア)ないし(ウ)より、本願補正発明と引用発明は、
「ITO粒子と、バインダーと、を含む、薄膜太陽電池向け透明導電膜用組成物。」
の点で一致し、下記相違点1ないし3で相違すると認められる。

<相違点1>
「ITO粒子」が、本願補正発明では、「平均粒径:8?15nmであり、アスペクト比:1?1.4のITO中空粒子」であるのに対して、引用発明では、「ITO微粒子(透光性導電材料)」である点。

<相違点2>
「バインダー」が、本願補正発明では、「シリコンのアルコキシドと硝酸触媒を含むノンポリマー型バインダー」であるのに対して、引用発明では、「シリカ系バインダー」である点。

<相違点3>
本願補正発明では、「ノンポリマー型バインダーを、」「分散媒を除く透明導電膜用組成物:100質量部に対して、」「20?0質量部含む」のに対して、引用発明では、そのような規定はされていない点。

相違点の判断
(ア)相違点1について
帯電防止層の屈折率を低くするためにITO中空微粒子を用いることは引用文献2に記載されている。また、上記「3」「(2)」「ウ」より、周知例1には、平均粒径が8.1nmであり、球形に近いIn_(2)O_(3)中空ナノ粒子が記載されていることから、平均粒径が8nm程度であり、アスペクト比が1程度の中空微粒子は、周知技術であるといえる。
そして、引用文献1の【0009】の「前記低屈折率層32bの屈折率は、前記コンタクト層32aの屈折率よりも低いことを要旨とする。」(上記ア(イ))の記載から、引用文献1において「第2層32b」の屈折率を低くするという課題が開示されているので、上記課題を解決するために引用発明の「ITO微粒子」を引用文献2に記載されたより屈折率の低いITO中空粒子とすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、また、ITO中空粒子を適用する際、平均粒径、アスペクト比を上記周知技術のような具体的な数値とすることは設計事項にすぎない。
してみると、引用発明の「ITO微粒子」を「平均粒径:8?15nmであり、アスペクト比:1?1.4のITO中空粒子」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(イ)相違点2について
シリカ系バインダーを含む組成物をスピンコート後、大気中150℃で1時間の乾燥及び焼成のためのアニールを行って固体の層を形成するために用いるシリカ系バインダーとして、シリコンのアルコキシドと硝酸触媒を含むものは周知技術(特開平4-343227号公報の【0008】、特開2009-16303号公報の【0042】)であることから、引用発明のシリカ系バインダーとして、シリコンのアルコキシドと硝酸触媒を含むものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(ウ)相違点3について
引用発明において、ITO微粒子(透光性導電材料)とシリカ系バインダー:100質量部に対して、シリカ系バインダーを含む割合をどの程度とするかは設計事項にすぎない。
してみると、引用発明において、ITO微粒子(透光性導電材料)とシリカ系バインダー:100質量部に対して、シリカ系バインダーを20?30質量部含むようにして、相違点3にかかる構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

以上のとおり、上記相違点1ないし3は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術から当業者が容易に想到し得ることである。
そして、本願補正発明が奏する作用効果も、当業者が容易に予測できる範囲を超えるものではない。

(4)結論
よって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 本件補正についての結び
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成26年4月16日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項によって特定されると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」[理由]「1」において、補正前の特許請求の範囲の請求項1として示したとおりのものである。

2 刊行物、各刊行物の記載事項及び引用発明の認定
上記「第2」[理由]「3(2)」のとおりである。

3 対比・判断
上記「第2」[理由]「2」「本件補正の目的」のとおり、本願補正発明は、補正前の「平均粒径:1?50nmのITO中空粒子」を「平均粒径:8?15nmであり、アスペクト比:1?1.4のITO中空粒子」とし、補正前の「シリコンのアルコキシドと硝酸触媒を含むノンポリマー型バインダー」を「シリコンのアルコキシドと硝酸触媒を含むノンポリマー型バインダーと、を含み、分散媒を除く透明導電膜用組成物:100質量部に対して、ノンポリマー型バインダーを、20?30質量部含むこと」とする補正を含むものである。
そして、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加した本願補正発明が、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、上記「第2」[理由]「3」での検討と同様の理由により、本願発明は引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-09-01 
結審通知日 2015-09-08 
審決日 2015-09-29 
出願番号 特願2011-50862(P2011-50862)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 将彦下村 一石  
特許庁審判長 川端 修
特許庁審判官 井口 猶二
山口 剛
発明の名称 太陽電池向け透明導電膜用組成物および透明導電膜  
代理人 渡會 祐介  
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