• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1308105
審判番号 不服2014-9898  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-28 
確定日 2015-11-25 
事件の表示 特願2012-158036「最も精密な光学品質を有するレンズ基材の表面に被覆層を転写する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月 1日出願公開、特開2012-212176〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成18年4月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、平成17年4月4日 米国)を国際出願日とする特願2008-504704号の一部を平成24年7月13日に新たな特許出願としたものであって、平成24年8月10日に手続補正がなされ、平成25年5月10日付けの拒絶理由の通知に対し、同年8月27日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成26年1月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月28日に審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成26年5月28日付けの手続補正書により適法に補正された特許請求の範囲の請求項1?27に記載されたとおりのものであって、その請求項27に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「少なくとも1つの被覆層を、レンズ基材の少なくとも1つの幾何学的に定義される面上に転写する方法であって、
(a)少なくとも1つの機能被覆層を担持する主面を有する担体を得る工程と、
(b)少なくとも1つの幾何学的に定義される面を有するレンズ基材を得る工程と、
(c)前記少なくとも1つの機能被覆層、または前記レンズ基材の前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面のいずれかの上に、透明接着組成物を成膜する工程と、
(d)もし前記透明接着組成物の層が、工程(c)の終了時に分離可能な前記担体から乾燥状態で移動される状態でない場合は、前記層を前記工程の条件下で流動しないように、UV照射または40℃?130℃の範囲の温度で前記層を乾燥して、前記透明接着組成物の層は、該層の最大厚みと最小厚みの差が0.65μm以下であり、厚さ0.5?20μmであるように予備硬化または硬化状態とする工程、
(e)前記透明接着組成物層を、前記レンズ基材の前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面、または前記少なくとも1つの機能被覆層のいずれかに直接接触させるように、前記担体と前記レンズ基材とを互いに対して相対的に移動させる工程と、
(f)前記透明接着組成物層を、前記少なくとも1つの機能被覆層、または前記レンズ基材の前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面のいずれかと共に加圧する工程と、
(g)加圧工程(f)を終了する工程、および
(h)前記担体を廃棄して、前記透明接着組成物層を介して前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面に前記少なくとも1つの機能被覆層を接着した被覆レンズ基材を回収する工程、
ここで、工程(d)は、工程(e)と工程(f)との前に行われる、転写方法。」

3 引用例
(1)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に公開された国際公開第01/92006号(以下「引用例」という。)には、次の記載がある(下線は当審で付した。以下同じ。)。

ア 「発明の実施の形態」(2頁21行)、
「本発明の低反射層を有する転写箔(以下、単に「転写箔」と記す)は、主として、剥離性を有する基体フィルム上に、透明低反射層、保護層及び接着層が順次積層されて構成される。」(2頁22?24行)、
「本発明に用いることができる基体フィルムの材料は特に限定されるものではないが、変形又は屈曲可能なプラスチックによるフィルムが適当である。」(2頁25行?26行)、
「離型層は、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、リップコート法、ディップコート法、スピンコート法、バーコート法、押出しコート法、スクリーンコート法等のそれ自体公知の方法により、上記材料を基体フィルム上に塗布し、乾燥又は硬化して形成することができる。この場合の離型層の厚みは、例えば、0.1?10μm程度が挙げられる。」(3頁19行?23行)、
「接着層としては、例えば、アクリル系樹脂、塩素化オレフィン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、マレイン酸系樹脂、塩化ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、ポリアミド系樹脂、クマロンインデン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。接着層の厚みは、例えば0.1?10μm程度が挙げられる。接着層の形成は、離型層と同様に、それ自体公知の方法により形成することができる。」(7頁25行?8頁2行)

イ 「請求の範囲」、
「1.離型性を有する基体フィルム上に、透明低反射層、保護層及び接着層が順次積層されてなることを特徴とする低反射層を有する転写箔。」、
「13.請求項1に記載の低反射層を有する転写箔の接着層側を成型品に重ね、基体フィルム上から熱圧をかけることにより成型品の表面に前記転写箔を接着させ、その後離型性を有する基体フィルムを剥離することからなる低反射層を有する成型品の製造方法。」、
「17.請求項12又は13の方法により形成され、接着層、保護層及び透明低反射層がこの順に成型品の表面に積層されてなる成型品。」、
「18.成型品が、ワープロ、コンピュータ、テレビ、ディスプレイパネル、携帯電話等の各種のディスプレイ、液晶表示装置等に用いる偏光板の表面、透明プラスチック類からなるサングラスレンズ、度つきめがねレンズ、カメラのファインダーレンズ等の光学レンズ、各種計器の表示部、自動車、電車等の窓ガラスである請求項17に記載の成型品。」

ウ 請求の範囲1及び13(上記イ)からみて、引用例には、透明低反射層及び保護層を、成形品に転写する方法が記載されていると認められる。

(2)上記(1)の各事項によれば、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「透明低反射層及び保護層を、成形品に転写する方法であって、
離型性を有する基体フィルム上に、透明低反射層、保護層及び接着層が順次積層されてなる低反射層を有する転写箔の接着層側を成型品に重ね、基体フィルム上から熱圧をかけることにより成型品の表面に前記転写箔を接着させ、その後離型性を有する基体フィルムを剥離するものであり、
成型品が、透明プラスチック類からなるサングラスレンズ、度つきめがねレンズであり、
基体フィルムの材料は変形又は屈曲可能なプラスチックであり、
接着層としては、例えば、アクリル系樹脂、塩素化オレフィン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、マレイン酸系樹脂、塩化ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、ポリアミド系樹脂、クマロンインデン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられ、
接着層の厚みは、例えば0.1?10μm程度が挙げられる、
方法。」

4 対比
(1)本願発明と引用発明とを以下に対比する。
ア 本願発明の「少なくとも1つの被覆層を、レンズ基材の少なくとも1つの幾何学的に定義される面上に転写する方法」との特定事項について
引用発明の「透明低反射層」及び「保護層」は、本願発明の「少なくとも1つの被覆層」に相当する。
そして、引用発明の「透明低反射層及び保護層を、」「透明プラスチック類からなるサングラスレンズ、度つきめがねレンズ」「に転写する方法」が、本願発明の「少なくとも1つの被覆層を、レンズ基材の少なくとも1つの幾何学的に定義される面上に転写する方法」に相当することは明らかである。

イ 本願発明の(a)の工程について
(ア)引用発明の「転写箔」の「変形又は屈曲可能なプラスチック」を「材料」とする「基体フィルム」及び「基体フィルム上に」「積層され」る「透明低反射層、保護層」は、それぞれ、本願発明の「担体」及び「少なくとも1つの機能被覆層」に相当する。

(イ)引用発明の「転写箔」の「基体フィルム」は、「離型性を有」し、その「上に、透明低反射層、保護層及び接着層が順次積層されてなる」から、本願発明の「少なくとも1つの機能被覆層を担持する主面を有する」との特定事項を備えている。

(ウ)引用発明の「転写する方法」は、「転写箔の接着層側を成形品に重ね」る前に、「転写箔」の「基体フィルム」を得ているといえる。

(エ)以上によれば、引用発明は、本願発明の「(a)少なくとも1つの機能被覆層を担持する主面を有する担体を得る工程」を備えている。

ウ 本願発明の(b)の工程について
引用発明の「転写する方法」は、「転写箔の接着層側を成形品に重ね」る前に、「成形品」を得ているといえる。
そして、引用発明の「成形品」は、「透明プラスチック類からなるサングラスレンズ、度つきめがねレンズであ」る。
そうすると、引用発明は、本願発明の「(b)少なくとも1つの幾何学的に定義される面を有するレンズ基材を得る工程」を備えていることが明らかである。

エ 本願発明の(c)の工程について
(ア)引用発明の「成形品」は、「透明プラスチック類からなるサングラスレンズ、度つきめがねレンズ」であるから、引用発明の「接着層」が、本願発明の「透明接着組成物」に相当する構成からなることは明らかである。

(イ)引用発明の「転写箔」は、「離型性を有する基体フィルム上に、透明低反射層、保護層及び接着層が順次積層されてなる」ものである。
そうすると、引用発明では、「転写箔」を製造するにあたり、「透明低反射層、保護層」の上に「接着層」を設ける工程があるといえる。

(ウ)以上によれば、本願発明と引用発明とは、「前記少なくとも1つの機能被覆層」「の上に、透明接着組成物を」設ける「工程」(以下「(c’)」ということがある。)を備えている点で一致する。

オ 本願発明の(e)の工程について
引用発明の「転写する方法」は、「転写箔の接着層側を成型品に重ね、基体フィルム上から熱圧をかけ」るものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「前記透明接着組成物層を、前記レンズ基材の前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面」「に」「接触させるように、前記担体と前記レンズ基材とを互いに対して相対的に移動させる工程」(以下「(e’)」ということがある。)を備えている点で一致する。

カ 本願発明の(f)の工程について
引用発明の「転写する方法」は、「基体フィルム上から熱圧をかけることにより成型品の表面に前記転写箔を接着させ」るものである。
そうすると、引用発明は、本願発明の「(f)前記透明接着組成物層を、前記少なくとも1つの機能被覆層、または前記レンズ基材の前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面のいずれかと共に加圧する工程」を備えている。

キ 本願発明の(g)の工程について
引用発明の「転写する方法」は、「成型品の表面に前記転写箔を接着させ、その後離型性を有する基体フィルムを剥離するものであ」る。
そうすると、引用発明が、本願発明の「(g)加圧工程(f)を終了する工程」を備えていることは明らかである。

ク 本願発明の(h)の工程について
引用発明の「転写する方法」は、「成型品の表面に前記転写箔を接着させ、その後離型性を有する基体フィルムを剥離するものであ」り、「成型品が、透明プラスチック類からなるサングラスレンズ、度つきめがねレンズであ」る。
そうすると、引用発明が、本願発明の「(h)前記担体を廃棄して、前記透明接着組成物層を介して前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面に前記少なくとも1つの機能被覆層を接着した被覆レンズ基材を回収する工程」を備えていることは明らかである。

ケ 引用発明の「転写する方法」は、本願発明の「転写方法」に相当する。

(2)上記(1)によれば、本願発明と引用発明とは、
「少なくとも1つの被覆層を、レンズ基材の少なくとも1つの幾何学的に定義される面上に転写する方法であって、
(a)少なくとも1つの機能被覆層を担持する主面を有する担体を得る工程と、
(b)少なくとも1つの幾何学的に定義される面を有するレンズ基材を得る工程と、
(c’)前記少なくとも1つの機能被覆層の上に、透明接着組成物を設ける工程と、
(e’)前記透明接着組成物層を、前記レンズ基材の前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面に接触させるように、前記担体と前記レンズ基材とを互いに対して相対的に移動させる工程と、
(f)前記透明接着組成物層を、前記少なくとも1つの機能被覆層、または前記レンズ基材の前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面のいずれかと共に加圧する工程と、
(g)加圧工程(f)を終了する工程、および
(h)前記担体を廃棄して、前記透明接着組成物層を介して前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面に前記少なくとも1つの機能被覆層を接着した被覆レンズ基材を回収する工程、
からなる転写方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本願発明は、
(c’)の工程において、透明接着組成物を「成膜」するとされ、
(d)の工程を備え、
(e’)の工程において、「前記透明接着組成物層」と「前記レンズ基材の前記少なくとも1つの幾何学的に定義される面」との「接触」が「直接接触」であるとされ、
「工程(d)は、工程(e)と工程(f)との前に行われる」、
とされているのに対し、
引用発明は、そのように特定されていない点。

5 相違点の判断
(1)上記相違点について検討する。
ア 引用例には、「転写箔」の「接着層」の形成に関し、「接着層の形成は、離型層と同様に、それ自体公知の方法により形成することができる。」(8頁1行?2行)と記載されている。

イ そこで、引用例に記載された離型層の形成方法についてみると、引用例には、「離型層は、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、リップコート法、ディップコート法、スピンコート法、バーコート法、押出しコート法、スクリーンコート法等のそれ自体公知の方法により、上記材料を基体フィルム上に塗布し、乾燥又は硬化して形成することができる。」(3頁19行?22行)と記載されている。

(ア)ここで、上記記載における「塗布」は、本願発明の「成膜」に相当する概念であるといえる。

(イ)また、「乾燥」との文言は、一般に、湿気や水分がなくなることを意味するから、上記記載における「乾燥」は、「塗布」の際に用いた溶剤をなくすことを意味するものと解される。
そうすると、引用例には、離型層が、溶剤を含む状態で「塗布」され、その後、「乾燥」させることで形成される態様が含まれることが明らかである。

ウ 原査定において提示された周知例(特開平11-48389号公報)には、接着剤を転写シートに施しておく場合は、転写シートが被転写体と向き合う段階(両者を圧接させるときよりは前)で、塗布をしておき、接着剤が溶剤を含む場合は、この段階で乾燥させておくことが記載されている(段落【0018】)。
ここで、上記イは離型層の形成方法に関するものであり、上記ウは接着剤の形成方法に関するものではあるが、両者とも、溶剤を含む状態で塗布され、その後、乾燥させることにより形成されるものである。

エ 引用発明の「転写する方法」は「接着層」を含む「転写箔」を利用するものであって、本願の明細書(段落【0005】?【0007】・【0127】)に記載された従来技術に係る態様、すなわち、液体接着組成物を滴下して均一に拡げることを含む態様(本願発明の(d)の「予備硬化または硬化状態」に相当する構成を得るものではないと解される。)とは明らかに異なるものである。

オ 上記ア、イ(ア)及びウによれば、引用発明の(c’)に相当する工程で、接着層を塗布することにより、本願発明の工程(c)の構成となすことに格別の困難性はない。

カ 上記ア、イ(イ)、ウ及びエによれば、引用発明において、接着層を、溶剤を含む状態で塗布し、その後、乾燥させることによって形成することにより、本願発明の「もし前記透明接着組成物の層が、工程(c)の終了時に分離可能な前記担体から乾燥状態で移動される状態でない場合は、前記層を前記工程の条件下で流動しないように、」「前記層を乾燥して、」「予備硬化または硬化状態とする工程」との構成となすこと、及び、本願発明の工程(e)の構成となすことに格別の困難性はない。

キ 上記カの判断は次の点からも裏付けられる。
引用発明の「接着層」は、例えば、「アクリル系樹脂、塩素化オレフィン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、マレイン酸系樹脂、塩化ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、ポリアミド系樹脂、クマロンインデン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられ」るとされている。
また、引用発明の「転写する方法」は、「転写箔の接着層側を成型品に重ね、基体フィルム上から熱圧をかけることにより成型品の表面に前記転写箔を接着させ」るものである。
そうすると、当業者であれば、引用発明の「接着層」として、ホットメルト型の接着剤を用いる態様を典型的に想定するものと認められる。
そして、ホットメルト型の接着剤は、必要な加熱を行わない状態では、接着性がない。
したがって、引用発明において、接着層を、溶剤を含む状態で塗布し、その後、乾燥させた場合、転写箔の接着層は、本願発明の「予備硬化または硬化状態」となっているものと解される。

ク 上記カに際して、引用発明において、塗布された直後の接着層(溶剤が含まれている。)を乾燥させる温度を定める必要があるところ、この温度は、溶剤の種類などに応じて当業者が適宜設計し得るものである。
したがって、本願発明のように、40℃?130℃の範囲の温度を採用することに格別の困難性はない。

ケ 引用発明では、「接着層の厚みは、例えば0.1?10μm程度が挙げられ」るとされている。そして、この値は、本願発明の「透明接着組成物の層」の「厚さ0.5?20μm」と範囲が重複する。
したがって、引用発明の「転写箔」の「接着層」を「厚さ0.5?20μm」となすことに格別の困難性はない。

コ 引用発明には、「転写箔」の「接着層」の最大厚みと最小厚みについての明記がない。
しかしながら、引用発明の「成形品」は「サングラスレンズ、度つきめがねレンズ」に係るものであるから、その基材の表面に積層された層の厚さに均一性が求められることは明らかであり、そのためには、「転写箔」の「接着層」の厚みを相当程度均一にしなければならないことも明らかなことである。
さらに、引用発明において、「転写箔」の「接着層」の厚みを不均一にしなければならないとする技術的課題があるとも認められない。
そうすると、当業者であれば、上記オ及びカに際し、引用発明において、「転写箔」の「接着層」の厚みの均一性を考慮して、「層の最大厚みと最小厚みの差が0.65μm以下であ」るとの構成となすことに格別の困難性はない。

サ 上記カ?コによれば、引用発明において、本願発明の「工程(d)は、工程(e)と工程(f)との前に行われる」との構成となすことに格別の困難性はない。

シ 以上によれば、引用発明において、引用例に記載された事項及び上記周知例に記載された事項に基づいて、上記[相違点]の構成となすことに、格別の困難性はない。

ス 本願発明の効果は、引用発明、引用例に記載された事項及び上記周知例に記載された事項に比して格別のものとはいえない。

(2)したがって、本願発明は、引用発明、引用例に記載された事項及び上記周知例に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-23 
結審通知日 2015-06-30 
審決日 2015-07-13 
出願番号 特願2012-158036(P2012-158036)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 博之  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 本田 博幸
山村 浩
発明の名称 最も精密な光学品質を有するレンズ基材の表面に被覆層を転写する方法  
代理人 渡辺 望稔  
代理人 三和 晴子  
代理人 伊東 秀明  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ