• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1307729
審判番号 不服2015-2703  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-12 
確定日 2015-12-01 
事件の表示 特願2013-507326「仮想マシン管理システム、及び仮想マシン管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月 4日国際公開,WO2012/132808,請求項の数(6)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2012年3月7日(国内優先権主張平成23年3月28日(以下,「優先日」という。))を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成25年 9月13日 :国内書面,出願審査請求書の提出
平成26年 7月30日付け :拒絶理由の通知
平成26年10月 6日 :意見書,手続補正書の提出
平成26年10月31日付け :拒絶査定
平成27年 2月12日 :審判請求書,手続補正書の提出
平成27年 3月30日 :前置報告


第2 平成27年2月12日付けの手続補正の適否

1 補正の内容

平成27年2月12日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲の請求項1を,

「 クライアント端末と,
前記クライアント端末にサービスを提供する仮想マシンが稼動する仮想マシン稼動サーバと,
前記クライアント端末又は前記クライアント端末を中継する中継装置に関する位置座標情報と,移行先の候補の仮想マシン稼動サーバに関する位置座標情報とに基づいて,前記クライアント端末又は前記中継装置と前記移行先の候補の仮想マシン稼動サーバとの距離を計算し,計算した前記距離に応じた移行先の仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を指示する位置最適化サーバと
を含み,
前記クライアント端末は,
自身の位置座標情報を取得し,該位置座標情報を基に,前記位置最適化サーバに移行先の仮想マシン稼動サーバを問い合わせる手段と,
前記位置最適化サーバから,計算した前記距離に応じた移行先の仮想マシン稼動サーバの候補の一覧情報を受信する手段と,
前記一覧情報を基に,移行先の仮想マシン稼動サーバを特定し,前記特定された仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を,前記位置最適化サーバに要求する手段とを具備する
仮想マシン管理システム。」(当審注:下線は,請求人が付与したものである。以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項1」という。)

とする補正(以下,「補正事項1」という。)を含んでいる。

2 補正の適否

本件補正の補正事項1は,補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「クライアント端末」が具備する「移行先の仮想マシン稼動サーバの候補の一覧情報を受信する手段」について,「計算した前記距離に応じた」との限定を付加するものであって,補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また,特許法第17条の2第3項,第4項に違反するところはない。
そこで,補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。


(1)引用例

(1-1)引用例1に記載されている技術的事項及び引用発明

ア 本願の優先日前に頒布され,原審の拒絶査定の理由である平成26年7月30日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2009-223517号公報(平成21年10月1日出願公開,以下,「引用例1」という。)には,関連する図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0019】
(実施形態1)
以下に,実施形態1に係るシンクライアントシステムについて説明する。図1は実施形態1に係るシンクライアントシステムの構成を示す模式図である。本実施形態1のシンクライアントシステムは,複数のサーバ装置(情報処理装置)1,1…,サーバ装置1,1…を管理する管理装置2,ネットワークストレージ3,端末装置5,5…等を含む。
【0020】
サーバ装置1,1…,管理装置2及びネットワークストレージ3は,Local Area Network(LAN)等のネットワークN2を介して接続されている。ネットワークN2には,ルーティング装置4が接続されており,ネットワークN2は,ルーティング装置4を介して,インターネット等のネットワークN1に接続されている。ネットワークN1には,端末装置5,5…が接続されている。このような構成により,端末装置5,5…は,ネットワークN1,ルーティング装置4及びネットワークN2を介してサーバ装置1,1…又は管理装置2に接続することができる。
…(中略)…
【0023】
サーバ装置1,1…のそれぞれは,一の装置で複数の情報処理装置として動作する仮想化技術が適用されており,各端末装置5,5…に対応する仮想PC(ゲストOS)を起動して実行するようにしてある。またサーバ装置1,1…は,各ゲストOSの起動/停止及びその動作を管理する機能を有するVirtual Machine Monitor(VMM)100(図3参照)を起動して実行するようにしてある。
【0024】
上述した構成のシンクライアントシステムにおいて,端末装置5は,いずれかのサーバ装置1におけるゲストOSを利用する場合,まず,管理装置2に対して,自身に対応するゲストOSの起動を要求する信号を送信する。管理装置2は,各サーバ装置1,1…におけるゲストOSを利用中のユーザを管理すると共に,各ユーザによるゲストOSの動作状況を管理している。管理装置2は,各サーバ装置1,1…の動作状況に基づいて,ゲストOSの起動を要求してきた端末装置5に対応してゲストOSを提供するサーバ装置1を決定する。そして,管理装置2は,決定したサーバ装置1に対して,端末装置5に対応するゲストOSの起動を指示する。」

B 「【0067】
次に,上述した構成のシンクライアントシステムにおいて,管理装置2がそれぞれのサーバ装置1,1…における利用状況を監視する処理について説明する。管理装置2は,各サーバ装置1,1…から送信されてくるゲストOS情報をリソース管理テーブル23cに登録することによって,各サーバ装置1,1…の利用状況を管理している。
【0068】
管理装置2の制御部20は,ゲストOS情報を受信してリソース管理テーブル23cに登録する都度,それぞれのサーバ装置1,1…における利用状況を監視する。本実施形態1のシンクライアントシステムでは,各サーバ装置1,1…におけるゲストOS101,101のCPU使用率の合計又はメモリ使用率の合計がそれぞれの所定値(例えば90%)よりも大きいサーバ装置1があれば,移行処理を実行する。移行処理は,CPU使用率の合計又はメモリ使用率の合計が大きい,即ち,負荷が大きいサーバ装置1におけるゲストOS101を,負荷が小さいサーバ装置1へ移行させる処理である。これにより,サーバ装置1,1…間における負荷のばらつきを平滑化でき,それぞれのサーバ装置1,1…が提供するゲストOS101,101の処理能力を確保することができる。
【0069】
具体的には,制御部(検出手段)20は,リソース管理テーブル23cに登録されている各サーバ情報に基づいて,各サーバ装置1,1…におけるゲストOS101,101のCPU使用率の合計(処理負荷)と,メモリ使用率の合計(処理負荷)とを検出する。そして,制御部20は,各サーバ装置1,1…におけるCPU使用率の合計が所定値よりも大きいサーバ装置1があるか否か,及び,各サーバ装置1,1…におけるメモリ使用率の合計が所定値よりも大きいサーバ装置1があるか否かを判断する。
【0070】
なお,ゲストOS101,101のCPU使用率の合計が所定値よりも大きいサーバ装置1,又はゲストOS101,101のメモリ使用率の合計が所定値よりも大きいサーバ装置1を,移行処理によって他のサーバ装置1にゲストOS101を移行させる移行対象の候補のサーバ装置1とする。
…(中略)…
【0072】
次に制御部(特定手段)20は,移行対象の候補に特定したサーバ装置1において,他のサーバ装置1への移行が可能な移行対象のゲストOS101(動作環境)を特定する。ここで,本実施形態1では,それぞれのゲストOS101,101…に対応する端末装置5,5…が,実際にユーザによって使用されている可能性の低いゲストOS101を移行処理の対象とする。即ち,実施にユーザによって使用されている可能性の高い端末装置5,5…に対応するゲストOS101,101…を移行処理の対象から除外する。」

C 「【0075】
従って,制御部20は,リソース管理テーブル23cの登録内容に基づいて,移行対象の候補に特定したサーバ装置1におけるゲストOS101,101のうちで,仮想USBデバイス103又は仮想サウンドデバイス105が使用されていないゲストOS101を特定する。仮想USBデバイス103及び仮想サウンドデバイス105が使用されていないゲストOS101(移行対象の候補のゲストOS101)を特定できた場合,制御部20(選択手段)は,移行先のサーバ装置1を選択する。
【0076】
制御部20は,リソース管理テーブル23cの登録内容に基づいて,それぞれのサーバ装置1,1…におけるゲストOS101,101のCPU使用率の合計(負荷)が最も小さいサーバ装置1を特定する。なお,CPU使用率の合計が同じサーバ装置1,1…が複数あった場合,制御部20は,これらのサーバ装置1,1…におけるゲストOS101,101のメモリ使用率の合計が最も小さいサーバ装置1を特定する。」

D 「【0084】
上述した処理により,移行対象のゲストOS101及び移行先のサーバ装置1を特定できた場合,制御部(移行手段)20は,移行対象のサーバ装置1に対して,移行対象のゲストOS101を移行先のサーバ装置1に移行させる移行処理の開始を指示する。」


イ ここで,引用例1に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの「本実施形態1のシンクライアントシステムは,複数のサーバ装置(情報処理装置)1,1…,サーバ装置1,1…を管理する管理装置2,ネットワークストレージ3,端末装置5,5…等を含む。」,「サーバ装置1,1…,管理装置2及びネットワークストレージ3は,Local Area Network(LAN)等のネットワークN2を介して接続されている。 …(中略)… ネットワークN1には,端末装置5,5…が接続されている。」との記載からすると,複数の「サーバ装置」と,複数の「端末装置」と,「管理装置」とが「ネットワーク」を介して接続され,それらが「シンクライアントシステム」を構成することが読み取れる。
また,上記Aの「サーバ装置1,1…のそれぞれは,一の装置で複数の情報処理装置として動作する仮想化技術が適用されており,各端末装置5,5…に対応する仮想PC(ゲストOS)を起動して実行するようにしてある。」との記載からすると,「サーバ装置」は仮想PC(ゲストOS)を起動して実行することが読み取れるから,引用例1には,
“複数の仮想PC(ゲストOS)を起動して実行する複数のサーバ装置と,複数の端末装置と,管理装置とがネットワークを介して接続されるシンクライアントシステム”
が記載されていると解される。

(イ)上記Aの「上述した構成のシンクライアントシステムにおいて,端末装置5は,いずれかのサーバ装置1におけるゲストOSを利用する場合,まず,管理装置2に対して,自身に対応するゲストOSの起動を要求する信号を送信する。」との記載からすると,「端末装置」は,いずれかの「サーバ装置」における「ゲストOS」を利用する場合,「管理装置」に対して,自身に対応するゲストOSの起動を要求する信号を送信する手段を備えることが読み取れるから,引用例1には,
“端末装置は,いずれかの前記サーバ装置における前記ゲストOSを利用する場合,前記管理装置に対して,自身に対応する前記ゲストOSの起動を要求する信号を送信する手段を備え”ること
が記載されていると解される。

(ウ)上記Bの「管理装置2の制御部20は,ゲストOS情報を受信してリソース管理テーブル23cに登録する都度,それぞれのサーバ装置1,1…における利用状況を監視する。本実施形態1のシンクライアントシステムでは,各サーバ装置1,1…におけるゲストOS101,101のCPU使用率の合計又はメモリ使用率の合計がそれぞれの所定値(例えば90%)よりも大きいサーバ装置1があれば,移行処理を実行する。 …(中略)… 具体的には,制御部(検出手段)20は,リソース管理テーブル23cに登録されている各サーバ情報に基づいて,各サーバ装置1,1…におけるゲストOS101,101のCPU使用率の合計(処理負荷)と,メモリ使用率の合計(処理負荷)とを検出する。」との記載からすると,「管理装置」は,移行処理を実行する「サーバ装置」を選択するために,「制御部」に各「サーバ装置」の「処理負荷」を検出する手段を有することが読み取れるから,引用例1には,
“管理装置”は,“サーバ装置のそれぞれにおける処理負荷を検出する検出手段”を備えること
が記載されていると解される。

(エ)上記Bの「なお,ゲストOS101,101のCPU使用率の合計が所定値よりも大きいサーバ装置1,又はゲストOS101,101のメモリ使用率の合計が所定値よりも大きいサーバ装置1を,移行処理によって他のサーバ装置1にゲストOS101を移行させる移行対象の候補のサーバ装置1とする。 …(中略)… 次に制御部(特定手段)20は,移行対象の候補に特定したサーバ装置1において,他のサーバ装置1への移行が可能な移行対象のゲストOS101(動作環境)を特定する。」との記載からすると,CPU使用率やメモリ使用率の合計で検出される「処理負荷」が所定量以上の「サーバ装置」について,移行可能な「動作環境(ゲストOS)」を特定する手段を有することが読み取れるから,引用例1には,
“管理装置”は,“検出手段が検出したいずれかのサーバ装置における処理負荷が所定量以上である場合,該サーバ装置のそれぞれにおける動作環境(ゲストOS)のうちで,他のサーバ装置への移行が可能な動作環境を特定する特定手段”を備えること
が記載されていると解される。

(オ)上記Cの「従って,制御部20は,リソース管理テーブル23cの登録内容に基づいて,移行対象の候補に特定したサーバ装置1におけるゲストOS101,101のうちで,仮想USBデバイス103又は仮想サウンドデバイス105が使用されていないゲストOS101を特定する。仮想USBデバイス103及び仮想サウンドデバイス105が使用されていないゲストOS101(移行対象の候補のゲストOS101)を特定できた場合,制御部20(選択手段)は,移行先のサーバ装置1を選択する。」,「制御部20は,リソース管理テーブル23cの登録内容に基づいて,それぞれのサーバ装置1,1…におけるゲストOS101,101のCPU使用率の合計(負荷)が最も小さいサーバ装置1を特定する。」との記載からすると,特定された「サーバ装置」の移行可能な「動作環境(ゲストOS)」について,「処理負荷」に基づいて移行先の「サーバ装置」を選択する手段を有することが読み取れるから,引用例1には,
“管理装置”は,“複数のサーバ装置のうちで,前記特定手段が特定した動作環境の受け入れが可能なサーバ装置を選択する選択手段”を備えること
が記載されていると解される。

(カ)上記Dの「上述した処理により,移行対象のゲストOS101及び移行先のサーバ装置1を特定できた場合,制御部(移行手段)20は,移行対象のサーバ装置1に対して,移行対象のゲストOS101を移行先のサーバ装置1に移行させる移行処理の開始を指示する。」との記載からすると,特定された移行可能な「サーバ装置」の動作環境(ゲストOS)を,選択された受け入れ可能な「サーバ装置」に移行する手段を有することが読み取れるから,引用例1には,
“管理装置”は,“特定手段が特定した動作環境を,前記選択手段が選択したサーバ装置に移行させる移行手段”を備えること
が記載されていると解される。

ウ 以上,(ア)乃至(カ)で示した事項から,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「 複数の仮想PC(ゲストOS)を起動して実行する複数のサーバ装置と,複数の端末装置と,管理装置とがネットワークを介して接続されるシンクライアントシステムであって,
前記端末装置は,いずれかの前記サーバ装置における前記ゲストOSを利用する場合,前記管理装置に対して,自身に対応する前記ゲストOSの起動を要求する信号を送信する手段を備え,
前記管理装置は,
前記サーバ装置のそれぞれにおける処理負荷を検出する検出手段と,
該検出手段が検出したいずれかのサーバ装置における処理負荷が所定量以上である場合,該サーバ装置のそれぞれにおける動作環境(ゲストOS)のうちで,他のサーバ装置への移行が可能な動作環境を特定する特定手段と,
前記複数のサーバ装置のうちで,前記特定手段が特定した動作環境の受け入れが可能なサーバ装置を選択する選択手段と,
前記特定手段が特定した動作環境を,前記選択手段が選択したサーバ装置に移行させる移行手段と
を備えることを特徴とするシンクライアントシステム。」


(1-2)引用例2に記載されている技術的事項

本願の優先日前に頒布され,原審の拒絶査定の理由である上記平成26年7月30日付けの拒絶理由通知において引用された,藤木 直人,“カード携帯型ネットワークコンピューティングサービス”,NTT R&D,社団法人 電気通信協会,1998年10月10日,第47巻,第10号,p.15-20(以下,「引用例2」という。)には,関連する図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

E 「3.2 主要技術
3.2.1 レスポンス向上に必要なマイグレーション機能
移動時におけるレスポンス向上において, どこからでも同等のレスポンスが得られる環境を継続的に提供するために,ユーザの移動に追従してアプリケーションプログラムやデータファイルのコンテンツリソースを適切な位置にマイグレーションすることが有効である.さらに,サーバやネットワークの稼動状況の変化に対して,動的にマイグレーションすることにより,位置透過な環境を継続的に提供することが可能となる.本マイグレーション機能の特徴を図2に示し,概要を以下に示す.
(1) ユーザ認識およびコンテンツリソースサーチ機能
ネットワーク上のマイグレーション管理サーバが,ICカードに付与されたパーソナルIDがログイン可能かどうか判断し,ログイン可のユーザに対して,パーソナルlDとユーザの移動先端末のネットワークアドレスの組合せを認識し,ネットワーク上のコンテンツサーバに保管されている該当ユーザのコンテンツリソースをサーチする.
(2) コンテンツリソースのマイグレーション機能
ユーザの移動先端末にアプリケーションプログラムのユーザインタフェースプロセスをマイグレーションし,移動先端末に対してネットワーク的な距離が近いサーバ群にアプリケーションプログラムのアプリケーションプロセスとデータファイルをマイグレーションする.アプリケーションプロセスのマイグレーションについては,マイグレーション中に起動要求があった場合にも迅速に起動できるように,コピーを作成し,マイグレーションを実現する.マイグレーション終了後は,コピー元のアプリケーションプロセスを削除する.これにより,シームレスなマイグレーションを実現する.
(3) 動的なマイグレーション機能
アプリケーションプログラムやデータファイルを使用中でも,サーバやネットワークの負荷の変化に対して動的に適応し,アプリケーションプロセスとデータファイルを適切なサーバにマイグレーションする.
動的なマイグレーションのためには, アプリケーションプログラムとデータファイルの移動先をリソースの稼動状況に応じて動的に決定するためのリソース制御が必要であるため,以下に本サービスで実現するリソース制御について述べる.」

(1-3)引用例3に記載されている技術的事項

本願の優先日前に頒布され,原審の拒絶査定の理由である平成26年7月30日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2010-182260号公報(平成22年8月19日出願公開,以下,「引用例3」という。)には,関連する図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

F 「【0012】
図2は,本発明にかかるシンクライアントシステムの構成例を示す図である。シンクライアントシステムは,管理サーバ1と,シンクライアント端末(以下,端末とする)2と,シンクライアントサーバ(以下,サーバとする)3から構成される。説明の便宜上,端末2の接続数を1つにしているが,複数の端末2を接続することが可能である。また,ネットワーク4にかかる部分については,従来と同様であるため図示せず,説明を省略する。
【0013】
管理サーバ1は,端末2とサーバ3との接続管理を行う。具体的には,端末2からサーバ3へ接続を行う場合,管理サーバ1は,端末2から通知された認証情報および端末情報に基づいて,ユーザの認証確認を行い,その後,ユーザが使用する端末2から利用できるサーバ3の情報を端末2へ送信する。また,端末2から接続モジュールの要求があった場合に,要求された接続モジュールのモジュールファイルを端末2へダウンロードする。端末2とサーバ3が接続すると,サーバ3から,接続を開始した時間と終了した時間を取得する。また,サーバ3から負荷状態を定期的に取得する。
…(中略)…
【0015】
認証管理部10は,端末2から認証情報および端末情報を受け取り,認証DB11,ユーザ認可DB12および端末認可DB13を参照し,認可(該当ユーザが,該当端末からシンクライアントシステムを使用できるかどうか)を制御する。認証DB11は,ユーザID,パスワード,指紋情報等のユーザの認証に必要な情報を保持する。ユーザ認可DB12は,該当ユーザが利用可能なサーバ3のリストを保持する。端末認可DB13は,該当する端末2の端末情報から,利用可能なサーバ3のリストを保持する。サーバ情報DB14は,サーバ3の接続情報(IPアドレス,サーバ名,プロトコル等)のリストを保持する。サーバ状態管理部15は,サーバ3の状態(負荷の大きさ,利用ユーザの有無等)を管理する。 …(中略)…
【0016】
端末2は,サーバ3と接続し,サーバ3が備えるアプリケーションを用いて作業等を行い,作業記録をサーバ3に保存する。端末2は,サーバ3と接続する際,ユーザが認証情報を入力すると,管理サーバ1へ認証情報と端末情報を送信する。管理サーバ1から利用可能なサーバ3の情報を取得し,選択したサーバ3との接続に必要な接続モジュールを管理サーバ1へ要求し取得する。その後,接続モジュールを用いてサーバ3と接続する。」

G 「【0033】
このように,ユーザが端末2からサーバ3へ接続する場合に,管理サーバ1は,ユーザの認証確認を行い,ユーザが利用可能なサーバ3,ユーザが使用している端末2から利用可能なサーバ3,およびサーバ3との接続に必要な接続情報を,接続の都度,端末2へ送信する。端末2では,ユーザが利用可能なサーバ3の中から利用するサーバ3を選択し,その後,サーバ3との接続に必要なモジュールを取得する。」

(1-4)引用例4に記載されている技術的事項

本願の優先日前に頒布され,原審の拒絶査定の理由である平成26年7月30日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2004-88200号公報(平成16年3月18日出願公開,以下,「引用例4」という。)には,関連する図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

H 「【0028】
本発明の通信システムは,ネットワークを介して共通に接続された複数の計算機と,前記ネットワークに接続された複数の無線基地局とを有し,前記複数の計算機のそれぞれは,前記無線基地局を介して前記ネットワークに接続している移動体端末の移動先を予測する移動先予測部と,前記移動先予測部で予測した移動先を無線通信範囲に含む移動先無線基地局から現在プロセスを実行中の計算機までのネットワーク的な距離よりも,前記移動先無線基地局からのネットワーク的な距離が近い他の計算機に,実行中のプロセスを移動させるプロセスマイグレーション処理部とを備える。」


(2)対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「シンクライアントシステム」は,「複数の仮想PC(ゲストOS)を起動して実行する複数のサーバ装置と,複数の端末装置と,管理装置とがネットワークを介して接続される」ところ,「端末装置」は本件補正発明の「クライアント端末」に相当することは明らかであり,「サーバ装置」は,複数の「仮想PC(ゲストOS)」を起動して実行することから,本件補正発明の「仮想マシン稼動サーバ」に相当すると言える。
また,引用発明の「管理装置」は,「シンクライアントシステム」における複数の「端末装置」による,仮想PC(ゲストOS)を実行する複数の「サーバ装置」の利用を管理する装置とみることができる。
そうすると,引用発明の「複数の仮想PC(ゲストOS)を起動して実行する複数のサーバ装置と,複数の端末装置と,管理装置とがネットワークを介して接続されるシンクライアントシステム」と本件補正発明の「クライアント端末」と,「仮想マシン稼動サーバ」と,「位置最適化サーバ」とを含む「仮想マシン管理システム」とは,“仮想マシン管理システム”である点で共通していると言える。

(イ)引用発明の「端末装置」は「いずれかの前記サーバ装置における前記ゲストOSを利用する場合,前記管理装置に対して,自身に対応する前記ゲストOSの起動を要求する信号を送信する手段を備え」るところ,自身に対応するサーバ装置におけるゲストOSの起動を要求すると言える。
一方,本件補正発明の「クライアント端末」は,「一覧情報を基に,移行先の仮想マシン稼動サーバを特定し,前記特定された仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を,前記位置最適化サーバに要求する手段とを具備する」ところ,「特定された仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行」の要求は,移行先の「仮想マシン稼動サーバ」での「仮想マシン」の起動の要求を実質的に含むものであると言える。
そうすると,引用発明の「いずれかの前記サーバ装置における前記ゲストOSを利用する場合,前記管理装置に対して,自身に対応する前記ゲストOSの起動を要求する信号を送信する手段を備え」た「端末装置」と本件補正発明の「自身の位置座標情報を取得し,該位置座標情報を基に,前記位置最適化サーバに移行先の仮想マシン稼動サーバを問い合わせる手段と,前記位置最適化サーバから,計算した前記距離に応じた移行先の仮想マシン稼動サーバの候補の一覧情報を受信する手段と,前記一覧情報を基に,移行先の仮想マシン稼動サーバを特定し,前記特定された仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を,前記位置最適化サーバに要求する手段とを具備する」「クライアント端末」とは,後記する点で相違するものの,“自身に対応する仮想マシン稼働サーバの仮想マシンの起動を要求するクライアント端末”である点で共通していると言える。

(ウ)引用発明の「サーバ装置」は,複数の「仮想PC(ゲストOS)」を起動して実行するところ,「クライアント端末」にサービスを提供する「仮想マシン」が稼動すると言えることから,引用発明の「複数の仮想PC(ゲストOS)を起動して実行する複数のサーバ装置」は本件補正発明の「クライアント端末にサービスを提供する仮想マシンが稼動する仮想マシン稼動サーバ」に相当すると言える。

(エ)引用発明の「管理装置」は,「サーバ装置のそれぞれにおける処理負荷を検出する検出手段と,該検出手段が検出したいずれかのサーバ装置における処理負荷が所定量以上である場合,該サーバ装置のそれぞれにおける動作環境(ゲストOS)のうちで,他のサーバ装置への移行が可能な動作環境を特定する特定手段と,前記複数のサーバ装置のうちで,前記特定手段が特定した動作環境の受け入れが可能なサーバ装置を選択する選択手段と,前記特定手段が特定した動作環境を,前記選択手段が選択したサーバ装置に移行させる移行手段と」を備えているところ,「サーバ装置のそれぞれにおける処理負荷」に応じて移行先の「サーバ装置」への「動作環境(ゲストOS)」の移行を指示すると解することができ,引用発明の「サーバ装置のそれぞれにおける処理負荷」は,上位概念では,「サーバ装置」に関する「測定値」とみることができる。
一方,本件補正発明の「位置最適化サーバ」は,「クライアント端末又は前記クライアント端末を中継する中継装置に関する位置座標情報と,移行先の候補の仮想マシン稼動サーバに関する位置座標情報とに基づいて,前記クライアント端末又は前記中継装置と前記移行先の候補の仮想マシン稼動サーバとの距離を計算し,計算した前記距離に応じた移行先の仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を指示する」ところ,「クライアント端末又は前記中継装置と前記移行先の候補の仮想マシン稼動サーバとの距離」「に応じた移行先の仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を指示する」と解することができ,本件補正発明の「クライアント端末又は前記中継装置と前記移行先の候補の仮想マシン稼動サーバとの距離」は,上位概念では,「仮想マシン稼動サーバ」に関する「測定値」とみることができる。
そうすると,上記(ア)の検討により,引用発明の「サーバ装置」は,本件補正発明の「仮想マシン稼動サーバ」に相当すると言え,また,引用発明の「管理装置」と,本件補正発明の「位置最適化サーバ」とは,上位概念では,「クライアント端末」による「仮想マシン稼動サーバ」の利用を管理する“管理サーバ”である点で一致すると言えることから,
引用発明の「サーバ装置のそれぞれにおける処理負荷を検出する検出手段と,該検出手段が検出したいずれかのサーバ装置における処理負荷が所定量以上である場合,該サーバ装置のそれぞれにおける動作環境(ゲストOS)のうちで,他のサーバ装置への移行が可能な動作環境を特定する特定手段と,前記複数のサーバ装置のうちで,前記特定手段が特定した動作環境の受け入れが可能なサーバ装置を選択する選択手段と,前記特定手段が特定した動作環境を,前記選択手段が選択したサーバ装置に移行させる移行手段と」を備えた「管理装置」と,
本件補正発明の「クライアント端末又は前記クライアント端末を中継する中継装置に関する位置座標情報と,移行先の候補の仮想マシン稼動サーバに関する位置座標情報とに基づいて,前記クライアント端末又は前記中継装置と前記移行先の候補の仮想マシン稼動サーバとの距離を計算し,計算した前記距離に応じた移行先の仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を指示する位置最適化サーバ」とは,後記する点で相違するものの,
“複数の仮想マシン稼動サーバに関する測定値を検出し,前記測定値に応じて移行先の仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を指示する管理サーバ”である点で共通していると言える。

イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。

<一致点>

「 自身に対応する仮想マシン稼働サーバの仮想マシンの起動を要求するクライアント端末と,
前記クライアント端末にサービスを提供する仮想マシンが稼動する仮想マシン稼動サーバと,
前記複数の仮想マシン稼動サーバに関する測定値を検出し,前記測定値に応じて移行先の仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を指示する管理サーバと
を含む仮想マシン管理システム。」

<相違点1>
クライアント端末に関し,本件補正発明では,「自身の位置座標情報を取得し,該位置座標情報を基に,前記位置最適化サーバに移行先の仮想マシン稼動サーバを問い合わせる手段と,前記位置最適化サーバから,計算した前記距離に応じた移行先の仮想マシン稼動サーバの候補の一覧情報を受信する手段と,前記一覧情報を基に,移行先の仮想マシン稼動サーバを特定し,前記特定された仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を,前記位置最適化サーバに要求する手段とを具備する」のに対して,引用発明では,「いずれかの前記サーバ装置における前記ゲストOSを利用する場合,前記管理装置に対して,自身に対応する前記ゲストOSの起動を要求する信号を送信する手段を備え」るものの,その余の点については特定されていない点。

<相違点2>
仮想マシンの移行の指示に関し,本件補正発明では,「位置最適化サーバ」が「クライアント端末又は前記クライアント端末を中継する中継装置に関する位置座標情報と,移行先の候補の仮想マシン稼動サーバに関する位置座標情報とに基づいて,前記クライアント端末又は前記中継装置と前記移行先の候補の仮想マシン稼動サーバとの距離を計算し,計算した前記距離に応じた移行先の仮想マシン稼動サーバへの前記仮想マシンの移行を指示する」のに対して,引用発明の「管理装置」は,「検出したいずれかのサーバ装置における処理負荷が所定量以上である場合,該サーバ装置のそれぞれにおける動作環境(ゲストOS)のうちで,他のサーバ装置への移行が可能な動作環境を特定」し,「特定した動作環境の受け入れが可能なサーバ装置を選択」し,「特定した動作環境を,前記選択手段が選択したサーバ装置に移行させる」ものの,「端末装置」と移行先の候補の「サーバ装置」との距離に応じた移行先の「サーバ装置」の選択については言及されていない点。


(3)判断

上記相違点1及び2について検討する。

ア 相違点1について

引用発明の「端末装置」は「いずれかの前記サーバ装置における前記ゲストOSを利用する場合,前記管理装置に対して,自身に対応する前記ゲストOSの起動を要求する信号を送信する」ものの,いずれかの「サーバ装置」への「動作環境(ゲストOS)」の移行を「管理装置」に要求するものではなく,移行先の「サーバ装置」を問い合わせるものでもないから,「端末装置」に,自身の位置座標情報を取得し,該位置座標情報を基に,移行先の「サーバ装置」を問い合わせる手段や,計算した「端末装置」と「サーバ装置」との距離に応じた移行先の「サーバ装置」の候補の一覧情報を受信する手段を備えることの動機付けを見い出すことはできない。
また,引用例2(上記Eを参照)に記載されるように,移動時におけるレスポンス向上のために,ユーザが移動先で利用する端末の位置に応じて,ネットワーク的な距離の近いサーバ群にアプリケーションのマイグレーションを行うこと,引用例3(上記F,Gを参照)に記載されるように,シンクライアントシステムにおいて,管理サーバからユーザ端末が利用可能なサーバのリストを送信し,ユーザ端末で選択したサーバに接続させることは,本願の優先日前には当該技術分野の周知技術であったものの,引用発明にこれらの周知技術を適用したとしても,「端末装置」において,自身の位置座標情報を取得し,該位置座標情報を基に,移行先の「サーバ装置」を問い合わせる手段や,計算した「端末装置」と「サーバ装置」との距離に応じた移行先の「サーバ装置」の候補の一覧情報を受信する手段や,一覧情報を基に,移行先の「サーバ装置」への「動作環境(ゲストOS)」の移行を「管理装置」に要求する手段を備えることを容易に想到し得たとは言えない。
そうすると,引用発明において,端末装置に,自身に対応する動作環境(ゲストOS)のいずれかのサーバ装置への移行を管理装置に要求するものとし,自身の位置座標情報を取得し,該位置座標情報を基に移行先のサーバ装置を問い合わせる手段と,計算した端末装置とサーバ装置との距離に応じた移行先のサーバ装置の候補の一覧情報を受信する手段と,前記一覧情報を基に移行先のサーバ装置を特定し,移行を要求する手段とを具備させること,すなわち,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が適宜なし得たものであるとすることはできない。

イ 相違点2について

引用発明の「管理装置」は,「検出したいずれかのサーバ装置における処理負荷が所定量以上である場合,該サーバ装置のそれぞれにおける動作環境(ゲストOS)のうちで,他のサーバ装置への移行が可能な動作環境を特定」し,「特定した動作環境の受け入れが可能なサーバ装置を選択」し,「特定した動作環境を,前記選択手段が選択したサーバ装置に移行させる」ものの,「端末装置」の位置座標情報を利用して「サーバ装置」の「動作環境(ゲストOS)」を他の「サーバ装置」に移行するものではないことから,「管理装置」において,「端末装置」又は中継装置と移行先の候補の「サーバ装置」との距離を計算し,計算した前記距離に応じた移行先の「サーバ装置」への「動作環境(ゲストOS)」の移行を指示することの動機付けを見い出すことはできない。
また,引用例2(上記Eを参照)に記載されるように,移動時におけるレスポンス向上のために,ユーザが移動先で利用する端末の位置に応じて,ネットワーク的な距離の近いサーバ群にアプリケーションのマイグレーションを行うこと,引用例4(上記Hを参照)に記載されるように,移動体端末の移動先中継装置(無線基地局)と計算機との距離に基づいてマイグレーションを行うことは,本願の優先日前には当該技術分野の周知技術であったものの,クライアント端末を中継する中継装置と移行先の候補の仮想マシン稼動サーバとの距離を計算し,計算した前記距離に応じた移行先の仮想マシン稼動サーバへの仮想マシンの移行を指示することが,本願の優先日前には当該技術分野の周知技術であったとは言えない。
そうすると,引用発明において,管理装置を位置最適化サーバとし,適宜,端末装置又は前記端末装置を中継する中継装置に関する位置座標情報と,移行先の候補のサーバ装置に関する位置座標情報とに基づいて,前記端末装置又は前記中継装置と前記移行先の候補のサーバ装置との距離を計算し,計算した前記距離に応じた移行先のサーバ装置への動作環境(ゲストOS)の移行を指示するものと成すこと,すなわち,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が適宜なし得たものであるとすることはできない。

ウ 小括

上記で検討したごとく,本件補正発明は,当業者が引用発明および引用例2乃至4に記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたとは言えない。
よって,本件補正の補正事項1は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

本件補正のその余の補正事項についても,特許法第17条の2第3項乃至第6項に違反するところはない。


3 むすび

以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第3項乃至第6項の規定に適合する。


第3 本願発明

本件補正は上記のとおり,特許法第17条の2第3項乃至第6項の規定に適合するから,本願の請求項1乃至6に係る発明は,本件補正により補正された平成27年2月12日付け手続補正書に記載の特許請求の範囲の請求項1乃至6に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして,本願の請求項1乃至6に係る発明は,当業者が引用発明および引用例2乃至4に記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではないから,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2015-11-18 
出願番号 特願2013-507326(P2013-507326)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 漆原 孝治  
特許庁審判長 高木 進
特許庁審判官 辻本 泰隆
浜岸 広明
発明の名称 仮想マシン管理システム、及び仮想マシン管理方法  
代理人 工藤 実  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ